GM:めい
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雑談ログ
Character Sheet
PC1:琵琶坂藍依 (キャラシート) PL:ふろずん
PC2:澱カシル (キャラシート) PL:タンゴ
Index
◆Previous Story◆
「明星のレゾナンス」
「こよみとミツキの心海回遊」
◆Pre play◆
HO紹介
◆Opening Phase◆
01 蟲の居所
02 異なる日常
◆Middle Phase◆
03 海に近い少女
04 潮風の気配
05 空を隠す海の霧
06 天国を見る少女
07 霧に囚われた異形
08 海霧と海里
09 二つの姉妹
10 存在しない者達
◆Climax Phase◆
11 海底に響く歌
◆Ending Phase◆
12 天国を求めた少女
13 妹達の見る未来
14 約束のお呪い
15 アイリスの花言葉
◆After Play◆
経験点配布
◆Extra◆
パーソナリティーズ:Heaven Gazers
Pre play
HO紹介
GM :
では、今回はPCの紹介は無しで、ハンドアウトの紹介からやっていきます。
GM :
まずはPC1、琵琶坂藍依のハンドアウトはこちら。
◆PC1 琵琶坂藍依 ハンドアウト◆
ロイス:天海こよみ
推奨感情 P:任意 / N:任意
不登校だった天海こよみが学校に通い始めた。
ゼノスエージェントの襲撃事件を経て、こよみは大きく成長したらしい。
今まで引きこもっていた分授業についていくのは大変そうだが、仲の良い友達も出来て毎日楽しい学校生活を送れているようだった。
今のこよみは、親友の死後から暗い学校生活を送っているキミとは真逆の光に照らされている。
いつの間にか前に進んでいってしまった彼女のことを、キミはどう思うだろうか。
GM :
こよみは楽しそうな青春を謳歌し始めたのに自分は……というハンドアウトです。
琵琶坂藍依 :
許さん……許さんぞ、天海こよみ……
GM :
ボーボボに登場するビワちゃんだ…
GM :
でで、レゾナンス途中時点でのロイスから固定ロイスを選んでいいということにしたので、今回の固定ロイスだけ教えて下さい。
琵琶坂藍依 :
ミツキちゃんのロイスを取得しました!憧憬/憐憫のP表!!
琵琶坂藍依 :
もともと同じアイドルとしての憧憬はありましたが、現在は少し違っていて、親友を失って義務で生きている自分に対して、かけがえない存在(=こよみちゃん)との楽しい日常生活を送っているコトへの「憧憬」です。
GM :
pを表にしてるだけめっちゃ偉いと言われている
GM :
あとは胡桃ちゃんだっけ、そっちはそのままだったかな
琵琶坂藍依 :
そうねね!そっちは前と変わらないです!
GM :
了解!こよミツに色々思うところがあるビワちゃんの活躍に期待しましょう
GM :
では次はPC2、澱カシルのハンドアウトはこちら。
◆PC2 澱カシル ハンドアウト◆
ロイス:クラッドカルト
推奨感情 P:任意 / N:任意
ゼノスエージェントの襲撃事件から、クラッドカルトは天海こよみと共に無事に戻ってきた。
知性と自我、そしてまだ限定的にだが実体化する能力を得て。
今のクラッドカルトはこよみに純粋な好意を寄せ、彼女を守るために行動している。
以前のように、ただ自身を守ってもらうためだけに宿主を利用していた怪物の面影は一切無い。
そんなクラッドカルトをこよみも信頼しており、二人は強い絆で結ばれているようだった。
呪われた力ごと受け入れられ、愛して貰えるようになった彼女のことを、キミはどう思うだろうか。
GM :
クラッドカルトがこよミツや周りから愛されるようになったのに自分は……というハンドアウトです。
澱カシル :
許さん……許さんぞ、クラッドカルト……
GM :
絶対許さない二人組になっちゃったな…
GM :
いやでもこれは大分元からか!
澱カシル :
なんなら少しは軟化してるまであるよ
こよみちゃんが許すなら少し猶予をやろう的な……
澱カシル :
固定ロイスは元からの胡桃ちゃんと新規取得のこよみちゃんです!
こよみちゃんへは信頼/不満のP
GM :
こよへの信頼がなかったら即死だった
GM :
私のパソコン不調でお待たせしてしまったけど、メインプレイを始めて行こうと思います。
GM :
よろしくおねがいします!!
澱カシル :
よろしくお願いします!
琵琶坂藍依 :
よろしくおねがいします!
Main play
Scene01 蟲の居所
Scene Player:澱カシル
GM :
まずはカシルちゃんのオープニングから。登場侵蝕のダイスをお願いします。
GM :
今回は右下のぷちこよみをクリックすると、クリックアクションで登場侵蝕を振れるようになっています。
澱カシル :
1d10+45(1D10+45) > 6[6]+45 > 51
澱カシル :
ありこよ〜
GM :
どもこよ~
GM :
八月三十一日の夜。
GM :
MARiNE SNOWのメンバー達は、無事に支部に帰還したこよみとミツキから、彼女達の身に起きた出来事を説明された。
GM :
海に遊びに行ったこよみとミツキは、ゼノスエージェント"フォルネウス"五十嵐タクミの襲撃を受けた。
GM :
五十嵐を操っていたゼノスリーダー“プランナー”都築京香の目的、それはクラッドカルトの進化。
GM :
彼の進化に必要な工程はこよみのジャーム化だった。
GM :
敵はそのためにこよみ達を異界の水族館に閉じ込め、そこでこよみの母親・天海あかりの死体を利用して再会させたり、ミツキを殺害しようとしていた。
GM :
しかし、こよみとミツキはそれらの絶望を乗り越えて、敵を打ち倒し無事に元の世界に帰ってきた。
GM :
新しく絆を結んだという、友達を一人連れて……。
UGN芸能支部
GM :
九月三日。
GM :
あれから三日が経った。
GM :
こよみは現在、アイドル活動を休止している。
GM :
彼女の身に起きた変化について、支部で様々な検査を受ける必要があったからだ。
GM :
活動再開は二週間程先になるらしい。
GM :
午後、カシルが入口の辺りから支部を覗いて見ると、こよみがソファに腰かけている。
GM :
そしてその隣には、“もうひとりのこよみ”がいた。
クラッドカルト :
「ねーねー、コヨミー。コヨミってばー」
GM :
まるで双子のようにこよみそっくりなその少女は、こよみに横から抱き着きながら声をかける。
天海こよみ :
「なに?クラちゃん……」
GM :
クラちゃん。それは一ヵ月程前から、こよみがクラッドカルトを呼ぶ時に使っていたあだ名。
GM :
もうひとりのこよみ────それはクラッドカルトのことだった。
GM :
彼、いや彼女は、ゼノスの計画で自我と知性を獲得し、更にレネゲイドを集めて意識を投影した分身ではあるが、実体さえ作ることが出来るようになっていた。
GM :
こよみ達の話では、このクラッドカルトの協力のおかげでゼノスエージェントに勝利することが出来たらしい。
クラッドカルト :
「クラ、まつのあきちゃった。もうかえろ、コヨミ!」
GM :
……だが、クラッドカルトが得たという知性はかなり低かった。
GM :
人間で言えば五歳児か、それよりもっと幼いように見える。
GM :
もしかすれば、生まれたてのレネゲイドビーイングの方がまだマシなのではないだろうか。
天海こよみ :
「え……ダメだよ、クラちゃん。まだ帰れないよ……」
クラッドカルト :
「なんでー?」
天海こよみ :
「だって、まだこれからけんさがあるらしいから……。もう少し、待と……?」
クラッドカルト :
「え~……でもずっとまってるよ?ひまだよ、コヨミー……」
天海こよみ :
「う、うーん……」
天海こよみ :
「……そうだ。じゃあ、何かいっしょに歌おっか……?」
クラッドカルト :
「え?なにかって?」 興味が湧いたのか、顔を上げて
天海こよみ :
「えっとね……。そうだ、クラちゃんはこういう曲、好きなんじゃないかな……?」
GM :
そう言って、こよみはスマートフォンを操作し、動画サイトからある動画を開く。
GM :
「まいごのまいごのこねこちゃん~♪あなたのおうちはどこですか~♪」
GM :
流れ始めたのは、誰でも知っているような童謡だ。
クラッドカルト :
「わあ……!」
GM :
しかし、クラッドカルトは初めて聴く歌に目を輝かせていた。
天海こよみ :
「ふふっ……」 その様子を微笑ましそうに見て
天海こよみ :
「じゃあ、クラちゃん。ぼくにつづいて歌ってね……?」
クラッドカルト :
「うん!」
GM :
そうして、二人は童謡を歌い始める。
天海こよみ :
「おうちをきいてもわからない~♪」
クラッドカルト :
「おうちをきいてもわからない~♪」
天海こよみ :
「なまえをきいてもわからない~♪」
クラッドカルト :
「なまえをきいてもわからない~♪」
天海こよみ :
「にゃんにゃんにゃにゃーん♪」
クラッドカルト :
「にゃんにゃんにゃにゃーん♪」
GM :
そんな風に、こよみ達は楽しそうに暇を潰しているようだった。
澱カシル :
もう一人のこよみがクラッドカルトの新しい姿だろうと推測し、部屋に入ろうとするカシルの足が止まる。
だが、ここで引き返す理由もない。
澱カシル :
「こよみちゃん、お元気そうで何よりです!」
明るく、何でもないように部屋に入ってこよみへ挨拶する。
天海こよみ :
「……!カシルちゃん……!」 歌うのをやめてそちらを見る
クラッドカルト :
「あ……カシル」 同じくカシルの方に顔を向ける
澱カシル :
「…………。その姿としては初めまして、ですね。クラッドカルト。」
名前を呼ばれて、無視も出来ず反応を返す。
いつか、倉庫で見せたような冷たさが滲む。
クラッドカルト :
「……!!」 びくっと肩を震わせて、こよみの腕にしがみつく
天海こよみ :
「……カシルちゃん?」 急に冷たさが滲んだことに驚いて
澱カシル :
「…………こよみちゃん。大体の事情は聞きました。」
澱カシル :
「ミツキちゃんと一緒に大変な目に合ったことも、窮地にクラッドカルトが助けてくれた事も……。」
澱カシル :
「こよみちゃんとミツキちゃんを救ってくれた事には感謝しています。」
澱カシル :
「でも……。それでも。わたくしはクラッドカルトに対して良い感情は持てません。」
「全てはこの蟲が始まりなのに……その罪を自覚すらせず、こよみちゃんの優しさに浸っているから……。」
クラッドカルト :
「…………」
天海こよみ :
「ま、まって、それはちがうよカシルちゃん……」
天海こよみ :
「罪のじかく……は、クラちゃんもちゃんと分かっているよ……!」
澱カシル :
「そうですか?」
「…………こよみちゃんも甘やかしすぎです。自分で反論も出来ないようでは、この先また同じ失敗をしかねませんよ。」
澱カシル :
「…………いえ、ここでずっとその話をしていても仕方ないですね!」
澱カシル :
「貴方についてはまた話をしましょう、クラッドカルト。」
一瞬明るい姿に戻るものの、クラッドカルトに対してはやはり冷たい
クラッドカルト :
「……」 ソファに座ったまま、カシルの顔を上目遣いに見て
クラッドカルト :
「……やだ」 一言、拒絶の言葉を吐く
澱カシル :
「………はい?」
天海こよみ :
「クラちゃん……?」
クラッドカルト :
「だって、カシル……こわいもん……」
クラッドカルト :
「おはなし、したくない……」 こよみの腕にぎゅっと掴まって
澱カシル :
「そうでしょうね。」
怖い、という言葉にアイドルらしからぬ薄気味悪い自嘲の笑みを浮かべて
澱カシル :
「わたくしも貴方は嫌いなので、話したくはありません。」
「でも……。」
そこで言葉を切る。
こよみの前では言えないような罵倒を言いかけたのかもしれない。
澱カシル :
「……んんっ。とにかく、アタシはクラちゃんさんの事は認めてないので!」
「もうマリスノの皆を困らせることが無いように、自制のあるRBになってもらいます!」
クラッドカルト :
「じせい……?」
天海こよみ :
「もっとしっかりしようね、ってことだよね?カシルちゃん」
澱カシル :
「………こよみちゃんもです!」
「アタシもこよみちゃんの優しさに助けてもらいましたけど、それにしたって甘々です!」
天海こよみ :
「え……!?そ、そうかな……!?」
澱カシル :
「そうですよ!」
「とにかく、次にクラちゃんさんが何かやらかすようなら……」
「わたくしが………します。ご留意を。」
最後の言葉はカシル自身が口籠ったようだが、強い言葉というのは感じられた。
天海こよみ :
「え、えぇ……?」 ちょっと戸惑って
天海こよみ :
「う……うーん……」
天海こよみ :
「でも、だいじょうぶじゃないかな……?クラちゃんはもう、何かやらかしたりなんか……しないよ」
天海こよみ :
「むしろ、ぼくがこまった時はまた助けてくれるんじゃないかな……って、ぼくは思うな……?」
澱カシル :
「もうっ!また甘やかしてます!」
「アタシ、クラちゃんさんの口からは何も聞いてませんよ!」
天海こよみ :
「甘やかしてるわけじゃ……。ね、クラちゃん?」 クラの頭を安心させるように撫でる
クラッドカルト :
「……クラ、コヨミがこまること……しないもん」
クラッドカルト :
「やらかしたりとか、しないもん……」 若干不貞腐れたように言う
澱カシル :
「………はあ。態度は気に食わないですけれど。」
「今日はこれくらいにしてあげます。わたくしもレッスンのつもりで来ましたので。」
天海こよみ :
「そっか、レッスンだったんだね……。いいな……ぼく達はまだけんさだから……」 羨ましそうに
澱カシル :
「こよみちゃんならきっとすぐ追いつけますよ!」
「………ところで、アイドル活動に戻るとなったら、クラちゃんさんはどうするのですか?」
クラッドカルト :
「どうするって、なにが……?」 質問の意図が分からないようで、小首を傾げる
澱カシル :
「まさか、こよみちゃんに取り憑いたまま、またアイドル活動するつもりですか……?」
「それがこよみちゃんとミツキちゃんを苦しめることになったのに……?」
クラッドカルト :
「だ、だって……」 しゅんとして
天海こよみ :
「カシルちゃん……」
天海こよみ :
「ぼくは元から、そのつもりだよ」
天海こよみ :
「クラちゃんがいてもかんけいないような、最高のアイドルになるってきめたから……」
澱カシル :
「こよみちゃん……でも……」
天海こよみ :
「ごめんね……カシルちゃん達には、まだいろいろめいわくかけちゃうかもしれないけど……」 少し申し訳なさそうにして
澱カシル :
「い、いえ!こよみちゃんが謝ることでは!」
澱カシル :
「あなたはこよみちゃんに庇ってもらってばかりですね。人になるつもりなら覚悟が足りてません。」
クラッドカルトに向き直る
クラッドカルト :
「……?クラ、ひとになるつもりなんてないよ……?」
澱カシル :
「……? なら何故こよみちゃんの姿を……」
クラッドカルト :
「クラは、コヨミといっしょにいたいだけだもん……!」 コヨミに抱き着いてもちもち頬擦りする
天海こよみ :
「わ、クラちゃん……」
天海こよみ :
「う、うーん……なんでだろうね……。どうしてぼくのすがたなのかは、ぼくにもよく分からないかな……」 頬擦りされながら
澱カシル :
こよみという親に、愛情を満たされる姿を見て更に怒りが湧く。
ただ存在を肯定されて生きられるのなら、どれほど良いものか。
今のクラッドカルトはこよみという防波堤に守られているだけだ。
そんな考えでカシルはレネゲイドを煮詰める。
しかし、この怒りはカシル自身が荒波でもがきながら存在意義を探していることに対する怒りへの転嫁に過ぎないことをカシルは自覚していない。
澱カシル :
「やっぱりわたくしは貴方のことが憎い。」
「貴方の罪深さを正しく理解させないといけませんね。」
「結局、最初に言った通りです。」
澱カシル :
「こよみちゃんの言葉を信頼してないわけではありませんよ。」
「でも……貴方の心はもっと深く、沈むべきです。」
クラッドカルト :
「カシル……」
天海こよみ :
「……あのね、カシルちゃん。クラちゃんは……」 と、またクラを庇おうとしたところで、
支部員 :
「こよみちゃーん、クラちゃーん。待たせてごめんね。準備が出来たから、こっちの部屋に来てもらっていいー?」
GM :
部屋の奥の扉が開き、支部の職員が姿を見せる。
天海こよみ :
「あ……!う、うん……!」
澱カシル :
「あ、お疲れ様です!」
鬱屈とした雰囲気は一掃され、職員に明るく挨拶を交わす。
天海こよみ :
「ごめん、カシルちゃん……。ぼく達、行かないと……」
澱カシル :
「うん、またね。こよみちゃん!」
「その、強く当たってごめんね。クラちゃんさんのこと、大事だと思ったから……」
天海こよみ :
「ううん、だいじょうぶだよ……ありがとう、カシルちゃん」 ソファから立ち上がって
天海こよみ :
「じゃあ、また……ね……!いこ、クラちゃん……!」
クラッドカルト :
「……うん」
澱カシル :
「………またね、クラちゃんさん。」
一応、クラッドカルトにも声をかける。
クラッドカルト :
「…………」 黙って、小さく手を振る
GM :
こよみはクラッドカルトの手を引いて、職員の方へと向かって行った。
GM :
シーン終了。
GM :
HOロイス:クラッドカルトの感情を報告してください。
澱カシル :
親近感/憤懣のN!
同族嫌悪が酷くなりました
GM :
しょうがないね!
GM :
それと、今回はシナリオの都合上オープニングから購入判定が可能です。何かあるかな
澱カシル :
回復は確か要らないんだよね
GM :
そうね!
澱カシル :
特に何もない、と考えていたのだけど、ビワちゃん用に銃買ってもいいかもと今考えた
GM :
今すぐだとアレなら、あとで今回の分も纏めて振るとかでも良いよ
澱カシル :
リクエストあったので今振れる!
澱カシル :
ショットガン(スラッグ)買います
GM :
了解、どうぞ!
澱カシル :
5dx+5>=11 装備補正あり(5DX10+5>=11) > 6[1,4,5,6,6]+5 > 11 > 成功
澱カシル :
いよっし!
GM :
ゲットだぜ!
GM :
では渡すのはまた後でやってもらうとして、次のシーンへ行きましょう
Scene02 異なる日常
Scene Player:琵琶坂藍依
GM :
ビワちゃんのオープニングです。時系列は前回のシーンから一ヵ月以上後になります。
登場侵蝕のダイスをお願いします。
琵琶坂藍依 :
1d10+38(1D10+38) > 9[9]+38 > 47
住宅街
GM :
十月十七日。
GM :
その日は、高校の中間試験の最終日だった。
GM :
午前中で学校は終了し、藍依は現在帰路についている。
GM :
その時不意に、横断歩道の向こう側から賑やかな声が聞こえて来た。
中学生達 :
「じゃあね、こよみちゃん!」「また後でねー!」
GM :
白いセーラー服を着た中学生の女子の集団だ。
GM :
彼女達は別れ道に立つ一人の少女に笑顔で手を振りながら、道の先へと向かっていく。
GM :
そして、藍依はその少女の名前と姿を知っている。
天海こよみ :
「う、うん……!またあとで……!」
GM :
天海こよみ。
GM :
クラッドカルトに憑りつかれた不運な少女で、MARiNE SNOWのメンバーの一人。
GM :
ずっと引きこもりで不登校だった彼女は、心境に変化があったのか、今月の初め頃から学校に通い始めていた。
GM :
今別れていった中学生達は、おそらくこよみのクラスメイトなのだろう。
GM :
こよみも笑顔で小さく手を振り返しているあたり、上手く学校生活を送れているようだった。
琵琶坂藍依 :
「…………」パタパタと立ち去る少女らの後ろ姿をジッと見送ると、残った一人の方へゆっくりと歩みを進める。
琵琶坂藍依 :
「あれ、コヨミ? いま帰るところ?」たったいま見つけたような素振りで、真新しいセーラー服に身を包んだ少女に、天海こよみに声を掛ける。
天海こよみ :
「あ……藍依ちゃん……!」 振り向いて
天海こよみ :
「うん、そうだよ……藍依ちゃんも、帰り……?」
琵琶坂藍依 :
「そう。今日はテストの最終日で、早めに学校が終わったんだ」
天海こよみ :
「そうなんだ……。じゃあ、いっしょ……だね」
琵琶坂藍依 :
「一緒……一緒、ね……」
琵琶坂藍依 :
「それより、こよみが通いだしたっていう学校、ウチの学校の近くだったんだね?」
天海こよみ :
「うん……そうだったみたい。ぼくの学校は、あっち……だよ」 来た道を振り返って指差す
琵琶坂藍依 :
「ああ、あの学校。プロデューサーも一緒に迎えに来やすいし、仕事的にも丁度いいかもね」
天海こよみ :
「そうかも……」
天海こよみ :
「……プロデューサーが学校にむかえにきたら、ちょっとみんなにびっくりされそう、だけど……」
琵琶坂藍依 :
「それなら、学校から離れたところに呼び出すといいよ……私はそうしてる……」
天海こよみ :
「そうなんだ……わかった。そうするね」 素直に頷く
琵琶坂藍依 :
「うん、そうして。あのヘンな仮面とスーツ、正装とか言って脱ぎたがらないから、あっちにどうにかしてもらおうと考えるだけムダだし」
琵琶坂藍依 :
「……あれ? そういえば、クラは一緒じゃないんだね?」
天海こよみ :
「クラちゃん?クラちゃんなら……」
クラッドカルト :
「よんだー?」 《ファーコンタクト》を使い、こよみの傍に現れる
琵琶坂藍依 :
「わっ」少しビックリして
琵琶坂藍依 :
「……ああ、そういえば、コヨミの中から好きに出てこれるとかって話だったっけ? RBに馴染みがないから、イマイチまだ慣れないな」
クラッドカルト :
「うん!」
天海こよみ :
「そうなの……こうやって、ぼくのすがたの分身?を出せるみたいで……」
天海こよみ :
「……って、か、かってに出てきちゃだめだよ、クラちゃん……!ここ、通学路なのに……!」
クラッドカルト :
「え?でもアイいがいだれもいないよ?」
天海こよみ :
「そ、そうだけど……!」 慌てて周りを確認している
琵琶坂藍依 :
「一見して大丈夫そうでも、どこから誰が見ているか分からないから、いつでも気をつけるに越した事はないんだよクラ」
クラッドカルト :
「……そっか……ごめん……」 子供のようにシュンとする
琵琶坂藍依 :
「そんなに落ち込むコトはないよ、私に呼ばれたと思って出てきてくれたんだよね」
琵琶坂藍依 :
「そうだな、こういう時は次から……」自分の胸ポケットに差してあるシャープペンシルを手に取ると、
琵琶坂藍依 :
≪天使の外套≫を使用。パチンと指を鳴らした瞬間、手に取ったシャープペンシルは光に包まれ、 藍色の花弁が美しい一輪の菖蒲に早変わりする。
琵琶坂藍依 :
「────こういう風に、私がホログラムで誤魔化してあげるよ」菖蒲の造花をクラに差し出す。
クラッドカルト :
「わあ……!」 目を輝かせながら受け取って
クラッドカルト :
「ありがと、アイ……!クラ、アイのことだいすき!!」 嬉しそうに笑って、藍依に抱き着く
琵琶坂藍依 :
「わっ」いきなり抱き着かれるのも慣れないが、クラの軽い体を抱きとめて。
琵琶坂藍依 :
「……ふふ、どういたしまして」優しく微笑むと、そのまま頭を撫でる。
クラッドカルト :
「えへへ……」
天海こよみ :
「よかったね、クラちゃん……」 微笑ましそうに見守って
琵琶坂藍依 :
「コヨミもハグしておく?」冗談めかして
天海こよみ :
「えっ……!?ぼ、ぼくは……いい、よ……?」 あるかもしれない人目を気にして、少し恥ずかしそうに
琵琶坂藍依 :
「そう、ちょっと残念」わざとらしく肩を竦める
琵琶坂藍依 :
コヨミとは、もうそれなりの付き合いになる。自分とハグしたいだなんて言わないことは分かっていた。だが、もしそうしたいと口にしたら、私はどうしていただろうか。
琵琶坂藍依 :
分からない。何故なら、私はコヨミに対して────
琵琶坂藍依 :
「……それはともかく、このあと二人は何か用事とかある?」
天海こよみ :
「え?あ、うん……このあとは……」
クラッドカルト :
「ともだちとあそびにいくんだよ!」 こよみの台詞に続くように言う
琵琶坂藍依 :
「……へえ、友達と? さっきのあの子たち?」
天海こよみ :
「う、うん……そうなの……」
天海こよみ :
「同じクラスの子達で……今日でテスト、おわりだから……」
天海こよみ :
「ごはんたべたあと、また集まろうって……」 指をいじって、少しだけ照れ臭そうに言う
琵琶坂藍依 :
「そっかそっか、もう友達が出来たなんて凄いね?」
天海こよみ :
「そ、そんなこと……」
天海こよみ :
「クラちゃんの力もあるから、すごいってわけじゃないんじゃ……ない、かな……?」
琵琶坂藍依 :
「もし切っ掛けがクラにあったとしても、そこから友達って関係になるか、その関係が続くかどうかは、コヨミ自身の力じゃないかな? 違う?」
天海こよみ :
「それは……そう、かも……」
天海こよみ :
「みんな、いい子だから……ちゃんと友達でいたいなって、思うし……」
クラッドカルト :
「だからこのあとも、いっしょにあそびにいくんだもんね……!」
天海こよみ :
「うん……」 小さく頷く
琵琶坂藍依 :
「…………」
琵琶坂藍依 :
「ああ、クラはどうするの? その友達には、もう紹介してるの?」
天海こよみ :
「そんな……しょうかいなんて出来ないよ……!」
天海こよみ :
「みんな、オーヴァードじゃないと思うから……。ほんとはしょうかいできるなら、したいけど……」
琵琶坂藍依 :
「そっか、まだ一般人として振る舞うのはムリそうだもんね……」ついさっき街中でエフェクト行使した様子を思い出し
天海こよみ :
「うん……見た目もぼくそっくりだしね……」
天海こよみ :
「たぶん、ふたごだと思われちゃうんじゃないかな……」
琵琶坂藍依 :
「双子だと思われる分には、そこまで問題にはならなさそうな……や、どの学校に通ってるのかって話になって、すぐボロが出そうだね……」
クラッドカルト :
「クラ、コヨミといっしょのがっこうかよってるよ?」 不思議そうに
琵琶坂藍依 :
「一緒に通ってるって言っても、生徒として在籍してる訳じゃないんでしょ?」
クラッドカルト :
「そうだけど、かよってるもん。コヨミといっしょにじゅぎょううけてるもん」
琵琶坂藍依 :
「うう~ん、クラの言いたいことは分かるんだけど……この受け答えを同じ学校の友達の前でしたら、流石にアウトだな~……」
天海こよみ :
「そうだね……」
天海こよみ :
「いつか、クラちゃんのことかくさずにいられる日がくるといいんだけど、ね……」
琵琶坂藍依 :
「それはこれからのクラの頑張り次第、かな」くっついていたクラを離して
クラッドカルト :
「え~……?」
クラッドカルト :
「でもクラ、べつにしょうかい……?されなくてもいいかなあ」
クラッドカルト :
「だって、アイもいるし、ミツキたちもいるし……」
クラッドカルト :
「それに、コヨミがたのしそうにしてるだけでクラはいいもん!」 こよみにくっつく
琵琶坂藍依 :
「ふふ、そっかそっか」
琵琶坂藍依 :
「クラがいいなら、私がとやかく言うことじゃないんだけどさ」
琵琶坂藍依 :
「……けど、友達は多い方がいいよ、きっとね」
クラッドカルト :
「そうなの?」
琵琶坂藍依 :
「うん、沢山の友達と遊ぶコヨミの様子を、傍で見ていれば分かるハズ」
クラッドカルト :
「うーん……?」 こよみを見る
天海こよみ :
「そう、だね……少ないよりは、多い方がいいのかも……」
天海こよみ :
「……藍依ちゃんは、友達って多いの?」
琵琶坂藍依 :
「え……? ああ……」
琵琶坂藍依 :
「どうだと思う?」笑顔を作って聞き返す
天海こよみ :
「え? ど、どうだろ……?」
天海こよみ :
「わ、わかんない……」 困ったようにあわあわしている
琵琶坂藍依 :
「分かんないか」
琵琶坂藍依 :
「答えは……、うう~ん、そうだな……」
琵琶坂藍依 :
「親友みたいな人は、もういないかな」
琵琶坂藍依 :
「私さ、少し前まで通っていた学校が、いきなり火事でなくなって……こっちの学校に転校してきたから……」
琵琶坂藍依 :
「この頃はアイドル活動で忙しかったコトもあって、友達付き合いする余裕なかったんだ」
天海こよみ :
「……。そうなんだ……」
クラッドカルト :
「……?」
クラッドカルト :
「じゃあ、アイはともだちすくないってこと?」
琵琶坂藍依 :
「そう、当たり。でも、そういうコトって普通、ストレートに言ったらダメなんだよ?」苦笑い
クラッドカルト :
「そうなのー?」 全然悪気がなさそうに
琵琶坂藍依 :
「そうなの。クラは私達の常識も、これから身に着けていかなきゃね」平穏に振る舞う
天海こよみ :
「そうだね……」 小さく笑ってクラの髪を撫でる
クラッドカルト :
「ねえねえ、それよりねー」 あんまりちゃんと聞いてないように続けて
クラッドカルト :
「アイもともだちすくないなら……」
クラッドカルト :
「これからいっぱいふえるといいね!」 藍依に無邪気に笑いかける
琵琶坂藍依 :
「…………うん、ありがとう」そうだね、といった同意はせずに笑顔で返す。
クラッドカルト :
「えへへ、どういたしまして!」 満足気に笑う
天海こよみ :
「…………」 二人のやりとりを、静かにジッと見て
天海こよみ :
「ねえ、藍依ちゃん……」 と、言いかけたところで、
クラッドカルト :
「あ!ねえねえ、コヨミー。はやくかえらなくていいの?」
クラッドカルト :
「はやくごはんたべなきゃ、みんなとのまちあわせおくれちゃうよ!」 いきなり思い出したように言う
天海こよみ :
「え?あ……!そう、かも……?」 腕時計を確認して
琵琶坂藍依 :
「ああ、すっかり話し込んじゃったね」
琵琶坂藍依 :
「いきなり呼び止めてごめんね? さ、遅れないように急いだ方がいいよ?」
天海こよみ :
「ううん……!会えてうれしかったから、ぜんぜんだいじょうぶ……!」 首をぷるぷる横に振って
天海こよみ :
「じゃあ、いこっか。クラちゃん」 クラの手を繋ぎ
クラッドカルト :
「はーい」
GM :
《ファーコンタクト》を解除。こよみと手を繋いだ瞬間、クラの姿が、分身が音も無く消失する。
天海こよみ :
「それじゃ、藍依ちゃん……またね……!」 藍依に手を振って
琵琶坂藍依 :
「うん、また」手を振り返す
GM :
こよみは藍依に背を向けると、ぱたぱたと小走りで去って行った……。
琵琶坂藍依 :
「…………」
琵琶坂藍依 :
こよみの背中を見送りながら、みんなと初めて顔合わせした日のことを思い返す。
琵琶坂藍依 :
あの日、私はみんなに言った。
琵琶坂藍依 :
────同じグループの仲間になった以上、隠し事するつもりないから。
琵琶坂藍依 :
「はあ、まったくどの口が……」何度も漏れかけていた溜息を零す。
琵琶坂藍依 :
「この口、か……」その口元に手で触れる。
GM :
では、藍依が一人呟いたところでシーン終了。
GM :
HOロイス:天海こよみの感情を報告してください。
琵琶坂藍依 :
慈愛/嫉妬のP表です!アイドルとしての才能に溢れ、また日常を謳歌する彼女に対して、どちらも持ってないビワは嫉妬してます。が、P感情が勝ってます。
GM :
嫉妬のビワ!仕方ないね、Pが勝ってるだけえらい
GM :
それと調達したいものがあれば購入判定が可能です。なにかあるかな?
琵琶坂藍依 :
スニーキングスーツを調達したいです!隠密型なので!!
GM :
そんなものもあった、ではどうぞ
琵琶坂藍依 :
1dx 難易度10(1DX10) > 9[9] > 9
琵琶坂藍依 :
1足りないし財産点もない。貧乏アイドル。
GM :
財産点がないなら店じまいだよ!
GM :
では次のシーンへ行きましょう
Scene03 海に近い少女
Scene Player:澱カシル
澱カシル :
1d10+51(1D10+51) > 4[4]+51 > 55
GM :
では、ここからミドルフェイズになります。
ライブハウス
GM :
十月二十日。
GM :
今日は十八時半から、MARiNE SNOWのライブが行なわれていた。
GM :
ライブハウスの照明がまばゆく輝き、カラフルなスポットライトが次々とステージを照らし出す。
GM :
カシルは他のメンバー達と共に歌い、踊り、ステージを盛り上げる。
GM :
アイドル達のパフォーマンスに観客達は歓声を上げ、強烈なエネルギーが空間を満たしていた。
GM :
閃光のような時間が過ぎていく中、カシルはある一人の観客を見つける……。
GM :
熱狂的な観客達の後方、少し離れた場所に、一人の少女が静かに佇んでいた。
GM :
青い海を広げたような長いストレートの髪が、暗闇に溶け込むように揺れる。
GM :
色素の薄い赤い瞳はステージの輝きを冷静に見つめているが、どこか遠くを見ているような、物憂げな表情をしている。
GM :
観客の間に漂う熱気とは対照的に、彼女の周りだけは静寂が漂っているようだった。
GM :
まるで彼女だけが別の世界からこのライブハウスに迷い込んだかのような、そんな印象。
GM :
カシルはその少女を見て、ある人物が頭の中で重なる。
GM :
青い髪、赤い瞳の奥に潜む微かな憂い、現実から離れたような儚さを感じさせる雰囲気……。
GM :
彼女の姿は、天海こよみとどこか似ていた。
GM :
だが、彼女の身長はこよみよりも10cm以上は高く、年齢も高校生程度に見えた。
GM :
黒い衣装がぴったりとフィットするスタイルの良い身体も、まだ発育途中なこよみとは大きくかけ離れている。
GM :
それなのに、カシルは何故か彼女からこよみに近いものを感じてしまう。
GM :
もしもこよみがもっと成長したら、もしくはこよみに姉がいたとすれば……そんな風に思うかもしれない。
澱カシル :
「(………? あの方、今まで見かけた事がないような……?)」
澱カシル :
「(こよみちゃんにはお姉さんは居ないはずですし、お母さんはもう……)」
澱カシル :
「(他人の空似、でしょうか。)」
そこまで考えて、観客に向ける笑みに自嘲の色が混じる。
自分だって他人の顔を借りただけの怪物だ。
雰囲気が似ているだけなんておかしくもないこと。
澱カシル :
「(今はライブに集中!)」
そう思考を切り替えるが、視線が彼女で時々止まってしまうのはやめられずにいた。
??? :
「…………」
GM :
少女は主にこよみを眺めていたが、カシルの視線に気づきそちらを見る。一瞬、目が合った。
澱カシル :
一瞬の気まずさ。
だが、アイドルなのだから目が合うのは当たり前。
自分に言い聞かせて、突き返すように目線を切ってターンする。
GM :
────やがて、ライブが終了する。
GM :
こよみに似たその少女は、最後まで後列で静かにライブを鑑賞していた。
GM :
その後、いつも通りに特典会が始まった。
GM :
特典会はオタクにとって、推しとの距離が縮まる大事な時間だ。
GM :
アイドル達は特典券を購入したオタクと一人ずつ会話したり、チェキを撮ったりしている。
GM :
カシルも応援してくれるオタク達と交流し、慌ただしくも楽しい時間を過ごしていた。
スタッフ :
「次の方、どうぞー」
GM :
列を管理するスタッフが、次のオタクをカシルの前に案内する。
??? :
「…………」
GM :
そこに現れたのは、さっきの少女だった。その手には、カシルの特典券が握られている。
澱カシル :
「あっ、さっきの……! 今日初めて来てくれた方ですよね?」
??? :
「え……。あ、はい……」
??? :
「初めて……って、分かるんです……ね?」 驚いたようにカシルを見る
澱カシル :
「ふふ、ちゃんと皆のことを視てますから!」
澱カシル :
「マリスノのライブに来てもらえて嬉しいです!ありがとうございます!」
??? :
「い、いえ……どういたしまして……?」
澱カシル :
「えっと……その。アタシのところに足を運んでもらったあなたにこんな事言うのも変なんですけど……」
澱カシル :
「こよみちゃんじゃなくてアタシなんですね?」
「こよみちゃん合わせっぽいファッションだったので、ライブ中はこよみちゃんファンかと!」
??? :
「こよみちゃん……」
天海こよみ :
「……!…………!!」 長蛇の列を前に、オタクよりも緊張しながら会話しているこよみ
澱カシル :
「そうです、そっちの……ちっちゃくてふわふわした子です!」
??? :
「あ、はい……それは分かります、けど……」
??? :
「合わせ、っぽい……ですか?わたし……」 不思議そうにこよみを見ている
澱カシル :
「髪色とかカラコンとか服装とか、それっぽいな〜!と思ってました! たまたまですか?」
「よかったら、たまたまついでにこよみちゃんもよろしくお願いします!」
??? :
「そうでしょうか……わたしには、あまりそうは思えませんでしたけど……」
??? :
「えっと……よろしく、されまし……た?」 小首を傾げて
澱カシル :
「ふふ、よろしくしました!」
??? :
「…………」
??? :
「あの……。あなたのお名前は……?」 カシルに向き直って
澱カシル :
「カシルです! 澱カシルって言います!」
「覚えてくれたら嬉しいな!」
彼女から渡されていた特典券を取り出して、書かれた名前を見せる
??? :
「……あ」 特典券を見て
??? :
「そ、そう……でしたね、書いてましたね……すみません、カシルさん……。もう、覚えました」 恥ずかしそうに目を泳がせる
澱カシル :
「あっ、そんな!気にしないで!」
「ほら、チェキ撮りましょう、チェキ!」
??? :
「チェキ……?あの、カメラ……ですか?」
澱カシル :
「はい! 今日の思い出を残しちゃいましょう!」
??? :
「あの……わたし、こういうの初めてでよく分からないのですが……」
??? :
「……わたしも、一緒に撮るんですか……?」
澱カシル :
「もちろん!ツーショットですよ!」
??? :
「もちろんなんですね……。わかりました……」 おそるおそる、カシルの隣へと近づく
??? :
「……ツーショットって、どうすればいいんですか?」
澱カシル :
「こう……ギュッと肩寄せて……このポーズがいいかな?」
二人の手で大きなハートを象ってみる
??? :
「……!?わ……」 少し照れたようにぎこちなくハートを作って
??? :
「い、いい……ですが、なんだか……大丈夫なんでしょうか……」
澱カシル :
「大丈夫、楽しんじゃって!」
「お願いしまーす!」
スタッフに合図を送る。
スタッフ :
「はーい、行きますよー」 と、スタッフがカメラを構え
GM :
ぱしゃ、とシャッターが切られる。写真はすぐにプリントされて、軽く乾かされた後にカシルへと手渡された。
GM :
……写真には、笑顔のカシルと、まだ名前も知らない少女が少し照れたような顔でハートを作っている姿が綺麗に映っている。
澱カシル :
「(……異常、なし。変なモノを写さずチェキを撮られるのも慣れてきましたね。)」
チェキを確認する。
澱カシル :
乾いたチェキにさらさらと流麗な草書でサインを書き加え、少女へ手渡す。
??? :
「あ、ありがとうございます……」 受け取る
澱カシル :
「どういたしまして! 大事にしてね!」
??? :
「は、はい……」 チェキを眺めて
??? :
「……あ、あの……」 顔を上げ、カシルの目を見て
??? :
「ごめんなさい、伝えるのが遅くなったんですけれど……」
??? :
「わたしは、海里……です。名前……」
澱カシル :
「海里ちゃん! 素敵なお名前です! それに海が入ってるのもMARiNE SNOWと縁がある感じで……ふふ、こうして海里ちゃんが来てくれたのも運命かもしれませんね?」
海里 :
「運命……ですか?」
海里 :
「……そうなのかも、しれませんね。ふふっ……」 名前を褒められて嬉しかったのか、小さく微笑む
海里 :
「カシルさん……ありがとうございました」
海里 :
「ライブも、チェキも……楽しかったです」
澱カシル :
「こちらこそありがとう! 海里ちゃんにマリスノを知ってもらえて感謝です!」
海里 :
「いえ、そんな……」
海里 :
「……いい思い出になりました。それじゃ……」 そう言って、チェキを両手で大事そうに持って去っていく
澱カシル :
「また会いましょうね!」
両手を愛らしく振って海里を見送る
GM :
では、カシルが新しいファンを見送ったところでシーン終了。
GM :
ロイスの取得と感情変更が可能です。
澱カシル :
海里ちゃんに取ろう!
感情はちょっとだけ待って!
GM :
待つわよ
澱カシル :
幸福感/猜疑心のPで!
ファンになりそうな人が増えた!嬉しい!
なんかちょっと変わった人かも……?って感じで
GM :
了解!
system :
[ 澱カシル ] ロイス : 3 → 4
Scene04 潮風の気配
Scene Player:琵琶坂藍依
GM :
時系列は前回のシーンから二日後です。
GM :
登場はPC二人共。登場侵蝕のダイスをお願いします。
琵琶坂藍依 :
1d10+47(1D10+47) > 2[2]+47 > 49
澱カシル :
1d10+55(1D10+55) > 3[3]+55 > 58
住宅街
GM :
十月二十二日。
GM :
放課後、藍依は一人でUGN芸能支部へと向かっていた。
琵琶坂藍依 :
コツコツ。人気の無い小道を歩いていく。
琵琶坂藍依 :
琵琶坂藍依は、今日のようにプロデューサーの迎えがない日は必ず、同じ人通りの少ない道を選ぶコトにしていた。
琵琶坂藍依 :
……炎上してからの習慣と言うべきか、リスクヘッジと言うべきか。まだ『あのスキャンダル』を覚えている人がいるかもしれないと危惧してのことだ。少し遠回りになるが、背に腹は代えられない。
澱カシル :
ふと、藍依の視界の端、寂れた商店の前で屈んだ人影が目に付く。
頭に付いたピンクのリボンには見覚えがあった。
澱カシル :
にゃあん、と人影の足元から黒猫が駆け出してきて、藍依の目の前を横切ってどこかへ去っていく。
猫に反応したのか、カラスが鳴きながら飛び回る。
澱カシル :
「あ、藍依ちゃん!」
人影は立ち上がると、声をかけてくる。
琵琶坂藍依 :
「うわ、不吉……けど、たまたまカシルと会えた分の幸運で相殺かな……」
琵琶坂藍依 :
「こんにちは、こんなところでどうしたのカシル?」
澱カシル :
「いえ、黒猫さんがいたのでちょっとお話をしてただけです!」
琵琶坂藍依 :
「猫と、お話?」首を傾げる
琵琶坂藍依 :
「なんだか一度、そういう人と共演したコトあったな……動物と話せる男性、サンジ……」
澱カシル :
「あ、ほんとにお話できたりはしないですよ!?」
「そういう人も居ますけれど、アタシは何となくシンパシーというか気持ちが伝わる感じがするだけで……」
琵琶坂藍依 :
「ああ、会話ができる訳じゃないんだ、それなら分かる気がするな」
琵琶坂藍依 :
「違う言語のヒトとの国際コミュニケーション、みたいな」
澱カシル :
「そうかな……? そうかもしれません!」
琵琶坂藍依 :
「私は今から事務所だけど、カシルは?」
澱カシル :
「アタシも事務所です! 気分転換に行く道を変えてみたら、あまり来ない所に来ちゃったんです。」
琵琶坂藍依 :
「迷子にならないうちに見つけられてよかったよ……」
澱カシル :
「藍依ちゃんはこの道をよく通るんですか?」
琵琶坂藍依 :
「ああ、うん。事務所に用事がある日はね」家路は別なんだけど、と付け足す。
澱カシル :
「ちょっと遠回りですけど……静かで落ち着いてる感じが良いですね!」
琵琶坂藍依 :
「そうだね、落ち着いてる方が好きって言うのは、人前で歌って踊るアイドルらしくはないかもしれないけど」
澱カシル :
「そうですか? アタシも割と好きですよ?事務所の倉庫とかも落ち着くのでよく居ますし……」
琵琶坂藍依 :
「ええ……? 倉庫に……?」
澱カシル :
「はい! アタシが見当たらない時は大抵そこだと思いますよ!」
琵琶坂藍依 :
「倉庫まで探しにって……かくれんぼじゃないんだから……」
琵琶坂藍依 :
「まあ、分かったよ、覚えておく。変わってるんだね、カシルは」
澱カシル :
「…………。そうですね。」
「変わっていない子になるのは、難しいですから。」
琵琶坂藍依 :
「たしかに普通って案外、難しいのかもね」
琵琶坂藍依 :
「私も世間一般の"普通"とは程遠いし……ああ、そういえば、この前のクラは酷かったな……」
澱カシル :
「ああ、クラッドカルト……」
「前に少しだけお伝えした通り、わたくしは人間ではありませんから。」
「努力はしていても、分からないコトばかりです。」
澱カシル :
「………そして。わたくしがこんなに努力している横で、無邪気に振る舞うクラッドカルトは……」
「好きには、なれないかもしれません。」
琵琶坂藍依 :
「えーっと、私達にそっくりだから忘れがちになっちゃうけど、二人ともレネゲイドビーイング?なんだよね?」
琵琶坂藍依 :
「みんなの前でもギクシャクしているコトがあるけど、同種なら理解しあえるモノじゃないの?」猫や鴉よりよっぽど話が通じるじゃない、と尋ねる。
澱カシル :
「人間同士なら、みんな仲良く出来るのですか?」
「それならSeventh Heavenはどうして──」
GM :
カシルがそう言った瞬間だった。
GM :
突然、藍依とカシルは《ワーディング》の気配を感じとる。
GM :
だが、発生源はここではない。少し離れた場所、西の方角から気配を感じる。
GM :
それだけならば時々あることだ。別組織のオーヴァード同士や、ジャームが交戦しているのかもしれない。
GM :
しかし、二人はこのワーディングの感覚に覚えがあった。
GM :
海の傍にいるかのように潮風の匂いがするワーディング────これは、天海こよみの力だ。
GM :
以前、らみぃどらいぶ!との戦闘時にこよみが使ったものと同じだと、二人は思い出せるだろう。
琵琶坂藍依 :
「────このワーディング……!!」
澱カシル :
「はい、こよみちゃんの香りです……!」
琵琶坂藍依 :
「きっと誰かと戦ってる……! すぐ救援に向かおう……!!」
澱カシル :
あ、一応データ上では買ったショットガンビワちゃんに渡しておこうね
琵琶坂藍依 :
ありがたく受け取って装備しましょう!
GM :
了解了解
琵琶坂藍依 :
では、端末から支部の方に連絡しながら、現場に急行しますよ!
GM :
了解です、ではここでシーン終了。
Scene05 空を隠す海の霧
Scene Player:澱カシル
GM :
登場はPC二人とも。
GM :
登場侵蝕のダイスをお願いします。
琵琶坂藍依 :
1d10+49(1D10+49) > 10[10]+49 > 59
澱カシル :
1d10+58(1D10+58) > 8[8]+58 > 66
中学校 校門前
GM :
藍依とカシルはワーディングの発生地へと辿り着く。
GM :
そこはこの町の中学校で、こよみが通っている学校だった。
GM :
よくこよみから学校の話を聞いていた二人は、校門の表札に刻まれた学校名に聞き覚えがあるだろう。
GM :
今は下校時間のため、校門は開かれている。
GM :
その向こうにある校庭には、部活動中だったであろう非オーヴァードの生徒が数人程、気絶して倒れているのが見えた。
GM :
ワーディングの使用者、こよみの姿はここからは見えない。おそらく校舎の中にいるのだろう……。
澱カシル :
「どうやら建物の中のようです、急ぎましょう藍依ちゃん!」
琵琶坂藍依 :
一般生徒が息をしている様子を一瞥した後、こくりと頷いて走り出す。
GM :
では二人が学校の敷地内に足を踏み入れたところで、
GM :
突然、目の前の昇降口の扉が開かれた。
GM :
今この学園は、オーヴァード以外を行動不能にするワーディングの結界の中。この場で動けるのはオーヴァード以外あり得ない。
GM :
現れるのは、敵か味方か……。
GM :
二人の間に一瞬緊張が走るが、扉から飛び出してきた者はあまりにも見慣れた姿をしていた。
クラッドカルト :
「アイ!カシルー!!」
GM :
制服姿の天海こよみ────いや、クラッドカルトだった。姿は同じだが、呼び方やこよみよりも幼い言動ですぐに分かるだろう。
澱カシル :
「クラッドカルト……これはどういう事ですか?」
問い詰める、という程ではないが有無を言わせぬ口調で説明を要求する。
クラッドカルト :
「コヨミがへんなやつらにおそわれてるの!!たすけて!!」 二人の前まで辿り着いて
琵琶坂藍依 :
「ここまで助けを求めに来たんだね? わかった、すぐコヨミの元まで案内して!!」
クラッドカルト :
「う、うん……!コヨミにいわれて……」
クラッドカルト :
「こっちだよ、ついてきて……!」 校舎の方を指差す
澱カシル :
クラッドカルトは嫌い、とは言っても有事の友達の方がはるかに大事だ。
ひとつ頷くと、クラッドカルトの後にぴったり続く。
琵琶坂藍依 :
カシルから受け取ったマスケット銃を構えて、同じくついていこう。
GM :
では、クラッドカルトが二人を案内しようとした瞬間。
GM :
────突然、彼女の胸から刃が生えた。
クラッドカルト :
「あ、ぇ……?」
GM :
クラッドカルトが、自身を貫く刃を見下ろす。
GM :
その背後には一人のオーヴァードが立っており……
GM :
その姿に、カシルは見覚えがあった。
海里 :
「…………」
GM :
それは一昨日、MARiNE SNOWのライブに来ていた少女……海里だった。
GM :
彼女は手に持った剣で、クラッドカルトの体を後ろから貫いている。
澱カシル :
「…………海里、さん」
琵琶坂藍依 :
「クラ……!? クラ……!!」後ろにいる女のコトなど気にも留めず、叫ぶ。
澱カシル :
「藍依ちゃん……! 近づいては駄目……!」
動揺する藍依を制止する。
澱カシル :
「何を……しているのですか? 貴女の突き刺したソレは害虫とはいえ、マリスノのメンバーが生かすと決めたモノ。」
澱カシル :
「説明が無ければ……わたくしは貴女を敵とみなさなければいけなくなります。」
琵琶坂藍依 :
「説明なんて悠長なコト言ってる場合……!? ヒトを刺すことに正当な理由なんて、そんなのある訳……!!」
澱カシル :
「落ち着いてください。アレはヒトではないので。」
「それに……彼女は。……この状況は何かの誤解かもしれませんから……。」
海里 :
「…………」 クラの体から、静かに剣を引き抜く
クラッドカルト :
「う…………」
GM :
一撃を受けたことで、《ファーコンタクト》の効果が解除。
GM :
脆い分身であるクラッドカルトの体は、音も無く消滅した。
海里 :
「……邪魔、だったので」
海里 :
「今、増援が来られるのは……困りますから」 カシルに返事をする
澱カシル :
「海里さん……こよみちゃんに何か、するつもりなのですか」
落ち着きを下回り、冷たい泥のような気配がカシルから漏れ出る。
「マリスノのライブを、特典会を楽しんでいた貴女から、そんな言葉は聞きたくありません……」
澱カシル :
「否定、してください」
海里 :
「……ごめんなさい。クラッドカルトが必要だから……否定できません」
海里 :
「だけど、あなた達とは、戦うつもりはないんです……」
海里 :
「なので、お引き取り願えると……嬉しいです……」
澱カシル :
「………ごめんなさい、わたくし達も引き下がれません。」
「クラッドカルトは嫌いですが……居なくなって欲しい訳ではないので。」
琵琶坂藍依 :
「(さっきのクラは分身……宿主のコヨミが無事なら無事、って話だったはず……)」
琵琶坂藍依 :
「ついさっき、クラは『コヨミが襲われてる』って言ってた、こうしてモタついてるヒマ、私達にはないんだ」
琵琶坂藍依 :
「3秒だけ待つ、こちらこそ退いてほしい」
琵琶坂藍依 :
「────もし出来ないなら、押し通らせてもらう」
海里 :
「……どうしても、無理そうですね。……分かりました」 二人の様子を、少し申し訳なさそうに見てから、
GM :
そこで突然、《ワーディング》が発動する。
GM :
発生源は校舎の屋上から。目の前にいる海里ではない。
GM :
もう一人仲間がいる────だが、藍依達がいる地上からはワーディングを使ったオーヴァードの姿を確認することが出来なかった。
GM :
何故なら、ワーディングと同時に、周囲に白い霧が立ち込めてきたからだ。
澱カシル :
「こよみちゃん……!」
状況の悪化を感じ、まずは目の前の海里の強行突破を図る。
GM :
カシルが突破しようとしても無駄だった。
GM :
霧は瞬く間に学校全体を包み込み、カシル達の視界は真っ白に染まる。
GM :
お互いの姿も、海里の姿も、全てが霧に覆い隠されていく……!
GM :
と、そんな演出で、謎のオーヴァードが《ワーディング》と同時にオルクスシンドロームのエネミーエフェクト《ラビリンス》を使用します。
GM :
これからこの学校では、シーンに登場できるPCの数が指定した人数に制限されます。
GM :
今回の指定は一人。一人の場合はシーンプレイヤー以外出れなくなるので、ここでビワちゃんはシーンから強制的に退場させられます。
GM :
霧に隠されて領域操作で離れ離れになってしまう感じですね。これについて反応あればRPをしてもらって、特になくてもヨシならそのままシーンが進行します。
琵琶坂藍依 :
「なっ、いきなり霧が……!?」
琵琶坂藍依 :
「カシル、待って……!! 何かマズい、私の手を……!!」完全にお互いが見えなくなる前に、カシルに手を伸ばす。
澱カシル :
「………藍依ちゃん?」
さっきまで感じていた気配を感じなくなり、振り返る。
藍依の声も届かず、手は握られない。
GM :
真っ白な霧に覆い隠された後、カシルは体に浮遊感を覚えた。
GM :
数十秒間、飛んでいるとも落ちているとも分からない奇妙な感覚が続いた後、靴の下から固い感触が伝わる。
教室
GM :
気が付けば霧は消え、カシルは昇降口の前ではなく、学校の教室の中にいた。
GM :
すぐ傍に藍依の姿はなく、他に人の気配はない。
GM :
扉は閉まっており、その先の廊下にも人がいるか分からない。
GM :
そして、逆側の窓の外は白い霧で覆われていて、景色が全く見えなかった。
澱カシル :
「藍依ちゃん……藍依ちゃん!?」
「こよみちゃん……!?」
「海里さん……?」
手当たり次第に名前を呼んでみる。
澱カシル :
「………クラッドカルト。」
呼びかけですらない、呟き。
澱カシル :
「………誰もいない……」
カシルにとって、ずっと当たり前だった孤独が横たわる。
なのに、こんなに心細いと思ってしまう。
澱カシル :
ホラーに出てきそうな状況だが、その点に関してカシルは恐れを感じることは一切ない。
呼びかけが無駄ならばと、教室から出て探索することを試みる。
GM :
扉と窓があるけど、普通に教室の扉から出ていくで合ってるかな?
澱カシル :
そうね! いきなり破壊行動はしないかな
GM :
人として当たり前!では
GM :
カシルは扉を開こうとするが、その扉は“全く”動かなかった。
GM :
鍵が掛かっているような感覚ではない。扉自体が凍り付いたように動かないのだ。
澱カシル :
「………?」
反対側の扉も試すが、当然同じだ。
澱カシル :
「誰もいませんし、こちらで……」
自身に満ちる呪いを視線に込めて、ドアを睨めつける。
普通なら、学校の扉程度は劣化で壊れる呪い。
GM :
では、扉にはヒビすら入らない。異様に感じる程に手応えがないでしょう。
澱カシル :
「変ですね……効かないにしろ何かしらの反発があってもいいはずですが……」
澱カシル :
反転し、次は霧に満ちた窓へ邪視を向ける。
GM :
では、窓も同様に破壊出来ない。この教室、この空間全てが世界から切り取られ、閉じられたように微動だにしない。
澱カシル :
「なるほど……? 教室は見せかけで、本質は閉じた箱ですか。」
「………あまり心地よくありませんね。」
GM :
……そうしてどうすることも出来ず、十分以上が経過した後のことだった。
GM :
また、世界に白い霧が現れる。
GM :
霧は瞬く間に教室を覆い隠し、何も見えなくなってしまった。
澱カシル :
「また、霧……」
特にアテもなく教室を見て回っている途中で、霧に飲まれる。
GM :
シーン終了。
GM :
ロイスの取得と感情変更が可能です。
琵琶坂藍依 :
海里ちゃんに対して既視感/脅威のN表でロイスを取得しますの! こよみちゃんに似てたのは気になるけど、それはそれとして敵として見ている!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] ロイス : 3 → 4
澱カシル :
海里ちゃんのロイスを幸福感/猜疑心のNへ!
アイカツを阻むものは容赦せぬぞ!
GM :
そりゃそうだ、両方了解!
GM :
では次のシーンへ
Scene06 天国を見る少女
Scene Player:琵琶坂藍依
GM :
このシーンの登場はビワちゃんのみです。登場侵蝕のダイスをお願いします。
琵琶坂藍依 :
1d10+59(1D10+59) > 10[10]+59 > 69
教室
GM :
白い霧が世界を隠した後、藍依もカシルと同じ状況に陥っていた。
GM :
奇妙な浮遊感の後、霧が晴れると、藍依は見知らぬ教室に一人でいることに気付く。
琵琶坂藍依 :
「っ……、ここは……?」
琵琶坂藍依 :
「カシル……」空を掴んだ手を見つめ
琵琶坂藍依 :
「すぐ手の届く距離にいたハズなのに……あの白い霧の能力で分断された……?」
琵琶坂藍依 :
「また一人、か」
琵琶坂藍依 :
「……ともかく、すぐ二人と合流しないと、みんなが危ない」
琵琶坂藍依 :
と、急いで教室から出ようとします。
GM :
が、こちらの教室の扉も全く動かない。
琵琶坂藍依 :
「……ビクともしない」
琵琶坂藍依 :
「こんなところで足踏みしてるヒマないのに」
琵琶坂藍依 :
「……ついさっきクラが襲われたときも、白い霧に包まれたときも、私は何も出来なかった」
琵琶坂藍依 :
「私は、無力だ」
GM :
ではそこで、
GM :
突然、教室の隅にあった掃除用具入れがガタガタと物音を立てる。
琵琶坂藍依 :
「────っ!?」ビクっと肩を震わせ、振り返る。
GM :
藍依がそちらを見た直後、掃除用具入れの戸が開く。
GM :
……その中から出てきたのは、一人の少女だった。
GM :
まず、鮮やかな桃色の髪が目に飛び込んでくる。
GM :
久能胡桃のイメージカラーを思い出させるような優しい色合いの髪は、後頭部で丸めて束ねられていた。
GM :
そして、彼女が着ているのは爽やかな印象を与える水色のセーラー服だ。
GM :
この学園に通う生徒なのだろう。制服の上には、柔らかい生地の白いカーディガンを羽織っていた。
GM :
背は藍依よりも小さく、その顔つきにはまだあどけない幼さが残っている。
GM :
一年生か二年生かは分からないが、おそらくまだ三年生ではないだろう。
??? :
「…………!?」
GM :
彼女は驚いたように体を硬直させながら、薄紫の瞳に藍依の姿を映していた。
琵琶坂藍依 :
「……この学校の、生徒?」言いながら咄嗟に≪天使の外套≫を使用。マスケット銃を隠す。
??? :
「あ……」
??? :
「藍依ちゃん!?!?!?!?」 大声でその名前を呼ぶ
琵琶坂藍依 :
「……えっ、と」いきなりの大声に驚いて後退る。
??? :
「あ、藍依ちゃんですよね!?Seventh Heavenの琵琶坂藍依ちゃん!!え、違いますか!?」
琵琶坂藍依 :
「…………いや? 人違いじゃないかな?」目を逸らし、素性を隠す。何故なら『Seventh Heavenの琵琶坂藍依』は悪評に塗れている。
??? :
「え……?」
??? :
「人違い~……???」 訝し気に、藍依に近付いていく
琵琶坂藍依 :
「そう、人違い」一歩近付いてくる毎、一歩後退っていく。
??? :
「…………」 後退されても気にせず詰め寄りながら、じーっと藍依の顔を見て
??? :
「この青い瞳……綺麗すぎる顔……いい感じの髪色……良すぎる顔……」
??? :
「藍依ちゃんでしょ!!絶対間違いない!!!」 びしっと指を差して
琵琶坂藍依 :
「いやいや、そんなに褒めてくれるのは嬉しいけど、間違いないなんて間違いだ」
琵琶坂藍依 :
「ほら、この地球には、自分と同じ姿のドッペルゲンガーが3人はいるって言うでしょ?」
琵琶坂藍依 :
「私は────そう、欅坂舞依って名前だよ」
??? :
「誰それ!?」
??? :
「欅坂だか乃木坂だか知らないけど、こんな良すぎる顔の女がこの世に二人といるわけないでしょ!!」
??? :
「っていうか、声も同じじゃん!!!なんで嘘吐くの藍依ちゃん!?!?!?」 怒りで更に声が大きくなっている
琵琶坂藍依 :
「(バ、バレてしまった……よりによってこんな……こんな……?)」
琵琶坂藍依 :
「そんなことより、キミ」
琵琶坂藍依 :
「どうしてロッカーの中になんていたの?」これ幸いと話を逸らす
??? :
「そんなことどうでもいいでしょ!!」
??? :
「藍依ちゃんですよね???」 更に詰め寄る
琵琶坂藍依 :
「う……これはもう逃がしてくれそうにないな……」参った、と両手を上げて
琵琶坂藍依 :
「そうだよ、私は元Seventh Heavenの琵琶坂藍依……」
??? :
「それみなさい!!当たってた!!」 やっと認めてもらって、嬉しそうに笑う
??? :
「あ、あたし!あたしは、空本彩羽っていいます!」
琵琶坂藍依 :
「イロハちゃん、可愛い名前だね」
空本彩羽 :
「え?藍依ちゃんの方が可愛い名前でしょ?でも嬉しいな~!!」
琵琶坂藍依 :
「……ええっと、改めて尋ねるけど、イロハちゃんはどうしてロッカーに? もしかして、ヒマな時はロッカーに詰まってる?」倉庫が好きだというカシルの顔を思い出しながら
空本彩羽 :
「んなわけないでしょ、藍依ちゃんってば何言ってるんですか~」 可笑しそうに笑って
空本彩羽 :
「なんだろ、いつの間にか入ってたんですよね。なんか霧が出たと思ったら、あんな場所に……」
琵琶坂藍依 :
「いつのまにか、か……それはなんというか、災難だったね……」
空本彩羽 :
「いや、藍依ちゃんに会えたし全然災難ってわけじゃ……」
空本彩羽 :
「って、そうだ!握手してもらってもいいですか!?あたし、藍依ちゃんのファンなんです!!」
琵琶坂藍依 :
「え、私の……?」
空本彩羽 :
「はい!」
琵琶坂藍依 :
「いや、お世辞はいいよ。私のファンなハズないでしょ」
空本彩羽 :
「はい?」
琵琶坂藍依 :
「あのスキャンダルを知っているなら、私の言っている意味が分かるでしょ」
琵琶坂藍依 :
「あの事件の後、Seventh Heavenの琵琶坂藍依のファンはみんな死んだ。一人だって残ってる訳が────」
空本彩羽 :
「ここにいるんだけど……?」 ぽかんとしてる
琵琶坂藍依 :
「本気で言ってるの……? それとも、あの事件のことを知らないの……? テレビもSNSもない家庭環境とか……?」
空本彩羽 :
「テレビもSNSもなしでどうやって藍依ちゃんのこと知るって言うの?Seventh Heavenがデビューした時から、あたしが小学生だった頃から知ってますよ」
空本彩羽 :
「当然、あの事件っていうのも知ってます。……胡桃ちゃんの……グループが解散した時のことでしょ?」
琵琶坂藍依 :
「うん……でも、それならどうして……」
空本彩羽 :
「…………」
空本彩羽 :
「あたしも、ずっと気になってはいたの」
空本彩羽 :
「あの噂……藍依ちゃんが胡桃ちゃんを裏でイジめてて、自殺に追い込んだって話……」
空本彩羽 :
「……あれって、本当なの?」
琵琶坂藍依 :
「私の口から言ったところで、ソレを信じられる?」これまで誰も信じなかったという風な口振り
空本彩羽 :
「そりゃ信じるよ。公式の言葉なんだから」 迷いなく、当然のように答える
琵琶坂藍依 :
「その"公式"が、私がイジめたって報道してたんだけどな……」苦笑する
琵琶坂藍依 :
「まったく、変わった子だね……」
空本彩羽 :
「マスゴミの言葉なんか公式じゃないでしょ!あとあたしは変じゃないし!」
空本彩羽 :
「それで、どうなんですか!?本当なの、嘘なの、どっち!?」
琵琶坂藍依 :
「……どうにも、キミには嘘がつけそうにないな」
琵琶坂藍依 :
「マスコミの発表も、Seventh Heavenの発表も、全て嘘だよ。私は親友を虐めたりなんかしてない」
空本彩羽 :
「…………!!」
空本彩羽 :
「それ、さっきの偽名みたいな嘘じゃないよね?ほんとにほんとだよね!?」 キラキラと瞳を輝かせて
琵琶坂藍依 :
「うん、本当に本当」
琵琶坂藍依 :
「……出来れば私を、信じてほしい」
空本彩羽 :
「…………」
空本彩羽 :
「やったー!!!」 笑顔で両手を振り上げて
空本彩羽 :
「やっぱりそうじゃん!あたしは間違ってなかった!見たかネットのゴミカス共!!これが公式のお言葉じゃー!!!!!」 天井に向かって叫ぶ
琵琶坂藍依 :
「嬉しいけど、ゴミカス共は言い過ぎ」
空本彩羽 :
「あ、ごめんごめん、藍依ちゃんの前で……!カスに留めておきますね」
琵琶坂藍依 :
「ゴミとカスのどっちか失くしたらいいって話じゃないんだけど」
琵琶坂藍依 :
「……ともかく、さっきはごめん。ファンにカッコ悪いところ見せたね」
琵琶坂藍依 :
「あなたが私を信じてくれるように、私もあなたの気持ちを信じるよイロハちゃん」
琵琶坂藍依 :
「改めて、握手しようか」手を差し出す。
空本彩羽 :
「は、はい!あ、ちょっと待って……」 スカートの裾で両手をごしごし拭いて
空本彩羽 :
「お願いします……!」 おそるおそるその手に触れる
琵琶坂藍依 :
震えるイロハちゃんと握手を交わす。それから、その手をそっと引いて抱き寄せ────
琵琶坂藍依 :
「私を好きでいてくれてありがとう。私も大好きだよ、イロハちゃん」そう耳元で囁く。
空本彩羽 :
「!?!??!????!??!?!??!!??!?!?」 突然の出来事に脳の処理が追い付かず、石のように固まる
琵琶坂藍依 :
「……な~んて、私服でごめんね?」そっと離れて
琵琶坂藍依 :
「あれ? イロハちゃん? どうかしたの? お~~い?」イロハちゃんの目の前で手を振ってみる。
空本彩羽 :
「……い、今のは、夢……?幻覚……?」
空本彩羽 :
「現実なら……あたしは、今日……死ぬのか……?」 ぼんやりしながら
琵琶坂藍依 :
「縁起でもないコト言わないで……」
空本彩羽 :
「で、でも……」
空本彩羽 :
「~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!」 足から力が抜けて、その場にへたり込んで
空本彩羽 :
「ッスゥー……」
空本彩羽 :
「す、すき……藍依ちゃん……」 その場に蹲って、絞り出すように言う
琵琶坂藍依 :
「うん、知ってるよ」笑顔で返す
琵琶坂藍依 :
「(けど、本当に死の危険とは隣り合わせなんだよね……。この子を守りながら、コヨミとカシルと合流して救出……私に出来るだろうか……)」
空本彩羽 :
「ハァーーーーー……」 クソデカため息
空本彩羽 :
「ほんと、なんで藍依ちゃんがアイドルやめることに……」
空本彩羽 :
「あのままずっとSeventh Heavenが続いてたら……とか、思っちゃうよ……」
琵琶坂藍依 :
「そうだね……」
琵琶坂藍依 :
Seventh Heavenは結成当初から、グループ内の格付けシステムなどによって、イジメが常態化していた。いずれにせよ、解散していただろう。
琵琶坂藍依 :
だが、わざわざファンの子にそんな夢を壊すようなコトを告げるべきではない。そう判断して、残酷な真実は胸の奥に仕舞い込む。
空本彩羽 :
「あの……藍依ちゃん」 顔を上げて
空本彩羽 :
「あの噂が嘘だったって、藍依ちゃんがイジメなんてしてなかったって知れただけで、一ファンのあたしは十分だから……これ以上は何があったかなんて聞きません」
空本彩羽 :
「だから、胡桃ちゃんといっしょじゃなくちゃダメとか、そういう感情とか事情とか色々あるかもしれないけど……それでもこれだけは聞かせて」
空本彩羽 :
「藍依ちゃん、もうアイドルをやる気はないの……?」
琵琶坂藍依 :
「……ええっと、実はね」
琵琶坂藍依 :
「今もやってるんだ、アイドル」
空本彩羽 :
「……え!?」
空本彩羽 :
「アイドル……やってる!?本当に!?」 跳び上がるように立ち上がって
琵琶坂藍依 :
「"地下"が付くんだけどね、まだアイドルだよ」
琵琶坂藍依 :
「MARiNE SNOWってグループで、iRiSって名義で活動してるんだ」
空本彩羽 :
「ま……MARiNE SNOW!?」
空本彩羽 :
「ま、まりっ、MARiNE SNOWって……!!」
空本彩羽 :
「こよちゃんのいるグループじゃん!?!?!?」
琵琶坂藍依 :
「……うん、コヨミと知り合いなの?」
空本彩羽 :
「知り合いっていうか、友達です!クラスメイトだから!!」
琵琶坂藍依 :
「ああ、同じクラスなんだ? コヨミと仲良くしてくれてありがとう」
空本彩羽 :
「あ、いえいえ……。こちらこそ、こよちゃんには色々とお世話に……」
空本彩羽 :
「……じゃなくって!!」
空本彩羽 :
「う、うわあ……MARiNE SNOW……MARiNE SNOWかあ……。そ、そんな身近に藍依ちゃんがいたなんて……」
空本彩羽 :
「あたし、こよちゃんとは友達だけど……アイドルのことはずっと詳しくは聞いてなかったんです」
空本彩羽 :
「もしかしたら、ありえないけど、万が一にでも……藍依ちゃん以外のアイドルが好きになって、藍依ちゃんのことがもうどうでもよくなったら……」
空本彩羽 :
「そんな風に考えると、怖くて……。でも、し、失敗したぁ……」
琵琶坂藍依 :
「別に私のことは気にしなくて良かったのに……好きなモノが変わるなんて、よくあるコトなんだしさ……」
空本彩羽 :
「よくあることでも、よくないんです!!」
空本彩羽 :
「あたしは一生、藍依ちゃんだけを愛するって決めてるんだから!!!」
琵琶坂藍依 :
「一途だね、イロハちゃんは」
琵琶坂藍依 :
「……ふふ、でも嬉しい」
琵琶坂藍依 :
「他のアイドルに目移りせずに、一生、好きでいてもらえるよう、もう一度、ハグしておこうか?」両腕を広げながら冗談めかして。
空本彩羽 :
「ひえ……だ、だいじょうぶですぅ……」 震え声
空本彩羽 :
「あれを連続で食らうと、次は本当に死ぬ気がするので……」
空本彩羽 :
「だからもう結構……いや、もったいないからまた今度で……」
琵琶坂藍依 :
「うん、今度はMARiNE SNOWの特典会に遊びにおいで。その時にはまた、ぎゅっとしてあげるよ」
空本彩羽 :
「は……はい!絶対行く!絶対行きます!!」 顔をにやけさせながら、全力で頷く
琵琶坂藍依 :
「(まだスケジュールを立てるには、少し早すぎるんだけど……今はどうしようもないからな……)」
空本彩羽 :
「……って、あ……!?」 何かを思い出したように目を見開いて
空本彩羽 :
「そ、そうだ、藍依ちゃんがいた衝撃で完全に全部頭の中からすっぽ抜けてたけど……!」
空本彩羽 :
「こよちゃんが大変なんだったぁ……!!」
琵琶坂藍依 :
「コヨミがどうしたの?」声色が変わる
空本彩羽 :
「……えーっと、あの……」
空本彩羽 :
「あんまり、信じにくい話かもしれないんですけど……聞いて貰えます?」
琵琶坂藍依 :
「うん、キミのことは信じるって言ったでしょう? なんでも話して?」
空本彩羽 :
「藍依ちゃん、ありがとう……」
空本彩羽 :
「えっと、じゃあ……。ほんの数十分前のことだったんですけど……」
空本彩羽 :
「あたしとこよちゃんは、あの……前のテストの点が悪くってですね……補習を受けてたんです」 少し言いづらそうにして
空本彩羽 :
「そしたらいきなり、女の人が二人入って来て……こよちゃんに向かって、クラッドカルト?を渡せとかなんとか言ってきて」
空本彩羽 :
「その後一瞬、変な感覚になったと思ったら、あたしとこよちゃん以外の人達がみんな倒れちゃったんです。先生も、生徒もみんながですよ……」 戸惑ったようにそう続ける
琵琶坂藍依 :
「キミとコヨミ以外……?」
琵琶坂藍依 :
「(おそらく、ワーディングを使ったんだ……けど、この子は倒れなかった……ということは……)」
空本彩羽 :
「はい……」
空本彩羽 :
「だからあたし、びっくりして戸惑ってたら、その間に女の人が剣を持ってこよちゃんに襲い掛かってきて……」
空本彩羽 :
「危ない!って思ったんですけど、でもこよちゃんは槍で攻撃を防いでたんです。あんな長いのどこに隠してたんだろ……」
空本彩羽 :
「……ついてこれてます?」
琵琶坂藍依 :
「うん、大丈夫。続けて?」
空本彩羽 :
「よ、よかった」
空本彩羽 :
「えっと、それでもう何がなんだかって状況だったんですけど、こよちゃんに早くここから逃げてって言われたんです」
空本彩羽 :
「だからあたし、教室から飛び出して……とにかく誰か助けを呼ばなくちゃって思って、職員室に行ったんです」
空本彩羽 :
「でも、職員室にいる先生もみんな倒れてて……。もうどうすればいいか分かんなくて……」
空本彩羽 :
「そうしてたらいきなり霧が出てきちゃって……いつのまにやら……」 掃除用具入れを見る
琵琶坂藍依 :
「……そっか、それは怖い思いをしたね」
空本彩羽 :
「うん……」 小さく頷く
琵琶坂藍依 :
「では、今度は私から、キミ以上に荒唐無稽な話をしなきゃいけないみたいだ」
空本彩羽 :
「な、なんですか?藍依ちゃんが何故かこの学校にいるって話ですか?」
琵琶坂藍依 :
「そう、その理由にも、それからコヨミとアイドルをしている理由にも関わってくる話」
琵琶坂藍依 :
「……補習ってワケじゃないけど、よく聞いておいてもらえるかな」教壇に立ち、チョークを握る。
空本彩羽 :
「教師藍依ちゃ……」
空本彩羽 :
「あ、はい。聞きます聞きます」 適当な席に座る
琵琶坂藍依 :
「ほんとにちゃんと聞いててね?」少し不安になってきた。
琵琶坂藍依 :
では、オーヴァードやUGNとFHの存在について、黒板を使って簡単に説明しますよ!
GM :
了解!では説明出来ます!
琵琶坂藍依 :
「……そういうワケで、私はコヨミを助けにやってきたUGNの人間」
琵琶坂藍依 :
「キミはたまたま運悪く事件に巻きこまれた、一般オーヴァードみたいだね」
空本彩羽 :
「なるほど~……って、あたしも?」
琵琶坂藍依 :
「そう、きっとなにか特殊な能力が使えるハズだよ」
琵琶坂藍依 :
「私の場合は……」とんとん、と黒板を叩く。
琵琶坂藍依 :
すると、さきほどハグした際、慌てふためいていたイロハちゃんの様子が、黒板いっぱいに投影される。
空本彩羽 :
「え、何、これは!?」
琵琶坂藍依 :
「光を操る能力、その応用のホログラムの投影だね」
空本彩羽 :
「なるほど……」
空本彩羽 :
「でも映すなら藍依ちゃんを映して欲しいかも……カメラマンさんミスってますよ」
琵琶坂藍依 :
「私の視点だからね、カメラマンは私」
琵琶坂藍依 :
「ばっちり撮れてると思うよ、イロハちゃんの可愛いところ」
空本彩羽 :
「え、えぇ~……!!」
空本彩羽 :
「それならいっかあ!!」 可愛いと言われてデレデレしてる
琵琶坂藍依 :
「ふふ……、けど、あんまりのんびりもしてられないんだよね……」
空本彩羽 :
「……そうだよね。今は早く、こよちゃんを助けにいかないと……!」
琵琶坂藍依 :
「この扉さえ開けば、助けに行けるんだけど……」マスケット銃を取り出し、扉に向けて放つ。
空本彩羽 :
「っええ!?」
GM :
光弾は扉に直撃。しかし炸裂した光は扉に傷一つつけなかった。
琵琶坂藍依 :
「この通り、びくともしなくて……」
空本彩羽 :
「びくともっていうか、いきなり銃出して発砲してるのにびっくりだよ!?」
琵琶坂藍依 :
「あっ、ごめんね? ビックリさせちゃったよね?」
琵琶坂藍依 :
「覚醒したばかりの子と行動するコト自体、今回が初めてだったから、普段の任務みたいについ……配慮に欠けてたな……」
空本彩羽 :
「い、いや、全然大丈夫です!銃撃ってる貴重な藍依ちゃんが見れたし!」
琵琶坂藍依 :
「それならいいんだけど……」
琵琶坂藍依 :
「ともかく、私達は閉じ込められていて、コヨミ達を助けに行く手段がないんだよね」
琵琶坂藍依 :
「此処に来るまでの間に、支部に連絡を入れておいたからUGNの応援はすぐに来てくれると思うんだけど」
空本彩羽 :
「そうなんですね……。じゃあ、その応援の人に何とかしてもらうしかないのかなあ……」
琵琶坂藍依 :
「あるいはイロハちゃんの覚醒した能力で解決できたらいいんだけど、どうかな? 自分のエフェクトは使えたりしそう?」
空本彩羽 :
「あたしにそんな秘めたる力が……!?」
琵琶坂藍依 :
「うん、もしかしたら凄い力を秘めてるかもしれない」
空本彩羽 :
「マジですか……じゃあ、ちょっと待ってください」
GM :
彩羽はそう言って、自分の体を見下ろしてみたり、両手を閉じたり開いたり、ウーンと力んでみたりする。
空本彩羽 :
「……な、なにか出ました!?」 力みながら言う、が……特に何も起こらない
琵琶坂藍依 :
「ううん、ただ頑張るイロハちゃんが可愛かっただけかな」首を横に振る
空本彩羽 :
「そんな……役に立てなくてごめんなさい……」 デレデレエヘエヘにやけながら
琵琶坂藍依 :
「ごめんなさい、って言う時の表情じゃない……!」
琵琶坂藍依 :
「まあ、そもそも謝る必要もないけどね。現場にいた被害者の一般オーヴァードに助けを求める方が間違ってるんだし」
琵琶坂藍依 :
「……それより、もう一度、手を出してもらえる?」教壇から降りて
空本彩羽 :
「え?はい」 席から立ち上がって手を差し出す
琵琶坂藍依 :
「相手は霧を使って私達を分断する能力があるみたいだから、その対策」マスケット銃を持ってない方の手で迎え、しっかりイロハちゃんと手を繋ぐ。
琵琶坂藍依 :
「……何があっても、私から離れないで」
琵琶坂藍依 :
「いきなり事件に巻きこまれて不安だろうけど、キミのことは私が必ず守ってみせるから」
空本彩羽 :
「…………!?!?!?!?!!?」
空本彩羽 :
「こ、これは……後でお金払わないといけないやつ……???」 信じられないようなものを見る目で藍依の顔と繋いだ手を交互に見てる
琵琶坂藍依 :
「え? お金? そんなの要らないよ?」
琵琶坂藍依 :
「UGNのエージェントが人を守るなんて当然のコトだし、」
琵琶坂藍依 :
「キミはずっと私を好きでいてくれた。私としてはそれだけでも、貰いすぎてるくらいだから」
空本彩羽 :
「ひ、ひええ……そんな、そんな……あたしが勝手に藍依ちゃんを好きなだけなのに……」
空本彩羽 :
「で、でも、めちゃくちゃ嬉しいです……離れないように一生傍にいますね……!?!?」
琵琶坂藍依 :
「……一生は、ちょっと困るかも」
空本彩羽 :
「え、えへへ……」 照れたように笑いながら、手を握り返している
琵琶坂藍依 :
「(けど、すっかり安心してくれたみたいで、私も嬉しいな)」
GM :
では、そうしていると
GM :
まるで警戒したのを察知したかのように、教室に白い霧が静かに広がり始めた。
琵琶坂藍依 :
「……!! 早速、例の霧……!!」
空本彩羽 :
「あ、藍依ちゃん……!」 怯えたように、握る手に力を込める
琵琶坂藍依 :
「大丈夫、私が守るよ」どこから襲われても守れるよう、手を引いて胸元に抱き寄せる。
空本彩羽 :
「え? アッ!!!!」 胸元に抱き寄せられた瞬間、もう霧どころじゃなくなってる
GM :
最初はわずかに漂うだけだった霧は、瞬く間に教室全体を満たし……
GM :
やがて、藍依の視界は真っ白に塗り潰された。
GM :
シーン終了。
GM :
ロイスの取得と感情変更が可能です。
琵琶坂藍依 :
イロハちゃんに尽力/悔悟のP表でロイス取得しますよ!
琵琶坂藍依 :
あのスキャンダルを経ても、未だにファンでいてくれるイロハちゃんの思いに応えたいという気持ちと、あのスキャンダルで苦しい思いをさせてしまったという罪の気持ち。
それから、死んだ胡桃ちゃんを思い出させるような風貌もあって「この子だけは命に代えても必ず守る」と気負ってます。
system :
[ 琵琶坂藍依 ] ロイス : 4 → 5
GM :
げきおも感情了解!
GM :
では次のシーンへ
Scene07 霧に囚われた異形
Scene Player:琵琶坂藍依
GM :
このシーンから、《ラビリンス》の指定PC人数が二人に変更されます。
GM :
なので登場はPC全員。登場侵蝕のダイスをお願いします。
澱カシル :
1d10+66(1D10+66) > 1[1]+66 > 67
琵琶坂藍依 :
1d10+69(1D10+69) > 1[1]+69 > 70
教室
GM :
一瞬の浮遊感の後、霧が晴れる。
GM :
どうやら、今の霧でまた領域内部が操作されたのだろう。
GM :
藍依とカシル、そして彩羽は、いつの間にか同じ教室に飛ばされてしまっていた。
GM :
あまりにも突然に、三人はお互いの姿をそれぞれ確認する。
GM :
ちなみに、藍依は彩羽を抱き寄せた状態のままだ。
澱カシル :
「わ……藍依ちゃん?!」
二人の背後に出る形で現れる。
琵琶坂藍依 :
「カシル……!?」
澱カシル :
「えっと……その? 何も見なかったコトにしたらいいですか?」
抱き合う二人に戸惑って
琵琶坂藍依 :
「あっ、おおっと」抱き合っている状態から離れる。手は繋いだまま。
空本彩羽 :
「え?誰……?」 振り返り、カシルを見て
空本彩羽 :
「……胡桃ちゃん!?!?」 カシルの顔を見た瞬間、目を見開く
澱カシル :
「う……!?」
急な大声と胡桃の名前に怯む。
空本彩羽 :
「胡桃ちゃんだよね!?えっ、何、なんで!?」 お化けでも見たかのように困惑する
澱カシル :
「わ、わたくしは胡桃ちゃんではなく……お化けです……いえ違います、お化けではなく……」
カシルは混乱している!
琵琶坂藍依 :
「待って、私から説明する」
琵琶坂藍依 :
「この子は『澱カシル』。私と同じくUGNに所属しているオーヴァードで、MARiNE SNOWのメンバーでもある」
琵琶坂藍依 :
「……久能胡桃とは、別人だよ」
澱カシル :
「紛らわしくて、ごめんなさい! カシルです、よろしくお願いします!」
藍依のおかげでペースを取り戻す。
空本彩羽 :
「いや、別人って藍依ちゃん、ここまで同じ顔でそんなわけ……!!」
空本彩羽 :
「…………」 カシルの胸元を見て
空本彩羽 :
「誰だお前!?!?」
澱カシル :
「………あはは、流石に露骨すぎますよ……?」
琵琶坂藍依 :
「胡桃とは、そうだね……まったく違うでしょ、体格がね……」本物の久能胡桃は学生ながらに豊満なスタイルが特徴であった。その点、澱カシルは似ても似つかない。
空本彩羽 :
「す、すみません、なんか動揺しちゃって……」 とりあえず落ち着く
澱カシル :
「いえ、大丈夫です。アタシは体型をコレでいいと決めましたし。」
まるで体型を選んだかのような口ぶり。
実際その通りであるのだが。
空本彩羽 :
「え、えっと、初めまして……。あたしは空本彩羽っていいます……よろしくおねがいします……」 しかしまだ落ち着かなさそうにしながら名乗る
澱カシル :
「彩羽ちゃんですね! よろしくお願いします!」
「えっとオーヴァード、なんですよね……? どうして此処に?」
空本彩羽 :
「あたし、この学校の生徒だから……。オーヴァードなのかはまだよくわからないけど……」
琵琶坂藍依 :
「イロハちゃんはコヨミの友達で、一緒にいるところを襲われたらしいんだ」
琵琶坂藍依 :
「その際に受けたワーディングが効いてないから、おそらくオーヴァードだと思うんだけど、まだ能力は分からない」
澱カシル :
「あ、もしかして藍依ちゃんと抱き合って出てきたのは、能力が使えない彩羽ちゃんを守るためでしたか!」
「てっきり変な場面に出くわしたのかと……」
琵琶坂藍依 :
「ええ……? 私、そういうコトする人間だと思われてる……?」
琵琶坂藍依 :
「たしかにイロハちゃんは可愛いけど、ヘンな真似なんてしないって……」
澱カシル :
「ふふ、半分冗談です。」
空本彩羽 :
「いやあ、今はそうでもゆくゆくはアイドルとファンの関係を超えてそういうことになったりする可能性もデヘヘ……」 調子に乗ったように笑う
琵琶坂藍依 :
「え、っと……? 二人とも、ちゃんと全部冗談なんだよね……?」困ったように笑う
空本彩羽 :
「じょ、じょうだん!冗談です!」 藍依から離れる
澱カシル :
《シャドウダイバー》を使用!
イロハちゃんのさっきの色欲発言の本気度をみます!
GM :
了解です。こんなんだから流石に感情は隠してないし、対決はなしで
GM :
言ってることは半分冗談だけど、スーパービッグラブなことは分かるかな。
澱カシル :
おけおけ!ヤバい夢女子ではなかった
澱カシル :
「ふふっ……彩羽ちゃんは藍依ちゃんの大ファンみたいですね!」
空本彩羽 :
「はい!大ファンだし大好きです!!」
琵琶坂藍依 :
「イロハちゃんは、Seventh Heaven時代から私のファン、って筋金入りなんだよね」
琵琶坂藍依 :
「それで胡桃のコトも知ってたって訳」
琵琶坂藍依 :
「……けど、改めてカシルの口から言われると、少し照れるかも」
空本彩羽 :
「え、藍依ちゃん照れてるんですか?レアだ……!」 顔をよく見ようとしてる
琵琶坂藍依 :
「……オフショットだから見ちゃダメ」≪天使の外套≫で顔を覆う
空本彩羽 :
「えぇ~……!」
空本彩羽 :
「そんなずるい……。でもオフショットなら仕方ないか……」
琵琶坂藍依 :
「そう、仕方ない。それにそんなコト言ってる場合でもないでしょ?」
澱カシル :
「ですね。藍依ちゃんはこよみちゃんや海里さん、その、クラッドカルトに会いましたか?」
「アタシはさっきまで一人きりだったので何もなかったんですけど……」
琵琶坂藍依 :
「イロハちゃん以外には誰にも……そもそも、この教室に閉じ込められてたから……」
澱カシル :
「藍依ちゃんもでしたか……。」
「今も扉は閉じているのでしょうか?」
すっ、と廊下側の窓を指さして呪詛を飛ばしてみる。
GM :
今までと同様に、窓は微動だにしない。
澱カシル :
「うーん、駄目ですね。」
カシルが何をやったのか、効果が無かったことも相まって傍から見ていた2人にも分からない。
空本彩羽 :
「っていうか、ここ……さっきとは違う教室ですよ」 周囲を見渡す
琵琶坂藍依 :
「確かに、黒板に書いてある時間割表が違うね?」周囲を見回して
空本彩羽 :
「うん……。だってここ、あたしとこよちゃんの教室だし」
澱カシル :
「わぁ、そうなんですね!」
「こよみちゃんの席はどこですか?」
空本彩羽 :
「ここです!」 窓際、一番後ろの席にまで進んで
空本彩羽 :
「あと、あたしはその隣ですね!」 その隣の席を見る
琵琶坂藍依 :
「良い席だね。身長が低めのコヨミには、黒板は見づらいかもしれないけど」
澱カシル :
「こよみちゃん、目がいいので大丈夫ですよ!」
空本彩羽 :
「まあ、何とかやってますよ。板書映しきれない時はあたしがノート貸したりもしますしね」
琵琶坂藍依 :
「そっか、コヨミとは本当に良い友人関係を築いてるんだね」
琵琶坂藍依 :
「……少し、コヨミが羨ましいな」こよみの机の輪郭を指でなぞる。
空本彩羽 :
「ふふっ、そんなそれくらい普通ですよ……!こよちゃんは学校中の人気者ですしね」
琵琶坂藍依 :
「学校中の人気者、か。楽しい学園生活を送れてるんだね」
琵琶坂藍依 :
対して自分は真逆で、日本中の嫌われ者。迫害を恐れて人目を避けている。と目を伏せる。
琵琶坂藍依 :
「……それはさておき」負の気持ちを悟られない内に、話を変える。
琵琶坂藍依 :
「相手はどうして、私達を移動させたんだろう? どのみち脱出できない密室なら、あのまま放置しておけばいいのに」
空本彩羽 :
「そういえば、なんでだろ……?」
澱カシル :
「たまに入れ替えないと駄目……とか……?」
琵琶坂藍依 :
「時間制限がついているパターンか……確かにあるかもしれない……」
澱カシル :
「ほら、金魚もたまに移さないと水が濁ってしまいますし」
そういう問題だろうか?
琵琶坂藍依 :
「この部屋が完全な密室なら、そのうち酸素が尽きるのと同じか……いや、でも今度は酸素残量に配慮してまで私達を生かす理由が分からないな……」
琵琶坂藍依 :
「ともかく、またいつ動かされるか分からない。念の為、すぐ合流できるように固まって動こう」お互い触れていれば一緒の場所に行ける、といった確証もないが。
空本彩羽 :
「は、はい……」 藍依の服の袖を指で摘まむ
澱カシル :
「わかりました!」
反対の袖を摘む
琵琶坂藍依 :
「(これだとパッと銃が構えられないけど、良いか)」両脇の少女らを見て、微笑みを浮かべている。
琵琶坂藍依 :
「……ふふ、両手に花だね」
GM :
ではそんな風に話していると、
GM :
また突然、足下から白い霧が現れる。
琵琶坂藍依 :
「────っ!! また来た……!!」咄嗟に両脇の少女を抱き寄せる。
空本彩羽 :
「わああっ!!?」 にやけてる場合ではない
澱カシル :
はぐれないよう、藍依とイロハの袖をそれぞれ掴む。
呪いが染み出したらどうしようなどと言っている場合ではない。
GM :
やがて、霧はまた三人の視界を完全に奪う程に濃くなった。
GM :
今までは一瞬の浮遊感を覚えた後、霧が晴れると別の場所に着地していた。
GM :
だが、今回はその浮遊感はない。
??? :
「そんなに警戒しなくていいわよ。また移動させようってわけじゃないから」
GM :
代わりに、冷たい印象を与える女の声が聞こえてくる。
琵琶坂藍依 :
「…………おまえは、誰だ」声がきこえた方に銃口を向ける。
澱カシル :
「…………。」
黙って声の方向を見据える。
カシルの瞳は既にピンクから黒へと変わっている。
GM :
そして、霧はゆっくりと晴れていき……声の正体が現れる。
GM :
教室の前方に立っていたのは、さっき会った海里と同じ顔をした少女だった。
GM :
顔立ちも体型も海里と瓜二つで、服装さえも同じ。まるで彼女を鏡に映したかのようだ。
GM :
だが、ただ一つ異なるのは彼女の髪色だった。
GM :
海里の髪は青色だったが、目の前の少女の髪は霧のように白く、淡い光を帯びているように美しい。
GM :
そして、彼女の手には一本の刀が握られていた。銀色に輝く刃が蛍光灯の光を反射して鈍く光っている。
GM :
その刀を何気なく下げている姿は一見無防備。
GM :
しかし、彼女の赤い瞳の奥に潜む冷たさには、迂闊に近付けば一撃のもとに切り伏せられてしまいそうな緊張感があった。
GM :
彼女の存在自体が、一歩間違えば致命的な危険を伴う……そんな油断ならない雰囲気を藍依とカシルは感じるだろう。
琵琶坂藍依 :
「……イロハちゃん、私の後ろに」
空本彩羽 :
「え……は、はい……」 言われた通り、後ろに一歩下がる
琵琶坂藍依 :
「何があっても私の前に出てきちゃダメだよ」言いながら臨戦態勢を取る。
空本彩羽 :
「わかりました……」
澱カシル :
「貴女、海里さんではありませんね……。」
「何者ですか?」
??? :
「わたしは海霧」
海霧 :
「あなた達は、MARiNE SNOWの琵琶坂藍依と澱カシル。そうよね?」
琵琶坂藍依 :
「カイム、カイムね……確かにドッペルゲンガーの話はしたけど、コヨミ、カイリに続いて、一日に三人に会うなんて思わなかったな……」
澱カシル :
「はい。その通りです。」
「さっきまでの霧は貴女の力のようですね……?」
海霧 :
「ええ、そうよ」
澱カシル :
「こよみちゃんを返して、学校を元通りにして、わたくし達を無事に帰す。」
「そのおつもりはありませんか?」
戦わずに済むのなら、それに越したことはない。
海霧 :
「わたしも逆に聞きたいのよね」
海霧 :
「海里との会話は聞いていたから、まあ無意味だとは思うけど……」
海霧 :
「天海こよみのことは諦めてくれないかしら。わたしはあなた達に用はないの」
琵琶坂藍依 :
「そうだね、問答はムダみたいだ」
琵琶坂藍依 :
「私達はコヨミのことを絶対に諦めるつもりなんてない」
琵琶坂藍依 :
「イロハちゃんに友達を失わせたりしない。私は二度と大事な仲間を失ったりしない」
琵琶坂藍依 :
「……もう私は、何一つ失うつもりはない」久能胡桃の死に様が目に浮かぶ。あの気持ちを知っているのは、自分だけでいい。
琵琶坂藍依 :
「それから、クラに頼まれちゃったからね」
海霧 :
「そう」
海霧 :
「だったら、仕方ないわね……」
GM :
海霧の周囲から、霧が発生する。
GM :
霧は再び教室に充満し、視界は白く満たされた。
海霧 :
「────出て来なさい」
GM :
海霧が静かに呼びかける。
GM :
その声は冷たい霧を引き裂いて響いた。
GM :
海霧の傍に、異形の怪物が二体現れる。
GM :
その姿を簡潔に形容するとすれば、ヘドロと血を混ぜて作った醜悪な人形だ。
ジャーム :
「ヴ……ヴ、オ……アァ……」
GM :
知性の感じられない呻き声が、ヘドロの奥から聴こえてくる。
GM :
その様子に藍依とカシルは本能的に嫌悪感を覚え、彼らが異形化したジャームであると理解出来るだろう。
澱カシル :
「………ジャームですか。」
カシルにとって見た目は重要でないが、力に飲まれ正気を失った内面が嫌悪を呼び起こされる。
空本彩羽 :
「じゃ、ジャーム……?」 恐怖した目で化け物を見ている
琵琶坂藍依 :
「イロハちゃん、私の背中だけ見ていて」
琵琶坂藍依 :
アレは少女の目に入れるべきモノじゃない。
琵琶坂藍依 :
「───すぐ片付けるから」言いながらマスケット銃を構え直す。
空本彩羽 :
「は、はい……」 縮こまって、言われた通り藍依の背を見つめる
海霧 :
「ふーん……ジャームだって、一目で分かるものなのね」
澱カシル :
「内面がズタズタなのですから、分かりやすい方かと。」
「…………歪な出来損ないの怪物程度では、わたくしは滅ぼせませんよ。」
海霧 :
「酷いことを言うわね……」
海霧 :
「出来損ない、しかも怪物だなんて……なんてこと言うのかしら?こんなにかわいいのに」
澱カシル :
「見た目は可愛くとも、中身が伴っていません。」
琵琶坂藍依 :
「(いや、見た目は可愛くともって……血塗れなんだけどアレ……)」思わず心の中で突っ込んでしまう
海霧 :
「じゃあ、中身が伴っているか……その身で確かめさせてあげる」
海霧 :
「わたしのかわいい子達を侮辱したこと、後悔させてあげるわ」
澱カシル :
「………はぁ……。とうとうこの日が来てしまいましたか……。」
目の前の怪物の脅威ではなく、自らの本性を藍依にさらけ出すことを嘆く。
GM :
オーヴァード達は、お互いに臨戦態勢に移る。
GM :
謎の少女が率いる異形の怪物達との戦いが今、始まる……。
【行動値】
20 琵琶坂藍依
10 ジャームA
10 ジャームB
08 澱カシル
【初期配置】
ジャームA / ジャームB
|
(5m)
|
琵琶坂藍依 / 澱カシル
【勝利条件】
・ジャームA、ジャームBの撃破
【備考】
・空本彩羽、海霧は戦闘に参加せず、攻撃の対象にもならない。
◆第一ラウンド
GM :
・セットアップ
GM :
エネミー側は特になし。PC側の宣言どうぞ。演出やりたいPLは演出があると一緒に宣言してください。
琵琶坂藍依 :
怨念の呪石を使用!暴走状態になって《ミラーパレス》が起動!!
琵琶坂藍依 :
自身が行なう攻撃のダメージを+2D! 自身を対象に含む攻撃のダイスを-10個!!
琵琶坂藍依 :
演出は、今回はなしで!!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] 侵蝕率 : 70 → 73
澱カシル :
穢呪の器(カシル☆おしおきモード)
尾を食らう蛇+喰らわれし贄
system :
[ 澱カシル ] 侵蝕率 : 67 → 72
澱カシル :
攻撃力+15!
澱カシル :
1d10(1D10) > 3
system :
[ 澱カシル ] HP : 28 → 25
澱カシル :
演出あります!
GM :
了解!ではどうぞ
澱カシル :
「…………怪物とは、こういうモノです。」
カシルが手早くいくつかの物品を投げ捨てる。
それは枷。
カシルの本性を押し留めていた、"聖なる"モノ。
全ての拘束を解き放って、"呪い人形"と呼ばれ恐れられた怪物が目覚める。
澱カシル :
黒く、黒く、霧の白にも上書き出来ない黒。
黒い日本人形の如き少女が、髪を逆巻かせて降り立つ。
澱カシル :
藍依はカシルのこの姿を一度だけ見たことがある。
だが、彼女がどんな力を振るうのかまでは知らない。
それでも、満ちる不吉のオーラが目の前のヘドロの怪物よりも──カシルが恐ろしいと感じさせる。
琵琶坂藍依 :
「コレは、あの時の……」
琵琶坂藍依 :
「レネゲイドビーイングとは聞いているけど、カシルは一体……いや、何だろうと今は心強い……!! 私も負けてられないな……!!」
澱カシル :
「あまり、こちらは見ないでください。」
「藍依ちゃんや彩羽ちゃんまで傷つけたくはありませんから……」
琵琶坂藍依 :
「(見るだけでダメって、いったい……)」
空本彩羽 :
「あ、あたしは藍依ちゃんの背中しか見てないから……」
琵琶坂藍依 :
「そうだね、ずっと見ていて! 私のコトだけを!!」
空本彩羽 :
「は、はい……!」
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値20、琵琶坂藍依のメインプロセスです。行動をどうぞ。
琵琶坂藍依 :
マイナーアクションで《陽炎の衣》を使用! 隠密状態に!!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] 侵蝕率 : 73 → 76
琵琶坂藍依 :
メジャーアクションで《コンセントレイト》《見えざる死神》! ジャームAに射撃攻撃!!
GM :
了解です、命中どうぞ
琵琶坂藍依 :
11dx8+8 命中(11DX8+8) > 10[1,2,2,3,4,4,4,5,6,8,8]+5[5,5]+8 > 23
GM :
避けれるかもしれない、ジャームはドッジしましょう
GM :
8dx(8DX10) > 8[2,3,3,4,4,6,7,8] > 8
GM :
だめだったわ、ダメージどうぞ
琵琶坂藍依 :
3d10+2d10+9+5+1d10 装甲有効ダメージ(3D10+2D10+9+5+1D10) > 21[4,10,7]+17[7,10]+9+5+7[7] > 59
GM :
このダメージは普通に…戦闘不能!
GM :
ですがここで、ジャームが持っているEロイス《不滅の妄執》が発動。
◆Eロイス
不滅の妄執
タイミング:常時
技能:- 難易度:自動成功
対象:自身 射程:至近
衝動:-
効果:あなたが戦闘不能になった、もしくは死亡した際に自動的に効果を発揮する。
戦闘不能、死亡を回復する。この時、シーンから退場してもよい。
GMは任意にこのEロイスを解除する条件を設定すること。
その条件がクリアされた場合、以後このEロイスは効果を発揮しない。
GM :
その効果で戦闘不能状態を回復し、シーンから退場します。撃破扱いにはなります。
琵琶坂藍依 :
ふ、不滅の妄執ですって~!? でも、撃破の扱いにはなって良かったよ!!
GM :
そうじゃないと終わらんからね!侵蝕上げとか済んだら演出の方どうぞ
system :
[ 琵琶坂藍依 ] 侵蝕率 : 76 → 80
琵琶坂藍依 :
「荒事は、苦手なんだけど……」
琵琶坂藍依 :
琵琶坂藍依のエフェクト特性は「蓄光」。
日常を照らす日光。レッスン場の照明。それからステージ上で浴びるスポットライト。
その全てを束ねて操る異能。
琵琶坂藍依 :
華美なマスケット銃に、光弾を詰め込む。
時代錯誤な代物だが、ことオーヴァードの戦闘に於いて、武器の歴史は殆ど関係ない。
琵琶坂藍依 :
「私を慕ってくれる女の子に、カッコ悪い姿は見せられない────!!」撃鉄を上げ、トリガーを引く。
琵琶坂藍依 :
銃口から撃ち放たれたのは、五本の光線。
青く細いレーザーは一斉に地面を滑ると、絡み付く植物のツルのような軌道で、ジャームの足下から這いあがり────
琵琶坂藍依 :
その胸元まで到達した途端、一点に収束。花開くように炸裂した。
一見して華やかだが、実のところ、逃げ道を失くしたところで本命の一撃を叩きこんでいる。まったく隙の無い戦法だ。
ジャーム :
「グゥアアア!!!」 胸の中心を射抜かれ、ジャームが悲鳴を上げて倒れる。
琵琶坂藍依 :
「……菖蒲のコサージュは、お気に召さなかったかな」倒れたジャームを油断せず観察している。
ジャーム :
「グ……グルォ……オオオオ……ッ!!」
GM :
しかし、ジャームは再び立ち上がろうとする。
GM :
傷口からは肉片がドロドロと零れ続けているが、それでもジャームの目から憎悪と敵意の意志は消えていない。
海霧 :
「……下がっていいわ」
GM :
ジャームは戦闘を継続しようとしているように見えたが、海霧はそれを制止して霧で素早く包み込む。
GM :
その直後、霧が散ると、ジャームの姿はその場から消失していた。
琵琶坂藍依 :
「(さっきのジャーム、まだまだ戦えるように見えた……。それでもカイムは撤退を選択した……? もしかして本当に可愛がっている、とか……?)」
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値10、ジャームBのメインプロセス。
GM :
マイナーアクションで《完全獣化》+《ハンティングスタイル》、5m戦闘移動してPC達にエンゲージ。
GM :
メジャーアクションで《獣の力》+《神獣撃》+《コンセントレイト》
GM :
対象は、藍依ちゃんが暴走中なのでダイス減っても当たるんだけど……
琵琶坂藍依 :
こいこ~い
GM :
挑発してきたので、カシルちゃんを殺すね……
澱カシル :
いやああああ
GM :
というわけで、命中!
GM :
13dx@8+5 命中(13DX8+5) > 10[1,2,3,4,4,5,5,6,6,6,7,7,10]+10[8]+3[3]+5 > 28
GM :
リアクションどうぞ
澱カシル :
カシル回避!
澱カシル :
3dx+1 見よ!(3DX10+1) > 4[1,1,4]+1 > 5
GM :
見た!避けれてない!
GM :
ではダメージ
GM :
3d10+5+4D10 ダメージ(3D10+5+4D10) > 18[10,7,1]+5+13[5,4,3,1] > 36
GM :
36点!リザレクトするなら宣言して振って貰って!
澱カシル :
33ダメージ!
死ぬのだわ!
澱カシル :
1d10(1D10) > 6
system :
[ 澱カシル ] 侵蝕率 : 72 → 78
system :
[ 澱カシル ] HP : 25 → 6
海霧 :
「行きなさい」
ジャーム :
「ア゛……アアア!!!」
GM :
ジャームが発狂した叫び声を上げながら、教室の机をなぎ倒して突進。
GM :
そして、振り上げた拳をカシルへと叩きつける。
GM :
ただ力に身を任せただけの理性の欠片もない攻撃。だが《リザレクト》無しでは耐えきれない程の威力があるだろう。
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値08、澱カシルのメインプロセスです。行動をどうぞ。
澱カシル :
怨恨の呪詛(アイドル☆タッチ)
CR+原初の赤:絶対の恐怖+灰燼に帰すもの
澱カシル :
対象は残ったジャームに!
GM :
了解、どうぞー
澱カシル :
6dx+6(6DX7+6) > 10[2,3,6,10,10,10]+10[2,3,10]+3[3]+6 > 29
GM :
ドッジしてみましょ!
琵琶坂藍依 :
ジャームBのドッジ判定に対して≪フラッシュゲイズ≫を使用!ダイス-10個!!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] 侵蝕率 : 80 → 83
GM :
じゃあダイスないなるので、自動失敗!ダメージどうぞ
澱カシル :
3d10+46(3D10+46) > 25[10,6,9]+46 > 71
GM :
戦闘不能!このジャームもEロイス《不滅の妄執》があるので、その効果で戦闘不能状態を回復し、シーンから離脱します。
GM :
なので撃破扱い、これで戦闘終了になります。
GM :
侵蝕を上げて貰って、演出の方どうぞ
system :
[ 澱カシル ] 侵蝕率 : 78 → 89
琵琶坂藍依 :
「胡っ……カシルッ……!!」
カシルの眼前まで迫るジャーム。
血泥の両腕が振り翳されるのが、スローモーションで見える。
琵琶坂藍依 :
「くっ……!!」
今から光弾の装填をしていては、確実に間に合わないだろう。
ビワはストックしていた光子を、ジャームへと目掛けて投射。咄嗟に目を奪う。
ジャーム :
「ギ……!?」 一瞬だけ、その動きが止まる
琵琶坂藍依 :
────ジャームの視界を奪うコトはできた。
だが、ギリギリで間に合わなかった。
琵琶坂藍依 :
ジャームは、それでも狂ったように暴れ回り。
一心不乱に振るわれた拳、その一撃が不運にも命中してしまう。
澱カシル :
ジャームの打撃を受け、小柄なカシルの体が教室の壁や天井の間で弾むように吹き飛ぶ。
何度も打ち付けられて床に伏したカシルが……嗤う。
澱カシル :
「 いたい ふふ いたいよ 」
「 いたいのは だれ? 」
「 あなたも 」
けたけたと。
澱カシル :
閃光によって視界を奪われた闇の中で、ジャームが視るのは己に纏わりつく悪夢。
澱カシル :
雄叫びを上げていたジャームが動きを突如変える。
まるで掻きむしるような動き。
ヘドロも血も肉も骨も。腕がちぎれ腸が飛び出るのも意に介せず、何かを落としたがるように。
澱カシル :
「 ふふふ あはは 」
「 あははははははははは 」
カシルはただ、ジャームを見つめ、嗤うだけ。
しかし、ジャームはカシルの正体不明の力で致命的なだが決して触れることの出来ない場所を傷つけられていた。
ジャーム :
「グッ、ギ、ッガアアアアア……!!」 ジャームが苦悶の声を上げながら倒れる
ジャーム :
「グ、ゥ……ウゥゥウ……!!!」
だが、体が変形してもなお、その目から敵意は消えていない
海霧 :
「……。もういいわ」
GM :
しかし海霧は再び霧でジャームを包み込み、その場から脱出させてしまった。
澱カシル :
「 つぎは貴女ですか……? 」
カシルの伸びて垂れた前髪の奥から、黒い視線が海霧へ伸びる。
海霧 :
「随分好戦的だこと。もう戦う気はないわ……今はね」
澱カシル :
「戦いは嫌いです……でも、こよみちゃんを諦めないのなら容赦しませんから……」
海霧 :
「それにしては楽しそうに戦ってたけどね……」
澱カシル :
「やめてください………自分の嫌いな面をさらけ出して、嬉しいわけがありません……」
琵琶坂藍依 :
「この場から撤退するつもり? 私達が貴女を逃がしてあげると思う?」教室の空間遮断を行なっているのは、おそらく海霧の能力。こよみを助けに向かうには、この場で戦闘不能状態にしてしまうのが吉だ。
海霧 :
「逃げれるわよ。だってここはわたしの領域なんだから」
海霧 :
「そもそも、今回わたしはあなた達の力を見たかっただけ。ここで始末するつもりなら、最初からわたしも戦っている」 その手に持った刀は鞘に収まったまま
海霧 :
「どれほどの実力か、今まで分からなかったけれど……」
海霧 :
「光を操る普通のオーヴァードに、自称怪物のただのレネゲイドビーイング。これなら対処可能な程度だと、ここで知れてよかったわ」
琵琶坂藍依 :
「……!!」オーヴァードとしての実力に自負があった訳ではない。
実際のところ、彼女の操る領域に対して、打つ手がないのは明確。
琵琶坂藍依 :
だが、彼女の言葉どおりに相手が強大だったのなら、イロハちゃんを守り通せるかどうか。こよみを取り戻せるかどうか。
澱カシル :
「………そうですか。」
ただのレネゲイドビーイングと侮られたことに対して、わずかな不満とそう呼ばれるのは悪くないという感覚が混ざり合う。
海霧 :
「……あら、自称怪物さんはご不満だったかしら」 声色を聞いて、カシルを見つめ
海霧 :
「でも、怪物っていうのはこういうもの……だなんていう割には」
海霧 :
「仲間のために戦って、味方を力に巻き込まないように気遣って、戦いも好きじゃない自分をさらけ出すのも嫌って……」
海霧 :
「そんなの怪物とは呼べないんじゃない?あなたはあなたが思っている程、普通のオーヴァードやレネゲイドビーイングと変わらないようにわたしには見えたけど?」
澱カシル :
「そ、れは……」
そうであったらいい。カシルの願望通りの言葉。
だけど……素直に敵の言葉を受け止めてしまっていいのだろうか?
欲しかった言葉だけど、海霧に言われたかった言葉ではない。
琵琶坂藍依 :
「……怪物とか、怪物じゃないとか、そんなのどうでもいい」
琵琶坂藍依 :
「カシルもクラッドカルトも、今はMARiNE SNOWの、私の大事な仲間だ」
琵琶坂藍依 :
「……逆に言わせてもらうけど、貴女の方が怪物なんじゃないカイム?」
琵琶坂藍依 :
「何のためか分からないけど、貴女はコヨミとクラッドカルトの命を狙っているんでしょう?」
海霧 :
「いいえ。わたし達はただ、クラッドカルトが必要なだけ」
海霧 :
「ただ、大人しく渡さないなら……宿主には死んでもらっても構わないと思っているけれどね」 ぞっとするような笑みを浮かべる
澱カシル :
「大人しく渡したとしても……クラッドカルトから引き離せば、こよみちゃんもタダでは済みません。」
「命を狙っているのと変わりませんよ。」
琵琶坂藍依 :
「やっぱり貴女こそ怪物だよ、カイム」
琵琶坂藍依 :
「人の命を、なんとも思わないなんて」海霧の笑顔を見て、顔を顰める。
海霧 :
「ふふっ、そうね。そうかもしれないわね」
海霧 :
「だけどわたしが怪物とか怪物じゃないとか……別にどうでもいいの」 涼しい顔で
海霧 :
「それよりも気になるのは、あなたの後ろの女の子」 彩羽を見て
海霧 :
「どうせなら、その子の力も見ておきたかったのだけど……残念だわ」
琵琶坂藍依 :
「イロハちゃんの……?」
海霧 :
「どんな力を隠し持ってるのか気になるでしょ?こちらの障害になりうるかどうか……」
海霧 :
「まあ、今のところ戦意はないみたいだけど……。仮にもオーヴァードなら、土壇場で何しでかすか分からないもの」
琵琶坂藍依 :
「……この子には、指一本触れさせないよ」光弾を込めて、海霧に銃口を向ける。
空本彩羽 :
「藍依ちゃん……」
海霧 :
「あらあら、怖い怖い……そんなに大事なのね」
海霧 :
「人質にでも取ってあげたら、どうなるのかしら……?」 銃口を向けられても気にせずに笑ってみせて
琵琶坂藍依 :
「…………」海霧を睨みつけて、トリガーに指をかける。
海霧 :
「……ふふっ」
GM :
妖しく笑った海霧が手で宙を払うと、また霧が生み出される。
GM :
霧は瞬く間に教室に充満し、藍依達の視界は真っ白に塗り潰された。
琵琶坂藍依 :
「逃がさないッ!!」
琵琶坂藍依 :
こよみと同じ顔の海里と海霧には、敵意を向けづらい。
だが、それでも。彼女らは紛れもない敵だ。トリガーを引き絞る。
琵琶坂藍依 :
青いレーザーは白い霧のカーテンを引き裂き、海霧がいたはずの空間を射抜く。
GM :
海霧は《瞬間退場》を使用し、シーンから退場する形で弾丸を回避。
GM :
そして次に霧が晴れた時、彼女の姿は教室から消えている。
琵琶坂藍依 :
「……仕留め損ねた、か」どことなく安堵の色が混じっている。先程の戦闘、敵を含めて一人の死者も出なかったからだ。
空本彩羽 :
「どこ行っちゃったんだろ……」
琵琶坂藍依 :
「どうなんだろうね……私達が見える範囲にはいそうだけど……」
澱カシル :
「好転はしませんでしたが……藍依ちゃんと彩羽ちゃんが無事で何よりです。」
引きちぎった魔除けを拾い集めて、一旦は元の白いカシルに戻る。
琵琶坂藍依 :
「私達は無事……って、そうだよカシル……! 怪我は大丈夫……!?」
空本彩羽 :
「ほ、ほんとですよ……大丈夫なんですか?その怪我……」
澱カシル :
「うん、まあ………人間じゃないし……怪物でもないらしいけど。」
澱カシル :
「何されても平気、ってわけじゃないですけど、今のところ動きに支障はありません!」
空本彩羽 :
「え、えぇ~……!普通なら救急車いりそうなのに……オーヴァードってすごいんですね……?」
琵琶坂藍依 :
「確かにオーヴァードの耐久と回復能力はすごく高い……けど、その傷は痛むでしょ……?」
澱カシル :
「心配してくれてありがとね、藍依ちゃん。」
「でも……痛いのは平気です。」
琵琶坂藍依 :
「そこまで言うのなら……あんまり気にしないようにするけど……」
琵琶坂藍依 :
「無理だけはしちゃダメだよ? 約束して?」平気。自死の直前、久能胡桃は口癖のように言っていた。今度は見逃す訳にはいかない。
澱カシル :
「…………わたくしは人間ではないですし、無理をしているわけでは……」
「──いえ、藍依ちゃんがそう言うのであれば。」
澱カシル :
「指切りでもしましょうか。」
琵琶坂藍依 :
「……指切り? 私、もうすぐ高校卒業なんだけどな?」少し子供っぽくないかな、と笑う。
澱カシル :
「子どもっぽいでしょうか?」
「でも藍依ちゃんにも約束してもらわないと。」
琵琶坂藍依 :
「ええ、私にも?」
澱カシル :
「藍依ちゃんこそ、無理をしそうですから。」
マリスノの皆にそういう節があるからお互い様、と笑う
琵琶坂藍依 :
「…………」カシルの手を見つめ
琵琶坂藍依 :
「……いや、良いよ。必要ない。私は無理なんてしないから大丈夫」首を横に振る。
澱カシル :
「………針千本飲ませますよ?」
ムッとした態度で
琵琶坂藍依 :
「ハリセンボンの約束、まだしてないから無効だよ」肩を竦める。
琵琶坂藍依 :
「────ともかく、二人とも動けそうでよかった」
空本彩羽 :
「あたしは元から何も……藍依ちゃん達が守ってくれてたから……」
澱カシル :
「無事なのは嬉しいですけど、これからどうしましょうか……」
うまく躱した藍依をじとりと見るが、やめにして
空本彩羽 :
「やっぱり、藍依ちゃんがさっき言ってたけど支部?の人達を頼りにするしかないんじゃ……?」
琵琶坂藍依 :
「さっきの交戦で空間遮断の能力が弱まっていれば別なんだけど……」と教室の扉を開けようとする。
GM :
扉は相変わらず開かないですね。
琵琶坂藍依 :
「そうだね……、情けない話だけど、応援を待つしかなさそうだ……」溜息を吐く。
空本彩羽 :
「……いや、待ってください」
空本彩羽 :
「あの、あたし……こんな時にちょっと言いたいことがあるんですけど……いいですか?」
澱カシル :
「何でしょうか?」
空本彩羽 :
「あの、えっと……ずっと我慢してたんだけど……」
空本彩羽 :
「…………」
空本彩羽 :
「銃で戦ってる藍依ちゃん……めちゃくちゃかっこよくありませんでした!?!?」
空本彩羽 :
「しかも、この子には指一本触れさせない……だなんて!!お、思い出しただけでこんなのやばすぎる!!!もう無理!!!!!」 興奮してめちゃくちゃ笑顔になって叫ぶ
琵琶坂藍依 :
「い、イロハちゃん……」
澱カシル :
「ふふっ、そこですか!?」
「確かに藍依ちゃんはいつもカッコいいですよ!」
「今日はいつもより気合い入ってますけれど。彩羽ちゃんのおかげでしょうか?」
空本彩羽 :
「いやあの、そんな状況じゃないと思ってたから黙ってたんだけど……!情けないなんて聞いたら我慢出来なくてつい……!!」
琵琶坂藍依 :
「ただ私は、イロハちゃんの気持ちに応えたいと思って、必死だっただけだよ……」
空本彩羽 :
「やばすぎ~~~~~……死にますね……」
琵琶坂藍依 :
「せっかく守り通したのに、私が死因になっちゃうのは本末転倒だよ……!!」
琵琶坂藍依 :
「キミは生きなきゃダメだよ、イロハちゃん」
空本彩羽 :
「わかりました、生きまあす!!!」
琵琶坂藍依 :
「凄い……私の一挙手一投足で、イロハちゃんの生死が左右されてる……」
GM :
ではそんな風に、戦いの直後ですが変なオタクが推し語りしたところでシーン終了。
GM :
ロイスの取得と感情変更が可能なのと、任意でPCのHPを最大値まで回復できます。
琵琶坂藍依 :
カシルちゃんに連帯感/悔悟のN表でロイスを取りますの! 畏怖するべき怪物ではなく、同じグループの仲間として見てるけど、ふとした瞬間、親友の胡桃ちゃんと重ねて見てしまう感じ!!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] ロイス : 5 → 6
澱カシル :
まずは全回復!
それからロイスが
海霧ちゃんに好意/憎悪のN
ビワちゃんに友情/不安のPで!
system :
[ 澱カシル ] HP : 6 → 28
system :
[ 澱カシル ] ロイス : 4 → 6
澱カシル :
海霧ちゃんのフラットな目線は嫌いじゃないけど、こよみちゃんは返せ
ビワちゃんは相変わらず頼れるけど、1人で何でも背負おうとしすぎるのは変わらないから不安!
そんな感じです
GM :
了解了解です、では次のシーンへ
Scene08 海霧と海里
Scene Player:-
GM :
このシーンは情報収集のためのシーンになります。
GM :
調査項目は以下の通り。
調査項目
◆海霧について
〈情報:UGN、裏社会〉 7
◆海里について
〈情報:UGN、裏社会〉 7
GM :
こんな感じ。教室に閉じ込められているので、外部と連絡を取って情報収集するってことになります。なのでコネの類は使用可能。
澱カシル :
お、通話が通るんだ
GM :
電波は遮断してないからね
GM :
こよボタンで侵蝕は上げれるようになってるので、登場して調べる人は登場侵蝕振って調査項目を宣言してください
琵琶坂藍依 :
1d10+83(1D10+83) > 7[7]+83 > 90
琵琶坂藍依 :
◆海霧について 調査しましょう!
GM :
了解です、判定どうぞー
琵琶坂藍依 :
3dx 目標7(3DX10) > 9[6,7,9] > 9
GM :
成功!
澱カシル :
1d10+89(1D10+89) > 6[6]+89 > 95
澱カシル :
海里ちゃんの方の情報を調べるのよね、そっちやりかたかったのでありがたい
GM :
では海霧の情報を公開
◆海霧について
彼女の正体は、FHによって作られた天海こよみのクローンである。
レネゲイドを利用して作られたクローンは複製体と総称されるが、何故か彼女は複製体ではなく幻想体と呼ばれている。
FHは一ヵ月前から、クラッドカルトを奪うための器として、天海こよみのクローンを作り始めた。
しかし海霧はFHが求める能力を得ることが出来なかった失敗作だったらしく、また別のクローンが作られることとなった。
シンドロームはキュマイラ/オルクスのクロスブリード。
オルクスシンドロームのエネミーエフェクト《ブレインジャック》を使うことで、対象の行動を操ることが出来る。
海霧はFHの施設にいたジャーム達をこの力で意のままに操り、手駒として使っている。
GM :
読めたら言って貰って!
澱カシル :
読んだ!シンドロームは同じだけど能力が全然違う
琵琶坂藍依 :
なるほど、クローンだったのね! 通りで似てる訳!!
GM :
そう!じゃあ次はカシルちゃんかな
澱カシル :
海里ちゃん振ります!
GM :
はーい、どうぞ
澱カシル :
7dx+3 情報UGN 装備補正+2込み(7DX10+3) > 9[1,1,2,7,7,8,9]+3 > 12
GM :
では成功、公開します
◆海里について
彼女の正体は、FHによって作られた天海こよみのクローンである。
レネゲイドを利用して作られたクローンは複製体と総称されるが、何故か彼女は複製体ではなく幻想体と呼ばれている。
シンドロームはキュマイラ/オルクス/ウロボロスのトライブリード。
こよみのレネゲイドに新たに付け加えられたウロボロスシンドローム。そのレネゲイド吸収能力を使い、クラッドカルトを奪い取ることを目的に作られた。
こよみのクローンである理由は、こよみのレネゲイドがクラッドカルトと強く適合する性質にFHが目を付けたからだろう。
GM :
どちらから調べてもいいように大体は同じ
澱カシル :
こっちはウロ付き!
成功作と失敗作だけど、2人仲良く(?)行動してる
琵琶坂藍依 :
ウロボロス能力を使ったクラッドカルト強制奪取か~……なるほどな~……
GM :
そういうわけですね
GM :
あとここで、新たに幻想体について調べることが出来ます。
GM :
技能は〈情報:UGN〉か〈知識:レネゲイド〉で、目標値は8。
GM :
ので、どちらかまた出て貰って調べて欲しいんだけどどうするかな。
琵琶坂藍依 :
私が登場しよう
GM :
琵琶坂院。では登場侵蝕お願いします
琵琶坂藍依 :
1d10+90(1D10+90) > 6[6]+90 > 96
琵琶坂藍依 :
4dx 知識:レネゲイドで目標8(4DX10) > 5[1,3,4,5] > 5
琵琶坂藍依 :
ひぃぃん……
GM :
足りてない!
GM :
失敗したけど、ハウスルールで次は難易度は下がって6になります。
澱カシル :
次は私が出よう
澱カシル :
1d10+95(1D10+95) > 8[8]+95 > 103
GM :
では判定どうぞー
澱カシル :
8dx+3 情報UGN 装備補正+2込み(8DX10+3) > 10[1,3,5,6,7,9,9,10]+9[9]+3 > 22
GM :
めっちゃ高い、成功です
GM :
では公開
◆幻想体について
これまでレネゲイドを利用したクローン技術は、肉体の複製はともかく、エフェクトやシンドロームの複製はまだ不完全にしか行えなかった。
しかしFHのとあるセルは素体から採取したレネゲイドを培養し、レネゲイドビーイング化させることで能力の完全な複製に成功した。
このクローンレネゲイドビーイングのことを、FHは幻想体と呼称している。
さらに、FHの技術力で強制的にレネゲイドを進化させることで、幻想体は元となったオーヴァードの性能を超える力を獲得することが出来る。
海霧と海里がこよみを成長させたような姿なのは、彼女達の力がこよみを上回っていることを示している。
GM :
上位互換こよ
琵琶坂藍依 :
なるほど、レネゲイドビーイング化のプロセスを経ているから"複製"体ではなく"幻想"体って訳。
琵琶坂藍依 :
でも、オーヴァードとしての上位互換になったところで、こよこよの真価はオーヴァードとしての能力じゃないが????
GM :
大切なのは心こよねえ…
GM :
とりあえず、これ以上追加の情報はありません。
GM :
共有に関してはまた別のシーンにやるので、これでシーン終了になるよ。
澱カシル :
おけおけ〜
琵琶坂藍依 :
おっけい!
GM :
ではシーン終了。
Scene09 二つの姉妹
Scene Player:-
屋内プール
GM :
同時刻。
GM :
水泳の授業や、水泳部が放課後に使う屋内プール。
GM :
そのプールサイドで、二人のオーヴァードが交戦していた。
GM :
一人は海里。
GM :
そしてもう一人は、天海こよみ。
海里 :
「はあ……っ!」
GM :
海里の息が響く。
GM :
握りしめた剣に蛍光灯の光が反射し、一瞬の煌めきを放った。
GM :
彼女は一歩前に踏み込み、こよみに斬りかかる。
GM :
しかし、こよみは咄嗟に後方へ跳んで斬撃を躱した。
天海こよみ :
「……!」
GM :
だが、海里の本命は剣の斬撃ではなかった。
GM :
その太刀筋に追従するように巻き起こる、海水の波。
GM :
オルクスシンドロームの領域から生み出された海水が刃先から飛び出し、ウォーターカッターのようにこよみを切断しようと迫る。
GM :
海里はこよみのレネゲイドをコピーした幻想体。
GM :
オリジナルと同じく、海を司る力を操ることができる。
GM :
しかし、両者には決定的な違いがあった。
天海こよみ :
「クラちゃん!!」
GM :
こよみの呼びかけに応じるように、大気が激しく振動を始める。
GM :
その振動は爆発的に拡散し、迫り来る攻撃を迎え撃つ。
GM :
海水の刃は震える大気に阻まれて無力化され、音を立てて弾け散った。
GM :
────クラッドカルト。
GM :
それは人間社会における偶像、崇拝される存在を取り巻く意識の集合体。
GM :
そこから更に進化した友人をこよみはその身に宿し、彼女と共に戦っている。
GM :
こよみはクラッドカルトと力を合わせることで、自分を超える力を持つ幻想体とも互角に渡り合うことが出来ていた。
海里 :
「強い、ですね……さすがです……」 跳躍して後退し、一旦こよみと距離を取る
海里 :
「わたしなんかより、ずっと強い……」
GM :
自分の攻撃を悉く防ぎ続けるこよみに、海里は卑屈な笑みを浮かべる。
天海こよみ :
「…………」 そんな彼女をジッと見て
天海こよみ :
「ねえ、海里……さん」
天海こよみ :
「あの……」
海里 :
「……?」
天海こよみ :
「もしかして、本当は……」
天海こよみ :
「たたかいたく、なかったり……する?」
海里 :
「……え?」
海里 :
「どうして、そう思うんです……?」
天海こよみ :
「だって……」
天海こよみ :
「あのお姉さんがいなくなってから、なんだか……あんまり、いきおい……みたいなのが、なくなった気がしたから……」
海里 :
「…………」
天海こよみ :
「だからほんとは、たたかいたくないんじゃないかなって……」
天海こよみ :
「そう思ったんだけど、ちがう……かな……?」
海里 :
「…………」
クラッドカルト :
「(……そうなの?)」
GM :
こよみの心の中で、クラッドカルトが驚いた声をあげる。
GM :
分身を出現させていない時でも、こよみとクラッドカルトは心の中で会話が可能だった。
天海こよみ :
「(うん……。たぶん……)」
クラッドカルト :
「(でもあいつ、コヨミのことおそってるよ!やりたくないのになんでそんなひどいことするの!?クラあいつきらい!!)」
天海こよみ :
「(お、おちついて、クラちゃん……)」
天海こよみ :
「(クラちゃんも見たでしょ……?この人の、お姉さん……)」
クラッドカルト :
「(……うん。今はいないけど)」
天海こよみ :
「(多分、あの人にむりやりやらされてるんだよ。ぼくは、そう思うな……)」
クラッドカルト :
「(そうなの……?)」
天海こよみ :
「(うん……)」
クラッドカルト :
「……ねえ!そうなの?」
GM :
《ファーコンタクト》を使用し、こよみの傍に現れたクラッドカルトが問いかける。
海里 :
「え……」
海里 :
「えっと……あの……」
天海こよみ :
「…………」
海里 :
「わ、わたし……わたしは……」
海霧 :
「わたしは、何?海里」
GM :
海霧の声が響く。
GM :
そして同時に、こよみの体から何かが破裂したような水音が鳴った。
天海こよみ :
「……っ!?」
GM :
オルクスシンドロームのエネミーエフェクト《見えざる道》。領域を調節し、どんな場所にも通じる抜け道を作る力。
GM :
海霧はその力を使って瞬時にこよみの目の前に出現し、彼女の胸を刀で貫いていた。
海霧 :
「妹と余計なお喋りをしないでもらえる?……天海こよみ」
GM :
海霧は静かにそう言いながら、こよみの胸から腹部までを一気に引き裂いた。
天海こよみ :
「あ、ぐ……うああああああ……っ!!」
GM :
悲鳴と共に、こよみの体から血が噴水のように溢れ出す。
クラッドカルト :
「コヨミ……!!」
GM :
クラッドカルトは顔を真っ青にしながらも、床に倒れるこよみの体を咄嗟に支える。
GM :
だが、こよみの傷口は深く、溢れ出る血は止まらない。
GM :
不死身の体を持つオーヴァードと言えど、壊れてはいけない部分が壊れてしまっているようだった。
海霧 :
「……海里」
GM :
海霧はこよみが戦闘不能になったことを確認した後、海里の方へと近寄っていく。
海里 :
「姉さん……」
海霧 :
「……わたし達には、クラッドカルトの力が必要よ」
海霧 :
「分かるわよね、海里」
海里 :
「……は、い」
海霧 :
「だったら、早くあいつを倒しなさい。クラッドカルトを奪い取るの」
GM :
海霧が海里の目を見て、命令する。
GM :
海里は一瞬、彼女から目を逸らすが、
海里 :
「……はい」 その命令に反抗することはなく、小さく頷く。
GM :
海里が両手で上段に構えた剣、その刃先に海水が球状に集められていく。
GM :
プールに溜まっている水にもオルクスの因子が取りつき、海水に変化しながら剣に引き寄せられていた。
クラッドカルト :
「コヨミ!コヨミ、やばい!にげなきゃ!コヨミ!!」
天海こよみ :
「…………っ」
GM :
収束し続ける海水を横目に、クラッドカルトが顔を青くしながらこよみに呼びかける。
GM :
しかし、こよみはもうその場から動くことが出来なかった。
クラッドカルト :
「……っ!コヨミは、クラがまもる……!まもるから……!!」
GM :
もう逃げることが出来ないと悟ったクラッドカルトは、こよみを守るように海里の前に立ち塞がろうとする。
GM :
だが、
天海こよみ :
「まって、ダメ……クラちゃん……っ」
GM :
こよみが立ち上がろうとしたクラッドカルトの手を取って引っ張る。
GM :
クラッドカルトはバランスを崩して、こよみのすぐ傍に転んでしまった。
クラッドカルト :
「なにするの、コヨミ!…………!?」
GM :
……やがて、海里の攻撃の準備が完了する。
GM :
球状に纏められた海水は限界まで圧縮され、深海から掬い取ったように真っ黒に染まっていた。
海霧 :
「やりなさい……海里」
GM :
海里が剣を振り下ろす。
GM :
一気に解放された海水は津波となって、こよみとクラッドカルトに押し寄せた。
GM :
屋内プールの天井にまで届く高さの津波だ。こよみが仮に動けたとしても、もはや逃げ場のない攻撃だった。
天海こよみ :
「…………………………………………………………!!!」
GM :
こよみ達は何の抵抗も出来ず、津波に呑み込まれる。
GM :
荒れ狂う海の一撃は、クラッドカルトの分身を一瞬で消しさり……こよみの意識をも海の底に沈める。
GM :
やがて波が引いた後、その場に残されたのは、気を失ったこよみだけだった。
海霧 :
「……よくやったわ。さあ海里、あとはクラッドカルトを奪って────」
海里 :
「……っ、はぁ、はぁ……。あ、ぅ……」 刀を杖代わりにしながら、辛そうに荒く息を繰り返す
海霧 :
「…………」
海霧 :
「いえ、いいわ。行きましょう、海里」 こよみに背を向け、出口の方へ向かおうとする
海里 :
「え……?え?あ、あの……」
海霧 :
「どうしたの?」
海里 :
「え、えっと……。クラッドカルト……奪わなくて、いいんですか……?」
海霧 :
「……それは、後でいい」
海霧 :
「今の海里のレネゲイドは、ずっと戦っていたせいでかなり不安定になってるでしょ?」
海霧 :
「そんな状態で、クラッドカルトをちゃんと奪い取れるとは思えない」
海霧 :
「天海こよみは気絶しているけど、クラッドカルト本体が抵抗しないとも限らないし……最後の最後で失敗されても困るわ」
海霧 :
「クラッドカルトを奪い取れるのは、あなただけなんだから……」
海霧 :
「今は少し休みなさい。保健室ならベッドがあるはずだから」
海里 :
「で、でも……」
海霧 :
「大丈夫よ、あいつはもう起きない。仮に意識が回復しても、すぐに動けるような身体じゃないわ」 こよみを見て
海霧 :
「それよりも、今はあのお邪魔虫達の方が問題なの」
海霧 :
「領域を閉じ続けるのも、限界が近い……。それまでに、あいつらを排除しておかないと」
海霧 :
「事が終わってから、外で待機してる他のUGNのエージェント達から逃げることも出来なくなるわ」
海里 :
「じゃ、じゃあ、わたしも一緒に……」
海霧 :
「ちょっと、人の話聞いてた?わたしのことはいいから、あなたはまず体を休めなさい」
海里 :
「でも……」 心配そうに見て
海霧 :
「……もし何かあったら、ちゃんと呼ぶから。それでいい?」
海里 :
「……。分かりました……」
海霧 :
「……いい子ね」
GM :
海霧は海里の頭を優しく撫でてから、彼女の乱れた服装を軽く整えてやる。
海霧 :
「じゃあ、行くわよ。ついてきなさい」
GM :
海霧は海里の手を取ると、屋内プールの出口に向かって歩いていく。
海里 :
「……。はい……」
GM :
海里は倒れているこよみを一瞥してから、姉の後に続いて行った……。
GM :
シーン終了。
Scene10 存在しない者達
Scene Player:澱カシル
GM :
ミドルフェイズ最後のシーンになります。
GM :
登場は全員。登場侵蝕のダイスをお願いします。
琵琶坂藍依 :
1d10+96(1D10+96) > 7[7]+96 > 103
澱カシル :
1d10+103(1D10+103) > 6[6]+103 > 109
教室
GM :
藍依とカシルは外部と連絡を取るなどして情報を手に入れた。
GM :
教室からの脱出は叶わないとはいえ、これからの方針を決めるためにも、情報の共有と整理が必要だろう……。
澱カシル :
「なるほど……海里さんも海霧さんもこよみちゃんを元に作られたレネゲイドビーイングだったんですね」
得た情報を交換し、相手の正体を把握する。
澱カシル :
「海里さんに初めて会った時にこよみちゃんに凄く近い印象を受けたのは、気のせいではなかったんですね」
琵琶坂藍依 :
「クローンレネゲイドビーイングか……まだ生まれてから一ヵ月程らしいけど、とてもそう見えなかったな……」
澱カシル :
「個体によりけり、かな。精神的にとても幼い……クラッドカルトのようなRBもいれば、アタシのようにある程度言語は習得していたり……」
空本彩羽 :
「クローンって……そ、そんなのあり……?」
空本彩羽 :
「こよちゃんはこのこと、知ってるのかな……」
琵琶坂藍依 :
「どうだろう……いきなり襲撃を受けたコヨミは、そのまま孤軍奮闘しているハズで……」
澱カシル :
「アタシたちが今さっき調査してもらった情報ですし、こよみちゃんは知らないんじゃないかな。」
空本彩羽 :
「そ、それならまだよかった……のかな。こよちゃん、怖がりだし……クローンなんて聞いたら、怖くて眠れなくなっちゃいそうかも……」
澱カシル :
「怖い……ですか? それはどうしてでしょう?」
お化けとは違う、人が物理的に生み出したモノなのにと問う。
空本彩羽 :
「どうしてって……普通に怖くないですか? 自分の遺伝子から作られた偽物なんて」
空本彩羽 :
「あたしだったら、全部同じ姿したのが目の前に現れたら凄い嫌だし……なんか気持ち悪いとも思っちゃうかな~って……」
空本彩羽 :
「まあ、あの人たちはこよちゃんを成長させた見た目?らしいけど……自分より優れた偽物っていうのも、なんか……もやっとするっていうか……」
澱カシル :
「…………。優れた偽物がいてはいけませんか? 例え偽物がいても、本物が最初に居たという価値は変わらないのに……。」
胡桃の偽物である自分は彼女を超えようとしている。だがそれは本物の可能性の再証明でもあるのだから……決して本物を損なう行為ではないのだ。
琵琶坂藍依 :
「どんなに似ていたとしても、どんなに優れていたとしても」
琵琶坂藍依 :
「偽物は本物になれないし、同じく本物は偽物にはなれない」
琵琶坂藍依 :
「どこまでいっても、それぞれ別のものだ」
琵琶坂藍依 :
「……わざわざオリジナルに成りかわるコトを目的に造られてしまったクローンは、かわいそうな存在かもしれないね」
空本彩羽 :
「そこまで難しくは考えてなかったけど、そうかも……」
空本彩羽 :
「多分、だから人間のクローンは作っちゃダメ……って、ルールか何かあったような……」
澱カシル :
「それに……こよみちゃんはですね、怖がりだけど強い子なんです。だからアタシを受け入れてくれてる。」
澱カシル :
「クローンだとしても、きっと大丈夫。」
「もしかしたら、海里ちゃんと仲良くなって帰ってきちゃうかも。」
琵琶坂藍依 :
「……そうだね、コヨミはそういう子だ」
琵琶坂藍依 :
「クローンにも誰にだってマネできない魅力を、輝きを持った子だ」
空本彩羽 :
「そ、そうなんです?同じグループの人がそう言うなら、そうなのかな……」
空本彩羽 :
「まあ、あたしも……ただ心配だってだけで、こよちゃんが何人いようとあたしの友達はあのこよちゃんだけですしね」 小さく笑う
琵琶坂藍依 :
「うん、コヨミの代わりは誰にも務まらない」
琵琶坂藍依 :
「…………けど、そのコヨミを助けに向かう為の手段は、遂に見つけられなかったな」小さく呟いて目を伏せる。
琵琶坂藍依 :
UGNとの連絡で得た情報でも、この空間から抜け出す糸口さえ見つからなかった。
琵琶坂藍依 :
キミは必ず守る。こよみを渡したりしない。だなんて、大口を叩いておきながら、
やっぱり私には、現状を打開する術が無い。誰ひとりとして、助け出すコトができない。
琵琶坂藍依 :
「…………」あまりの無力さに溜息が出る。いつもこうだ。
琵琶坂藍依 :
……最近、アイドルというものを見直して、気付いたことがある。
琵琶坂藍依 :
人を惹きつけるのは、結局のところ「本人の人間としての魅力」。謂わば「輝き」のようなもの。
歌やダンスはあくまで「輝き」を表現する手段の一つにすぎない。
琵琶坂藍依 :
……その点、私には何にもない。こよみと違って、空っぽなのだ。
あるのは歌唱力やダンス力だけ。技巧だけでは誰も魅せられない。
琵琶坂藍依 :
あのスキャンダルの後、他事務所のアイドルオーディションに受からなかったのも当たり前。
醜聞のマイナスを押しのけて採用したいと思わせるような魅力が、「輝き」が、私にはない。
琵琶坂藍依 :
メジャーアイドルとして活躍できていたのは、きっと所属事務所の力が大きかったのだろう。
琵琶坂藍依 :
他人が見ているからと余裕があるように振る舞っていても、自分自身の気持ちまで騙せない。
琵琶坂藍依 :
────私は無力だ。オーヴァードとしても、アイドルとしても。
琵琶坂藍依 :
なのになんで、イロハちゃんは、私を慕っていてくれるのだろう。
琵琶坂藍依 :
「……ねえ、カイムのせいで、時間は有り余ってるみたいだからさ、一つ聞いてみてもいい?」疲れた様子で、イロハちゃんに問う。
空本彩羽 :
「え?なんですか?」
空本彩羽 :
「なんでも聞いてください!」
琵琶坂藍依 :
「何でも、ね。それじゃ、遠慮なく」
琵琶坂藍依 :
「……イロハちゃんは、私のどんなところが好き?」
空本彩羽 :
「どんなところ!?」
空本彩羽 :
「難しい質問ですね……」
琵琶坂藍依 :
「難しい……そうだよね……」自分には分からない。私は私が嫌いだから。
空本彩羽 :
「好きなところが多すぎて、どういえばいいのやら……」 うーん、と悩む
琵琶坂藍依 :
「…………やっぱり、顔とか?」顔は褒められるコトが多い。ホストと浮気した母親の間にできた顔。私が嫌いな顔。
空本彩羽 :
「顔!それもあります!顔が良すぎるってテレビで見た時思ったもん!」
空本彩羽 :
「でもそれだけじゃないかな~。中身もめっちゃ好きですよ!」
琵琶坂藍依 :
「中身が……?」
空本彩羽 :
「中身です!抽象的すぎました?」
琵琶坂藍依 :
「うん、よく分からない」いちばん嫌いなのが、からっぽの中身だ。私を好きになるところなんて。
空本彩羽 :
「そうですね~。何て言えばいいんだろ?あんまり言葉に表したことってないんだけど……」
空本彩羽 :
「中身について最初に好きって思ったのは、ライブのDVDの裏側見れるやつで、胡桃ちゃんと話してるのを見た時かも」
琵琶坂藍依 :
「ああ……そんなのあったね……」舞台でのパフォーマンスには関係ないから、あんまり気乗りしなかった特典映像。
空本彩羽 :
「藍依ちゃん、胡桃ちゃんといっしょにいる時はすっごく楽しそうにしてるように見えたんですよね~」
空本彩羽 :
「この子がいっしょだからアイドルやってるっていうか……それくらい仲良しじゃありませんでした?」
琵琶坂藍依 :
「うん、当時の私にとって、胡桃は心の支えで……」
琵琶坂藍依 :
「二人で武道館に立つことを、夢見ていたんだ……」
空本彩羽 :
「ですよね……」 胡桃が死に、その夢がもう叶わないことを思い出して少し悲しくなるが、
空本彩羽 :
「じゃあ、やっぱりそういう夢があったからなのかな。胡桃ちゃんが一緒だと、藍依ちゃんがもっと輝いて見えたのは」
琵琶坂藍依 :
「私が、輝いて見えた……?」驚いた表情で聞き返す。
空本彩羽 :
「見えた見えた、見えました!」 当時を懐かしむように笑う
澱カシル :
「そうですね、あの時のSeventh Heavenは皆輝いてみえて……」
澱カシル :
「わたくしもSeventh Heavenの輝きに憧れて、今がありますから。」
琵琶坂藍依 :
「…………そう、胡桃が隣にいたからか」
空本彩羽 :
「あ、もちろん藍依ちゃんが一人だと輝いてないとか、そういうことを言いたいんじゃないですよ!?」
琵琶坂藍依 :
「いや、いいんだ、分かってる」
琵琶坂藍依 :
胡桃を失って、私は輝きを失った。確かにパフォーマンスの低下には筋が通る。
空本彩羽 :
「えっ……ちゃんと分かってる!?」 落ち込んでいるように見えて、心配そうに
琵琶坂藍依 :
「でも、久々に私を見て、本当のところイロハちゃんは幻滅したんじゃない……?」
琵琶坂藍依 :
「今の私は…………」
空本彩羽 :
「げ、幻滅!?なんで!?あんなめちゃくちゃ良過ぎなファンサされて幻滅する要素がどこに!?」
琵琶坂藍依 :
「もちろん、頑張ってはいたけど」
琵琶坂藍依 :
「Seventh Heavenの輝いていた私と、今の私は違うでしょ」
空本彩羽 :
「え?えーっと……」
空本彩羽 :
「そりゃ、確かに……最初に会った時とか、すっごい誤魔化してたし、なんだか怯えてたようにも見えましたけど……」
空本彩羽 :
「……藍依ちゃん、もしかしてなんか、自信なくしてる……?」
琵琶坂藍依 :
「…………」無言は肯定を意味する。誰も見たことがないほど、弱りきった姿を晒している。
空本彩羽 :
「……。藍依ちゃん……」 察しはつく。胡桃がいなくなったことや炎上騒ぎ、誹謗中傷もあったのだから
澱カシル :
「…………。」
マリスノの初ライブまでの特訓の日々で、一度カシルに見せた藍依の苦悩を思い出す。
未だに胡桃との夢に囚われ続けているのだろう。
空本彩羽 :
「……藍依ちゃんは、自分が昔よりダメになった……って思ってるのに」
空本彩羽 :
「じゃあ、どうしてまたアイドルをやろうと思ったんですか……?」
琵琶坂藍依 :
「それは……」
琵琶坂藍依 :
「それが胡桃との約束だったから……私はトップアイドルにならなきゃいけないから……」
空本彩羽 :
「約束?胡桃ちゃんの……?」
琵琶坂藍依 :
「遺書に書いてあったんだ……自分のかわりにトップアイドルになってほしい、って……」
空本彩羽 :
「そうだったんだ……」
空本彩羽 :
「……なんか、それは……ちょっと嬉しいかも」
琵琶坂藍依 :
「嬉しい……?」
空本彩羽 :
「だって、藍依ちゃんは今も一人じゃないってことじゃないですか」
空本彩羽 :
「どうしてアイドルをまた始めたのか、ずっと気になって考えてたんだけど……」
空本彩羽 :
「胡桃ちゃんから希望を託されて、今も一緒に夢を叶えようって思ってたってことじゃん!すっごく素敵!」 安心した笑顔を見せて
琵琶坂藍依 :
「そう、かな……私にはそれしかなかっただけで……」
空本彩羽 :
「それしかないとか、やだなあ藍依ちゃん。そんなわけないでしょ~」
空本彩羽 :
「人間、選択肢なんていくらでもあるんだし……。それでも藍依ちゃんが胡桃ちゃんのことを想って、望んで夢を受け継いだだけじゃないですか」
琵琶坂藍依 :
「私が胡桃のことを想って……?」
琵琶坂藍依 :
────長くて険しいトップアイドルへの道程。最初の切っ掛けなんて、いつのまにか忘れていた。
琵琶坂藍依 :
だが、そう。私は彼女のためにアイドルになった。
琵琶坂藍依 :
はじまりは奇跡もいいところで「一人じゃ不安だ」と言う彼女の為に、一緒にオーディションに応募。
そのまま最終選考まで通過してしまって、なし崩し的に見知らぬアイドル業界に足を踏み出すコトに。
琵琶坂藍依 :
それまで独りぼっちだった私は、いきなり"シンデレラストーリー"と呼ぶに相応しい道を歩みだした。
ライブ開催。テレビ出演。雑誌撮影。
忙しくって苦しくって。でもイロハちゃんのようなファン達にも恵まれて。たしかに私は幸せだった。彼女のおかげで、幸せを手に入れた。
琵琶坂藍依 :
……それから今回も。
彼女に「トップアイドルになって」と願われたから、私はアイドル業界への復帰を決断した。
義務じゃない。そうしたいと思ったから。
空本彩羽 :
「逆に、胡桃ちゃんも藍依ちゃんのことを想ってそういう遺書にしたんだと……って、そんなの言われなくても藍依ちゃんは分かってるか」
空本彩羽 :
「えっと、あたしが幻滅したかって話でしたよね」
空本彩羽 :
「あたしが今更、藍依ちゃんのこと嫌いになるわけないじゃないですか。大体、アイドルだって人間なんだし、不調になったり自信がなくなったりすることもあるでしょ」
空本彩羽 :
「むしろあたしは、そういう時こそファンが応援してあげなきゃって思うな!」
空本彩羽 :
「だからあたし、今すっごく楽しみなんです!MARiNE SNOWのライブ行くの!」 そう笑って
琵琶坂藍依 :
「イロハちゃん……」
琵琶坂藍依 :
あのスキャンダルで、私は全て失くしたと思っていた。
けど、本当は違った。ただ見失っていただけ。
琵琶坂藍依 :
世間の声が怖くて、目を瞑っていたから見えなかったんだ。
────こうして、まだ応援してくれてるファン達のことが。
琵琶坂藍依 :
独りぼっちじゃない。自分を愛してくれてる大事な人達がいると、気付かせてくれたのは、胡桃の言葉だ。
琵琶坂藍依 :
トップアイドルを目指して、アイドルを続けてなければ、
この大事なものに気付かず、暗い生を終えていただろう。
琵琶坂藍依 :
……これまで、つらいことは沢山あったけれど。それでも。
琵琶坂藍依 :
今、こうして大事なものを手放さず済んだのは、胡桃の呪いがあったからだ。
琵琶坂藍依 :
「ごめんね、ヘンな事を聞いて……」
琵琶坂藍依 :
「カッコ悪いところ見せちゃって……」
空本彩羽 :
「あたしが何でも聞いて良いって言ったんだし、気にしないで」
空本彩羽 :
「それに別にかっこ悪くも……。いや、普段かっこいいんだから、ちょっとそういうところがあっても逆にかわいく思えますし……!」
琵琶坂藍依 :
「そう? それなら、もう少し甘えてみようかな?」
空本彩羽 :
「どうぞどうぞ!」 少しおかしそうに笑って
琵琶坂藍依 :
「……それなら、遠慮なく」再びイロハちゃんの肩を抱く。
琵琶坂藍依 :
ぎゅっと優しく。温もりを感じるために。
空本彩羽 :
「えっ!?!?アッ!?!!??!?甘えるってそういう、物理で!?!?!?」
空本彩羽 :
「やっぱりこれ夢かあ……」 顔を赤くしながら、熱で死んだように目を閉じてる
琵琶坂藍依 :
「ううん、夢じゃないよ」
琵琶坂藍依 :
「ありがとう、イロハちゃん。私に思い出させてくれて」
琵琶坂藍依 :
「……それから、これはオフレコでね?」耳元で囁く。
空本彩羽 :
「は、はい、はいぃ……了解でスゥーッ……」 顔がにやけながらなんとか返事した
GM :
ではそうして話していると、
GM :
また再び、教室に霧が現れ始める。
GM :
霧は瞬く間に充満し、全てを白く包み込んだ。
GM :
そして、藍依達は体に浮遊感を覚える。
GM :
この感覚を味わうのはもう三度目で、また別の場所に跳ばされるのだと二人はすぐに理解出来るだろう。
澱カシル :
「次はどこに………」
流石に落ち着いているが、警戒をもって
琵琶坂藍依 :
「どこだろうと、もう下を向いてなんていられない……! 次こそ状況を打開して、コヨミを助け出す策を……!!」
GM :
では、そうして三人が霧の中を落ちて行ったところでシーン終了。
GM :
ロイスの取得と感情変更が可能です。
琵琶坂藍依 :
胡桃ちゃんをSロイスに指定しましょう。今ある自分は彼女のおかげという気付き。
GM :
了解!では次のシーンへ
Scene11 海底に響く歌
Scene Player:琵琶坂藍依
GM :
クライマックスフェイズになります。
GM :
登場はPC全員。登場侵蝕のダイスをお願いします。
琵琶坂藍依 :
1d10+103(1D10+103) > 7[7]+103 > 110
澱カシル :
1d10+109(1D10+109) > 5[5]+109 > 114
体育館
GM :
霧が晴れた時、藍依達がいたのは体育館だった。
海霧 :
「いらっしゃい、邪魔者さん達」
GM :
そこで待っていたのは、こよみの幻想体────海霧。
GM :
そして、
GM :
彼女に付き従って体育館に整列するジャーム達。
GM :
その数はおそらく、五十体程度は存在する。
澱カシル :
「海霧さん……っ!」
再び現れた海霧と数を増したジャームに最大の警戒を向ける……が、周囲を見ていてあることに気づく。
澱カシル :
「………海霧さん、だけですか。」
海霧 :
「あら、わたし達だけじゃご不満?」
海霧 :
「それとも、あなた達にとってはこの程度の数が揃ったところで余裕だとでも言いたいのかしら」
澱カシル :
「いえ……海里さんが居ないので、目的はまだ果たせてない……」
「こよみちゃんはまだ負けていないんだ、って。」
海霧 :
「天海こよみならもう倒したわよ?」
琵琶坂藍依 :
「なっ……!?」
澱カシル :
「…………!!」
海霧 :
「だからあとはあなた達だけ、というわけ」
琵琶坂藍依 :
「……いや、違う」
琵琶坂藍依 :
「まだコヨミは無事だ、ブラフは無駄だよカイム」
琵琶坂藍依 :
「もしコヨミを倒して、クラッドカルトを吸収しているなら、既に目的を達成したキミ達には、わざわざ私達を倒しにくるメリットが無い」
海霧 :
「ブラフのつもりではなかったのだけれど……」
海霧 :
「そうね、確かに……目的を達成したなら、後はさっさと撤退すればいいものね」
海霧 :
「だけど、そうできない理由があるの」
琵琶坂藍依 :
「できない理由?」
海霧 :
「今、この学校の外にはあなた達のお仲間が集まってきている」
海霧 :
「そんな状態でこの領域を解除すれば、学校の外からは応援に来た奴ら、学校の中からはあなた達に襲われちゃうでしょう?」
琵琶坂藍依 :
「だから先に、私達を倒しに来たって?」
海霧 :
「そういうこと。あなた達全員に挟み撃ちにされて無事に逃げ切れるなんて、そこまで驕っちゃいないの」
海霧 :
「だからここであなた達は始末させてもらう。でも悪く思わないで欲しいわね……退かなかったのはあなた達の方なのだから」
澱カシル :
「わたくし達もはいそうですかと黙ってやられる訳にはいきません……」
「特に、こよみちゃんを傷つけたのであれば。」
海霧 :
「えぇ、そうでしょうね?だから、こっちはあなた達に勝てるだけの戦力を整えてきたのよ」
澱カシル :
「………。」
周囲を見渡す。赤黒いジャームたちが混じり合いながら体育館に濁った海を形作っている。
流石にこの数を相手取って、彩羽を守りながら殲滅するのは不可能だろう。
琵琶坂藍依 :
「(この体育館内では、分が悪い……まず細い通路まで誘導して、一度に相手する人数を絞って戦闘を……)」
琵琶坂藍依 :
「(けど、もし通路まで向かう道が、霧の領域で封鎖されていたら……)」琵琶坂藍依は戦士ではない。確実な策は思い浮かばない。
空本彩羽 :
「あ、藍依ちゃん……。だ、だいじょうぶ……なの?こんなの……」 二人が黙ったのを見て、心配そうに震えた声で聞く
琵琶坂藍依 :
「安心して、キミは私が守り通して見せるから」
琵琶坂藍依 :
もし仮に、私達が敗北したとしても必ず守り通す。わざわざ非戦闘員のイロハちゃんまで狙う理由も余裕もないはずだ。いざという時は、ホログラムで隠してしまえば────
空本彩羽 :
「で、でも……」 普段なら興奮して卒倒しそうな台詞だが、緊迫した現状がそれを許さない。不安そうに、胸元を握りしめる。
琵琶坂藍依 :
「大丈夫、私は負けないよ」一歩、前へ踏み出す。彼女の言葉で、私は勇気を貰った。今度はこっちが勇気を与える番だ。
空本彩羽 :
「…………っ」 がんばって、という言葉が喉元で止まる。この先辿り着く最悪の結末を想像してしまったからだ
海霧 :
「おしゃべりはもう良さそうね。こっちもあまり時間がない……」
海霧 :
「余裕ぶったせいでうっかり負けました、なんて洒落にならない。全力で行かせてもらうわ」
海霧 :
「さあ、あなた達……」
海霧 :
「奴らを叩きのめすのよ……!!」
GM :
海霧がジャーム達に命令を出す
GM :
────その時だった。
GM :
突然、体育館に音楽が流れ始める。
GM :
切なくも、希望へと向かっていくようなイントロ。暗闇に差す一筋の光を連想させるメロディ。
GM :
この曲を、藍依とカシルは知っている。
GM :
“MARiNE SNOW”────グループ名を冠する、MARiNE SNOWのデビュー曲だ。
琵琶坂藍依 :
「この曲は……!」
澱カシル :
「えっ、あれ!? MARiNE SNOW!?」
空本彩羽 :
「MARiNE SNOW……って!?」
澱カシル :
「アタシたちのデビュー曲です。初ライブまではそれはもう、大変で!」
澱カシル :
海霧に向いていた憎悪の緊張が途切れ、こんな場面なのに笑みがこぼれる。
それくらい、楽しい思い出が詰まった曲。
空本彩羽 :
「はえぇ……でも一体なんでその曲が……」
天海こよみ :
「────僕は また溺れ死ぬ♪」
GM :
透明感のある歌声が響く。
GM :
体育館奥に設置されたステージ、その上に一人の少女が現れた。
天海こよみ :
「孤独な海 もがいて♪」
GM :
天海こよみ。彼女がたった一人でライブを始めていた。
琵琶坂藍依 :
「コヨミ……!? やっぱり生きて……!? いや、どうしてここに……!?」
澱カシル :
「というか歌ってる場合じゃ……!? こよみちゃんもボロボロじゃないですか!?」
ケガこそ見えないが、服装がボロボロなのを見て
空本彩羽 :
「ほ、ほんとだ……こよちゃん……」 驚きつつも、心配そうにこよみを見上げて
海霧 :
「……ありえない」
海霧 :
「あいつは確かに……倒したはず……」
GM :
その場の誰もが驚く中、ライブは続く。
GM :
そして、異変は盛り上がりの最高潮、サビに入った辺りから起きた。
天海こよみ :
「マリンスノウ 流されていく♪」
ジャーム :
「オ……オ、ォ……」
GM :
海霧が操る五十体のジャームが、静かに倒れ始めていったのだ。
GM :
一体、また一体と、彼らは子守唄を聞いたかのように眠り始めていく。
澱カシル :
「……あれ? ジャーム達が……」
足元に倒れ込むジャームの飛沫を避けて、様子を伺う
琵琶坂藍依 :
「あれだけしぶとかったジャーム達が……」
天海こよみ :
「────どうかお願い 海底よりも深い世界♪」
天海こよみ :
「今、僕に 魅せて……♪」
GM :
やがて、曲が終わる。
GM :
ハヌマーンシンドロームのイージーエフェクト《空の楽器》で奏でていた音楽が止まった。
GM :
五十体のジャーム達は全員眠りに落ち、体育館は静寂に包まれる。
海霧 :
「まさか……」
海霧 :
「上書きしたの?わたしの支配を、クラッドカルトの力で……」
GM :
クラッドカルトの精神干渉能力。
GM :
歌を通して伝達する強制命令が、海霧の《ブレインジャック》を塗り替え、ジャーム達を行動不能にしたようだった。
澱カシル :
「ああ……そういうことですか、クラッドカルト。こちらが助けられてしまいましたね……」
クラッドカルトとこよみに感謝すると同時に、助けに来た側なのに助けられている無力感と劣等感が心の底に溜まる。
琵琶坂藍依 :
「ふ、まったく敵わないな、コヨミには……」
天海こよみ :
「…………」
天海こよみ :
「ちがうよ」 藍依を見て、一言そう言う
琵琶坂藍依 :
「?」首を傾げる。言葉の真意を尋ねるように。
天海こよみ :
「ぼく、コヨミじゃないよ」
GM :
こよみが笑う。
GM :
だがその笑顔は、こよみであってこよみではない────。
天海こよみ :
「ぼく……」
天海こよみ :
「クラだよ!!!」
GM :
────時は少し遡る。
クラッドカルト :
「……っ!コヨミは、クラがまもる……!まもるから……!!」
GM :
それは現在から三十分以上前の出来事。
GM :
海里がとどめの一撃を与えるために力を溜め始め、こよみ達が危機に陥った場面だ。
天海こよみ :
「まって、ダメ……クラちゃん……っ」
GM :
クラッドカルトが前に出ようとするが、何故かこよみはそれを制止。
GM :
こよみに手を引っ張られ、クラッドカルトはバランスを崩して転倒してしまう。
クラッドカルト :
「なにするの、コヨミ!」
天海こよみ :
「ぼくのことは守らなくていい……」
天海こよみ :
「それよりクラちゃんに、やってほしいことがあるの……」
クラッドカルト :
「…………!?」
GM :
海霧達に聞こえないよう、こよみは小声で続ける。
天海こよみ :
「あのね、クラちゃん……よく聞いてね」
天海こよみ :
「ぼくがあのこうげきを受けて気をうしなったら、クラちゃんは思いっきり……力を使って」
クラッドカルト :
「え……?」
天海こよみ :
「今より侵蝕率を高くして……それで……」
天海こよみ :
「……ぼくの体を、かんぜんに乗っ取って」
天海こよみ :
「そうしたら、クラちゃんはもっとつよくなれる……。ぼくの体のけがも、多分ぜんぶなおせるはず、だから……」
クラッドカルト :
「な、なにいってるのコヨミ……?クラ、そんなことできないよ……!?」
天海こよみ :
「ううん、できる。あの時、五十嵐は言ってたよね……クラちゃんは、ぼくの体を得るはずだった、って……」
GM :
一ヵ月半前の出来事。ゼノスエージェント“フォルネウス”五十嵐タクミはこう言っていた。
GM :
“プランナー”のプランでクラッドカルトが得るはずだった肉体。それは天海こよみの体そのものである、と。
天海こよみ :
「だから、ぜったいできるよ」
天海こよみ :
「プランナーのプランとはちょっとちがうかもしれないけど……方向性は、まちがってないはず」
天海こよみ :
「それに、もしむずかしくても……時間はあるからだいじょうぶ。あの人は多分、すぐにクラちゃんをうばいとったりしないから……」
GM :
海霧はこの後、疲弊した海里を別の場所で休ませる。
GM :
こよみは無意識の内に古代種のエフェクト《デジャヴュ》を使い、ある程度時間に猶予が出来ることを確信出来ていた。
天海こよみ :
「おねがい、クラちゃん……」
天海こよみ :
「ぼくの代わりに、クラちゃんがたたかって……!」
クラッドカルト :
「コ……コ、こよ……コヨミ……」 唇を震わせる
クラッドカルト :
「む、むりだよ……。もしもほんとにそんなこと……できたとしても……」
クラッドカルト :
「コヨミが……かえってこれなくなる……。それに、クラだって……もしかしたら……」
クラッドカルト :
「ヤ……ヤダ……。クラ、そんなのヤダよ……っ」
GM :
クラッドカルトは今にも泣き出しそうな顔になる。
GM :
こよみの作戦は、一度は阻止したはずのプランナーのプランを異なる方法で自ら進めるようなものだ。
GM :
進化したクラッドカルトがこよみの体を乗っ取ったとして、その後、自分の意志でその支配を解除できるのか?
GM :
今でさえ力をちゃんと制御出来ていないクラッドカルトにとって、そんなことが可能とは彼女自身が到底思えなかった。
天海こよみ :
「────だいじょうぶ」
GM :
しかし、こよみはクラッドカルトに微笑みかける。
天海こよみ :
「クラちゃんはジャームになんてならない。ぼくも、ぜったいに帰ってこれる」
天海こよみ :
「だって、ぼく達はもう……二人で一つ、みたいなものだと思ってるから……。それくらい、なかよしになれたと思ってるから……」
天海こよみ :
「ぼくは、クラちゃんがよんでくれれば……きっと、ちゃんとお返事するよ」
天海こよみ :
「クラちゃんも、ぼくがよべばどんな時でもお返事してくれる……そうでしょ?」
クラッドカルト :
「…………」 小さく頷く
天海こよみ :
「ぼく、ぜったい帰ってくるよ。クラちゃんのこと、一人になんてしない……約束する」
天海こよみ :
「だから、安心して。だいじょうぶだよ、クラちゃん……」
GM :
そう伝える声に一切の恐怖は無く、こよみはクラッドカルトの頭を優しく撫でた。
クラッドカルト :
「コヨミ……」 静かに涙が流れる
GM :
……そして、ついに海里のチャージが完了する。
海霧 :
「やりなさい……海里」
海里 :
「…………っ!!!」
GM :
海里が剣を振り下ろし、海水を解放して津波を起こした。
天海こよみ :
「おねがい、クラちゃん……」
GM :
迫り来る津波に見向きもせず、こよみは真っ直ぐにクラッドカルトの目を見て、伝える。
天海こよみ :
「ぼくをしんじて……」
天海こよみ :
「藍依ちゃんとカシルちゃんを、助けてあげて……!!!」
GM :
────そして、時は現在。
クラッドカルト :
「クラだよ!!!」
クラッドカルト :
「クラが、コヨミの体を使ってるの!!」
GM :
天海こよみ……否、こよみの体を乗っ取ったクラッドカルトが、ステージ上からそう伝える。
澱カシル :
「なっ……自分が何を言っているのか分かっているんですか!? クラッドカルト!!」
こよみの言葉を知るはずもないカシルはクラッドカルトの言葉に激昂する。
こよみを死なせたと言われたようなものだ。
クラッドカルト :
「分かってる!!」 迷わずすぐにはっきりと答える
澱カシル :
「! ………言い切りましたね……」
今までのクラッドカルトとは思えぬ威勢の良さに少し落ち着きを見せる。
澱カシル :
「こよみちゃんはどうなったのですか、クラッドカルト。」
海霧の方を警戒したまま、説明を促す。
クラッドカルト :
「コヨミは、きずついて……今はねむってるよ。クラが乗っ取ったから」
澱カシル :
「また、起きられるのですね?」
琵琶坂藍依 :
「コヨミが……私達が霧の中で足踏みしている間に……」
クラッドカルト :
「…………」
クラッドカルト :
「コヨミ、言ってた……。ぜったい帰ってくるって」
クラッドカルト :
「ぼくの代わりに、アイとカシルを助けてあげて……って……!」
クラッドカルト :
「だから、だいじょうぶ。クラは、コヨミのことをしんじてるから……!」
澱カシル :
「……分かりました。わたくしも、こよみちゃんを信じています。」
澱カシル :
「それから……あなたにも礼を、クラッドカルト。」
「あなたが嫌いなのは変わりませんが……こよみちゃんを守って、わたくし達も助けたのは間違いありませんので。」
「………その、ありがとうございます。」
クラッドカルト :
「でもクラは、カシルのこと好きだよ」
クラッドカルト :
「コヨミの好きな人だから!」 そう笑いかける
澱カシル :
「………。知りませんっ、勝手にしてください。」
真っ直ぐな好意を向けられるクラッドカルトの顔が眩しくて、目をそらす。
澱カシル :
クラッドカルトにSロイス取得!
琵琶坂藍依 :
「……ふふ」その様子を見て、僅かに微笑みを漏らす。
琵琶坂藍依 :
「詳しい状況は分からない、けど……コヨミの覚悟とクラの尽力で、今この状況があるコトは伝わった……」
琵琶坂藍依 :
「さて、これもキミの計画通りかなカイム?」
海霧 :
「……っ」 藍依を睨みつけてから
海霧 :
「あまり、舐めないでよ……!あなた達、起きなさい!!」
ジャーム :
「ギ……ウグギ、ァ……ッ」
GM :
海霧が叱咤すると、ジャーム達が起き上がり始める。
GM :
ジャーム達に埋め込まれた海霧のオルクスの因子は、相当深く根付いているのだろう。
GM :
クラッドカルトの歌で上書きされてもなお、《ブレインジャック》の効果は完全には消えていなかった。
クラッドカルト :
「…………!!」
GM :
それを見て、クラッドカルトは再び力を発動する。
GM :
大気が震え、流れ出すメロディ。その旋律に乗って浸透する精神干渉。
GM :
ジャーム達はまたクラッドカルトの力で動きを阻害され、その場から身動きが取れなくさせられる。
海霧 :
「この……!鬱陶しい……!」
クラッドカルト :
「……ッ、カシル!アイ!あいつらは、クラがおさえる!」
クラッドカルト :
「だから、そいつをたおして!!おねがい!!」 海霧を指差して、二人に叫ぶ
澱カシル :
「ええ。…………少し、怖い目に遭ってもらいましょう。」
琵琶坂藍依 :
「うん、後は私達に任せて」
琵琶坂藍依 :
「この戦い、勝つよカシル!」
澱カシル :
「はい、藍依ちゃん!」
GM :
二人に後を任せたクラッドカルトは小さく笑うと、息を大きく吸い込み、再び歌い始める。
GM :
それにより彼女の力は更に強まり、ジャーム達を完全に抑え込んでいった。
海霧 :
「勝つ、ですって……? ふふっ、面白い子達……」
海霧 :
「あまりふざけないでもらえるかしら……」
海霧 :
「勝つのは……わたし達よ……!!」
GM :
海霧の足下から、霧が一気に溢れ出す。
GM :
体育館を満たす霧は、視界が完全に奪われる程では無い。
GM :
だが、霧と共に拡散したレネゲイド物質は、藍依とカシルに宿るレネゲイドを強く共振させる……!
GM :
という流れで衝動判定を振ってもらいます。
GM :
目標値は9。〈意志〉で判定し、失敗したら暴走状態になります。
GM :
判定を振り終わったら、成否に関わらず侵蝕率を2D10点上昇させてください。
琵琶坂藍依 :
5dx+1 <意志>(5DX10+1) > 8[1,3,4,6,8]+1 > 9
琵琶坂藍依 :
2d10+110(2D10+110) > 17[10,7]+110 > 127
澱カシル :
7dx+1(7DX10+1) > 10[1,1,2,4,4,7,10]+8[8]+1 > 19
澱カシル :
2d10+114(2D10+114) > 19[10,9]+114 > 133
GM :
立ち込める、白い霧。
GM :
響き続ける、精神を蝕む星の歌。
GM :
観客は約五十体のジャームと、普通の人間が一人。
GM :
あまりにも異様なステージで、三人のオーヴァードによる戦いが今始まる────。
【行動値】
20 琵琶坂藍依
15 海霧
08 澱カシル
【初期配置】
海霧
|
(5m)
|
琵琶坂藍依 / 澱カシル
【勝利条件】
・海霧の撃破
【備考】
・空本彩羽、天海こよみ(クラッドカルト)、五十体のジャーム群は戦闘に参加せず、攻撃の対象にもならない。
【NPCスキル】
琵琶坂藍依は宣言することで以下の能力を使用することが出来る。
《ヘヴンゲイズ》
使用者:空本彩羽
タイミング:自身のメジャーアクションの判定直前
使用可能回数:1回
効果:その判定の達成値に+10する
空本彩羽のロイスを持っている場合、更に+10する(合計+20)
◆第一ラウンド
GM :
・セットアップ
GM :
海霧は《力場の形成》《装甲強化》を自身に使用。
GM :
このラウンドの間、攻撃力に+6、装甲値に+8します。
GM :
PC側、宣言をどうぞ。演出ある人はそこも宣言して貰う感じで
澱カシル :
穢呪の器(カシル☆おしおきモード)
尾を食らう蛇+喰らわれし贄
一言だけ!
system :
[ 澱カシル ] 侵蝕率 : 133 → 138
琵琶坂藍依 :
怨念の呪石を使用!暴走状態になって《ミラーパレス》が起動!!
自身が行なう攻撃のダメージを+2D! 自身を対象に含む攻撃のダイスを-10個!!
琵琶坂藍依 :
長めの演出あります!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] 侵蝕率 : 127 → 130
GM :
了解!
琵琶坂藍依 :
「────コヨミの覚悟を、無駄にする訳にはいかない」
琵琶坂藍依 :
「次は、私の番だ」
琵琶坂藍依 :
「(……思えば長い間、全てに向き合うコトから逃げてきたのかもしれない)」
琵琶坂藍依 :
「(本当に、仲間にも誰にも誠実でいられなかった)」
琵琶坂藍依 :
《見放されし地》によって体育館中の照明が落ち、あたりはライブステージのような暗闇に一変する。
琵琶坂藍依 :
「(もういい加減、区切りをつけよう)」ぱちんと指を鳴らす。
琵琶坂藍依 :
《スポットライト》が天上から降り注ぎ、少女の影を照らす。
琵琶坂藍依 :
藍色の照明を背に立つ少女は、アイドルとしての武装────すなわち"ステージ衣装"を纏っていた。
琵琶坂藍依 :
カシルとイロハには、その衣装に見覚えがあるだろう。
かつての琵琶坂藍依が、Seventh Heavenのデビューライブで着ていたものだ。
琵琶坂藍依 :
過去に現在に、自分に向き合う。
そう決めた覚悟の表れ。それが"ステージ衣装"の正体だった。
空本彩羽 :
「……! 藍依ちゃん、それ……!」 瞼の裏に焼き付くほど見た衣装を目の前に、息を呑む
琵琶坂藍依 :
こくりと笑顔で頷く。
琵琶坂藍依 :
新たな始まりには卒業が必要だ。ちょうどこの体育館なんかお誂え向きだろう。
……スキャンダルで業界を追われていた琵琶坂藍依にはなかった『卒業公演』。そう言えるかもしれない。
琵琶坂藍依 :
「(……何故、今の私に『輝き』がなかったのか)」
琵琶坂藍依 :
「(思い出してしまえば、なんてことはなかった)」
琵琶坂藍依 :
「(MARiNE SNOWのデビューライブの直前、先輩風なんか吹かせて、自分で言っていたじゃないか)」
琵琶坂藍依 :
『アイドルを"本当に輝ける存在"に変える魔法────それはね、自信だよ』
一生懸命に胸を張る。俯いたまま、アイドルができる訳ない。
琵琶坂藍依 :
『胡桃ちゃんが一緒だと、藍依ちゃんがもっと輝いて見えた』
そう。胡桃と並んでステージに立つ私は、自信を持っていた。
琵琶坂藍依 :
「(……胡桃の思いは、まだ私と共に在る)」
琵琶坂藍依 :
「(ファンが信じて、応援してくれている)」
琵琶坂藍依 :
「(だから、不甲斐ない私だけど)」
琵琶坂藍依 :
……弱いところも醜いところも含めて、みんなが応援してくれてる私なのだと、自信を持って、胸を張る。
琵琶坂藍依 :
「"私"を見ていてほしい、イロハちゃん」
琵琶坂藍依 :
「舞台に立ったアイドルは、ファンの応援がある限り、無敵だから────!!」
澱カシル :
そのスポットライトの影の中。
カシルは力を発揮すべく、また日本人形の姿へと変わりつつあった。
澱カシル :
カシルの前に現れたのは、目に焼き付いて離れなかった、かつての衣装を着た藍依。
それを見て、悟る。
琵琶坂藍依は久能胡桃と共にある、と。
澱カシル :
だけど、不思議と心は穏やかだった。
偽物は偽物。怪物は怪物。本物にはなれない。完全な人にはなれない。
でもそれでいい。
クラッドカルトはあんなにも輝いていた。
澱カシル :
カシルに必要なのは無いものを嫉妬することではなく──今あるものを認めること。
まだ、完全に自覚はしていないけれど。
目覚めは彼女の形に現れる。
澱カシル :
黒は黒のままだった。
真っ黒な少女。
でも、その衣装は──アイドルそのもの。
黒い日本人形でなく。白いだけのアイドルでなく。
いつか憧れたアイドルの少女でもない。
いつか白黒を共に携えていく彼女の、次の一歩を。
澱カシル :
黒いフリル衣装をまとったカシルに、スポットライトが当てられる。
「アタシもアイドルとして戦います。 なんとなく、そうしたい気分なので!」
琵琶坂藍依 :
「ああ、共に行こう────!!」
GM :
・イニシアチブ
GM :
海霧は《加速する刻》を使用。
GM :
順番割込みでメインプロセスを行ないます。
GM :
マイナーアクションで戦闘移動。10m前進して藍依とカシルにエンゲージ。
GM :
メジャーアクションで《形なき剣》《パワースイング》《要の陣形》《完全なる世界》《コンセントレイト》
GM :
藍依とカシルに攻撃します。
琵琶坂藍依 :
命中判定の前に《フラッシュゲイズ》を使用!ダイスを合計-22個!!
GM :
ダイスないなったよ!
GM :
では自動失敗ですね
琵琶坂藍依 :
実質、時の棺のビワ!!これこそ真のアイドルパワー!!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] 侵蝕率 : 130 → 133
GM :
霧が一気に濃くなり、白い闇が海霧を呑み込んだ。
GM :
奪われた視界の中、体育館の床を蹴る音が響く。
GM :
木製の床が軋み、重厚な音が一度、二度、三度と空間に反響した。
GM :
そして次の瞬間、二人の目の前に海霧が突如出現する。
海霧 :
「ここはライブ会場じゃないのよ」
GM :
白い世界から現れた海霧が、冷たく呟きながら刀を振りかぶる。
GM :
そして、霧を払うような太刀筋を描きながら、藍依とカシルを切り伏せようとしていた。
琵琶坂藍依 :
「────それはどうかな?」まだ臨戦態勢すらとらない。ただ微笑んで、目の前の相手にウインクする。
琵琶坂藍依 :
アイドルが輝く瞳から放った閃光は、文字どおりに海霧の目を奪う。
琵琶坂藍依 :
……これこそ、アイドルの戦い方の真髄。真のアイドルは、目で殺す。
海霧 :
「……っ!!」
GM :
閃光が視界を潰し、手元が乱れる。
GM :
斬撃は藍依とカシルから逸れて、虚空を切り裂くだけに終わった。
澱カシル :
「わっ!」
半回転のステップで間合いから抜け出す。
「ナイスです、藍依ちゃん!」
琵琶坂藍依 :
「ふふ、見惚れちゃったかな? でも、アイドルのお触りは禁止だよ、お嬢さん?」
海霧 :
「調子に乗らないで……っ!」 怒りを滲ませながらも、刀を構え直す
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値20、琵琶坂藍依のメインプロセスです。行動をどうぞ。
琵琶坂藍依 :
マイナーアクションで《陽炎の衣》を使用!隠密状態に!!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] 侵蝕率 : 133 → 136
琵琶坂藍依 :
メジャーアクションで《コンセントレイト》《見えざる死神》!海霧に射撃攻撃!!
琵琶坂藍依 :
更に判定の直前に《ヘヴンゲイズ》を使用! イロハちゃん、力を貸して!!
GM :
使いますか、では達成値に+20して判定どうぞ
琵琶坂藍依 :
14dx7+8+10+10(14DX7+28) > 10[1,2,3,3,3,4,5,5,7,7,8,9,10,10]+10[2,6,8,9,9,10]+10[1,3,4,7]+10[7]+3[3]+28 > 71
GM :
海霧のリアクションはドッジで
GM :
13dx(13DX10) > 10[2,2,3,4,5,5,6,7,8,8,9,9,10]+10[10]+6[6] > 26
GM :
当たる!
GM :
海霧はオートアクションで《インペリアルガード》を使用。
GM :
ダメージを2D10点分軽減します。ダメージどうぞ
琵琶坂藍依 :
8d10+2d10+1d10+12+5 装甲有効ダメージ(8D10+2D10+1D10+12+5) > 25[3,4,5,3,1,7,1,1]+12[3,9]+5[5]+12+5 > 59
GM :
59-2d10-8 インペリアルガードと装甲値(59-2D10-8) > 59-15[7,8]-8 > 36
GM :
36点受ける!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] 侵蝕率 : 136 → 140
空本彩羽 :
「……っ」
空本彩羽 :
「がんばれ、藍依ちゃん……っ」
GM :
後ろで見守ることしか出来ない彩羽の口から、無意識に言葉が零れ出たその瞬間だった。
GM :
胸元でギュッと握りしめていた彩羽の手が、突然光を帯び始める。
空本彩羽 :
「……!?」
GM :
彼女の手の光に呼応するかのように、体育館の天井が輝いた。
GM :
そして、次第に頭上から無数の羽がゆっくりと舞い降りて来る。
GM :
その羽は天使の翼から零れ落ちたかのように、清らかな光を纏っていた。
GM :
羽の一枚一枚が優しく輝き、月の光のように永遠に眺めていられそうな美しさを持っている。
海霧 :
「何……!?」
GM :
だが、海霧だけは眩しそうに呻きながら目を閉じる。
GM :
宙を漂う白い羽。彩羽のエンジェルハイロゥシンドロームが生み出した無数の光源。
GM :
それらは精密に光を屈折させて、海霧が立っている場所のみに強烈な輝きを与えていた。
GM :
あらゆる方向から太陽のように降り注ぐその光に圧倒され、視界を完全に奪われた海霧は、ただ立ち尽くすことしか出来なくなってしまっていた。
琵琶坂藍依 :
「…………」その眩しく優しい光を見て、思い返す。
琵琶坂藍依 :
こよみを嫉んでいた。
琵琶坂藍依 :
アイドルを始めて一年も経ってない彼女が、三年以上も離れた私を追い抜いていく。
琵琶坂藍依 :
……こよみの成長速度は異常といっていい。
幼い頃から練習していた経験が開花しているんだろうけど、それでも物凄い才能だ。
琵琶坂藍依 :
……けど、それ以上に、私が成長できていなかった。ずっとずっと足踏みしていた。
私は、Seventh Heaven時代のパフォーマンスの半分も、実力を出せていなかった。
琵琶坂藍依 :
こよみを羨んでいた。
琵琶坂藍依 :
過去を乗り越え、大好きな人と幸せな日常を歩む彼女を。
琵琶坂藍依 :
クラスメイトにも恵まれ、幸せな学園生活を送る彼女を。
琵琶坂藍依 :
私が失った幸せの全てを、簡単に手に入れていく彼女を。
琵琶坂藍依 :
……どう頑張ったところで、私は全てにおいて、胡桃の隣に立つ自分に劣っていた。
ずっとずっと、当時の自分の後ろ姿を追いかけている。それが、とても歯痒かった。
琵琶坂藍依 :
「(────全て、筋違いもいいところ)」
琵琶坂藍依 :
醜い"本物の自分"を見つめ直した上で、結論を導き出す。
目を瞑っていた自分自身のせいだった。
琵琶坂藍依 :
まったく滑稽。目を開いてもないのに、そんなことで何ができるって言うんだろう。
いつもそうだ。私は琵琶法師のように盲目で、大事なものをたくさん見逃してきた。
琵琶坂藍依 :
……だからこそ、もう間違えたりしない。撃鉄を上げる。
琵琶坂藍依 :
「私は弱い!本来ならキミ達に叶うはずもない弱い人間だ!」
琵琶坂藍依 :
「目を閉じて、耳を塞いで、自分の殻に閉じこもっていた!」
琵琶坂藍依 :
「けど! 何も出来ない悲劇のヒロインは、今日で卒業!!」がんばれ、という声が聞こえた。だから。
琵琶坂藍依 :
「ファンの期待に応えて、理想を追い求めるのが『アイドル』というお仕事だ───!!」
自分自身を、目の前の相手を見据えて、トリガーを引く。
琵琶坂藍依 :
そうして撃ち放たれたのは、天上へ昇る七本のレーザー。
琵琶坂藍依 :
七色のレーザーはしかし、途中で衝突して弾け散り……。
無数に分かたれて、色とりどりの流星のように降り注ぐ。
琵琶坂藍依 :
空本彩羽の能力で目を塞がれている海霧には見えないが、
────アイドルを知っている者なら恐らく、みな同じ光景を思い浮かべるだろう。
琵琶坂藍依 :
ライブステージで見る人々の熱気。サイリウムの輝きだ。
琵琶坂藍依 :
……だが、美しい光景に油断することなかれ。
琵琶坂藍依 :
あくまでもこれは攻撃。降り注ぐ無数の光は、それぞれ必殺の威力を持つレーザー。
並みのオーヴァードが捌けるような、増して目を閉じた状態で躱せる攻撃ではない。
空本彩羽 :
「藍依ちゃん……」 舞い落ちる羽のことも忘れて、小さく笑みが零れてしまう
空本彩羽 :
降り注ぐ光よりも、目の前の琵琶坂藍依の姿が輝いて見えたからかもしれない。
海霧 :
「……!!何よいきなり……っ!?」
GM :
視界を奪われているため身動きも取れず、大量のレーザーが海霧に直撃する。
GM :
しかし、捌けなくとも身体の周囲を霧で覆い防御することは可能だ。光線の威力を霧で削ぎ落とすことで、ダメージを戦闘続行可能な程度に何とか抑え込む。
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値15、海霧のメインプロセス。
GM :
マイナーアクションはなし。
GM :
メジャーアクションで《形なき剣》《パワースイング》《要の陣形》《完全なる世界》《コンセントレイト》
GM :
前回と同じコンボで、藍依とカシルに攻撃します。
GM :
7dx7+9 命中(7DX7+9) > 10[1,2,4,5,5,6,8]+4[4]+9 > 23
GM :
は?ざこ
GM :
でも《形なき剣》の効果でドッジのダイス-2個になります。暴走してる藍依ちゃんには命中、カシルちゃんリアクションをどうぞ。
澱カシル :
回避!ワンチャンス!
GM :
どうぞ!
澱カシル :
4dx+1(4DX10+1) > 10[1,1,7,10]+7[7]+1 > 18
GM :
お、惜しい…!
GM :
では二人にダメージ
GM :
3d10+35 ダメージ(3D10+35) > 10[1,5,4]+35 > 45
GM :
復活する人はタイタス昇華の宣言をお願いします。
澱カシル :
死ぬる!タイタス昇華!
海霧ちゃんのやつで!
system :
[ 澱カシル ] ロイス : 6 → 5
system :
[ 澱カシル ] HP : 28 → 12
琵琶坂藍依 :
海里ちゃんのロイスをタイタスに変換して昇華! HP11で復活!!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] ロイス : 6 → 5
system :
[ 琵琶坂藍依 ] HP : 24 → 11
GM :
生き物のように蠢く霧が、海霧を再び包み込む。
GM :
そこにいたはずの少女の姿は霧の中に溶け、一瞬で見えなくなった。
GM :
冷たい霧が肌に触れる。それと同時に、藍依とカシルの背筋にぞくりとする感覚が駆け上がった。
GM :
二人は振り返るよりも先に、海霧が背後にいることを気配で感じ取るだろう。
海霧 :
「……ッ!!」
GM :
完全な死角。この位置なら、光の目潰しも効かない。
GM :
一切の音も無く幻影のように現れた海霧は、静かに刀を振り抜いて藍依達の背を切り裂く……!
澱カシル :
「!」
気配を感じとり、踊るように前進するが遅い。
勘は良くとも身体能力はそう秀でていないのだ。
琵琶坂藍依 :
もうこちらの能力に対応してきた。間に合わないことは承知の上で、傷跡が残るような箇所への攻撃はギリギリ避ける。
琵琶坂藍依 :
「……さっきまでの余裕は、どうしたのかな?」痩せ我慢で笑う。傷口はホログラムで覆い隠す。傷だらけでステージに立つ訳にはいかない。
海霧 :
「そっちこそ、ウインクしてた時より余裕がないように見えるけど……!?」 睨みながら笑い返し、刀を構え直す
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値08、澱カシルのメインプロセスです。行動をどうぞ。
澱カシル :
指差しの呪詛(アイドル☆ガン〜ドキドキver.〜)
CR+原初の赤:絶対の恐怖+灰燼に帰すもの
を原初の黒:ライトスピードで二連打します!
system :
[ 澱カシル ] 侵蝕率 : 138 → 167
GM :
了解です、一回目の判定どうぞ
澱カシル :
9dx+6(9DX7+6) > 10[1,1,2,3,3,3,5,10,10]+10[1,7]+4[4]+6 > 30
GM :
海霧はドッジしましょう
GM :
13dx(13DX10) > 10[1,2,2,3,3,3,4,5,6,6,6,7,10]+5[5] > 15
GM :
当たる!《インペリアルガード》でダメージ軽減します。ダメージの方どうぞ
澱カシル :
4d10+55(4D10+55) > 20[8,3,5,4]+55 > 75
GM :
75-2d10(75-2D10) > 75-11[9,2] > 64
GM :
64点受ける!まだ耐えてる
澱カシル :
2発目よろしい?
GM :
コマのHPを減らしてたよごめんね、二回目どうぞ
澱カシル :
9dx+6(9DX7+6) > 10[2,5,6,6,6,9,10,10,10]+10[3,4,8,10]+10[1,9]+3[3]+6 > 39
GM :
海霧は今回もドッジしてみましょう
GM :
13dx(13DX10) > 9[2,2,4,4,5,5,5,6,6,8,8,9,9] > 9
GM :
命中!再び《インペリアルガード》を使用、ダメージどうぞ。
澱カシル :
4d10+55(4D10+55) > 15[6,1,5,3]+55 > 70
GM :
70-2d10(70-2D10) > 70-14[8,6] > 56
GM :
だめね!海霧は戦闘不能!
GM :
ですがオートアクションで《イモータルライフ》を使用。
GM :
HP2D10点で戦闘不能状態を回復します。
GM :
2D10 回復量(2D10) > 8[4,4] > 8
GM :
8点で復活!
澱カシル :
カシルの全身に呪詛が巡る。
人に忌み嫌われ、自分自身が何より忌み嫌いながら振るってきた力。
だけど今日ばかりは高揚感のままに。
だって負けられない。
海霧にではなく。
クラッドカルトに。こよみに。彩羽に。藍依に。
皆が協力しあう中で、自分だけ出し惜しみなんてしていられない──!
自棄っぱちの心で大見得を切る!
澱カシル :
「呪るの名前が司る通り。」
澱カシル :
「アイドルとして、あなたに呪いと祝福を。」
澱カシル :
「──心臓、撃ち抜きます!」
澱カシル :
笑顔とともに向けられたカシルの指先が、海霧の心臓を真っ直ぐ指す。
澱カシル :
アイドルの決めポーズ。
だが、同時に"指差し"は最も原始的な呪詛。
見えざる直線が飛び、海霧の心臓を一瞬停止させる。
澱カシル :
「ふふっ、捕まえました。」
澱カシル :
「ほら、目をそらさないで。」
澱カシル :
血流が凍りつく一瞬を逃さない。
アイドルとしてのカシルがこれまで一度も見せたことのない、蠱惑的な笑み。
追い打ちの邪視で海霧の両眼を縫い留める。
カシルからもう目が離せない。
澱カシル :
海霧の全身が粟立ち、膝が笑う。
もがく心臓の高鳴りに息を忘れかける。
熱い涙が溢れ出て、喉は渇いて詰まる。
恐怖と歓喜の渦に餐まれていく。
澱カシル :
金縛りは数秒で解ける。
だが、久遠すら感じさせる体験は凄まじい疲労を海霧に感じさせていた。
まるで1週間ずっとライブ応援で叫び、跳ね回ったかのように。
海霧 :
「……っ、は……!!」
GM :
息を大きく吸い込む。空っぽになっていた肺に空気が溜まり、心臓が再び動き出したことを実感する。
GM :
全身に鉛のようにのしかかる疲労感で、もはや立っていられるような状態ではなかった。
海霧 :
「……どいつもこいつも……っ。ついていけないノリね……っ」
GM :
古代種のレネゲイドを一気に活性化させ、生命力を振り絞る。
GM :
涙を手の甲で拭って、倒れるにはまだ早いと言うようにカシルを睨みつけた。
澱カシル :
「……っ。何が貴女をここまでさせるんですか……!」
人を呪わば穴二つ。
海霧の気力をほとんど削いだ代償で、カシルの気力も尽きかけながらも問う。
海霧 :
「…………っ」 睨み返す
◆第二ラウンド
GM :
・セットアップ
GM :
海霧は《力場の形成》《装甲強化》を自身に使用。
GM :
効果は前回と同じく、このラウンドの間、攻撃力に+6、装甲値に+8します。
GM :
・イニシアチブ
GM :
海霧は《加速する刻》を使用。
GM :
順番割込みでメインプロセスを行ないます。
GM :
マイナーアクションなし、メジャーアクションで《形なき剣》《パワースイング》《要の陣形》《完全なる世界》《コンセントレイト》
GM :
今までと同じコンボで藍依とカシルに攻撃します。
琵琶坂藍依 :
再び命中判定の前に《フラッシュゲイズ》を使用!ダイスを合計-22個!!
GM :
ですよね!では自動失敗になるよ
琵琶坂藍依 :
フラッシュゲイズ、めっちゃ強いかもしれない
system :
[ 琵琶坂藍依 ] 侵蝕率 : 140 → 143
海霧 :
「何が、ですって……?」
GM :
海霧は刀をゆっくりと肩の高さまで持ち上げた後、一気に手離して頭上へと放り投げた。
GM :
主を失った刀は空中で回転。その動きに呼応するかのように、周囲の霧が揺れ始める。
GM :
霧の中に含まれるオルクスの因子。それらは刀に纏わりついて、一瞬の内にその姿を変化させた。
GM :
穂先が三つに分かれた槍。藍依達にとって見覚えのある、海の力を具現化したように輝く三叉槍へと。
海霧 :
「そんなの、決まってるでしょう……」
GM :
新たに生まれ変わった三叉槍は海霧の手に引き寄せられるように落下。
海霧 :
「わたしが────」
海霧 :
「お姉ちゃんだからよ!!!」
GM :
海霧はそう叫びながら、全ての力を乗せた槍による一撃を繰り出そうとしていた。
琵琶坂藍依 :
「……お姉ちゃんね」閃光の目くらましには対応してきた。それなら。
琵琶坂藍依 :
────ぱちんと指を鳴らす。同時、
琵琶坂藍依 :
二人のアイドルに当たっていたスポットライトが消え。
光の届くことがない、深海のような暗闇が辺りを包む。
琵琶坂藍依 :
「それなら、妹の良き手本になるべきだろう」どこからともなく声をかける。
琵琶坂藍依 :
「……今のキミの姿が、妹の手本になると思ってるの? 目的のために人々の命を奪おうとしてるその姿が?」
海霧 :
「……っ!!」
GM :
領域操作によって生み出された海水が槍の周囲から放たれる。
GM :
だが洪水は藍依達ではなく、暗闇の奥へと吸い込まれるように消えていった。
海霧 :
「知った口で!!姉を語るなよ、一人っ子!!!」 これまでの様子からは考えられない、怒りの籠った声で叫ぶ
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値20、琵琶坂藍依のメインプロセスです。行動をどうぞ。
琵琶坂藍依 :
マイナーアクションで《陽炎の衣》を使用!隠密状態に!!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] 侵蝕率 : 143 → 146
琵琶坂藍依 :
メジャーアクションで《コンセントレイト》《見えざる死神》!海霧に射撃攻撃!!
GM :
了解、判定どうぞ
琵琶坂藍依 :
14dx7+8 命中判定(14DX7+8) > 10[1,2,2,2,3,3,3,4,6,6,7,8,8,8]+10[2,3,8,9]+6[4,6]+8 > 34
GM :
ドッジします!避けるよ海霧は
GM :
13dx(13DX10) > 9[1,2,3,3,4,5,7,7,7,7,8,9,9] > 9
GM :
うーん、ダメ!インペリアルガードももう使い切ったのでそのまま受けます、ダメージどうぞ
琵琶坂藍依 :
4d10+2d10+1d10+12+5 装甲有効ダメージ(4D10+2D10+1D10+12+5) > 25[8,4,10,3]+13[9,4]+2[2]+12+5 > 57
GM :
HP8しかないので戦闘不能!
GM :
復活エフェクトもないので、これで戦闘終了ですね
澱カシル :
やったー!
琵琶坂藍依 :
勝ったーー!!
system :
[ 琵琶坂藍依 ] 侵蝕率 : 146 → 150
琵琶坂藍依 :
「……もういい。終わりにしよう、カイム」
琵琶坂藍依 :
こよみの作戦は『私達が幻想体達に勝利するコト』を前提にしたものだ。
私達なら『自分の上位互換と言える二人に勝てる』と信じてくれている。
琵琶坂藍依 :
……たくさん、本当にたくさんの間違いを犯した。
琵琶坂藍依 :
けど、私の過去がどんな罪に塗れていたとしても。
意義はあった。価値はあった。
琵琶坂藍依 :
新しい仲間ができた。新しいファンができた。
まだ応援してくれる女の子がいた。
琵琶坂藍依 :
「(みな、私を信じてくれている)」
琵琶坂藍依 :
────まさしく、灯台下暗しだ。大事なものは、すぐ近くにあった。
琵琶坂藍依 :
つらいことも、沢山あったけれど。
でも、私だって天海こよみに負けないくらい恵まれているじゃないか。
琵琶坂藍依 :
……この状況を取り巻くすべてが、その事実を明白にしてくれている。
琵琶坂藍依 :
「私は、もう誤ったりしない」
蓄光能力によって受け取っていた、空本彩羽の光の翼。彼女の思いの結晶。
その全てを、光弾に換えて込める。
琵琶坂藍依 :
「私は、もう失ったりしない」
撃鉄を上げて、見据える。相手を。未来を。
琵琶坂藍依 :
「そのためにも、まず貴女という障害を撃ち貫く────!!」トリガーを引く。
銃口から飛び出した、五本のレーザーが宙を舞う。
琵琶坂藍依 :
一本一本は、か細い糸のような光。
琵琶坂藍依 :
だが、その光はお互いに絡み合い、いつしか一条の輝く明星となって、
白い霧も黒い闇も、何もかもを引き裂いていった。
海霧 :
「う、あぁ……っ!!」
GM :
光線に撃ち抜かれ、その衝撃で吹っ飛んだ海霧が床に倒れ込む。
海霧 :
「……っ、ま、まだ……!!」
GM :
海霧はもう一度立ち上がるが、すぐに足元はよろけてしまう。
海霧 :
「…………っ」
GM :
握っていた槍は手から零れ落ち、乾いた音が体育館に響く。
GM :
同時に海霧の意識は途切れ、彼女はその場に倒れ伏した……。
GM :
シーン終了。
◆バックトラック
GM :
ではこれより、バックトラックに移ります。
GM :
これまで判明しているEロイスはミドルフェイズで登場したジャームの《不滅の妄執》が二つですが、今回少しデータが特殊になっています。
GM :
まず、ミドル戦闘のジャーム二体はクライマックスで登場した約五十体のジャームの一部に含まれています。
GM :
そして、五十体ジャームは約十体で一纏めとして扱う種別トループで、それが五つあることになっています。
GM :
この五つのトループは全て《不滅の妄執》を一つずつ持っているので、Eロイスは合計五つになります。
GM :
なので任意で5D10分侵蝕率を減らした後、各々残ってるロイスの数のダイスをそのまま振るか、二倍で振るかを宣言して振っていってください。
琵琶坂藍依 :
150-5d10 Eロイス5個つかいますよ!(150-5D10) > 150-18[2,1,7,7,1] > 132
澱カシル :
167-5d10 Eロイス5個!(167-5D10) > 167-20[5,8,2,4,1] > 147
澱カシル :
しぶい、倍振りだ!
琵琶坂藍依 :
2倍振りで!
琵琶坂藍依 :
132-10d10(132-10D10) > 132-53[10,8,8,2,7,8,2,2,1,5] > 79
澱カシル :
147-10d10(147-10D10) > 147-49[7,8,6,6,4,1,2,5,6,4] > 98
琵琶坂藍依 :
無事帰還!!
澱カシル :
帰還!
GM :
おかえり!
GM :
では無事に終わったのでエンディングへ行きましょう
Scene12 天国を求めた少女
Scene Player:琵琶坂藍依
GM :
ここからエンディングフェイズになります。
GM :
まずは全員登場で、戦闘が終わった直後のシーンから。
体育館
GM :
体育館を満たしていた霧が、少しずつ晴れていく。
GM :
海霧が気を失ったことで、ジャーム達を蝕んでいたオルクスの因子は完全に効力を失った。
GM :
彼らはクラッドカルトの歌に制圧され、静かに眠りについていく。
クラッドカルト :
「アイ、カシル……おわったの……?」
GM :
クラッドカルトが歌うのを止め、壇上から訊いてくる。
琵琶坂藍依 :
「ああ、カイリが残ってはいるけど、カイムの霧が効力を失ったことで、外で待機しているUGNの応援がすぐに駆けつけてくるハズだ」
澱カシル :
「………お疲れさまです。海霧さんはしばらく動けないはず。」
自身も疲労している中、クラッドカルトと藍依を労う。
クラッドカルト :
「そっか……よかった……」 壇上から降りて、そちらへと駆け寄る
琵琶坂藍依 :
「おつかれ、クラ。かっこよかったよ」《天使の外套》のホログラムを解除。ステージ衣装から、私服に戻る。
クラッドカルト :
「えへへ……ほんと?」 照れたように小さく笑う
琵琶坂藍依 :
「本当だよ、ね? カシル?」
澱カシル :
「………。確かに良いステージでした。まあ、こよみちゃんの身体ですし。それくらいこなしてもらわないと。」
素直ではないが、クラッドカルトのステージが素晴らしかったことは認める。
琵琶坂藍依 :
「ふふ」その様子を微笑ましそうに見守ってから、うしろを振り返る。
琵琶坂藍依 :
「────イロハちゃんも、おつかれさま」
琵琶坂藍依 :
「最後の最後、カイムに勝てたのは、キミの応援のおかげだ」
空本彩羽 :
「え?あたし、何かしたっけ……?」
澱カシル :
「アイドルに一番大切なもの、いっぱい藍依ちゃんに与えていましたよ!」
空本彩羽 :
「いやいや、そんな……!がんばれって言ってただけじゃないですか!」
琵琶坂藍依 :
「だけなんてことないよ」
琵琶坂藍依 :
「一生懸命に応援してくれるキミたちファンの声こそ、私たちアイドルを無敵の存在に押し上げてくれるんだ」
空本彩羽 :
「……そっか」
空本彩羽 :
「えっへへ、じゃあなんか変な感じだけど……どういたしましてって言っとこうかなー!なんて!」
琵琶坂藍依 :
「うん、本当にありがとうイロハちゃん」
琵琶坂藍依 :
「……大好きだよ。キミに負けないくらい、キミのことが」
空本彩羽 :
「!?!?!!!?!?!?!?」 目を見開く
空本彩羽 :
「あ、あたしに負けないくらい……!?」
琵琶坂藍依 :
「そうだよ? 何かヘンな事を言った?」首を傾げる
空本彩羽 :
「へ、変……ではないかもですけどぉ……」
空本彩羽 :
「それだと、その……めちゃくちゃ大好きってことになっちゃうよね……???」
琵琶坂藍依 :
「うん、だからそう言ってるんだ」
琵琶坂藍依 :
「……これまで、伝わってなかったかな? ファンとの距離が近い地下アイドルになったけど、他の子には抱き着いたりしてないよ私?」
空本彩羽 :
「え、ええええ……!!!」
空本彩羽 :
「ひ、ひえぇぇ……そ、それは、光栄ですぅ……」 顔が一気に熱くなって
琵琶坂藍依 :
「ふふ、それはどういたしまして? ってさっき言われたばっかりなのにヘンか?」
琵琶坂藍依 :
「……それはともかく、カイリは一体どこにいったんだろう?」
クラッドカルト :
「クラ、ちょっとだけ見てたけど……」
クラッドカルト :
「保健室に行ってたよ?」
琵琶坂藍依 :
「保健室? 怪我を治療しにいったってコト?」
クラッドカルト :
「よくわかんないけど、なんか休みなさいってあの人が……」 海霧の方を見て
琵琶坂藍依 :
「……やろうとしたコトは許せないけど、お姉さんとして頑張っていた気持ちは"本物"だったのかもね」同じく海霧を見る。
澱カシル :
「休まないといけないようなことが……? こよみちゃんと戦闘したということでしょうか……?」
澱カシル :
「いえ、あれこれ考えるよりも直接確かめに行きましょう!」
空本彩羽 :
「あ、あのー……」
空本彩羽 :
「あたし、すみません、海里って人のことより気になってることがあるんですけど……ちょっとその前にいいですかね……?」 小さく手を挙げて
琵琶坂藍依 :
「うん? どうかしたの?」
空本彩羽 :
「その子って、こよちゃん……じゃないんだよね?」
空本彩羽 :
「中身が違うとか、そういう感じであってます?」 クラッドカルトに視線を向ける
澱カシル :
「こよみちゃんの身体を半分使っている寄生型です。」
「今回も助けられましたし……共生といったところでしょうか。」
澱カシル :
「今はこよみちゃんは寝ていて、クラッドカルトが身体を動かす権利を借りている状態……みたいですね。」
クラッドカルト :
「うん」 頷く
空本彩羽 :
「じゃ、じゃあ、こよちゃんを起こして上げてくださいよ!心配過ぎてこれじゃこっちが眠れなくなっちゃう……!」
澱カシル :
「今すぐ起こして大丈夫なのですか?」
クラッドカルトに問う。
クラッドカルト :
「……わかんない。こんなこと、クラもはじめてだったから……」
クラッドカルト :
「でも、コヨミは……クラが声をかけたら、ぜったいお返事するって言ってた」
澱カシル :
「それなら一度、試しに呼びかけてもらえますか?」
澱カシル :
不安はあるが、ダメならUGNで精査してもらえばいい。
マリスノのプロデューサーは不審ではあるが、采配は有能だ。
クラッドカルト :
「うん。みんな、ちょっとまってて?」
GM :
クラッドカルトは瞼を閉じると、静かに呼びかける。
クラッドカルト :
「コヨミ……」
クラッドカルト :
「クラ、がんばったよ……。カシルたちを、ちゃんと助けてあげられたよ……」
クラッドカルト :
「だから、おねがい。もどってきて……コヨミ……っ」
GM :
胸元を握りしめる手が小さく震える。彼女自身、今の状態は不安で仕方ないのだろう。
GM :
そして、そのままゆっくりと時間が経過していく。
GM :
もしかしたらこよみが戻ってこないかもしれないという一抹の不安のせいか、その時間は異様に長く感じられた。
GM :
……だが、数十秒後。
GM :
クラッドカルトの手の震えが、突然止まった。
天海こよみ :
「……ありがとう、クラちゃん。がんばったね……」
GM :
天海こよみは瞼を開け、胸元を見下ろしながら、優しくそう応えた。
澱カシル :
「…………こよみちゃん?」
天海こよみ :
「あ、カシルちゃん……おはよう」
澱カシル :
「よかった………おはようございます!」
琵琶坂藍依 :
「あ、じゃないよもう……心配したんだから……」
天海こよみ :
「ふふっ……ごめんね、藍依ちゃん……」 小さく笑って
空本彩羽 :
「……こ、こよちゃん……」
天海こよみ :
「あ、彩羽ちゃん……!よかった、ぶじで、」 と言いかけて
空本彩羽 :
「うわーん!!こよちゃん~!!!」 こよみに抱き着く
天海こよみ :
「わ……!?い、彩羽ちゃん……!」
空本彩羽 :
「よかった無事で、じゃないよ~……!! ほんとに心配だったんだよ……!!!」
天海こよみ :
「うん……ごめんね……」
空本彩羽 :
「も~……!勘弁してよ、も~……」
琵琶坂藍依 :
「無事でよかった、って本来こっちの台詞だよ全く」肩を竦める
天海こよみ :
「そ、そうだね……でも、ぼくも心配だったから……」 半べそかいている彩羽にくっつかれながら
琵琶坂藍依 :
「確かに、コヨミのおかげで私達は全員無事だったよ?」
琵琶坂藍依 :
「けど、イロハちゃんを泣かせたのもコヨミだからね? 無茶した報いに、そのまま泣きつかれてるといいよ?」苦笑して
天海こよみ :
「う、うん……わかった……」
天海こよみ :
「でもぼく、無茶した……なんて、思ってないよ……」
天海こよみ :
「ぼくは、ぼくのことも……クラちゃんのことも……」
天海こよみ :
「藍依ちゃんのことも、カシルちゃんのことも……しんじてたから……」 小さく微笑む
澱カシル :
「信じてくれるのは嬉しいですけど! それと無茶してるかどうかは別ですよ!」
「クラ。こよみちゃん、アタシたちが見てないところでだいぶ無茶をしたのでは?」
小さく口を尖らせて、クラッドカルトを呼ぶ。
クラッドカルト :
「う、うーん……」 《ファーコンタクト》を使ってこよみの傍に現れて
天海こよみ :
「し、してた……?」
クラッドカルト :
「コヨミがしてないって思ってるなら~……してない!!」 笑って
澱カシル :
「……クラッドカルト! あなたのそういうところです! すぐ誤魔化す!」
怒ってはいるが、刺々しさはない。
澱カシル :
「………もう。」
クラッドカルト :
「ごまかしてないもん。クラはコヨミの味方なだけだもーん」 こよみにくっついて
琵琶坂藍依 :
「はあ……クラまでこの調子だと、コヨミからは目を離せないね……」
天海こよみ :
「ご、ごめんね……」 はわ…と焦って
琵琶坂藍依 :
「いや、いいんだ」
琵琶坂藍依 :
「もっともっと私達がしっかりしなくちゃ、って思っただけだから」
琵琶坂藍依 :
「……それはそれとして、この件は全て、ミツキに報告させてもらうね」
澱カシル :
うんうん、と横で頷く。
天海こよみ :
「う、うん……」 ミツキを心配させてしまうことを想像して、しょんぼりとする
琵琶坂藍依 :
「ともかく、今回はみんなが無事でよかった」
琵琶坂藍依 :
「ありがとう、コヨミ……生きててくれて……」
天海こよみ :
「……うん。こっちこそ……」 小さく微笑む
GM :
ではこよみも戻ってきて、一安心……していた時だった。
海霧 :
「ぐっ……う……」
GM :
意識を失っていた海霧が目を覚ます。
海霧 :
「よくも……やってくれたわね……」
GM :
そして、体の痛みに悶えながらも立ち上がり、藍依達を睨みつけていた。
琵琶坂藍依 :
「……カイム」
澱カシル :
「………海霧さん………」
空本彩羽 :
「う、うわ……」 慌ててこよみから離れて
海霧 :
「まだ、勝負はついてないわよ……っ」 そうは言うが、もうかなりのダメージを負っていることは明白だ
澱カシル :
「いえ、ついています。それ以上は……お互い苦しいだけですから……もう止めてください。」
海霧 :
「黙りなさい……!」
海霧 :
「体の苦しさなんて関係ない!わたしは……っ!!」
GM :
だがその体はやはり既に限界だったのか、一歩前に踏み込もうとした瞬間に崩れ落ちそうになる。
GM :
しかしその瞬間、彼女の傍で水飛沫が上がった。
海里 :
「姉さん……。何かあったらちゃんと呼ぶって、言ってたのに……」
海霧 :
「……!!海里……」
澱カシル :
「海里さん……!」
GM :
領域の抜け道を通ってその場に現れた海里が、海霧の体を支えていた。
琵琶坂藍依 :
「……まだ立ち向かってくるのなら、私達も反撃しなきゃいけなくなる」
琵琶坂藍依 :
「UGNの応援もすぐに来る、キミ達ふたりは無事では済まないだろう」
琵琶坂藍依 :
「……さっきの戦いで口にしてた『お姉ちゃんだから』っていう言葉が本物なら」
琵琶坂藍依 :
「その子のためにも、矛を収めてほしい」海里を見て
海霧 :
「……っ!!……げほっ、ごほ……」 言い返そうとするが、咳き込んでしまう
海里 :
「……もう、戦う気はありません。姉さんも……わたしがこれ以上は無理をさせません」
澱カシル :
「海里さん……! ありがとう、ございます。」
海里 :
「……いいえ。お礼を言う必要なんて……ない、ですよ……」
海里 :
「悪いのは、わたし達だから……」
海里 :
「だから……今までわたし達がしたこと、全て謝ります……」
海里 :
「……ごめんなさい」 頭を下げる
澱カシル :
「い、いえ……アタシはこよみちゃんが無事ならそれで……クラッドカルトや彩羽ちゃんも無事でしたし……」
海里 :
「……お優しい、ですね」
海里 :
「……その優しさに、甘えるわけではないのですが……」
海里 :
「どうか……一つだけ、わたしの話を聞いてもらえないでしょうか……」
琵琶坂藍依 :
「……何?」いまさら時間を稼いでいるといった風でもない。まだ警戒は解かないが、話を聞くくらい許されるだろう。
澱カシル :
「アタシはいいですけど……」
周りの仲間たちを見る。とは言っても対話を拒絶するような者はいないだろう。
天海こよみ :
「え、えっと……?」 戸惑いながらも、素直に海里の次の言葉を待つ
海里 :
「ありがとうございます……」
海里 :
「……こよみさん」 こよみに向き直って
海里 :
「あなたに、お願いがあります」
天海こよみ :
「ぼく……?」
海霧 :
「やめなさい、海里……話すな……!!」
海里 :
「こよみさん……」 しかし、海霧の言葉を遮るようにして
海里 :
「あなたの力で、この人達を……」 腕を広げ、体育館の床に倒れているジャーム達を示して
海里 :
「わたしの姉妹を、殺してあげてください……!!」
天海こよみ :
「……!?」
琵琶坂藍依 :
「貴女の、姉妹……? どういうこと……?」
澱カシル :
「そのままの意味かと。天海こよみの幻想体になれなかった者……ということでしょう。」
海霧 :
「…………」
海里 :
「えぇ、そうです」
海里 :
「彼女達は皆、わたしと姉さんと同じ……FHに作られた、こよみさんのクローン……幻想体です……」
澱カシル :
「…………ごめんなさい。知らなかったこととはいえ、彼女たちに無礼なことを言ってしまいました。」
事情を知り、海霧に謝罪する。
海霧 :
「……わたしに謝っても、仕方ないでしょう」
海霧 :
「それに、もう……いいわ。全部、無駄になったから……」
琵琶坂藍依 :
「FHの凄惨な実験の産物……そういう事情があったなんて……」
琵琶坂藍依 :
「貴女はずっと、姉妹のために戦っていたんだね、カイム……」
海霧 :
「…………」 顔を伏せる。力を失ったように、何も言わない
琵琶坂藍依 :
「でも、こよみの力で、っていうのは……?」海里に尋ねる
海里 :
「……そう、ですね……。順番に、言うと……」
海里 :
「彼女達は、カシルさんが言う通り、幻想体になれなかった者……つまり、ジャームです」
海里 :
「FHはジャームになったみんなを処分しようとしました。……でも、殺そうとしても殺せなかったんです」
海里 :
「ジャームになったみんなの心には、FHへの恨みと憎しみだけが残って……」
海里 :
「FHが滅びるまで、決して死ぬことはない……。ただ苦しみながら、永久に暴れ続けるだけの生き物になったんです……」
澱カシル :
目を伏せる。
恨み辛みが導くまま暴れる有り様はかつてのカシルのようであり……
完全なジャームである以上、カシルのように救われる道は無い。
琵琶坂藍依 :
「憎悪で生き続ける命、か……」
海里 :
「……わたしと姉さんは、わたし達を作ったFHのセルを何とか潰すことが出来ました。だけど、それだけじゃジャームになったみんなの心から憎悪が完全に消えることがなかった……」
海里 :
「だから姉さんは……わたしにクラッドカルトを奪わせることを決めたんです……」
海里 :
「人の精神に強く干渉することが出来るクラッドカルトの力なら……みんなの心から憎しみを消すことが出来るかもしれない……」
海里 :
「不死身の力を無くして、みんなを楽にしてあげられるかもしれない……そう思ったから……」
琵琶坂藍依 :
「憎悪を消すためにクラが必要……けど、憎悪と不死を失くす事が、そのまま殺すことに繋がってしまうの……?」
海霧 :
「……殺すしか、ないでしょう?」
海霧 :
「あなたは、こんな姿のジャームが日常を過ごせると思うの?」
澱カシル :
「そうですね……怪物をさらけ出して人に混じることはできません……」
澱カシル :
「ただ……わたくしも姿を偽る怪物、ですので。」
「彼女たちの狂気を取り除くことが出来るのなら……わたくしから生き方のコツくらいは教えられるかもしれません。」
琵琶坂藍依 :
「……そうだね、コヨミにもクラにも、人殺しの手伝いはさせられない」
琵琶坂藍依 :
「ただ、私達はUGNだ」
琵琶坂藍依 :
「……私達はきっと、いつしかジャーム化の治療方法を見つけだす」
琵琶坂藍依 :
「何十年何百年何千年かかるかもしれないけど、それでも」
琵琶坂藍依 :
「キミ達は幸いにして、コヨミと同じ能力を持った古代種」
琵琶坂藍依 :
「いくらでも時間はあるんだ。ただ殺してしまうよりも、もっとずっと良い結末を望んでいいんじゃないかな」
海霧 :
「……ふふっ、無責任な言葉ね……」 乾いた笑い声を漏らして
海霧 :
「きっと?いつしか?何十年何百年何千年?」
海霧 :
「そんな保証、一体どこにあるっていうのかしら……」
琵琶坂藍依 :
「保証なんてないよ」
琵琶坂藍依 :
「ただ、今は未来さえ見えないような絶望の闇にいたとしても、」
琵琶坂藍依 :
「苦しくても生きてさえいれば、希望の光が見えてくることだってある」
琵琶坂藍依 :
「……私が、そうだったからね」
琵琶坂藍依 :
「殺すことは、死ぬことはいつでもできるんだ。だったら保証ない未来に賭けてみてもいいじゃない」
琵琶坂藍依 :
「……なにより、死んでほしいなんて、本当は誰も望んでいないんでしょう?」
琵琶坂藍依 :
教室の戦闘で、海霧は傷付いたジャーム達を守るような動きを見せていた。
琵琶坂藍依 :
……もとより、妹達は不死のハズだ。
琵琶坂藍依 :
負傷など気にせずに戦わせていれば、計画は完遂できていたかもしれない。
琵琶坂藍依 :
それでも、傷付けたくなかったのだ。
琵琶坂藍依 :
そんな彼女たちが、大事な姉妹を諦めるだなんて。あまりに残酷だと思う。
海霧 :
「…………」 目を逸らし、黙り込む。彼女自身、姉妹で生きていける未来に未練がないわけじゃないと、その瞳を見れば察せるだろう
空本彩羽 :
「……。あの……」
空本彩羽 :
「ちょっと気になってたんですけど……」
空本彩羽 :
「どうして最初から、こんな風にほんとのことを話せなかったんですか……?」
空本彩羽 :
「そうしたら、少なくとも戦い合う必要はなかったんじゃ……」
海霧 :
「…………」
海霧 :
「この子達が……わたし達がクローンだってことを、天海こよみにだけは知られたくなかった」
海霧 :
「わたしが学習した人間の情報から考えると、クローンのオリジナルがその存在を受け入れられるとは到底思えない……」
海霧 :
「素直に正体を明かしたところで、わたし達は拒絶されるだけ」
海霧 :
「……海里は成功作だし、わたしはお姉ちゃんだからまだ別にいい。だけど……」 眠っているジャーム達を見て
海霧 :
「この子達は失敗作として捨てられただけじゃなくて、元となった親からも存在を否定されるのよ?」
海霧 :
「そんなの、酷すぎるでしょう……あんまりでしょう……」
海霧 :
「だから言わなかった……。親から生まれた意味も価値も否定されるなら……姉のわたしが守れる方法は、秘密にするしかないと思ったから……」
澱カシル :
「…………そうですか。行為の是非はともかく、貴女の苦しみと愛情は……伝わりました。」
彼女の言いたいことはよく理解できる。
全てではないにせよ、生まれたことを祝福されない苦しみへの共感がある。
琵琶坂藍依 :
「生みの親に存在を否定され、拒絶されるか」
琵琶坂藍依 :
「……気持ちが理解できるなんて軽々しく言う気もないけれど、私にも似た覚えがあるよ」
琵琶坂藍依 :
「……私は、母親の浮気相手との間にできた、誰にも望まれない子だったからね」
琵琶坂藍依 :
「けど、生まれた意味も価値も、他人に与えられるものじゃない」
琵琶坂藍依 :
「……自分で見つけ出して、掴んでいくものだと、今の私は思う」イロハちゃんを見て
琵琶坂藍依 :
「それにね、そもそもキミ達の場合、クローンだからと親から否定されるなんてコトないんじゃないかな?」こよみを見る
海霧 :
「何……?」 顔を上げる
琵琶坂藍依 :
「どう思うコヨミ? 貴女にとって、この子達は何? 不快なだけの偽物なのかな?」
天海こよみ :
「……ううん」 首を横に振る
天海こよみ :
「ぼく……あなた達のこと、不快、だなんて……思わないよ……」
海霧 :
「……嘘ね」
天海こよみ :
「うそじゃないよ……。いきなりクローンとか言われて、びっくりはしちゃったけど……」
天海こよみ :
「だからって、気持ちわるいとか、いやだなって思ったりしないよ」
天海こよみ :
「だって、ぼく、もう……自分に見た目がそっくりな妹がいるから……」
海霧 :
「…………」 驚愕したように目を見開くが、
海霧 :
「あ……ああ、そう……。あなた、まだちゃんと理解出来てないのね……?」
海霧 :
「わたし達は、姿を真似ただけのクラッドカルトとは違う……。レネゲイドから遺伝子を再現した存在なの」
海霧 :
「わたしと海里はレネゲイドの進化であなたより体が成長してるし、他の妹達はジャーム化して異形になったから、クローンだって認識が甘いのかもしれないけど……」
海霧 :
「元々は、あなたと全く同じ姿をして生まれてきたの……!要するに、全部あなたの偽物なのよ!!」
海霧 :
「そんな偽物が五十体以上もいて!!こんな酷い姿になって!!それをあなたは気持ち悪いとは思わないの!?」 こよみに詰め寄り、感情を爆発させるように叫ぶ
天海こよみ :
「……。ぜんぜん、思わないよ……」 海霧の気迫に圧倒されかけるが、彼女の目を悲しそうに見つめる
天海こよみ :
「そんなことより、ぼくも藍依ちゃん達と同じように、ジャームから元にもどしてあげたい……。元気になって、みんななかよく暮らして欲しい、って……思うな……」
天海こよみ :
「だって、あの子達も、あなた達も……ぼくの妹……なんだよ、ね……?」 小さく微笑みかける
海霧 :
「……。な……何……っ。…………」 困惑したように瞳を揺らし、言葉が止まる
澱カシル :
「………理解していないのはそちらのようですね。」
「貴女が思うよりもずっと、ずうっと、こよみちゃんは心が広くて、深い子なんですよ。」
琵琶坂藍依 :
「まさしく、海みたいにね」
琵琶坂藍依 :
「……それから、どんなに完璧なクローンだとして、コヨミとカイム達は似てないよ」
琵琶坂藍依 :
「カイムはカイム、カイリはカイリ、コヨミはコヨミだ」
琵琶坂藍依 :
「同じようにカシルはカシル、胡桃は胡桃だ」
琵琶坂藍依 :
「姿かたちは似ていても、心の色はみんな違うでしょ?」
琵琶坂藍依 :
「それなら誰が本物で誰が偽物とか、どうでも良いと思うな」
琵琶坂藍依 :
「……皆、本物の自分以外の何者にもなれないんだしさ」
海霧 :
「……変な人達だわ」
海霧 :
「天海こよみがこんなやつだって分かっていれば……その周りもそうだって分かっていれば……最初から話をしてればよかった、わね……」
海霧 :
「……。ごめんなさい」 目を伏せて、声を震わせて謝る。こよみや藍依やカシル達、妹達にまで向けられているように感じるだろう
琵琶坂藍依 :
「いいんだ。誰も過ちを犯さず生きるコトはできないんだし」自分も過ちを犯してきた
琵琶坂藍依 :
「それにさ、私達を信じられなかったのはキミ達のせいじゃないよ」
琵琶坂藍依 :
「……誰も信じられないような環境で育ってきたのは、見れば分かる」FHへの憎悪によってジャーム化した妹達を見る
海霧 :
「……そう」 顔を上げる
海里 :
「…………」 海霧の横顔を見て、少し安心して
海里 :
「あの、でも……姉さん達は、これからどうすればいいんでしょう……」
海里 :
「その……どこか、住まわせてもらえる場所はあるのでしょうか……」
琵琶坂藍依 :
「そのあたりはプロデューサーに確認を取ってみる」
琵琶坂藍依 :
UGN支部長のオーメン相良のことだが、海里たちには"プロデューサー"呼びでは伝わらないだろう。
海里 :
「プロデューサー……とは……?」
澱カシル :
「ん〜……お面をつけてて、髪が長くて、テンションが乱高下する、アタシたちの上司……?」
海里 :
「…………????」
琵琶坂藍依 :
「こうして改めて聞くと……完全に怖いな、私達のプロデューサー……」
澱カシル :
「優しい方ですので、悪いようにはならないかと。」
琵琶坂藍依 :
「うん、優しい妖怪だよ」
天海こよみ :
「よ、妖怪じゃないよ……!?」
天海こよみ :
「でも、だいじょうぶ……だよ。前に、ぼくが相手をしたジャームを、殺さずになんとかしたいって言ったら……」
天海こよみ :
「凍結施設……?ってところに、送ってくれたから……。多分、この子達もそうしてくれる、と……思う」
海里 :
「そ、そうですか……」 妖怪発言で混乱気味ではあるが納得する
海霧 :
「……凍結施設、ね」
海霧 :
「つまり、あなた達は……いつか助かる見込みができるまで、その施設で妹達を冷凍保存する……そういうこと?」 確認する
琵琶坂藍依 :
「そうだね。ジャーム化の治療方法が確立されるまでは、多くの人々が冷凍保存処置を受けているハズだ」
琵琶坂藍依 :
「……不安?」
海霧 :
「当たり前でしょう」
海霧 :
「あなた達の言っていることは、とても甘くて優しくて……無責任で残酷だわ……」
海霧 :
「この子達にも、わたし達にも、まだ苦しみ続けろって言っている……」
海霧 :
「……だけど。そう、ね」
海霧 :
「あなた達の、残酷な優しさと……」
海霧 :
「わたしの、姉のことを……」
海霧 :
「信じてみてもいい……もう少しがんばってみてもいい……。そう、思ったわ」
琵琶坂藍依 :
「……そっか」安心したように微笑む
琵琶坂藍依 :
「確かに、ジャーム化の治療は奇跡のようなものかもしれないけど」
琵琶坂藍依 :
「こよみとクラはついさっき奇跡を起こし、ほとんど詰んでいた状況を引っ繰り返したんだ」
琵琶坂藍依 :
「もう一度くらいは、奇跡を起こしてみせる」
琵琶坂藍依 :
「……綺麗ごと掲げて、奇跡を体現するのがアイドルだからね」
琵琶坂藍依 :
「だからどうか、それまで待っていて」
海霧 :
「いや、待つけど、治療と戦闘じゃ奇跡のジャンルが違うでしょう。そもそも、そこアイドル関係ないし……」 呆れたように言うが、声色に棘は無い
琵琶坂藍依 :
「この流れで、奇跡にジャンルとか持ち出す……!? でも、人々の精神に干渉するクラの能力の応用で何とかなるかもしれないじゃない……!?」
澱カシル :
「確かに、彼女たちの憎悪は一時的に収まっていましたから……完全に荒唐無稽、というわけではないでしょう。」
澱カシル :
「わたくしも恨み辛みといった事柄には縁がありますし…………何か出来ることがあるかもしれません。」
澱カシル :
「それに……アイドルを続けていれば、縁に出会いもあります。無駄なことではありません。」
海里との出会いは、きっと良い方向へ自分たちを導くきっかけになったはず、と。
海里 :
「ありがとうございます、カシルさん……」
海里 :
「アイドルのことはよく分かりませんが……そう言って貰えるだけで、なんだか心強いです……」 小さく微笑みを浮かべる
澱カシル :
「アイドルって、心を応援するものですから!」
海里 :
「ふふっ……そうなんですね……」 以前見たライブでの盛り上がりを思い出す
海霧 :
「……なんかアイドルバカが多すぎて別の意味で頭痛くなってきたわ」 ため息をついて
海霧 :
「……でも、海里はこれでいいのよね?」 一応確認する
海里 :
「はい。わたしは……大丈夫です」
海里 :
「大変でも、いつか姉妹一緒に暮らせる未来がくるなら……」
海霧 :
「……わかったわ」
GM :
海霧と海里も完全に納得した。その様子を見て、こよみが口を開く。
天海こよみ :
「ねえ、みんな……」
天海こよみ :
「ぼく……今から、クラちゃんの力を使って、歌ってもいいかな……?」
天海こよみ :
「めざめる日がまだ遠くなるのなら、この子達には……いい夢を見ていてほしい、から……」
澱カシル :
「もちろん。こよみちゃんがそれを望むのなら。」
琵琶坂藍依 :
「……折角なら、私達も一緒に歌う?」
天海こよみ :
「ううん。せっかくだけど……今回はぼくだけでもいいかな」
天海こよみ :
「ぼくが、やってあげなくちゃいけない気が……するから」 ジャーム達を見る
琵琶坂藍依 :
「そっか、コヨミもお姉ちゃんだもんね」ちらりと海霧を見て
天海こよみ :
「うん……」
空本彩羽 :
「え゛っ……。も、もったい……もったいな……」 何故かショックを受ける彩羽
琵琶坂藍依 :
「ふふ、MARiNE SNOWのライブはお預けだね」
空本彩羽 :
「そ、そうですね……せっかくの無料ライブが……。いや、な、なんでもないですぅ……」
琵琶坂藍依 :
「フルメンバーのライブは私達三人よりもっと凄いんだから、期待して待っていて」
琵琶坂藍依 :
「……さて、コヨミ! 頑張って、応援してるよ!」
澱カシル :
「ファイト、です!」
海霧 :
「……そうね」
海霧 :
「良い子守歌を、聴かせてあげて……」
天海こよみ :
「うんっ」
天海こよみ :
「クラちゃん、いくよ」
クラッドカルト :
「うん……!」
GM :
こよみと手を繋ぎ、《ファーコンタクト》を解除。
GM :
クラッドカルトの分身が消え、こよみに宿る本体へとその意識が戻る。
天海こよみ :
「…………」
GM :
こよみは一歩前へと進み出て、ゆっくりと深く息を吸い込む。
GM :
そして、こよみの口元が微かに動き、穏やかで優しい歌声が零れ出す。
GM :
彼女の声は波紋のように空間全体に広がって、床に倒れていたジャーム達を温かく包み込んだ。
GM :
やがて、ジャーム達の歪んだ顔に変化が表れ始める。
GM :
憎悪と苦悩が深く刻み込まれた表情が、少しずつ消え去っていったのだ。
GM :
まるで、我が子をそっと抱きしめて寝かしつける、母親のような愛情。
GM :
こよみの歌声に込められたそんな愛情は、確かにジャーム達────五十二人の少女達に届いていた。
GM :
彼女達は深い眠りの海へと引き込まれ……
GM :
瞼の裏に広がる、苦しみのない幻想を見つめていった……。
GM :
シーン終了。
Scene13 妹達の見る未来
Scene Player:澱カシル
UGN芸能支部
GM :
翌日。十月二十三日。
GM :
午後になってカシルがUGN芸能支部に足を運ぶと、そこには海霧と海里の姿があった。
GM :
────あの後、UGNに事情を話し、ジャーム達はUGNのジャーム凍結施設へと搬送されることが決まった。
GM :
そして、海霧と海里はUGNに保護され、一旦この芸能支部に預けられている。
海霧 :
「……また悩んでるの?別に、すぐに決めなきゃいけないものでもないでしょう」
海里 :
「そ、それはそうなんですけれど……」
GM :
ソファに隣同士に座った二人は、そんな風に何かを話しているようだった……。
澱カシル :
「こんにちは、何を悩んでるんですか〜?」
彼女たちの背後から顔を突き出すようにして問う。
未だに人を驚かせるような声のかけ方をする悪癖はそのままのようだ。
海里 :
「きゃあっ!?」 ビクッと肩を震わせて
海霧 :
「な、何!?……カシル!?」 ソファから飛び跳ねて立ち上がり、カシルに構える
澱カシル :
「あっ、ごめんなさい! びっくりさせすぎちゃいましたね……」
澱カシル :
「改めて、こんにちは!海里ちゃんに海霧ちゃん。」
海霧 :
「こんにちは。消えてくれる?」 低い声でそう言いながら、冷たく睨みつける
澱カシル :
「えぇ……? 和解したと思ったのに、何でまた……?」
海霧の過保護さにまだついていけていない。
海霧 :
「何でまた?あなたが驚かせたりするからでしょう?」
海霧 :
「海里がびっくりして、心臓が止まって死んだらどうしてくれるのかしら……?」
澱カシル :
「あはは、確かに海霧ちゃんの心臓はちょっと止めたんでした……。」
「もちろん、そんなことするつもりはないですけど! 気をつけますね。」
海霧 :
「本当に気を付けるのかしら……」 疑いの目
海里 :
「ね、姉さん、わたしはそんなびっくりしたくらいで……死にませんから、だいじょうぶですよ……」
海里 :
「た、ただ、今度からは前から話しかけていただけると……。わたしもお顔を見て、ちゃんと挨拶したいですから……」
澱カシル :
「わかりました! 次はちゃんと前から話しかけますね!」
澱カシル :
「ところで……さっきは何を悩んでいたのですか?」
海霧 :
「…………」 はぁ、とため息をつく。海里が許すなら許すの構えらしい
海里 :
「あ、えっと……」
海里 :
「わたし達、アイドルになろうって……言われたんです。ここの支部長さんから……」
澱カシル :
「あ、やっぱりそうなんですね。」
「ここで滞在してたら、オーメンさんが一度は勧誘するだろうと思ってました!」
海霧 :
「何それ?誰でも誘うの?あの仮面は」
澱カシル :
「うーん、流石に誰でも何でもかんでも、ではないと思いますよ。」
「でも、海里ちゃんと海霧ちゃんは間違いなく勧誘されるだろうな〜、と思っていただけです!」
海里 :
「そ、そうなんですね……」
澱カシル :
「お二人からはこよみちゃんとはまた別の魅力を感じますから!」
「オーメンさんも『君たちには君たちの可能性がある。』みたいなこと言いそうですし。」
割と上手な声真似をしてみせる
海霧 :
「あー……言ってたわね、そういうこと……」
海里 :
「お、お上手です、ね……!物まね……」
澱カシル :
「それで、どうするのですか?」
「アタシはアイドルって凄く楽しいとは思いますけど……大変なのも事実ですから。」
澱カシル :
「お二人の決断を尊重します。」
海霧 :
「わたしはその場で断ったわ。別にアイドルが嫌ってわけじゃないけど、今はそんなことしている場合じゃないもの」
海霧 :
「わたしは妹達のために、わたし自身が出来ることをしなくちゃいけない」
海霧 :
「この組織に任せておけばいいから、誰かがやってくれるから、なんて言って待ってるだけじゃ……無責任でしょう?」
澱カシル :
「相変わらず、全て背負われる覚悟なのですね。海霧ちゃんがそう言うのなら、アタシからは何も。」
「ただ、今はアタシたちも味方のつもりですから。背負いきれなくなる前には相談してくださいね。」
海霧 :
「わたしはお姉ちゃんだから、あなたが思ってるより大丈夫よ」
海霧 :
「……まあ、でもジャームの治療なんてそもそも一人で何とか出来る問題でもないし……頼らなくちゃいけない時は相談するから」 口元に小さく笑みを浮かべる
澱カシル :
「………良かった……」
胸をなでおろす。
海霧 :
「変な子ね……」
澱カシル :
「あはは………マリスノの皆さんは何というか、自分を顧みず頑張りすぎちゃう所がありまして……」
「ちょっと不安になることもあるんです。」
澱カシル :
「海霧ちゃんは相談すると言ってくれたので、安心したなーって。」
海霧 :
「そう。色々と苦労してるグループね……」
海里 :
「……やっぱり、大変なんですか?アイドル」
澱カシル :
「うふふふ………初ライブは3週間で、5曲です。」
「それはもう……大変でしたよ……!」
澱カシル :
「でも……すっごく楽しかったです。」
「何より、人でないわたくしが……"呪い人形"のわたくしが、あの輝くステージに立てたこと。」
「とても、とても嬉しかったです。」
海里 :
「……そうなんですね……」
海霧 :
「それは結構だけど。海里、今すぐ断りに行きましょうか」
澱カシル :
「待ってください。」
海霧の言葉を遮る。
澱カシル :
「例えお姉さんであっても、それを決めるのは海里ちゃんですから。」
海霧 :
「無茶苦茶されて、妹が体を壊してからじゃ遅いんだけど……?」
海里 :
「あ、あぁ、あの、えっと……!」
海里 :
「だ、だいじょうぶです。姉さんもカシルさんも、ありがとうございます……」
海里 :
「わ、わたし、もう決めましたから……!」
澱カシル :
こくり、と頷き、続きを促す。
海里 :
「あの……えっと……」
海里 :
「保留にする……と、いうことを、決めました……」
澱カシル :
「保留……ということはまだ考えてくれるんですね!」
「急な話ですし、ゆっくり考えてもらえれば!」
まだアイドルの可能性があることに嬉しそうに
海里 :
「はい。アイドルは……好きですから」
海里 :
「ただ、ずっと考えていたんです」
海里 :
「こよみさんはわたし達をクローンではなく、別人だと……妹だと見てくれている」
海里 :
「だから、別に……同じことをする必要だってない……」
海里 :
「それに、カシルさんが大変だったけど、すっごく楽しかったって言ってるのを見ていたら、こうも感じたんです」
海里 :
「そんなに楽しいことなら……もしやるのなら、わたしは……姉さんと一緒にやりたいな、って……」 隣の海霧を見て、小さく笑う
海霧 :
「…………」 照れたように顔を赤くして、黙り込んでしまう
澱カシル :
「あれ、お返事しないんですか? お姉さん?」
珍しく、からかうように
海霧 :
「うるさいわね……!!」
海霧 :
「……海里がそうしたいなら、そうすればいいじゃない。ただ、今はわたしはやる気はないから、ね……」
海里 :
「はいっ。もちろん、分かっていますよ……姉さん」 口元に手を添えて小さく笑う
澱カシル :
「わかりました。では、その日を楽しみに待ってます!」
その日はきっと来る、と。
海霧 :
「なんか包囲網が敷かれてる気がしてきたわね……。期待されても困るからね……」
GM :
そうしてそんな風に話していると、ふと海里が壁にかけられた時計を見て、
海里 :
「あ……姉さん。もうそろそろ約束の時間じゃ、ありませんか……?」
海霧 :
「……本当ね。もう行かないと」
海霧 :
「カシル、悪いけど……わたし達はこれから、妹達と会って来るわ」 ソファから立って
澱カシル :
「分かりました! 大事な時間ですし、さっと解散しましょう!」
澱カシル :
「またね!」
「あと、マリスノのライブもまた開催しますから!」
「よかったら来てくださいね!」
海里 :
「はい、また……行きますね……!」
海霧 :
「まあ、気が向いたらね。それじゃ……」
海里 :
「カシルさんも、アイドル……がんばって……!」
澱カシル :
「ありがとうございます! アタシはアタシ自身として、もっと素敵なアイドルになりますので、見ててください!」
海里 :
「はい……!」 楽しみです、というように笑って
GM :
そうして、姉妹は支部から去っていく。
GM :
UGNのジャーム凍結施設の場所は極秘だ。
GM :
搬送されれば、もう気軽に顔を見ることも出来なくなる。
GM :
これから先何十年、もしかしたら永久に会うことも叶わないかもしれない。
GM :
しかし、二人の背から哀しみは感じられない。
GM :
かつて姉妹の死を望んでいた彼女達は、もう別れではなく、再会する未来だけを見ているからだろう……。
GM :
シーン終了。
Scene14 約束のお呪い
Scene Player:澱カシル
レッスンルーム
GM :
十月二十六日、土曜日の午後。
GM :
藍依とカシルは、UGN芸能支部のレッスンルームに集まっていた。
GM :
このレッスンルームは部屋全体に対爆、対化学兵器の処理が施されており、オーヴァードがエフェクトを使用出来るトレーニングルームとしても機能している。
GM :
そんな部屋に二人が来ているのは、普段通りアイドルとしてのレッスンを受けるため……ではなく、
GM :
空本彩羽にオーヴァードとしての基本的な技術を教えるためだった。
GM :
UGNに保護されたオーヴァードはまず、レネゲイドの衝動や、エフェクトをコントロールするための訓練を受けることになる。
GM :
すでに知り合いのオーヴァードが教えた方が精神的な負担もかからないため、最初は友人の天海こよみを指導係にすることを考えられたが……。
GM :
こよみは覚醒してからまだ日も浅い上、何より人に何かを教えるのに全く向いていないため残念ながら除外。
GM :
そこで指定されたのが、彩羽とすでにオーヴァードとして関わった藍依とカシルだった。
GM :
この任務を承諾した二人は、現在レッスンルームで彩羽が来るのを待っている。
GM :
そして、時計の針が約束の時間の数分前を示した頃。
GM :
レッスンルームの扉が開き、空本彩羽が現れる。
GM :
数日ぶりに会う彩羽は、変わりない姿で────
空本彩羽 :
「いやああああああ!!!ほ、ほんとに実在してるーーーーーーっ!!!!」
GM :
主に藍依を見て、何故か悲鳴を上げていた。
澱カシル :
「あ、相変わらずですね彩羽ちゃん……。」
琵琶坂藍依 :
「……いまさら、何を当たり前のことを? 」
空本彩羽 :
「喋ってるうううううううう!!!!」
空本彩羽 :
「ゆ、夢じゃなかったとは……そんな……」 扉にしがみつきながらガタガタ震えている
琵琶坂藍依 :
「いやいや、夢でもホログラムでもないよ? まるでお化けを見たような反応、やめよう?」苦笑して
空本彩羽 :
「ひぇ……ご、ごめんなさい……」
澱カシル :
「そうですよ、お化けならむしろわたくしの方……いえ、この話は一旦置いておきまして。」
琵琶坂藍依 :
「そうだね。 この際、私は夢でもホログラムでも欅坂舞依でもいいから、レッスンを受けに来たんでしょう?」
空本彩羽 :
「誰それぇ……」 おそるおそる入って来て
空本彩羽 :
「そ、それはそうなんですけど、普通ダメじゃないですか……?」
空本彩羽 :
「あたし、ただのオタクですよ……?お金も払わずに、アイドルとこうして話していいわけないですってぇ……」
琵琶坂藍依 :
「……ふむ。何か勘違いしてるみたいだね、イロハちゃん」
琵琶坂藍依 :
「今日の私は、アイドルじゃないんだよ」
空本彩羽 :
「何ですと……?」
琵琶坂藍依 :
「今日の私は、イロハちゃんのトレーナー!」
琵琶坂藍依 :
「────兼、お友達の琵琶坂藍依なんだよ!」
澱カシル :
「今日はUGNエージェントとしてですからね〜」
琵琶坂藍依 :
「そういうこと。だからさ、そんなに構えないで自然に接してほしいな」
空本彩羽 :
「は、はぁ、わ、わか、わかりました……」
空本彩羽 :
「お、お友達なんて、そんな……恐れ多いですけれど、これ以上わがまま言って困らせちゃうのも……アレですし……」
空本彩羽 :
「……ん?トレーナー?」
空本彩羽 :
「よく見たらここ、レッスンルームっぽい……」 鏡張りの部屋を見て
空本彩羽 :
「レッスンルーム!?!?!?!?!?」
空本彩羽 :
「アイドルが練習に使ってる神聖なレッスンルーム!??!??!?!??!??」
空本彩羽 :
「無理!!!!!!!!!!!!!!!!!」 びたーん、とその場にひっくり返る
琵琶坂藍依 :
「イ、イロハちゃん……!?」
琵琶坂藍依 :
「ハッ、もしかしてカシル、これは────」
琵琶坂藍依 :
「レネゲイドの"暴走"……?」
澱カシル :
「いえ違いますが……レネゲイドの関係ない暴走ですが……?」
琵琶坂藍依 :
「え……、普通の暴走……? で、いきなり気絶することある……?」
空本彩羽 :
「イキテマス」 白目を剝きながら
琵琶坂藍依 :
「あっ、生きてるみたい……よかった……」
琵琶坂藍依 :
「ほら、ひとまず起きて?」スッと手を差し出す
空本彩羽 :
「あ、握手しろと……!?」 ギョッと差し出された手を見て
琵琶坂藍依 :
「ん、イヤだった……?」
空本彩羽 :
「全く嫌じゃないです!!!!!」 高速で手を掴む
琵琶坂藍依 :
「いきなり気絶して、いきなり笑顔になって、やっぱりイロハちゃんは面白い子だな」手を引っ張って、優しく立たせてあげる
琵琶坂藍依 :
「……本当にレネゲイドの暴走じゃない?」カシルちゃんに尋ねる
澱カシル :
「びっくりしますけれど、違いますよ。」
「単に藍依ちゃんが好きすぎるだけです。」
呆れながらも微笑ましいと
琵琶坂藍依 :
「そう……そんなに……いきなり気絶しちゃうくらい好きなんだ……」
琵琶坂藍依 :
「なんだか少し恥ずかしいな……」
空本彩羽 :
「恥ずかしがってる藍依ちゃん!?か、かわいい……」
琵琶坂藍依 :
「…………ん」今度は《天使の外套》で顔を隠したりはせず、そのまま
琵琶坂藍依 :
「それより本題、忘れてない?」
空本彩羽 :
「わ、忘れてなんていませんよ!」
空本彩羽 :
「藍依ちゃんの特別握手会……じゃなくて……レネゲイドの制御がどうたらこうたら……?」
琵琶坂藍依 :
「(やっぱり忘れかけてる……)」
空本彩羽 :
「だ、大丈夫です、少しずつ現実を受け入れられてきましたから……」
空本彩羽 :
「藍依ちゃんとカシルちゃんが教えてくれるんですよね?あ、あたしなんかのために貴重な時間を使って……」
琵琶坂藍依 :
「なんかなんて言わないで? それだけの価値がキミにあると思って、私達はここにいるんだからさ?」
空本彩羽 :
「ごめんなさいもう言いません!!!お叱りありがとうございます!!!」
琵琶坂藍依 :
「別に叱った訳じゃ……まあ、良いか、今日の私はトレーナーだし……」
琵琶坂藍依 :
「トレーナーをするって言っても、私達も特別、レネゲイドコントロールが上手い訳じゃないんだけどね」
琵琶坂藍依 :
「……カシルとか、MARiNE SNOW結成当初は度々、撮影で心霊現象を起こしてたし」
澱カシル :
「あはは……写真はちょっと相性が良くなかったといいますか……」
「でも今はコントロールできていますし、基礎に関しては彩羽ちゃんにも教えられると思います!」
琵琶坂藍依 :
「うん……あの頃と比べて、よく頑張ったよねカシルは……」
琵琶坂藍依 :
「私の戦闘スタイルは暴走状態でイマジネーションを力に変える感じなんだけど、日常生活における基礎のレネゲイドコントロールは出来てるから、必要なだけは教えられると思うよ」
空本彩羽 :
「お二人共、ありがとうございます……」
空本彩羽 :
「なんかまだよく分からないけど、とにかく秒で覚えます!!よろしくお願いします……!!」
琵琶坂藍依 :
「ふふ、秒で覚えるとは、大きく出たね?」
空本彩羽 :
「藍依先生とカシル先生に教えられて秒で覚えられなかったらそれはもう死刑だと思うから……」
琵琶坂藍依 :
「ゆっくり手解きしてあげるつもりだったけど……」
琵琶坂藍依 :
「そっちがその気なら、こっちもビシバシ行こうかカシル?」
澱カシル :
「藍依ちゃんがそう言うのなら、マリスノ式で行きましょうか。」
つまるところ短期スパルタ教育である。
空本彩羽 :
「お、お願いします……!」
空本彩羽 :
「ゆっくり優しく手取り足取り個人レッスンとか……あたしがどうにかなっちゃうと思うから……!!」 真面目な表情で
琵琶坂藍依 :
「そういうコトなら、推しと一緒ってコトも忘れちゃうくらいのスペシャルハードコースで」
空本彩羽 :
「いや、忘れるのは絶対無理かも……状況的に……」
GM :
……それから藍依とカシルは、彩羽にオーヴァードとして生きるための訓練をつけた。
GM :
思考錯誤して、彩羽は光を集めて弓を作る戦闘用のエフェクトを持っていることが判明し、少しアドバイスしただけで難なく使いこなすことが出来るようになった。
GM :
もし本人にその気があれば、エージェントかイリーガルとして活躍出来る見込みがあるだろう。
GM :
しかしその一方で、衝動の抑制に関しては少し下手だった。
GM :
元々感情的になりやすい性格のせいか……いや、藍依が傍にいて興奮しがちなせいもあるかもしれない。
GM :
だが全く出来ていないという程ではない。これからも瞑想などの基礎的なトレーニングを毎日積んでいけば、いざという時に暴走するようなこともないはずだ。
空本彩羽 :
「つ、つかれた……。ごめんなさい、ちょっと休ませてください……」
GM :
そうして二時間程経過し、疲労した彩羽が休憩を頼み込んで来る。
琵琶坂藍依 :
「そうだね、無理するのはよくない。休憩にしよう」
澱カシル :
「めめちゃんとユメちゃんからお茶を預かってますので、水分補給も兼ねてゆっくりしましょう。」
空本彩羽 :
「あ、ありがとうございます~……」 へたり込んで
琵琶坂藍依 :
「……でも、本当に筋が良いよイロハちゃん」隅に座って
琵琶坂藍依 :
「このままだと、今度は私がイロハちゃんに守ってもらう側になるかも」
空本彩羽 :
「いやいや、そんなまさか……!」
空本彩羽 :
「いやまあ、あたしでよければいざという時は守りますけどね!へっへへ……」 調子に乗ったように照れ笑いする
琵琶坂藍依 :
「ふふ、頼もしいな」
琵琶坂藍依 :
「けど、まだ暫くは、私がキミを守る番だよ」
空本彩羽 :
「うぉ……あ、ありがとうございます……」 顔が熱くなって、目が左右に泳ぎまくる
澱カシル :
「そうだ、せっかくお二人がいるのですから、少しアタシの話をしてもいいですか?」
澱カシル :
「胡桃ちゃんをよく知るお二人にはちゃんと言っておきたいことがありまして。」
空本彩羽 :
「へ……?胡桃ちゃん?」
琵琶坂藍依 :
「カシルと胡桃の話……」
琵琶坂藍依 :
「うん、是非とも聞かせてほしいな?」
澱カシル :
「アタシの顔のこと、伝えておきたいなと思って。」
澱カシル :
「今さらだけど……この顔は胡桃ちゃんの顔を写し取ったものなんです。」
澱カシル :
「お二人には最初からバレバレでしたね……。」
琵琶坂藍依 :
「コヨミと同じ姿のクラのようなもの、ってことだよね?」
澱カシル :
「そうですね、藍依ちゃんの説明の通りです。なぜ胡桃ちゃんの顔なのか、それも全部話しちゃおうと思います。」
琵琶坂藍依 :
「……良いの? 話したくなかったから、これまで秘密にしていたんじゃないの?」
空本彩羽 :
「話しても良い……と思えるようになったとか?よく分かりませんけど、人間心境って変わりますし……」
澱カシル :
「それも含めて、続きを。」
澱カシル :
「昔のわたくしは人ではなく怪物側に近い存在でしたが……」
「偶然見た、Seventh Heavenのライブ。そのエネルギーと輝きに憧れ、わたくしはあえて人になる道を目指したのです。」
澱カシル :
「そして、努力の末に憧れの胡桃ちゃんに会った……」
「胡桃ちゃんが生命を絶ったであろう、その晩に。」
澱カシル :
「あの時、胡桃ちゃんが何を考えていたのかは分かりません。」
「ただ、アイドルはもうしない、そんなに好きならあなたがやってみせればいい、と胡桃ちゃんは言いました。」
澱カシル :
「その言葉に憤ったわたくしは胡桃ちゃんの顔を写し取り、彼女の代わりに輝きを証明することを誓った、という訳です。」
澱カシル :
「でも……結局のところアタシはアタシ。胡桃ちゃんとは別。」
「顔を今さら変えるつもりはないけれど、もう胡桃ちゃんの代わりになるつもりもないんです。」
琵琶坂藍依 :
「…………そういうコトだったんだね」
琵琶坂藍依 :
「胡桃に憧れて……あの子とそんな関係だったなんて……」
琵琶坂藍依 :
「その顔は、胡桃のファンでいてくれた証だったんだね……」
琵琶坂藍依 :
「あの子のファンでいてくれてありがとう……それから、ごめんなさい……」
琵琶坂藍依 :
「当時の私は、あの子の葛藤に気付いてあげるコトができなかった……あの子を死なせてしまった……」
澱カシル :
「それは………アタシは違うと思います。」
琵琶坂藍依 :
「違う?」
澱カシル :
「手紙……胡桃ちゃんが藍依ちゃんに残した手紙。」
「死ぬ直前に出会った胡桃ちゃんにはもうアイドルとしての夢が無かった……何故なら、琵琶坂藍依に夢を押し付けたから。」
澱カシル :
「それは藍依ちゃんに対するとても大きな信頼と……」
澱カシル :
「身勝手です。」
澱カシル :
「藍依ちゃんが気付けなかったこと、守れなかったことを後悔してるのは分かりますが…………」
「藍依ちゃんだけが悪かったと、責任を背負いこむのは違うと思うんです。」
琵琶坂藍依 :
「そうかな……でも、止めてあげられたのは、すぐ傍にいた私だけで……」
澱カシル :
「そうですね。止められたのは藍依ちゃんだけです。」
「でも話さなかったのは胡桃ちゃんですし、元を辿れば胡桃ちゃんを苦しめたのは藍依ちゃんとは別の方では?」
琵琶坂藍依 :
「それはそうかもしれないけど……」
澱カシル :
「藍依ちゃんの考え方……それは傲慢です。」
「関係ないアタシが胡桃ちゃんの価値を代弁するのが傲慢だったように。」
「その死に全て関与していない藍依ちゃんが全てを背負うのも、傲慢なんです。」
澱カシル :
「少しくらい……自分のせいじゃなかったと認めても、いいんじゃないでしょうか。」
琵琶坂藍依 :
「傲慢、か……」
空本彩羽 :
「……。え、えーっと……」 重苦しい空気に耐え切れなくなって、口を開く
空本彩羽 :
「あ、あのー……」
空本彩羽 :
「いきなり凄い話を聞かされて頭の処理が追いついてないし、っていうかそもそもあたしが聞いてよかった話だったのかって気もするし……」
空本彩羽 :
「あたしは何があったかとか詳しいこともちゃんと知らないし……」
空本彩羽 :
「その、傲慢とか難しいことは全然わっかんないんですけど……」
空本彩羽 :
「それでもあたしは、藍依ちゃんには元気でいて欲しい……幸せでいて欲しい、って思うかな……」
空本彩羽 :
「その、人の気持ちを勝手に言うわけじゃないんですけど。ただのオタクのあたしがこう思うんだから……」
空本彩羽 :
「多分、親友の胡桃ちゃんはあたしよりもっと……藍依ちゃんに元気で幸せでいて欲しいって、思ってるんじゃないかな……?」 おそるおそる、しかしはっきりとそう言葉にする
琵琶坂藍依 :
「イロハちゃん……」
澱カシル :
「………お説教みたいになっちゃいましたけど、アタシもそうです。ずっと心に枷をつけている藍依ちゃんの、罪の意識を軽くしたいって……」
琵琶坂藍依 :
「……ありがとう、二人とも」
琵琶坂藍依 :
「心配させてばっかりでごめん」
琵琶坂藍依 :
「けど、そうだね……確かに言われてみれば、私のせいだけじゃない……」
琵琶坂藍依 :
「悩みを打ち明けられなかった胡桃、悩みに気付けなかった私、娘の尊厳を守るために事実を公表しなかった胡桃の両親……被害者みんな少しずつ間違っていて……その間違いがいつしか、大きな呪いになったのかもしれない……」
琵琶坂藍依 :
「それでも、私の罪悪感全てが消える訳じゃないけど……」
琵琶坂藍依 :
「二人のおかげで、少し心が軽くなったよ」微笑んで
空本彩羽 :
「あ、藍依ちゃん……!!!」 その表情を見て、思わず笑顔になる
澱カシル :
「………良かった、です。」
空本彩羽 :
「そうだよ、うん……よかった!」
空本彩羽 :
「藍依ちゃんは存在するだけで尊いけど、笑顔でいてくれるのが一番最高なんだから!!!」
琵琶坂藍依 :
「ふふ、さっきまでの疲れきった顔がウソみたいな笑顔」
空本彩羽 :
「推しの笑顔で生きてますからね、オタクは」
琵琶坂藍依 :
「……それなら、キミの笑顔を守るために、自分を少し許してあげなきゃね」
琵琶坂藍依 :
「ねえカシル? このあいだの事件でしなかった、指切りの約束のことは覚えている?」
澱カシル :
「はい。………急ですね?」
琵琶坂藍依 :
「カシルと同じで、考えが変わったんだ」
琵琶坂藍依 :
「────このあいだまで私は『トップアイドルになること』を胡桃に対する贖罪だと思っていた」
琵琶坂藍依 :
「そのためには、自分はどうなっても構わないと思っていた」嘘偽りのない本音を伝える。
琵琶坂藍依 :
「……けど、今は違う」
琵琶坂藍依 :
「トップアイドルになることは、ただ胡桃の願いを叶えてあげたいから、自分がそうしたいからだって気付いた」
琵琶坂藍依 :
「もう自分を必要以上に罰する必要はないと、二人のおかげで思えた」
琵琶坂藍依 :
「……だから、約束しよう」小指を差し出す。
琵琶坂藍依 :
「もう私は無茶をしないし、カシルにも無茶はさせない」
澱カシル :
「………はい!」
藍依の心変わりに喜びを顕にする。
澱カシル :
「では……指切りげんまん、ならぬ指切り(ごにょごにょ)……です!」
琵琶坂藍依 :
「え、なんなの、今のごにょごにょ……? 放送コードに引っかかるレベルの何か……?」
澱カシル :
「ふふふ……げんこつ一万回よりこわーい思いをしてもらいます。」
「だって、破ったらアタシだけじゃなくて彩羽ちゃんやマリスノの皆も悲しむことになるんですから!」
琵琶坂藍依 :
「…………そうだね、分かってるよ」もう大事な人達がいると分かっている。
琵琶坂藍依 :
「げんこつ一万回より恐ろしいなんて、想像もできなくて怖いし、もう無茶はしない」冗談めかして
澱カシル :
「いいですか? 指切り(ごにょごにょ)、嘘ついたら──」
小指を絡め、呪る。
琵琶坂藍依 :
「ウソついたら、針千本呑ます」
澱カシル :
「──指切った!」
琵琶坂藍依 :
「……うん、もう約束は違えないよ」離した小指を上げて
澱カシル :
「ふふ、頼もしいです!」
琵琶坂藍依 :
「────さて、休憩時間って言っていたけど、休憩らしい休憩にはならなかったね?」
琵琶坂藍依 :
「でも、その表情を見るに、もう元気は十分かな?」笑顔のイロハちゃんを見て
空本彩羽 :
「そうですね、藍依ちゃんのかわいい小指のかわいい指切りを見れたので……!」
空本彩羽 :
「でももうこれで解散でもよくないですか?あたしはほら、このレッスンルームの壁になっとくので……」
琵琶坂藍依 :
「そういう訳にはいかない」
琵琶坂藍依 :
「……むしろこれからが、スペシャルハードコースの本番だよ?」
空本彩羽 :
「スペシャルハード!?」
琵琶坂藍依 :
「うん? 言ってなかったっけ? 秒で覚えるスペシャルハードコースにするって?」
琵琶坂藍依 :
「屈強な成人男性でも音を上げるエクストラハードコースの方がよかった?」
空本彩羽 :
「なんかおっかない気がするけど、藍依ちゃんにされるならハードでもなんでも……えへへ……」 デレェ……とにやけている
琵琶坂藍依 :
「……流石に冗談だけど、その調子なら、もうちょっと頑張れそうだね?」
琵琶坂藍依 :
「それなら気合を入れて、無理無茶無謀のギリギリまで行ってみようか!」
空本彩羽 :
「やだー!!!!」 言葉とは裏腹にめちゃくちゃ嬉しそうな笑顔になっている
澱カシル :
「今日の藍依ちゃん、今まででも類を見ない気合の入りっぷりですよ……! 彩羽ちゃん、覚悟はいいですか?」
空本彩羽 :
「無理ー!!!!」 言葉とは裏腹に、略
GM :
そうして、トレーニングは再開した。
GM :
厳しいトレーニングに彩羽は悲鳴を上げまくっていたが、終始幸せそうな笑顔だった。
GM :
きっと、藍依が抱えていた苦しみが和らいだから……
GM :
いや、ただ単に、推しにしごかれるという状況を目一杯楽しんでいただけだったのかもしれない……。
GM :
シーン終了。
Scene15 アイリスの花言葉
Scene Player:琵琶坂藍依
ライブハウス
GM :
十一月三日、日曜日。
GM :
今日は中学校での戦いを終えてから初めてのライブの日だ。
GM :
藍依は、控え室で衣装に袖を通す。今日の衣装は、数ヵ月前に行ったMARiNE SNOWのデビューライブの時と同じものだった。
GM :
準備を済ませた後、メンバー達と共にステージの裏へと向かい……。
GM :
そして、ステージの幕が開いた。青い照明が、まるで水中にいるかのような雰囲気を作り出す。
GM :
眩しいスポットライトと熱狂的な感性を浴びながら、藍依の視界一杯にサイリウムが揺れる光景が広がった。
GM :
色鮮やかに煌めく光の海の中で、藍依はすぐにある一つの存在に気付いた。
GM :
最前列で輝く藍色のペンライト。その光の持ち主は、空本彩羽。
空本彩羽 :
「藍依ちゃーん!!!!!」
GM :
彼女は大人のオタク達に挟まれながらも、その小さな体で懸命に藍依の名前を叫んでいた。
iRiS :
くるりと身を翻し、流れる水のような動きのなかで、イロハちゃんにウインクする。
iRiS :
……今日のiRiSは、いつもと違う。ファン達のサイリウムに負けないほどの熱量を胸に秘め、ともすればクラッドカルトの力と比肩するほどの強い輝きを放っていた。
空本彩羽 :
「ぎゃあああああああああ!!!!」 その輝きに焼かれたように悲鳴を上げる。その場で卒倒でもしそうな勢いだった
GM :
見ている側が心配になるような興奮ぶりだったが、彩羽は何とかそのステージを見届け……
GM :
……約一時間後。ライブは死人を出さず、無事に終了する。
GM :
アイドル達のパフォーマンスは熱狂的な歓声の中で幕を閉じ、会場には名残惜しさと興奮が残る。
GM :
そんな熱気冷めやらぬ中、しばらくして特典会が始まる時間がやってきた。
GM :
特典会が始まると、オタク達は列を作って次々と推しのアイドルと交流していく。
GM :
藍依も自分のもとにやってきたオタク一人一人と向き合い、短い時間の中で言葉を交わしたり、チェキを撮ったりしていった。
GM :
そうして特典会が進んでいくにつれて、藍依はふと列の後方に見覚えのある姿を見つける。
空本彩羽 :
「…………」
GM :
そこには空本彩羽がいた。そわそわと緊張した様子で待っており……やがて彼女の順番がやってくる。
空本彩羽 :
「藍依ちゃん!!!!」
GM :
彩羽は目を輝かせながら、藍依の元へと駆け寄った。
iRiS :
「ふふ、今の私は"iRiS"だよ?」
空本彩羽 :
「あ!!!!!」
空本彩羽 :
「ご、ごめんなさい、iRiS……ちゃん?」 まだ慣れない様子であわあわしながら
iRiS :
「良いよ、ちょっとからかってみただけ」
iRiS :
「アイちゃんって呼んでくれる人もいるし、そのままで大丈夫」
iRiS :
「……それより」緊張と興奮で震えるイロハちゃんの手を、両手で優しく包み込む。
空本彩羽 :
「っ!?!?!??!?」 手が触れた瞬間、全身が固まる
iRiS :
「……今日は見に来てくれてありがとう、とっても嬉しい」
iRiS :
「キミの姿、ステージの上からしっかり見えてたよ」
iRiS :
「涙でぐしゃぐしゃになりながら、最後の最後まで、全力で応援してくれてた」
iRiS :
「……すぐ傍で見ていてくれるキミの為にも、頑張りたいと思った」
iRiS :
「おかげで全力以上のパフォーマンスを出せた、と思うんだけど」
iRiS :
「……どうだった? 私達のライブは?」
空本彩羽 :
「ひ、ひぇ……ひ、ひぃ……んひ……」
GM :
言語機能がやられたのかと言うような呻き声が、にやけた唇の隙間から漏れだす。
GM :
だが、今は興奮で死んでいる場合ではない。特典会は話せる時間が限られているのだ、と彩羽はその場で何とか正気に返った。
空本彩羽 :
「さ………」
空本彩羽 :
「最高でしたぁ……!!!」 頬を赤く染めながら、全力で笑顔を返す
iRiS :
「ふふ、そう言ってもらえて安心した」包みこんだ手をぎゅっと握って
iRiS :
「……ライブ中の様子から気持ちは伝わっていたけど、やっぱり向きあって触れあって、こうして伝えてもらえると違うね」
空本彩羽 :
「ほ、ほんとですか!?あたしの気持ち、ちゃんと伝わってましたか……!?」
iRiS :
「うん、勿論」
iRiS :
「初めて話した時の、鈍感な私とは違うよ」
空本彩羽 :
「あははっ!な、なんかもう懐かしい……!ちょっと前のことなのに、大分前のことみたい……」
空本彩羽 :
「あの時の、様子がちょっとおかしかった藍依ちゃんもレアでそれはそれでよかったけど……」
空本彩羽 :
「やっぱりアイドルとして輝いてるiRiSちゃんが……一番です、ね……!!」
iRiS :
「そう言ってもらえると、頑張って練習してきた甲斐があるよ」
iRiS :
「……ああ、そういえば、この衣装はどうかな?」いったん手を離すと、くるっと回って見せる。
iRiS :
「キミが見られなかったデビューライブで着た衣装なんだけどさ」
空本彩羽 :
「え!!!デビュー衣装!?!?」
空本彩羽 :
「そ、そうなんですか!?もう何ヵ月か経ってても着るものなんですね……!?」
iRiS :
「うん、プロデューサーの意向でね」
iRiS :
「当時よく着てた王子様系の衣装とは違うし、イロハちゃんの感想が気になって」
空本彩羽 :
「いやあ、もう……最高最高の最高ですね……」
空本彩羽 :
「深海の国を泳ぐお姫様か何か?いや、姫じゃない、こよちゃんはお姫様っぽいけど、藍依ちゃんはむしろ姫を超えて女王、そう、あたしにとってはもう玉座に座っちゃってるレベルのお美しさというか……」 早口
空本彩羽 :
「抱きしめられて溺れちゃっても悔いはないくらい良過ぎですね……」
iRiS :
「……ふふ、それじゃ溺れてみる?」両手を広げてからかう
空本彩羽 :
「あーっ!!ダメです!!!ほんとに死んじゃうからだめですーっ!!!」 飛び込みたい気持ちと理性で体が前後にぐわんぐわん揺れてる
iRiS :
「(この子の場合、本当の本当に死にかねない気がするな……)」
iRiS :
「でも、気にいってもらえてよかった」
iRiS :
「私も好きなんだ、このデビュー衣装」
iRiS :
「……個人的なコトだけど、新たな門出としても、この衣装は相応しい」
iRiS :
「ようやく改めて"MARiNE SNOWのiRiS"になれた気がするよ」
空本彩羽 :
「そうなんですか?やっぱり……前のあのことがあったから?」 胡桃の名は出さず、一週間ほど前のレッスンルームのことを示す
iRiS :
「……うん」
iRiS :
「これまでの私は、過去と向き合うコトができずに、心のどこかで『卒業』できてなかったんだと思う」
iRiS :
「……キミのおかげで、新しく生まれ変わるコトができたんだよ、イロハちゃん」
空本彩羽 :
「そ、そんな、あたしのおかげだなんて、おおげさですよ……!?」
iRiS :
「大げさでもなんでもないよ、キミはキミのことを過小評価しすぎだ」
iRiS :
「私が好きなイロハちゃんを、貶さないでほしいな?」笑いかける
空本彩羽 :
「ひぃぃ!!ごめんなさい、藍依ちゃんイロハちゃん!!!」
iRiS :
「自分に謝っている人、初めて見たな……」
iRiS :
「でも、そうだね……私にも一つ、キミに謝っておきたいことがある……」
iRiS :
「今、いいかな?」
空本彩羽 :
「藍依ちゃんがあたしに謝ることってないと思いますけど、ど、どうぞ……!?」
iRiS :
「キミも知ってのとおり、あの事件についてだよ」
iRiS :
「……私に向けられた憎悪の余波を、私の味方でありつづけたイロハちゃんも、同じように受けてきたハズだ」
iRiS :
自分が好きな存在へ向けられる憎悪。
彼女はそれをすぐ近くで、毎日のように目の当たりにしてきたハズだ。
周りの子達と話が合わず、疎遠になったコトだってあるかもしれない。
iRiS :
「……当時、私は親友を失くしたことで心が折れていた」
iRiS :
「自分の殻に閉じこもって、自分にとって都合の良い真実を流布する人々と戦おうとしなかった」
iRiS :
「もちろん戦ったとしても、今と状況は変わらなかったかもしれない」
iRiS :
「……けど、私は信じてくれるイロハちゃんみたいなファンのために、正々堂々と立ち向かうべきだった」
iRiS :
「何もしなかった以上、ファンを傷付けたのは私の罪だ」
iRiS :
「……あれからずっと、伝えたかった」
iRiS :
「────ごめんなさい。私のせいできっと沢山、辛い思いをさせたよね」
iRiS :
あの事件で苦しんだのは、私だけじゃない。
……それ以上に沢山、傷付いた人達が居た。
iRiS :
自分だけのせいじゃない。
二人のおかげで、そう思えるようになった。
……けど、だからと言って、自分に罪がないなんて思えなかった。
iRiS :
イロハちゃんならきっと、何も言わなくても許してくれるだろう。
私が笑顔でいてくれるなら、それでいいと。
iRiS :
────だから、これは私の身勝手なんだ。
見て見ぬフリで、自分に胸を張れないから。
自らの過ちを認めて向き合うコトこそ、前に進むために必要と思っているから。
空本彩羽 :
「そ、そんな……。あたしより藍依ちゃんの方が辛かったに決まってるんだから、謝る必要なんて……」
空本彩羽 :
「あたし的には、全然気にしなくていいって感じなんですけど……」 そう言いかけて、少し考え
空本彩羽 :
「……じゃあ、そこまで悪いって思ってるなら……あたしのお願いを一つ聞いて貰ってもいいですか?」
iRiS :
「勿論、なんでも言って?」
空本彩羽 :
「なんでも!?!?」
iRiS :
「うん……? なんでもだけど……?」
iRiS :
「何をお願いするつもりなの……?」思っていた以上の驚きようを見て、首を傾げる。
なお『何でも聞きはする』が『何でもしてあげる』とまでは言ってない。
空本彩羽 :
「な、何を……いや、その、全然やましいことじゃ……!でも本音を言うなら……。違う何でもないです、あたしの良心が残ってる内に言います……っ」
空本彩羽 :
「えーっとですね……」
空本彩羽 :
「これから先、MARiNE SNOWがもっと有名になって……藍依ちゃんがSeventh Heavenの時のことを誰かに掘り返されるようなことがあったら……」
空本彩羽 :
「その時は、今度は逃げずに正々堂々と立ち向かってください」
空本彩羽 :
「あたしみたいなファンはきっと、まだいるはずですから。その子達のことも、新しく出来たファンのことも、ちゃんと守ってあげてください」
空本彩羽 :
「それがあたしのお願いです」 藍依に笑いかける
iRiS :
「…………わかった」
iRiS :
「今度こそ、逃げないで戦ってみせるよ」
iRiS :
「私を大事に思ってくれてる人達みんなを、私も大事にするよ」
iRiS :
「もう誤ったりしない、もう失ったりしない」
iRiS :
「……その結果、どうなるかまでは分からないけど最善を尽くす」その時は自分だけではなく、グループ全体の問題になるだろう。
『どんなことがあっても、MARiNE SNOWでずっと活動していく』といった約束は出来ない。
空本彩羽 :
「大丈夫大丈夫!藍依ちゃんだけで立ち向かえって言ってるわけじゃないんだから!」
空本彩羽 :
「あたしはずっと味方だし、こよちゃん達だっているんですからね!」
iRiS :
「……そうだね。みんなが一緒なら、乗り越えられるような気がするよ」
空本彩羽 :
「そうですよ!」
空本彩羽 :
「お願い、聞いてくれてありがとうございます。安心しましたっ」
iRiS :
「ううん、イロハちゃんに言われなくても、そうするつもりだったから」
iRiS :
「……本当にさっきのお願いで良かったの?」瞳を覗き込むように尋ねる
空本彩羽 :
「い……いいんです!」
空本彩羽 :
「ちょっともったいないなーって思ったりしてませんし!むしろ、あたしの気持ちと藍依ちゃんの気持ちが同じで光栄の至りなわけですし!?」
iRiS :
「そう、それならいいんだけど」見透かしたように微笑んで
空本彩羽 :
「そうですよ!」
空本彩羽 :
「っていうか、今日は"MARiNE SNOWのiRiS"ちゃんの新しい門出っていう、記念すべき日なんですから」
空本彩羽 :
「しんみりしたお話はもうこれでおしまい!だよ、iRiSちゃん!」
iRiS :
「────うん、イロハちゃんの言う通りだ」
空本彩羽 :
「えへへ……」 安心したように笑みを零して
スタッフ :
「あのー、iRiSさん。そろそろ……」 チェキの撮影を担当しているスタッフが声をかける。いつのまにか、結構話し込んでしまっていたらしい。
iRiS :
「ん、そうだったね……正直、まだ話足りないけど……」
iRiS :
「一緒に撮ろうか、チェキ?」
空本彩羽 :
「は……はい!撮ります!どうしよ、緊張する……!!」
iRiS :
「ふふ、緊張しなくて良いんだよ、リラックスリラックス」
iRiS :
「……ああ、イロハちゃん、チェキは初めてだよね? ポーズはどうする?」
空本彩羽 :
「初めてです!えっと、そうですね……」
空本彩羽 :
「じゃあ、前に言ってたハグとか~……」
空本彩羽 :
「……なんて、うそうそ!冗談です!よく分かんないし、iRiSちゃんのおすすめでお願いします!」 あの時はああ言っていたが、ここまでチェキ撮影でハグしてるとこなんて見たこと無いと笑う
iRiS :
「そうだな、二人の手を合わせてハートマークを作るのは?」
空本彩羽 :
「いいですね、王道的な!それでお願いします!」
iRiS :
「ん、ではカメラさんお願いします」イロハちゃんの隣まで歩いていき、片手でハートマークを作る
空本彩羽 :
「んへへ……」 緊張しながらも、嬉しそうに片手でハートを作って
iRiS :
片手で作ったハートマークをイロハちゃんのモノと合わせ、
iRiS :
いよいよシャッターが切られる。その直前。
iRiS :
「────ふふ、もうちょっと寄ってもらえるかな?」イロハちゃんの腰に、空いた手を回して抱き寄せ、頬と頬をくっつける。
空本彩羽 :
「へ?」 抱き寄せられた瞬間、頬に柔らかい感触を覚えた瞬間、笑顔が崩れて
GM :
それを見て、ざわ……とどよめくiRiSのオタク達。
スタッフ :
「!!!!」
GM :
撮影役のスタッフは驚きつつも、プロの仕事をこなしてシャッターを切る。ぱしゃ、と音が鳴った。
GM :
撮影された写真はすぐに現像されて、いつものようにまず藍依に手渡される。
GM :
そこには、しっかりと二人の姿が映っていた。藍依は文句の付け所のないカメラ映りだが、彩羽の方は衝撃で固まった表情になっている。
iRiS :
「うん、よく撮れてるね、イロハちゃんの可愛いところ」ご機嫌で写真を確認して
iRiS :
「……ぎゅっとしてあげる約束も、これで果たせたかな?」固まってるイロハちゃんに笑いかける
空本彩羽 :
「えっ、えっ、あ、あの、あ……あたし、あれ……冗談で……」
空本彩羽 :
「ほ、ほっぺた……体……くっついて……」
空本彩羽 :
「い、いいんですか、こんなのぉ……!?!?」 顔を火照らせながら、あわあわと震えている
iRiS :
「なにしろ今日は、イロハちゃんが"MARiNE SNOWのiRiS"と初めてチェキを撮った、記念すべき日だからね」
iRiS :
「忘れられない思い出にしたかったんだ」
空本彩羽 :
「~~~~~~~~~っ……!!!!」
空本彩羽 :
「こ、こんなの忘れられるわけないじゃん~~~~……!!!!」 嬉しさと恥ずかしさで限界になった顔を両手で隠して
空本彩羽 :
「あ、ありがとう、藍依ちゃ……iRiSちゃん……結婚しよぉ……」
iRiS :
「ふふ、喜んでもらえてよかった」
iRiS :
「……このあいだは、推しなんか変えていいって言ったけど、あれウソ」
iRiS :
「これからも私を好きでいてほしい、いや、違うな」イロハちゃんの顔を覆う手を取って、
iRiS :
「────一生、私を好きでいさせてみせるよ」しっかり目を合わせ、真剣な表情で告白する。
空本彩羽 :
「んひゃ……あ、あびぁ……」 奇声が漏れて
空本彩羽 :
「い……い、い……」 唇を震えさせて
空本彩羽 :
「ぃよ、よろしくおねがいしまあす!!!!!」 これまでで一番幸せそうな笑顔で返事をする
iRiS :
「ふふ、絶対だよ?」
iRiS :
「────と、そろそろ時間か」さらりと流れる動作でサインを書くと、海星の落書きを添えて、イロハちゃんにチェキを手渡す。
空本彩羽 :
「は、はい!……わぁ、iRiSちゃん顔が良すぎ……あたしはアレだけど……」 自分のびっくりした顔が切り取られているのを見て
iRiS :
「何を言ってるの? 最高の瞬間が切り取れてるじゃない?」くすくす、と笑って。
空本彩羽 :
「さ、最高は最高なんですけど~……!ま、まあいっかぁ!!」
空本彩羽 :
「じゃ、じゃあ、iRiSちゃん……えっと……」
空本彩羽 :
「今日、iRiSちゃんがステージで歌ってる所が見れて……すっごく嬉しかったし楽しかったです!」
空本彩羽 :
「あたし、絶対また来ます!お小遣いないからすぐには無理かもだけど……それでも絶対また来ますから!」
空本彩羽 :
「だから、iRiSちゃんも無理せずがんばってくださいね……!!」
iRiS :
「勿論、次に来てくれる時はもっと凄いステージになっているコトを約束する」
iRiS :
「次に会える日を、私も楽しみにしてる」
iRiS :
「……またね、イロハちゃん」
空本彩羽 :
「はい!それじゃあ、また……!!」
GM :
彩羽は笑顔で別れの挨拶を済ませ、その場から去って行こうとする。
iRiS :
「…………イロハちゃん!」小さな背中に呼びかける
空本彩羽 :
「はぇ!?」 立ち止まり、振り向く
iRiS :
「────私、トップアイドルになるよ」胸を張って宣誓する。
iRiS :
「キミを武道館まで連れて行く」
iRiS :
炎上した私がアイドルの頂点まで羽搏くなんて、
奇跡のようなものかもしれないけど、それでも。
iRiS :
もう贖罪でも義務でもなく、ただ私がそうしたいと思ったから。
iRiS :
「それまでキミを"他界"させたりしない」
iRiS :
「だからずっと、私から目を離さないで」
空本彩羽 :
「……!!!」 その言葉を聞き、瞳を輝かせ
空本彩羽 :
「うん……わかった。ちゃんと見てる」
空本彩羽 :
「絶対なれるよ、iRiSちゃんなら!!」 一片の疑いもない言葉を、笑顔で返す
iRiS :
「うん」同じように曇りのない笑顔
iRiS :
……嗚呼、これはたぶん呪いだ。
実現の望みは薄く、叶わなければ、応援してくれる全ての人の心に昏いものを残す。
iRiS :
目を覆いたくなるようなバッドエンドに辿り着くかもしれない。
行き先は地獄かもしれない。仄暗い海の底かもしれない。
iRiS :
飛んでいるのか堕ちているのか、泳いでいるのか沈んでいるのか、今は分からない。
iRiS :
「(……けど、本当に『天国』なんてものがあるなら、貴女もきっと見守っていて胡桃)」
iRiS :
"アイドルは、理想を追求して奇跡を体現する"
在りし日の久能胡桃が、困難に直面したとき、お呪いのように繰り返していた言葉。
iRiS :
その言葉が真実であれば、必ず。
iRiS :
────この呪いを、また祝福に変えて見せるから。
GM :
彩羽はiRiSに小さく手を振った後、幸せそうな笑顔で、一枚のチェキを宝物のように握りしめながら去って行った。
GM :
そうして、残りのファンとも交流した後、特典会は無事に終了する。
GM :
……彩羽自身が言った通り彼女はまだ中学生で、金銭的な問題であまり来ることは出来なかったが……。
GM :
それでも彩羽はその後もライブに訪れ、藍依のパフォーマンスに熱中し、最高の笑顔を送り返した。
GM :
特典会では、語彙力のない言葉で必死に藍依への愛を語った。
GM :
あなたがいてくれるだけであたしは幸せ、と。
GM :
迷いなく、曇りなく、彼女は藍依だけしか見えていないというように。その瞳を輝かせていた。
GM :
────暗く深い海の底に、雪が降る。
GM :
あまりにも闇が濃くなりすぎて、ずっと気付かなかったもの。
GM :
これまでその目には映っていなかったが、その光は今も確かに存在していた。
GM :
アイリスの花言葉が示す通り、希望という名のスポットライトに照らされて……。
GM :
アイドル“iRiS”はこれからも、輝き続ける────。
GM :
シーン終了。
After Play
経験点配布
GM :
では最後に、経験点の配布を行います。
GM :
セッションに最後まで参加した、よいロールプレイをした~スケジュール調整を行ったのとこは纏めて5点。
GM :
シナリオの目的を達成したで5点。
GM :
Dロイスで1点。Eロイスで5点。
GM :
ここまで合計して、全員共通で16点。Sロイスが最後まで残っている人は更に5点追加して21点。
GM :
それにルルブ1の211ページを参照してもらって、最終侵蝕率の経験点、もしくはロイス×2個振った場合の経験点を加えてください。
iRiS :
24点です!
澱カシル :
24点ですの!
GM :
二人共24点!
GM :
じゃあGMは計算の結果、17点貰います
iRiS :
おあがりよ!!
澱カシル :
2で割ってもいいのでは……!
GM :
経験点なんてキャンペでもない限り飾りだしいいんです
GM :
ではロイス整理などは後で各々やってもらうとして、
GM :
これにてDX3rd「Heaven Gazers」を終了します。お疲れ様でした!!
澱カシル :
お疲れ様でした!!!!
素晴らしい卓をありがとう!!
iRiS :
おつかれさまでした!やりきった!!めっちゃ楽しかった!!
iRiS :
ビワを再び動かす舞台をくれてありがと!! とっても感謝!!
GM :
わぁい、楽しんでくれてほんとによかった……!
GM :
こちらこそ、開催前に色々あったし開くまで時間も空いたのに付き合ってくれてありがとうね……!
GM :
じゃあ後はTLで!解散!
Extra
パーソナリティーズ:Heaven Gazers
空本彩羽
「絶対なれるよ、iRiSちゃんなら!!」
・DATA
性別:女性
年齢:14歳
身長:155cm
ブリード:ピュアブリード
シンドローム:エンジェルハイロゥ
ワークス / カヴァー:中学生 / アイドルオタク
覚醒:憤怒
衝動:解放
【肉体】 1
【感覚】 7 〈射撃〉2 〈知覚〉1
【精神】 2 〈RC〉2 〈意志〉1 〈知識:アイドル〉4
【社会】 1 〈情報:噂話〉1
【HP】024 【行動値】16 侵蝕率:35%
エフェクト:《光の銃》1、《ピンポイントレーザー》1、《死点撃ち》5、他
・解説
天海こよみと同じ中学校に通う少女。弓道部所属。
こよみのクラスメイトで、クラスの中ではこよみと一番親しい友達でもある。
かつて存在したメジャーアイドルユニットSeventh Heavenのオタクで、推しは琵琶坂藍依。
Seventh Heavenとの出会いは、約四年前にテレビで見た音楽番組。
そこで琵琶坂藍依に一瞬で心を奪われ、彼女のファンになった。
まだ小学生の子供であったため推し活には限界があったが、それでもお小遣いやお年玉は全てSeventh Heavenのために使う程熱中し、藍依のことを応援し続けていた。
彩羽は一般的な家庭に生まれ、取り立てて波の無い平和な日常を過ごしている、どこにでもいる普通の少女だ。
ただ、そんな普通の彼女にも、ただ一つ普通ではない部分があった。
それは、本当に好きになった相手のことを絶対に嫌いにならないということだ。
彩羽の中には反転アンチという概念が存在せず、琵琶坂藍依が何をしようとも幻滅することはない。
たとえもし藍依が未成年飲酒、薬物使用、殺人行為などの犯罪を起こしたとしても、推しであることは決して変わらないのだ。
そんな彼女が胡桃が自殺したのは藍依がイジメていたからという根拠の無い噂を信じるはずもないし、仮にそれが真実だったとしても藍依のファンを辞めることはないだろう。
彩羽にとって藍依を推し続けることは普通のことで、かつてのファンがアンチ化して藍依を叩くようなことは理解出来ず、憤った彩羽は日夜ネットでアンチと不毛で激しいレスバトルを繰り広げていた。
だがどれだけ言っても伝わらず、藍依への誹謗中傷を見る日々に疲れ、その様子を心配した母親に諭されて彩羽はしばらくの間ネット断ちすることを決めた。
こよみがアイドルであることは他の生徒がすぐに気付いたことで学校中に広まり、彩羽もそのことは把握していたが、万が一にでも他のアイドルのことを好きになってそのせいで藍依への気持ちが薄れてしまうかもしれない可能性を恐れ、意識的にアイドルとしてのこよみのことを知ろうとはしなかった。
(こよみにとってはクラッドカルトの力の影響もあって、学校中の人間がこよみのアイドル活動に興味を持った中、その辺りを全く気にせず接してくれた彩羽のことを少し特別に感じたらしく、それがクラスの中で一番仲良しの友達になる理由の一つになった)
そのため、シナリオ本編まで藍依がMARiNE SNOWとしてアイドル活動を再開していることは知らなかった。
藍依を誹謗中傷する世間に激しい怒りを覚えたことがきっかけでレネゲイドウイルスを発症し、オーヴァードに覚醒した。
しかしこれまで無意識に能力を使ってしまうようなことも、衝動が暴走することもなかったため、自身がオーヴァードになったことに気付いていなかった。
クライマックスフェイズでの戦闘にて、藍依を助けたいという心にレネゲイドが応えたことで初めて力を使うことになった。
本編で使用した《ヘヴンゲイズ》の元になったエフェクトは、エンジェルハイロゥシンドロームの《ヘヴンアイズ》。
藍依は攻撃の際に隠密状態になった時、あらゆる支援を受け付けなくなるが、彩羽は藍依への強い気持ちでシステムを超えて特別に支援エフェクトが通用するようになっている。
炎上しても藍依を信じ続けるオタクとして、十条ミツキに対する天海こよみに近い立場をイメージして作られたキャラクター。
藍依への感情以外はごく普通の少女であるため、クローンを異質なものとして捉えるなど、普通の感覚を持った人間として動いてもらう役割も担っている。
Seventh Heavenから連想される空、本気のオタクで本、Seventh Heavenの天使のイメージから来る羽が名前の由来。
海霧
「あなた達の、残酷な優しさと……わたしの、姉のことを……信じてみてもいい……もう少しがんばってみてもいい……。そう、思ったわ」
・DATA
性別:女性
年齢:0歳
身長:168cm
ブリード:クロスブリード
シンドローム:キュマイラ / オルクス
ワークス / カヴァー:レネゲイドビーイング / 幻想体
覚醒:素体
衝動:憎悪
【肉体】 9 〈白兵〉10
【感覚】 6 〈芸術:歌唱〉4
【精神】 3 〈意志〉2 〈知識:アイドル〉4
【社会】 6 〈交渉〉2 〈情報:ウェブ〉2
【HP】41 【行動値】15 侵蝕率:143%
エフェクト:《パワースイング》4、《形なき剣》2、《完全なる世界》4、他
・解説
天海こよみを起源とする幻想体と呼ばれるレネゲイドビーイング。
こよみから摂取したレネゲイドウイルスを培養して生まれた特別なクローンである。
彼女のレネゲイドウイルスはFHの技術によってオリジナルよりも進化しているため、その影響でこよみを成長させたような姿をしている。
白い髪は、彼女のオルクスシンドロームの因子である霧が影響して変色した。
天海こよみのレネゲイドウイルスがクラッドカルトと強く適合していることに目を付けたFHのとあるセルによって作られた。
そのセルの目的は、こよみの能力を再現した幻想体にウロボロスシンドロームをトライブリードとして追加し、その力でこよみからクラッドカルトを奪い取ること。
しかし、幻想体はまだ不安定な技術であったため、海霧はウロボロスシンドロームを覚醒することが出来なかった。
その後もこよみの幻想体は次々に作られていったが、唯一の成功作である海里を除いて全員が失敗作に終わり、ジャーム化してしまった。
海霧はFHへの憎悪から生まれたEロイス《不滅の妄執》の効果で死ぬことも出来ず永久に苦しみ続ける彼女達を救うため、海里と共に決死の覚悟でセルに反旗を翻す。
セルの科学者を護衛するチルドレンやエージェントは強敵だったが、最終的に隔離されていたジャーム達を海霧の《ブレインジャック》で制御して戦力に加えることで何とか勝利を収めた。
セルに所属する人間は一人残らず死亡し、幻想体に関する技術も全て破壊することが出来た。だがそれでも、ジャーム達の心からFHへの憎悪は消えることがなかった。
そこで海霧はクラッドカルトが持つ精神干渉能力ならジャーム達からFHへの憎悪を消して《不滅の妄執》を解除することが出来ると考え、クラッドカルトをこよみから奪い取ることを決めた。
クラッドカルトを奪い取ることの出来ない失敗作ではあるが、クロスブリードであるためトライブリードの海里よりも能力の出力は強い。
しかし常に五十二体のジャームの暴走を《ブレインジャック》で抑えつけているせいで体にかなりの負担がかかっており、まともに戦闘を行なうのは苦しい状態だった。
ジャーム達が凍結されてからはブレインジャックの効果を解除しているため、本編クライマックスフェイズ時よりも十全な戦闘が可能になっている。
姉妹愛が非常に強く、自分よりも後に作られた幻想体達を全員大切に思っている。
しかし、自分が失敗作でなければ彼女達が作られる必要はなく、ジャームと化して苦しむことも無かったと考えて罪悪感も覚えている。
その罪悪感から、何をしてでも自分が姉として責任を取らなければならないという強迫観念に囚われている所があった。
名前の由来は海に関係する言葉と、クラッドカルトを奪い取る力が皆無であるところから。
海里
「そんなに楽しいことなら……もしやるのなら、わたしは……姉さんと一緒にやりたいな、って……」
・DATA
性別:女性
年齢:0歳
身長:168cm
ブリード:トライブリード
シンドローム:キュマイラ / オルクス / ウロボロス
ワークス / カヴァー:レネゲイドビーイング / 幻想体
覚醒:素体
衝動:恐怖
【肉体】 9 〈白兵〉10
【感覚】 6 〈芸術:歌唱〉4
【精神】 3 〈意志〉2 〈知識:アイドル〉4
【社会】 6 〈交渉〉2 〈情報:ウェブ〉2
【HP】41 【行動値】15 侵蝕率:154%
エフェクト:《パワースイング》3、《形なき剣》2、《封印の楔》2、他
・解説
天海こよみの幻想体の一人。
幻想体達の中で唯一、ウロボロスシンドロームを覚醒することが出来た成功作。
五十四人存在する幻想体達の中で一番最後に作られたため、姉妹の中では末っ子の位置づけになる。
こよみの内気で弱気、穏やかな性質を色濃く受け継いだ性格をしている。
そのため、こよみを襲撃することに抵抗感があっても、海霧に強く反対することが出来なかった。
シーン3でMARiNE SNOWのライブに足を運んだのは、こよみがアイドルをやっていることを知って気になり、襲撃前に一目見ておきたかったからである。
特典会でカシルの列に並んだのはライブ中に目が合ったのと、小さくてかわいい人だと思ったから。
こよみとも一度直接話したかったが、万が一クローンであることがバレることを警戒した海霧に禁止されていた。
海霧海里共に、FHによって作られたレネゲイドビーイングで、セルを壊滅させ、他者が自身の姿や存在に直接関係している等のカシルとの共通点を持たせて作られた。
また、藍依とカシルの自分の正体や経歴に関して隠し事をしている部分も意識されている。
ハンドアウトロイスのこよみとクラッドカルトに絡めつつ、藍依とカシルに自身の存在をそれとなく見つめ直させるためのキャラクター。
海霧と海里のデータは、能力値はこよみの三倍、技能値は二倍となっている。
ちなみにジャームとなった他の幻想体達は、能力値はこよみの二倍、技能値はこよみと同じに設定されている。
名前の由来は海に関係する言葉と、こよみからクラッドカルトを解離させる力があるところから。
CREDIT
あめのちはる
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本作は「矢野俊策」「有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ」「株式会社 KADOKAWA」が権利を有する
『ダブルクロス The 3rd Edition』の二次創作物です。
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