GM:めい
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雑談ログ
Character Sheet
十条ミツキ (キャラシート) PL:方舟
天海こよみ (キャラシート) GM:めい
Index
◆Previous Story◆
DX3rd「明星のレゾナンス」
◆Preplay◆
HO&PC紹介
◆Opening Phase◆
01 運命が再び動き出す
◆Middle Phase◆
02 無限迷路の水族館
03 伝説のアイドル
04 欺瞞のアイドル
05 深海よりも深いもの
06 深海よりも暗いもの
07 海上の仲間たち
08 明星のシンフォニア
◆Climax Phase◆
09 夜が明けるまで、キミと共に
◆Ending Phase◆
10 最高のアイドル
11 空を映して煌めく海
12 青が響く物語
◆After Play◆
経験点配布
◆Extra◆
パーソナリティーズ:こよみとミツキの心海回游
Pre play
GM :
それではPCの紹介からやっていきましょう!
みずびー、お願いします!
十条ミツキ :
了解です!
十条ミツキ :
十条ミツキ。19歳。元カリスマ的アイドルで、現UGNエージェント。
十条ミツキ :
かつては地下アイドルの中でも有数の超人気アイドルでした。天海こよみちゃんという可愛いオタクちゃんも居て、まさに順風満帆といったアイドル人生を送っていました。
十条ミツキ :
しかし、ある日をきっかけに、「自分の人気は自分の力によるモノではなく、自分に取り憑いていたレネゲイドビーイング"クラッドカルト"が作り出したモノであった」と気づいてしまいます。
十条ミツキ :
それを知ったショックやらその他複合的要因やらで、何だかんだ半分がジャームです。詳細は明星のレゾナンスを参照ください。
十条ミツキ :
ただ、本人は自分がジャームと化していることに気づいていません。今はこよみちゃんが所属するアイドルグループ『MARiNE SNOW』のマネージャーとして活動しています。
十条ミツキ :
以上!
GM :
つらぁい…一陣はこの事実が判明するとこまでいかなかったから、こよみもまだ知らないことなんよね…
十条ミツキ :
そうです。実は裏では、「自分の因縁の相手である"クラッドカルト"がこよみちゃんに取り憑いている」ということにめちゃめちゃ複雑な感情を抱いています。
GM :
そりゃ複雑なんよな~…
GM :
では、そんなミツキちゃんのハンドアウトはこちら
◆十条ミツキ用ハンドアウト◆
ロイス:天海こよみ
推奨感情 P:任意 / N:任意
カヴァー/ワークス:指定なし/指定なし
MARiNE SNOWがデビューしてから、もうすぐ二ヵ月が経とうとしていた。
キミは今もMARiNE SNOWのマネージャーとして、そして天海こよみの友達として彼女の傍にいる。
らみぃどらいぶ!との戦い以降、クラッドカルトを狙う敵は全く現れていなかった。
もしかしたら、このまま平和な日常がずっと続いていくのかもしれない。
……キミはそう思っていた。ある休日に、こよみのファンだという男が現れるまでは。
GM :
明星のレゾナンスのIFということで、何か平和になったはずだったけど知らん男が登場するよ。
十条ミツキ :
誰だお前ェ!!!!!!
GM :
初めまして!百合に挟まりにきました!
十条ミツキ :
帰りな〜〜〜〜!シッッ
十条ミツキ :
ミツキはこんなこと言いません
GM :
ヤンキーおみつ
GM :
HOロイスはこよみです。もう明星のレゾナンスでいっぱいお話してるし、ここでPN感情とどっちが表に出てるか教えてもらっていいかな?
十条ミツキ :
はい!感情は☑️尽力/嫉妬です
十条ミツキ :
こよみちゃんのことをもう裏切りたくない、今度はずっとそばにいて力になりたい、というあの夜語った想いがある一方で、"クラッドカルト"が憑いていながらもアイドルとして順当に人気を伸ばして幸せそうにアイドルをしているこよみちゃんに嫉妬しています。
十条ミツキ :
自分でも嫉妬の感情を気持ち悪いと感じています。だからこそ、最近はこよみちゃんといると楽しいけど、半分自己嫌悪でいっぱいという感じで……大変です。
GM :
ひぃん…ミツキちゃん…
GM :
おつらいね…この卓でまた関係が変わると思うからがんばって生きて…
十条ミツキ :
頑張るぞ…こよこよちゃんを支えなくてはという思いももちろんあるしね!
GM :
そりゃそうだ!頑張れお姉さん…!
GM :
それとPLにはすでにお伝えしていますが、改めてミツキちゃんが持つEロイスの扱いについて説明します。
GM :
ミツキちゃんは明星のレゾナンス本編で《ファイトクラブ》を始めとしたEロイスをいくつか取得していますが、それらのEロイスは今回の卓では設定としてのみ存在するものとします。
PCのデータとしては存在しませんので、通常のPCと同じようにロイス枠は空いています。なのでセッション内で普通にロイスを取っていってください!
十条ミツキ :
了解です!ジャームとしての人格は、今はお留守番です。
GM :
いい子でお留守番してもらって
十条ミツキ :
ジャームの時点で良い子ではない
GM :
それもそうだな????
GM :
では、プリプレイでやることは以上
GM :
これからメインプレイを始めて行こうと思います。
GM :
止まっていた時間を動かしていきましょう!よろしくおねがいします!!
十条ミツキ :
しっかり前に進みましょう、よろしくお願いします!
Main play
Scene01 運命が再び動き出す
MARiNE SNOWがらみぃどらいぶ!を倒した後、世界の運命は分岐した。
これは明星のレゾナンスから続く、もう一つの共鳴の物語である。
GM :
まずはオープニングフェイズになります。
ミツキちゃん、登場侵蝕のダイスをお願いします。
十条ミツキ :
1d10+36(1D10+36) > 2[2]+36 > 38
GM :
────地下アイドルグループ、MARiNE SNOWがデビューしてから、約二ヵ月が経つ。
GM :
一ヵ月前、MARiNE SNOWがらみぃどらいぶ!との戦いに勝利して判明した事実。
それはらみぃどらいぶ!のメンバー、四ツ谷亜美と一ノ瀬来夢は何者かによって洗脳されていたということだった。
彼女達を保護したUGN芸能支部は事情聴取を試みるも、操られていた時の記憶は曖昧で、背後に潜んでいた黒幕については何も分からなかった。
GM :
しかし、亜美と来夢の体内から摘出された毒々しい紫色の触手を見て、十条ミツキは黒幕の正体を確信する。
FHエージェント、“アビシス”梓シグレ。
ミツキと因縁のある彼女こそが、クラッドカルトを巡る物語の真の敵であるはずだった。
GM :
だが、あれからシグレはクラッドカルト奪取のために動くことはなくなっていた。
亜美と来夢という手駒を失ったからなのか。それともまた別の理由があるのか。
そこまでは分からないが、確かなことは一つ。
天海こよみが危険にさらされることは、もう起こらないということだ。
GM :
ミツキは今もMARiNE SNOWのマネージャーとして活動しながら、天海こよみと共に平穏な日々を送っている。
GM :
そんなある日、こよみは突然ミツキにこう言い出した。
二人で海に遊びに行きたい、と……。
市街地
GM :
急なお願いだったが、ミツキは日帰りでこよみを海に連れていくことにした。
GM :
そして約束の八月三十日。日曜日。
ミツキは晴れ渡った青空の下を歩きながら、待ち合わせ場所である駅へと向かっていた。
GM :
集合時間は午前九時。このままゆっくり歩いても、余裕で間に合う時間だった。
十条ミツキ :
まだ朝のため、そこまで暑くはないが……日差しを気にするミツキは日傘を差し、道を歩く。
十条ミツキ :
「(こよみ、急にどうしたんだろう……でも、ライブも練習も、最近たくさん頑張っていたしね)」
十条ミツキ :
「(ご褒美……って言ったらおこがましいけど、たくさん甘やかしてあげよう。ふふっ、楽しみだなぁ)」
十条ミツキ :
楽し気にふふっと笑いつつ、のんびりと集合場所へと向かう
駅前
GM :
平日程では無いが駅前には人通りが絶えず、喧騒が溢れていた。
そんな人混みの中、ミツキは一際目立つ人物を見つける。
GM :
青い海に浮かぶような、美しいツインテールが特徴的な少女だ。
その存在は、触れれば泡になって消えてしまいそうなほど儚く見えた。
身にまとった青いワンピースはやわらかな光沢を放ち、彼女の儚げな雰囲気を一層際立たせている。
GM :
少女のワンピースの裾が風になびき、足下が優雅に揺らめくたびに、道行く人々は少女のことを幻のようだと思ってしまったのかもしれない。
だからか皆、彼女に目を惹きつけられて夢の中にいるかのような感覚になるも、誰も声をかけることが出来ていなかった。
だが、ミツキはその少女が幻想の住人ではないことを知っている。
GM :
彼女は天海こよみ。
MARiNE SNOWのメンバーであり、ミツキの友達だ。
こよみは色素の薄い赤い瞳で青い空をぼんやりと眺めながら、ミツキが来るのを待っているようだった。
十条ミツキ :
「ぁ……」 その儚くも可憐な少女を見止め、ミツキは小さく声を上げる。
十条ミツキ :
しかし、そのまま素直には近づかない。こよみの視界に入る場所から外れ、ゆっくりと死角に回り……
十条ミツキ :
そっと、後ろからこよみの目を隠す。
十条ミツキ :
「ふふっ、だーれだ?」
天海こよみ :
「わ……!」 びっくりして小さく声を上げ
天海こよみ :
「えっ、えっ……?その声……は」
天海こよみ :
「……ミツキちゃん?」 目を覆う手に、そっと触れて
十条ミツキ :
愛しい声を聞き、表情を和らげると…手を握り返すようにして、目隠しをやめてこよみの前に回る。
十条ミツキ :
「……あたり」
十条ミツキ :
「ごめんね、待たせちゃった?」
天海こよみ :
「ううん、ぜんぜんまって……」 そう言いながら、駅前にある時計台を見上げて
天海こよみ :
「三十分くらいしか、まってないよ……」
十条ミツキ :
「えっ……そ、それは待ちすぎじゃないかな……!?」
十条ミツキ :
「アタシ、もしかして集合時間間違えた……?」
天海こよみ :
「あ……う、うぅん、そうじゃないよ……!」
天海こよみ :
「ただ、なんか……楽しみだったから、ぼく、すごく早起き……しちゃって……」
天海こよみ :
「早く来すぎちゃった、みたい……」 恥ずかしそうに小さく笑う
十条ミツキ :
「そ、そんなに早く……」
十条ミツキ :
「……ごめんね、ぴったりに来ちゃった。でも……アタシも、ずっと楽しみにしていたよ」 そう言ってこよみの小さな手をきゅっと握る。
天海こよみ :
「え……?う、うぅん、ミツキちゃんがあやまることじゃ、ないよ……!」
天海こよみ :
「だけど、そっか……ミツキちゃんも、楽しみだったんだ……」 嬉しそうに、握られた手を見る
十条ミツキ :
「うん。こよみも最近すっかり忙しいから、こうして二人で一緒になるのも久しぶりだしね」 その視線にくすっと微笑みつつ
十条ミツキ :
「こんな人がたくさんいるところで待ち合わせができるようになるなんて、アタシも思わなかったし……毎日どんどん変わっていくこよみと会う日は、ひとつひとつが宝物みたいに楽しくて、嬉しいんだ」
天海こよみ :
「……!そういえば、そう……かも……」 周囲を見回して
天海こよみ :
「で、でも……ぼく、そんなに毎日かわってる……?」
十条ミツキ :
「変わってるよ。ちゃんと成長していて、偉いなぁって思う」
十条ミツキ :
「アタシ、もしかしたら歳なのかもね……こよみのフレッシュさには敵わないや」 冗談めかして
天海こよみ :
「え……!?ぼくとミツキちゃん、五歳しかかわらないよ……!?」 冗談を真に受けて驚く
十条ミツキ :
「五歳も、だよ。こよみの人生の1/3はアタシの方がリードしているんだからね」 ふふん、と笑う
十条ミツキ :
「……だから、と言っても何だけど。今日は、ゆっくり羽根を伸ばして。必要なら、アタシに甘えてくれてもいいんだからね」
天海こよみ :
「う、うん……!」
天海こよみ :
「ふふっ、うれしいな……。ミツキちゃんと海、行きたかったから……」
十条ミツキ :
「楽しみだね。そういえば、どうして海に……?」
天海こよみ :
「え?えっと……」
天海こよみ :
「…………」 ちょっとだけ考えて
天海こよみ :
「……ぼく、海……好きだから。能力も、水の中で息できたり、するし……」
十条ミツキ :
「なるほど……?でも、確かにサメさんも好きだもんね、こよみ」 普段からマネージャーとして、ファンからこよみに送られてくる大量のサメグッズを捌いている
天海こよみ :
「う、うん……!今日もつれてきてるよ。……ほら、この子」 そう言って、鞄につけているかわいいサメのキーホルダーを見せる
十条ミツキ :
「あ、可愛い。これって……なんだっけ、ホホジロザメみたいなやつ?」 デフォルメされたサメのキーホルダーを見てくすっと笑う
天海こよみ :
「名前は……よくわからないかも。でも、かわいいよね……」 生き物としてのサメはちょっと怖いため、あまり詳しくはないらしい
十条ミツキ :
「そうなんだ。アタシも正直よくわからないけど……でも、こよみに似合ってる。可愛いね」
天海こよみ :
「あ、ありがとう……」 嬉しそうに笑って、サメキーホルダーを撫でる
GM :
そんな風に話しながら、二人は駅に向かって歩いていく。
天海こよみ :
「……ねえ、ミツキちゃん」 歩きながら声をかける
十条ミツキ :
「ん。どうした?」
天海こよみ :
「あ、あのね?さっき、ミツキちゃん……ぼくのこと、毎日どんどん変わっていく……って、言ってたでしょ……?」
十条ミツキ :
「うん……」 どうしたんだろう、と様子を伺いつつ相槌を打つ
天海こよみ :
「……それってね、ミツキちゃんがいっしょにいてくれてるから……だと、思うんだ……」
天海こよみ :
「だから、いつもありがとう……ミツキちゃん」 そう言って微笑みながら、ミツキの手を繋ぐ
十条ミツキ :
「……」
十条ミツキ :
少し驚いたような表情。そして、こよみに気付かれないよう小さく唇を噛んだ後、微笑む。
十条ミツキ :
「……ううん。アタシは何も」
十条ミツキ :
「でも、こよみがそう言ってくれるなら……アタシも、ずっと一緒にいないとだね」 そう言って、手を優しく握り返す。まだ小さく、柔らかな手を。
天海こよみ :
「うん……!」 嬉しそうに笑って、歩いていく。彼女が秘めている感情には察しすらついていない……。
列車内
GM :
こよみとミツキは切符を買い、駅のホームから電車に乗り込んだ。
彼女達の目的地は、凪宮市にある比奈浜海水浴場だ。
GM :
凪宮市とは千葉県の南東部に位置する観光都市だ。
美しい海に面し、郊外には山と森が広がる自然豊かな町になっている。
凪宮アクアパークという総合海洋レジャー施設が人気で、毎年多くの観光客が訪れる。
GM :
ちなみに、凪宮市を選んだのはこよみの希望だ。
ただ、決めた理由は特にないらしい。
GM :
二人は電車を三度乗り継いで凪宮駅へと向かう。
到着まで二時間程かかるが、電車の中で仲良く話し込む二人にとってはさほど長くは感じなかった。
天海こよみ :
「……あ」
GM :
そうこよみと話していると、彼女がふと窓の外を見る。
ミツキが電車の窓に目を向けると、そこには美しい景色が広がっていた。
GM :
太陽の光を反射して煌く青い海。
海岸線に沿って白く輝く浜辺と、ヤシの木などの緑の植物が、無機質な電車の窓を彩っていた。
時折、白い鳥が海上を飛んでいく姿も見えるだろう。
十条ミツキ :
「海だ……!」 海を訪れるのは、TOXiC blue……且つて所属していたアイドルグループのMV撮影以来だ。目を輝かせ、外の景色を見つめる。
天海こよみ :
「うん……!海……!」 身を乗り出して、窓の外を見る
十条ミツキ :
「なんか……夏が来た、って感じするね……!」 世間的にはもう夏休みが終わるころだけど、と笑って
十条ミツキ :
「こよみは海はいつぶり?」
天海こよみ :
「えっと……」
天海こよみ :
「……すごく、久しぶり……かも。小学生のころ、だから……」
天海こよみ :
「八年……くらいぶり……?」
十条ミツキ :
「アタシよりも久しぶりなんだ……」 と言いつつ、それもそっか、とこよみの過去を思い出して納得する。
十条ミツキ :
「……それなら、今日たくさん思い出作らないとね」
天海こよみ :
「……!うん……!」
天海こよみ :
「ミツキちゃんと、海の思い出……楽しみ……!すっごく……!」 自然に笑みがこぼれて
十条ミツキ :
「ふふっ。……うん、アタシも……!」 眩しく煌めく海、そしてこよみの笑顔に心が洗われ……ミツキもまた、自然と笑顔を浮かべる。
車内アナウンス :
「次は~凪宮~。凪宮~。お出口は左側です……」
車内アナウンス :
「The next station is Nagimiya……」
GM :
凪宮駅に到着すると、こよみとミツキは心躍る気持ちで電車から降りる。
駅の東出口から出ると、そこはすぐに海水浴場に続く道だった。
二人は潮風を感じながら、その道を真っ直ぐ進んでいく。
比奈浜海岸
GM :
比奈浜海水浴場は、比奈浜海岸に作られた凪宮市内最大の海水浴場だ。
青い海と白い砂浜が交わるその場所には、たくさんの人々が集まっていた。
GM :
浅瀬で水をかけ合って遊ぶ男女のカップル。
砂浜に打ち寄せる海の波に向かって駆け出しては、楽しそうに波と戯れる子供達。
遠くには、大きな波がやって来るのを楽しみに待つサーファーの姿。
他にも色とりどりの浮き輪やビーチボールが景色を彩りながら、笑い声と楽しい会話が海岸に響き渡っていた。
十条ミツキ :
「わぁ……!ふふっ、何だかテンション上がるね、こよみ!」 ややはしゃいだ様子で
天海こよみ :
「ふふっ……」
天海こよみ :
「ミツキちゃん、すっごくうれしそう……」 再会してから、はしゃいでる姿をあまり見たことがなかったからかそんな風に笑ってしまう
十条ミツキ :
「あっ……え、えっと、そんなに……?」 やや恥ずかしそうに両手を後ろに回して
天海こよみ :
「うん……!」 こくこくと頷いて
天海こよみ :
「だから、来てよかった……!」
十条ミツキ :
「そ、それは恥ずかしいかもな……!」 あちゃー、と言った感じで額の汗をぬぐう仕草。アイドル時代は見せなかったような仕草だが、もしかすると実妹あたりにはこのようなことをしているのかもしれない。
十条ミツキ :
「……でも、アタシ一人じゃこんなはしゃがないよ…!こよみが一緒にいるからだってこと、忘れないでよね」
天海こよみ :
「……!そっか……そうだよね……!」 自分と一緒にいるから、というのが嬉しくて笑顔になる
天海こよみ :
「ぼくも、ミツキちゃんがいっしょにいるから……いっぱいはしゃぐね……!」
十条ミツキ :
「ふふっ、はしゃぐのってそんな自発的な物だったっけ」 くすくすと笑う
十条ミツキ :
「でも、そうだね……早速、着替えに行っちゃおうか!」
天海こよみ :
「うん……!」
GM :
こよみとミツキは海岸沿いに建ち並ぶ海の家に向かった。
荷物をロッカーに預けた後、更衣スペースで水着に着替える。
天海こよみ :
「…………」
GM :
こよみの水着は青色のワンピースタイプだった。
透き通るような白い肌が水着の色と調和し、とてもよく似合っている。
GM :
しかしこよみは自分の水着姿に慣れていないのか、砂浜に出ると恥ずかしそうに顔を俯かせてしまっていた。
十条ミツキ :
「こよみ……大丈夫?」 その姿を見て、やや心配そうに後ろから追いつく。
十条ミツキ :
一方、ミツキは黒のセパレートタイプの水着……オフショルダーのパフスリーブのトップスと、キュロットタイプのボトムスのものを身に纏っている。その上から、気休め程度の日差し対策として、白のレース素材のカーディガンを羽織っていた。
十条ミツキ :
こよみとは対照的に、堂々としている。
天海こよみ :
「う……うん……」 いつもより猫背になってしまいながら、ミツキに振り向いて
天海こよみ :
「……なんだか、その……。ぼく、へんじゃない……?」
十条ミツキ :
その自信なさげな姿にふっと微笑んだ後、安心させるように笑いかける。
十条ミツキ :
「大丈夫。すっごく可愛いし似合っているよ、こよみ」
天海こよみ :
「……!ほ、ほんと……?」 顔を上げる
十条ミツキ :
「嘘なんてつくもんか。いつの間に買ったの?本当に素敵だよ」
天海こよみ :
「この前、おばあちゃんといっしょに……」
天海こよみ :
「え、へへ……。あ、ありがとう……ミツキちゃん……うれしい……」 照れて赤くなった頬を両手で隠すようにして
十条ミツキ :
「……ふふっ、かわいい~」 その愛しすぎる姿を見て思わず頬を緩める
十条ミツキ :
「もし恥ずかしくなったら、無理しないでいいよ。でも、今日のこよみはいつにも増して素敵だよ……だから、目いっぱい楽しもう」 ね?と微笑んで
天海こよみ :
「……うんっ。わかった」 こくんと頷いて
天海こよみ :
「……あ」 と、何かに気付いたように声を漏らして
天海こよみ :
「ミツキちゃん……!ミツキちゃんも!すっごく、すっごくにあってる!その水着……!」
天海こよみ :
「かわいいし、きれい……!ミツキちゃんも、すてき……!」 興奮して矢継ぎ早に褒め立てる
十条ミツキ :
「わ、わ、ちょっと…!」 突然のテンションに驚く
十条ミツキ :
「急にスイッチが入るんだから……ふふ、でもこよみに褒めて貰えるなら嬉しいな。アタシも海久々だったから、新しく買ったんだよね」 見て見て、と言わんばかりにくるりと回って見せる
天海こよみ :
「わぁ……!」 目を輝かせながら見て
天海こよみ :
「ミツキちゃん、スタイルいいから……こういう水着、にあうね……!いいなあ……!」 輝く目には憧れの色も混じっている
十条ミツキ :
「やだな、もう現役じゃないからそんなにスタイル管理できてないよ……こよみも、来年はこういうの選んでみたら?こっちも絶対似合うよ!」
天海こよみ :
「来年は……」 少し考えて
天海こよみ :
「……じゃあ、その時は……ミツキちゃんもいっしょに、えらんでもらっても……いい?」
十条ミツキ :
「……うん!もちろん!」
十条ミツキ :
……また、一瞬反応が遅れる。だが、満面の笑みでそう返した。
天海こよみ :
「やったぁ……!たのしみ……!」
天海こよみ :
「ふふっ…。いこ、ミツキちゃん……!」 ここまでの会話で、もう恥ずかしさは吹っ飛んだらしい。ミツキの手を取って、海へと駆け出そうとする
十条ミツキ :
「おお…!?ちょ、転ばないようにね……ととっ!」 まるで、はしゃぐ大型犬の散歩をしている飼い主かのように、半分引きずられるようにしてついていく。口調は焦っているが、表情は笑顔だ。
GM :
二人は笑い合いながら、波打ち際から海に入る。
GM :
足首に冷たい海水が触れるのを感じるだろう。
そっと波が足元に寄せては引き、足裏に砂が心地よい感触を与えた。
天海こよみ :
「わぁ……!」 足元で動く波をキラキラした目で見下ろす
十条ミツキ :
「わ、まだ冷たいね……」 波が引くたびに、足が砂に沈み込むような感触を覚える
十条ミツキ :
「あ、貝だ」
天海こよみ :
「え……どこどこ?」 ミツキに寄って
十条ミツキ :
「ほら、そこ……よいしょっと!」 少ししゃがんで、拾い上げる
十条ミツキ :
「見て!ほんのり薄ピンクだ、可愛いね」 そう言って、小さな貝殻を見せてくる
天海こよみ :
「ほんとだ……!ふふっ、かわいい……」 貝殻を指でちょんちょんとつっつく
十条ミツキ :
こよみが貝殻をつつくと……そこから、小さく透明な、タコの子どもが姿を現す。家主が消えたそこを住処にしていたのだろう。
天海こよみ :
「わぁ……!?」 びっくりして小さく飛び跳ね、ばしゃっと水飛沫を上げて尻もちをつく
十条ミツキ :
「わっ……と、こよみ!?」 ミツキもまた驚き、貝を取り落としながら……こよみを心配そうに見つめる。
十条ミツキ :
「びっくりしちゃったね……大丈夫?」
天海こよみ :
「う、うん、だいじょうぶ……」
天海こよみ :
「ごめんね、タコさん……じゃましちゃって……」 取り落とした貝を見ながら
十条ミツキ :
「それなら良かった……」 ミツキもまた安心した様子で、こよみの横にしゃがむ。
十条ミツキ :
「貝殻、どこか行っちゃったね。あのタコも、きっと安心してると思う……」
天海こよみ :
「そうだね……」 波で見えなくなった貝殻を探すように見渡して
天海こよみ :
「ねえねえ、ミツキちゃん……。ぼく、今みたいな貝がら……もっとさがしたいな」
天海こよみ :
「今度は、タコさんのいない……空き家?の貝がらっ」
十条ミツキ :
「ふふっ…うん、そうだね。空き家の貝殻、探してみようか」 独特の言い回しに思わず笑ってしまいながら、頷く
天海こよみ :
「やった……!じゃあ、いこう……!」 嬉しそうに立ち上がり、浅瀬からもう少し深い方へと進み始める
十条ミツキ :
「あまり深いところに行きすぎないでね……って、能力的にはアタシの方がむしろ危ないのか」 一人でツッコミながらついていく
GM :
深く海に身を浸していくと、海水の気持ちいい冷たさが徐々に全身に広がった。
GM :
押し寄せる波がミツキ達の体を包み込む中、こよみは水中を見回して、
天海こよみ :
「あっ……!あれ……!」 何かを見つけたのか、立ち止まる
十条ミツキ :
「うん?何か見つけた?」 顔を上げて
天海こよみ :
「うん……!」
天海こよみ :
「とってくるね……!」
GM :
こよみはそう言うと、ざぶんと音を立てて水中に潜り出す。
十条ミツキ :
「おお……あまり遠くに行っちゃ駄目だからね!」 先程の自分の発言を忘れたかのように、心配して声をかける
GM :
ぶくぶくぶく、と返事をするように泡が上がってくる。
GM :
……それから一分後。短いが、少し心配になる時間が経ち、
天海こよみ :
「ぷぁ……!」
GM :
と、息を吐き出してこよみがミツキの前に浮上した。その頭には海藻がくっつきまくっている。
十条ミツキ :
「こよみ、大丈夫!?……じゃない!」 わさわさと付いた海藻を取り除きながら
天海こよみ :
「……?だいじょうぶだよ?ぼく、おぼれないから……」 海藻を全然気にしていないらしく、不思議そうにしてる
十条ミツキ :
「アタシは心配で大丈夫じゃなかったよ……も~、どこでこんなにお土産つけて来ちゃったんだか……」 本当に心配していたのだろう。やや口数が多くなりながら、ようやく海藻を取り終える
天海こよみ :
「あ……ごめんね、ミツキちゃん……」 海藻に気付いて
天海こよみ :
「でも、見て……?貝殻、いっぱいあった……!」 両手に持った色とりどりの貝を見せる
十条ミツキ :
「海藻は別にいいんだけどさぁ……」
十条ミツキ :
「……わ、すごい…!こんなたくさん見つけたんだ、しかもどれも綺麗……!」 心配そうだった表情から一転、目を輝かせる。
天海こよみ :
「ね……!ぜんぶ空き家だよ……!」
天海こよみ :
「どれも色がついてて、きれいで……みんなみたいだなって、ちょっと思ったの」
GM :
みんなとは、オレンジ色や青色などの貝殻を見るに、MARiNE SNOWのメンバーのことなのだろう。
十条ミツキ :
「……確かに、そうだね。こっちがアイで……あ、それならこっちはこよみだ」 そう言って、水色の貝殻を見つける
天海こよみ :
「あ……これ、ぼく……?ふふっ、ちっちゃい……」 嬉しそうに見て
十条ミツキ :
「ね、小さくて可愛い……これ、事務所に帰ったらみんなに見せようよ。きっと良いお土産になるはず」
天海こよみ :
「……!うん、そうしよ……!」
天海こよみ :
「よろこんでくれるといいな……!」貝殻をぎゅっと優しく握って
十条ミツキ :
「ふふっ、そうだね。よく見つけました!」 偉い、と頭を撫でる
天海こよみ :
「わぁ……」 撫でられて、嬉しそうに目を細める。ミツキに頭を撫でられると、心がほわほわとするようだ
GM :
しばらくの間、こよみとミツキは海水浴を楽しんだ。
そうして遊んでいると徐々にお腹が空き始め、二人は砂浜に上がって海の家で食事を摂ることにする。
GM :
ビーチに軒を連ねる多くの海の家を色々と眺めていると、明るい色の木材を使った温かみのある外観の施設に目を引かれた。
そこは“Sunny Club”という海の家で、雰囲気が特に良さそうに見えたミツキ達は、この店に入ることに決める。
GM :
お昼時というのもあって、店内のフードコートは活気に溢れていた。
優雅な音楽が流れる中、木製のテーブルやカウンター、座敷席で海水浴客達が食事を楽しんでいる。
GM :
壁に掛けられたメニューを見ると、焼きそばやイカ焼き、焼きとうもろこしなどの定番の軽食が揃っていた。
他にもラーメンやカレーなどのがっつり食べれる料理も用意されているようだ。
赤く大きな氷の字が書かれた氷旗も掲げられており、当然かき氷も作っているらしい。
十条ミツキ :
「お腹すいたね、こよみ。何にしようかな……」 メニューを見て回る。
天海こよみ :
「うん……どれにしよう……?いっぱいある……」 迷いながらメニューを見て、激辛カレーの文字で目が留まる
十条ミツキ :
「どうせなら味の濃いものが良いよね、ちょっと疲れちゃったし……こよみはやっぱりこれ?」 視線に気づきくすっと笑いながら、激辛カレーを指差す
天海こよみ :
「うん……!あ、でも……」
天海こよみ :
「……今日は、やっぱり……やめておこうかな……。いつも食べてるから……」
天海こよみ :
「なんだか、海の家っぽいもの……にしようかな?って……」
十条ミツキ :
「それも確かに。海の家っぽいもの……って、例えばどれだろう……?」
天海こよみ :
「うーん……」 悩んで
天海こよみ :
「……焼きそば……?」 なんとなくのイメージで答えた
十条ミツキ :
「焼きそばか、いいね!夏っぽいし!」
天海こよみ :
「だよ、ね……!じゃあぼく、焼きそばにする……!」
十条ミツキ :
「わかった、買って来るよ!アタシは……アメリカンドッグと、かき氷とか……かな?」 メニューを見て首を傾げる
天海こよみ :
「ありがとう……あっ、ぼくもかき氷食べたい……!」
十条ミツキ :
「こよみも食べる?味は……やっぱり、ブルーハワイ?」 勝手な色のイメージ
天海こよみ :
「え……どうしてわかったの?」
十条ミツキ :
「メンバーカラーもそうだけど、なんか青が似合うからね。というか、こよみもどちらかと言えば青が好きだよね……」 服とかもそんな感じだしと付け足す
天海こよみ :
「うん……前から好きな色だったけど、ミツキちゃんのこと好きになってから……もっと好きだよ」 自分の水着を見下ろしながら
十条ミツキ :
「おお……そ、それは何というか……」 目線を逸らして
十条ミツキ :
「……でも、今はこよみの色って感じがあるよ。それくらい似合ってる」
天海こよみ :
「ほんと?ふふっ、うれしいな……」
十条ミツキ :
「ふふっ……さて、アタシは……みぞれ味にしようかな。注文はそんな感じで大丈夫そう?」
天海こよみ :
「うん……!」 こくんと頷いて
天海こよみ :
「あ……じゃあ、ぼく……ミツキちゃんが買ってくれてる間に、席……とってくる……!」 それなりに混雑したフードコートを見回して
十条ミツキ :
「あ……そ、それは……」 周囲を見る。今のこよみを一人にするのは……マネージャーとして、やや看過し難い事態だ。
十条ミツキ :
「……やっぱ一緒に買いに行こうか、こよみ。アタシ一人じゃ寂しいし」
天海こよみ :
「え……?ミツキちゃん、さびしいの……?」 意外そうに目を丸くして
天海こよみ :
「それなら……わかった、いっしょにいく」
十条ミツキ :
「アタシだってそういうこともあるよ。……行こ、こよみ!」 手を取って微笑む
天海こよみ :
「うん……!」 笑顔で手を握り返す
GM :
二人は手を繋いで、仲良く注文しにいく。
GM :
熱々の鉄板の上で調理された焼きそばだ。
焼きそばは野菜のみずみずしさと麺の香ばしさが調和し、食べる前から良い風味が漂っている。
GM :
アメリカンドッグは串を刺したソーセージに衣をつけてしっかりと揚げられている。ケチャップやマスタードもたっぷりとかかり、刺激的な味わいを楽しめそうだった。
GM :
かき氷は見るだけで涼しくなるような、冷たい氷が透明のカップの中で輝いている。
氷の上に、ブルーハワイとみぞれのシロップがそれぞれかけられた。暑い夏の日にぴったりのデザートだろう。
GM :
二人は注文した料理をトレーに乗せて受け取ると、空いているテーブル席へと向かう。
十条ミツキ :
「わぁ、いい匂い…!席も空いててよかった!」
天海こよみ :
「うん……!さっそく食べよ、ミツキちゃん……!」
十条ミツキ :
「だね。それじゃ……いただきます」 手を合わせて
天海こよみ :
「いただきます……!」 一緒に手を合わせ、割り箸で焼きそばを食べ始める
十条ミツキ :
「ぁむ……あ、美味しい……!久しぶりに食べたなぁ…」
天海こよみ :
「うん……ぼくも……!」
GM :
アメリカンドッグの味は十分美味しいが……普通にうまい、といった程度だ。
だがそれでも記憶の中にある味より美味しく思えるのは、こよみと一緒に海を感じながら食べているからなのだろう。
十条ミツキ :
「ふふっ、なんだか楽しいね。もちろん美味しいのもあるけど……やっぱり、こよみと一緒にいるからかな?」 心で思ったことをそのまま口にする
天海こよみ :
「んっ……」 もぐもぐと麺を噛んでいたら、ミツキにそう言われ
天海こよみ :
「しょ……しょう、なの……?」 口元を手で抑えながら、少し照れたようにミツキを見る
十条ミツキ :
「ふふっ、噛んじゃってる。……うん、きっとそうだよ」
十条ミツキ :
「今のこよみ、すっごく可愛い。これもまた役得だね~」 ニコニコしながら揶揄うように言って、アメリカンドッグの残りを頬張る
天海こよみ :
「も……もう、ミツキちゃん……」 顔が熱くなってきて、それを冷ますようにかき氷のカップを両手で包み込むように持つ
十条ミツキ :
「ふふ~」 上機嫌そうにその姿を見て、自分もまた透明なシロップがかかったかき氷を食べ始める
天海こよみ :
「あ、ぼくも……」 溶けかけていることに気づき、青いシロップのかき氷をスプーンですくう
天海こよみ :
「……ハワイっぽい味がする」 かき氷を口に運び
十条ミツキ :
「そ、そうなの…?ハワイっぽい味ってなんだろ……」 首を傾げながらしゃくしゃくと食べ進める
天海こよみ :
「……なんだろう」 よくわからないまま言ったらしい
天海こよみ :
「……ミツキちゃん、あーん」 突然、ブルーハワイのかき氷を乗せたスプーンをミツキの方に差し出す
十条ミツキ :
「え?」 気の抜けた声。全く想定していなかったのだろう
十条ミツキ :
「い、いいの…?」
天海こよみ :
「うん。あーん」 口元に寄せていく
十条ミツキ :
「あわ……い、いただきます……!」 慌てた様子で、ぱくっと食べる。
GM :
口の中に広がるのは、ハワイっぽい味……海を感じさせるようなソーダ味だ。
天海こよみ :
「……どう?ハワイっぽい味……わかる……?」 直接確かめてほしかったらしい。小さく首を傾げ、ミツキを伺う
十条ミツキ :
「う、うーん……?確かに……ハワイ、かも……?」 存在しないハワイの記憶を辿り、同じく首を傾げる
天海こよみ :
「ふふっ……。あんまりわかんない顔してる……」
天海こよみ :
「でも、おいしいから……いいよね」 そのまま同じスプーンでまた食べ始める
十条ミツキ :
「うん、アタシはまだまだ想像力が足りないのかも……でも、美味しい!」 ありがと、と笑って
十条ミツキ :
「こよみも食べてみる?みぞれ味」
天海こよみ :
「いいの?食べたい……!」 こくこくと頷いて
十条ミツキ :
「もちろん!はい、あーん」 自分のスプーンにすくい、こよみの小さな口元に運ぶ
天海こよみ :
「あーん……」 ぱくっ、と音が聞こえそうな動作で一口もらう
天海こよみ :
「……ちょうどいいくらいの、あまさ……つめたくて、おいしい……!」
十条ミツキ :
「ふふ、そう?多分、何の風味もつけられてないけど……でも、何だか安心する味だよね」 無邪気な反応をするこよみの頭を撫でて微笑む
天海こよみ :
「うん……!」 撫でられて、へにゃっと口元が緩み
天海こよみ :
「……あっ!」 と、突然驚いたように声を出す
十条ミツキ :
「ん?どうした?」
天海こよみ :
「あ……えっと……あの……」
天海こよみ :
「…………」 頬を赤らめながら、お互いのスプーンを視線が行ったり来たりしている。今更気付いたらしい
十条ミツキ :
「えっと……どうしたの?顔、赤いけど……」 一方、ミツキは何も気づかない様子だ。ただ心配そうにキミを見ている。
天海こよみ :
「そ、その……」
天海こよみ :
「……べ、」
天海こよみ :
「べぇ~……!」 目を閉じながら、いきなり舌を出す。ブルーハワイの味で、青色になっていた
十条ミツキ :
「わぁ!?」 声を上げて驚く。が、その姿に慣れて、次第にくすくすと笑い出す。
十条ミツキ :
「すごい、舌真っ青!」
天海こよみ :
「え、へへ……!でしょ……!」 気付いたことを無事に誤魔化すことが出来、安心して笑う
十条ミツキ :
「ふふ、面白いなぁこよみ…!それ、写真撮ってもいい?」 相変わらず何も気づかないまま尋ねる
天海こよみ :
「え!?う、うん……!」 んべっとまた舌を出して
十条ミツキ :
「可愛い~」 まだクスクスしながら写真を撮る
十条ミツキ :
「ほら、見て見て。すごくない?」 撮影した写真をこよみに見せる
天海こよみ :
「ほんとだ、すごい……青い……」
天海こよみ :
「あ、でも……他の人には、見せちゃダメ……。ちょっとはずかしい、かも……」
十条ミツキ :
「えぇ、こんなに可愛いのに……でも、こよみがそう言うなら、この写真は二人だけの秘密だね」 しー、と口元に人差し指を当てて
天海こよみ :
「う、うん……!」
天海こよみ :
「ひみつ、だね……ぼくたち、だけの……」 何だか嬉しくなって、真似して人差し指を口元に当てながら微笑む
十条ミツキ :
「ふふっ、ひみつ~」 真似っこするこよみが可愛くて、思わず頬が緩む
GM :
そうして海の家の食事を楽しんだ二人は、店を出て砂浜を歩いていく。
そこでふと、こよみが足を止めた。
天海こよみ :
「…………」
GM :
こよみの視線の先には、砂遊びをする幼い子供達の姿があった。
子供達は砂山を作って楽しそうに笑っている。
十条ミツキ :
「お~、砂山作ってる……子どもらしいね」 微笑まし気に子供達を見つめる
天海こよみ :
「うん……」
天海こよみ :
「ね、ねえ、ミツキちゃん……。ぼくって、まだ子ども……なのかな?」
十条ミツキ :
「え?うーん……どっちでもあるんじゃないかな、こよみくらいの歳だと」 首を傾げる
十条ミツキ :
「……でも、砂山くらいなら大人でも作るんじゃ……ないかな?」 何かを察したように付け足す
天海こよみ :
「……!」 その一言を聞いて、ミツキに振り向く
天海こよみ :
「じゃ、じゃあ……!ぼくが作っても、平気……?」
十条ミツキ :
「もちろん!一緒に作ろうか」 頷いて返す
天海こよみ :
「うん……!あ、じゃあ……」
天海こよみ :
「おしろ……!ぼく、ミツキちゃんといっしょにおしろ作りたい……!すなのおしろ……!」
十条ミツキ :
「お城?作ったことないや、できるかなぁ…」
十条ミツキ :
「……でも、何事も挑戦だよね!やってみようか!」
天海こよみ :
「うん、やろ……!」
天海こよみ :
「えへ……ぼく、作ったことないけど、しってるよ……作り方……」
十条ミツキ :
「そうなの?どうやってやればいいんだろ…教えてもらえる?」 検討も付かないので首を傾げる
天海こよみ :
「スコップとか、バケツとか、つかうんだよ……前にテレビで見たことあるんだ……」
天海こよみ :
「借りてこよ……!」 ミツキの手を両手で握って、早く早くと海の家の方に引っ張り出す
十条ミツキ :
「おお、そうだね…!こらこら、走らなくても道具は逃げないよ!」 そう言いながらも、こよみと一緒に走る
GM :
ミツキ達は海の家からバケツとスコップをレンタルし、あまり邪魔にならなさそうな場所で砂の城を作り始めた。
GM :
柔らかい砂の感触を楽しみながら、手やスコップで砂をかき集める。
集めた砂をバケツに詰め、海水を混ぜて押し固めてから砂浜に出すと、土台となる砂の山が出来た。
GM :
二人は楽しく会話を交わしながら、砂の山を積み重ねて大きくしていく。
そしてちゃんと砂の山を固めた後、崩れないように削り出して丁寧に形を整えて行った。
天海こよみ :
「……ねえねえ、ミツキちゃん」 両手で砂山を固めながら、こよみが話しかける
十条ミツキ :
「うん?どうしたの?」 少し顔を上げつつ、手元はぺたぺたと形を整えている
天海こよみ :
「前に、みんなでおとまりしてた時のこと……おぼえてる?」 セーフハウスでの合宿の頃の話だろう
十条ミツキ :
「もちろん。大変だったけど、楽しかったね」
天海こよみ :
「うん!楽しかった……すっごく」
天海こよみ :
「でもね、だから……ちょっとだけ、さびしくもなるの。少しずつ、なれたけど……」
天海こよみ :
「あの時は、毎日ミツキちゃんと……いっしょに生活してたから……」
十条ミツキ :
「そうだね。確かに、今はもうそれぞれ家に帰っちゃったから……」
十条ミツキ :
「……それなら、また合宿する?」
天海こよみ :
「……したい!」 顔を上げる。その目は嬉しそうに輝いてる
十条ミツキ :
「んっ。それなら、またプロデューサーにあのセーフハウス借りて良いか聞いてみようか」
十条ミツキ :
「まだ夏だし…夜更かしして、みんなで花火とかしても良いかもね」
天海こよみ :
「わぁ……!いいな……!」
天海こよみ :
「花火、したい……!ぜったい、やる……!」
十条ミツキ :
「じゃあ、合宿はともかく花火は決定だね!今度たくさん買い込んでおくよ」 こよみの嬉しそうな様子に思わず笑顔になりながら
天海こよみ :
「うん……!ありがとう、ミツキちゃん……!」 子どものように純粋な笑顔を見せる
十条ミツキ :
「どういたしまして。アタシもすっごく楽しみ、取り合いにならないようにたくさん用意しなきゃね」 こよみの笑顔を見て自分もまた嬉しくなってしまう
GM :
……その後も、こよみとミツキは力を合わせて砂の城を作り上げていった。
GM :
砂の壁に指で細かいレンガ模様を描いたり、階段や塔を追加すると、中々本格的な雰囲気が出てくる。
ビーチで拾った貝殻や小石を敷き詰めて装飾すると、一色だった砂の城が鮮やかに彩られた。
GM :
そんな風に時間をかけ、やがて砂の城は完成した。
夏の日差しに照らされながら立派に建つ砂の城を眺めてみると、悪くない出来だと思えるだろう。
天海こよみ :
「できた……!」 満足げな笑顔で砂の城を見下ろす
十条ミツキ :
「なんか、出来上がってみると意外と壮観だね……ふふん、これが大人の力ってわけだ」 ミツキもまた満足げに笑う
天海こよみ :
「うん……ミツキちゃんのおかげ、だよ……!」
十条ミツキ :
「アタシの?いやいや、そんな…この辺の素敵な装飾はこよみがやったところでしょ?すごく良い感じ!」 謙遜しつつ、こよみの作業箇所を指で指す
天海こよみ :
「わぁ……」 褒められて照れ笑いして
天海こよみ :
「じゃあ、二人のおかげだね……。ふふっ……」
天海こよみ :
「ぼく、今日はこのおしろに住もうかな……」
十条ミツキ :
「その発想は無かったな…」 城のドアに頭から突っ込み、お尻まで収まっていないこよみの図を想像する
十条ミツキ :
「でも、こういう2人で物を作ったりするのはなんだか久しぶりかも…!楽しかったね!」
天海こよみ :
「うん……!楽しかった……!」
天海こよみ :
「ウルトラマリンこよみつき城作り……!」 勝手に名前つけてる
十条ミツキ :
「うる……?ふふっ、なんか強そうな名前だけど……でも、良い感じだね!」 改めて城を見て、記念にぱしゃりと写真を撮る
天海こよみ :
「わ……!」 写真を撮ったのを見て
天海こよみ :
「なんだか……いっぱい思い出、出来ていくね……」
天海こよみ :
「こっちは、帰ったら……みんなにも見せたいな」 嬉しそうに微笑む
十条ミツキ :
「だね、これは流石に自慢しちゃおうか。こんな立派なお城、そう作る経験ないだろうしね…!」
天海こよみ :
「うん……!ぼくとミツキちゃんで作ったんだ、って……いっぱいじまんする……!」 小さく胸を張る
十条ミツキ :
「ふふふ、そうだね…」 珍しく自信ありげなこよみを愛しく思い、思わず笑みがこぼれる
GM :
……その後も、こよみとミツキは二人で夢中になって遊び続けた。
時間はあっという間に過ぎて行き、時刻は六時を回る。
GM :
この時間になると海水浴客はほとんど帰り、昼間の賑やかさとは一変して、海岸には静かで穏やかな雰囲気が漂っていた。
海の波音だけが静かに響き、心地よい潮風が吹き抜ける。
GM :
そんな中、ミツキ達は二人で作った砂のお城の隣に座って、夕方の海を眺めていた。
青い空と海が、夕暮れの色合いに少しずつ溶けていく……。
天海こよみ :
「ねえねえ、ミツキちゃん……」 こよみが話しかける
十条ミツキ :
「どうしたの、こよみ」 水平線の遠くを眺めていたが、声をかけられて顔を向ける。
天海こよみ :
「えっと……あのね……」 少しだけ言いづらそうにしてから
天海こよみ :
「ぼくね、昔……この海に来たこと、あるんだ……」
十条ミツキ :
「ここに?それって……」
天海こよみ :
「まだ六さいのころ……ママとパパに連れてきてもらったの……」
十条ミツキ :
「そうだったんだ……」
十条ミツキ :
「……楽しかった?その時も」
天海こよみ :
「……うん、楽しかったよ。あの時も、海に入って、かき氷食べて、すなのおしろ……お山だったかな。作ったの……」 過去を懐かしむように、夕焼け空を眺める
十条ミツキ :
「そうなんだ。大きくなっても覚えているんだから……すごく、素敵な思い出なんだね」 柔らかな表情で笑う
十条ミツキ :
「今日、ここに連れて来てくれたのも、それを覚えていたから……?」
天海こよみ :
「……うん。ごめんね、かくしてて……」
天海こよみ :
「ミツキちゃんに、気を……つかわせちゃうと思ったから……」 目を伏せる
十条ミツキ :
「アタシは大丈夫だよ。今日、すごく楽しかったし」 体育座りをしながら、膝に頬を付けて微笑む
天海こよみ :
「……よかった」
天海こよみ :
「ぼくも……楽しかったよ。ママとパパといっしょに来たときと、同じくらい……楽しかった」
天海こよみ :
「ありがとう、ミツキちゃん」 微笑み返す
十条ミツキ :
「ううん、こちらこそ。……それなら、良かった」 こよみの姿に安心する。自分から関わることができないこよみの傷に、ほんの少し触れたような感覚
天海こよみ :
「うん……」 そう静かに、頷いた後
GM :
……こよみは自分の胸に手を当てながら、微笑んで“話しかける”。
天海こよみ :
「……クラちゃんも、楽しかった……?」
GM :
……一ヶ月程前からだろうか。
GM :
こよみはこんな風に、クラッドカルトに話しかけることが多くなった。
GM :
楽しかった時、嬉しかった時、悲しかった時。名前もクラッドカルトではなく、クラちゃんと呼んで、まるで大事な友達と話すかのように。
GM :
だが、クラッドカルトから返事があったことは一度も無い。
GM :
それに、ミツキは嫌という程よく知っている。
彼女の内にいるレネゲイドビーイングが、会話が出来るような知性など全く持っていないことを。
GM :
ただ、自分を守ってもらう────そのためなら、彼はどんなものだって利用するということを……。
十条ミツキ :
「……」 その姿を見たミツキは、ふっと目線を逸らし……また、水平線に目をやる。ここで口に出せない思いを、海に向かって放り出すイメージ
十条ミツキ :
「……アタシには聞こえないけど……何か、言ってるの?"それ"」 だが、今はこよみと二人きりだ。触れないわけにもいかず、そう尋ねる
天海こよみ :
「……ううん、何も……」 首を横に振る
十条ミツキ :
「そっか。……こよみも大変だね、ずっとそのままなわけだから……邪魔だとは思わないの?」
天海こよみ :
「じゃま……」
天海こよみ :
「ううん、そうは思わない、かな……」
天海こよみ :
「だって、もうだれも、ぼくのことをおそってきたりしないし……」
天海こよみ :
「注目されるのは、ちょっとこまるけど……ミツキちゃん達がいつも気にしてくれるから、だいじょうぶ」
十条ミツキ :
「……そうだね、周囲からの影響は……そう、かもだけど」 心がざわめく。眼前に広がる海が、途端に嘘くさく感じるほどの嵐の気配
十条ミツキ :
「……怖くないの?『何もわかっていない』じゃん……アタシだったら、絶対に嫌だな」
天海こよみ :
「……さいしょはこわかったけど……今は、こわくないよ」
天海こよみ :
「こわがっていても、どうにもならないし……」
天海こよみ :
「それよりも、ぼく……なかよくなってみたいの。クラちゃんと……」
天海こよみ :
「いつか、お話出来るようになって……おともだちに、なれたら……」
天海こよみ :
「そしたら、わかる……でしょ?」 小さく微笑む
十条ミツキ :
こよみの一言一言に、動悸がおかしくなる。"それ"はそんな存在じゃない、と思わず叫びそうになるが、それを押しとどめているせいで……上手く、息が吸えない。
十条ミツキ :
ただ、ミツキの理性はそれを押しとどめ……ようやく、一言だけ呟く。
十条ミツキ :
「……こよみは、優しい子だね」
天海こよみ :
「……?そうかな……?」 そういえば、カシルちゃんにもそう言われたな……と思い出す
十条ミツキ :
「うん。……アタシには眩しいよ」 こよみの方は見ずに、目を細めて小さく笑った
GM :
……時間は、静かに過ぎていく……。
GM :
ミツキ達は海の家でシャワーを借りて体を流した後、更衣室で元の服装に着替えた。
そしてロッカーに預けていた荷物を取り出して、海水浴場から出ていこうとする。
??? :
「なあなあ、そこの人?ちょーっとええかな?」
GM :
しかしその時、突然背後からミツキ達を呼び止める男の声が聞こえる。
十条ミツキ :
「……?」 先程の出来事を未だに引きずっているためか、やや覇気のない表情で振り返る
GM :
振り返ると、そこにいたのは白い長髪の男だった
GM :
歳は二十代前半位だろうか。
夕焼けに染まったようなオレンジ色のシャツを着たその男は、どこか軽薄そうな笑みをへらへらと浮かべている。
ミツキはこんな男に見覚えはない。おそらく初対面だろう。
??? :
「いやー、そろそろ帰ろかなて考えてたら、えらいべっぴんさんが残ってるやん?やからこれは声掛けなあかん!て思てなあ」 ミツキを見て
??? :
「あ、俺、五十嵐タクミっていうねん!まあ、よろしゅうたのんますわ」
十条ミツキ :
「…………」
十条ミツキ :
「……ハァーーー………」
十条ミツキ :
その姿を見止め、こよみが見た事ないほど深いため息を吐く。
十条ミツキ :
「……すみません。急いでいるので。……行こ」 こよみの手を繋ぎ、構わず歩いていこうとする。
天海こよみ :
「わ、ミツキちゃん……」 手を取られ歩き出そうとし
五十嵐タクミ :
「わー!!ちょ、ちょいまって!ちょいまってや!!?」
五十嵐タクミ :
「ちゃうねん!いやほんまちゃうねん!ナンパちゃうから!!冗談やん冗談!!」 慌てて引き止める
十条ミツキ :
「駄目だよ、こよみ。見ちゃ駄目」 ただでさえナーバスな気分の時にナンパ(?)に遭い、すこぶる機嫌が悪いようだ
天海こよみ :
「えっ、えっ……でも……」 言われた通り見ないようにするが戸惑ってる
五十嵐タクミ :
「見てええよ!!むしろ見て!!な!?お願いやから!!おーーーい!!!」
十条ミツキ :
「……チッ」 鋭い舌打ち
天海こよみ :
「……!」 舌打ちした…!とびっくりしている
十条ミツキ :
「……あの!あまりしつこいなら警察呼びますよ!」
五十嵐タクミ :
「呼ばんでええ!!呼ばんでええから!!」
五十嵐タクミ :
「ちゃうねんって!自分が思てるようなんちゃうから!!ちょっと話聞いてや!?」
十条ミツキ :
「もし何かあるなら手短に。……警察より怖い人も呼べますからね」 そう言いつつ、手元のスマホで警察より怖い人……もとい、プロデューサーにワンタップで連絡できるように準備する
五十嵐タクミ :
「わ、わかった、わかった……!」
五十嵐タクミ :
「はー……ったく、怖いわぁ。ほんま怖すぎやろ」
五十嵐タクミ :
「べっぴんさんやのにもったいないなあ、こよみちゃんのお姉さんは」
十条ミツキ :
「………」
十条ミツキ :
「こよみ、って?」 驚いたように目を丸くする
天海こよみ :
「え……?」
天海こよみ :
「ぼくの名前……」
五十嵐タクミ :
「自己紹介もまだやなのになんで知ってるんか?って顔やな?」
五十嵐タクミ :
「いやいや、そんなん知ってるに決まってるやん!MARiNE SNOWのこよみちゃんやんな?」
天海こよみ :
「…………」 こくんと頷く
十条ミツキ :
「頷かないでいいよ…!」
十条ミツキ :
「MARiNE SNOW……知っているんだ」
五十嵐タクミ :
「知ってる知ってる!」
五十嵐タクミ :
「俺、今までアイドルとかあんま興味なかったんやけどな。この前たまたまネットでライブの動画見てなあ」
五十嵐タクミ :
「そんで、すぐ好きになってもうてん!今ではもうこよみちゃんの大ファンやで!!」
天海こよみ :
「ぼくの……ファン……?」
十条ミツキ :
「(アイドルに興味がない層に届くようになったのは良い……けど)」
十条ミツキ :
「……知らないかもしれないから教えてあげるけど、プライベートで演者に声をかけるのってマナー違反になることもあるからね」
十条ミツキ :
「……まあ、そもそも本当にファンなのかが疑わしいけど」 信じられないほどげんなりした表情
五十嵐タクミ :
「なんでそこ疑うねん!名前と顔知っててわざわざ声かけに来るのにファンじゃないとか、どんな行動力持ったアンチや!!」
五十嵐タクミ :
「……っていうか、え、マナー違反なん?ほんまに?」
十条ミツキ :
「本当です」※別にそうとも限らない
五十嵐タクミ :
「え~、そうなん!?ごめんな、俺ほんま最近ハマったばっかりやから知らんくて……」
五十嵐タクミ :
「……ってことは、握手とかもなし?」
十条ミツキ :
「現場に来てお金払ってください。話はそれからです」
五十嵐タクミ :
「せやなー。まあその内行くつもりではあったけど……」
五十嵐タクミ :
「でもほら、俺……イケメンやん?やからせっかくやし、イケメン割ってことで握手くらいしてもらっても……」 わざとらしく決め顔しながら
十条ミツキ :
「うっっっわ……勘違いオタクか……」 後半はボソッと
十条ミツキ :
「(アタシのアイドル人生、こういうの居なかったし恵まれてたんだな…)」
五十嵐タクミ :
「なあなあ、アカン!?こよみちゃんおねがい!一生のおねがいやから!!」 ミツキの呟きは聞こえないふりをして、こよみに両手を合わせる
天海こよみ :
「え……えっと……」 どうしよう…と、困ったようにミツキを見る
十条ミツキ :
「……」
十条ミツキ :
「……こよみに任せる。何かあったら、『何とか』するから」 色々言ったが、結局はこよみのアイドル人生だ。判断を委ねることにした。
天海こよみ :
「……!わかった……」 頷く
天海こよみ :
「……う、うーん……」 少し悩んで、五十嵐を見る
五十嵐タクミ :
「…………」 キラキラと期待した目で見ている
天海こよみ :
「……じゃ、じゃあ……。今度から、現場……来てくれるなら、今回だけ……」 おそるおそる、手を差し出す。
五十嵐タクミ :
「おぉー!おおきに!嬉しいわあ!」
GM :
五十嵐はこよみの手を握る。決して離さないように、強く。
五十嵐タクミ :
「いやー、でも結構びっくりやわ!ほんまに握手してくれるとは思わんかったし……」
五十嵐タクミ :
「────クラッドカルトの宿主が、こんな警戒心ゼロのアホ女とはなぁ!!」
十条ミツキ :
「……ッ!?」 "クラッドカルト"。その言葉を聞いた瞬間、脳から血の気が引く。
天海こよみ :
「え……」 同じく、その名を聞いてハッとして
十条ミツキ :
「迂闊だった……!!」 考えるよりも先に瞬時に身体に雷を惑わせ、五十嵐の腕を掴もうとする。
五十嵐タクミ :
「アホが、気づくのが遅いねん!!」 その動きに臆せず、
GM :
ミツキに腕を掴まれる前に、五十嵐は《ワーディング》を使用。
レネゲイド物質が散布され、周囲一帯が非オーヴァードを無力化する結界に包まれる。
しかし、彼が行使した力はそれだけではなかった。
GM :
五十嵐の背後の空間が歪み、激しく渦巻く。
空間の渦はブラックホールのように引力を起こし、五十嵐をその奥へと吸い込んでいく。
天海こよみ :
「きゃっ……!?ミ、ミツキちゃ……!!」
GM :
当然、五十嵐と手を繋いでいるこよみも渦の中へと呑み込まれていく。
こよみは助けを求めて、もう片方の手をミツキに伸ばした。
十条ミツキ :
「こよみ!!」 想定外の事態に振り落とされぬよう、ミツキもまたこよみに向かって必死に手を伸ばす
GM :
ミツキの手はギリギリのところで間に合い、こよみの手を握ることが出来る。
GM :
しかし、ミツキはこよみに引きずられる形で空間の歪みの中へと吸い込まれる……!
十条ミツキ :
「んなっ…!!」
十条ミツキ :
……ここでもし、手を離したなら。もしかしたら自分は助かるのかもしれない。ある意味、それもこよみを救う効率的な方法と言えるだろう。こよみだってそれを望むかもしれない。だが。
十条ミツキ :
「……ふざっけんな……!!」 そんな自分の思いを振り切るようにこよみの手を握り締め、地面を蹴り……そのまま、渦の中へと身を投じた。
GM :
渦の奥に広がるのは、一切の光のない暗闇。
GM :
二人は手を繋いだまま、闇の中で静かに意識を失っていった……。
GM :
シーン終了。
Scene02 無限迷路の水族館
GM :
ここからミドルフェイズになります。
ミツキちゃん、登場侵蝕のダイスをお願いします。
十条ミツキ :
1d10+38(1D10+38) > 8[8]+38 > 46
???
GM :
意識を取り戻したミツキがまず目にしたのは、鮮やかに満ちた“青”だった。
GM :
壁一面に広がる巨大な水槽。透明なガラス越しに、優雅に泳ぐ色とりどりの魚達。
そこは、水槽から放たれる青い光に満たされた水族館だった。
GM :
しかし、その美しい景色を楽しむ客は一人もいない。
いるのはミツキと、そのすぐ傍にうつ伏せに倒れて気を失っているこよみだけだ。
GM :
他に人の気配はない。ここは彼女達以外誰もいない、無人の水族館だった。
十条ミツキ :
「……」 目の前の光景を処理しきれず、しばらくぼんやりと目の前の青い光景を眺める。が、すぐにハッとしてこよみの姿を探す。
十条ミツキ :
「こよみ!……こよみ!」 彼女を仰向けにし、必死に揺すり起こそうとする。
天海こよみ :
「ん……」 目を覚ます
天海こよみ :
「あれ……ミツキ、ちゃん……?ここは……?」 ぼんやりとした目で
十条ミツキ :
「こよみ…!良かった……」 ひとまず意識を取り戻したことにホッとして
十条ミツキ :
「……わからない。ただ、あの五十嵐とかいう男の能力だということは間違いない…はず…」
天海こよみ :
「……!そっか、ぼく達、いきなりすいこまれて……」
天海こよみ :
「あ、じゃあ……あの人、ぼくのファン……じゃ、なかったんだ……」 少し悲しそうにしながら、上体を起こす
十条ミツキ :
「……あんなの、忘れておけば良いよ。それよりごめん、アタシが何とかするって言ったのに……怖かったよね」 申し訳なさそうに下を向く
天海こよみ :
「う、ううん……!そんな……」
天海こよみ :
「こ、こわかったけど……ミツキちゃんがいっしょにいてくれるから……だいじょうぶ」 ミツキの手を握り、安心させるように笑みを浮かべる
十条ミツキ :
「こよみ……」 こよみの笑みを見て、困ったように笑う。が、やはり不安は払拭されないようだ。
十条ミツキ :
「……電波、どうなんだろう」 座り込んだまま、私用のスマートフォンとUGN支給端末を確認する。
GM :
確認すると、どちらの端末も圏外になっていることが分かる。
十条ミツキ :
「やっぱりダメか……仕方ないね」 端末を仕舞い、こよみの手をもう片方の手でそっと包み込む。
十条ミツキ :
「ひとまず、お互い無事で良かった。いや、まだ安心するには早いけど……大丈夫、こよみの傍から離れたりしないからね」 目を見つめて優しく話しかける
天海こよみ :
「うん……!ありがとう、ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「……だけどここ、どこなんだろう……?」
十条ミツキ :
「……だね。まずはそれを確かめなきゃ」 先に立ち上がり、こよみに手を差し伸べる。
十条ミツキ :
「立てそう?」
天海こよみ :
「……うん」 ミツキの手を取って、立ち上がる
天海こよみ :
「……なんか、前にもこうしてもらったね」 懐かしむように言う。ニヶ月以上前……ミツキと再会した時のことを思い出したらしい
十条ミツキ :
「ふふっ、そうかも。もう、アレからだいぶ経つんだね…」 立ち上がったこよみを見て首を傾げる
十条ミツキ :
「……もしかして、少し背伸びたんじゃない?」
天海こよみ :
「えっ、ほんと……?」
天海こよみ :
「自分じゃぜんぜんわからないけど……」 手を頭の上に乗せながら
十条ミツキ :
「多分ね」 クスッと笑う。古代種であるこよみの背が伸びることはないが…俯きがちだった昔よりも、背筋がしゃんとしている。だからそう感じるのだろう。
十条ミツキ :
「今のこよみとなら、尚更心強いし安心だね。早くここから出て、帰ろうか」
天海こよみ :
「うん……!」 頷く。身長が伸びたと言われて嬉しいのか、小さく笑みを浮かべている
天海こよみ :
「……ここ……水族館?だよね……?きれいなお魚さん……」 水槽を眺める
十条ミツキ :
「そうだね。どこかの水族館に飛ばされたのかな……」 バロールの能力でどこかの水族館に送られてしまったものと推測しつつ、水槽の中の魚を見る。
天海こよみ :
「うーん……凪宮アクアパークの水族館……?とか……?」
十条ミツキ :
「ふふっ、だとしたら結構近場だね。帰るのが楽でありがたいや」
十条ミツキ :
「……でも、お客さんが1人もいないな……もうだいぶ遅かったし閉館してるのかもだけど、その割にはスタッフさんもいないし…」
天海こよみ :
「そう、だよね……ぼくもおかしいと思ってた……」
GM :
では、そこで
GM :
〈知識:レネゲイド〉で判定をお願いします。
難易度は6。成功するとこの水族館についてあることが分かります。
十条ミツキ :
やってやるぜ
十条ミツキ :
2dx(2DX10) > 5[3,5] > 5
十条ミツキ :
やれないぜ
GM :
やれなかった!
GM :
では、残念ながら今は何も分かりません。
十条ミツキ :
悲しい……
天海こよみ :
「……もしかしたら、ほかの場所には人がいるのかな。そうしたら、出口も……」
十条ミツキ :
「そうかもしれないね。それに、途中でポスターとかあるだろうし、そこから水族館の情報もわかるかも」
十条ミツキ :
「それまでは焦らずゆっくり行こうか。ねっ」 そう言って、こよみに手を差し伸べる
天海こよみ :
「……うんっ」 ミツキの手を取り、ぎゅっと握りしめる
GM :
そうして、ミツキはこよみと一緒に水族館の探索を開始する。
水族館 通路
GM :
────それから、約一時間後。こよみとミツキは途方に暮れていた。
GM :
水族館の中は迷宮のように入り組んでおり、似たような景色が続いていた。
迷路のように曲がりくねった通路をいくら歩いても、出口を見つけることが出来ない。
GM :
この静寂に包まれた水族館では、ただ青い光と魚達の泳ぎが永遠に繰り返されているだけだ。
十条ミツキ :
「……綺麗だけど……こんな非日常っぽい空間にずっといたら流石にノイローゼになりそう、順路あってるのかなぁ……」 天井を仰ごうとするが、そこをサメが通過して行くのを見てげんなりとする。
天海こよみ :
「わかんない……。ちょっとつかれちゃったね……」 小さくため息をついて、立ち止まる
十条ミツキ :
「そうだね。今疲れるのはまずいし……少し、休憩しようか」 同じく立ち止まる
天海こよみ :
「……うん」 ぺたん、とその場に座り込む
十条ミツキ :
その横に座る。周囲に人も居ない、少しくらいは良いだろう。
天海こよみ :
「…………」 こてん、と首を傾けて、ミツキの肩に寄り掛かる
十条ミツキ :
「ん」 こよみの頭を撫でる。これが帰りの電車のことだったなら、気楽にいられたのだが……
天海こよみ :
「ふふ……」 頭を撫でられて癒やされたのか、表情が和らぐ
GM :
と、その時だった。
GM :
ぺた、ぺた……と、水気を含んだ足音が聴こえてくる。
通路の奥、曲がり角の向こう側から聞こえてくる足音は、少しずつ大きくなって……こちらへと近づいてきているようだった。
十条ミツキ :
「……!!」 誰か来る。こよみの肩を抱き寄せ、周囲の様子を探る。
十条ミツキ :
隠れられそうなところとかありますか?
GM :
通路だし全然ないですね…!
十条ミツキ :
悲しい。迎え撃ちましょう、装備を手元に出しつつ、こよみを庇うような位置に立ちます。
天海こよみ :
「み、ミツキちゃん……?」 不安そうに見上げる
十条ミツキ :
「大丈夫。でも、誰か来る……もしかしたら戦うことになるかもしれないから、こよみも注意して」 慌てさせないような優しい口調だが、きっぱりと話す。
天海こよみ :
「……っ、う……うん」 ぎゅっとミツキの服の裾を握る
GM :
……そして間もなく、足音の正体が曲がり角から姿を現した。
GM :
水族館の青い光に照らされて妖しく輝くのは、全身を覆う鱗。
手足には水かきがつき、その先端に鮮やかな青色の鰭が広がっている。
頭部は魚のような形状。大きな赤い目が、怒りと渇望を混じり合わせたように瞬いている。
GM :
半魚人。そう表わすのが最も適しているだろう。
その巨躯は二本の足で立つ、全長五メートルにも及ぶ怪物だった。
十条ミツキ :
「なっ……ば、化け物……!?」 戦闘経験の浅いミツキにとっては見たことがないタイプの敵だ。目を見開き、こよみの肩をより強く抱きしめる。
天海こよみ :
「…………!?な、なに、これ……」 初めて見る異形の姿に驚き、声がうまくでない
半魚人 :
「ジイイギアアアア……!!」
GM :
魚の顎が威嚇的に開く。その中から尖った歯が覗いた。
そこから発せられる言葉を理解することは出来ない。
GM :
しかし、獲物を捉えて獰猛に煌く赤い目は、この半魚人がどうしようもなく相容れない存在であることを物語っていた。
十条ミツキ :
「……人間のオーヴァードなら話しようがあったかもしれないけど……そんな暢気にしていたら、アタシたちが危ないね……!」
天海こよみ :
「で、でもっ……ミツキちゃん……っ」 今の威嚇で完全に気圧されたのか、こよみは恐怖で顔を歪めてミツキにしがみつく
十条ミツキ :
「大丈夫、良い子だから。怖かったら後ろに下がってて……アタシもUGNプロのスタッフだ、アイドルたちを守ることが仕事だよ……!」
十条ミツキ :
ポケットから、半透明の板のようなものを取り出す。青く輝くネイルアートが施された指を滑らせると……起動音と共に、それは傘が開くように展開した。
十条ミツキ :
青く輝く、半透明のクラゲ型戦闘補助ロボット・Medusa(メデューサ)。十条ミツキ専用の新装備だ。
十条ミツキ :
メデューサの赤い瞳もまた、自由意思を持つかのようにぎゅるりと動き……目の前の半魚人を睨みつける。
半魚人 :
「ジャアアッ!!!」
GM :
メデューサと目が合った瞬間、雄叫びを上げながら半魚人が突撃する。
GM :
彼我の距離は一気に縮まり、衝突する────
GM :
その時だった。
半魚人 :
「ッギギャ!?」
GM :
突然、謎の衝撃波が半魚人の胸を貫いた。
周囲の大気が震え、半魚人が体を仰け反らせる。
十条ミツキ :
「……!」 第三者の気配を察知し、周囲を警戒する。
十条ミツキ :
「誰…!」
天海こよみ :
「……!!」
GM :
周囲を警戒する間もなく、攻撃は続く。
GM :
水族館の中の空気は振動し続け、衝撃波が連続して放たれた。
半魚人 :
「ガッ、ギッ、ア……!アアアアアアアア!!!」
GM :
衝撃波が次々と半魚人の体に叩きつけられていく。
溺れたように悲鳴を上げてその場でもがく中、黒い体液を噴き出しながら鱗が剥がれ落ち、水かきが捻じれ、深い傷がその体を裂いていった。
半魚人 :
「ギ……ギ、ガ……ァ……」
GM :
苦悶の声を上げ続けていた半魚人の姿は、次第に静まり返っていく。
そして、最後の一撃が放たれた。
GM :
半魚人は真っ黒な血の海に沈み、それっきり動くことはなくなった……。
十条ミツキ :
「………」 呆然とし、半歩下がる。そのまま、こよみの傍に駆け寄ろうとする。敵が味方か、何者の仕業かもわからないのだ。
天海こよみ :
「…………」 何が起きたかわからないのか、呆然と倒れた半魚人を見て
GM :
ミツキがこよみの傍に寄ったところで、
??? :
「あなた達、大丈夫!?」と、背後から声が聞こえる。
十条ミツキ :
「……!」 その声に振り返る
GM :
ミツキ達の後方に、一人の美しい女性が立っていた。
GM :
水族館の光の加減で、星が瞬くように見える銀髪。
穏やかな海のように澄んだ青い瞳。
肌は白い雪のように柔らかく、見る者を魅了する魔法を持っているかのようだった。
GM :
ミツキはこの女性にどこか見覚えがあった。
だが、彼女のことをどこで見たのかまではすぐには思い出せない。
十条ミツキ :
「……あな、たは」 そこから続く言葉は出てこない。だが、先ほどまで戦闘モードで昂っていたレネゲイドが……自然と、落ち着きを取り戻して行く。本能的に、彼女が敵ではないと認識していた。
天海こよみ :
「…………」
天海こよみ :
「ママ?」
GM :
こよみがそう呼んだことで、ミツキは目の前の女性が何者なのかはっきりと思い出す。
GM :
天海あかり。約三十年前に活動していた国民的アイドル。
GM :
そして、五年前に突如行方不明になったという、天海こよみの母親だ。
年齢は四十歳を軽く超えているはずだが、その容姿はアイドル引退時のニ十歳の頃とほとんど変わらない美貌を保っていた。
十条ミツキ :
「……!天海、あかりちゃん……!?」
十条ミツキ :
思わず、本来ではありえない呼び方をしてしまう。それも仕方ない、だって彼女は超人気アイドル、『本物』のスター。今も尚、画面の中で生き続ける伝説の存在。このような場所で出会うようなことを、想定できるはずもない。
十条ミツキ :
だが、このような状況で出会うことは明らかにおかしい。明らかに若々しいままのその姿も、違和感がいっぱいだ。……少しずつ、冷静さを取り戻す。
十条ミツキ :
「……こよみの、お母さん。か」 小さく呟き、天海あかりの姿を見つめる。
天海あかり :
「……!こ、こよみ?こよみなの……!?」
天海こよみ :
「ママ……!!」
GM :
互いを見つけた母と娘が、名前を呼び合いながら同時に駆け寄る。
GM :
二人の間にあった距離と時間は、優しい抱擁で一瞬で消え去った。
天海こよみ :
「ママ……!ママ、会いたかった……っ」
天海あかり :
「わたしもよ、こよみ……っ!あぁ、夢みたい……」
天海こよみ :
「う、うぅ……うぅぅ……」 自然と涙が溢れてくる
天海あかり :
「ごめんね、こよみ……!ずっと独りにして、ごめんね……!」
天海こよみ :
「……うぅん、いい……。もういいの……ママ……」
天海あかり :
「こよみ……」
GM :
二人の抱擁はしばらくの間続いた。大切な温もりを、もう失わまいとするかのように。
GM :
ミツキはそんな母娘の再会を、少し離れた場所で見守っている。
十条ミツキ :
「……」 二人の姿を見て、武器はもはや不要だと判断してメデューサに触れる。コマンドを感知したメデューサは、再度コンパクトなサイズに戻った。
十条ミツキ :
「(……驚いた。あの様子だと……ただの幻覚とかじゃない、よね)」 色々と聞きたいことはある。だが、幸せそうな二人の姿を見たミツキが水を差すことはできない。ただ静かに、その様子を見守る。
天海あかり :
「あ……」 しばらくしてミツキの存在に気付き、顔を上げる
天海あかり :
「ごめんなさい、あなたのことを放っていてしまって。ええと……」 こよみを体にくっつけながら立ち上がって
十条ミツキ :
「いえ、お気になさらず。……ミツキです。十条ミツキ。こよみ…さんの、友人です」 向き直って小さく会釈する。
天海あかり :
「十条さんね。初めまして……」
天海こよみ :
「ミツキちゃんだよ……!ぼくのお友達、なの……!」 涙を拭って、笑いかける
天海あかり :
「ミツキちゃん……そう」 小さく笑いながら、こよみの頭を撫でて
天海あかり :
「初めまして、ミツキちゃん。わたしは天海あかり。この子の、こよみの母です」 そう微笑みかける
十条ミツキ :
「初めまして。……こよみさんには、いつもお世話になっています」
十条ミツキ :
「それと……いつも、テレビで見てました」 改めて、当時の画質ではありえない『高画質』な彼女の姿を見る。
天海あかり :
「えっ、ほんと?そんな、わたしがテレビに出てたのなんて何十年も昔なのに?」
十条ミツキ :
「はい。アタシ……アイドル、大好きで」 実際は、パフォーマンスの参考とするために繰り返し見ていた理由の方が大きいが……これもまた事実だ。
十条ミツキ :
「現代のどの歌手でも太刀打ちできないほどの圧倒的な歌唱力と表現力、本当に尊敬しています」
天海あかり :
「あら、まあ~……!」 パチパチと瞬きして
天海あかり :
「わあ~……!そんな、大げさよ!でも嬉しいわ!ありがとう……!!」 頬に手を添えながら、照れたように笑う
十条ミツキ :
「うわ、可愛すぎ……」 現役時代に数多のファンを魅了したその姿に、思わず言葉が漏れる
天海こよみ :
「ふふっ……」 母親が褒められて嬉しそうにしてる
十条ミツキ :
「大げさなんて、そんな。お会いできて本当に光栄です」
十条ミツキ :
「でも……どうして、ここに?」
十条ミツキ :
「……変な話をするんですけど、アタシたち、気づいたらここに連れて来られていて……ここがどこなのかすら、分かっていないんです」
天海こよみ :
「うん……。ママ、ここって……?」
天海あかり :
「……!こよみとミツキちゃんも、気付いたらここに……?」
天海あかり :
「困ったわ、わたしもここがどこか聞かなくちゃと思ったのだけど……」
十条ミツキ :
「ご存じないんですね。ええと、聞いていいのかわからないんですけど……ここに来るまで、あかりちゃ……こよみのお母さんは、どちらに居たんですか?」
天海あかり :
「あら、あかりちゃんでいいのよ?こよみのお母さんじゃ長いしっ」 口元を手で隠しながらくすっと笑う
十条ミツキ :
「いや……あ~、えっと……」 少し悩んで
十条ミツキ :
「……ごめんなさい。ずっと、『あかりちゃん』って呼んでいたのが抜けなくて……失礼なのはわかっているんですけど、お言葉に甘えていいですか?」 申し訳なさそうな困り顔で尋ねる
天海あかり :
「ええ、もちろん!そう呼んでくれると嬉しいわ、ミツキちゃん!」 嬉しそうに声を弾ませる
十条ミツキ :
「わ、わかりました……あかり、ちゃん」 少しだけ照れ臭そうに
天海あかり :
「ふふっ、かーわいい……!」 ミツキを微笑ましそうに見る
天海あかり :
「と……わたしが今までどこにいたのか、って話よね」
天海あかり :
「それについて答える前に……今はこの場を離れない?」
天海あかり :
「ここにはこういう生き物がまだいるの。でも、彼らが入ってこれない安全な場所があるから……どうかしら」 倒れた半魚人を見ながら
十条ミツキ :
「わかりました。アタシたち、本当にここがどういう場所かわかっていないので……少しでも、教えてくださるとありがたいです」 提案に頷く
十条ミツキ :
「こよみも、大丈夫?もう疲れてない?」
天海こよみ :
「ぜんぜんだいじょうぶ!」
天海こよみ :
「ママがいるなら、どこにでも行くよ……!」 横からあかりをぎゅっと抱きしめて
天海あかり :
「ふふっ……じゃあ、決まりね?」 こよみの髪を撫でて
十条ミツキ :
「お願いします、あかりちゃん」 その光景に、安心したように柔らかく微笑む。
天海あかり :
「ええ、ついてきて!」
GM :
そうして、二人があかりについていったところでシーン終了。
Scene03 伝説のアイドル
GM :
あかりについていった後のシーンになります。
登場侵蝕のダイスをお願いします。
十条ミツキ :
1d10+46(1D10+46) > 10[10]+46 > 56
水族館 カフェテリア
GM :
こよみとミツキがあかりに案内されたのは、水族館の中にあるカフェテリアだった。
GM :
ここでも壁一面が巨大な水槽になっており、透明なガラスに覆われた水槽の中には、多彩な色とりどりの魚たちが優雅に泳いでいる。
GM :
それらを鑑賞しながら食事を楽しむことが出来るように、いくつかの椅子やテーブルが並んでいた。
しかし、それらの椅子には誰も座っていない。
今まで館内を見て回ったのと同様に、ここにも人はいないようだ。
天海あかり :
「着いたわ、ここよ。この場所なら、あの半魚人達は入ってこれないでしょ?」
GM :
そう言いながら、あかりは今自分達が通ったカフェテリアの扉を示す。
扉の大きさは二メートル程度。他の半魚人達もあの巨躯だとすれば、この扉をくぐることは難しいだろう。
十条ミツキ :
「確かに……」 半魚人が腰をかがめて入ろうとする図を思い浮かべて
十条ミツキ :
「それにしても、素敵な場所だなぁ……こんなところがあったんだ」
天海こよみ :
「ほんとだね……!一時間も歩いたのにぜんぜん知らなかったな……」 カフェテリアを見回しながら
天海あかり :
「わたしも偶然見つけたの。それから、ここを拠点に探索してたのよね」
十条ミツキ :
「その口ぶりからすると、ここに来て大分長いんですか?」
天海あかり :
「時計がないから分からないけど、多分、一日くらいね。そこも含めて、お話しましょうか」 適当なテーブル席に腰掛ける
十条ミツキ :
「そんなに……」 お腹すいちゃいそう、と呟きながら同じテーブルの向かい側の席に座る。
天海こよみ :
「…………」 ぽへーと水槽を泳ぐ魚を見ながら、ミツキとあかりの間の席に座る
天海あかり :
「さて……さっきの質問に答える前に」
天海あかり :
「ミツキちゃんもこよみも、オーヴァード……なのよね?」 自分の攻撃を見てそこまで驚いてなかったことから推測する
十条ミツキ :
「……はい。アタシは1年以上前、こよみはつい3ヶ月くらい前に覚醒しました」
十条ミツキ :
「……あかりちゃんも……ですよね」
天海こよみ :
「…………」
天海あかり :
「ええ、そうよ」
天海あかり :
「わたしは五年前……FHに拉致されて、オーヴァードに覚醒させられたの」
十条ミツキ :
「……ファルス、ハーツ……!?」 予想外の言葉に目を見開く
天海こよみ :
「それって……たしか……テロ、そしき……の?」 あまり詳しくない
天海あかり :
「そう……」 頷く
天海あかり :
「それからずっと、同じ施設で実験体として扱われていたのだけど……」
天海あかり :
「昨日、気が付いたらこの水族館の中にいたのよ」
十条ミツキ :
「そん、な……」 何と声をかけるべきか分からず、一度口を噤む。
十条ミツキ :
「……気が付いたら、ということは……あかりちゃん自身も、きっかけが良く分かっていないんですね」
天海あかり :
「そうね……ここがFHの施設なのか、全く関係ない場所なのか、それもさっぱり……」
十条ミツキ :
「そっか……だとしたら、アタシたちと状況は似ているのかもしれないです」
十条ミツキ :
そう言って、ここに来るまでの経緯について説明します。
GM :
了解、説明出来ます。
天海あかり :
「なるほど……そういうことだったのね」
天海あかり :
「五十嵐タクミ……だったかしら。ごめんなさい、彼には心当たりがないわ」
天海あかり :
「FHの施設にいたころは、エージェントの名前はコードネームでしか聞かなかったから……」
十条ミツキ :
「そうなんですね……いや、それもそうか」 逆に彼のコードネームを知らないため、納得する
十条ミツキ :
「でも、あかりちゃんがここに連れて来られたことと、何かしらの因果関係はある気がしています」
天海あかり :
「うん……そうね。こよみがいるんだもの、これが偶然とは思えない……」 こよみを見て
天海こよみ :
「……ねえ、ママ」
天海あかり :
「ん?どうしたの、こよみ」
天海こよみ :
「パパは……?もしかして、パパもFHにさらわれちゃったの……?」 不安そうに聞く
天海あかり :
「それは……」 少し言い淀んで
天海あかり :
「……えぇ、そう。パパは、連れていかれるママを助けようとして、FHに捕まったの……」
天海あかり :
「でも連れていかれた施設は別々だったみたいで、あれから一度も会えていないわ……」
天海こよみ :
「そっ、か……そうだったんだ……」 しょんぼりと目を伏せる
十条ミツキ :
「……」 少し逡巡する
十条ミツキ :
「……あかりちゃんが5年間も不安でいっぱいだったのに、こんな軽率なことを言ったら怒られてしまいそうですが」
十条ミツキ :
「でも、こうして会えたんです。きっと、いや、必ずここを脱出して……お父さんも、探しに行きましょう」
天海あかり :
「……ありがとう、ミツキちゃん」 小さく微笑んで
天海あかり :
「そうね、こよみ。ミツキちゃんの言う通り、一緒にここから出てパパを探しにいきましょう」
天海こよみ :
「…………」 不安そうにぎゅっと服の裾を握って
天海あかり :
「大丈夫!ママがこうして無事にこよみと会えたんだもん!パパともきっとすぐに会えるわ!」 元気づけるように明るく笑いかける
天海こよみ :
「……うん」 それで少し笑顔を取り戻し、こくんと頷いた
十条ミツキ :
「……」 二人の姿を見て、ミツキもまた安心したように微笑む。
十条ミツキ :
「まるで迷路のような場所ですが……もしこれがオーヴァードの能力によるものなら限界があるし、脱出口は必ずあるはず。何とかしましょう」
十条ミツキ :
「……その、何とかの見当がつかないから大変なんですけどね……」 へへ…と力なく笑う
天海あかり :
「大丈夫大丈夫!三人よればなんとやらってやつ!きっとなんとかなるなる!」 グッと握りこぶしを見せる
十条ミツキ :
「……ふふふっ」 バラエティ番組などで見ていたポジティブな仕草に、思わずクスッとし……合わせて、「あ」と気づく
十条ミツキ :
「……あの……オーヴァードに覚醒したの、5年前って言ってましたよね?」
天海あかり :
「そうだけど……それがどうかしたの?」
十条ミツキ :
「あの、アタシ……てっきりもっと昔にオーヴァードに覚醒していて、だから若々しい姿のままだと思っていたんです」
十条ミツキ :
「でも……」 何と言えばいいのか、困ったように
天海あかり :
「え……?」
天海こよみ :
「……?」
天海こよみ :
「ママの見た目って、昔から……こんな感じだよね」
天海あかり :
「えぇ、そうね……」
天海あかり :
「でも、そう……そっか、ミツキちゃんみたいなほんとに若い子に、若く見てもらえるなんて……」
天海あかり :
「ふふっ、なんだかうれしいな~!わたしもまだまだいけるってことね!」
GM :
あかりは張りのあるほっぺたに両手を添えながら、心底嬉しそうに笑う。
GM :
……計算が正しければ、確か彼女は今年で44歳のはずだ……。
十条ミツキ :
「え……」
十条ミツキ :
「……こよみ、それってほんと?」 思わず聞き返す。
天海こよみ :
「うん。ママは五年前から何も変わってないよ……」 頷く
十条ミツキ :
「えぇ……」
十条ミツキ :
「マジか…美魔女、いやむしろ魔女ってイメージより若いや。こんなことあるんだ……」 こよみの言うことだ、素直に受け入れて苦笑する
天海あかり :
「ふふっ、ほんとに嬉しい!いつまでも若くいたいものよね」
十条ミツキ :
「理想だけならいくらでも言えるんですけどね…」 ただ嬉しそうなあかりの姿を見て首を傾げる
天海あかり :
「それもそうね~……」 にこにこと笑って
天海あかり :
「びっくりさせちゃったけど、まあわたしのことは置いておいて……わたしからも聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」
十条ミツキ :
「(置いとくには衝撃的すぎるけど…)…なんでしょう?」
天海あかり :
「こよみのこと!わたしがいない間、どうしてたかとか……」
天海こよみ :
「ぼくのこと……?」
天海あかり :
「うん!それに、ミツキちゃんのことも色々知りたいな。どんな風にこよみとお友達になったかとかね」
十条ミツキ :
「ああ、そうですね!アタシが知る限りでも、本当に大きくなったから…お母さんとして、知りたいことはたくさんありますよね」
十条ミツキ :
「こよみから……話す?今何やっているか、とか…」
天海こよみ :
「あ……うん!話す……!」 こくこくと頷いて
十条ミツキ :
「わかった」 それなら、アタシは聞いているから…といったふうに頷く。
天海こよみ :
「あ、あのね、ママ……」 もじもじと両手の指を絡め合わせながら
天海こよみ :
「ぼく、今……アイドルやってるの……!」
天海あかり :
「え……?」
天海あかり :
「あ、アイドル!?こよみが!?そんな、本当なの……!?」
天海こよみ :
「うん……!」 母親の反応を見て、嬉しそうに
十条ミツキ :
「本当ですよ。歌もダンスも本当に上手で……ステージで見せる笑顔も素敵なんです」
十条ミツキ :
「プロデューサーは、『伝説の再来だ』って喜んでました」 伝説というのは、言わずともわかる通りあかりのことだ
天海こよみ :
「んへ……」 照れたように俯きながら笑う
天海あかり :
「あらあら……まあ~……!」 驚きすぎて何度も瞬きして
天海あかり :
「そっか……!そっか……!」
天海あかり :
「もう、ほんとにびっくりしちゃった!こよみがアイドルになってるなんて……」
天海あかり :
「でも、ずっと夢だったものね……!おめでとう、こよみ……!」 嬉しそうにこよみに微笑みかけ、祝福する
天海こよみ :
「あ、ありがとう……ママ……!」 照れ笑いしながら、頭を撫でられている
十条ミツキ :
「ふふっ…」 仲睦まじい2人の様子を嬉しそうに見つめて
十条ミツキ :
「……こよみがアイドルになったのにも、理由があったんですけど。それでも、今は純粋にアイドルとして、お客さんに笑顔を届けていて…きっと、これからもっともっと色んな人たちを幸せにする存在になると思います」
十条ミツキ :
「だから、あかりちゃんも…ここから出たら、是非ライブに来てください。まだ小さい箱ですけど、だからこそ見られる景色もあるので」
天海あかり :
「ええ、もちろん!すっごく楽しみだわ、こよみのライブ!」
天海あかり :
「ここから出なくちゃいけない理由が増えちゃったわね……!」
十条ミツキ :
「そうですね!こよみにも…また、ステージに立って欲しいから…」
天海こよみ :
「ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「うん……!ぼくも、ママにライブ見せたいから……がんばるね……!」
天海あかり :
「もう、ほんとに楽しみだわ~……!あ、でも……」
天海あかり :
「こよみがアイドルになったことの理由って……?」 何か含みがあったような気がして、ミツキに訊ねる
十条ミツキ :
「あ……えっと……」 話して良いものか悩み、こよみの様子を見る
天海こよみ :
「あ……」 ミツキと目が合って
天海こよみ :
「ミツキちゃん……話してもらっても、いい……?」 自分じゃ要領を得ない気がしてお願いする
十条ミツキ :
「…わかった、話してほしくないところがあったら止めてね」 前置きを入れ、あかりに向き直る
十条ミツキ :
「事の発端は、こよみがオーヴァードに襲われたのをアタシが助けたことからです」
十条ミツキ :
「そのオーヴァードの目的は、いつの間にかこよみに取り憑いていた、とあるレネゲイドビーイングを手に入れることでした。その場では、彼女ら……襲ってきたオーヴァードを追い払いましたが、また再度襲撃をかけてくる可能性が残っていました」
十条ミツキ :
「そこで……こよみを守るために、グループを組みました。……それが、今のアイドルグループです」 事情が複雑なので、所々省略しつつ説明する
天海あかり :
「そんな……こよみが襲われていたなんて……」
天海あかり :
「大丈夫だったの?怖かったでしょう……?」
天海こよみ :
「う、うん……」 小さく頷いて
天海こよみ :
「だけど、ミツキちゃんが助けてくれたし……みんなが守ってくれてるから、だいじょうぶ……だよ」
天海あかり :
「そっか……」 そう言われるが、心配そうにこよみの手を握る
十条ミツキ :
「…それで、2ヶ月前に、最初に襲ってきたオーヴァードについては倒すことに成功しました。なので、一安心……と言いたいところなのですが」
十条ミツキ :
「……さっき、アタシたちをこの空間に送り込んだ男……彼もまた、こよみに取り憑いているレネゲイドビーイングを狙っているみたいで。アタシの油断で策にハマって、今ここに連れてこられたと言う状態ですね」
天海あかり :
「そういうことだったのね……」
天海あかり :
「大体の事情は分かったわ。でも、少しわからない部分があって……いいかしら?」
十条ミツキ :
「は、はい…」 頷く
天海あかり :
「その、レネゲイドビーイングって……何なのかしら?初めて聞く言葉で……取り憑いてるっていうと、おばけみたいなもの?」
十条ミツキ :
「……あ」 もしかしたら知らないかもしれない、という可能性に思い至ってはいたが…あまりに真摯に聞いてもらえることもあり説明を忘れてしまっていたようだ。
十条ミツキ :
「す、すみません、アタシすっかり…レネゲイドビーイングっていうのは、アタシ達みたいな人間のオーヴァードではない存在です。例えば動物の姿をしていたり、鉱物の形をしていたり、もっと概念的な存在だったり……」
十条ミツキ :
「元人間以外、と括った方が一番わかりやすいかも」 身内だが、未だに実態が掴めないレネゲイドビーイング(カシル)を思い出しつつ
天海あかり :
「いえ、そんなミツキちゃんが謝ることじゃないのよ!わたしが知らなかっただけなんだし……」
天海あかり :
「でも、そんな……人間以外にもオーヴァードっていたのね。……いや、そういえば物に感染したレネゲイドは見たことがあったし、概念的な存在だっていてもおかしくないか……」
天海あかり :
「でも、本当にそんなものがこよみに……?パット見は全然……いつも通りかわいいこよみしかいないけど……」 こよみの髪を触ったりして
天海こよみ :
「ふふっ……」 くすぐったそうにしてる
十条ミツキ :
「アタシも……正直、信じ難いのですが。でも、確実に取り憑いていることが、検査とか、あと能力とかで確かに実証されているんです」
天海こよみ :
「うん、いるの……。名前は、クラッドカルトっていうんだよ……」
天海あかり :
「クラッドカルト……。能力って、どんなことができるの?」
十条ミツキ :
「……」 小さく息を吐き、呼吸を整える。
十条ミツキ :
「……人の注目を集める能力です。言うなれば……取り憑いた人のカリスマ性を高める能力というか」
天海あかり :
「人の注目……!?カリスマ性を高めるなんて、そんな力が……」 予想にもしてなかった答えに目を大きくする
十条ミツキ :
「……あの……もし嫌なことを思い出させてしまったら申し訳ないんですけど、FHにいた頃とかに聞いたことは?」
天海あかり :
「いえ……初めて聞くわ」
十条ミツキ :
「そうなんですね……」 FHが国民的アイドルを攫ったことと、何かしらの関連があるものと考えていた様子だ。やや安堵したように息を吐く。
十条ミツキ :
「……今のこよみに憑いている力は、そういうものなんです。いくらでも悪用できる能力ですし、悪い奴が狙うのも納得なんですが…」
十条ミツキ :
「……でも、こよみが危険に遭うことには一切納得できないですから」
天海あかり :
「うん……そうね」 少し、色々と考えを巡らせて
天海あかり :
「狙われているのに、どうしてアイドルなんて目立つことを……って不思議だったけど、今の話を聞いて何となくだけど分かってきた気がするわ……」
十条ミツキ :
「あーー……それはアタシも正直納得してないんですけど、『表に出た方が人の目に付くから襲われにくい』って理屈があるそうです」
十条ミツキ :
「それと……その"クラッドカルト"ってレネゲイドビーイングも、放置しておくと無作為に人の注目を集めてしまうらしくて。それなら、自発的に注目を集めた方が良い……とか、何とか……」 自分でもホントかよ、と思いつつ
天海あかり :
「あ……そういうことだったのね?」 自分から注目を集める行為をしないとレネゲイドビーイングに怒られたりするのかと思っていたらしい
天海あかり :
「わたしには詳しいことは分からないけど、確かUGN……だったかしら。専門の人がそう言うなら、そうなんでしょうね……」
天海あかり :
「じゃあ、ここから出たらクラッドカルトのこともなんとかしなくちゃね……ママも手伝うわ」
天海こよみ :
「ママも……?」
天海あかり :
「うんっ。具体的に何が出来るかはまだ分からないけれど、少なくともわたしも戦えるし……こよみのことはちゃんと守るからっ」
天海こよみ :
「……うん」 安心したように小さく微笑む
十条ミツキ :
「……」 2人の様子を見て、この話題は終われそうだと内心ほっとする
十条ミツキ :
「…ですね。"クラッドカルト"を狙う奴がまだまだいることはよくわかりましたし……もしよかったら、ずっとこよみのそばに居てくれると、アタシも安心します」
十条ミツキ :
「あかりちゃん、さっき凄く強かったし」
天海あかり :
「あ、あはは……あの時はわたし以外に人がいると思って必死で……ちょっとやりすぎちゃったわね」 少し照れて
十条ミツキ :
「でも、お陰で助かりました。かっこよかったね、お母さん」 こよみに声をかけて
天海こよみ :
「うん!」 笑顔で即答する
天海あかり :
「も、もう。二人とも……」
天海あかり :
「だけど……そうね。クラッドカルトか……。その力のことはともかく、こよみがアイドルになるきっかけになったことだけは、一応感謝出来るかしら……」
天海あかり :
「色々と大変なことになっていてびっくりしたけど、ママと一緒に頑張りましょう。こよみ」
天海こよみ :
「……うん」 こくんと頷く
GM :
三人がそうして話していると、
GM :
くぅ……と、こよみが腹の音を小さく鳴らす。
天海こよみ :
「…………」 恥ずかしそうに両手でお腹をおさえる
十条ミツキ :
「わ……ふふ、そうだよね。海の家で食べたのもだいぶ前だし……」 そんなこよみの姿を見てくすくすと笑う
天海こよみ :
「う、うん……。ぼく、おなかすいちゃってたみたい……」 母との再会で喜んでいたから気づかなかったようだ
天海あかり :
「あらあら……。そうね、じゃあ何か食べましょうか」
十条ミツキ :
「何か……って、どうするんですか?」 首を傾げる
天海あかり :
「大丈夫。ちょっとついてきて?」 立ち上がり、カフェテリアの奥に向かう
天海こよみ :
「……?」 不思議そうに立つ
十条ミツキ :
「?」 あかりの後ろについていく
GM :
カウンターの奥には、棚や冷蔵庫が置かれていた。
GM :
あかりがそれらを開くと、中にはペットボトルに入った飲料水と、缶詰やパンなどの保存食が収められているのが見える。
この無人のカフェテリアに店員はいないが、最低限必要なものは用意されているようだった。
天海あかり :
「ほら、これ!」
十条ミツキ :
「わぁ……!すごい、こんなものがあるんだ!」
天海こよみ :
「びっくりした……!」
天海あかり :
「ねー。三人で分けても数日分は全然あるし、これを食べましょ?」 保存食を棚から取り出して
十条ミツキ :
「そうですね。……できれば、すぐに出ていきたいですけど……少し安心しました」
十条ミツキ :
「でも、普通の水族館ってこういうものが常備されているものなのかな……」
天海こよみ :
「……どうなんだろ……」
天海あかり :
「うーん、そこは疑問よね……。水族館のカフェで働いたことなんてないし……」
天海あかり :
「ちゃんと食べられるものだったし、深く考えてなかったな……」 未開封だし、と見せる
十条ミツキ :
「いや、罠だとかそうは思ってないですし、どちらにしろこれ以外食べられるものもないんですけど……それでも、少し不思議だなって」
十条ミツキ :
「もしかしたら、この施設の謎を解き明かすカギになるかも……なんて」 へへ、と小さく笑う
天海あかり :
「あら、探偵さんね?ミツキちゃん!」 楽しそうに笑う
天海こよみ :
「ふふっ……」
十条ミツキ :
「やめてくださいよ、もう」 手をひらひらさせながら、人数分の食料と水を手に持つ。
十条ミツキ :
「こんな素敵な場所で、しかも最高のアイドル2人と食べられるのは、結構楽しみです」
天海あかり :
「あらあら、そんな……元なのに」
天海こよみ :
「……ミツキちゃん、最高のアイドル二人って……もしかして、ぼくのこと……なの……?」
十条ミツキ :
「こよみ以外には誰もいないよ。あかりちゃんにこよみ、最高でしょ?」
天海こよみ :
「わっ、わぁ……!わぁ……!!」 嬉しさや照れくささで頬がみるみる内に赤くなっていって
天海こよみ :
「わぁ~……」 あかりにくっついて顔を隠してしまう
天海あかり :
「あら、まあ……」 微笑ましそうに見て
十条ミツキ :
「ふふっ、かわい~……」 久しぶりのような照れ姿に、思わず笑みがこぼれる
天海こよみ :
「もう……!ミツキちゃん~……」 ちらっとミツキを上目遣いで見上げながら
十条ミツキ :
「冗談……ではないよ~。本当に可愛いね、こよみは」 からかうように頭を撫でる
天海こよみ :
「ん、んぅ……」
天海こよみ :
「あ、ありがとう……ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「ぼく、自分では、まだ……最高のアイドルって、思えないけど……」
天海こよみ :
「ミツキちゃんがそう言ってくれるなら……がんばるね……」 頭を撫でられながら、恥ずかしそうに小さく笑みを見せる
十条ミツキ :
「うん。……頑張れ、こよみ。アタシもたくさん応援するよ」 こよみの頭から手を離し、一歩下がって微笑む
天海こよみ :
「……うん!」
GM :
三人はテーブルに戻って食事を摂る。
保存食の味は普通だが、これで空腹で動けなくなったり、戦えなくなるという心配はないだろう。
天海こよみ :
「ん……」
GM :
お腹も満たされて眠気が来たのか、こよみがうとうととし始める。
GM :
ミツキが自分のスマートフォンで時間を確認すると、もう十一時を回っていた。
外の景色が見えないから分からなかったが、もうかなりの時間が過ぎていたようだ。
十条ミツキ :
「わ、そうか……もうこんな時間なんだ」 確かに、自分自身も疲れが出始めていることを自覚する
十条ミツキ :
「こよみ。良かったら……そろそろ寝たらどうかな」
天海こよみ :
「うん……でも、どこでねよう……?」
天海あかり :
「あぁ、それなら……いい場所があるわ」
十条ミツキ :
「ゆ、床で寝るしかないかなって思ってた……あかりちゃん、何でも知ってる……」 驚きの表情
天海あかり :
「ここでは一日先輩ですから!ほら、あれあれ!」
GM :
あかりはカフェテリアの一角に配置された、ふかふかのソファ席を指差す。
十条ミツキ :
「(ここでは、と言わず色んな意味で先輩じゃないかな…)」 内心
十条ミツキ :
「でも……すごい、アレなら結構快適に眠れそう!」
天海こよみ :
「ほんとだぁ……」 目元を手の甲で擦って
天海あかり :
「でしょ?今日はあそこで休みましょっ」 再び立って、ソファ席の方へ向かう
十条ミツキ :
「良かった、人数分あるんだ……」 同じくソファへ向かう
GM :
ミツキ達はソファ席に腰かける。
GM :
ソファ席は、水族館の魚たちの優雅な泳ぎを眺めるための最適な場所でもあった。
水槽に浮かぶ様々な色とりどりの魚たちの姿がよく見えるだろう。
天海あかり :
「……そうだ、この方が楽よね」
GM :
あかりはそう言うと、《高濃度酸素バブル》を使用する。
GM :
あかりがフッと小さく息を吐くと、周囲の空気がうねって透明の泡を形成し、三人が座るソファ席全体を包み込む。
これは高濃度の酸素で満たされた空間を作り、疲労を回復したり、水中で呼吸が出来るようになるエフェクトだ。
GM :
ミツキは一気に体が楽になっていくのを感じるだろう。これなら毛布がなくても更に快適に眠れるかもしれない。
十条ミツキ :
「わ……す、すごい……!こんな力もあるんだ……!」 驚いたように泡をちょんと触る
十条ミツキ :
「これなら、明日にはすぐ元気になれそうだ!ありがとうございます、あかりちゃん!」
天海あかり :
「ふふっ、どういたしまして!」 えっへんと胸を張る
天海あかり :
「こよみはどう?眠れそうかしら?」
天海こよみ :
「うん……」 もう瞼が落ちてしまっている
天海こよみ :
「だけど……なんだか、ねるのがもったいないな……。もっとママといっしょにお話し、したい……」
天海あかり :
「あらあら……」 その様子にくすっと笑って
天海あかり :
「大丈夫。これからは、明日からもたくさんお話し出来るから。ね?」
天海こよみ :
「……ん……」
十条ミツキ :
「……おやすみ、こよみ。また明日ね」 小さく囁くように伝える
天海こよみ :
「……うん」
天海こよみ :
「おやすみなさい、ミツキちゃん……ママ……」
GM :
こよみはこてんと横になり、あかりの膝の上に頭を乗せる。
あかりがこよみの髪を優しく撫でると、彼女はあっという間に寝息を立て始めた。
天海あかり :
「……おやすみ、こよみ」
十条ミツキ :
その姿を、少し離れた距離から微笑んで見つめている
天海あかり :
「……ねえ、ミツキちゃん」
天海あかり :
「おやすみする前に、ちょっとだけ……いいかしら?」
十条ミツキ :
「アタシですか?もちろん……」 やや緊張した面持ちで頷く
天海あかり :
「ありがとう。ふふっ、別に緊張しなくても大丈夫よ」
天海あかり :
「あのね、わたしの勘違いなのかもしれないけれど……」
天海あかり :
「もしかして、ミツキちゃんも……アイドルなのかしら?」
十条ミツキ :
「……え?」 間の抜けた声で
十条ミツキ :
「アタシが……?ど、どうして……?」
天海あかり :
「最初に会った時、わたしの歌唱力や表現力を褒めてくれていたでしょう?」
天海あかり :
「尊敬してるって……そんな風に言うのは、ミツキちゃんが同じアイドルだからなのかな~……って思っちゃって」
天海あかり :
「もしかして、違ったかしら?」
十条ミツキ :
「ああ……」 納得したように声を漏らす
十条ミツキ :
「……いや、合ってます。正確には……元、ですけど」
天海あかり :
「わぁ、やっぱり!……って、元?」 ミツキの歳ならまだ現役でもおかしくないのに、と不思議そうに
十条ミツキ :
「ええ。……ちょっと、事情があって」 詳細については、色々な意味で話せない。曖昧にぼかして返す
天海あかり :
「……そっか。色々あるわよね」 ミツキの表情を見て、深く聞かない方が良いと思ったのか詮索はしない
天海あかり :
「あっ。こよみは知っているの?ミツキちゃんがアイドルやってたこと」
十条ミツキ :
「ありがとうございます。……あ、えっと、こよみは……知っている、というか」
十条ミツキ :
「……実は、アタシの現役時代のファンだったんです」 やや気まずそうに目を逸らす
天海あかり :
「え……!?こよみが、ミツキちゃんの……ファン……!?」 寝ているこよみを起こさないように、声を抑えながら驚く
十条ミツキ :
「じ……自分で言うのも、アレなんですけどね……」 あはは、とわざとらしく笑って
十条ミツキ :
「まだ小学生の頃から、アタシのライブに来てくれていたんです。それこそ、あかりちゃんが行方不明になった後くらいからのことなんですけど……」
天海あかり :
「そうだったの……!こよみが……」
天海あかり :
「え~……?でも、なんだかそれって妬けちゃうなぁ……!」
天海あかり :
「こよみはずっと、わたしが最推しだったのに~!ミツキちゃんに取られちゃった!」 口元を手で隠しながら、クスクス笑って
十条ミツキ :
「わ……ちょ、ちょっとそれは勘弁してくださいよ、アタシじゃあかりちゃんには敵わないのに……!」 流石に焦った様子で
天海あかり :
「ふふっ……!冗談よ、冗談!」 焦るミツキをおかしそうに見て
天海あかり :
「でも……そっか、そうだったのね……」 こよみの髪を撫でて
天海あかり :
「……ありがとう。ミツキちゃん」
十条ミツキ :
「そんな……アタシは、むしろこよみからは『貰って』ばかりなので」
天海あかり :
「ううん、そんなことはないはず。こよみはミツキちゃんからたくさん貰っているはずだわ」
天海あかり :
「わたし、ずっと心配だったの。一人にしてしまった、こよみのこと……」
天海あかり :
「こよみはわたし達がいなくなった寂しさや悲しさで、塞ぎ込んでしまっていると思っていた……。ううん、そういう時期もあったはず……」
天海あかり :
「だけど、こよみはこんなに元気に育ってくれていた……。それはきっと、ミツキちゃんがいてくれたからよ」
十条ミツキ :
「……それは……きっと、心配している通りだったと思います。あかりちゃん、そしてお父さんの存在は、それだけ大きかったはずですから」
十条ミツキ :
「それでも、こよみは本当に優しい子です。アタシは……ずっと傍で支えていた、おばあちゃんの存在が大きいと思っているんですけど」
十条ミツキ :
「それでも……もし、アタシが少しでも助けになっていたなら、嬉しいな……そう、思います」
十条ミツキ :
……昔のミツキであれば、自信満々に「だったら嬉しいです!」と返していただろう。だが……ミツキは、こよみを一度裏切った。そして、あかりには、今そのことは言えない。
天海あかり :
「うんっ。きっと……絶対に助けになってるはずよ」
天海あかり :
「おばあちゃん……わたしの母がついていてくれたのももちろん大きいと思う。だけど……」 自分の親にも心配や迷惑をかけちゃったな、と少し感じながら
天海あかり :
「それでも、こよみにとってミツキちゃんの存在は、わたし達に並ぶくらいに大きいと思うの」
天海あかり :
「再会してから、ミツキちゃんと話すこよみを見ていて、わたしはそう感じたわ」 ミツキに微笑みかける
十条ミツキ :
「そう……ですか?えへへ……あかりちゃんにそう言われるのは、何だか照れちゃいますね」 頭をかくようにして笑う
十条ミツキ :
「でも、アタシも、こよみの想いには真摯に答えていきたいと思っています」
天海あかり :
「うん、そうしてあげてっ」
天海あかり :
「ミツキちゃんには、これから先も……こよみの良いお友達でいてあげてほしいな」
天海あかり :
「この子には、あなたもきっと必要だから……」
十条ミツキ :
「……分かりました。こよみとも、約束しているので……この先もずっと、友人として支えていきたいです」
十条ミツキ :
「それに、今はこよみのグループのマネージャーで……アイドルとしてのこよみもサポートしていきます。アタシ、頑張るので」
天海あかり :
「あら~……!ミツキちゃん、マネージャーさんだったの……!?」 それは全然予想していなかった、と目を丸くする
十条ミツキ :
「あはは、実は……これもほとんど成り行きだったんですけどね。何せグループが人気になり始めているので忙しいですけど、結構楽しくやらせてもらってます」
天海あかり :
「そうだったのねえ……」
天海あかり :
「ふふっ、そっかそっか……!こんなかわいくて素敵なマネージャーさんがついてるなら、もっと安心ね!」
十条ミツキ :
「か、かわ……うーん……。でも、あかりちゃんが心配するような目に遭わせないよう、色んな意味でカバーしていきたいなと思います。任せてください」 前半で微妙な顔をしつつ、後半では力強く頷く
天海あかり :
「ええ!頼りにしているわ、ミツキちゃん……!」
十条ミツキ :
「……」 本件には色々な思いがあるが……しかし、こよみを大切にしたいという事には変わらない。今度は、小さく頷いた。
GM :
……そうして、ミツキはひと時の癒しと安らぎを感じながら眠りについた。
GM :
明日からはまた、水族館の探索が始まる。今夜交わした約束を守るためにも、三人無事に脱出しなければ……。
GM :
シーン終了。
GM :
ロイスの取得と感情変更が可能です。
十条ミツキ :
天海あかりにロイスを取得します!感情は☑尊敬/不安。アイドル、そして人間としての尊敬と、現在進行形で自分が裏切っているこよみの母であることへの不安(やましさ)です。
system :
[ 十条ミツキ ] ロイス : 2 → 3
GM :
了解です!複雑な感情だ…
Scene04 欺瞞のアイドル
GM :
翌日のシーンになります。
ミツキちゃん、登場侵蝕のダイスをお願いします。
十条ミツキ :
1d10+56(1D10+56) > 2[2]+56 > 58
水族館 通路
GM :
翌日。
ミツキはこよみとあかりと一緒に、水族館の探索を再開した。
GM :
しかし、やはり出口は見つけられない。
どこまでいっても、続くのは水槽を泳ぐ魚達だけ。
GM :
昨日遭遇した半魚人に鉢合わせることもなかった。
あかりの話では半魚人は複数体はいるはずで、まるで遭遇しないのはおかしい。
GM :
もしかしたら昨日倒した半魚人が最後だったのかもしれない……あかりはそう考察していた。
GM :
ただ時間だけが過ぎていくが、こよみはずっと楽しそうな様子だった。
ずっと離れ離れだった母親と一緒にいれて嬉しいのだろう。
GM :
こうして見ていると、水族館を満喫する幸せな親子そのものだ。
ミツキは自分達が閉じ込められていることを忘れてしまいそうだった。
GM :
────しかし、突如として、そんな空気は一変する。
天海こよみ :
「……あれ?」 こよみが突然立ち止まり、周囲を見渡して
天海こよみ :
「ママは?……ママがいない!」
GM :
こよみが焦ったように叫ぶ。
いつの間にか、あかりが姿を消していた。
彼女はついさっきまで、二人の後ろを歩いていたはずだった。
十条ミツキ :
「え……!?嘘……」 ミツキも同じく振り返り、目を見開く
十条ミツキ :
「あかりちゃん!……そんな、居なくなるにしては急だよ……気配も一切なかったのに!」 ミツキもまた声をかける
GM :
名前を呼んでも、返事はない。声が虚しく響いていくだけだ。
天海こよみ :
「ど……どうしよう、ミツキちゃん……っ」 不安そうにミツキの服の裾を握る
十条ミツキ :
「だ……大丈夫。きっとそんな遠くにはいないよ、すぐ見つかる。それに……あかりちゃん、強いし……」
十条ミツキ :
「……少し、探しに戻ろうか。はぐれないように、ちゃんと傍に居て」 そう言ってこよみの肩を抱き寄せる
天海こよみ :
「うん……」 ぎゅっとミツキの腕にしがみつくようにして
GM :
では、二人は来た道を戻ってあかりの姿を探す。
GM :
しかし、あかりは全く見つからない。気配すら感じなかった……。
天海こよみ :
「…………」 不安そうに顔を俯かせる
十条ミツキ :
「……大丈夫、大丈夫だから……」 呪文のように呟きながら、ただ懸命に探し続ける
天海こよみ :
「……うん……」
GM :
今、こよみとミツキが今いる通路の壁一面には、透明なガラスの水槽が並んでいる。
その中では様々な魚達が悠々と泳いでいる。そこに今まで変化はなかった。
GM :
しかし、その静寂な空間に突然、一瞬のノイズが走る。
水槽の表面に画質の悪い映像が流れ始め、魚達が泳ぐ姿が消えた。
十条ミツキ :
「……!?い、今……こよみ、見た?」 目を疑いながら、こよみに声をかける
天海こよみ :
「う、うん……今、何か……」
天海こよみ :
「ちがう……今も、映ってる……!」 水槽を指差す
十条ミツキ :
「え……?」 こよみの言葉を聞き、再度水槽を見る。
GM :
水槽に映るのは、二人の人間が路地裏を共に歩いている姿だった
GM :
一人は十条ミツキ。
そしてもう一人は、長身の男────いや、ミツキはその人物が男ではなく女性であることを知っている。
GM :
彼女はFHエージェント。コードネーム“アビシス”……梓シグレだ。
GM :
シグレがミツキを壁に追い詰め、彼女に顔を近づける。
だが、ミツキがそれを拒否した瞬間、映像が不自然に乱れ始めた。
GM :
……ミツキの脳が警鐘を鳴らす。
この映像の続きを、あの場所で起きたことを、全て鮮明に覚えているから。
十条ミツキ :
「……ッ」 声も出ないほどに息が詰まる。
十条ミツキ :
悪夢のようなその光景は、実際に夢で何度も見て来た。ミツキの逃げられない過去。人生の全てを奪われたあの日のこと。
十条ミツキ :
だが、今この光景を見せられているのは夢じゃない。……はずだ。視界が歪む。もはや何が現実なのか、分からない。
天海こよみ :
「……?ミツキちゃん……?」 ミツキの様子がおかしいことに戸惑う
十条ミツキ :
こよみの戸惑いに気付くが、それでも取り繕うことはできない。そして、こよみにこの映像を見せぬよう動くこともままならない。……それだけ、彼女にとってショックの大きい光景だということだ。
GM :
……そして、映像は再開される。
GM :
映像では、両者が言い争いをしている様子が続いていた。
会話の内容はあまり聞こえない。だが、もはや会話は不要だと思ったのだろう。
GM :
シグレの体から、エグザイルシンドロームの触手が複数伸び始める。
その異形の姿にミツキは恐れおののき、その場に尻餅をついた。
GM :
だが、触手がミツキに迫ったところで、画面外から別の人物達が乱入する。
いつの間にか路地裏には、大勢の人々が集まっていた。
天海こよみ :
「……あ」
GM :
こよみはすぐに気付いたらしい。
その乱入者達が全員、TOXiC blueのファンであることに。
GM :
彼らはまるで理性を失った獣のように、シグレに襲いかかる。
GM :
シグレは触手を自在に操り、乱入者達を容赦なくなぎ倒して殺害していくが、彼らの暴走は収まる気配がない。
天海こよみ :
「……ッ!」目を見開き、顔が恐怖で引きつる
GM :
その光景にミツキは後ずさりし、逃走するようにして画面外に消えていった。
GM :
そして、映像はそこで途切れた。
GM :
水槽の状態は元に戻り、今映った惨劇のことなど自分達には関係無いと言うかのように、魚達が自由に泳いでいる。
GM :
……これは、罪の記録だ。
GM :
逃れようの出来ないまま隠し続けていた、ミツキが犯した罪が今、何者かの手によって告発された。
十条ミツキ :
「……ハッ、ハッ……」 映像が止まり。ようやく呼吸することを思い出したかのように、荒い息を吐きながら後ずさりし……その場に、尻もちをつく。
十条ミツキ :
ミツキの顔面は蒼白となっており、水槽の青い光に照らされ、今にも消えてしまいそうだ。
天海こよみ :
「……!!み、ミツキちゃん……!?」
天海こよみ :
「だいじょうぶ!?ミツキちゃん……!!」 初めて見るミツキの姿に驚きつつも、咄嗟に膝をついて屈み彼女の手を握る
十条ミツキ :
「ち、ちが……そん、ぁ……」 首を横に振る。まともに口も回らない
十条ミツキ :
「やだ……こよみ、ごめん……ッ」
十条ミツキ :
思わずこよみの手を払う。こよみの手には、ミツキの手の……酷く震え、血の気が引いて冷たくなっていた感触だけが残る。
天海こよみ :
「……っ!!」 振り払われた手を見つめる。今まで感じたこともない、ミツキの冷たい手の感触に驚いて体が固まってしまう
天海こよみ :
「み……ミツキ、ちゃん……」
十条ミツキ :
「ッ……」 こよみの驚く姿を見て、しばらく忘れていた自己嫌悪が蘇る。アタシはやはり、理想の推しにはなれないのだ。
十条ミツキ :
「ッ、は……み……見た、でしょ。さっきの……映像……」
十条ミツキ :
「驚かせてごめん……でも、あれ。…全部、本当、なんだ……」
天海こよみ :
「本当、って……。う、うそ……」
天海こよみ :
「人が……みんなが、し……死んで……」 映像を思い出し、顔を青ざめさせる
十条ミツキ :
「そう…そう、なの。みんな……アタシのせいで死んだの。アタシが……ファンの、みんなをころ、ッ……!!」 口元を抑える。ストレスで胃液が濁流してくるのを、何とか飲み下す。
天海こよみ :
「ミツキちゃん……っ」
天海こよみ :
「ど、どうしてミツキちゃんのせいになるの……!?おかしいよ……だって、ミツキちゃんは何も……」
十条ミツキ :
「……こよみ」 言葉を遮る。
十条ミツキ :
「"クラッドカルト"の前の宿主はね……アタシ、だったんだ」
十条ミツキ :
2ヶ月前から言おう言おうとして飲み込んできた言葉が。ようやく今、最悪のタイミングとなってから、あっさりと出てきた。
天海こよみ :
「え……?」
天海こよみ :
「クラちゃんの……宿主、が……ミツキちゃん……?」 予想にもしなかった事実に、目を大きく見開く
十条ミツキ :
「そう。……クラちゃん、なんて可愛い呼び方は、アタシは絶対にしないけど」
十条ミツキ :
「あの映像はね。"クラッドカルト"の宿主が、注目を集めすぎた成れの果て。"クラッドカルト"に心酔した『狂信者(ファン)』は……ああして自我を失って、"クラッドカルト"の奴隷になってしまう」
十条ミツキ :
「アタシは……アタシが無知だったせいで、浮かれていたせいで……あんなにもたくさんの大切な人を殺してしまった……!!!」 悲痛な声で叫び、胸元をぎゅっと押さえる。
天海こよみ :
「そ、そんな…………」 苦しむミツキの姿に、胸の奥が締め付けられるように痛む
天海こよみ :
「で、でも……どうして、クラちゃ……」
天海こよみ :
「……クラッドカルトは、そんなこと……。あんなの、ぼく……見たことない……」 ミツキがその呼び方を嫌がっていることを考え、言い替えながら訊ねる
十条ミツキ :
「……それは。まだ、こよみが……世間から『見つかって』いないから。いわゆる地下アイドルだから、まだそれで済んでいるんだと思う」
十条ミツキ :
「でも、もしメジャーデビュー一歩手前になったら?その状態で、明らかな危機的状況に陥ったら?……その時、"それ"は間違いなく暴走する。そしてきっと、こよみの大切な人をモノみたいに扱う」
十条ミツキ :
「……こよみがプロデューサーに、アイドルにならないかって誘われた時。アタシ、止めようとしたんだ……覚えているかな」
天海こよみ :
「う、うん……覚えてる……」 震えそうになる体を抑えながら、静かに頷く
天海こよみ :
「そっか……じゃあ、あの時から、もう……」 本当は知っていたんだ、と気付く
十条ミツキ :
「……そう。知っていて…アタシは、止めなかった。アタシは……」
十条ミツキ :
「……この事を、こよみに隠そうとしていたから。出来ることなら一生」
天海こよみ :
「……それは」
天海こよみ :
「ぼくのために、ならないこと……だから……?」 約三ヶ月前、屋上で話した時のことを思い出す
十条ミツキ :
「……一番は、アタシのためだったと思う。本当にごめんなさい。でも……この話をすることは、やっぱりこよみのためにはならなかったと思う」
十条ミツキ :
「仲良くしていたファンたちのこともそうだけど……何より、こよみの抱いていたあの気持ちも」
十条ミツキ :
「……"クラッドカルト"によって作られたモノだったと思うから」
天海こよみ :
「……!?」
天海こよみ :
「え……?そ、そんな、でも、だって……」
天海こよみ :
「ま、まって……そんなの……。ミツキちゃん、クラッドカルトがミツキちゃんにとりついたのって……」 一体いつから、と震える瞳が訴える
十条ミツキ :
「……」 その瞳を見て、一瞬口を噤む。だが、もう逃げてはならない。
十条ミツキ :
「……恐らくは、アタシがデビューした直後から。こよみが出会った頃には……もう、アタシと『共に』居た」
天海こよみ :
「……!!そんな……」
天海こよみ :
「あの頃のぼく、オーヴァードじゃ……なかった……。それ、なら……ぼくは……クラッドカルトの力で……」 それ以上言えない。胸元をぎゅっと握りしめる
十条ミツキ :
「……アタシは、そう思っている。そして……ごめん、よく聞いて。『こよみのためにならない』というのは……そのことだけじゃない」
十条ミツキ :
「……今、こよみについているファン。恐らく、その何割かは……既に、"クラッドカルト"の影響を受けていると思う。最初から知っている分、ショックは小さいかもしれないけど……でも、アタシは」
十条ミツキ :
「……それを知った時、すごく傷ついた」 こよみの顔を見ることもできずに俯く
天海こよみ :
「……。ミツキちゃん……」 こよみもミツキの顔を見れず、目を伏せる
十条ミツキ :
「……こうなる事が、怖かったんだ。だから……アタシだけがそれを秘密にして、墓まで持っていけば良いって……"クラッドカルト"の暴走を止めれば良いって……」 ……そして、あるいは。秘密裏に動いていたことを察していたあの計画に乗って……"クラッドカルト"を抹殺すれば良いって。
十条ミツキ :
「……そう、思ってたのに。あぁ……なんでかなぁ。全部、台無しになっちゃった」
天海こよみ :
「……そんな……そんな、こと…………」
天海こよみ :
「ぼくは、いつか……ミツキちゃんがひみつを教えてくれる時は、少しでも気持ちが楽になれば、って……」 また、屋上での会話を思い出す。だが、あの時考えていたものとは状況が全く違っている
十条ミツキ :
「……もし、全部が解決すれば、何とかなる。次こそ気楽に話せるんじゃないかって……アタシもそう思っていた」
十条ミツキ :
「でも……苦しさが消えることはなかった。"らみぃどらいぶ!"を倒してからも、それはずっとだったから……」
天海こよみ :
「……………………」 考えを巡らせるように、目を閉じて
天海こよみ :
「……そう、だよね。苦しかったよね……ミツキちゃん……」
天海こよみ :
顔を上げて、ミツキを見る。その表情は、ミツキと同じように辛そうだ。
十条ミツキ :
「……ッ!!」 全てを吐露して幾分か冷静になったのか……こよみの顔を見て目を見開く。そのまま立ち上がって、こよみの手を今度はミツキから握る。
十条ミツキ :
「ご……ごめん、本当に。まだ、こよみには何も起きてないのに……こんな嫌な話、聞きたくなかったよね……」
天海こよみ :
「……ううん。色々、びっくりしたけど……」
天海こよみ :
「ぼく……聞けてよかった、って……思うよ」
十条ミツキ :
「え……?どう、して……」
天海こよみ :
「……だって、ずっと気になってたから」
天海こよみ :
「ぼくに何か大事なことをひみつにしてるミツキちゃん……きっと、つらいと思っていたから……」
十条ミツキ :
「……アタシが辛いと思って……?」
十条ミツキ :
「そんな……だ、だって、今の話を聞いて、あんな酷い姿を見たら……そんなこと、思えるわけ……」
天海こよみ :
「思ってるよ。今は、もっと……思ってる。だって……ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「いっぱいがんばって、人気になっていったのは自分の努力のおかげだってしんじてたのに……本当はクラッドカルトがとりついていたからだって、知って……」
天海こよみ :
「全部うそだったんだって、だれも本当の自分を見てくれてたわけじゃないって、好きなわけじゃなかったんだって、思って……」
天海こよみ :
「そんなの……苦しくて、とうぜんだよ……。辛かった、よね……今まで……」
十条ミツキ :
「………………なん、で」
十条ミツキ :
「どうして……そんな優しいこと、言えちゃうんだよ……」
十条ミツキ :
「やめて……同情、しないで。アタシは……こよみにそう言ってもらえるだけの人間じゃない」
十条ミツキ :
「焦って自暴自棄になって……あの日巻き込まれず、最後までアタシのオタクで居てくれた人まで、裏切ったんだよ。……こよみの……大切な一年まで、犠牲にした……」
十条ミツキ :
『大切な一年』。その言葉から、ミツキのセリフがあの炎上騒動と、やる気のない卒業ライブのことを指していることに気づくだろう。
天海こよみ :
「……そうだよ。そう……なんだよね……」
天海こよみ :
「ぼく、さいごまで……ミツキちゃんのオタク……だったよね……?」 静かに問いかける
十条ミツキ :
「……っ」
十条ミツキ :
「……その気持ちの起源が何だったかは、定かではないけど。こよみは最後まで……そして再会した時も、まだアタシのオタクでいてくれた」
十条ミツキ :
「それが救いで……それが……」 ……それが重荷だった
天海こよみ :
「うん……」
天海こよみ :
「ぼくが、ミツキちゃんが好きだった理由……クラッドカルトのせいじゃないって……言いきれない……」
天海こよみ :
「でも……でも、でもね。ぼく、今まで一度も……ミツキちゃんのこと、きらいになったりしなかったよ……」
天海こよみ :
「いっぱいいっぱい、悲しかったけど……。それでも、ミツキちゃんのことが大好き。みんなが他界した後も……ぼくがオーヴァードになった後でも……」
天海こよみ :
「だ、だから……っ。だからね……」 ミツキの手を握る両手に、少しずつ力が入る
天海こよみ :
「今、ぼくがミツキちゃんが好きなら……それじゃ、ダメかな……っ」
天海こよみ :
「ぼく、何千人にも何万人にもなれないけど……!一人でもミツキちゃんが大好きだって気持ちだけは、だれにも負けてない、から……!」
天海こよみ :
「だから、それじゃ……ダメかなぁ……っ!」
天海こよみ :
いつのまにか涙を流しながら、そう訴える。怖くて肩が小さく震えていた。
十条ミツキ :
「ッ……!」
十条ミツキ :
こよみの小さな手から伝わる、確かな力と温もりは……ミツキの、深海に沈んた頑なな心を救い上げる。
十条ミツキ :
「だ……」
十条ミツキ :
「駄目なんて……言うわけ、ないじゃんッ……!!」
十条ミツキ :
手を離し、こよみの小さな体をギュッと抱きしめる。ミツキもまた、大粒の涙を零し、涙ながらに叫ぶ。
十条ミツキ :
「アタシは……ずっと……こよみの気持ちすら裏切っていたんだね……本当に馬鹿だ……」
十条ミツキ :
「……もう、裏切らない。裏切りたくない。その気持ちは……本物の、はずだったのに……ッ」
十条ミツキ :
しばらく言葉を詰まらせてから、口を開く。
十条ミツキ :
「……こよみ、は。本当にいいの……?大好きだって言われても……アタシ、もうアイドルじゃないよ」
十条ミツキ :
「その気持ちの責任を取れるのか、アタシには……自信がないよ………」 言葉尻に向かうにつれて、声がどんどん弱気になっていく。
天海こよみ :
「ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「ふふっ……。もう、何……言ってるの……?」 優しく抱きしめ返して
天海こよみ :
「ぼく、もうミツキちゃんのオタクは……あの時卒業した、でしょ……?」
天海こよみ :
「アイドルのミツキちゃんも、アイドルじゃない……お友だちのミツキちゃんも……」
天海こよみ :
「どんなミツキちゃんも、ぼく……だいすきだよ……!!」 涙を流しながら、笑顔でそう伝える
十条ミツキ :
「……」 その笑顔を見て、ミツキはまた息が詰まる。……そう。過去に取り残された気になっているのは、もはや自分だけなのだ。
十条ミツキ :
『こよみは成長した』、とミツキはしきりに口にする。それは事実であって、少し違う。ただ、遠ざかる背を見つめ……ミツキ自身が、成長を諦めていた。
十条ミツキ :
でも。それもまた違う。こよみはいつだって、こうして傍に居てくれた。
十条ミツキ :
関係性の形を変えながらも、無償の愛情を注ぎ続けていたのだ。
十条ミツキ :
「……ごめん、そんなことを言わせて」 最初に出てきたのは謝罪の言葉。
十条ミツキ :
「……言わなくったって……これからは、ちゃんと大切にしていくから。こよみが向けてくれるその気持ちを……」
十条ミツキ :
「そして、アタシもまたこよみのことが大好きだって気持ちを……!」
十条ミツキ :
笑顔のこよみを、涙ながらに抱きしめる。
天海こよみ :
「……!」 その言葉を聞いて、胸の奥が大きく鼓動して
天海こよみ :
「うん……!うん……っ!!」 抱きしめ返す腕に少しだけ力が入る
十条ミツキ :
「……こよみには……本当に、辛い思いをさせたけど。アタシも……ちゃんと『卒業』しないとね」
十条ミツキ :
「こんな形で明かすことになるとは思ってなかったけど……これでようやく、胸を張って言える」
十条ミツキ :
「……ずっと、傍で支えるよ。これから何があっても……アタシは、キミのマネージャーであり、友達だ」
天海こよみ :
「ありがとう……ミツキちゃん……」 ミツキの温もりを感じながら、目を閉じて
天海こよみ :
「……ねえ、ミツキちゃん。それなら、ぼく……お願いがあるの。ミツキちゃんの、おともだちとして……」
十条ミツキ :
「……うん。聞かせて」
天海こよみ :
「……あのね。ミツキちゃんは、さっき自分のせいだって言ってたけど……」
天海こよみ :
「ぼく……ミツキちゃんは、わるくないと……思うの……」
十条ミツキ :
「え……?」
天海こよみ :
「だって、ミツキちゃんは何も知らなくて……クラッドカルトがやったこと……でしょ……?」
十条ミツキ :
「……でも……アタシが、自分の人気に少しでも『おかしい』と気づけていたら……こんな、取り返しのつかない事態に陥る前に何とかなったかも……」
天海こよみ :
「そんなの……分かるわけないよ」
天海こよみ :
「だってミツキちゃんは、もしクラッドカルトがなかったとしても……きっと、人気になってたと思うから……」
十条ミツキ :
「……それは……どう、だろう」 不安そうに呟く。過去、己の人気に対する自信にあふれていた彼女の姿を知るこよみにとって、今のミツキはとても小さく見える。
天海こよみ :
「…………」 そうは言ったが、こよみにも本当のところは分からない。もしもの話なんて、結局は願望でしかないのだから。少しだけ黙ってしまう。
天海こよみ :
「……それに、ね。じっさいに、みんなを……ころし、たのは……あの人、でしょ……?」
十条ミツキ :
「……それは……そう、だよ。あの人がやったことではある。でも、まず彼女に目を付けられなかったら、こうはならなかったし……」
十条ミツキ :
「……大切な人を殺されたのに、未だに、彼女のせいにし切れない。あの人も……きっと、事情があるんだ。ああなる前に、何度か『友達』として話していたから……それを知ってしまって」
十条ミツキ :
「……こんなことになる前に、やっぱりアタシには何かできたんじゃないかって……そう、思ってしまう。ごめんね、こんな話されても……こよみは、困るよね……」
天海こよみ :
「……こまる、と……いうか……」
天海こよみ :
「…………」 少しだけ、次の言葉を伝えるのに覚悟するように間を置いて
天海こよみ :
「ぼく……ミツキちゃんのこと、きらい……」
十条ミツキ :
「……」
十条ミツキ :
「……それは、どうして?」 少し、動揺しながらも……先程の『大好き』という言葉を信じて問う。
天海こよみ :
「ミツキちゃんが、ミツキちゃんのこと……いじめてる、から……」
天海こよみ :
「あの人にも、何かあるっていうの……ミツキちゃんがそう言うなら、しんじるよ……」
天海こよみ :
「だから、ぜんぶ……ほかのもののせいに、しなくていい……」
天海こよみ :
「だけど、だからって……ミツキちゃんばっかり、自分のことせめちゃうのは……ちがうよ……」
天海こよみ :
「ミツキちゃんでも、ミツキちゃんのこと、いじめちゃうの……ぼく、見たくない……」 目を閉じて、ぎゅっと抱きしめる手に力を入れて
天海こよみ :
「だから、おねがい……。もう、自分のせいって言うの……やめてほしいよ……」
十条ミツキ :
「……こよみのお願いって……もしかして、そのこと?」
天海こよみ :
「うん……。だめ……?」
十条ミツキ :
「ダメ……じゃ、ないけど……」
十条ミツキ :
こよみの肩に顎を乗せ、しばらく黙る。もちろん他責にしたい部分もたくさんあるが、根本的には自分が悪いと思い続けて一年以上だ。……それに、こよみはこう言うが、やはり自分の悪いところはあったはず。
十条ミツキ :
……それでも、こよみが辛いというのなら。
十条ミツキ :
「……わかった。もう、言わないよ」
十条ミツキ :
「アタシがするべきなのは……自分のせいだって蹲ることじゃなくて。あの時犠牲になったファンの皆を忘れずに、それでも前に進むこと……なんだよね」
天海こよみ :
「……!うん。きっと……そうだよ……」
天海こよみ :
「みんなも……かなしんでいるままのミツキちゃん、見たくないと……思う」
天海こよみ :
「もしぼくが、ぎせいになった側にいたら……そう思っちゃうな……」
十条ミツキ :
「……それ、冗談でも言わないで。アタシ……あの日の次の日、犠牲者の中にこよみがいるんじゃないかって本当に怖かったんだから」
十条ミツキ :
「でも……そう、なのかもね。もし何か恨み言があるなら……それは、またいつか本人に聞くことにしようかな……なんて」
天海こよみ :
「ご、ごめんなさい……もう言わないから……」 ちょっとしゅんとして反省する
十条ミツキ :
「良いよ。こよみが……アタシのためを思って言ってくれてることはわかっているから」
十条ミツキ :
「……ところで」
十条ミツキ :
「……お願いって……このことで良かったの?結局、こよみよりアタシのためのお願いって感じだけど……」
十条ミツキ :
そう、少し意地悪そうな調子で尋ねてくる。
天海こよみ :
「え……?だ、だって……。ほかにおねがいなんて……」
天海こよみ :
「……い、言ったら、聞いてくれるの……?」
十条ミツキ :
「それはもう、多少は?アタシ……ずっと不安だったから。今なら何でもしてあげたいくらいかも」
天海こよみ :
「え……え~……!」
天海こよみ :
「ミツキちゃんが……なんでも……」 目線を上に上げて、少し考えて
天海こよみ :
「……………………」
天海こよみ :
「……べ、べつに……いいの……っ。ほかには……」 抱きついて、何だか熱くなった顔を隠す
十条ミツキ :
「……え?こ、こよみ、今何考えた?」 ただならぬ様子に困惑した様子で尋ねる。
天海こよみ :
「何も……考えてないよ……!」 ぐりぐり顔をミツキの肩付近に押し付けて
十条ミツキ :
「うわっ…そ、そう?それにしては変だけど……」
天海こよみ :
「へ、へんじゃないもん……っ」 ちょっとむくれたような声で
天海こよみ :
「あ……。それより、ママ……!」
天海こよみ :
「ママのこと、さがしにいこう……!?きっと、どこかでまってる……!」 ミツキから離れて、手を繋ぐ
十条ミツキ :
「ん……そ、そうだね。早く探しに行かないとね……」 先ほどの投影も、こよみの態度も気になるが……あかりが心配なのもまた事実だ。
十条ミツキ :
「それじゃあ……行こうか、こよみ」 手を優しく握り返す
天海こよみ :
「……うん!」 ミツキの目を見つめて、穏やかに微笑む
GM :
そうして、二人は手を繋いで再びあかりを捜し始める。
GM :
十数分程、通路を戻っていき、そして……
GM :
通路の奥に、人影がゆらりと現れる。
その姿は、今までいなくなっていた天海あかりだった。
天海こよみ :
「……あ!」 立ち止まる
十条ミツキ :
「あかりちゃん……!」 思わず駆け寄ろうとするが……居なくなった理由から不可解だ。こよみの手を握り、制止する。
十条ミツキ :
「……どうしたんですか。探しましたよ……」 そう問いかけながら、ゆっくり歩み寄る。
天海あかり :
「……!」 こよみを見て、驚いたように立ち止まり
GM :
ミツキはこよみの手が、するりと離れることに気付く。
天海こよみ :
「ママ!!」
GM :
こよみは嬉しさからあかりにすぐに駆け寄っていってしまった。
そしてあかりの胸へと、小さな体をぽふんと飛び込ませる。
天海こよみ :
「ママ、どこに行ってたの……!?心配したんだよ……!」
天海あかり :
「……。こよみ……」 こよみを見下ろして
十条ミツキ :
「……!」 しまった、と思うが……もう遅い。それに……外見は、特に問題がなさそうだ。警戒し過ぎたのだろうか。
天海こよみ :
「はぁ……でも、よかった……ママ、ぶじでいてくれて……」
天海こよみ :
「…………」
天海こよみ :
「…………?」
GM :
そこで、こよみは違和感を覚える。
自分が抱きついているのに、あかりが抱きしめ返してくれない。
彼女の両腕は力無く垂れ下がっていた。
天海こよみ :
「ママ?」
GM :
不安に思い、あかりの顔を見上げる。
天海あかり :
「違う」
GM :
だが、こよみを見下ろすその目は……氷のように冷たかった。
GM :
あかりがこよみの体を突き飛ばす。
同時に、大気を摩擦する音が響いた。
天海こよみ :
「え」
GM :
ミツキは目撃する。
GM :
あかりの両手から放たれた衝撃波が、こよみの体を撃つ瞬間を。
そして、口から血を吐きながら、彼女が倒れ行く瞬間を。
天海あかり :
「お前は……こよみじゃない……っ!!」
GM :
────狂った母親の叫びが、水族館に反響する。
GM :
シーン終了。
GM :
ロイスの取得と感情変更が可能です。
十条ミツキ :
天海こよみの感情を、☑尽力→☑友情/嫉妬に変更します。
シーン4は以上で!
GM :
了解です!
Scene05 深海よりも深いもの
GM :
前回からそのまま続くシーンになります。
登場侵蝕のダイスをお願いします。
十条ミツキ :
1d10+58(1D10+58) > 8[8]+58 > 66
水族館 通路
天海こよみ :
「……マ……マ?」
GM :
こよみは一体何が起こったのか、何も理解出来ていないようだった。
悲鳴を上げることも、傷口を抑えることもせず、ただ信じられない目であかりのことを見上げている。
十条ミツキ :
「……ッ!こよみ!!」 その場から弾かれたように駆け出し、あかりからこよみを庇うように間に入る。
十条ミツキ :
「…どういうことですか、あかりちゃん!」
天海あかり :
「どういうこと……?それはこっちの台詞よ!」
天海あかり :
「何……?何なの?何なのよ、お前は……!」
天海あかり :
「誰!?誰なの!?本物のこよみはどこにいるのよ!?」
天海こよみ :
「ま……まま……?」
十条ミツキ :
「何言ってんだよ…!ここにいるこよみがあなたの娘じゃなかったら、どこにいるって言うわけ!?」
天海あかり :
「そんなのわたしが聞きたい!!」
天海こよみ :
「マ、ママ……っ。どうし、たの……。ぼく……こよみ、だ……よ……?」 息がうまく出来ない中、声を振り絞って
天海あかり :
「違う!違う違う違う!お前はこよみじゃない!だって、こよみはもっと小さいの!!」
天海あかり :
「あの子はまだ九歳なのよ……!?」
十条ミツキ :
「9歳……!?」 その言葉から察する。今のあかりの記憶は、彼女が失踪する以前のものになっているのかもしれない。
十条ミツキ :
「ッ…アンタの子どもだと認識出来なかったとしても……自分に駆け寄ってきた幼い子相手に攻撃するのはネジ飛んでるんじゃないかな……!」
十条ミツキ :
「しばらくはぐれた間に何があったんだよ!今のアンタは何を見て物を言ってる!?」 ポケットからMedusaを取り出し、プログラムコードを認証させる。
天海こよみ :
「……っ!や、やめて……ミツキ、ちゃん……」
天海こよみ :
「ママのこと、きず……つけちゃ……」
十条ミツキ :
「大丈夫、本気で戦うつもりはないよ。でも……あのあかりちゃんは絶対おかしい。それには気づいてるでしょ」 あかりの様子を伺いながら、後ろのこよみに問いかける
十条ミツキ :
「それに、こよみが怒らないなら……代わりに誰が怒るんだよ……!こんなこと、なあなあにして許されるわけないじゃん!!」
天海こよみ :
「…………っ」 何も言うことが出来ず、黙って俯く
天海あかり :
「また……またタチの悪い幻ばっかり……っ。もうこんなのうんざりよ……!」
天海あかり :
「やっと、やっと逃げ出すことが出来たのに……!家で、こよみが待ってるのに……!!」
天海あかり :
「お前らなんかに、こんなところで邪魔されてたまるか……!!!」
GM :
訳のわからない叫びを上げるあかりの周囲から風が吹き始め、彼女の髪を荒々しく乱れさせる。
レネゲイドの暴走か、もしくはそれ以外か。ミツキにはっきりと判断することが出来ない。
GM :
ただ、分かることは一つだけ。
GM :
今はあかりを止めなければ、彼女はこよみを殺してしまいかねないということだけだ。
十条ミツキ :
「こよみ。こんなところ、見たくないだろうけど……アタシは、こよみやあかりちゃんを失う方がよっぽどイヤだ」
十条ミツキ :
「下がって、あとは自分の身を守ることに専念して。いいね」
天海こよみ :
「ミツキ、ちゃん……」
GM :
こよみはまだ迷いのある瞳を揺らしながら、床を這って距離を取る……。
GM :
三人のオーヴァードしかいない水族館。
GM :
観客は、水槽の中で怯える魚達だけ。
GM :
十条ミツキと天海あかり、誰も望まない戦いが今、始まる……。
【行動値】
16 天海あかり
06 十条ミツキ
【初期配置】
天海あかり
|
(5m)
|
十条ミツキ
【勝利条件】
・天海あかりの撃破
【備考】
・天海こよみは戦意喪失しているため、戦闘には参加しない。攻撃の対象にもならない。
◆第一ラウンド
GM :
・セットアップ
GM :
エネミー側は何も無し。PC側もないので次のプロセスへ進めます。
GM :
・イニシアチブ
十条ミツキ :
アームブレードを装備します。
GM :
了解、装備できます。
GM :
行動値16、天海あかりのメインプロセス。
GM :
マイナーアクションはなし。
メジャーアクションで《サイレンの魔女》+《疾風迅雷》を使用
対象はミツキ。装甲無視の攻撃を行ないます。
GM :
10dx+10 命中(10DX10+10) > 9[2,2,2,4,5,5,5,6,8,9]+10 > 19
GM :
回らなかった、でも《疾風迅雷》の効果でドッジは不可になります。リアクションどうぞ。
十条ミツキ :
ワンチャン行けそうな値なのが悔しい、ガードで!
GM :
了解です、ではダメージ!
GM :
2d10+15 ダメージ(2D10+15) > 11[3,8]+15 > 26
GM :
26点!
十条ミツキ :
ガード値3なので-3させてもらって、23点貰います!
system :
[ 十条ミツキ ] HP : 77 → 54
GM :
こんなの全然耐えるミツキちゃんだ
天海あかり :
「────────ッ!!!」
GM :
あかりが金切り声を上げると、その声が空気中に広がって急速に振動する。
大気の震えは衝撃波を発生させ、不可視の波が水族館の通路を駆け巡った。
GM :
昨日、半魚人を葬り去ったのと同じハヌマーンシンドロームによる振動攻撃。
普通の人間なら簡単に吹っ飛ばす程の一撃が、周囲の水槽をひび割れさせながらミツキへと襲い掛かる。
十条ミツキ :
「……ッ!?」 ピシピシッと音を立てて水槽の割れが迫り、ミツキにどこに避けようが避けられないことを教え込む。瞬時にMedusaを展開し、口腕をクロスさせて攻撃を防ごうとする。
十条ミツキ :
「く……ぅ……!!」 だが、その攻撃はミツキ自身の脳や心臓すら震わせる。苦し気に目を閉じる
天海あかり :
「……!?」 今の一撃を耐えたことに驚き、目を見開く
十条ミツキ :
「……はぁ……良かった、肺活量は人並みってわけ……!」 声が止んだことで顔を上げ、ニヤリと笑う。
十条ミツキ :
「FHに何されたかわからないけど、まだこっちに帰って来られるんじゃないかって希望が見えて安心だな!」
天海あかり :
「何を言って……!!」
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値06、十条ミツキのメインプロセスです。行動をどうぞ。
十条ミツキ :
マイナーアクションで戦闘移動、あかりにエンゲージします。
十条ミツキ :
メジャーアクションで《コンセントレイト:ブラックドッグ》+《アタックプログラム》
対象はあかり。ガードした場合、アームブレードの効果でガード値-5となります。
GM :
了解です、命中判定どうぞ!
十条ミツキ :
6dx8+13(6DX8+13) > 10[2,2,4,5,8,8]+10[8,9]+10[1,8]+10[8]+2[2]+13 > 55
GM :
めっちゃ回ってる…!
十条ミツキ :
何か間違ってるか不安になったけどあってるっぽいです!念のため
GM :
了解了解
GM :
あかりは暴走状態なので、命中します。ダメージの方どうぞ
十条ミツキ :
6d+9+2d 2dは対抗種(6D10+9+2D10) > 35[5,8,9,5,4,4]+9+7[6,1] > 51
GM :
装甲値が3あるので、引いて48点のダメージ!まだ耐えます
system :
[ 十条ミツキ ] 侵蝕率 : 66 → 70
system :
[ 十条ミツキ ] HP : 54 → 51
十条ミツキ :
Medusaの口腕がガードの姿勢を解き、次はミツキの腕にぐるりと巻きつく。
十条ミツキ :
「あかりちゃん、こよみに言った通りまだ本気は出さないよ。でも……痛いから、歯ァ食い縛った方がいいよ……ッ!!」
十条ミツキ :
ミツキの足元の発電細胞がバチッ、と音を立てて弾け、直後。あかりの腹部に、いつの間にか肉薄していたミツキの拳が振り抜かれた。
天海あかり :
「……ッ!」
GM :
あかりが吐息を漏らして呻く。
GM :
体がよろめき、一歩、ニ歩と後ずさる。
天海あかり :
「お前、ェ……!!」
GM :
倒れそうになる体を支えながら、ミツキを睨む。その姿には、優しかったあかりの面影は全く見えない。
十条ミツキ :
「……あかりちゃんは『お前』とか言わないでしょ」 口腕を解き、腕を組んで眉を顰める。
十条ミツキ :
「気が済むまで付き合うよ、センパイ。でもその代わり、あとでこよみに謝ってもらうからね」
天海あかり :
「…………っ」
GM :
・クリンナップ
GM :
エネミー側、PC側どちらもないので飛ばして次のラウンドへ進みます。
◆第二ラウンド
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値16、天海あかりのメインプロセス。
GM :
マイナーアクションはなし。
メジャーアクションで《サイレンの魔女》+《疾風迅雷》
それにクリティカル値を下げる《パーフェクトサクセス》を加えて、ミツキを攻撃します。
GM :
10dx+10@7 命中(10DX7+10) > 10[2,3,3,3,4,5,6,8,10,10]+3[1,1,3]+10 > 23
GM :
出目がカス!!!!!
GM :
でも一応《疾風迅雷》の効果でドッジは不可になります。リアクションどうぞ。
十条ミツキ :
なんか逆じゃない?(出目) ガードで!-3
GM :
了解です、ではダメージ
GM :
3d10+15 ダメージ(3D10+15) > 16[4,8,4]+15 > 31
GM :
微妙!31点です
十条ミツキ :
期待値近くは出てるけど…!-3して28点もらいます
system :
[ 十条ミツキ ] HP : 51 → 23
天海あかり :
「うるさい……うるさいうるさいうるさい……!!!」
天海あかり :
「どうして……ッ!どうして倒れてくれないのよ……ッ!!」
天海あかり :
「わたしは早く、早くこよみに会わなくちゃ……」
天海あかり :
「本当のこよみを……迎えに行かなくちゃいけないのにィィィィィィィ!!!!」
GM :
あかりが自分の頭を両手で抱えながら絶叫する。
それは内側から割れそうになる脳を必死に抑えているようにも見えた。
その苦痛を表わすかのように、彼女の声は狂気に満ちていた。
GM :
そして、声と共に放たれた一撃が、通路の床を抉りながらミツキへと向かう。
だが、周囲の水槽は破壊されていない。これは振動の方向性を一点に集中させた衝撃波だ。
荒れ狂う不可視の波が、ミツキの体の中心を狙って一直線に疾走する。
十条ミツキ :
「ぐッ……!!」 先程よりも重い振動がミツキを襲う。全身が揺れ、骨がきしみ、胃酸が逆流する。
十条ミツキ :
だが、倒れはしない。声がやんだ時、青ざめながらもミツキは立っていた。
天海あかり :
「はぁ、はぁ……なんでよ……」 痛む喉を両手で抑えながら、ミツキを睨む
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値06、十条ミツキのメインプロセスです。行動をどうぞ。
十条ミツキ :
マイナーアクションはなし。
メジャーアクションで《コンセントレイト:ブラックドッグ》+《アタックプログラム》を使用。
対象はあかりです。
GM :
了解です、命中どうぞ
十条ミツキ :
6dx8+13(6DX8+13) > 10[1,3,8,8,9,10]+7[1,1,4,7]+13 > 30
GM :
あかりはまだ暴走中なので当たります。ダメージをどうぞ
十条ミツキ :
4d+9+2d(4D10+9+2D10) > 24[7,8,8,1]+9+10[8,2] > 43
GM :
40点受ける!
GM :
あかりのHPは60点なので、これで戦闘不能になります。
GM :
復活エフェクトはないのでこれで戦闘終了!
十条ミツキ :
ほっ……これでまた正気のあかりちゃんともふもふできるね!やったー!
GM :
やったー!もふもふしてください
GM :
では、侵蝕を上げて演出の方どうぞ
十条ミツキ :
本当にできるのか……?(疑心暗鬼) 了解!
system :
[ 十条ミツキ ] HP : 23 → 20
system :
[ 十条ミツキ ] 侵蝕率 : 70 → 74
十条ミツキ :
「なんでって、決まってるだろ…!」 ミツキは満身創痍のあかりに向かって飛び込み、2本の口腕であかりの華奢な体を抑え込んで強制的に向かい合う。
十条ミツキ :
「1つ目はこよみが苦しんでいるから!2つ目はアタシのほうが強いから!」
十条ミツキ :
「3つ目は……アンタが一番苦しそうだからだよ!目ェ覚ませ!!」
十条ミツキ :
気づくと残りの口腕が、ミツキの頭を守るように纏わりついてる。そのまま、ミツキは、
十条ミツキ :
あかりに向かって、思い切り頭突きをした。先程のあかりの声には及ばないが、あかりの脳もまた大きく揺れる。
天海あかり :
「ッ……!!アアア!!」
天海あかり :
鈍い音が響く。それと同時に、周囲の大気の震えが止んだ。
天海あかり :
「……あ、ぐ……うぅ……」
GM :
あかりの体がゆっくりと後ろへと倒れる。
GM :
彼女はそのまま、立ち上がる様子を見せない。ミツキはこの戦いが終わったことを確信するだろう。
十条ミツキ :
「ッつつ……うぁ~、頭痛い……てか体痛すぎ……」 Medusaを得たとはいえ、やはり戦闘が得意な方ではない。渋い表情を浮かべながら、あかりに歩み寄って近くにしゃがむ。
十条ミツキ :
「……」 半分心配、半分警戒で、あかりの様子を伺う。
天海あかり :
「う……うぅ……」 倒れたまま、小さくうめき声を上げる
天海こよみ :
「ママ……!」 慌てて、あかりへと駆け寄っていく
天海こよみ :
「ママ、だいじょうぶ……!?ねえ……っ!!」 あかりの傍に屈み、手を握る
天海あかり :
「……こよみ……」
天海あかり :
「ごめん、なさい……。だいじょうぶ……」 戦闘のダメージで辛そうだが、その声は元の穏やかなあかりに戻っている
十条ミツキ :
「あかりちゃん……!」 その声を聞き、安心したように武装を解く。
十条ミツキ :
「ごめんなさい、酷くしちゃって……えっと……」 何を言って何をすべきか混乱し、困ったような表情を浮かべる
天海あかり :
「いえ、いいの……。わたしを止めてくれて、ありがとう……」
十条ミツキ :
「それは当然です。……あの、ここにいるのも危ないし……一旦カフェの方戻りませんか?」
天海こよみ :
「……そうしよ、ママ……。ママもミツキちゃんも、体が……」 ミツキを心配そうに見上げて
十条ミツキ :
「アタシは大丈夫。さっきまで使ってた装備、ダメージをたくさん吸収してくれるんだ」 本当はやや体が痛むが、強気に笑って見せる
十条ミツキ :
「でも、あかりちゃんが心配だから……戻ろうか。こよみの怪我も治さないとね」 心配してくるこよみとて傷ついている。いち早く戻る必要があるだろう
天海こよみ :
「……うん。わかった」 ミツキを見る目は心配そうだが、その提案に従う
天海あかり :
「そう、ね……」
GM :
あかりは完全に正気を取り戻したようだった。
GM :
だが、ミツキは気付いてしまう。
GM :
────あかりの体が、足先から少しずつ……墨のような黒い液体になって溶けていっていることに。
十条ミツキ :
「……ッ!!」
十条ミツキ :
「(何、これ……)」 戸惑うが、ここで口に出しても余計混乱させるだけだ。口を噤む。
十条ミツキ :
「……こよみ。こよみが後ろ歩くと、アタシの視界に入らなくて不安だし……前、歩いてくれないかな?」
十条ミツキ :
「あかりちゃんのことはアタシが背負うから……いい?」
天海こよみ :
「え?うん……」 そう言って、あかりを見て
天海こよみ :
「……!!」
GM :
……だが、あかりの液状化は急速に進んでいた。反対側にいたこよみが見て、すぐに気付いてしまうほどに。
GM :
更に、溶けた体はすぐに蒸発して消えていっている。
GM :
このままでは、もう間もなくあかりの体は完全に消滅するだろう。
十条ミツキ :
「……」 誤魔化そうにも、これは無理がある。それに……
十条ミツキ :
「……あかりちゃん。これ、どういうこと……?」 ……ミツキ自身もまた、これが何なのかを理解していない
天海こよみ :
「ま、ママ……体、が……」
天海あかり :
「…………」 自身の異変に気付き、目を少し開いて
天海あかり :
「あぁ……そうか。そうだったのね……」
天海こよみ :
「み、ミツキちゃん……。こ、これって……このままじゃ……死ん……」 声を震わせて
十条ミツキ :
「……アタシもわからない」
十条ミツキ :
「あかりちゃん。……アタシが、攻撃したから?ごめんなさい、教えて……何が、起きているの……!?」 こよみの前だが、動揺を隠せずにあかりに尋ねる。
天海あかり :
「……落ち着いて、こよみ、ミツキちゃん……」
天海あかり :
「違うの、ミツキちゃんが攻撃したから、じゃない……」
天海あかり :
「本当は……」
天海あかり :
「もうすでに、わたしは……死んでいたのよ……」
天海こよみ :
「……!?」
十条ミツキ :
「……!? そ、それって……どういう、意味……?」
天海こよみ :
「そ、そうだよ……いみがわからないよ、ママ……っ」
天海あかり :
「わたしは、四年前……」
天海あかり :
「FHの施設から、脱走した後……」
天海あかり :
「追っ手のエージェントに……殺されたの」
十条ミツキ :
「……!」 先程の発言、鬼神のような態度がフラッシュバックする。アレはまさか、エージェントに追われていた時の……
十条ミツキ :
「そ、そんな……4年も、前に……?」
天海あかり :
「…………」 小さく頷いて
天海こよみ :
「何言ってるか、ぜんぜんわからないよ……」
天海こよみ :
「ママ、今……生きてるよ……!?死んでないよ……!!」
天海こよみ :
「それとも、こ、ここが……天国だって、いうの……!?ねえ……!!」 あかりの言葉に耐えきれなくなり、涙が溢れ出してくる
天海あかり :
「……多分、わたしは……誰かの力で……」
天海あかり :
「死体を動かされてたんだと、思う……」
十条ミツキ :
「で……でも!今、こうして話しているじゃん……こよみと再会した時も、大きくなったって言ってたじゃん……!」
十条ミツキ :
「生きてるって何……?あかりちゃん、さっきまで全然そんな感じじゃなかったじゃん……アタシも理解できないよ、そんなこと……」 首をいやと横に振る
天海あかり :
「…………」 悲しそうに目を伏せる。否定することが出来ない。
天海あかり :
「……そうね、大きくなったわよ、ね……。わたしがいない、間に……こんなに……」 ただ言えるのは、こよみのことだけ
天海あかり :
「こよみ、ごめんね……。一緒にいてあげられなくて……」
天海こよみ :
「や、やめて……そんなこと言わないで、ママ……っ」 あかりの頬に涙の雫が落ちていく
天海こよみ :
「やっと、やっと会えたのに……!一緒にいてよ……!おねがい、おねがいだから……っ」
天海あかり :
「……ごめんね……それはもう、無理なの……」
天海こよみ :
「……っ、ぼ、ぼく……アイドルになったんだよ……!ずっとなりたかったの、夢だったの……知ってるでしょ……?」
天海こよみ :
「ぼく、ママみたいなアイドルになりたくて……っ。も、もうライブもやってるし、おうえんしてくれてる人達もいるんだよ……」
天海こよみ :
「だから、ママも……見に来てよ……。きのう、やくそく……したでしょ……?」
天海こよみ :
「だから、だから……っ」
天海あかり :
「……。そうね……見たかったな……」
天海あかり :
「アイドルしてるこよみは……きっと、とてもかわいくて……素敵なんでしょうね……」
天海こよみ :
「…………っ」 何も言えなくなる。ただ、溶けていくあかりの手を握りしめることしか出来ない
天海あかり :
「……ミツキちゃん」 ミツキに目を向けて
十条ミツキ :
「……はい」 返事とともに、動揺を隠しきれずに睫毛が揺れる。
天海あかり :
「きっといつか、この体は限界を迎えていた……そう遠くない内に……」
天海あかり :
「だから、ミツキちゃん……あなたのせいじゃない。いい……?あなたが殺したわけじゃないわ……」 安心させるように、笑いかける
十条ミツキ :
「……ッ!!」 己の心の内を見透かしたような発言に、息が詰まる。
十条ミツキ :
「……あ、アタシ……違う、そんな言葉が聞きたかったわけじゃ……許されたいわけじゃない……!」
十条ミツキ :
「今のあなたの時間を奪うつもりは……ない、ですから。それより、こよみともっと一緒に……」 不可能であることを悟りながら、涙ぐんだ声で首を横に振る
天海あかり :
「……ごめんね」
天海あかり :
「わたしはもう一緒にいれない……だから、ミツキちゃん……」
天海あかり :
「わたしの代わりになって、なんて……言わない。ただ、ミツキちゃんは……これからも、こよみと一緒にいてあげて……?」
天海あかり :
「……勝手なお願い、かしら」 困ったように、小さく笑みを浮かべる
十条ミツキ :
「……」 その笑みを見て、ミツキは心の奥がズキリと痛む。
十条ミツキ :
こよみは大切な存在だ。共に居ることも誓った。もう隠し事もない……
……いや、それは嘘だ。
十条ミツキ :
ミツキの胸の占める、正体不明の黒い感情。こよみが幸せそうにすると疼く傷。自分は卑怯で、嘘つきで、弱虫で。そんな自分が、あかりの……こよみを誰より大切に思っていた人の代わりに傍にいる、だなんて。
十条ミツキ :
「(……それは、無理だよ。アタシの代わりに、あなたが居てくれたら…)」 そんな言葉が出かかる。だが、自分は嘘つきだから。
十条ミツキ :
「……勿論、です。アタシは……こよみと、ずっと居ますから。だから…大丈夫です」
十条ミツキ :
また、嘘を重ねた。
天海あかり :
「……ありがとう、ミツキちゃん」 その嘘を見破っていたのか、そうでないのか。彼女の笑顔からは計れない
天海こよみ :
「…………」
天海あかり :
「……こよみ」
天海あかり :
「こんな形だったけど……最期にまた、あなたに会えて良かった……」
天海こよみ :
「ママ……」
天海あかり :
「ママはもう、傍にいれないけれど……」
天海あかり :
「どうか、元気でいてね……」
天海あかり :
「……いつまでも、大好きよ」
天海あかり :
「こよみ────」
GM :
それがあかりの最期の言葉だった。
GM :
彼女の微笑みは黒く染まって溶けていき……やがて、跡形もなく消滅する。
天海こよみ :
「……ママ」
天海こよみ :
「あ……あぁ……」
天海こよみ :
「うあぁぁぁぁぁぁ…………っ!!!」
GM :
母を失った娘は、哀しみの海に溺れるように咽び泣く。
GM :
溢れ出る涙は顔を覆った両手だけでは抑えきれず、いつまでも床に零れ落ちていった。
十条ミツキ :
「……」
十条ミツキ :
目を伏せ、自分もしゃがむと…こよみの肩を抱きよせる。
十条ミツキ :
「嫌だったらごめん。でも……アタシは、傍に居るよ」
十条ミツキ :
「だから、無理しないで。たくさん泣いて、いいんだよ…」
天海こよみ :
「……!ミツキ、ちゃん……」 涙で溢れた目で、ミツキを見る
天海こよみ :
「……ミツキちゃん……ミツキちゃんは……」
天海こよみ :
「そばに、いるの……?」
十条ミツキ :
「……あかりちゃんにも……お願いされたことだからね」
十条ミツキ :
しばらく黙った後、再度口を開く。
十条ミツキ :
「……もしも、こよみがそれを望んでくれるのなら、アタシは傍に居たい。そう思うよ」
天海こよみ :
「…………」
天海こよみ :
「……いっしょにいて」
天海こよみ :
「おねがい、ミツキちゃん……いっしょにいて……っ」
天海こよみ :
「ミツキちゃんは……どこにも、いかないで……!!」 ミツキに縋り付くように抱きしめ、顔を胸に埋める
十条ミツキ :
「……ッ!」
十条ミツキ :
その余りにも必死と言える姿に、胸が酷く痛む。年下の子に、自分の大切な人にここまで懇願させる自分は一体何なのだと。
十条ミツキ :
「……ごめんね」 このような事を言わせてしまったこと、己への期待に答えられるか分からないこと、それらがない混ぜとなって思わずその言葉が出る。
十条ミツキ :
「大丈夫だよ…どこにも行かないよ。こよみのこと、アタシも心配だよ……」 抱き返し、頭を撫でる
天海こよみ :
「……うん……うん」 抱きしめる手に弱く力が入る
天海こよみ :
「あり、がと……ミツキ、ちゃ……」 肩が小さく震え、また涙が止まらなくなる
十条ミツキ :
「ううん。……大丈夫。大丈夫だから、ね」 言い聞かせるように頭を撫で、こよみが泣き止むまでそうしている。
天海こよみ :
「……っ!!」
天海こよみ :
涙とともに、声にならない叫びが水族館に響く。
天海こよみ :
絶望の声は、永遠にも思えるほど長く、いつまでも続いた……。
GM :
シーン終了。
GM :
ロイスの取得と感情変更が可能です。
十条ミツキ :
天海あかりのロイスの感情を遺志/☑︎悔悟に変更します。Nです。
GM :
了解です
GM :
それと、ここでミツキちゃんは任意で自分のHPを好きな数値まで回復することが出来ます。
いつもは応急手当キットとかで回復してるけど、今回は状況的に購入判定も出来ないので。
次のシーンが始まるまでの間に、オーヴァードの修復能力が機能して徐々に傷が治っていったって感じだと思ってください。
十条ミツキ :
な、何その介護システム!?!?ありがたすぎる
GM :
介護システムです!PC一人で購入も出来ないのは辛いからね
GM :
どうするかしら?
十条ミツキ :
全回復しておこうかな…!まだ雷鳴の申し子使わないと思うし、そこまで減らしとくメリットもなさそうだし
GM :
堅実!では全回復させてください!
system :
[ 十条ミツキ ] HP : 20 → 77
十条ミツキ :
ありがたすぎシステムに、感謝
GM :
では次にいきましょう
Scene06 深海よりも暗いもの
GM :
探索を中止して、安全なカフェテリアに一旦帰ってきたシーンになります。
ミツキちゃん、登場侵蝕のダイスをお願いします。
十条ミツキ :
1d10+74(1D10+74) > 5[5]+74 > 79
水族館 カフェテリア
GM :
ミツキはこよみを連れて、カフェテリアに戻ってきた。
GM :
こよみは椅子に座り、虚ろな目で自分の膝を見つめている。
泣き止んでいるが、彼女の心は今も絶望に沈んだままだ。
十条ミツキ :
「……」 ミツキもまたかける言葉が見当たらない。だが、こよみを放置することもまたできなかった。席から立ち上がり、冷蔵庫から水を取ってくる。
十条ミツキ :
「……少し、楽になるかもしれないから。良かったら、飲んでね」 こよみにそう声をかけ、目の前のテーブルに置く。
天海こよみ :
「ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「……。うん」
天海こよみ :
素直に、水を一口飲む。
十条ミツキ :
「……」 小さく頷き、安心させるように微笑みかけてから対面の椅子に座る。
十条ミツキ :
こよみが口を開くまで、黙ってそばに居るつもりのようだ。
天海こよみ :
「…………」 それからしばらくの間、静かに座って
天海こよみ :
「……あのね、ミツキちゃん」 小さな声で話しかける
十条ミツキ :
「…うん」 頷く。
天海こよみ :
「ぼく、ね。実は、ママのこと……」
天海こよみ :
「もう死んでるのかも、って……。昔、思ったこと、あるんだ……」
十条ミツキ :
「……ずっと、帰って来なかったもんね」
天海こよみ :
「うん……」
天海こよみ :
「ママとパパが、五年もぼくをほうって帰ってこない、なんて……」
天海こよみ :
「そうとしか、思えなくなったり……してたの……」
十条ミツキ :
「…うん。アタシも話していてわかったもん…こよみのこと、本当に大切に思っていたこと。こんな素敵なお母さんが、こよみのことを放っておくわけないって」
天海こよみ :
「……うん」
天海こよみ :
「だから……この水族館でママと会えて、本当にうれしかった……。でも……」
天海こよみ :
「けっきょく、本当は……死んでいて……。あんなことに、なって……」
天海こよみ :
「ママは、さいごにぼくと会えてよかった、って……言ってたけど……」
天海こよみ :
「ぼく、わかんないよ……。こんなかなしい気持ちになるくらいなら、会わなかったほうが……」
GM :
その次の言葉は出ない。また、涙が静かに流れてきたからだ。
十条ミツキ :
「……そう思う気持ちも、あるよね」 静かに肯定する。
十条ミツキ :
「知らない方が良かったと思ってしまう『幸せ』は、確かにあるよ。……こよみは、間違っていない」
十条ミツキ :
「だから、その気持ちは否定しない。……でもね」
十条ミツキ :
「……あかりちゃんが……お母さんが、『会えてよかった』と言った言葉だけは、疑わないでほしい。大好きな娘に、あんな嘘をつくわけなんてないから」
十条ミツキ :
「こよみがどう受け取るかは、こよみ次第だけど…」 そう言って、ハンカチを差し出す。
天海こよみ :
「…………」 ハンカチを見つめてから、ゆっくり受け取る
天海こよみ :
「……うん」
天海こよみ :
「ママが言ったこと……うそなんて、思ってない……」
天海こよみ :
「思うわけ、ないよ……」 目元にハンカチを押し当てる
十条ミツキ :
「……そうだよね」
十条ミツキ :
「それなら……少なくとも、お母さんは会えて嬉しかったと本当に思ってくれているということも、わかっているはず」
十条ミツキ :
「こよみにとっては、辛い思い出になったかもしれないけど……お母さんは……あの時間を幸せだと感じていたんだ。それもまた、事実だよ」
天海こよみ :
「…………」
天海こよみ :
「そう……だね……」 小さく頷く
十条ミツキ :
「……うん」 頷き返す。
十条ミツキ :
「こよみにとって、自分ごとの『幸せ』だと思う必要はないけど。意味があったことだということだけは分かって欲しかったから……ごめんね、余計なことを言って」
天海こよみ :
「……ううん。よけいなことなんて、思ってない……」
天海こよみ :
「ごめんね、ミツキちゃん……」
十条ミツキ :
「こよみが謝ることはないよ。……無理だけはしないでね」
天海こよみ :
「ん……」 また頷く
GM :
カフェテリアにまた静寂が戻る……その時だった。
??? :
「……ミ」
??? :
「コヨ、ミ……」
GM :
突然、どこからかこよみの名を呼ぶ声が聞こえるだろう。
十条ミツキ :
「……ッ!?」 その歪な声を聞き、ガタッと席から立ち上がる。この場には、自分とこよみしか居ないはずだ。
天海こよみ :
「……?ミツキちゃん?」 ミツキに呼ばれたのかと思い、そちらを見上げている
??? :
「コヨミ……」
GM :
こよみを呼ぶ声は、彼女のすぐ傍からしていた。
声は少しずつ大きくなって、はっきりと聴こえてくる。
??? :
「────コヨミ」
GM :
その時、突風が吹いた。
窓のない水族館を吹き抜ける風は、ミツキ達の髪や服を激しく揺らし、二人は一瞬目を閉じる。
十条ミツキ :
「うっ……!」 生理的な反射で目を閉じる。だが、声はすぐ傍からした。明らかに危険な状態であることを察する。
GM :
そして、次に瞼を開けた時、目の前には驚くべき光景が広がっていた。
GM :
……そこには、天海こよみとそっくりの少女が立っていた。
GM :
髪の色、瞳の色、身長、服装まで、こよみの姿が鏡に映し出されたかのようだった。
天海こよみ :
「え……!?」
十条ミツキ :
「こ……こよみが、2人……!?」
十条ミツキ :
「って、そんなわけ……!こよみ、離れて!」 たった今出現した少女ではなく、こよみの腕を引いて自分の後ろに隠す。
天海こよみ :
「わ……っ」 引っ張られるが、その目はもう一人のこよみを見たまま
??? :
「…………」
??? :
「コヨミ……」 口を開き、
??? :
「泣カナイ……デ……」
??? :
「悲シ、イ……コヨミ……泣クノ……」 どこか無機質でぎこちない口調でそう言いながら、こよみを見る。
天海こよみ :
「……!?」
十条ミツキ :
「なっ……」 発言に耳を疑う。
天海こよみ :
「…………」 驚きながらも、もう一人の自分をじっと見つめ
天海こよみ :
「……あなた、もしかして」
天海こよみ :
「……クラちゃん……?」 理屈のない直感に従い、その名を呼ぶ
十条ミツキ :
「……!?クラちゃん、って……"クラッドカルト"……!?」
??? :
「…………」
??? :
「ウ、ン……」
??? :
「クラッド、カルト……」
??? :
「コヨミ、ノ……トモダチ……」
天海こよみ :
「わ、わ……あ……?そ、そんな……」 自分で言ったにも関わらず、信じられない様子で口をぱくぱくさせてる
十条ミツキ :
「……な…」 とてもではないが信じられない。けど……
十条ミツキ :
「……こよみがそう思うなら……その可能性は高いよね。なんか……自称してるし」
十条ミツキ :
「……友達ねぇ」
天海こよみ :
「うん……。あ、あれ?でも……」
天海こよみ :
「どうしてしゃべれるようになってるの……?それに、あなたがクラちゃんなら、じゃあ今は……ぼくの中から出てきてるってこと……?」
クラッドカルト :
「…………」 何も答えず、ぼんやりとこよみを見ている
十条ミツキ :
「……多分、こ……の子自身、分かってないんだよ。調査結果によると、知能とか考える力はほとんどないって話だし」 こいつ、と言いかけるが、こよみの姿をとっていることで自重したようだ。
十条ミツキ :
「……攻撃したら容赦しないけど、今その気はなさそうだね」
天海こよみ :
「あ……そっか。赤ちゃんみたいな、もの……なんだっけ……」
天海こよみ :
「え、えっと、じゃあ……どうしよう……?」
十条ミツキ :
「……うーん」 一人なら、おそらく好機と思い……『駆除』するまである。だが…
十条ミツキ :
「……アンタ、どういうつもり。今は何考えてるの」 こよみが見ている。ひとまず、意思疎通を図る。
クラッドカルト :
「…………」 ぎこちない動作でミツキの方に顔を向ける。
GM :
と、その時。
GM :
突然、クラッドカルトの姿が消失する。
GM :
まるで霧が一気に晴れたかのように……そこには何もいなくなった。
十条ミツキ :
「……あ」 思わず呆気にとられる
十条ミツキ :
「あれ……嘘。幻覚でも見てた……?」
天海こよみ :
「え……っ!?そ、そんなわけないよ……!!」
天海こよみ :
「ク……クラちゃん?どこ……!?クラちゃーん……!?」
GM :
こよみは周囲を見渡したり、テーブルの下を覗き込んだりしている。
GM :
が、どこにもクラッドカルトの姿はなかった。
十条ミツキ :
「こよみも覚えてるなら……やっぱり、居たんだ。でも……」 同じく周囲を見渡して
十条ミツキ :
「……この感じだと、きっとこよみの中に戻ったんだね」
天海こよみ :
「そう……なの?」 感覚としてはあまり分からないらしい。不思議そうに胸元に手を当てている
十条ミツキ :
「そういう、調子のいい奴なんだよ。自分に不都合になったりしたらすぐ居なくなるんだから」
十条ミツキ :
「……何しに来たのかは……よくわからない、けど」
天海こよみ :
「そう……なのかな……?」
天海こよみ :
「なんだかぼくのこと、心配して……くれてた、みたい……だけど……」
十条ミツキ :
「……」 ただ同調して、誰かの言葉を繰り返しているだけ。そう言いかけるが……あれは、この場にいる者から出た思考ではなかった。はずだ。
十条ミツキ :
「……心配しているんなら……もっとちゃんとフォローしろって思うけどな。よくわからないタイミングでいなくなっちゃってさ……」
天海こよみ :
「う、うーん……」 それもそう、と考え込む
天海こよみ :
「本当に、どうしたんだろう……。今までこんなこと、なかったのに……」
十条ミツキ :
「……憶測だけど。もしかして……この水族館が、特別だったりするんじゃないかな」
天海こよみ :
「水族館が……?とくべつ……?」
十条ミツキ :
「"クラッドカルト"は実体を持たないレネゲイドビーイングのはず。それが、あんな姿を持ってしゃべりだすなんて……普通じゃない」
十条ミツキ :
「いつまでも出口がない迷路のような水族館、水槽に映し出されたアタシしか知らない光景、それに……もう昔に亡くなったはずの、あかりちゃん」
十条ミツキ :
「全部全部、非現実的だ。こよみとアタシだけが、現実から弾き出されてしまったみたいに……」
天海こよみ :
「……そうだね。なんだかずっと、ありえないことばかり……」
天海こよみ :
「……。ママ……」 小さく呟く
GM :
未だ何も分からず、謎が謎を呼ぶ水族館。
GM :
どうすることも出来ない二人が立ち尽くしていた、その時だった。
GM :
カフェテリアの外から、一人分の足音が聴こえてくる。
半魚人のような濡れた音ではない。人間が鳴らす靴の音だ。
GM :
足音は少しずつ大きくなる。こちらへと近づいて来ているようだった。
十条ミツキ :
「……!今日は随分来客が多いね……」
十条ミツキ :
「こよみ。足音、聞こえる?」
天海こよみ :
「……うん」 ミツキの服の裾を不安そうに握る
十条ミツキ :
「わかった。気を付けて。誰が来ても、飛び出しちゃダメだからね」 Medusaを取り出し、敵が来ても良いように備える。
天海こよみ :
「わ……わかった……」 警戒しながら、カフェテリアの外を見る
GM :
足音は確実に近づいてくる。その歩みのリズムは、喜びを表すかのようにどこか軽やかだった。
GM :
そしてやがて、その正体が姿を現す。
五十嵐タクミ :
「よ。邪魔するで」
GM :
────五十嵐タクミ。
こよみとミツキをこの水族館に閉じ込めた張本人だ。
GM :
彼はカフェテリアの中央で立ち止まると、場違いな微笑みを二人に向ける。
十条ミツキ :
「……どうも、出しゃばりさん。よくもノコノコとやってきてくれたね」 多少予想していたのか、落ち着いた様子で五十嵐を見返す。
天海こよみ :
「あなた、は……」 ミツキの袖を掴む手に力が入って
五十嵐タクミ :
「なんやなんや、えらいピリピリしてるやん」
五十嵐タクミ :
「なんか嫌なことでもあったんか?ん?」 挑発するような笑みを浮かべる
十条ミツキ :
「おかげさまでね」 小さく息を吐いて気持ちを落ち着ける
十条ミツキ :
「……ぶっちゃけ、どこからどこまでアンタの仕業なんだよ。おしゃべりしたくなったから来たんでしょ」
五十嵐タクミ :
「いやいや、何言うてんねん」
五十嵐タクミ :
「俺はただ、祝福しに来ただけやで?」
天海こよみ :
「……?」
天海こよみ :
「何を……?」
五十嵐タクミ :
「もちろん、そいつのこと」 こよみを見る。否、正確にはこよみの中にいるもう一人を彼は見ている
五十嵐タクミ :
「おめでとう、クラッドカルト!自分はついに、知性を手に入れられたな!!」
十条ミツキ :
「……"クラッドカルト"が目的なのは……わかっていたけど」
十条ミツキ :
「知性を手に入れさせるメリットがあるとでも?……言い方悪いけど、馬鹿のままで居てくれた方が扱いやすかったんじゃない?」
五十嵐タクミ :
「なんやなんや、何言うとんねん!」
五十嵐タクミ :
「メリットならありまくりやろ!分からへんの?」
十条ミツキ :
「"クラッドカルト"を欲しがるって時点で意味が分からないんだ、分かるわけないでしょ」
五十嵐タクミ :
「……ふーん、なるほどな」 理解したように笑って
五十嵐タクミ :
「なあ、じゃあ逆に聞くけど」
五十嵐タクミ :
「俺が一体いつ、クラッドカルトを欲しがったんや?」
十条ミツキ :
「……!」
十条ミツキ :
「……驚いた。FHの……"アビシス"と同じ目的ではない、ということ…!?」
天海こよみ :
「……?」 初めて聞く名前に首を傾げる
五十嵐タクミ :
「全然ちゃうわ。まあ、最近までそいつに狙われてたっていうんやから、そないな勘違いすんのも無理はないけどな」
五十嵐タクミ :
「ほなまあ、そこまで勘違いしてるならはっきり教えたる」
五十嵐タクミ :
「俺はな、自分を救いにきたんやで。こよみちゃん」
天海こよみ :
「え……?」
十条ミツキ :
「……どういう、意味?」
五十嵐タクミ :
「せやな。まず自分、クラッドカルトに取り憑かれて困ってるんやろ?」
五十嵐タクミ :
「やけど、そいつを引き剥がす確実な方法があんねん」
五十嵐タクミ :
「クラッドカルトには知性も実体もない。だからこそ本能のままに自分を守ってくれる人間に憑りついてしまう」
五十嵐タクミ :
「せやったらどうすればええか?それはずばり、進化や!クラッドカルトが知性と実体を得られるように、進化させればええ!」
五十嵐タクミ :
「自分らもさっき見たんちゃうの?クラッドカルトが実体を持ったところを」
十条ミツキ :
「……それは……見た、けど」
天海こよみ :
「あれって、あなたが……やったの?」
天海こよみ :
「でも、一体どうやって……」
五十嵐タクミ :
「あー、それはなぁ……ちょ~っと企業秘密やから詳しくは言われへんな」
五十嵐タクミ :
「やけど、そのために今まで色々と仕込ませてもらったんやで?」
五十嵐タクミ :
「……天海あかりのこととか、な」
天海こよみ :
「……!!」 母親の名を聞き、目を見開く
十条ミツキ :
「……今、その名前を出して……」
十条ミツキ :
「企業秘密とか抜かしたら、ぶっ飛ばすよ……!」 こよみの肩を強く抱き、威嚇するように睨みつける
五十嵐タクミ :
「そうか。ほな教えたるわ」
五十嵐タクミ :
「あの女は俺が昔誘拐して、殺したんや」
五十嵐タクミ :
「ただ、死体はどこやったんか覚えてへんくてなあ。回収するのにちょい苦労したわ」
天海こよみ :
「……殺、し……。あなた……が……?」
五十嵐タクミ :
「せやで~。ん?どうしたん?もしかして、パパにも会いたかったんか?」
五十嵐タクミ :
「ごめんなあ。天海瞬一の死体はもう欠片も残ってへんかったし、もしあったとしても使いたくなかってんな……」
五十嵐タクミ :
「だって、あんなまともに覚醒出来ずにキッショイバケモンみたいになった死体、俺は見るだけで吐き気してまうしな!!アッハハハハ!!!」
天海こよみ :
「…………ッ!!」
GM :
こよみの手が震える。
彼女の表情は憎しみで歪み、その瞳は暗黒を映し出していた。
GM :
こんなこよみの姿を、ミツキは初めて見るだろう。
十条ミツキ :
「こよみ……!」 これまで、こよみが怒りをあらわにすることはめったになかった。驚く、が、無理もない。
十条ミツキ :
しかし、オーヴァードにとって……そして、"クラッドカルト"が取り憑いている彼女にとって、感情が揺らがされることはあまりにも危険だ。
十条ミツキ :
「……ダメだ、こよみ。アイツの言うことを聞いちゃいけない……!」
天海こよみ :
「…………」
天海こよみ :
「殺す」
天海こよみ :
「殺してやる……ッ!!!」
GM :
こよみの心は完全に憎悪に支配されていた。
もはや、ミツキの声は全く届いてすらいない。
GM :
体内のレネゲイドが掻き立てられて暴走し、彼女の足下から海水が湧き出始めた。
こよみは激しい感情を吐き出しながら、水飛沫を上げて五十嵐へと突撃する!
十条ミツキ :
「……ッ!」 こよみに取り残される形で飛沫を受け、腕で顔を覆う。
十条ミツキ :
「(無理もない……でも、危険だ!力量の差もわからない相手に、暴走した状態で突っ込むなんて……!)」
十条ミツキ :
あらかじめ用意していた端末に指を滑らせ、Medusaを起動・装備しながらこよみの元へと駆け出す。
GM :
こよみの手に持った白い日傘が水に包まれ、穂先が三つに分かれた槍に瞬時に変形する。
彼女が護身用に使う、エフェクトに反応して変形するトライデントだ。
GM :
こよみは力任せに槍を突き出し、両親の仇を貫こうとする。
五十嵐タクミ :
「アッハハハ!!ええなあ!!これやからガキの相手は楽で助かるわ!!!」
GM :
だが、その一撃は五十嵐には届かなかった。
彼の服の袖口から伸びた青い触手が、槍の柄を絡めとって止めたからだ。
天海こよみ :
「あ……!」
GM :
突然伸びてきた触手に驚き、こよみの行動が遅れる。
その隙に、五十嵐はEロイス《囚人の鳥籠》を使用。
Eロイス《囚人の鳥籠》
タイミング:オートアクション
技能:- 難易度:自動成功
対象:単体 射程:視界
衝動:-
効果:望む対象を連れ去り、どこへも逃さぬよう監禁するEロイス。
いつでも使用できる。シーン内に登場している任意のキャラクターひとりを選択し、そのキャラクターを連れ去り退場させることができる。
連れ去られたキャラクターは以降、あなたが望むシーン以外には登場を行なうことができなくなり、また会いに行くこともできなくなる。
GMは任意に、特定の情報を入手する、Eロイスを使用したジャームを倒すことなどの、この効果を解除する方法を設定することができる。
また、この効果の対象にPCを選択することはできない。
五十嵐タクミ :
「そんなに殺したいなら付き合ったるわ!二人っきりでな!!」
GM :
触手が更にもう一本生え、こよみの体に巻き付いて彼女を拘束する。
そして、五十嵐の背後の空間が陽炎のように揺らぎ、彼はその歪みに背中から飛び込もうとしていた。
十条ミツキ :
「……ッ!」 歯を食い縛り、自分の出来る最速力で駆ける。だが……間に合わない!
十条ミツキ :
「くそッ……こよみ……!!!」 それでも諦めきれず、必死に手を伸ばす
天海こよみ :
「ミツキちゃ……ッ」
GM :
しかし、その手は海岸の時と違い……あと一歩のところで届かない。
GM :
こよみの助けを求めて呼ぶ声は、触手が口元を覆ったことで遮られ────
GM :
五十嵐は後ろに倒れ込むようにしながら、歪んだ空間に落ちてその姿を消した。
GM :
五十嵐はこよみを連れ去り、シーンから退場する。
十条ミツキ :
「ッ……!!」 目の前で2人が消え……一歩、二歩、勢いを殺しきれないまま膝から崩れ落ちる。
十条ミツキ :
「こ……こよ、み」
十条ミツキ :
「こよみ………ぁ、あああああ……ッッ!!」
十条ミツキ :
やり切れない思いとともに、Medusaを装備したまま腕を横に振りぬく。バチッ!と電流が走ると共に、そこにあったテーブルが弾け飛び、水槽のアクリルガラスにぶつかって魚たちを驚かせる。だが、ミツキにとってはもうどうでも良いことだった。
GM :
魚達が水槽の奥へと逃げていく中……
GM :
突然、UGNから支給された通信端末が着信音を鳴らしながら震える。
GM :
取り出して画面を見れば、そこに表示されているのは知らない番号だった。
十条ミツキ :
「……」
十条ミツキ :
「……なん、だよ……誰が、今更ッ……!」
十条ミツキ :
毒づくが、今は駄々をこねている場合ではない。藁をもすがる思いで、電話を取る。
GM :
では、ミツキは通話に出る。
GM :
そして繋がった声は、あまりにも馴染みのあるものだった。
オーメン相良 :
「────私だ」
GM :
シーン終了。
GM :
ロイスの取得と感情変更が可能です。
十条ミツキ :
長い付き合いになりそうだし五十嵐タクミにロイスを取ります。執着/☑憤懣、N感情です。
system :
[ 十条ミツキ ] ロイス : 3 → 4
GM :
了解です。
Scene07 海上の仲間たち
GM :
オーメンからお電話シーンです。
ミツキちゃん、登場侵蝕のダイスをお願いします。
十条ミツキ :
1d10+79(1D10+79) > 10[10]+79 > 89
UGN芸能支部
オーメン相良 :
「────私だ」
GM :
通話の相手はUGN芸能事務所の支部長であり、UGNプロダクション代表取締役。
GM :
コードネーム“ミスター・オーメン”こと、オーメン相良。
GM :
そして、
あみぃ :
「私だ。……って、それで分かるの?いつもの通信機と違うんじゃ……」 かなり疲れた声
らむね :
「っていうか、繋がったんならスピーカーにして!スピーカー!あなたって本当に気が利かない!!」 かなりキレ気味の声
GM :
“らみぃどらいぶ!”の二人らしき声も、隣からぎゃーぎゃーと聞こえてきていた。
十条ミツキ :
「え……え?」 間の抜けた声。怒りのあまり、身内からの通信に拍子抜けしたようだ。
十条ミツキ :
「……プロデューサー。と、亜美と来夢……?」
オーメン相良 :
「ああ、そうだ。連絡が遅くなってすまない」
十条ミツキ :
「う……うぅ……」 糸が切れたように目元にじんわりと涙が溢れる
十条ミツキ :
「すまないじゃ済まないよ……こよみが……こよみが……ッ!」 涙声で電話口に訴えかける
あみぃ :
「え……?こよみちゃんが……どうしたわけ?」
らむね :
「もしかして、今一緒にいないの?」
十条ミツキ :
「……攫われた。FHの奴に……アタシ、守れなくて……傍に居るって、言ったのに……ッ!」
十条ミツキ :
「今いる場所も意味わかんなくて、全然外に出られなくて……アタシ……もう、どうすればいいか……ッ」
あみぃ :
「攫われた、って……」 そこまでの事態になっていたとは思っていなかったらしく、絶句する
オーメン相良 :
「……ミツキくん。まずは落ち着け、というのは難しいかもしれないが」
オーメン相良 :
「状況を詳しく説明して欲しい。一体、今まで何があった?」
十条ミツキ :
「……」 ぐし、と目を擦る。
十条ミツキ :
「……聞きづらかったらごめん、アタシも今冷静じゃなくて……でも、報告するよ。支部長」
十条ミツキ :
そう前置きして、事の顛末を説明します。
GM :
了解、では説明が完了します。
オーメン相良 :
「……なるほど」
らむね :
「……嘘でしょ?FHって、そんなことまでするわけ……?」
あみぃ :
「いや、エッグ……頭おかしいでしょ……」
十条ミツキ :
「……本当にそう思う。こよみどころか……家族、全員……ッ」
あみぃ :
「こんなのもう、どうすんの?その水族館がどこにあんのかも全然分かんないし……」
オーメン相良 :
「まずは、五十嵐タクミの調査に当たろう」
オーメン相良 :
「昨日から、MARiNE SNOWのメンバーに君達の捜索をしてもらっている」
オーメン相良 :
「彼女達に情報を共有し、一刻も早く五十嵐のことを調べ上げる」
十条ミツキ :
「え……もう、動いてくれてるの?みんな……」 泣き腫らした顔を上げて
オーメン相良 :
「ああ。皆、心配している」
オーメン相良 :
「昨日から二人が帰っていなかったからな。何かあったに違いないと、私が指示するまでもなく動いてくれた」
十条ミツキ :
「そう……そう、なんだ……」 胸の内にじんわりと暖かなものを感じ、ぎゅと拳を握る。
十条ミツキ :
「……アタシも、連絡を取ろうとはしてたんだけど…でも、何故か通じなくて」
十条ミツキ :
「どうして、今こうして話せているの……?」
オーメン相良 :
「それは、」
らむね :
「私達が頑張ったから!」
あみぃ :
「そうそう、めっちゃ頑張ったんだから!お面に呼び出された時は何かと思ったけど」
オーメン相良 :
「……。ミツキくんが今いる場所は、かなり特殊な空間らしい」 あみらむに台詞を遮られたが続けて
オーメン相良 :
「UGN日本支部にある特別な回線を借りなければ、連絡も取れない程に……」
らむね :
「でもなんか周波数?が全然合わない?とかで、私達がずっと色々試しまくってたのよ」
あみぃ :
「もう何時間やってたっけ?とにかく疲れたし……」
あみぃ :
「後で絶対なんか奢ってもらうからな……」 オーメンを恨むような声が聞こえる
十条ミツキ :
「……つまり、繋がったのは偶然……?」
オーメン相良 :
「そうなるな。だが、ここからは安定して連絡が取れるはずだ」
十条ミツキ :
「うん……経過はいいよ。良かった……」 会話のペースから、彼らが夢や幻ではないことを感じ取り、深くため息を吐く。
十条ミツキ :
「でも、特殊な空間って……何?日本支部にしかないような回線ってことは、やっぱり単純にどこかの水族館に飛ばされた…ってわけじゃないんだよね」
オーメン相良 :
「そうだな。そのことだが、一つ確かめたいことがある」
オーメン相良 :
「ミツキくん。今そこで、ワーディングを使ってみて欲しい」
十条ミツキ :
「……わかった」 戸惑いながらもふらりと立ち上がり、手を前に突き出して力を込める。すると、ミツキを中心にバチバチッと雷鳴の波が起き……その場に、ワーディングが展開される。
GM :
ミツキが《ワーディング》を使うと、視界の端で何かが動いたのが見える。
GM :
反射的にそちらに目を向けると、その先の何もない空間に亀裂が走っていた。
空間の亀裂の向こうには、どこかの街の景色が見えるだろう。
GM :
しかし、亀裂はほぼ一瞬で閉じ、元の何もない空間に戻ってしまう。
十条ミツキ :
「な……ッ」 その様を見て思わず絶句する。
あみぃ :
「え、どうなったの?」
十条ミツキ :
「今、水族館にいるはずなのに……何故か壁の向こう側に、どこかの街の景色が見えた……!」
オーメン相良 :
「……やはり、そうか」
らむね :
「何がやはりそうか、よ。分かるように説明して」 オーメンにだけ妙に当たりが強い
オーメン相良 :
「……ミツキくん。今君がいるのは、おそらくマヨヒガと呼ばれる異空間だ」
十条ミツキ :
「……マヨヒガ……って?何、それ…」
オーメン相良 :
「マヨヒガとは、ワーディングを使用することで表れる迷路空間」
オーメン相良 :
「ただの人間にマヨヒガを脱出する術はないが、オーヴァードであればワーディングを使用することで出入りが可能になると言われている……」
オーメン相良 :
「だが、今の実験結果を聞くとそうとも限らないようだな。そのマヨヒガは、これまで確認されてきたものよりも遥かに強力なようだ」
十条ミツキ :
「……知らなかった。オーヴァードって、そんなことまでできるの…?」
十条ミツキ :
「でも、ワーディングで脱出できないのは……やっぱり、普通じゃないんだ」
オーメン相良 :
「そう、普通ではない」
オーメン相良 :
「通常のオーヴァードには、そんなことは出来ない」
あみぃ :
「は?」 もうついていけていない
オーメン相良 :
「マヨヒガについて、はっきりしている情報を伝えよう」
オーメン相良 :
「マヨヒガ……UGNの記録では、この能力は過去に数人の使用者が確認されている」
オーメン相良 :
「────その使用者は全員、ゼノスに所属するエージェントやレネゲイドビーイングだ」
十条ミツキ :
「……それなら……つまり」
十条ミツキ :
「五十嵐タクミはFHじゃなくて……ゼノス所属……!」
オーメン相良 :
「詳しく調査してみないと断定は出来ない。だが、おそらくそうだろうな」
オーメン相良 :
「五十嵐タクミ自身がレネゲイドビーイングなのか、何か特別なアイテムを使っているのか……」
オーメン相良 :
「とにかく、彼がゼノスに関わる人物の可能性は大きいはずだ」
十条ミツキ :
「そうだったんだ……」 あかりの発言との矛盾を考えるが、実態として五十嵐がゼノス所属である可能性は高い。
十条ミツキ :
「……ゼノスって、FHよりも考え方がわかりづらくて不気味。でも……奴らが、人間のこよみのことを大切にしてくれるとは全く思えない……」
あみぃ :
「そりゃそうでしょ!話聞いただけだけど、五十嵐最低じゃん!」
らむね :
「そうよ、最悪じゃない!!このままだとこよみちゃんどうなるかわからないわ!!」
十条ミツキ :
「……もしかしたら、奴らにとってこよみに利用価値があるということなら……多少の猶予はあるのかもって思っていたんだ。でも、それすらなくて……クラッドカルト以外どうでも良いとしたら……」
十条ミツキ :
「こよみのこと、尚更急いで助けないと……!でも、どうやって…!?」 また徐々に呼吸が浅くなり、冷静さを無くしていく
オーメン相良 :
「そうだな、もはや時間の猶予はない」
オーメン相良 :
「私達はこれから、ゼノスと五十嵐タクミの関係を調査する」
オーメン相良 :
「ミツキくん、君は水族館の探索を続けて欲しい」
オーメン相良 :
「すでに五十嵐タクミがこよみくんと共にマヨヒガから脱出したかどうかはわからない。まだその水族館のどこかに潜んでいる可能性はある」
十条ミツキ :
「……っ、分かった。本当に見当もつかないけど……死ぬ気で探すよ」
十条ミツキ :
「外の事はお願い、支部長。……それとも、プロデューサーって呼び方の方がやる気出るかな?」 内心焦りながらも提案する。彼の士気を上げるという意味で効率的だからだ
オーメン相良 :
「……そうだな」 お面の下で小さく笑う息が聞こえる
十条ミツキ :
「……わかった。それなら、プロデューサーに、亜美、来夢。……心の底から、お願い」
十条ミツキ :
「アタシ……本当に、ダメな奴だけど。それでも、大切な人との約束くらいは守らないと……だから、協力して!」
十条ミツキ :
「こよみを…助けて…!」 音声越しだが、深く頭を下げる。
オーメン相良 :
「……ああ、もちろん」
オーメン相良 :
「だが、私達はそのマヨヒガに侵入することは出来ない」
オーメン相良 :
「もしも、まだこよみくんがマヨヒガ内にいるとすれば……」
オーメン相良 :
「こよみくんを助けられるのは、守れるのは、君だけだ。ミツキくん」
オーメン相良 :
「彼女のことを頼んだぞ」
十条ミツキ :
「……当然!アタシだって…あの子のマネージャーなんだから……ッ」 いっぱいいっぱいだが、力強く返す
オーメン相良 :
「……ああ、そうだったな」 少し安心したような声で
あみぃ :
「……あのー……ミツキちゃん?」
あみぃ :
「お面はこう言ってるけどさ、あんまり気負いすぎなくてもいいんじゃない?」
あみぃ :
「……って、そんなのんきなこと言えるような状況じゃないのは分かってるけどさ」
らむね :
「私達も出来ることはするわ。何が出来るか分かんないし、はっきり言ってそんな頼りにされても困るけど……」
らむね :
「でも、ユメさん達……MARiNE SNOWのメンバーもいるし。何とかしてくれるわよ、多分」
あみぃ :
「あたし達、さっきの言葉ユメさん達に伝えとくからさ。……まあ安心してよ」
十条ミツキ :
「……2人も、ありがとう。へへ……なんか、初めて頼り甲斐があるように感じたかも」
あみぃ :
「はにゃ~!?もしかしてバカにされてる!?」
十条ミツキ :
「そういうことを言うのは、もっと尊敬されるような事をしてからね。……でも、今回頑張ってくれたら……余計見直すかも、ね」
あみぃ :
「しょうがないにゃ……。じゃあ、あともうひと頑張りしますか」
らむね :
「そうね!やるだけやってみましょ、あみぃ!」
十条ミツキ :
「……もう、十分頼りになっているよ」 電話越しには聞こえないくらい小さな声で呟く。
オーメン相良 :
「……では、また連絡する。くれぐれも、その通信機はなくさないように」 そう言って、通話は切れる
十条ミツキ :
「うん。……またね」 通信機を仕舞い、その場に立ち上がる。通話を通じて、自分一人ではないことに気付かされ……気力を取り戻すことができた。
十条ミツキ :
「……でも、まだこの辺にいるかもしれないなら……やっぱり、アタシ一人でやり切らないとね」 そう呟き、探索を開始しようとする。まずは2人が消えた、カフェテリア内からだろうか…
GM :
GM :
ではこのシーンから、調査パートに入ります。
調査項目はこの一つだけ。
GM :
◆五十嵐タクミについて〈情報:UGN〉7
GM :
そして、今回はPLが一人ということも踏まえて、一つのシーンで二回調査判定が行なえることとします。
RP的には外でUGN芸能支部の皆が手伝ってくれてるって感じになります。
GM :
情報の難易度もそれに応じて下がってるって感じ。でも判定するのはミツキちゃんです。
十条ミツキ :
みんなの力を、借りるぞ(判定は1人でやるけど)
GM :
借りていけ!というわけで、技能UGNで判定をお願いします。
十条ミツキ :
了解です!五十嵐タクミについて探ります
GM :
どうぞ!侵蝕ボーナスもお忘れなく
十条ミツキ :
3dx+1 社会性はカスなので…(3DX10+1) > 7[1,7,7]+1 > 8
十条ミツキ :
でも五十嵐の方がカスだからなんとかなった(?)
GM :
それはまじでそう
GM :
では公開します。読み終わったら反応するなりしてもらえれば!
十条ミツキ :
了解です!
◆五十嵐タクミについて
ゼノスに所属するエージェント。
コードネームは“フォルネウス”。
クロスブリードで、シンドロームはエグザイル/ブラムストーカーを発症している。
青い触手と墨のように黒い血を自在に操り、半魚人型の従者を生成する能力を持つ。
元々は大阪のメンズ地下アイドルグループ“なにわ友あれ!”のメンバーとして活動していた。
六年前にグループが解散した後、オーヴァードに覚醒し、FHからの依頼を受けてその活動に協力するFHマーセナリーとなった。
彼の引き受ける依頼は様々で、一般人の拉致からオーヴァードの殺害まで幅広い仕事をこなしていた。
FHが重宝する優秀な人材だったが、つい最近“プランナー”都築京香の勧誘を受けてゼノスエージェントとなったようだ。
→◆五十嵐タクミの目的について〈情報:UGN〉9 の調査が可能になる。
十条ミツキ :
目を通しました!変な名前のグループに思考が持っていかれつつ、こいつがイカレてることは理解したよ!
十条ミツキ :
次の項目が開いたということですね
GM :
そうです!一シーンにニ回調べられるので、そのままもう一回判定をどうぞ
十条ミツキ :
やります、カスバトルだ
十条ミツキ :
3dx+1(3DX10+1) > 8[7,8,8]+1 > 9
十条ミツキ :
チキンレースすな
GM :
やるじゃない、よわよわダイスなのに
GM :
ではぴったりいけましたね、公開します!
◆五十嵐タクミの目的について
五十嵐タクミはゼノスリーダー、都築京香の指令で行動している。
彼が受けた指令は、クラッドカルトに更なる進化を促すことだ。
まず、天海こよみがクラッドカルトと友達になろうと接し続けたことで、クラッドカルトはこよみに対して強い興味を持つようになっている。
それはこれまでのクラッドカルトには見られなかった反応であり、彼はこよみの感情を少しずつ学習し、理解しようとしていた。
都築京香はそこにクラッドカルト進化の可能性を見出し、五十嵐タクミにプランを授けた。
天海こよみに自身のレネゲイドが不安定になる程の強い悲しみや憎しみを覚えさせれば、こよみと繋がっているクラッドカルトのレネゲイドが共鳴し、彼の学習を急激に進展させることが可能になる。
そのために五十嵐タクミは、かつて自分が殺害した天海あかりをEロイス《血の花嫁》で蘇らせ、こよみの目の前で再び死亡するように仕向けたのだ。
GM :
それと、もう解除されているので大して意味はないですが、血の花嫁の効果も置いておきます。
Eロイス《血の花嫁》
タイミング:メジャーアクション
技能:- 難易度:自動成功
対象:単体 射程:至近
衝動:吸血
効果:死者を蘇らせ、使用者の操り人形に変えるEロイス。
死亡している対象にのみ使用できる。対象の死亡を回復し、HPを完全に回復する。
ただし対象は、オーヴァードであったかどうかにかかわらず、必ずジャーム化し、以後あなたに絶対服従となる。
GMはこの効果を解除するための条件を任意に設定してもよい。
ただし、このEロイスの効果を解除すると対象は必ず死亡する。
また、生き返った対象の外見などは、死ぬ依然と一切変化がないとしてもよいし、特定の感情を喪失している、体温がないといった、不自然な部分があるとしてもよい。詳細はGMが決定する。
天海あかりのEロイス解除条件は、戦闘不能状態にさせること。
十条ミツキ :
改めて伝説のアイドルの死を突きつけられて、泣いちゃった。邪悪じゃないプランナーが多い身内だから目を覚まさせられたね…
GM :
あいつかわいい顔して実は邪悪なんですよね…味方の時はめちゃくちゃ頼もしいけど、敵に回るとダブルクロスのNPCの中で一番恐ろしいと思う
十条ミツキ :
その辺の解釈も読めて良いシナリオだわ、ちゃんとダブルクロスしとる…ともあれ、目を通しました!やっぱこんなやつにこよみはやれん。
GM :
了解!情報について反応するRPとかはありますか?なくてもどっちでも大丈夫です
十条ミツキ :
思うところはあるけど、今反応しないで良いかな…と思います!一旦飛ばしてください!
GM :
了解!ではシーンを終了します。
Scene08 明星のシンフォニア
GM :
これがミドルフェイズ最後のシーンになります。
ミツキちゃん、登場侵蝕のダイスをお願いします。
十条ミツキ :
1d10+89(1D10+89) > 2[2]+89 > 91
水族館 通路
GM :
ミツキがこよみを探し、水族館を駆け回っていた時だった。
GM :
突然、ミツキは背後から自分の名を呼ぶ声を聴く。
??? :
「ミツキ!!」
??? :
「ミツキ、こっち!!」
GM :
……こよみの声。
だがミツキはその呼び方から、こよみではないと分かるだろう。
十条ミツキ :
「ッ!」 息を切らしながら、その場に立ち止まる。こよみの声で、こよみではない……その条件に当てはまる者は、この場に1人しかいない。
十条ミツキ :
「"クラッドカルト"……!?」
GM :
ミツキが思った通り。
振り返ると、そこにいたのは天海こよみの姿をした、クラッドカルトだった。
GM :
だが、さっきその姿を見た時とはどこか雰囲気が違っていた。
無機質なロボットのような固い顔つきから、幼い子供が見せるような表情になっている。
十条ミツキ :
「……これ、が」 ──クラッドカルトの進化。外にいるMARiNE SNOWのメンバーが調査してくれた、五十嵐タクミ……否、その向こう側にいる"プランナー"都築京香の望み。
十条ミツキ :
「(コイツは、こよみの苦しみや悲しみを糧に成長する……つまり、今、こよみは……!)」 唇を噛み締め、クラッドカルトを睨む。
十条ミツキ :
「アンタが今ここにいるってことは……こよみも、居るんでしょ。すぐ、この辺りに……!」
クラッドカルト :
「……?いないよ、このあたりになんかいない!」
クラッドカルト :
「ミツキきて!!コヨミあぶない!!」 そちらに駆け寄っていく
十条ミツキ :
「……チッ」 先ほどよりも意思疎通が取れるようになっている。それに、こよみに繋がるヒントではあるが……やはり、色々な意味で信用ならない
十条ミツキ :
「……どういうこと?アイツ……五十嵐にけしかけられて、こっちに来たわけじゃないの?」
クラッドカルト :
「イガラシ……あの、コヨミいじめるやつ?」
クラッドカルト :
「クラ、あいつきらい……」 嫌そうに声のトーンが少し落ちる
十条ミツキ :
「(『クラ』を自称してる…)」 それだけこよみを好いているということなのか
十条ミツキ :
「……そうなんだ。こよみがアイツに虐められてるの、アンタのせいらしいよ。知ってた?」 そう、どこか冷たい声で尋ねる
クラッドカルト :
「…………」
クラッドカルト :
「しってる……」 悲しそうに目を伏せる
十条ミツキ :
「……そう。でも、アンタ自身が進化するより、こよみを助けることが大切……そう思って、アタシを探しにきたの?」 こよみの顔をして悲しまれるのはやりづらいのか、やや困ったような表情を浮かべる。
クラッドカルト :
「しんか……しんかなんて、クラ、たのんでない……」
クラッドカルト :
「はやくコヨミをたすけなきゃって。おもった。だから……ミツキのおと、さがした……」
十条ミツキ :
「……音?」
クラッドカルト :
「おと~」 小さく笑いながら、両耳に手を添えてみせる
十条ミツキ :
「……どういう理屈か知らないけど……まあ、とにかく何とかしてアタシを見つけたってことね」 無邪気な、ともすれば可愛いとすら感じる仕草にも、興味ないといった態度だ。
十条ミツキ :
「それで……こよみは、どこに?アタシも、あの子を早く助けたい」
クラッドカルト :
「あ……!」 こんなコトしてる場合じゃない、と手を耳から戻して
クラッドカルト :
「こっち!!ついてきて!!」 くるりと回れ右して、反対方向に
十条ミツキ :
「うん」 クラッドカルトの後を追う。やや距離を空けて、警戒はするが…それでも、見失わないように。
GM :
では、ミツキはクラッドカルトに案内されて通路を駆けていく。
GM :
しかし、こよみはかなり遠い場所にいるらしい。
GM :
中々辿り着かず、クラッドカルトの体力の問題でずっと走っているわけにもいかなくなった。
クラッドカルト :
「……ミツキ」
GM :
早歩き程度のスピードで通路を進みながら、クラッドカルトが呼んでくる。
十条ミツキ :
「……何?」 追っても追っても辿り着かず、先ほどよりも焦燥感が増している。ややぶっきらぼうに尋ねる。
クラッドカルト :
「ミツキ……ミツキは……」
クラッドカルト :
「……クラのこと、きらいだよ?ね?」
十条ミツキ :
「……そうだよ」 あっさりと肯定する
十条ミツキ :
「あの時、よく『理解』したでしょ。だから、アンタはアタシから離れた」
クラッドカルト :
「……うん」
クラッドカルト :
「でも、ミツキ……あのひとに、ひどいことされそうだったから」
十条ミツキ :
「……あの人。……シグレのこと、だね」 "アビシス"梓紫暮。FHエージェントであり、己に取り憑く"クラッドカルト"を奪うため、ミツキの友人として接近し……そして、洗脳しようとしてきた女。
十条ミツキ :
「……『でも』ではないよ。キミの理屈はわかる。だからって、アタシは納得しない」
クラッドカルト :
「…………」 立ち止まって
クラッドカルト :
「……あれが、クラにできるいちばんのほうほうだって、あのときはおもってた」
クラッドカルト :
「でも……ちがったんだよ。ね」 胸元を握りしめる
十条ミツキ :
「違うよ。そもそも……他人に取り憑いて、注目を集めさせて守ってもらおうとする、その能力自体もアタシにとっては相容れないものだった」
十条ミツキ :
「だから、嫌いなんだ」 ……もしこれで、"クラッドカルト"の機嫌を損ねたら、後が困る。だが……一年以上胸中でリフレインし続けたこの感情を、恨み言を、抑えられるだけの余裕はもはやなかった。
クラッドカルト :
「………」 振り返って、ミツキの顔を見て
クラッドカルト :
「……ごめん」 一言、小さな声でそう謝る
十条ミツキ :
「……どうして、謝るの?アンタは悪いと思っていなかったんでしょ」
クラッドカルト :
「いまはおもってる。だから、もうあんなこと……やらない」
クラッドカルト :
「それに……」
クラッドカルト :
「クラは、ミツキのこと……すきだから……」
十条ミツキ :
「……」
十条ミツキ :
「……ごめん、頭が上手く回んない……キミが?アタシを?」 困ったように尋ねる。
クラッドカルト :
「うん」 こくんと頷く
十条ミツキ :
「……どうして?覚えてるでしょ、あの日……アタシは、キミを酷く責めて、追い出した」
十条ミツキ :
「普通、お互いに嫌いになるよ。……違うの?」
クラッドカルト :
「ちがうよ」
クラッドカルト :
「クラ、ぜんぶおぼえてる。ミツキがおこったときのことも……」
クラッドカルト :
「ミツキといっしょにみた、たくさんのきれいなものも……」
クラッドカルト :
「だから、きらいじゃない。すきだもん」
クラッドカルト :
「これ、おかしいの?」
十条ミツキ :
「……ッ」
十条ミツキ :
「……そう。やっぱり、見ていたんだね。アタシと一緒に……ステージの上からの景色を」
クラッドカルト :
「うん。……あたたかった」 思い出し、小さく笑う
十条ミツキ :
「……」 困ったように目を伏せる。ミツキも分かってはいた……"クラッドカルト"自身は無垢な存在であり、彼に罪はない。そして、彼ではなく、彼を取り巻く環境が悪かったことも。
十条ミツキ :
「……キミはアタシに、どうして欲しいの。もう、アタシはキミの宿主にはなれないよ」
十条ミツキ :
「もし、次受け入れたら……きっと、アタシは壊れてしまう。だから、キミの利益になることは何もできないよ」
クラッドカルト :
「…………」 ミツキの目をジッと見て
クラッドカルト :
「あのね。クラね……」
クラッドカルト :
「クラ、コヨミがすき」
クラッドカルト :
「コヨミ、いつもわらってくれる。クラにおしゃべり、してくれる」
クラッドカルト :
「クラのこと、こわがらない、いやがらない。ともだちっていってくれる……」 自然と嬉しそうな微笑みが表れていって
クラッドカルト :
「だから、これからもいっしょいたい。コヨミが、そうおもってくれてるから……」
クラッドカルト :
「……ミツキはクラのこと、きらいなままで、いい。クラもまたもどらせてって、いわない」
クラッドカルト :
「だから……!コヨミのこと、たすけて!!おねがい!!!」
クラッドカルト :
「コヨミがないてるの、クラいや!!ぜったいいや!!」
GM :
クラッドカルトはミツキに訴えかける。その目には涙が溢れていた。
十条ミツキ :
「……"クラッドカルト"……」 これまで自意識すら持たなかったレネゲイドビーイングが、今は泣いている。驚くべき光景を前にして、ミツキはただ困惑する。
十条ミツキ :
まさか、己を絶望の淵に叩き落とした存在そのものから謝罪をされる日が来るとも思っていなかった。そして、今度は……共通の大切な人を守りたい、とまで言い出したのだ。混乱しないはずがない。だが、一つ確かなことがある。
十条ミツキ :
「……こよみが泣くのは、アタシも嫌だよ。絶対に嫌だ」
十条ミツキ :
「こよみが怒る姿も、悲しむ姿も嫌。アタシが見たいのは、いつだって……」
十条ミツキ :
──ミツキ自身が封印していた、過去の記憶。自分に向かって伸ばされる、大量の『空』色のペンライト。観客らの満面の笑みと、うるさいくらいの歓声。彼女が、"クラッドカルト"と見たあの日の光景。演者自身の心も躍る、夢のステージ。
十条ミツキ :
そして、その景色の中に、いつもあったもの。それは。
十条ミツキ :
「……こよみの笑顔だけなんだよ……!」
クラッドカルト :
「ミツキ……!!」
クラッドカルト :
「クラも……クラも、そう……!!」
クラッドカルト :
「コヨミのえがおが、みたい!みたいの!!」 胸元を両手で握りしめて
十条ミツキ :
「……そう。それなら、もうやることは一つだね」
十条ミツキ :
「"クラッドカルト"。もし疲れたならアタシが背負ってあげる……だから、出来るだけ早くこよみのところまで案内して」
十条ミツキ :
「キミとのことは、その後でいいから」
クラッドカルト :
「ん……!」 両手の甲で涙をゴシゴシと拭って
クラッドカルト :
「だいじょうぶ、クラはしれるから……!」
クラッドカルト :
「いこ、ミツキ……!!」 ミツキの手を握り、そのまま駆け出そうとする
十条ミツキ :
「わかった」 その手をしっかりと握り返し、走り出す
GM :
そうして、二人は水族館の迷宮を進んでいく。
GM :
あともう少しで辿り着く────クラッドカルトがそう言った、その時だった。
半魚人 :
「ギィィアアア!!!」
GM :
突如響き渡る咆哮が、水槽のガラスを震わせる。
前方を見れば、通路の奥に異形の存在があった。
GM :
半魚人────すなわち、五十嵐が放った従者だ。
十条ミツキ :
「チッ、やっぱり…何もしないわけないよね……!」 間合いの手前で立ち止まり、半魚人を睨む
クラッドカルト :
「っ!?あいつまだいたの!?」
十条ミツキ :
「恐らく、五十嵐がいる限り無限に湧き出るんだと思う……構っている暇はないけど、倒さないと進めないんだよね、これ……!」
クラッドカルト :
「う、うん……ちょうど、コヨミいるのあのむこう……」 怯えた目で半魚人を見て
半魚人 :
「ッガアア!!!」
GM :
赤く燃え盛る二つの目がミツキを補足する。
半魚人はミツキに向かって、凶暴な勢いで突撃を開始した。
GM :
巨大な体躯で一気に迫り来る半魚人から逃れることはもう不可能だ。
この先へ進むには、もはや戦闘は避けられないだろう。
クラッドカルト :
「わぁ、きた!!」 ミツキの後ろに隠れて
十条ミツキ :
「下がって!!速攻で片を付ける…!!」 迎え撃つように腰を低くして、Medusaの端末を手にする。
クラッドカルト :
「う、うん……っ」 心配そうにミツキの背を見ながら、一歩ニ歩と後退する。
GM :
というわけで半魚人と戦闘になるのですが、ここでは通常の戦闘ではない処理で進行します。ルールは以下の通り。
簡易戦闘ルール
・ミツキと半魚人で攻撃の命中判定を行ない、出したダメージの比べ合いで勝負する。
・メインプロセスで使えるエフェクト(マイナー・メジャー・オートアクションのエフェクト)は全て自由に使用出来る。使用した分だけ侵蝕率は増加する。
・武器は装備しているものとしてダメージを出すことが出来る。
・一回だとダイスの目が振るわない可能性を考慮し、チャンスは三回とする(勝負一回分で一ラウンド換算のイメージ)。
・三回の内一度でもミツキが勝てば、半魚人を撃退出来る。同値だった場合はミツキの勝利とする。
・三回とも敗北した場合、半魚人が三回目に出したダメージをそのまま受けることになる。
・このダメージはいかなるエフェクトやアイテムでも軽減出来ない。
・判定する順番は半魚人→ミツキの順に行う。
・ミツキは半魚人の達成値を見て不利だと感じた場合、判定を放棄して次の勝負に移ってもよい。
・ただし判定を放棄しても、チャンスは全部で三回までと変わらない。
・判定を放棄出来るのは最大でニ回までとする。
・この簡易戦闘に挑戦することで、勝敗に関係なくEロイス《囚人の鳥籠》の効果が解除されてクライマックスフェイズへ進むことが出来る。
GM :
ちょっと長いのでゆっくりでいいので確認できたら言ってもらって!分からない部分があれば答えます。
十条ミツキ :
目を通しました!判定を放棄するメリットは、侵蝕が上昇しないことかな
GM :
そういうこと!クソデカ達成値出してきたらパスして侵蝕を上げないようにするっていうのもありってことです
十条ミツキ :
おけおけです、把握しました!進行お願いします!
GM :
了解!
GM :
ではこれより、簡易戦闘を開始します。
GM :
まずは一回目の勝負から。
GM :
半魚人は《かりそめの剣士》+《亡者の一撃》+《コンセントレイト》を使用して判定します。
GM :
10dx@7 命中(10DX7) > 10[1,2,2,3,4,7,8,8,9,10]+10[5,5,8,9,10]+10[4,8,10]+10[3,7]+3[3] > 43
GM :
大分良い出目、ではダメージ
GM :
5d10+12 ダメージ(5D10+12) > 18[4,2,3,3,6]+12 > 30
GM :
ダメージカスじゃない!?!?
十条ミツキ :
ダメージ残念すぎる
GM :
やる気出せよ!とにかく30と勝負になります。どうします?
十条ミツキ :
これはチャレンジします!判定良いでしょうか
GM :
どうぞ!エフェクト使う場合は宣言もして、そのまま振っていってください
十条ミツキ :
オートアクションでアームブレードを装備!メジャーアクションは、一旦《コンセントレイト:ブラックドッグ》+《アタックプログラム》で様子見ます!
GM :
了解、どうぞ!
十条ミツキ :
7dx8+13(7DX8+13) > 10[3,4,5,7,9,10,10]+3[1,3,3]+13 > 26
system :
[ 十条ミツキ ] 侵蝕率 : 91 → 95
GM :
ダメージどうぞ!
十条ミツキ :
3d10+9+2d10(3D10+9+2D10) > 16[2,8,6]+9+20[10,10] > 45
十条ミツキ :
芸能界にGWは、ない。
system :
[ 十条ミツキ ] HP : 77 → 74
GM :
悲しい現実。いや対抗種の出目最大値で笑う
GM :
では勝利ですね!一発でいけました
半魚人 :
「ッジャアア!!!」
GM :
眼前に迫った半魚人がその手を振り上げる。
GM :
ギャリギャリ、と嫌な音を立てて、鋭い水かきがついた手が通路の水槽に傷をつけながら────
GM :
命をすくい取るかのように、ミツキへと振り下ろそうとする。直撃すればタダでは済まないことは、誰に言われずとも分かるだろう。
十条ミツキ :
「…甘いッ!」
十条ミツキ :
巨大な爪が眼前に迫るも、ミツキは怯まない。避ける暇も、こいつに割く時間も無いのだ。それならば。
十条ミツキ :
ミツキは低い姿勢をさらに低くし、爪を躱す。同時に足の発電細胞に信号を流し……地面をダンっと蹴り上げる。
十条ミツキ :
Medusaの口腕が絡みついた脚は半月を描くように、重力でぐらりとふらついた半魚人の喉元目掛けて突き刺さる。人間であっても、そして怪物であったとしても、明らかな致命傷だ。
半魚人 :
「ギャッ……!!カ。グ……」
GM :
肺に溜まった空気、そして黒い墨が半魚人の口から漏れ出る。
GM :
その一撃で、勝敗は決したらしい。
GM :
半魚人の巨体が揺らぎ、赤い両目から光が失われた。
GM :
通路に倒れた異形の怪物は、瞬く間に墨になって溶けていき……やがて、消滅する。
十条ミツキ :
「……」 消滅方法があかりに重なったのか、嫌そうな表情を浮かべつつMedusaをしまい…顔に飛んだ墨をきゅっと袖口で拭う。
十条ミツキ :
「……行こう、"クラッドカルト"。もう大丈夫だよ」
クラッドカルト :
「う、うん……」
クラッドカルト :
「ミツキ、すごい……。そんなにつよかったの、クラしらなかった……」
十条ミツキ :
「UGNで訓練を始めたのは、キミがいなくなった後のことだからね。……まだ切り札があるとはいえ、五十嵐に及ぶかはわからないけど」 そう呟いて、仄かにプラズマを帯びたMedusaの端末をちらと見る。
クラッドカルト :
「そうだったんだ……」 ミツキが持つ端末を興味深そうにジッと見てから
クラッドカルト :
「……!そうだ、いかなきゃ!もうすぐだよ、ミツキ!!」 慌てて、通路を走り出す
十条ミツキ :
「うん。行こう」 短く返すと、ミツキもまたクラッドカルトを追う形で走り出す。
GM :
……激しい戦闘音が通路の奥から響いてくる。
GM :
この先に、こよみが────
GM :
シーン終了。
GM :
ロイスの取得と感情変更が可能です。
GM :
シーン開始時にもいったけど、次でクライマックスだよ!
十条ミツキ :
ですよね!そしたらロイス枠も埋めてしまいましょう
GM :
ちなみにSロイスに関しては、クライマックス戦闘直前までに取るのが期限としています。一応その時にまた連絡しますね
十条ミツキ :
了解です!もう今すぐ取っても良いくらいだけど、機を待ちましょう
十条ミツキ :
"クラッドカルト"への感情を☑︎同情/隔意、Pへ変更。
また、新規で『MARiNE SNOW』(メンバー全員)に対して☑︎信頼/嫉妬のP、オーメン相良に☑︎信頼/食傷のPで取得します。
system :
[ 十条ミツキ ] ロイス : 4 → 6
GM :
了解です。では次のシーンへ。
Scene09 夜が明けるまで、キミと共に
GM :
クライマックスフェイズになります。
ミツキちゃん、登場侵蝕のダイスをお願いします。
十条ミツキ :
1d10+95(1D10+95) > 9[9]+95 > 104
水族館 最深部
GM :
水族館の迷宮の最深部に辿り着くと、広大な空間がミツキとクラッドカルトを迎える。
GM :
奥の壁一面に広がる巨大な水槽から青い光が輝き、広間の中央にいる二人のオーヴァードを照らし出していた。
GM :
一人は天海こよみ。
こよみは息を切らしながら、弱々しく膝を床に突いて傷付いた体を支えている。
GM :
目の前に立つ男を見上げるその瞳には、悲しみと絶望が宿っていた。
GM :
そしてもう一人は、五十嵐タクミ。
静かに立つ彼の体からは二本の青い触手が伸び、空間を泳ぐように蠢いている。
GM :
触手は優雅に漂いながらも、こよみが隙を見せればすぐにまた襲い掛かるような緊張感があった。
十条ミツキ :
「……ッ!!こよみ……!!」 酷い光景に息を呑みながらも、大声でこよみに呼びかける。
クラッドカルト :
「コヨミー!!」 ミツキに続いて、大声でこよみを呼ぶ
天海こよみ :
「……!?ミツキちゃん……!?」
天海こよみ :
「クラちゃん……も……?」
十条ミツキ :
「"クラッドカルト"が、こよみを助けたいってアタシをここまで連れてきたんだ!」
十条ミツキ :
「その事は後でいい…!五十嵐、こよみから手を引け!!」 悠然とした態度の五十嵐に怒鳴る。
五十嵐タクミ :
「なんやねん、遅れてきたくせに随分せっかちやな」
五十嵐タクミ :
「そんな偉そうに命令されても聞きたないなあ。手を引くどころか、手がすべってまうかもしれんで?」
GM :
五十嵐から伸びる触手の先端が、こよみの眼前を漂う。
十条ミツキ :
「ふざけんな、もし手を出したらその瞬間にアンタを殺す。いつまでも見下していられると思うなよ……!」 激しい怒りと共に、ミツキの髪が静電気でブワッと逆立つ。本気で言っていることがわかるだろう。
五十嵐タクミ :
「はははっ!ほんま怖いなあ!べっぴんさんが台無しやで」 出会った時のことを思い出すように言う。ミツキの態度に怯む様子もない
五十嵐タクミ :
「ま、でもそれは無理な話やね。俺はクラッドカルトを進化させてあげたいんやからな」
十条ミツキ :
「"クラッドカルト"はそんなこと望んでいないってさ。アンタの独りよがりだよ。……ああ、いや……"プランナー"の犬として動いているだけなんだっけ」
五十嵐タクミ :
「お、なんや知ってたんか。……いや、外にいるお仲間にでも教えてもらったんかな」 ふーんとミツキを見て、クラッドカルトに視線を移す
五十嵐タクミ :
「何なん?自分、嫌なんか?」
クラッドカルト :
「いや!!!」 大声で
クラッドカルト :
「クラ、しんかとかいらない!!コヨミいじめるな!!」
五十嵐タクミ :
「まあまあ、そう言うなや!せっかくの俺と京香ちゃんの厚意を無駄にしたらあかんで?」
五十嵐タクミ :
「それに大丈夫やって。いざ進化してみればこんなガキのことなんかどうでもよくなるし、俺達に感謝するに決まってるからな!」
クラッドカルト :
「わけわかんない!おまえきらい!!」 うぇぇ、と嫌そうに表情を歪める
十条ミツキ :
「"クラッドカルト"に同感だ。アンタの言っていること、1mmも共感できない」
十条ミツキ :
「アンタの言葉、さっきからスッカスカで何も響かないんだよ。元アイドルの癖につまらない男。そんなアンタに、こよみが馬鹿にされる筋合いなんてあるか……!」
五十嵐タクミ :
「なんや、そんなことまで調べられとったんか」
五十嵐タクミ :
「懐かしいなあ。そういえば俺アイドルやってたんやっけ。もう大分前やから忘れとったわ」
十条ミツキ :
「忘れる程度のモノだったって言うのなら、もういいよ。とにかく、今のアンタに脅されようが、見下されようが、アタシは退かないし逃がさない」
五十嵐タクミ :
「ふーん…………」 何を考えているか読めない目でミツキをジッと見つめた後
五十嵐タクミ :
「……ま、アイドルの話なんか俺もどうでもええわ」
五十嵐タクミ :
「それより、ずっと気になってたんやけどさぁ」
五十嵐タクミ :
「自分、なんでそんなにこのガキのこと助けたいわけ?別にどうでもええんちゃうの?」
十条ミツキ :
「時間稼ぎのつもり?分かりきっているでしょ」
十条ミツキ :
「アタシはこよみの友達で、マネージャーだ。こよみからの信頼も、未来も、これからは何一つ無くしたくない」
十条ミツキ :
「……これ以上を、背負うものも約束もないアンタ如きに聞かせる筋合いなんてないよ」 真っ直ぐに五十嵐を睨みつける。
天海こよみ :
「ミツキちゃん……」 傷ついた体を支えながらも、ミツキの言葉をしっかりと聞いている
五十嵐タクミ :
「ふーん……?ふ~ん……?」
五十嵐タクミ :
「友達、マネージャー……ねえ……」 ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながらミツキを見てから
五十嵐タクミ :
「クク……アッハハハハハ!!!」 突然、おかしそうに笑い始める
十条ミツキ :
「……何がおかしい」
五十嵐タクミ :
「いやいや、そりゃおかしいやろ!」
五十嵐タクミ :
「だってお前……」
五十嵐タクミ :
「ジャームやろ?」
十条ミツキ :
「………」
十条ミツキ :
「……は…?」
十条ミツキ :
その発言に、何を言っているか分からないといった風に声を漏らす。
天海こよみ :
「……何……?」
クラッドカルト :
「いってるの?あいつ……」 こよみとクラッドカルトの二人も、同様に口をぽかんと開けて
五十嵐タクミ :
「なんや、聞こえへんかったんか?」
五十嵐タクミ :
「ジャームやって言ってんねん。お前」
十条ミツキ :
「何を……言っているんだよ……」
十条ミツキ :
「咄嗟に言うにしてはめちゃくちゃだよ、その冗談。ジャームがこんな……冷静に、話せるわけ……侵蝕率にも問題なんて……」
十条ミツキ :
急激に頭の中が冷めていく感覚。彼の言っている意味がわからない。わからないはずなのに……何故か、その言葉はするりと自分の胸に突き刺さる。
天海こよみ :
「そうだよ……何言ってるの……?」
天海こよみ :
「ミツキちゃんが、ジャームなんて……。ぼく、怒るよ……っ」 槍を杖代わりにして立ち上がって、五十嵐を睨みつける
五十嵐タクミ :
「ハッ……」 馬鹿にするように鼻で笑って
五十嵐タクミ :
「なんや、気付いてへんの?自分、もうとっくの昔にジャーム化してんで」
五十嵐タクミ :
「あの日……自分のファンがアビシスに殺戮された時。暴走したクラッドカルトの力に影響されてな」
十条ミツキ :
「……ッ!」
十条ミツキ :
……五十嵐の発言に、思い当たるところは正直あった。自ら、アイドルとしての命を断ったあの日。MARiNE SNOWのファーストライブを終えた日の夜。他にも、普段の自分が起こさない行動や、無自覚な攻撃性を表に出してしまうことが度々あった。
十条ミツキ :
だが、それはレネゲイドには関係のない、精神的な障害が引き起こすものであると考えていた。決して……
十条ミツキ :
「アタシが、ジャームな……わけ……」
天海こよみ :
「ミツキちゃん……?どうしたの……?」 はっきりと否定しないミツキに戸惑い始める
五十嵐タクミ :
「どうやら心当たりがあるようやなあ」
五十嵐タクミ :
「おい、ガキ。教えたるわ」
五十嵐タクミ :
「今のこいつにとって一番大事なことは、お前を守ることやない」
五十嵐タクミ :
「十条ミツキ……こいつはほんまは、アイドルに戻りたいんや。その気持ちは消そうとしても消せるもんやない」
五十嵐タクミ :
「だからこそ、お前はジャーム化した。……暴走の時にかかった体への負担。それに大事なファンを失ったことへの精神的な苦痛」 ミツキの方に向き直って
五十嵐タクミ :
「そして、今まで自分が一番大事にしてたアイドルをやめなあかんっていう、残酷な事実」
五十嵐タクミ :
「こんなん、ジャームになってへん方がおかしいやろ。そうは思わんか?」
天海こよみ :
「ミツキちゃん……」 ミツキを不安そうに見る
十条ミツキ :
「ッ…!!」
十条ミツキ :
「アタシが……本当にジャームだったとしても。アイドルとしてのアタシも、アタシが抱いているこの感情も、全て偽りだったとしても」
十条ミツキ :
「今、アンタからこよみを守ることが出来たら……少なくとも、それだけは真実になるだろ!アタシはこよみの『マネージャー』としての誇りを持ってここに立っている!」
十条ミツキ :
「……人の感情を、憶測で測るな……ッ!!」 ざわつく己の心を抑え込むように、力強く啖呵を切る。
五十嵐タクミ :
「…………」
五十嵐タクミ :
「はぁーあ……」 大きくため息をつく
五十嵐タクミ :
「サムいなぁ……」
五十嵐タクミ :
「ほんまサムいねん、お前」 冷たい目でミツキを睨み
五十嵐タクミ :
「もう面倒やわ。そこまで言うなら、こっちも本気で分からせたる」
五十嵐タクミ :
「お前がどれだけ、まともな奴じゃないってことをな────」
GM :
ここで、五十嵐はEロイス《衝動侵蝕》を使用します。
Eロイス《衝動侵蝕》
タイミング:オートアクション
技能:- 難易度:自動成功
対象:シーン(選択)射程:視界
衝動:-
効果:取得時に、任意の衝動ひとつを選択すること。
このEロイスを使用することで、対象に衝動判定をさせることができる。
この判定に失敗した場合、対象が持つ衝動では無く、Eロイス取得時に選択した衝動が発生する。
その結果どのようなことが起きるかはGMが決定すること。
GM :
────ミツキの心臓が激しく鼓動する。
GM :
体から汗が一気に噴き出して、震えが止まらなくなる。
五十嵐の言葉を頭で否定しようとしても、自身の心が真実であると肯定していた。
GM :
……という感じで、戦闘前に行う衝動判定がこのタイミングで発生するので振ってください。
目標値は9。〈意志〉で判定し、失敗したら暴走状態になります。
判定を振り終わったら、成否に関わらず侵蝕率を2d10点上昇させてください。
十条ミツキ :
5dx 意志判定(5DX10) > 9[1,8,8,9,9] > 9
十条ミツキ :
2D10+104(2D10+104) > 8[3,5]+104 > 112
GM :
ミツキの体に宿るレネゲイドが騒めき始める。
GM :
強い精神的ショックを受けた時、強力なジャームと対峙した時、空間に残留するレネゲイド物質の影響を受けた時。
オーヴァードの侵蝕率は劇的に上昇し、衝動が暴走する可能性がある。
GM :
ミツキはそのことを知識として理解しているし、これまでそういった経験もあっただろう。
だが、今回は全く状態が違っていた。
GM :
ミツキの心の中で、強い衝動が暴れ回っていた。
それはミツキが今まで無意識の内に、必死に抑え込んでいたジャームとしての己自身だった。
ミツキの中に眠っていたもう一人の自分が、その体を支配し始める。
GM :
ミツキの手足は徐々に重くなり、まるで石のように動かすことができなくなっていく。
心臓は更に激しく鼓動し、息が詰まるような感覚がその胸を圧し潰していた。
GM :
ミツキは自分の体の自由が徐々に奪われていくのを感じ、絶望と恐怖、そして孤独を感じるだろう。
十条ミツキ :
「……ッ!!」
十条ミツキ :
これまで、ミツキが無意識に抑えていた黒い感情が噴き出す。激しい動悸と目眩、目の前で揺れるスポットライトの幻覚。あの夜のSNSを映す青白い光。
十条ミツキ :
ミツキは胸元を押さえようとするが、それすら叶わない。激しい耳鳴りと自分の歌声、そしてMARiNE SNOWの歌声がぐちゃぐちゃと騒ぎ立てる幻聴の中、その場に倒れ込む。
十条ミツキ :
「(そうだったんだ。アタシは……アタシは、そもそも)」
十条ミツキ :
「(マネージャーどころか、こよみの傍に立つ資格すら、無かったんだ…)」
天海こよみ :
「み、ミツキちゃん……!ミツキちゃん!!」
五十嵐タクミ :
「ミツキちゃんミツキちゃんうっさいねん!静かにしてろや!」
天海こよみ :
「きゃっ……!?」
GM :
五十嵐が触手を操り、こよみの体を縛り上げる。
しかしそれを目撃してもなお、ミツキは指一本として体を動かすことが出来ない。
GM :
……もう一人の自分自身が、こよみのことなんてどうでもいい、放っておけ……そんな風に囁いている。
十条ミツキ :
その通りだ。夢を奪われ、抜け殻と化した自分にとっては、何もかもどうでも良い。
十条ミツキ :
……本当に?
十条ミツキ :
ジャームである自分は、アイドルとしての自分。アイドルであるミツキにとって大切なものは、歌と、ダンスと、……
十条ミツキ :
「……ッッ」 ミツキが何か声を出そうとすると、空気が震える。ハヌマーンとしての能力が発現し始めている証拠だ。だが、それ以上は何も起こらなかった。
天海こよみ :
「ミツ、キ……ちゃ……」
GM :
こよみの声も出ない。ギリギリと、触手が体を締め付ける。
五十嵐タクミ :
「さーて、仕上げや……」
GM :
五十嵐は口角を上げて笑う。
GM :
都築京香がクラッドカルト進化のために五十嵐に授けたプラン。
GM :
その最終工程は、十条ミツキの殺害だった。
GM :
母親を再び殺し、父親の死を告げ、一番の友人を葬り去る。
GM :
そして、こよみは絶対的に絶望し────ジャームとなる。
GM :
クラッドカルトはジャームとなったこよみに共鳴することで、完成の時を迎えるのだ。
五十嵐タクミ :
「全てはプラン通り!死ねえ!!十条ミツキィ!!!」
GM :
五十嵐は勝利を確信した叫びと共に、触手を放つ。
先端がナイフのように尖った触手がミツキへと向かう。
GM :
高速で迫る死の刃を目の前にしながら、ミツキの体はまだ凍りついたように動かなかった。
十条ミツキ :
「……」 瞬き一つせず、迫る触手を見つめる。
十条ミツキ :
このまま死んだなら、もう何も考えることはない。こよみについた嘘も、償いも、そして既に壊れてしまっていた自分のことも。クズなアタシは、心のどこかでそう思ってしまった。
GM :
触手がミツキの胸を貫こうとする、その瞬間だった。
GM :
突如として、ミツキの目の前に飛び出す存在があった。
GM :
“彼”はミツキを庇うように両腕を広げ、迫り来る触手に立ちはだかる。
クラッドカルト :
「…………ッ!」
GM :
それは、クラッドカルトだった。
GM :
触手はクラッドカルトの胸を貫いたところで止まっている。ミツキのもとまでは届かない……。
十条ミツキ :
「──ッ!!」
十条ミツキ :
想定もしなかった光景に、身体中の筋肉が強張る。
十条ミツキ :
「(クラッド……カルト……!?)」
GM :
触手に刺されたまま、クラッドカルトが顔を振り向かせる。
その目からは、涙が静かに流れていた。
クラッドカルト :
「ミツ、キ……しなないで……」 掠れた声を振り絞って、話しかける
クラッドカルト :
「ミツキ、しぬと……コヨミ……かなしい……」
クラッドカルト :
「クラ、も……やだ……」
クラッドカルト :
「ミツキの、こと……。すき、だから…………」
クラッドカルト :
「おねがい……」
クラッドカルト :
「ミツキ、は……コヨミの、そばに……いて…………」
十条ミツキ :
「な……ァ……ッ」
十条ミツキ :
「何……してん、だよ……ッ!キミは……そんなこと、するヤツじゃ……」
十条ミツキ :
「…アンタも生きなきゃ……意味、ないだろうが……ッ!!!」 ジャームに蝕まれた感情の波が激しく荒れ、動かない体を動かそうと雷が迸る。
クラッドカルト :
「…………」
GM :
クラッドカルトは涙を流しながらも、微笑みを向けて……
GM :
やがて、その姿が霧散する。
GM :
そしてこれは、ミツキ、そしてクラッドカルト自身さえもまだ把握出来ていないことだが……
GM :
クラッドカルトの体は、レネゲイドビーイングのエフェクト《ファーコンタクト》で作られたものだった。
GM :
今もこよみの中に宿っている本体から、意識だけを一時的に移し替えた分身。
まだプランは完遂していない。つまり、クラッドカルトは完全な実体を得ていないのだ。
GM :
それ故に、攻撃を受ければあっけなく消えてしまう儚い幻だった。
十条ミツキ :
「……ッ!!!」 しかし、ミツキはそれを知らない。『クラッドカルトは自分を庇って消えてしまった』、そのことだけが目に映る真実だ。
十条ミツキ :
「う……ァ、そん…な……ッ」 体を取り巻く電流は消え失せ、ただ頭が真っ白になりながら、譫言のように呟く。
GM :
絶望するミツキをよそに、低いため息が部屋の中央から響く。
五十嵐タクミ :
「はぁ……白けることすんなや」
五十嵐タクミ :
「まあええか」
五十嵐タクミ :
「かっこよくいかんかっただけで、プランに狂いはないからな。もう一回ぶっ刺して────」
GM :
ブヂッ。
そんな鋭く短い音が、五十嵐の手元から聞こえた。
五十嵐タクミ :
「……あ?」
GM :
五十嵐は違和感を覚え、自分の手元に目を落とす。
GM :
見れば、こよみを拘束するために使っていた触手が、手首から千切れてしまっていた。
五十嵐タクミ :
「い゛……ッ!な、に……!?」
GM :
神経が剥がれる痛みに悲鳴を上げながら、五十嵐は視線を動かす。
GM :
その先には、千切られたトカゲの尻尾のようにビチビチと暴れる触手を、両腕で抱えるこよみの姿があった。
五十嵐タクミ :
「はぁ!?んなアホな────」
天海こよみ :
「……ッ!!えい!!」
GM :
驚愕する五十嵐の隙を突き、こよみは触手を力いっぱいに振り回す。
五十嵐タクミ :
「ほげェっ!?」
GM :
触手が五十嵐の顔面に直撃する。
五十嵐の体はそのまま吹っ飛び、奥の水槽に衝突した。
天海こよみ :
「……ミツキちゃん!!」
GM :
武器に使った触手を放り投げて、こよみがミツキのもとまで一直線に駆けつける。
十条ミツキ :
「………」 信じられない光景に驚きを隠せない。が
十条ミツキ :
「待ッ…こ、こよみ……!!来ないで……!!」 駆けつける直前に制止しようと声を上げる
天海こよみ :
「……っ、いや!!!」
GM :
ミツキに対して、初めて強く拒否する言葉をぶつける。彼女の足は止まらない。
十条ミツキ :
「………!!」 強い拒否の言葉に怯み、ただでさえギリギリの体で出していた声が詰まる。
天海こよみ :
「ミツキちゃん……!」 倒れたミツキの傍まで辿り着き、
天海こよみ :
「はぁ、はぁ……。だ、だいじょうぶ……!?」 息を乱しながら床に膝をついて屈み、その手を握りしめる
十条ミツキ :
「や……やめ……ッ!」 こよみを傷つけるかもしれない状況に怯え、声が震える。手の感覚も正直ほとんど感じられない。
十条ミツキ :
「き、聞いたでしょ……アタシ、ジャームなんだって……ッ!今も……必死に、抑えてるの……!!離れてよぉ……ッ!!」
天海こよみ :
「……!!ちがうよ……!!」
天海こよみ :
「ミツキちゃんは……ジャームじゃないよ……!!」 手を強く握って、そうはっきりと否定する
十条ミツキ :
「な……ッ!?」
天海こよみ :
「ミツキちゃんは、ジャームなんかじゃないよ……。そう、言ってるの……」
十条ミツキ :
「い、意味がわからないよ……だって、アタシ……アタシは……ッ!」 再度、声が、空間が震え始める。
十条ミツキ :
「五十嵐の……言う通りだったんだよ……!?何を根拠に、ジャームじゃない…なんて……!!」
天海こよみ :
「……五十嵐の言う通り、って」
天海こよみ :
「じゃあ、ミツキちゃんは……今でもアイドルにもどりたい、の?」 確かめるように聞く
十条ミツキ :
「……」
十条ミツキ :
「……わか、らない」
十条ミツキ :
「アタシに、そのつもりは……ない、はず……こよみとあの夜話したことは、本当」
十条ミツキ :
「でも……」 言い淀んでから、その言葉はふいに漏れる
十条ミツキ :
「アタシ……あの日のMARiNE SNOWを……デビューライブを見て、」
十条ミツキ :
「……確かに、嫉妬していた」
十条ミツキ :
自分でも自覚していなかった、否、気づかないようにしていた感情。本来であれば気付いたところで隠すであろうその言葉を、朦朧とした意識の中で零してしまった。
天海こよみ :
「しっと……」
天海こよみ :
「いやだった、ってこと……?」
天海こよみ :
「自分が、アイドルをやめなくちゃいけなかったのに……ぼく達は、ステージに立ってた、から……」
十条ミツキ :
「違う……違うよ、それは……!」
十条ミツキ :
「そうじゃなくて……アタシは、焦がれたんだ……眩しい景色と、観客の笑顔。キミたちの、今しか見られない流星のような煌めき」
十条ミツキ :
「何も分からないまま"クラッドカルト"を受け入れて、ただ楽しさを胸にステージに立てるその強さに、アタシは嫉妬した」
十条ミツキ :
「……ステージに戻ることは、誰にでも出来る。違う……アタシが本当に欲しかったのは、ステージじゃない……皆にありったけを届けられるだけの情熱だったんだよ……」
天海こよみ :
「ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「そっか……。そう、思ってたんだ、ね……」
天海こよみ :
「ごめんね、ぼく……。ぜんぜん、なにも……きづかなかった……」
十条ミツキ :
「違う……こよみは、何も悪くない……悪いのはいつだってアタシだけだ……」
十条ミツキ :
「こよみには……こんなこと、聞かせたくなかった……」
天海こよみ :
「……ううん」 首をぷるぷる横にふる
天海こよみ :
「教えてくれて、ありがとう……ミツキちゃん」 心配そうだった表情を、少し緩ませている
十条ミツキ :
「……お礼を言われるようなことじゃ、ないよ。ごめんなさい。……でも……」
十条ミツキ :
「……アタシが、ジャームであることはやっぱり本当なんだ。自分でわかる。だから、お願い……離れて」
十条ミツキ :
「こよみ、ボロボロだよ……お願いだから、これ以上アタシに傷つけさせないで……」 いつの間にか涙が溢れ、視界と共にこよみのシルエットが歪む。
天海こよみ :
「……ううん、だいじょうぶ。安心して」
天海こよみ :
「ミツキちゃんは、やっぱり……ジャームじゃないから」 ミツキとは正反対に、安心したように微笑みかける
十条ミツキ :
「それ…どういう……意味……?」
天海こよみ :
「ミツキちゃんが今言ってくれたこと、ぜんぶ聞いて……わかったの」
天海こよみ :
「ミツキちゃんがぼくにしっとして、じょうねつをほしがってたのは、きっと……そうなんだと、思う」
天海こよみ :
「ミツキちゃんの気持ちは、ぜんぶ……本当だよ。でも……」
天海こよみ :
「だからって、ぼくの友達でいてくれることは、友達でいたいって気持ちは……うそにはならないよ」
天海こよみ :
「さっきも、ミツキちゃん言ってたよ。あの夜に話したことは、本当だって……」
十条ミツキ :
「嘘じゃない。アタシは……あの日、本当に一緒に卒業できたと思っていたし……友達という関係に落ち着けた」
十条ミツキ :
「でも、事実としてアタシは卒業できていなかった……あの日の屋上に、アタシはまだ1人でうずくまっていたんだ。アタシは、今までそれに気づかなかった」
十条ミツキ :
「こんなことにすら気づけなかった時点で、アタシは……とっくに、壊れているんだよ……」
天海こよみ :
「……こわれちゃっても、なおせるよ」
天海こよみ :
「ミツキちゃん、ごめんね。ぼく、本当になにもわかってなかった……」
天海こよみ :
「ミツキちゃんがうずくまってるなら、ぼく……がんばってささえるよ」
天海こよみ :
「また立ち上がれるように、歩けるように……」
天海こよみ :
「ぼくがずっと、そばにいるよ……」
十条ミツキ :
「……」 こよみの、健気なまでに献身的な言葉と笑顔に、相変わらず胸に引き裂かれるような痛みを覚える
十条ミツキ :
……この強さが自分には苦しいのだと、告白したばかりなのに。
十条ミツキ :
「……ありがとう、こよみ。ごめんね、アタシ……本当に、情けないよ……」
十条ミツキ :
「……アタシも、こよみのそばに居たい。まずはここから出ないといけないし……五十嵐のことも、何とかしないと……」
十条ミツキ :
自分に言い聞かせるように呟きながら、こよみの言葉を否定することをやめる。彼女の強さに、真正面から敵うわけがない。
十条ミツキ :
……ここで仲間同士言い争い続けても仕方がない。事実、まだ意識がジャームとして呑まれた自覚はない……この水族館が出るまで、持つはずだ。
十条ミツキ :
「こよみは、強いね。それなら……もう少し、頼らせてもらおうかな……」 うっすらと微笑みかける。
天海こよみ :
「……うん」
天海こよみ :
「ぼくのこと、いっぱい……たよって」
天海こよみ :
「ぜったいに、そばにいるよ。いつまでも、ミツキちゃんといっしょに……」
GM :
こよみはミツキの手を両手で包み込むように握りしめる。
GM :
その手から、ミツキは確かな温もりを感じるだろう。
GM :
冷たく凍りついていた感覚が、優しく溶けるようにして戻ってくる。
GM :
視界は徐々に鮮明になって、こよみの笑顔がはっきりと見える。
GM :
そして、心の奥底で狂うように暴れていたもう一人の自分が、欲望が……静かにその音を潜めた。
GM :
こよみは古代種のエフェクト《リプレッション》を使用。
ミツキは自身の侵蝕率を、1%~20%まで任意の数値分減少させることが出来ます。
十条ミツキ :
では、12%分肩代わりしてもらいます…!現在100%。
system :
[ 十条ミツキ ] 侵蝕率 : 112 → 100
GM :
了解!ではここから体の硬直が解けて動けるようになります。
十条ミツキ :
「……」 ともすれば、この1年と数ヶ月に感じた中でも、一番安らぎに近い感覚を覚える。
十条ミツキ :
「こよ……み……」 ……どうして、ここまでするの?という言葉を飲み込み、ようやく動くようになった手でしっかりと握り返す。
十条ミツキ :
「ありがとう。心も、身体も…すごく、軽くなった。……それと、ごめんね、重い荷物を背負わせちゃって……」
天海こよみ :
「ううん。いいの」
天海こよみ :
「ぼくは、ミツキちゃんのこと……だいすきだから」
天海こよみ :
「これからも、いっしょにもたせてほしいな……。ミツキちゃんの、にもつ……」 小さく笑いかける
十条ミツキ :
「……ありがとう」 曖昧に返し、頭を優しく撫でる。
十条ミツキ :
「アタシも……こよみのこと、本当に大切に思っている。大好きだよ…」
天海こよみ :
「……うん!」 幸せそうな笑顔で頷く
GM :
────その時
GM :
背筋の凍るような強い殺気が、こよみとミツキに突き刺さる。
五十嵐タクミ :
「ふざけ……やがって……」
GM :
そこには、負傷を修復させた五十嵐が立っていた。
彼は怒りに染まった瞳でこよみとミツキを睨みつけている。
十条ミツキ :
「……!」 思ったよりも早い復活に驚きながら、電磁波に身体のバランスをサポートさせつつふわりと立ち上がる。
十条ミツキ :
「五十嵐……!」
天海こよみ :
「……もうおき上がってこないのかと、思ってた」 立ち上がり、そちらを向く
五十嵐タクミ :
「クソガキが……。よくもやってくれたなぁ……」
十条ミツキ :
「それは……アンタが言えたセリフじゃないだろ……!」
十条ミツキ :
「アンタを倒して、ゼノスの計画も潰させてもらう。今、アタシがこよみに贈れるのは、こよみにとって平穏な日常と…アイドルとして笑顔で立てるステージなんだ!邪魔は、させないよ……!」
五十嵐タクミ :
「うっさいわボケ!!黙れカス!!!」
五十嵐タクミ :
「もう任務なんかどうでもええ!!ぶっ殺したる!!」
五十嵐タクミ :
「お前も……ガキも……何もかも……」
五十嵐タクミ :
「テメエら全員……皆殺しや……ッ!!!」
GM :
五十嵐は都築京香からの《異能の継承》で得たレネゲイドビーイングのエフェクト、《アバターフォーム》を使用。
GM :
五十嵐の体の周りに渦潮が発生し、その身を包み込んで隠す。
GM :
ミツキ達から見えるのは、渦巻く水のカーテンの奥に立つ男のシルエット。
GM :
その影の輪郭が歪み、巨大に膨れ上がる。
勢いを増していく渦潮に合わせるようにして、黒い姿が急速に変化した。
GM :
やがて渦潮は収まって消え去り、中に潜んでいた正体を現わす。
GM :
それは半魚人以上の巨体であり、人間の形は全く残されていなかった。
GM :
その姿を一言で表現するならば、イカとエイを混ぜ合わせた異形だろう。
GM :
深海から這い出したような醜悪な怪物が、触手をうねらせながらこよみとミツキを見下ろしていた。
十条ミツキ :
「……!!何、この姿……!?」 伝承などでも見たことがない異形の姿に目を見開く。
天海こよみ :
「……ミ……ミ、ミツキちゃぁん……」 怯えた目で、ミツキの服の裾を弱々しく掴む
十条ミツキ :
「お、おぉ……さっきまであんな凛々しかったのに……大丈夫だよ、五十嵐だから……」 こよみのギャップに逆に動揺しつつ、少しだけ毒気が抜かれた様子で微笑む
天海こよみ :
「だ、だって……あんな風になるなんて、思ってなかったもん……」
天海こよみ :
「それに、きもちわるいし……」
五十嵐タクミ :
「何が五十嵐だからや、五十嵐だからってどういう意味やねん!!!」 若干くぐもったような声だが、確かに五十嵐の声だ
五十嵐タクミ :
「あと聞こえとんぞガキ!!気持ち悪いちゃうわ!!!」
十条ミツキ :
「わからない?……アンタは正体不明のバケモノじゃない。だから倒せるってことだよ」
十条ミツキ :
「あと、キモいかって言えばキモいよ。アタシもマジでそう思う」 煽る意図はないようだ
五十嵐タクミ :
「舐めたことばっか言いよって……後悔させたるわ……ッ」
十条ミツキ :
「その言葉も……そのまま、お返しするよ!覚悟しろ、五十嵐!!」 ポケットから端末を取り出し、青く輝くネイルを滑らせる。
十条ミツキ :
「Medusa、起動!キミの本気、見せてみろよ……!」 プログラムによる認証を終え、Medusaがカシャン、カシャンと軽い音と共に展開。電磁力によりふわりと浮かび上がると、そのままミツキの背に取り憑く。
十条ミツキ :
「今、すっごくムシャクシャしてるんだ……五十嵐、主にアンタのせいでね!!最後まで付き合ってもらうから……!!」
天海こよみ :
「……ミツキちゃん」 Medusaを装備したミツキを、覗き込むように見て
天海こよみ :
「ぼくも……たたかうよ」 傷ついた体を支えながら、足下に落ちていた槍を拾う
十条ミツキ :
「こよみ……!ダメ、危ないよ。散々戦って、感情を揺すぶられた後だ。こよみは自覚していないかもしれないけど……これ以上戦うのは危険だ……!」
天海こよみ :
「ううん、だいじょうぶ。ぼく、ミツキちゃんのこと……守りたいの」
天海こよみ :
「それに、ミツキちゃんも……ぼくのこと、守ってくれる……でしょ?」 小さく笑いかける。細められた目の奥には、強い意志が宿っているのが見えた
十条ミツキ :
「……ッ!」
十条ミツキ :
「……うん、守るよ……さっきも言ったでしょ」
十条ミツキ :
「こよみを守れたら……こよみが、明日も生きることができたら。それは間違いなく、『本当』に……真実になる、から……!!」
十条ミツキ :
そう、シャウトするように言い放つ。
天海こよみ :
「うん……!」
天海こよみ :
「あの人をたおして……ここからいっしょに出よう、ミツキちゃん……!!」 槍を両手で持ち、構える
十条ミツキ :
「うん。…行こうっ、こよみ……!!」
GM :
二人の少女は巨大な海の怪物に立ち向かう。
GM :
この水族館から脱出するため、最後の戦いが始まった。
十条ミツキ :
天海こよみのロイスをSロイスにします!
GM :
了解です!
【行動値】
10 五十嵐タクミ
06 十条ミツキ
【初期配置】
五十嵐タクミ
|
(10m)
|
十条ミツキ
【勝利条件】
・五十嵐タクミの撃破
【NPCスキル】
天海こよみは戦闘に直接参加しないが、PLは適当なタイミングで宣言することで以下の効果を使用することが出来る。
・妖精の手
PCが判定のダイスを振った直後に使用出来る。
その判定のダイス目のひとつを10に変更する。
使用可能回数:3回
・リザレクション
PCが戦闘不能になった直後に使用出来る。
戦闘不能状態を回復し、HPを2D10点まで回復する。
使用可能回数:1回
・スカイクラッド
好きなタイミングで使用出来る。
敵に10D10点のHPダメージを与える。
使用可能回数:1回
◆第一ラウンド
GM :
・セットアップ
GM :
エネミーもPCも特にないので、飛ばして次のプロセスに進みます。
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値10、五十嵐タクミのメインプロセス。
GM :
マイナーアクションで《骨の剣》
メジャーアクションで《伸縮腕》+《貪欲なる拳》+《ジャイアントグロウス》+《コンセントレイト》を使用。
対象はミツキ。
GM :
12dx+9@7 命中(12DX7+9) > 10[1,2,2,3,3,4,5,5,6,8,9,10]+10[5,6,7]+3[3]+9 > 32
GM :
微妙だあ、リアクションどうぞ
十条ミツキ :
リアクションはしません、HPで受けます!
GM :
了解です、ではダメージ
GM :
4d10+18+2d10 ダメージ(4D10+18+2D10) > 25[6,3,9,7]+18+4[2,2] > 47
GM :
微妙だが?
GM :
47点のダメージです
十条ミツキ :
こちらとしても悲しい、ではそのまま受けてHP-47します
system :
[ 十条ミツキ ] HP : 74 → 27
五十嵐タクミ :
「死ねやぁ!!アホボケカスゥ!!」
GM :
五十嵐は叫びながら、異形の体から伸びた三本の触手を振り回す。
その触手は柔軟でありながら、ただの人間程度なら簡単に叩き潰せる破壊力を持つ。
GM :
触手は広い部屋を一気に薙ぎ払いながら、怒りのままにミツキに襲いかかる。
十条ミツキ :
「……!!」 Medusaの口腕をクロスさせ、その触手を受ける。ミツキ自身も歯を食いしばって衝撃を耐え……一部の装甲が破壊されながらも、完全に受け切ることに成功する。
十条ミツキ :
「……嘘でしょ。耐え切れちゃったじゃん」 余裕、とまではいかないが、五十嵐に向かって口角を上げて見せる。
五十嵐タクミ :
「なんやと……ッ」
天海こよみ :
「ミツキちゃん、平気なの……!?」 触手を避けたのか、それとも偶然当たらなかったのか、こよみの方は無傷のようだ
十条ミツキ :
「結構頑丈に調整してもらっているから…!!大丈夫、心配しないで!」 こよみに向かって触手をふわりと上げて見せる
天海こよみ :
「う、うん……!」 ふわりと上がった触手に小さく笑って
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値06、十条ミツキのメインプロセスです。行動をどうぞ。
十条ミツキ :
イニシアチブプロセス、オートアクションでアームブレードを装備!
十条ミツキ :
マイナーで戦闘移動し五十嵐タクミにエンゲージ、メジャーで《コンセントレイト:ブラックドッグ》+《アタックプログラム》+《雷鳴の申し子》+《バリアクラッカー》。攻撃対象は五十嵐タクミ!
GM :
了解です、命中どうぞ!
十条ミツキ :
8dx7+15(8DX7+15) > 10[2,3,4,4,5,6,7,8]+10[2,7]+3[3]+15 > 38
十条ミツキ :
むーん🌕
GM :
むーん、妖精の手は使います?
十条ミツキ :
そうね、使います!たすけてこよみちゃん
GM :
こよみ妖精、助けます
GM :
では最後の出目を10に変えて一回クリティカルするので、「1dx7+45」で振ってください。
十条ミツキ :
了解!
十条ミツキ :
1dx7+45(1DX7+45) > 10[10]+5[5]+45 > 60
十条ミツキ :
こ、こよみちゃんパワー…!
GM :
愛のパワーです、では五十嵐はドッジします
GM :
8dx ドッジ(8DX10) > 10[1,1,3,6,8,9,9,10]+8[8] > 18
GM :
ちょっと頑張ったけどダメ!ダメージの方どうぞ
十条ミツキ :
足掻きを…
十条ミツキ :
7d10+9+50+2d10(7D10+9+50+2D10) > 37[6,3,8,6,8,1,5]+9+50+3[2,1] > 99
十条ミツキ :
HPが0になりまして、オーメン相良のロイスを切って立ちます!
GM :
一応リザレクションも使えるよ、タイタスの方でだいじょうぶ?
十条ミツキ :
大丈夫!次の五十嵐の攻撃でリザレクションした方が、HP低くなるかなーと思うので
GM :
了解です、ではコマのHPと侵蝕率とロイスの方を調整してもらって!
system :
[ 十条ミツキ ] HP : 27 → 15
system :
[ 十条ミツキ ] 侵蝕率 : 100 → 113
system :
[ 十条ミツキ ] ロイス : 6 → 5
十条ミツキ :
「フル充電とはいかなかったけど……今、使うしかないよね」
十条ミツキ :
──クラゲ型戦闘支援ロボット・Medusa。装備者の身体能力向上と、装甲としての機能を持つ。
十条ミツキ :
そして、『彼』は……ミツキの持つ能力から産まれた、元・電子生命体の死骸だ。
十条ミツキ :
その能力は、受けたダメージを発電細胞を介してプラズマエネルギーへと変換、放電することでダメージを倍返しするというもの。
十条ミツキ :
……五十嵐の攻撃を耐え切ったミツキは、そのまま特攻を仕掛けるように駆け出す。水族館の床面のパネルが剥がれ、Medusaから迸るプラズマによる斥力がそれらを浮かす。時が止まったようにも見えるその中を、ミツキは矢のように真っ直ぐに貫く。
十条ミツキ :
その勢いのまま。ミツキは口腕を腕に絡ませ、五十嵐に向かって思いっきり振り抜いた。
十条ミツキ :
激しい雷鳴のような轟音と共に、刹那、暗い水族館は眩しい光に包まれた。五十嵐は霞む視界の中、身体が抉られるような激しい痛みと痺れを覚える。
五十嵐タクミ :
「ッグウゥ!!!」
GM :
五十嵐の巨体が揺れる。攻撃を防ぎきれなかった触手が雷に焼かれて千切れ飛んだ。
五十嵐タクミ :
「カスがぁ……!!効かへんわ、こんなもん!!」
GM :
視力の戻った四つの異形の目でミツキを睨みつけながら、五十嵐が吐き捨てるように言う。
GM :
だが、ミツキが感じた確かな手応えは、彼の言葉が真実ではないことを物語っているだろう。
十条ミツキ :
「ふぅん、それなら良かった……アンタには、まだ付き合ってもらわなきゃ困るんだよ……!」 近距離から上目遣いで睨みつけ、後ろを振り返る。
十条ミツキ :
「そうでしょ、こよみ!!!」
天海こよみ :
「うん……!!」
十条ミツキ :
NPCスキル、〈スカイクラッド〉を使用します!こよみちゃん、暴れておいで
GM :
了解、暴れます!
GM :
でもダメージのダイスはPLに振ってもらおうかな、ほら…この卓のGMは出目が…カスだし…
GM :
「10D10」振ってください
十条ミツキ :
GMの自信が…!了解、緊張の一投です
十条ミツキ :
10D10(10D10) > 65[9,4,10,9,6,4,9,4,1,9] > 65
十条ミツキ :
ほっ
GM :
良いでは~!
GM :
では五十嵐は65点受けます。そしてさっきのミツキちゃんのダメージが99点なので、合計で164点
GM :
五十嵐のHPは150点なので、戦闘不能になります。
十条ミツキ :
い、五十嵐……!!
GM :
ですがオートアクションで《不死不滅》を使用。
HP40点で戦闘不能状態を回復します。
十条ミツキ :
五十嵐〜!(歓喜の意味)
GM :
まだ殴れて喜んでいます、なので戦闘はまだ続きます。
GM :
ミツキに頷き返して、こよみが全速力で走り出す。
GM :
床を蹴り立てる衝撃と足音を疾風のように響かせながら、五十嵐の巨体の真横へと回り込もうとする。
五十嵐タクミ :
「逃がすかボケェ!!」
GM :
五十嵐が怒号を放ちながら、触手を追跡させる。
高速で宙を這う触手はすぐにこよみに迫り、その先端を彼女の背中に突き立てようとした。
五十嵐タクミ :
「ッ!?」
GM :
だが、触手がこよみの背を貫くことはなかった。
こよみの肌に触れるその直前に、触手の動きが停止したからだ。
GM :
────こよみの足音が、声が、息遣いが。
彼女が発する全ての音が振動となって空間を伝わり、五十嵐の心に“共鳴”していた。
五十嵐タクミ :
「……ざけんなや」
GM :
“こよみへの攻撃を止めろ。”
GM :
共鳴する五十嵐の心に命令を放ったのは、こよみに宿るレネゲイドビーイング。
クラッドカルト────知性と自我を新たに得た、少女の友人。
五十嵐タクミ :
「誰に使っとんねん……」
GM :
こよみはクラッドカルトの共鳴の力を使いこなしていた。
そしてクラッドカルトもまた、こよみに力を貸していた。
GM :
このコンビネーションに対する相談や練習は一切ない。
GM :
両者にあるもの、それは。
GM :
紀元前より昔に生まれてから崇拝され、肉体が滅んでもなお数多の生物に取り憑いて生き延びてきたクラッドカルトが、今まで得ることが出来なかったもの。
GM :
崇拝でも利害でも恐怖でもない、人と人が結ぶべき真に対等な関係。
GM :
クラッドカルトが心の奥底で望み続け、しかしその力故に諦めてしまっていた、確かな絆だった。
五十嵐タクミ :
「ゴミどもがぁ!!!」
GM :
何千年もの時を超えて現れた偶像の適格者は、もう止まらない。
GM :
触手を振り払い、海水の波に乗って五十嵐の眼前まで跳び上がる。
天海こよみ :
「ってえい!!」
GM :
こよみが放ったトライデントが、怪物の眉間に突き刺さる。
渦巻く海水と共に放たれた渾身の一撃に、五十嵐が絶望の叫びを上げた。
十条ミツキ :
「……!!!」 こよみの見せた未知の能力。いや、未知なんかではない。ミツキは知っている。
十条ミツキ :
「"クラッドカルト"……!そこに……こよみといるんだね……!?」
天海こよみ :
「うん……」 水飛沫を上げながら、こよみは床に着地し
天海こよみ :
「クラちゃんも、いっしょにいるよ……!」 ミツキに振り返り、胸元に手を当てながら微笑む
十条ミツキ :
「……!」
十条ミツキ :
「良かった……!」 ふ、と柔らかな本心からの笑みを浮かべる。
天海こよみ :
「ん……!」 こよみのその笑顔は姿が同じなのもあって、クラッドカルトが微笑んだようにも見えるだろう
五十嵐タクミ :
「クラッドカルトぉ……!!お前ぇぇ……!!!」
GM :
五十嵐の眉間に穿たれた穴が高速で再生していく。
GM :
ブラム=ストーカーシンドロームによる修復能力。
GM :
今受けた傷だけではなく、これまでの負傷まで全て完治している。だが、体力はかなり消耗する力らしい。
GM :
五十嵐はこよみとミツキ、そしてこよみの中に宿るクラッドカルトを睨みつけながら、荒く息を繰り返していた。
十条ミツキ :
「……!やっぱり、簡単には倒されてくれないか……!」 再度表情を引き締める。
十条ミツキ :
「こよみ、"クラッドカルト"!気をつけて…必ず、全員でここを出るんだから……!!」
天海こよみ :
「うん……!!」 槍を両手で構え直し、力強く頷く
GM :
・クリンナップ
GM :
五十嵐は《高速再生》を使用。HPを30点回復させます。
GM :
なので、現在のHPは70点に。
◆第二ラウンド
GM :
・セットアップ
GM :
五十嵐は《ヒュドラの怒り》を使用。
このラウンド中のメジャーアクションのダイスを+3個、攻撃力を+9して、暴走状態になります。演出は無し。
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値10、五十嵐タクミののメインプロセス。
GM :
マイナーアクションは無し。
メジャーアクションで前ラウンドと同じコンボ、《伸縮腕》+《貪欲なる拳》+《ジャイアントグロウス》+《コンセントレイト》を使用。
ミツキに攻撃を行ないます。
GM :
15dx7+9 命中(15DX7+9) > 10[1,1,1,3,4,4,5,6,7,7,8,8,8,8,9]+10[2,3,9,9,10,10,10]+5[2,2,3,4,5]+9 > 34
GM :
だめだね
GM :
リアクションどうぞ
十条ミツキ :
GMの出目本当に何…リアクションはしません!ダメージロールお願いします
GM :
GMのダイス誰か取り替えて。ダメージいきます
GM :
4d10+27+2d10(4D10+27+2D10) > 19[4,7,7,1]+27+11[10,1] > 57
GM :
57点のダメージです
GM :
タイタスかリザレクションの使用をどうぞ
十条ミツキ :
HP0になりました、NPCスキルのリザレクションを使用します!
GM :
了解です、では2D10点のHPで戦闘不能状態を回復します。
GM :
これもPLに振ってもらいましょう。お願いします。
十条ミツキ :
了解です、いいかいこよちゃん、今回は頑張らなくていいからね
十条ミツキ :
2D10(2D10) > 7[6,1] > 7
十条ミツキ :
良い子ちゃん
GM :
えらい!
system :
[ 十条ミツキ ] HP : 15 → 7
五十嵐タクミ :
「ッオオオオオオオオオオ!!!」
GM :
異形の怪物がその巨体を持ち上げて咆哮する。
その体からは新たな触手が次々に伸び始め、合計八本の触手が宙を舞う。
GM :
しかし、この力にはリスクがあった。
GM :
体を異形化させ、手数を増やしても脳は一つ。
これほどの数の触手は自在には操れないし、五十嵐の脳回路は焼き切れてしまう。
GM :
だがそれが逆に、彼の凶暴性を上げることとなった。
五十嵐タクミ :
「ブッ潰レロォ!!!」
GM :
理性を完全に失った五十嵐は、八本の触手を頭上から叩きつけてくる。
もはやミツキを正確に狙ってはいない。触手を鞭のようにしならせて、部屋全体を無差別に破壊していた。
十条ミツキ :
「……!!!」 先程までとは異なる、理外の化け物のような攻撃。横薙ぎに迫り来る触手をいなそうと構えるが、あまりの力に跳ね飛ばされ、壁に背中から激突する。
十条ミツキ :
「がっ……ぅ、グ……ッ!!」 肺に肋骨が突き刺さり、苦しげに呻く。Medusaで相殺しきれなかったダメージが、ミツキにも及んだのだ。やはり五十嵐の力は強大なものであることを痛感する。
天海こよみ :
「ミツキちゃん!!」
GM :
触手の隙間を縫うようにして、こよみがミツキのもとへと駆けつける。
GM :
まだクラッドカルトの能力は機能しているらしい。あれだけの猛攻でも、触手は一本もこよみには届いていないようだった。
天海こよみ :
「ミツキちゃん……!だいじょうぶ……!?」 ミツキの前で屈み、顔を覗き込む
十条ミツキ :
「こよ、み……ゔ……ッ!」 声を上げようとするが、痛みに耐えかね表情を歪める。
天海こよみ :
「……!しっかり、して……ミツキちゃん……!」
GM :
こよみは倒れたミツキに覆いかぶさるようにして、その体を抱きしめる。
GM :
すると、その瞬間。
こよみの展開した領域が青く輝き、ミツキの体を透明の泡が包み込んだ。
GM :
その見た目は、あかりが眠る時に使っていた力に少し似ている。
GM :
だが、違う。この泡が回復させるのは疲労ではない。
GM :
回復させるのは負傷だ。見れば、ミツキは自分が負った傷が瞬時に修復されていることに気付くだろう。
GM :
それは海を司るこよみの古代種としての力。命をもたらす母なる海による秘儀だった。
十条ミツキ :
「……っ」 あかりの暖かな笑みと、こよみの姿が重なる。視界が滲むのは、泡越しに世界を見ているからだろうか。
十条ミツキ :
「……ありがとう、こよみ……もう、大丈夫」 泡の中から薄く微笑みかける。
天海こよみ :
「ミツキちゃん……!よかった……!」 ミツキの微笑みを見て、安心したように離れる
十条ミツキ :
まだ完全回復とは行かない、体を動かすたびに鋭い痛みが走る。だが。
十条ミツキ :
「うん。……よし、もうひと踏ん張り……しちゃおうかな……!」
十条ミツキ :
泡の表面を破り、こよみに向かって手を上げて笑う。
十条ミツキ :
「そこで見ていて。アタシ……最後にもう一度、こよみに惚れられたい。こよみの記憶の中のアタシは…やっぱり、カッコよくなくちゃダメだと思うから…!」
天海こよみ :
「うん……わかった」
天海こよみ :
「がんばって、ミツキちゃん……!!」 嬉しそうに、ミツキに笑い返す
十条ミツキ :
小さく頷き、半壊状態のMedusaを浮かばせ五十嵐に向き直る。
GM :
・イニシアチブ
GM :
行動値06、十条ミツキのメインプロセスです。行動をどうぞ。
十条ミツキ :
マイナーなし、メジャーで《コンセントレイト:ブラックドッグ》+《アタックプログラム》+《雷鳴の申し子》+《バリアクラッカー》。対象は五十嵐タクミ。
GM :
了解です、命中どうぞ
十条ミツキ :
8dx7+15(8DX7+15) > 10[1,2,3,3,5,5,5,10]+1[1]+15 > 26
十条ミツキ :
こよみちゃんー!!!!フェアリーこよみちゃんー!!!!!たすけて
GM :
さっきかっこよくやったのに!仕方ないなあミツキちゃんは
十条ミツキ :
ドラミちゃん…
GM :
フェアリーこよみ出動します。妖精の手で最後の1を10に変えてクリティカルさせるので、1dx7+35で振ってください
十条ミツキ :
ありがとう、マイエンジェル
十条ミツキ :
1dx7+35(1DX7+35) > 2[2]+35 > 37
十条ミツキ :
流石に言い方キモかったらしい
GM :
草 でもこよみは喜ぶよ
十条ミツキ :
かわちい
GM :
では五十嵐はヒュドラの怒りの効果で暴走しているので、リアクションはありません。ダメージをどうぞ
十条ミツキ :
4d10+9+70+2d10(4D10+9+70+2D10) > 20[2,2,10,6]+9+70+4[2,2] > 103
十条ミツキ :
固定値が友達
GM :
やつは絶対に裏切らない
GM :
ではHP70で装甲値も無視される五十嵐は103点のダメージを受け、再び戦闘不能になります。
GM :
そして、もう復活エフェクトはありません。これで戦闘終了になります。
十条ミツキ :
良かった…!
GM :
では侵蝕を上げてもらって、PC側が立っていないと一応勝利にはならないので、タイタスで復活もお願いします。
十条ミツキ :
天海あかりのロイスをタイタスにして復活!そして侵蝕をあげます。
system :
[ 十条ミツキ ] ロイス : 5 → 4
system :
[ 十条ミツキ ] HP : 7 → 15
system :
[ 十条ミツキ ] 侵蝕率 : 113 → 126
GM :
五十嵐は立ち上がってくるミツキを見下ろし、
五十嵐タクミ :
「ハァ、はぁ……何が……」
五十嵐タクミ :
「何ガ、アイドルや……!何が、笑顔でステージにタツ……や……!!」
五十嵐タクミ :
「ほんまモうサムいねん……どイつも、コイツもォ……ッ!!」 こよみやミツキだけではない、何かに怒るように吐き捨て
五十嵐タクミ :
「テメェらミテぇなドブカスどもガ……」
五十嵐タクミ :
「俺ェノ邪魔ァ……すンなやアアアアアアアアアアアア!!!!」
GM :
暴走状態の五十嵐が何を見ているのか、本人にしか分からない。
GM :
ただ彼は最後の力を振り絞り、八本の触手を振り上げようとしていた。
十条ミツキ :
「……!!!」 あの一撃をもう一度喰らえば、今度こそ無事では済まないことを確信する。ミツキはその場から駆け出し、再度五十嵐の懐に潜り込む。
十条ミツキ :
そのまま、異形とかした五十嵐のエラのような部位を掴み、グッと自分に引き寄せる。煌々と光る、青い瞳が並ぶ。
十条ミツキ :
「……アンタに何があったかは知らないけど。確かに、アイドルってサムいし、痛いし、辛いよ」
十条ミツキ :
「だけど……!!!」
十条ミツキ :
Medusaの触手の一本一本が伸び、五十嵐の巨大なシルエットを覆い隠さんばかりに拡がる。そして再度、彼の視界は煌めく!
十条ミツキ :
「だからこそ、アイドルの輝きは尊いんだろうが!!!!!二度と忘れんじゃねえ──!!!!!!」
十条ミツキ :
中央にいるミツキ自身もただでは済まない、先ほどの威力を超えるショックが五十嵐を襲う
五十嵐タクミ :
「─────ッ!!」
五十嵐タクミ :
「ガッ……アアアアアアアアアアアアアアアアアッッ……!!!」
GM :
……雷光が消える。そして、
GM :
海の悪魔が、ついに倒れる。
巨体が床に伏し、水族館を大きく揺らした。
GM :
数秒の沈黙の後、異形の体は黒い墨になって溶けていく。
戦闘続行不可能を意味する、変身能力の解除。
GM :
墨の中から現れたのは、意識を失って倒れた、人間の姿の五十嵐タクミだった。
十条ミツキ :
異形の体が溶け消えると同時、Medusaもまた、カシャン、と軽い音を立てて床に落ちる。虹色に輝いていたはずの傘は濁った半透明となっている。
十条ミツキ :
「……ッ」 そして、ミツキもまた、荒い息を吐く。足元はふらつき、Medusaを浮遊させるだけの力を割くリソースも残されていないが……それでも、彼女はそこに立っていた。
十条ミツキ :
「……こよみ。終わったよ……」
天海こよみ :
「……うん」
天海こよみ :
「やったね……ミツキちゃん」
GM :
ミツキに駆け寄ったこよみは、その体を支え……優しく微笑みかけた。
GM :
シーン終了。
◆バックトラック
GM :
ではこれより、バックトラックに移ります。
まず、Eロイスは三つあるので減らせるダイスは合計三個。
GM :
任意で3d10分侵蝕率を減らした後、残ってるロイスの数のダイスをそのまま振るか、二倍で振るかを宣言して振っていってください。
十条ミツキ :
了解です、確実に帰りたいのでまずはEロイス分を振ります。
十条ミツキ :
3d10(3D10) > 27[9,10,8] > 27
GM :
すごいな!?
十条ミツキ :
なんなのおまえは
system :
[ 十条ミツキ ] 侵蝕率 : 126 → 99
GM :
もう生還ですが、一応通常で振ってもらいましょうか
十条ミツキ :
ふります、1倍です
GM :
どうぞー
十条ミツキ :
4d10(4D10) > 14[1,3,8,2] > 14
system :
[ 十条ミツキ ] 侵蝕率 : 99 → 85
十条ミツキ :
ともあれ生還!嬉しい
GM :
よかったよかった!ではエンディングにいきましょう
十条ミツキ :
お願いします…!
Scene10 最高のアイドル
GM :
ここからエンディングフェイズになります。
まずは戦闘が終わった直後のシーンから。
水族館 最深部
GM :
激闘の末、ミツキ達は“フォルネウス”五十嵐タクミを撃破した。
GM :
勝利を収め安心した途端、体内のレネゲイドが少しずつ落ち着いていくのを感じる。
戦いで激しく上昇していた侵蝕率が、低下しつつあるのだろう……。
天海こよみ :
「ミツキちゃん……だいじょうぶ?」 こよみの方も、侵蝕率は問題ないことが様子から見て分かる
十条ミツキ :
「大丈夫。……身体の方も、落ち着いたみたい」 小さく微笑み返し、こよみに支えられていた姿勢を立て直す。
天海こよみ :
「よかった……」
GM :
こよみが安心してミツキから手を離す。
GM :
その時、
五十嵐タクミ :
「……クク」
五十嵐タクミ :
「アハッ、アハハ、ハハハハハ……!!」
GM :
突然、五十嵐が狂ったように笑い出す。
五十嵐はまだ意識を失っていなかった。床に手を突きながら、傷付いた体をゆっくり起こしていく。
十条ミツキ :
「……!」 その笑い声に戦慄し、五十嵐を睨む。Medusaは半壊状態だ……戦闘が始まるのであれば、状況的にかなり苦しい
GM :
しかし、五十嵐もこれ以上の戦闘は不可能な程のダメージを負ったはず。
それでも彼は可笑しそうに笑い続けていた。
五十嵐タクミ :
「ヒッ、ヒヒ、ヒヒヒハハハハハハッ……!!」
天海こよみ :
「ど、どうしたの……?な、なにが……おかしいの……?」 不気味な五十嵐を見て、ミツキの服の裾を指で掴む
十条ミツキ :
「わからない。でも……気をつけて。アタシたち、この水族館から出られていない……まだ何が起きるかわからないよ」 こよみを近くに抱き寄せる
天海こよみ :
「う……うん……」
五十嵐タクミ :
「……あぁ、おかしい、おかしいに決まっとるわ……!」
五十嵐タクミ :
「お前らのこれからを思うと、救われなさを考えると、もうおかしくってたまらへんわ……!」 足下をふらつかせながら立ち上がる
十条ミツキ :
「何?」 眉根を寄せる。
五十嵐タクミ :
「おい、ガキぃ……」
五十嵐タクミ :
「お前、いつまでアイドル続けるつもりなん?」 こよみを見て
天海こよみ :
「え……?い、いつまでって……」
天海こよみ :
「そんなこと、わ、わからない……」
五十嵐タクミ :
「ほぉ~?分からへんか。せやったら、お前はこのことも分かってへんな……」
五十嵐タクミ :
「そんなら、優しい俺が教えたるわ……」
五十嵐タクミ :
「今のお前がアイドルとして得ている人気は、ほとんどがクラッドカルトの力のおかげや……!」
五十嵐タクミ :
「オタクどもはほぼ全員、お前のことがほんまに好きになってるわけやない……!」
五十嵐タクミ :
「ん?そんなん分かってるって?いやいや、分かってへんなあ……」
五十嵐タクミ :
「なあ!?分かってへんよなあ!?」 ミツキを見て、続ける
五十嵐タクミ :
「どんだけ努力したとしても、本当の自分が認められているわけやないっていう苦しみをな……!」
五十嵐タクミ :
「このガキはいずれ、お前と同じ苦しみに辿り着く!!ほんで、クラッドカルトという呪いに振り回されて、最後には必ず破滅する!!」
五十嵐タクミ :
「ほんま、救われへんよなあ……!えぇ?お前が味わった地獄を、こいつはこれからゆっくりと全部味わうんやで……十条ミツキィ……!!」
十条ミツキ :
「……」
十条ミツキ :
「……そう、だね。アンタの意見は尤もだ」 しばらくの沈黙の後、ミツキは口を開く
十条ミツキ :
「『自分』を誰も見ていない苦しみ。"クラッドカルト"に努力を横から根こそぎ奪われる悔しさ。アタシは深く絶望した」
五十嵐タクミ :
「せやろ!?せやろ!?悲しかったよなあ、十条ミツキ!!」
十条ミツキ :
「うん、悲しかった。ジャームに堕ちてしまうほどにね」
十条ミツキ :
「……でも。あの頃と今とで、状況は大きく変わった。アンタのせい…いや、結果として、アンタのお陰で」
十条ミツキ :
「"クラッドカルト"は、確かに成長した。こよみを悲しませるようなことは、もうしない。……いつか、こよみと対等な『友達』になるために、肉体を持つ日すら来るかもしれない」
十条ミツキ :
「もう、終わったんだよ。何もかもね」 一言一言を丁寧に紡ぐ。言い聞かせるかのような話し方は、気が立っている五十嵐にとっては、耳障りにすら思うかもしれない。
五十嵐タクミ :
「ハッ、何が終わったや。お前は何も分かってへん」
五十嵐タクミ :
「確かに、もうクラッドカルトはそのガキを悲しませることはせんやろうな」
五十嵐タクミ :
「やけど、そいつの能力は別や」
五十嵐タクミ :
「クラッドカルトはプランによって、その力を上げている」
五十嵐タクミ :
「力に強弱はつけれても、オンオフはもう出来ない。そういう状態になってる」
五十嵐タクミ :
「それと……肉体を持つ日が来るやって?それも根拠のない楽観的な考えや」
五十嵐タクミ :
「何故なら、京香ちゃんのプランでクラッドカルトが得るはずだった肉体っていうのは……」
五十嵐タクミ :
「そのガキの体、そのものやからな」 こよみを見る
十条ミツキ :
「……そっか。それは目論見が外れたな」 素直な言葉を零す。
十条ミツキ :
「体が手に入らないのは……少し、可哀想だね。でも、『京香ちゃん』…"プランナー"が言うことが全てじゃないでしょ。それに、能力は元からオンオフができるタイプではなかったと思うし…」
十条ミツキ :
「状況が悪くなった実感がないよ。それとも、まだ何かある?」
五十嵐タクミ :
「……悪くなった実感がない、か」
五十嵐タクミ :
「本気でそう思とるんやったら、お前はほんまにアホやな……」
GM :
声のトーンが落ちる。今までのような煽りではない。呆れのような、逆に一周回ってその身を案じるような異様な雰囲気があった。
十条ミツキ :
「……」
十条ミツキ :
「…そこまで言うなら、説明してよ。こっちは逃げたりしないんだから」 真っ直ぐに尋ね返す
五十嵐タクミ :
「ほな、よう聞け」
五十嵐タクミ :
「まず、“プランナー”のプランは、絶対や」
五十嵐タクミ :
「これは別に俺が心酔でもして盲目に言うとるわけやない。あのレネゲイドビーイングはマジで全てを見通しとる」
五十嵐タクミ :
「そのやばさ、恐ろしさを疑うなら、UGNの古株にでも聞いてみればええ。いくらでも嫌な話が聞けるわ」
五十嵐タクミ :
「あれはこれからお前らが思いつく程度のクラッドカルトの対策も、全て把握しとる」
五十嵐タクミ :
「ここで俺が負けることも、多分予測の範囲内。もしかしたらそれすらもプランの一部に組み込まれてるんやろうな」 若干自嘲するように言う
十条ミツキ :
「……そう」 思うところは無くもないが、五十嵐の意見としてはそうなのだと飲み込む。
十条ミツキ :
「……それで?」
五十嵐タクミ :
「お前らの状況はとっくの昔に、このプランが開始した時からずっと悪くなってんねん。俺に勝てて安心でもしてるなら大間違いや」
五十嵐タクミ :
「その上で聞いたるわ」
五十嵐タクミ :
「お前ら、これからどうするつもりなんや?」
十条ミツキ :
「つまり、アンタが言いたいのは…」
十条ミツキ :
「こよみが、"クラッドカルト"の能力を制御できる日は来ない。そして、"彼"の力に耐えられなくなったこよみは、いつか自滅する」
十条ミツキ :
「そして、それはアタシたちがアンタを倒してここを出て、自己解決できることではない」
十条ミツキ :
「だから…『そうなる前に、こよみが"クラッドカルト"に身体を開け渡すというプランを遂行させろ』って言いたいの?」
五十嵐タクミ :
「それは頼んだところで嫌や言うやろ。そんな無駄なこと俺はせん」
五十嵐タクミ :
「ただ、俺は興味があるから聞いとるだけや」
五十嵐タクミ :
「お前はこの問題に、これからどうするつもりなんや、ってな」
十条ミツキ :
「……今すぐは、答えを出せないよ。アンタの方がこの問題に余程しっかり向き合っているんだ……悔しいけど、きっとアンタの意見も正しいんだと思う」
十条ミツキ :
「ただ、アンタと"プランナー"の『プラン』に乗る選択肢はないね。それははっきりと言えるよ」
五十嵐タクミ :
「ハッ……そうか」 鼻で笑って
五十嵐タクミ :
「ほな、お前らの未来は結局どん詰まりや。答えも覚悟も持たずに、その場しのぎで何とかしようとあがくだけの奴らなんか……」
GM :
五十嵐が言葉を続けようとした時。
天海こよみ :
「……答えなら、もう出てるよ」 それを遮って、こよみが口を開いた
五十嵐タクミ :
「あ……?」
十条ミツキ :
「こよみ…?」
五十嵐タクミ :
「声が小さくてよう聞こえんかったわ。何が出てるって?」
天海こよみ :
「答えは、もう出てる。そう言ってるの」 少しだけはっきりと言う
天海こよみ :
「ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「この人の言ってることは、全部……まちがってるよ」
天海こよみ :
「ぼく、じめつなんて……しないよ」
十条ミツキ :
「……こよみ」 やや困った表情。ミツキ自身、きっとそうだと思っている。だが…
十条ミツキ :
「……アタシも、こよみに自滅なんてしてほしくない。でも……きっと、すごく苦しいよ」
十条ミツキ :
「アタシも経験したことだから……それなら大丈夫だね、って断言はできない」
天海こよみ :
「そう、だよね……」
天海こよみ :
「でも、ぼく……ずっとかんがえてたの……」
天海こよみ :
「どうすればクラちゃんと別れずに、アイドルでい続けられるのか、って……」 胸元に手を当てて
天海こよみ :
「この人が言うように、たしかに、ぼくのファンはみんな……ぼくのことが本当に好きなわけじゃないのかもしれない……」
天海こよみ :
「全部クラちゃんの力で、気持ちをゆがめられてるだけなのかもしれない……」
天海こよみ :
「でも、それは今の話で……これからもそうとはかぎらないと思うの」
天海こよみ :
「いつか、みんな……本当のぼくを好きになってくれるかもしれない」
天海こよみ :
「……ううん、ちょっとちがうかも」 首を小さく振ってから
天海こよみ :
「ぼくが、好きにさせてみせる」 ミツキの目を真っ直ぐに見て
天海こよみ :
「これからもっとすごいアイドルになって……うそを本当に、かえてみせるよ」
十条ミツキ :
「……こよみ。そうか…そうだよね」
十条ミツキ :
「こよみだって……ずっと、"クラッドカルト"の…『クラ』の側で、考えてきたことだもんね」
十条ミツキ :
「『友達』と一緒にいるためなら、それを飲み込んだ上で頑張れる。いつか……本当を、手に入れるために……」
十条ミツキ :
こよみの言葉に、自分が掴みたかった未来が垣間見えたのか。眩しげに目を細めつつ言葉を返す。
天海こよみ :
「うん」
天海こよみ :
「プランとか、なんだか……色々よくわからないけれど……」
天海こよみ :
「ぼく、がんばるよ。友達のことも、ぼくを見てくれる人達のことも、大事だから……」
天海こよみ :
「それでも、いいよね……ミツキちゃん」 小さく笑いかける
十条ミツキ :
「……うん。アタシは、その方がいいと思う」
十条ミツキ :
「五十嵐。さっきアンタは、アタシの答えを『その場凌ぎ』と言ったけど……それで、いいんだよ」 五十嵐に向き直って
十条ミツキ :
「まだ、時間はある。もし無いと言うのなら、アタシが何としてでもその時間を確保できるよう、マネジメントしていく」
十条ミツキ :
「答えを出すのは、それからで良いんだよ。アタシやアンタ、"プランナー"は外野。……この子達の未来は、この子達だけのものだ」
五十嵐タクミ :
「……………………」
五十嵐タクミ :
「……ハ」
五十嵐タクミ :
「なんやそれ……」
五十嵐タクミ :
「あー、おもんな……」
五十嵐タクミ :
「ほんま、おもんないなあ……!お前ら……ッ!!」
GM :
五十嵐の叫びが水族館全体に轟く。
怒りの声は空気を震わせ、水槽のガラスに反響してヒビが入り始めた。
最初は微細なヒビだったが、五十嵐の怒りを表わすかのようににヒビが一気に広がっていく……!
十条ミツキ :
「……!」 表情が険しくなる。五十嵐はジャームであり、まともに話して取り合えるような相手ではないことを再認識する。
天海こよみ :
「こ、これって……」
五十嵐タクミ :
「前に言ったやろ、皆殺しやってな……」
五十嵐タクミ :
「お前ら二人共、道連れや……!!」
GM :
そして、水槽のガラスが粉々に砕け散る。
ガラスの割れる音は、通路の奥から同時に重なって響いた。
GM :
どうやらこの水族館の全ての水槽が壊されたらしい。
割れた水槽からは海水が激しく溢れ出し、水族館を沈めにかかる。
天海こよみ :
「ミツキちゃん!!」
GM :
荒れ狂う激流がミツキ達に襲い掛かる。
ミツキは水に押し流され、こよみと引き離されていくだろう。
十条ミツキ :
「こよみ…!!」 何でもアリかよ、と内心毒づきながら、こよみに向かって必死に指先を伸ばす。
GM :
しかし、その手は少しも届かない。
GM :
激流に揉まれながら、こよみとミツキは声を聞く。
五十嵐タクミ :
「アハッ、アハハッ、アハハハハハハハハッ!!」
五十嵐タクミ :
「もっとすごいアイドルぅ?嘘を本当に変えるぅ???」
五十嵐タクミ :
「出来るわけない!!出来るわけないやろ!!お前には絶対無理や、天海こよみぃ!!!」
五十嵐タクミ :
「クラッドカルトと一緒に、絶望の人生にどこまでも沈んでまえ!!!」
五十嵐タクミ :
「ギャーッハッハッハッハッハハハハハハハハハハ────────」
GM :
……声は水音にかき消され、すぐに聞こえなくなる。
GM :
そして、水族館の全てが、海の中に沈んだ。
GM :
……ミツキは水中で溺れつつあった。
いかに人間を超えたオーヴァードといえど、限界は存在する。
GM :
戦闘で体力を消耗したミツキの体は重く、水底に沈んでいってしまうだろう。
十条ミツキ :
「……ッ…!」 可能な限り息を長く保たせようとするが、耐えきれずに口からゴポッと息を吐き出す。
十条ミツキ :
大きな泡が水面へと上昇していくのとは裏腹に、自分の身体は沈む。霞む視界の中水面に手を伸ばすが、水面はあまりにも遠いことを悟る。
GM :
だが、ミツキが意識を失いかけたその時、高速でそちらへと近づく姿があった。
その姿をミツキは一瞬、海を優雅に泳ぐ人魚かと思ってしまう。
天海こよみ :
「…………!」
GM :
違う────あれは、こよみだ。
海の力を持つオーヴァードのこよみは、魚のように水中で呼吸し、泳ぐことが出来る。
GM :
こよみは激しい水の流れに逆らって泳ぎ続け、ミツキを力強く抱きしめた。
十条ミツキ :
「……!」 最後の力を振り絞り、目を見開く。
十条ミツキ :
「(こよ…み…)」 海流に意識を攫われながらも、小さく唇を動かしてその名を呼ぶ。
GM :
そして、ミツキは意識を手放す。
GM :
こよみはミツキを抱えながら、どこかへと泳ぎ続けていった……。
比奈浜海岸
天海こよみ :
「────キちゃん……」
天海こよみ :
「ミツキちゃん……!!」
GM :
こよみの呼びかける声を聞き、ミツキの意識が回復する。
瞼を開ければ、目の前には砂浜の波打ち際で倒れている自分を心配そうに覗き込むこよみの顔。
GM :
そしてその後ろに広がる、美しい星空だった。
十条ミツキ :
「……ん…」 呼びかけに薄らと目を開け、こよみの姿を認める。
十条ミツキ :
「こよみ……?」
天海こよみ :
「ミツキちゃん……!よかった……」
十条ミツキ :
「……」 こよみの表情を見て、ようやく意識がはっきりとする
十条ミツキ :
「……ありがとう、おかげで助かったよ……あのままなら、アタシは間違いなく死んじゃってた」
十条ミツキ :
「こよみは、大丈夫……?怪我はしていない?」
天海こよみ :
「ぼくはだいじょうぶ……。ミツキちゃんは?へいき……?」
十条ミツキ :
「アタシは大丈夫そう。こよみが無事なら、良かった…」 小さく安堵の息を吐く。
天海こよみ :
「そっか……」 同じく安心したように、息を吐く
GM :
意識がしっかりして、周囲を見れば、ここが昨日遊びにきた比奈浜海岸の海水浴場だと分かる。
GM :
そして、ミツキ達から少し離れた場所。
GM :
そこには、白目を剥いて倒れている五十嵐の姿もあった。
十条ミツキ :
「……そうか、戻ってきたんだ。アタシたちも……」
十条ミツキ :
「……ついでに、アイツも」
十条ミツキ :
その場に座り込んだまま、五十嵐を一瞥する
天海こよみ :
「うん……」
天海こよみ :
「ぼく達、あの水族館がこわれた後、海の中にほうり出されて……」 海を見てから
天海こよみ :
「ここまで、およいで来たんだ。……あの人も、ミツキちゃんといっしょにつれてきたの」 五十嵐に視線を向ける
十条ミツキ :
「……!自分で辿り着いたとか、たまたま打ち上がったとかじゃなくて…」
十条ミツキ :
「こよみが、助けたの…?」
天海こよみ :
「……うん」 頷いて
天海こよみ :
「ダメだった、かな……」
十条ミツキ :
「ダメ…ではないけど」
十条ミツキ :
「でも、大変だったでしょう?いくら水中での動きが得意だからって、こよみ自身が流されちゃうリスクもあったはず……」
十条ミツキ :
「ましてや、アイツはこよみを殺そうとまでしていたんだ。悪事は他にもたくさんあるし、助ける義理はなかった…そうじゃない?」
天海こよみ :
「うん……ちょっとたいへんだった。たすける、ぎりは……」
天海こよみ :
「…………」 五十嵐を見つめながら、少し考えた後、言葉を続ける
天海こよみ :
「あの人のこと……ママとパパにしたこと、ゆるしたわけじゃない……」
天海こよみ :
「ころしてやりたい、って……そう思ったのも、本当……」
天海こよみ :
「だけど、無理だって……言ってたの、いやだったから……」
天海こよみ :
「ちゃんと、見てもらわなくちゃ……ダメだって、思ったから……。これからの、ぼくのこと……」
十条ミツキ :
「……そう」
十条ミツキ :
「こよみがそう思ったのなら、分かった。……アレは恐らくジャームだ。この後、UGNにどう処分されるかはわからないけど……今この場では、こよみの意思が尊重されるべきだと思う」
十条ミツキ :
「……早いところ、UGNの人に来てもらおう。呼んでも、良いかな」
天海こよみ :
「……うん」 頷く
十条ミツキ :
こよみの返事を受けて、芸能支部と近隣の支部への通報を手短に済ませる。
天海こよみ :
「……ねえ、ミツキちゃん」 連絡が終わったのを見計らって、こよみが声をかける
十条ミツキ :
「……どうしたの、こよみ」 連絡用の端末をしまい、尋ねる
天海こよみ :
「ぼくがさっき言ったこと……」
天海こよみ :
「みんなを本当に好きにしてみせるって、こと……おぼえてる……?」
十条ミツキ :
「もちろん」 頷く
天海こよみ :
「……そのことで、もう少しだけ……ミツキちゃんにはなしたいことが、あるの」
天海こよみ :
「いいかな……」
十条ミツキ :
「うん。……何、かな」 こよみの改まった様子に背筋が伸びる。
天海こよみ :
「ん……」
天海こよみ :
「あのね、ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「ぼく……本気だよ。むずかしくても、そうしてみたいって……思ったの」
天海こよみ :
「だけど、たぶん、クラちゃんは……芸能界にいない方が、いいんだよね。それに、ミツキちゃんの身におきたことも……ちゃんと、分かってる……」
天海こよみ :
「でも、ぼく……クラちゃんのこと、見捨てたり、殺したりなんか……したくない」
天海こよみ :
「みんな、そう生まれたくて生まれたわけじゃないのに……。力があるからやっかい者扱いしたり、道具扱いしたり、助けてあげないなんて……そんなの、おかしいよ……」
十条ミツキ :
「……うん。こよみがああいう時、嘘やハッタリを言ったりする子じゃないことは、アタシもわかってるよ」
十条ミツキ :
「こよみが、『クラ』を大切に思っていることもね。……わかって、いるよ」 ……"クラッドカルト"自身に罪があるというわけではない、ということも。
十条ミツキ :
「クラも言ってたんだ。アタシと見た景色が綺麗だったって。好きだって。……だから、クラとステージに立ちたいってこよみが思っているなら…きっと、クラも喜ぶよ」
天海こよみ :
「クラちゃんが……?そうだったんだ……」
天海こよみ :
「だったら……うれしいな……」 小さく微笑んで、自分の胸を見下ろす
十条ミツキ :
「……うん」 微笑み返す
十条ミツキ :
「だから、こよみのしようとしていることは間違いじゃないよ。アタシが五十嵐に言ったことだって、嘘じゃない…こよみの希望を叶えるためなら、アタシ、頑張るよ」
天海こよみ :
「……ほんと?」
十条ミツキ :
「うん。アタシも、別に"クラッドカルト"を殺すことが正解じゃないのはわかってた。……そりゃ、あの子のことは今も苦手だけど、『それはそれ』じゃん?」
十条ミツキ :
「一番大事なのは、こよみがどう思っているかだと思うよ。だから、その意思を尊重したいんだ」
天海こよみ :
「……そっか」
天海こよみ :
「じゃあ、それなら……」
天海こよみ :
「ぼく、ミツキちゃんに、おねがいしたいこと……あるの」
十条ミツキ :
「……うん。いいよ。教えて?」 体育座りになりながら、首を傾げて尋ねる
天海こよみ :
「うん……あのね……」 波打ち際にぺたんと座ったまま、ミツキの目を見て
天海こよみ :
「ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「ぼく、最高のアイドルになりたい」
天海こよみ :
「クラちゃんの力なんて関係なくなるような、世界で一番……お空で一番かがやく、星みたいな……アイドルになりたい」
天海こよみ :
「だけど、ぼくだけじゃ……無理だから」
天海こよみ :
「ミツキちゃん……おねがい。ぼくのこと、てつだって」
天海こよみ :
「ぼくが、最高のアイドルになれるように……」
天海こよみ :
「ぼくを……武道館に、つれていって……!」 いつかミツキから交わした約束を、今度はこよみから伝える
GM :
────そして、ここで。
GM :
PLに、一つ選択してもらうことがあります。
GM :
ここまでのこよみとの関係を経て、ミツキがアイドルで居たいという未練を完全に捨て去ることが出来ると判断するなら……
GM :
ミツキが持つEロイス《ファイトクラブ》を消滅させることが出来ます。
GM :
その場合他のEロイスも連動して消滅し、ミツキはジャームになりかけの状態から通常のオーヴァードに戻ります。
GM :
ということです。どうしますか?
十条ミツキ :
こよみと過ごした優しい日常、あかりとの邂逅と遺志、欺瞞に満ちた忌むべき過去との対峙と告白、"クラッドカルト"との対話、強大な敵を前にした決意。そして、こよみの未来と己の求めた未来が交差したこと。
十条ミツキ :
その全てをもってして、彼女は過去への未練を断ち切れたものと判断します。
十条ミツキ :
《ファイトクラブ》の消滅を望みます。
GM :
了解です。では、ミツキが持っている全てのEロイスが解除・消滅します。
GM :
こよみへの返事のRPの方どうぞ。
十条ミツキ :
「……こよみなら、きっとなれるよ。アタシが居なくてもね。でも……」
十条ミツキ :
「……あの日も、言ったでしょ?」
十条ミツキ :
「『アタシ、キミを武道館に連れて行くよ。人生最高の景色を、キミと一緒に見たい』って」
十条ミツキ :
その言葉の続きはない。だが、こよみは聞かずともわかるだろう。
十条ミツキ :
ミツキが、『その日』が来るまでキミの傍にいること。そして、もう決して離れることがないということを。
天海こよみ :
「……!ミツキちゃん……!」
天海こよみ :
「うん……そうだよね。そうだった、よね……」
天海こよみ :
「ありがとう、ミツキちゃん……!大好きだよ……!」
天海こよみ :
「世界で一番、ミツキちゃんが大好き……!!」 他の誰に向けるよりも幸せそうな笑顔で、ミツキに抱き着く
GM :
……ミツキは、心の奥底に喪失感を覚える。
それは今までずっと、捨てきれずにいた感情。
GM :
だから決して溢れ出してしまわないようにと、必死に蓋をしていたはずの想いが、いつの間にか消えてしまっていた。
GM :
しかし、失った寂しさと同時に、ミツキは確かな温もりも感じるだろう。
GM :
その温もりを誰が与えてくれているのか、ミツキはもう理解している。
十条ミツキ :
「(……ああ、そうか。アタシも……ようやく……)」
十条ミツキ :
「(……『卒業』。できたんだな……)」
十条ミツキ :
胸に空いた大きな空洞。自分にとって、一番大切だったもの。でも、今は。
十条ミツキ :
「こよみ。アタシも……こよみのことが、世界で一番大好き」
十条ミツキ :
そう言って、強く抱きしめ返す。
天海こよみ :
「うん……」 目を閉じる
十条ミツキ :
「……ずっと、想いに答えられなくてごめんね。いや、アタシ自身は答えているつもりで居たんだけど……でも、たくさんの『好き』をもらえていたのに、アタシは受け止め切れていなかった」 こよみの頭を撫でながら、言葉を続ける。
十条ミツキ :
「でも、今回ようやく気付くことができたんだ。アタシも、こよみのことが大好き。小さいのに頑張り屋さんで、いつも真っすぐで純真で……」
十条ミツキ :
「アタシにとっての偶像は、こよみだったんだ。キミがいなかったら、いつまでもあの深海で膝を抱えて、そして……いつか、消えてしまっていたんだと思う」
十条ミツキ :
「……今はむしろ、こよみが居ない日常の方が、考えられない。それだけ、キミが大切なんだって、ようやく気付いたよ」 少し、遅すぎたけど……と困ったように笑う。
十条ミツキ :
「だから。アタシの方からお願い。……武道館……ううん、もっとその先まで、アタシを連れて行って。そのためなら何だってするし……こよみが嫌と言っても、こよみにとって最善の道を切り拓く存在で在りたい」
十条ミツキ :
「……良い、かな」
天海こよみ :
「……そんなの」
天海こよみ :
「いやなんて、言うわけないよ……!」
天海こよみ :
「どこまでだって、ミツキちゃんといっしょに行くよ!」
天海こよみ :
「ミツキちゃんも、ぼくにとって……消えそうだったぼくを救ってくれたんだから……」
天海こよみ :
「だから……え、えっと……あの……」 ちょっと考えて
天海こよみ :
「……ううん。ずっといっしょにいよ、ミツキちゃん……!」
天海こよみ :
「ぼく、ミツキちゃんのことだいすきだから……!ほんとにほんとに、だいすきだから……!!」
天海こよみ :
「だから、ずっとそばにいてね……ミツキちゃん……!!」
GM :
ミツキの言葉に引っ張られかけて、自分もちゃんと気持ちを言葉にしなくちゃと一瞬思ったのだろう。
GM :
だが、高ぶった心で、口下手なこよみが上手く言葉を尽くせるわけもない。
GM :
だから、何度も大好きだと、いっしょにいると告げる。こよみらしい、純真な笑顔とともに。
十条ミツキ :
「……大丈夫、たくさん伝わってるよ。こよみの気持ち…」 高揚した様子のこよみを見て、さらに愛しさが増したのか、落ち着かせるように再度抱き寄せる。
十条ミツキ :
「……うん。ずっといっしょ、だね」 ミツキもまた、心からの温かな笑みを浮かべた。
天海こよみ :
「ん……!えへ、へ……」 ミツキの笑顔と声に安心したように、身を任せる
GM :
二人がそうお互いの気持ちを確かめ合っていると、ミツキはすぐ近くから視線を感じる。
クラッドカルト :
「…………」
GM :
見れば、いつの間にかクラッドカルトが現れて、こよみとミツキを見つめていた。
GM :
その表情はどこか不満気で、頬が風船のように膨らんでいる。
十条ミツキ :
「く……クラ……!?」
十条ミツキ :
目を見開きながら、"彼"、いや彼女の姿を見る。
天海こよみ :
「クラちゃん……!?」
天海こよみ :
「え?あれ?で、でも、あの時きえちゃったんじゃ……」 混乱してる
十条ミツキ :
「…アタシも、そう思ってた……そうなんだ、まだ……ちゃんと居たんだ……」 気になる表情はさておき、クラがここに居ることを嬉しく思い目を細める
クラッドカルト :
「…………」
クラッドカルト :
「クラは!?」 ミツキとは正反対に、むすっとした顔でこよみに近付く
天海こよみ :
「え……?」
クラッドカルト :
「クラはだいすきじゃないの!?」
天海こよみ :
「う、うん……?大好き……だよ……?」 顔を近づけて来るクラにびっくりしながら
クラッドカルト :
「じゃあクラがせかいでいちばん!?」
天海こよみ :
「え、えぇっと……」 困ったように目を泳がせ、ミツキを見る
十条ミツキ :
「……うーん」 "クラッドカルト"の語調の強さに苦笑する。そうだった、無垢であると同時に、こういう傲慢な側面を無意識的に持っているやつだった。
十条ミツキ :
「……友達として、そばに居たいなら…この子の教育係にもなってあげた方が良いと思うよ。もし今後人間社会に馴染むなら尚更ね」
十条ミツキ :
「だから、正直な気持ちを伝えるのが良いと思う。大丈夫、それだけでクラがこよみを嫌うことはないよ…いつかわかってくれるはず」
天海こよみ :
「……うん。わかった」
天海こよみ :
「あの、ね。クラちゃん」 クラの方に向き直って
天海こよみ :
「ぼく、クラちゃんのこと、大好きだけど……」
天海こよみ :
「一番二番ってつけるなら、ミツキちゃんが一番……なの。ごめんね……」
クラッドカルト :
「……!!」 ガーン、という文字が見えるようなショックそうな顔になる
クラッドカルト :
「じゃあ、クラは……なんばん……?」
天海こよみ :
「な……何番、だろ……?」 両親や祖母はまた別枠として、他には特に考えていなかったらしい。困ったようにおろおろしている
十条ミツキ :
「……クラ。クラにとって、何番かって大切なこと?」 ミツキの方から歩み寄り、目線を合わせて尋ねる
クラッドカルト :
「……うん」 こくんと頷く
十条ミツキ :
「そっか。でも、ずっとそのことを気にしてたら、いつかすごく疲れちゃうよ」
十条ミツキ :
「クラも知っているだろうけど、世界にはたくさん人がいるんだよ。そんな中で、誰かに一番だと選んでもらうことはすごく大変なことなんだ」
十条ミツキ :
「だから、あまりこよみを困らせちゃダメ。クラが、誰かに一番だと思ってもらえるように頑張ることの方が先だと思うよ」
クラッドカルト :
「…………」 こよみを見る
天海こよみ :
「クラちゃん……」
クラッドカルト :
「……わかった」
クラッドカルト :
「コヨミこまるの、クラいやだから……がんばる」 ふてくされたように言う
十条ミツキ :
「ん。偉いじゃん」 ふっと笑いつつ、クラの頭を撫でる
クラッドカルト :
「ふふっ……クラ、えらい?」 撫でられて、ちょっと嬉しそうにミツキを上目遣いに見る
十条ミツキ :
「偉い。良い子」 幼げなクラの姿に、さらに目を細める
天海こよみ :
「うん……!えらいよ、クラちゃん……!」 こよみも一緒になって、クラの髪を撫でて
クラッドカルト :
「え、へへ……」 こよみにも撫でられて更に笑顔になる
クラッドカルト :
「でも」 ……が、
クラッドカルト :
「ミツキ、ずるい!!!」 分かったと言ったはずなのに、突然ミツキを指差して睨む
十条ミツキ :
「お、おお…?何が…?」 剣幕に思わず手を離す
クラッドカルト :
「ミツキ、コヨミのいちばんなのに……」
クラッドカルト :
「それだけじゃなくて、さっき、だっこまでしてもらってた!!」
クラッドカルト :
「だからミツキずるい!!クラもやる!!!」
GM :
クラッドカルトは駄々っ子のように叫ぶと、こよみとミツキに勢いよく飛びつく。
GM :
ばしゃっ、と水飛沫が上がる。
天海こよみ :
「きゃっ……!?」
GM :
二人はクラッドカルトを抱えて、波打ち際に仰向けになって倒れてしまう。
十条ミツキ :
「なっ…!こ、こら、滅茶苦茶だよ…!」
十条ミツキ :
「……ふふふっ…!」 文句を言いながらも、楽しそうに笑う
天海こよみ :
「……ふふ」
天海こよみ :
「ふふっ、ふふふ……あははは……!」 ミツキに釣られるように笑いだして
クラッドカルト :
「……?」 二人をむぎゅっと抱きしめながら、不思議そうにきょとんとしてる
十条ミツキ :
「よしよし、やっぱキミは良い子だね……そんなに寂しかったなら、アタシが相手してあげようか……!」 クラを抱き返すと同時、こよみも一緒に抱きしめながら笑っている
クラッドカルト :
「わあぁ~……!」 ミツキに抱き返されて間抜けな声を上げつつも、嬉しそうに笑って
天海こよみ :
「わ、わぁ……!ミツキちゃん……!」 水に濡れながら、くすくす笑う
十条ミツキ :
「ふふっ…」 2人の様子を見て自分もまた嬉しくなる
十条ミツキ :
「……ねえ、クラ」 星空を見上げながら静かに話しかける
クラッドカルト :
「……?なあに?」
十条ミツキ :
「……あの時。庇ってくれて、ありがとう。クラがああしてくれなかったら、アタシもこよみも、今笑っていられなかった」
十条ミツキ :
「……痛かったよね。ごめんね。アタシが…あの時、少しだけ諦めてしまったせいで…」
クラッドカルト :
「うん……すごく、いたかった。クラ、しんじゃうかとおもった……」
クラッドカルト :
「でも、いいの。ミツキがしんじゃってたほうが、なんか……」
クラッドカルト :
「たぶん、クラ、もっと……いたかった、きがする」 自分の胸元に触れて
十条ミツキ :
「……そっか」 困ったように笑い、クラの頭をよしよしと撫でる。
十条ミツキ :
「……クラがこれから無茶しなくても大丈夫なように、アタシ、もっと頑張るよ。もうキミから逃げたりなんかしない」
十条ミツキ :
「この借りは、ちゃんと返すよ。だから……クラも、一緒に頑張って生きよう。ね?」
クラッドカルト :
「うん!クラ、コヨミとミツキといっしょにいたいからがんばる!」
クラッドカルト :
「コヨミのいちばんになるってきめたもん!」 隣のこよみに抱き着いて
天海こよみ :
「ふふっ……クラちゃん~……」 クラにされるがままにもちもち撫でまわされてる
十条ミツキ :
「……一番とかは求めるものじゃないって言ったはずだけどなぁ…」 苦笑しながら、2人が戯れる様子を見つめる
十条ミツキ :
「……これから、頑張ることたくさんだね。アタシたち」
十条ミツキ :
「でも……なんだか、うまくいく気がする」 微笑みながら呟く
天海こよみ :
「うん。ぼくもそう思ってた」
天海こよみ :
「これからのこと、まだぜんぜんわからないけど……」
天海こよみ :
「きっと、だいじょうぶだよ。ぼく達なら……」 そう安心したように、微笑み返す
GM :
希望のある未来を夢見て、三人は笑い合う。
GM :
そんな彼女達を見守るのは、夜空に輝く美しい星々だけだった。
GM :
シーン終了。
GM :
ロイスの感情変更が可能です。
十条ミツキ :
天海こよみに☑︎慈愛/不安、"クラッドカルト"もといクラに☑︎庇護/不安、両方Pです!
GM :
了解!では次のシーンへ
Scene11 空を映して煌めく海
GM :
PL希望の追加シーンになります。
ステージ 舞台袖
noname :
事件から13日ほど経ち。こよみは、MARiNE SNOWのステージに戻ってきた。
noname :
しばらくの活動休止期間を挟み、様々な検査を受け……ようやく、舞台に上がっても問題ないだろうという許可が出たのだ。
noname :
ステージを好むこよみが待ち望んだその日。だが……そこに、マネージャーのミツキの姿はなかった。
noname :
何でも、検査明けにどうしても寄りたい場所があったらしい。ステージが始まる前には間に合う、と聞いていたはずだが……彼女はなかなか姿を現さない……
天海こよみ :
「…………」 落ち着かない様子で、一人周囲を見渡しながら
天海こよみ :
「ミツキちゃん……まだかな……」 もう少ししたらライブが始まってしまう。不安そうに、ぎゅっと衣装の裾を握りしめた
noname :
こよみが不安そうにしていると。
??? :
「ごめん!!遅れた!!」
noname :
よく知った声が、後ろからキミを呼ぶ。
天海こよみ :
「……!!」 びくっと肩を震わせてから、すぐに振り返る
noname :
振り返ると、そこにいたのは十条ミツキ……キミたちのマネージャーで、キミの一番の人。
noname :
……そして、彼女は髪をばっさりと切っていた。
noname :
かつてのトレードマークのクラゲヘアに寄せたらしいウルフカット。髪色も、心なしかやや明るくなっている。
十条ミツキ :
「電車めちゃめちゃ混んでて……!諦めて走ってきたんだけど、人目を避けるのも大変で……心配させたよね……」
天海こよみ :
「み……ミツキちゃん……?」 懐かしさを感じる新しい髪型を、小さく口を開けて見つめてる
十条ミツキ :
「あ……や、やっぱり、バレた?」 恥ずかしそうに髪を抑えて
天海こよみ :
「ば、ばれるよ……!どうしたの、そのかみ……?」
十条ミツキ :
「……心機一転、みたいな」
十条ミツキ :
「アタシ、この髪型好きだったけど……色々あったから、純粋に好きって気持ちだけだとうまく向き合えなくて……でも……」
十条ミツキ :
「こよみのおかげで、今ならもう大丈夫だなって思えた。だから、検査が終わったら……すぐ、こうしようと思ってた……」
十条ミツキ :
「……変じゃ、ない?」 やや不安そうに尋ねる
天海こよみ :
「そ、そんな……そんなの……」
天海こよみ :
「すっごく、いいよ……!!」 ミツキにバッと近づいて
天海こよみ :
「かわいいし、かっこいい……!あ、あのころのミツキちゃんのかみがたとはちょっとだけちがうけど、こっちもにあってる……!」
天海こよみ :
「ミツキちゃん、かわいい……!ぼく、すごくだいすき……!!」 興奮して頬を赤くした顔を近づける
十条ミツキ :
「え、ええ~……そ、そんなに褒めてくれるんだ……」 こよみなら良い反応をしてくれるという予想はしていたが、ここまでとは。ミツキもまた顔を赤くして目をそらす
十条ミツキ :
「……でも……それなら、切ってよかった……」
十条ミツキ :
「……あっ!そ、そんなことより、こよみもみんなも大丈夫だった?アタシの代わりに、別の支部員の人が来てくれていたはずだから……準備とかは、問題なかったと思うんだけど」
天海こよみ :
「そ、そんなこと……!?」
天海こよみ :
「ぜんぜん、そんなことじゃないけど……うん、だいじょうぶだったよ」 心配しないで、と小さく笑う
十条ミツキ :
「あはは……」 そんなことじゃない、という言葉に苦笑して
十条ミツキ :
「……そっか。それならよかった……」
十条ミツキ :
「大丈夫?喉は乾いてない?衣装も……ほつれとか、ないかな」 過保護なほどに、こよみの周囲をくるりと見て回る
天海こよみ :
「わ、わ……。お水はさっきのんだから、だいじょうぶ……」 見て回るミツキを目で追いながら
十条ミツキ :
「よかった。久しぶりの舞台だからね……ファンのみんなも、きっとこよみのこと楽しみに待ってると思う」
十条ミツキ :
「頑張ってね、こよみ。アタシもすぐに客席の方に行って、ステージを見させてもらうよ」
天海こよみ :
「う、うん……!がんばる……!」
天海こよみ :
「ミツキちゃん……ぼくのこと、ちゃんと見ててね」 ファーストライブの時と同じ……いや、ほんのちょっとだけわがままになって“ぼく達”ではなく“ぼく”のことを見るように言う
十条ミツキ :
「ふふっ……参ったな、アタシはMARiNE SNOWのマネージャーなんだけど……」
十条ミツキ :
「でも、復帰ライブだし……少しは、いいよね。了解、ペンライトは水色にしておくよ」 いたずらっぽく笑い返す
天海こよみ :
「わ……!やったぁ……!」 嬉しそうに両手を合わせ、えへへと笑う
noname :
キミたちが笑っていると、会場スタッフから「MARiNE SNOWの皆さん!そろそろ準備をお願いします!」と声をかけられる。
十条ミツキ :
「あ。そっか、もう次だもんね……そろそろ、アタシも移動するよ」
天海こよみ :
「ほ、ほんとだ……!」
天海こよみ :
「ぼくも、行かなきゃ……。ミツキちゃん、また……あとで、ね」 ミツキの手に触れる
十条ミツキ :
「うん。また、ステージで会おう」 微笑み、手を握る。
天海こよみ :
「うん……」 手を握り返して
天海こよみ :
「…………」 ミツキの目をジッと見つめたまま、いつまでも手をにぎにぎしてる
十条ミツキ :
「……こら、甘えん坊さん。みんな集まっているんだから、そろそろ行きなさい」 母親然とした言い方をしながら、こよみを諭す
天海こよみ :
「あ……ご、ごめんなさい。えへへ……」 パッと手を離す
天海こよみ :
「じゃあ、ほんとに……いってきます。ミツキちゃん」 もうすぐ久しぶりのライブであることに気持ちを切り替え、楽しみそうに笑って
十条ミツキ :
「うん。……行ってらっしゃい。楽しみにしているね」 ぽんぽん、と肩をたたき、軽くハグしてから、グループの皆の元へと送り出す。
天海こよみ :
「うん……!」 ばいばい、と小さく手を振って、MARiNE SNOWのメンバーの方へ駆け出していく
十条ミツキ :
こよみに手を振り返す。その後、おもむろに集まったメンバーが円陣を組む姿を見つめて……眩しそうに笑う。
十条ミツキ :
「(……やっぱり、こよみはもう立派なアイドルだよ。アタシがいなくても)」
十条ミツキ :
「(それでも……アタシ自身が、キミの成長を見届けたい。だから……素敵な景色を、これからもたくさん見せてね)」
noname :
ミツキはスポットライト輝くステージに背を向け、舞台袖の向こう側へと歩いていく。
noname :
その足取りはとても軽い。何故なら……今の彼女が求める未来が、そこにあると分かっているからだ。
noname :
ミツキはふと思う。また、こよみと海に行きたいな、と。
noname :
どこまでも広がり、鮮烈なまでに青い空。どこまでも深いが、新たな生命を育んで煌めく海。
noname :
あの日見た景色が、次はまた違ったものに見える。そんな気がした。
GM :
シーン終了。
Scene12 青が響く物語
GM :
これが最後のシーンとなります。
公園
GM :
……あの日のライブから二週間後。九月の終わり。
GM :
平日の午前九時、ミツキはUGN芸能支部へ向かっていた。
GM :
その途中にある小さな公園の前を通りすがった時、ミツキは園内のベンチに二人の少女が座っていることにふと気付くだろう。
十条ミツキ :
「……?」 平日、しかも朝9時だ。この時間帯にいるべき年頃の子ではないはずだ……不思議に思い、様子を伺う
GM :
中学生らしきその少女達は、白を基調とし、襟とスカートの色が青いセーラー服を着ている。
GM :
ミツキはそのセーラー服に見覚えがあった。
何故ならその服装は、こよみが通っている中学校の制服だったからだ。
GM :
こよみは不登校になっているため正確には今は通ってはいないが、ミツキは昔、この制服を着ているこよみを見たことがあった。
GM :
最初に見たのは、中学校の入学式の前の日だ。ミツキに一番に見せたいとわざわざ制服を着てきていた。
GM :
それからも、よく学校帰りにそのままライブに来ていたのを覚えている。
十条ミツキ :
「こよみの中学の制服か……」
十条ミツキ :
「(どうしたんだろう……まさか、不良じゃないよね)」 もう少し様子を伺おうと、近づいてみる
GM :
少し近付いてよく見てみると、公園にいるその中学生は、どことなくこよみに似ているような気がするだろう。
GM :
海のように青い髪をリボンでツインテールにまとめて、色素の薄い赤い目を儚げに伏せた、小柄な美少女……。
GM :
というか、こよみだった。
こよみがセーラー服を着て、公園のベンチに座っていた。
GM :
その隣にいるもう一人の少女は双子のようにこよみそっくりだから、つまりあれはクラッドカルトだ。
天海こよみ :
「よしよし……にゃん、にゃんにゃん……」
クラッドカルト :
「コヨミ、にゃんちゃんばっかりずるい!クラもにゃんにゃんして!」
天海こよみ :
「え?う、うん……にゃんにゃん……」
クラッドカルト :
「えへへ~」
GM :
二人の足下には野良猫が数匹集まっていた。
こよみは小さく鳴きながら、膝上に乗った黒猫を撫でたり、何故かクラッドカルトまで撫でさせられている。
十条ミツキ :
「……ある意味、不良の2人だ……」 苦笑い
十条ミツキ :
「……こら。キミたち、平日の朝から何してるの?」 死角から近づき、少しだけ声を大人っぽくして窘める。
天海こよみ :
「……!?わ、ご、ごめんなさ……っ」 びくっと震えて、猫を撫でた状態で固まる
クラッドカルト :
「だれー?」 振り向く
十条ミツキ :
「ふふ。大人の人が来たよ~」 何も考えずに振り向いたクラが見たのは、意地悪そうに笑うミツキだ
クラッドカルト :
「あ!ミツキー!」 ぱあっと表情を明るくする
天海こよみ :
「え……?」 おそるおそるミツキに振り向く
十条ミツキ :
「おはよ。どうしたの、二人して制服なんて着て……」 ベンチに肘を付き、二人に尋ねる。
天海こよみ :
「ミツキちゃん……!?お、おはよう……」
天海こよみ :
「え、えと、ミツキちゃんこそ……どうしてここに……?」
十条ミツキ :
「アタシは出勤中だよ。一応、社会人だからね」
十条ミツキ :
「……社会人って言っても、UGNだけど……」
天海こよみ :
「あ……そっか。そうだったね……」
クラッドカルト :
「じゃあ、ミツキはがっこうじゃないんだ~」 へぇー、と納得したようにミツキを見てる
十条ミツキ :
「アタシはもうだいぶ前に卒業してるからね。学校はおしまい」
十条ミツキ :
「そう言うこよみとクラは…?」
天海こよみ :
「……あ、あの、ね。えっと……」
天海こよみ :
「ぼく、学校……いこうと、思って……」 自分の制服のスカートを見つめる
十条ミツキ :
「えっ…そ、そうなの?」 何となく予想はしつつも、言葉にされると驚いた様子で
十条ミツキ :
「……何か、心変わりでもあったの?」
天海こよみ :
「うん……」 こくんと頷いて
天海こよみ :
「お話しても、いい……?」
クラッドカルト :
「いいよ!」
天海こよみ :
「あっ、クラちゃんにじゃなくて……」 あわ…とし始める
十条ミツキ :
「……ふふ。そうだね、クラに賛成」
十条ミツキ :
「……よかったら、聞かせて?クラの格好も気になるし……」
天海こよみ :
「う、うん……」
天海こよみ :
「あ、あのね、ぼく……ミツキちゃんに最高のアイドルになりたいって、言ったでしょ……?」
天海こよみ :
「だからあれから、いっぱい考えたの……。最高のアイドルになるためには、どうすればいいんだろう、って……」
天海こよみ :
「自分が楽しいだけじゃなくて、もっと……お客さんが楽しんでくれるような、パフォーマンスを出来るように、とか……」
天海こよみ :
「特典会でも、もっと……ちゃんとお話が出来るように、とか……色々考えたんだけど……なんだか、それだけじゃダメな気がして……」
天海こよみ :
「だから……それで、あの、ね……」
天海こよみ :
「……もしかしたら……学校に行くのが、いいのかな……って……」
天海こよみ :
「アイドルとはかんけいないかもしれないけど、ぼくに足りないものがあるのかも……って。そう……思ったの……」
十条ミツキ :
「なるほど。こよみなりに、オタクのみんなのためになにが出来るかを考えたわけだ」
十条ミツキ :
「確かに、環境が違えば、何か得られるものがあるかもしれない」
十条ミツキ :
「……それで、頑張ってみたんだね」
天海こよみ :
「う、うん……」
天海こよみ :
「ぼく……本当はずっと、学校……行けるようになりたかったし……」
天海こよみ :
「それに……ママとパパも、ぼくがちゃんと学校行って……おべんきょうして、お友達作ったら……よろこんでくれる気が、するから……」 上目遣いに空を見上げる
十条ミツキ :
「……そうだね。こよみのこと、あかりちゃんも……きっとお父さんも、心配しているだろうからね」
十条ミツキ :
「それで…今日、さっそく行こうとしたのかな」
天海こよみ :
「うん……」
天海こよみ :
「で、でも……でもね……」
天海こよみ :
「やっぱりなんだか……うまくできるか、不安で……きんちょうして……こわくなって……っ」 目が潤んでくる
天海こよみ :
「校門のところで……にげちゃったの……」 涙が静かに零れていく
クラッドカルト :
「…………」 こよみの感情がダイレクトに伝わっているのか、悲しそうにこよみを見る
十条ミツキ :
「……うん。わかった…」
十条ミツキ :
「よしよし、頑張ったね。今日は校門まで行けたんだ」 そう言って、こよみの頭を撫でる
天海こよみ :
「ミツキちゃん……そんな……。ぼく、ぜんぜん、がんばってないよ……っ」
十条ミツキ :
「ううん。こよみはそう思うのかもしれないけど…でもね、今こうして泣いちゃうくらい頑張ったんでしょう?」
十条ミツキ :
「だから、よくできました。大丈夫、今日だけじゃないよ……明日も、さらにその明日も、こよみはきっと逃げたりしないこと、アタシはよく知ってるよ」
十条ミツキ :
「もし納得できないなら……また、明日でいいんだよ。ね?」 安心させるように微笑みかける
天海こよみ :
「……っ。ミツキちゃん……!」
天海こよみ :
「ミツキちゃぁん……っ」
GM :
ミツキの優しい言葉で、更に涙が溢れ出てしまう。
GM :
こよみはすがるようにミツキに抱き着き、胸に顔を埋める。
クラッドカルト :
「ミツキ~……」
GM :
こよみと連動してクラの方まで泣いてしまい、彼女もミツキに抱き着く。膝に乗っていた猫が驚いて地面に下り、二人を心配そうに見上げていた。
十条ミツキ :
「わあ、クラまで……よしよし、2人とも悔しいし悲しいんだね……大丈夫、よく頑張ってるよ。偉いね……」 2人を抱き寄せ、落ち着くまで頭を撫で続ける。
GM :
……それから、二人はミツキの胸で泣き続けた。
天海こよみ :
「…………」
GM :
そして数分経ってようやく泣き止む。ミツキにはくっついたままだが、少し落ち着いてきたようだった。
十条ミツキ :
「……少し、落ち着いた?」 こよみの頭を優しく撫でる
天海こよみ :
「……うん」 小さく頷く
十条ミツキ :
「それなら良かった。良い子、良い子…」 頭を撫でる。もう片方の手でクラの方も撫でている。
クラッドカルト :
「ん……。ありがと、ミツキ……」 心地よさそうに撫でられている
天海こよみ :
「でも、ごめんね……ミツキちゃん……。お仕事あるのに……」 顔を上げて
十条ミツキ :
「大丈夫。所属アイドルのケアだってマネージャーの仕事だし…」 (それに、放置して行ったらむしろ『社長』に叱られるだろうし)と苦笑しつつ
十条ミツキ :
「それに、何より仕事よりこよみの方が大事に決まってんじゃん?だから、良いんだよ」
天海こよみ :
「……ミツキちゃん……。そ、そっか……そうなんだ……」 ちょっと照れたように目を逸らす
クラッドカルト :
「そうだよ……コヨミのほうがだいじだもん」 当然だよというように頷いてる
十条ミツキ :
「ふふ、クラもそうだよね?」 幼い子どもに話しかけるように笑って
クラッドカルト :
「うん!だから、ミツキがきてくれてよかった!」 笑い返す
天海こよみ :
「……ふふっ」 ちょっとだけ笑顔が戻る
十条ミツキ :
「…良い友達ができたね、こよみ」
十条ミツキ :
「そういえば…どうしてクラも制服を着てるの?」
クラッドカルト :
「え?」 その質問にちょっと驚いたように目を丸くして
クラッドカルト :
「しらなーい」 ミツキから少し離れて、スカートの裾を両手で摘んでいる
十条ミツキ :
「知らないか…それなら、仕方ないね」 こよみが着せたわけでもないのなら、こよみの現在の姿を反映するシステムなのだろうと理解する
十条ミツキ :
「でも、2人ともすごく可愛いよ。制服風の衣装とか作っても良さそうだな」
クラッドカルト :
「ほんと!?やったー!」 可愛いと言われて、制服姿を見せびらかすようにその場でくるっと回る
天海こよみ :
「え、へへ……ありがとう……。ぼくも、そういう衣装着てみたいかも……」
十条ミツキ :
「うんうん。折角アイドルするんだから、楽しまないとね。クラも色んな服着たいだろうし…」
天海こよみ :
「クラちゃん……着たいの?」
クラッドカルト :
「よくわかんない!けど、コヨミとおそろいだとうれしいな~」
天海こよみ :
「そっか……。それなら、今度からステージ衣装着た時も、出てもらう方がいいかな……」 ミツキの予想通り、分身を出した時のこよみの姿が反映されるらしい
十条ミツキ :
「ふふっ、そうだね。前から思ってたけど、双子みたいで可愛いし…アタシも見たいなぁ」
天海こよみ :
「双子、か……。じゃあ、ぼくがおねえちゃん……?」 くすっと笑って
十条ミツキ :
「どちらかと言えばそうかも。クラは妹かな?」
天海こよみ :
「そっか……。ふふっ、そうだね。クラちゃんは妹っぽい……」
天海こよみ :
「ぼく、一人っ子だから……なんだかちょっとたのしいな」
クラッドカルト :
「……?コヨミがたのしいなら、クラもたのしいよ!」 双子のことはよくわかっていなさそうだが、幸せそうに笑っている
十条ミツキ :
「うーん…つまり、クラはこよみと強い絆で結ばれていて…クラは、こよみのことを見て色々勉強していくってことだよ」
十条ミツキ :
「……って、これじゃあ今の関係と全く同じか。とにかく、クラはこよみと仲良く過ごしてね」 双子とは何か説明しようとしたが、今更関係に名前をつけるまでもないと思い笑う
クラッドカルト :
「うん!クラ、こよみといーっぱいなかよくする!!」 こよみに抱きついて、もちもちと頬ずりして
天海こよみ :
「わ、わ……クラちゃん~……」 されるがままの状態
十条ミツキ :
「ふふふ…」 微笑ましい光景を見て目を細める
GM :
そうしてクラに抱きつかれてしばらく戯れた後、こよみがふと口を開く。
天海こよみ :
「……ねえ、ミツキちゃん」
天海こよみ :
「まだ、もう少しだけ……時間ってだいじょうぶ、かな……?」
十条ミツキ :
「うん、大丈夫だよ。どうしたの?」 首を傾げる
天海こよみ :
「……あ、あの……あのね……」
天海こよみ :
「その、えっと……えっと……」
天海こよみ :
「……今から……学校まで、ついてきてもらっても……いい……?」 不安そうに両手の指をいじりながら
十条ミツキ :
「……!」 こよみの意思の強さに驚き、目を見開く
十条ミツキ :
「…もちろん。アタシで良かったら、一緒に行こうか。まだ3限には間に合いそうだよね?」
天海こよみ :
「う、うん……っ!あ、ありがとう、ミツキちゃん……」 コクコクと頷いて
十条ミツキ :
「ふふっ、大丈夫。ほら、行こうか」 手を差し伸べる
天海こよみ :
「う、うん……」 手を伸ばしかけて
クラッドカルト :
「まって、コヨミ」 その手を奪い取るように横から繋ぐ
天海こよみ :
「……?ク、クラちゃん……?」
クラッドカルト :
「……がっこう、いくの?なんで……?コヨミ、さっきこわがってたのに……」 不安そうにこよみとミツキを見てる
天海こよみ :
「え、えっと……」 クラと繋いだ手が小さく震える。実際に、まだ怖いのだろう
十条ミツキ :
「……それでも、頑張りたいってこと……じゃないかな?」 こよみに向かって尋ねる。
天海こよみ :
「……うん。がんばりたい、の……」
天海こよみ :
「さっきは、にげちゃったけど……。ミツキちゃんがいてくれたら、今度は……だいじょうぶかも、って……」
天海こよみ :
「そう思ったの……」 ぎゅっとクラの手を握る
クラッドカルト :
「コヨミ……」
十条ミツキ :
「……アタシも、こよみに無理はさせたくない。だから……これは、クラにお願い」
十条ミツキ :
「こよみがもし、本当に立ち直れなくなる、危ない…そう思ったら、迷わずこよみとアタシを止めて。これは、クラにしか任せられないことだから…」
十条ミツキ :
「…できるかな?」 クラを安心させるように微笑みかける
クラッドカルト :
「…………」 いつもは何も考えていないようにすぐ思ったことを口にしがちだが、ジッと黙ってミツキの目を見て
クラッドカルト :
「……わかった」
クラッドカルト :
「クラ……できるよ……!コヨミのこと、だいすきだもん……!」 はっきりとそう答える
十条ミツキ :
「ん、良い返事。アタシもこよみのこと大好きだよ」
十条ミツキ :
「それじゃ…2人とも、準備はいいかな」
クラッドカルト :
「いいよ!」
天海こよみ :
「……うん。だいじょうぶ」 もう片方の手でミツキと手を繋ぐ
十条ミツキ :
「よし。それなら……行こっか」 こよみの学校の名前を改めて聞き出し、地図アプリを開いて通学路を歩き出す。
十条ミツキ :
こよみと繋いだ手を、安心させるようにしっかり握りながら。
中学校 校門前
GM :
それから十分程歩き、ミツキ達はこよみが通う中学校に到着する。
GM :
すでに授業が始まっている時間であるため、校門は閉まっている。
中に入るには門壁に設置されたインターホンを鳴らして学校と連絡を取り、すぐ隣の小さな扉を通る必要があるようだった。
天海こよみ :
「…………」 緊張しているのか、ミツキの腕に抱きついて小さくぷるぷる震えている
クラッドカルト :
「…………」 そのこよみの腕にしがみついて小さくぷるぷる震えている
十条ミツキ :
「……」 緊張が伝播しているのか、ミツキもやや真剣な面持ちだ。
十条ミツキ :
「……どうする?自分で言える?それともアタシから言おうか」 インターホンを指差して
天海こよみ :
「え、えっと……」 迷って
天海こよみ :
「じゃあ、おねがい……しても、いい……?」
十条ミツキ :
「OK。普段の登校でも、こんなことやらないだろうしね」 微笑みかけて、ミツキがインターホンを鳴らす
GM :
では、ミツキの指がインターホンのボタンに触れる直前に、
天海こよみ :
「ま、まって……!!」 急にこよみが呼び止める
十条ミツキ :
「んっ。どうかした…?」
天海こよみ :
「ご、ごめん……やっぱり……」
天海こよみ :
「ぼく……」
天海こよみ :
「じ、自分で……話しても、いい……?」 少し小声になっていきながら言う
十条ミツキ :
「……」 若干驚いた様子だが、こくりと頷く。
十条ミツキ :
「もちろん、いいよ。大丈夫、普段の特典会に比べたら楽勝だよ」 あれ出来るの、ホントはすごいことなんだから。と笑う
天海こよみ :
「そ……そう、なの……?」 目を丸くして
十条ミツキ :
「そうだよ。だって、本当の本当に初めましての人たち相手に話すんだよ?こよみの同級生じゃ、できない子の方が多いよ」
十条ミツキ :
「それに…こよみの色んなことを分かってくれている先生たちの方が、よっぽど話しやすいはず。だから、大丈夫」
天海こよみ :
「そ、そっか……」
天海こよみ :
「そう、かも……!」 ちょっとだけ不安が和らいだのか、声に元気が戻る
十条ミツキ :
「でしょ?自信持っていこ、こよみ!」 元気づけるように明るい声で
天海こよみ :
「……うん!」 小さく笑みを浮かべて
GM :
そうして、こよみはインターホンに手を伸ばそうとして、
天海こよみ :
「あ……そ、そうだ」 手を下ろして
天海こよみ :
「……クラちゃん。もどってもらって、いい?」
クラッドカルト :
「え!?クラおるすばん!?」
天海こよみ :
「そ、そうじゃなくて……。あの、今の体を消して、ぼくの中にいしきを……もどす?みたいな……いつもやってるでしょ……?」
天海こよみ :
「クラちゃんがそのまま学校はいったら……びっくりされちゃう、かも……」
クラッドカルト :
「そうなの!?クラせいふくきてるよ!?」
十条ミツキ :
「クラ。えっとね…もしクラが通うとしたら、まずは『小学校』ってところなんだ」
十条ミツキ :
「こよみは小学校で6年間頑張って勉強してきたから、今の『中学校』に入れたの。でも、クラはまだ学校行ったことないでしょ?」
クラッドカルト :
「うん……いったことない……」
十条ミツキ :
「だよね。でも、まだクラはこよみから離れて小学校に行ったりはできないから…しばらく、学校はお預けになっちゃうんだ」
十条ミツキ :
「……ただし。クラはなんと、ちょっぴりズルして中学校に行くことができます」 人差し指をピンと立てる
十条ミツキ :
「そう……こよみの中にいれば、一緒に通うことができるんです」
クラッドカルト :
「!!!!」 ハッとして
クラッドカルト :
「ほんとだ!!!すごい!!!」
十条ミツキ :
「でしょ?だから、こよみの中で一緒に学校通うのも結構悪くないんじゃないかな……って、アタシは思うよ」
十条ミツキ :
「どう?」
クラッドカルト :
「そっか~……!なーんだ……!」
クラッドカルト :
「じゃあ、いいよ!クラ、コヨミといっしょにがっこうかよう!」 すっかり笑顔になってコヨミに抱きつく
天海こよみ :
「わ……!よ、よかった……」
十条ミツキ :
「お利口さん。2人でたくさん勉強できるといいね」 2人の頭をぽんぽんと撫でて
クラッドカルト :
「うん!」 満足気に頭を撫でられてから
クラッドカルト :
「……ね、コヨミ」
天海こよみ :
「なに?クラちゃん」
クラッドカルト :
「あのね、クラ……」
クラッドカルト :
「クラついてる!ずっと!コヨミといっしょにいる……!!」 こよみを勇気づけるように笑いかけ、その手を両手で握りしめる
天海こよみ :
「……!」
天海こよみ :
「うん……。ありがとう……クラちゃん」 クラの無邪気な笑顔に、こよみも微笑み返す
十条ミツキ :
「…クラ、こよみのことをお願い。帰ってきたら、思い出話たくさん聞かせてね」 ミツキもまた微笑んで
クラッドカルト :
「うん、わかった!」
クラッドカルト :
「またね、ミツキ……!」
GM :
クラッドカルトは《ファーコンタクト》の効果を解除。
GM :
一瞬風が吹き……クラッドカルトの姿が静かに消える。
しかし、彼女の本体は常にこよみの中に宿っている。
天海こよみ :
「……ありがとう、クラちゃん」 目を閉じて、胸元に手を当てながら優しく呟く
十条ミツキ :
「……クラも居てくれるなら…心強いね、こよみ」
天海こよみ :
「……うん」
天海こよみ :
「色んなこと、たくさんあったけど……」
天海こよみ :
「ぼく、クラちゃんと会えて……よかった、って。そう思ってる」
十条ミツキ :
「……そうだね。アタシも…クラのこと、好きだよ」
十条ミツキ :
「こよみが諦めないでいてくれたおかげで、アタシもそう思える。……簡単には言えないけど……それでも、良かった」
天海こよみ :
「……うん!ぼく達、同じ気持ち……だね」 小さく笑って
十条ミツキ :
「そうだね。嬉しいな……」 一緒になって笑う
GM :
二人で笑いあった後、こよみはついに意を決してインターホンのボタンに指を近づけ……
天海こよみ :
「…………」 しかし、その指が止まって
天海こよみ :
「あ、あの……ミツキちゃん」 ミツキの方に振り返る
十条ミツキ :
「どうしたの…?」 優しく尋ねる
天海こよみ :
「さいごに一つだけ、おねがいしたいこと……あって……」
天海こよみ :
「聞いてもらっても、いい……?」 ちょっと不安そうに
十条ミツキ :
「いいよ。聞かせて?」 快く頷く
天海こよみ :
「ありがとう……あのね……」
天海こよみ :
「えっと、ね……」 指を体の前でもじもじと擦り合わせて
天海こよみ :
「ちゅー……してもらっても、いい……?」 上目遣いに見ながら、そう口にする
十条ミツキ :
「うん……………うん?」
十条ミツキ :
「ちゅ、ちゅー……?ご、ごめん、聞き間違えかな、アハハ……えっと」
十条ミツキ :
「……ごめん、本当に『ちゅー』って言った?」 まさかこよみからそのような言葉が出てくると思わず、戸惑い半分の様子で尋ねる
天海こよみ :
「うん……言った」 こくんと頷く
十条ミツキ :
「……ちゅーって、キスのこと?」
天海こよみ :
「そ、そう……」 こくこく頷く
十条ミツキ :
「……どこに?」
天海こよみ :
「ほっぺた」
天海こよみ :
「ご、ごめんなさい……。こまらせてる、よね……」
十条ミツキ :
「困ると言うか……びっくりというか……」
十条ミツキ :
「……でも、嫌じゃないよ。こよみだし」
天海こよみ :
「ほ、ほんと……!?」 しょぼんと俯きかけていた顔を上げる
十条ミツキ :
「うん。初めてってわけでもないしね」 さらっと
天海こよみ :
「そうなの……?」
十条ミツキ :
「うん。えっと……妹とか、お父さんとかお母さんとか…」 親族の名前をつらつら上げ始める
十条ミツキ :
「……だから、こよみならいいかなって。アタシの妹みたいなものだし……キスしたら、学校頑張れそう?」
天海こよみ :
「あ、やっぱり……そうだったんだ」
天海こよみ :
「ぼくも、ね。昔、ママとパパにいっぱいちゅーしてもらったの……」
天海こよみ :
「だから、ミツキちゃんにも……してほしい。ぼく、がんばれる気が……する」
十条ミツキ :
「わかった。それじゃ……」 周囲を確認し、人目がないことを確認した後……こよみを校門の横の壁側に寄せて、自らは壁に手をついてこよみをじっと見つめる。
十条ミツキ :
「……他のみんなには、内緒だからね?」 そう囁いてから、こよみの白く柔らかな頬に小さくキスをする
天海こよみ :
「……!」 頬に温かくて柔らかい感触を覚えて
天海こよみ :
「わ、わぁ……!えへへ、やったあ……」 キスされた頬に指で触れながら、幸せそうな笑顔を咲かせる
十条ミツキ :
「ふふっ……そんなに喜んでもらえるなら、した甲斐があるね」 今日一番の笑顔を見て嬉しそうにしつつ、一歩下がってこよみを壁際から逃す
天海こよみ :
「うん……!ありがとう、ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「だいすき、だよ……!」
GM :
今まで何度も伝えたその言葉と共に、こよみは一歩また踏み込んで。
GM :
ミツキに顔を近づけると、お返しのようにその頬に優しくキスをした。
十条ミツキ :
「……!」 こよみの柔らかな唇の感触。自分がされるのは予想外だったのか、ほんのりと頬を赤くする
十条ミツキ :
「……ありがとう、こよみ。アタシも、こよみのこと大好きだよ」
天海こよみ :
「うん……!」 こよみも少し頬を赤らめて
十条ミツキ :
「……こほん。た、ただし!こうやって目立つところでやったら、週刊誌とかに撮られるかもだからね!アタシみたいに!」
十条ミツキ :
「だから……外ではもうしないこと!いいね?」
天海こよみ :
「……外じゃなかったら、これからも……いいの?」
十条ミツキ :
「あ。あ〜……」 家族の感覚で居たつもりが、こよみのキスをきっかけにどんどん気恥ずかしくなってきたのか。目を逸らして焦り始める
十条ミツキ :
「……たまには…?」
天海こよみ :
「……ふふっ、そっか」
天海こよみ :
「うん……わかった、ミツキちゃん」 焦るミツキとは反対に、こよみは唇に手を添えながら楽しげにくすっと笑う
十条ミツキ :
「む、むむ……」 やや複雑な気持ちで唸ってから、腰に手を当てる
十条ミツキ :
「……ほらっ、こよみ。もう少しで2限終わっちゃうよ?」 そう言って校舎の時計を指差す
天海こよみ :
「あ……うん!ほんとだ……」 時計を見上げかけて
天海こよみ :
「わっ……!?」 突然体が引っ張られるようにして、ミツキからぴょんっと離れる
天海こよみ :
「ク、クラちゃん~……なんでおこってるの……?」 どうやら、分身を出していなくてもこよみはクラとは話せるらしい。困った顔で虚空を見ている
十条ミツキ :
「アハハ…クラもご不満みたいだね。ほら、一緒に行ってあげて」 苦笑いして
天海こよみ :
「うん……わかった」 頷く
天海こよみ :
「ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「ぼくのこと、ちゃんと……見ててね」 インターホンの前に立って、ミツキに振り向く
十条ミツキ :
「うん、ここにいるよ。ファイト…!」 小さく拳を握って見せる
天海こよみ :
「……うん!」 小さく頷いて
GM :
そして、こよみは指先でインターホンのボタンを押す。
GM :
ピンポーン、と軽快なベルが鳴った後、しばらくして「はい」と職員の声が返ってきた。
天海こよみ :
「あっ、あ、あの……!ぼく……!えっと……」
天海こよみ :
「二年生の、三組の……!出席番号、一番の……!」
天海こよみ :
「あ……天海、こよみ……です……!学校……入りたい、です……っ!」
GM :
こよみは緊張で顔を赤く染めながら、頑張ってそう伝える。
GM :
職員はすぐに優しい声で「少々お待ちくださいね」と言った後、インターホンの通話を切った。
GM :
そしてしばらくすると警備員がやってきて、通用口の扉の鍵を開けてくれる。
天海こよみ :
「み、ミツキちゃん……」
天海こよみ :
「いってくる……ね」 緊張しながらも、ミツキにそう伝える
十条ミツキ :
「……うん。困ったら連絡してね、アタシすぐに駆けつけるから」
十条ミツキ :
「それじゃあ、いってらっしゃい!」
天海こよみ :
「うん……。いって、きます……!」
GM :
こよみが通用口をくぐっていく。
GM :
ミツキは閉じた校門の向こうから、学校の敷地内に立つこよみの姿を見るだろう。
天海こよみ :
「……!」
GM :
こよみが振り返る。
目が合った彼女は、胸元のあたりで手をぎゅっと握っていた。
GM :
しかしもう片方の手で、ミツキに小さく手を振っていて。
GM :
こよみの表情は嬉しそうに少し微笑んでいて、大きな一歩を踏み出せたのだと分かるだろう。
十条ミツキ :
こよみの姿を見て目を細めて…ミツキもまた、手を振り返す
十条ミツキ :
「……いってらっしゃい、こよみ!」
十条ミツキ :
校門の向こう側にも聞こえる、よく通る声で。万感の想いを込めて、同じ言葉を繰り返す。
天海こよみ :
「……!いってきます……!!」
GM :
さっきよりも大きな声で、返事をして。
GM :
……こよみが校舎に向かって歩いていく。
GM :
最初はゆっくり。一歩一歩、学園の土を踏みしめながら。
GM :
そして、すぐに小走りで駆け出し始める。
GM :
上手くやれるか不安な気持ちよりも、これからの期待の方が大きくなったのだと表わすように。
GM :
ミツキはこよみが昇降口に入るまで、その遠くなっていく背中を最後まで見送る。
十条ミツキ :
「……」 後ろ姿が見えなくなり……ゆっくりと、手を下ろす。
十条ミツキ :
「(……あかりちゃん。きっと、見ていますよね)」
十条ミツキ :
「(こよみは……あなたの娘は、とても立派な子です。きっと、もう大丈夫……)」
十条ミツキ :
「(……でも。約束通り、アタシはあの子のそばに居ます。今は、あの子の幸せが……アタシの心の一番星だから)」
十条ミツキ :
「……さて、と!」 わざとらしく踵を返し、顔を上げて青空を見上げる。
十条ミツキ :
「アタシも……そろそろ、重役出勤しちゃおうかな……!」
十条ミツキ :
小さく伸びをした後、ミツキはUGNプロの事務所がある方面に向かって歩き始める。
GM :
────その時、秋の訪れを感じさせる爽やかな風が吹き抜ける。
GM :
彼女の瞳に映るのは、透き通るような青い空。
GM :
それはこよみとミツキの希望に満ちた心を映すかのように、どこまでも広がり続けていた……。
GM :
シーン終了。
After Play
GM :
では最後に、経験点の配布を行います。
GM :
セッションに最後まで参加した、よいロールプレイをした~スケジュール調整を行ったのとこは纏めて5点
シナリオの目的を達成したで5点。
Eロイス《ファイトクラブ》を解除出来たので+3点。
Eロイス分で+3点。
Sロイスが最後まで残っているので+5点。
GM :
ここまで合計して共通で21点。
それにルルブ1の211ページを参照してもらって、最終侵蝕率の経験点を加えてください。
十条ミツキ :
最終侵蝕率85%なので、+5点。計26点いただきます…!
GM :
ですね!
GM :
ではそれを3で割って1点加えて、GMは9点貰います。
GM :
あとはロイス整理ですが、そこはまたゆっくりやってもらうということで
十条ミツキ :
10000000000点もらえ
十条ミツキ :
了解です!
GM :
気持ちだけもらっとこう
GM :
では、これにて
GM :
DX3rd「こよみとミツキの心海回游」を終了します。お疲れ様でした!!
十条ミツキ :
お疲れ様でした……!前作参加はもちろん、シナリオ作成から準備から何から何まで本当にありがとう!!楽しかったです…!!!
GM :
やったー!!わたしもめちゃくちゃ楽しかった!!
GM :
みずびーのRPも全部良かったし、本当に開いてよかったです。こちらこそありがとうございました!!
Extra
パーソナリティーズ:こよみとミツキの心海回游
クラッドカルト
「クラついてる!ずっと!コヨミといっしょにいる……!!」
・DATA
性別:なし
年齢:紀元前より存在、具体的な年代は不明
身長:150cm(こよみの身長)
ブリード:ピュアブリード
シンドローム:ハヌマーン
ワークス/カヴァー:レネゲイドビーイング/こよみのおともだち
覚醒:無知
衝動:妄想
【肉体】 1
【感覚】 1 〈芸術:歌唱〉1
【精神】 3 〈RC〉1 〈意志〉2 〈知識:アイドル〉1 〈知識:天海こよみ〉10
【社会】 1
【HP】025 【行動値】05 侵蝕率:54%
エフェクト:《オリジン:レジェンド》1、《ミューズの調べ》1、《ファーコンタクト》1、他
・解説
天海こよみと共生するレネゲイドビーイング。
紀元前、宇宙より飛来したレネゲイドウイルスが、人間社会における『偶像、崇拝される存在』を取り巻く意識の集合体として形を持ったもの。
取り憑いた対象を、無条件に「カリスマ的存在」に見せる力を持つ。
その力は、人々から想いを向けられれば向けられるほど強力な物となる。最終的には、自身に『信仰心』を向ける相手を操り、自らの生存の為の奴隷として扱えるようになる。
宿主自身が注目される事を拒絶した場合は、取り憑いた対象諸共暴走し、強制的に力を行使させようとする性質を持っている。
かつては人の形を取り、彼自身が人間の信仰の対象として崇められていた。
肉体が死んだ後も宿主を変え、宗教の教祖や為政者に取り憑いていたが、別のオーヴァードにその存在を暴露され、当時取り憑いていた宿主ごと海へ捨てられた。
千年以上の孤独によって精神と思考能力が磨耗した状態だったが、天海こよみの働きかけと都築京香のプランによって確かな知性と自我を取り戻した。
しかしプランは完遂直前で失敗に終わったため、その知能レベルは幼い子供程度で止まってしまっている。
現在のクラッドカルトは、こよみに愛されたい、友達として共にいたいという想いが強く、彼女を守るために行動している。
しかし、以前のように能力を暴走させて信仰心を向ける相手を操り、敵に差し向けるといった手段は決して取らなくなった。
それはミツキに寄生していた時に向けられた彼女の怒りや悲しみ、絶望を理解したからである。
だが、取り憑いた対象をカリスマ的存在に見せる力は現在の彼の意思でも止めることが出来ず、常時発動している。
《ファーコンタクト》を使用することで、自分の意識を移した分身を作りだし、他者との会話や接触が可能になる。
ある程度の時間が経過する、能力を解除する、攻撃を受けるなどすると分身は消滅し、こよみに宿っている本体に意識が戻る。
分身の姿はこよみそっくりに作られる。こよみのことが好きなため、無意識に彼女の姿を真似てしまったようだ。
なお、分身を作らなくてもこよみとは心の中で対話が可能である。
それでもわざわざ分身を作って意識を本体から移し替えるのはこよみと触れ合いたいからで、分身状態の時は大体こよみにくっついて甘えている。
また、ミツキやMARiNE SNOWのメンバーに構って貰いたい時もよく現れる。
・予測を覆した奇跡とプラン完遂後のクラッドカルト
“こよみとミツキの心海回游”本編において、都築京香のプランは完遂されずに終わったが、五十嵐の敗北後も彼女のプランはまだ続いている。
クラッドカルトがこよみに取り憑いている限り、こよみがジャーム化すればクラッドカルトは進化を果たすことが出来るからだ。
この先も、都築京香は様々なプランでこよみをジャーム化させようとしてくるだろう。
全ては予測の範囲内であり、プラン通り。しかし、そんな都築京香さえも予測出来なかった事態が一つだけ起こった。
それは、ジャームになりかけていた十条ミツキが完全に元に戻ったことだ。
ミツキのEロイス《ファイトクラブ》を消し去るためには、ジャーム人格を殺害する以外に方法はないはずだった。
ミツキのジャーム化した心が浄化されたのは、こよみとの絆が起こした予測の範囲外にある奇跡だった。
この奇跡を起こすことが出来た二人は、これから襲い来るプランも覆していける可能性を秘めていると言えるだろう。
しかし、もしもこよみがジャーム化し、プランが完遂されてしまったら。
クラッドカルトはレネゲイドの共鳴によって、海に捨てられる前の頃の自我と知性を取り戻し、全盛期以上の能力を得る。
そして、ジャーム化したこよみを守るため、強化された能力でこよみの精神を抑え込み、その体を操るだろう。
クラッドカルトが得るはずだった実体とはこよみの体そのものであり、彼は実質的に支配型と言えるレネゲイドビーイングへと進化を遂げる。
その後のクラッドカルトがどのような行動を起こすのか。それは神のみぞ知ることだ。
天海あかり
「いつまでも、大好きよ。こよみ」
・DATA
性別:女性
年齢:44歳
身長:162cm
ブリード:ピュアブリード
シンドローム:ハヌマーン
ワークス/カヴァー:歌手/主婦
覚醒:感染
衝動:妄想
【肉体】 2 〈運転:二輪〉4
【感覚】 5 〈知覚〉2 〈芸術:歌唱〉20
【精神】 6 〈RC〉4 〈意思〉3 〈知識:アイドル〉10
【社会】 3 〈交渉〉3 〈情報:噂話〉2
【HP】060 【行動値】16 侵蝕率:123%
エフェクト:《サイレンの魔女》5、《疾風迅雷》5、《ロックンロールビート》3、他
・解説
天海こよみの母親。
約30年前に活動していた国民的アイドルであり、今もなお伝説としてテレビの中で語り継がれている存在。
14歳の頃、友達に勝手に応募されてテレビのオーディション番組に参加。
他の参加者に大きく差をつけた圧倒的な支持を審査員と観客から集め、見事合格しアイドルとしてデビューすることになった。
当初はアイドルにあまり興味はなかったが、元々歌うことは好きだったのと、観客の笑顔をもっとステージから見てみたいと思い、本気でアイドル活動を行うことを決意する。
それからレッスンを重ね、すぐにアイドルとしての才能が開花。
愛らしく可憐な外見から想像できないような力強いパフォーマンスと、命を懸けて歌っていると言われる程高い歌唱力は特に評価されており、レコード大賞を三年連続で受賞している。
歌番組の他にもバラエティ番組、CM、ドラマ出演など、テレビで見ない日がない程の誰もが認める国民的アイドルとして人気を集めた。
しかしデビューから六年後、二十歳になる頃に突如引退を宣言。
引退理由は「アイドルとは違う生き方をしてみたくなったから」だった。
引退ライブの後、ファンから惜しまれながら芸能界から姿を消した。
人気絶頂だったあかりが引退を決意した本当の理由は、父親・天海時貞の急死にあった。
母親・天海ちとせと違い、時貞はデビュー前からあかりの芸能活動に猛反対していた。
頑固で寡黙、硬派な気質だった時貞はアイドルとはどうしても相容れず、あかりもそんな父親に反発し、二人はお互いに口すら利かないような関係になってしまっていた。
だが、時貞が病で亡くなった後、あかりはちとせから父の真意を聞かされる。
時貞がアイドルのことが好きではなかったのは事実だが、彼は娘の活動を本当は応援しており、あかりが出ている番組を全てチェックしていたし、隠れて録画までしていたこと。
芸能活動に追われて多忙を極め、学校にもろくに通えず、睡眠時間を削られていたあかりをずっと心配し続けていたこと。
アイドルの世界だけに縛られるのではなく、もっと色んな世界を見て欲しいと願っていたこと。
ちとせはこのことを知っていたが、時貞に口止めされていたため、あかりに伝えることがずっと出来なかった。
父の本当の気持ちを知ったことで、あかりはアイドルを辞めて別の生き方を探すようになった。
引退後のあかりはアイドル時代に稼いだ金を使い、世界中を旅した。
世界を飛び回った彼女は様々な経験を重ね、アイドルとは全く違う景色を見続けた。
それから五年後、オーストラリアの海岸で一歳年上の男性・陸岡瞬一と運命の出会いを果たす。
瞬一は人・動物・自然など、様々な美しいものの一瞬を切り取る芸術写真家だった。
彼はある日、オーストラリアの海を撮影していた時に偶然あかりの姿を見つける。
元々外国暮らしでアイドルだった頃のあかりを知らなかった瞬一だったが、その美しさからあかりに一目惚れし声をかける。
あかりも瞬一に強く惹かれ、二人は共に世界を旅して多くの美しい写真と思い出を作っていった。
そして出会いから三年後に結婚。その一年後に子供を授かった。
日本に帰国後、あかりはこよみを出産し、東京の町で家族三人で暮らすことになった。
あかりはこよみに、昔アイドルだったことを自分から教えるつもりはなかった。
だが瞬一がアイドル時代のあかりの映像を勝手に何度も見せたことで、こよみはあかりのようなアイドルに憧れるようになった。
父親に散々心配をかけた過去から、あかりはこよみが自分と同じアイドルの道に進んでしまうかもしれないことに不安を覚えていた。
しかし、純粋にアイドルに憧れるこよみを見ている内に、こよみがこの先どんな夢を見ても全力で応援し、支えることを決意するようになった。
それから九年後。
あかりはあるFHセルから依頼を受けた五十嵐タクミに拉致され、FHの施設に囚われてしまう。
この時、瞬一はあかりを助けようとしたがただの人間がオーヴァードに敵うはずもなく、共に五十嵐に連れ攫われてしまった。
あかりを攫ったFHセルはある実験を行うために多くの被検体を求めており、あかりは実験の結果、オーヴァードに覚醒した。
その一方で、瞬一は覚醒時にジャーム化し、そのまま処分されてしまうこととなった。
他の被検体が過酷な実験に耐えきれず次々に死んでいった中、あかりだけが無事だったことにはある理由があった。
それは、FHセルのセルリーダーがあかりの元ファンだったからだ。
セルリーダーはあかりを特別扱いし、あかりは囚われた被検体でありながら、ある程度の自由を与えられていた。
あかりはその権利でセルリーダーや研究員からレネゲイドの知識を教えてもらい、独自の方法で戦闘訓練を積んだ。
そして、その力で一年後に施設から脱走することに成功する。
しかし、あかりは追手として差し向けられた五十嵐タクミとの戦闘で死亡する。
五十嵐が受けた依頼はあかりを生きたまま捕まえることだったが、娘のもとに帰るため必死に戦うあかりはもはや手加減出来るような強さではなく、やむを得ず殺害に至った。
その後、あかりの遺体はセルリーダーのもとに運ばれ、施設で凍結保存されることとなった。
元アイドル、正気を失い操られた状態でPCと戦う、《サイレンの魔女》と《疾風迅雷》のコンボなど、“明星のレゾナンス”における十条ミツキの要素を一部引き継いだキャラクター。
"フォルネウス" 五十嵐タクミ
「サムいねん、アイドルなんか」
・DATA
性別:男性
年齢:24歳
身長:178cm
ブリード:クロスブリード
シンドローム:エグザイル/ブラム=ストーカー
ワークス/カヴァー:ゼノスエージェント/大阪人
覚醒:無知
衝動:吸血
【肉体】 4 〈白兵〉4 〈運転:四輪〉2
【感覚】 4 〈芸術:歌唱〉2
【精神】 2 〈知識:アイドル〉2
【社会】 3 〈交渉〉2 〈調達〉4 〈情報:裏社会〉2
【HP】150 【行動値】10 侵蝕率:146%
エフェクト:《骨の剣》3、《伸縮腕》3、《ヒュドラの怒り》3、他
・解説
ゼノスに所属するエージェントの男。
青い触手と墨のように黒い血を自在に操り、半魚人型の従者を生成する能力を持つ。
特殊ワーディング空間“マヨヒガ”の展開能力と、“クラーケン”を起源とするレネゲイドビーイングへの疑似変身能力を都築京香から与えられている。
八年前。
友人と一緒に馬鹿騒ぎすることが大好きな高校生のタクミは、大阪の街でスカウトされてメンズ地下アイドルグループ“なにわ友あれ!”のメンバーとなる。
最初の頃はあまり乗り気ではなく、おもんなかったらすぐやめたろの精神でスカウトを受けた。
だが、アイドルというよりお笑い芸人のような方向性と、気の良いメンバー達が揃ったグループに居心地の良さを感じ、すぐにアイドル活動に夢中になる。
人気はそこそこだがファンに恵まれ、メンバー間の仲も良好で、アイドルとして楽しい青春の日々を送っていた。
しかしグループ結成から三年後、メンバーの一人がファンへの暴行事件を起こした末、怪死を遂げる。
このことが原因でグループは解散。なにわ友あれ!のメンバー以外とアイドルをする気がなかったタクミはそのままアイドルを引退した。
その直後、FHのとあるエージェントがタクミに接触する。
友人の死やグループ解散などの喪失感によるショックで、タクミは本人も知らない内にオーヴァードに覚醒していた。
タクミはFHからレネゲイドの知識を得たことで、メンバーの怪死事件がオーヴァードによる犯行であることを確信する。
彼はFHマーセナリーとして活動しながら、大切なファンを傷つけ、友人を死に追いやった犯人を見つけるために行動を開始した。
しかし一年後、タクミは侵蝕率の上昇が原因でジャーム化してしまう。
ジャームとなったことで犯人探しを忘れ、ただひたすらに面白いものを求めて非道な依頼も遂行する邪悪なFHマーセナリーに変貌した。
タクミのオーヴァードとしての才能を見抜いたFHエージェントが彼を組織に引き入れるため、なにわ友あれ!のメンバーを操った後に殺害したという真相は、永久に闇の中に葬られることとなった。
コールドウェル博士が帰還してからのFHにつまらなさを感じていた頃、都築京香からの勧誘を受けてゼノスのエージェントになる。
都築京香がタクミを勧誘したのは、クラッドカルト進化のプランに必要だったからである。
都築京香はタクミが敗北する可能性も予測しており、最初からこのプランのみでタクミのことを使い捨てるつもりだった。
クラッドカルトに対しては、理由の分からない嫌悪感を抱えている。
それは「もし自分がクラッドカルトに取り憑かれていれば、ファンを操ることで暴行事件から守り、亡くなったメンバーのことをも守ることが出来たのではないか」という心の奥底にある想いに由来する。
しかし、ジャーム化したことで事件のことなどどうでもよくなり、アイドルなんてオーヴァードの力を使うことに比べればつまらないお遊びだったと思うようになった今のタクミが、その気持ちに気付くことはなかった。
現在はUGNのジャーム凍結施設に搬送され、凍結処理を受けている。
……もしも遠い未来、ジャームの治療が可能となったら。
そして、天海こよみがクラッドカルトの力も超える程のアイドルになっていたら。
その姿を見たタクミは少し冗談を言って茶化しながらも、彼女のことを最高のアイドルとして認めるだろう。
五十嵐タクミという名前は、“明星のレゾナンス”NPCの名前に数字が入る法則が組み込まれている。
入っている数字は5と10、そしてミを変換して3。
これらを全て足して合わせると53。つまりゴミ。
歌や踊りではない面白さがあるパフォーマンスを行うアイドルグループという要素をあみぃ・らむねから。
FHの仕業で覚醒しながらも、それを知らずにFHに所属していたという要素をオーメン相良/相良丞から。
無害を装って近づいてくるアイドル嫌いで、触手を使うエグザイルシンドロームのクラーケンという要素を紫吹レイジ/梓シグレから、それぞれ一部引き継いでいるキャラクター。
・なにわ友あれ!(なにわともあれ🌊なにわれ)
「なにはともあれ、一件落着!」「してへんやないかーい!!」
抱腹絶倒の面白さを届ける、お笑い系メンズアイドルグループ。
芸人気質なメンバーが総出で観客を笑わせようとする、大阪人の塊のような変なグループ。
歌や踊りよりも笑いを重視しており、観るものを楽しい気持ちにさせるパフォーマンスが特徴。ライブ中にはよく寸劇が挟まる。
メンバーは五人。ボケとツッコミの役割分担は特に決まっておらず、全員がボケるし全員がツッコむ。
台本はあるもののアドリブが非常に多く、全員やりたい放題してくるのでいつも収拾がつかないめちゃくちゃな状態になりがち。
そのため、最後は「なにはともあれ、一件落着!」の台詞でライブを締めるものの、観客から総ツッコミを入れられるのがお約束の流れになっていた。
メンバーカラーは赤・黄・オレンジ・白・ピンク。タクミはオレンジ担当だった。
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『ダブルクロス The 3rd Edition』の二次創作物です。
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