アイドル。
偶像と呼ばれる彼女らは、時に「星」と形容されることがある。
自らの青春を燃やし、人々の憧れとして輝く。

だが、ある日、際限なく輝く「光」が現れた。
その「光」の名は”クラッドカルト”。
宿主とした人間を『偶像(アイドル)』たらしめる、協力型のレネゲイドビーイングだ。

人間が背負うにはあまりにも強烈な光。
彼を巡る策略の中、深淵より魔の手が伸びる。

喝采、スポットライト、揺れるサイリウム。
熱狂の渦が明日を飲み込まんとする時、君は何を選択する。

ダブルクロスThe 3rd edition
『明星のレゾナンス』
ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。

GM:方舟
メインログ / 雑談ログ

キャラシート

PC1:天海こよみ  (キャラシート) PL:めい
PC2:虹之元ユメ  (キャラシート) PL:雅
PC3:琵琶坂藍依  (キャラシート) PL:ふろずん
PC4:夢川めめ   (キャラシート) PL:MEUR
PC5:澱カシル   (キャラシート) PL:タンゴ

目次

ハンドアウト・NPC・ステージ設定

■オープニングフェイズ
00  空を失った日
01  鮮烈エンカウント
02  新星ドリーミング
03  盟約リバイバル
04  偏愛イミテーション
05  怪祟ヴィジテーション

◇PC紹介:オーディション

■ミドルフェイズ
06  『光』に手を伸ばして
06.5 幕間:晴朗、なれども波高し
   ・星空の約束
   ・ライバル
   ・渦巻く感情
   ・呪いの夢
   ・過ち
   ・友達未満の関係
07  深海に雪が降る
08  情報収集①
09  遠雷鳴りやまず
10  白黒ラストバトル

09/02ログ開始ポイント

ハンドアウト・NPC・ステージ設定

■PC1:アイドルオタク
ロイス:十条ミツキ 推奨感情 P: 憧憬/N: 不信感
カヴァー/ワークス : 指定なし/指定なし
キミはアイドルオタクだ。
最推しの名前は十条ミツキ。
かつてカリスマ的人気を誇った地下アイドルである。
現場に通い続けた結果、君はミツキから認知され、気に入られるほどの仲となっていた。
しかし、ある日彼女は熱愛報道で炎上。
それに伴う『卒業』と同時に、一切の消息がわからなくなってしまっていた。
ミツキの卒業から1年ほど経ったある日、キミは特別な力を自覚する。
その力を狙い、迫る魔の手。
危うく殺されかけたキミを庇ったのは、今日まで決して忘れる事がなかった最推しの彼女──UGNエージェント“クリスタルホロウ”十条ミツキだった。
※PC1へのお願い:キミには“クラッドカルト”という名の協力型のレネゲイドビーイングが取り憑きます。
彼の知能は非常に低く、会話や戦闘面での貢献等はありませんが、シナリオ中に行う「アイドル活動」において、達成値が+10されます。

■PC2:UGNエージェント
ロイス:“らみぃどらいぶ!”のどちらか 推奨感情 P: 好奇心/N: 嫌悪感
カヴァー/ワークス : 指定なし/UGNエージェント
キミはオーヴァードだ。
日常生活を送っていた中、不意にワーディングが使用された気配を察知する。
現場に駆け付けると、PC1を庇う形で、UGNエージェント“クリスタルホロウ”十条ミツキが交戦しているところに出くわす。
敵は、“らみぃどらいぶ!”という名の二人組女性アイドルグループだ。
キミの助太刀により、彼女らを退ける事ができたが、再度PC1を狙うかのような発言を残していった。
戦闘経験の浅いPC1を一人にするのは危険だ。
キミには、UGN芸能支部長“ミスター・オーメン”より、PC1の教育係としての任務を与えられる。
……それは良いとして、アイドルになれってどういう事?

■PC3:UGNエージェント・イリーガル
ロイス:“ミスター・オーメン” 推奨感情 P: 連帯感/N: 不信感
カヴァー/ワークス : 指定なし/指定なし(UGN関係者)
キミは元アイドルのオーヴァードだ。
何かしらの理由でアイドルを引退した過去がある。
芸能界から離れ、UGN所属のオーヴァードとしての日々を送っていたキミの元に、突然、仮面をつけた男がやって来た。
男の名はオーメン相良、またの名を“ミスター・オーメン”。
「UGN芸能支部」もとい、「UGNプロダクション株式会社」にて、支部長兼社長兼プロデューサー業を営んでいる。
作戦の一環でアイドルグループを立ち上げる為、経験者のキミに是非加入してほしいとの事だ。

■PC4:メン地下通い
ロイス:紫吹レイジ 推奨感情 P: 純愛/N: 隔意
カヴァー/ワークス : 指定なし/指定なし(UGN関係者)
キミは、メンズ地下アイドル通いをしているオーヴァードだ。
キミには担当アイドルがいる。
彼の名前は紫吹レイジ。
メンズ地下アイドルグループ「EYES ONLY」に途中加入したメンバーだ。
キミは、彼が新メンバーであった頃から目をかけているTO(トップ・オタク)だ。
しかし最近は、彼のオタクが増え、他のオタクからの牽制が強まりつつある。
こうなれば、数ヶ月後に行われるレイジの生誕祭で、誰がTOであるかを思い知らせるしかない。
勤め先(複数あるなら、そのうちの一つ)であるUGNから、かなり良い条件の任務の人員募集があった為、キミはオーディションに参加する事とした。
これはネタバレだが、キミがメン地下通いをしている(していた)事実は、後に世間に暴露される事となる。

■PC5:UGNエージェント・イリーガル
ロイス:“クラッドカルト” 推奨感情 P: 好奇心/N: 隔意
カヴァー/ワークス : 指定なし/指定なし(UGN関係者)
キミはオーヴァードだ。
キミは、何らかの理由で、“クラッドカルト”というレネゲイドビーイングを知り、これの調査を行う必要がある。(UGN日本支部その他組織からの調査依頼、“クラッドカルト”を自分の物にしたい、など)
彼のレネゲイドビーイングを取り巻く作戦がスタートする事を知り、キミはUGN芸能支部が行う任務──アイドルグループを作るらしい──のオーディションに参加。潜入捜査を開始する。
(※ごちゃごちゃ書いていますが、フリー枠という事です。なんだかんだ合流して一緒にアイドルしてくれるなら、上記の通りじゃなくても良いです)




“クリスタルホロウ” 十条ミツキ(じゅうじょう・みつき)
十条ミツキ
「アタシ、キミを武道館に連れて行きたい。人生最高の景色を、キミと一緒に見たいんだ」
元カリスマアイドル。空色担当。19歳。
TOXiC blueというグループの人気No.1メンバーで、エースボーカルを担当していた。
透明度の高い歌声が魅力。
気だるげな雰囲気を持つように見えるが、実は人懐っこく寂しがり屋。
ファンの事を第一に考えており、アイドルに懸ける情熱は誰より熱い。
それだけに、彼女が不祥事を起こした時の世間の衝撃は、非常に大きい物だった。
十条ミツキ
引退後はシルバーグレーのミディアムボブになる。卓中ではこっちの姿の方が長い。



TOXiC blue(トキシックブルー🔹ドクアオ)
「夜が明けるまで、キミと共に」
中毒的なまでの「青」を捧げる、ガールクラッシュ系アイドルグループ。

従来の女性アイドル「っぽさ」とは違い、愛嬌ではなくパフォーマンスで勝負するグループ。
メンバー全員が、歌やダンスなど、強く秀でた部分を持っている。
「青」というのは、夜明け前の空や、幸せや平和、青春などを表しており、人々の希望となる事をコンセプトに掲げている。
青がコンセプトなので、メンバーカラーも寒色メイン(青、空、紫、白、黄)。ペンライトが付くと会場が綺麗な感じに光る。
「夜」「夜明け」「雨」などがキーワードとなるかっこいい曲が中心だが、たまに「青空」っぽい清楚系統にも手を出す事がある他、夏になると1曲だけやたら元気な曲を出す恒例行事がある。



アイドルとしての十条ミツキ(長い)
在籍期間:3年
年齢:15〜18歳(※シナリオ時点では19歳)
メンカラ:空色担当
 空と書いて「カラ」と読む、突き詰めていえば透明担当。ペンライトの色は水色。
ソロ曲:Drop in the Moon
 正確に言えばソロではないが、歌割りが多め。作詞はミツキ自身が行なっている。
「アタシが輝けているのはキミたちがいるから」「ずっと一緒にいようね」といったニュアンスの内容が歌われる、バラード風の曲。

来歴:
アイドルとなったきっかけは、顔の良さからいわゆる「ビジュアル枠」としてスカウトされ、「なんとなく」始めた事。
アイドルに対する興味こそあれどやる気はなく、パフォーマンスも凡庸であった。
しかし、初めてステージに立った際に、応援してくれるファンができた一方で、「ミツキは顔だけで他はいまいち」と感想を言われた事で逆に火がついた。
そこから猛練習を重ね、特に「歌」のスキルを重点的に強化。
そして、デビューから1年ほど経った頃、現場に来るファンの「すごいカリスマ性を秘めた子がいる」という口コミなどから爆発的にファンが増加。
特に、現場に来たファンについては惹きつけて離さない、人気No.1のメンバーとなった。

外見:
身長160cm。華奢な体格。
ボブ風のウルフヘア・通称クラゲヘアと、透けるようなハイトーンの髪色が特徴。野外フェス時など、太陽に透けた時は不思議と虹色に見える。
伏し目がちの長いまつ毛と、そこから覗く澄んだ瞳が綺麗。

内面:
「アイドル」である自分に対するプライドとストイックな発言、クールな表情と佇まいから誤解されがちだが、決して天才ではない。
その為、たまにどこか抜けた一面を見せる事がある。
また、最初の頃に「顔以外いまいち」だと評価された事をいまだに引きずっている様子で、少しだけ自信なさげ。
そんな自分を肯定してくれるファンの為、少しでもパフォーマンスを向上させたいと言う。
メンバーは、「ミツキには本当に不思議な魅力がある」と評価しつつ、彼女の横に立てるメンバーになるために頑張る、と良い刺激を受けている様子。

自分に対しては厳しいが、ファンに対してはかなり甘い。
少しでも愛されるグループを作れるよう、自分のパフォーマンスの向上はもちろんの事、アイドルグループ運営や作詞に関する勉強も進めていた。



“らみぃどらいぶ!” あみぃ・らむね
あみぃ
らむね
「可愛いは正義って言葉、あたしだーい好き♡」「らむ達の方が可愛いって事だもんね」
二人組のアイドル兼晒し系配信者。黒い方が「あみぃ」、白い方が「らむね」。共に15歳。
絵に描いたようなクソガキ。若さゆえに恐れ知らず。
普段は暴露配信をして日銭を稼いでおり、ファンサービスの一環でアイドルをしている。
ネットの一部では有名。ファン達は、彼女が好き放題暴れる姿にカタルシスを感じたり、アンチのような立場のプロレスを楽しんだり、保護者のようなスタンスで見守ったりしている。



らみぃどらいぶ!(らみぃどらいぶ🚔らみどら)
「人生って最高!あたし達は最強!」
『無敵』になりたい2人組を優しく見守る、現在進行系黒歴史クソガキアイドルグループ。

アイドル専業ではなく、晒し系配信者としての活動がメイン。
その為、芸能事務所には所属しておらず、衣装やヘアメイクはメンバー自らが行っている。楽曲はネットのクリエイターらに自ら依頼して作成してもらっている。
インターネット発らしいアップテンポな曲調と、世間知らずの10代だからこそ歌える強気すぎる(痛い)歌詞が特徴。
ただ、楽曲作成の依頼先がアイドルソングに慣れておらず、ダンスと並行して歌う事を前提としていない難易度である事から、ライブ中は基本的に被せ(声付きの音源をBGMに流す)に頼っている。
その代わり、ファンへの煽りやコール&レスポンス、ヘドバンやモッシュの指示によって、最終的に謎の一体感があるステージを作り出している。



“ミスター・オーメン” オーメン相良
オーメン相良
「まだ、『アイドル』を諦めていないのだろう?」
支部長兼社長兼プロデューサー。年齢不詳。
顔に仮面をつけており、大変胡散臭い。会話も通じない。仮面は感情に合わせて変化する。
過去の経歴は不明だが、プロデューサーとしての手腕はピカイチと言われている。滅茶苦茶に見える采配を行いながら、不可能である事も可能にする。
『アイドル』を通じ、皆を幸せにしたいという信念を持っている。



紫吹レイジ(しぶき・れいじ)
紫吹レイジ
「君は意外と欲張りさんだね?」
メンズ地下アイドル。22歳。
「EYES ONLY」のメンバー。ディープバイオレット担当。「魅せる」ダンスが得意であり、器量よし、性格よしの理想の推し。
グループのお兄ちゃん的存在。ファン対応も非常に優しく、包容力があるが、一定の距離以上には踏み込ませないミステリアスな男。
しかし、TOであるPC4に対しては多少心を開いている様子で、誘えばプライベートを使ってライブに来てくれる。



EYES ONLY(アイズオンリー🧪アイオン)
「後戻りの許されない旅へ」
禁忌に触れる科学者をモチーフとした、ヴィジュアル系メンズアイドルグループ。

このグループの曲は、単体として聞けばどこか捉えどころのない物ばかりだが、実はとある一つの物語を描き続けている。
コンセプトである「科学者」は、その物語の主人公。彼の研究目的は、「愛」という物の存在証明。
愛を知らぬ彼は、非人道的な研究を行いながらも、自身の知識的欲求を満たす為の旅を続けている。
ファンは、彼の旅に同行する助手であると仮定されているが、研究に関わる事が許されていない。ゆえに、ファンネームは、閲覧のみを許された存在である『EYES(アイズ)』。
なお、結局は地下アイドルであり、考察勢も少ない事から、この要素はほとんどのファンからスルーされている。
このグループが特に評価されているのは、「ダンスパフォーマンス」である。
白衣をモチーフとしたロングコート衣装を纏いながら、アクロバットをしてみせるメンバーや、表情から指先まで管理された「惹きつける」演技をみせるメンバーなど、表現技法も多岐に渡る。



アイドルとしての紫吹レイジ(長い)
在籍期間:8ヶ月ほど
年齢:22歳(大学生)
メンカラ:ディープバイオレット担当

来歴:
アイドルとなったきっかけは、街中でのスカウト。
当時、バイトを辞めた直後であったこと、且つ大学での研究を通じ、舞台そのものに興味があったことから、そのスカウトを受け入れたと語っている。
ステージ上では、繊細な表情管理や、指先までに込められたダンスの表現が好評。
体力自慢というわけではなく、激しいダンスをする事はないが、アイオンの曲に良く似合う仄暗いセクシーさがある。
日々のダンス練習に加えて「こうすればより良く見えるのでは」と研究を重ねているとの事。
他のメンバーの発言から、有名大学の文学部に通っているという事が判明しているが、それ以上のプライベートや経歴については、TOですら知らない。
仮にストーキングしたとしてもいつの間にか撒かれる、ある意味完璧な『アイドル』。
「EYES ONLY」自体が4年ほど続いているグループであり、それぞれのメンバーにファンがいる中での新規メンバーであった事から、加入当初はそこまで人気がなかった。
しかし、最近は「ビジュが良い、なんかエロい」「プライベートの管理がしっかりしてて推せる」と評判となり、じわじわとファンが増えている。

外見:
身長186cm。手足が長く、股下5mくらいある気がする。
黒髪。前髪は長め。やや彫りが深く、二重幅も広い、あまり日本人的ではない容姿。
どこか王子様風な外見と振る舞いから、ファンや一部メンバーからは「レイ様」とも呼ばれている。

内面:
一人称は「僕」、二人称は「君」。
思慮深く、周囲を俯瞰してよく見ている。
加入当初はどこかピリついた雰囲気を持っており、メンバーから怖がられていたが、様々な場面で気を回す姿から「いい人なのかも」と打ち解け、頼りにされるようになった。
別に最年長というわけではないが、しっかり者としてお兄ちゃん扱いされている。新メンバーでありながら、MCを担当する事も多い。
ステージ上や特典会、SNSでのライブ配信などでは、ミステリアスでクールな、Sっぽいキャラ。ナルシスト的な発言もよく見せる。
ただ、決して堅物ではなく、ライブのMCなどでは、ネタの一環で他メンバーをお姫様扱いするなど、キャラを崩さないままふざけた行動を取ることがある。

ファンの顔をすぐに覚える。サービスもよく、服装の細かいところに気づいて褒めたり、チェキ撮影時にさりげなく抱き寄せたりなど、乙女心を躊躇なく刺激する。



“クラッドカルト”
クラッドカルト
PC1に取り憑いたレネゲイドビーイング。
宿主とされた者は、否応なしに人の注目を集める事となる。それ以上の情報は不明。
画像は特に関係のない麗はゅ。ちゃんです、PC5のシナリオロイスから降格して使い所がなくなった立ち絵①です。
クラッドカルトには実体を持たないので、立ち絵はありません。寂しいからはゅを添えます。



■オリジナル設定
・「UGN芸能支部」について
UGNエージェントのみで構成された芸能事務所。
FHのアイドルグループ「ファムファタール」の台頭に対し、危機感を覚えたUGN日本支部が設立した。
表では「UGNプロダクション株式会社」という名で通っている。
社名の由来は、所属タレントに大切にしてほしい3つの言葉(ユニーク、ガッツ、ネクサス)。
FHの後追いで始めた事業であり、設立から1年も経っていない事から、業界でもUGN内でも名が知られていない。
また、UGN内でも謎の組織として扱われている様子で、支部長であり社長でもある”ミスター・オーメン”ことオーメン相良についても、経歴が明かされていない。

・「アイドル活動」について(仮)
フレーバー要素。
シナリオ中にある「ライブ」や、任意のタイミングで判定を行い、描写の説得力が増すかもしれないし増さないかもしれない判定。
通常の戦闘と同じく、達成値もしくは攻撃力で判定を行う。あまり深く考えないで良いです。
また、回数制限のあるエフェクトについては、戦闘とは別カウントとする。
以下、GMが何となくこういうイメージだな~と振り分けてみたけど全然無視してほしい要素。GMも多分無視する。
肉体:ダンス(体力面全般、視覚的な「かわいい」「カッコいい」)
感覚:歌(音楽的センス)
精神:表現力(ラップパート、表情管理など)
社会:愛嬌(物販時の対応など)

・「エゴサーチ」について
フレーバー要素。
常に設置予定の情報項目。
基本的に情報を出す予定はないが、GMの気分次第で情報を出したり出さなかったりするかもしれない。侵蝕値調整にどうぞ。

メインプレイ

シーン0 空を失った日

天海こよみ : 【キャラシート】

ライブハウス

GM : 都内某所、ライブハウスにて。アイドルオタクであるキミは、推しグループの登場を最前列で待ちわびていた。
GM : グループの名は「TOXiC blue」。
GM : 最近ではSNS上で名が広く知られ、テレビでも取り上げられるようになった、今注目の「地下」アイドルグループだ。ワンマンライブであるにも関わらず、ライブハウスを埋める人間の多さが尋常ではない。

天海こよみ

天海こよみ : 「…………」 もう何度も来ているのに、そわそわしながら今か今かと待っている
おまいつのオタク : 「あ、こよみちゃん!お疲れ!」
GM : キミがそうして待っていると、すぐ近くにいた別のオタク……「お前らいつもいるな」、すなわち、『おまいつ』である常連のオタクが話しかけてくる。ちなみに、彼女は白担当推しだ。
天海こよみ : 「あ……。おつかれさま……!」 常連で知った仲なので、警戒することなくそちらを向いて返事をする
おまいつのオタク : 「いえいえ……この間ランチェキ買ったらミツキ出たんだよね。良かったらどうぞ!」
そう言って、チェキを渡してくる。ちなみに、ランチェキというのは、ランダムチェキ……すなわち、誰が出るのかわからないチェキの事だ。
天海こよみ : 「え……!?い、いいの……?」
おまいつのオタク : 「もちろん!」笑顔で頷く
天海こよみ : 「ありがとう……!うれしい……」 小さく笑いながらチェキを両手で受け取る
天海こよみ : 「あの、今こうかんでわたせそうなのないんだけど……今度何かお返しできるように、おぼえておくね」
おまいつのオタク : 「全然大丈夫だよ、若いんだし気にしないで~」笑って手を振る
おまいつのオタク : 「それにしても、ミツキってどんどん良くなってるよね…推し変しかねないな~」
おまいつのオタク : 「……なんてね!!言ったら推しに怒られちゃうから、今のは内緒だけど!!」
天海こよみ : 「ふふっ……してもいいんだよ……」
天海こよみ : ミツキが褒められるとまるで自分のことのように嬉しくなり、唇が緩む
おまいつのオタク : 「えぇ~、流石にそれはやばいって……」
GM : 談笑しているうちに、ふっと会場の照明が落ち、BGMのボリュームが下がる。開演の合図だ。
おまいつのオタク : 「あっ…!ごめん、またね!」そう言って定位置に帰る
天海こよみ : 「あ……。うん、また……!」
天海こよみ : 貰ったチェキをポシェットの中に急いで入れ、ペンライトを持ってステージの方を見る。
GM : 夜明けを知らせる鐘の音に続き、入場BGMが鳴る。
GM : 青い光に満ちたスモークの向こう側に、カツ、カツ、とブーツのヒールを鳴らしながら、5人の偶像(アイドル)達が並ぶ。
GM : センターに立つ影……スラっとした体躯に、クラゲのようなシルエットをした特徴的なヘアカット。威風堂々たる立ち姿。その影が、息を吸う。

十条ミツキ

十条ミツキ : 夢なんてきっと醒めてしまうから
キミがいる 明日を共に生きたい
GM : 熱気に満ちたライブハウスを『青』へと誘う、奇跡の歌声。同時にブチ上がるBPM。
GM : ハートに響く声、体中に満ちる高揚感。
カッと焚かれたハイライトに照らされるキミの推し……十条ミツキが、客席を見てふっと口角を上げる。

十条ミツキ

十条ミツキ : 「TOXiC blue、最後まで全力でいくよ!!」
天海こよみ : 「……!!」 青で満たされた世界に舞い降りた推しを前に、心臓がドクンと高く鳴って
天海こよみ : 「きゃああああああ!!!ミツキちゃーん!!!!!」
天海こよみ : 儚く華奢な見た目や、さっきまでのか細い声からは想像も出来ないような声で叫ぶ
GM : キミの声と同時、ワッ、という声と共に彼女のオタクがペンライトを振りかざす。
GM : 今夜もまた、最高のステージが幕を開けたのだった。
GM : ──時間にして1時間。楽しいライブが終わるのはあっという間だ。
ステージのアイドル達は、肩で息を吐きながら、それでも客席に向かって笑顔を見せている。
GM : だが、地下アイドル……「会える」アイドルの魅力とは、ここで終わるものではない。
白担当 : 「今夜もありがとうございましたぁ!この後の特典会に参加される方は、スタッフの指示に従って、並んでお待ちくださぁい」
GM : 『特典会』。アイドルとチェキを撮ったり、チェキに落書きをしてもらえたり、会話が出来たり……さらには顔を覚えてもらえるかもしれない、奇跡のイベントだ。
GM : それぞれのアイドルが掃けていく中、ふとミツキが観客席を……いや、間違いなくキミを見る。
十条ミツキ : 「また後でね~」
GM : その後すぐに目線を離し、手を振りながらステージ脇へと消えていった。
天海こよみ : 「……!」
天海こよみ : 「え、えへ……えへへへ……」 にやけてしまう顔を抑えるように、両手で頬を支えている
天海こよみ : 「…………。はぁ……」 その後、ため息しか出来なくなる
GM : 特典会では、他のメンバーも人気があるが……やはりミツキの列の人数は半端ではない。
GM : おまいつも居るが、ライブの度に新規のファンが増えているのだ。
GM : ミツキは、他のファンとも楽し気にチェキを撮り続けている。
GM : こうして待っているうちに、自分の番がやってきた。
スタッフ : 「次の方、どうぞ~」
天海こよみ : 「は、はい……!」 もう数えきれない位何度も来たのに、少し緊張しながら返事をして進み出す
GM : ミツキは、そんなキミを見てふっと笑う。
十条ミツキ : 「いらっしゃい。もう、また緊張しちゃって……」
おいで、と手招きをする。
天海こよみ : 「だ、だって、だって……」 ちょこちょこと小さい歩幅で近付いて行って
天海こよみ : 「今日のミツキちゃんも、すっごく良かったから……」
十条ミツキ : 「ほんと?嬉しい……でも、それじゃあ一生こよみは懐いてくれないかもね」そう、すまし顔で呟く
天海こよみ : 「え……!?で、でも……なついてる!こんなだけど、なついてるよ!!」
天海こよみ : 「飼われたいくらいなついてるから……!!」 慌てて変なことを大声で言ってしまう
十条ミツキ : 「……!ふ、ふふ……!!」
GM : おかしそうにくすくす笑いながら、こよみをぎゅっと抱きしめる。
十条ミツキ : 「冗談だよ、冗談…!こよみ、前よりずっとずっと明るくなったもん…!」
天海こよみ : 「え、あ、あぇ」 抱きしめられて顔が熱くなって
天海こよみ : 「そ、そう……か、な……?」
十条ミツキ : 「うん!今の方がず~っと可愛いよ!大好き!」そう言って、背中をぽんぽんする。……それこそまるで、飼い犬を相手にするかのような甘やかしっぷりだ。
天海こよみ : 「……っ!」
天海こよみ : 「ぼ、ぼくも……」
天海こよみ : 「ぼくも、ミツキちゃんのこと、大好き……!」 上目遣いでミツキの顔を見ながら、嬉しさで震えた声でそう伝える
十条ミツキ : 「……!」その言葉に軽く目を見開いてから、にこっと嬉しそうに笑った。
スタッフ : 「……み、ミツキさ~ん……」カメラを持ったスタッフが、戸惑い気味に声をかける。
十条ミツキ : 「……あ。そ、そうだ、チェキ!今日、どんなポーズにするか決めてきた?」
天海こよみ : 「あ……!え、えっと……!」
天海こよみ : 「えっと、えっと……」
天海こよみ : 「あ、あれ、なんだっけ……。き、きめてたんだけど……」
天海こよみ : 目を伏せて、口籠る。ちゃんと考えてきたのに、ハグして大好きだと言ってくれた嬉しさで完全に頭からすっぽ抜けてしまっていた。
十条ミツキ : 「……もしかして忘れちゃった?」
天海こよみ : 「…………」 しゅんとしながら小さく頷く
十条ミツキ : 「そっか……1現場1枚だもんね、う~~ん……」悩むように目を閉じてから、ぽんと手をたたく。
十条ミツキ : 「……じゃあ、こういうのは?」椅子から立ち上がり、こよみの後ろから抱き着いてカメラに向かう。
天海こよみ : 「え……!?」
天海こよみ : 「あ、え……!?」 あわあわしながら視線が泳ぐ
十条ミツキ : 「はーい、じゃあお願いしまーす」意地悪そうに笑いながら、カメラマンに声をかける。
十条ミツキ : 「はい、チーズ!」そう言いながら、自分の頬をこよみの頬に付けて微笑む。
天海こよみ : 「わ……わ……!」
天海こよみ : 「んへへ……」 緊張や嬉しさで頭がバグってしまったのか、赤面しながらにへっと笑う
GM : ぱしゃ、とシャッターが切られる。カメラから出てきたチェキは、軽く乾かされた後、ミツキの元に渡る。
十条ミツキ : 「ありがとうございまーす……どう?今ので良かった?」撮ってから聞くのは変だけど、と首を傾げる。
天海こよみ : 「…………」 チェキをジッと見て
天海こよみ : 「く……」
天海こよみ : 「くっついちゃってる……!ほっぺた……!!」 チェキとして写ってるのを見て、興奮度が上がってしまってる
十条ミツキ : 「ふふ、最初はこうするつもりなかったんだけど…なんか、こよみがあんまりにも可愛かったから」笑いながらサインペンを手に取り、凄まじいスピードでサイン、落書き、メッセージを書いていく。
天海こよみ : 「か、かわい……かな……。そうかな……」 嬉しすぎてちょっと俯いて
天海こよみ : 「で、でも、ミツキちゃんの方が……!かわいい……!よ……!!」
ミツキを見上げ、両手で小さく作った拳を胸の前に持ってきながら、力強く言う
十条ミツキ : 「やだ、流石に説得力ないって……今のこよみ、なんかハムスターみたいだもん」くすくすおかしそうに笑いながら、落書きにハムスターの絵を追加した。
天海こよみ : 「そ、そう……?ふふっ……」 かわいい、とハムスターの落書きを見て笑う
十条ミツキ : 「うん……こんな可愛い子が応援してくれてるんだもん。もっと頑張らなきゃって思うよ」
天海こよみ : 「……ミツキちゃん、もう十分がんばってるけど……」
天海こよみ : 「でも、ぼく……おうえんしてる……!これからもずっと、いっぱい……!!」
十条ミツキ : 「嬉しいな…そこまで言うなら一生推してよね」できた!とチェキを差し出しつつ、言葉を続ける
十条ミツキ : 「……アタシ、キミを武道館に連れて行くよ。人生最高の景色を、キミと一緒に見たいんだ……だから」
十条ミツキ : 「これからもよろしくね、こよみ」
天海こよみ : 「……!うん……うん……!!」 チェキを受け取り
天海こよみ : 「ぼくもいっしょに見たい……武道館でライブするミツキちゃん……」
天海こよみ : 「だから、あの、えっと……」
天海こよみ : 「まかせて、ぼく、ミツキちゃんのこと、一生推すから……!」
天海こよみ : 「こちらこそ、よ……よろしくおねがいしましゅ……っ!!」 言いたいことに感情が追いついてなくて、最後に噛んでしまってる
十条ミツキ : 「……ふふ……!」こよみの姿に愛しさが溢れたのか。最後に、もう一度強くハグをする。
十条ミツキ : 「うん!……ありがとう、本当に大好きだよ」囁いてから、離れる。
天海こよみ : 「う、うん……うん……!!」 こくこくと頷いて
天海こよみ : 「じゃ、じゃあ、またね、ミツキちゃん……!また、来るね……!!」
天海こよみ : 名残り惜しいが、次の順番の人の邪魔にならないように離れて行く。最後まで小さく手を振りながら。
十条ミツキ : そんなキミに、ミツキもまた小さく手を振り返す。
GM : これが、キミがミツキと送った『非日常』に近い『日常』の日々であった。
 

天海家 こよみの部屋

GM : ……それから、数か月経った頃。
GM : こよみがSNSを開くと……ドクアオで繋がったフォロワーたちの様子が騒然としている姿が見られる。皆、主語ははっきりとさせないが……明らかに、様子がおかしい。
TLのオタクたち : 「どういうこと?」「ミツキが?」「嘘」
天海こよみ : 「……?」 自室のベッドに寝転がりながら、スマホをたぷたぷしてSNSで情報を探す
GM : そうしていると、キミはあるネットの記事にたどり着く。記事の見出しはこうだ。
GM : 『TOXiC blue・十条ミツキ 絶対的エースの熱愛疑惑浮上!』
GM : ……そう。マスコミによって、キミの推し……十条ミツキの熱愛報道が暴露されたのだ。
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「え………………?」
天海こよみ : 「え、なに、え……?」
天海こよみ : 記事の見出しが目に入った瞬間、思考が固まってしまう。
天海こよみ : 数秒間硬直した体を動かしたのは、"ミツキちゃんがそんなことするわけない"という感情。
天海こよみ : 「うそでしょ……?で、でたらめ……書かないで……!!」
天海こよみ : こんな嘘を書いて報道してることに怒りを覚えながら、一応ネットの記事を詳しく読みます。
GM : では。
GM : 記事の内容は簡潔だった。ミツキが熱愛をした、ただその『事実』が、大量の証拠写真と共にあった。
GM : 証拠写真は、残酷なほどに画質が良かった。彼女は、年上らしい男性の手を引き、歓楽街を歩いている。
GM : 彼女は帽子や眼鏡など、変装すらしていない。
GM : ……思えば、演者の彼女はいつも堂々としていた。パフォーマンス中はもちろん、特典会中だって、凛とした態度を崩す事はなかった。
GM : だが、写真の中の彼女は違った。
GM : 触れれば壊れてしまいそうな、繊細さのある笑み。
口元はきゅ、と結ばれ、まるで緊張しているようにも見える。
GM : 『十条ミツキ』と同じ顔で、知らない顔。
GM : 彼女は、男と共に、ホテルの中へと消えて行った。
GM : ……記事は、「本件について、事務所からの回答は未だにない」という言葉で締めくくられていた。
天海こよみ : 「…………………………………」
天海こよみ : 鮮明に映ってる数々の証拠写真が、目に飛び込んできて。
天海こよみ : 自分の知らない十条ミツキがそこにいたという事実が、目の奥を突き抜けて頭の中を抉るように襲い掛かる。
天海こよみ : 「うそ……」
天海こよみ : 彼女が消えていった建物は初めて見るし、そういった知識にまだ詳しいわけではない。
天海こよみ : でも、そこでどんなことをするのかは、何となくだが分かっている。
天海こよみ : 「そんなわけない……」
天海こよみ : 「ミツキちゃんが……そんなこと……」
天海こよみ : 視界の端に、いつの間にか手から滑り落ちたスマホの画面が見える。SNSのタイムラインがずっと更新され続けている。
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 震える手で、スマホを持つ。細い人差し指で画面をタップする。
天海こよみ : そして、一言だけメッセージを投稿する。
天海こよみ : 『ぼくはミツキちゃんのこと、しんじてる』
天海こよみ : スマホをまたベッドに落とすと、体から力が抜けたように枕に顔を埋める。
天海こよみ : そのまま、不安に押しつぶされるようにしながら動かなくなってしまった。
GM : ……こよみの投稿は、さらに増えていく投稿たちに押し流されていく。
GM : 公開された写真があまりに衝撃的だったのか。世間的に見たら小さいはずの火種が、深夜のSNSではあっという間に燃え広がった。
GM : ファンによる戸惑いの声は勿論のこと、外野からの「『偶像』名乗ってる癖に生々しいとこ見せんなよ」「プロ意識が無いから地下なんだよね」「誰?(笑)」といった冷たい声も多く飛んだ。
GM : 地下の中では人気だが、日常的に見る事はない「TOXiC blue」の名は、トレンド欄ではあまりにもよく目立った。
GM : 炎上から半日経った頃、TOXiC blueの公式アカウントより謝罪文が公開された。
GM : 「この度は所属メンバーである『十条ミツキ』の件で、世間を騒がせてしまい申し訳ございません。報道の内容は事実です」「事務所は、かねてより十条より恋人ができた事について本人より報告を受けており、卒業に向けて話を進めていました。その為、このような形で情報が公開されてしまった事は想定外でした。対応が遅れており、大変申し訳ございません」
GM : 「十条ミツキ」の公式アカウントからは、「ファンを裏切るような真似をしてしまい、申し訳ございません。」という、短い謝罪文が上がった後、沈黙。
GM : 後日、彼女の卒業ライブを行う事が決定した。
GM : ……ここで、こよみさんに選択して欲しい事があります。
今後の展開には影響はないので、あまり深く考えなくても大丈夫です。
GM : 卒業ライブに行きますか?
天海こよみ : いき…い、いき……
天海こよみ : 行きます…!!
GM : 了解です。では、話を進めます。
 

ライブハウス

GM : 卒業公演、当日。運営が期待したほどの動員が無かったのか、普段よりも大きいキャパシティのホールの全てが埋まる事はなかった。
GM : ミツキのファンであったオタク連中の姿も、ほとんど見られない。皆、他界※してしまったのだろうか。
※オタクをやめる事。担降り。
天海こよみ : 「……人、少ないな……」
天海こよみ : 普段なら、おまいつのオタク達に「こよみちゃん来たよ!」と迎えられて、始まるまで楽しくお話してたのに。
天海こよみ : 今日はとぼとぼと一人で歩きながら、しかし出来る限り最前の方へと向かって行く。
GM : 以前声をかけてくれた、白担当推しの子もいない。これまでになく、寂しい現場だった。
GM : ……だが、いつもより閑散とした現場であっても、TOXiC blueのパフォーマンスは素晴らしい物だった。
GM : 肝心のミツキは、やはり元気のない様子であったが、他のメンバー達は彼女を支えるようにして歌い、踊る。
GM : 何としてでも、ミツキの最後のステージを良いものにしたい……そのような、願いが籠っているようだった。
GM : MCで卒業について触れるメンバーの言葉も、思いのほか優しかった。

青担当

青担当 : 「私達からも、みんなに謝らなきゃいけないんだ。ミツキに彼氏が出来たって話、ちょっと前に聞いてて…」

白担当

白担当 : 「わたしは最初、アイドル一生続けるって言ってた癖に何考えてんの、わたしと一緒に武道館立つより大事なの?って…でもぉ…」

黄担当

黄担当 : 「彼氏持ちでもいいじゃん!って引き止めたのはウチらだったんだ。……だから、こうなったのはミツキだけのせいじゃない」

紫担当

紫担当 : 「……でも、ミツキは真面目で意地っ張りだから…」
十条ミツキ : 「……!…」ミツキはメンバーを見て何か言おうとする……が、そのまま口を閉ざし、メンバーに背を向ける。
GM : その姿を、メンバーは不安そうな目で見ていた。
GM : ミツキはステージの縁に立ち、会場を見渡す。
十条ミツキ : 「このような形で裏切る事になり……申し訳ありませんでした。メンバーや運営、スタッフさん、アタシのファンにも、他のみんなのファンにも、本当に嫌な思いをさせました」
十条ミツキ : 「今日まで、アタシをアイドルで居させてくれてありがとうございました。……幸せ、でした」
GM : そう言って、客席に向かって頭を下げる。
天海こよみ : 「……ミツキちゃ……ん……」
天海こよみ : ────ずっと、最後まで信じていた。
天海こよみ : 全て嘘で、何か自分には想像も出来ないような複雑な事情があって。
天海こよみ : 卒業ライブとは言っているけど、ミツキちゃんが本当のことを教えてくれるのだと思っていた。
天海こよみ : でも、目の前の現実はそうではなくて。誰も事実を否定しない、ありのままの真実だけが流れて行く。
天海こよみ : 「…………っ」
天海こよみ : 残酷な現実も嘘偽りない真実も、全てが冷たい刃物のように突き刺してきて……頭の中が真っ白になって何も言うことが出来なかった。
GM : 他のファンも、同じ気持ちなのだろう。まばらながら、拍手の音がして……それも、すぐに消えた
GM : ミツキは、一度口をきゅっと結んだ後、言葉を続ける。
十条ミツキ : 「……最後の曲です。『Drop in the Moon』」



GM : ……綺麗な歌声だった。音を外さず、いつもよりも丁寧に歌っている。だが、『それだけ』だ。魂が震えない、義務のような歌い方だ。
GM : 背後で、他のファンのひそひそ話が聞こえる。
ファンの声 : 「ねえ……ミツキ、態度悪すぎない?あんな迷惑かけた癖に」
ファンの声 : 「思った。今日で終わりだからいいけど……辞めてくれて正解だったかもね」
 
GM : ……そして迎える、最後の特典会。
GM : 演者から余計な発言が出ないよう、管理する為か。チェキの落書きは会場で行わず、希望する者には後日郵送するという形を取るようだ。
GM : すなわち、接触できる時間はチェキが撮られている間のほんの数十秒。……気づいた時には、『推し』はあなたの目の前で待っていた。
十条ミツキ : 「……こよみ…」
天海こよみ : 「……ミツキちゃん……」 よたよたと、倒れそうになりそうな力のない足取りで近付いていく
十条ミツキ : 「……っ…」それを支えようと手が動きかけるが……その場で黙ってこよみが来るのを待つ
天海こよみ : 「……ほ、ほんとに……」
天海こよみ : 「ほんとに、やめちゃうの……?アイドル……」 最後なのに目を合わせられず、俯きながら
十条ミツキ : 「……」沈黙。これが肯定を示している事は…幼いキミであっても理解する事ができるだろう。
天海こよみ : 「そっか……。そ、そう……なんだよね……」
天海こよみ : 「……チェキ……とる……?」
十条ミツキ : 「……ごめん。…そう、だね」
十条ミツキ : 首を横に振り、小さく微笑む。
十条ミツキ : 「今日は……どうするか、決めてきた?」
天海こよみ : 「……あの……。何ヵ月か前の、あのポーズ……好きだったから……」
天海こよみ : 「ほっぺた、くっつけるやつ……」
十条ミツキ : 「……わかった。あれ、しようか」席を立ち、こよみを後ろから抱きしめる。
十条ミツキ : だが、どこか以前よりもよそよそしい。まるで、触れる事を拒否しているような。
十条ミツキ : 出会ったばかりの頃より、距離を感じる。
天海こよみ : 「…………っ」
天海こよみ : 「だめ……」
天海こよみ : そう一言、小さく呟くと。
天海こよみ : 抱きしめるミツキの腕を振り払って、彼女から離れてしまう。
十条ミツキ : 「……!」小さく、驚いたように体を動かし…素直に、離れる。
十条ミツキ : 「……どうしたの?」
天海こよみ : 「…………」 ずっと目を逸らし、俯かせていた顔を上げる。その頬には、涙が伝っていた。
天海こよみ : 「ご、ごめん……ぼく……やっぱり……」
天海こよみ : ……このチェキを撮ったら、本当に全部終わってしまうような気がしたから。
天海こよみ : 「ごめん……ごめんなさい……っ!」
天海こよみ : ────最後までちゃんとしたファンでいられなくて。
天海こよみ : か細い声ではそこまで言葉は続けられず、泣きながらその場から逃げ出してしまう。
十条ミツキ : 「……!!こよみっ……」声を上げかける……が。そのまま、手を降ろす。
GM : ……これが、キミの幸せな『非日常』の終わり。ミツキとの、最後の記憶だった。
GM : シーンエンド

シーン1 鮮烈エンカウント

天海こよみ : 1d10+34(1D10+34) > 1[1]+34 > 35

住宅街

GM : 卒業公演から、1年が経った頃。
GM : ミツキの起こした不祥事、それに伴う卒業がきっかけとなり、あなたは、引きこもり生活に逆戻りしていた。
GM : たまの散歩だけが、外界と接する唯一の機会だ。
GM : 暗いだけの日々。青空なんて嘘っぱちだ。
GM : それでも、一か月に一回を目安に、キミは外に出る日を設けていた。
GM : だが。最近は、そう悪い事ばかりでもない………気が、する。
GM : 外に出る度に、何やら人から親切にされるようになったのだ。
GM : 例えば、買い物をした時におまけを貰えたり、近所の子ども達に遊んでほしいとせがまれたり。
GM : これは全く嬉しくないだろうが、ナンパされる頻度も妙に高い。
GM : 対象は老若男女、動物すら問わない。
GM : 今だって、キミの足元には、懐いてきた野良猫がすりすりと近づいてきている。
天海こよみ : 「あ……また……」
天海こよみ : 「よしよし……かわいいね……」
天海こよみ : 屈んで、足下にすり寄ってきた猫を優しく撫でる。
天海こよみ : 最近、何かがおかしいことは自覚出来てきたが、考えてもさっぱり分からない。
天海こよみ : ナンパしてくる知らない男の人がみんなこういう猫ちゃんだったらいいのに……なんて思って現実逃避しながら野良猫を可愛がっている。
GM : 猫は喉をゴロゴロと鳴らしながら、キミに甘える。
GM : この小さな触れ合いをちょっとした思い出に、キミはこのまま帰るはずだった。が……
GM : ふと、背筋をなぞられたようなゾワッとした感覚と共に、世界から音が失われる。
GM : それと同時に、先程まで甘えてきていた足元の猫がぱたりと横になってしまった。
天海こよみ : 「……え?ね、ねこちゃん……?どうしたの……?」
天海こよみ : 突然横になったことに戸惑いながら、猫の身体を手でゆする。
GM : 触れてみると、温もりを感じる。息はあるようだが、意識を失っている。
GM : キミは、後にこの力の名を知る。「ワーディング」をかけられたのだ。
天海こよみ : 「…………」 寝てるだけ?なことにとりあえず安心しつつも
天海こよみ : 「……か、帰ろう……」
天海こよみ : 今さっき背筋を襲った嫌な感覚から逃げるように、その場から離れようと立ち上がる。
GM : その時だった。
??? : 「あ、いたいたぁ」
GM : 緊張感のない声と共に、二人の少女が住宅の屋根から飛び降りてくる。
GM : 片方は、どこか快活そうに見える少女だ。黒髪を三つ編みにし、輪にするようにして留めた特徴的な髪型をしており、どこか勝気な表情をしている。
GM : もう片方は、前者と比較的おとなしそうにも見える少女。白髪で、ボブヘアの横に羊の角を彷彿とさせるお団子をつけている。大人しそうではあるが、目元はにやにやと細められている。
GM : 両者ともに、私服と言うには個性的すぎる、チャイナ風のロリィタ服を身に纏っていた。
GM : 彼女らの名は、"らみぃどらいぶ!"。ここ一年半ほどで名が知られ始めた、2人組の晒し系配信者。最近はアイドル活動も始めたらしい。
GM : GMとしての連絡ですが、キミは彼女たちを知っていても知らなくても問題ありません。
GM : 黒髪の少女の方が、こよみの姿をじろじろ見てから、困ったように首を傾げる。

あみぃ

あみぃ : 「はにゃ?本当にこの子なの?」

らむね

らむね : 「うーん、私もちょっと自信ないかも…それっぽいオーラを全く感じないもの」
GM : 二人は困ったようにうんうん唸り始める。
天海こよみ : 「え……?あ、え……?」
天海こよみ : 「あなた、達……配信者の……」
天海こよみ : 見覚えがある。昔、ネットのどこかで見たことがある。一年前からネット断ちしているから、最近のアイドル活動については把握出来ていないが……。
天海こよみ : 「……って、いうか。あの、いま……屋根の上から飛びおりて……?」 常人ではない身体能力に驚いて、二人と家屋の屋根を交互に見る
あみぃ : 「え、マジで!あたしたちのことわかるの!?」
GM : 目を輝かせながら、キミに尋ねる。屋根の上から飛び降りた云々については耳に入っていないようだ。
天海こよみ : 「え?う、うん……一応……」 勢いに押されて答えてしまう
天海こよみ : 「なんか、あの……その……」
天海こよみ : 「ちょっと、こ……はでな感じの、動画とうこうしてる……あみぃちゃんと、らむねちゃん……?」 怖い感じの、と言いかけて言葉を選んだ
らむね : 「わ……わぁ……!そ、そう、そうなの!!嬉しい、知ってくれているわ!!」
あみぃ : 「派手だって!やば、マジで嬉しいねこういうの!!」ご満悦な様子で、自分たちがしに来た事を忘れているようだ。
天海こよみ : 「え、えっと……」
天海こよみ : 「……あ。そっか、じゃあさっき飛びおりたのも動画の……なにか?ワイヤーで吊るしたりして……」
あみぃ : 「………あ」
らむね : 「そうだったわ、すっかり忘れてた……やるわね、あなた。話術のプロよ」
あみぃ : 「申し訳ないけど、今日は動画じゃないんだよね。端的に言うと……」
あみぃ : 「あんたを、攫いに来たの」
天海こよみ : 「へ……?」 きょとんとして
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「あっ。な……ナンパ……?そういう、せりふ……?」 最近ナンパされることが多いせいでそんな風に捉えてしまう
らむね : 「……あら。随分飛躍した考え方をお持ちなのね」
らむね : 「それなら……そうね。もう、こうするしかないわよね」
らむね : そう呟くと、少し後ろに下がる。
らむね : 「『この後』も予定があるわけだし、手早く済ませてしまいましょうか」
天海こよみ : 「……?」
らむね : らむねがバッと腕を広げる。すると、同時に、萌え袖のような衣装から爪が伸びる。
らむね : 銀の金属光沢を放つ凶悪な爪……「シザーハンズ」という洋画に出てくる怪人を彷彿とさせられる姿。

らむね

らむね : しかし、彼女は心優しいエドワードではない。
らむね : 「悪いけど……一旦、くたばってちょうだいッ!」
GM : 小さく息を吐き、次の瞬間には肉薄。
GM : キミの視界いっぱいに広がるフリルと、銀の煌めき。
天海こよみ : 「え……!?」
天海こよみ : 袖から伸びた爪。一瞬で迫る少女。眼前で光る鈍い銀色。
天海こよみ : 全てに対して理解が追いつかず、喉から漏れ出たのは間抜けな声だけ。
天海こよみ : ただ、それでも僅かに働いた脳が危険を感じ取って、
天海こよみ : ────死ぬ?
天海こよみ : そう命の危機を鮮烈に伝えていた。
GM : 妙に長い一瞬の後。
GM : ガキンッ!
GM : 金属音が響く。キミにその刃が届く事はなかった。
GM : 目の前に割って入った影が、その一撃を受け止めたのだ。
GM : 虹色に反射する、半円状の透明な盾を構える少女。

十条ミツキ

十条ミツキ : 「キミ!大丈夫!?」
GM : この声を、振り返ったその顔を、あなたは知っている。
GM : 十条ミツキ──あなたの最推し。トレードマークのクラゲへアじゃない、知らない彼女が、そこに居た。
天海こよみ : 「……!?」
天海こよみ : 心臓が強く鼓動する。直前に、命の危機を感じた時よりも激しく。
天海こよみ : 強張った身体から一気に力が抜けて、ぺたんとその場にへたり込んで、
天海こよみ : 「ミツキ……ちゃん……?」
天海こよみ : 見た目のイメージが違ってもすぐに分かった推しの名を、呟くように呼んだ。
十条ミツキ : 「……ッ!!こよみ……!」
GM : 驚いたように、名前を呼び返す。が、久しぶりの再会にしては登場人物が多すぎる。
らむね : 「……十条ミツキ……!?」
あみぃ : 「へえ、炎上した『元』アイドル様じゃん!『今』動けるって事は……あんたもあたしらと『同類』だったんだ!」
十条ミツキ : 「キミ達と同類か……それは……質の悪い冗談だな!!」
GM : ミツキが盾を薙ぐように振り払うと、らむねは後方に向かって宙返りをして、体勢を整える。
十条ミツキ : 「チッ……こよみ、怪我は!?」
天海こよみ : 「え?え?だ、だいじょうぶ……」
十条ミツキ : 「……そう。それなら良かった……」小さく息を吐く
天海こよみ : 「…………。あ、あの、ミツキちゃ、えっと……」
天海こよみ : 「どういう……こと?な、なんであの人達が、爪……み、ミツキちゃんがいて……っ」 パニックになりかけて、言葉も全く纏まっていない
十条ミツキ : 「大丈夫、安心して。ほら、立てる……?今のうちに、ここから……」
GM : ミツキが君を逃がそうとする。が、そう上手くは行かない。
あみぃ : 「はにゃ~、もっとイージーだと思ってたんだけど……しょうがないなぁ」
あみぃ : あみぃが、手に持っていた傘を開き、軸に触れる。
あみぃ : すると、シンプルであった傘に炎が走り、金の模様が輝く。

あみぃ

十条ミツキ : 「……ッ!何を……逃げて、こよみ!キミが居ていい場所じゃない!」
あみぃ : 「いいや、消えるべきはあんただよ!十条ミツキ!」
GM : 傘があみぃによって放られる。軸が駒のように回転し、地面を削り取りながらミツキに迫る。
十条ミツキ : 「く…ッ!」
GM : ミツキが指を鳴らすと、彼女の体から抜け出すようにして2匹のクラゲが飛び出し、攻撃を防ぐ。が、攻撃を受けた途端に弾け、消えてしまった。
天海こよみ : 「……!?」
天海こよみ : 「み、ミツキちゃ……っ!」
天海こよみ : 未だに何が起きているのか、頭の理解が追いついていない。
天海こよみ : だから、ミツキに言われた通りにこの場から早く逃げるべきなのだろう。
天海こよみ : 「あ……ぅ……」
天海こよみ : が、しかし。
天海こよみ : 訳が分からなくても、命の危機というのは感じ取れてしまっている。
天海こよみ : 「ご、ごめ……ミツキちゃ……ん……。た、立て……な……」
天海こよみ : 怯えた目でミツキを見上げながら、足が竦んで動けなくなっていることを訴える。
十条ミツキ : 「……っ!」
GM : ミツキはその様子を見て、逃がす事を諦めたのか。こよみを守るようにして、その場に仁王立ちする。
あみぃ : 「ふーん、やるじゃん?」
GM : 手元に戻った傘を差し、くるりと回って微笑む。
らむね : 「でも……結局は時間の問題よねぇ。私達、最強ですもの」
GM : 同じく微笑んでから、爪を構える。また、仕掛けて来るのだろう。
GM : ミツキのバリアは堅牢だが、2対1である現状を打破する事は困難だ……
GM : シーン終了。

シーン2 新星ドリーミング

GM : PC2は登場侵蝕をお願いします。PC1はシーン継続という事で登場侵蝕免除で。
虹之元ユメ : 1d10+34(1D10+34) > 7[7]+34 > 41
虹之元ユメ : 【キャラシート】

住宅街

GM : ある、青空が綺麗な昼の事。
GM : キミは、何とも無しに日常生活を送っていた。暑すぎもせず、寒すぎもせず。ちょうどよい感じの一日だった。
GM : だが、すぐ身近でワーディングが使用された気配を感じる。キミの非日常が始まった。

虹之元ユメ

虹之元ユメ : 「上をむ~いて~、あ~るk……っ!?」
虹之元ユメ : 呑気に歌っていたユメは異様な雰囲気……ワーディングの気配を察知する。
虹之元ユメ : 「こんな白昼堂々とですか!? と、とりあえず急行!!」キョロキョロと周りを見渡し、ワーディングの展開された地点へと急いで向かう
GM : 住宅街を駆け抜けたその先では、3名のオーヴァードによる戦いが始まっていた。いや、戦いと言うにはまだ序の口の段階のようだが。どうやら、華ロリの少女2名と銀髪の少女の、2:1となっているらしい。
GM : 銀髪の少女の背後には、守られている一般人らしい姿がある。恐らく、彼女はUGN側の人間なのだろう。
虹之元ユメ : 「ッ、2対1とか……!!」
虹之元ユメ : 直感的に着くべき立場を理解したユメはギターケースからギターを取り出した。
虹之元ユメ : 「ちょっと、不公平じゃないです……か!!」
虹之元ユメ : しなやかな指が弦を弾く。
掻き鳴らされたギターから発生した音はミツキ達の耳へと素早く届いた。
天海こよみ : 「っ!?!?」 ビクッと肩を震わせて、ユメの方を振り向く
虹之元ユメ : その音色は人間の身にはただの音。しかし、ユメが聞かせたい相手へと届けばレネゲイドを励起させるファイトソングへと変貌する。
虹之元ユメ : その証拠に、防戦一方のはずだったミツキには身体の奥から湧き上がってくる力を感じているはずだ。
十条ミツキ : 「……!!こ、これって……!!」
GM : 余裕ができたのか、ユメの姿を視認する。
十条ミツキ : 「………ありがとう!!」
GM : ミツキは、盾を手に持って構え、あみぃとらむねに突貫を仕掛ける。攻撃する側に立つ事は慣れていないのか、そこまでの威力はない。
GM : が、油断しきった少女2名には、この展開は予想外だったようで。
GM : ガツンッと痛そうな音とともに、あみぃとらむねは後方へと弾かれた。
あみぃ : 「はにゃ~!?」
らむね : 「う、うぅ~…な、なにこれ……!」
GM : 2名はしりもちをつき、闖入者……ユメの事を睨む。
天海こよみ : 「す、ごい……」 呆然と言葉が漏れる
虹之元ユメ : 「─────♪♪」
虹之元ユメ : ユメは軽快なビートを刻み続ける。2人が睨め付けたユメの瞳は爛々と輝き、太陽を思わせる熱が籠っていた。
虹之元ユメ : 「……まだライブは続きそうですか?」そう呟いて、橙色の瞳が2人に向けられた。
らむね : 「むぅ……!」
あみぃ : 「ちぃ……やなやつ!!!」
GM : 二人は苛立ちを隠さない。だが、予想外の事が立て続けに起きたからか、戦意も喪失した様子だ。
GM : と、ふとあみぃが目を見開く。
あみぃ : 「……ってやば、時間がやばい!もっとすぐ終わると思ってたのに……!」
らむね : 「……そうね。今日のところは一旦退きましょう」
あみぃ : 「メイクとヘアメは『魔法』じゃ直せないからね……」
GM : そう言って、二人はその場から跳躍。民家の屋根に飛び乗る。
あみぃ : 「また来るね、こよみちゃん?」
らむね : 「そこのオレンジのあなたと十条ミツキ!今度絶対ぶちのめすから!」
GM : そう言い捨て、二人は<瞬間退場>を使用。戦線を離脱します。
天海こよみ : 「行っちゃっ……た?あれ、どうして、ぼくの名前……」
虹之元ユメ : 「アンコールを望むならいつでも聞かせてあげますよ……っと、お二人とも大丈夫ですか?」
天海こよみ : 「え、えっと……」 ミツキを見上げる、怪我をしていないかと不安そうに
十条ミツキ : 「……助かりました。UGNの方……ですよね?」こよみを安心させるように、頭を撫でる。1年前のような、自然な仕草で。見たところ、ユメのおかげで大きな外傷はなさそうだ。
天海こよみ : 「…………」 大人しく頭を撫でられてる
虹之元ユメ : 「はい、"涙の旋律"です! お二人が無事で何よりです」軽く微笑み、細めた瞳から一筋の涙が伝う。
虹之元ユメ : 「……ていうか、もしかして……」 ミツキの顔をマジマジと見つめる
十条ミツキ : 「……?あの……何か……」コードネームを名乗ろうとしたが、その視線に思わず固まる。
虹之元ユメ : 「あ、あの……十条ミツキさん、ですか!? あのあの、さっきの2人……もしかしたららみぃどらいぶ!っぽい2人がそう仰っていたので、さっきはゴタついてたので気づかなかったのですが……!」 あたふたと、そして興奮した様子で捲し立てる
十条ミツキ : 「あ……あ、えっと……よくご存知で……」オロオロしながら返すが、ちらっとこよみを見て、ため息を吐く。落ち着きを取り戻し、ユメに向き直った。
十条ミツキ : 「……うん。アタシは十条ミツキ……コードネームは"クリスタルホロウ"。助けてくれてありがとう」そう、頭を下げる。
天海こよみ : 「くりすたるほろう……?」 不思議そうに二人を見てる
虹之元ユメ : 「は、はいっ! 助けられて何よりです!」 ミツキとこよみちゃんを見ながらニコニコと微笑む
虹之元ユメ : 「え~っと……君も大丈夫、かな? 怪我とかはしてないですか?」 一般人らしきこよみちゃんを過保護気味に眺めて
天海こよみ : 「あ……う、うん……。だいじょうぶ……」 まだへたり込んだままユメを見上げて
天海こよみ : 「でも、あの……その……。なんだか……よく分からなくて……」
天海こよみ : 「ぼく、もしかして夢を見てるのかな……。ミツキちゃんもいるし……」
十条ミツキ : 「……こよみ……」
十条ミツキ : 「……ううん。これは現実だよ。でも、これを説明するのには少し時間がいるから……」
十条ミツキ : 「……そうだ、今こよみは何していたの?おばあちゃんは?」
天海こよみ : 「え?今は……おさんぽしてたよ……」
天海こよみ : 「おばあちゃんは……おうちでまってると思う……」
十条ミツキ : 「そうか……」目を閉じ、しばらく考えた後に、再度目を開ける。
十条ミツキ : 「……わかった。でも、おうちに帰る前に……少しだけ、時間をちょうだい」
十条ミツキ : 「"涙の旋律"、キミも来てほしい。アタシの支部、すぐそこにあるから……色々、話さなきゃ」
虹之元ユメ : 「は、はい。お供します!」
天海こよみ : 「…………」 まだ混乱してるのか、少し困ったように俯いて
天海こよみ : 「……ん……」
天海こよみ : おそるおそる、ミツキに手を伸ばす。
十条ミツキ : 「……!」
GM : 少し驚いたような顔をしてから…こよみの手を取り、優しく引き上げて立たせる。
天海こよみ : 「ん……しょ……」 竦んでしまっていた足はいつの間にか直り、ゆっくりと立ち上がる
天海こよみ : 「…………」 それから自分の頬を軽くつねると、じんわりと痛みが広がるのを感じる
天海こよみ : 「ほんとに……夢じゃないんだ……」
十条ミツキ : 「……」その姿を見て、少しだけ申し訳なさそうな顔をしてから、二人を先導するようにして歩き出す。
天海こよみ : 「あ……」
天海こよみ : 「ま……まって……!!」 声を僅かに張り上げてミツキを止める
十条ミツキ : 「……!な……何……?」恐る恐る振り返る
天海こよみ : 「えっと……えっとね……」
天海こよみ : 両手の指を太ももの辺りで小さく擦り合わせながら、
天海こよみ : 「あ、あのね……!ミツキちゃん……」
天海こよみ : 顔を上げ、ミツキの目を少しだけ不安そうに見ながら、
天海こよみ : 「あ……ありがとう……!た、たすけて……くれて……っ」 声を震わせながらも、そう伝える
十条ミツキ : 「……!」その言葉に、小さく目を見開く。
十条ミツキ : 「……ううん。当然の事だよ」
GM : そう返す。何気ない風であるが……少しだけ、笑っているように見えた。
天海こよみ : 「……!」 何気ない小さなものでも、久しぶりに見たミツキの笑顔に心臓が強く跳ねて
天海こよみ : 「う、うん……!」 自然と、口元に笑みが広がる
天海こよみ : 「あ……あと、お姉さんも……」 ユメの方を向いて
天海こよみ : 「メロディ……ティア……?」
天海こよみ : 「メロさん……?」 コードネームしか聞いてないのでそっちが名前だと思ってる
虹之元ユメ : 「あはっ、可愛くなっちゃった!」クスクスと笑ってみせる
虹之元ユメ : 「……ふふ。うん、私の名前は夏橙涙美っていうんです! よろしくね、こよみちゃん……でしたっけ?」
天海こよみ : 「う、うん。天海こよみ……です」
天海こよみ : 「あの、まだよく分からないけど。こ、こちらこそ、よろしくね……涙美……ちゃん」
優しそうな雰囲気を感じてるのか、警戒心はそれほどでもない。小さく笑みを見せる
虹之元ユメ : 「はいっ! 仲良くしましょうね!」 こよみちゃんの目線に合わせる様に小さく屈んで、手を差し出す。
天海こよみ : 「…………」 コクコクコクと小さく何度も頷いて、差し出された手を握る
天海こよみ : ユメちゃんにロイスを取ります!〇誠意/不安で(まだ何も分からないからNの不安よりではあるけど助けてくれたしP感情)
あとミツキちゃんのロイス感情を憧憬/〇不信感→憧憬/〇不安に変更します
system : [ 天海こよみ ] ロイス : 3 → 4
虹之元ユメ : わーい!せっかくだから自分もロイスとろ!
こよみちゃんに〇好奇心/不安で!
system : [ 虹之元ユメ ] ロイス : 3 → 4
天海こよみ : 「……あ、ご、ごめん……。ついてくね……」
天海こよみ : 握った手を慌てて離し、ミツキの方にちょこちょこと向かって行く。
虹之元ユメ : 「今いきます~!」 ギターをケースにしまい込み、跳ねるような足取りでミツキに追いつく
GM : ミツキは、そんな二人を見て小さく頷く。
GM : 若干日が傾き始めた、優雅な午後。3人は、ミツキの所属する支部……『UGN芸能支部』へ向かった。
 

UGN芸能支部

GM : 住宅街から、歩いて15分ほど。
UGN芸能支部は、駅前のオフィスビルのとある階を借りる形で、ひっそりと存在していた。
GM : オフィスはこじんまりとしつつも、現代的でお洒落な内装となっている。
GM : 事前にミツキが連絡していたのか、奥から事務員らしい少女が近づいてくる。
事務員 : 「あの……十条さん。彼女が、巻き込まれた……?」
十条ミツキ : 「そう。……ワーディングがかかった場所でも意識があったんだ。恐らく、この子も目覚めているから……」
事務員 : 「そうですか……」
GM : 事務員は、こよみの方を向く。
天海こよみ : 「……?」 不安そうに胸元を握っている
事務員 : 「そう怯えなくて大丈夫よ。……採血って、した事ある?あなたの血液……涙や唾液でもいいんだけど、少しだけ提供してほしいの。できる?」
天海こよみ : 「え……?ど、どうして……?ここ、病院なの……?」
十条ミツキ : 「そうじゃないんだけど、まあ……似たような物かな。こよみの体調について、調べる事ができるんだ」
十条ミツキ : 「……ちょっと怖い?」
天海こよみ : 「うん……」 小さく頷く
十条ミツキ : 「そっか……」少し、困ったように目を閉じる。
十条ミツキ : 「……アタシが同席したら、大丈夫?どうかな」
天海こよみ : 「ミツキちゃんが……」
天海こよみ : 「じゃあ……いっしょにいてもらっても、良い……?」
十条ミツキ : 「……もちろん。大丈夫、痛くはならないからね」安心させるように微笑みかけて
天海こよみ : 「……うん」 緊張していた表情が少し緩む
GM : では、こよみちゃんはミツキとユメちゃん同行の元、清潔で衛生的っぽい部屋で採血されました。あまり痛くなかったので良かったと思います。
天海こよみ : 注射にびびりまくってたと思うけどそんなに痛くなかったならよかった!了解です
 
事務員 : 「ご協力ありがとうございます。では、私はこの辺で……十条さん、『社長』の元までご案内をよろしくお願いします」
十条ミツキ : 「了解。……こよみ、頑張ったね。夏橙さんもお待たせ…それじゃあ行こうか」
天海こよみ : 「う、ううん……。ミツキちゃんが、いてくれたから……」
虹之元ユメ : 「あ、はいっ! お二人ともお疲れ様でしたっ!」二人を待つ間、芸能支部をキョロキョロしていたようだ
天海こよみ : 「ごめんね……なんか、ぼくのことで……待たせちゃって……」
十条ミツキ : 「大丈夫だよ。こよみのせいじゃないし……むしろ、これが終わったらゆっくり休むんだよ。きっと疲れているだろうから…」
天海こよみ : 「あ、ありがとう……」
虹之元ユメ : 「あんなことがあった後ですからね、こよみちゃんが気負うことはないですよ?」
天海こよみ : 「……うん」 優しく言われて、俯きがちだった顔をあげる
天海こよみ : ミツキちゃんについていきます。
GM : キミ達は、ミツキの先導で社長室……すなわち、支部長室へと向かう。
GM : 支部長室からは、何かの音楽が聞こえてきている。ポップでキュートな……アイドルソングを彷彿とさせられるメロディー。
十条ミツキ : 「……話は通してたんだけどな……」困ったように首を傾げる
GM : ミツキはノックして、ドアを開く。
GM : そこに居たのは、お面をつけた男(?)だった。備え付きのテレビを見ながら、無駄に長く、艶やかな髪を振り乱し、振りコピ……アイドルのダンスの真似をしている。
GM : テレビに映っているのはアイドルだ。こよみも見た事があるかもしれないが、ややコアなグループ。
GM : ……男が、ぴたりと動きを止め、キミ達を振り返る。目が合った。……気がした。

オーメン相良

オーメン相良 : 「………」
天海こよみ : 「ひっ……!?」 その異様な姿に驚き、小さく悲鳴をあげる
虹之元ユメ : 「お、お面……!?」 インパクトのある姿に思わず一歩あとずさる
虹之元ユメ : 「ミ、ミツキさん……この個性的なダンシングお面さんが支部長さん、なんですか……?」ひそひそと小声で
十条ミツキ : 「うん……困った事にね」そう言うが、表情はスンとしてる。慣れているのだろう。
天海こよみ : 「…………っ」 ミツキの背中に隠れて縮こまってる
GM : 男は固まったままだが、テレビのアイドル達は動き続ける。いよいよサビも佳境らしい。オタクたちが大声でコールをし始める。
オタクたち : 『……リラ!ゾウ!サゴーゾ!サゴーゾ!』
GM : テレビの中のアイドルが「せーのっ!」と声をかけるのと同時、湧き上がるオタク。
オタクたち : 『栄養!(栄養!)栄養!(栄養!)栄養!(栄養!)栄養!(栄養!)』
オーメン相良 : 「カプサイシンって知ってるーーーー!?」
GM : 思いの外男らしい叫び声と共に、ユメに向かって指が突き付けられる。
虹之元ユメ : 「ぴえっ!?」 あまりにも突然で素っ頓狂な声をあげる
天海こよみ : 「……栄養過多で脂肪肝……」 恐怖してるがオタク神経が動いて反射的に呟く
虹之元ユメ : 「え、えっとえっと……そう、それそれ!こよみちゃん! たしかチキパMIXの……!」
十条ミツキ : 「………二人とも、あまりこの人に優しくしなくていいよ……」
十条ミツキ : ミツキは男の横を抜け、無言でテレビを消す。

オーメン相良

オーメン相良 : 「…………」
GM : 仮面が節分の「鬼」のような姿に変わり、ミツキを睨む。が、ミツキは気にせず、部屋の隅に追いやられていたテーブルとソファを元に戻していた。
天海こよみ : 「!?!?!?」
虹之元ユメ : 「わ、わっ……明らかに不機嫌な面ですよアレ……」
天海こよみ : 「あ……あ、ぅ……」
天海こよみ : 「た、たすけて……ミツキちゃん……」 へにゃっとその場にへたり込んで震え始める
十条ミツキ : 「わ……!こよみ!!」慌てて駆け寄り、男から庇うようにして抱きしめる。
十条ミツキ : 「……支部長ッッ!!!」
GM : ミツキが一喝した途端、男の面がしゅんと元のおかめの面に戻る。変面ショーにも似た早業だ。
十条ミツキ : 「よしよし、大丈夫だからね……今のはあの人の悪ふざけが良くなかったね……」
天海こよみ : 「うぅ……ミツキちゃん……」 怖かったのとミツキが抱きしめてくれた安心感で静かに泣き始めて
天海こよみ : 「こ、こわいよあの人……。ぼく、おうちに帰りたい……」
十条ミツキ : 「……うーん……正直そうさせてあげたいけど……」そう言いながら、支部長を睨む。顔に『なんとかしろ』と書いてある。
オーメン相良 : 「……難しいな…子どもの扱いとは」やや反省した様子で、部屋の隅に三角座りとなる。
十条ミツキ : 「……そうだな……こよみ。あの人、どうすれば怖くなくなる?」
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 手の甲で目元をごしごし拭って、三角座りしている男を見て。
天海こよみ : 「……い、今は、そんなに……こわくないかも……」
天海こよみ : 「なんか、あの……びっくりして……さっきの顔とか、こわかったから……」
天海こよみ : 「ご、ごめんね……お面さん……」 落ち込んでいる姿を見て申し訳なくなってしまって、心配そうな視線を送る
オーメン相良 : その声を聞き、三角座りのまま、おもむろに面を外してこよみの方へ向けて振る。素顔は見えない。
オーメン相良 : 「コッチコソコワガラセテゴメンネ~」
天海こよみ : 「……!」 
天海こよみ : 「う、うぅん……っ」 首を小さく横に振る
十条ミツキ : 「……」ほっとした様子でその様子を見て、こよみの背中をぽんぽんしてからセッティングを再開した。
 
GM : 閑話休題。
長机を挟み、支部長、その反対側にこよみとユメ、ミツキが座る形となる。
オーメン相良 : 「……ミツキくんから、報告は受けている。天海くんが、オーヴァードの少女2名に襲われそうになっていたところを、ミツキくんが庇った。しかし、ミツキくんのみでは劣勢であったところを、夏橙くんが補助、少女を退けた……と。この認識で間違いないかな」
天海こよみ : 「おー……ヴぁ……?」 聞きなれない単語に小さく首を傾げる
虹之元ユメ : 「はいっ、それで間違いはないです! あっ、オーヴァードと言うのはですね……」 自分やミツキのように、特殊な力を用いる人間のことをそう呼ぶ。と軽く説明します
天海こよみ : 「……魔法使いのこと……?を、そうよぶんだね……」
十条ミツキ : 「魔法使いというか……そうだな、こよみってアニメは見た事ある?超能力者……って言って通じるかな……」
天海こよみ : 「あ、うん……分かるよ。炎を出したり、空を飛んだり……」
天海こよみ : 「ミツキちゃんも、あみぃちゃん達も……そうなんだよね?あれ、アニメみたいだった……」
十条ミツキ : 「……そうだね。それと……」
GM : そう会話していると、コンコン、とノックが鳴る。先程の事務員が入ってきた。
事務員 : 「失礼します……」そう言って、キミ達の前に、飲み物と菓子盆を置いていく。
事務員 : 「紅茶が苦手な方はいらっしゃいますか?もしよろしければ、代わりをお持ちしますが……」
天海こよみ : 「え、えっと……ぼく紅茶ってあんまり飲んだことない……」
事務員 : 「承知いたしました。では、こちらもどうぞ……」そう言って、キミの目の前に麦茶の入れられたコップを置いていく。
天海こよみ : 「ありがとう……ごめんね……」 ちょっと申し訳なさそうに目を伏せて
事務員 : 「いえ。どうぞ、ごゆっくり」微笑みかける。彼女はオーメンに紅茶を差し出した後、部屋を後にした。
十条ミツキ : 「……話が途中になっちゃったけど、こよみも夏橙さんも、遠慮なくお菓子食べてくつろいで行ってね」
虹之元ユメ : 「は、はいっ! 遠慮なく……あちちっ」一先ず紅茶に口をつけたが、思いの外に熱くて涙がぽろぽろ零れる
十条ミツキ : 「……そうだ。夏橙さんのその涙も……もしかして、オーヴァードになった事が原因で……?」最初は悲しいから泣いているのかと思っていたが、そうでもない様子なので首を傾げる。
虹之元ユメ : 「ふーっふーっ……え、ええ。覚醒してからずっとこんな感じで……」人差し指で涙を拭ってみせる
虹之元ユメ : 「でも、不便はないですよ! 元気が取り柄なので、悲観的に見られることは少ないので!」 ニッコリと笑顔を浮かべてみせるが、どこか張り切りすぎているようにも見える
十条ミツキ : 「……そう、なんだ」その姿を見て思うところがあるのか、少し俯いてから向き直る。
十条ミツキ : 「確かに、キミを見てると元気を貰えるよ。……何かあったら頼ってくれると嬉しいな。こうして会ったのも、きっと何かの縁だし」
虹之元ユメ : 「い、いやぁ……えへへ……」 照れくさそうに身体をモジモジさせて
虹之元ユメ : 「その時は……は、はい! よろしくお願い、します……!」
十条ミツキ : 安心したように、こくりと頷く。
天海こよみ : 「……?」 話を理解出来ず、不思議そうにおかきをちまちまと食べている
オーメン相良 : 「……話を進めよう」紅茶を一口飲み(※お面の口からそのまま飲んでいるように見える)、こよみの方を見る。
オーメン相良 : 「天海くん。……今の話は、君にとっても他人事じゃない」
天海こよみ : 「え……?」
オーメン相良 : 「……君もまた、オーヴァード……超能力者の一人だ」
オーメン相良 : 冗談などではない、真剣な様子でそう伝える。
天海こよみ : 「そう……なの……?」
十条ミツキ : 「……うん。だから、ここに来てもらったんだ」少し、気まずそうに頷く。
天海こよみ : 「……でも、ぼく……超能力なんて使ったことないよ……?」
オーメン相良 : 「確かに、君は能力を使ったことがないのかもしれない。自覚がなかったわけだからな……しかし、どうやら君はだいぶ前に覚醒している。大体1年ほど前くらいか……」
天海こよみ : 「一年前……」
天海こよみ : 「…………」 ミツキの卒業がフラッシュバックして、少しだけ辛い気持ちになる
オーメン相良 : 「……おそらくは、心理的なショックが原因だろう」
十条ミツキ : 「………っ!!」ミツキの体が強張る。そう、1年前は…彼女が熱愛報道で炎上、そして卒業した頃のことだ。
天海こよみ : 「ショック……」 ちらっとミツキを見て
天海こよみ : 「……で、でも、べつに、それで……ぼくが不自由とか、してないから……」
天海こよみ : 「超能力だって、何も知らなかったんだし……っ」
天海こよみ : だからミツキのせいじゃない、とでも言うように呟く。
十条ミツキ : 「……こよみ……」その姿を見て、さらに申し訳なさそうに俯く。が、顔を上げてこよみをまっすぐ見つめる。
十条ミツキ : 「……ありがとう。でも、キミの今後の事は……ちゃんと、責任を取るつもりだよ」
十条ミツキ : 「あの時の事はまた今度ちゃんと謝らせて。……いい、かな」
天海こよみ : 「え?う、うん……」
天海こよみ : 「……。わかった……」 何か言いたげにするも、了承するだけだった
十条ミツキ : 「……ごめんね。ありがとう」その姿を見て何かを察するも、ミツキもまた口を閉ざした。
オーメン相良 : 「……さて。『オーヴァード』というものは決して無敵ではない。能力を使いすぎたり、その他の要因で、『ジャーム化』……すなわち、正気を失った怪物に成り果てる可能性がある」
オーメン相良 : 「天海くんが覚醒した時は、ジャーム化せずに済んだが……世界で約50%の人間は、オーヴァードではなく、そのままジャームに覚醒してしまうと言われている。
君は、中々際どい立ち位置にいるという事を理解してくれ」
天海こよみ : 「………………」
天海こよみ : まだ少しピンときていないようで、ぽかんとしてオーメンの話を聞き、
天海こよみ : 「あの……」
天海こよみ : 「じゃあ、ミツキちゃんと、涙美ちゃんは……だいじょうぶなの……?」
十条ミツキ : 「……今は、ね」困ったようにユメと目を合わせる。
虹之元ユメ : 「……ええ、少なくとも"今は"大丈夫なんです」
天海こよみ : 「そっか……」
天海こよみ : 「それなら、よかった……。能力を使いすぎたりって言ってたから……」
天海こよみ : 「ぼくを助けるために、ジャーム?っていうのになっちゃったら、いやだなって……」 安心したように小さく微笑む
十条ミツキ : 「そんな……!でも…そうだね、夏橙さんが来てくれなかったら、少し危なかったかも」
十条ミツキ : 「改めて、ありがとう。本当に助かったよ」そう言って、ユメに頭を下げる。
虹之元ユメ : 「い、いえいえ!気にしないでください!こういう時は助け合いですから、私も助けになれて嬉しいですっ」
天海こよみ : 「ありがとう……」 一緒にお礼する
十条ミツキ : うんうん、と頷く。
虹之元ユメ : 「あわわ、こよみちゃんまで……! 二人とも、とっても良い人です~~~……」
オーメン相良 : 「……」その様子をしばらく見てから、言葉を続ける。
オーメン相良 : 「天海くん。情報過多で申し訳ないが…君には、もう一つ異変が起きている。君の中に、もう一人オーヴァードが居るんだ。いや、一『人』と呼んでいいものか……」
オーメン相良 : 「人間をオーヴァードたらしめるウイルス、レネゲイドウイルスが意思を持った物。レネゲイドビーイングという生き物が取り憑いている」
天海こよみ : 「れねげいどびーいんぐ……?」
オーメン相良 : 「ああ。……聞き馴染みはないだろうが…"それ"は確かに、君と共生している」
オーメン相良 : 「……最近、君の周りで何か変わった事はなかったか」
天海こよみ : 「え?えっと……えっと……」 共生してると言われ、自分の胸元や足を確かめるように見ながら
天海こよみ : 「変わったこと……」
天海こよみ : 「分からない……知らない人からよく声をかけられるようにはなったけど……。それ以外は何も……」
十条ミツキ : 「…知らない人?それって、大丈夫なの?」
虹之元ユメ : 「不審者さんには気を付けてくださいね……。でも、たくさん声をかけられるようになったことが……変わったこと、ですかね?」
天海こよみ : 「う、うん……。こわい男の人に声をかけられることもあるけど……」
天海こよみ : 「でもほとんどの人は親切にしてくれてる……かな……?だからだいじょうぶ……」
天海こよみ : 「にゃんちゃんとか、わんちゃんもよく構ってくれるし……」 動物とののんびりとした触れ合いを思い出して表情が和らぐ
十条ミツキ : 「男の人っていうのはアレだけど…にゃんちゃ…猫と犬…動物まで…?」
天海こよみ : 「うん、かわいいよ。スズメさんやハトさんもいるし……」
十条ミツキ : 「それは……オーヴァードとしての能力なのかな…?」
天海こよみ : 「そうなの?」
虹之元ユメ : 「モテモテですねぇ~……ソラリスの能力として、人や動物を惑わすものはありますけども……」
虹之元ユメ : どうなんでしょ?と首を傾げる
オーメン相良 : 「そうだな……もちろん、君の可愛さが唐突に世間に認知され始めたという可能性もあるが……」
GM : しばらく首を傾げた後、ポンと手を叩く。
オーメン相良 : 「わかった。君、アイドルになろう」
天海こよみ : 「へ……?」
十条ミツキ : 「……は?」
虹之元ユメ : 「えっ」
天海こよみ : 「え?な、なんで……?」 理解が追いつかず、目を丸くして固まっている
オーメン相良 : 「すまない、話が飛んだな。君の持つ能力の詳細は、まだ調査が必要だろうが……おそらく、君自身、もしくは取り憑いたレネゲイドビーイングが、周囲に何かしらの影響を与えているものと考えられる」
オーメン相良 : 「そのような能力は、あまり耳にしたことがない。おそらく、君はだいぶレアな力を持っているのだろう」
オーメン相良 : 「それと、襲ってきたオーヴァードの少女2名……"らみぃどらいぶ!"だったな。彼女達は、キミを攫おうとしていた……もしかしたら、何かしらの手段を持って君の力を知り、それを奪おうと画策しているのだろう」
オーメン相良 : 「……ここまで、ついて来られているか?」
天海こよみ : 「あ、ぅ……うん……」 何とかと言った感じ
虹之元ユメ : 「はー、へー……」わかったようなわかってないような
虹之元ユメ : 「なんで狙ったんでしょうね……ね、熱烈なスカウト……?」
オーメン相良 : 「……そうだな。夏橙くんは彼女達が何者なのか、知っているか?」
虹之元ユメ : 「えーっと……普段は晒し系の配信をしてて、たまにアイドルらしい活動をする十代の……こう、痛い……じゃなくて若々しい!ユニット……?」
オーメン相良 : 「そうだ。よく知っているな……配信者やアイドルに興味が?」
虹之元ユメ : 「えへへ、実はアイドル志望で……一通りのグループやゴシップには目を通してるんです」
虹之元ユメ : 「UGNの活動が主なので、活動には中々踏み出しきれないんですけどねっ!」隣のギターケースをぽんぽんと軽く叩いて
オーメン相良 : 「ふむ……」
十条ミツキ : 「……そうか。夏橙さんはアイドルになりたいんだ…」小さく呟く
十条ミツキ : 「……あ、ところで支部長。アタシ、その、らみどら?についてあまり詳しくなくて……業界のリサーチ、ちゃんとしてないから」
オーメン相良 : 「そうだったか。なら、改めて…」
オーメン相良 : 「「”らみぃどらいぶ!”……晒し系の配信業をメインとする、いわゆる炎上系アイドルグループだな。シンプルに態度の悪いあみぃと普通に性格が悪いらむねの2名体制で、動画サイトでのチャンネル登録者数は現在8.6万人ほど。SNSのフォロワー数はつい最近1万人を突破し、記念配信を行ったばかり。可愛らしいルックスと年齢相応の『無敵の人』っぷりが注目されており、動画ではアイドルやネット配信者を中心とした炎上沙汰をまとめ・取り上げ、生配信ではリスナーが凸してタレコミを行う方式で、大きな問題から小さな問題まで幅広く取り扱って
十条ミツキ : 「も、もう大丈夫!!わかった、なんとなくわかったよ!!!!」
天海こよみ : 「わ……わぁ……」 圧倒されてる
虹之元ユメ : 「しゃ、シャチョさん……歩くアイドル図鑑……!」
オーメン相良 : 「……そうか」説明をキャンセルされた為か、少し悲しそうに俯く。
オーメン相良 : 「とにかく、アイドルとして活動を行う者が相手だという話だ。どうやら、今日も渋谷のライブハウスで対バンイベントに出場するらしいな」
GM : キミたちは、あみぃとらむねが焦ったように退散した姿を思い出す。
天海こよみ : 「あの後、ライブだったんだ……」
虹之元ユメ : 「だからあんなに慌てて……それにしても、ライブ前に誘拐なんてします? コンビニ感覚……?」
天海こよみ : 「ぼく、おにぎり……?」
十条ミツキ : 「……」おにぎりに包まれて天むすみたいになってるこよみの姿を想像している。
オーメン相良 : 「さて、天海くんをアイドルにする話に戻るが…」
オーメン相良 : 「彼女達はまた天海くんを狙いに来るだろう。不幸中の幸い、今回の襲撃は外で行われたが……もしかすると、今度は天海くんの実家で、すなわち君のお祖母様も被害に遭う事になるかもしれない」
天海こよみ : 「おばあちゃんが……」 それは絶対嫌だ、と唇を固く結ぶ
オーメン相良 : 「……もちろん、我々としてはそのリスクを避ける必要がある。その事を加味して、君がアイドルになるメリットは2つある」
オーメン相良 : 「まず、アイドルは人目につく。もちろん敵を誘き寄せるリスクもあるが、もう既に敵に狙われている以上、表に出した方がかえって監視の目が増えて安全だ」
オーメン相良 : 「練習など、外に出る時間も多くなる。わざわざ、家にまで襲撃を仕掛けて来る事はないだろう」
オーメン相良 : 「2つ目に、敵もアイドルだ……同じ業界に居た方が相手の情報だって得られるかもしれない」
十条ミツキ : 「そ……そう、かな……?」こよみの様子をちらりと伺う。
天海こよみ : 「…………」 理由としては分かるし、祖母を巻き込みたくはないが、自分の膝を見つめる瞳は納得してないように揺れている
オーメン相良 : 「案ずるな、ソロアイドルじゃない。グループだ。メンバーはオーヴァードで固める事で、天海くんを保護し、育てられる環境が作れる」
オーメン相良 : 「グループも一時的に結成するものだ。こうやって一時的にグループを組むのは、他の支部でも『あるある』だろう?」
十条ミツキ : 「……あの、支部長。そうは言うけど、こよみが納得しないと……それに、アイドルってそんな軽々しくなるものじゃないと思うんだけど……!!」こよみを庇うように、ミツキが切り出す。
オーメン相良 : 「みふひふん(ミツキくん)」
GM : 気づくと、菓子盆の上のお菓子が全て消えている。また、オーメンが、面の下でもぐもぐと何かを頬張っている姿が目に入るだろう。
オーメン相良 : 「……菓子盆がただの盆になってしまった。飾り物にするほど上等じゃない、追加のお菓子を持ってきてくれ」
十条ミツキ : 「〜〜っ……!」
オーメン相良 : 「私は天海くんと話をしているんだ。悪いが、今は席を外して欲しい」
十条ミツキ : 「……でも……」こよみをちらりと見る。
天海こよみ : 「い、行かないで……っ」 ミツキを不安そうに見上げる
十条ミツキ : 「ほ……ほら!流石にその話は聞けな……わ、わ!!!」
GM : 気づくと、ミツキの後ろにもう一人のお面の男……オーメン相良とそっくりな何かが立っており、そのままミツキを外に引きずっていく。
十条ミツキ : 「ちょっと、やめ…!わかった、わかったから……セクハラで訴えるよ!!!」
GM : バタン。ドアが閉まり、ミツキは外へと引き摺り出され……強制的に、こよみとユメ、オーメンのみがその場に残された。
天海こよみ : 「ミツキちゃん!!!」 思わず大きな声で扉へ叫ぶ
オーメン相良 : 「ちゃんとお菓子を持って帰ってきてくれ。頼んだぞ」扉の向こうへと呼びかける。
オーメン相良 : 「……さて。すまないな……かなり強引な手段を取ってしまった」
オーメン相良 : そう言って、こよみとユメを見る。相変わらず、目線はほとんど感じ取れないお面越しだが…
天海こよみ : 「…………っ」
天海こよみ : 「ぼく、アイドル……ぜったいやらない」
オーメン相良 : 「………!?」
天海こよみ : 「ミツキちゃんにひどいことする人のおねがいなんか、ぜったい聞きたくない……!」
天海こよみ : ぽろぽろと涙を流しながら、オーメンを真っ直ぐに見て怒りを訴える。
虹之元ユメ : 「社長さん、今のは些か人の心が……こよみちゃんはミツキちゃんがいたからこそ、安心して会話できていたんだと思いますよ?」
オーメン相良 : 「……」顔はそのままだが、明らかに『オロオロ』と書いてある。
GM : と、その時だった。
GM : バタン!という音と共に、ミツキが部屋に帰って来る。足元には、先ほどミツキをさらった長髪の男……オーメンが転がっている。
十条ミツキ : 「……こよみを不安にさせるのは、やっぱ話が違うよ。ね、支部長?」
GM : ミツキは微笑んでいるが、どことなく威圧的だ。
オーメン相良 : 「……………」
オーメン相良 : 「すみませんでした」そう、平謝りして頭を下げる
天海こよみ : 「……っ、ミツキちゃん……!!」 頭を下げるオーメンを横目に、席から立ってミツキのもとへと駆け寄る
天海こよみ : 「け、けがしてない!?だいじょうぶ……!?」 泣きながら心配そうに
十条ミツキ : 「大丈夫だよ。心配させてごめんね…」そう言って、頭を撫でる
天海こよみ : 「ううん……っ」
天海こよみ : 「……よかった……びっくりした……」
天海こよみ : 「だいじょうぶ、なら……いいよ……。ごめんね……」 オーメンに振り返り
オーメン相良 : 「……!とんでもない、こちらこそすまなかった」
十条ミツキ : 「いや、それには謝らないでいいよ……まあ、アタシも口を出しすぎたしね。ここからはそばに居るけど、基本的には何も言わない…それでも大丈夫?」
天海こよみ : 「うん……」 頷いて
十条ミツキ : 「おっけ。じゃあ……改めて、話を続けようか」そう言って、こよみの頭を撫でながらソファに座らせ直す。
天海こよみ : 「…………」 ちょこんとソファに座る
オーメン相良 : 「……さて。改めて」
オーメン相良 : 「天海くん。君は…なぜアイドルになるのが嫌なんだ?」
天海こよみ : 「……だって……。ぼく……」
天海こよみ : 「アイドルのこと……」
天海こよみ : 嫌いかもしれないから……そう言おうとして、ミツキの姿が見えて言葉が止まる。
オーメン相良 : 「………」黙って、言葉の続きを待つ。
天海こよみ : 「…………」 首を横に振って
天海こよみ : 「ぼく、かわいくないから……」
天海こよみ : 「アイドルって、ミツキちゃんみたいに……かわいくてかっこいい人しかなれないでしょ……?」
オーメン相良 : 「…………え?」
オーメン相良 : その言葉があまりに予想外であった為か、驚いたような声を上げる。
天海こよみ : 「え……?」
オーメン相良 : 「天海くんは……可愛いが……???」
虹之元ユメ : 「で、ですよね!? 可愛いですよね!? ミツキさんもそう思いますよね!!?」オーメンの言葉に全力で頷いて
十条ミツキ : 「…え、えっと……そうだね、こよみは確かに可愛いよ……?」会話の流れに困惑しながらも、それに同意する。
天海こよみ : 「そ……そう……かな……?」 ちょっと照れて俯きながら
オーメン相良 : 「もちろんだ。君はすごく可愛い。それに……君には、きっとアイドルとしての才能がある」
天海こよみ : 「ある……かな……。でも、ぼく……人前とか出れないと思う……」
天海こよみ : 「は、はずかしいから……。それなのに、アイドルの才能なんてある……?」
オーメン相良 : 「人前に出る緊張感は、人までに出続けないと解消できない。それに……才能というのはな」
オーメン相良 : 「……いや。この話は辞めておこう……だが、君はミツキのオタクだったのだろう?」
オーメン相良 : 「それならば……アイドルの中にある『光』を見た事がある。違うか」
天海こよみ : 「……!それは……ちがわないよ……」
天海こよみ : 「アイドルのミツキちゃんは、キラキラしてたから……」 瞼を閉じ、その裏側でかつてのミツキの姿を見る
十条ミツキ : 「こよみ……」
オーメン相良 : 「ふむ……そうだろうな。現役時代のミツキくんの姿は、私も見た事がある」
オーメン相良 : 「では、己がその『光』になりたいと思った事はないか?」
天海こよみ : 「……あるよ。昔は、アイドルになりたいって思ってた……」
オーメン相良 : 「ふむ。……昔は、と言うと?」
天海こよみ : 「ぼくのママ、アイドルだったから。だからちっちゃい頃からママみたいなアイドルになりたいなって……」
オーメン相良 : 「……『天海あかり』」一言、こよみの母の名を呼ぶ。
天海こよみ : 「……!知ってるの?」
オーメン相良 : 「その名前を知らない者はモグリだろう。ミツキくんも夏橙くんも、きっと知っている名だ」
十条ミツキ : 「……」デリケートな話題と理解しているためか、無言でこくりと頷くのみ。
天海こよみ : 「そうなの?ママがアイドルやってたの、三十年くらい前なのに……」
虹之元ユメ : 「はい、世代ではありませんが……その名は耳にしたことがあります……!」
天海こよみ : 「そうなんだ……」
オーメン相良 : 「伝説的なスターとは、得てしてそういうものだ。……なら、今からでもアイドルになりたいとは思わないのか?」
天海こよみ : 「…………」 ミツキの卒業ライブがフラッシュバックする
天海こよみ : 「なりたいような、なりたくないような……」
天海こよみ : 「なんか、わからなくなっちゃってる……。自分でも、上手く言えない……」
オーメン相良 : 「……そうだな。では、質問を変えよう」
オーメン相良 : 「君は、これからどう生きたい?」
天海こよみ : 「…………」 んむ…と唇を結んで考えて
天海こよみ : 「どう生きたい……」
天海こよみ : 「将来のことは、分からないけど……」
天海こよみ : 「このままずっと、おばあちゃんにめいわくかけたままはダメだなって……」
天海こよみ : 「ちゃんと毎日お外に出れる生活をできるようにしなくちゃって……思うよ……」
オーメン相良 : 「……いい心がけだな」面の下で、ふっと笑う気配がする。
オーメン相良 : 「そうだな、では、『君自身にとって』アイドルになるメリットを伝えようか」
天海こよみ : 「……?」
オーメン相良 : 「まず、君がアイドルになるなら……毎日、必ずレッスンを受けてもらう。きっと、想像を絶するほど大変な日々になるだろう」
オーメン相良 : 「二つ目に、君は多くの人と交流を持つことになる。オタクだけじゃない、業界関係者や裏方となって働いてくれるスタッフたち、それに、メンバー達との交流……君に無償の愛を注いでくれるお祖母様以外の、不特定多数の人間と話さなくてはいけない」
オーメン相良 : 「三つ目。君は、アイドルになるのなら…青春の1ページ、いや、多くのページをこの職業に捧げる事となる。時が不可逆である以上、仮に後悔することになったとしても、取り返しがつかなくなる」
天海こよみ : 「……うん」 理解して、頷く
オーメン相良 : 「しかし。……君が、朝が来ない部屋から出て行くことを望むのなら……これらの苦労なんて目ではない、最高の景色を見ることが出来るだろう。いや、私がそこまで連れて行く」
オーメン相良 : 「君が、手を伸ばしてくれるのならな」
天海こよみ : 「お面さん……」
天海こよみ : 「…………」 オーメン相良の真摯な言葉を受けて、伏せがちだった目を上げる
天海こよみ : 「……ごめん……ちょっとだけ、考えてもいい……?」
オーメン相良 : 「もちろんだとも。お祖母様ともしっかり話し合った上で決めると良い」頷く
天海こよみ : 「それも、そうなんだけど……。今、少しだけこのまま待ってほしいの……」
オーメン相良 : 「……もちろん」この場で返事が貰えることに驚いた様子で、そう返す。
天海こよみ : 「……ありがとう」
天海こよみ : 靴を脱いで素足になり、膝を抱えるようにして座る。
天海こよみ : そして目を閉じ、考える。昔から、何かを真剣に考える時はこの座り方じゃないと集中出来なかった。
天海こよみ : ………………。
天海こよみ : それから、五分か十分程の時が静かに流れ。
天海こよみ : 「……わかった。ぼく……アイドルやる」
天海こよみ : 瞼を開けてすぐに、誰も身構えてない状態でさらっとそう伝える。
十条ミツキ : 「……え?本当に?」ミツキもまた、考え事をしていた様子だったが、その言葉にぱっと顔を上げる。
天海こよみ : 「うん……」
オーメン相良 : 「……その返答を待っていた。大丈夫だ、きっと悪いようにはしない」
天海こよみ : 「でもね、三つくらい……おねがいしたいことがあるの……」
天海こよみ : 「聞いてもらっても、いい……?」
オーメン相良 : 「もちろん。言ってみなさい」
天海こよみ : 「ありがとう……」
天海こよみ : 「……あのね。もし、ぼくにアイドルの才能がなかったら……ただグループの他のメンバーの足を引っ張るだけだったら……」
天海こよみ : 「その時はすぐにアイドルをやめさせてもらって、何か別の方法をいっしょにさがしてほしいの……」
天海こよみ : 「他の人達にめいわくかけたくないし、おばあちゃんも……オーヴァードのことに巻き込みたくないから……」
オーメン相良 : 「もちろんだ。そもそも、私の支部に来てしまったがばかりにこのような厄介な事態になっているだけで……君自身、ちゃんと保護されるべき身の上だ。それについては問題ないだろう」
天海こよみ : 「ありがとう、お面さん……」 一番気にかかってたところのようで、ひとまず安心して小さく笑みを零す
天海こよみ : 「じゃあ、あと……二つ目」
天海こよみ : 「ぼく、グループでアイドルやるなら……涙美ちゃんといっしょがいい……」 隣にいる涙美の顔を見る
虹之元ユメ : 「はい……はいっ!!!??」
虹之元ユメ : 「わ、わたしもですか……???」自分を指さして、呆然としている
天海こよみ : 「さっきアイドル志望って言ってた……よね……?」 記憶違いだったかも、とちょっと不安になる
虹之元ユメ : 「う、うん……! それはそう、なんだけど……」
虹之元ユメ : 「い、良いのかな~? って、思いまして……」
虹之元ユメ : オーメンとこよみのことをチラチラと様子を伺っている
天海こよみ : 「……ぼく、涙美ちゃんのことまだよく知らない。ついさっき、会ったばっかりだし……」
天海こよみ : 「でも、やさしくて良い人だなって思うから……」
天海こよみ : 「涙美ちゃんといっしょなら、アイドル……やれそうな気がして……」
天海こよみ : 「ダメかな……?」
虹之元ユメ : 「こ、こよみちゃん~~~……」 元から潤んでいた瞳を更にうるうるとさせながら、溢れる涙を手の甲で拭う
虹之元ユメ : 「……はいっ! こよみちゃん直々に指名とあらば、喜んでお受けします!!」
虹之元ユメ : 「……って感じですけど、社長さん……! どうですか……!?」やる気十分と言った感じで、力こぶを作るポーズをしている
オーメン相良 : 「どうも何も……君にも、当然グループに入ってもらうつもりだったからな。これからよろしくお願いします」そう言って、頭を下げる。
天海こよみ : 「……そうだったの?」
虹之元ユメ : 「な、なんと……っ! こちらこそ、はい! こよみちゃんの事も、アイドルも頑張ります……!」
虹之元ユメ : 「すごいですね、こよみちゃん! きっとこよみちゃんにも先見の明、というものが……!」小声になっていないヒソヒソ声で褒める
天海こよみ : 「ふふっ、あるの……?」 涙美の服の裾を指で小さく摘まみながら、笑いかける
オーメン相良 : 「オーヴァードとしての先輩として、しばらく天海くんの面倒を見てほしい……という理由ももちろんあるが、君もアイドルの才能があるからな。何も、疑問に思うところはない」
虹之元ユメ : 「なるほど、指導役も兼ねていると……」
虹之元ユメ : 「あっ、質問なんですけど……ミツキさんもこよみちゃんの指導をなさったり?」
十条ミツキ : 「……へっ!?な、なに、呼んだ!?」気を抜いていたのか、何かを考えていたのか。素っ頓狂な声をあげて返す。
天海こよみ : 「ミツキちゃん……?」
虹之元ユメ : 「よ、呼びました! 何か考え事が?」
十条ミツキ : 「何も……ごめんね、自分の事。それで…何だっけ、アタシがこよみの指導をするのか…って話?」
虹之元ユメ : 「ですです、ミツキさんも付いてくれるのならこよみちゃんも多少はリラックスしながら学べるかと思いまして」
十条ミツキ : 「……うーん、それは……」やや困った様子で、オーメンを見る。
オーメン相良 : 「検討しよう」
天海こよみ : 「……あの……そのこと、なんだけど……」
天海こよみ : 「三つ目のおねがい、ミツキちゃんのことなの……」
十条ミツキ : 「……!」
天海こよみ : 「あ、あのね……」
天海こよみ : 「ミツキちゃん、ぼくといっしょにいてもらうことって……できる……?」
天海こよみ : 頭の両サイドで纏めたツインテールを、不安そうに両手で持って顔を隠しながら言う。
オーメン相良 : 「……そうだな。それは……私ではなく、ミツキくんが判断するべき事だ」
十条ミツキ : 「………」こよみの姿を見て、悩む姿を見せた後、口を開く。
十条ミツキ : 「……ごめん。それは……もう少し、時間を貰えないかな。こよみが言ってくれるんだから、前向きに検討するけど……」
GM : けど、の後に言葉は続かない。しかし、彼女なりに思うところがある様子が察せられた。
天海こよみ : 「そ……そうだよね……。ミツキちゃんにめいわくかかっちゃうし……」
天海こよみ : 「ミツキちゃん、彼氏……も、いるし……。ぼくにかまってられないよね……」 小声になっていく
十条ミツキ : 「……あ……あー、えっと、そうじゃなくてね」不安そうな様子が崩れて、苦笑する。
十条ミツキ : 「…ごめん、こよみにとっては笑い事じゃないけど……アタシ、もう別れたよ」
天海こよみ : 「え!?」
天海こよみ : 「そ……そう、なの……?」
十条ミツキ : 「そうだよ。……ごめんね」
十条ミツキ : 「だから、アタシが今考えてるのはそういう事じゃないの。……でも、少し……プロデューサーと、相談して決めたい事だから」
天海こよみ : 「う、ううん……!ミツキちゃんがあやまることじゃ……!」
天海こよみ : 「で、でも……そっか……別れたんだ……」
天海こよみ : 嬉しいような、結局別れたのなら複雑なような……面倒な感情が表れそうな顔を、ツインテールでもふもふしながら隠している。
オーメン相良 : 「……そうだな。天海くんには悪いが、返答には少々時間をくれないか」
オーメン相良 : 「それこそ、正式にOKを出すのはその後でも構わない」
天海こよみ : 「う、ううん。これは出来ればって思ってたことだから、アイドルは……やるよ……」
天海こよみ : 「……でも」
天海こよみ : 「ぼく、不安なんだ……。これからアイドルやるっていうこともだけど……」
天海こよみ : 「レネゲイドビーイング……?だっけ。そんな、よく分からない別の何かが、ぼくにおばけみたいに取りついてるなんて……」
天海こよみ : 「知らない人に声をかけられたり親切にされるの、今まで不思議だっただけなのに……なんか……急にこわくなってきちゃって……」
天海こよみ : 「だけど、ミツキちゃんがそばにいてくれたら……すこしだけ、安心できるかもって思ったの……」
十条ミツキ : 「……」その言葉を聞き、目を閉じて考える姿を見せる。
オーメン相良 : 「君にとって、ミツキが大切な存在である事は理解しているつもりだ。また、君の不安も尤もだろう……気持ちはよく伝わった」安心させるように頷く
天海こよみ : 「……うん」 こくんと頷く
天海こよみ : 「……そ、それだけ、だから……!ごめんね、ミツキちゃん……こまらせちゃって……」
十条ミツキ : 「ううん、大丈夫。……むしろ、ありがとう」そう、呟くようにして小さく微笑む。
天海こよみ : 「……う、うん……っ」 少しホッとして、笑みを返す
オーメン相良 : 「さて、天海くんについてはひとまず確定として……夏橙くん、君に聞きたい事がある」
虹之元ユメ : 「……あっ、はいっ! なんでしょうか!」ミツキの話に聞き入ってしまって逸れていた気をオーメンに向ける
オーメン相良 : 「君は、先ほどの交戦時にギターを弾いていたらしいが……少し、手を見せてもらってもいいか」
虹之元ユメ : 「はい! 少々お待ちくださいね~……」
虹之元ユメ : 「えーっと、手だけでよろしい……のでしょうか?」涙で若干濡れた指をハンカチで拭ってから手を見せる
オーメン相良 : 「問題ない。……ふむ…」手をマジマジと見つめる。
オーメン相良 : 「……タコの付いている位置が良いな。ギターは戦闘時以外にも?」
虹之元ユメ : 「そうですね~、有名バンドの曲をカバーしてみたり……たまに作曲してネットに上げてみたり……」
虹之元ユメ : 「……はい、普通以上には扱えると思います!」
オーメン相良 : 「作曲まで…なるほど。言葉遣いも綺麗だ、きっと作詞面でのセンスもあるだろうな…ふむ……」しばらく考えた後、顔を上げる
オーメン相良 : 「ありがとう。良いグループになりそうだ」
天海こよみ : 「すごく上手だったもんね……」 涙美がギターを弾いてた時のことを思い出す
虹之元ユメ : 「そ、そうですか? えへ、なんだか照れくさいですねぇ~……♪」緩んだ口元からえへへ、と笑みが零れる
天海こよみ : 「うん……びっくりした。また聴きたいな……」 つられて笑って
虹之元ユメ : 「そういうことなら、はい! いつでもお聞かせしますよ! この子も喜ぶと思いますしね」ギターケースの方にも笑みを向けて、そう呟く
天海こよみ : 「……うん」 楽しみ、というように頷く
オーメン相良 : 「さて、話はまとまったな!ミツキくん、会議室にいくぞ!」
十条ミツキ : 「そうだね。色々、話さなきゃいけないこともできたし…」
天海こよみ : 「……ぼく達はどうすればいいの?」
虹之元ユメ : 「ですね。待機していれば……?」
GM : そう話している横を、オーメンは心底楽しそうに高笑いしながらすり抜けて行く。ドアの外に出た時、「君!タクシーを呼んでくれ、『お客様』がお帰りだ!」と事務員に呼びかける姿が見られた。
十条ミツキ : 「今日のところは一旦帰ってくれて大丈夫だよ。……あ、でも後日また呼ぶことになると思うから…連絡先、交換できる?」
天海こよみ : 「え……!?」
天海こよみ : 「あ、う、うん……!もちろん……っ」
天海こよみ : 推しと連絡先を交換するというアイドルとオタクだった頃には考えられなかったことに戸惑いながら、慌ててスマホを出して手順を進める。
十条ミツキ : 「……よし、おっけ。……もう、アタシ達はビジネス上のパートナーだからね……これからよろしくね、こよみ、ルミ」さらりとユメの事を呼び捨てにしながら、そう微笑む。
虹之元ユメ : 「は、は、はぃ~……! なんだか夢みたいです~……」ほわほわと浮足立った雰囲気を纏って、スマホを胸に抱く
天海こよみ : 「う、うん……!」
天海こよみ : 「えっと、えっと……こちらこそ、よろしくね……ミツキちゃん……っ」 何だか嬉しくなって、ふにゃっと笑う
虹之元ユメ : 「改めて、よろしくお願いします! ミツキさん、こよみちゃん!」ふんす、と気合を入れ直しながら頭を下げる
十条ミツキ : その姿を見て、ミツキはにこっと微笑む。
GM : その後、キミたちはタクシーに乗って自宅へ戻り……ほどなくして、「オーディションのお知らせ」という表題のメールが届く。キミたちはほぼ間違いなくメンバーとして加入する事となるだろうが、一応形式的に開催するようだ。
GM : また、それとは別に、トレーナー役としてミツキがレッスンに付き合う事を約束するメールも届く事となる。
GM : オーディションの開催は、3日後だ。
GM : シーンエンド

シーン3 盟約リバイバル

GM : PC3のオープニングです。登場侵蝕をお願いします。
琵琶坂 藍依 : 1D10+38(1D10+38) > 4[4]+38 > 42
琵琶坂 藍依 : 【キャラシート】

公園

夕刻。都内某所。
街外れの小さな公園にて。
……いや、とりあえず"公園"と言ってみたが、
実際のところ、その場所は「公園」と呼ぶコトが憚られるほど寂れていた。
────というのも、市民の苦情(クレーム)とは怖いもので、
危険性だとか老朽化だとか、もっともらしい理由でほとんどの遊具を撤去。
……長年に亘り、人々に癒しを提供してきた歴史ある公園を、たった数年にして"元公園"あるいは"空き地"に変えてしまったのだという。
無情だが、よくある話だ。
老若男女問わず市民に広く愛されていた公園は見る影もなく、
今となっては不審者等の目撃情報が相次いで、人っ子ひとり寄りつかない。
 
そんな抜け殻の公園の隅。
────古惚けたブランコに腰掛けて、赤錆びたチェーンを軋ませる影が一つ。

琵琶坂藍依

黒髪の少女 : 「はあ」
午後七時。
……初夏から遅れだした落陽が、赤いスポットライトとなって影を照らしだす。
夕日を照り返し輝く白い肌。伏せられた切れ長の蒼い瞳。
それはまるで、精巧に造られた氷像めいて美しい少女だった。
 
彼女の名前は、琵琶坂藍依。
十条ミツキと同様に"醜聞(スキャンダル)"で道を踏み外した、元人気メジャーアイドルだ。
……今日はアイドル業界復帰を誓ったアイドルオーディションに落ちた帰り道。
その表情は、地平の向こう側の太陽と同じく沈んでいる。
琵琶坂 藍依 : 「(もう何度目になるだろう、オーディションに落ちるのは)」
琵琶坂 藍依 : 「(……歌にダンス、主催が提示した審査項目の全てに於いて、他の子に私が劣っているとは思えなかった)」
────それでも落ちた。
この自己評価が誤りじゃないんだったら何故、何度も何度もオーディションに落ちるのか。
……いや、何故かなんて既に分かりきってる。
アイドルは人気商売。イメージが第一の世界。
大きな"醜聞(スキャンダル)"を出した人間など採用しないのが当然なのだろう。
一度、アヤがついた時点で業界復帰は望み薄。
琵琶坂 藍依 : 「(…………でも、二次審査まで行った今回がチャンスだと思ったんだけどな)」
雑草が生い茂る公園の端に小さな花が咲いているのを見つけ、もう何度目かの溜息を吐く。
GM : キミが、黄昏ていると。
GM : 公園の入り口付近に、人影があった。長身。異常なまでの長髪。顔はよく見えない。
GM : その人影が、キミに向かって歩いてくる。一歩、また一歩。
琵琶坂 藍依 : 「(ん……? 誰か、こっちに────)」そちらに視線を移す
GM : 仄暗い中、一歩一歩近づいてくるその人影の顔が、ようやくあらわになる。
??? : いや、あらわになったと言って良いのか。
??? : 『彼』の顔には「おかめ」の面がついていた。それだけでも異常なのに、身に纏っているのは、ゼブラ柄のスーツ。
??? : 明らかに異様な、『非日常』の具現化が、キミに向かって歩いてくる。
琵琶坂 藍依 : 「…………!!」
琵琶坂 藍依 : ブランコのチェーンを手放して立ちあがる。
琵琶坂 藍依 : その両手には血に似た赤錆がべっとりとこびりついていたが、どうやらそんなことを気にしている場合ではなさそうだ。
GM : 人影は、キミの前で静止し、口を開く。

オーメン相良

??? : 「琵琶坂藍依。Seventh Heavenの元メンバー」
??? : 「そして、現在は何の肩書きも持たぬ、ただの少女」
??? : 「間違いないか」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「(……私の事を、知っている)」
琵琶坂 藍依 : 「そういう貴方は、もしかして」
琵琶坂 藍依 : 「…………不審者ですか?」
??? : 「そうだな。君に不審者呼ばわりされるのも、また一興かもしれない」
琵琶坂 藍依 : 「一興」
琵琶坂 藍依 : 「私としてはむしろ、不審者に話しかけられて"一驚"といったところですけど」後退って
??? : 「良い返しだな。頭の回転が速い……バラエティ番組でも良い活躍が期待できそうだ」一歩、近づく。
GM : と、彼は懐に手を入れる。何かを取り出そうとしているのだ。
琵琶坂 藍依 : 「(む、懐に手を……! 膨らみの大きさから拳銃ではない、となるとナイフ類……?)」警戒して構える
GM : 男は、バッと懐から『それ』を取り出す。
GM : 薄型のそれを、ささっと『開き』……彼は、その中身を君に差し出した。
GM : それは名刺だった。「UGNプロダクション」「代表取締役 オーメン相良」と書かれている。
琵琶坂 藍依 : 「…………え?」目を見開いて
オーメン相良 : 「私は、オーメン相良。UGN芸能支部……『UGNプロダクション』という会社の社長であり、支部長を務めている」
オーメン相良 : 「コードネームは”ミスター・オーメン”」
オーメン相良 : 「君を、スカウトしに来た」
琵琶坂 藍依 : 「……私を、スカウトに?」
オーメン相良 : 「そうだ。君を、アイドルとしてスカウトしに来た」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「ええ、と……貴方は不審者ではなく、アイドルをプロデュースする会社の社長で、わざわざ自分の足で、ここまで私をスカウトしにきた、と……?」
オーメン相良 : 「そうだ。君を、アイドルとしてスカウトしに来た。社長でプロデューサーで支部長だ」先程のセリフに、肩書きが付け加えられた。
琵琶坂 藍依 : 「はあ……」
琵琶坂 藍依 : 「(プライドあるのかな、肩書きに)」
琵琶坂 藍依 : 「どこからどう見ても不審者の見た目、って事は一旦、脇に置くとして……」
琵琶坂 藍依 : 「UGNプロダクションなんて聞いた事ないですよ」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルって言葉を利用して、女の子から金銭と時間を搾取する悪徳業者の方だったり?そういう人のスカウトが街で増えて────」
琵琶坂 藍依 : 「って、あれ……? UGN……?」
オーメン相良 : 「そうだ。君を、アイドルとしてスカウトしに来た。社長でプロデューサーだ。UGNの支部長でもある」頷く。
琵琶坂 藍依 : 「(UGN芸能支部とかUGNプロダクションって言葉は出ていたハズなのに、この見た目が、あのUGNと全く結びつかなかった……)」
オーメン相良 : 「疑うようなら、霧谷さんにでも確認してみると良い。多忙だろうが、きっと返答を寄越してくれるだろう」
オーメン相良 : 「ともあれ、その辺の芸能事務所を名乗るクソ業者と一緒にしてはいけない。本当に、ちゃんとアイドル事務所だ」
オーメン相良 : 始動したての、と小さな声でボソッと付け足す。
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「(見た目だけなら、その辺の悪徳業者を凌ぐ怪しさなんだけど……)」
琵琶坂 藍依 : 「(いや、見た目だけじゃなく……あのUGNがアイドル事務所を作ってるって話も、信じ難くはあるけど……)」
琵琶坂 藍依 : 「ううん……悪意があるようにもウソをついてるようにも見えない……」
琵琶坂 藍依 : 一から十まで怪しい男の受け入れ難い言葉を、丁寧に反芻されることで漸く呑み込む。
琵琶坂 藍依 : 「(最初はビックリしたけど……、本当の話し……?)」
琵琶坂 藍依 : 「(勝手にレッテルを貼りつけて、不審者呼ばわりして……、悪い事をしたかな……)」
琵琶坂 藍依 : 「(────ああ、いや、よくよく考えたら、こんな恰好してるヒトにも責任あるな)」
琵琶坂 藍依 : 「いろいろ聴きたい事はありますけど、まずひとつ、いいですか?」
オーメン相良 : 「いいだろう」頷く
琵琶坂 藍依 : 「…………何故、私なんです?」
琵琶坂 藍依 : 「私を知っているって事は"あの事件"の事も知っているでしょう?」
琵琶坂 藍依 : 「他のアイドル事務所がそうであるように、まず避けるのが普通だと思うんですけど」
琵琶坂 藍依 : 「もし世間に浸透した悪名を利用して、炎上商法で儲けたいのなら、お断り────」
オーメン相良 : 「そうだな。炎上商法の良し悪しの話はともかく……」
オーメン相良 : 「そもそも、君が言う"あの事件"とは真実か?」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「……………………半分真実で半分ウソ、だと思ってます私は」
琵琶坂 藍依 : 「詳細は想像にお任せしますよ、いまさら弁明するのも馬鹿らしいし」
オーメン相良 : 「ならば、私が信じる物を真実としよう」
オーメン相良 : 「君は、『久能胡桃』に加害などしていない。世間で流布されている噂は全て紛い物だ」
琵琶坂 藍依 : 「……本気で言ってます?」
オーメン相良 : 「本気だ。適当な事を述べているつもりはない」
琵琶坂 藍依 : 「…………」真剣な声色に呆れたように笑って
琵琶坂 藍依 : 「仮に真実がどうあれ、炎上した私を身内に抱えるのって相当なリスクですよ?」
琵琶坂 藍依 : 「……そのあたり、分かってます?」
オーメン相良 : 「その点についても理解している。私がどう考えようが、世間的に見るなら君は悪者として扱われている」
オーメン相良 : 「……今は、な」
琵琶坂 藍依 : 「…………ずっと、だと思いますけど」遠い目をして
オーメン相良 : 「それならば、私からも問おう」
オーメン相良 : 「まるで諦めたような口ぶりだが……君はなぜアイドルオーディションを受け続けている?」
琵琶坂 藍依 : 「それは、」
琵琶坂 藍依 : 「────私は、トップアイドルに"ならなくちゃいけない"から」
オーメン相良 : 「……理由を聞いてもいいか」
琵琶坂 藍依 : 「単純な話です」
琵琶坂 藍依 : 「……最期に、そう約束したんですよ『胡桃』と」
オーメン相良 : 「……久能胡桃との約束」
オーメン相良 : 「私は内部事情を知らないが……君と彼女は仲が良かったな」
琵琶坂 藍依 : 「ええ、胡桃とは同じ学校に通うルームメイトでしたから」
オーメン相良 : 「プライベートから親交があったのか」納得したように頷く。
オーメン相良 : 「……君に聞くのは酷かもしれないが。その『トップアイドルになる』という夢は、共に叶えるべきものじゃなかったのか」
オーメン相良 : 「君一人となった今、なおトップアイドルに執着する理由は、彼女のかけた『呪い』にあると?」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「……………………それが、たとえ『呪い』だとしても」
琵琶坂 藍依 : 「私にとっては、胡桃が遺してくれた大事なモノだ」
オーメン相良 : 「……そうか。君がそう感じているのであれば、私が何か言うのも野暮だろう」
オーメン相良 : 「つまり……君は、深い闇に迷い込んだ今なお、『アイドル』になる事を諦めていない。それどころか、『トップアイドル』を目指している」
オーメン相良 : 「例えその道が茨の道であろうと、そうする事が君自身を救うと?」
琵琶坂 藍依 : 「────ええ。まがいものだとしても、それこそが今の私にとっての『光』だから」
オーメン相良 : 「ならば。私のスカウトを断る理由はあるのか?」
オーメン相良 : 「UGNプロは、アークライト程の規模を持つ事務所ではない。現時点はいわゆる『地下アイドル』レベルだろう。それを力不足だ、と考えるのであれば……私も、君のスカウトを諦める」
オーメン相良 : 「だが、理由が別にあるのなら……私に力を貸してほしい。私も、君を全力でプロデュースする」
琵琶坂 藍依 : 「…………事務所の規模は、問題に思っていません」
琵琶坂 藍依 : 「確かに私の方にスカウトを断る理由は、ない」
琵琶坂 藍依 : 「……ただひとつの疑問を除いては」
オーメン相良 : 「その疑問とは?」
琵琶坂 藍依 : 「────さきほど目標を語った通り、私は中途半端なグループに所属するつもりはない」
琵琶坂 藍依 : 「貴方のUGNプロの目標地点は、どこです?」
オーメン相良 : 「……そうだな。その話をする前に、まず、何故今回グループを結成する事になったのか……その背景を語らせてはくれないか」
琵琶坂 藍依 : 「背景……?」
オーメン相良 : 「そもそも、私が今回君に声をかけたのは……『アイドルグループを結成する事』が主目的ではない」
琵琶坂 藍依 : 「というと……?」
オーメン相良 : 「先日匿った新人のオーヴァードが、正体不明……恐らくは、FH側に属する物に狙われている」
オーメン相良 : 「彼女には、とあるレネゲイドビーイング……私の『見立て』では、厄介な能力を持つものが取り憑いているようだ」
オーメン相良 : 「私は、この件を解決するべく……アイドルグループを結成する事にした」
オーメン相良 : 「ここまで、理解できるか?」
琵琶坂 藍依 : 「…………途中まで、理解しましたけど、どうしてアイドルグループ?」
オーメン相良 : 「色々と、その方が都合が良かったからだ。……君が作戦に参加するのであれば、詳細を話そう」
オーメン相良 : 「とにかく、今回のグループはあくまで一時的な『作戦』によるものだ。現時点の計画としては、期間限定ユニットとしてプロデュースする」
オーメン相良 : 「それを中途半端と捉えるのであれば、君の意向にはそぐわないだろう。だが、プロデュース自体は本気でやる……そして、メンバーの皆が続けたいと望むなら」
オーメン相良 : 「その時は、君を含む、全てのアイドルに関わる人間を、アイドルを通じて幸せにするべく、活動を続けよう」
オーメン相良 : 「……本題に戻そう。UGNプロ……当支部の目的は、『アイドルに関わる全ての人間を、アイドルによって幸せに導く事』だ」
オーメン相良 : 当面は、FHが幅を利かせている芸能界におけるシェアを奪う事に注力する事になるだろうがな、と付け加える。態度からして、彼は本気のようだ。
琵琶坂 藍依 : 「…………『アイドルに関わる全ての人間を、アイドルによって幸せに導く事』ね」
琵琶坂 藍依 : 「耳障りが良いスローガンではありますけど」
琵琶坂 藍依 : 「……う~ん」
琵琶坂 藍依 : 「まあ、私の目的とは関係なく手は貸しますよ」
琵琶坂 藍依 : 「FHに狙われているって新人の子、いきなりアイドルにさせられて可哀相ですし」
オーメン相良 : 「それは耳が痛いな」
オーメン相良 : 「……だが、存外彼女は『やる』と思うぞ」
琵琶坂 藍依 : 「そうなんですか?」首を傾げ
オーメン相良 : 「ああ。……いや、これ以上は止そう。みだりに他人の情報をばらまくわけにはいかないからな」
オーメン相良 : 「それで……私の聞き違いでなければ、私に手を貸すと?」
琵琶坂 藍依 : 「……ええ。ですけど、交換条件をひとついいですか?」
オーメン相良 : 「ふむ。聞こう」
琵琶坂 藍依 : 「まず全力でプロデュースする事は前提として、」
琵琶坂 藍依 : 「そのグループが解散した場合、別の新規アイドルプロジェクトに私を組みこんでもらいたいんです」
琵琶坂 藍依 : 「UGNは私の能力が欲しい。私はトップアイドルになりたい。この両者の要望を満たす事が条件です」
琵琶坂 藍依 : 「────約束できますか?」
オーメン相良 : 「……いいだろう。私は『アイドル』を通じて、君を幸せにする事を誓おう」
琵琶坂 藍依 : 「よかった」
琵琶坂 藍依 : 「……それなら私は喜んで力を貸しましょう」目を閉じて
オーメン相良 : 「ありがとう。恩に着る」
オーメン相良 : そう言って頭を下げる。
オーメン相良 : 「……さて。君には後日、改めてオーディションを受けてもらう」
琵琶坂 藍依 : 「オーディションを?」
オーメン相良 : 「ああ。改めて、君の意向を聞く場が欲しいのと……」
オーメン相良 : 「その方が、『あるある』で楽しいだろう?」
琵琶坂 藍依 : 「……ちょっとよく分かんないです」
オーメン相良 : 「そうか。まあ、君を落とす事はまずない。緩い気持ちで来社してくれたまえ」
琵琶坂 藍依 : 「なるほど」
オーメン相良 : 「他に質問は?」
琵琶坂 藍依 : 「特に無……ああ、いえ、あります」
オーメン相良 : 「ふむ?」
琵琶坂 藍依 : 「……なんでそんな恰好なんです?お面を被って芸人さんでも着ないようなスーツを着て、まるっきり不審者だと思いましたよ私」
オーメン相良 : 「……それは」
オーメン相良 : 「これは私がアイドルをプロデュースする際の正装だからだ」
琵琶坂 藍依 : 「正装」
琵琶坂 藍依 : 「私がアイドル業界にいた三年間、そんな恰好のプロデューサーは見なかったけどな……」
オーメン相良 : 「その辺りも、今後この事務所で学んでいくといい。この点については、私は意見を曲げないぞ」
琵琶坂 藍依 : 「謎のポリシー……」
琵琶坂 藍依 : 「まあ、アイドル活動に支障が出ないなら、いいですけど……」
オーメン相良 : 「安心しろ。この面は、エンジェルハイロゥの能力で投影している物だ。一般人から見たら至って普通だ」
GM : なお、スーツジャケットについてはエンジェルハイロゥの能力によるものではない。
琵琶坂 藍依 : 「(うーん……、スーツだけならギリギリセーフ……?)」
琵琶坂 藍依 : 「(アイドルより目立ちかねない気もするけど……)」
オーメン相良 : 「さて、他の質問は?」あくまで、この格好を『正装』として通すつもりのようだ。
琵琶坂 藍依 : 「もういいかな、そろそろ暗くなるし」
オーメン相良 : 「そうか。では、また後日連絡をしよう。UGNに登録されている情報から連絡をするが、迷惑電話として処理しないように」
オーメン相良 : 「それでは」そう言い残し、ハハハハと高笑いしながら公園から出ていく。
琵琶坂 藍依 : 「やっぱり不審者だったかも」苦笑して見送って
琵琶坂 藍依 : 「────────まあ、また明日。プロデューサー」その背中に語りかける
オーメン相良 : その言葉に、軽く手を上げて返す。そのまま、彼は夜闇の中に姿を消した。
GM : シーンエンド

シーン4 偏愛イミテーション

GM : PC4は登場侵蝕をお願いします。
夢川めめ : 1D10+43(1D10+43) > 8[8]+43 > 51
夢川めめ : 【キャラシート】

ライブハウス

GM : S区K町。
GM : 仮初の愛情と欲望が渦巻く、日本でも有数の歓楽街。
GM : あなたは、その一角にあるライブハウスの中に居た。
GM : キミはメンズ地下アイドルグループ「EYES ONLY」のオタク……その中でも、”推し”に貢ぐ額が一番多い、オタクの中のオタクであるトップ・オタ、通称「TO」だ。
GM : 主な仕事としては、ライブ後の特典会の際、何度も列に並び直してチェキを撮り続ける行為・通称「チェキループ」を、特典会が終了するまで続ける事で推しに還元したり、推しの生誕祭におけるイベント企画の中心となったりなどだ。
GM : 推しの名は「紫吹レイジ」。担当カラーはディープバイオレット。8カ月前に加入した新メンバーであり、人気は中の上程度。
GM : 今日は、新曲「ハイドランジアの王」のお披露目ライブだ。EYES ONLYの曲は、愛を知らない科学者が、根拠に基づく「愛」を証明するまでを描いたシリーズ物となっている。今回の新曲は、主人公であり演者自信を示す『科学者』と『EYES』(これはファンを指す)の関係が進展する作品だ、と作詞家がSNSで語っていた。
GM : ライブハウス内にいるのは、数十人程度だろうか。友人同士で来ている者はともかく、他のオタクたちは無言でスマホをいじっている。
GM : 全員に共通している点は、ライブ前から推し色のペンライトを点灯していたり、服装から推し色で固めていたりなど、「推しが誰であるか」が明確である事だ。
GM : これは、他のオタクに対する『警告色』である。こうする事で、前後左右に同担が来ないようにして、自分に対するレスを確実に受け取る事ができる環境を整えるのだ。
GM : さて。キミは、いつもの自分の定位置に荷物を置いた後、チェキ券を購入する為、列に並んでいた。

夢川めめ

夢川めめ : 「…………」
夢川めめ : 自他ともに認める【紫吹レイジのTO】、夢川めめは当然の如く、──あるいは周りに並ぶ【ただのオタク】と同様、無言でチェキ列に並ぶ。
夢川めめ : その身には、めめいわく「れぇじしか勝たん」……紫吹レイジのステージ衣装である白衣のような白コートを纏い、乾いた音と共に液晶を叩く長い爪はサロンで整えたばかり……
新曲のお披露目に合わせ、自らのチューニングも完璧であった。
夢川めめ : 「はゎ……まぢどきどきする🥺🥺ハイドランジアの王、ゆーちゅーぶのトレーラーだけで優勝だったけど作詞家サマが言ってたようにお話が進展するんだもんね!?!?」
……ツイート。
夢川めめ : 「わたし的には2曲前の〇〇のあの描写と繋がってて、それで科学者とね、EYESの根底に流れる関係性がさ……」
ぴろん。
夢川めめ : 通知に邪魔をされ、ふ、と手を止める。
スタンプで顔を半分隠した自らのアイコンを横目に、先程のツイートを見ると、既に引用RTが数件溜まっていた。
夢川めめ : けれども、押してみればRTはない、との表示。
夢川めめ : ……ああ、まただ。
また鍵垢からわざわざめめのツイートあげつらって、なんか言ってんだ。
夢川めめ : 「……ふふっ♡」
夢川めめ : 「れぇじ色」に染めた髪を指でくるくる弄りながら、彼女は余裕に満ちた笑いを漏らす。
でも──正面切ってめめを脅せない外野なんて、道端の石より怖くないもん。
夢川めめ : これが、彼女にとっていつも通りの日常。
戦場のような現場での、ありふれた一コマ。
今日もまた、購入列からフルスロットル。
既に戦いの火蓋は切られていた。
GM : キミが正体不明の"モブ共"と戦っていると……どうやら、次はキミの番らしい。
GM : ちなみに、アイオンのチェキは1枚1500円。
GM : 一回の購入上限は10枚で、足りない(チェキループする)場合は、改めて物販コーナーにてチェキ券を購入し、追加で買い足していく事となる。
GM : この現場での平均の枚数は5枚程度……金額にして7500円。決して安い額ではない。
GM : キミの番が来た。
スタッフ : 「次の方~、何枚ですか?」
夢川めめ : ──正直な所、これは形式的なやり取りに過ぎない。
めめにとっても、そして嫌でも顔を覚えているであろうスタッフにとっても。
紛うことなき答えはひとつだった。
夢川めめ : 歌舞伎町ランドセル、でお馴染みMCMブランドの長財布から、1万円と5千円のピン札を取り出しニッコリ微笑む。
なお、再び閉じられた財布はぎちぎちとその身を悶えさせている。
──もちろん、札束で。
夢川めめ : 「10枚♡」
スタッフ : 「10枚ですね。お預かりします」特に動揺した様子もなく金を預かり、レイジ⑩と書かれたチェキ券を手渡す。
GM : こうして、キミは今夜もチェキ券をゲットした。
夢川めめ : 「〜〜♪」
これから何枚も手にするであろうチェキ券を、まるで当たりの宝くじかのように拝むように掲げ、ルンルンな足取りで購入列を離れる。
……周りから向けられる、白い目も意に介さず。
GM : ……そう。君に対して、周囲から視線が刺さっている。まだ担降りする気はないのか、今夜の鍵閉めも彼女なのか……と、『つぶやく』声が耳に届くようだ。
※鍵閉め:特典会の最後までいる事。この行為に価値を見出すオタクもいる。
GM : 購入し終え、戻ろうとすると……後ろに並んでいた女──おそらくは自分より年上だ──が、すれ違いざまに「ふふっ」と小さく笑う。
GM : 紫色の髪に、地雷服……見たことがある。担当被りの女オタクだ。
スタッフ : 「どうされます?」

被りの女

被りの女 : 「うーん、10枚で♡」
GM : 彼女もまたチェキ券を受け取り、そのまま、己の席へと戻っていった。
夢川めめ : 「(ぁ……今の人、なんとなく見たことあるかも)」
夢川めめ : 「(まあ……他のオタクなんてれぇじのいちばんなめめには関係ないけど)」
夢川めめ : 薄く向けられた微笑にも心惑わされず、夢川めめは再びTwitterを開きつつ荷物のあるべき場所へと歩を進める。
夢川めめ : 「え、今日の現場みんなさいこ〜にしあわせそなんだけど…🥺🥺🥺始まる前からにこにこ止まんない同担てゃばっかりでめめもちょう嬉しい〜〜!!てかこれを機に皆れぇじにハマれ!?!」
たぷたぷ、と。
紫吹レイジ仕様に着せ替えたキーボードを叩き、スマホの青白い光を浴びながら。
夢川めめ : その瞳だけでなく、頭の中はまさに「EYES ONLY」オンリーなのだ。
期待に膨らませながら、あとは開演を待つのみである。
GM : しばらく待っていると、照明が暗くなり、BGMがフェードアウトする。
GM : ブーッと激しい警戒音が鳴り響く中、どこか怪しげな雰囲気を持つサイバーチックな入場SEが流れ出し……スポットライトによる逆光の中、メンバー達が入場。
GM : 立ち位置に付いたメンバーは、スポットライトに照らされるたび、それぞれに割り振られた振り付けのダンスを魅せる。
ピンク担当 : バク宙など、激しいアクロバットを見せる者。
黒担当 : きゅるん、と可愛らしい仕草で目線を惹きつける者。
GM : それぞれが躍るたびに、彼らの担当のオタクが歓声を上げてペンライトを振る。
紫吹レイジ : そして、キミの目の前の男……紫吹レイジに、スポットライトが当たる。やや彫りが深い顔立ちに、濃い影が落ちる。

紫吹レイジ

紫吹レイジ : 彼は目を閉じたまま、軽いステップを踏んでから、白衣にも似たロングコート風衣装を翻して踊る。
紫吹レイジ : 優雅、しかし、鍛え上げられた体幹によって、決めるべきところではピタリと静止する、計算されつくした動き。
紫吹レイジ : 彼が得意とする、ジャズヒップホップを交えた振り付けだ。
紫吹レイジ : 最後、タンッと足を踏み鳴らしてから動きを止め、静かに目を開く。アメジストのような瞳。

紫吹レイジ

紫吹レイジ : 彼は、半歩後ろに下がりながらVサインを作り、己の目に向けた後、客席に向かって指差し、微笑む。「ちゃんと見ているよ」と伝えるハンドシグナルだ。
夢川めめ : 「はゎ……」
夢川めめ : 点灯されたペンラを握り込む手の中から、ピキ、と嫌な音がする。
そちらに目を向けることも、瞬きひとつすることなく、ただただの目の中、頭の中心に「れぇじ」を留め続ける。
夢川めめ : ……でも、ああ…えへへ。
分かっていても、うれしいなあ。
だって今の、いまの、めめに「だけ」。
れぇじがくれたんだもん…
夢川めめ : じわり滲む涙は、喜悦故か。
それとも瞬きすら厭う故の生理現象か、あるいは両方か。
いずれにせよ、彼女は目をそらすことなく、噛み締めるようにライブを見つめている……
GM : スポットライトが別のメンバーへと移ると同時、レイジは影の中で静止する。
GM : 全てのメンバーがダンスを終え、静止した後、知らない曲のイントロが流れ始める。
GM : どこかゴシック風の響きを持つ、ダンサブルなサウンドから始まると同時、メンバーらのダンッと力強い足音とビートがシンクロする。
GM : 美しく揃ったダンス……しかし、ただの集団演技ではない。それぞれに個性が見られる。
GM : レイジの動きには、忙しなさがない。指先まで、彼の持つ「科学者」像……冷静沈着で、余裕のある姿を表現しているのだろう。
GM : 歌詞の内容は、相変わらず抽象的でよくわからない。だが、「科学者」が「愛」よりも「EYES」に興味を持ちだしたような……そんな気がした。
GM : ……1番が終了。現時点、レイジのソロでの歌割りがほとんどない事が気になるだろう。
GM : 他のメンバーがソロで歌い、左右や後ろのオタク達がペンライトを上げて応援している中、キミが紫色のペンライトを上げる機会はほとんどない……
夢川めめ : 「……!」
祈るようにペンライトを握り込み、下唇をきゅっと噛み。彼女はただひたすら【その時】を待ち続ける。
夢川めめ : 「……めめは…知ってるもん…」
「作詞家サマも、科学者も、Pサマも……理解ってるはず…」
夢川めめ : 「めめ''が''大好きなEYES ONLYなら…」
「…………ぜったい、ぜ〜ったい、期待を越えてくれる…信じてるから…」
口の中でぼそぼそと呟く。
激しい曲の勢いで、彼女の妄信は誰にも聞こえない。
GM : めめが呟く中、2番へ。
GM : 中盤に差し掛かったところで、曲が転調した。
GM : レイジがすっとマイクを口元に近づける姿が見える。彼のソロパートなのだろうか。
夢川めめ : 「ひッ……、あっ…れぇじ……!!」
待ちかねた故か、オタク仕草丸出しで。
彼の動きとほぼ同時に……いや本人すら認識の外、それこそ「習性」の様に、バッとペンラを高々と掲げる。
夢川めめ : ……躊躇いはない。
まあ、これでれぇじパートが来なければ運営は裏垢の餌行きだが。
GM : すると彼は静かな声で歌い出す。
紫吹レイジ : 知らない。見えない。
真実なんて存在しない
そんな世界で……
GM : 変な癖も嫌味もない、落ち着いた声で歌いながら、徐に下手の客席側……キミのいる方面へと歩き、その場に片膝をつく。それと同時にBGMが止まり、他メンバーも動きを静止させる。
GM : スポットライトが、レイジと……そして、最前列に居るキミを照らす。
GM : 音が失われた真っ暗な世界の中、二人きり。
GM : スポットライトって浴びると熱いんだ、と思う暇もなく、目が合う。
GM : キミに向かって差し出される手。
紫吹レイジ : 「君は『愛』を証明できるのか?」
GM : マイク越しではない、生の声が聞こえる距離でのセリフパート。私信であると捉えられても無理がないパフォーマンスだ。
※私信:ここでは、特定のオタクに対するファンサービスの意味。
夢川めめ : ヒュッ……と喉奥から空気が漏れる。
分かっている、だって今まで何回現場に足を運んだかもしれないほど来て、見ている光景。
他の曲でも見たセリフパート、これもそれと同じと片付けてしまうことだって出来るかもしれない。
夢川めめ : でも…
夢川めめ : でも、これは。
夢川めめ : 「めめに向けて」、じゃんね……!!?
夢川めめ : ……れぇじにブスな顔なんて見せられない。
精一杯、それこそ地獄シフトのコンカフェで取り繕う時より早く、凍りついた顔面を笑顔に戻し……
夢川めめ : あ、い、し、て、る。
ゆっくり、一言一言口パクで。
伝わるのは世界にめめとれぇじだけ、たった2人だけのラブレター。
夢川めめは、たとえ届かないとしても愛しのれぇじに手を伸ばし……
儚い笑顔で微笑んだ。
GM : 自分の背に、他のオタクからの視線が刺さる。羨望、嫉妬、怒り。負の感情の気配。
GM : だが、仮に私信であったとしても、誰も文句を言わない。このパフォーマンスを、レイジから受けていい相手はキミしかいない事を、どのオタクも理解している。
GM : だって、あなたはTOなのだから。
GM : レイジは微笑む。君に対するレスなのか、それともただの表情管理なのか……
GM : 彼は、他のメンバーから差し伸べられた手を取って立ち上がる。
GM : パフォーマンスの輪の中へと戻り、ラスサビへ向かう。曲は激しさを増し、元のフォーメーションと戻ってポーズを決める。
GM : その後、別の曲やMCを挟み……1時間程度のライブが終了した。
 
GM : 30分後。照明が付き、メイク直しを終えた演者らが戻ってくる。特典会となった。
GM : キミはチェキ券を手に、列に並んでいる……
夢川めめ : 「ふわわ……」
夢川めめ : ─未だに夢の中に居るようだった。
いつもなら待機列では、やれSNS監視やインカメラを駆使して身だしなみを整えるめめだが、今日に限っては。
夢川めめ : チェキ券を両手で持ち、まるで恋する乙女のようにぽやぽやと先程の余韻に浸っている。
夢川めめ : ……また、これはいつもことだが。
夢川めめ : いつもにも増して、周囲から向けられる目の事は歯牙にもかけていない。
GM : キミは同じ待機列のオタクから向けられるピリピリとした気配を感じながら、程なくして、レイジの元へとたどり着いた。
紫吹レイジ : 「めめ。来てくれたんだね……良かった」
GM : レイジは、キミを笑顔で迎え入れる。スタッフはレイジの隣の席を、キミが座りやすいようにすっと引いた。
夢川めめ : 「きゃ〜〜!れぇじ♡」
「うん♡れぇじの為ならめめ、いつだって来れるもん!」
両手で手を振りながら近づき、すとん!と椅子に座る
紫吹レイジ : 「ふふ、相変わらず嬉しい事を言ってくれるね。いつも言ってるけど、無理はしないでいいんだよ?……本当に」その無邪気な仕草に、また笑みがこぼれる。
夢川めめ : 「えへへ…めめ、無理なんてしてないよ?」
「ほんとれぇじやさしい、はあすき……」
照れ照れの表情で、れぇじ色の髪をくるくる弄ぶ
紫吹レイジ : 「ありがとう、嬉しいよ……そうだ、今日のチェキの構図は決めた?」
夢川めめ : 「んへへ……」
脳内からじわじわと、幸福物質が滲み出てくるのを感じる。
こうやってお話するだけでもめめ、ずっと幸せだなあ
夢川めめ : 「………あ、うん!えとね…」
ただいつまでもこうしていられない。悲しいかな、時間というのは有限なのだ。
特に、この界隈においては。
夢川めめ : めめは恥ずかしそうにこう切り出す。
夢川めめ : 「新曲のね、れぇじのパートのパフォーマンス、ほんとに最高だったから……だからね、''まず''はチェキでもそういう構図にしたくってぇ……」
「えと、王子様みたいに……こうね、お膝をついて、それでめめに手を差し出して欲しいの……」
もじ、と指を弄りながら
夢川めめ : 「あ、ハンカチは持ってきてるから!!!」
「れぇじの衣装は汚れないから!大丈夫だから!……ね?だめかな…?」
上目遣いで
紫吹レイジ : 「いいよ」あっさりそう言うと、躊躇なく床に膝をつく。
GM : そのまま、少々位置を調整してから、今度はレイジがめめを上目遣いで見つめる。
紫吹レイジ : 「……これでどう?お姫様」
夢川めめ : 「ヒッ………………………!」
れぇじが、れぇじがめめのために地に膝を付けている…!
"めめに向けた''パフォーマンスもさることながら、せっかくの衣装を汚してでもサービスしてくれている…!
夢川めめ : 瞬間、めめの脳内に駆け巡る''しあわせ''が許容量を越え……
夢川めめ : 「わァ……あ………」
ぽろぽろと涙が零れてしまった…!
紫吹レイジ : 「わ……う、嘘でしょ、大丈夫……!?」
GM : レイジは立ち上がり、キミの頬に触れる。
夢川めめ : 「あゔぅ……ごめんに''ゃなしゃい…」
「ちょっと、嬉しすぎて……あたま、追いつかなくてぇ……」
すぴぴ、と鼻をすすり
紫吹レイジ : 「大丈夫……泣き虫さんだね、めめは。これ使って」そう言いながらそっとポケットティッシュを取り出して、差し出す。
夢川めめ : 「ゔん……えへ、ありがとぉ…」
にこ…!と心から嬉しそうな表情を見せる。
この環境でなければ、年端もいかない少女と青年の微笑ましい様子かのように見える…かもしれない。
夢川めめ : 「えへ、えへへ……うん、めめもう大丈夫…!」
「ごめんね、みんなのことも待たせちゃうし……改めて、チェキ撮ってくれる?」
今度こそはハンカチを手渡し
紫吹レイジ : 「良い子だね。……ハンカチは大丈夫だよ、パフォーマンスでも膝くらいつくし……こんな可愛いハンカチ、もったいないよ」そっとめめの手を包み込み、ハンカチを握らせる。
夢川めめ : 「ふぇえ……」
「う、うん……!れぇじほんと王子様みたい〜……♡」
ぽーっとした目つきで
紫吹レイジ : 「はは、言い過ぎだよ……」
GM : そう言いながら、改めて膝をついてめめの手を取る。そのまま手を口元に近づけ……触れない程度の距離、しかしカメラからはまるで手の甲に口づけをしているかのように見える構図で止まる。
GM : チェキスタッフの持つインスタントカメラが光る。15000円は、一瞬のうちにして溶けて行った。
夢川めめ : 「はあ〜〜…♡♡」
「えへへ♡もぉ、ほんっっっ……と!さいこぉだった〜♡」
両方のほっぺを抑えてにまにまと
紫吹レイジ : 「本当?良かった……ふふ、こういう構図も新鮮で楽しいね」くす、と笑いながらチェキスタッフからチェキを1枚受け取り、サインを書き込んでいく。
紫吹レイジ : 「そういえば……あのパフォーマンスなんだけど、本当に偶然だったんだよ?フォーメーションの位置は指定通りだったし、スポットライトの位置だって計算したわけじゃない」
紫吹レイジ : 「……偶々、そこに君がいたんだ」
夢川めめ : 「ふふっ…そおなんだ?」
「でもね、偶然でも、奇跡でも、運命でも……めめはそれでいいのっ!」
夢川めめ : 「いつだって、れぇじの瞳の中、センターに居られるなら……努力だって何だって、めめはなんでもがんばれるし、してみせるもん!」
「だ・か・らぁ♡」
「これからもアイオンのため、れぇじのためにもっとおしごといーっぱいして、いつか…」
夢川めめ : 「れぇじにね?偶々……だなんて、いわせないようにしてやるんだから!」
えっへん!と胸を張ってから、きゃ、言っちゃった!と顔を隠してみる
紫吹レイジ : 「だから、無理はしないでって……君が僕の一番のファンだって事は、よくわかっているよ」その可愛らしい仕草に、また困ったように微笑む。
紫吹レイジ : 「でも……」言葉を切り、そっと肩を抱き寄せ、耳元で囁く。
紫吹レイジ : 「僕が言った事、全部嘘だったらどうする?」長い前髪に隠れていてもわかる、目鼻立ちがはっきりとした美しい顔が、キミを覗き込む。
夢川めめ : 「れ、れぇじ……?」
…あまりにもれぇじの顔が良い。
この至近距離、嬉しくて仕方がないはずなのに、彼女の心は言いようのない不安に掻き乱される。
紫吹レイジ : 「……なんてね。冗談だよ……ふふ、そんな変な顔しないで」そう言って、ぱっと離れる。どうやらからかったつもりのようだ。
夢川めめ : 「あ……ぅ、えっと!!!!」
ぱっと正気に戻され、目をぱちくりさせて
もう時間もあまりない。
彼女にも体感としてよく分かる。だから、チェキが終わる前に答えを伝えておきたかった。
夢川めめ : 「め……めめは!」
「めめは、めめは…!!」
「たとえ全部嘘でも、ほんとうって信じさせてくれるれぇじがすき!」
「……なの。だから…」
他のオタクに聞こえないよう、彼にだけ聞こえる程の声量になっていく
夢川めめ : 「………嘘でも、いいよ。」
「れぇじが言ってくれるなら、めめにとって…それは全部、ほんとのことだから。」
ともすれば、風に攫われてしまいそうな笑顔で、そう言った。
紫吹レイジ : 「……めめ」
GM : その笑顔に、若干不安げな表情を浮かべながら、めめの手を取る。
紫吹レイジ : 「……めめの言う通り、君の信じる物が僕の……『紫吹レイジ』の全てだ。だから、僕はいつまでもここに居る」
紫吹レイジ : 「…不安にさせてごめん。冗談でも良くなかったね…」
GM : 気を付けるよ、とレイジは目を伏せる。
夢川めめ : 「……えへへ、大丈夫…!」
「………そんな、れぇじのミステリアスなところも…めめ、だいすきだから!」
ふるふる、と首を振って
紫吹レイジ : 「…ありがとう」
GM : そう話していると、スタッフが「そろそろ…」と声をかけてくる。思っていたよりも時間が経過していたようだ。
紫吹レイジ : 「あ……わかりました。ごめん、めめ。時間だって…」
夢川めめ : 「あ……そか、そうだよね!んへへ…れぇじ、い〜っぱいお話してくれたもんね!」
「うんうん、それじゃ……」
夢川めめ : 「"また後でね!''」
……これほど濃密な時間を過ごしたにもかかわらず、彼女はにっこり微笑んで、確かにそう言った。
紫吹レイジ : 「うん……"また後で"」ふっと笑い、小さく手を振って君を見送る。恒例化しているが、通常であれば異常な光景だ……しかし、これが彼らの日常なのだ。
夢川めめ : 紫吹レイジのTO、夢川めめは……
その財力とは裏腹に、無邪気な子供の様に手を振りながら離れてゆく。
夢川めめ : 「……ちゅ♡」
最後に、愛嬌たっぷりに投げキッスを飛ばして、それから……
並ぶ有象無象のファンを''横目''で眺めてから、チェキループへの臨むのだった。
GM : レイジはその姿にくすっと笑い、やってきた次の子を出迎える……
GM : さて。君はその後、複数回列に並び直す事となる……が。様子がおかしい。
GM : いつまで経っても列が途切れない。普段だったら、そろそろキミとレイジは二人きりになる。そのはずなのに……
GM : 例の、被りのオタクがいつまでも列に並び続けているのだ
GM : 普段なら5ループ程度で済むのに、今日は8ループはしている……そろそろ、軍資金が怪しくなる頃合いだろう。普段であれば、彼女は2~3ループ程度で帰っていたはずである。
GM : 彼女は、物販コーナーで10枚分のチェキ券を購入し、再度レイジの元へと向かっていった。
GM : さて、キミはどうしますか?補足として、『たった1日』鍵閉めを怠った程度で、TOでなくなる事はありません。
GM : 安心して選択してください。
夢川めめ : 「(なに、あいつ……普段はさっさと帰ってる時間なのに、無理しちゃって……)」
夢川めめ : 彼女は手の中の財布を見た。
あれほどお札ででっぷりと太っていたというのに、今ではひなびて痩せた姿を晒している。
夢川めめ : 「…………」
ぎゅ、と拳を握り込む。
確かに、1度鍵締めを出来なかったからといって、TOの座が揺らぐことは無い。
夢川めめ : ……いや、本当にそうか?
夢川めめ : 紫吹レイジのTOとして、この1日を「たった」と形容してなるものか。
ましてや今日は、新曲披露かつ奇跡のようなファンサが自分に向いた記念日なのだ。
夢川めめ : …………たった1日などではない。
「この1日」なのだ。
夢川めめ : 「………もっとシフト入れればいいし…それに、もっともっと稼げるお仕事探せばいいもん……ね、そうでしょ…」
夢川めめ : 「……電車代が無くなったって歩いて帰ればいいもん。それに、」
「……このままじゃ、帰れない……」
ブツブツと口の中で呟きながら、再び列へと並ぶ。
GM : 君は、再度列に並ぶ。いや……もはや自分と『被り女』しかいない以上、列とは呼べないのかもしれない。
GM : 被りの女は、きゃぴっとした高い声でレイジと会話している。
被りの女 : 「ェ~?レきゅん、今度誕生日でしょ~?なんでも買ってあげるのにィ」
紫吹レイジ : 「いいよ。またライブに来てくれたら、それで十分だって」
被りの女 : 「でも……!そんなんじゃ足りないもん!!」バンッ!と、己の膝を叩く。
被りの女 : 「ゆいなはレきゅんの一番になりたい!」
被りの女 : 「だって……ゆいなも、あのレス欲しいんだもん」
GM : そう言って、彼女は列に並んでいるキミを睨む。
GM : レイジは、やや困った表情をしてから、そんな彼女を抱き寄せるようにして目元を隠し、視線を逸らさせる。
紫吹レイジ : 「……悲しい思いをさせてごめんね」
GM : レイジは謝罪をした後、被りの女と小さな声で数回言葉を交わす。
GM : 女は不満げながらも、彼の言葉に納得したのか。物販コーナーに立ち寄る事なく、出口の方角と向かっていった。
GM : だが彼女は、キミとすれ違う時、肩をぶつけて囁く。
被りの女 : 「……調子に乗るのもいい加減にしろよ、クソガキ」
GM : そのまま、キミの返事を待たずに去っていった。
夢川めめ : 「…………」
喜悦故、裂かれた様に歪む口元が誰にも見られないように手を当てる。
夢川めめ : ……彼女にとっては、被りの女性が放つ言葉すら、不快の種にはならなかった。
それより、''勝った''。……その事実だけが、夢川めめの心を満たした。
夢川めめ : 「(端金と、生半可な覚悟で……めめに張り合ってくんじゃねえよ、クソババア)」
去りゆく背中に呪詛を篭める。
声は出ていない。当然口パクだ。
それでも意趣返しの様な、この誰にも見られない、めめだけの仕返しが……
荒んだ心を癒してくれた。
GM : その一方で。レイジの方を見ると、彼が席から立ち上がりかけているのを、スタッフが静止している姿が目に入る。ファン同士の争いを無視できない、といった様子だ。
GM : さて……ひと悶着あったが、ようやくキミの番だ。
紫吹レイジ : 「ごめん、そっちに行けなくて……怪我は?」
夢川めめ : 「う、ううん…!平気だよ、全然痛くない!怪我もないから……心配かけちゃってごめんなさい…!」
「ほら、きっとあのお姉さんも……長丁場だからきっと疲れちゃったんだと思うなぁ」
「……れぇじも、ながい時間ほんとうにお疲れ様!……疲れちゃったでしょ?大丈夫かな?」
紫吹レイジ : 「ううん、それでも……次の特典会の時、僕から注意するよ。スタッフも見てるし……もしエスカレートするようなら、出禁についても運営に相談する」
紫吹レイジ : 「……僕は全然大丈夫。疲れてなんていないよ……だって、君が居てくれるから」そう言って微笑む。
夢川めめ : 「そう?そうかな?……でも…」
「今日はれぇじも、ほかのメンバーの皆も、特に気合いが入ってたから、ゆっくりお休みして欲しいな…って。めめ、そう思うんだあ」
にへ、とふにゃふにゃの笑顔を見せて
夢川めめ : 「だからね。……ほんとうにお疲れ様、れぇじ!」
「……最後は握手!はやくお休みして、疲れをちゃんと取ってね!」
はい!と、自分より随分と背の高いレイジの為に、上に突き出すように手を差し出す
紫吹レイジ : 「……めめ。気遣ってくれてありがとう……でも、このまま帰すわけにはいかないよ」その手を取り、自分の元へと引き寄せる。
紫吹レイジ : キミが抵抗しないのであれば、キミはレイジの胸元に収まる。煙草の香りに混じる、バニラと白檀の香り。
紫吹レイジ : 「……僕にも、演者としてのプライドはあるんだ。だから……こうしても、いいかな」
夢川めめ : 「ひゃわ……!」
勿論、抵抗しない。いや抵抗できない。
あまりの事態に彼女の体は硬直し、耳まで真っ赤になってしまった。
夢川めめ : 「…………うん…」
力が抜けてしまったのか、それともわざとか。
ぽす。と胸元に頭が凭れる。
レイジには彼女の表情が見えないだろう。けれども、子鹿の様に震える体や、熱い耳たぶが全てを物語っていた。
GM : そんなめめの姿に、レイジが小さく微笑む気配。もう帰る時間である以上、気にする必要はないだろうが……それでも、ヘアセットを崩さないように頭を撫でる。
紫吹レイジ : 「めめはいい子だね……気が強いところもあるのは知ってるよ。でも、全部全部我慢できる……賢くて可愛い、僕の大事なパートナーだよ」
紫吹レイジ : 「……何度も言っているけど、無理はしないでね。君が居なくなるのは……嫌、だな」
夢川めめ : 「んへ、……えへへぇ…♡」
「わかった…めめ、れぇじのいうことならぜんぶ聞くから……ぜったい、無理しないから、約束したから……」
心のこわばりが全て溶けていく。
他のオタクも、寂しい懐も、満たされない人間関係も全て押し流されていく。
これなのだ。この時の為に、彼女は死力を尽くしてまでもTOであり続けんとするのだ。
GM : この間にも、チェキスタッフは写真を撮り続ける。キミ達は、アイドルとオタクだ……しかし、それ以上の『何か』があるのかもしれない。そんな気がした。
紫吹レイジ : 「……うん。約束だよ」そっと体を離し、また頭を撫でて微笑む。キミの表情を見て、レイジもまた安心したようだ。
夢川めめ : 「約束!」
「……ね、指切りしてくれる?」
最後に、ずっと小指を立てて
紫吹レイジ : 「もちろん」そのまま、レイジから小指を絡ませた。思っていた以上に長く、そしてしなやかな指。
夢川めめ : 「ゆびきりげんまん、嘘ついたら針千本…」
歌の節に合わせながら小さく上下する、やわらかく、小さくて折れてしまいそうな指。
そして、彼女は最後まで一緒に歌ってほしいらしい。
せがむように彼を見つめる。
紫吹レイジ : 「針千本飲ーます…」そんな様子にくすっと笑いながら、途中から歌に参加する。
夢川めめ : 「ふふっ、指切った!」
最後にぎゅ、と手を握ってからぱっと手を離す。
その顔はどこまでも満足そうだ
紫吹レイジ : 「指切った」すっ、と手を離して、レイジもまた笑う。
紫吹レイジ : 「……また、明日から頑張るよ。君に、もっといいステージを見せたいからね」
夢川めめ : 「めめ、ファンのみんなの為にがんばってくれてるれぇじのことだ〜〜いすき…!」
「ずっと、ずっとずっとずっと……!めめ、れぇじとアイオンのこと応援してるから!!」
夢川めめ : 「いつもありがとう…!」
「アイドルでいてくれて、ほんとうにありがとう…!!次のライブも、絶対くるから!」
紫吹レイジ : 「こちらこそ、いつもありがとう。僕を見つけて……応援してくれて」
紫吹レイジ : 「また来てね。……うん、そうだな」これを言うべきか……少しためらいを見せた後、口を開く。
紫吹レイジ : 「大好きだよ。次も、君を幸せにして見せるから」そう言って、目を細めて君に微笑みかけた。
夢川めめ : 「ふぇ………!!!」
夢川めめ : ……何故だろう。
自分の口から出る大好き、好きだよ、愛してる。
言葉は同じなはずなのに、彼から掛けられればここまでも……処理不可能な爆弾のように、心の奥底までずっしり来るのは。
夢川めめ : 彼女は赤くなったり青くなったりしていたが、最終的には真っ赤になると……ぶんぶんと手を振ってから、一目散。
ぴゅーっと会場から逃げるように、その場を後にするだろう。
GM : 背後で、レイジがふっと微笑む気配。スタッフが戸惑う様子を見せるが……キミを止められるものは、誰一人としていなかった。
 

市街地

GM : 鍵閉めを終え、帰宅路。君の手には大量のチェキと、その代わりにすっからかんとなってしまった財布があった。
GM : ……流石に電車賃こそ残っているが、普段と比較すると大分ヤバい額だ。
夢川めめ : 「歩いて帰るつもりだったけど、なんとか残ってくれてよかったあ」
「……でも、次のライブまでに軍資金補給しておかなきゃ…口座にどれくらい残ってたっけぇ」
歩きスマホをしつつ、ぽてぽて帰宅している
GM : スマホを見ると、君の勤務先──といっても、作戦等に参加する事はほとんどないかもしれない──UGNから通知が入っていたことに気づく。
GM : 普段、緊急の連絡は電話で来る。緊急性が低い内容なのだろうか。
夢川めめ : 「あ、こんな時間にめずらし〜」
「何かな、会議とかでもやるのかなあ」
ぴぴ、とメールを開く
GM : メールの内容は、普段目にする物と異なっている様子だ。……というか、大分異質である事に気付く。
GM : 表題は『アイドルオーディションのお知らせ』だ。
夢川めめ : 「……?」
「間違いメール……かな?」
とはいいつつ、興味はある様で……
迷いなくメールを開く
GM : 内容を読むと、どうやら間違いメールではないようだ。UGN芸能支部──FHによるアイドルグループ・ファムファタールに対抗する形で新設された支部らしい──にて、作戦の一環としてアイドルグループを結成する事になったらしい。
GM : 作戦の為の一時的な運用である事、枠としてはあと「1名」を募集している事……そして、UGNとしての報酬とは別に、チェキバック(※チェキを撮影した際、演者側に入る料金)も、破格の6割を担保するとの事が記載されていた。
GM : つまり、1500円のチェキを1枚撮れば、1瞬で900円……いや、枚数によってはさらに多くの額が手に入るという事がわかる。
夢川めめ : 「……は!?」
「UGNがアイドル募集?チェキバックの単価までこんなに…!?」
「…何のつもりかな?相場、わかってないのかな…?ていうかほんとなの…?」
というつつ、要項を確認する目とスクロールを続ける手は止まらない
GM : 恐らく、全て冗談ではない様子だ。メールの最後には、「募集フォームはこちら」という文言と共に、リンクが貼られていた。
夢川めめ : 「……でも、これが本当で、もし受かったなら……」
ごくり、と唾を飲み込む
夢川めめ : 大好きなれぇじに捧げるお金が容易く手に入ってしまう。
夢川めめ : 元々、顔と体には自信があった。それからそこそこの愛嬌。
夢川めめ : ……それに、あくまで「作戦の一環」なのだ。
夢川めめ : それに「一時的な運用」。
UGNとしても、恐らく急造の間に合わせ。それはこの募集要項が示している。
だから、きっと。
夢川めめ : 「めめが応募して、お金稼いでもいいんだよね?」
「……あはっ、それに…''ガチのアイドル''じゃないんだし。」
今の彼女には、応募フォームがそのままお金にしか見えていない。
夢川めめ : 夢川めめはアイドルとしての矜持も、またUGNエージェントとしての責任感もなく……ただただ軽い気持ちで。
応募フォームの必要事項を埋めていくのだった。
GM : 君はそのまま、応募フォームを送信する。
……数日後、君の元に「オーディションのお知らせ」という表題のメールが届いた。
GM : シーンエンド

シーン5 怪祟ヴィジテーション

GM : PC5は登場侵蝕をお願いします。
澱 カシル : 1d10+45 低燃費頼む!(1D10+45) > 7[7]+45 > 52
澱 カシル : 【キャラシート】

UGN芸能事務所

夜の雨が事務所の窓を叩く。
不快な湿気と下がりきらない気温が、這いずりよる夏を感じさせる、丑三つ時。
オーメン相良 : とあるオフィス内で作業する、一人の影。
オーメン相良 : 彼の名はオーメン相良。UGNプロダクションの社長であり、プロデューサー……さらには、UGNプロの裏の顔である「UGN芸能支部」の支部長である。
オーメン相良 : 彼は応募書類を見つめながら、今回の計画について思索を巡らせていた。
オーメン相良 : 今回のメンバーは4人で行く予定であった。計画として最低限の人数である。管理もしやすい、グループ内ユニットも作りやすいちょうどよい人数。
オーメン相良 : だが……しかし、彼は悩んでいた。「本当にこれで良いのか?」と。
何処かで遠雷が聞こえた、その時。
──部屋の電気が落ちる。
付けっぱなしだったモニターも沈黙している。停電だろうか。
こん。こんこんこん。
事務所の部屋をノックする音。
今日この時間のアポイントメントはない。
席を立ち、扉に近づくと、ひんやりとした空気を感じる。だが肌は粟立つばかりで、少しも心地よくはない。
オーメン相良 : 「……」顔にも態度にも、動揺は見えない……しかし、脳裏に浮かぶのは、陳腐な怪談話。
オーメン相良 : 馬鹿馬鹿しいとは思いながらも、空想を振り切れないまま……彼は静かに面に手をかけ、扉を開いた。

澱カシル

澱 カシル : 「こんにちは! ここでアイドルを募集していると聞きました!」
澱 カシル : 不吉な予兆にそぐわぬ、明るく高い声に呆気にとられる。
オーメン相良 : 「…………」
オーメン相良 : 「……君は…」
澱 カシル : 立っていたのは、あまり見かけたことのない学生服を身に纏った、白にピンクを織り交ぜた髪をした少女だった。
澱 カシル : 背は低め、手足は少し長い。
肉付きは胸も尻も薄いスレンダータイプ。
派手な見た目だが低俗さを感じさせない、どこか品のある佇まい。
小さくてどこか見覚えがある気がする顔。
澱 カシル : そして何より、眼だ。
流砂のごとく相手の視線を絡め取る。
目を逸したくない、ではなく。
目を背けられない、瞳。
澱 カシル : 受けた印象を一言にまとめるならば、
「浮いている」。
そんな少女が満面の笑みで立っていた。
澱 カシル : 「あたし、澱 カシル(おり カシル)っていいます! アイドルとしてデビューさせてもらえませんかっ!?」
オーメン相良 : オーメンはカシルの姿を見ながら、頭の中の『違和感』を整理する。見覚えがあるような外見を持った少女……いや、おかしい。
オーメン相良 : UGN所属ならばこんな意欲のある人材を見逃しているはずはない。
部外者?ならば何故募集のことを知っている?
オーメン相良 : だが──渡りに船、とはまさにこのこと。
オーメン相良 : 「オーディションは明日14:00。会場はここ。質問は?」
オーメン相良 : 彼もまた、正気ではなかったのだ。
澱 カシル : 「ありがとうございます! 質問はありませんっ!」
垂直に元気よくお辞儀をする
澱 カシル : 「オーディション、楽しみにしてますねっ! 失礼します!」
澱 カシル : 元気よく、そして足早に立ち去っていく。
澱 カシル : 違和感だらけの状況で、ひとつ。
明らかにおかしなことにオーメン相良は気づく。
澱 カシル : 彼女の立ち去った方向は行き止まりで、階段は無いということに……
GM : シーンエンド

PC紹介:オーディション

GM : 自己紹介パートに入ります。オーディションのように質問をしていきますので、回答をお願いします。
GM : では、PC1から。
GM : 『名前と年齢を教えてください』

天海こよみ

天海こよみ : 「え、えっと……」
天海こよみ : 「天海こよみです……。今年で、14歳です……」 緊張して少し震えた声で答える
GM : 『ありがとうございます。では、あなたの志望動機を教えてください』
天海こよみ : 「しぼうどうき……?って……?」
GM : 『どうしてアイドルになりたいと思ったか、という事です。では、言い方を変えましょう』
GM : 『あなたがアイドルに憧れるようになったのはいつからですか?』
天海こよみ : 「アイドルに……あこがれるようになったのは……」
天海こよみ : 「……物心がつく、前から……?」 自分でもちょっと不思議そうに言う
GM : 『そんなに幼い頃から?何か理由があるのですか?』
天海こよみ : 「……ぼくのパパ、アイドルやってた頃のママのことが好きだったから」
天海こよみ : 「うちではずっとママのアイドル時代のDVDとか、CDとか流してて……」
天海こよみ : 「ぼく、赤ちゃんだったころからずっとアイドルやってたママのこと、見てて……」
天海こよみ : 「だからそのえいきょうで、ママみたいなアイドルになりたいって……全然覚えても無いころから思ってた気がする……」
天海こよみ : 「かも……?ごめんなさい、変かな……」
GM : 『変じゃありませんよ。素敵なご家庭で育ったのですね』
GM : 『では、歌やダンスの経験なども?』
天海こよみ : 「歌やダンス……は、昔からママのまねしてたよ。誰かから教わったりはしなかったけど……」
天海こよみ : 「テレビの前でまねっこして踊ってたら、いつのまにか夜になってて……ママにもうねなさいって言われたりしてたな……」
天海こよみ : 歌とダンスが好きなのか、楽しかった思い出なのか、自然と笑みが零れてくる。
GM : 『良いですね。もし可能なら、この場で見せていただく事はできますか?』
天海こよみ : 「え……!?」
天海こよみ : 「そ、れは……その……。ダメ……かも……」
天海こよみ : 「は、はずかしいから……」 申し訳なさそうに目を逸らす
GM : 『わかりました。では、本番で見せていただける日を楽しみにしていますね』
GM : 『それでは、質問を変えて……こよみさんは、最近オーヴァードに覚醒したばかりでしたよね?』
GM : 『能力等はわかりましたか?』
天海こよみ : 「あ……う、うん。涙美ちゃんが色々教えてくれたり、練習に付き合ってくれたから」
天海こよみ : 「えっと……えっと……」
天海こよみ : やり方を思い出して頭の中で描きながら、近くに置いてある自分の鞄に手をかざす。
天海こよみ : イージーエフェクトの《テレキネシス》を使用。
天海こよみ : 床から溢れ出した海水が渦を巻いて鞄を持ち上げ、こよみの手元にまで移動させる。
天海こよみ : 「なんか、こういう……水をあやつれるみたい。シンドローム?っていうのは、オルクスと……キュマイラ?だって……」
GM : 『この短い期間でしっかり習得していますね。流石です』
天海こよみ : 「あ、えと、ありがとう……ございます……?」 照れたように鞄をぎゅっと抱きかかえる
GM : 『では、最後の質問です』
GM : 『あなたは、アイドルとして何を成し遂げたいですか?』
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「アイドルとして、何を……」
天海こよみ : 「……わからない……」 困ったように俯く
天海こよみ : 「まだお面さんに言われて、アイドルになろうってことになった……だけ、だから……」
天海こよみ : 「それに……何やってもダメダメなぼくが、何かをなしとげられるような気がしない……かも……」 何かを思い出しているのか、表情が暗くなっていく
GM : 『まだ、何もわかりませんよ。アイドルとして活動を続けるうちに見つけることができるかもしれません』
天海こよみ : 「……そう、かな。ほんとにそう思う……?」 俯きながら、上目遣いに見て
GM : 『そう思います。ですが、どうなるかはあなた次第ですよ』
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「うん……そう、だね……まだどうなるかわからないけど、がんばってみる……」
天海こよみ : 「ありがとう……」 まだ頼りのない、儚さのある微笑を浮かべてそう応える
天海こよみ : という感じの、よわよわ内気赤ちゃん女子中学生です!
天海こよみ : 母親が30年前に活躍してた国民的アイドルだから才能はめちゃくちゃあると思います!でもアイドル的な能力と引き換えにその他のことは何も出来ない感じの天才です!靴の紐も自分で結べません!
天海こよみ : まだおろおろしながらアイドルがんばろうってしてるけど、最終的に幼い頃に夢見た理想のアイドルになれるといいねって感じです。よろしくおねがいします!
天海こよみ : 【キャラシート】
 
GM : ……次に、PC2です。
GM : 『名前と年齢を教えてください』

虹之元ユメ

虹之元ユメ : 「は、はいっ!」背筋から糸をピンッと張ったように背筋を伸ばす
虹之元ユメ : 「な……夏橙涙美、です! 今年で19歳になります!」上ずった声で答えるが、ハキハキと威勢のいい声を出す
GM : 『元気が良いですね。今回の計画でスカウトされる以前から、アイドル志望だったと聞いています。理由を伺っても?』
虹之元ユメ : 「はいっ、アイドルは私の……私と、友達の夢だったんです」
虹之元ユメ : 「でも、UGNに入ってからは色々と機会に恵まれなくて……だから、この場に巡り合えたことには今でも現実とも思えなくて、ちょっと浮足立ってます」
虹之元ユメ : えへへ、と微かな笑みを浮かべながらそう答えてみせる
GM : 『現実なので、安心してくださいね』
GM : 『さて、では……自己PRなど、あなたの強みを教えてください。実際に披露していただいても構いませんよ』
虹之元ユメ : 「そうですね~……やっぱり……」
虹之元ユメ : 「これ、ですかね!」傍らのケースからギターを一本取り出してみせる
GM : 『オーヴァードとして活動している際にも使用しているギターですね。演奏を聴かせていただいても?』
虹之元ユメ : 「もちろんですっ! えーっと、それじゃあ……」
虹之元ユメ : ユメはイージーエフェクト《空の楽器》を使用します。
虹之元ユメ : 彼女がギターの弦に触れた途端、ギターの音色の他にこの場に存在しないドラムやベースなどの音色が混じり始めて即興のライブ会場を作り出し、一曲奏でてみせます!
虹之元ユメ : 「……っと、これ位のことは!」
GM : 『素晴らしいですね。様々な面で応用が効きそうな能力だと思います』
GM : 『オーヴァードとして戦う際も、この能力を使うんですよね?』
虹之元ユメ : 「そうですね。戦闘の際はここにソラリスの力を併用して、士気を底上げさせたりすることが出来ます! 元気が出る音楽、ってよく言われますね」
GM : 『良いですね。アイドルは時に、人に元気を与える職業だと言われます。親和性の高さを感じます』
GM : 『ところで……今回の活動は、本名で行う予定ですか?それとも、何か芸名など?』
虹之元ユメ : 「実は……考えてありますっ!」
GM : 『良いですね。教えてもらってもいいですか?』
虹之元ユメ : 「……"虹之元ユメ"」ポツリと、口元から零れたような声でその名を答える
虹之元ユメ : 「……アイドルになりたいって本格的に思った時に考えた芸名なんです」
虹之元ユメ : 「ほら、虹の根本にはお宝が眠っている……なんて言うじゃないですか。そんな希望になれたらな~……なんて!」
GM : 『素敵なお名前だと思います。ユメさんはアイドルとしてのポテンシャルに満ちた方ですね』
GM : 『それでは……最後の質問です。あなたは、アイドルとして何を成し遂げたいですか?』
虹之元ユメ : 「はいっ、私は……」 すうっと息を深く吸いこんで、吐き出す
虹之元ユメ : 「……夢と希望を与えられるアイドル、そしてこれから組むユニットが大成する未来!」
虹之元ユメ : 「その2つ! それが私の成し遂げたいこと、ですっ!」むんっ、と意気込みをみせる
虹之元ユメ : こんな感じの明るく元気なクール&パッション系アイドルです!基本はみんなと仲良くしたりお世話(?)するような立ち回りをすると思うよ!
虹之元ユメ : 泣いてるように見えるけど、いつも元気&元気だから気兼ねなく絡んで来てね!!!!
虹之元ユメ : 【キャラシート】
 
GM : PC3のオーディションです。
GM : 『まず初めに、名前と年齢を教えてください。』

琵琶坂藍依

琵琶坂 藍依 : 「琵琶坂藍依、17歳。高校三年生」
琵琶坂 藍依 : 「アイドル歴は中学二年から高校二年まで、ちょうど三年です」
琵琶坂 藍依 : 直前の二人とは打って変わり、手慣れた様子で冷静に答える。
GM : 『ありがとうございます。流石、慣れていますね。』
GM : 『……さて、まず確認をさせていただきたい事があります。答えても良い範囲で問題ありませんが……【Seventh Heaven】を脱退したきっかけは何であるか、教えてください』
琵琶坂 藍依 : 「……同じメンバーだった胡桃の自殺、その責任の所在が私にあるとされたからです」
GM : 『公にはそうであるとされていますよね。ただ、その報道は誤りであるという噂があるかと思います。真実について、お聞かせいただいても?』
琵琶坂 藍依 : 「…………すみません、故人のプライバシーに関わる話ですので」
GM : 『失礼いたしました。それでは、次の質問に移ります』
GM : 『自己PRをお願いします。歌やダンス等、何かありますか?』
琵琶坂 藍依 : 「自己RR、そうですね」小首を傾げて
琵琶坂 藍依 : 「────歌もダンスも、候補者の中では私が一番だと思いますよ」
琵琶坂 藍依 : 周囲を軽んじている訳ではないが、当然のように言う。
琵琶坂 藍依 : 「(地下アイドルで私に並ぶ実力があるのは、十条ミツキくらい)」
琵琶坂 藍依 : 「(……その彼女が現役引退した今、私を超える子はいない筈だ)」
GM : 『流石、元有名グループのメンバーですね。歌もダンスも、そして演技等もご経験されているかと思いますし……そうですね』
GM : 『では、「歌」のスキルを見せてください。曲のジャンルは問いません』
琵琶坂 藍依 : 「……ええ、勿論」
琵琶坂 藍依 : 「課題曲がないなら、持ち歌を歌わせてもらいますね」眼鏡を外して襟首に掛ける
琵琶坂 藍依 : 「(────プロデューサーは『気楽にオーディションに臨んでいい』って言っていたけど)」
琵琶坂 藍依 : 「(私には、できない)」目を閉じる
琵琶坂 藍依 : 「(他にも候補者がいる以上は『自分はスカウトされているから』って手を抜くのは失礼だって思うから)」
琵琶坂 藍依 : 「(だから、私はスカウトとは関係なく……)」大きく息を吸って
琵琶坂 藍依 : 「(全力の実力を見せつけて、勝つ……!!)」目を見開いて
琵琶坂 藍依 : 一歩だけ踏み出し、口を開く。
琵琶坂 藍依 : ……歌うのは『Love is Blind』。
琵琶坂 藍依 : かつて琵琶坂藍依がメジャーアイドルだった頃、代名詞代わりになったソロ曲。
琵琶坂 藍依 : 目の前から去った恋人への未練を捨てきれない。そんなありふれた失恋を描いた譚歌(バラード)。

琵琶坂藍依

琵琶坂 藍依 : 『────星も落ちた この夜に』
琵琶坂 藍依 : 『私は ただ独り 思い出す』
琵琶坂 藍依 : 『……二人の時間は 夢のようで』
琵琶坂 藍依 : 『冷めたら/醒めたら 消えてく』
琵琶坂 藍依 : ……狭いオーディション会場に歌声が響き渡る。
琵琶坂 藍依 : 自信に違わぬ、圧倒的歌唱力。
琵琶坂 藍依 : 今にも泣きだしそうな顔と声。歌詞の物語に没入させるような圧巻の感情表現。
琵琶坂 藍依 : それはまさに『星』のような引力を持っていた。
琵琶坂 藍依 : 候補者を客観視すべき人々の目と耳を惹き付け、その歌声はメロディーを介して"心"に共鳴する。
琵琶坂 藍依 : ……琵琶坂藍依は、かつて歌手も真っ青の『天界の歌姫』とまで評された逸材。
琵琶坂 藍依 : その実力は健在か。いや、むしろ引退前よりも切れ味を増していた。
琵琶坂 藍依 : 『……昨夜より広い部屋には 後悔だけ残って』
琵琶坂 藍依 : 『どこで間違ったかな もう影さえ見えないよ』
琵琶坂 藍依 : 審査員席の方へ右手を伸ばす。
琵琶坂 藍依 : 『抱きしめてほしい……』
琵琶坂 藍依 : その身振りひとつで、あたりの空気が一変する。
琵琶坂 藍依 : ────瞬きの間に、オーディション会場がライブ会場に変わったような錯覚。
琵琶坂 藍依 : 勿論、オーヴァードの能力を使った訳ではない。
琵琶坂 藍依 : エンジェルハィロゥであればライブ会場の投影は可能だろうが、そうではない。
琵琶坂 藍依 : これは単に琵琶坂藍依がアイドルとして持つ力。
琵琶坂 藍依 : ……そう、アイドルが立つ場所ならどこであれライブステージになりうるのだ。
琵琶坂 藍依 : 『Love is Blind……ねえ、応えて……』
琵琶坂 藍依 : そうして一番を終えた途端、ふっと息を漏らして眼鏡を付け直す。
琵琶坂 藍依 : 「────ご清聴ありがとうございました」
GM : 審査員席から拍手が起こる。
GM : 『ありがとうございます。『Love is Blind』……前グループの曲ですね』
GM : 『流石の歌唱力と表現力ですね。地下アイドル、いえ、日本のアイドルの中でもトップクラスの実力の持ち主であると理解しました』
琵琶坂 藍依 : 「ありがとうございます」
GM : 『ただ、今回の任務では、アイドルとしての活動のみではなく……天海こよみという新人オーヴァードの護衛もお願いしたいと考えています』
GM : 『そこで、あなたのオーヴァードとしての能力を教えてください』
琵琶坂 藍依 : 「光の吸収と放出。あと映像の投射なんかも一応」パチンと指を鳴らし
琵琶坂 藍依 : 「……こんなカンジで」その指先から花火のように蒼い光の花を咲かせ
GM : 『光を操る事を得意としているのですね。実際の戦闘経験は?』
琵琶坂 藍依 : 「戦闘経験はありません、UGNで護身の為の射撃訓練を受けた程度です」
GM : 『わかりました。恐らく、今回の任務では戦闘を経験する事となります。心の準備をしておいてくださいね』
琵琶坂 藍依 : 「……はい」
琵琶坂 藍依 : 「(……人を殺す覚悟、じゃないよね)」ぎゅっと胸のあたりを握り締め
GM : 『では、最後に……あなたが、アイドルとして成し遂げたい事は何ですか?』
琵琶坂 藍依 : 「私の夢は、」
琵琶坂 藍依 : 「いえ、私の『目標』は……」
琵琶坂 藍依 : そうだ、『夢』なんて言葉じゃあ軽すぎる。
琵琶坂 藍依 : それは、私が絶対に達成しなければならない『目標』なのだ。
琵琶坂 藍依 : 「────武道館ライブができるようなトップアイドルになる事」
琵琶坂 藍依 : UGNプロダクションという始動したての弱小アイドル事務所では、
琵琶坂 藍依 : とてもじゃないが叶えられないだろう、現実離れした大きな目標。
琵琶坂 藍依 : ……しかし、ハッキリと淀みなく口にする。しなくてはならない。
琵琶坂 藍依 : その双眸には、昏い決意の光を秘めていた。
琵琶坂 藍依 : というカンジの、元人気メジャーアイドルです!
琵琶坂 藍依 : 世間には「ユニットのメンバーを自殺に追いこんだ事で引退処分を受けた悪女」として知られてるけど、
琵琶坂 藍依 : 実際はマジメで責任感が強い性格の良い子です!!
琵琶坂 藍依 : 地上アイドルしていたので、アイドルとしての実力とプロ意識はピカイチですが、
琵琶坂 藍依 : 反面、アイドルが好きとかそういう気持ちはなく、
琵琶坂 藍依 : 自殺したメンバーに「トップアイドルになって」と言われたのでそうしてるだけ!ほぼ義務アイドル!!
琵琶坂 藍依 : シナリオを通して、プラスの方向に熱意とか得られるといいなってカンジですの!
琵琶坂 藍依 : よろしくおねがいします!!
琵琶坂 藍依 : 【キャラシート】
 
GM : PC4のオーディションです。
GM : 『では、名前と年齢を教えてください』

夢川めめ

夢川めめ : 「はあい♡」
「……めめはぁ、夢川めめって言います♡」
「歳は19歳でぇす♡」
甘い声で、微笑みを浮かべながら
GM : 『ありがとうございます。では……いえ、失礼ですが、面接前に一つ質問をさせていただいても?』
GM : 『UGNのデータベース上では、20歳として登録されているはずですが……本当の年齢を教えてください』
夢川めめ : 「………」
髪の毛をくるくる弄んで
夢川めめ : 「……アイドルってぇ、もっと早いデビューの子が多いって聞いてるんですけどぉ…」
「めめみたいに''19歳''の女の子でも大丈夫ですかあ?」
「まあ、ホントにめめ19歳ですケド……」
きゅるきゅるの目で審査員を見つめて
GM : 『………………』
GM : 『……公には19歳、という事でプロデュースしていきましょう』
夢川めめ : 「ありがとぉございまぁす♡」
きゃはっ、と無邪気な笑顔で
GM : 『それでは、改めて……今回の志望動機について、教えていただいても良いでしょうか』
夢川めめ : 「んーと、志望動機……」
「えっとぉ、とーっても個人的なオハナシになっちゃうんですけどぉ……」
夢川めめ : 「めめのコト、【世界一かわいい】…って言ってくれるヒトが居るんです♡」
きゃ、言っちゃった!とほっぺを両手で押え
「それに、お姫様だとか…うふ、そのヒトはそおやって評価してくれてぇ……」
夢川めめ : 「…………だから、めめはそれを証明しないといけないんです」
「めめを評価してくれるヒトのこと、ウソツキになんてさせられないから」
俯きがちで見えづらいが、どろりとした色の目で
GM : 『なるほど……なるほど?わかりました……』
GM : 『それでは、えぇと……アイドルの経験はないかと思いますが……これまでの人生で、アイドルを応援した事などはありますか?』
夢川めめ : 「アイドル……んー、めめ女の子アイドルにはそんなに詳しくなくってえ…」
「あ、でも今日のために色々調べてはきました♡」
「ドクアオちゃんとか、あみらむちゃんとかぁ、セブヘブ?ちゃんとか!」
GM : 『そうなんですね、気合が入っていますね。気になったグループなどはありましたか?』
夢川めめ : 「えっとぉ……もちろんみ〜〜〜んな可愛かったんですけどっ!中でもドクアオちゃんとセブヘブちゃんがどっちも好きで〜♡」
「特にミツキちゃんと……琵琶坂藍依ちゃん。」
夢川めめ : 「ふふ…♡」
「……めめ、どっちって言うとぉ、カワイイ女の子だからあ、あーいうカッコイイ女の子には憧れちゃうなーって♡」
GM : 『確かに、今名前の挙がった2人はどちらも女性人気の高いアイドルですね。わかりました、ありがとうございます』
GM : 『では、次に……自己PRをお願いします。歌やダンス、特技などあれば、ここで披露してください』
夢川めめ : 「…実はね、めめ……今までアイドルちゃんらしーことなんてサッパリやって来なかったんですよう」
「それこそコンカフェで働いたり、メイドカフェで働いたりはしているけど……歌も踊りも、芸能関係なんてそれこそさっぱり」
セリフとは裏腹に、にこ、と椅子の上で微笑んで
夢川めめ : 「だけどめめ、審査員の皆さんのために、頑張ってパフォーマンスしますね♡」
立ち上がり、瞼を閉じる。
事前に提出された履歴書によれば、自己PRではドクアオ……十条ミツキのセンター曲を披露する予定、との記述があったが。

夢川めめ

夢川めめ : 『「──……夢なんてきっと醒めてしまうから キミがいる 明日を共に生きたい」』
夢川めめ : 甘ったるさの消えた声でそう呟く。
そして再び瞼を上げる。
──…たったそれだけの動作だというのに、彼女はもう、「別人」になっていた。
夢川めめ : 歩幅から姿勢、立ち姿まで、先程までの夢川めめとはまるで違う。
……その場の空気が、彼女によって明らかに変えられた。
夢川めめ : 彼女は自信満々に踊り、歌ってみせる。
夢川めめ : しかしながら、はっきり言って……夢川めめの披露したそれは。
たとえば琵琶坂藍依に比べると、アイドルのそれではなかった。
夢川めめ : 例えるなら平々凡々、普通、十人並。
目を覆いたくなるほど下手でも無ければ、目を見張るほどの輝きもまだない。
夢川めめ : 一指の先、ステップを踏む足取りの軽やかさ、どれを取ろうと偶像とは程遠い。
夢川めめ : ……けれども。
夢川めめ : その顔は。
夢川めめ : 地上アイドル……そして一流の地下アイドルより、己の魅せ方を知っているその表情は。
夢川めめ : 「十条ミツキがここに居る」、と。
彼女をその身に降ろしたかと見まごうほど、完全に再現されていた。
GM : 審査員は、それぞれ難しい顔をしたり、その逆に、彼女の『演技』力を称賛するように頷く。
GM : 『ありがとうございます。十条ミツキの持つカリスマ性や空気感の再現度が素晴らしいですね……こちらの技術はどこで?』
夢川めめ : 「えへ♡」
「めめ、褒められて伸びる子だから嬉しい〜♡」
すっ、と瞬き1つで元の表情に戻って
夢川めめ : 「技術……んふふ、そお言われると難しいな〜?」
「……強いていうなら、めめがめめとして生きるために、勝手に身についてたモノ…かなあ」
「めめ、色んな場所で色んな顔を必要とされてきたんだもん」
夢川めめ : 「……だからぁ」
「やれって言われたら、めめは誰にでもなれるよ」
「動画、写真、インタビュー記事……ゲラ1枚でもいいから、渡してもらえれば完璧に''成れる''の♡琵琶坂藍依ちゃんにも、あみらむちゃんにも、くるみんにも誰にでもね〜」
夢川めめ : 「だから……これがめめの自己アピール♡」
「ね、面白いでしょ?」
「中々こんな子居ないよ〜〜?」
「審査員サン達の色に好きに染められるオンナノコ、採用しない手はないと思うな〜?」
上目遣いで
GM : 『仰る通り、面白い能力だと思います。この事については、きちんと検討材料とさせていただきますね』
GM : 『では次に、オーヴァードとしての能力を教えてください。事前資料によると、今回の「模倣」の力とは、だいぶ系統が異なるようですが……』
夢川めめ : 「めめは元気になるお水を出したり〜、模倣するコトで情報を引き出したり……」
「諜報に向いてるんじゃないカナ〜って思ってまぁす♡」
最大級のあの能力については自分から触れないままで
GM : 『………………』
GM : 『……わかりました。では、最後に』
GM : 『あなたは、アイドルとして何を成し遂げたいですか?』
夢川めめ : 「それはね、ちゃ〜んと考えてきましたっ!」
夢川めめ : 「世界一ステキでぇ、おっきなめめの夢はね……?」
クスクス、と笑いながら
夢川めめ : 「めめが世界一かわいいってこと、世界中の皆に知らしめてやるんです♡」
夢川めめ : 「………それでぇ、その中でファンとか、めめのことを見てくれるヒトにもその旅路に着いてきてもらうの♡」
「ぜ〜〜ったいに目を逸らせない、振り落とされることも叶わない、……地の果ての、地獄の底まで」
夢川めめ : 「最終的に、世界中をめめ色に染めるのがめめの夢で〜す♡」
きゃぴっと
夢川めめ : ──……彼女は、先程までの''模倣''とはかけ離れた無邪気な笑顔でそう言った。
夢川めめ : 夢川めめは何者にも【染むる】。
夢川めめ : 彼女は何者でもなく、また何色でもない。
夢川めめ : 悪く言えばがらんどう。
そして、よく言えば……『空色』。
夢川めめ : 夢川めめの色が見つかる日は、果たして。
夢川めめ : ……という感じで、享楽的!本能的!獣が棲む!
現代の闇をじっくりコトコト煮込んでお出しした女!
夢川めめです!
夢川めめ : 流石に言わなかったけど目的は金稼ぎ!アイドルとしての教示はどこへやら!
夢川めめ : 既に多種多様な地雷を各地に仕掛けている感がMAXですが、果たしてどうなっちゃうんでしょうか
誰か助けてください
ゆるして(先制謝罪)
夢川めめ : めめが真にアイドルになるまでの軌跡を丁寧に書けたらいいならと思います!皆さんよろしくお願いします!!😑🙏
夢川めめ : 【キャラシート】
 
GM : PC5のオーディションです。
GM : 『名前と年齢を教えてください』

澱カシル

澱 カシル : 「澱 カシル(おり カシル)です! 年齢は………乙女の秘密です!」
GM : 『年齢は秘密……わかりました。えぇと……』
GM : 『……根本的な質問となるのですが、所属組織はどちらでしょうか?そもそも、どこから来ましたか……?』
澱 カシル : 「ん〜………特に言うことはないです! 普通の子ですよ、あたし。」
「所属とかもない、かな。でもアイドルとして採用されたらちゃんとUGNに協力しますっ!」
GM : 『……………』
GM : 『……では、志望動機について教えてください。昨日、突然事務所にやってきたと伺っていますが……』
澱 カシル : 「あたしの憧れだった人が、アイドルやめちゃったから、かな。」
「色々あったんだけど……あたし、納得がいかなくって!」
「代わりにあたしがアイドルになってみようかな、って思ったんです!」
澱 カシル : やや詰め寄るように、宣言する
GM : 『そ……そうですか。ちなみに、その「憧れのアイドル」について教えていただく事は?』
澱 カシル : 「Seventh Heavenの久能胡桃さんです!」
GM : ざわ、と審査員席に動揺が走る。
GM : 『……わかりました、ありがとうございます』
GM : 『では、次に……自己PRなどはありますか?』
澱 カシル : 「えっと、歌もダンスもまだ練習中で…… あんまり上手くはないかもしれないです! でも、諦めの悪さは誰にも負けませんっ!」
GM : 『なるほど。説得力がありますね……』
GM : 『それでは、少し系統が変わりますが。オーヴァードとしての能力について教えてください』
澱 カシル : 「………。ソラリスの力で、人をちょっとドキドキさせたり、立ち止まらせたり、ぼんやりさせたりできます!」

澱カシル

澱 カシル : 「(もちろん、嘘です。わたくしの本当のシンドロームはウロボロス……この身に満ちる呪いを浴びれば、動悸や金縛りが起き……多く浴びれば肉体か精神が死に至るでしょう……。)」
GM : 『……なるほど。戦闘でも転用しようがある……かも、しれませんね……』
GM : 『では、最後の質問です』
GM : 『アイドルとして成し遂げたい事はありますか?』
澱 カシル : 「(嘘をつくのは心苦しいですが、本当のコトはあまり言えません……)」
「(わたくしの正体がFHが呪物を凝縮させて生み出したレネゲイドビーイング、呪いの化身であるなどとは。決して言えるはずもなく……)」
澱 カシル : 「(ですが)」
「(この想い、この願いだけはわたくしの嘘偽りない本望。)」
澱 カシル : 「あたし、証明したいんです!」
澱 カシル : 「誰だって、あたしだってアイドルになれる。」
「強い想いがあれば、みんな輝くことができる。誰かの"好き"になれるんだって!」
澱 カシル : FHによる特級呪物の闇鍋実験から生まれた、呪厄のRBです!
かつてはUGN、FH、ゼノス等など全方面を荒らしまくって、"呪い人形"のコードネームで忌み嫌われてました!
澱 カシル : でもアイドル:Seventh Heavenのライヴをたまたま目撃したことで、明確な自我と善性に憧れる心を得ました!
澱 カシル : 当初はアイドルにこだわってはいませんでしたが、久能胡桃(Seventh Heaven所属アイドル)がアイドルを否定したため、
自分のアイデンティティを守るためにアイドルになって見せつけてやろうと決意しました!
澱 カシル : アイドルとしての才能はごく普通です。気力と努力と呪力でカバーだ。
澱 カシル : オーヴァードとしては強い……というより危険な存在です。
彼女の身体に満ちた呪いを無制限で浴びたなら、肉体と精神に甚大かつ不可視の損傷を負い、死に至るでしょう。
ただ、現在の本人は人間として生きると決めているので、争いごとも力の行使も最低限で済ませたい様子。
呪いが時々漏れだしているのはご愛嬌。
澱 カシル : 以上です!
澱 カシル : 【キャラシート】
 
GM : ……本日のオーディションは以上となります。審査結果については、追ってご連絡いたします。
GM : ありがとうございました。

シーン6 『光』に手を伸ばして

GM : 登場PCは全員、集合シーンとなります。登場侵蝕をお願いします。
天海こよみ : 1d10+35(1D10+35) > 2[2]+35 > 37
虹之元ユメ : 1d10+41(1D10+41) > 2[2]+41 > 43
琵琶坂 藍依 : 1D10+42(1D10+42) > 10[10]+42 > 52
夢川めめ : 1d10+51(1D10+51) > 9[9]+51 > 60
澱 カシル : 1d10+52 出目ひっく!!!(1D10+52) > 7[7]+52 > 59

スタジオ

GM : オーディションより3日後。
GM : とある休日の昼過ぎ。キミたちは、住宅街の中にある小洒落たスタジオに集められた。
GM : 地下鉄の駅から徒歩10分ほどの距離の位置にあり、アクセスは良好。
GM : 3階建てのやや大きな建物であり、防音設備とダンスミラーが備えられたレッスン場、撮影時に便利そうな真っ白な部屋、ぬいぐるみやコスプレ衣装が押し込められた物置き部屋、プール付きの広々とした屋上まで揃っている。
GM : キッチンやシャワールーム、寝室があったりなど、泊まり込みで作業をする事も出来そうだ。
琵琶坂 藍依 : 「────来た事ない場所だったから、念の為に早めに来てみたけど、思ったより分かりやすいところにあったな」ドアを開けてスタジオに入る
琵琶坂 藍依 : 入口付近から広めのスタジオ内を見回して
琵琶坂 藍依 : 「うん、流石に元いた事務所ほどじゃないけど、立地も設備もイイカンジ」そう呟く
琵琶坂 藍依 : 「……けど、私が一番乗りか」
琵琶坂 藍依 : 「どこで待機していればいいんだろう」小さく首を傾げる
GM : キミがそうしていると、別室からがちゃりと別の人物が入ってくる。
GM : キミは、その顔を見た事がある。……ちょうど、キミと同時期くらいに活動していた地下アイドル。
GM : 元TOXiC blueの空色担当・十条ミツキだ。
琵琶坂 藍依 : 「なっ……!! 十条、ミツキ……!?」
十条ミツキ : 「琵琶坂藍依さん、だね。……って、確認しなくても分かるけど」
十条ミツキ : 「初めまして。今回、このプロジェクトに関わらせていただく十条ミツキです……まさか、アタシの事を知ってくれてるとは思ってなかったな」やや苦笑気味に
琵琶坂 藍依 : 「…………知ってるよ、知ってるに決まってる」
琵琶坂 藍依 : 「当時、業界でもドクアオの名前は有名だったし」
琵琶坂 藍依 : 「(なにより私は、ライバルだと思っていたから)」
琵琶坂 藍依 : 「…………でも、まだこの業界に残っていたなんて」
十条ミツキ : 「はは……嬉しい、って言っていいのかな。アタシこそ、キミにはずっと憧れてたから……今回のプロジェクトの名簿に名前があったのには、少しびっくりしちゃった」
十条ミツキ : 「オーヴァードに覚醒してからは、この支部の事務員として働かせてもらっているんだ」
十条ミツキ : 「……と、そうだ。他のメンバー達もこれから来るから……好きなところに座っていてくれていいよ。飲み物も冷蔵庫に冷やしているから、好きな物を持って行ってね」
琵琶坂 藍依 : 「…………ああ、うん」
琵琶坂 藍依 : 「(不思議な感覚だな、あの十条ミツキとこんな形で会う事になるなんて)」
琵琶坂 藍依 : 「(……お互い、炎上する前に別の形で会いたかったものだけど)」
琵琶坂 藍依 : 十条ミツキとの思わぬ遭遇で上の空だったのか、飲み物は取らないまま席に着く。
十条ミツキ : 「……?」好みの飲み物がなかったのかな…と首を傾げつつ、麦茶を注いだグラスを藍依の側に置く。
琵琶坂 藍依 : 「……あっ、ありがと」ボーッとしていたようで、目の前に置かれたグラスの氷がカランと鳴った音で気が付く
琵琶坂 藍依 : 「えっ、と……、他のメンバー達もこれから来る、って言ってたけど、そういえば私達って合計何人のグループになるの?」
十条ミツキ : 「あ、そういえばその事は通知してなかったね。直前までメンバーの構成悩んでて…最終的にはキミを含めて5人になったよ」
琵琶坂 藍依 : 「5人か……」
琵琶坂 藍依 : 「UGNにそれだけアイドル志望のオーヴァードがいるのは意外かも、戦闘ばかりしているイメージだったから」
十条ミツキ : 「はは、そんな戦闘民族みたいな……そういう子、結構いるんだよ?何なら、現役アイドルの中にもUGNでガッツリ働いてる子もいるし…」
琵琶坂 藍依 : 「へえ……、アイドル業だけでもプライベートの時間がなくなるくらいなのに、よくエージェント活動と両立できるな……」素直に感心して
琵琶坂 藍依 : 「…………」渡されたグラスを両手で持ち、その中に注がれた麦茶に目を落とす
琵琶坂 藍依 : 他に何か聞きたい事があるが聞き辛い、そんな表情を浮かべる。
十条ミツキ : 「……何か、不安でも?」首を傾げて
琵琶坂 藍依 : 「いや、不安は特に」
琵琶坂 藍依 : 「(……ないといったら噓になるけど、そうじゃない)」
琵琶坂 藍依 : 「…………それよりミツキ、ひとつ訊いてもいいかな」
十条ミツキ : 「……うん。どうしたの?」…少々、表情を硬くする。何となく、質問内容を察しているのだろう。
琵琶坂 藍依 : 「1年前からずっと、気掛かりだった事があるんだ」
琵琶坂 藍依 : 「答えづらいのなら答えなくてもいい」
琵琶坂 藍依 : 「けれど、かつて同業だった人間として、これから一緒に仕事をする仲間として、聞いておきたい」
琵琶坂 藍依 : 「ミツキの引退の原因になった、あの報道って本当────────」

虹之元ユメ

虹之元ユメ : 「わあっ、こよみちゃん見てください! すっごく綺麗なスタジオですよっ!」 玄関から張りのある声が響く。どうやらメンバーの1人が到着したようだ。
天海こよみ : 「ほ、ほんとだね……」 ぼそぼそとした小さい声も僅かに聞こえる
十条ミツキ : 「ぁ…わ、わ、どうしよう、来ちゃった…ごめん、その話は後でもいい……!?」藍依に向かって手を合わせる。一応話す気はあるようだ。
琵琶坂 藍依 : 「ああ、うん。大丈夫だから」
琵琶坂 藍依 : 「(……むしろ、ごめんって言うのはデリカシーがない私の方だけど)」
十条ミツキ : 「ありがとう…!」気にしていない様子で席を立ち、リビングのドアを開けて2人を迎え入れる
虹之元ユメ : 「こんにちは、ミツキさん!」朗らかに笑みを浮かべながら挨拶をしてリビングに入ってくる
天海こよみ : 「ミツキちゃん……!」 ユメと手を繋ぎながら、少し嬉しそうに名前を呼ぶ
十条ミツキ : 「こんにちは。2人とも、合格おめでとう!……って、2人はもう決まってたようなものだったけど」朗らかに笑いながら返す。
天海こよみ : 「あ、ありがとう……?」
虹之元ユメ : 「あはは、少しズルかもでしたけど、ありがとうございます! 人一倍頑張らなきゃですねっ!」
琵琶坂 藍依 : 「────合格おめでとうって事は、この2人が?」ミツキちゃんに尋ねる
十条ミツキ : 「そう。3人とも、同じグループのメンバーだよ」一歩引いて、お互いを対面させる。
天海こよみ : 「こ……こんにち、は……」 少し俯いて目を合わせず、小声で
虹之元ユメ : 「よろしくお願いします! 夏橙涙美……改め、虹之元ユメですっ! ………?」 軽く会釈をしてから藍依の顔を見て、目を丸くしている。
琵琶坂 藍依 : 「うん、はじめまして」
琵琶坂 藍依 : 「私は琵琶坂藍依。これからは『iRiS』って名義で活動すると思うけど、好きなように呼んでね」
虹之元ユメ : 「や、やっぱり琵琶坂藍依ちゃんですよね……! わあ、初めて間近で見たけどすごくかっこいい……!」Seventh Heavenのことを知っているのか、潤んだ瞳が羨望に輝いている
天海こよみ : 「……?」 そういえば昔聞いたことがある気がする、とチラッと顔を見てる
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、ありがとう」そういう反応は久しぶりだな、と微笑んで
虹之元ユメ : 「ふ、不束者ですがよりょしくお願いしま……!」 緊張しておかしなことになっている
琵琶坂 藍依 : 「私達は同じグループのメンバー、つまりは対等なんだから緊張しなくて大丈夫だよ」落ちついて、と笑う
虹之元ユメ : 「は、はいっ! なんだか頼もしい、です……!」軽く息を整えてニコリと微笑む
天海こよみ : 「……もうアイドルの人……?が、同じグループなんだ……」
十条ミツキ : 「あれ、こよみは知らないの?ちょっと意外かも」
天海こよみ : 「なんか、見たこととか聞いたことはある気がするんだけど……」
天海こよみ : 「ここ何年かは、ミツキちゃんしか見てなかったから……」
琵琶坂 藍依 : 「なるほど、ミツキのファンなんだ?」
十条ミツキ : 「あ、はは……いや、それにしたってアタシの事しか見てなさすぎるよ……」
十条ミツキ : 「……藍依は地上アイドルだったんだよ。本当にすごいんだから」
天海こよみ : 「そうだったんだ……」 だから名前に聞き覚えがあったのか、と納得する
琵琶坂 藍依 : 「…………そんなにすごくなんてないよ」目を伏せて
琵琶坂 藍依 : 「(たった一人の親友の苦悩さえ、気付けなかった私がすごいハズない)」
天海こよみ : 「……?」
琵琶坂 藍依 : 「……ううん、とにかく私は"訳アリの元アイドル"って覚えてもらえれば合ってると思うよ」
天海こよみ : 「訳……アリ……?」 炎上騒動のことを知らないので小首を傾げてる
虹之元ユメ : 「色々ありましたけど、私はまたアイドルの藍依ちゃんが見られると思うと嬉しいです!」炎上の事は知っているが、特に言及はしない
十条ミツキ : 「……ん、と…そろそろ14時か…中々揃わないなぁ」この業界じゃ良くある事だけど、と時計を見上げながら呟く。
琵琶坂 藍依 : 「残りのメンバーは2人、だっけ」
十条ミツキ : 「そうなんだけど、片方の子はともかくもう1人の子がちょっと…うーん」
天海こよみ : 「……まだいるんだ……」 少し緊張して
虹之元ユメ : 「5人のメンバーなんですね、どんな子が来るんでしょう……」
夢川めめ : 皆が丁度残りのメンバーに言及した瞬間、事務所の扉が勢いよく開く。
夢川めめ : 「いっけな〜〜い!遅刻遅刻〜☆」
「バイトが長引いちゃってぇ、ほんといやん……きゃーっ!!きゃー!!!」
ドタバタと事務所に上がり込むやいなや、黄色い悲鳴が飛び出す。
片手は口元、そしてもう片方の手はミツキとアイを交互に指さしている
十条ミツキ : 「……っ!?」驚くあまり声が出ないまま、自分を指差す
琵琶坂 藍依 : 「……なんだか差されてるね私達」反面、冷静に
天海こよみ : 「っ!?」 突然の大声に驚いて硬直してる
虹之元ユメ : 「ハツラツとした方……! こんにちはっ!!」
夢川めめ : 「やっっっっ……ば!なんでみつきちとびわち居るの〜!!?」
「え、やばいやばいやばい!!めめ、アイドルを知る為に2人で勉強させてもらってえ、だからいっぱい見てて〜〜…!!握手握手!ねえねえめめと握手しよ〜!?!」
とりあえず目の前の出来事を順々に脳で処理しているらしい。
まずはミツキとアイ2人に近寄って、ずい!と手を差し出す
十条ミツキ : 「な…え、えぇ〜〜……コミュ力すごいね、アタシ達と全然タイプ違うと思うんだけど……」驚く反面、素直に感心した様子で手を握り返す
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、こういう子は私の周りにもいなかったから新鮮かも」同じように手を握り返す
夢川めめ : 「や…っっっっ!!!」
「ありがと〜!!めっちゃ好き!!!!♡」
そのまま握手に移行すると思いきや、握られた手をぐいっと引き……
むぎゅし!!!と2人の肩をいっぺんにハグします!
十条ミツキ : 「わぁっ!?」警戒心が解かれていたので簡単にハグされる
琵琶坂 藍依 : 「……初対面で抱きつかれたの初めて」ハグされ
夢川めめ : 「ん〜〜………♡」
「よし、元気チャージできた〜!」
へらへらと笑ってから離れ
夢川めめ : 「……てかきゃわいい子も居るし〜!!めっちゃみてるよ!こにちわ!!」
こよゆめへレイジがやっていた自分の両目に指さし、相手に向けるジェスチャーをして
夢川めめ : 「この子達ももうアイドルなの??めめ、アイドルの巣に放り込まれちゃった…?」
絵にするなら「🥺」という表情をして。
ハグに移行せんと2人にじりじり近寄っている
天海こよみ : 「……っ、ひっ……」 じりじりと近寄られて、涙美の後ろに隠れる
虹之元ユメ : 「わ、わあ……! パッションに溢れた人……!」
虹之元ユメ : 「こよみちゃんには刺激が強いですかね……?」ひっそりとこよみちゃんを労う
天海こよみ : 「あ、あの……えっと……」 小さく震えてる
夢川めめ : 「ね、げんき〜?めめはね、夢川めめっていうんだ〜♡」
「こよこよちゃんってゆうの?とりま握手しとく?」
顔を覗き込んでから、ニコッと笑ってすっと手を差し出す
天海こよみ : 「こ、こよこよ……?」
天海こよみ : 「……え、えと……。う……うん……」 差し出された手……の、指の先を警戒した様子でちょんと触れる
夢川めめ : 「え、きゃわじゃん……!あは、指たっちだね〜!」
「はい、これでなかよし〜♡」
指先どうしぺちぺち何度か合わせて
天海こよみ : 「な、なかよし……?なのかな……」 何度かぺちぺち合わされた後、手を引っ込める
夢川めめ : 「……で!こんちわちゃんはなんてお名前?」
「めめはめめだけど……ぎゅってしとく?」
くるん!とユメちを向いて
虹之元ユメ : 「はいっ、虹之元ユメです。よろしくお願いしますね、めめちゃん! その髪色も素敵です!」 腕を広げてハグの準備は万端らしい
夢川めめ : 「え、わかる!?!分かり手!?えへ、えへへ…!うれし〜♡」
「ゆめちのメッシュもさいこ〜!ぎゅ〜〜♡♡」
嬉しそうににっっっこにこしながらむぎゅー!と抱きつきます!本当に嬉しそうだ
虹之元ユメ : 「あ、ありがとうございます! このメッシュ、お気に入りなんです……」優しく抱きしめて、軽く背中をぽんぽんと叩きます
天海こよみ : 「……ああいうのって、普通……?なの……?」
慌ててユメから離れ、ミツキの傍に寄って服の裾を握る。
悪い人や怖い人ではないとは思ってるが、困惑した目でめめを見ている。
琵琶坂 藍依 : 「少なくとも私の知る普通ではないかな」あっけにとられて
琵琶坂 藍依 : 「(あの報道があった以上、同じグループのメンバーでも、私に悪意を持って接してくる覚悟をしてきたから、こうして友好的に関わってくれるのは嬉しい誤算ではあるけど)」
十条ミツキ : 「そうだね…いや、でもきっと悪い子じゃないよ…」よしよし、と背中をポンポンしながら苦笑いしている
天海こよみ : 「うん……」
夢川めめ : 「えへえへ……」
「あれ……てゆーかぁ、これで全員?」
「めめのセンサーに狂いはないはずなんだけど〜…むむむ」
ハグしたまま、ゆめちの肩越しにミツキちゃんに聞いてみます
十条ミツキ : 「どんな勘の良さしてるの……ううん、あともう一人いるはずなんだけど……」
澱 カシル : 「 ここにいますよ 」
めめの背後から、耳元に囁く声。
澱 カシル : ワープでも、高速移動でもなく。
ただ、"いた"。
澱 カシル : ようやく全員が彼女の存在を認識する。
夢川めめ : 「……!ぴゃん!!!お耳が…!」
はわわ…!とゆめちを鯖折りせん勢いで思わず抱きしめ
澱 カシル : 「あっ、ごめんなさいっ! びっくりさせちゃいましたか?」
天海こよみ : 「っ!?」 反射的にミツキに抱き着く
虹之元ユメ : 「ふぎゃっ……! ご、5人目の方……ですか……っ!!」 色々な要因でミチミチと音を立てている
澱 カシル : 「はいっ! 澱 カシル(おり カシル)です! 皆さん、よろしくお願いしますね!」
勢いよくお辞儀する。
琵琶坂 藍依 : 「────────」その言葉が耳に入っていないのか、両目を見開いて、あたかも"幽霊"でも見たように硬直している
夢川めめ : 「え、やだこわい…!!めめ見えな〜い!!ゆめち、ついでに抱きしめといてえ…!」
十条ミツキ : 「話には聞いてたけど、思ってたより強烈だったね……ええと、いつからこの部屋に……?」こよみの頭を撫でながら
澱 カシル : 「えっと………最初から居たんですけど、なんだか話しかけるタイミング見失っちゃって………えへへ」
虹之元ユメ : 「ま、まず離してもらわなきゃ……こ、こんにちはカシルちゃん……!」冷や汗をかきつつもニコリと笑みを浮かべて
天海こよみ : 「最初から……いたの……?」 全然気付かなかった、と目を丸くしてる
夢川めめ : 「はわわ…ごめんねゆめち…!」
やっと離れて
「カシルちゃんっていうの?ふわ〜……アンティークお人形さんみたい!きれ〜!」
澱 カシル : 「………。ありがとうございます、めめさん!」
人形、というワードに少しだけ反応を遅らせるが、笑顔で対応する
澱 カシル : 「ちゃんとお名前聞いてましたよ〜。ミツキさんに、こよみさんに、ユメさんに、めめさん。」
澱 カシル : 「それに……琵琶坂 藍依さん、でしたよね。 改めて、"初めまして"です!」
琵琶坂 藍依 : 「……………………」
琵琶坂 藍依 : 「はじめ、まして……?」
琵琶坂 藍依 : 「("初めまして"だとか"澱 カシル"だとか、何の冗談……?)」
琵琶坂 藍依 : 「(だって貴女はどこからどうみても、久能────────)」
琵琶坂 藍依 : 「……………………」それきり黙りこんでしまう
十条ミツキ : 「……?」二人を見比べて(大丈夫かな…)と不安そうな表情を浮かべた後、「……え、えっと!」と声を上げる。
十条ミツキ : 「カシル、それと、こよみとユメとめめ。これからミーティングを始めようと思うから……飲み物、用意するね。何がいい?」
天海こよみ : 「えっと、ぼく緑茶……」
夢川めめ : 「めめは魔剤あるからだいじょ〜ぶ♡ありがとぉみつきち!」
「…むしろ飲む?飲むだけで元気になれるめめ印の魔剤だよ!」
エッヘン!と胸を張り うおでっか
虹之元ユメ : 「私も緑茶で……あ、お手伝いしますよ!」袖を巻くって、やる気のあるポーズをする。むんっ
澱 カシル : 「はーい!あたしも緑茶でお願いします! 出来れば熱〜いやつで!」
片手を上げて、元気よく
十条ミツキ : 「マザ……?アタシは大丈夫かな……え、えっと、他のみんなは緑茶ね!」
十条ミツキ : 「ユメありがとう、少し手を貸してくれると嬉しいかも…!」
虹之元ユメ : 「お任せを!」トテトテとミツキに着いて行きます
天海こよみ : 「あ……」 自分も手伝おうか、と一瞬思ったがやっぱりやめて、適当な椅子に座る
十条ミツキ : 「うん。……こよみ、ありがとね」すれ違いざま、ぽんと頭に手を触れて。
天海こよみ : 「……!う、ううん」 触れられてから、ぷるぷると首を横に振る
 
GM : ……さて、仕切り直して。
GM : リビングに、今回の任務の……グループメンバーが集った。
GM : それぞれの手元に、冷たい麦茶や緑茶、熱い緑茶が用意された中、ミーティングが始まる。
澱 カシル : 熱い緑茶を一口頂く。アイドルは未経験と言っていたが、姿勢は良いようだ。
琵琶坂 藍依 : 「…………」その様子をジッと見つめる
琵琶坂 藍依 : 「(彼女は猫舌だったハズ……、体格も違うし別人……?)」
琵琶坂 藍依 : 「(そもそも死人が記憶喪失で蘇るなんて……でも、顔は瓜二つで……)」
澱 カシル : 視線に気づき、ちらりと藍依の方を見やる。
長い睫毛、大きな瞳。
紛うことなき、久能胡桃の顔立ち。
澱 カシル : 「(まさかSeventh Heavenの藍依さんがいらっしゃるなんて……体付きは違うとはいえ、顔は胡桃さんそのままですから………勘付いているのでしょうか……) 」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「(考えていても仕方ない、か)」
琵琶坂 藍依 : 「────それでミツキ、ミーティングって何をするの?」
十条ミツキ : 「ちょっと待ってね……えっと、これでいいのかな……えぇい、よくわからないな!!」パソコンを不慣れそうに弄っていたが、直接ぴっと指差す。
GM : バチッ!という音と共にモニターが揺れ、テレビ通話アプリが開き……画面に、見覚えのあるお面が映る。
十条ミツキ : 「これで良し。プロデューサー、聞こえてる?」
オーメン相良(リモート) : 「……一瞬、凄まじい音が聞こえたぞ。何があった?」
十条ミツキ : 「……なんにも~」
オーメン相良(リモート) : 「……………」
天海こよみ : 「お、お面さん……!ミーティング……?っていうの、するんだよね……?」 話を逸らすように言う
澱 カシル : 「あ、お面の人! お世話になってまーす!」
手を振る。そもそもオーメン相良とは話が即決しすぎたため、名前すら聞いていない。
夢川めめ : 「何?この凄まじいお面」
「………やば〜!めっちゃ面白いね〜♡」
一瞬地声が出たが、直ぐに繕って
虹之元ユメ : 「社長さんお久しぶりです、ミーティングってどんな感じなんでしょう?」
オーメン相良(リモート) : 「ふむ……うむ。やはり、集まると一層華があるな」うんうんと頷く。
オーメン相良(リモート) : 「今日は、メンバーの顔合わせと任務についての説明、その他諸々の説明を行う予定だ……さて、改めて」
オーメン相良(リモート) : 「私の名前はオーメン相良。UGNプロの社長兼プロデューサー兼支部長だ。本日はリモートにて失礼」姿勢を正し、礼をする。
天海こよみ : 「オーメン……お面だから……?」
澱 カシル : 「よろしくお願いします〜! 採用してもらえて、とっても嬉しいです!」
深々とお辞儀を返す
虹之元ユメ : 「はい、皆さん勢ぞろいです!」オーメンの礼に軽く会釈で返して
オーメン相良(リモート) : 「うむ、よろしく頼む。それで…」
十条ミツキ : 「……アタシは、マネージャー兼トレーナーの十条ミツキです。1年前まで現役アイドルでした」
十条ミツキ : 「基本的にはプロのトレーナーさんが指導してくれるから、サブ的な補助にはなると思う……けど、マネージャーとしてはちゃんとやっていくよ。改めてよろしくね」そう言って微笑む。
天海こよみ : 「う、うん、よろしくね……!」 ミツキちゃんに傍にいて欲しいという要望が通って嬉しそうに笑みを返す
琵琶坂 藍依 : 「ミツキがマネージャー……」ライバルだと思っていた相手がマネージャーになると聞いて、改めて複雑な気持ちになる
虹之元ユメ : 「よろしくお願いします! ミツキさんがマネージャーだなんて心強さしかないですね!」
澱 カシル : 「よろしくお願いしますっ! マネージャーってどんなお仕事か詳しくないんですけど……ミツキさんはとっても頼りになりそうですっ!」
深々とお辞儀する
夢川めめ : 「へえ〜!みつきちがお世話してくれるんだ〜〜、めめちょううれしい〜♡」
「めめも出来る範囲で頑張るねっ!みつきちの技、目で盗ませてもらうから〜♡」
十条ミツキ : 「……」好意的に受け止めてもらえた事に、ほっとした様子を見せる。彼女なりに緊張していたのだろう。
十条ミツキ : 「それじゃあ……今度は、自己紹介をお願いしていいかな。趣味とか特技とか……あと、オーヴァードとしての能力とかも説明してくれるといい感じじゃないかな?」最終的なところは任せるよ、と付け足して。
十条ミツキ : 「順番は……うーん」こよみをちらりと見てから、首を傾げる。
十条ミツキ : 「……背の高い順、とか?」
天海こよみ : 「背の順……」 それならきっと後の方だ、とちょっと安心する
虹之元ユメ : 「ならば~、え~っと?」藍依ちゃんから私の順ですね! と、声にだして確認してみる
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、私が一番」
十条ミツキ : 「じゃあ、藍依からお願い」頷く
琵琶坂 藍依 : 「……うん、名前はもうみんな知ってると思うけど、改めて」
琵琶坂 藍依 : 「私は琵琶坂藍依。このグループでは『iRiS』って名義で活動予定の元アイドル」
琵琶坂 藍依 : 「ビワでもアイでも好きに呼んで。私も皆を好きに呼ぶから」
天海こよみ : 「じゃあ、アイちゃんって呼ぶね……」
澱 カシル : 「よろしくね、藍依ちゃん!」
にこり、と笑いかける。
虹之元ユメ : 「よろしく、です!」
夢川めめ : 「びわちがiRiS…!?はわ、めちゃかっこかわいい……」
「えへへ、よろしくねびわち…!」
琵琶坂 藍依 : 「うん、皆よろしく」優しく微笑んで
琵琶坂 藍依 : 「……それから、趣味も話した方がいいんだったよね」
琵琶坂 藍依 : 「強いて言えば散歩?」最近はできてないけど、と首を傾げて
琵琶坂 藍依 : 「特技は特になくて、能力は……そうだな……」
琵琶坂 藍依 : 「ちょっと借りるね、ミツキ」テーブルの上のペンを手に取る
十条ミツキ : 「ん?どうぞ…?」不思議そうに見ている
琵琶坂 藍依 : 「うん、ありがと」
琵琶坂 藍依 : 「────それじゃ、見てて」そう言うとパチンと指を鳴らす
琵琶坂 藍依 : 瞬間、藍依が手に取ったペンは光に包まれ、
琵琶坂 藍依 : 藍色の花弁が美しい一輪の菖蒲に早変わり。
琵琶坂 藍依 : 「こんなカンジで、私は映像の投影ができるんだ」
天海こよみ : 「わ、きれい……」
虹之元ユメ : 「わあ、見事な投影です!」小さく拍手を送る
澱 カシル : 「おお〜っ!! アヤメの花ですね!」
ぱちぱちと拍手する。
夢川めめ : 「ふわ、これどうなってるの…!?」
「あ、あれ?触れそうなのに触れない…!」
つんつんしようとしながら
琵琶坂 藍依 : 「……ふふ、光で作ったホログラムだから実体はないんだよ」
琵琶坂 藍依 : 「あと本当の私の能力は、これだけじゃなくて光の吸収と放出がメインだったりするんだけど」
琵琶坂 藍依 : 「ここで全力で実演すると、カメラ越しでプロデューサーの目が潰れるかもしれないから、機会があればその時に」
オーメン相良(リモート) : 「私より皆の方が危ないのでは?」首を傾げる
琵琶坂 藍依 : 「いや、もし実演するならプロデューサーに目掛けて打とうかなって思ってたから」
オーメン相良(リモート) : 「……冗談でもやめたまえ」面を付け直す仕草
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、流石にしないよ」スカウトの一件で少し気を許しているのか微笑んで
琵琶坂 藍依 : 「……と、能力紹介は以上かな」
琵琶坂 藍依 : 「────ああ、そうだ」
琵琶坂 藍依 : 「はい」とコヨミちゃんにホログラムの菖蒲を差し出す
天海こよみ : 「え……?」
琵琶坂 藍依 : 「……緊張しなくて大丈夫だから」と微笑みかける
琵琶坂 藍依 : コヨミちゃんが事あるごとに知人の二人にくっついている様子を見て、人見知りだろうと察して気にかけているらしい。
天海こよみ : 「う、うん……。もらって良いの……?」
琵琶坂 藍依 : 「勿論」ただのペンだけど、と笑って
天海こよみ : 「……ありがとう」
天海こよみ : 小さく笑みを見せながら両手で受け取り、光の花を不思議そうに見つめてる。
虹之元ユメ : 「優しいんですね、藍依ちゃんは」そのやり取りを微笑ましそうに眺めて
琵琶坂 藍依 : 「……そう?あんまり言われたことないけど」
虹之元ユメ : 「そうですよ、こよみちゃんの事を気にかけてくださってありがとうございます」藍依の行動を首肯して、朗らかな笑みを浮かべる
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、どういたしまして」なんだか保護者みたいだ、と思いながら
天海こよみ : 「あ、あと……」
天海こよみ : 「これから、よろしくね……。さっきぼくだけ言えてなかったから……」 少し緊張が和らいだ声で
琵琶坂 藍依 : 「────こちらこそ、よろしくね」優しく笑って
天海こよみ : 「うん」
琵琶坂 藍依 : 「……戦闘経験はないけど、その代わりアイドルとしてのキャリアは一番あるから」
琵琶坂 藍依 : 「ミツキと一緒に、技術面で皆をサポートしていこうと思ってる」
琵琶坂 藍依 : 「…………それと最後に、私に聞きたい事があれば遠慮なく聞いて」
琵琶坂 藍依 : 「同じグループの仲間になった以上、隠し事するつもりないから」答えられる範囲で全て答えるよと
天海こよみ : 「わかった……」 こくこくと頷く
虹之元ユメ : 「はい、頼りにしていますっ!」
夢川めめ : 「え〜〜〜、めっちゃ頼りになる〜!!」
「めめ、アイドルの事よくわかんないからぁ、びわちとみつきちの2人いてくれるの超助かる〜〜!」
「うふっ、これから末長くよろしくね〜♡」
十条ミツキ : 「……すごいね、アイは…」小さく頷く
十条ミツキ : 「…よろしくね。『iRiS』」
琵琶坂 藍依 : 「────うん、よろしく」
十条ミツキ : 「……さて、次に背が高いのは……ユメ、かな?」
虹之元ユメ : 「はい、私ですね!」
虹之元ユメ : 席から立ち上がり、軽い咳払いの後に周りを睥睨してゆっくりと口を開く。
虹之元ユメ : 「改めて、私の名前は虹乃元ユメです! まあ、今のは芸名で───UGNで通っている本名は"涙の旋律"夏橙涙美と言います!」
虹之元ユメ : 芸名とコードネームを含めた名前を紹介してからペコリと一礼して、満面の笑みを見せながら顔を上げる
天海こよみ : 小さくぱちぱち拍手している。
虹之元ユメ : 「次は~、特技ですね!」こよみに微笑んでみせてから次の話題に映る
虹之元ユメ : 「特技はギターを使った演奏です。流行りの曲から洋楽まで……満遍なく!」
虹之元ユメ : 「……作曲の方も少し嗜んでいます! お聞かせするのは恥ずかしいですけどね、えへへ」
琵琶坂 藍依 : 「へえ、作曲まで……すごいね」
虹之元ユメ : 「はい、いつかの為にと技術と知識は身に着けていたんです! どこまで通用するかは未知数ですけども……」
夢川めめ : 「きっとゆめちなら通用するよ〜!あは、自信もってこ?」
ニコニコしながら
天海こよみ : 「……もしかしたらこのグループの曲も、ユメちゃんが作るのかな……?」
澱 カシル : 「わぁ………! それ、素敵です!」
こよみの発言を肯定する
虹之元ユメ : 「うぇ、えへへ……どうなんでしょう。しても良い、のかな?」褒められて紅潮した顔を画面越しのオーメンに向けて、様子を伺う
オーメン相良(リモート) : 「勿論。むしろ、作ってくれるのならば歓迎だ」頷く
虹之元ユメ : 「そ、そうですか? では……はい、頑張らせて頂きます……!」 決意が満ちた表情を浮かべる
琵琶坂 藍依 : 「アイドルと作曲の二足の草鞋か……」
琵琶坂 藍依 : 「日々のレッスンの傍ら、作曲まで熟すのは本当に大変だと思うけど……大丈夫……?」心配そうに
天海こよみ : 「あんまり、無理はしてほしくないかも……」
夢川めめ : 「めめもできるだけサポートするけどぉ…むりめなら言ってね?めめ心配〜〜」
🥺顔で
虹之元ユメ : 「心配はご無用ですよ。今までUGNの任務等で中々時間が割けませんでしたが、今はこよみちゃんの護衛とアイドル活動がセットなので……時間の問題はありません!」
虹之元ユメ : 「それに体力の方も、ほら2人分はあるので!」むんっ、と自信満々に胸を張る
虹之元ユメ : 「めめちゃんも応援ありがとう!」
天海こよみ : 「そっか……」 そう言うなら、と素直に信じる
オーメン相良(リモート) : 「ひとまず、今の君の本業はアイドルだからな。作曲などは二の次だと考えているよ…余裕ができたら取り組むと良い」
澱 カシル : 「? あたしも応援してます!」
いまいち人間の体力の目安が分からないので、二足のわらじは大変なのかな、と考える
虹之元ユメ : 「はい……! 皆さんが優しくて、更に嬉しくなってきてしまいますねっ」喜色の雰囲気を纏って
虹之元ユメ : 「あ、えーっと……私の力についてもお話しなきゃですよね」
虹之元ユメ : 「オーヴァードとしての能力もそれに付随したもので、音楽と……ハヌマーンとソラリスの力を併用した後方支援に長けています。だから、直接戦うのは苦手なんですよね」
虹之元ユメ : 実際に体験したミツキの方を見て、少し不甲斐なさそうな苦笑いを浮かべている
天海こよみ : 「でも、ユメちゃんがギター弾いた時は……ミツキちゃんが、なんか……」
天海こよみ : 「ぶわ~ってなってたよね……」 勢いづいたということを言いたいらしく、腕を控えめに広げる
十条ミツキ : 「ふふっ、そうだね。ぶわ〜ってなった」こよみの言葉にクスクス笑ってから、ユメを見る。
十条ミツキ : 「アタシも戦闘が得意ってわけじゃなくて……あっ、バリアを張ったりするのが得意なんだけど。それでも、オーヴァードを2人退けられるくらいの力を発揮できたんだ」
十条ミツキ : 「それに、演奏もすごく良かった!テンションが上がるというか、心の底から元気になれたよ」
虹之元ユメ : 「そ、そうですか~? えへ、力になれるってなんだか嬉しいですね……」頬を伝う涙を人差し指で拭って、力なく笑う
虹之元ユメ : 「……はい、もし戦いが起きた時は普段以上の力を発揮できるかも。ということでした……! 素の演奏もそれくらいだと良いなぁ……」
天海こよみ : 「……ユメちゃんなら、きっと普通の演奏もそうなれる……んじゃ、ないかな……」 根拠は無いが、応援するように言う
虹之元ユメ : 「! ええ、きっとそうなれますよね」 胸に置いた手を握って、柔らかい笑みが浮かぶ
天海こよみ : 「うん」 小さく笑顔を返す
虹之元ユメ : 「……ということで、アイドル活動の方も一生懸命! 監督してくれるミツキちゃんと藍依ちゃん共々、皆の足も引っ張らないように頑張りますので!」
虹之元ユメ : 「これからよろしくお願いしますっ!」ハツラツと、威勢の良い挨拶で締める
十条ミツキ : 「うん、よろしく。ユメには任務が始まる前からたくさん助けてもらっているから、頼りにしてるよ」元気の良さそうな姿に微笑む
十条ミツキ : 「それじゃあ、次はめめにお願いしようかな」
夢川めめ : 「はぁ〜い♡じゃあめめが自己紹介するね〜?」
「……ぁ、その前にぃ…ねね、皆そろそろお茶とか無くなってない〜?」
「これからもおはなし続くだろうしぃ、めめが汲んで来てあげよっか?」
両手を合わせて、名案でしょ?と
天海こよみ : 「え?う、うん……?」 じゃあ、とまだ少し中身が残ってるコップを差し出す
澱 カシル : 「ご親切にありがとうございます! いただいちゃいます!」
虹之元ユメ : 「お言葉に甘えちゃいましょうか!」ススっと前にコップを差し出して
琵琶坂 藍依 : 「うん、それならおねがいしようかな?」今度は皆と同じので大丈夫、と付け加え
夢川めめ : 「おっけ〜♡」
「それじゃあ…コップをお持ちになって少々お待ちくださいませぇ、ご主人様♡」
完全にメイドカフェモードをインストールしているらしく、甘々の声でポットに水出し用ティーパックを入れ、更にポットを握ります
夢川めめ : 「こほん……」
「美味しくなあれ、美味しくなあれ、もえもえきゅん♡」
半ば使い古された掛け声とともに手に力を込める……
と同時に、透明なポットの底から水がこんこんと湧き上がります!
天海こよみ : 「も、もえもえきゅん……?」 水が湧いてくるポットをじっと見ながら
虹之元ユメ : 「ユメ、知ってます! メイド喫茶というものです!」
「そしてこれは……」ポッドを覗き込んで感心している
十条ミツキ : 「…すごい。これ、普通のポットなのに…」目を見開く
澱 カシル : 「おー………?」
皆と同様にポットを見つめる
琵琶坂 藍依 : 「……呪文を唱えると、水が湧きだす能力?」首を傾げ
夢川めめ : 「……ふふ♡」
「お茶ができるまでにぱーっと自己紹介しちゃうね?」
「出来るメイドはタイムスケジュールもバッチリなんだもん!」
夢川めめ : 「めめの名前は夢川めめ!元々UGNでお仕事してて、そっちではどりぃむ♡おぶ♡ばたふらいって呼ばれてたかも〜!」
「歳は19歳でえ、みんなよりはちょーっとお姉さんかな?ふふっ」
天海こよみ : 「ミツキちゃんと同い年だ……」
虹之元ユメ : 「可愛いお名前です! 私も同い年ですよっ」屈託のない笑顔で親近感を覚える
十条ミツキ : 「(………プロデューサーからそれとなく聞いてる事については黙っておこう…)」
琵琶坂 藍依 : 「19歳……それならこのグループの中では、17歳の私がちょうど真ん中の年齢になるのかな」コヨミちゃんとカシルちゃんを見て
天海こよみ : 「ぼく、14歳だから……そうかも……?」
澱 カシル : 「うんうん!」
相槌だけ打って、自分の年齢には触れない。
夢川めめ : 「ふふ、チームのおねえさんとして頑張りまぁす♡」
「それでねそれでね、UGNではちょーほー?かんじゃ?まあ、FHさんとかわる〜い人達のところに潜入してぇ……仲良くなったり、こう……死んでもらったり?あは、してもらったりしてたかな〜?」
天海こよみ : 「死……!?」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : UGNの活動内容は知っていたが「殺人を犯した」と自ら笑顔で語る姿に驚愕する。
澱 カシル : 「おぉ〜! 頼れるおねえさん!」
ぱちぱち、と拍手する。
話題の物騒さに対し、態度が変わっていない。
夢川めめ : 「あっ、やだやだごめん!!死んでもらったは言いすぎたかも…?」
「なんだろぉ……二度とオーヴァードとして働けなくなってもらってた感じ…?やん、説明難しい〜!めめおばかさんだからぁ……」
ふぇえ、と困った様子で
夢川めめ : 「……とにかく、そーゆー感じかな?いつもはメイドさんカフェとかぁ、コンカフェでお仕事してまぁす♡」
「だからね、特技は真似っ子すること!……こう見えて名役者なんだよ、めめ!」
胸を張り
天海こよみ : 「う、うん……?」 ちょっと戸惑いながら聞いてる
虹之元ユメ : 「……そっか、めめちゃんは芸達者なんですね!」UGNのほの暗い部分を認知はしているので、軽く流す
澱 カシル : 「はいはいっ! あたしも上手く真似するコツ、知りたいです!」
夢川めめ : 「はいっカシルちゃん!」
先生のように指を指してから
「ん〜……なんだろぉ、一言で言うならぁ…」
「"スイッチ''を作ってあげること、かな?」
にこ、と微笑んでから…
夢川めめ : すうっと目を閉じて、それからゆっくり耳元で指を弾く。
──パチン。
───パチン。
─────パチッ。

夢川めめ

夢川めめ : 「……うん。」
「そう、だね。正しくはスイッチを作って……合図で''自分を殺してあげること''、かな。」
打って変わって、甘い声からクールな声に。
表情も相まって、見た目は同じはずなのに先程とはまるで別人に見える。
琵琶坂 藍依 : 「────!!」
澱 カシル : 「なるほどぉ〜!」
ぱちぱち、と拍手する
澱 カシル : 「(わたくしの切り替え方は間違ってない、安心しました)」
澱 カシル : 「(殺すのは、得意ですから……)」
虹之元ユメ : 「自分を殺す、ですか……難しいことをやってのけているのですね」思う所をうやむやにして、素直に感心を見せる
天海こよみ : 「……すごいけど、なんだか……ちょっとだけ……」
天海こよみ : 「さびしい……?気がするね、自分を殺す……」 呟くように言う
澱 カシル : 「………。」
こよみの発言と、めめのアドバイスを考える
琵琶坂 藍依 : 「(自分を……殺す…………)」親友の死に様を思い返し、目を伏せる
琵琶坂 藍依 : 「私は演技指導で"真逆"の事を教わったけど……、なるほど……」
琵琶坂 藍依 : 「たしかに、自分で名役者と名乗るだけの事はあるね」
琵琶坂 藍依 : 「────それ、私の演技でしょう?」
夢川めめ : 「……うん。」
「ふふ、本人の前でやるのはどうかと思ったけど……」
「説明するよりも、この方が早いでしょ?」
「それに──……」
夢川めめ : 「……めめ、びわちのこと大好きだもん♡」
「あはっ、だからついつい真似しちゃった〜!」
パチ、と指を弾きながら。
まるでボイスチェンジャーを無理に切ったように、発声途中で声が元に戻って。
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「(ファンの好き、とは違う気がするのが少し気になるけど)」
琵琶坂 藍依 : 「(……それはさておき)」
琵琶坂 藍依 : 「すごいね、演技については私より上手かも」ドラマ出演した立場から忌憚なき意見を述べる
夢川めめ : 「え〜〜ほんと!?えへっ…そぉ言って貰えるのうれし〜!めめ、めめのこと褒めてくれるヒトだ〜いすき♡」
にっっっこにこになりながら
夢川めめ : 「ふふーん、いっぱい褒められたらやる気出て来ちゃった!じゃあ、最後に…皆には特別にこんなのも見せてあげるね〜?」
夢川めめ : そういうと、そろそろ緑色の出てきたポットを手に取り……再び指を弾く。
……すると、瞬間、ポットにめめの影が纏わりつき。
夢川めめ : ポットはいわゆる食虫植物、ウツボカズラの捕虫袋へと姿を変えていた。
めめはそんなことも全く意に介さず、呆気に取られる皆を他所に、上機嫌にお茶をコップへついでゆく
天海こよみ : 「え?え……?」 ちょっと待って、と言えず困惑しながらその様子を見ている
澱 カシル : 「まあ! ウツボカズラですね!」
両手を重ねて、目を輝かせる
虹之元ユメ : 「……ちょ、めめちゃん、ちょちょっ! これアレですよね! 食虫植物!」呆気に取られていた意識を揺り戻してツッコむ
夢川めめ : 「ふふ、ゆめちってば…心配しないで?……ほら!」
ふ、と影の投影が消え、元のポットが姿を現す。
「めめね、オーヴァードの力も1回見たらぜーんぶ?だいたい?真似出来るんだ〜!すごいでしょ!」
夢川めめ : 「味自体には問題ないし……それにね、元気の水ー!って言ってぇ、飲むだけでたちまち元気になっちゃう不思議なお水を作れるの!」
「だから皆、疲れたらめめに言ってね?助けてあげちゃうから!」
澱 カシル : 「(嗚呼、わたくしに近い能力ですか……渾沌に濁る影、ウロボロス……わたくしの正体を隠し通せればよいのですが………)」
天海こよみ : 「う、うん……うーん……」 食虫植物が頭に焼き付いて離れず、どう反応すればいいかわからなくなってる
虹之元ユメ : 「なる、ほど……! 1回見ただけで技術を習得できるなんて夢のようですね!」私にもその力があればな、と一瞬だけ思う
虹之元ユメ : 「めめちゃんのお水も時々貰いに行っちゃいます!」
天海こよみ : 「ぼくは、その……勇気が出たらで……」 申し訳なさそうに目を伏せながら
夢川めめ : 「……あは、ありがと〜♡これからよろしくねぇ〜!」
「めめ、い〜〜…っぱい!頑張ってかわいいアイドルになるからぁ、皆もさいこーにきゃわなアイドル目指してやってこ??」
組んだ両手に顎を乗せ、にこっと笑いながら。
……食虫植物型ポットから出した、元気の水入りお茶を残して自己紹介を終える。
十条ミツキ : 「あはは、オーディション時点からだいぶ強烈な子が来たって聞いてたけど……でも、思ったより良い子そうで安心してるよ。よろしくね」ニコッと微笑みながら、お茶の入ったカップを手で包み込んでいる。
十条ミツキ : 「じゃあ、えっと……」カシルとこよみを見比べた後、口を開く。
十条ミツキ : 「次はカシルかな?」
澱 カシル : 「はーい! んぐんぐっ、いっきまーす!」
手元の例のお茶を一気飲みして、立ち上がる。
澱 カシル : 「あたし、澱 カシルっていいます!」
「アイドルは未経験だし、戦闘も苦手だけど……精一杯、頑張りますっ!」
全員に向けて深くお辞儀をする
天海こよみ : 「ぼくと同じだ……」 アイドルも戦闘も
虹之元ユメ : 「なるほど、アイドルの原石……!」
琵琶坂 藍依 : 「アイドル未経験、ね……」
夢川めめ : 「めめと一緒だ〜!」
「かしぴ、めちゃきゃわだから経験あるかと思ってた!えへ、なんだかうれし〜♡」
指ハートを向けて
澱 カシル : 「未経験だよ、って子が多くて安心しました〜! いぇい!」
笑顔で指ハートを真似する。
澱 カシル : その時、パキッ……とテーブルのコップにヒビが入る。
澱 カシル : 「あれっ……コップ割れちゃってる!」
十条ミツキ : 「わっ…!ごめん、ヒビ入ってたのかな…ちょっと待ってね」席を立ち、キッチンペーパーでコップを包む。
澱 カシル : 「(やってしまいました……! 気を抜いてはいけませんよ、わたくし。細心の注意をしなければ……。)」
どうやら、指ハートが呪詛行使に繋がってしまったらしい。
天海こよみ : 「……けが、しなかった?」 少し心配そうに
澱 カシル : 「大丈夫! 続きをお話ししますね!」
指でVサインを作る。今度は余計な力が漏れないように。
天海こよみ : 「うん……」 ならヨシ
澱 カシル : 「次はみんな趣味の話題をしてたと思うんです。趣味、って言えるのかなあ? 分からないけど、楽しそうな人を見るのが大好きです!」
夢川めめ : 「それって……アイドルにめちゃ向いてるってコト…!?」
はわわ、という顔で
琵琶坂 藍依 : 「……昔のアイドルのライブ動画鑑賞、じゃなくて?」
澱 カシル : 「え?」
ビワちゃんの一言に困惑する
澱 カシル : 「あ! そういうのもきっと楽しいですよね! 勉強にもなるし、楽しそうなファンを見れますし!」
琵琶坂 藍依 : 「……そう」
琵琶坂 藍依 : 「(…………趣味も、胡桃と違う)」
澱 カシル : 「あとは〜能力なんですけど、皆さんのような華々しいレネゲイド能力とかは無いかも……。」
澱 カシル : 「えいっ!ってしたらお相手さんをびくっ!とさせられる、かな?」
天海こよみ : 「……?びっくりさせる、ってこと……?」
虹之元ユメ : 「比喩的ですね、こう……えいっ!はわかるんですけど、びくっ!の部分は何が起きてるんですか?」
澱 カシル : 「ん〜んん〜! あたしもよくわかんない、かな!」
虹之元ユメ : 「な、なるほど。カシルちゃんは感覚派なんですねっ!」
澱 カシル : 「戦い、ほんとに好きじゃないから……そうならないといいね?」
これは本当だ。
なぜなら、殺したくないから。
手加減が難しいからだ。
虹之元ユメ : 「そうですね、それが一番ですから……」目を伏せながら何度か頷いてみせる
夢川めめ : 「UGNの任務とはいえ、普段はただのアイドルだしい…きっとそんなことにはならないよ!ふふ、あんしんあんしん♡」
天海こよみ : 「うん……そうだといいね……」 ミツキが傷付きかけた時のことを思い出す
琵琶坂 藍依 : 「(そんなに甘くはない気もするけど……)」
十条ミツキ : 「……そうだね…」カシルの纏う雰囲気や、合流時のあれそれなどを思い出して難しげな顔をしている。
澱 カシル : 「で、でもっ! 警護任務なのは知ってますのでっ! お役に立てるように体も張ってみせますっ!」
「ふ、ふつつか者ですが? よろしくお願いします〜!」
オーメン相良(リモート) : 「そうだな、任務周りの話については後ほど改めて。……気になるところはあれど、アイドルとしてのやる気はある子だ。皆もよろしく頼む」何故かオーメンが助言を挟む。
天海こよみ : 「う、うん……それは、もちろん……」 特にそこまで気にしてない
十条ミツキ : 「良かった…それじゃあ、最後はこよ…あれ、もしかしてカシルよりこよみの方が背高かった…?」まじまじと見て
天海こよみ : 「え?そう……なの?」 カシルを見る
澱 カシル : 「あれ、そうなの? ね、背筋伸ばしてみて!」
天海こよみ : 「ん……」 立ち上がって、胸を張ってみる
十条ミツキ : 「うーん…こよみのが……高いかも?」1cm差なので首を捻る
天海こよみ : 「そうだったんだ……?じゃあ、カシルちゃんは149cm……?」
澱 カシル : 「負けちゃってる!?」
天海こよみ : 「ふふっ……」 ちょっと嬉しそう
十条ミツキ : 「(言ってもそんなに変わらないけどね…)」
十条ミツキ : 「じゃあ、少し前後しちゃったけど…最後はこよみ、お願い」
天海こよみ : 「あ……う、うん」
天海こよみ : 「……っ」 そのまま立ったまま
天海こよみ : 皆の注目が集まって、また緊張してきたのか、菖蒲の花を両手でぎゅっと持ちながら、
天海こよみ : 「えっと、お名前は、天海こよみ……だよ。歳は14……あっ、さっき言ったっけ……」
天海こよみ : 「特技は、無いと思う……多分……」
天海こよみ : 「あと、趣味は……」
天海こよみ : 「…………」 少し悩むように目を泳がせて、
天海こよみ : 「今は……ない、と思う……。昔はアイドルのこととか、色々……見たり、してたけど……」 段々と小声になっていき、顔も俯いていく
夢川めめ : 「こよこよちゃんは趣味ないの〜?」
「んー……じゃあじゃあ、好きなことは?これからアイドルになるんだしぃ……」
「ねね、まだアイドル見るのすき?それってこれからのコトも含めて、いー趣味になれそうじゃない?」
きゅるんとした目で、笑顔を崩さず
天海こよみ : 「まだ好き、なのかな……。ずっとはなれてて、あんまりよく分からなくなっちゃってる……感じで……」
虹之元ユメ : 「きっと今でも好きですよ」ミツキと触れ合ってる様子を見て、そっと微笑む
天海こよみ : 「そ、そう……なのかな?」 不安そうに胸元を握る
十条ミツキ : 「……」黙って目を閉じている。
天海こよみ : 「……。でも、そうだといいな……。ごめん……なんか、自分のことなのに……」 ぐだぐだ自己紹介で申し訳なさそうに
虹之元ユメ : 「謝ることは無いですよ、こよみちゃんの出来る事から少しずつ進めていきましょう?」時間はあるでしょうから、と付け足して
澱 カシル : 「アイドルって、素晴らしい!ってこよみちゃんがまた思えるようになったら嬉しいな!……あたしもね。」
夢川めめ : 「やん!すきって気持ちに終わりはないもん、きっとそおだよ〜!こよこよちゃんが自分の気持ちを信じて上げなきゃ始まんないぞ♡」
「あは、好きすぎて見失っちゃうコトはあるかもだけど……めめもあるある…」
頬を手を当てやや赤い顔で
天海こよみ : 「うん……」
天海こよみ : 「ゆっくりだけど、考えてみる……ありがとう」 緊張が少し解けて来たのか、胸元を握る手から力が抜ける
琵琶坂 藍依 : 「(……一連の騒動を経ても、まだ愛してくれる熱心なファンがいるミツキが羨ましいな)」
天海こよみ : 「あ、あと、話すこと……オーヴァードの能力だっけ……」
天海こよみ : 「何て言うんだっけ……りょういき?っていうのを使って、海水を出したり、あやつったり……」
天海こよみ : 「それと、水中でも息ができるって最近分かったよ。お魚っぽいキュマイラ?だっていわれた……」
天海こよみ : オーディションの時のように《テレキネシス》を使用。
天海こよみ : 両手から溢れ出した海水が、菖蒲の花を投影したペンを波で攫うように宙に浮かせる。
琵琶坂 藍依 : 「なるほど、コヨミもメメみたいに水を出す能力が使えるんだね」水中に浮かぶ菖蒲を見つめながら
天海こよみ : 「あ、言われてみれば……」 ほんとだ、と気付く
虹之元ユメ : 「一緒に特訓しましたもんね。能力の使い方も板についてきました!」
天海こよみ : 「うん……ユメちゃんにいっぱい付き合ってもらった」
夢川めめ : 「えー!もしかしてこよこよちゃんも元気になるお水、出せちゃったりするの?」
「めめはそれがメインじゃないんだけどお…ねーねー、試しにやってみてほしいなあ……おねがい!」
天海こよみ : 「元気になるお水……」 両手でふわふわ浮く水を見て
天海こよみ : 「でもこれ、海水っぽいよ……?飲めるのかな……」
天海こよみ : 不安そうに言いながら、水を操って空いているコップに一応注いでみる。
夢川めめ : 「ん〜……あとねあとね、めめからのワンポイントアドバイス!」
「元気になるお水を作る時はぁ、美味しくな〜れ♡って、愛情を込めてあげると上手にいくよ♡」
天海こよみ : 「あ、愛情……?」
夢川めめ : 「そ、あいじょ〜♡」
手でハートマークを作り向けて
天海こよみ : 「え、えっと……」
天海こよみ : 「……おいしくなあれ、おいしくなあれ」
天海こよみ : 「もえもえきゅん……?」
天海こよみ : さっきめめが言っていたのをたどたどしく真似して、コップに向かってハートマークを作る。
天海こよみ : 「……こう……?いうかんじ……?」
虹之元ユメ : 「(か、かわいいです~~~……)」ほっぺに手を添えて緩んだ笑顔を浮かべている
澱 カシル : 「わ、かわいい御呪い(おまじない)ですね!」
夢川めめ : 「はわ……きゃわわ…!!」
目を爛々とさせて
「み、みんな!!これまぢ正解だよね!?ね!?」
周りに思わず聞く
虹之元ユメ : うんうん、と頷いてめめの言葉を肯定する
オーメン相良(リモート) : 「合格」頷いている
琵琶坂 藍依 : 「(……オルクス能力って、呪文を唱えれば味を変えられるのかな?)」めちゃ現実的な考え
天海こよみ : 「よ、よかった……!」 安心する
夢川めめ : 「こよこよちゃんのらぶが詰まってるんだもん、こんなの絶対甘くて美味しいよ……!」
「めめ、イッキ行きます!」
やたらと慣れた感じで敬礼して、ぐいーっとコップを煽る
夢川めめ : 「ゔ………」
天海こよみ : 「どう……?」 ちょっと期待した目で見る
夢川めめ : 「………こよこよちゃんのらぶ、めめのハートで感じたぜ…!」
やや涙目で、コップをターン!と置いてからサムズアップを向けます
天海こよみ : 「……!そ、そっか……!」 涙目なことに気付かず、嬉しそうに声を弾ませる
琵琶坂 藍依 : 「おお、流石は名役者……」海水そのままだった事を察して
十条ミツキ : 「あれだけ上手に出来たからね……」と言いつつ、さり気なくグラスに水を注いでめめの元に置く。
夢川めめ : 「ひーん……みつきちありがとなの…」
ちゅぴぴ、とストローでお水を吸って
虹之元ユメ : 「(めめちゃん、塩水そのまんま飲んじゃった……! 気合十分……!)」
澱 カシル : 「(辛そうだけど、嬉しそう………わたくしの求める輝きでしょうか……?)」
天海こよみ : 「……?」 気付いていないまま、周りを見て
天海こよみ : 「……なんか、良かった」
天海こよみ : 「ぼく、どんな人達と一緒のグループになるのか、すごく不安だったの……」
天海こよみ : 「ぼくがレネゲイドビーイングに取りつかれたから、こんなことになって、めいわくかけちゃって……」
天海こよみ : 「でも、話してみたら……みんなやさしくて……」
天海こよみ : 「すごく……すごく、安心した。ありがとう……」
天海こよみ : 「戦うことも、アイドルすることも……まだちゃんと出来るかよく分からないけれど……」
天海こよみ : 「ぼく、がんばるから……。あの、えっと……だから、これからよろしく、おねがいします」
天海こよみ : ここまでで感じたことをありのままに伝えて、頭を小さく下げる。
夢川めめ : 「こよこよちゃん……!んふ、めめは迷惑だなんて思ってないよ〜?」
「むしろ今回のチャンス……めめがめめのユメを叶える手がかりになってくれたんだもん!」
夢川めめ : 「……めめが、めめのだいじな人たちに幸せになって貰えるため…カワイイ、って皆に言って貰える為のアイカツって面もあるんだから♡」
「あはっ、だからこよこよちゃんのお陰ではあっても、''せい''だなんてぜーんぜん、思ってないからね〜♡♡」
虹之元ユメ : 「はいっ! めめちゃんの言う通り、私もこよみちゃんが切っ掛けでチャンスを掴めたんです!」
虹之元ユメ : 「だから、どうか気負わないでください。私はこよみちゃんから夢を頂きましたから」朗らかな笑顔に、一筋の涙が伝う
澱 カシル : 「あたしもあたしの為にオーメンさんにお願いしてオーディション受けたんです! それにあたしもきっと、"迷惑"かけてしまうので…… それでもっ!アイドル、一緒に頑張りましょうね!」
琵琶坂 藍依 : 「────どうやら、このグループには『コヨミに迷惑をかけられた』だなんて思っている人はいないみたい」
琵琶坂 藍依 : 「私も含めて、ね」
琵琶坂 藍依 : 「……この任務の間だけの一時的な関係かもしれないけど、皆が言うように共に頑張ろう」優しく言う
天海こよみ : 「…………」 迷惑ではないという反応が少し予想外だったのか、目を大きくして
天海こよみ : 「……うん、がんばろう、ね。めめちゃん、ユメちゃん、カシルちゃん、アイちゃん……ミツキちゃん」
天海こよみ : 謎のレネゲイドビーイングに取りつかれて、悪いことばかりではなかったのかもしれない────。
天海こよみ : そう思えてきて、小さく微笑む。
十条ミツキ : 「……」自己紹介を始めた頃から打って変わり、安心したような表情で小さく息を吐く。
十条ミツキ : 「……以上、5人のメンバーで、今回の任務を進めていこうと思います。改めて、よろしくお願いします」
十条ミツキ : 「さて…ここからは、任務の話に移るよ。プロデューサー、いいかな」
オーメン相良(リモート) : 「ああ」モニターが君たちに向けられる。
オーメン相良(リモート) : 「さて、では君たちに伝えなくてはいけない事が3つある」
オーメン相良(リモート) : 「まず、1つ目は今回の任務についてだ」
オーメン相良(リモート) : 「この話をする前に……メンバーの1人であるこよみくんの状況を説明しなくてはならない」
天海こよみ : 「うん……」
オーメン相良(リモート) : 「彼女の自己紹介でも触れられた通り…彼女には、とあるレネゲイドビーイングが取り憑いている」
オーメン相良(リモート) : 「既にその事を知っている者、気づいている者もいるだろうが……『彼』に関する情報を共有しよう」
・天海こよみに取り憑くレネゲイドビーイング(クラッドカルト)について

彼は、特殊なレネゲイドビーイングだ。シンドロームは不明。
オーヴァードとして覚醒していない者(人間、動物問わず)を惹きつける能力を持っている。
彼自身が表に姿を見せる事はない。オーヴァードに取り憑いた時、初めて能力を発揮する事ができる。
宿主が人々に愛され、守られる存在となる事が、クラッドカルト自身を守る事に繋がるという共生関係にあるのではないか、と考えられる。
これらの事から、協力型のレネゲイドビーイングと捉えても良いだろう。
 
人目を集める能力を、宿主自身が操作する事は不可能。無理に抑え込むことも困難だろう。
また、彼が暴走するような事があった時、宿主にどのような影響があるかは不明。
彼を刺激しないよう、程々に人目を集め続ける必要がある。
 
アイドル活動を行う際の判定が常時+10される。

オーメン相良(リモート) : 「……現時点で判明している情報はこの通りだ。なお、今後彼のコードネームは"クラッドカルト"とする」
天海こよみ : 「クラッドカルト……」 自分の胸元に手を当てる
夢川めめ : 「ふぇー、クラちゃまの力は皆から気にかけて貰えるようになること、かあ…」
「それって誰にでもってこと?………ふぅん、いいなあ」
後半は口の中で呟いて
虹之元ユメ : 「ふんふん、協力的とは銘打っても未知の部分が多い訳ですね……。 クラッドカルトの能力をメリットだけ享受できるのが理想ですが……」
澱 カシル : 「(何ですか、それ……。生まれつき、皆から祝福されて、それを分け与えるレネゲイドビーイング………?)」
普段は抱かないようにしている、負の感情……嫉妬がわずかに顔を出す。
澱 カシル : 彩度が下がっていく部屋を感じて、感情を抑え込む。
暗い自分は殺して、明るい自分にもう一度。
澱 カシル : 「凄い……レネゲイドビーイングさんなんですねっ。」
天海こよみ : 「うん……。町を歩くだけで、色んな人に声かけられてばっかりだしね……」
琵琶坂 藍依 : 「でも、オーヴァードには効かないんだよね?それならどうして狙われてるんだろう?」
琵琶坂 藍依 : 「わざわざ付け狙う程、特別な能力ってカンジはしないけど」
天海こよみ : 「なんでだろ……?あみぃちゃん達に聞くしかないのかな……」
夢川めめ : 「んー……でも、悪用は結構できる、かも?」
「ほらっ、例えばこよこよちゃんをわるーい組織がつかまえちゃって、わるーい情報をばら撒くように教育とかしちゃったら……」
「わるわるになったこよこよちゃんに賛同しちゃうヒトって、けっこー居そうじゃない?」
天海こよみ : 「えぇ……!?」 小さく肩を震わす
虹之元ユメ : 「めめちゃんの考察もあり得そうですね」
「私が思うに、らみどらの2人が狙って来たのを考えると……新規を更に呼び込む、とかそういった集客方法として思いついたとか?」比較的穏便な考察を述べる
琵琶坂 藍依 : 「う~ん、確かに?」
琵琶坂 藍依 : 「でもそれだったら、わざわざクラッドカルトの宿主を誘拐して無理やり協力させるより、ソラリスとかオルクスの能力を使った方が手っ取り早い気もするな」この任務にあたってシンドロームについて予習してきたビワチャン
虹之元ユメ : 「ですよね~。うーん、真意が読めませんね……」
虹之元ユメ : 「……クラッドカルトの暴かれていない部分に目を付けている、とか。メリットではなくて、デメリットの部分が欲しいとか……」
夢川めめ : 「むむむ、なんだか難しいねえ……」
「あー!なんだかめめ、よく分かんなーい!そおいうことはPちゃまに考えてもらえばいっか〜!」
「ん〜……ねね、それでー…こよこよちゃんのことはよぉく分かったけど、任務のしょーさいってなんなのPちゃま?」
虹之元ユメ : 「ですね~」めめちゃんと一緒に首を傾げて
オーメン相良(リモート) : 「……"クラッドカルト"に関する情報は、まだ調査中の段階に過ぎない。謎も多いレネゲイドビーイングだ。刺激を与える事がないよう、注意してほしい」
オーメン相良(リモート) : 「さて、本題に移ろう。こよみくんは数日前、とあるオーヴァードの少女2名から襲撃を受けた」
GM : モニターに、少女……”らみぃどらいぶ!”のあみぃとらむねの姿が映る。
オーメン相良(リモート) : 「彼女たちは『らみぃどらいぶ!』という名で活動する、2人組の晒し系配信者だ。年齢は共に15歳、配信業の傍らで、アイドルとしても活動している。……詳細は、各自インターネットで調べると良い」話し足りない様子だが、ミツキの顔を見て言葉を切る。
オーメン相良(リモート) : 「恐らくは、”クラッドカルト”の力を狙っての襲撃だろう。だが、現状、彼女らの所属組織や、真の目的は不明のままだ」
オーメン相良(リモート) : 「彼女らがオーヴァードであるという情報すら、UGNの記録には無かった。最近覚醒したのか、あるいは……」
オーメン相良(リモート) : 「……今回の任務の目的は、こよみくんの身の安全を確保する事にある」
オーメン相良(リモート) : 「君たちにはその為に、襲撃者に関する情報を集め、それを退けてほしい」
オーメン相良(リモート) : 「質問等あれば、ここで聞こう」
夢川めめ : 「あー!!!!あみらむてゃじゃん!!!」
「……はぁ〜♡相変わらずきゃわきゃわだねっ、てゆーか…」
推し活調査するだけで任務の助けになっちゃうの!?推しの情報とかふつーにめめ、いっくらでも調べちゃうけど…」
天海こよみ : 「お、推し……なの?あみぃちゃんとらむねちゃん、好きなの……?」 意外そうに
夢川めめ : 「だってビジュさいきょーじゃんね!?」
「きゃわきゃわだしぃ……めめもあーいう衣装着たいなー♡って」
…裏を返せばそれ以外に興味は持っていない、ということらしい
天海こよみ : 「あ……うん……かわいいのは分かるかも……」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、初めて見たけど確かに可愛いね」
琵琶坂 藍依 : 「……だけど、こんな若いのに、配信者とアイドルと誘拐犯を兼業してるなんて」モニターを覗き込み
虹之元ユメ : 「はいっ、見た目は可愛いですが気を付けてください。 綺麗な薔薇には棘があると言いますから、配信スタイルと同じくオーヴァードとしても苛烈でしたよっ」
澱 カシル : 「え〜っ! 好戦的なんですね……」
天海こよみ : 「確か、あみぃちゃんは傘から炎出して……らむねちゃんは爪を出して……戦ってきてたよね……」
天海こよみ : 「こわかったな……」
夢川めめ : 「ふわわ……バトり方も派手派手なんだぁ…むむ、めめも負けてらんないかも…!」
ふんすふんすと
十条ミツキ : 「……そうだね、普通に危険な存在ではあったと思うよ。もし接触する事があったら、十分気を付けてね」
天海こよみ : 「ミツキちゃんも、ね……」 心配そうに
十条ミツキ : 「…うん。ありがとう」小さく微笑む
天海こよみ : 「うん」 笑顔を返す
天海こよみ : 「……あ、あと」
天海こよみ : 「質問じゃないんだけど……」
天海こよみ : 「情報を集めるって、ぼくよく分からないから……あとでみんなに教えてほしいな……」
天海こよみ : 「守られてるばっかりなのも、あの……その、だし。できればお手伝いがしたい……」
虹之元ユメ : 「もちろん、UGNで学んだ収集術を伝授しちゃいますよ!」
虹之元ユメ : 「あ、私から軽く聞きたいことが!」
虹之元ユメ : 「らみどら!の2人がオーヴァードとして活動した記録って、こよみちゃんの襲撃以外にはないんですよね? 観測内では今回が初めて、ということですか?」
オーメン相良(リモート) : 「UGNのデータベース上ではそのようになっている」頷く
虹之元ユメ : 「……なるほど、ありがとうございます。ちょっと安心しました」 あの子達が悪いコトをたくさんしてたら嫌だな、と思っての質問だったらしい
オーメン相良(リモート) : うむ、と頷いた後、口を開く。
オーメン相良(リモート) : 「また、らみどら!の2名の件を抜きにしたとして……”クラッドカルト”についても、このまま放置するわけにはいかない」
オーメン相良(リモート) : 「彼の扱いには、こよみくんも相当苦労しているようだからな」ちら、とこよみを見て。
天海こよみ : 「そうだね……。人から親切にされるのはうれしいけど……」
天海こよみ : 「ナンパされたりするのは、ちょっと……こわいし……」
オーメン相良(リモート) : 「……そうだな。先述の通り、"クラッドカルト"はまだ未知の存在と言っていい。余計な刺激を与えないよう、ある程度制御する方法を模索したい」
オーメン相良(リモート) : 「彼への対応策については、まだ考え中だ。君たちには、”クラッドカルト”の要望を満たすべく、しばらくはアイドルとしての活動に専念してほしい」
オーメン相良(リモート) : 「ただし、決してこよみくんの引き立て役になれというわけではない。活動自体は、皆全力で取り組んでくれ」
澱 カシル : 「…………。はい! 全力で取り組みます!」
クラッドカルトという存在がオーメンの語った通りならば、カシルの対極でカシルの求めるモノを得た存在といっていい。
そこに思うところはあるが……今はまだ。分からない。
天海こよみ : 自分も引き立て役なんて思ってない、というように何度もコクコクと頷く。
夢川めめ : 「もっちろん♡……埋没なんてしてられないから。」
「あはっ!めめ、ちゃーんとかわいいしぃ、それでレッスンもかるーくぱぱぱぱぱって頑張って、もっともーっとかわいくなっちゃうもんね♡
虹之元ユメ : 「一生懸命に頑張りますっ!」むんっ
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、地上でも地下でもアイドルをするからには全力で」
オーメン相良(リモート) : 「…いいグループになりそうだな。嬉しい事だ」頷いて
オーメン相良(リモート) : 「ただし現時点では、任務の完了と共に、グループは解散とする予定だ。……君たちの青春を全て預けるに足るものかどうかについては、君たち自身の目で見て判断してくれ」
天海こよみ : 「……うん」 オーメンにアイドルの話を持ち掛けられた時のことを思い出しながら、頷く
澱 カシル : 「(胡桃さんを知る藍依さんに、クラッドカルトなる不届き者……最後は期間限定のアイドル業。 わたくしの願いは、叶うのでしょうか……)」
虹之元ユメ : 「もちろんですっ、全力全霊で挑みますっ」一時の夢でも全力で、逃すつもりはないが悔いが残らないようにと己に刻む
オーメン相良(リモート) : 「うむ。よろしく頼む。……それでは、2つ目の連絡事項だ」
オーメン相良(リモート) : 「……君たちには、これから3週間。この家で共同生活をしてもらいたい」
天海こよみ : 「え……!?」
虹之元ユメ : 「つまりは……合宿……!!」
夢川めめ : 「………え」
「……へーえ。皆で同じおうちで暮らすんだ〜〜、あは、面白そ〜」
ニッコリ、と張り付いたような笑顔のままで
「ちなみにPちゃま、3週間のスケジュールってどぉなってるの〜?」
澱 カシル : 「わぁ、素敵ですね……!」
「(…………ある程度は覚悟してましたが……、正体を隠し通しきらなければ………!)」
オーメン相良(リモート) : 「スケジュール等についても、これから順を追って説明していこう」態度に気付いているのか、果たして。
オーメン相良(リモート) : 「こよみくんに取り憑く"クラッドカルト"の監視の意味もあるが……これを機会に、君たちに親睦を深めてほしい」
オーメン相良(リモート) : 「ミツキくん、君もだぞ」
十条ミツキ : 「は……!?」
十条ミツキ : 「ま、待ってよ!アタシは……た、確かにいいけど……流石に急すぎるんじゃないかな……!?」
オーメン相良(リモート) : 「いや、そんな悠長な事を言っている暇はない」
オーメン相良(リモート) : 「3つ目。君たちのファーストライブの日程が決まっている。今日から3週間後だ」
天海こよみ : 「ええ……!?」
虹之元ユメ : 「ふぁ、ふぁーすとらいぶ……!!」瞳がキラリと輝く
琵琶坂 藍依 : 「……クラッドカルトの要求。つまり人気の獲得を満たすには、できるだけ早くファーストライブを行なう必要がある。覚悟はしてたけど3週間後か」冷静に
澱 カシル : 「わ、合宿明けたらですか! 3週間の期間なら完璧に仕上げられちゃうかもですねっ!」
夢川めめ : 「………………」
黙って話を聞いている、が。
耳をすませば、足元から微かにたんたんたん、と足を鳴らす音が聞こえるかもしれない。
カシル同様直近に迫るライブの開催には動揺していないようだ。
琵琶坂 藍依 : 「いや、正直に言うと、3週間の合宿でパフォーマンスを仕上げるのは無理があると思うよ……」
琵琶坂 藍依 : 「私はともかく、皆はアイドル未経験な訳だし、正真正銘ゼロからスタートって言ってもいい……」
十条ミツキ : 「アイの言う通りだよ……!というか、まだグループ名も衣装も曲も振り付けも、何も用意されてないじゃん!」明らかに動揺した様子で
オーメン相良(リモート) : 「いや。もう用意を始めている」
天海こよみ : 「や、やっぱり……」 そうなんじゃないかという気がしてきていた
天海こよみ : 「……でも、ちょっと気になる。どんなグループ名で、衣装で、曲なんだろ……?」
オーメン相良(リモート) : 「それについてはこれから説明する」
オーメン相良(リモート) : 「君たちのグループ名は『MARiNE SNOW』。
……良い名前だろう?」
天海こよみ : 「マリンスノウ……!」
澱 カシル : 「マリンスノウ……どういう意味でしょう?」
天海こよみ : 「海……雪?」 英語に自信は無い
虹之元ユメ : 「綺麗な響きですね……でも、はい、意味は気になるかもです!」
夢川めめ : 「……海の中のゴミとか、微生物とか、そーいうのだっけぇ」
「めめ、生物詳しくないからわかんなーい」
「誰か知ってる人いるう?」
頬杖を着いて
天海こよみ : 「ぼくはわかんない……」 ゴミと聞いて意外そうに
琵琶坂 藍依 : 「……深海なんかで見る事ができる白く光る粒子だね、確か」玲瓏女学院で学んだ知識が生きる
琵琶坂 藍依 : 「キラキラしていて雪みたいに見えるから『海の雪(マリンスノウ)』って呼ばれているんだけど、その実態はメメの言う通り、ゴミや微生物あるいは生物の死骸で出来ているとか」
天海こよみ : 「アイちゃん、ものしり……」
澱 カシル : 「海に降る雪! こよみちゃんの海の能力にも馴染んでいて、とってもいい名前だと思います!」
澱 カシル : 「(その正体は、光に輝くカバネ……ふふ、まるでわたくしの目標のような名前でもありますね……)」
天海こよみ : 「そっか、海の能力……。しがいっていうのはちょっとこわいけど……きれいで良いグループ名、だね」
虹之元ユメ : 「海中に舞い散る雪……なんだかロマンチックですね! 少し不気味なところもギャップ……ですかね?」
夢川めめ : 「……びわち、凄いね」
「キャワイイだけじゃなくてちゃんと知識もあるんだぁ、ふふ…尊敬しちゃう〜」
「…………めめも、''チーム名については''なぁんにも文句ないよ〜」
十条ミツキ : 「……うん。名前については……結構、いいね」頷く
オーメン相良(リモート) : 「好意的な反応で何よりだ。さて、次は衣装についてだな」
オーメン相良(リモート) : 「衣装は明日完成予定だ。デザイン案の捻出より、完成の方が早い……我々の持つ力にも良いところはあるというわけだな」
オーメン相良(リモート) : 「デザインのラフがこれだ。転送しよう」
GM : オーメンはそう言って、衣装のデザイン画をミツキに共有する。
GM : ……レースがたっぷりとあしらわれた、シックながらもアイドル衣装らしいデザインだ。
GM : 黒に近い、落ち着いたネイビーが基調となっているが、生地には透け感がある。
GM : また、ラメやスワロフスキーがアクセントとなっており、これらはスポットライトを浴びた際に輝くよう設計されているようだ。
GM : 統一感はあるものの、メンバーごとに、細かい意匠がカスタマイズされている。
GM : 世界でたった1つの、キミだけの衣装だ。
天海こよみ : 「これが……ぼく達の衣装……?」
澱 カシル : 「わぁ………まだ絵ですけど、もう可愛くてカッコよくて……! 本物を見るのが待ちきれないですね!」
虹之元ユメ : 「こんな良い物が、明日にも完成を……!?」自分だけの、マリスノにのみ着ることを許された衣装案に目を奪われる
夢川めめ : 「皆、一人一人ちゃんと違うね〜!」
「んふ、やっぱりアイドルの衣装ってこんな感じだよねぇ♡わかるわかる〜!」
「めめ、ゴス系もだ〜いすきだからぁ、この衣装も気に入っちゃったっ♡ふふっ」
琵琶坂 藍依 : 「流石はUGNって事なのかな」関心したように
天海こよみ : 「…………」 この服を着た自分を想像しているが、まだ実感が湧いていない
オーメン相良(リモート) : 「そして、曲についてだが……既に1曲は完成している。デモ音源を流そう」
GM : オーメンがそう言うと、今度はミツキのアカウントに音声ファイルが届く。



GM : 切ないイントロと、どこか希望を感じさせるアニソン的な響き。暗闇に差す一筋の光。ギターサウンドが、ただのアイドルソングに収めない、かっこよさと華やかさを演出している。
GM : まだ歌詞は乗っていないが、しかし。これがベースとなるのであれば……
GM : ……きっと、凄く良いデビューを飾れるのではないか。そんな予感がした。
天海こよみ : 「かっこいい感じの曲なんだね……ぼくは好きかも」
夢川めめ : 「……めめ、曲のことってよくわかんない」
「でも……なんかギターとかちょーかっこいいしぃ、可愛いとはベツモノだけど……」
「ねっ、めめも嫌いじゃないよ〜!」
虹之元ユメ : 「内に響くようなサウンド……これ、良いですね!」
澱 カシル : 「激しい曲調……でも不思議と優しさ?みたいなのも感じますね!」
琵琶坂 藍依 : 「うん、駆けだしのアイドル事務所が数日で用意した曲とは、とても思えない出来栄えだね」
オーメン相良(リモート) : 「提携先が優秀だからな。彼らもまたオーヴァードであるわけだが……」
十条ミツキ : 「……」曲に聞き入っている。ドクアオ所属時代の事を思い出しているのだろう。
天海こよみ : 「……どんな歌詞がつくのか、楽しみだね」 早く歌ってみたい、と少しわくわくしながら
オーメン相良(リモート) : 「歌詞は明後日に送る予定だ。明日はアーティスト写真の撮影日だからな……さて」
オーメン相良(リモート) : 「あとは、ファーストライブについての説明だ」
オーメン相良(リモート) : 「ライブは、今日から3週間後の日曜日。公演時間は30分間で、対バンイベントへの飛び入り参加となる」
オーメン相良(リモート) : 「既にイベント主催者には手を回し、『飛び入り参加』枠がある事をSNSで告知してもらった。界隈は既にざわついているぞ」
GM : ライブのフライヤーが画面共有される。オーメンの言う通り、立ち並ぶアーティスト写真の中に、1枠だけ空白ができている。
十条ミツキ : 「ろじぷらにアマセカ……中堅どころのアイドルグループが揃っているね」
天海こよみ : 「ほんとだ……この中で、やるんだ……」 少し不安げに
琵琶坂 藍依 : 「これから三週間で仕上げて、ね……」
琵琶坂 藍依 : 「参考までに教えておくと、私が前いたグループでファーストライブの準備に使った期間は3ヵ月。その4分の1の期間だね」
天海こよみ : 「そうだよね……ふつうはそれくらいかかるよね……」
澱 カシル : 「だからって、あたしは逃げたりしませんよ。」
どこかの、誰かさんみたいには。と心の中で付け加える
虹之元ユメ : 「わぁ、このグループに劣らない様に3週間以内に仕上げる訳ですね……! ド、ドキドキしてきた……! 」
夢川めめ : 「え〜〜?でもめめたち頑張ればいけるでしょ〜?」
「んふ、今から怖がることないよぉ、こよこよちゃん!それに〜…やってみてダメだったら考えればいいじゃん?」
夢川めめ : 「だいじょーぶだいじょーぶ!」
「……練習?とかすれば問題ないない!」
天海こよみ : 「……うん。ありがとう、めめちゃん」
天海こよみ : 「みんなでがんばろうって……決めたもんね」 不安を振り払って貰えたのか、小さく笑う
夢川めめ : 「ね〜♡」
くすくす笑いながら
オーメン相良(リモート) : 「……お披露目する楽曲は5曲。前半3曲、MCを挟んだ後、後半2曲だ」
オーメン相良(リモート) : 「つまり、君たちにはこれから3週間で、5曲分を仕上げてもらいたい」
オーメン相良(リモート) : 「アイ以外は初心者だ。ある程度『素人』なパフォーマンスを見せても、概ね好意的に受け入れられるだろうな」
GM : 口ではそう言うが……キミたちは、彼が決して本気でそう言っているとは思えないだろう。
天海こよみ : 「わ……わぁ……!」 不安を振り払ったばかりだが流石に驚く
虹之元ユメ : 「三週間で、五曲を……」流石に面を食らったのか、少し目を伏せて、想定していたペース配分を頭の中で組み立て直している
琵琶坂 藍依 : 「4日で1曲を覚える計算……いや、合わせまで考えるなら3日で1曲になるかな……」
澱 カシル : 「あたし、まだピンときてないんだけど……そんなに大変なのかな?」
琵琶坂 藍依 : 「……いざレッスンが始まれば、嫌でも分かると思うよ」
夢川めめ : 「ほぇ〜……え、待って?それって5曲分別の衣装があるってコト…!?」
「や〜ん、めめたのしみ〜♡かわいいお洋服たっくさん着た〜い♡」
ほっぺたに両手を当て
十条ミツキ : 「た、多分1曲1曲で衣装変えはしないんじゃないかな……流石にプロデューサーも死ぬと思う」
夢川めめ : 「え、そぉなの…?」
🥺顔で
「めめたち、3週間で5曲覚えるのに?」
夢川めめ : 「Pちゃまは衣装、3週間で新しく4種類ずつ用意してくれないのぉ…?」
うるうるおめめを画面越しのオーメンに向けて
可愛い感じで言ってるが本気とも取れないほどの様子だ、あれっ目の奥が笑ってない……かもしれない…
オーメン相良(リモート) : 「………」っすぅーーー……と、面の下で息を吸う気配がする。
オーメン相良(リモート) : 「……現実問題の話をしよう。君たちが一曲一曲を歌うごとに、衣装変えの為にステージ脇に捌けていたら……観客は暇するぞ」
オーメン相良(リモート) : 「それに加え、君たちはまだ『お披露目』をする段階だ……まずは記号的な衣装、いわゆる『初期衣装』を覚えてもらう必要がある」
オーメン相良(リモート) : 「ちなみに、今回の衣装は深海をイメージしたものだ。……君もアイドルを研究したのなら、コンセプトとビジュアルを合わせる事は大事だと理解しているのでは?」
夢川めめ : 「ふ〜〜〜ん……たしかにぃ、Pちゃまのゆーことも一理ある…かにゃ?」
「マリンスノウ、深海、ん〜……」
ぽやぽやと何かしらを思い浮かべ
夢川めめ : 「……じゃ、いいや。」
いつもよりフラットな声色で
「いいよぉ♡……あとあと、めめ的にはぁ…そのコンセプト、ず〜〜〜…っと忘れないようにしてくれると嬉しいな〜って!」
オーメン相良(リモート) : 「……?それはもちろんだが…」
天海こよみ : 「よ、よかった……。三十分で五着もおきがえするの、たいへんそうだと思ってたから……」 着替えが苦手なので
琵琶坂 藍依 : 「実際、早着替えする場合は、着替えやすいよう特殊な加工や仕組みが施されていたりする訳だけど……プロデューサーが言った通り、そもそも衣装の着替えが目的になったら本末転倒だしね、そこは心配しないで大丈夫」
天海こよみ : 「うん、そうだよね……」
オーメン相良(リモート) : 「衣装問題は一旦良いな」自分で頷き、話を続ける。
オーメン相良(リモート) : 「さて、皆も思う通り……3週間で5曲仕上げるのは、かなりのハードスケジュールだ。練習の時間として、休憩を挟みつつ9時~18時を確保したいと考えている」
オーメン相良(リモート) : 「だが、恐らくはそれ以上の練習時間が必要となるだろう。深夜の練習について、金銭面の手当ては出すが……基本的に外出の機会はないものと考えて欲しい。もちろん、買い出しや外せない用事については、相談してくれれば検討する」
天海こよみ : 「わぁ、いっぱい練習するんだ……」 驚いているような、少し嬉しそうな、そんな声色で
虹之元ユメ : 「実質、同意の元で軟禁状態……みたいなものですね。三週間で五曲というスケジュールなので仕方のない部分ではありますけども!」
澱 カシル : 「結構ハード?なんですね〜。でも、大丈夫です! 根気には自信アリ、ですので!」
琵琶坂 藍依 : 「……9時から18時となると、その期間はずっと学業を休む形になるのかな」
オーメン相良(リモート) : 「む。……そうだ、君は現役の学生だったな。失礼…流石に学校を休めとまでは言わない」
オーメン相良(リモート) : 「ただ、そうなると丸一日練習できる日数はだいぶ限られるな……当日はMCで繋いで、3曲程度に抑えても構わないが」
琵琶坂 藍依 : 「……いや、私はそんな中途半端なマネはしたくない」
琵琶坂 藍依 : 「…………そうだな、私だけ練習時間をズラしてもらう事ってできないかな?それでも少し練習時間は少なくなるとは思うけれど」
オーメン相良(リモート) : 「無論、構わないが……良いのか?君が体を壊しては、本末転倒だ」
琵琶坂 藍依 : 「自分の限界は、分かってるつもり」前いたグループでもハードスケジュールは経験している
琵琶坂 藍依 : 「────大丈夫、無理はしないからやらせてプロデューサー」
オーメン相良(リモート) : 「……承知した。だが、問題が起きた場合はすぐに連絡するように」真剣な声色で
オーメン相良(リモート) : 「それと、君の通学については車で送迎しよう……多忙の中、東京の満員電車は堪えるだろうからな」
琵琶坂 藍依 : 「うん、ありがとう」微笑んで
琵琶坂 藍依 : 「……嬉しいけど、送迎の時くらいはその恰好やめてね」
オーメン相良(リモート) : 「………………」
オーメン相良(リモート) : 「……さて。次に進もうか」
琵琶坂 藍依 : 「(…………もし意地でも止めなかったら《天使の絵の具》で強引に何とかしよう)」
夢川めめ : 「ぐぅ…ぬ、ぬぎぎ………」
眉間を押え、呻き声を漏らしている
天海こよみ : 「……?めめちゃん……?」
虹之元ユメ : 「もしかして、お腹とか痛いですか?」さっき塩水をイッキしたのを気にしている
夢川めめ : 「……待って、はい!」
元気よく挙手
「はい!はい!Pちゃま質問!」
「て、ゆーかめめから2点ほどお話があります!」
オーメン相良(リモート) : 「ん。どうした」何となく扱い方を理解し始めた様子で返す。
夢川めめ : 「まず1点!」
すちゃ、と自前の丸メガネを装着してデコ電卓をバッグから出す
「深夜帯のレッスンについて、特別手当が着く……みたいなこと言ってたけど、具体的に普段のお給料にどんな係数をかけて出してくれるの?」
「そもそも普段のお給料は??チェキバックのお話は聞いてたけど、成果給しかないなんてことないよね?ねっ?」
めちゃくちゃ早口だ!
オーメン相良(リモート) : 「基本給は月給25万。戦闘など、危険が伴う業務を挟む場合は、通常のUGNの任務での賃金と同様の計算を行い、その額を加算。深夜帯の手当てについては検討中だが……おおよそ、これくらいでどうかと考えている」画面の前で計算機を叩き、額を提示する。通常であれば納得できる額面だ。
夢川めめ : 「ちょっと待って。」
そう言ってから、ぶつぶつと口の中で呟き始める
指先は電卓を叩き、あるいはそらでそろばんを弾いている
夢川めめ : 「……基本給からすると月4で計算して1現場あたりチェキ41枚強買える…そこに色をつけて最低でも60枚は硬い?いやでも8は行きたい…そもそも全通しないとめめの気持ちがすまないし……」
夢川めめ : 「……月8なら20.875枚……は?全然足りない、足りるわけない…お金稼ぐためにアイドルになるって決めたのに、これから3週間の特典会じゃあの女に勝てないぢゃん…」
「おかしいおかしいおかしい、じゃあ保険解約して、あとはまた借りれば多少は済むとして……」
カチ、カチ、カチ、とボールペンを周期的にノックしながら
夢川めめ : 「………あ、でね?」
「それから質問2つ目!」
けろっと声色を変えて、気を取り直す。
「……夕方のお出かけ、許して欲しいんですケド。」
オーメン相良(リモート) : 「……と、言うと?」
夢川めめ : 「……………」
「確かにこのハードスケジュール、そおしないとめめたちがダンスとか覚えらんない!…ってPちゃまが判断して組んだものだと思うのねっ?」
夢川めめ : 「でもぉ、やっぱりびわちのガッコであったり……そーゆーやむにやまれない事情って皆にもきっとあると思うの」
「だからあ、ちょっと……週に1回でもいーから、息抜きするために夜のお出かけとかも許して欲しいなー!って」
夢川めめ : 「……ね、めめ帰ってきたら絶対練習するから〜〜!やるもん!」
「お願いお願いお願いっ!!」
両手を組んでお祈りポーズして
オーメン相良(リモート) : 「……先程も言った通り、『やむをえない』外せない用事については、私も検討する」
オーメン相良(リモート) : 「たまの息抜きは、私も必要だと考える。週に1度、休むことも大いに結構だ」
オーメン相良(リモート) : 「……『昼』の外出なら、息抜きという目的も果たせるのでは?」
夢川めめ : 「ヤダッ!」
夢川めめ : 「やだやだやだ!!」
「こう……めめは夜の生き物なの!お昼に外出ても上がんないの〜〜!」
オーメン相良(リモート) : 「夜の生き物なら、夜に練習した方が良いのでは……」
夢川めめ : 「ふぇえ…Pちゃまがいじわるする……」
うるうる涙を溜めた目でオーメンを見つめる。
私がこうすることで喜ばぬ男はいなかった
オーメン相良(リモート) : 「………ふむ……」
GM : 反応は芳しくない……だが、あまり演者の機嫌を損ねる事も良くないと考えたのか。
オーメン相良(リモート) : 「……いいだろう。週に1度、練習後の夜の外出を許可する」
夢川めめ : 「やっっっっ…たー!!」
ばんざーい!と両手を上げて
「わ〜いPちゃま大好き〜♡♡」
夢川めめ : 「えへっ、じゃあめめ頑張るから〜!」
「できるだけ頑張るし…ちょっとだけ無理しても頑張るし!!ふふっ、これから楽しみ〜♡」
ルンルンと弾んだ声で。
先程までの異様な雰囲気とは大違いだ
オーメン相良(リモート) : 「……」その態度に小さく息を吐く。
オーメン相良(リモート) : 「ただし、出かける前にミツキくんに一言伝える事。そして帰宅時間についても連絡し、終電では必ず帰るように」
オーメン相良(リモート) : 「いいな?」
夢川めめ : 「ふぁ〜〜い、わかりましたぁ〜」
「終電守る、みつきちに連絡する…おっけおっけー!」
ぴこ、と舌出しOKマークを指で作りつつ
澱 カシル : 「ふむふむ、めめちゃんにはどうやら本当に大事な用事があるみたいですね! 凄い執念を感じますから!」
天海こよみ : 「でも夜に息抜きって、何をしに行くの……?」 不思議そうに
虹之元ユメ : 「それは確かに……めめちゃんにとって、よっぽど大事な御用事なのでしょうけど……」
夢川めめ : 「ふふっ、たとえるなら命の洗濯かな〜♡」
夢川めめ : 「……それに、めめにとっても息抜きはだいじだけどぉ…」
「きっと皆にとっても悪いことじゃないと思うよ〜?」
「ほらぁ、カラオケでハニトー食べたりご飯屋さん行ってみたり…おやすみ合わせれば、そーゆうご褒美だって出来るわけぢゃん?」
琵琶坂 藍依 : 「いや、それだけ時間あるなら練習するかな私は」
琵琶坂 藍依 : 「本当にギリギリのスケジュールな訳だし、そんなに遊んでいるヒマはないよ」
天海こよみ : 「そうかもね……。でも、ごほうび?っていうのはちょっとわかるかも……」
天海こよみ : 「ぼくも、ドクアオのライブに行ってた時は楽しかったし……」 目を閉じて、昔のことを思い出す
澱 カシル : 「うーん………あたしは未経験だし、ちゃんと練習したいから自主練習しようかな? 自分を追い込む、ってやつです!」
虹之元ユメ : 「うーん、でも……息抜きをしたいって気持ちはわかります! ずっと練習ばかりではストレスの捌け口がありませんし、パンクしてしまっては元も子もありませんからね」
虹之元ユメ : 「だから、"息抜き自体には"賛成です!」こうは言って見せるが、自分は藍依達と同じく練習に専念するらしい
夢川めめ : 「……うんうん!もうPちゃまから許可は貰えてるわけだからぁ、皆好きなように過ごせばいいと思うよ〜♡」
「あは、やっぱり〜、困ったら相談するものだね〜」
周りの反応は特に気にせず、自分の意見が通ったことをよろこんでいる
天海こよみ : 「……?」 結局、どこに何をしにいくんだろう?と、質問にちゃんと答えて貰えなくて疑問が頭の中をふわふわ泳いでいる
琵琶坂 藍依 : 「(……大丈夫かな、息抜きが悪い方向に転ばないといいけど)」その様子を見て目を伏せる
虹之元ユメ : 「あっ、もし夜中も練習したいってなったら声をかけてくださいね! いつでもお付き合いしますので!」ふんす、と自身のある顔つき
澱 カシル : 「わ、お願いします! あたし、夜に強いですし!」
オーメン相良(リモート) : 「さて、話の続きだが……明後日にはそちらに衣装が届く予定だ。アーティスト写真の撮影と個人のSNSの開設を行ってもらうぞ」
オーメン相良(リモート) : 「君たちは可愛いからな、然程時間はかからないと思うがコンディションを万全に整えておくように」
天海こよみ : 「う、うん……。SNSって、全員やるの……?」
夢川めめ : 「ふふーん、めめがかわいいのは知ってた!」
腕を組み、うんうんと頷いている
「ま、めめは今からでも問題ないけどね!」
「めめ、めっちゃ慣れてるからどーんと任せてよ!」
でかい胸をぽん、と叩いて
澱 カシル : 「わかりました!………その、SNSってあんまりよく分からないので、後で教えてもらえれば!」
虹之元ユメ : 「アー写とSNSの用意は必然ですよね、楽しみにしています!」
澱 カシル : 「(それと、写真を撮られるのは構いませんが……"おかしな"写真にならないように調子を整えておかないといけませんね )」
琵琶坂 藍依 : 「SNS……SNSね……」いい思い出が無い
オーメン相良(リモート) : 「アカウントは全員に作ってもらうぞ。SNSの使い方は……私より、カシルくん以外のメンバーの方が詳しいだろうな」
天海こよみ : 「やっぱりそうだよね……」 個人って言ってたしそりゃそうだと納得
天海こよみ : 「……アイちゃんも、あまりくわしくないのかな」 微妙な表情をしているのを見て
琵琶坂 藍依 : 「ああ、うん……、詳しくないというか、ね…………」
琵琶坂 藍依 : 「あんまり好きじゃないんだ、SNS……」
天海こよみ : 「そうなの……?どうして……?」
天海こよみ : 「ぼくは、推しのSNS見るのすきだから、ファンの人はよろこぶと思うけど……」
琵琶坂 藍依 : 「そう、だね……」
琵琶坂 藍依 : 「コヨミは知らないんだったね……。実は私……、会った時に"訳アリ"って言った通り、1年前に大きな炎上した事があるんだ……」
天海こよみ : 「え、炎上……?」 初耳だったので目を少し見開く
澱 カシル : 「(…………。)」
Seventh Heavenがもう表舞台にいない理由。
藍依がここにいる理由。
"炎上" 。
あの夜の久能胡桃の心。
材料は揃っているけれど、推理の組み立てを拒否する。
知りたくない。認めたくない。
琵琶坂 藍依 : 「……この際だし、どうして炎上したかも教えておくね」
天海こよみ : 「え?でも……」 辛いことなんじゃ、と心配そうに
琵琶坂 藍依 : 「いいんだ、メンバーに隠し事はしないって決めたから」
天海こよみ : 「……そう。わかった」 それなら、と聞く構え
澱 カシル : 「………っ」
逃げ出しそうになる心に刺さる、"隠し事はしない"。
その言葉が産んだ迷いが、カシルの退路を断つ。
琵琶坂 藍依 : 「……私は元いたアイドルグループ"Seventh Heaven"で、一人のメンバーを自殺に追いこんだ」
天海こよみ : 「……じ、じさつ」
琵琶坂 藍依 : 「うん……、未遂じゃない自殺……」
琵琶坂 藍依 : 「その犯人って、そう言われてる」
天海こよみ : 「え、えっと……。ほんとに……?」
澱 カシル : ──驚きは無かった。
予想できた話。
名前こそ出していないけれど……
久能胡桃にカシルが出逢った夜が、彼女の最期の夜だったのだろう。
夢川めめ : 「…………いじめ、ね」
「言われてるって、なんか……ひっかかる言い方だけれど…」
苦い顔をしながら
虹之元ユメ : 「でも、実際は……」情報収集に長けるユメは察しがついているが、ここでの深堀を避ける為に口を噤む
澱 カシル : 「………久能、胡桃」
言うつもりはなかった。けれどその言葉は……
死者に操られるかのように。突いて出た。
琵琶坂 藍依 : 「…………そう、久能胡桃。それこそ自殺してしまったメンバーの名前だよ」やっぱり胡桃を知っている、と確信して
澱 カシル : 「(……ああ、やはり命を絶ったのですね……) 」
自分に光を見せてくれた人。
自分を怪物から人間になる道(こころ)を示した人。
今度はこちらから照らしたいと思った人。
澱 カシル : ──もういない。
そんなこと、とっくに分かってたはずだ。
琵琶坂 藍依 : 「真実はどうあれ、その件ですごく炎上して……以来、SNSは苦手なんだよね…………」
琵琶坂 藍依 : 「SNSの炎上がどういうものか……、コヨミは知っているでしょう……?」ミツキのファンならと言外に
十条ミツキ : 「……」黙っている。
天海こよみ : 「それは、知ってる……けど……」
天海こよみ : 「…………」 少しだけ思い悩んでから、
天海こよみ : 「……でも、好きな人がいるSNSの楽しさも、知ってるよ」
天海こよみ : 小さく微笑んでそう言う。記憶の中に残ってるのは、嫌な思い出だけではないと。
天海こよみ : 「だから、これからやる内に好きになれたら……いいんじゃない、かな……?なんて……」
琵琶坂 藍依 : 「コヨミ……」
琵琶坂 藍依 : 「そう、だね……コヨミが言うように好きになれるかは分からないけれど……」
琵琶坂 藍依 : 「だからって後ろ向きにばかり考えていても、仕方ないよね……」
天海こよみ : 「う、うんっ……!」 力強く頷く
琵琶坂 藍依 : 「……アイドルとしてまだ活動してもない後輩に諭されるなんて、まだまだだな私」小さく呟いて
琵琶坂 藍依 : 「……………うん、プロデューサーとコヨミの言う通り、SNSを開設してみる事にするよ」
天海こよみ : 「そっか、よかった……」 それと少し楽しみというように笑う
虹之元ユメ : 「楽しいSNS作りが出来るように、私も何か考えてみますねっ!」 鼓舞するように、そう言ってみせる
夢川めめ : 「……うん!そぉだね!きっとぉ…びわちなら大丈夫♡」
「めめもぉ、じつはSNSのプロだから〜、教えられることはなぁんでも教えてあげる〜!」
めめなりの鼓舞……?なんだろうか
よくわからない
琵琶坂 藍依 : 「ありがとう、たすかるよ」投稿内容を考えるコト自体も苦手だし
澱 カシル : 「………っあ、はい! ご指導お願いしますっ!」
自問自答は切り上げて、眼の前のやり取りに帰ってくる
オーメン相良(リモート) : 「(思うところはあれど、アーティスト写真の写り具合については誰も心配していないのだな…)」うんうんと頷いたのち、言葉を続ける
オーメン相良(リモート) : 「それと、別でお願いしたいことがあるのだが……MARiNE SNOW目当ての枠で、チケットをある程度捌く必要がある」ライブハウスのあるあるだな、と補足をし
オーメン相良(リモート) : 「ある程度の動員は期待できるが、念の為、周囲に来てくれそうな者がいるなら声掛けをお願いしたい。当てはありそうか?」
天海こよみ : 「えっ」
天海こよみ : 「おばあちゃんと……ミツキちゃんと……近所のネコちゃんでいけるかな……」
澱 カシル : (固まっている)
夢川めめ : 「…………」
指折り何かを数えて
「ぁ、PちゃまPちゃま!バ先のお客ちゃまに売るのってあり〜?」
虹之元ユメ : 「う~ん……UGNの人にお願いするのは憚られますね……。友達ともしばらく連絡とってないし~……」
オーメン相良(リモート) : 「猫ちゃんは入場禁止だ」
「それとバ先……む……………」
オーメン相良(リモート) : 「……治安が良い客なら」
夢川めめ : 「…………」
「めめにラブしてるタイプのちゃまとか……?」
神妙な面持ち
オーメン相良(リモート) : 「……ちゃんと飼えるなら」
天海こよみ : 「めめちゃん、もうファンがいるんだ……」
琵琶坂 藍依 : 「飼えるなら」
夢川めめ : 「え〜〜?めめよくわかんない……」
「でもがんばりま〜す♡」
きゃはっ♡と笑って
オーメン相良(リモート) : 「……」
澱 カシル : 「(ううっ………予想外の障害です……。お知り合いの方なんてほとんどいませんから……)」
澱 カシル : 「(進退窮まったら……チケットに呪詛を込めて手当たり次第に渡せば……耐性の弱い方なら来てくれるとは思いますが……)」
虹之元ユメ : 「と、とりあえず! 来てくれそうな人には声をかけてみます!」
「え~っと、同級生……支部の人達……ネットの不特定多数は避けて……」ぶつぶつと呟いてプランを立てている
琵琶坂 藍依 : 「……私も呼べる人はいないな、元アイドルってバレないように生活してたから」
澱 カシル : 「えっとお、あまり期待しないでもらえると……! でも、ほんとに売れなかったら、"どうにか"します!」
琵琶坂 藍依 : 「どうにか……?というかそもそも、そういうのってプロデューサーの仕事じゃないの……?」
琵琶坂 藍依 : 「地下アイドルっていないの?広報担当?」
オーメン相良(リモート) : 「強いて言うならグループの公式アカウントの『中の人』となるスタッフはいるが…真の広告塔となるのはメンバーである君たちだな」
オーメン相良(リモート) : 「地上出身の君とはあまり馴染みのない文化だろうが、そういうものだ」
琵琶坂 藍依 : 「……大変なんだね、地下アイドルも」
オーメン相良(リモート) : 「演者自身がやる事はだいぶ多いぞ」認めるように頷く
オーメン相良(リモート) : 「とりあえず……身内で呼ぶ事が望み薄なのは理解した。君たちにはぜひSNS運用を頑張っていただきたい」諸々諦めたようだ。
天海こよみ : 「うん……」 ちょっと申し訳なさげに頷く
虹之元ユメ : 「はーい……もう少し交友関係を大事にしておけば良かったなぁ……」 諸々犠牲にしていたのが仇になったことを嘆いてしょんぼりしている
夢川めめ : 「むうぅ……めめにぜーんぶ任せてくれれば一瞬で終わるのにぃ…
ちぇーっ、つまんなーい! 」
ぷくーっと頬をふくらせて まるでフグのようだ
澱 カシル : 「わかりました〜……」
しょんぼりしているが、他のメンバーも友達は少ないようで安堵もある
オーメン相良(リモート) : 「と、そうだな…あとは薄々わかっているとは思うが、しばらく君たちに調査をする暇はない。簡単な物を除き、オーヴァードとしての能力も使用禁止だ」
オーメン相良(リモート) : 「オーヴァードの歌手がライブ中に力を暴走させ、ファンに危害を及ぼした事例もあるからな。能力を使わない状況にも慣れておくように」
オーメン相良(リモート) : 「私からは以上だ。……質問などあれば、この場で」
天海こよみ : 「わかった……」 質問はない
虹之元ユメ : 「万が一がありますからね、そこに関して質問はありません」
澱 カシル : 「大丈夫です!」
能力の制御については僅かに不安はあるものの、彼の心配するような事態は起こらないだろう。
……たぶん。
夢川めめ : 「はぁ〜い♡」
「めめはもう質問ないよぉ、説明ありがとうPちゃま♡」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、能力を使う予定もないし特には」
オーメン相良(リモート) : 「よし。何かあれば、ミツキくんに声をかけてくれ。それでは」
GM : そう言って、通話から落ちる。色々とやるべき事があるのだろう。
十条ミツキ : 「……長かったね、お疲れ様。みんな疲れてない?」PCを閉じ、皆を見て微笑む。
天海こよみ : 「ちょっとだけ……」 とは言うが、小さく笑っている辺り最初の頃の方が緊張で疲れてそう
夢川めめ : 「えへ、元気元気〜!むしろ〜、座ってお話聞いてるだけでいーなんてめめ逆に疲れちゃうかも〜」
「あははっ♡」
「……でも、これからとーとー始まるんだね〜」
んー、と大きく伸びをして
虹之元ユメ : 「色んな情報が目白押しでしたからね、皆さんで休憩にでもしましょうか?」自分は平気だが、周りの様子を伺って
澱 カシル : 「いえ、あたしは元気です!」
心はまだ胡桃の一件を引きずってはいるが、肉体面になんら疲れはない。
琵琶坂 藍依 : 「まあ、これくらいで『もうぐったり』なんて言っていられないかもね……」3週間しかないし
虹之元ユメ : 「やることがいっぱいっぱいですもんね」
「でも、それも含めてちょっと楽しみかも……なんて」困ったような笑みを浮かべて
天海こよみ : 「……そうかもね」 分かる
夢川めめ : 「でもぉ、めめたちならきっとだいじょーぶ!」
「ふふっ♡楽しみながらやってこ〜?」
うぇい、と拳をちょっと挙げて
天海こよみ : 真似してちっちゃく拳を上げてる。
十条ミツキ : 「……そうだね。楽しく活動できるのが一番だと思う…」
十条ミツキ : 「…さて、と。プロデューサーの言っている感じだと、これからまた荷物を取りに帰ってもらうことになると思うんだけど……一旦、お茶にしない?」
GM : そう言って、冷蔵庫からケーキ箱を取り出す。ミツキがそれを開くと、中には小さめのホールケーキが入っていた。
GM : そこには、「デビューおめでとう」と書かれたチョコレートのプレートが載っている。
天海こよみ : 「わ……!?」
虹之元ユメ : 「ケーキ! 粋なプレゼントですね!」
夢川めめ : 「わ……!え、お誕生日のケーキみた〜い!最高かな〜??」
ケーキをスマホで連射し、ひとしきり満足した後に
「はわ……!もしかして今日がめめたちグループのお誕生日だから……?」
うるきゅるおめめでみつきちを見つめるよ
十条ミツキ : 「そういう感じ。…多少はこういうイベントあった方が、活動も楽しいじゃん?」ニコッと笑い
十条ミツキ : 「こよみには……おせんべいも用意してるよ。ちょっと良い感じの和菓子屋さんで見つけたんだけど」と、ネギ味噌煎餅を取り出す。ケーキと打って変わり、なんとも色気がないが、こちらも美味しそうである。
天海こよみ : 「あ……おいしそう……!ありがとう、ミツキちゃん……!」 甘いものが苦手なので嬉しそうに笑う
澱 カシル : 「こういうの、初めてです!」
カシルの外見年齢でケーキが初めての人間というのも、あまりいないのだが……
琵琶坂 藍依 : 「初めて……? 私も1年ぶりではあるけど……」
夢川めめ : 「や〜ん、みつきち大好き〜♡♡けっこんしょ……めめ、甘いものも大好きなの〜!」
両手を顔の近くで合わせて
「ねえねえこよこよちゃん、あとでおせんべ1枚貰っていい?甘いしょっぱいループしたくて〜」
虹之元ユメ : 「あ、私も貰ってもいいですか? 甘いとしょっぱいのループって中毒性ありますよね……」
天海こよみ : 「え?うん……いいよ?」 二人に頷いて
天海こよみ : 「……ミツキちゃんと結婚するのは、ダメだけど……」 真面目に受け取ってるのか、少し心配そうに胸元を握ってる
十条ミツキ : 「それは普通に冗談だと思うけどな…」苦笑いして
夢川めめ : 「にゃはは〜!」
「え〜?ほんとこよこよちゃんきゃわだね〜♡からかいがいがあるかも〜」
くすくす、と笑って
天海こよみ : 「え……?あ、冗談……?」 恥ずかしくなって、髪の毛を触りながら目を逸らしている
琵琶坂 藍依 : 「(……誰かと囲む笑顔の食卓、いつぶりだろう)」
琵琶坂 藍依 : 「(…………けど、そんなに呑気に構えてはいられない)」
琵琶坂 藍依 : 「(メンバーの中でアイドルの経験があるのは私だけ、この子達をアイドルとして正しく導く義務がある)」
琵琶坂 藍依 : 「────水を差すようで悪いんだけど、ケーキを分ける前にひとついいかな?」
天海こよみ : 「……?」
虹之元ユメ : 「なんでしょう?」
夢川めめ : 「ふぇ?なに……?」
包丁を持って、今にも切り分けんとしながら
澱 カシル : 「………。はい! 何のお話でしょうか!」
先程の件もあり、少し身構えてしまう。
琵琶坂 藍依 : 「皆はアイドルになるのは初めてみたいだし、確認の為にひとつ聞いておこうと思って」
琵琶坂 藍依 : 「(アイドルとしてすべき事は、これからトレーナーやスタッフが色々と教えてくれるだろうから……、そうだな…………)」
琵琶坂 藍依 : 「────アイドルにとって『最もしちゃいけない事』ってなんだと思う?」
天海こよみ : 「最もしちゃいけないこと……?」
夢川めめ : 「ふむむむ……なんだろぉ……?」
ぽやぽやと考えている
虹之元ユメ : 「…………」少し考えて、ふと思い浮かんだ答えを口に出すべきか逡巡する
虹之元ユメ : 「ファンを失望させたり、信頼を裏切る……とか?」ポツリと、様子を伺うようにそう呟く
天海こよみ : 「……うーん……」 小さく唸りながら考えて、
天海こよみ : 「ごめん……全然分からない、かも……」
夢川めめ : 「めめもピンとこないかも〜……」
「むむ……あ、強いてゆうなら〜、カワイくなくなるコト、かな?」
「すごーいアイドルってたぶんきっと〜、世界一かわいい女の子のことだからっ!」
自信ありげだ
澱 カシル : 「輝きの否定」
凍える声色で、微かに呟く。
「…………あ、いえ! アイドルって皆の心を惹き寄せるモノですから! キラキラしてないといけないかなって!」
琵琶坂 藍依 : 「…………そうだね」
琵琶坂 藍依 : 「可愛くなくなる事。キラキラしなくなる事。二人とも正しい」
琵琶坂 藍依 : 「────その答えは、一言で言うなら『ファン達の期待を裏切ること』。ユメが言った通りだ」かつて自らが犯した過ちでもあるのか苦しそうに言う
天海こよみ : 「………………」
虹之元ユメ : 「……そう、ですね。 ごめんなさい。貶すつもりはなかったんです」
澱 カシル : 久能胡桃を思い浮かべる。
彼女は、ファンの期待を裏切ったとも言える。
琵琶坂藍依もまた、同じく。
琵琶坂 藍依 : 「謝る必要はないよ、ユメ」
琵琶坂 藍依 : 「ただ私が言っておきたかったのは……」
琵琶坂 藍依 : 「このグループは『UGNの任務』の為に結成された訳だけど、それは私達の都合」
琵琶坂 藍依 : 「それと関係なく、ファンの人は全力で応援してくれる」
琵琶坂 藍依 : 「だから、アイドルとして、ファンの期待には全力で応えなきゃダメだし失礼って事」
琵琶坂 藍依 : 「……『トップアイドルになれ』とか『無理をしろ』とは誰も言ったりしない」
琵琶坂 藍依 : 「だけど、アイドルになるなら手を抜かず全力で挑んでほしい」
琵琶坂 藍依 : 「……アイドルの存在を"奇跡"と例える人もいるけれど」
琵琶坂 藍依 : 「────奇跡は、努力の先にしかないんだ」
琵琶坂 藍依 : 「…………なんて、わざわざ改めて口にしなくても、皆やる気みたいだけど」ふっと肩の力を抜いて笑う
虹之元ユメ : 「────はい、私……頑張りますっ! 夢と希望をみんなに与えられるアイドルに、もっともっと頑張って……」
「なって、みせます……!」
夢川めめ : 「はわ……びわち、なんだかかっこいいね……」
「めめも〜、できるだけたっくさんの人に【かわいい】って言ってもらいたいの!」
「だから〜、もっともっとかわいくなれるように頑張る、かなっ?」
澱 カシル : 「もちろんです! 全身全霊でやりますよ!」
当然だ。そうでなければ存在証明にならない。
それよりも……
澱 カシル : 「(奇跡は、努力の先にしかない……)」
ならば、ソレは何と呼べばいいのだろう?
こよみを視る。
否、こよみを通して、視えるはずの無い"ソレ"を視る。
「(クラッドカルト……)」
天海こよみ : 「…………」 カシルから視線を感じて、ちらっとそちらを見てから
天海こよみ : 「……うん。がんばろうって……思ってるよ。そう決めたから」
天海こよみ : 「でも、ぼく……アイちゃんの言ってること、少しだけ分からないかも……」
天海こよみ : 「アイドルとしてやっちゃいけないこと、って……本当にそうなのかな……?」
琵琶坂 藍依 : 「────と言うと?」
天海こよみ : 「え、えっと……」 少し悩んで
天海こよみ : 「ファンの期待を裏切るのはいけないこと……それは、分かるんだけど……」
天海こよみ : 「アイちゃんが言ってるのは、そうならないようにするプロ意識のことだと、思う……けれど……」
天海こよみ : 「……あ、あの、今そう言われて、やっとちゃんと分かったんだけど……」
天海こよみ : 「ぼくは一番好きなアイドルに、期待をうらぎられても……」
天海こよみ : 「ぼくにとっては、そのアイドルは……今でも一番大好きな人……だから……」
天海こよみ : 胸元を握りしめながら、不安そうに、しかしはっきりとそう伝える。
十条ミツキ : 「………ッ!!」無言で目を見開き、肩を震わせる。
琵琶坂 藍依 : 「…………そう、やっぱりミツキの事が大好きなんだね」
琵琶坂 藍依 : 「いちアイドルとしては、そこまで愛してもらえるミツキが羨ましいよ」
琵琶坂 藍依 : 「……けど、多くのファンはそうじゃない」
琵琶坂 藍依 : 「ファンは当然、アイドルに期待を裏切られたら悲しいし、逆に期待に応えてくれたら喜ぶもの」
琵琶坂 藍依 : 「────そうした多くの人間の気持ちを左右する立場に立つ、っていう責任は知っておいてほしい、そういう話だね」
天海こよみ : 「……うん」 ちゃんと理解はしているらしく、こくんと頷く
十条ミツキ : 「……アイが言っている事は確かだよ。……うん」自分に言い聞かせるように呟き、無言で目を閉じる
天海こよみ : 「ミツキちゃん……」
天海こよみ : ここまで言って表がP感情じゃないのはおかしい、ミツキちゃんのロイスの感情を憧憬/〇不安→〇憧憬/不安に変更します。
琵琶坂 藍依 : では同じタイミングでミツキちゃんにロイスを取得しようか!〇憧憬/憤懣で!!
system : [ 琵琶坂 藍依 ] ロイス : 3 → 4
澱 カシル : ロイスのクラッドカルトに感情設定!
さっき取得って感じかな
親近感/嫉妬のNで!
天海こよみ : 「……でも、アイちゃんは大きな炎上って……ファンの期待をうらぎったことが、あるんだよね……?」
天海こよみ : 「それなのにどうして、今もアイドルをやっているの……?」
琵琶坂 藍依 : 「……それは、」
琵琶坂 藍依 : 「…………親友との、最期の約束だから」
天海こよみ : 「親友との約束……?」
琵琶坂 藍依 : 「……うん」
琵琶坂 藍依 : 「私がバッシングを受けた理由は話したよね、元いたアイドルグループで一人のメンバーが自殺した」
琵琶坂 藍依 : 「……その自殺したメンバー、久能胡桃は私の親友だったんだ」
天海こよみ : 「……それって、さっき言ってた……?親友、だったの……?」
琵琶坂 藍依 : 「────うん、その親友から最期に頼まれたんだよ『代わりにトップアイドルになってほしい』って」包み隠さず真実を伝える
琵琶坂 藍依 : 「だから私は、アイドルを続けてる」
天海こよみ : 「……そう、だったの……」
澱 カシル : 「あの〜。ちょっといいですか?」
澱 カシル : 「それ、ホントに……? 胡桃さんはいつ藍依ちゃんにその話を……?」
琵琶坂 藍依 : 「こんなときに嘘は……、いや、信じられなくても無理はないか……」何故なら世間では"嘘吐きの悪女"で通っている
琵琶坂 藍依 : 「でも、本当の話だよ」
琵琶坂 藍依 : 「……知ったのは数ヵ月前」
琵琶坂 藍依 : 「直接、胡桃と話せた訳じゃないけど、胡桃の家族に遺書を渡されて」
琵琶坂 藍依 : 「…………私はそこで"自殺の真相"と"私に夢を託してくれたコト"を知った」
澱 カシル : 「…………。」
呆然とする。だが納得があった。
自殺する直前の胡桃がなぜ、あんなにもがらんどうで、輝きがなく、自身のアイドル性をも否定したのか……
澱 カシル : もう、手渡した後だった。
見ず知らずのカシルに託す夢(のろい)など残ってなかった。
澱 カシル : 「………そっか。そうなんだ。」
虚ろに呟く。
天海こよみ : 「カシルちゃん……?」 様子がおかしいとそちらを見る
琵琶坂 藍依 : 「…………」同じくそちらを見る。目の前の少女と親友の関係を想像してみるが、その答えは出ない。
澱 カシル : 「………大丈夫ですよ。ただ、当たり前のコトに気づいただけですので……」
澱 カシル : 「えっと、話してくれてありがとうございます。辛い出来事なのに……。」
一瞬感じた陰鬱さはどこへやら、いつもの明るい雰囲気に帰ってくる
天海こよみ : 「ごめんね、そういうことだと知らなくて……」
琵琶坂 藍依 : 「いや、いいんだ。いつかは話しておこうと思ってたし」
琵琶坂 藍依 : 「……むしろ自分からは言い出し辛かったと思うから、」
琵琶坂 藍依 : 「────良い機会をくれて、ありがとう」申し訳なく思わないで、と言うように笑う
天海こよみ : 「そっか……」
天海こよみ : 「……うん、じゃあ……えっと……」 少し考えて
天海こよみ : 「アイちゃんが、そういう理由だったなら……」
天海こよみ : 「さっき言ってた最もしちゃいけないことって、最もってわけじゃ……ないのかもしれないね……」 納得したように言う
琵琶坂 藍依 : 「……? どういうこと……?」
天海こよみ : 「だって、続けたい理由があったら、何か大きなことがあった人でも……アイドルを続けても良いってことでしょ……?」
琵琶坂 藍依 : 「続けてもいい……、それはそうだけど……」
天海こよみ : 「本当に最もしちゃいけないことだったなら、アイちゃんはもうアイドルやめたままだったはずだし……」
天海こよみ : 「アイちゃんに昔色々あっても、アイドルとして最もしちゃいけないことをしたわけじゃなかったなら、良かったなって……」
天海こよみ : 「一緒のグループになれて、ぼくは……うれしいし、ね……」 小さく笑う
琵琶坂 藍依 : 「……そっか」
琵琶坂 藍依 : 「そう言って貰えて、私も嬉しいよコヨミ」笑い返す
天海こよみ : 「……うん」
澱 カシル : 目を細める。輝くモノを見ているから。
──目が眩む。
琵琶坂 藍依 : 「────でもやっぱり、ファンの期待を裏切るのはダメなコトだと思う」
琵琶坂 藍依 : 「コヨミは私みたいにならないように気を付けて」
琵琶坂 藍依 : 「……ファンの人達も勿論そうだけど、自分自身もすごく辛くなるから」
天海こよみ : 「うん……わかった」 頷く
天海こよみ : 「みんなで気を付ければ、だいじょうぶだよ」
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね」元いたグループの雰囲気とは全く違う、心優しいメンバー達を眺めて安心したように微笑んで
夢川めめ : 「むぇー!」
「……ねぇねぇ、そろそろケーキ食べたーい!めめ、我慢するのきらい〜」
包丁を片手に、敢えて話をガラリと切り替えて
虹之元ユメ : 「そ、そうですね! みんなでケーキ、食べましょうか!」 暗い雰囲気に割って入ってくれためめに感謝して
虹之元ユメ : 「……そうだ。食べながらでも良いので、一曲聞いてみます? 最近ヒーリング系のミュージックにも手を出してみたんですよ」 ギターケースを一瞥してから微笑む
天海こよみ : 「え……聴きたい……!」
琵琶坂 藍依 : 「ユメのギターの腕前、早めに知っておきたいと思ってたんだよね、お手並み拝見かな」
夢川めめ : 「ゆめちが弾いてくれるの〜?」
「やん、めめ音楽そぉいう音楽大好き〜!ねぇね、聞かせて聞かせて〜!!」
澱 カシル : 「ヒーリング系ですか〜。あまり馴染みが無いので、どんな感じか楽しみです!」
悩みは山積みになってしまったが、一旦棚上げにする。
虹之元ユメ : 「はいっ! ではでは、僭越ながら───」 ギターから奏でられるゆったりとした旋律。《空の楽器》を用いた演奏には徐々に別楽器が加わっていき、和やかながらどこか賑やかさを感じさせる心躍るようなミュージックが部屋全体に満ちて行った。
夢川めめ : ──…心の底まで安息させるような音楽を耳に、私は思う。
夢川めめ : ほんとうの所、琵琶坂藍依にナニが起きたかなんて……わたしも、だぁれも知らない。知る由もない。その術がない。
……でも、天海こよみが言ったことは、紛れもない真実だと。
夢川めめ : 「続けたい理由があるのなら、脛に傷持てどもアイドルであっていい」、のだ。
夢川めめ : 賑わう部屋の中、にっこりと微笑んでケーキを頬張る。
可愛いアイドルは白砂糖、苦い過去もすべてクリームの中に塗りつぶしてくれるから。
…………ああ、甘い。
アイドルって、甘いんだね。
GM : 柔らかな光の差し込むスタジオの中、君たちはケーキを囲んで談笑する。
GM : ある者は期待を、ある者は不安を、またある者は……
GM : ……それが君たちのアイドルライフの始まりだった。
GM : シーンエンド

シーン6.5 幕間:晴朗、なれども波高し

GM : このシーンはその名の通り「幕間」です。PL持ち込みの、シナリオそのものに深く関わりのないシーンであるため、登場侵蝕は免除となります。

セーフハウス リビングルーム

天海こよみ : ────数日後の夜。
天海こよみ : 今日の練習が終わり、こよみはお風呂に入った後、リビングルームで濡れた髪を乾かしていた。
天海こよみ : 「んぅ……」
天海こよみ : 困ったような唸り声が、固く結ばれた唇から漏れる。
天海こよみ : 目の前の鏡にはこよみの微妙な表情と、色んな方向に流れて乱れて爆発したような長い髪が映っていた。
天海こよみ : こよみは大体のことが苦手で、ドライヤーで髪を乾かすこともその内の一つだった。
天海こよみ : いつもはおばあちゃんにやってもらっているが、当然今はそういうわけにはいかない。
天海こよみ : 自分一人で何とかするため、ドライヤーと櫛を手に、荒れ狂った髪の毛と戦いを続けるが────
天海こよみ : 「……。いっか……」
天海こよみ : 結局上手く行かず、諦めてドライヤーのスイッチを切り、小さくため息を吐くことになった。
GM : こよみが諦めたその時、リビングに一人やってきた。元アイドルで君の推し、そして君の日常に馴染み始めた存在……十条ミツキだ。
十条ミツキ : 「こよみ、ちょっといいかな……あれ。ドライヤー、終わったんじゃないの?」まだ明らかにやりかけ、といった様子に首を傾げる
天海こよみ : 「あ……ミツキちゃん……」 顔を上げて
天海こよみ : 「ん……い、一応、おわった……よ……?」 歯切れ悪く言いながら、乱れた髪を触ってる
十条ミツキ : 「……ふふっ。良かったら…アタシがやってあげようか」こよみ自身も納得していない様子に気付き、ドライヤーを手に取って後ろに回る。
天海こよみ : 「え……!?い、いいの……?」
十条ミツキ : 「もちろん。髪はちゃんと乾かさないと、アタシくらいの歳になった時にはすぐ痛んじゃうんだから」
GM : ドライヤーのスイッチをオン。冷風で乾かしながら、丁寧にブラッシングし始める。
天海こよみ : 「…………」 ちょっとくすぐったそうにしながらも大人しくしてる
十条ミツキ : 「……髪、綺麗だね。長いと大変じゃない?」ふわっと触りながら。
天海こよみ : 「え!?あ、ありがとう……」 褒められて照れたように顔を俯かせる
天海こよみ : 「長い……けど、昔からこれくらいじゃないと、おちつかなくて……」
十条ミツキ : 「落ち着かない?それって……?」
天海こよみ : 「そ、そのままの意味、だよ。なんか……自分でも、よくわからないんだけど……」
天海こよみ : 「特に理由はないけど、こだわり、みたいな……。だから、髪……短くしたこと、ないの……」
十条ミツキ : 「……うん、いいと思うよ。アタシもこよみのロング、好きだから」小さく微笑み、ブラッシングを続ける。爆発気味であった先程とは異なり、みるみるうちに髪に艶が戻る。
天海こよみ : 「ほんと?うれしいな……」 小さく笑いながら、綺麗に整えられていく髪を眺めてる
十条ミツキ : 「ほんとだよ。……うん、いい感じじゃないかな」ドライヤーをオフにする。ふんわりとした髪が、すとんと下に落ちついた。
天海こよみ : 「……!さっきと、全然ちがう……」
天海こよみ : 「すっごくきれい……。ありがとう、ミツキちゃん……!」 髪を揺らしながら振り向いて、嬉しそうな笑顔を向ける
十条ミツキ : 「どういたしまして。……ふふっ、可愛い」頬を綻ばせながら、頭をわしゃっと撫でる。
天海こよみ : 「んへ……」 幸せそうに撫でられてる
十条ミツキ : 「ふふ……ん、そうだ。……この後、少し時間ないかな?」ヘアオイルを手に取り、長い髪になじませながら尋ねる。
天海こよみ : 「え?うん、だいじょうぶだけど……何かするの?」
十条ミツキ : 「えっとね……ほら、この前の話。……アタシが、アイドルをやめた日のこと」落ち着いた声だが、決して暗くならないように、淡々と伝える。
天海こよみ : 「あ……」
天海こよみ : 「う、うん……。そのことで、お話……?」 少しだけ緊張して
十条ミツキ : 「…そう。アタシから……せめて、こよみには伝えなきゃいけないことだから」
十条ミツキ : 「今日じゃなくても大丈夫だけど、二人きりになれる機会も少ないから……どう、かな?」
天海こよみ : 「……ううん、今日で……これからで、だいじょうぶ」
天海こよみ : 「ミツキちゃんが、がんばってお話してくれるんだから……ぼくは、いつでも……!」 首だけで振り返って、ミツキの目を見る
十条ミツキ : 「……そっか。ありがとう、こよみ」やや、安心したような…緊張したような。丁度真ん中の表情で、君を見つめ返す。
十条ミツキ : 「それじゃあ……ここで話すのも何だし、屋上に出ない?お風呂上がりだし、きっと気持ちいいと思うから」
天海こよみ : 「う、うん……!わかった……」 立ち上がる
 

セーフハウス 屋上

GM : 君たちはドライヤーを片付けた後、セーフハウスの屋上へ出る。
GM : ここの屋上は広い。天体観測やバーベキュー、果てはMV撮影も可能だろう。
GM : 都内であるにも関わらず、ここは星々が驚くほどによく見える。都会の喧騒から離れた場所であり、街頭も少ないからだろう。
GM : ……初夏の夜。あれだけ湿気を帯びていた空気は、夜になってふっと落ち着きを取り戻していた。
十条ミツキ : 「……ほんと、いい場所だね。こよみは初めて親元を離れて生活するなんて、不安だったと思うけど……」
天海こよみ : 「うん……」
天海こよみ : 「でも、少しずつ……慣れてきた、よ?」
天海こよみ : 「それに、ミツキちゃんも……いてくれるし……」
天海こよみ : 暗闇を見通せるキュマイラの《猫の瞳》のおかげか、その目にはより多くの星々が映っている。
十条ミツキ : 「……そう思ってくれてるんだ。それなら……良かった、かな」その姿に目を細める。
十条ミツキ : 「……あのね。話しても、いいかな」
天海こよみ : 「……うん」 星空から、ミツキへと向き直る
十条ミツキ : ミツキもまた、君に向き直り……口を開いた。
十条ミツキ : 「……あの時はごめんなさい。こんな言葉じゃ済まされないと思うけど、アタシは…こよみに、この事をずっと伝えたかった」
十条ミツキ : そう言って、頭を下げる。
天海こよみ : 「ミツキちゃん……」
十条ミツキ : 「…いずれ、この日は来ていたと思うんだ。それでも……武道館に連れて行く、って夢が実現できないとわかった時点で伝えるべきだった」
十条ミツキ : 「当時のこよみが納得してくれたかはわからないけど…それでも、アタシはもっと、キミを……キミたちを思った行動が、取れたのかもしれない」
十条ミツキ : 「もう、遅いけど……それでも、アタシはこの事を伝えるべきだ」
十条ミツキ : 「……ごめんなさい」
天海こよみ : 「………………」 両手で胸元をぎゅっと握りしめる
天海こよみ : 「何て言えばいいのか、わからない……。だけど、ぼくも……あやまらなきゃ」
天海こよみ : 「あの時、ミツキちゃんの前から……泣いて、にげだして……ごめんなさい……」
天海こよみ : 「ミツキちゃんは、ちゃんと……がんばって、最後までアイドルしてたのに……っ」
十条ミツキ : 「……ううん。こよみが謝ることなんて、何一つないよ」
十条ミツキ : 「アタシは……アイドルで、いられなかったんだから……」
天海こよみ : 「…………」
十条ミツキ : 「………」しばらくの沈黙の後、口を開く。
十条ミツキ : 「……当時の事。聞いたり、しないんだね」
天海こよみ : 「……聞いていいのか、わからないの」
天海こよみ : 「気にならないって言えば、うそになるけど……」
天海こよみ : 「それはぼくが知ってもいいことなのかな……って……」
十条ミツキ : 「……優しい子だね、こよみは」
十条ミツキ : 目を閉じ、小さく息を吐いてから目を開く。
十条ミツキ : 「……結論から言うと。まだアタシの気持ちの整理がついてないから、話せない。話したくない」
十条ミツキ : 「19にもなって情けないよね…でも、もう少し時間が欲しい」
十条ミツキ : 「……2つ目に……この話をする事が、こよみの為になるとは思えない。アタシがただ懺悔して、楽になりたいだけかもしれない。……何も、わからなくて」
十条ミツキ : 「だから、まだ話したくない。……ごめんね」後半に向かって、震えた声で呟く。
天海こよみ : 「……っ、ううん……情けなくなんて、ないよ……!」
天海こよみ : 「だ、だって、それくらい……ミツキちゃんにとって、大きいことなんだもん……!」
天海こよみ : 「だから、ぜんぜんいいんだよ……!ミツキちゃんが話したくなったら、話してよ……」
天海こよみ : 「楽になりたいだけでも、ぼくは……」
天海こよみ : 「ミツキちゃんが少しでも楽になってくれるなら、うれしいよ……っ」
天海こよみ : ミツキとは反対に、はっきりとした声で伝える。
十条ミツキ : 「……こよみ……」震えた声のまま、目を向ける。空色の瞳には、涙が滲んでいた。
十条ミツキ : 「……ごめん……触れても、いいかな……?」
天海こよみ : 「うん……いいよ」 頷く
十条ミツキ : 1歩、踏み込み。こよみにそっと抱き着く。
十条ミツキ : 「……キミは……どうして、そんな献身的でいてくれるの」
十条ミツキ : 「アイの言う通りだよ。アタシに……どうして、こんなに……」言葉を詰まらせながら尋ねる。
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「……ミツキちゃん、あのね」
天海こよみ : 「武道館に連れて行って、人生最高の景色を一緒に見たいって……言ってくれたこと、おぼえてる……?」
十条ミツキ : 「……もちろん」
天海こよみ : 「ぼくね、あの時は武道館でライブをするミツキちゃんを見れたら、きっとすごく幸せな気持ちなれるんだろうなって思ってた……」
天海こよみ : 「でも、ミツキちゃんがいなくなってから、ずっと考えてたの……」
天海こよみ : 「別に武道館でライブをしたら、その場所で最高の景色を見れるってわけじゃないんじゃないか……って……」
天海こよみ : 「武道館に行くまでの間に、ミツキちゃんと一緒に見たたくさんの景色が……」
天海こよみ : 「楽しかったこととか、悲しかったこととか……そういう色んな思い出を全部含めて見てきた今までのことが……」
天海こよみ : 「最高の景色になるってことなんじゃないのかな、って……そう思う気がするの……」
天海こよみ : 「……だ、だからね……?」
天海こよみ : 「ぼくはあの三年間の間に、もうたくさんの最高の景色をミツキちゃんといっしょに見れたんだよ」
天海こよみ : 「武道館に連れていってもらえなかったとか、そんなの関係ないの」
天海こよみ : 「ぼくにとって、ミツキちゃんは、もう……」
天海こよみ : 「ぼくの人生を変えてくれた、最高のアイドルだったよ」
天海こよみ : ゆっくりとそう言葉に出して、ミツキを抱きしめ返す。
十条ミツキ : 「……!」
十条ミツキ : こよみの言葉を聞き、肩をぴくりと揺らす。
十条ミツキ : 「……そう、思ってくれるんだ。こよみは……」
十条ミツキ : 「………ふふ、それなら……尚更、惜しい事したなぁ……」
十条ミツキ : 悔悟するように呟きながら、こよみを力強く抱きしめ、頭を撫でる。
天海こよみ : 「ミツキちゃん……」
十条ミツキ : 「……こよみ」
十条ミツキ : 目に浮かんだ涙を拭い、体を離す。
十条ミツキ : 「…アタシはもう、ステージには立たないと決めているんだ。あの舞台が……泣いても笑っても最後なの」
十条ミツキ : 「だからね。こんなことを言われるのは重いかもだけど…」
十条ミツキ : 「……任務の間だけでも構わない。アタシが見てきた景色を…『アイドル』としての景色を、たくさん、その目で見てきてほしいな」
十条ミツキ : 「その為のサポートなら、アタシはなんだってするから」
天海こよみ : 「……うん。わかった」
天海こよみ : 「アイドルとしての景色ってどんな風に見えるのか、ちょっとだけ不安だったけど……ミツキちゃんがてつだってくれるなら、安心だね」 小さく笑いかける
十条ミツキ : 「…うん、安心して」
十条ミツキ : 小さく笑い、再度ぎゅっと抱きしめる。
十条ミツキ : 「……何があっても、アタシはもうこよみを裏切ったりなんてしない。アタシを『最高のアイドル』と呼んでくれるキミが…幸せになれますように」
十条ミツキ : 満天の星々に祈るように呟き、体を離す。
天海こよみ : 「ありがとう、ミツキちゃん……」
天海こよみ : 「でも、ミツキちゃんも……幸せになってね」
天海こよみ : 「ミツキちゃんが辛そうにしてると、ぼく幸せになんてなれないもん」
十条ミツキ : 「……こよみ」
十条ミツキ : 「……ふふっ、もう。すっかり大人になっちゃって」笑い、頭をわしゃりと撫でる
天海こよみ : 「え?今のって大人……かな?ふつうだと思ったんだけど……」 不思議そうに目を丸くして
十条ミツキ : 「素で言えちゃうのは相当だよ。でも……なんか、1年前や出会った頃と比べたら、余裕があるように見えるな」
十条ミツキ : 「だから、大きくなったね、って……ふふっ、これじゃあなんだか、親戚のお姉さんみたいだね」
天海こよみ : 「言われてみると、ミツキちゃんはぼくのお姉ちゃんみたいな……そんな気もする」 大きくなったと言われて嬉しそうに目を細めながら
十条ミツキ : 「そう?…ふふっ、嬉しいな……」同じく目を細め、やや困ったように笑う
天海こよみ : 「うん……お姉ちゃん、か……」
天海こよみ : 「…………」 少し考えるように、静かに目を閉じてから
天海こよみ : 「ねえ、ミツキちゃん。ぼく……ミツキちゃんにおねがいしたいことが、あるの……」 目を開き、ミツキを見て
十条ミツキ : 「……?どうしたの、改まって…」
天海こよみ : 「う、うん……ちょっとだけ、思ったことがあって……」
天海こよみ : 「……少しだけ、ここでまっててもらっても、いい?とってきたいものがあるから」
十条ミツキ : 「うん…もちろん、いいけど」不思議そうに首を傾げて
天海こよみ : 「ん……ありがと」
天海こよみ : 《猫の道》を使用。
天海こよみ : ばしゃっと水飛沫が上がり、展開した領域内に潜ったこよみの姿が消える。
天海こよみ : ミツキがそのまま一分程待っていると、領域を通ってこよみが浮上してくる。
天海こよみ : 「た、ただいま」 後ろ手に何かを持って
十条ミツキ : 「おかえり。すごくスムーズに力を使えるようになったんだね……ところで、何を隠してるの?」
天海こよみ : 「う、うん……」
天海こよみ : 「あの……これ、なんだけど……」
天海こよみ : そう言って、隠していた手を前に出す。
天海こよみ : その両手には、ドクアオのライブでよく使っていた二本のペンライトが握られていた。
十条ミツキ : 「……!それって…わぁ、懐かしいなぁ…」目を細めてペンライトを見つめる。
十条ミツキ : 「まさかここに持ち込んでるとは思わなかったけど……どうしたの?」
天海こよみ : 「えっと……えっと……」
天海こよみ : 「あ、あのね……」
天海こよみ : 少しの間、何か恥ずかしそうに目を泳がせていたが
天海こよみ : 「…………っ」 意を決したように、ペンライトを水色に点灯
天海こよみ : そして、すぅ……と、息を大きく吸い込んで、
天海こよみ : 「────言いたいことがあるんだよ!!!」
天海こよみ : 下の階にいるメンバーに聴こえそうな程の大声で叫ぶ。
十条ミツキ : 「──!?!?」
十条ミツキ : 一年ぶりに向けられた、その言葉。『ガチ恋口上』……アイドル文化の生み出したコールの、最初のフレーズ。
十条ミツキ : 予想もつかなかったこの状況に、ミツキは目を見開いて固まる。
天海こよみ : 「やっぱりミツキはかわいいよ!!!」
天海こよみ : 「好き好き大好きやっぱ好き!!!」
天海こよみ : 「やっと見つけたお姫様!!!」
天海こよみ : 「ぼくが生まれてきた理由!!!」
天海こよみ : 「それはあなたに出会うため!!!」
天海こよみ : 「ぼくと一緒に人生歩もう!!!」
天海こよみ : 「世界で一番愛してる!!!!」
天海こよみ : 「ア、イ、シ、テ、ルーーーーーッ!!!!!」
天海こよみ : そう言い終えて、赤らめた顔でミツキを見つめる。全力のコールだったのか、肩で息をしてしまっている。
十条ミツキ : 「………」驚いた表情…いや、その表情には、様々な感情が入り混じっている。
十条ミツキ : 困惑するような、嬉しいような…それでいて、申し訳ないような。
十条ミツキ : ミツキは固まりながらも、こよみをまっすぐ見つめ返していた。
天海こよみ : 「ミツキちゃん……っ」
天海こよみ : 「ミツキちゃん、おねがい……ぼくと、写真……とって……!!」
天海こよみ : 「もうステージに立たないって……もうアイドルじゃないって、分かってるけど……!!」
天海こよみ : 「ぼく、“あの時”……とれなかったから……!!!」
天海こよみ : そう言いながら、スマホをミツキに差し出す。その手は緊張のせいか、小さく震えていた。
十条ミツキ : 「……こよ、み……」
十条ミツキ : ただ、『あの時』をやり直したいわけではないのだろう。その背景には、彼女なりの覚悟があるはずだ。
十条ミツキ : ミツキはもうアイドルではない。ミツキ自身も、こよみもそれをわかっている。「ステージにはもう立たない」という言葉の後でもある。
十条ミツキ : だが、その『コール』は……確かに彼女に届いた。
十条ミツキ : 「……いいよ。撮ろう、こよみ」
十条ミツキ : 「……アタシはもう、アイドルをやめた。でも…キミが、アタシを呼んだから」
十条ミツキ : 「今夜、この瞬間は…キミだけのアイドルでいてあげる」
十条ミツキ : そう、かつての「十条ミツキ」を取り戻したように不敵に笑い、こよみの手からスマホを受け取る。
天海こよみ : 「……!ミツキちゃん……!」
天海こよみ : もうずっと見ることが出来ないと思っていた十条ミツキを映して、瞳が星のように輝く。
天海こよみ : 「あ……あのね!今日はもう、ポーズ決めてるの……!いいかな……!!」
十条ミツキ : 「いいよ。でも……一枚だけ、だからね」ふっと笑って
天海こよみ : 「うん!分かってる……いつも一枚だけ、だから」
天海こよみ : ペンライトをポケットにしまうと、ミツキへと近づく。
天海こよみ : 「えっと……えっとね、こう……とか、どうかな……?」
天海こよみ : そう照れたように小声で言うと、ミツキの体を横からそっと抱きしめる。
天海こよみ : これまでのチェキでは、緊張したり恥ずかしかったりして、自分から抱き着くようなことはしなかったけど────これが最後だから、勇気を出して。
十条ミツキ : 「……もちろん、いいよ。ふふっ、演者に対するハグが許されるのなんて、こよみくらいなんだからね?」揶揄うように笑いながら、ミツキからもこよみの腰に手を回して抱き寄せる。
天海こよみ : 「あ……!そ、そうかも……」
天海こよみ : 「でも、今はぼく達二人しかいないから……いいよね」 えへ、と笑ってミツキを見上げる
十条ミツキ : 「いいよ。今日の特典会は、2人だけのものなんだから」クスッと笑って
十条ミツキ : 「じゃあ……撮るよ。いいかな?」
天海こよみ : 「うん……!おねがい、します……!」
天海こよみ : ぎゅっと抱きしめながら、スマホのカメラに笑顔を向ける。
十条ミツキ : 「…撮るよ。ん」ミツキもまた笑顔を浮かべ、1番良いタイミングでぱしゃりと1枚撮る。
天海こよみ : 「…………。どう、だった?」 スマホを見る
十条ミツキ : 「……どう?結構盛れてない?」やや得意げに笑って、スマホを返す。確かに、夜空の下で撮ったにしては絵になるような……そして、改めてミツキがアイドルであったことを思い出す。彼女にとって、自撮りはお手の物なのだ。
天海こよみ : 「……!うん!すっごく!」 コクコクと何度も頷く
天海こよみ : 「なんか、ふつうのチェキより……良いと思う……!」
十条ミツキ : 「良かった…ふふっ、アタシ、マリスノのチェキスタッフとかやっちゃおうかな」クスクスとおかしそうに笑う
天海こよみ : 「え~……。ふふっ、なんだかおもしろいかも……」 チェキスタッフをやってるミツキがぱっと想像出来なくて笑ってしまう
天海こよみ : 「…………」 それから、スマホの画面に表示された二人の写真を幸せそうに眺めて
天海こよみ : 「ミツキちゃん……ありがとう」
十条ミツキ : 「ううん。こよみこそ……ありがとう」
天海こよみ : 「……うん」 小さく頷き
天海こよみ : 「ぼく、ずっと……心残りだったの。あの時のチェキ、とる前ににげちゃって……」
天海こよみ : 「とっちゃったら、本当に……全部おわっちゃう気がして。それが、こわくて……」
天海こよみ : 「だから……ミツキちゃんがおねがい聞いてくれて、ほんとによかった……」
天海こよみ : 「ぼく、これで……やっと……」
天海こよみ : 「ミツキちゃんのファン、やめられるよ……」
天海こよみ : スマホの画面に、一滴の涙が落ちる。……いつの間にか、泣いてしまっていた。
十条ミツキ : 「……こよみ」
十条ミツキ : 呼びかけ、優しく抱きしめる。
十条ミツキ : 「……ありがとう。怖かったよね…1年間、ずっと1人にさせてごめんね」
十条ミツキ : 「……苦しい思いも、たくさんさせたよね」
十条ミツキ : 髪を梳くようにして頭を撫でる。
天海こよみ : 「……ううん、ごめん……ミツキちゃん……っ」
天海こよみ : 「ぼく、泣くつもり……なかったのに……」
天海こよみ : 「わがままばっかりしちゃってる……」 頭を撫でられながら、涙を流し続ける
十条ミツキ : 「ううん…大丈夫。アタシはこよみのこと、わがままだなんて思ってないよ」
十条ミツキ : 「……やっぱり、キミは大人になったと思う。ありがとう。『アタシ』に……お別れをしてくれて」
天海こよみ : 「……うん……」
天海こよみ : 「…………っ」 服の袖で涙を拭う
天海こよみ : 「……アイドルのミツキちゃんとは、これでお別れ……だけど……」
天海こよみ : 「ぼく、もうこわくないし、苦しくもないよ……」
天海こよみ : 「これからは、お友達のミツキちゃんと……いっしょにいれるから」
天海こよみ : 涙の痕を残しながら、笑顔でそう伝える。
十条ミツキ : 「……そうだね。もう、『アイドル』と『オタク』の関係は卒業だけど…」
十条ミツキ : 「……アタシはこよみの側にいたい。ううん、きっと、ずっと側にいる」
十条ミツキ : 「もう、アタシたちは……友達、だからね」
天海こよみ : 「うん……うん……!」
天海こよみ : 「ぼくもいっしょにいたいから……ずっといようね、ミツキちゃん」
天海こよみ : 「……約束だよ」
天海こよみ : ミツキちゃんのロイスの感情を〇憧憬/不安→〇友情/不安に変更します。
十条ミツキ : 「…うん。約束、だね」
十条ミツキ : 「……大丈夫。もう離れたりなんてしない……アタシが…こよみを、守るから」
十条ミツキ : そう、小さくつぶやいてから……こよみに向かって、ふっと微笑んでみせた。
天海こよみ : 「……うん!」 安心しきった笑顔を向ける
GM : 2人が話していると、下の階から良い匂いが漂ってくる。別のメンバーが作ってくれている夕飯の匂いだ。
十条ミツキ : 「……すっかり長くなっちゃったね。そろそろ戻ろうか」
天海こよみ : 「ん……そうだね……」
天海こよみ : 「ぼく、ちょっとだけお腹すいてきたかも……」 匂いを嗅いだせいかな、とお腹に手を当てる
十条ミツキ : 「うん。じゃあ…戻ろうか」小さく笑って
天海こよみ : 「……うん」
天海こよみ : 「……あの……手、にぎってもいい?」 一歩離れてから、聞いてみる
十条ミツキ : 「もちろん、いいよ」微笑んで、ミツキから手を取る
天海こよみ : 「……!ありがと……」 手を握り返す
天海こよみ : 「あのね、ミツキちゃん……」
天海こよみ : 「ぼく、ミツキちゃんのこと……大好きだよ……!」
天海こよみ : 分かり切ってるけど、何度でも言いたい言葉を、歩き出す前に伝える。幸せそうな笑顔と一緒に。
十条ミツキ : 「……この関係になってから言われると、なんだか照れちゃうね」
十条ミツキ : 「アタシも、こよみのことが大好きだよ」
十条ミツキ : 真っ直ぐにそう伝えて、微笑み返し…ぎゅっと手を握る。
天海こよみ : 「……!うん……!」 手から返って来る温もりを感じながら、小さく頷いた
GM : 2人は、屋上を後にし……暖色の光が溢れる下の階へ降りていく。
GM : 何かを予感させる初夏の夜。星々の光は、ただ静かに瞬いていた……


河川敷

夕刻。都内某所。
事務所から徒歩10分の距離にある、河川敷の橋の下。
青春を謳歌する学生達が登下校で行き交う、橋の影。
……橋を支える橋脚と地面の隙間。
そこには短いトンネルのような空間が広がっていた。
 
地面には、どこからか流れついたゴミ達が散乱して。
コンクリート製の橋脚の表面には、ラクガキ同然の拙いグラフィティ。
白色のスプレーで『BLOW UP!!』と殴り書きされた、一見して大した意図も意味も見受けられないソレは、
しかし、考えようによっては"この場所の在り方"を確かに表していた。
 
……日常の裏側。
都会の喧騒から隔絶された空間。街中の熱気さえ存在しない日陰。
誰もが見向きしない吹きだまり。
……だからこそ、ゴミやスプレーの落書きが放置されているのだろう。
 
いつも通りなら。
誰も寄りつかず、静かな筈のそんな場所に。
琵琶坂 藍依 : 「……~♪」
────今日は、少女の歌声が響いていた。
歌っているのは"まだ"無名のアイドルグループのデビュー曲。そのサビ部分。
 
少女の背後には、燃え盛る初夏の太陽が落っこちて、火の海みたいに赤い川。
そこには、潮の満ち引きで迷いこんだのだろう2匹のクラゲが揺らいでいた。
GM : ──カツ、カツ。
GM : 厚底のヒールを鳴らし、何者かが河川敷の階段を降りてくる。
十条ミツキ : 「……」
GM : 十条ミツキ。少女に呼び出された元アイドルであり……現在は、彼女のマネージャーだ。
GM : ミツキは目を閉じて、少女の歌に耳を澄ます。
琵琶坂 藍依 : ────そのまま歌い続け、ようやく一番まで終えたところで口を閉じる。
琵琶坂 藍依 : 背後で佇む元ライバルにゆっくりと振り向き、
琵琶坂 藍依 : 「……わざわざ、こんなところに呼びだしてごめんね」と笑う
十条ミツキ : 「全然。そちらこそ、学校もあるのにお疲れ様」同じく、笑い返して
琵琶坂 藍依 : 「ううん、私はプロデューサーの送迎のおかげで伸び伸びやらせてもらってるよ」
琵琶坂 藍依 : 「……むしろ『疲れ』ってコトなら、他の皆の方が疲れてるんじゃないかな」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルはじめたての子達が、朝からレッスン頑張ってるんだし」
十条ミツキ : 「……そっか。うん、確かに……みんな、本当によく頑張っていると思う」
十条ミツキ : 「でも、それはアイにも同じことが言えるよ。どう?本当に無理してない?」
琵琶坂 藍依 : 「それは大丈夫。これでもプロだからね」胸を張って
琵琶坂 藍依 : 「自分の限界は知ってるし、適度に休む方が結果的には効率が良い事も知ってるよ」
十条ミツキ : 「良かった。流石、元地上アイドルだね」ふっと微笑む。
琵琶坂 藍依 : 「────個人的に心配なのは、ユメとカシルかな」
琵琶坂 藍依 : 「最初に『全力で頑張ろう』って言ったのは私だけどさ、ユメとカシルは頑張りすぎそうっていうか」
十条ミツキ : 「……確かにそうだね。ユメはあの性格だし……カシルは、正直まだわからない事も多いけど、最近何か思いつめてる様子だし」
十条ミツキ : 「何か様子がおかしければ、すぐに教えて欲しいな」
琵琶坂 藍依 : 「勿論」
琵琶坂 藍依 : 「……頑張りすぎで身体を壊しちゃったら本末転倒だし、ミツキも気に掛けてあげて」
琵琶坂 藍依 : 「って言われるまでもないか」
十条ミツキ : 「そうだね。アタシはマネージャーだから……ちゃんと、みんなを見てサポートするつもり」プロデューサーもそのつもりだと思うし、と付け足して。
十条ミツキ : 「それにしても……アイは、周囲をよく見てるね」
琵琶坂 藍依 : 「……そんなに『よく見てる』っていうほど大したコトはないよ」
琵琶坂 藍依 : 「私は皆と違って経験がある分、少し余裕があるだけだと思う」
十条ミツキ : 「それはどうかな。余裕があったとしても、その余裕を何に割くかは、きっと個性が出るところだと思うけど……」小さく笑って
琵琶坂 藍依 : 「…………私、心配性に見える?」
十条ミツキ : 「心配性で、他人想いに見えるよ」
琵琶坂 藍依 : 「他人思い、か……どうかな……」
琵琶坂 藍依 : 「頑張っている子ほど、ある日、突然……伸ばしすぎたゴムみたいにプツンって千切れちゃう事があるからさ……」
琵琶坂 藍依 : 「その光景が見たくないだけだよ……」
十条ミツキ : 「……」しばらく黙ってから、口を開く。
十条ミツキ : 「……それって……胡桃ちゃんのこともあって、かな」
琵琶坂 藍依 : 「…………」こくんと小さく頷いて
琵琶坂 藍依 : 「────実際、どこまで周りの悩みが見えているのか、私には自信ない」
琵琶坂 藍依 : 「"よく見てる"っていうのも"他人思い"っていうのも、過大評価」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃みたいな子は、もう見たくないから、できるだけ見なくていいようにしているだけ」
琵琶坂 藍依 : 「……ミツキが思っている程、できた人間じゃないんだ私」苦笑して
十条ミツキ : 「……それは、どうかな」橋の根元に背をもたれる
十条ミツキ : 「……自分が辛い思いをしたくないから、他人に辛い思いをさせたくない……って、事でしょう?」
十条ミツキ : 「それは、アイ自身が優しいからって事に他ならないでしょ。他人が辛い思いをしているのを見過ごせない、忘れられない……」
十条ミツキ : 「……稀に、そういうのを度外視した、盲目的な『愛』や『献身』を捧げてくれる子もいるけどね」目を開き、眩しそうにしながら太陽の方角を見て笑う
琵琶坂 藍依 : 「コヨミの事?」
十条ミツキ : 「……私にとってはそうだけど……君の方がよっぽど知っているはずじゃない?元地上アイドルとしてステージに立っていた君なら、ね」
琵琶坂 藍依 : 「どう、かな」背を向けて、川の縁まで歩いていく
琵琶坂 藍依 : 「…………はあ、こんなに自分のコトを話すつもりで呼んだ訳じゃないのにな」溜息をついて
琵琶坂 藍依 : 「流石は敏腕マネージャーさんってところかな?」小さく笑って
十条ミツキ : 「マネージャーってこう言うのも仕事だっけ?」クスリと笑い
十条ミツキ : 「でも……キミは、キミが思っているほど悪い人じゃないよ。出会ってまだ数日だけど、そのことだけはよくわかってるつもり」
琵琶坂 藍依 : 「……ありがとう、そう言ってもらえるのはスナオに嬉しい」そう言いながら、自分では納得できていないような声色
琵琶坂 藍依 : 「……でも私、やっぱり自分勝手だと思うよ」
琵琶坂 藍依 : 「ミツキをここに呼んだのも、自分の都合」
琵琶坂 藍依 : 「────どうしてこんな場所に呼ばれたのか、ミツキなら察しは付いてるでしょ?」
十条ミツキ : 「……みんなが居ない場所を選んだあたり…何となくは、ね」不安にさせないよう、小さく笑って。
琵琶坂 藍依 : 「……そう」
琵琶坂 藍依 : 「それなら単刀直入に聞かせてもらう」振り返り
琵琶坂 藍依 : 「────あの報道は、真実だったの?」いまいちど目を見てハッキリと問う
十条ミツキ : 「……」
琵琶坂 藍依 : 「私、さ」
琵琶坂 藍依 : 「ミツキがファンの為に頑張っていたのを知っているから……」
琵琶坂 藍依 : 「あの実力まで辿り着く為に必要な努力を知っていたから……」
琵琶坂 藍依 : 「そんなミツキが熱愛報道で引退なんて、信じられなくて……」
琵琶坂 藍依 : 「私の都合で悪いけど……、これから一緒に活動していく上で、ミツキへの疑念をずっと引きずったままなんて絶対に嫌だ……!」
琵琶坂 藍依 : 「だから、どうか聞かせてミツキ」
琵琶坂 藍依 : 「…………本当は、何があったのか」
十条ミツキ : 「……」髪を肩にかけ、その場に立って薄く笑う。
十条ミツキ : 「……『真実』、だよ」
十条ミツキ : 「それ以上の事なんてない。『十条ミツキ』はあの日終わった」
十条ミツキ : 「……ごめんね」何に対する謝罪なのか。最後にそう呟く。
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「…………そう」
琵琶坂 藍依 : 「…………答えてくれて、ありがとう」
琵琶坂 藍依 : 「こちらこそ、ごめんね」
琵琶坂 藍依 : 「────そんな答えじゃ、まだ私は納得できない」
琵琶坂 藍依 : 「だから、まだ信じる事にする」
琵琶坂 藍依 : 「あの日、名前も知らないマスコミの誰かが語ったミツキじゃなくて、」
琵琶坂 藍依 : 「……それまでファンと共に懸命に歩んできたミツキを」
十条ミツキ : 「……」……ミツキの表情から、笑みが消える。
十条ミツキ : 「……そう……なっちゃうか……」
十条ミツキ : 「……やっぱり、アイは優しい子だよ。こう言ったら、キミは「私が信じたいだけ」、とか言うんだろうけど」
琵琶坂 藍依 : 「そうかな」
琵琶坂 藍依 : 「……ちゃんと私が知っているミツキは、ステージ上のミツキだけ」
琵琶坂 藍依 : 「今のミツキが口を噤んでいる以上は『自分で見たミツキを信じるのか、マスコミを信じるのか』って話になるでしょ?」
琵琶坂 藍依 : 「私、マスコミは嫌いだし信用してないから……天秤にかけるまでもなく、ステージ上のミツキの方を信じる……」
琵琶坂 藍依 : 「当然の帰結じゃない?」
十条ミツキ : 「……」
十条ミツキ : 「……ねえ。聞いてもいいかな」
琵琶坂 藍依 : 「何?」
十条ミツキ : 「アイは……ステージのアタシを見て、どう思ったの?」
十条ミツキ : 「アイドルのアタシが、キミにどう映っていたのか……聞かせてほしい」
十条ミツキ : 真摯で、真っ直ぐな目線。立場が交代し、まるでミツキが尋問するような口調で尋ねる。
琵琶坂 藍依 : 「どう映っていたのか」
琵琶坂 藍依 : 「…………そうだな」
琵琶坂 藍依 : 「そもそも私達、ほとんど同じ時期にデビューして、イメージカラーにヘアスタイルからキャラまで似てるとか言われてさ」
琵琶坂 藍依 : 「そんな子が、実力と人気を着々と積みあげていくものだから"競い合うライバル"だってずっと思ってた」
琵琶坂 藍依 : 「でもね、」
琵琶坂 藍依 : 「……ある日、親友の胡桃に誘われてさ、ドクアオのステージを実は一度だけ生で見に行った事があるんだ」懐かしむように空を見上げて
十条ミツキ : 「……ッ!!」その言葉に、身を固くする。
琵琶坂 藍依 : 「あれ、驚いた?」
琵琶坂 藍依 : 「敵情視察というか、地上アイドルだって地下アイドルのステージを見に行ったりするんだよ」笑う
十条ミツキ : 「……驚くよ、それは。いつくらいの事……?」
琵琶坂 藍依 : 「もう3年前になるかな、まだ当時は少し時間に余裕があったから」
十条ミツキ : 「……まだ、アタシがデビューしたばかりの頃か」小さく息を吐いて。
十条ミツキ : 「……だいぶ酷かったでしょ」
琵琶坂 藍依 : 「ううん、そんな事ないよ」
琵琶坂 藍依 : 「……ねえ、ミツキ」
琵琶坂 藍依 : 「初めて会った時、ミツキは"私に憧れていた"って言っていたよね」
十条ミツキ : 「……うん」
琵琶坂 藍依 : 「だけど、それは逆なんだ」
琵琶坂 藍依 : 「────私も、ミツキに憧れていた」
十条ミツキ : 「……」
十条ミツキ : 「………そう、なんだ。それは……すごく、意外だったかも」
琵琶坂 藍依 : 「そう?」
琵琶坂 藍依 : 「でも、本当だよ」
琵琶坂 藍依 : 「他でもないファンの為に頑張って歌って踊って……」
琵琶坂 藍依 : 「すごく疲れている筈なのに、特典会ではファンの一人一人に向きあって……」
琵琶坂 藍依 : 「────ミツキは、誰よりキラキラしてた」
琵琶坂 藍依 : 「……当時の私にはなかった、ファンに対する熱い思いを」
琵琶坂 藍依 : 「"輝き"を持っているって思った」
琵琶坂 藍依 : 「……その日からずっと、ミツキは私のライバルで目標だったんだよ」
琵琶坂 藍依 : 「…………コヨミほどじゃないけど、きっとファンだったんだな私も」
十条ミツキ : 「……」その場でしばらく俯く。
十条ミツキ : だが、すぐに顔を上げて。
十条ミツキ : 「そう、だったんだ。アイから見たアタシって……」
十条ミツキ : 「……ありがとう。他ならぬキミからそう言われるなんて……本当に、恐れ多いことだな」そう、小さく呟くように。
十条ミツキ : 「ごめんね、急にこんなこと聞いて」
琵琶坂 藍依 : 「ううん」
十条ミツキ : 「…改めて、ありがとう。そこまで肯定的に捉えてくれていたなんて…何となく、キミの意図するところがわかった気がするよ」
琵琶坂 藍依 : 「そうなの?」
十条ミツキ : 「ほら、さっきの『マスコミと比べたら』ってやつ」
琵琶坂 藍依 : 「ああ、思っていたより、私がミツキの事が大好きだったって伝わった?」
琵琶坂 藍依 : 「信じる根拠はちゃんとあるんだよ、ここにね」自分の胸に手を当てて
十条ミツキ : 「……」少しだけ目線を外してから、困ったように笑い返す。
十条ミツキ : 「今のアイは、アタシが『ステージで見た琵琶坂藍依』っぽかったかも」
琵琶坂 藍依 : 「ステージの私っぽい……、って事は、ミツキも私のステージを……?」
十条ミツキ : 「当たり前じゃん。地上アイドルが地下アイドルのライブを見に行くよりは、全然あり得ると思うんだけど」
十条ミツキ : 「パフォーマンスはもちろんだけど……『キャラクター』として見ても、すごくカッコよかったよ。女の子のファンが多いのもよく理解できた」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、ありがとう」
琵琶坂 藍依 : 「……うん、すごく嬉しい」
琵琶坂 藍依 : 「でも直接、会いに来てくれたらサービスしたのに」冗談めかして笑って
十条ミツキ : 「やめてよ。あの頃は『ライバル』だったでしょ?」クスリと笑って
琵琶坂 藍依 : 「そうだったね、ミツキも敵情視察みたいなものか」
琵琶坂 藍依 : 「────だけど同じアイドルでライバルなのに、相思相愛だったなんて可笑しいね」
十条ミツキ : 「……そうだね。そして、こうして話す機会ができたことも、また……可笑しいことだな」
琵琶坂 藍依 : 「うん、本当に」
琵琶坂 藍依 : 小さく笑って、川の縁からミツキちゃんの傍に歩み寄る。
琵琶坂 藍依 : 「…………ねえ、ミツキ」
十条ミツキ : 「何?」
琵琶坂 藍依 : 「私、あの報道は信じられない」
琵琶坂 藍依 : 「少なくとも、私が知らないミツキを……」
琵琶坂 藍依 : 「真実を……、この目と耳で確かめるまでは、ね……」
琵琶坂 藍依 : 「でも、いずれにせよ言える事がひとつあるよ」
琵琶坂 藍依 : 「────辛かったよね」
琵琶坂 藍依 : 「ずっと頑張ってきたのに、ファンだった人に罵声を浴びせられるのは、何よりしんどいよね」
琵琶坂 藍依 : 「その気持ちは、きっと同じ立場(アイドル)だった私しか……」
琵琶坂 藍依 : 「同じ罪を犯した私しか、理解できない……」
琵琶坂 藍依 : 「────おつかれさま、最後のステージまで良く頑張ったねミツキ」
十条ミツキ : 「……アイ…」
十条ミツキ : 「………」しばらく黙った後、改めて口を開く。
十条ミツキ : 「……アタシとアイは、やっぱり違うと思う。キミは……背負うべきではないものを背負いすぎだ」
十条ミツキ : 「……でも」
十条ミツキ : 「……ありがとう、アイ。キミこそ……新しいステージで、頑張ってね」
十条ミツキ : そう言って、曖昧に微笑んだ。
琵琶坂 藍依 : 「……うん、頑張るよ」
琵琶坂 藍依 : 「しっかり支えてよね、マネージャーさん」冗談めかして笑って
十条ミツキ : 「それはもちろん。任務が終わった後も…キミがトップアイドルになれるその日まで、サポートさせてもらうから」
琵琶坂 藍依 : 「それは頼もしいな」
琵琶坂 藍依 : 「……改めてよろしくね、ミツキ」手を差し出す
十条ミツキ : 「うん。……よろしくね」手を握り返して、小さく笑う。
琵琶坂 藍依 : 「……ふふ」小さく笑い返し、手を放す
琵琶坂 藍依 : 「────ああ、気付けば、そろそろ日が沈みきっちゃいそう」地平線に沈む夕日を見て
琵琶坂 藍依 : 「もう帰る、前にもうひとついいかな?」
十条ミツキ : 「……何?」先ほどよりは、幾分か柔らかな口調で
琵琶坂 藍依 : 「今日、私が料理当番でしょう?」
琵琶坂 藍依 : 「でも、私は料理が苦手でさ」
琵琶坂 藍依 : 「……っていうのも私ね、実は味覚が残ってないんだ」深刻に受けとめすぎないように困ったように笑って
十条ミツキ : 「……は!?待って、聞いてないけど!?!?」
琵琶坂 藍依 : 「ごめん、食レポの仕事なんかが来ない内は支障ないかと思って」
十条ミツキ : 「食レポなんてどうでもいいって!し、知らなかった……」
十条ミツキ : 「…まさか、アイスばっかり食べてるのって」
琵琶坂 藍依 : 「うん、味がしないと……例えば『焼肉はゴム、焼き魚は消しゴム』みたいに食感だけ残って美味しくないんだよね……」
十条ミツキ : 「……わぁ……そ、それは……料理ができなくても仕方ないな……」
十条ミツキ : 「……あとで、ちゃんと聞かせてね。UGNに相談すれば、何かしら良い手があるかもしれないし…ほら、最近とか電気刺激で味覚を伝える方法とかあるらしいじゃん」
琵琶坂 藍依 : 「え、まさかミツキ、私に電流を……」
十条ミツキ : 「無理無理無理、怖すぎるよ!!」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、冗談」
琵琶坂 藍依 : 「半分くらいは」
十条ミツキ : 「アタシはやらないからね!!!」
琵琶坂 藍依 : 「……そっか、それは残念」
琵琶坂 藍依 : 「でも心配してくれてありがとね」
琵琶坂 藍依 : 「……私の事はともかく、今は料理の味見ができないのが困るからさ」
琵琶坂 藍依 : 「味覚があった頃もお弁当か冷凍食品が多かったから自炊の経験もないし、夕食の準備をミツキに手伝ってほしいんだ」
琵琶坂 藍依 : 「……おねがい、できるかな?」
十条ミツキ : 「……もちろん。何なら、当番からアイは外すようにしてシフト組み直すけど……」
琵琶坂 藍依 : 「ううん、ただでさえ特別扱いで学校に通わせてもらっているのに、これ以上は悪いよ」
琵琶坂 藍依 : 「……それに、ミツキには負担かもしれないけど、一緒に料理するのはきっと楽しいと思うから」笑って
十条ミツキ : 「……そっか」
十条ミツキ : 「アタシは全然負担に思わないよ。アイがそう言うなら……一緒に、頑張ろう?」そう言って微笑み返す。
琵琶坂 藍依 : 「ありがとうミツキ」
琵琶坂 藍依 : 「……厳しいレッスンの後、皆にマズイ料理を食べさせるのは嫌だったから、そう言って貰えて安心した」
十条ミツキ : 「ふふっ、やっぱりキミは優しいね。…そうだね、美味しいご飯作ってみんなを驚かせちゃおうか」
琵琶坂 藍依 : 「うん、そうしよう」頷いて
琵琶坂 藍依 : 「美味しそうで、かつ初心者向けそうな……夏野菜カレーとかどうかな……?」
十条ミツキ : 「いいと思う。それこそ、食感の良さそうなお野菜を見繕いたいな」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、そうと決まれば急ごうか」
琵琶坂 藍依 : 「────きっと皆、お腹を空かせて待ってると思うから」
GM : ……ビル群に沈む夕陽。2人の少女の影が伸びる。
GM : 彼女たちは、『親しげ』とまではいかないものの……同じ方向を向き、帰路につく。
GM : 夜の訪れ。ルールブルーの滲む空。一番星がただ一人、寂しげに輝いていた。


セーフハウス 物置

個人練習を終えて小休憩に入ったこよみが廊下を歩いていると、一つの扉が開いているのが見える。
一度も開けたことのない扉の中は、物置となっているらしい。
天海こよみ : 「あれ……?あいてる……」
天海こよみ : 中に誰かいるのかもと気になって、扉の隙間からそっと中を覗いてみる。
練習用の仮衣装、雑多な小道具、宣伝用のパネルなどが置かれている中に、一つ目に留まるモノがある。
ぬいぐるみだろうか。へんてこだけど愛らしさもあるソレに、興味を惹かれて物置へ踏み入る。
棚に入った機械類、崩れた荷物の上に横たわるマネキン、丸めたポスターの筒たちを横目にぬいぐるみに近づく。
天海こよみ : 「……?なんだろう、これ……」
天海こよみ : 「顔……?がない……?ぬいぐるみなのかな……」
ぬいぐるみを抱き上げた、その時。
──隣のマネキンがこちらを視た。
澱 カシル : 「こよみちゃん、何してるの?」
マネキンだと思っていたのは、うつ伏せで寝ていたカシルだった。
天海こよみ : 「きゃっ!?」 短く悲鳴を上げて、両肩をビクッと跳ねさせる
天海こよみ : 「え、ぁ、え……!?カシ……か、かし……」 驚きすぎて上手く言葉が出てない
澱 カシル : 「わ、大丈夫? 落ち着いてから、話してくれていいよ〜。」
天海こよみ : 「か、カシルちゃん……」
天海こよみ : バクバクと耳の奥から伝わって来る心臓の音を抑えるように、胸元に手を当てて、
天海こよみ : 「ぜ、ぜんぜん気付かなかった……。こ……こんなとこで、何してたの……?」
澱 カシル : 「休憩してたんです〜。」
「物置って何だか落ち着きませんか? 暗くて静かで冷たくて埃っぽくて……」
天海こよみ : 「え……?そう……かなぁ……?」 困惑したように
天海こよみ : 「ぼくはあんまり好きじゃないかも……ほこりっぽいのも、くらいのも……」
澱 カシル : 「人それぞれ、だよね! うんうん」
天海こよみ : 「そ、そうだね……」
天海こよみ : 「……あ。ごめんね……休んでたのに……」
天海こよみ : 「ぼく、別にここに用があるわけじゃなかったから……すぐ出ていくね」
天海こよみ : そう言って、ぬいぐるみを置いて物置から出て行こうとする。
澱 カシル : 「ねえ、こよみちゃん。」
華奢なこよみの肩を、カシルの冷たい手が引き止める。
天海こよみ : 「ひゃっ……」 手から冷たさを感じて小さく声が漏れ
澱 カシル : 「ひとつだけ気になるコトがあって。聞いてもいい?」
天海こよみ : 「え?な、なに……?」 振り向いて
澱 カシル : 「こよみちゃんって……レネゲイドビーイングが取り憑いてるんだよね?」
「近くでよく感じてみたくて。……いいかな?」
天海こよみ : 「う、うん……?いいけど……よく感じるって、どうするの……?」
天海こよみ : 自分でも彼の存在を感じれるわけじゃないのに分かるのかな、と不思議そうにしている。
澱 カシル : 「少し触るね。」
こよみの両方の頬を両手で包む。
ひやりとしたカシルの手の感触。
澱 カシル : 「(………かわいい、愛らしい子……)」
カシルはこよみに悪感情を抱いているわけではない。むしろ、好ましく思っている。
澱 カシル : それは本当に?
クラッドカルトがそう思わせているだけではないの?
そうならば、
何よりも……冒涜だ。
アイドルに対して。
輝きの為の努力に対して。
こよみの意志に対して。
こよみではなく、"彼"に抱く感情。
良くないと思えば思うほど、意識してしまう。
嫉妬。憎しみ。怒り。
澱 カシル : じっ、と同じ高さからカシルの眼が覗き込む。
ピンクのカラコンをしていたはずだが……こんなに黒い瞳だっただろうか。
天海こよみ : 「…………っ」
天海こよみ : 違和感を覚える。いつのまにカラコンを外したんだろう。
天海こよみ : 「カシルちゃん……?」 黒い瞳に吸い込まれるようにその目を見つめながら、小さく名前を呟く
澱 カシル : ──長い。
10秒?20秒?1分を越えた?
痺れを切らし、カシルの手から逃れようとする……
逃げられない。
足に力が入らない。
いつの間にか、背中が壁に押し付けられている。
天海こよみ : 「……!?」 手から、背中から、冷たい温度を感じることに気付く
天海こよみ : 「あ、あの……。カシルちゃん、えっと……」
天海こよみ : もういいよね?と聞こうとするが、何故か上手く言葉が出ない。
澱 カシル : 「どうして………」
「貴方は得ていて、わたくしは得られないのですか……?」
澱 カシル : こよみに問うようで、そうではない言葉。
頬に当てられていた手が、首元へ少しずつズレていく。
天海こよみ : 「え……?」
天海こよみ : 「何のこ……」 反射的に聞き返そうとして
天海こよみ : 「と……」
天海こよみ : 冷たい温度が首元へと移動していくのを感じ、体が固まっていく。
天海こよみ : 嫌な予感────いや、もっと何か恐ろしいものが忍び寄ってきたような────

澱カシル

澱 カシル : 「欲しい……」
「なりたい……」
「かがやき、あこがれ、いやし……」
澱 カシル : 細く、白い指先が……
白く、細い首へわずかに沈む。
澱 カシル : 耳鳴りがする。
棚からバサバサと何かが崩れ落ちる。
知らない誰かの笑い声がする。
視界が歪んで、カシルの
眼が 黒くて
大きく
大きく
大きく
天海こよみ : 「あ……ぁ……」
天海こよみ : 恐怖心。
天海こよみ : それは本来、グループのメンバーから感じることのないはずの感情。
天海こよみ : 何が起こっているのか分からない。いや、そもそも目の前にいるのが誰なのかすら分からない。
天海こよみ : この子は本当にぼくが知っている、澱カシル?あの元気で明るくて優しい、かわいい女の子……?
天海こよみ : まさか、でもそんなはずがない。だけど……
天海こよみ : 「やめ……て……っ」
天海こよみ : ────混乱した頭の中、無意識に絞り出されたのは、
天海こよみ : 泣き出しそうなか細い声での、拒絶の言葉だった。
澱 カシル : その言葉を聞いて、虚ろだった瞳に光が戻る。
澱 カシル : 「これは……ダメ!」
カシルが飛び退く。
棚にぶつかり、いくつかの箱が床に転がる。
天海こよみ : 「…………っ」 荒く息をしながら、大きく見開いた目でカシルを見ている
澱 カシル : 「あ………」
「ごめん、なさい………!」
棚にぶつかった時に倒れ、床に這ったまま
澱 カシル : 「こんなこと、しちゃいけないのに……」
澱 カシル : 「こよみちゃんを守って、一緒にアイドルにならなきゃいけないのに……」
天海こよみ : 「……か、カシル……ちゃん……っ」
天海こよみ : 体から力が抜けていき、その場にへたり込んでしまう。……怯えた目でカシルを見ながら。
GM : 視界に映るカシルの姿……だが突如、視界にザザッとノイズが入る。
GM : その時、キミはフラッシュバックを起こす。夜。知らない路地裏。先ほど感じた、確実に迫り来る『死』の気配。明確な『悪意』。
GM : だが、キミはその光景を知らない。なら、この『記憶』は一体何だ?
GM : ──目の前に映る人影は、誰?
GM : 思考が巡るその前に。気づけば、君は元の物置の中に居た。いや、君はずっと物置の中に居たのだ。……幻覚だった、のだろう。
天海こよみ : 「……っ!?!?」
天海こよみ : 「な……なに……いまの……」
天海こよみ : わからない。わからないわからないわからない。
天海こよみ : 未知の恐怖に晒されて、胸元を握りしめて震えることしか出来ない。
澱 カシル : イージーエフェクト《シャドウダイバー》でクラッドカルトの感情を読みます!
system : [ 澱 カシル ] 侵蝕率 : 59 → 61
GM : ……カシルが感じたのは、まず『恐怖心』。こよみのものではない……彼は間違いなく、キミに恐怖している。
GM : だが、ただ恐怖しているわけではない。強い『警戒心』との同居……その様は、まるで野生動物かのよう。
GM : こよみを中心に渦巻く負の感情の海。手を出せば、ただでは済まされないことが理解できるだろう。
澱 カシル : 「(以前のわたくしの様な……本能で生きているレネゲイドビーイング……!)」
強まる親近感と、親しみを覚えるからこその憎しみがまた沸き上がりかける。
澱 カシル : だが、同じ失敗はしない。
「…………。あたしが言うのも変なんですけど……大丈夫、こよみちゃん? 立てる?」
今度こそ己を自制して立ち上がり、こよみに声をかける。
天海こよみ : 「……っ!!」 肩を震わせ、カシルを見上げる
天海こよみ : 「か……カシルちゃん……」
天海こよみ : 「もしかして……ぼくを……」
天海こよみ : 「殺したかった……の……?」
天海こよみ : 恐怖で染まった目で、そう問いかける。
澱 カシル : 「………っ。それは……違うよ。」
罪悪感。
どれだけクラッドカルトが認められなくても、目の前の少女を傷つけていい理由にはならない。
澱 カシル : 「こよみちゃんを殺したくなんかない……」
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「じゃあ、どうして……さっきみたいな、こと……」
天海こよみ : 「カシルちゃんも、クラッドカルトがほしくて……あみぃちゃん達みたいに……」
天海こよみ : 奪い取ろうとしたのではないか?
天海こよみ : 直前の会話の内容がクラッドカルトに関することだったため、そんな風に思ってしまう。
澱 カシル : 「…………嘘ついて赦してもらえる訳ないよね」
「正直に話すよ。とりあえず座ろっか。」
うっすら埃の積もった、撮影用の華美な椅子を示す。
天海こよみ : 「……こ、ここでいい。というか……その……」
天海こよみ : 足が竦んでいてまだちゃんと立てないらしい。おろおろとしながら自分の足下に目を落としている。
澱 カシル : 「わかった……じゃあ、あたしはここで。」
少し離れた床に正座する。
腰を抜かすほど怖かったのだと思うと、己の罪深さが浮き彫りになる。
澱 カシル : 「…………どう説明しようかな……」
「まずね、あたしはこよみちゃんのことが嫌いだとかそういうのではないかな……」
天海こよみ : 「……ほんと?」
澱 カシル : 「うん。素直で可愛くて、頑張れる子だもん。みんな、こよみちゃんのコトが好きだと思うよ。」
天海こよみ : 「……そう、なんだ……」
天海こよみ : 「それなら、よかった……かも……?」 少しだけ緊張感や恐怖感が薄れたのか、胸元を握る手から力が弱まる
澱 カシル : 「じゃあ何であんなコトしたの?……ってなるよね……」
澱 カシル : 「うーん………説明しないとダメだよね………」
澱 カシル : 「あたし、実は人間じゃないんだ……」
天海こよみ : 「え……!?」
天海こよみ : 「ど……どういう、意味……?」
澱 カシル : 「レネゲイドビーイング。どちらかと言えば、こよみちゃんより、クラッドカルトに近いモノ。かな。」
天海こよみ : 「えっ?えっ……?」
天海こよみ : 「そう……なの?でも、カシルちゃん……人間にしか見えないよ……?」
澱 カシル : 「そうでなきゃ困るもん! あたし、人間になりたいんだから。」
澱 カシル : 「でも、これは内緒ね。マリスノの皆にもまだ黙ってて欲しいの……」
澱 カシル : 「話さないといけないのは分かってるけど、追い出されて、ライブ出来ないかもしれないから……」
天海こよみ : 「……。うん……わかった」
天海こよみ : 「まだびっくりしてて、ちゃんと分かってないかもしれないけど……みんなにはひみつにする」
天海こよみ : 「せっかく同じグループになれたのに、一緒にライブできないのは……いや、だから……」
天海こよみ : 困惑しながらも受け入れ、約束する。さっきカシルに言われたような素直さで。
澱 カシル : 「ありがとう………! 本当に、こよみちゃんはいい子だね……」
澱 カシル : 「それで……さっき、あんなコトした理由だけど……」
澱 カシル : 「そのクラッドカルトなる蟲、わたくしは憎くてしょうがないのです。」
澱 カシル : 「………キツい言葉使ってごめんね? でもダメ、無理なの。」
天海こよみ : 「え、え?えっと……」
天海こよみ : 「……に、憎い、の?ほしいくらい好き……なんじゃ、なくて……?」
澱 カシル : 「あたしが本当に人間だったら、欲しい、と思ったのかもね。」
澱 カシル : 「でも、ほら。あたしって同類だから。」
澱 カシル : 「クラッドカルトは手に入れるモノじゃなくて……あたしがなれたかもしれない可能性に見えるの。」
澱 カシル : 「あたしが一番欲しいモノをもう持ってる癖に、人に取り憑いて、対価を払わずに輝きの汁だけを吸う。……あたしには、そう見えてしまうの。」
澱 カシル : 「だから……憎くて。ソイツがこよみちゃんに影響を与えて、人生を振り回そうとしているのも許せなくて……」
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「じゃあ、さっきのは……ぼくじゃなくて、ぼくの中にいるクラッドカルトのことが憎くて……」
天海こよみ : 「……お、怒ってた?の……?」 少し迷い、言葉を選んで言う
澱 カシル : 「自分で自分の憎しみに餐(の)まれてるようじゃダメだよね……」
澱 カシル : 「そんな感じかな……」
天海こよみ : 「ううん、だめなんかじゃ……」
天海こよみ : 「だめなんかじゃ、ないよ……!」
強くそう言って、立ち上がる。いつのまにか、足の竦みは治まっていた
澱 カシル : 「………う、うん……?」
立ち上がったこよみを見上げ、普段見られない気迫に押される
天海こよみ : 「あ、あのね、カシルちゃんのそれって、多分…・・・・暴走……っていうのじゃない、かな……!」
天海こよみ : 「ユメちゃんから教えてもらったの……オーヴァードは、強い感情とか、色々……しげき?とかで、レネゲイドがかっせいか?して……暴走しちゃうって……!」
天海こよみ : 「でもそれってみんな抑え込むのたいへんで、すごいエージェントの人でも暴走する時もあるって……!」
天海こよみ : 「だから、その……しょうがないこと……なんじゃないかな……っ」 だから自分を責めないでほしい、と潤んだ瞳で訴えかける
澱 カシル : 「ありがとう………あたし、あんなコトしたのに……そう、言ってくれるんだ……」
澱 カシル : 「大丈夫。………クラッドカルトは気に入らないけど、我慢してやっていける。」
澱 カシル : 「こよみちゃんの勇気、受け取ったから。」
こよみと同じように、力強く立ち上がる。
天海こよみ : 「……!カシルちゃん……」 安心したように小さく笑う
天海こよみ : 「勇気なんて、そんな……。でも、よかった……」
澱 カシル : 「なんか、お互い疲れちゃったよね……あはは……」
「お茶でもしよっか?」
出口へ向かおうとする……
天海こよみ : 「ふふ、そうだね……」 頷いて、ついていこうとする
澱 カシル : と、立ち止まり。くるりと振り返る。
澱 カシル : 「こよみちゃんはクラッドカルトのコト……どう思う? あたしはあんな風に言ったけど、こよみちゃんはどう感じてるのかなって。」
天海こよみ : 「わ、っと、と……」 ぶつかりそうになって直前で止まり
天海こよみ : 「ぼくが、クラッドカルトのこと……?う、うーん……」
天海こよみ : 「そう、だね……。色々……思ってる、かな……?」
天海こよみ : 口元に手を添えて、小さく唸りながら考えている。
澱 カシル : 「色々、かぁ……。 急に変な質問しても答えにくいよね。 気にしないで。」
天海こよみ : 「う、ううん。だいじょうぶ……答えれるよ」 そのまま少しだけ考えて
天海こよみ : 「……やっぱり、一番思うのは……」
天海こよみ : 「こわい、かな。まだまだ分からないことだらけだから……」
天海こよみ : 「それにこまってるかも……。クラッドカルトが取りついたから、ここまで色々なことがあったし、ね……」
澱 カシル : 「うっ……。ほんと、ごめんね……?」
色々なコト、に当然自分も含まれるだろうと考えて
天海こよみ : 「あ……!う、ううん、ちがうの……!さっきのことが言いたかったわけじゃ……!」 あわあわと手をばたつかせる
澱 カシル : 「いいのいいの。傷つけちゃったのは本当だし……。」
澱 カシル : 「でも安心した。 こよみちゃんがソイツのコト、ちゃんと警戒してくれてるから。」
澱 カシル : 「さっき触ってちょっと分かったの。……ソイツ、クラッドカルト。………忠実なキミの味方、ってワケじゃなさそう。」
天海こよみ : 「え……そうなの?でも、確か協力型?っていうのじゃなかったっけ……」
澱 カシル : 「あたし、相手の負の感情が感じとれるんだ。」
澱 カシル : 「さっきソイツが抱いてたのは……"恐怖"と"警戒"。 」
澱 カシル : 「こよみちゃんのコトがただ心配……ってワケじゃなさそうだったなあ。 むしろ、こよみちゃんに負担をかけてでも自分を守りたい、生きていたい………そんな本能を感じたの。」
天海こよみ : 「そうなの……?そんな風に考えてるの……?」
澱 カシル : 「半分はあたしの解釈だから、絶対そうとは限らないけど……」
澱 カシル : 「やっぱり、あたし的にはろくでもないヤツ!かな。」
天海こよみ : 「……そっか。ぼくのこと、心配してくれて、ありがとう……カシルちゃん」 微笑んで
澱 カシル : 「わー!! ほんっっと、こよみちゃんはいい子だよぉ〜……!」
こよみの両手を自分の両手で握る。
澱 カシル : 「何が起きるか分からないから、今はもう何もしないけど……気をつけてね。」
天海こよみ : 「えへへ……うん、わかった。気を付けるよ」 嬉しそうに手を握り返して
天海こよみ : 「……でも、ね。カシルちゃん……」
天海こよみ : 「カシルちゃんは、もしかしたら、怒るかもしれないけど……」
天海こよみ : 「ぼく、クラッドカルトのこと……かわいそうかも……って、思ってたり……するの」
澱 カシル : 「怒らないよ。優しいところがこよみちゃんの良いところだよね………そんな優しさに許してもらったあたしが、こよみちゃんの判断にどうこうは言えないのです!」
天海こよみ : 「そっか、よかった……」
天海こよみ : 「……さっき、恐怖と警戒をクラッドカルトが感じてるって、言ってたよね……」
天海こよみ : 「ぼく、それは分かる気がするの。だって、あみぃちゃんみたいな人達に、ねらわれてるんだから……」
天海こよみ : 「人に好かれたり、注目を集める能力を持っているからっていっても……」
天海こよみ : 「それってクラッドカルトが望んで持ってるわけじゃないんじゃないかなって……」
天海こよみ : 「そう生まれたくて生まれるヒトなんて、たぶん……いないと思うから……」
天海こよみ : 自分の胸元に手を当てて、その中にいる誰かに語り掛けるように言う。
澱 カシル : 「…………。あたしからすると、あたしだって望んだ力で生まれたワケじゃないし、他力本願ってどうなの!って思いますけど……」
澱 カシル : 「でも、こよみちゃんがソイツも優しく受け止めるつもりなら……あたしは見守ることにするね。」
天海こよみ : 「うん……」 ありがとう、と頷いて
天海こよみ : 「……他力本願、でも……いいんじゃないかな。ぼくも、誰かにたよって、助けてもらいながら生きてるから」
天海こよみ : 「だから逆にぼくをたよってくれるのは、ちょっとだけうれしいかも……」
天海こよみ : 「カシルちゃんが、だれにも言えないひみつを教えてくれた時も……その、なんだかちょっとだけ、うれしかったもん」 少しだけ照れたように笑って
澱 カシル : 「………そうだよね。人間ってそういう生き物。」
澱 カシル : 「あたしも……」
いいのだろうか。呪いまみれの自分が?
天海こよみ : 「……?カシルちゃんも、ぼくのこと……たよってね」
天海こよみ : 「ぼくのこと、守ってくれてるんだから……。ぼくが役に立てることなら、やってみたい」
天海こよみ : 「……。ぼくに何が出来るかは、分からないけど……」 言ってから、自分が出来ないことの方が多いことを思い出す
澱 カシル : 「じ……じゃあ……! 色々教えてほしいな! 人間のことも、アイドルのことも……! 勉強はしてるけど、多分まだまだで、変なコトしてるかもって時も多くて……! 」
澱 カシル : 心の何処かで咎める声がする。
深く関われば、呪いを振りまくかもしれないと。
──今さら何を。もう手遅れだ。
でも、許してくれた。なら──いっそ!
澱 カシル : 「こよみちゃん! お願いっ!」
天海こよみ : 「……!うん、もちろん……!ぼくにできることなら……!」
天海こよみ : 嬉しそうな笑顔を向けて、カシルの手を両手で握る。今度は、自分から。
天海こよみ : 澱カシルにロイスを取ります。〇幸福感/恐怖で
system : [ 天海こよみ ] ロイス : 4 → 5
澱 カシル : 「あたし、この恩は忘れません! クラッドカルトがどうであれ、こよみちゃんの味方でいます!」
澱 カシル : こよみにロイス取得!庇護/劣等感のP!
system : [ 澱 カシル ] ロイス : 3 → 4
天海こよみ : 「ふふっ、そんなおおげさだよ……でも、うれしいな」
澱 カシル : 「……あっ! こんなとこでずっとお話してたら休憩時間なくなっちゃうよ!?」
澱 カシル : 「ほら、お茶にしよっ!」
天海こよみ : 「あ……!う、うん……!」
天海こよみ : カシルから手を離すと、物置に置かれている謎のぬいぐるみを手に取る。
何となく気になってしまったらしい。あとでミツキ達に見せてみたくなった。
天海こよみ : 「ん、いこっか……」 片手でぬいぐるみを抱いて、もう片方の手でカシルの手を握る
澱 カシル : 「うん!」
こよみの手を引く。
誰かに触れるのは、落ち着かない行為だったけど……
今は不思議と、安心がある。
天海こよみ : ────手を引かれて、カシルと一緒に廊下を歩いて行きながら、ふと思う。
天海こよみ : クラッドカルトへと向けられている感情は人それぞれ、様々だが……
天海こよみ : クラッドカルト自身は、ぼくのことをどう思っているのだろう?
天海こよみ : GMに質問です。《デジャヴュ》を使って、クラッドカルトがこよみに抱いている感情って教えてもらえますか?好きか嫌いかとか、そんな単純な感じでも大丈夫です
天海こよみ : ダメな質問だったら断って貰って大丈夫!
GM : 了解です、エフェクト使用の宣言をお願いします!
天海こよみ : やったー、《デジャヴュ》使います!
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 37 → 39
GM : キミは、これまでの経験──と言っても、それは"古代種"であるキミにとっては非常に短い年月だが──を振り返る。
GM : クラッドカルトから密かに、だが確かに向けられる意識の中に、かつて学校に通っていた時に浴びせられていたような『悪意』はない。
GM : どちらかといえば、興味深くこちらを覗き込んでくる子猫のような。どこまでも純粋な好奇心を向けてくる、明らかに別の種類の生物。互いを理解する日が果たして来るのか、確証は得られないだろう。
天海こよみ : 「……そっか」
天海こよみ : 無意識に使った、しかし確信出来るその感覚を得て、小さく笑う。
天海こよみ : まだまだ分からないことの方が多いし、カシルがしてくれた忠告のこともある。
天海こよみ : だけど、悪意のない純粋な目でぼくのことを見てくれているのなら。
天海こよみ : 「これから……好きになっていけると、いいよね。いっしょに」
天海こよみ : そう小さく呟いて、ぬいぐるみを胸元で抱きしめた。


セーフハウス レッスンルーム

澱 カシル : 夜更け。自由時間という名目だが、レッスンルームにはまだ明かりが点いていた。
澱 カシル : 大型ミラーの中の自分を見つめる。
仮初め、借り物の顔で笑みを作ってみる。
──大丈夫。記憶の通りに出来ている。
不安を押し込めて、練習を再開する。
澱 カシル : カウントを唱えながら、ステップを踏む。
他者の真似、なりきり・見立ては呪いの基本。
故に、お手本通りに動くだけならばカシルにとって何ら難しくないのだが……
澱 カシル : ──多い。多すぎる。
1曲だけでも動きのパターンが多いのに、それを5曲全て迷わずに踊りきらなければならない。
楽勝と考えていた、己の見立ての甘さが恥ずかしい。
でも、今やれることはこれしかない。
澱 カシル : ひたすら振り付けのパターンを繰り返し、体に刻み込む。
細部に魂を込める彫刻家のように。
救いを願い唱える信仰者のように。
呪詛へ怨念を注ぐ呪術師のように。
何度でも、体の迷いを絶てるまで。
心の迷いは、まだあるけれど。
澱 カシル : ふと、気配に顔を上げて集中を切る。
表情に疲れは見せているが、汗はかいていない。
琵琶坂 藍依 : 「────遅くまでおつかれさま、カシル」
琵琶坂 藍依 : カシルが鏡越しに見た背後には、同じグループのメンバーの一人が立っていた。
琵琶坂 藍依 : その手には、バビコ(白桃味)なる氷菓がふたつ握られている。
澱 カシル : 「藍依ちゃん………。まだ、寝てなかったんですね。」
琵琶坂 藍依 : 「それはこっちの台詞じゃないかな?もう日を跨いじゃうよ?」苦笑して
澱 カシル : 「それもそうですね! でも、もう少し練習しておきたいので。」
藍依の手にある2つのアイスの意味も汲み取らず、鏡に向き直る。
琵琶坂 藍依 : 「…………」その様子を見て、溜息をついて
琵琶坂 藍依 : 「ちょっと待って、カシル」
琵琶坂 藍依 : 「少し休憩にしよう?」
琵琶坂 藍依 : 「ほら、早く受けとってもらわないと溶けちゃうよ」よく見えるようにバビコを持ちあげて
琵琶坂 藍依 : 「……それとも、この深夜にアイスふたつも私に食べさせるつもり?」
琵琶坂 藍依 : 少しだけでも休憩させようと、ふたつのアイスを口実に使う。
澱 カシル : 「あたしは別に大丈夫なのですが……。でも、アイスが溶けちゃうならしょうがないですね!」
肉体は疲れずとも精神は疲れる。琵琶坂の提案を無理に断ることもない。
琵琶坂 藍依 : 「うん、私の為にも受けとって」安心したように笑って
琵琶坂 藍依 : スタジオの壁を背に座ると、ふたつのバビコの片方をカシルに差し出す。
澱 カシル : 「ありがとう! …………。」
受け取りつつも、食べずに琵琶坂の手元をジッと見る。単にバビコの開け方を知らないだけだ。
琵琶坂 藍依 : 「……あれ?バビコ、食べた事ない?」察して笑う
澱 カシル : 「あ、バレちゃいました? どうやって食べるか、藍依ちゃんの真似しようって。」
琵琶坂 藍依 : 「何日も一緒に過ごしてたら、カシルが箱入り娘(?)なのは分かるよ」呪いの人形だし、実際に入ってたかもしれない。木箱とか。
澱 カシル : 「あはは………割と当たりかもしれません。」
自分を構成する概念の元になった物品たちの大半が箱に入っていたことを思い出す
澱 カシル : 「ん……つめたくて、甘いです。」
バビコの開け口をもいで、口をつける。
琵琶坂 藍依 : 「ん、美味しい?レッスンの後のアイスは一段と美味しく感じるよね」自分もバビコを口にしながら
澱 カシル : 「(これが美味しい、って感覚でいいんだ)」
甘くて、べたべたで、冷たい。
琵琶坂 藍依 : 「────けど、すごいねカシルは」
琵琶坂 藍依 : 「朝から晩までレッスンしていたハズなのに、ほとんど疲れが見えない」
澱 カシル : 「そ、そうかな……? 気のせいじゃないかな。」
琵琶坂 藍依 : 「(気のせいな事あるかな……? まあ、そこはいいか……?)」
琵琶坂 藍依 : 「ところで、さっきまでレッスンしてたのはダンスだよね?不安なところがあったりするの?」
澱 カシル : 「心配してくれて、ありがとう。不安とは違うけど、歌も踊りもちゃんと出来るようになっておきたくて!」
澱 カシル : 「あたし、経験もセンスもあるわけではないので! その分頑張らないと置いていかれちゃいますから!」
琵琶坂 藍依 : 「なるほど、どちらも完璧にしておくのは確かに大事だね」
琵琶坂 藍依 : 「合わせはまだだけど……歌とダンス、別々には出来ても、同時にとなると一気に難易度が跳ねあがるから……、それぞれしっかり身体に覚えさせておかないと話にならない……」
琵琶坂 藍依 : 「私も昔は、随分と苦戦した覚えがあるな……」
澱 カシル : 「藍依ちゃんは経験者ですもんね!」
SevensHeavenの名前は避ける。
今はあまり意識したくない。
琵琶坂 藍依 : 「うん、流石に今回ほど期限は厳しくなかったけど」
琵琶坂 藍依 : 「────ねえ、カシル」
澱 カシル : 「何でしょうか!」
琵琶坂 藍依 : 「今のカシルのダンスの完成度が見てみたいんだけど、ちょっと踊ってもらえる?」
琵琶坂 藍依 : 「経験者として何か、力になれるかもしれないし」
澱 カシル : 「わかりました! お願いします!」
即座に立ち上がり、準備する。
琵琶坂 藍依 : 「ありがとう」同じく立ちあがって、ダンスが見やすい位置に移動する
澱 カシル : 「カウント、お願いします!」
澱 カシル : 琵琶坂のカウントと手拍子に合わせ、歌をハミング。
先ほど染み込ませた動きをなぞる。
たん。たたん。たん。
澱 カシル : 振り付けは合っている。
見ていると、下瞼がひりつくような……何かはある。
だが………
澱 カシル : 歌の想いを。踊の意味を。
まるで汲み取れていない。
ただ、なぞって動くだけの人形だ。
琵琶坂 藍依 : 「……OK、わかった、ありがと」最後まで見終えて
澱 カシル : 「振り付け、間違えてましたか……?」
琵琶坂 藍依 : 「いや、フリはほとんど完璧と言って良いと思うよ」
琵琶坂 藍依 : 「カシルが頑張った事が、よく伝わってくる出来栄えだった」
琵琶坂 藍依 : 「けど…………」
琵琶坂 藍依 : 「ハッキリ言って、他には何も伝わってこなかった」
澱 カシル : 「それは、どうしてですか?」
琵琶坂 藍依 : 「どうして、か……そうだな…………」
琵琶坂 藍依 : 「まずは前提として、歌もダンスも、私は『演技』の一つだと思ってる」
琵琶坂 藍依 : 「どちらも"楽曲の内容を表現する事"が大事だからね、歌声もフリも、その手段にすぎない」
琵琶坂 藍依 : 「その点、カシルはダンスで何かを表現しようと意識した?」
澱 カシル : 「いえ……」
目を伏せる。空っぽの心で踊っていたのだから、表に現れるモノなどあるはずもない。
琵琶坂 藍依 : 「そうだよね……、そこさえ改善できれば、カシルは"化ける"と思うんだけど……」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、『演技』の方法から正そう」
琵琶坂 藍依 : 「────演技のコツ、メメはたしか『自分を殺す事』って言ってたよね」
澱 カシル : 「めめちゃんは……上手く演技できてたと思いますよ……?」
琵琶坂 藍依 : 「うん、これまで私が見てきた誰よりも"真似"は上手だったと思う」
琵琶坂 藍依 : 「だけど、アイドルという表現者にとって大事なのは、上手に真似する事じゃない」
琵琶坂 藍依 : 「────表現者にとって大事なのは『自分を生かす事』だ」
琵琶坂 藍依 : 「そんなメメとは真逆の方法を、私は教わった」
琵琶坂 藍依 : 「その役柄に歌詞に共感する事……自分の内側に在るモノを引き出す事……」
琵琶坂 藍依 : 「どれだけ上手にマネできても、作り物は作り物……」
琵琶坂 藍依 : 「人の心が乗っていないモノに、人間は共感できない」
琵琶坂 藍依 : 「演技は上手下手より、自分の心を表現する事が大事なんだよ、って」
琵琶坂 藍依 : 「……そう教わったんだ」
琵琶坂 藍依 : 「こういうの"メソッド演技"って言うのかな、受け売りだけど」
澱 カシル : ビシッ、と音がする。大型ミラーの隅に亀裂が走る。
──あなたに、何が分かる。
澱 カシル : 自分の内側にあるモノを生かす?
とんでもない。
封じられて当然のモノ。
嫌われて当然のモノ。
澱 カシル : 元より、紛い物。
それを今さら、表に出すことなど──!
澱 カシル : と、そこまで思考して。
澱 カシル : こよみの事を思い出す。
本当の自分を少しだけ曝け出して、それでもいい、努力していると言ってくれた相手。
澱 カシル : 「…………。正直、本当の自分なんてあるのかどうかも分からないけど……」
澱 カシル : 「アドバイス、挑戦してみます!」
琵琶坂 藍依 : 「うん、頑張ってみて」
琵琶坂 藍依 : 「……でも、カシル? 本当の自分が分からないって、どういう意味?」
琵琶坂 藍依 : 「だって、あるでしょ?」
澱 カシル : 「何が、あるんですか?」
琵琶坂 藍依 : 「変な事を言うな、カシルは」
琵琶坂 藍依 : 「────こんなに深夜まで頑張ってレッスンに励めるのが、本当の貴女じゃなくて何なの?」カシルの内側に潜んでいた闇を吹きとばすように、朗らかに笑う
澱 カシル : 「…………。」
きょとんとする。
澱 カシル : 目標、願い、嘘、存在意義。何もかも分からなくなって、真夜中にもがいている自分が、本当の自分?
澱 カシル : 「分からない、です。あたしはただ、こうするしか出来ないだけで……」
澱 カシル : でも、そうなのかもしれない。
澱 カシル : 「あの。一つだけ聞いてもいいですか?」
琵琶坂 藍依 : 「…………?」
澱 カシル : 「なんでアイドルやってるんだろう? って思ったことは無いんですか……? その、SevensHeavenの時も、今も……。」
琵琶坂 藍依 : 「ない」
琵琶坂 藍依 : 「……事もないかな」
琵琶坂 藍依 : 「────元々、アイドルになったのは、胡桃と並んで歩んでいきたかったからだけど」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルを続けている内に……応援してくれるファンの人達の笑顔を見る事も、アイドルを続けていく理由の一つになってきて……」
琵琶坂 藍依 : 「いつかは武道館まで連れていく、なんて……胡桃と私とファンの間で、大きな夢を持った事もあったけど……」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃が自殺して、ファンが一斉に離れて、武道館ライブの夢も絶たれ……、何もかもを失った時は……『どうしてアイドルしてたんだろう?』って思う日もあった…………」
澱 カシル : ──ああ、やっぱり。
人間でも、アイドルであっても。
道を見失って、彷徨うことはある。
澱 カシル : 「………それも……"琵琶坂藍依"? 」
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね、それも私だ」
澱 カシル : 「なら、きっと迷っているあたしも……本当のあたし……なのかも。」
黒い呪い人形も白いアイドルも。
白黒どちらにも定まらない今の"あたし" も。
偽りなく自分………ということなのだろう。
まだ、確信には至らないけれど。
琵琶坂 藍依 : 「うん、そうだと思う」
琵琶坂 藍依 : 「……カシルは経験も才能もなくて"こうする事しかできない"って、現状をマイナスに捉えているみたいだけど」
琵琶坂 藍依 : 「少なくとも私には、一生懸命に頑張っている今のカシルは眩しく見える」
琵琶坂 藍依 : 「……沈んでいた当時の私とは、比べるまでもないくらい」
澱 カシル : 「あたしが……眩しい?」
憧れだった胡桃と肩を並べていた相手からの言葉に心底驚く。
琵琶坂 藍依 : 「うん……? 私、ヘンなコト言ったかな……?」
澱 カシル : 「あたし、まだ何も出来てませんけど……デビューすらまだだし……」
琵琶坂 藍依 : 「結果じゃないよ、在り方がさ」
琵琶坂 藍依 : 「私がアイドルになった時は、そこまでの向上心はなかったから」
琵琶坂 藍依 : 「……そんなに頑張っているのは、何かしらの『夢』があるからじゃないか、って思って」
澱 カシル : 「『夢』………それは藍依ちゃんに託されたモノであって、あたしのモノじゃない……」
うわ言のように
琵琶坂 藍依 : 「…………?」
琵琶坂 藍依 : 「別に誰かに貰わなくても、自分の夢を持てばいいでしょ?」
澱 カシル : 「──あ」
至極、当然。
澱 カシル : 「そっか、それでいいんだ。」
自分がアイドルをやる理由。
新しい『夢』はまだカタチを持っていないけれど……
在る。
無かったら、こんな練習はしていない。
自分でも言葉に出来ないけれど、そうしたいと思っているから。
琵琶坂 藍依 : 「うん、本来はそれが自然だと思うよ?」その悩みの深奥まで藍依は知る由もないが、笑いながら言う
琵琶坂 藍依 : 「────ねえ、カシルにはさ、本当にないの?」
琵琶坂 藍依 : 「そこまで頑張っている理由」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルになりたい理由」
澱 カシル : 「………アイドルじゃないといけない理由は分かりません。最初、アイドルじゃないとダメ!と思ってたけど、本当はアイドルを望まれてたのは………」
琵琶坂藍依、とまでは言えない。
琵琶坂 藍依 : 「…………?」
澱 カシル : 「あたし、本当は誰にも存在を望まれてないんですよ。誰もが忌み嫌って当然なんです。」
澱 カシル : 「それでも、誰かに望まれる存在になりたい。」
澱 カシル : 「だからアイドル、というのは……ほら、絶対そうじゃないとダメ!って訳じゃないですよね。」
澱 カシル : 「でも……不思議なことに、今はアイドルがしたい、と感じるんです。理由はまだ、分からないけれど……」
澱 カシル : 「なので、まずは頑張ってみようかな!と」
「藍依ちゃんに、理由は後からでもいいと気付かされましたし!」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、そっかそっか……」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね……そうしたいから頑張っていく……」
琵琶坂 藍依 : 「それでいいと思うよ、私の親友もそうだった」
澱 カシル : 「………胡桃ちゃんのコト、思い出しますか?」
琵琶坂 藍依 : 「まあ、それはね……」
琵琶坂 藍依 : 「カシルは、胡桃に似てるから……」
琵琶坂 藍依 : 「(顔も、がんばり屋なところも……)」
琵琶坂 藍依 : 「(────私に何か隠し事をしているところも)」
澱 カシル : 「藍依ちゃんがアイドルをやる理由って……やっぱり、胡桃ちゃんに託されたから……?」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「そうだよ、私が今もアイドルを続けているのは、胡桃が私に託した夢だから」
琵琶坂 藍依 : 「…………私にはもう、他に何も残ってないから」
澱 カシル : 「自分の『夢』はもう、ないの?」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃との武道館ライブ、それが夢だったんだ」宙を見上げて
琵琶坂 藍依 : 「……もう決して叶わないんだよ」自嘲するように笑みを浮かべ
澱 カシル : 黒い香りを感じ取る。
自分の内側からわき出すモノと同じ匂い。
澱 カシル : 「藍依ちゃんのソレ、『夢』じゃなくて呪いみたいだね?」
澱 カシル : 「呪われてるコトが悪い、って意味じゃないよ。………ただ、お互いに強く、想ってたんだねって。」
琵琶坂 藍依 : 「呪い……呪い、ね……」
琵琶坂 藍依 : 「プロデューサーにも、同じ事を言われたよ」
琵琶坂 藍依 : 「でも、そうだね……、呪われているのも悪いコトばかりじゃない……」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃の呪いがあるからこそ、私は今も生きている……まだ前に進むコトができる…………」
琵琶坂 藍依 : 「少なくとも、トップアイドルに成るまでは────私の呪いは破れない」
澱 カシル : 「うん。お互い頑張ろ!」
暗いモノを裡に抱えて、それでも光へ歩みだそう。
今まで感じたことのないコレは……共感。
同じだ。彼女と自分は。
琵琶坂 藍依 : 「うん、お互い」
琵琶坂 藍依 : 「……いや、カシルは少し頑張りすぎかな」
琵琶坂 藍依 : 「ちゃんと寝てね、お願いだから」
澱 カシル : 「あはは………夜になると目が冴えちゃって……」
「気をつけまーす!」
「(特に睡眠は必要ありませんが……確かに、集中は落ちていた頃です。藍依さんに素直に従いましょう。)」
琵琶坂 藍依 : 「睡眠によって記憶が整理され、動作が定着するとも言うし、休憩を取るのだって大事なレッスンの一環だよ」
琵琶坂 藍依 : 「…………」暫し逡巡して顎に手を当てる
琵琶坂 藍依 : 「そうだな、そんなに目が冴えるなら」
琵琶坂 藍依 : 「────私と、添い寝でもする?」揶揄うように笑って
澱 カシル : 「胡桃ちゃんとはそうしてたんですか?」
琵琶坂 藍依 : 「……痛いところ突くな」困ったような表情に変わる
琵琶坂 藍依 : 「胡桃も寝付きが悪かったから、時々ね」
澱 カシル : 「なるほど!でしたら構いませんよ!」
澱 カシル : 「二人で寝ると、藍依ちゃんはちょっと寝苦しいかもしれませんが……ふふっ。」
琵琶坂 藍依 : 「でしたら構いません、とか、寝苦しいかも、とか、色々と引っかかるけど」
琵琶坂 藍依 : 「ひとまず、良しとしようか」
琵琶坂 藍依 : 「────さあ、そうと決まれば、すぐ寝室に戻ろう」
琵琶坂 藍依 : 「眠っている皆を起こさないようにね」スッと手を差し出す
澱 カシル : 「……?」何故手を出すのか意図が掴めないが、何となく自分も手を差し出してみる
琵琶坂 藍依 : その手をぎゅっと掴んで、1年前まで親友にしていたように手を引く。
琵琶坂 藍依 : 「……ところで、カシル」
琵琶坂 藍依 : 「ひとつ聞いておきたいんだけど」
琵琶坂 藍依 : 「貴女って、久能胡桃の────」
琵琶坂 藍依 : 「────親戚、だったりする?」手を引きながら背中越しに尋ねる
澱 カシル : 「──今はまだ、秘密です。」
唇に指を添えて、妖しげに笑う。
だけど、その行動、その表情を見せること自体が、彼女なりの誠意なのだと思えた。
琵琶坂 藍依 : 「…………秘密、か」
琵琶坂 藍依 : パチン。呟きながらスタジオの灯りを落とす。
琵琶坂 藍依 : 繋いだ手を引いて、静かに寝室まで歩いていく。
琵琶坂 藍依 : ────はたして彼女の誠意が伝わったのかどうか。それきり琵琶坂藍依が澱カシルに正体を尋ねる事はなかった。


東京 渋谷区

GM : ……時は遡り。
GM : これは、誰も知らない、誰も語らない、『夢川めめ』の過去。
GM : 当時、19歳であっためめは、渋谷を歩いていた。
GM : 夕焼けにより赤く、暗く染まった街並み……
夢川めめ : その中を独り、歩く女がいる。
夢川めめ : 若者の好む、「可愛い」に彩られた街の中、背を丸めて歩く女がいる。
夢川めめ : 目線は地面を踏むつま先を見、ただただ歩くのみ。
何処へ向かうわけでもない、何かから逃れるように、自らの思考からも逃避するべく、黙々と足を動かしている。

夢川めめ

夢川めめ : 「(学校にいる間だけは、''夢川めめ''で、居られた……だけど、1歩そこから踏み出したら?)」
夢川めめ : 「("わたし''には何も無い……)」
「(家にも、何処にも帰りたくない、帰れない……)」
夢川めめ : ……視界の端に、ふと洋服店のショウウィンドウが留まる。
夢川めめ : 所謂、「地雷系」「量産系」のブランドを取り扱う店だ。
……女子が好む、ふわふわで柔らかな生地。脚を大きく出すミニスカート。
制服のスカートすら折ったことのないこの女には、全くもって無縁の場所だった。
夢川めめ : だけど、それなのに。
不思議と目が離せない。
空っぽのリュックの持ち手をぎゅっと握りしめたまま、石のように固まってしまう。
GM : そんなめめを見た店員が、外に出てくる。
店員 : 「その服、可愛いですよねー!これ実は新作で…あ、良かったら中に別の色もあるんですよ!絶対似合います〜」
GM : 派手な髪色。黒の地雷服。耳の至るところにピアスが開けられている。そして…当然のように可愛らしい顔。体型も小柄で華奢、まるでお人形だ。
GM : めめが持ち得ない全てを持った人間が、笑顔で話しかけてくる。
夢川めめ : 「あ……っす」
ほほ笑みかけてくる顔を、見れない。
理性では分かっている、彼女に悪意などあるわけないことを。
分かっているはずなのだが、半身に自らを抱きしめる手に力が篭もる。
夢川めめ : 「……ぁの…ぃ、てただけッ…なンで……」
「………は、はは…」
声が上手く出ない。
手の中が吹き出す汗でじとりとして、気持ちが悪い。
いや、気持ち悪いのはわたし自身?
気持ちの悪い笑顔が引き攣り、陰気で、不気味な表情を形づくる。
店員 : 「……?大丈夫ですよ、試着だけでも…もしかして、こういうお洋服着たことないですかぁ?」
GM : めめの返答を聞き取れなかったのか、首を傾げつつ、笑顔で返してくる。
彼女は純粋に作っているであろう笑顔。だが、それがどう映るかは、受け取り手によるのだ。
夢川めめ : 「っ………!」
「…………!!」
夢川めめ : …………その表情だ。
その、仕草だ。
夢川めめ : 女の脳裏に、黒々とした記憶がぶわりと蘇る。
目の前で繰り広げられているかのように生き生きとした、幻覚、フラッシュバック、残像のような光景が。
夢川めめ : 似てる。
"あの子''に、似てる。
この人には非が無いのに、似てしまっている。
夢川めめ : 逃げなきゃ。
どこへ?
それは分からないけれど、記憶から、目の前の現実からとにかく逃げなきゃ。
でないと、嫌なことばかり思い出す。
夢川めめ : 「あ…………あは、ご、……ごめっ…ご、ご……」
「ぃ、すみませ、すみません……!!」
「あッ、あの……まにあって、ます…ので…!」
視線をぐるぐると巡らせたあげく、にべもなく店の前から走り出す。
店員 : 「あ……!」
GM : 後ろから、店員の戸惑いの声が聞こえる。だが、彼女が追ってくることはない……当然のことだ。
夢川めめ : 目元を越して、頭の中から暑い。
恥ずかしさか、滅茶苦茶に体を動かし走っているからか、のどがせらせらして苦い味が込み上げる。
周りの人は奇異の視線で女を見るだろう。
けれども、とにかく彼女は''ここではないどこか''へ逃げたかった。
夢川めめ : ……運動に慣れない無様な走り方、タイル敷きの地面は、彼女にとって悪路という他なかった。
つんのめって、ふわり、と体が宙へと浮き。
そのまま顔から床に突っ込む。
夢川めめ : 「………ぐ、ぃ…い…」
全身が痛む。周りの視線も突き刺すように痛い。
鼻先に触れると、ぬるい感触がした。しばらく起きれそうにない。
GM : 転んだことで向けられる目線。心配。好奇。嘲笑。種類は様々でありながら、誰一人として君に手を差し伸べはしない。
GM : ……ただ一人を除いては。
??? : 「……大丈夫?」
GM : キミの目の前に、誰かが来た。斜陽からキミを隠す、背の高い影。
夢川めめ : 半身のまま、青年を見つめる。
明い日の中、夜を連れて来たかのように影に立ち、彼女を見る彼を。
夢川めめ : 「…………きれい。」
夢川めめ : 言おうとしたのではなく、零れたのはその一言だった。
紫吹レイジ : 「……?そう?」そう、薄く笑う彼には、どこか影があるようにも見えた。
紫吹レイジ : 「……怪我、酷いね」
GM : 青年──よく見ると、何らかのコスプレ?のような衣装を纏っている──は、キミと目線を合わせるようにしゃがみ、顔の怪我を見る。
紫吹レイジ : 「…立てないよね。少し待っていて」
GM : そう言って、近くにあったドラッグストアへ向かった。
夢川めめ : 「……行っちゃった」
ぺたん、と座り込んだままぼうっと彼を待つ。
夢川めめ : その間に、体の傷を確認する。
……足の擦り傷、腕の打撲。鼻血。
より肌を露出した格好であれば、もっと酷い怪我だったろう。
さっきの店で見た服を思い出し、自嘲気味に笑った。
夢川めめ : 「そもそも、帰ってくるのかな」
「……不思議な格好していたし、YouTubeの企画、とかしたりして。……か、からかわれてるだけ、かも」
夢川めめ : 「……も、もう行こう、そんなことになったら……大変だし……っ」
立ち上がろうとしても、足に力が入らない。
やはり彼の言う通り、思ったよりも派手に怪我をしているようだ。
諦めて、大人しく彼の帰りと……恥ずかしさに耐える覚悟をすることにする。
GM : ほどなくして……彼は、袋を手に戻ってきた。
紫吹レイジ : 「…うん。まずは顔かな……メイク、してないよね?」確認をしながら、消毒液を手に取る。
夢川めめ : 「……!」
「(ほ、ほんとに帰ってきた…なんで…)」
夢川めめ : 「……は、はぃ…」
いつもの癖で俯きながらそう答える。
紫吹レイジ : 「了解。沁みるかも」そう言って、割と容赦なく消毒液を沁み込ませたコットンを顔にはたいてくる。
夢川めめ : 「うび……」
ぎゅ、と目を瞑って耐える。
握った拳は膝の上だ
紫吹レイジ : 「……一旦これでいいかな」呟き、鼻の頭に絆創膏を貼り付ける。
紫吹レイジ : 「……ふふっ」その姿をみて、クスッと笑う。
紫吹レイジ : 「わんぱく坊主みたいになっちゃったね」
夢川めめ : 「わ、わんぱく坊主?」
「……ふへ…っ、ひひひ……」
ぽかん、としてから気味の悪い笑いをして
夢川めめ : 「……あ……ぇと……すみません。わたしのためにわざわざ、その、し、し…し…、ゃさしく、してもらって」
「あの…お代は、はらいますので。…すみません。」
ぺこ、と頭を下げ
紫吹レイジ : 「いいよ。大した額じゃないし、面倒だ」
紫吹レイジ : 「……ほら、別のところも痛むんでしょ?早く済ませよう」そう言って、別の怪我の治療まで始めてしまう。
夢川めめ : 「う、う''〜〜…!!」
ただされるがままに、ソックスを折られたりシャツの袖をまくってもらったりしている
けれども人々の往来の中、人の注目も浴びているはずなのに、不思議と彼以外のことは目に入らない
GM : 青年は、てきぱきと作業を進めていく。あまりにも遠慮がない。めめを女性として見ていないのか、何なのか……だが、見知らぬ男性に触れられているのにも関わらず、不思議と嫌な気持ちはしなかった。
紫吹レイジ : 「……これで一通り、かな。派手に転んだとはいえ、この傷の量……君、かなりドジだね」また、おかしそうに笑う。
夢川めめ : 「ど、どじ…よく言われてた、かも」
「……ぁ…」
ごにょごにょ、と口の中でなにか呟いている
紫吹レイジ : 「……?何か言った?」
夢川めめ : 「…………あ……ありがとうッッ…!!」
「…ございます、手当…」
打って変わり、前半は大きな声で
夢川めめ : 「わ、わたし……あの、あなたが居なくなったあと…帰っちゃうのかなって…それか、動画とか…撮られてるのかな、なんて…はは、自意識過剰、ですけど…不安、だったから…」
「あなたがいいひとで、よかった……」
指をもじもじしながら
紫吹レイジ : 「……いい人……とまで言われることをしたつもりはないけど」
紫吹レイジ : 「まあ、家に帰ったらちゃんと治療しなおすように。こんなしょうもないことで一生ものの傷を負うなんて、嫌でしょ?」自分の鼻の頭を指でとん、と触って見せて。
夢川めめ : 「う、うん……」
「えへへ…ちゃんと、しっかり処置します…」
夢川めめ : 「それで、あの……」
「おにいさん、…すてきな服装、してるけど、し、しふく?ですか?」
夢川めめ : 言ってから、自分に驚いた。
普段、自ら話を広げることなんて、滅多に無いというのに。
…………この人と別れるのが、嫌だから?
まさか、引き留めようとしているというのだろうか。
紫吹レイジ : 「私服?……えぇ、まさか」苦笑して
紫吹レイジ : 「僕はアイドルをしていて……これは、その衣装だよ」
GM : そう言って、彼は立ち上がって衣装を見せてくる。白衣のような、王子様のような……だが、TVで見るような「アイドル」っぽくは見えない。
夢川めめ : 「あ、あいどる…なんですか?」
「……ごめんなさい、わたし…テレビ、あんまり見なくって」
夢川めめ : 「でも、街中でこんな……かっこいい衣装…」
「あ!…や、やっぱりテレビの撮影?わたし、邪魔して…邪魔になっちゃった……?」
紫吹レイジ : 「いや、違うよ。……僕もよく分かっていないけど……地下アイドル?っていうやつなんだ」
紫吹レイジ : 「いつか大きなステージに立ったりするために下積み中で……今は、フライヤー配っているところだったんだ」治療のため、丸めてポケットに入れていたフライヤーを広げる。フライヤーには複数のアイドルグループの名があり、その中の一枠……『EYES ONLY』というグループの一員として、彼の姿があった。
夢川めめ : 「あいず、おんりー……この人たち、っていうか……おにいさんが、この…グループ?に居るんです、よね」
「地下、アイドル…」
フライヤーをじいっと見つめて
紫吹レイジ : 「そう、それ。……衣装着たままこんなところに居るの、正直恥ずかしいんだけど……まあ、仕事だから」
紫吹レイジ : 「……そんなに気になる?」そう言って、キミにフライヤーを手渡してくる。
夢川めめ : 「…………」
夢川めめ : アイドル。
正直言って、今までの自分とは全く無縁の世界だ。
誰かを推す、なんて経験もなく……
いまだ初恋の兆しすら、見えない自分には。
夢川めめ : でも。
夢川めめ : 彼の手からフライヤーを、受け取る。
夢川めめ : この青年に、興味が沸いたから。
影の中から、そっと手を差し伸べてくれたこのヒトの事をもっと知りたい。
そんな不純な動機でしかない。
夢川めめ : 「……あ、あいずおんりー……」
「気になります…かなり、すごく」
ぼそぼそと
紫吹レイジ : 「……!そう…?」驚いたように目を見開き
紫吹レイジ : 「もし来てくれるなら嬉しいけど……無理に言ったりしてない?」
GM : キミはのちに知る事になるが、当時のEYES ONLYは今よりも弱小のメンズ地下アイドル……オタクの数も、10人前後の規模。且つ、加入したてのレイジには、オタクと呼べる存在がついていなかった。彼が驚くのにも、無理はなかったのだ。
夢川めめ : 「む、むりじゃない…!!」
ぶんぶんと首を振って
夢川めめ : 「わたし、どうせ暇だし……やることも、待ってる人もいないし…もし、行ってもいいなら…おにいさんについていく…」
紫吹レイジ : 「本当に…?こう言ったら何だけど…君、フッ軽すぎじゃない?」
紫吹レイジ : 「でも……うん、悪くない。嬉しいな」そう言って……小さく、だが確かに笑った。
夢川めめ : 「……わ、笑った顔も…かっこいい…私と全然…ちがう」
もごもごと口の中で
「あ、えと……へへ、よかったです……」
夢川めめ : 「そ、それで……」
「おにいさんの、名前はなんですか?」
小さなフライヤーの中で、恐らくは記述されていない、個人の名前を問うてみる
紫吹レイジ : 「……ん?ああ、そうか…名乗ったりしてないからね」
紫吹レイジ : 「僕の名前は『紫吹レイジ』。EYES ONLYのディープバイオレット担当だよ」
夢川めめ : 「紫吹……レイジくん……」
夢川めめ : 担当、という概念すらもよく分からない。
それでも、これだけはよく分かる。
夢川めめ : 「名前も、かっこいいね……」
地味だが、どこか路傍に咲く花のように優しい笑顔を見せて
夢川めめ : 「教えてくれて、ありがとうございます」
「私の名前はね…」
夢川めめ : その小さな口が、名前を形作る。
…………人々の往来、夜の忍び寄る街の中。逆光に染むる彼女の名前を聞き、見たのは…
夢川めめ : 紫吹レイジ、ただ一人だった。
 

セーフハウス

GM : ……そして、現在。
GM : 夢川めめは、紫吹レイジのTOとなり…当時とは全く異なる姿で、新生アイドルグループ「MARiNE SNOW」のメンバーとして活動していた。
GM : 今日は、ハードスケジュールの中に設けられた、数少ない休日である。
夢川めめ : 「は〜〜……まぢつら、つらみ……ちゅかれた…」
ぴえん、を体現するような表情で、合宿所の自室のベッドに横たわる。
夢川めめ : 「バイトもそりゃー疲れるけど……疲れの質がちがうもんね、肉体労働?肉体運動?毎日毎日……筋肉痛も遅れずに来ちゃうもん」
ふくらはぎをモミモミしつつ
夢川めめ : 「でもいいもんっ♡」
「だって今日は……久しぶりの…!!」
卓上カレンダーを手に取り、ぐるぐると丸を付けられた今日の日付をにまにまみつめる。
今日はオフの日かつ、アイオンのライブがある当日なのだ。
夢川めめ : 時刻はライブの開始時刻より2時間ほど前、外はやや日が暮れ始め、奇しくも''あの日''と同じ黄昏時だった。
夢川めめは、大きなスーツケースに荷物をぎゅうぎゅう詰め、自室から玄関へと向かう。
虹之元ユメ : 「あれ? めめちゃん、今日はおでかけの日でしたっけ」 今日は夕飯の当番だったので、エプロンをかけたユメがリビングを通るめめに声をかける
虹之元ユメ : 「随分と大荷物ですね! もしかして、ソロキャンプとかだったりして」 おでかけにしては多すぎる荷物を訝しみながら、クスリと笑みを浮かべる
夢川めめ : 「あ〜〜〜〜〜ユメち!!ユメちのご飯食べたかった〜!!あとでタッパーとかに取っといてほしいな〜〜!!食べるし!」
夢川めめ : 「めめはね、これから流浪の旅に…テンジクを目指して旅に出るのです……ふへへ、おわないでください♡」
ぱち、とウィンクして
琵琶坂 藍依 : 「天竺…?三蔵法師でもソロキャンパーでもいいけど、あんまり遅くならないようにね…?」廊下を通りかかって
虹之元ユメ : 「そんなに遠くへ行くなら経典(おみやげ)、期待しちゃいますよ!」
「あーうん、藍依ちゃんの言う通り! 不審者……FHとか、その他諸々に気を付けてね!」
夢川めめ : 「サンゾウ…?K点…?めめよくわかんなぁい……」
「めめが留守でも〜〜みんないい子にしてるんだゾ♡」
むちゅ、と投げキッスして
琵琶坂 藍依 : 「おかあさん(?)みたいな事を言うな、急に」自分は外出する母親に声をかけられた経験がほぼないから、よく分からないが
虹之元ユメ : 「お気をつけて、何かあったらすぐ連絡くださいね!」 少し心配しながら、めめの背中に手を振る
澱 カシル : 「あれ、お出かけですか? お気をつけて〜!」
会話を聞いて、玄関前に向けて顔を出す。
夢川めめ : 「〜〜♪」
楽しげに手をふりふり、合宿所を後にする。
夢川めめ : ……彼女が扉を閉めたその途端、久々の静寂に、その場の面々は耳鳴りを覚えただろう。
それほどに、夢川めめは賑やか─……いや、ありのままを述べるなら、やかましい女だった。
夢川めめ : けれども、今日はそのおかしさに磨きがかかっていた。というのも、合宿期間中の彼女には、(やる気はともかく)舌を巻くパフォーマンスの練度があった。
オーディションの頃はもとより、本格的なレッスンが始まると、トレーナーや地上アイドルを''鏡映し''のような精度で仕草を模倣してきた。
夢川めめ : そう。
歌も、ダンスも、その指先までもを自分のものとしてきたのである。
夢川めめ : ところがどうだ。
ここ最近は、レッスン中も上の空。
音程は外すわ、ステップで足は挫くは踏んだり蹴ったり。
夢川めめ : 彼女がおかしくなったのは……
休日を目前とした、ここ2日のことである。
加えて大荷物での夜の外出と来た。
夢川めめ : さて、同じグループのメンバーである何人かは、彼女の異変に気づき、原因を追求しようとするかもしれない。
心優しい者、あるいは人の機微に聡い者なら─……
虹之元ユメ : 「──────」 
玄関に静寂が満ちた後、ユメの胸中にふつふつと疑念が湧いて来る。最近のめめの調子に、今夜の大荷物の持ち出し……彼女は何をしようとしているのだろう?
虹之元ユメ : 「あの、藍依ちゃん。めめちゃんは……大丈夫でしょうか?」
彼女を疑うつもりは毛頭ない。この疑念はむしろ心配と好奇心に依るものが大きかった
琵琶坂 藍依 : 「どうかな……」閉まった玄関のドアを見つめて
琵琶坂 藍依 : 「ただ何か……胸騒ぎはする……」
虹之元ユメ : 「です、よね……」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「ユメ、一つ提案があるんだけど、いいかな」
虹之元ユメ : 「はい……」 玄関に向けていた視線を藍依に移す
琵琶坂 藍依 : 「────今から、私達でメメを追いかけよう」ユメの目を見つめ返して
虹之元ユメ : 「それは、つまり……」
虹之元ユメ : 「……尾行ですねっ!」 割と乗り気らしい、潤んだ瞳がキラリと輝いた気がする
琵琶坂 藍依 : 「……そういうこと。意外と乗り気だねユメ?」
虹之元ユメ : 「ちょ、ちょっとだけですよ! めめちゃんのプライベートを覗き見ることもちょっと憚られますし……」
虹之元ユメ : 「それ以上に、私も心配ですから……」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね」
琵琶坂 藍依 : 「ストーカーまがいの尾行だなんて、気が引けるけど……」何度も尾行された事がある側の人間
琵琶坂 藍依 : 「メメはきっと、初めて会った時から、私達に何かを隠している」
琵琶坂 藍依 : 「だから、彼女の言う"息抜き"が何なのか、確かめる必要がある」
虹之元ユメ : 「ですね、質問しても軽くいなされてしまいますから……」
虹之元ユメ : 「めめちゃんには悪いけど、ちょっとだけ覗かせてもらいましょうっ」
琵琶坂 藍依 : 「……うん」
琵琶坂 藍依 : 「ユメは今からすぐ出掛ける準備できてる?さっきまで夕食の準備してたでしょ?」
虹之元ユメ : 「はいっ、食材もあとは焼くだけの状態なので冷蔵庫に入れておけば……」
虹之元ユメ : 「……あっ」ふと、自分の服装を見下ろして
虹之元ユメ : 「ちょっとお着換えしてきますね! エプロンつけたままだと怪しいですし」
琵琶坂 藍依 : 「……待った、着替えまでしてる時間はないよ多分」
琵琶坂 藍依 : 「そうだな、エプロンだけ脱いでもらえる?」
虹之元ユメ : 「は、はい」きょとんとした表情を浮かべながら、スルリとエプロンを脱ぐ
琵琶坂 藍依 : 「────じゃ、さっそく行くよ」そう言うとパチンと指を鳴らす
琵琶坂 藍依 : 瞬間、ユメがエプロンの下に纏っていたレッスン用の衣服は光に包まれ、
琵琶坂 藍依 : 初めて会った日に着ていた私服に早変わり。
虹之元ユメ : 「……わ、すごい! これが藍依ちゃんの投影……!」
虹之元ユメ : ぽんぽんと投影された私服に触れて
琵琶坂 藍依 : 「まさしくストーカー向きの能力だね」
琵琶坂 藍依 : 「コヨミにあげた菖蒲と同じで、触られたらホログラムだとバレちゃうから気を付けて」
虹之元ユメ : 「気を付けます……!」こくりと頷く
琵琶坂 藍依 : 「うん、それじゃ改めて出発しようか」
澱 カシル : 「あれ、お二人もお出かけですか?」
再度廊下からニュッと顔を出す。
垂直に顔を出せるのは少しおかしい気もするが……。
澱 カシル : 「みんなお出かけしちゃうんですねー。もう暗くなりますから、気をつけてくださいね!」
虹之元ユメ : 「わっ、カシルちゃん……!」ぎょっと身体を揺らして
虹之元ユメ : 「はい、少しそこまで……帰って来たらすぐご飯を作りますので!」
虹之元ユメ : 「冷蔵庫のプリンは先に食べちゃ駄目ですよ」
琵琶坂 藍依 : 「もしも帰るのが遅くて、どうしても空腹に耐えかねたら食べても良いよ」
虹之元ユメ : 「下拵えは済んでいるので、焼くだけの状態です! その時はカシルちゃんにお願いしますね?」
澱 カシル : 「任せてください!」
ぐっ、と垂直のままガッツポーズする。
琵琶坂 藍依 : 「────それじゃ、私達も行ってきます」
琵琶坂 藍依 : 「お留守番、よろしくねカシル」
澱 カシル : 「留守番はお手の物です! ………とはいえ、早めに帰ってきてくださいね?」
虹之元ユメ : 「はい! そっちもなにかあれば連絡を、ミツキちゃんとこよみちゃんのこともよろしくね!」 カシルちゃんに微笑みながら手を振ろう
澱 カシル : 「はーい!」
両手をぶんぶん振って見送る。
垂直なのに……。
澱 カシル : 「にしても、嫌な感じですね……藍依ちゃんもユメちゃんもめめちゃんも何事もなく帰ってきてくれれば良いのですが。」
玄関から去り、こよみたちのいる談話室へ戻る。
 

歓楽街

夢川めめ : ゴロゴロと大きなスーツケースを引きながら、厚底の靴を鳴らし、少女は夜の街へと繰り出す。
時に鼻歌を零しながら、歩調はさながらステップを踏むように。
二人の尾行にも、まず気づく様子はない。
夢川めめ : その様子はいつもにも増して上機嫌だ。
アッパーな彼女が更に、ということだから、それはもう言わずもがな浮かれている。
夢川めめ : そのまま、彼女の足は歓楽街へと向かった。
夢川めめ : そしてひとつの雑居ビルへと侵入する……
虹之元ユメ : 「……あ、怪しいですね。ご機嫌なステップで雑居ビルに入っていく女性はかなりレアですよ……多分……」
琵琶坂 藍依 : 「それも大きなスーツケースを引いてね……」
琵琶坂 藍依 : 「上機嫌すぎて転ばないかハラハラしたけど……、なんだろ、この場所……」
虹之元ユメ : 「えーっと、入っているテナントを見ればわかりますかね……」 雑居ビルの看板をキョロキョロと探して
夢川めめ : 雑居ビルの上部には至って在り来りなテナントの看板が並んでいた。
夢川めめ : 大きな看板は例えば消費者金融、小さなものはネイルサロン、ヘアサロンなど……
歓楽街によくありそうなものばかりだ。
ビルに入った彼女はまだ出てきそうにない。
琵琶坂 藍依 : 「ネイルサロン……? 身嗜みを整えに来た……?」
虹之元ユメ : 「心の洗濯って以前に仰っていたような……サロンなら頷けますね」
虹之元ユメ : 「めめちゃんの髪色って素敵ですし……」ジーっとテナントの様子を伺って
琵琶坂 藍依 : 「いや、どうかな……」
琵琶坂 藍依 : 「それだけなら、わざわざ重いスーツケースを持ってくる理由が説明できない……」
虹之元ユメ : 「たしかに、それじゃあ……」 消費者金融の看板が目に入る
虹之元ユメ : 「さ、流石にスーツケースの中にお金は無いですよね……ないない……」
琵琶坂 藍依 : 「…………」ホストに生活費まで貢いでいた母親の顔がフラッシュバックする
虹之元ユメ : 「……藍依ちゃん、大丈夫ですか?」
琵琶坂 藍依 : 「……ああ、うん」目を伏せて
琵琶坂 藍依 : 「ちょっと嫌な事を思いだしてしまっただけ」
虹之元ユメ : 「……そうですか、気分が優れなかったらいつでも言ってくださいね」 藍依に微笑みを向けて
琵琶坂 藍依 : 「……わかった。ありがと、ユメ」
琵琶坂 藍依 : 「────それより、これからどうする? このまま入口で立ちつくしている訳にもいかないよね」
虹之元ユメ : 「どうしましょうね……。めめちゃんも出てくる気配はないですし~……」うーんうーん、と腕を組んで唸る
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、ひとまずメメが出てくるまで待ってみようか」
琵琶坂 藍依 : 「そのあたりで……ああ、でも私達くらいの年頃の女子が、こんなところでずっと立っているのは不自然か……?」
琵琶坂 藍依 : 「────うん、こうしよう」
琵琶坂 藍依 : 「今から私とユメは改めて変装して恋人に……」真顔で
虹之元ユメ : 「はあ─────」
虹之元ユメ : 「……えっ、こいびっ!?」大きな声が出そうになるが、口を押えて
虹之元ユメ : 「こ、恋人ですか……?」小声でヒソヒソと
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、流石に冗談だよ」その様子を見て、くすりと微笑んで
琵琶坂 藍依 : 「仮に変装を見破られてしまった場合、同じグループのアイドル同士で付き合っているとかスキャンダルになるだろうし」
虹之元ユメ : 「そ、そうですかぁ……もう、びっくりしちゃったじゃないですか」 クスクスと笑って
虹之元ユメ : 「もしかして、藍依ちゃんは他の子にも今みたいなこと言ったりしてるんじゃないですか~?」ちょっと意地悪な口ぶりで
琵琶坂 藍依 : 「いや、言ってな」
琵琶坂 藍依 : 「……………………」何か思いだしたのか急に押し黙る
虹之元ユメ : 「あ、藍依ちゃん……」 思わず苦笑いを浮かべる
虹之元ユメ : 「罪作りな女って言われちゃいますよ~……本気にしちゃったらどうするんですか~?」
琵琶坂 藍依 : 「本気にしちゃったら、か……、うん、それもそうだね……」
琵琶坂 藍依 : 「今度から、大丈夫そうな相手にしかしないようにするよ」キリッ
虹之元ユメ : 「え~?」ほんとかなぁ、と言いたげ
虹之元ユメ : 「もう、ただでさえ藍依ちゃんは女の子のファンが付きそうな雰囲気なんですから……大丈夫そうな相手でもドキッ!としちゃうと思いますよ?」胸に手を当てるしぐさ
琵琶坂 藍依 : 「────それならさっきの、ユメはドキッとしたの?」下から覗き込み
虹之元ユメ : 「…………」少し考えこむように目を伏せて、藍依の右手をそっと手に取る
虹之元ユメ : 「────確かめてみます?」その右手を心臓の近くまで引き寄せて
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「やめておこう、本当にスキャンダルになりかねない」冗談めかして
琵琶坂 藍依 : 「……うん、ちょっとふざけすぎた。友達との久しぶりの外出が楽しくてつい」
虹之元ユメ : 「ふふふ……そうしましょうか。私も楽しくて、つい少しからかい過ぎちゃった」
虹之元ユメ : パッと手を離して、藍依に微笑んでからテナントに目を向ける
琵琶坂 藍依 : 「それなら、お互い様ということで」人目につかない位置について、同じようにテナントに目を向ける
夢川めめ : ──…二人が密かに親睦を深めている頃。
夢川めめ : 雑居ビルのあるテナントにめめはいた。
夢川めめ : 室内にはさながら応接間のようなテーブルとソファ、書類を挟み、向き合うようにして座っている。
夢川めめ : 彼女の手元にはボールペンが……─もちろん、公的な契約時には書き直しが難しい用いるためのものだが。
そして、そのローテーブルの上には。
夢川めめ : 何やら、借用書と思わしき紙があった。
職員 : 「それでは──契約内容に誤りがないかご確認の上、こちらとこちらにサインと印鑑をお願いします」
夢川めめ : 「は〜〜い♡ちゃんと……実印、持ってきました♡」
ふー、と判子部分に息を吹いてから、朱肉にハンコを鎮める。
夢川めめ : 一方サインの方は……読めない。達筆なのか、悪質なのか。
とにかく読めない代物だが……
身分証明書に問題がなければ、この程度の事は問題と取られないだろう。
職員 : 「……では、お預かりします」
その筆跡、そして、支払い能力があるのか怪しい外見に首を捻りながらも、職員はサインを確認していく。
職員 : 「こちらで契約は完了となります。現金でのお渡しをご希望でしたよね?」
夢川めめ : 「うんっ♡もう、今すぐに欲しいな〜〜って感じでぇ…」
夢川めめ : 「えっとぉ、確か初回の限度額ってえ、30万円とかでしたよねえ?」
きゅるん、とした瞳で問いかける
職員 : 「そうですね。こちらの契約書にも記載の通りです」
夢川めめ : 「……じゃ、限度額いっぱいまで♡」
「できますよね?できるんですよね?ふふっ♡」
職員 : 「…!可能ですが……」
再度、支払い能力の有無に関する不安が首をもたげる。しかし、彼女の収入証明書類からすると問題はなさそうだ…
職員 : 「満額の30万円ですね。承知いたしました。少々お待ちください」
そう言い残し、職員は部屋の奥へと引っ込んでいく。
夢川めめ : 「はぁ〜い♡」
甘ったるい声でそう答える。
……そしてその背中を一瞥することも無く、手はスマホへと向かう。
当然することは、青い鳥……いや、アルファベットを冠したSNS周回だ。
GM : タイムラインを軽く確認したあたりで、職員が戻ってくる。手にあるのはアタッシュケースだ。
職員 : 「それでは…こちら、今回のご契約金の30万円となります。ご一緒に確認をお願いいたします」
職員は、1、2…と声に出し、めめに数える様を見せる。
夢川めめ : 一応、スマホを膝においてその様子を眺めている。
まるで愛しいものを見るかの目で、足をパタパタさせながら、30枚を数える瞬間を見守った。
夢川めめ : 「……はいっ、30万円ちゃーんとあるね〜♡」
「えへへ、ありがとぉございます♡」
職員 : 「……はい。では、こちらとなります」
口調などには触れず、職員はキミに30万円を現金で手渡してくる。
夢川めめ : 「♪〜」
スーツケースをがばりと開き、お金をねじ込む。
大量のメイク道具、ペンラ、推し概念服……それらの1番上に、グッと金を押し込んだ。
夢川めめ : 「……うふふっ♪ありがとぉございましたあ♡」
「えーっとぉ、近いうち?返しにきまぁす♡」
…大金を借金したと思えないほど軽い口調で、そして変わらぬ軽やかな足取りで、彼女は消費者金融を後にする。
夢川めめ : …いわゆる、闇金などではないだけまだ良かったのであろうか。
GM : さて、出入り口を張っていたユメとアイは……テナントビルから、めめが出ていく姿を目撃するだろう。
琵琶坂 藍依 : 「────出てきたね」
虹之元ユメ : 「はい、何をしていたんでしょうね……」
琵琶坂 藍依 : 「見た目は変わってないから、サロンじゃなさそう」
琵琶坂 藍依 : 「ということは……」表情を曇らせ
虹之元ユメ : 「……さっきの予想、当たっていないことを願います」 一瞬、目を伏せてからめめを目で追う
琵琶坂 藍依 : 「ひとまず追いかけようか、メメが次の曲がり角に差しかかったら動きだそう」
虹之元ユメ : 「はい、まだどこかへ向かうようですし……」コクリと頷いて
夢川めめ : さながら敏腕刑事のような二人が待ち構える中、ホシはビルから姿を現した。
夢川めめ : ……なにやらほくほくしている。サロン帰りだろうか?ツヤツヤした様子から、その真偽を見極めることは出来なかった。
夢川めめ : そしてまた、携帯を弄りながらどこかへと向かってゆく……
慌ててふたりが追いかけるならば、彼女の足はさっぱりとした、綺麗なビルへと向かうだろう。
夢川めめ : 先程訪れたややぼろの雑居ビルとは異なり、こちらはまだ建てられてそう経っていないようだ。
GM : ビルの壁面は、白と青のタイル張りとなっている。やや洗練された雰囲気があるビルには、外から通じる地下への階段がある。
GM : そう。ライブハウスへの入り口だ。
GM : 周囲には、めめのような格好をした女性で溢れている。年齢層は10代後半から20代がメイン、さらに上の年齢層の女性もちらほら見られるだろう。
GM : やや服とメイクの系統こそ異なるが、年若いユメやアイは、その中に難なく馴染むことができるだろう。
虹之元ユメ : 「ここはライブハウス、ですかね? 女性のお客さんがたくさんいらっしゃいます……」
琵琶坂 藍依 : 「そう、みたいだね」
琵琶坂 藍依 : 「……場所が場所だし、念には念を入れて、もう一段、変装していこうか」
琵琶坂 藍依 : そう言って、再びパチンと指を鳴らす。
琵琶坂 藍依 : すると二人の姿は、どこにでもいるような印象に残らない女子大学生のそれに変わった。
虹之元ユメ : 「あれ、藍依ちゃんのお顔が……」自分では確認できないので、藍依の挿げ替えられた顔をじっと見つめて
琵琶坂 藍依 : 「プロデューサーみたいな事してるな、私」コロコロと表情が変わる彼の面を思い出し
琵琶坂 藍依 : 「……私が視認できない範囲だと、表情の投影精度が下がるから、できるだけ近くにいてねユメ」
虹之元ユメ : 「はいっ、なんだか藍依ちゃんって魔法使いみたいですね」
琵琶坂 藍依 : 「……そうかな?初めて言われたよ」
琵琶坂 藍依 : 「でも、悪い気はしないかな」少し得意げに笑って
虹之元ユメ : 「頼りになる魔法使いさんですよ! それじゃ、弟子の私と一緒に潜入開始と行きましょうか」冗談めかしながら
琵琶坂 藍依 : 「うん、行こうかワトソン君……いや、魔法使いなら別の名前かな……?」言いながらライブハウスに歩みを進める
 

ライブハウス

GM : ……めめが入場してからしばらく経ち。整理番号を持つファンがあらかた捌け、アイとユメも入場することが叶った。
GM : 幸い、本日は無銭ライブの日だったようだ。二人はドリンク代600円のみを要求され、ライブハウスへの潜入に成功した。
GM : そこには、大量の女オタクが集っていた。女性の地下アイドルグループのライブを見に行ったことがある者であるほど、その男女比に驚くだろう。……いや、男性がほとんどいない以上、この表現は正しくないのかもしれない。
琵琶坂 藍依 : 「……見渡すかぎり、女の子しかいないね」
虹之元ユメ : 「ですね~。ここまで女性ばかりだと……男性のバンドか、グループ……でしょうかね?」 ドリンクを口に運びながら
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね」入場前までの和やかな会話はどこに行ったのか、険しい表情に変わる
虹之元ユメ : 「……藍依ちゃん藍依ちゃん、眉間に皺が寄っちゃってますよ?」 とんとん、と自分の額を軽く指して
琵琶坂 藍依 : 「私、そんな顔してた?」
虹之元ユメ : 「そうですね。心配しちゃうくらいには……」
虹之元ユメ : 「……失礼を承知で尋ねますが、なにか苦い思い出が?」
琵琶坂 藍依 : 「…………」一瞬、目を伏せて
琵琶坂 藍依 : 「ユメは、分かる……?この会場に満ちた空気……」辺りの女オタク達を見渡して
琵琶坂 藍依 : 「純粋な好意だけじゃなくて、執着や嫉妬……、強い感情が入りまじった……どこかギラついた熱気……」
虹之元ユメ : 「…………」 女性客たちに目を向けて、ピリついた空気を肌で感じ取る
虹之元ユメ : 「そう、ですね。盛況による熱気、というよりは……熱狂に近いかもしれません」
琵琶坂 藍依 : 「……私は、こういう場所に覚えがある」
琵琶坂 藍依 : 「私の母親は、そうした場所に依存する人間の一人だったんだ」
虹之元ユメ : 「そう、だったんですね……」 いけないことを聞いてしまったかも、と目を伏せる
琵琶坂 藍依 : 「よくある話だよ、気にしないで」微笑んで
琵琶坂 藍依 : 「────そんなことより、さっきは注意してくれてありがとう。ライブ会場で曇った顔してたら不自然だよね」
虹之元ユメ : 「い、いえ! こっちこそ不躾なことを聞いてしまって……」
虹之元ユメ : 「────でも、話してくれてありがとうございます。 何か困ったことがあれば、きっと力になりますから」 そう言って軽く微笑み返す
琵琶坂 藍依 : 「うん、頼りにしてるよワトソン君」雰囲気を和ませるように冗談めかして
虹之元ユメ : 「えへ、そうですね。探偵先生?」クスクスと笑みをこぼす
GM : ……やや和やかな雰囲気に戻るユメとアイ。
GM : だが、アイの分析は正しい。ここはメン地下現場……執着や嫉妬が入り混じる場所。
GM : 時は10数分前、めめが入場した頃に遡る。
GM : 今回のめめの整理番号は、1番とは言わないものの決して悪くはなかった。それに、キミの定位置は決まっている……他のオタクが譲る以上、整理番号にこだわる必要はなかったのだ。
GM : だが。
GM : ……キミの定位置には、既に別の者が立っていた。そう、キミと同じくレイジを推し、あの日火花を散らした同担の『被り』の女だ。
夢川めめ : 「…………」
「は?」
夢川めめ : 氷のような彼女の声は、ライブ会場の熱、喧騒にかき消され、溶け行った。
夢川めめ : 「(なんで、そこに居るの?そこはお前の場所じゃない、お前が居ていい場所じゃない、めめの場所って、皆が分かってるはずなのに)」
夢川めめ : 震える拳を握りしめ、石になってしまったかのようにぼうっと突っ立っている。
その女から、数メートル離れたその場所で、ただただ立っている。
GM : ……ふと、被りの女がキミに気づく。
被りの女 : 「……くすっ」
GM : 彼女は呆然とするキミを見て、小さく笑い…だが、すぐにゆったりとした態度で前に向き直った。キミのことなど意に介していないように。
夢川めめ : 「…………ッ!!!」
「〜〜〜〜ッ…!!!!!」
パキ、と彼女の指の骨が鳴った。
夢川めめ : 下唇を噛み締め、向き直ったその背中を穴が空くほど凝視している。
彼女の想いが届く事なら、被りの女は即死しているというほどに。
夢川めめ : 「…しッ……い、……ふー、ふぅう……」
「…………」
荒い息を無理に整え、夢川めめは定位置とは異なるが…他ファンが気を使って、いや畏れて譲ったその位置に身を固める。
夢川めめ : 今まで、彼のTOとなるまで舐めさせられた程度の苦渋に屈する訳には行かない。
それに、特典会で改めて身の程を知らしめてやればいいのだ。
夢川めめ : こめかみに青筋を立てながら、夢川めめは推しグッズの準備を始めた。
GM : ……そして、時は現在に戻る。
GM : 照明がふっと暗くなり、SEが流れる。ライブのスタートだ。
GM : めめが待ち望んだステージ。いつもの通り、メンバーらは自分の位置に立つ。
GM : ……ユメとアイは、彼らの入場でようやく理解する。ここは、メンズ地下アイドルの現場だと。
虹之元ユメ : 「……!」 彼らの登場に呆気に取られるが、ユメの目は何かを得ようとする観察眼に切り替わる
琵琶坂 藍依 : 「(同業……!メンズ地下アイドル……!メメの秘密はこれか……!!)」
琵琶坂 藍依 : 「(けど、このライブを見るだけなら……どうして雑居ビルに寄って……?)」
夢川めめ : 「………」
一瞬顔が綻ぶが、やはりまだやや硬い表情でペンラを振る。
もちろんカラーは紫、推し色でしかない。
しかしながら、参戦する他のオタクはその様子に違和感を抱くことだろう。
GM : ……SE、そして個人の入場後のダンスを終え。ついに、幕開けだ。
GM : 久しぶりの現場。パフォーマンスは、以前よりも確実に進歩しているように思える。
GM : 特に、初見の2人は、意外なほどの練度の高さに驚くこととなる。
GM : 個性がありながらも揃った動き。男性ならではの力強いパフォーマンス。
GM : 地上の男性アイドルと異なり、化粧は濃く、女性のような顔立ちのメンバーも多い。だが、ダンっと踏み鳴らされるこの足音の壮大さには目を見開かされる。
GM : 女性アイドルでは、到達できないかもしれない……そう思わせるほどの圧を感じるだろう。
虹之元ユメ : 「(豪快なパフォーマンス、ファンの意識を惹きつけるダンス……これが地下の男性アイドル……!)」 口元に手を当てながら、彼らの動きを目で追っている
夢川めめ : 「(前回見た、ハイドランジアの王お披露目回からもっと上手になってる……フリの力強さ、表情管理のひとつをとっても全く……めめには分かる、圧倒的に良くなってる……!)」
瞬きすら惜しむように、目を見開き、彼らの一挙手一投足を目に焼きつける。
琵琶坂 藍依 : 「(男性アイドルのステージを生で見るのは、これが初めてだけど……)」
琵琶坂 藍依 : 「(この距離で、この迫力……。成程、確かに夢中になる子がいるのも頷ける……)」
琵琶坂 藍依 : 「(もっとも"負けている"とは全く思わないけど)」元人気地上アイドルの自負
GM : パフォーマンスは何事もなく進行していく。それぞれのメンバーのパートになると推し色ペンライトが高く上げられる、地下アイドル特有の光景に、ユメとアイの2人が慣れてきた頃…
GM : ふと、めめは紫吹レイジと目が合う。
夢川めめ : 「……れぇじ……!」
聖火を掲げるようにペンラを握りながら、か細く推しの名前を呼ぶ。
夢川めめ : 「(わ…………今日もお顔が良い……!高級な筆の毛先みないな睫毛に縁取られたおめめ、びいどろみたいに涼し気な紫色の瞳……!お人形さんみたいに真っ白な肌、めめも成りたいと思うほどに良い、好き……!!久しぶりなのに相変わらず目合わせてくれるなんてほんとにれぇじってファン、ううん!めめ思いで優しすぎるしああめめってなんで毎回のライブに通えなかったんだろ、頑張れば抜け出して、すぐにれぇじに会いに来れたのに……めめが、めめにいくじがないから、アイカツも楽しいけど、やっぱりめめにはれぇじしか居ないから…れぇじ、れぇじ、れぇじ……!!)」
夢川めめ : ぐるぐると大量に頭の中で巡るのは、ただ純真な推しへの愛。
ただそれを、言葉に形容するなら…
夢川めめ : 「しゅき……♡」
GM : ライブ中である今、めめの言葉など簡単にかき消えてしまう。パフォーマンス中のメンバーに届くはずがない……だがレイジは、彼女の口の動きを見て小さく笑う。
GM : そして、フォーメーション移動中……ピースサインの指先を己の目元に向け、手首を返してキミに向ける。
紫吹レイジ : 『見つけたよ』……そう、伝えるように。
夢川めめ : 「…………ゔ…」
思わず、右手を心臓の当たりに添えくぐもった声を漏らす。
どきんどきんと痛む胸に、夢川めめは赤らみ汗ばみ、歪んだ顔を俯かせ……
自らに与えられた天からの恵みをただ噛みしめた。
GM : ……そうして、ライブは終了した。然程長時間ではないが、各々得るものがあったことだろう。
GM : 会場に照明が付き、スタッフらがセッティングを始める。特典会が開始するのだろう。
スタッフ : 「特典会に参加される方は列にお並びください、そうでない方の出口はこちらでーす」
GM : そう、スタッフの誘導が始まる。
琵琶坂 藍依 : 「出来ればメメの様子を見ていたいけど……、あれからすぐ合宿所を出たから、今は持ちあわせがないな……」
虹之元ユメ : 「実は私も……。仕方ありません、ここは一時撤退ですかね……」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね……、外で待つしかないか……」オタク達を挟んで向かい側にいるメメを見つめて
虹之元ユメ : 「……そうですね。きっとめめちゃんは特典会に並ぶでしょうし、少し待ってみましょう」 そんなに時間はかからないだろう、とどこかで思っている
虹之元ユメ : 「……あっ、誘導が始まりましたね。とりあえず外で……少し離れたところでめめちゃんが出てくるのを待ちますか」
琵琶坂 藍依 : 「うん……」
琵琶坂 藍依 : 「(嫌な予感……当たらないといいけど……)」メメが雑居ビルに入っていく姿がフラッシュバックする
GM : ユメとアイが外に出て……ほどなくして、特典会が開始した。
GM : 製番の関係上、キミは被りの女の後となったが……今日はチェキを200枚買えるだけの軍資金がある。大した問題ではないだろう。
GM : ──さて、レイジがキミを待っている。
夢川めめ : 「……あは、楽しみだなぁ……」
夢川めめ : ぞろぞろと人が蠢く会場の中、ぽつりと彼女はそう漏らす。
視線の先には、愛しの人と、それから。
夢川めめ : ──ムカつく。
彼に好かれる様に、と。
纏うその衣服も、その思考に至っためめと同じ思考の脳みそも、きらい、きらい、だいっきらい。
夢川めめ : …………憎い、あの軽薄な紫頭を地面に蹲え、地団駄を踏ませることが出来るのが、とおっても楽しみでしかたないの。
夢川めめ : 厚底の靴を鳴らし、夢川めめはまず。
紫吹レイジの列へと向かい、その対面を待つこととした。
GM : 待つ事数分ほど。キミの番がやってきた。
GM : レイジはキミの姿を見て、ふっと柔らかに笑う。
紫吹レイジ : 「……久しぶり、めめ」
夢川めめ : 「……れぇじ〜♡♡」
「やーっ!久しぶりっ♡♡めめ、めめ……」
ぱたぱた、と小走りで近寄る
夢川めめ : 「ずっとずうっと、会いたかった……!」
「ひぐッ……会いに来れなくて、ごめんねぇッ……」
ウルウルとした目で
紫吹レイジ : 「わ……泣かないで、めめ。大丈夫、久しぶりに来てくれて嬉しいよ」
驚いた様子で迎え入れつつ、隣の席に座らせる。
夢川めめ : 「……ほ、ほんと?」
「れぇじ、めめのこと……」
すとん、と力無く席について
夢川めめ : 「(…………嫌いになった?なんて聞いたらうざいかな……嫌われちゃうよね……でも……)」
夢川めめ : 「…………ちゃんと、覚えてくれてた〜?」
「うふふっ、れぇじってば、担当の子多いからぁ……あはっ!えっとぉ、いち…に、しゅうかん?来れなかったから、忘れちゃったかなー?……って!」
紫吹レイジ : 「当たり前だよ。君を忘れるなんて、そんなことは今後一生無いと思う」首を横に振って微笑む。
紫吹レイジ : 「でも……最近来てくれなかったのは、少し寂しかったかも。僕はもうお役御免なのかな、って」
夢川めめ : 「…ッ!?」
「そんなッ……訳!!!」
完全に反射的に立ち上がり、目を瞬かせ
夢川めめ : 「……あ、お、……お、…でかい声、出しちゃって…ごめんなさい」
ふとした瞬間、負の感情が高ぶる時、昔の様に、吃りが出てしまう。
彼女はそんな自分が嫌いだった。
夢川めめ : 「……あははっ♡」
「そんな訳ないよ〜〜♡♡だってぇ…めめ、世界でいっちばん大好きだもんっ!来れない間だって……一日でもれぇじのこと考えてない時、なかったよ?」
紫吹レイジ : 「……ありがとう」めめの吃りに気づきながらも、特に触れず微笑む。
紫吹レイジ : 「でも、大丈夫。今のは冗談だよ。むしろ……なんだか、前よりいい顔をするようになったね?」
夢川めめ : 「……うふふっ、本当?」
「え〜〜、なんだろぉ……会えない時間がめめの愛を育んでくれたのかなあ?♡」
普段よりも磨きがかかった糖漬けの様な思考が、甘ったるい言葉となって口から溢れ出る。
夢川めめ : 「でも……今日はアイオン、あと、特にれぇじは本当に凄かった…!!」
「ハイドランジアの王のお披露目会の時より…なんて言ったらいいのかなっ、解釈というかね、えっとね…!」
手をもにょもにょさせながら
夢川めめ : 「歌詞の発し方やダンスの振りに込められた意味、ひとつひとつがね、見えるの……!れぇじが伝えたいこと、い〜っぱい伝わってきたって言うか、ね…!?」
紫吹レイジ : 「……ふふっ」めめの熱弁を受け、レイジが小さく笑う
紫吹レイジ : 「なんだか……久しぶりだな。こういうの…」
夢川めめ : 「あ……え、えへへ…」
「ごめんね、いっぱい話しすぎちゃった……」
恥ずかしそうに目を逸らして
夢川めめ : 「……でも、めめが思ってることは全部ほんとだし…」
「これからは、なるべくれぇじに久しぶり、なんて言わせないよう…頑張るから」
紫吹レイジ : 「ありがとう。無理はしないでほしいけど…でも、こうやって、パフォーマンスの細かいところまで見てくれるのはめめくらいだから…」小さく呟く
紫吹レイジ : 「……でも、前に来てくれた時よりも感想の専門性が増してない?もしかして、何かあった?」
夢川めめ : 「何か……?」
ふぇ?としばらく思案して。
夢川めめ : 最近の身の回りの変化と言えば──……
……ああ、そっか。
夢川めめ : 自分が、''そちら側''に足を踏み入れたから、自然と''そう''なっていたのかもしれない。
夢川めめ : ……でも。
夢川めめ : 口が裂けても、れぇじには''そんなこと''言えない。
何故だろう、彼だけには知られたくない─……
地下アイドルを、金稼ぎの術に使おうとしていることを…
夢川めめ : 「……なんもないよぉ?」
「ん〜……えっと、お仕事がちょっと繁忙期でぇ……あ、でも感想とはカンケーないよねえ?なんでかな〜??」
紫吹レイジ : 「………」その返答を聞き、しばし逡巡した後……レイジは、キミに身体を近づける。
紫吹レイジ : 「……えっと、ね。めめ」
紫吹レイジ : 「これから言うことは、君が僕に知られたくなかったことだと思う。というか、完全に僕の私欲で聞くことなんだけど……」
紫吹レイジ : 周囲に、チェキスタッフにすら聞こえないような声で、レイジは囁く。
紫吹レイジ : 「……もしかしなくても……君の新しい仕事って、アイドルじゃない?」
夢川めめ : 「…………え」
夢川めめ : ぶわり、と汗が吹き出す。
掌から、背中から、胃から、出てはいけない場所からじわり、じくりと汗が出る。
夢川めめ : 「──……なんで?」
特定されないよう、映り込み、写真の位置情報、気を使えるものは全て使った。
何もかも手を尽くしたはずの彼女には、蒼白な顔で零すのが精一杯だった。
紫吹レイジ : 「なんでというか……SNSで見かけて……」やや気まずそうに目を逸らして
GM : ……そう。いくら特定を防ごうとしても……キミは、キミたちはアイドルだ。SNSアカウントの作成や事務所による宣伝により、MARiNE SNOWは想定以上に注目を集めることとなっている。
GM : このような日が来ても、決しておかしくはなかったのだ。
紫吹レイジ : 「……違うんだよ。僕は君を追い詰めたいとか、そういうんじゃなくて……」
紫吹レイジ : 「……嬉しかったんだ」そう言って、柔らかく微笑む
夢川めめ : 「(ユメちやびわちの様に、芸名を使えばよかったかな……SNSの恐ろしさをいちばん知ってるのは私だったはずなのに、やっぱりわたし、本当にバカで……)」
「うれし、かった…?」
夢川めめ : 「………ど、どうして…」
紫吹レイジ : 「どうしてって…好きなことを好きな人と共有できて、嬉しくない人がいるわけないでしょ?」
紫吹レイジ : 「めめがアイドルになろうと思った理由はわからないけど……でも、僕は君の創るステージに興味があるよ」
夢川めめ : 「………ち、ちが……」
「私…でも…」
夢川めめ : …………でも、これは、チャンスなのでは?
夢川めめ : 知られたくなかったのは事実、だけども……
好きな人が、こんなに喜んでくれて…それに他の誰にも、あの女にも出来ないアプローチで、私だけが近づける。
夢川めめ : 変わらず、不純な動機には違いない。
夢川めめ : 全ての可能性を考慮して、夢川めめは……
最愛の人に、またしても嘘をついた。
夢川めめ : 「……あ、は。」
「……うん、そう。れぇじの言う通り…」
夢川めめ : 「……わたし、アイドルになるの。」
「れぇじみたいに、ユメを届けられる、アイドルになりたい、って…」
紫吹レイジ : 「夢を届ける……か」
小さく呟いてから、めめに対して笑顔を見せる。
紫吹レイジ : 「いいね。ステージに立つ君の姿、今はまだ想像できないけど…でも、楽しみだよ」
夢川めめ : 「…………」
思い詰めた表情を見せる。
それは最推しへの幾重に重なる嘘ゆえか、それとも…
夢川めめ : 「……う、うん!!」
「えへへ!だから、これからは……れぇじは、めめにとって大事で大事で大好きなれぇじだけじゃなくて……」
はがし役から止められないギリギリのラインを狙い、耳元に口をよせ
夢川めめ : 「かっこいい、アイドルの先輩になるんだねっ」
「……れぇじせんぱい♡」
誰にも聞こえないように囁く。
紫吹レイジ : 「……ふふっ」そのいたずらめいた仕草に笑みを溢す。
紫吹レイジ : 「先輩、って呼ばれたのは…もしかしたら人生で初めてかもしれない。なかなか悪くないね」
紫吹レイジ : 「そうだな…困った事があったらDMしてね、後輩ちゃん」そう、冗談めかして返す。
夢川めめ : 「……うぎゅ……!!」
耳を澄ませれば、きゅーん!!とハートを撃ち抜かれた音が聞こえたかもしれない
夢川めめ : 「ふぁ、ふぁいい……♡れぇじしぇんぱい……」
思わずでれでれになりながら、真っ赤になって返すのがやっとだった。
GM : ……久しぶりの最推しとのやり取り。宝物のような1秒1秒を、キミは次々と買い足していく。
GM : 30万もあるのだ。鍵閉めなど余裕である…
GM : はずだった。
GM : あの日の悪夢の再演。終わらない夜。
GM : 件の被り女が……20ループ目、すなわち200枚目のチェキを涼しい顔で撮りに行った。
GM : キミの手元に残る軍資金は、あと15000円…たったの1ループ分。
GM : 他のメンバーは、すでに楽屋に引っ込んでいる。この場にいるのはめめ、レイジ、被りの女、撤収作業を進めるスタッフのみ──
夢川めめ : 「何で……?なんで?なんで?なんで……」
片手でぺらぺらになってしまった財布をぎち、とにぎりしめ。
夢川めめ : 無意識にもう片手が、口へと向かう。
れぇじ色に染め、愛のため、チェキ代のため…自ら装飾を施した爪を、カリ…カリと噛み始める。
夢川めめ : 「おかしいじゃん、ねぇ…おかしい、おかしいおかしい……」
「おかしいッ……!!!!」
冷や汗をだらだらとかき、足が自然と貧乏ゆすりを始めながら
夢川めめ : 「あのババア、''や''った……めめがちゃんとお金も用意してきたのに、なんで?なんでわざわざそれに合わせてさぁああああ……!?」
「あ''ぁ''あ'〜〜ゔぅゔ〜〜……キショい……きもい、ほんと気持ちわるい……ありえない、どうして…なんでぇえ…!!!」
ぶつ、ぶつぶつと小さな声で呟きながら。
夢川めめ : ……最後のループ、下ろしてきた30万円の、その最後の一搾り。
いや、厳密に言えば交通費を込めればもう少し買い増せるか。
夢川めめ : とにかく、とにかく……
夢川めめ : 今、めめに出来るのは。
夢川めめ : 「…………終わってよ、お願いだから……!」
「めめの''スキ''の邪魔しないでよ……」
震える手でスタッフに金を差し出す。
……もう1ループ、最後の一望みを掛け、祈るような気持ちでチェキループを重ねることだけだった。
GM : ……だが、最後の『抵抗』も虚しく。
GM : キミがレイジの元に辿り着いた途端、後ろにあの女が付く。手に持つのは10枚のチェキ券。
GM : その日、キミは……敗北したのだ。
夢川めめ : 「……………」
「……………………」
夢川めめ : 耳の中で高い、金属を打ったのような音が止まない。
それから、砂が流れる様な音。
現実が遠ざかっていって、目に見える色は途端に褪せていく。
夢川めめ : まるで、高山の崖っぷち、足元が崩れ落ちていくかのよう。
あるいは、どこまでも深い流砂に捕われ、砂が足に絡みつき、ただただ呑まれていくように。
夢川めめ : 浅い息しか出来ない。
口の中が苦酸っぱくなって、笑いたくもないのに口角がひくつく。
…………ああ、でも。
夢川めめ : れぇじだ。
れぇじが目の前に居る。
れぇじの前で、こんなめめを見せる訳には行かない。心配なんて掛けられない。
夢川めめ : 夢川めめは、僅かに残った正気を振り絞って……にこやかに、最推しと最後のお話をした。
夢川めめ : 内容なんて覚えていない。
……ただ、自分が、「ごめんね」と。
繰り返し、そう言っていたような。そんな気がする。
夢川めめ : そうしてふら、と列を離れ…………
あぁあ、あ。
よせば、良いのに。
夢川めめ : 振り向かず、逃げればよかったのに。
ライブハウスの出口を前にして、彼女はちらと、後ろを見てしまった。
GM : 砂嵐に支配され、エラーを起こしたキミの五感に……その甲高い声は、するりと耳に入ってくる。
被りの女 : 「え、やばーい気づかなかったぁ!レきゅん、またお肌綺麗になった!?」
被りの女 : 「先週あげたやつ、もしかして使ってくれてるの?」
紫吹レイジ : 「……うん。折角くれたものだし…確かに、ちょっといいかも。ありがとうね」
被りの女 : 「ほんと!やっぱ遺伝子学的に肌質近いのかなぁ、毎週通って一生分買ってあげるね〜♡」
GM : あからさまにハイテンションな声。演者に、レイジに対するスキンシップ。レイジと話せる事が楽しいのか、それとも敗者への当てつけか…
夢川めめ : は……???
夢川めめ : な、にが……
「また」、肌綺麗になったって抜かしてんの、「私には些細な違いがわかります♡」ってアピール?
先週って、めめがいない間にれぇじのこと、──いやきっと、今日一日、ううん。
この数週間、めめが呑気にアイドルなんかやってる間に、れぇじが、れぇじが……
めめのれぇじが、香水臭いぶりっ子ババアと同じ肌質で、同じスキンケア用品を使って…??そんなの実質夜を過ごしてケア用品を分け合ったみたいなことで、
夢川めめ : …………嫌。
夢川めめ : 嫌、イヤ、もう、…………いや。
夢川めめ : 甘んじてあの女の贈ったものを使うれぇじも、腕なんか絡みつかせて、猫なで声で、金を振りまいて、わたしを嘲笑って、悦に浸るあの女も。
夢川めめ : そして。
夢川めめ : …………こんなことを考えるめめがいちばん、穢らしい。
 

歓楽街

GM : ……外に出た途端、風が吹き付ける。夏にしては珍しい、やや肌寒い夜。
GM : だが、その夜風とて、キミの心を冷静にすることはできないだろう。
夢川めめ : 「…………ハハ」
「おかね、無くなっちゃった」
ぼんやりと、夜空を見上げながら独りごちる。
夢川めめ : ここから合宿所までは駅にして5駅程。
文字にすると短いが、距離にして10kmはくだらない。
……このおでこ靴で、歩けるかな。
この気持ちで、足を踏み出せるだろうか。
夢川めめ : それでも、できる限り短いルートを探ろうと取り出したスマホ(無論、れぇじ仕様。手作りミニぬい付き)は、スリープを解除した途端に暗転した。
それっきり、うんともすんとも言わない。
夢川めめ : 思わず手を振り上げ、手の中の物を地面に叩きつけそうになる。
夢川めめ : でも、スマホのケースの、ぬいぐるみの、れぇじのつぶらな瞳にはっとさせられ……
──…夢川めめは、諦めたように。
ライブハウスの出口付近の柱にもたれ、力無くしゃがみ込んだ。
GM : 決して、何かを待っていたわけじゃない。ただ茫然としていた、それだけだったのに……
GM : 悪夢はキミを逃しはしない。
GM : カツ、カツ、というヒールの音。機嫌の良さそうな鼻歌。『ハイドランジアの王』。
被りの女 : 「〜♪……あれ」
GM : ライブハウスから出てきた被りの女が、キミをチラリと一瞥した。
夢川めめ : 「…………ッ!」
びく、と体を震わせて
めめはしゃがみこみ、両手で顔を覆ったままだが……このこまっしゃくれた靴音、腐臭を放つほどに甘い声、見なくても誰かが分かる。
GM : その仕草を見てなお、被りの女は態度を変えない。
被りの女 : 「……わ〜、久しぶり!こうやって外で会うのは初めてかも〜」
被りの女 : 「いつもレきゅんのこと応援してくれてありがとうね、すっごく心強いと思ってたんだよ!」
被りの女 : 「でも……最近顔を見ないから、心配してたんだぁ〜」
GM : ペラペラとよく回る口。勝者の余裕、敗者への侮辱。その全てが、キミの悪感情をかき立てる。
GM : 被りの女は、さらに続ける。
被りの女 : 「レきゅん、最近ほんと良くなったよね。今日のパフォーマンスも良すぎてちょっと泣いちゃったんだ〜」
被りの女 : 「その成長過程を一緒に追えなかったのは寂しいけど……あなたも、きっとこのお休みの期間たくさん頑張ってたんだよね!」アセアセ、と口に出して笑う。
被りの女 : 「隠さないでいいよ〜、『出稼ぎ』でしょ?あれ、効率いいらしいよね〜、ゆいなはぜーったいヤだけど」
被りの女 : 「……レきゅん、身体売ってる女のこと嫌いらしいからね〜」
GM : 口元を抑えて、ケラケラと笑う。
夢川めめ : …………黙って言わせておけば。
夢川めめ : なんなの、こいつ。
夢川めめ : この女が言わんとする事を、夢川めめは説明されずとも理解っている。
それは恐らく、SNSで本人には面と向かって言われずとも、幾度となくれぇじ担の中で言われ続けてきた疑念。
夢川めめ : さぞ、気持ちがいいだろう。
この女だけでなく、れぇじ担の全てが今、この様子を見ているのなら、手を叩いて喜んでいるだろう。
……それほどまでに、夢川めめは今まで、圧倒的なTOだった。
夢川めめ : 力無く立ち上がり、涙の滲む目で、今やTOとなりかけている女を睨む。
夢川めめ : 「…………めめ、そんなことしてないもん」
……いまやTOでも、何者でも無くなった女の声は……今にも消えてしまいそうなほど、か細かった。
GM : その返事を聞き、被りの女は口角を吊り上げる。
被りの女 : 「そっか、そうだよね!ごめんね、ゆいなノンデリだからさぁ〜」
被りの女 : 「だって、こんな長いことお休みしてたのにたったの30万しか持ってきてないんだもん。出稼ぎにしては『流石に』安いなぁって思ってたんだよね〜」
被りの女 : 「……あ〜、わかったぁ。もしかしてだけど…」
GM : めめに目線を合わせてやるように、その場にしゃがみ。
被りの女 : 「……レきゅん以外に推しができたのかなぁ?」
そう言って、めめを覗き込む。
夢川めめ : 「は?……なんで、そうなるの」
「…………めめ、れぇじしか見てないし。れぇじ以外のことなんか、考え……」
腕に突っ伏するようにしながら、言葉を切る。
夢川めめ : 本当に?
夢川めめ : れぇじのため、だとかそう言いながら、あまつさえ自らの私利私欲のために、アイドル活動を始めたのは誰だっけ。
夢川めめ : 「…………ちがう、わ、わたし…本当に…!!」
「"レイジ君''の為を思って…こんな、うそじゃない…頑張ってる、あなたにはわからない、分かるわけない……」
被りの女 : 「『レイジ君』。やだ、すっごく他人行儀」くす、と笑う。
被りの女 : 「何があったのか知らないけど、ゆいなの世界にあんたの努力なんて微塵も見えてないんだよね〜?」
被りの女 : 「もちろん、レきゅんにとってもね?」
被りの女 : 「……でもぉ、ゆいなわかったかも〜」
被りの女 : 口元に指を当て、表情を歪めて笑う。
被りの女 : 「……足をバタつかせてるのが見えてる白鳥さんって、なんだか水面に落ちた虫みたいでぇ」
被りの女 : 「すっごくブサイクなんだね♡」
夢川めめ : 「………ゔ、ぅ……ゔゔう……ぁ」
夢川めめ : 脳が痛い。
夢川めめ : ズキン、ズキンと。開けてはいけない、心の大事な場所を、鉄パイプで無理やり殴り、叩き、こじ開けられる様な痛みが。
夢川めめの、全てを蝕んでいく。
夢川めめ : 「……めてよ…」
被りの女 : 「……え、なに?声ちっさ」
へら、と笑って顔を近づける。
夢川めめ : ……ゆいなにとって、そして周りの人々にとって。
それは一瞬の事だった。
夢川めめ : 襟首を掴まれたかと思うと、柱の影に引き込まれ……
おや、腹の上にめめが馬乗りになっている。
夢川めめ : 「さっきから……ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ、わたしのこと……い、いい……っ、ゆ、言いやがって…さァア……」
「…………めめは!!あんたみたいに!!!気持ち悪い手段で、人を馬鹿にしたようなことして……推し活なんて、やってないの……!!」
襟首を両手で握りしめ、ぐっと顔をちかづける
夢川めめ : その目は、明らかに据わっている。
ゆいなを見ているようで、その背後、何か違う物を見ている様でさえある。
GM : 被りの女、ゆいなの思考は追いついていない。あれ、どうしてコイツがゆいなの上に乗っているの?アスファルトで背中が痛い、服が汚れちゃう。体が全然動かない。
被りの女 : 「な……何言ってるの?早口すぎてわからないんだけど…」
被りの女 : しかし、この状況でなお、口からついて出るのは悪態だ。
夢川めめ : 「ゔるさいッ…!!!」
「その汚い口で、れぇじへの愛を語るな!汚い目でれぇじを見ないで!……あんたの穢れに穢れた心で、体で、もうれぇじに関わんないで!お前のせいでれぇじまで穢れる…!」
夢川めめ : 「……めめは、れぇじに選ばれるだなんて期待してない!!そんな烏滸がましいこと、お前と違ってハナから思ってなんかいないッ…!!」
「わたしはレイジ君のいちばん近くで、ただ…ただッ!!!」
夢川めめ : 「…………そっと、ずっと、応援していられればいいの……だから…」
するる、と襟首から手が離れ…
細い首に、手が伸びる。
被りの女 : 「え…?」
GM : マシンガンのように捲し立てられた言葉を理解するより先に、ゆいなは間の抜けた声を上げる。
どうしてこの女は、ゆいなの首に手を伸ばす?
GM : ──どうして、ゆいなの首を締めようとしているんだ?
夢川めめ : どろりと濁った双眸に、もう光は無かった。
夢川めめ : 「しッ……しィイ……ッ、ね……!」
「消えろ、めめの、れぇじの前から消えろ……頼むから死んで、死んでください〜〜……ッ!!」
がり、と爪がくい込み、皮膚片がこびり付く。
夢川めめ : ……しかしながら沸騰しそうな本能と両立して、めめの理性は驚く程醒めていた。
夢川めめ : ……でも、この場で絞め殺すだなんて、そんな生ぬるいことしたくないなあ。
ああ、このまま気を失わせて、どこかに攫ってしまおうか。
夢川めめ : それでもっと、''お話''するの。
謝ってもらわなくちゃ。
めめのこと、めめのれぇじへの愛を貶したこと、償ってもらわなきゃ気が済まない。
夢川めめ : 今日ほど、ソラリスのオーヴァードで良かったと思ったことは無い。
夢川めめ : だって、これほどに生かすも殺すも自在な異能があるものか?
夢川めめ : ぶわり、と髪が広がる。自らを軽んじた女の上で、レネゲイドウィルスがいきり立つ。
……オーヴァードであればすぐさま気づき、一般人であれば気を遣ってしまうことだろう。
夢川めめ : これは、そう。この感覚は……
《ワーディング》だ。
被りの女 : 「あッ……ぐぅ……」
GM : ゆいなは、自分の首を絞めるめめの腕に必死で爪を立てていたが……そのまま、意識を失った。
GM : ……少し時は遡り。めめとゆいなが言い争っていた頃。
GM : ユメとアイは、合宿所にいるカシルに連絡を取っていた。
GM : 今日の帰りが想像以上に遅くなってしまったこと、先に夕飯を食べてほしいことなどを伝える。共同生活をしている以上、必要な連絡だった。
GM : しかし、その電話の最中……すぐ至近距離で、ワーディングがかけられた気配を察知する。
GM : 場所は、先ほどのライブハウス付近だ──
虹之元ユメ : 「─────ッ!!」
虹之元ユメ : オーヴァードが感知できる独特の気配。ワーディングが展開されたことに気づいたユメは藍依と顔を見合わせる。
虹之元ユメ : 「すぐ近く、もしかして……! 藍依ちゃん!」
琵琶坂 藍依 : 「……! 急ごうッ……!!」こくりと頷いて
夢川めめ : ……─2人は走る。
公衆の面前、市街でのワーディング。
長年UGNと関わりを持つ君たちオーヴァードならそれが持つ意味は嫌でもわかる。
夢川めめ : FHか?目覚めたばかりの野良オーヴァードか?
夢川めめ : ……あるいは、ジャームなのか。
夢川めめ : 息を切らし、ふたりが駆けつけたそこには……
夢川めめ : 女性らしき人物に馬乗りになる、見覚えのある少女の後ろ姿だった。
虹之元ユメ : 一般女性に馬乗りになる人物が誰かは特徴的な髪色ですぐわかった。
しかし、なぜ彼女がこんなことを? どうして?
虹之元ユメ : 一瞬、脳が理解を拒むも湧き上がる激情が喉を震わせて、その名を叫ぶ。
虹之元ユメ : 「────めめ。夢川めめッ!!」
虹之元ユメ : 鋭い怒声が空間に広がっていく。
普段、温厚なユメから発せられたとは思えない程に怒気の籠った声がめめを貫いた。
虹之元ユメ : 次の瞬間にはめめの両肩が力強く掴まれて、近くの壁へ乱暴に押し付けられた。
夢川めめ : 「ぐうッ……!」
「なに、するのッ…!?」
ぐぐぐ、と壁に押し付けられながら、突然あらわれた女へ恨めしそうな目線で射抜く。
夢川めめ : 「こいつの仲間?……卑怯、負けそうになったら友達呼ぶなんて…ッ」
「あなた達みたいな人間は、いっつもそう!!やめてよ!離して…ッ!!」
虹之元ユメ : 「あなたは───あなたは何をしたのかわかっているのですか……!?」
虹之元ユメ : 怒気で震える言葉を零したと同時に、霧が晴れていくようにその姿が露わになる。
虹之元ユメ : それは合宿所で待っている筈のユメであった。
露わになった素顔はいつも以上に涙に濡れている。 
夢川めめ : 女の顔がハッと、一瞬固まる。
瞳孔が力無く震え、すぼまり、青筋を立てた額は血の色が失せた。
夢川めめ : 「……ゆめ、ちゃん?」
虹之元ユメ : 「……やむを得ない事情があったのかもしれません。それは後で聞きましょう」
虹之元ユメ : 「ですが、ですが彼女は一般人……あなたが力を振るえばどうなるか、理解していない訳ではないですよね!?」
虹之元ユメ : 「ワーディングで気絶した彼女を、あなたはどうしようとしたのですか? ちょっと痛い目に? 少しだけ? それとも────」
虹之元ユメ : 「殺そうだなんて、思っていませんよね?」
虹之元ユメ : 問い詰めながら、めめの肩を握る力が更に強まる。
ユメの潤んだ瞳には怒りと困惑───
虹之元ユメ : そして何かの間違いであって欲しいと願う僅かな期待が、涙となってポロポロと頬を伝っていた。
虹之元ユメ : 仲間が、友が、こんなことするハズは無いと。
夢川めめ : 「ちがう、違う。違う、ちがう……私は、そんな…この人は、こいつが………… 」
「こいつが、やったの。」
夢川めめ : 「……私はオーヴァードだから、体がちぎれようが、真っ二つになろうが、死ぬことは無い。一般人と違う?強い?こいつらは、力をふるえば、くしゃくしゃになる?」
「……それが、なんだっていうの」
夢川めめ : 「私は悪くない……ひたむきな気持ちを、存在意義を、生きている証を、汚したの。こいつが、''言葉で私を殺そうとした''の。」
「だから私は、抗っただけ……誇りが、わたしの意味が無くなる前に…黙らせただけ!!」
虹之元ユメ : 「────────────」
虹之元ユメ : 少しだけ目を伏せて、空気を肺に取り込む。
怒りで麻痺しそうになる脳へ酸素を送り、心無い言葉を突きつけそうになった自身を律した
虹之元ユメ : 「……存在意義。プライド。それはとても大事なモノでしょう。十分理解できますし、否定はしません」
虹之元ユメ : 「ですが、あなたの報復は"私達の現状"を理解した上での行動ですか?」
虹之元ユメ : 「怒り心頭で考える暇はなかったかもしれません。衝動に蝕まれていたのかもしれません。ですが……」
虹之元ユメ : 「私たちは、UGNで……アイドルなんですよ……?」
虹之元ユメ : 「あなたの行動で、計画が破綻するかもしれない」
「あなたの行動が、誰かの夢を奪うかもしれない」
虹之元ユメ : 「そうは、思いませんでしたか……?」
夢川めめ : 「…………」
俯き、地面のタイルを見つめたまま固く口を結ぶ。
その表情が物語る意味は、果たして。
琵琶坂 藍依 : ユメとほとんど同時に駆けつけていた琵琶坂藍依は、まだ意識を失って倒れている女を、壁を背にするようにラクな態勢で寝かせてから、改めてメメ達の元へ歩み寄る。
琵琶坂 藍依 : 「……アイドルは、数ある職業の中でも特殊な仕事だ」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルにスポットライトが当たるのは、ステージ上だけじゃない」
琵琶坂 藍依 : 「人生すべてに目が向けられるし、一挙手一投足を評価されつづける」
琵琶坂 藍依 : 「……あの地下アイドルが好きなら、その気持ちを否定はしない」
琵琶坂 藍依 : 「けど、ユメの言う通り、行動ひとつでバッシングひとつで、アイドルグループ自体が泡みたいに弾けて消える事だってある」
琵琶坂 藍依 : 「……Seventh Heavenも、そうしたグループのひとつだった」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルになるって事は、責任を負うっていう事」
琵琶坂 藍依 : 「グループの皆だけじゃない……作曲家さん、演出家さん、メイクさん、衣装スタッフさん、照明スタッフさん、音響スタッフさん、トレーナー、マネージャー、プロデューサー……」
琵琶坂 藍依 : 「そして、これからできるだろうファン」
琵琶坂 藍依 : 「────今夜のメメの行動は、ライブ成功の為に応援してくれる全ての人達を裏切った事と同じだ」
夢川めめ : 「…………そう、そうだね。うん……」
「正しい、ユメちゃんも…ビワちゃんの言うこと、一片の曇りも無く、ただ只管に''正しい''。」
夢川めめ : ぱちん。
夢川めめ : 「もう、アイドル……だから。」
「アイドルの卵になったんだから。もう、私だけじゃない……体も、気持ちも…私のモノだけじゃない、一蓮托生の皆の、共同財産で……」
ぱちん。ぱちん。
彼女のだらりと垂れ下がった腕を目で辿ると、指を弾いているのがわかる。
夢川めめ : 「……うん、うん。そぉだね、確かにそうだ…」
幾度かの指鳴らしの後、すっと顔を上げる。
その表情は、ふたりが普段見る彼女の物へと戻っていた。
夢川めめ : 「めめ、この子について全面的にめめが悪い、って言うつもりはないけど。でも、ふたりが言ってること、ちょっとだけわかった気がするの」
壁に寄りかからせられた、ゆいなをさして
夢川めめ : 「だから、…………ごめんね。」
「"マリンスノウの一員の夢川めめ''としたら、さっきのって、ちょっと良くないことかもしれないや」
虹之元ユメ : 「…………ええ、悔いてください。私からこれ以上はとやかく言うつもりはありません」
虹之元ユメ : 肩を掴んでいた手を離して、壁に寄りかかった女性……ゆいなに目を向ける。
琵琶坂 藍依 : 「…………」ゆいなに目を向ける二人とは異なり、琵琶坂藍依の目はずっとメメの指先に向けられていた。
琵琶坂 藍依 : 「(この物分かりの良さは"演技"だな、多分)」
琵琶坂 藍依 : 「(……どこまでウソなのかまでは、分からないけど)」
琵琶坂 藍依 : 「────メメ、いくつか訊いていいかな」
夢川めめ : 「なあに、びわち」
「めめが知ってることなら、答えられるよ」
少し気を緩めたように、腰を下ろす
琵琶坂 藍依 : 「さっきユメも訊いていたけど、さ……」
琵琶坂 藍依 : 「その子の首を絞めた時……、ユメやカシルの夢も一緒に壊しちゃうかもしれない、って……コヨミの努力を踏みにじるかもしれない、って……少しも思わなかった……?」
琵琶坂 藍依 : 「それとも、そう思った上で……」
琵琶坂 藍依 : 「みんなの事なんてどうでもよかった……?」
夢川めめ : 「……めめ、ゆいなにね。」
「許せないこと、たくさん言われたの。例えばね。」
ふう、と息をついてから、話始める。
夢川めめ : 「…………めめが体を売って、れぇじ……推しぴを応援するためのお金を稼いでるんだ、とか。虫みたいで、無様で、ブサイクだとか。」
「ずーっとね、めめの横で、見下ろして、笑って……言ってきたんだあ。」
夢川めめ : 「……聞きたくなかったの。もう、喋んないで欲しかった、めめのこと、めめの、れぇじが大好きって気持ち…人生を掛けても足りないくらいのスキを、酷く言われたくなかった」
「……それで、気がついたらお腹の上に乗ってた」
夢川めめ : 「だから、どうでもよくはないよ。……今はそー思うもん」
「思えなかった、がせーかい。なんだと思う。」
琵琶坂 藍依 : 「……そんなことが」ゆいなを見下ろし
琵琶坂 藍依 : 「自分の事をちゃんと知りもしない相手に、好き放題いろいろ言われたんだね」
琵琶坂 藍依 : 「……私も経験あるから、辛いのは分かるよ」元いたグループ解散以来、ずっとだった。
琵琶坂 藍依 : 「────けど、だからといって暴力でやりかえしていいハズない」
琵琶坂 藍依 : 「みんなを本当に大事に思っているのなら、踏みとどまってほしかった」
夢川めめ : 「…………ごめんなさい。」
夢川めめ : 「でもね、びわちが言ってたとーり……めめが、まだじゃなくて。もうアイドル、って言われて……」
「分かったから。」
夢川めめ : 「だからもう、''出来る''よ。」
「皆に迷惑もかけない……アイドルのめめになれる。…言われただけじゃ、よくわかんないし、信じらんないかもしれないけど。」
夢川めめ : 「ゆいなみたいなアンチに酷いことされても、ヤなことだらけでも……やれる。」
「だから、これからの''夢川めめ''は、大丈夫!」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「できる、やれる、か……」
琵琶坂 藍依 : 「義務みたいに言うんだね」
琵琶坂 藍依 : 「この際、聞いてしまうけど」
琵琶坂 藍依 : 「────そもそも、メメがアイドルになるのは、何の為?」
琵琶坂 藍依 : 「別にアイドルになりたいから、って訳じゃないでしょ?」
琵琶坂 藍依 : 「…………やっぱり、お金の為?」
琵琶坂 藍依 : 「借金、してるくらいだもんね」
夢川めめ : 「……うふ、知ってたんだあ」
琵琶坂 藍依 : 「やっぱり、そうだったんだね」その答えを聞くまでは半信半疑、だったけど
琵琶坂 藍依 : 「メメが消費者金融のビルに入っていくところを見たんだ……それで……」
虹之元ユメ : 「……めめちゃん、色々と無理をしてるんですか?」ゆいなを介抱しながら、ぽつりと問いかける
夢川めめ : 「……無理じゃないよ、いつもだったら直ぐに返すアテあるもん」
「ただ、合宿中はバイト入れないから……たまたまお金借りただけだし!……消費者金融さんにいくの、はじめてだし」
ぷく、と少し頬をふくらせて
夢川めめ : 「合宿中の基本給じゃ足りないの、めめが満足するには」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
虹之元ユメ : 「そう、ですか……そんなに……」 めめが言っていたれぇじというアイドルをふと思い浮かべて
琵琶坂 藍依 : 「……やっぱり、あのアイドルに貢ぐ為の?」
夢川めめ : 「……貢ぐなんて、言わないで」
夢川めめ : 「チェキループは、現場参戦は……応援なの。ファンがアイドルに向けて出来る、いちばん誠実でピュアな誠意なの。」
「こっそりアクセサリーだとか、化粧品だとか……そういうので媚びを売るんじゃない、真正面かられぇじを見てるって、証を示す唯一の方法なの」
夢川めめ : 「……2人は、メン地下界隈に詳しくないよね?だからそう見えちゃうかもしれないのは、分かるけど」
琵琶坂 藍依 : 「私は確かに、メン地下には詳しくない、けど」
琵琶坂 藍依 : 「────彼と同じ、アイドルだ」
琵琶坂 藍依 : 「その上で言わせてもらう」
琵琶坂 藍依 : 「……愛は、金額じゃない」
琵琶坂 藍依 : 「借金してまで応援するなんておかしいよ」
虹之元ユメ : 「……めめちゃんの気持ちを蔑ろにするつもりはないけど、私もそう思います」
虹之元ユメ : 「ファンがアイドルを応援する気持ち、誠意はとても大事です。けども……身を削ってまでするのは……」
夢川めめ : 「……」
「んー、……そう、だなあ」
夢川めめ : 「やめよ?この話」
「……どこまで行っても、平行線だもん」
指でバツを作り、ふにゃ、と笑ってみせる
夢川めめ : 「めめ、おばかさんじゃないから……正論も、心配も、有るのは分かる。でも……」
「目の前にある現実じゃ、救われない人もいるの。」
夢川めめ : 「愛に、推しに……ひたむきな思いに。狂ってないと、やってられない人間も確かにいるから」
「それなら夢でもいい。現実が私たちを救ってくれないなら……嘘でも、与えてくれる人をえらびたい。」
夢川めめ : 「……めめはね。誰に言われたって、そう思うのを止められないよ」
心からの笑顔で、2人に応える
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「(そんな歪んだ愛なんて否定したい……その先には破滅しか待っていないと知っているから……)」
琵琶坂 藍依 : 「(けれど……誰かに縋っていたいという気持ちは、痛いほど理解できてしまう……)」
琵琶坂 藍依 : 「(私にとっては、きっと胡桃がそうだったから……)」
琵琶坂 藍依 : 「(少なくとも今の私の力では、メメに救いの手を伸ばす事はできない……)」
琵琶坂 藍依 : 「(このままじゃいけない、とは思うけれど……メメの言う通り、何もできる事は…………)」
琵琶坂 藍依 : 「────そうだね、このまま話していても仕方ない」
琵琶坂 藍依 : 「一応、ここまで着くまでの間に≪天使の絵の具≫を使って、一般の人達が迷いこまないようにはしておいたけど、そう安心して気長に話していられるものじゃないし」
琵琶坂 藍依 : 「この場は早めに離れた方が良い」
虹之元ユメ : 「そうですね……ワーディングの気配を察知したオーヴァードが来るかもしれませんし、離れた方が良さそうです」
虹之元ユメ : 「……この人の"処置"もしなきゃですし」ゆいなの状態を確認して
夢川めめ : 「うん、わかった……」
「ゆいなは?めめ、何かした方がいい?出来ることある?元気のお水あげる?」
いつも通りの顔で、困ったように
琵琶坂 藍依 : 「……いや、もう何もしなくていい」
琵琶坂 藍依 : 「後はUGN医療班(ホワイトハンド)の判断に委ねよう」
虹之元ユメ : 「はい、彼らに任せれば問題ないハズです……近くの支部を知っているので、私が送りますよ」
琵琶坂 藍依 : 「UGNについて、私はあまり詳しくないから助かる」
琵琶坂 藍依 : 「それなら、その子はお願いユメ」
虹之元ユメ : 「お任せを……あとは……」少しだけ、めめを横目で見て
虹之元ユメ : 「……何があったかは、それとなくボカして伝えておきますね」
夢川めめ : 「そっかぁ……ん、分かった」
「……ねえ、医療班?に任せると、ゆいなってどおなるの?」
虹之元ユメ : 「そう、ですね……。基本的には文字通りに治療を行います。そしてもしも、オーヴァードが関わった事件に一般の方が巻き込まれたら……」
虹之元ユメ : 「……レネゲイドの秘匿の為に記憶処理などが施される可能性があります」
夢川めめ : 「それってさ、忘れるってこと?」
「…………めめに言ったこと……れぇじのファンだったこと、めめのこと……ぜんぶ忘れちゃう?」
虹之元ユメ : 「いいえ、全てを忘れる訳ではありません。少なくとも特典会から前後の記憶……その辺りが処理されるかと……」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、レネゲイドの秘匿目的以外にも、そのあたりはトラウマになってしまうかもしれないし……」
夢川めめ : 「…………」
こくり、と頷く
夢川めめ : 「……教えてくれてありがとぉ、めめ、だいたい分かったよ!」
「それで、どうしたらいいかも分かった。とりあえず……ふたりのゆうこと聞く、ね?」
顔色を伺うように、上目遣いで
虹之元ユメ : 「……お願いします」
「藍依ちゃん、私はゆいなさんを送って行くので……後のことはお願いできますか?」 そういってゆいなをおんぶする
琵琶坂 藍依 : 「うん、こっちは任せて」遣る瀬なさからか少し苦い顔で返事する
夢川めめ : 「帰るの?……帰るんだね、ねえ……」
「…………びわち、一緒に歩いてってくれる?」
きゅ、とびわちの服の袖を握る。
見上げてくるその表情は、身長差ゆえか、年齢に見合わず幼く見えた
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「……勿論。私はここでメメを置いていったりはしないよ」
琵琶坂 藍依 : 「だけど、一緒に歩くのは駅までね」
琵琶坂 藍依 : 「徒歩で帰ってたら、ユメが準備してくれてた夕ごはんを食べるのが深夜になるし」
琵琶坂 藍依 : 「……そう言うってことは、もう帰りの電車賃もないんだろうけど、流石にそれくらいは私が出してあげるから」
夢川めめ : 「んへへ……びわち、ありがとぉ〜……」
「それでね?あとね……」
ふにゃふにゃした笑顔を向け、何故かさらに強く袖を握る。
琵琶坂 藍依 : 「…………?」
夢川めめ : 「……めめ、あたらしいお靴で疲れちゃったぁ……ヒール、高くてあしぐねってしちゃいそぉ……」
ふう、とため息混じりに
夢川めめ : 「びわちぃ、めめのおててひっぱって〜……?」
「……ね、おねがぁい♡」
少しだけ、普段の様子を取り戻し……
どうしようも無い人間だが、唯一本物の可愛らしい笑顔で微笑みかけた
琵琶坂 藍依 : 「(どこまでも子供っぽいというか……まったく仕方の無い人だな……)」
琵琶坂 藍依 : 「分かったよ、何ならここから合宿所までお姫様だっこで帰ろうか?」私は体力が余ってるし、と溜息まじりに冗談めかして
夢川めめ : 「え、ほんとぉ?じゃあ……」
す……、と両手を広げかけるが、ぴたととまり
夢川めめ : 「…………やっぱりだーめ!」
「めめの王子様はれぇじだけだもん!」
ふふ、と笑って袖を握り直す
琵琶坂 藍依 : 「(懲りないな、本当……)」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、これ以上、目立つような事は避けたいし」
琵琶坂 藍依 : 「……何より、お腹が空いてるでしょ?早く帰るにはお姫様だっことかしてる場合じゃないよね」
夢川めめ : 「そぉだね……ん、じゃあ……駅?行く?」
「……カシルちゃんも、こよみんちゃんも、みつきちも待ってるかなあ」
琵琶坂 藍依 : 「みんな待ってると思うよ。さっき連絡した時、少し寂しそうにしてたし」
琵琶坂 藍依 : 「……さ、そういう事だし、とにかく早く帰ろう」
琵琶坂 藍依 : 「ユメ、面倒な仕事を押しつけるみたいになってゴメン、私達は一足先に帰らせてもらうね」
虹之元ユメ : 「こちらはお構いなく、ご飯も先に食べちゃって構いませんので!」 気にしないでください、と言いたげな笑みを浮かべる
虹之元ユメ : 「2人共、帰り道には気を付けてくださいね。何があるかわかりませんから……」
琵琶坂 藍依 : 「さっきのワーディングに気付いたFHエージェントが近くに来ているかもしれない、って事……」
夢川めめ : 「ぁ…………でも大丈夫だよっ!」
「もしわるいやつらが来たら……めめ、戦えるし!意外とつよいんだから……!」
ふんすふんすしている
夢川めめ : 「……でも、来る前に帰った方がいいんだよね?よね……?」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、戦闘は避けた方が良い」
琵琶坂 藍依 : 「それに『ヒールで疲れて歩けない』って子に『意外と強い』とか言われても、説得力ないよ」
夢川めめ : 「んぅ……ほんとぉなのに……」
ぷぇ、と口をむにゅむにゅさせながら
だが、素直に従うつもりのようだ
琵琶坂 藍依 : 「はいはい……」
琵琶坂 藍依 : 「それはともかく、ユメの方こそ気を付けて」
琵琶坂 藍依 : 「そっちは一人だし、単独戦闘に向いた能力ではないんでしょう?」
虹之元ユメ : 「実は……はい……」苦笑いを浮かべて
虹之元ユメ : 「でも、これでも逃げ足は速いので! 風のように走れますよ!」光の速さには劣りますけどね、と頬を掻いて
琵琶坂 藍依 : 「それなら少し安心、かな。FHエージェントに見つかったら、支部の方に逃げて応援を求めればいいんだし」
虹之元ユメ : 「この辺にある支部の場所は把握しているので、ご心配なく! 何かあれば一報を入れますので」
琵琶坂 藍依 : 「うん、それじゃまた」小さく手を振って
夢川めめ : 「ん、またあとでね……ゆめち……」
すすす、とびわちに寄って、その影から顔をのぞかせる
虹之元ユメ : 「はいっ、それじゃあ……」藍依の影に隠れためめに視線を移して
虹之元ユメ : 「時間がある時に、またゆっくり話しましょうね」
虹之元ユメ : 笑みを浮かべながら、そう一言だけ伝えるとユメは軽快な足取りでこの場を離れていった
夢川めめ : きゅむ、と袖を握る力が強まる。
ただ、それだけだった。
琵琶坂 藍依 : ユメの背中を見送った後、呟くようにメメに語りかける。
琵琶坂 藍依 : 「────今夜、貴女はユメに本気で怒られるだけのことをした」
琵琶坂 藍依 : 「暴力行為の処分についてはUGNの方から話があるだろうし、これ以上は私から言わないけど」
琵琶坂 藍依 : 「……それだけは覚えておいて、メメ」
夢川めめ : 「うん……」
小さい声でぽつり、と呟く。
琵琶坂 藍依 : 「……もっとも、自分勝手は私も一緒、だけどね」誰にともなく呟いて
琵琶坂 藍依 : 「(存在するだけでグループが炎上するリスクを承知の上で、私はMARiNE SNOWに身を置いているのだから────)」
琵琶坂 藍依 : 「……さあ、帰ろう。みんな待ってる」メメの手を引いて、歩き出す
夢川めめ : アイの掛けてくれた優しい言葉にも、めめはしょんぼりと肩を落とすだけだった。
果たして彼女は、今現在、何を思っているのだろうか。
夢川めめ : 伏し目がちに、背中を丸め、とぼとぼ歩くその姿は……
いつもに増して、小さく見えた。
GM : 被りの女・ゆいなを連れ、近くのUGN支部へと連れていくユメ。めめと共に、合宿所へと帰る藍依。
様々な感情を抱きながら、各々別の道を歩んでいく。
GM : 今夜の出来事が、果たして一過性のもので済むのか。じっとりとした夏の夜の空気は、何も語らない。
GM : ──こうして、夢川めめの長い一日は、都会の光の中へ沈んでいった。
琵琶坂 藍依 : めちにロイス取得します!同情/隔意のN表で!!
system : [ 琵琶坂 藍依 ] ロイス : 4 → 5
虹之元ユメ : 同じくめちに連帯感/憤懣のN表で取りますのよ~!
system : [ 虹之元ユメ ] ロイス : 4 → 5
夢川めめ : 琵琶坂藍依へ、執着/恐怖N
虹之元ユメへ、憧憬/不安N
でロイスを取得します
system : [ 夢川めめ ] ロイス : 3 → 5


セーフハウス レッスンルーム

虹之元ユメ : 時刻は夜更け。地上を照らす住宅街の灯りがポツポツと消えていく。
虹之元ユメ : その中でも、マリンスノーが滞在するスタジオからは夜遅くだというのに照明が煌々とカーテンの隙間から漏れていた。
もし覗く者がいたのなら、鏡張りの部屋でレッスンに勤しむ彼女達の姿が見られるだろう。
虹之元ユメ : 軽快なステップが床を鳴らす。汗が床に点々と滴って玉模様を作る。鏡に向かって満面の笑みを見せる。
虹之元ユメ : 新人アイドル特集などの取材が来ていれば、さぞ感心を誘う光景として飾り立てられただろう。
虹之元ユメ : ───彼女らの現状を周知していなければの話であるが。
虹之元ユメ : 「……少しズレてます、よね」
虹之元ユメ : そう、各々の動きが揃わない。録画して自分達の動きを確認すればわかることだが、全体の流れこそ仕上がりつつあるものの、ポジションの移動や歌に意識を裂くことで生まれるズレが中盤から終盤に渡って顕著に表れていた。
虹之元ユメ : 5曲という超ハードスケジュールである為、仕方のないことではあるのだが、その事が気がかりでユメの顔には疲労よりも焦燥感が浮き彫りになっている。
澱 カシル : もう一度やってみよう、の声に従い、再挑戦する。
澱 カシル : ステップを踏みながら、カシルは考える。
自分を"生かす"ことについて。
この内側にあるモノについて──。
澱 カシル : 「あ」
澱 カシル : ずるり。
熱中のあまり、カシルの輪郭が"ズレる"。
見た目の話ではない。人型に押し留めた呪いの靄が、少しだけ肉体からはみ出してしまう。
澱 カシル : 慌てて引き戻すが……
眼の前に映ったのは、靴紐を踏んで足を滑らせ始めた藍依の姿だった。
琵琶坂 藍依 : 「────っ!?!?」
琵琶坂 藍依 : キュッ、と床を足が滑る高い音。
琵琶坂 藍依 : 同時、先程まで安定したパフォーマンスを見せていた琵琶坂藍依は、ひときわ大きく体勢を崩し、その場に転倒してしまう。
澱 カシル : 「藍依ちゃん!! ごめんなさい!!」
靴紐を踏んだ訳でもないのに、謝りながら駆け寄る。
天海こよみ : 「え……!?」 アイが転んだことに驚くが、カシルの様子にも驚き動きを止める
虹之元ユメ : 「えっ、あっ!? だ、大丈夫ですか!?」 藍依の元にかけよって
琵琶坂 藍依 : 「……い、たた」思わず呟いて
琵琶坂 藍依 : 「────あ、ああ、私なら大丈夫。少し足を捻っただけだよ」謝罪の言葉に疑問を感じつつも、心配するメンバーの視線に気付いて笑みを浮かべ
天海こよみ : 「で、でも……っ」
澱 カシル : 「じゃ、じゃあ湿布?貼らないと……! 救急箱取ってきますねっ!!」
慌てて取りに行く
琵琶坂 藍依 : 「そんなに心配するほど痛んでいる訳じゃ────」
琵琶坂 藍依 : 「あっ、行っちゃった」
天海こよみ : 「……今、アイちゃんいたいって言ってたし……こういうの、すぐ手当てした方がいいんじゃないかな……」 カシルを待つ
澱 カシル : 「持ってきました! ………あれ?湿布って何も書いてないのでいいのかな……」
御札か何かと勘違いしているかもしれない
琵琶坂 藍依 : 「ありがとうカシル。コヨミの言う通り、あんまり無理して後に響くと本末転倒だし、ちょっと休ませてもらおうかな」救急箱を受け取り
虹之元ユメ : 「……そうですね。少し休憩にしましょうか!」かかっていた音楽を一時停止する
天海こよみ : 「うん……」
琵琶坂 藍依 : 「ごめんね、いいところで中断させちゃって」
琵琶坂 藍依 : 「ちょっと疲れていたかも、まだまだ私も自己管理が甘いな」
澱 カシル : 「えっ!? いえ、藍依ちゃんが謝ることではないんです!」
琵琶坂 藍依 : 「……? でも私のミスだったでしょ……?」首を傾げ
澱 カシル : 「それは……えっとお……そうかも……そうじゃないかも……」
珍しく、歯切れの悪い返答。
天海こよみ : 「…………。だれのせいでもない、ってこと……じゃないかな……?」
天海こよみ : ────アイが転倒する直前、カシルの方に何か違和感があった。
背筋が冷たくなるような、奇妙な感覚。
カシルが即座に謝っていなければ気のせいだったと流していたかもしれないが、こよみだけはその感覚に僅かに覚えがあった。
澱 カシル : 「………ありがとう」
こよみだけに聞こえるよう、呟く。
天海こよみ : 「……!ん……」 小さく頷く
琵琶坂 藍依 : 「よく分からないけど……そういう事なら、あんまり気にしないでおこうかな……?」捻ってしまった方の足は使わないように身体を引きずって
虹之元ユメ : 「煮詰まった疲れからかもしれませんしね……! 一旦リフレッシュしましょうか」
天海こよみ : 「うん……それがいいよ」
琵琶坂 藍依 : 「……ひたすらに踊っていても仕方ない段階に入っていたし、私が言うのも何だけど良い機会かも」
GM : ……メンバーらは、しばしの休憩を取る。水分補給をし、呼吸を整え…捻った足の様子を見て、デビューライブ当日には響かないであろうことを確認する。
GM : ひと休みを終え、皆が落ち着きを取り戻した頃。
天海こよみ : 「……どうして、全然そろわないんだろ……」
心の中で考えていたことがぽろっと零れてしまったのだろう。サメのぬいぐるみをもちもち触りながら、小さく呟いた。
澱 カシル : 「うーん、藍依ちゃんはどう思いますか?」
顔なし足6本翼付きのへんてこなぬいぐるみこと、帝江のぬいぐるみをもちもちしながら問いかける。
琵琶坂 藍依 : 「……そうだな、まず歌とダンスを両立するのは非常に難しい事だ」
琵琶坂 藍依 : 「それはみんな実感としてあると思うけど、そんな難しい事を始めて数週間でマスターするのはまず無理がある」
琵琶坂 藍依 : 「それでも何とか形にはなってきてる……同じ時期の私より上手だと思う……」
琵琶坂 藍依 : 「でも詰め込みレッスンの弊害というか、みんな周りを見る余裕までは無いよね?自分の事で精一杯、でしょ?」
虹之元ユメ : 「そ、そうですね……どう動くか考えるのにいっぱいいっぱいかも、です……」
天海こよみ : 「……そう……なの?」 分かるような分からないような、という顔をしている
琵琶坂 藍依 : 「実際問題、みんなの歌もダンスも、曲が進むにつれてバラバラになっていってる」
琵琶坂 藍依 : 「────特にターンのタイミング」
琵琶坂 藍依 : 「身長と回転速度の差もあってバラバラに見える」
琵琶坂 藍依 : 「ターンがズレてるのは、思っている以上にみっともなく見えてしまうから何とかしたいな」
琵琶坂 藍依 : 「……私達から見てバラバラなら、見る側からはもっとバラバラに見えるハズだし」
天海こよみ : 「そっか……今までぜんぜんわからなかった……」 少ししょぼんとする
虹之元ユメ : 「うぅ~……そんな姿は見せられないですね……」
澱 カシル : 「どうしたらいいんでしょう?」
首を傾げ、問いかける。
琵琶坂 藍依 : 「声量もバラバラだけど、それは日々のボーカルレッスンで改善していくとして……ダンスはどうすればいいか……」
琵琶坂 藍依 : 「そうだな、折角だしクイズにしよう」
琵琶坂 藍依 : 「……どうすればいいと思う?」明確な答えのない問いをそのまま返す
天海こよみ : 「うーん……」 考える
澱 カシル : 「いっぱい練習する! は時間があってこそですよね……」
虹之元ユメ : 「そうですね~……」 うんうん唸って
虹之元ユメ : 「苦手な部分は集中して練習、ですかね……?」
天海こよみ : 「……練習するの、やめたらいいんじゃないかな」
琵琶坂 藍依 : 「練習を……、止める……!?」うんうん、と二人の答えに頷いていたが、コヨミの答えに目を見開いて
琵琶坂 藍依 : 「どうしてコヨミはそう思ったのかな……?」
虹之元ユメ : 「わ、私も聞かせてください……」興味深そうに
天海こよみ : 「あ……え、えっとね。あのね……」
天海こよみ : 「今までの練習をやめて、別の新しい練習をすればいいんじゃないかな……って思うの」
琵琶坂 藍依 : 「新しい練習……? それって……?」
天海こよみ : 「んと……たとえば……」
天海こよみ : 少し考えてから、カシルの方に近付いて行って、
天海こよみ : 「カシルちゃん、手……出して」 両手のひらをカシルに見せるように差し出す
澱 カシル : 「?」
特に問うことなく手を出す
天海こよみ : 「……せーの」
天海こよみ : 「あーるーぷーすーいちまんじゃーく……」
突然その両手を歌のリズムに合わせ、カシルの手にパンパンパンと合わせていく
澱 カシル : 「!?………こーやーりーの、うーえでー……」
戸惑うが、こよみがミツキと遊んでいたのを思い出して、たどたどしくも合わせる
天海こよみ : 「あーるーぺーんーおーどーりーを、さあーおーどーりーましょっ」 楽しそうに歌いながらカシルと手遊びする
天海こよみ : 「……こういうこと」 キリの良いところでやめて、皆に振り向く
澱 カシル : 「ど、どういうこと??」
合わせて最後までやったものの、意図は全く理解できなかった
琵琶坂 藍依 : 「…………つまりは、いったん難しい歌やダンスは脇に置いて、まずメンバー同士で息を合わせるための時間を設けよう、ってこと?」
虹之元ユメ : 「楽しんだり、交流して仲を深めよう……ってコトですか?」
天海こよみ : 「うん」
天海こよみ : 「ようするに、息が合ってないからダンスが合わないんだよね……?じゃあ、息を合わせれるような練習をすればいいんじゃないかな、って……」
天海こよみ : 「そうしたら、ダンスも自然と息が合うようになるよ」
琵琶坂 藍依 : 「なるほど、なるほど……ふふ……」
琵琶坂 藍依 : 「それは完全に盲点だった……、うん……」くすくすと笑う
天海こよみ : 「そうなの……?ふふっ……」 釣られて小さく笑う
琵琶坂 藍依 : 「まさか遊びで解決しようだなんて、私は思いつきもしなかったよ」
琵琶坂 藍依 : 「────だけど、アリかもしれない」
天海こよみ : 「ほんと?」 嬉しそうに目が輝く
琵琶坂 藍依 : 「うん、私が用意していた現実的な答えとは全く違うけど、コヨミの答えの方がずっとユニークでいいと思う」
琵琶坂 藍依 : 「……思えばレッスンが忙しすぎて、メンバー同士のレクリエーションとか殆どなかったよね私達」
琵琶坂 藍依 : 「お互いの事をあまり知らないなら、息が合わなくて当然だよ。言われてみればコヨミの言う通りだ」
虹之元ユメ : 「ずっとレッスン&レッスン、でしたもんね…! レクリエーションの機会はあまり設けていませんでした」
天海こよみ : 「えへへ……」 照れたように笑う
澱 カシル : 「うんうん、名案てす!」
「こないだ帰りが遅かった時も、藍依ちゃんとユメちゃんがどこ行ってたかちゃんと聞けませんでしたし!」
澱 カシル : 「皆で遊ぶ機会って無かったです!」
天海こよみ : 「あ……そういえば、そんなこともあった……?」 気にしてなかったのか完全に忘れている
琵琶坂 藍依 : 「あの時は……メメとちょっとね……」
虹之元ユメ : 「えっと、そうですね……ちょっと色々……」
澱 カシル : 「えっ、あれ? あんまり楽しくなかった感じですか……?」
「え、えっと……無理やり聞きたいわけではないので、この話は置いときましょう!」
予想外の反応にあたふたする
琵琶坂 藍依 : 「(できるだけ隠し事はしたくないけど……あの事件について話すのなら本人の口からだよね……)」
天海こよみ : 「……?じゃあ、あのね、あのね、さっきのことなんだけど……」
天海こよみ : 「明日は、みんなでいっしょにあそぶ、のでも……いい?」
天海こよみ : 「ぼく、大なわとびとかしたいな……。トレーナーさんとミツキちゃんに回してもらって、みんなでぴょんぴょんするの……」
想像して楽しみになってきてるのか、口元を手で隠しながらにこにこ笑っている
琵琶坂 藍依 : 「うん、私達の意見だけではレッスン内容は変えられないから確約はできないけど、私からプロデューサーに掛けあってみるよ」その様子を微笑ましそうに眺めながら
虹之元ユメ : 「とっても素敵な案かと! 大縄跳びで遊ぶなんて、小学校ぶりかもしれません!」 こよみの楽しげな雰囲気に当てられて口元が綻ぶ
天海こよみ : 「ふふ、やったぁ……」
琵琶坂 藍依 : 「まったく気が早いよ、コヨミ」
琵琶坂 藍依 : 「……明日、実際に大縄跳びをできるかはともかく、コヨミが出した答えは一つの正解だと私は思う」
琵琶坂 藍依 : 「勿論、ユメとカシルの答えも正しい」
琵琶坂 藍依 : 「苦手を自覚して、その苦手部分にレッスン時間を使えば、それだけ周りが見えるようになって息が合うようになるだろう」
琵琶坂 藍依 : 「────それでは、全員正解、ということで」
琵琶坂 藍依 : 「正解したみんなにはクイズの賞品をプレゼントしようか」
天海こよみ : 「賞品……?」
虹之元ユメ : 「と、言うと……?」興味深そうに前かがみ
琵琶坂 藍依 : 「ふふ」と笑みを浮かべつつ自分のバッグに手を入れて、
琵琶坂 藍依 : 「……こちらをどうぞ」
琵琶坂 藍依 : そう言って紙片を差し出す。水色に橙色に桃色。それぞれのメンバーカラーに対応しているらしい。
天海こよみ : 「……?これ……なに?」 不思議そうに見つめる
琵琶坂 藍依 : 「短冊だよ、ちょうど物置にあったんだ」
琵琶坂 藍依 : 「ほら、七夕の季節でしょう?折角なら皆と短冊に願い事を書いてみるのも良いかなと思って」
虹之元ユメ : 「短冊……いいですね、皆さんの夢を綴ってみましょう! 窓辺とかにぶら下げておけばいいですかね?」
天海こよみ : 「おねがいごと……」 水色の短冊を受け取る
琵琶坂 藍依 : 「折角だしプロデューサーに笹飾りを持ってきてもらおう」
琵琶坂 藍依 : 「……持ってるでしょ、あのプロデューサーなら笹くらいは」
天海こよみ : 「持ってる……かな……?」 プロデューサーってそういうものだったのかと考える
澱 カシル : 「あたしの、願い……」
まだはっきりと見えないソレをどう表すべきか戸惑っている
天海こよみ : 「……なやんでる?」
澱 カシル : 「そうかも。……でも、悪い気分じゃないよ!」
「悩んでるってコトが嫌じゃなくなったんだと思う。」
天海こよみ : 「そっか……」 それなら大丈夫か、と安心する
天海こよみ : 「おねがいごと、今書いてもいいの?」
琵琶坂 藍依 : 「勿論」
琵琶坂 藍依 : 「あんまり深く考える必要もないよ、例えば私のお願いは"ファーストライブ成功"だし」
天海こよみ : 「……良いおねがいだね」
琵琶坂 藍依 : 「まあ、ただ神頼みにするつもりもないけどね」ふふ、と笑って
虹之元ユメ : 「そうですね~、じゃあ私は……」少し悩んだ素振りを見せる
虹之元ユメ : 「……うん、今はこれかな。『みんなと仲良くなれますように』!」
天海こよみ : 「……あ。さっきの話のこともある……から?」
虹之元ユメ : 「はい、その事もあるんですけど……みんなと何のわだかまりも無く交流できて、それでライブが成功できたらな~って……」
琵琶坂 藍依 : 「…………」あの夜の事を思い出し、僅かに眉を顰める
天海こよみ : 「……?それは、そうかも……?」 わだかまりという言葉に少しだけ引っかかる
天海こよみ : 「んー……」 水色の短冊とにらめっこして
天海こよみ : 「どうしよう、なんか……思いうかばない……。ファーストライブの成功も、みんなと仲良くなれるのも、二人がおねがいしてくれてるから……」
天海こよみ : 「もう十分かもっておもっちゃう……」
琵琶坂 藍依 : 「同じお願いで良いと思うけど、勿論、いま無理して書く必要はないよ」
琵琶坂 藍依 : 「人間、後から後から願い事が増えてくる生き物なんだし、思いついた時に書けば良いんじゃないかな」
天海こよみ : 「同じお願いだと、短冊がもったいないかな……?って思って……」
天海こよみ : 「でも、そう言ってくれるなら後にしようかな……」
澱 カシル : 「じゃあ、あたしもそうしよっと! めめちゃんにも書いてもらって、参考にしてみたいし」
天海こよみ : 「めめちゃんは何書くんだろう……」
天海こよみ : 「なんか、ぼく達やっぱりみんなのことまだちゃんと知らないんだなって思っちゃったね……」 そのために知る必要があると再確認する
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね」
天海こよみ : 「……だから、たのしみだね。これからが」 もう明日は皆で遊べるものだと思っている笑みを浮かべる
夢川めめ : 皆がしばしの歓談を取る中、遠くから戸が開く音が聞こえる。
このタイミングでの来客は考えられるまい。
……メンバーの一員である、夢川めめだ。
夢川めめ : 先日の騒ぎを起こした関係もあり、事情を聴取されていたという噂もあるが……真実を汁には、オーメンや本人に聞いた方が早いだろう。
夢川めめ : そんな彼女が、ひょっこりとスタジオに顔を現した。
夢川めめ : 「やっほ〜、みんな……」
「……こんな時間まで、練習してた?」
天海こよみ : 「あ……めめちゃん、おかえりなさい」 立ち上がり、めめの方に駆け寄る
澱 カシル : 「めめちゃん! おかえりなさい!」
こっちこっち、と急かすように身振りで伝える
虹之元ユメ : 「……おかえりなさい、めめちゃん。丁度レクリエーションの計画を立てていたんです」 手にしている短冊をヒラヒラさせて
夢川めめ : 「レクリエーション?」
「……めめにも、見せてくれる?」
扉から半身を出していたが、きょろきょろと部屋の中を見渡したあと……とたた、と小走りで近寄って
琵琶坂 藍依 : 「……ああ、練習で出来ない事は本番でも出来ないから、ってこの時間までみんなで合わせ練習してたんだけど、なかなかフリとか揃わなくて」あの事件があったからか、少しぎこちない態度で
琵琶坂 藍依 : 「みんなの息を合わせるには、レクリエーションが良いんじゃないかって、コヨミが提案してくれたんだ」先程までいなかったメメにこれまでの経緯を軽く説明する
天海こよみ : 「あのね、明日はみんなで遊ぶことになったんだよ」 めめと一緒に戻ってきながら、もう確定事項のように嬉しそうに言う
夢川めめ : 「そっかあ……皆、ずーっと練習してたもんね」
「ねえ、ゆめちが持ってるそれはなあに?銀テ2枚分くらいの広さだけど……」
虹之元ユメ : 「そっちの例えが出ます?」クスっと笑って
虹之元ユメ : 「短冊ですよ、短冊。願い事を書いて笹に吊るすのはどうかって話にもなりまして」
天海こよみ : 「さっき、アイちゃんがくれたんだよ」
夢川めめ : 「えと、もうすぐ七夕だっけ……?」
「笹があるなら、屋上で飾るといいかもしれないねえ」
夢川めめ : 「……みんなはなんて書いたの?」
と、見せてもらおうとしています
天海こよみ : 「ぼくはまだ考え中……」 何も書かれていない短冊を見せる
澱 カシル : 「えへへ、まだ書いてないんです。あたしも何を書くか迷ってしまって……。」
虹之元ユメ : 「私は……円満を願って、このような願いを書いてみました」 みんなと仲良くなれますように、と丸っこい字で綴られた短冊を見せる
琵琶坂 藍依 : 「……私はこういう面白みのないお願い」ファーストライブが成功しますように、と几帳面な文字で書かれた短冊の表面を見せる
夢川めめ : 「へえ〜……いい願い事だね、ふたりとも。」
「そっかあ、お願いかあ……」
短冊をじー……っと見つめている
天海こよみ : 「……めめちゃんは何おねがいする?」
夢川めめ : 「めめはね、そうだなあ……」
「ね、短冊、もらってもいい?それからボールペンも……」
琵琶坂 藍依 : 「勿論」薄紫の短冊と自分が使ったボールペンを手渡して
夢川めめ : 「…………」
ん、と受け取り、無言でペンを走らせる。
ああでもない、こうでもないとしばらく悩み、漸く書き終わった。
天海こよみ : 「……?」 見せて見せて、と覗き込む
夢川めめ : そこには、綺麗な文字とぐねぐねした文字、両方があった。
綺麗な字には斜線が入り、読めないが……
後者は辛うじて読むことが出来る。
夢川めめ : 「がんばれるひとになって、みんなとおともだちになりたい」
天海こよみ : 「がんばれるひとになって……みんなとおともだち……?」 不思議そうに読み上げる
澱 カシル : 「わあ、素敵です! あたしもみんなとお友達になれたらなって思いますから!」
虹之元ユメ : 「頑張れる人、皆と友達……」 少し親近感を覚えながら、一瞬だけ目を伏せる
琵琶坂 藍依 : 「友達に、ね……」
虹之元ユメ : 「……素敵な願い事ですね。この『がんばれるひと』って言うのは具体的にはどういう……?」
夢川めめ : 「…………」
もじ、と指をいじいじしている。
夢川めめ : 「めめ、頑張るの嫌いだし、苦手なの。……誰かの真似をすれば、赤点はとらないくらいにできたから。」
「…………だから、''自分自身''でアイドル活動をがんばれるように、書いたの。」
夢川めめ : 「でね、それで……ちゃんと練習も、普段の素行?も……頑張れる人になれたら、マリンスノウのみんなとおともだちになれるかなって。」
天海こよみ : 「え……えっと……」 ちょっと困惑したように目を丸くして
天海こよみ : 「ぼく、もうめめちゃんとお友達になってると思ってた……よ……?」
夢川めめ : 「ゔ〜〜…………だめ!!」
きゅむ、と両目を閉じる。ついでに両耳も
夢川めめ : 「…………めめをあんまり調子に乗らせないで!」
「ダメなの、やだの……そんなこと言われると、甘えたくなっちゃうもん」
天海こよみ : 「え、えぇ……!?」 反応の意味が分からなくてあわあわしてる
虹之元ユメ : 「ん~、そうですねぇ……」 あの夜の一件がある以上、簡単に頷くことができない。彼女を許したい気持ちはあるが、未だに折り合いがつけられずにいた。
澱 カシル : 「あ、あれ……? お友達、ですよね……?」
こよみに同調していただけに、ユメらしくない曖昧な反応に戸惑う。
虹之元ユメ : 「……いつかは友達以上の関係になりたいですね……と、私は言っておきますね」 そう言いながら、口元に自分の書いた短冊を持ってくる。 
琵琶坂 藍依 : 「…………さっきも言っていた通り、お友達以前に私達はまだお互いの事をちゃんと知らないって事」コヨミちゃんとカシルちゃんに
夢川めめ : 「ん。……おともだち、見習いってことにして。」
「こよこよちゃんも、カシルちゃんも」
しっかと頷いて
天海こよみ : 「……そっか……」
澱 カシル : 「はい………」
自分もまだ隠し事をしている手前、これ以上反論することは出来なかった
天海こよみ : 「…………」 少し考えて
天海こよみ : 「でも、それなら、まだお友達見習い……だったなら、」
天海こよみ : 「なおさら、明日いっしょにあそべるの、楽しみ……だね……!」 ポジティブに捉えて、小さく笑う
澱 カシル : 「……そうですね!」
天海こよみ : 「ね……!」 さっきやってたみたいにカシルちゃんと両手をぱちぱち合わせる。明日が待ちきれないというように
虹之元ユメ : 「……はい! 私もみんなと遊ぶことが今から楽しみですよ!」 朗らかな笑みを浮かべながら、そう答える
琵琶坂 藍依 : 「いや、まだ決まってないけどねレクリエーション」苦笑して
天海こよみ : 「ふふっ、そうだった……」
夢川めめ : 「めめも皆と遊びたいから……練習、がんばるよ!」
「……そうだ、さっきまで練習してたみたいだけど、もしかしてまだ続ける?」
ぐっと両手を握って
夢川めめ : 「……めめも練習していい?」
天海こよみ : 「いいよ……!」 即答する
虹之元ユメ : 「もちろんですとも、みんな揃ってこそのマリンスノウですからね」
澱 カシル : 「全員揃ってないと本当の合わせる練習にはなりませんから!」
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね、私の足も少し休ませてもらって回復してるし」
琵琶坂 藍依 : 「一緒に踊ろう、メメ」
夢川めめ : 「……うん!」
こくん、と頷く
GM :  
GM : ……こうして、長いようであっという間の3週間は、終わりを告げた。
GM : メンバーそれぞれが課題を解決し、あるいは新たな悩みを抱え……MARiNE SNOWは、デビューの日を迎える。

シーン7 深海に雪が降る

GM : 登場PCは全員です。登場侵蝕をお願いします。
天海こよみ : 1d10+39(1D10+39) > 8[8]+39 > 47
虹之元ユメ : 1d10+43(1D10+43) > 9[9]+43 > 52
琵琶坂 藍依 : 1D10+52(1D10+52) > 4[4]+52 > 56
夢川めめ : 1d10+60(1D10+60) > 10[10]+60 > 70
澱 カシル : 1d10+61(1D10+61) > 9[9]+61 > 70

ライブハウス

GM : お披露目ライブ当日。
GM : キミたちは、楽屋にて待機をしている。同じ部屋の中にいるのは、メンバーとミツキ、スタッフ、そして別グループのアイドルたち。
GM : メイクは基本的に自分でする。キミたちはまだデビューすらしていない新人……しかも、分類的にはいわゆる「地下アイドル」だ。
GM : ヘアメイク担当のスタッフも、メンバーが5名であるのに対して2名のみである。
天海こよみ : 「ん……」
天海こよみ : 鏡に微妙な表情のこよみの顔が映る。
天海こよみ : 合宿中にメイクの仕方を教えてもらい、何度も練習したものの、結局あまり上手く出来ていなかった。
GM : こよみの姿を見て、ミツキが首を傾げて寄ってくる。
十条ミツキ : 「どうしたの、こよみ」
天海こよみ : 「ミツキちゃん……。あの、えっと……メイクが……」 鏡越しにミツキを見る
十条ミツキ : 「……ああ、そういうことか。……ふふっ、緊張してるね?」クスリと笑って、こよみの顔を覗き込む。
天海こよみ : 「そ、そう……なのかな……?」 自分でもよく分かっていない様子
十条ミツキ : 「うん。環境や照明も変わっているからね……メイクが上手くいかないのも仕方ないよ」頷いて。
十条ミツキ : 「手直し、アタシがやってもいい?」
天海こよみ : 「……!う、うん……おねがい……!」 素直に頷く
十条ミツキ : 「よし来た。……そうだね、こよみは普段メイクしないから……濃いメイクをすると逆に不安になるよね」
十条ミツキ : 「でも、舞台上だと照明で飛んじゃうから……」そう言って、こよみが引いた倍の長さでアイラインを引き始める。
天海こよみ : 「ん……」 ドキドキしながら、メイクされていく様子を眺めてる
十条ミツキ : 「……ん、いいね」アイラインの蓋をする。鏡を見ると、先程よりも目力が増したことがわかる。
天海こよみ : 「わ……」
天海こよみ : 「ぜんぜんちがう……!さっきと……!」 パチパチと瞬きする
十条ミツキ : 「そう?良かった」ニコ、と笑う。
十条ミツキ : 「折角おばあちゃんが来てくれているんだもん、こよみの今日できる一番『可愛い』を作ろうね」
天海こよみ : 「うん……」
天海こよみ : 祖母の顔が頭の中に浮かぶ。今まで自分を見守ってくれていた、優しいあの表情を。
天海こよみ : 「うん……!がんばって、作るよ……『可愛い』……!」
天海こよみ : 鏡に映っていた微妙な表情が笑顔に変わる。その瞳は強いやる気で輝いていた。
琵琶坂 藍依 : 「(────よかった、あっちはミツキのおかげで順調そう)」隣の椅子のコヨミちゃんを見て
琵琶坂 藍依 : 「(……でも、私は)」溜息まじりに鏡と見つめあう
澱 カシル : さらに隣のカシルは物凄い手早さでメイクを仕上げていく。
手元の道具はやや古ぼけていて、中には随分小さいもの──人形用のモノも含まれるが、意にも介していない。
澱 カシル : 「──よし、出来た! 藍依ちゃん、Wチェックお願いします!」
隣の藍依に声をかける。
琵琶坂 藍依 : 「……あ、ああ、カシル?えっと?」いきなり話しかけられて上の空だったらしく、そのまま聞き返す。
澱 カシル : 「Wチェックお願いします……ってあれ? 藍依ちゃん大丈夫? メイク、あんまり進んでないみたいだけど……」
琵琶坂 藍依 : 「ああ、実は私……、メイクはちょっと苦手で……」
琵琶坂 藍依 : 「地上アイドルをしてた当時は、専属のメイクさんに任せてたからさ……、改めて専門技能を持つ人って凄いんだなって思っていたところ……」
澱 カシル : 「は、早く言ってください〜〜!? 時間来ちゃいますから!!」
澱 カシル : 「ほら、こっち向いてください! 道具借りますね!」
ぐいっ、と藍依を引き寄せて、顔を間近に合わせて作業を開始する。
琵琶坂 藍依 : 「……え。あ、うん」勢いに流され、されるがまま
澱 カシル : 上下左右と見方を変えながら、藍依の顔にテキパキと筆を乗せていく。
澱 カシル : 「あとリップ……うーん……」
澱 カシル : 「この色じゃイマイチかも、こっちを使います!」
カシルの席に置いてあったリップを藍依の唇に当てる。
琵琶坂 藍依 : 「(ええ……、間接キスになるけどいいのかな……)」リップを当てられているので何も口にはしない
澱 カシル : 「最後にヘアです! …………間に合いましたね!」
藍依の髪に軽く手を加え、完成させる。
琵琶坂 藍依 : 「ありがとうカシル、助かったよ」
琵琶坂 藍依 : 「……でも、カシルは慣れてるんだねメイク。凄い手際だった」
琵琶坂 藍依 : 「バビコの開け方も知らないのに、メイクには明るいなんて思わなかった」
澱 カシル : 「アイドルにこだわる前は、スタイリングを教わってたんです。……手にも馴染みますし。」
澱 カシル : 「藍依ちゃんがメイクで戸惑ってるのも意外でしたよ? 何でも出来ると思っていたので!」
嫌味ではなく、それが親しみだと言うように
琵琶坂 藍依 : 「ええ……? どういうイメージ……?」苦笑して
琵琶坂 藍依 : 「私はできない事の方が多いよ?まあ、単純にアイドルとしては出来ない事はほとんどないと思うけどさ?」
琵琶坂 藍依 : 「ほら、例えば料理とか、ミツキに手伝ってもらってたじゃない?」
琵琶坂 藍依 : 「……私としては、アイドル以外に特技があるカシルとユメが羨ましいと思うよ」
澱 カシル : 「じゃあ今度一緒に練習しましょう!」
琵琶坂 藍依 : 「練習?メイクの?」
澱 カシル : 「はい! あたしもまだ勉強中で、皆で練習した方が楽しそうです!」
琵琶坂 藍依 : 「なるほど、みんなでメイクレッスン……」
琵琶坂 藍依 : 「メイクさんがいないこの環境では、確かに大事そうだね……」
琵琶坂 藍依 : 「────うん、またプロデューサーに相談してみよう。これまでのスケジュールを見た感じ、ちゃんと時間が確保できるかは分からないけど」
琵琶坂 藍依 : 「レッスン楽しみにしてるよ、カシル先生」微笑んで
虹之元ユメ : 「(み、み、みんな意外と落ち着いてる……? 藍依ちゃんは場慣れしてるとはいえ、す……すごいな~……っ)」 リップを持つ手を過度に震わせながら、ユメは鏡と睨めっこをしていた
夢川めめ : 「…………」
その一方で、めめは重箱のようなメイク道具入れから道具を取り出し、澱みなく化粧を進めていた。
プチプラからハイブランドまで、ブラシから指までと、一切の迷いも見せず、普段より少し派手気味な顔を作り上げていく。
夢川めめ : 「…………ふー、おしまい。」
そんな中、鏡越しに苦戦するユメと目が合った。
反射的に、気まずそうにそろりと目を逸らしてしまう。
虹之元ユメ : 「……め、めめちゃんはメイク、終わりましたかぁ~……?」 不意に目が合ったことに気づき、あまりの緊張でビブラート気味の声で話しかける
夢川めめ : 「うん、おわったよ。……ほら」
鏡に向けて、顔を向ける。
自然な動作で髪を耳にかけるその顔は、いっぱしの''アイドル''と言える程の顔面に仕上がっていた。
夢川めめ : 「……ゆめちは?」
「あとはリップだけ?」
虹之元ユメ : 「実はアイシャドウも……私、涙で崩れやすいのでいつもより濃くしなきゃいけないんですけど、バランスが……」
虹之元ユメ : 「めめちゃんは仕上がってますね……! 綺麗なお顔かと……!」
夢川めめ : 「……あ、ありがと」
少し恥ずかしそうに、下を向いて
夢川めめ : 「……ねえ、もし良かったら、なんだけど。」
「めめ、お手伝いしていい?」
上目遣いに、おずおずと聞いてくる
虹之元ユメ : 「い、いいんですか!? ぜひお願いしたいです!」 パッと顔を明るくさせて、めめを此方に手招く
夢川めめ : 「ん…………」
てちてちと歩き、座るユメに対し、中腰で顔の様子を観察する。
顎を持ち、上下左右……様々な角度から、余すことなく。
夢川めめ : 「……ユメちはイエベだから、ベースから考えた方がいいかも。めめ、グリーン系のやつ持ってるからあげる。」
「あとは……クッションファンデをメイクキープミストで伸ばしてあげると、崩れにくくなるよ」
ブラシを取り出し、手の甲でコスメを調合しながら塗っていく。
夢川めめ : 「面倒だけど、アイシャドー塗る前にはアイクリーム付けて。これだけでノリが良くなるから……」
「それから……」
いつもとは全く違う、真剣な顔でメイクを続ける。
夢川めめ : …………これが彼女の頑張り、の第一歩なのだろうか。
されるがままにされていると、ものの5分程度で彼女はユメから離れた。
虹之元ユメ : 「……!」 
鏡に映る、瞬く間にメイクアップされた自身の顔。自分で施すメイクとは一つ……いや二つ上の仕上がりに思わず息を飲んだ。
虹之元ユメ : 「……めめちゃん!」 離れためめに振り返って
夢川めめ : 「な……なあに、ゆめち」
虹之元ユメ : 「ありがとうございますっ! とっても綺麗に仕上げてくれて!」 ニッコリと笑みを浮かべて、純粋な感謝の念を伝える
夢川めめ : 「ん、うん…………いいの」
「もし、パフォーマンスとかで崩れちゃったら、言ってね?めめ、またなおすから……」
安堵したように息をついて、微かに微笑む。
虹之元ユメ : 「はいっ! その時は是非っ!」 二度、笑みを向けるとその表情を保ったまま、ユメは鏡に向き直った
夢川めめ : 「…………」
めめは頷き、いそいそとメイク道具の収納を始める。
──今日の彼女は、いつにもまして''まとも''だ。
その姿に、周囲は微かな違和感と……大きな安心感を覚えながら、開幕直前の控え室で時間が過ぎていく。
GM : ──メイクと事前の調整を終え、キミたちは舞台袖に控える。
GM : 熱気が籠った会場。先ほどまでパフォーマンスをしていたアイドルにより、観客のテンションは極限に高まっていた。
GM : 対バンライブにおいて、目当てのグループのみを見て帰るオタクは少なくない。だが、今日は違う。
GM : 世間的に、とまではいかないものの、界隈で話題となっている新「星」アイドルグループが誕生する。
GM : それを聞きつけたアイドルオタクらが集ったことにより、会場の動員数は相当なものとなっている……と、会場スタッフから教えられている。
GM : 「MARiNE SNOW」。現在は、ビジュアルとメンバーのSNSのみが公開されている謎のグループ。
GM : キミたちの登壇を、観客は今か今かと待ち構えている。

iRiS

iRiS : 「……いよいよ、私達の出番だね」
iRiS : 肩にかかる黒髪を軽くかきあげる。
iRiS : 上品かつ甘いフリージアの香りが、ふわりと辺りに広がる。
iRiS : ……そうして、これまで約1年間、常に使用を続けてきた《天使の外套》の"隠蔽能力"を解除。
iRiS : 襟足の部分が青く染まり────
iRiS : いや、常に隠していた元々の髪色、インナーカラーの藍色が露わになる。
iRiS : 「みんな、準備はいい?」
天海こよみ : 「いい……けど……」 アイの髪が気になってジッと見ている
虹之元ユメ : 「だ、大丈夫です……はい……! ですけど、それは……」こよみと同じく藍依の髪色を見つめて
澱 カシル : 「藍依ちゃんの本気の姿!ですねっ!」
夢川めめ : 「……んふ、めめはだいじょーぶ♡」
「あは、びわちもめめとオソロだね〜!」
さらり、と自らの緑のインナーカラーを撫でて
iRiS : 「ああ、インナーカラーは日常生活だと目立ってしまうから、めめとは少し違って普段は隠していたんだ」
天海こよみ : 「そういうことだったんだ……」
iRiS : 「…………それよりユメ、本当に緊張してない?」
iRiS : 「ほら、楽屋ではキョロキョロしていたでしょ?」冗談めかして
虹之元ユメ : 「それは……!」 目を左右に泳がせて
虹之元ユメ : 「バレてましたか……はい、実は緊張が……かなり……」 ぷるぷると膝を震わせて
天海こよみ : 「そうなの……?」
iRiS : 「初舞台だもん、当然だよ」
虹之元ユメ : 「それはもう、夢にまでみた舞台が目の前にあるので……胸が高鳴るような、胸が締め付けられるような……!」胸の辺りで手を握って
澱 カシル : 「…………」
ぼんやりと舞台を見ている。
緊張は見られず、何か考え事をしているようだ。
天海こよみ : 「……ぼく、それって、きんちょうしてるんじゃないと思うな」 いつも通りの雰囲気で不思議そうに言う
虹之元ユメ : 「こよみちゃん……そ、その心は何でしょう……?」少し屈んで、こよみと目線を合わせる
天海こよみ : 「ワクワクしてるんだよ、きっと。ぼくは、すっごく楽しみだったから……みんなはちがう?」 ドキドキと鼓動する胸元に手を置いて、小さく笑う
虹之元ユメ : 「─────!!」こよみの言葉にハッとさせられたのか、目を丸くさせる
夢川めめ : 「ん〜〜…めめも、どきどきだけじゃなくて……わくわく、なのかなっ」
「よくわかんないけど……えへ、そわそわする!!……今すぐに、ステージに駆け出したいってそんな気持ち!」
虹之元ユメ : 「そう、ですね……この高鳴りはきっとワクワクです! 私も舞台に上がりたい、って身体が叫んでるんです……!」
iRiS : 「ワクワク、そわそわ、か……凄いなみんな……」小さく呟いて
iRiS : 「────そうだな、もうすっかり準備はOKみたいだけど、まだ少し時間があるから、これからのライブの心持ちに関わる話でもしようか」
iRiS : 「アイドルや芸能人達が出す"オーラ"の正体って何か知っている?」
天海こよみ : 「……?」 知らないの顔
iRiS : 「支えてくれるスタッフ達とか、応援してくれる人達とか、もちろん色々な人達のおかげもあるけど」
iRiS : 「最後の最後、アイドルを"本当に輝ける存在"に変える魔法」
iRiS : 「────それはね、自信だよ」
天海こよみ : 「自信……?」
iRiS : 「たとえば『自分はかわいい』って自信」
iRiS : 「あるいは『自分はあんなに頑張ったからできる』って自信」
iRiS : 「ステージに立つ自分に胸を張っているから、キラキラできてる」
澱 カシル : 「自信、ですか?」
虹之元ユメ : 「自信……自分を支える支柱のような……」
夢川めめ : 「自分への自信、かぁ……」
「ふふっ♪めめ、かわい〜ことには自信あるよっ!」
ふんす!と胸を張る
iRiS : 「……うん、自信」
iRiS : 「だって、そうでしょう?」
iRiS : 「俯いたまま、アイドルなんてできない」
iRiS : 「……少なくとも私は、そう思っている」
iRiS : 「────だから、みんな」
iRiS : 「胸を張って、あのステージに立とう!」
iRiS : 「……これまでの私達の練習期間は、本当に短いものだったけど」
iRiS : 「それでも全力でやれる事をやりきった」
iRiS : 「その努力はきっと、いや、絶対に私達を裏切ったりしない」
iRiS : 「……私は、みんなと一緒に最高のステージができるって信じる」
iRiS : 「だから、みんなも信じてほしい」
iRiS : 「────私達を、それから自分自身を」
天海こよみ : 「アイちゃん……」
天海こよみ : 「そうだね……うん、分かるよ。きっと楽しいステージに出来るって」
虹之元ユメ : 「……はいっ! 最後まで全力で、絶対に成功させましょうっ!」
夢川めめ : 「えっとぉ、とにかく楽しんで、それで……他の人達にも喜んで貰えたらいいなーって!めめは思うな〜」
「だから皆、いっぱい楽しんでこ〜」
ゆるゆる手を上げる
澱 カシル : 「………うんっ」
自分は上手く出来るだろうか、という考えを止める。
藍依がこう言ってくれるのだから……やれることをやってみよう。
iRiS : 「……グループが結成した時と同じで、言うまでもなかったかな」
iRiS : そう笑ってアイドルは胸に手を当てる。
iRiS : ……自信満々の言葉と態度とは裏腹に、その手は僅かに震えていた。
iRiS : 「(今まで立った中では最も小さなステージ、なのに一番、緊張してる)」
iRiS : みんなで短冊を書いた、あの夜。
iRiS : 琵琶坂藍依は、自分の青い短冊の裏側に"ある願い事"を書き足していた。
iRiS : 『私のせいで、みんなの努力が台無しになりませんように』
iRiS : ……ひとりのアイドルを自殺に追い込み、ひとつのグループを解体した。
iRiS : その"罪"に対して憤る者が、まだ私を追ってきているとしたら?この会場に来ているとしたら?
iRiS : ────折角のステージが台無しになる。みんなの努力が台無しになる。
iRiS : そうした耐え難い不安が、二つ目の願いを生んでいたのだ。
iRiS : 『琵琶坂藍依』ではなく『iRiS』と新しい芸名を使うことを決めたのも、全てはそうした事態を避ける為。
iRiS : ……それでも、結局のところ。最後は神頼みにするしかない。
iRiS : 事件があった1年前からあらゆる人々にバッシングを受けて、ファンだった人々に石を投げられ、
iRiS : 人前に出る事さえトラウマになった身体が、勝手に震え出す。
iRiS : 「(みんなとなら最高のステージができる、そう思っているのはウソじゃない)」
iRiS : 「(いや、だからこそ恐れているんだ……私ひとりのせいで全てが台無しになるのが……)」
iRiS : 「(自信を持って胸を張って、だなんて大層なコトを言っておきながら、私自身はどうなんだ……)」
iRiS : 「(────イケメン女子? 王子様? 本当の私はきっと、そんなに格好いい人間じゃない)」
iRiS : 「(……みんなに不安が伝播しないように、自分の手と足の震えを抑える事で精一杯の弱い人間だ)」
iRiS : ……はたしてその願いは叶ったのか。
iRiS : 黒いカーテンの向こう側、ステージに出るまでは分からない。
澱 カシル : 《シャドウダイバー》を使用、iRiSの感情を読み取ります!
system : [ 澱 カシル ] 侵蝕率 : 70 → 72
澱 カシル : 「藍依ちゃん」
冷たい指先で藍依の首筋をなぞる。
iRiS : 「────っ!?」いきなり首筋を撫でられて思わず身を引く
澱 カシル : 「ふふっ、びっくりしました?」
澱 カシル : 「藍依ちゃんも肩の力、抜きましょ?」
iRiS : 「肩の……、力……?」そんなに入ってたかな、と聞き返す
澱 カシル : 「ほら、こよみちゃんが本番直前に何かやりたいって言ってましたよね! 集まれ集まれ〜」
藍依の手をとって、こよみへと引っ張っていく。
澱 カシル : 「(怖くても、大丈夫。………だから、ね?)」
藍依の心を見透かすような囁き。
iRiS : 「…………っ!!」心を読む能力を持ったオーヴァードもいるとは聞いていたが、目を見開いて驚く
天海こよみ : 「あ……うん、そうなの」 二人の様子を見守ってから
天海こよみ : 「ぼく、みんなであれやりたいなって……」
天海こよみ : 「がんばるぞ、おー……!っていうの」
天海こよみ : 「だめかな……?」 そう言って、右手を前に出す。
澱 カシル : 「もちろんいいですよ! ほら、藍依ちゃんも!」
手を強引に乗せていく。
iRiS : 「……あ、ああ、うん」
iRiS : 「もちろん、構わないよ。もっとも、その経験は私はないけれど」元いたグループの仲が最悪だったため
虹之元ユメ : 「賛成です! 是非やりましょう!」
夢川めめ : 「なんか……体育祭みたいじゃない!?やん、変に緊張してきちゃった……めめもやるやる〜!」
小さい手のひらを、アイの手に乗せて
天海こよみ : 「よかった……じゃあ、いくね」
天海こよみ : 五人の手が重なると、息を吸い込んで、
天海こよみ : 「MARiNE SNOW、がんばるぞー!」
天海こよみ : 「おー!!!」 普段の会話では出さないような大きな声で、嬉しそうにそう言った
澱 カシル : 「おーー!!」
iRiS : 「おーー!!」つられて大きな声が出る
虹之元ユメ : 「おぉーー!!!」よく通る声で、嬉しそうに声を出す
夢川めめ : 「お〜〜〜〜!」
声とともに、弾みをつけて手を挙げて
天海こよみ : 「ふふっ……」 皆の心が一つになったのを感じて、満足そうに笑うと
天海こよみ : 「……ミツキちゃん」 遠巻きに見守ってくれていたミツキに振り向いて、声をかける
十条ミツキ : 「…うん」こよみを眩しそうに見つめて笑う。
天海こよみ : 「ぼく達のこと……ちゃんと見ててね」
十条ミツキ : 「もちろん」こよみに向かって頷いた後、皆に向き直る。
十条ミツキ : 「いってらっしゃい。楽しんできてね」
天海こよみ : 「うん……行ってきます……!」 嬉しそうに笑い返す 
GM :  
GM : ……会場の証明がふっと落ち……周囲は、青い光で満たされた。
GM : 光が揺れる水面。泡が弾けるようなSE。まるで海中に居るかのように、耳が遠くなる感覚。
GM : どこかで響く、海中に誘うかのようなメロディー。会場が暗くなり、視覚を徐々に奪われていく。胎内回帰を思わせる安らぎ……だが、そこに温もりはなかった。
GM : 大きな魚影が、光を覆い隠していく。いや、あれは魚影だったのか?もう、何もわからない。
GM : 会場が、完全な闇で包まれる。
GM : 戸惑う観客の前方ステージに、カッとスポットライトが焚かれる。
GM : そこにいるのは、5人のアイドル達だった──
GM : SEと同時に入場し、スポットライトを浴びたキミたちは、ようやく視界を取り戻す。
GM : 目の前には、顔、顔、顔、顔。予想以上に大勢の人間が、そこにいた。
GM : メンバーによっては、自ら招待した客がいるはずだ。…彼らについても、簡単に見つけることができる。
GM : 「ファンのみんなの顔が見えているよ」という言葉が、嘘ではないことを実感するだろう
天海こよみ : ……多くの人々の視線を浴びながら、伝える。
天海こよみ : 「深い深い、海の底」
天海こよみ : 「暗闇の彼方に沈み行くあなた」
天海こよみ : 「嘆く言葉は泡となり、世界の誰にも届かない」
天海こよみ : 「涙の海に溺れ、希望を捨て、瞼を閉じようとした……その時」
天海こよみ : 「あなたを見つけに、雪が降る────」
天海こよみ : 彼らをMARiNE SNOWという世界へ引き込むための、始まりの言葉を。
GM : SEが終わり、イントロが流れる。
GM : ライブが、始まる──
MARiNE SNOW




(0:20~)
僕は また溺れ死ぬ
孤独な海 もがいて
悲しみの雪 静かに
沈む 僕と共に
 
(0:44~)
マリンスノウ 流されていく
生きたくても 息苦しくて
逃げ出したい でも泳ぎ出せない
暗闇が 僕を許さないから
 
(1:05~)
止まった時間 夢に縋り
愛を亡くした瞳 涙が水に溶けても
呪われた運命 目覚めさせられるの?
 
(1:18~)
どうかお願い 海底よりも深い世界
今、僕に 魅せて

MARiNE SNOW : 『────僕は また溺れ死ぬ♪』
虹之元ユメ : 「孤独な海 もがいて♪」 
精一杯の想いを、積み上げた努力を、全身全霊のパフォーマンスで観客たちに披露する。
MARiNE SNOW : 『悲しみの雪 静かに♪』
澱 カシル : 「沈む 僕と共に♪」
その詞と共に漏れ出す呪いが、スモークに紛れて流れ出す。
今さら立ち止まる訳にもいかない。歌い続ける。
 
溺れ惑う腕が、観客たちに縋り付く。
海の底へ、苦しみを分かち合わんと──
夢川めめ : 「マリンスノウ 流されていく♪」
……直前の歌詞とその場を包む呪いに合わせ、かざした手を握り込み、胸元を通らせ沈む様を振り付けで見せる。
その表情は痛切で、哀しく、消え入りそうで……''カワイイ''一辺倒の容姿と驚くほどのギャップ効果を産んでいた。
iRiS : 「(────どの心配も、杞憂にすぎなかった)」
iRiS : 「(私を非難しにきた人の姿は、見当たらない)」
iRiS : 「(なにより、みんなのパフォーマンスは上々)」
iRiS : みんな努力の甲斐あって、少し前まで歌もダンスも未経験だったなんて思えない演技だ。
iRiS : 「(……けど)」
iRiS : それでもまだ、元メジャーアイドルとは埋められない実力差がある。
iRiS : ────琵琶坂藍依は現役時代の約3年間、ひたすら血の滲むような努力を続けてきた。
iRiS : どれだけ詰めこんでも21日の努力は21日の努力。逆立ちしても、1095日の努力には追いつけない。
iRiS : 例えるなら、テスト直前になって徹夜でテスト勉強をしたところで、毎日欠かさず勉強している人間には敵わないのと同じ。
 
iRiS : ……加えて、琵琶坂藍依は誰より目立ちやすい。
iRiS : 歌やダンスといったアイドルとしての基礎ステータスの話ではなく、単純にMARiNE SNOWというグループにおいて最も身長が高い為だ。
iRiS : 高い身長。それはつまり手足の長さにも繋がり、
iRiS : またひとつひとつの動きも大きくなる事を示す。
iRiS : ……故に、目立ちやすいのだ。
 
iRiS : 「(……このライブの趣旨と主役を間違えちゃいけない)」
iRiS : 「("MARiNE SNOW"のデビューライブであって"琵琶坂藍依"の復帰ライブじゃない)」
iRiS : 全力を出して目立ちすぎれば、その優先順位を崩す事になるだろう。
iRiS : なによりグループ全体のパフォーマンスの調和を損ねてしまう。
 
iRiS : 「……生きたくても 息苦しくて♪」
iRiS : だから、全力を抑えた演技をする。
iRiS : 縁の下の力持ちとして、グループ全体を引きたたせる為のパフォーマンスを試みる。
iRiS : ……自分の胸元を苦しそうに抑え、その左手を観客へと伸ばす。
iRiS : 琵琶坂藍依の演技は、繊細で完璧。
iRiS : ────しかし、惹きこまれない。まるで魂が震えない。
iRiS : さもありなん。少女自身が目立たない為に派手さを排した控え目な演技をしている。
iRiS : ……けれど、それ以上に。
iRiS : 琵琶坂藍依のパフォーマンスからは『輝き』と呼べる何かが根本的に失われていた。
iRiS : 1年前に負った心的外傷。あの事件で『輝き』も亡くしてしまったのかもしれない。
iRiS : ここにあるのは過去の人気アイドルの燃えカス。
iRiS : ……ハッキリ言ってしまえば「"元"アイドル」といった評価が相応しいような演技。
iRiS : ────その姿は、あるいは"卒業公演の十条ミツキ"の再演に見えるかもしれない。
 
天海こよみ : 「逃げ出したい でも泳ぎ出せない♪」
天海こよみ : ────泳いでいる。
天海こよみ : その姿を目にした者達は、皆同じイメージを抱くだろう。
天海こよみ : ステージという名の海で人魚のように美しく泳ぐ少女。
天海こよみ : そう感じさせるほどに、こよみの歌声や踊り、表情には一切の緊張が無かった。
天海こよみ : 儚さや切なさ、暗闇に差す一筋の光のような希望を伝える曲のイメージをしっかりと表現しながらも、
天海こよみ : 彼女はただひたすらに楽しそうに舞っていて、アイドルが好きだという感情が全てありのままに伝わってくる。
天海こよみ : その感情の強さがパフォーマンスを底上げし、練習の時よりも上手くなっている。
天海こよみ : それでいながら、彼女は透明な水のように周囲のメンバーと調和していた。
天海こよみ : 言うなれば、“自然”。
天海こよみ : 人魚姫が地上で暮らすには、声を失って人の足を得て、激痛に耐え続けながら歩かなければいけない。
天海こよみ : こよみもきっとそうだった。
天海こよみ : 多くの人達が普通に生きていける世界に息苦しさを覚えていたし、自分を偽ろうにも声を出すことも出来ない。
天海こよみ : でも、海の中なら違う。
天海こよみ : 普通の人間が息をするのにも苦労する場所で、誰よりも美しく泳げるし、誘惑的な歌声で歌うことが出来る。
天海こよみ : ……彼女は、そういう人間だった。
天海こよみ : 努力の果てに得られる奇跡ではなく、奇跡が最初からそのまま存在しているような────
天海こよみ : 他の生き方なんて絶対的に不可能だけど、その生き方なら誰にも真似出来ない輝きで生きていけるような────
天海こよみ : 天海こよみは、そんな生まれながらのアイドルだった。
iRiS : 「…………!!」
iRiS : 目の前の"新人アイドル"に一瞬、目を奪われる。
iRiS : 人魚の歌声に魅了されたように足を止めてしまう。
iRiS : ステージの上にあって誰よりキラキラと輝く姿。
iRiS : ……その少女に、今は亡き"二人のアイドル"の影を見たからだ。
iRiS : 少女離れした卓越した演技に、かつてのライバルであった『十条ミツキ』を。
iRiS : 初ライブにも関わらず緊張など忘れて、ただ楽しそうに歌っている後ろ姿に、無二の親友であり仲間だった『久能胡桃』を。
iRiS : ────「武道館ライブ」という夢を目指して親友と共に切磋琢磨していた、あの頃の熱い気持ちが胸に甦る。
 
iRiS : オーヴァードの心にも響いたソレは、決してクラッドカルトの能力じゃない。
iRiS : 久能胡桃も密かに憧れていた伝説のアイドル、天海あかりの娘。
iRiS : 天海こよみの実力に他ならない。
 
iRiS : 「(水を得た魚、とはまさにこの事……レッスンやリハーサルとはまるで別格だ……)」
iRiS : 「(全力のパフォーマンスをしながらも、独りよがりの演技じゃない……自分が全ての中心になることで全体との調和を取っている……)」
iRiS : 「(その役割をコヨミが担ってくれるのなら……もう私には全力を抑える意味もないか……!)」
iRiS : 自分は実力を抑えないと、だなんて烏滸がましかった。
iRiS : 「(ふふっ、それなら私にできる事は!)」微かに笑みが漏れる
iRiS : 「(みんなだったら付いてこれると、コヨミだったら合わせてくれると信じて、突き進むだけだ……!)」
iRiS : マイクが拾ってしまうかもしれないほど、大きな靴音を鳴らし、気合いを入れ直す。
 
iRiS : 「────暗闇が 僕を許さないから♪」
iRiS : 天海こよみに背を預けるように並び立ち、パフォーマンスの"ギア"を一気に上げる。
iRiS : ……生きる事の息苦しさ。それならこれまで嫌というほど経験した。
iRiS : その"生きた感情"を、そのまま歌声に乗せる。
iRiS : 痛みと苦しみ。深い絶望と微かな希望。その全てを指先まで込めて全身で表現する。
 
iRiS : 自らの枷を外した、全力の演技。
iRiS : そのパフォーマンスは"新たなライバル"に負けず劣らず、目が眩むほどの『輝き』を放つ。
iRiS : リハーサルとは比較にならない。
iRiS : ……二人に引っ張られるように、MARiNE SNOWの歌声は響き合い、互いのパフォーマンスを高めあっていく。
iRiS : 他のアイドルグループを目当てに見に来た観客さえ巻き込み、会場のボルテージも、際限なく上がっていく。
iRiS : ────デビューライブだなんて信じられない、圧巻のステージができあがっていく。
天海こよみ : 「止まった時間♪」
夢川めめ : 「夢に縋り♪」
iRiS : 「愛を亡くした瞳♪」
虹之元ユメ : 「涙が水に溶けても♪」
澱 カシル : 「呪われた運命♪」
MARiNE SNOW : 『目覚めさせられるの?♪』
天海こよみ : 「どうかお願い 海底よりも深い世界♪」
MARiNE SNOW : 『今、僕に 魅せて────♪』
GM : メンバーの声が、会場中に響き渡る。
GM : その姿は、まるで新人アイドルとは思えない。
GM : キミたちを目当てに来たものも、それ以外も、構わず惹き込まれる……
GM : ……MARiNE SNOWのファーストライブは、大きな歓声の中閉幕したのだった。
GM :  
GM : メイク直しを終了後、キミたちはライブ会場の外に出る。
GM : ライブ自体はまだ続いているが、特典会があるのだ。
GM : 初めての特典会に、期待と不安が溢れるが……誰も並ばない、といったアクシデントはなく。キミたちの元には、それぞれ小さな列ができていた。
GM : さて、虹之元ユメの元にも……また一人、少女がやってきた。

ユメ推しのオタク

ユメちのオタク : 「あっ……あ……」
GM : スタッフに促されながらやってきたその少女は、緊張のあまりうまく声が出せないようだ…
虹之元ユメ : 「……! ど、どうぞ!」
ライブ後の浮足立つような、夢見心地な気分からちょっとだけ覚めて、きっと私の列に並んでくれたであろう子を迎える。
ユメちのオタク : 少女は、外見からしていかにも大人しそうだ。前髪にはオレンジ色のメッシュ……おそらくは、キミのことをSNSで見かけて以来のファンなのだろう。
ユメちのオタク : 「……ゆ、ユメちゃん……す、すっごく可愛い……!あっ、えっと…今の失礼だったかな……」
虹之元ユメ : 「あ、ありがとうございますっ! ううん、とっても嬉しいです!」
虹之元ユメ : 「もしかしてだけど……そのメッシュ、私の?」 前髪に気づいて、自身の髪にさらりと触れる
ユメちのオタク : 「ッ……!」こくこく、と頷く。
ユメちのオタク : 「その……今まで、染めたことなかったんだけど……ユメちゃんに見せたくて……ほ、本当に推してるって、伝えたいから……!」
ユメちのオタク : そう、たどたどしく言葉を紡ぐ。
虹之元ユメ : 「───────」 ポカン、と一瞬だけ間の抜けた表情を浮かべる。
虹之元ユメ : 推し。ごまんと聞いた言葉がたった今、私個人に向けられていることに……ほんのちょっとだけびっくりしてしまった。
虹之元ユメ : けれど、その言葉で段々と────浮足立っていた気持ちが、きちんとアイドルとしての実感を伴って地に足がついた気がした。
虹之元ユメ : 「……ありがとう! 私、アイドルになれて、本当に……っ」 気づいた時にはぽろぽろと大粒の涙を流しながら、華やかな笑顔がファンの子に向けられていた。
ユメちのオタク : 「わ…わ、えっ……!?ごめん……ユメちゃん、大丈夫……!?」推しを泣かせてしまったことに戸惑いながら、口元を抑える。
虹之元ユメ : 「はい、はいっ……! 大丈夫、です……ちょっと嬉しすぎて……」
虹之元ユメ : 「……そうだ、ちゃんと特典会しなきゃですよね!」ファンの子を手招きして
ユメちのオタク : 「あ、ぅ……」手招きに小さくビクッとしてから、おずおずと近寄る。
虹之元ユメ : 「……緊張しますよね、何せ私もさっきまでガチガチでしたから」 微笑を浮かべながら、彼女の手を軽く握ってあげる
ユメちのオタク : 「ひぃぃ……」手を握られたことで、逆に悲鳴をあげる。
チェキスタッフ : 「はい、撮りますよ~」それには構わず、慣れた様子でチェキスタッフが合図をする。
虹之元ユメ : 「はいっ、満面の笑みで!」 鷹揚とした口調で、彼女からスタッフに視線を移す
ユメちのオタク : 「ん、んん~……!」やや緊張気味だが、頑張って笑みを浮かべる。
チェキスタッフ : 「はーい」ぱしゃ、とシャッターが切られる。
チェキスタッフ : チェキスタッフが、チェキを軽く乾かしてからオタクへ手渡してくる。最初は真っ白であったチェキフィルムに、先程撮った写真が薄っすらと浮かび始める…
ユメちのオタク : 「す、すごい…本当にツーショットだ……」
虹之元ユメ : 「わー、とっても可愛く撮れましたね! あなたと私の初めてチェキ!」
ユメちのオタク : 「……!そんな…私、すっごくブスな顔してる。でも……ユメちゃん、本当に素敵な笑顔……」
ユメちのオタク : そう呟きながら、チェキをきゅっと胸に抱く。
ユメちのオタク : 「……ありがとう、大切にするね」
虹之元ユメ : 「ありがとうございます! あっ、あと……」
虹之元ユメ : 「……あなたはブスなんかじゃ決してありませんよ。その色、大切にしてくださいね?」
真っ直ぐに彼女の瞳を見据えて、メッシュの入った髪を軽く撫でて微笑む
ユメちのオタク : 「……!」その言葉を受け、大粒の涙が瞳に浮かぶ。
ユメちのオタク : 「…あ、あぁ…そんなこと言わないでよ…もっと変な顔になっちゃう……」
ユメちのオタク : 「……っ、ま、また来ます……!本当に大好きです!」顔を隠したままユメに伝え、そのままスタッフの剥がしが来る前に逃亡しようとする。
虹之元ユメ : 「あっあっ、今度はお名前聞かせてくださいね~! 私のファン第1号さん!」
引き留めようにも時間というものがある、近い内に会えることを願って彼女の背中に声をかけた
GM : ユメのファン1号は、その言葉にびっくりしたように身体を跳ねさせる。そして、恐る恐るキミの方を振り返り…小さく、だが確かに笑った。
GM : ユメのSNSのコメント欄に、「@第一号」という名を冠するアカウントが現れたのは、それからのことであった。
 

焼肉店

GM : ライブ終了後。一行はタクシーに乗り、プロデューサー・オーメン相良が予約した、個室付きの焼肉店へ向かった。
GM : 年若い少女たちへの労いとして焼肉が相応しいのかはさておき、それなりに高い店だ。彼なりの感謝の気持ちの表れなのだろう。
GM : なお、オーメン本人は不在である。ミツキ経由で、後ほど通話越しに連絡があることを伝えられていた。
GM : さて。全員が着席し、各々に飲み物が行き渡ったところで、ミツキが話し始める。
十条ミツキ : 「それじゃ…アタシから少しだけ」
十条ミツキ : 「みんな、この3週間ちょっとお疲れ様でした。……あのだいぶ頭のおかしいスケジュールで、よく頑張ったね」
十条ミツキ : 「辛いこともたくさんあったと思うけど…すごく、良いステージだった。任務のための一時的なグループだなんて、信じられないくらいに」
十条ミツキ : 「今日からはそこまで過密スケジュールにはならないと思う。今晩はゆっくり休んでね」
十条ミツキ : 「じゃあ、みんなグラスを手に持ってもらって…」
十条ミツキ : 「……MARiNE SNOW所属メンバーのこれまでと、これからに!」
「乾杯!」
澱 カシル : 「かんぱーい!」
烏龍茶を掲げる
琵琶坂 藍依 : 「乾杯」同じく烏龍茶を掲げる
天海こよみ : 「か、かんぱい……!」 オレンジジュースが注がれたグラスを小さく上げる
虹之元ユメ : 「かんぱーいっ!!」満面の笑みを浮かべながらオレンジジュースの入ったグラスを掲げる
夢川めめ : 「かんぱ〜い♡」
レモネードだろうか。レモンの切り身の入った炭酸を掲げて
天海こよみ : 「…………」 と、楽しい雰囲気で乾杯したというのに、少ししょぼんとした顔になってしまっている
琵琶坂 藍依 : 「……あれ?こよみ、どうかした?」
澱 カシル : 「こよみちゃん? お肉、苦手でしたか……?」
虹之元ユメ : 「疲れちゃいました……?」心配そうに顔を覗く
天海こよみ : 「あ……ううん、苦手とかじゃないよ……。つかれてるわけでも……」 首をぷるぷる振って
夢川めめ : 「……オレンジジュースすっぱかった?」
「どうしたのかな、かな……お話、なんでも聞くよ…?」
じーっと見て
天海こよみ : 「す、すっぱくないよ。えっと、あの……」
天海こよみ : 「……特典会のこと、ずっと考えてて……」
「ぼく、全然ちゃんと……できなかったな、って……。おばあちゃん以外、きんちょうしてちゃんと話せなかった……」
虹之元ユメ : 「なるほど……でも、こよみちゃんは一生懸命にファンの人と会話したんですよね?」
天海こよみ : 「うん……」 あんまり目も合わせられなかったけど
虹之元ユメ : 「なら、きっとその気持ちは伝わってますよ。こよみちゃんが一生懸命に対応してくれたこと、悪いようには思われていないはずです」
天海こよみ : 「……そう、かな……?」 少しだけ顔を上げる
虹之元ユメ : 「はい、きっとそのはずです!」 ですよね?と、他の面々にも顔を向けて
澱 カシル : 「そうですよ!」
こうは言っているが、特典会で一番会話がズレてたのはカシルである
夢川めめ : 「うんうん♪」
「めめもぉ、そーゆー新人アイドルの子が必死にありがとぉを伝えよーとしてくれてるの、胸がきゅんってしちゃうかなーって!」
ダンスや歌唱パフォーマンスはさておき、特典会でフル回転していためめの言葉はちょっとだけ説得力があるかもしれない
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね、きっと思いは伝わってる」
琵琶坂 藍依 : 「それにさ、あの熱いステージで歌って踊って、疲労状態で特典会を最初から上手くこなすのは無理があるよ」
琵琶坂 藍依 : 「……私も、握手会は慣れてるけど、特典会とは勝手が違って上手くいかなかったし」
琵琶坂 藍依 : 「今後の課題ではあるかもしれないけど、今はそんなに気にしなくていいんじゃないかな」
天海こよみ : 「そっか……。みんなが、そう言うなら……」 顔を上げ、ツインテールが揺れる
天海こよみ : 「……あれ、アイちゃんが上手く行かなかった、って……。じゃあ、みんなそうだったの……?ちゃんと楽しかった……?」
虹之元ユメ : 「とっても楽しかったです! ちょこっと失敗したかな、って部分はありましたけど……アイドルとしての実感がちゃんと湧いた気がします……!」
夢川めめ : 「めめはちょ〜やりごたえあったよ〜?えっとね、なんかね……けっこーオクテな子が多かったからぁ、めめからチェキのポーズ考えたげたり、お名前覚えて、顔近づけて、おめめ見てお話したらね……ループしてくれるお客さんが居たりして!」
「うんうん♪コンカフェでのお仕事、役に立った感じ〜!」
澱 カシル : 「あたしは楽しくお話できたと思います! ………たぶん。」
握手した相手に軽い目眩を起こさせたり、トンチンカンな回答をした場面もあるが、トータルでは和やかに話せていた。
琵琶坂 藍依 : 「……みんなは上手くいったみたいだね」
琵琶坂 藍依 : 「私は、ファン達との距離感を考えるのが難しかったな」
琵琶坂 藍依 : 「握手会でファンと過ごす時間は数秒だけれど、特典会ではファンとの触れ合いの時間が遥かに濃いからさ」
天海こよみ : 「それは、分かる気がする……」 アイに同意して、
「……でも」
天海こよみ : 「……むずかしかったけど、ぼくも……楽しかった、ような気がする、たぶん……」 ユメ達の感想を聞いて、改めて思ったらしい
琵琶坂 藍依 : 「……そっか」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルを楽しい、と思えるのは良い事だ」
琵琶坂 藍依 : 「……うん、本当に」僅かに俯いて、手に持ったグラスを覗き込む
天海こよみ : 「…………」 その様子を少しだけ眺めて
天海こよみ : 「……めめちゃんに、今度……どんな風に話すのかとか、教えてもらおうかな……」
「もっとちゃんとファンの人達と話せたら、もっと楽しく思える……気がするから」 一番上手く対応していたように見えたからか、そんな風に聞いてみる
夢川めめ : 「ん、もちろんいいよ〜♡めめのファンサの極意、教えたげる!」
「……でもぉ、今日はこよこよちゃんも、びわちも楽しめたーって話だし……ライブ、大成功だったね〜♡」
ストローをちゅぽん、と口から離してから
天海こよみ : 「ありがと……。うん、大成功……だったんだと、思う」 小さく笑って
澱 カシル : 「うんうん! メイクに特典会の勉強会がしたいです!」
澱 カシル : 「でもまずはお祝い、ですよね!」
天海こよみ : 「うん。……あっ、お肉食べなきゃ」 すっかり忘れてた
GM : そうして話をしていると…こよみは、ふとミツキからの視線に気づく。
十条ミツキ : 表情を見ると、楽しそうにするこよみを見て笑ってはいるが……どこか、悲しそうにも見えるだろう。
天海こよみ : 「……?ミツキちゃん?」 視線に気づき、お肉を焼きながらそちらを見る
GM : ミツキは、声をかけられてハッと気づく。
十条ミツキ : 「……ぁ。ご、ごめん、こよみ…どうかした?」
何事もなかったかのような驚いた表情で尋ね返してくる。
天海こよみ : 「え?あの、えっと……」
天海こよみ : 「…………」 ミツキの顔をジッと見る。さっきの悲し気な表情は一瞬で消えてしまったが、気のせいではないことだけは確かだ
天海こよみ : 「……これ、あげる」 いい感じに焼けて来ていたお肉をミツキの皿に乗せる
十条ミツキ : 「……?ありがとう…だけどこよみもちゃんと食べてね」
なぜ自分が労られたのかわかっていない様子で、今度はミツキがこよみの皿に肉を乗せてくる。
天海こよみ : 「うん。いっぱい食べようね……」
天海こよみ : 「……おいしい」 運んでくれたお肉をもぐもぐしながら、目を細めて笑う
十条ミツキ : 「うん、そうだね…」何事もない様子で、ふっと笑い返した。
GM : そうして話していると、ミツキの端末に連絡が入る。画面には「オーメン相良」の文字だ。
十条ミツキ : 「げ、プロデューサーだ…ごめん、みんな。お肉焼くのストップで」メンバーにそう伝えたのち、ミツキは通話を繋ぐ。
天海こよみ : 「お面さん?」 ストップ
夢川めめ : 「Pたんどしたん?……あははは!」
クソみたいなダジャレに微弱にツボりながら
オーメン相良(リモート) : 『……若干一名、様子がおかしいな』
GM : 一言目から失礼な男は、オーメン相良。通話越しとはいえ、話すのは随分久しぶりになるだろう。
十条ミツキ : 「お疲れ様、プロデューサー。無事打ち上げ中だよ」
オーメン相良(リモート) : 『そうか、それは何より……まず、君たちには言わねばならないことがある』真剣な声色で、キミたちに向き直る。
澱 カシル : 「な、何でしょう……?」
もう自分の正体がバレたのかと焦る
オーメン相良(リモート) : 『無茶振りをしてすまなかった』
天海こよみ : 「えっ……?」
虹之元ユメ : 「ムグッ……そ、そうですね。かなり無茶なスケジュールでしたね」お肉を飲み込んでから苦笑いを浮かべる
夢川めめ : 「はにゃ……まあなんとかなったしい、のーぷろって感じでえ……」
問題を起こした事が負い目故に目を逸らしながら
澱 カシル : 「(嗚呼、そちらでしたか)………いえ!無茶振りで飛び込んだのはあたしもですし!」
琵琶坂 藍依 : 「……まあ、確かに無茶だったけど、みんなが納得してレッスンしてたんだし」
琵琶坂 藍依 : 「今更わざわざ謝るっていうのも、ヤボってものじゃない?」別に誰も気にしてないよ、と笑う
オーメン相良(リモート) : 『いや、それはそれだ。私とて鬼ではない、無茶を承知で強制させたのは事実だろう』
オーメン相良(リモート) : 『だが……ミツキくんやライブハウスのスタッフからから聞く限り、君たちのパフォーマンスは想定以上に良かった』
オーメン相良(リモート) : 『ライブ映像については後ほど確認するが……キミたちの働きのおかげで、”クラッドカルト”については当面問題ないだろう。ありがとう』そう言って、頭を下げてきた。
天海こよみ : 「う、うぅん、こちらこそ……?」
澱 カシル : クラッドカルトの名前が出てきて、目を細める
オーメン相良(リモート) : 『……さて、では次の話に移ろう。君たちの休息を邪魔するわけにはいかんからな』
オーメン相良(リモート) : 『ここからは、UGNのエージェントとしての仕事を頼みたい』
天海こよみ : 「う、うん。……エージェントとして?」 他の皆を見る
オーメン相良(リモート) : 『ああ。……君たちには、こよみくんを狙う” らみぃどらいぶ!”の調査を頼みたい』
天海こよみ : 「あ……」
天海こよみ : 「わすれてた……」
十条ミツキ : 「だ、だいぶ大事な話だと思うけど…」狙われてる本人なのに、と苦笑しつつ
天海こよみ : 「みんなといっしょに、練習したり……ライブするの、楽しかったから……」 えへへ、と照れたように笑う
琵琶坂 藍依 : 「……こよみの危機感が薄い分、私達がしっかりしなきゃね」
虹之元ユメ : 「らみどら……確かに、ここ最近は目立った活動はありませんでしたね……」
オーメン相良(リモート) : 『ああ。私が見ている限りで、目立った動きはない…だが、油断は禁物だ』
オーメン相良(リモート) : 『調べてほしいのは、彼女らの家……というと語弊があるな。UGNの任務風に言うならば、潜伏場所だ』
オーメン相良(リモート) : 『私は別の案件に携わっていてな。しばらく協力できない。申し訳ないが、頼んでも良いか?』
澱 カシル : 「護衛と見せかけて、先手必勝!ですか?」
天海こよみ : 「え……行くの?おうちに……?」
虹之元ユメ : 「配信者の家に凸……ま、まあ今回は事が事ですから……!」
夢川めめ : 「Pたんほんといそがしんだね〜!んふ、お疲れ様〜♡♡」
「ライブの次は密偵?任せて〜!楽しい会になりそぉだね〜♡」
オーメン相良(リモート) : 『護衛とはいえ、いつまでも相手方が打って出てくることを待つわけにはいかないからな。異議が無ければ、私はこの辺りでお暇させていただこう』
天海こよみ : 「あ……ちょ、ちょっとまって……!」
オーメン相良(リモート) : 『む。どうした、こよみくん』
天海こよみ : 「あ、あのね、あのね、あみぃちゃん達のおうちを調べるのは、わかったんだけど」
天海こよみ : 「ちょっとだけ、お話……もどるんだけど……」
天海こよみ : 「ぼく達のライブの、映像……ちゃんと見てね……。あ、あの、できれば、すぐ……」
後ほど確認すると言っていたのは覚えてるが、それでも急かすように言ってしまう。それくらい、オーメンにも早く見てもらいたいらしい
オーメン相良(リモート) : 『……ふ』こよみのその言葉に、面越しに小さく笑う
オーメン相良(リモート) : 『もちろん。向こうから映像が届き次第、すぐにでも確認するとも』
オーメン相良(リモート) : 『……もし、こちらの仕事がひと段落したなら……その時は、実際にこの目で見せてもらおう。ライブというものは、『現場(ライブ)』でなくてはならないからな』 だろう?とこよみに尋ね返す。
天海こよみ : 「……うん!たのしみ……だね……!」 もちろん、と嬉しそうに頷く
琵琶坂 藍依 : 「……私達のライブをたのしみに仕事を頑張るのはいいけど、ちゃんと睡眠はとってねプロデューサー」
琵琶坂 藍依 : 「お面で顔色は分からないけど、上の人が倒れちゃうと、下の人が大変なんだから」
オーメン相良(リモート) : 『ありがとう。肝に銘じよう』 頷いて見せる
オーメン相良(リモート) : 『では、後は好きに過ごしてくれたまえ。明日以降、よろしく頼む』
GM : そう言い残し、オーメンとの通話は切れた
十条ミツキ : 「……行っちゃったね。というわけで、明日からはらみどらの2人の調査かな…みんな、大丈夫そう?」
天海こよみ : 「うーん……」 調査とかしたことないから心配そうに小さく唸る
琵琶坂 藍依 : 「エージェント業は、私も少し自信ないけど、やれるだけやってみるよ」
澱 カシル : 「お手柔らかにお願いします!」
虹之元ユメ : 「そうですね、これからはあの2人を気にかけなくてはならないでしょうから……丁度良い時期だったのかもしれません」こくりと頷いて
天海こよみ : 「……そう、だよね。ぼくも、がんばって調べるのおてつだいする」 他でもない自分に関係することなんだから、とやる気を出す
天海こよみ : 「あ、でも……調べるのは明日から、なんだよね……?」
天海こよみ : 「じゃあ、今は……がんばってお肉食べなきゃ」 割と焼き肉は好きな方らしい。真剣な顔で再びお肉を焼き始める
夢川めめ : 「そおそぉ、人の金で食べる焼肉が1番美味しいからね!」
「こよこよちゃんのちょっといーとこみてみた〜い♡」
とりあえず焼き網にどんどん肉を乗っけていく
天海こよみ : 「え?う、うん……!」 台詞の意味はよく分からないけどコクコクと頷いてる
虹之元ユメ : 「ふふ、そうですねっ! 今日はいっぱい食べましょう! ……む、このツボ漬け辛カルビ、美味しそう……」
琵琶坂 藍依 : 「それなら、私はバニラアイスとチョコアイス追加で」微笑んで
澱 カシル : 「皆さんいい食べっぷりです〜!」
肉を焼いてばかりで、もう口は付けていない。
一通り味わったので満足らしい。
GM : じゅうじゅう。和気藹々とした雰囲気と、肉の焼けるいい匂い。
GM : その日、深海に雪が降った。
……だからなのか。今いる場所は、とても暖かい。
GM : シーンエンド。


GM : 購入判定やりたい方、特別に許可しますので今振ってどうぞ〜
琵琶坂 藍依 : ショットガン(スラッグ)相当の特殊拳銃を購入したいです!!
GM : どうぞー
琵琶坂 藍依 : 1dx 購入難易度11(1DX10) > 7[7] > 7
琵琶坂 藍依 : 私は弱い。
夢川めめ : 3dx+2 調達、購入難易度11(3DX10+2) > 7[2,7,7]+2 > 9
GM : 何狙ってたかメインでも宣言お願いします、それと財産点使います?
夢川めめ : びわち同様ショットガンですね、財産点2点消費して購入します
system : [ 夢川めめ ] 財産点 : 8 → 6
GM : 了解です。新品のショットガンが手に入りました。
澱 カシル : 我もショットガン(スラッグ)購入します
澱 カシル : 6dx+3+2 目標11(6DX10+5) > 10[1,3,5,9,9,10]+2[2]+5 > 17
GM : やるじゃねぇか…
GM : 新品のショットガンが手に入りました。
虹之元ユメ : 救急キット狙います!目標は8
虹之元ユメ : 5dx お肉パワー!(5DX10) > 9[3,4,5,6,9] > 9
GM : 救急キット(お肉)が手に入りました。
虹之元ユメ : やはり肉は偉大

シーン8 情報収集①

GM : 情報収集シーンです。項目は以下の通り。
調査項目 ・「らみぃどらいぶ!」について
 <情報:UGN、裏社会> 6
・十条ミツキと彼女を取り巻く噂について
 <情報:噂話> 7
・エゴサ(※調べなくても問題がない項目)
 <情報:噂話> 3
天海こよみ : 登場します!
虹之元ユメ : 上に同じく!
天海こよみ : 1d10+47(1D10+47) > 2[2]+47 > 49
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 47 → 49
虹之元ユメ : 1d10+52(1D10+52) > 10[10]+52 > 62
system : [ 虹之元ユメ ] 侵蝕率 : 52 → 62
GM : どうぞ、そのまま宣言とダイス振っちゃって〜
天海こよみ : 了解!十条ミツキと彼女を取り巻く噂について、いきます
虹之元ユメ : 「らみぃどらいぶ!」についてを調べます!
天海こよみ : 3dx(3DX10) > 6[2,4,6] > 6
天海こよみ : 財産点1点使って成功にします!
system : [ 天海こよみ ] 財産点 : 4 → 3
虹之元ユメ : 6dx 目標6(6DX10) > 8[1,2,2,4,7,8] > 8
GM : では情報出します。
「らみぃどらいぶ!」について (情報:UGN、裏社会 6)

2人組アイドルグループ。メンバーは黒色担当の「あみぃ」と白色担当の「らむね」。
晒し系配信者を本業として活動する、アイドル界の問題児。
本名は「四ツ谷 亜美(あみ)」と「一ノ瀬 来夢(らむ)」。年齢は共に15歳。
中学校時代の同級生であり、家庭内トラブルを抱える者同士で意気投合。
高校には通っておらず、現在は都内で二人暮らしをしている。
2名がオーヴァードであるという記録はない。
また、FHやゼノス等に籍を置いているという情報もないが、単独でこのような事件を起こすとは考えにくい。
裏に別のオーヴァードがいると考えられるだろう。
ファンによる目撃情報や、生活水準、動画に映る家の間取り等の情報から、彼女らの自宅を特定する事に成功した。

十条ミツキと彼女を取り巻く噂について (情報:噂話 7)

一年ほど前まで絶対的な人気を誇っていた、元カリスマ的アイドル。
TOXiC blueの空色担当。本名は芸名と同じ。
透き通るような美しい歌声とルックス、インタビューなどで見せるアイドルとしてのプロ意識の高さが評判で、地下アイドルの中でも群を抜いた人気を誇っていた。
しかし、熱愛報道で炎上し、それを理由に卒業。以来、表舞台を去っていた。
 
彼女の炎上について、元ファンの間で囁かれている説がある。
それは、「十条ミツキは自ら炎上したのではないか」という説だ。
記事に用いられた写真の枚数の多さや、変装などもせず明らかに十条ミツキであるとわかる姿で出歩いていた事などが不自然であると指摘されている。
また、報道が出る少し前まで、報道とは別の男性と交際していたのではないか、という噂も流れている。
これは炎上時、匿名掲示板にあった「前に一緒に歩いていた男と違う」という書き込みに基づくものだ。
当時はその他大量の書き込みに飲み込まれてしまったが、もしこの書き込みが真実であれば奇妙だろう。

天海こよみ : な……なんだと……?
虹之元ユメ : なるほど……??
GM : 情報は以上です。
他、購入判定などあればどうぞ〜
天海こよみ : とりあえず応急手合キットだけ挑戦しときます
天海こよみ : 3dx(3DX10) > 5[2,4,5] > 5
天海こよみ : 難易度8なので失敗!メンバー的にそこまで絶対必要でもないし財産点は使わない
虹之元ユメ : スニーキングスーツを調達します!目標は10
虹之元ユメ : 6dx お肉パワー!(6DX10) > 10[1,4,5,8,9,10]+3[3] > 13
虹之元ユメ : うむ
GM : お肉パワーすご
虹之元ユメ : やはり人の金で食った肉は"効く"
GM : と言うわけで肉のスニーキングスーツが手に入りました。


セーフハウス

天海こよみ : 「うーん……」
天海こよみ : セーフハウスの自室で、ベッドに横になりながらスマホとにらめっこし始めて一時間。
天海こよみ : らみぃどらいぶ!のことを調べるためにSNSを主にインターネットで情報収集を試みるが、成果は芳しくなかった。
天海こよみ : 「……ん?」
天海こよみ : 不意に、スマホの画面に見慣れた名前を発見する。
天海こよみ : 十条ミツキ。
天海こよみ : そこには、彼女のことを何か書いているらしい、元オタクのブログへのリンクが貼られていた。
天海こよみ : 調査とは関係無いと思いつつも、こよみは好奇心からそのリンクを踏んでしまう。
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「…………!!」
天海こよみ : ブログを途中まで読んだところで、スマホの画面を慌てて消す。
天海こよみ : 「これ……」
天海こよみ : 憶測にしか過ぎない記事だった。
天海こよみ : そこに書かれていた内容は衝撃的なもので、頭がそれ以上読み進めるのを拒んでいた。
天海こよみ : ……いや、正しくはそうではない。
天海こよみ : “見てはいけない”と思ってしまったのだ。
天海こよみ : あの時、ミツキは「まだ話したくない」と言って、自分は「話したくなったら話して」と返したのだから。
天海こよみ : こんな知らない誰かが流した噂話を見て何かを想うなんて、彼女に対しての裏切りだ。
天海こよみ : 「……はぁ」
天海こよみ : 自分のうっかりを反省しながら、ベッドにうつ伏せになる。
天海こよみ : 「ちょっと、寝よう……」
天海こよみ : このまま起きていたら、きっと色々な嫌な気持ちが湧きだしてしまいそうだから。
天海こよみ : まだ外は明るいけど、こよみは一旦眠りにつくことにした。
GM :  
虹之元ユメ : 「あー……ここですか……」
虹之元ユメ : こよみと同じくして、ユメもセーフハウスの自室で「らみぃどらいぶ!」について調査をしていた。
虹之元ユメ : PCとスマホ、経歴を探る片手間に配信アーカイブから探れる情報をさらっていたようだが……
虹之元ユメ : あみぃとらむねのネットリテラシーの低さから、あっさりと現住所の裏付けがとれてしまった。
虹之元ユメ : 「うう、ちょっとストーカーみたいで気が引けますね……仕方ないことではありますけど……」 少しだけ心を痛めながら、住所の他にリストアップした情報に目を通す。
虹之元ユメ : 「あみぃちゃんとらむねちゃん。共に15歳。家庭環境に難あり。……組織に所属していた形跡無し、オーヴァードという確証も無し」
虹之元ユメ : 「…………」 初めて会った時、去り際に残していった言葉。魔法というワードがユメの脳裏を過る。
虹之元ユメ : 「(……きな臭い。私達が知らない2人に第三者が介入している……? だとしたら、目的は……?)」
虹之元ユメ : 「……とりあえず、皆さんに共有しましょうか。はあ、2人に顔を合わせる時になんて言いましょう……」 答えが得られない疑問を置いておくことにしたユメは、良心を痛めつつ自室が出て行った。


天海こよみ : わたしはこのシナリオを全部しゃぶりつくしたいからエゴサをするためにシーン作り直して再登場します
天海こよみ : 1d10+49(1D10+49) > 1[1]+49 > 50
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 49 → 50
天海こよみ : めちゃくちゃ得な侵蝕してた
天海こよみ : エゴサについて調べます!
GM : どうぞー
天海こよみ : 3dx(3DX10) > 7[2,3,7] > 7
天海こよみ : 難易度3だったよね、成功!
GM : 成功ですー
エゴサ (情報:噂話 3)

現在、MARiNE SNOWは異例のスピードで名が知れ渡っている。
アイドルに興味が無い者まで耳にする、とまでのレベルには至らないものの、美少女揃いである事、素人にしてはやけにスキルが高いメンバーが在籍している事、それ以外のメンバーについては完全な素人でありながらもパフォーマンスランクが中々の物である事などから、界隈の中ではかなり注目されているようだ。
特に天海こよみの人気が高くなっている様子が見られる。

天海こよみ : なるほどね!確かに進行に関係ないわ!!
天海こよみ : でも見れて楽しい。大事。
天海こよみ : このエゴサ内容、調べなくてもいいほどの情報ならマリスノ全体でもう共有した感じでも大丈夫かしら。みんな普通に気になる評価だし。
GM : いいよー、次のシーンでぺろっと話しても良い
天海こよみ : それもそうか!
天海こよみ : じゃあシーン以上で大丈夫、満足しました。
GM : 了解です、締めますわ〜

シーン9 遠雷鳴りやまず

GM : シーンプレイヤーは全員です。登場侵蝕をお願いします。
天海こよみ : 1d10+50(1D10+50) > 2[2]+50 > 52
虹之元ユメ : 1d10+62(1D10+62) > 10[10]+62 > 72
虹之元ユメ : うげっ!
琵琶坂 藍依 : 1D10+56(1D10+56) > 9[9]+56 > 65
夢川めめ : 1d10+70(1D10+70) > 10[10]+70 > 80
澱 カシル : 1d10+72(1D10+72) > 8[8]+72 > 80

マンション

GM : 打ち上げから数日後。
キミたちは、都内某所のマンションに向かっていた。
GM : そこは駅からやや遠い、閑静な住宅街に位置している。
GM : エントランスには常在している警備員と、監視カメラが配置。また、部屋はオートロック付きであり、エレベーターは訪問階にしか着かない仕様となっている。
GM : 15歳が住むには、あまりに豪華なマンションだ。
GM : しかし、ブラックドッグの能力者にとっては、これらのセキュリティに意味は無い……ミツキの手により、容易かつ安全に侵入できた。
天海こよみ : 「……いいのかな。勝手に入っちゃって」 心配そうに周りをきょろきょろ見回している
虹之元ユメ : 「ですよね、気にしちゃいますよね~……」 UGNの任務で若干慣れているが心苦しい
澱 カシル : 「お邪魔しま〜す!」
不法侵入という概念すら薄そうな様子
天海こよみ : 「あ、あんまり大声出しちゃダメ……じゃない……?」 カシルちゃんにあわあわしてる
夢川めめ : 「え、めちゃくちゃ金持ちでウケんね♡」
「……めめもここに住めるくらいのお金、ほしいなあ……」
ウケる、との言葉とは裏腹に目の奥は笑っていない
虹之元ユメ : 「はい、とんでもなく高級マンションなんです。他の有名人も住んでそうな気もしますね……」
琵琶坂 藍依 : 「動画配信とアイドル活動で、こういう高級マンションに住むだけの金銭が手に入るか少し疑問だな……私の場合、CM出演での収入は凄かったけど、それ以外は大した事なかったし……」
十条ミツキ : 「アイの言う通り、普通ならあり得ないよね。ウチがたまたまお金あるだけで、普通の地下アイドルに固定給なんてないし…セルフプロデュースと動画配信、全部自分たちだけでやっているからこその収入なんだと思う」
天海こよみ : 「そうなんだ……」
天海こよみ : 「……あ、でもね、でもね。ぼく達がもっと人気になったら、ここに住めちゃうくらいお金……かせげるんじゃないかな……?」
天海こよみ : 「ほら、なんだか……こういう反応見てると、行けそうな気がする」
そういって、スマホの画面を見せる。前のシーンでのエゴサの内容を皆に情報共有します
澱 カシル : 「わあ……あたしたち、素敵だと思えてもらえたんだ!とっても嬉しいです!!」
虹之元ユメ : 「こんなに、私達を……! ぁ、これ1号ちゃん……?」身に覚えのある投稿内容を目にして
夢川めめ : 「え〜〜、やばたんじゃん♡とくにこよこよちゃん、きゃわいいって人気だね〜♡♡」
「んふふ……れぇじ、SNSもぜったい見てくれてるよね…めめのこと見てくれてるんだ…」
後半は小さな声で
天海こよみ : 「う、うん……。なんだか、うれしいね……」 少し照れたように笑う
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね」
琵琶坂 藍依 : 「でも、もうすっかり今後も一緒にアイドルを続けるつもりでいるんだね、コヨミは」
琵琶坂 藍依 : 「……ほら、私達は本来、任務の為の臨時グループだったハズでしょ?」
天海こよみ : 「あ……そう、だね……」
天海こよみ : 「始める前は、色々考えちゃってアイドルできるかどうかもわからなかった、けど……」
天海こよみ : 「やっぱりぼく、アイドル……好きだし。アイドルになるのも、ほんとはずっと夢だったから……」
天海こよみ : 「にんむが終わっても、続けたいなって、思ってるよ。……できれば、みんなといっしょに」
澱 カシル : 「やったあ!!」
虹之元ユメ : 「はい、是非……っ! 私もみんなでアイドル続けたいですっ」にっこりと笑う
天海こよみ : 「ほんと……?うれしいな……」 にやけちゃう口元を手で隠しながら
夢川めめ : 「そしたらぁ、任務もアイカツも頑張るっきゃないね〜?ふふっ、両方こなしてこそUGN系アイドル……だぞっ♡」
琵琶坂 藍依 : 「────そうだね、今後について考えるより、まず目の前の任務が優先だ」
琵琶坂 藍依 : 「敵地への潜入だなんて、一体どういう危険が待っているか分からない。改めて気を引きしめていこう」
天海こよみ : 「……うん。わかった」 二人が言うように、両立できるようにしっかりしなきゃと緩んだ表情をひきしめる
虹之元ユメ : 「そ、そうですねっ。敵地では油断禁物ですっ! ……そうだ、危険といえば」
ふと背負っていたギターケースを開いて
虹之元ユメ : 「……はい、頼まれていたスーツ! 調達できました!」スニーキングスーツを藍依へ渡す
琵琶坂 藍依 : 「ああ、ありがとうユメ」受け取り
琵琶坂 藍依 : 「……私の能力を生かす為の、UGNの新型装備だったよね。そういうの詳しくないから助かったよ」
虹之元ユメ : 「なんでも名の通り隠密性を高める装備だとか、エンジェルハィロウと相性が良さそうですね」 うんうんと頷いて
琵琶坂 藍依 : 「なるほど、丁度これから敵地に潜入する訳だし隠密用装備はお誂え向きだ」
琵琶坂 藍依 : 「……とはいえ、肝心の武器の調子がどうにもな」
虹之元ユメ : 「そっか、武器の方も必要でしたか……生憎と私は……」
琵琶坂 藍依 : 「ううん……、武器については私の方で準備してみたんだけど、どうにもしっくりこなくて……これでも戦えなくはないけど……」
澱 カシル : 「強い武器の方がいいですか? ………その、用意できなくもないです、よ?」
琵琶坂 藍依 : 「────用意できなくもない?今から?」首を傾げる
澱 カシル : 「ちょーっと、みんなあっち向いててくださいっ!」
「藍依ちゃんも、これで目隠しを」
風呂敷で藍依の目元を覆う
澱 カシル : 「手を出してくださいね」
藍依の手首を掴む。
琵琶坂 藍依 : 「風呂敷……ドラ〇もん以外で初めて見たな……」されるがまま
澱 カシル : 「えいっ!」
自身の腹部をあらわにして、そこへ藍依の手を押し入れる!
澱 カシル : 藍依には何が起きているかわからないが、ガラクタの山に手を突っ込んだような感覚。
澱 カシル : 「欲しいという気持ちを強く想ってください!」
琵琶坂 藍依 : 「え……?念じる……?」困惑気味
琵琶坂 藍依 : 「わ、かった……とにかく念じれば良いんだね……?強い武器を……!」護衛対象のコヨミを守れるような強い武器をイメージする
澱 カシル : ひと、と触れる感覚。他のモノより感じる何か。
澱 カシル : 「んぅっ………それですね。引き出してくださいっ」
琵琶坂 藍依 : 「ん、掴んだ……!」勢い良く、引き抜く
澱 カシル : それは、拳銃……にしては妙に大きい。
トンプソン・コンテンダー。
競技にも用いられ、ライフル弾すら発射できる怪物。
澱 カシル : それも、悪意に蝕まれてきた怪物。
父に呪われ、母を呪い、罪なき妹まで殺して、最後に自殺した少年の魂。
澱 カシル : 「………強いですよ、それ。」
澱 カシル : 「使う時は、正しい気持ちでお願いしますね。」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「たしかに、凄そうな武器だけど……」
琵琶坂 藍依 : 「今、どこから武器が出たの……?カシルってソラリスシンドロームだったよね……?」ウロボロスだという事はしらない
澱 カシル : 「………隠し持ってただけですよ?」
琵琶坂 藍依 : 「こんなに大きな銃を……?」小さなカシルと見比べて
澱 カシル : 「不思議ですね〜。」
最初の頃と比べると、打ち解けたせいなのかこういうぞんざいなスルーをするようになった。
天海こよみ : 「き、器用なんだよね……カシルちゃんは」 誤魔化すのを手伝うように言う
夢川めめ : 「手品系アイドル……むむむ、めめも負けてらんないね…!」
虹之元ユメ : 「そこは張り合わなくて良いと思いますよ~……?」
琵琶坂 藍依 : 「あ、うん……あんまりモタモタしてても相手に気取られてしまうかもしれないし……、フシギはフシギだけど、今は経緯は重要じゃないか……」装備した拳銃を《天使の外套》で隠して
天海こよみ : 「うん……行こ……?たしか、あっちだよね……」 進んでいく
澱 カシル : 宣言忘れてた!ショットガン(スラッグ)をビワちゃんに渡します!
GM : 曰く付きがすぎるんよ、了解です。
GM : ここでそうびしていくかい?
琵琶坂 藍依 : はい! ショットガン(スラッグ)相当の「トンプソン・コンテンダー」と「スニーキングスーツ」を装備!!圧巻の姫プです!!
夢川めめ : 同じくショットガン装備します〜!
GM :  
GM : こうして、キミたちはあみぃとらむね…本名は「四ツ谷 亜美」と「一ノ瀬 来夢」の住む部屋の前に到着した。
GM : どうやら、本人らは不在のようだ。
十条ミツキ : 「……急に鉢合わせるよりは良かったかもだけど……これは部屋の中の調査をするべきかな」
澱 カシル : 「入りましょう!」
普段の行儀はいいのに、真っ先に玄関の扉を開けようとする
夢川めめ : 「じゃーちゃっちゃか入っちゃおっか〜!」
「ふふん、ここがあの女のハウスね……!どぉする?ベッドの下とか探してみる?UGN参上って落書きとかしてみる〜?」
虹之元ユメ : 「ら、落書きは流石に駄目ですよっ! UGNはあくまで秘密組織ですから……!」
「でも、まあ……ここまで来たんですから調べなきゃですよね……」
琵琶坂 藍依 : 「女の子の自室を家探しするのは、気が引けるけどね……」
夢川めめ : 「そうそう、バレなきゃいいんだもん♪」
「とりあえず隅々まで探すっきゃないよね〜、がんばろ〜!」
腕まくりをしながら、カシルちゃんに開けるよう促すよ
脇腹をつんつんしちゃえ
天海こよみ : 「……うん。がんばろっか」 気は退けるが、ここで何もしないわけにもいかないと決意する
澱 カシル : 「ひゃ、まだちょっと敏感なので……!」
脇腹をつつかれて
澱 カシル : 「ではなくてですね! あ、開けちゃいますね!?」
澱 カシル : がちゃり、と扉を開いて皆に中が見えるようにする。
GM : 家の中は、一言で言えばゴミ部屋だった。
GM : 脱ぎ捨てられた服や飲み終わったペットボトル、メイク用品や裁縫道具、ぬいぐるみ等が散乱している。生ゴミが放置されていない事だけが救いだ。
GM : また、リビングやキッチン、洗面台・風呂といった主要の場所に向かう為の獣道が出来ている……
天海こよみ : 「わ、わぁ……」 絶句する
虹之元ユメ : 「あっ、あ~……配信者の別面を見てしまったような気分……」
澱 カシル : 「なるほど〜、物が多めですね!」
床に散乱した惨状も何のその、スイスイと奥へ進む
天海こよみ : 「えっ、あっ、え……!?ま、まって……!」 一人じゃ危ないと、カシルを慌てて追いかける
夢川めめ : 「……めめ、ここ入りたくなぁい」
露骨にテンションが下がる
琵琶坂 藍依 : 「……ベッドの下、調べるんじゃなかったの?」
夢川めめ : 「……ベッドどこぉ?てゆーかどこで配信してんのぉ?あみらむてゃのきゃわいいお部屋は〜??」
「……はーぁ、行くしかないんだよねえ、帰ったらお洋服捨てなきゃ〜…」
とぼとぼついて行くよ
虹之元ユメ : 「お片付けして帰りたいなぁ~……ちゃんと生活できてるのかなぁ~……」
2人にお節介な気持ちを沸かせながらついてくよ
琵琶坂 藍依 : 「ああ、床に置いてある飲みかけのペットボトルだけは倒さないように気を付けてね……」ついていく
GM : キミたちはしばらく部屋の中を物色する。が、FHやゼノスなど、オーヴァードに関わる組織に繋がる物品は何も見つからない…
天海こよみ : 「うーん……。ふぁるすはーつ……?とか、そういうのは……無さそう……だよね……」
天海こよみ : 「ただ散らかってるだけ……っていうか……」 嫌そうな顔になってきてる
澱 カシル : 「うーん……やはり凶は水場でしょうか」
夢川めめ : 「……ね〜〜〜もぉやなんだけど〜!」
「ばっちすぎ!ホコリとか食べカスとかきもちわるいー!!!」
耐え兼ねたように叫んで
夢川めめ : 「めめもうやだ、手洗わないと爆発しそぉ!!」
「皆もきれーにしないとダメだよ!びょーきなっちゃうよ!!…まったく、新人キラキラアイドルinゴミ屋敷なんて流行らないよ!」
プンスコしながら洗面所を探しに行きます
天海こよみ : 「それは……うん……」 窓を開けて換気をしながら見送る
虹之元ユメ : 「ナイス換気ですこよみちゃんっ。あっ、めめちゃ~ん待ってくださ~い……!」
澱 カシル : 走っていくGに手を振って、洗面所へと向かう。
琵琶坂 藍依 : 「捜査しにきたのか掃除しにきたのか、もう分からなくなってきたな……」
GM : めめとユメは洗面所に向かう。意外にも洗面所は綺麗なようだ…排水溝に何かが溜まっている、などといったことはない。
夢川めめ : 「……は〜、洗面所まで汚かったらどーしようかなって思ってたよぉ」
「ばっちいばっちい、早くてーあらおっと」
水を流しつつ、洗面所の物品に目を通します
虹之元ユメ : 「こっちは比較的綺麗ですね……」めめの背後をキョロキョロと見渡して
GM : では、洗面台をを見た時、2人は妙な事に気づく。オーヴァードに関連する話ではない、が。
GM : 二人暮らしであるはずなのに、そこには歯ブラシが3本立っていた。
夢川めめ : 「…………むむむ!?」
「まってユメち、ねえあれ見て……男の気配、しない…?」
声を潜めながら指を指す
虹之元ユメ : 「えーそんなまさか……」くるっと振り向いて、めめの指した3本目の歯ブラシを発見する
虹之元ユメ : 「────男の、気配」 確かに、と目を険しくさせて
澱 カシル : 「何かありましたか〜?」
洗面所に顔を出す
夢川めめ : 「やばい、大スクープかもしれないの……!」
「めめが暴露系ゆーちゅーばーだったら問答無用で晒し配信今からスタートするくらいには!!」
かくかくしかじか情報共有します
虹之元ユメ : 「ま、まあ15歳の2人暮らしですから。保護者がいても不思議では……でもこれは~……」 情報収集時に感じた裏にいる存在を思い浮かべる
澱 カシル : 「二人で暮らしてたと思ったら、三人目がいるかも、ですか?」
あんまり重大性にピンときていない様子
天海こよみ : 「……めめちゃん……どうしたの?」 洗面所に顔を出す。さっきGが出たのを見たせいか、顔は青くなっていてミツキの腕にくっついてしまっている
夢川めめ : 「なんかねなんかね、あみらむてゃの家に他の人間の気配……」
歯ブラシを指す
天海こよみ : 「他の人……」 歯ブラシを見て把握
天海こよみ : 「そっか……。でも、もう帰らない……?」
天海こよみ : 「ここ、なんていうか……その……」 Gまでいるし、と言いかけてその名前を口にするのも嫌になる
夢川めめ : 「……??」
「めめももーいいよぉ、なんか気持ち疲れちゃったしぃ……アイス食べてから帰ろ〜、リフレッシュしたいきぶーん!」
Gには気づいていないため、少し首を捻る
虹之元ユメ : 「そ、そうですね。帰りましょうか……心配ごとがまた増えちゃったなぁ……」
天海こよみ : 「うん……っ」 良かったと頷いて帰る準備をしていく
GM : ……と、話をしていると。ふと、ミツキが目を見開いてリビングへと駆け出す。
天海こよみ : 「……!?ミツキちゃん?どうしたの……?」 慌てて追いかける
十条ミツキ : 「今、なんか…!」
GM : そう言って、ゴミの中から大きめのテディベアを拾い上げる。すると。
GM : ……瞳の奥がキュ、と音を鳴らして動く。
十条ミツキ : 「……!監視カメラ…!?」
天海こよみ : 「え!?」 テディベアを覗き込む
夢川めめ : 「ふぇ…!?誰が!?あみらむてゃの私生活覗き見のために……!?」
澱 カシル : 「カメラ、ですか? ずいぶんと小さいんですね!」
少し的はずれな受け答えだ。
虹之元ユメ : 「……! ミツキちゃん、機能停止を……っ」
十条ミツキ : 「もちろん!」ミツキがテディベアを睨みつけると、テディベアの頭の中でボンッと何か破裂した音がする。カメラを破壊したのだろう。
十条ミツキ : 「よし、もうここから……」
GM : その時だった
GM : カチャカチャ……バタン!凄まじい音と共に、何者かが家に上がってくる。
天海こよみ : 「えっ、あ……」 音がした方を見る。この部屋に帰って来るのは一人、いや二人しかいない
GM : そこにいたのは、家主である2人…らみぃどらいぶ!の2名。
あみぃ : 「……」あみぃは呆然としている。
らむね : 「……」らむねも呆然としている。
澱 カシル : 「あ、おかえりなさい! あれ?まずは初めまして、かな?」
夢川めめ : 「……おっかえり〜♡」
「ごめんね、ちょっとあみらむてゃのお家に用事があってえ……お部屋、お片付けしてから帰った方がい〜い?」
ぺろ、と舌を出して
琵琶坂 藍依 : 「(この様子……二人が私達の動きを予め察知して、その動向を探るために監視カメラを設置していた……と言う可能性はなさそうか……?)」
虹之元ユメ : 「ぉ……おかえり、なさ~い。おじゃましてまぁす……」とても気まずそうな顔
らむね : 「……え?ちょっと…え?どういう……」まだ混乱するらむねより先に、あみぃが声を上げる。
あみぃ : 「…はにゃ~!?な、何アンタら…ストーカー!?」
あみぃ : 「というかアンタとアンタとアンタ、特に知らないし!本当に何…!?」アイ、めめ、カシルをビシッと指差しつつ
天海こよみ : 「す、ストーカーじゃないよ……!」 とりあえず否定しておく
澱 カシル : 「カシルです! 何なのかと尋ねられると……ちょっとお返事に困ります!」
琵琶坂 藍依 : 「この場は"iRiS"と名乗った方がいいのかな、はじめまして"らみぃどらいぶ!"の二人とも」
虹之元ユメ : 「……私はお久しぶりですね。"虹の旋律"です。今は別の名前も名乗ってますけどね」いっそ開き直って
夢川めめ : 「いつもキャスみてまぁす♡」
「めめは夢川めめだよぉ、認知してね〜♡♡」
両手を手をふりふり
GM : あまりにも通常運転のキミたちを見て、あみぃとらむねは目を白黒させる……が。
らむね : 「……あれ、もしかして…」
らむね : 「…これって、撮れ高なのでは?」
あみぃ : 「……!?」
天海こよみ : 「えっ」 嫌な予感
虹之元ユメ : 「撮れっ…!?」同じく嫌な予感
琵琶坂 藍依 : 「撮れ高……? 私達はコヨミの誘拐未遂事件について、話があってきたんだけど……?」
十条ミツキ : 「い、いや、アイ……これは……!」
GM : スマホを取り出そうとするらむねを見て、ミツキが叫ぶ。
十条ミツキ : 「……い、一時撤退!!カメラには映らないように!!」
琵琶坂 藍依 : 「なるほど……、悠長に話し合いできる場合でもないか……、流石にここでカメラに撮られるのはマズイ……」
虹之元ユメ : 「明日のネットニュースになるのは勘弁ですっ!」
「……また会いましょう。あみぃちゃん、らむねちゃん! 部屋はちゃんと掃除した方がいいですよ!」
夢川めめ : 「……ひゃ〜!たいさんたいさーん!!」
「それとぉ、ファンからのプレゼントには気をつけてね〜♡♡」
きゃははは、と笑いながら逃げよう
目くらまし代わりに即時精製した元気の水をぱしゃ、と掛けてから
澱 カシル : イージーエフェクト《EF:擬態の仮面》を解除!
澱 カシル : 慌てて逃げようとするも、カメラの画角が退路に待ち構える。
「………仕方ありませんね。」
澱 カシル : 腕で覆いかくした上で、顔の擬態を解く。
朽ちた人形の素体であれば、万が一にもバレる可能性はない。
そのまま走り抜ける。
澱 カシル : この場を切り抜け次第、《擬態の仮面》再使用します!
天海こよみ : 「……!ごめんね……!」
咄嗟に《テレキネシス》を使用。
オルクスの因子を纏った水流が、床に散らばっていたゴミの山を巻き上げ……スマホを持つらむねに覆いかぶさる!
らむね : 「ひゃん!?」驚きでぎゅっと目を閉じてしまう。
琵琶坂 藍依 : 「……さて、仕上げといこう」
琵琶坂 藍依 : ≪見放されし地≫を使用!
琵琶坂 藍依 : 室内を完全な暗闇で満たします!!
GM : では、昼間であるにも関わらず、周囲は闇に包まれます。
琵琶坂 藍依 : 「一応、スキャンダル対策は常に考えるようにしてるんだ」
琵琶坂 藍依 : 「……申し訳ないけど、二人の食い扶持は別で見つけてね」
琵琶坂 藍依 : 全員が部屋から飛び出し、玄関扉をパタンと閉めた瞬間に効果解除!
琵琶坂 藍依 : 「────それじゃまた、二人とも」そう言い残して走り去る

GM : 背後かららみどらの2名の悲鳴と、らむねの「覚えてなさいよ!」という声が聞こえる中…キミたちは、2人の家からの逃走に成功した。
GM : ……撤退後、らみぃどらいぶのSNSアカウントからライブ配信が行われた。
GM : 内容は、「同業者に家に凸られた」というものである。幸い、証拠を撮られることはなかったようで、且つリスナーも信じてはいない様子だが…2人は、ぷりぷりしながら言葉を続ける。
あみぃ : 「いい!?ああいうのはね、一回とっちめなきゃわからないのよ!『同業者』ちゃんたち、どうせ見てるんでしょ〜!?」
らむね : 「名前を出されたくなければ……同じ会場で『対バン』しましょう。……その場で白黒つけてあげるわ。覚悟しなさい」
GM : 2人は、ある対バンイベントの名を挙げる。飛び入り参加が許された、特殊なイベントのようだ。
GM : ……目に見えた挑発。会場で何かを仕掛けられる可能性を危惧するメンバーもいるだろう……だが、彼女らの語り口からして、恐らくは勢いでものを言っているようだ。
GM : もし彼女らを倒すのであれば、これは絶好のチャンスなのかもしれない。
GM : ライブ当日は戦闘となるだろう。
GM : シーンエンド

シーン10 白黒ラストバトル

GM : 登場PCは全員です、登場侵蝕をお願いします。
天海こよみ : 1d10+52(1D10+52) > 3[3]+52 > 55
虹之元ユメ : 1d10+72(1D10+72) > 10[10]+72 > 82
虹之元ユメ : んなぁ
琵琶坂 藍依 : 1D10+65(1D10+65) > 2[2]+65 > 67
夢川めめ : 1d10+80(1D10+80) > 3[3]+80 > 83
澱 カシル : 1d10+80 頼むよ(1D10+80) > 2[2]+80 > 82

ライブハウス

GM : ……そうして、ライブ当日。
GM : キミたちは、自分たちのライブの準備をしていた。何だかんだ、デビューから数度目となるライブの日…準備にもだいぶ手慣れてきた。
GM : だが、肝心の"らみぃどらいぶ!"の2名は、中々楽屋にやって来ない。
天海こよみ : 「……あみぃちゃん達、まだ来てないのかな」 そわそわしながら楽屋の扉を見る
虹之元ユメ : 「来ませんねぇ……、遅刻でしょうか……」
澱 カシル : 「やっぱり怖くなっちゃったんでしょうか?」
夢川めめ : 「めめたちに勝負仕掛けてきたんだもん、まさか逃げるわけないよねえ……」
「てゆーか、実際あみらむてゃのパフォーマンス生で見れるの楽しみだし!来てくれててほし~な~……」
琵琶坂 藍依 : 「……そもそも、あの二人が時間を守って行動するとも思えないし、気長に待ってみよう」
琵琶坂 藍依 : 「怖気づいちゃって来なくても、私達は別に困らないんだし」
GM : メンバー同士が会話し、会場スタッフも不安そうにする中……ばん!と扉が開き、「遅れてすみませぇん!」と聞き覚えのある声が響く。
GM : あみぃとらむねの二人……”らみぃどらいぶ!”の二人だった。彼女たちは既に衣装を身に纏っている。
GM : スタッフが「出禁にしますよ!」と叫ぶ中、「すみませーん」とヘラヘラしている…が、マリスノの面々を見かけた途端、きゅっと表情をキツめのものにして、中指を立てたりイー!と口の横を広げて見せたりしてくる。
GM : だが、襲っては来ないようだ…
天海こよみ : 「うわぁ、で、出た……!」 お化けでも見たかのように怖がって、ミツキの後ろに顔を隠す
十条ミツキ : 「大丈夫だよ……おそらく、まだ襲っては来ない」軽くこよみの頭を撫でる。
天海こよみ : 「う……うん……っ」 まだ少し不安そうにチラチラとらみどらの二人を見ている
夢川めめ : 「はわ……ビジュ強、きゃわ……」
はわわ、と両手を口元に当て
夢川めめ : 「え~やば、しかもファンサくれてる~~♡」
「ライブ前なのにサービス精神凄すぎるんだけど!!」
負けじと指ハートを返しておくよ
澱 カシル : 「こんにちは!」
立場はあまり気にせず、まずは挨拶
琵琶坂 藍依 : 「ファンサなのかな、アレ……アイドルとしては、あるまじき表情だと思うケド……」
虹之元ユメ : 「ぎょ、行儀……! 確かにいつものらみどら!ですけど愚弄されてるだけですよ……」
GM : そうして、2人もまた準備を始める。ライブ後に仕掛けてくるのだろう…
GM : そうしていると、会場スタッフが「MARiNE SNOWの皆さん!スタンバイお願いします!」と声をかけてくる。タイムスケジュール的に、2人のステージはキミたちの後だ……安心してステージに立てるはずだ。
天海こよみ : 「あっ、はい……!……い、行った方が良い……んだよ、ね?出番だし……」 らみどらの様子を伺いながら
澱 カシル : 「あ、もう行かなきゃ! お話はまた後で、ゆっくりしましょうね!」
虹之元ユメ : 「はぁい! ですね、まずはライブ……その後はあの2人です!」 舞台袖に置いておく為にギターを持って
夢川めめ : 「あみらむてゃ、めめたち行ってくるね~~!」
「出番までゆっくりめめのパフォーマンス、見てて?♡」
ばきゅーん、と指で銃を撃って、舞台へと向かうよ
天海こよみ : 「そうだよね……うん。行こっか……」 ついていく
十条ミツキ : 「大丈夫。何かしでかさないか、アタシが監視しておくから……みんなは、ライブ楽しんできてね」口ではそう言いながら、らみどらの2名を横目で睨みつけている。
GM : らみどらの2名を見ると、めめの仕草に対してさらなる威嚇をしている。……あの仕草を見るに、やはり問題なさそうだった。
天海こよみ : 「ん……分かった。ありがとう、ミツキちゃん」 胸元に手を当てて、気持ちを落ち着かせる。今はライブを楽しむ方が大事だと小さく笑った。
GM : キミたちはステージへ向かい、パフォーマンスをする。ライブは好調で、ファンの数もデビューライブの頃から倍には増えている…ファンの皆も乗り方がわかってきたのか、ステージは回を増すごとに楽しいものとなっている。
GM : 特典会にも、毎回必ず「初めまして」のファンがやってくる。民度も良く、皆良い子たちだ……
GM : こうして、キミたちの出番は終了した。キミたちは時間潰しと監視の意味を兼ねて、らみどらのステージを鑑賞することとなる。
天海こよみ : 「あみぃちゃん達のライブって……もうすぐ?」 会場に入り、背伸びしながらステージを見上げる
琵琶坂 藍依 : 「になるかな、あの遅刻以外にトラブルがなければ」
夢川めめ : 「ん、ほーふふはひまふ?」
ストローでスポドリ(魔剤割り)を飲みながら。背伸びして様子を伺う。
虹之元ユメ : 「そうですね、もうすぐ始まるみたいですよ」何事もなければ、とこよみとめめに返して
天海こよみ : 「そっか……。ちょっとだけ、楽しみかも……」 ライブが楽しかったからか、もう気が抜けてしまっている
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、あの二人は正直、少し苦手なんだけど……、ライブ自体はどういうものになるか気になるし、楽しみじゃないと言えばウソになるな……」
澱 カシル : 「最近は自分たちのライブにかかりきりだったので、こうやって他の人のライブ観られるのは嬉しいです!」
勉強熱心な態度を見せる
天海こよみ : 「ね……。まだかな、まだかな……」
虹之元ユメ : 「はいっ。らみどら!は油断ならないユニットですけど、ライブからは学ぶものもあるはず……! 楽しみですねっ」
GM : そうして話していると、BGMがグッと大きくなり、ステージに目が引きつけられる……
GM : しばらくすると、陽気で、どこかこちらを馬鹿にしたようなシニカルな響きを持つSEが流れ、あみぃとらむねの2名が入場してくる。
GM : そのまま、2人は客席に背を向けてスタンバイ。ステージが、始まる。
GM : 1曲目は、彼女たちの代表的な曲。ボーカルソフトを用いて音楽制作を行っている、いわゆる「P」に頼んで作成されており、キャッチーなメロディが特徴的だ。
GM : ショート動画で大バズりした事もあるため、聞いたことがあるものもいるだろう。
GM : しかし、彼女達は奇妙なことにほとんど歌わない。基本的には「被せ」頼りで、踊ったり、跳ねたり…
あみぃ : 「オタク〜!声を出す事だけが取り柄なんだから、もーっと大きい声出して!」
GM : …煽ってみたり。
らむね : 「恥ずかしがり屋さん、声出しはもっと…こうでしょ!」
GM : わー!と、2人そろってマイクに向かって叫ぶと同時に、会場のファンも雄叫びを上げる。同じように叫ぶ者、アイドルに向かって「うるせー!」と怒鳴る者。比喩で無く、会場が揺れる。
GM : はっきり言って、歌やダンスのレベルはそこまで高くない。
GM : そもそもろくに歌っていないし、アイドルのステージと言えるかどうかも微妙なラインだ。
GM : だが、会場の持つ熱気には独特の物がある。
GM : あまりにもやりたい放題なステージは、まるでアイドルとファンがコントでもしているかのような一体感を生み出していた。
天海こよみ : 「…………。なんか、何……なんなんだろ、これ……」 思ってたのと違ってぽかんとしてる
夢川めめ : 「きゃわ~~!!ふふっ……なんか面白いね~、MCがずっと続いてるみたいな~?でも楽しいから全然イイと思うな~♡」
天海こよみ : 「いい……のかな……???」
虹之元ユメ : 「観客までパフォーマンスの一部……会場を熱狂の坩堝とさせるのが手慣れていますね……」
琵琶坂 藍依 : 「既存のアイドル、としてどうかは分からないけど『エンターテイメントの一種』としての捉え方なら悪くないよね」こういう盛りあがり方は、私の肌には少し合わないけど、と呟いて
澱 カシル : 「歌うのではなく、歌わせる。踊るのではなく、踊らせる。楽しそうだけど……ううん……?」
以前のカシルなら、会場が盛り上がっているのなら疑うことなく良いモノだと判断していただろう。
しかし、MARiNE SNOWで積んだ経験が疑問を抱かせる。
虹之元ユメ : 「……何か引っかかることでもありました?」 判然としない表情を浮かべるカシルを気にかけて
澱 カシル : 「ううん、たぶんこれはこれでいいライブ、なんだとは思うんです……でも、あたしたちの糧にはならないかな。って。」
虹之元ユメ : 「そうですねぇ、確かにとても良いライブパフォーマンスですけど……私達のスタンスとは別系統ですからね」
虹之元ユメ : 「それでも、糧にならないということは無いと思いますよ? 混沌として見えますけど、要素をバラして考えるとマリンスノウに組み込めるものはきっとあると思います」
澱 カシル : 「そうなのかな……?」
アイドルへの造形が深い、残りの三人の様子を伺う
天海こよみ : 「うーん……。こんなのはじめて見るし、どういえばいいか分からないけど……」
天海こよみ : 「色んなアイドルがいてもいいのかな、とは……ちょっと思った、かも……?」
夢川めめ : 「地下アイドル、地上アイドルって括りがある中でえ……めめたちは王道からちょーっと外れた''地下''の女の子たちだけど」
「今の業界、幅広さがあってナンボだしぃ、あみらむてゃたちもそのひとつかなーって思うよ♡」
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね、世界観やスタンスが全く同じグループなんてないと言っていい」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルにとって、ただひとつの正解は"ファンを楽しませる事"だと私は思うよ」
琵琶坂 藍依 : 「その点では、らみぃどらいぶ!の二人は非常に優れていると言えるよね」
琵琶坂 藍依 : 「……つまるところ『会場全体が一つになる雰囲気作り』が上手いのかな、そこなら私達でも組みこめると思う」
澱 カシル : 「なるほど………たしかに、お話を通じて盛り上げる所は参考になりますね!」
三人の意見を聞いて、ライブに向き直る
琵琶坂 藍依 : 「(……もっとも、口で言ったほどカンタンに真似できることでもないけど、向上心を持ってライブを見るのは良い事だよね)」その様子を後ろから見て微笑んで
天海こよみ : 「……ね」 頷いてから
天海こよみ : 「わーっ!あみぃちゃん、らむねちゃーん……!!」
それなら楽しまなきゃ損だと、ペンライトを振って声を出す。今は敵だと言うことも忘れておこう。
GM : パフォーマンスをするうちに、あみぃとらむねがMARiNE SNOWの面々に気づく。
GM : 2人は、べー!とあっかんべーをして見せてくる。が……好意的な目をもってすれば、その仕草もまた「ファンサービス」の一環のようにも感じられた……
 

市街地 ライブハウス前

GM : らみぃどらいぶ!のステージが終わった頃。ライブハウスの外には、先ほどまでステージに立っていた2名が待ち受けていた。
あみぃ : 「ふん…来たわね、MARiNE SNOW」
天海こよみ : 「……あれ?まだ帰ってなかったの……?」 ライブが楽しかったので目的を忘れてる顔で驚いてる
らむね : 「ボケたこと言わないで、こよみちゃん。あなたたちは……ここで死ぬのよ」
天海こよみ : 「え?……あっ!!」 思い出した
琵琶坂 藍依 : 「(本当に危機意識が薄いんだな、コヨミ……)」庇うように一歩、踏み出す
虹之元ユメ : 「……本気で命のやり取りをするつもりですか?」 険しい表情で2人を見つめる
夢川めめ : 「やだ、積極的……」
「やーん、ファンサにしてもマジトーンすぎなぁい?仲良く行こうよぉ……」
🥺顔で
澱 カシル : 「あの〜」
ずいっ、と話を遮るように
澱 カシル : 「こんなコト、やめませんか?」
「さっきのライブ、あたしたちとは違うけど凄く楽しそうだったし。クラッドカルトなんて必要ないと思います。」
「もちろん、こよみちゃんにも要らないとは思いますが!」
澱 カシル : 「なので……戦うのは止めたほうがいいかなって。」
澱 カシル : 「わたくしも、貴方達を無意味に傷つけたくはないのです。」
それは、強いモノの言葉。
暗に傷つくのはお前達だと決めつけている。
GM : あみぃとらむねは、皆が戦闘に乗り気ではないこと…そして、カシルの言葉にカチンとした様子で返す。
あみぃ : 「あのねぇ!勝つ気でいるみたいだけど、こっちもこっちで"クラッドカルト"を手に入れなきゃいけないわけ!」
らむね : 「そうよ、本当に失礼だわ…こっちにも、事情が……」
らむね : 「……?」自分の言葉に違和感を持った様子で、少し首を傾げるが、改めてキミたちに向き直る。
らむね : 「……とにかく!とりあえず死んじゃえばいいの、あなたたち全員!」
天海こよみ : 「そ、そんな……」
澱 カシル : 「あまりそのような言葉は使わない方がよろしいかと。」
死ね、との言葉に対して
虹之元ユメ : 「……らむねちゃん?」 垣間見えたおかしな様子を訝しむ
夢川めめ : 「死ぬ、とか。殺す、とか言われると……こっちだって、身は守らないといけないよねえ」
「……それで、''やる''んでしょ?」
縦長のバッグに手をかけ、チャックをじじじ、と開け
琵琶坂 藍依 : 「……戦うしか、ないみたいだね」メメの言葉に頷いて《天使の外套》の幻覚を解除。拳銃を取り出す。
あみぃ : 「最初からそう言ってるじゃない。……さっさと始めるわよ、こっちも特典会に参加するんだから!」
あみぃ : そう言うと、あみぃは舞台衣装の傘を取り出し、持ち手に軽く振れる。すると、傘の表面に炎が走り……金色の模様が浮かび上がる。
らむね : 「そういうわけだから… さっさと終わらせましょ。見てなさい。私達、最強なんだから」
らむね : らむねがバッと腕を広げると、長い袖口から、鋭く大きな刃が伸びる。……本気で戦闘をするつもりなのだろう。
澱 カシル : 「…………はぁ。」
珍しく、ため息をつく。
戦闘は避けられそうもなく、力を振るわねばならない。
無視して逃げ出す選択肢はない。MARiNE SNOWのメンバーを置いて逃げる程、恩知らずではない。
虹之元ユメ : 「───わかりました」
少し顔を俯かせると、ギターケースからギターを取り出す。2人を憂うような表情を覗かせて、睨みつけた。
虹之元ユメ : 「では舞台の再演(アンコール)と行きましょう……!」
夢川めめ : 「……めめ、正面切って戦うの苦手なんだあ」
「だからさ、ほどほどにやるね~?」
可愛らしい、デコられたケースから飛び出したのは、無骨なショットガンだった。
……おおよそ、日常には似合わぬ非日常の品物。
改めて、その場の空気がひりつく程に張り詰める。
天海こよみ : 「……。あみぃちゃん、らむねちゃん……これだけはおねがいさせて……」
天海こよみ : 「もし、ぼく達が勝ったら……もうクラッドカルトのことはあきらめて……。戦いなんて……ぼく、何度もしたくない……っ」
日傘の持ち手を両手で握りしめながら言う。混沌なる者の槍を装備。
あみぃ : 「あのね、何度も言ってるじゃない。そっちが勝つことなんて、1ミリもありえないの!」
らむね : 「そうよ、だって……これが正真正銘、ラストバトルなんだから」
天海こよみ : その返答に目を伏せ、《ワーディング》を使用。
天海こよみ : 潮風が一瞬吹き抜けて、世界は青い光で満たされた。
天海こよみ : 視界の至る所で宙に浮き、ブクブクと弾けていく泡。空には水面のような波紋が広がっていく。
天海こよみ : まるで海の底に沈んだようなこの領域で、息をすることが出来るのは、人間を超えた存在────オーヴァードだけだ。
GM : では、戦闘を開始します。


【行動値】
20 琵琶坂藍依
13 虹之元ユメ
08 澱 カシル
08 あみぃ
06 夢川めめ
05 天海こよみ
05 らむね

【初期配置】
らみぃどらいぶ!
 |(5m)
MARiNE SNOW

【勝利条件】
「あみぃ」および「らむね」を戦闘不能状態にする


GM : では、ラウンド1です。
GM : セットアッププロセスを行います。
天海こよみ : ないです!
澱 カシル : あります!
穢呪の器(カシル☆おしおきモード)
尾を食らう蛇+喰らわれし贄
澱 カシル : 1d10 HP消費(1D10) > 2
system : [ 澱 カシル ] HP : 28 → 26
system : [ 澱 カシル ] 侵蝕率 : 82 → 87
夢川めめ : 無!
カシルちゃんのコンボ名の温度差よ
虹之元ユメ : 《扇動の香り》をセットします!対象はあみぃちゃん
効果:対象攻撃時の命中判定に+5個
澱 カシル : 攻撃力+15 シーン継続
system : [ 虹之元ユメ ] 侵蝕率 : 82 → 87
琵琶坂 藍依 : 怨念の呪石を使用!暴走状態になって《ミラーパレス》が起動!!
琵琶坂 藍依 : 自身が行なう攻撃のダメージを+2D! 自身を対象に含む攻撃のダイスを-10個!!
system : [ 琵琶坂 藍依 ] 侵蝕率 : 67 → 70
GM : NPCからも特にないよ、演出あればどうぞ!

澱 カシル : 戦う、と決めたカシルの行動は手早かった。
懐に持っていた塩の袋やらお守りやらを投げ捨て、手首の紐を引きちぎる。
仕上げに胸元を開き、そこに貼られていた符を剥がす。
澱 カシル : 刹那、カシルの姿が変貌する。
黒く、不吉な、和服の少女。
封を切った呪いが、自身すら蝕む。
天海こよみ : 「……!カシルちゃんっ……」 あの時見た姿、感じた気配。少しだけ不安になって声をかけようとするが、敵が目の前にいる今は命取りになると思い、言葉を止める
澱 カシル : こよみの目線にこくり、と頷きだけ返す。
自分の正体を明かすだとか、後の事は後で考える。
今はただ、眼の前の相手に分からせてあげるだけ。
 
──自分たちがどういう存在に歯向かっているのかを。その"恐怖"を。
琵琶坂 藍依 : 「(あの姿……胡桃とはまるで違う……? カシルは一体……?)」
琵琶坂 藍依 : 「(いや、今は考えているヒマは無い……!! 目の前の相手に集中するんだ……!!)」拳銃のグリップを強く握る
虹之元ユメ : ────弦を弾く。戦闘の幕開けを告げる序奏が響き渡った。
虹之元ユメ : ユメの演奏はレネゲイドと共振してある種の高揚を齎す。
ソラリスの効用もあるせいだが、その中でも一際強く、ユメの演奏に惹かれたのはあみぃだった。
あみぃ : 「はにゃっ!またアンタ……!」数週間前の戦闘を思い出し、渋い表情をして傘の持ち手を握る…が
あみぃ : 「……あれ」その演奏は、とても明るいもの。太陽のように暖かで、心地が良く……彼女は、耳を塞ぐことも忘れてしまったようだ。
虹之元ユメ : 「──────」
演奏は続く。魅せられたあみぃはユメと視線を交えれば、慈しみにも似た笑みを見せるだろう。
琵琶坂 藍依 : ユメの演奏の傍ら。
琵琶坂 藍依 : 手首のスナップを使って、クイックリロード。
琵琶坂 藍依 : 薬室(チェンバー)を開き、エンジェルハィロゥの能力で作りだした光弾を大型拳銃に込める。
琵琶坂 藍依 : ……拳銃にしては長い銃身を、標的に向ける。
琵琶坂 藍依 : そのトリガーに掛けられた少女の指先は震えていた。
琵琶坂 藍依 : 「(……この武器を使えば、必ず誰かを傷付ける)」
琵琶坂 藍依 : 死んだ親友の亡骸が、フラッシュバックする。
琵琶坂 藍依 : ……瞼の裏に焼きついた姿が、いつも悪夢として見る光景が、鮮明に甦る。
琵琶坂 藍依 : 目を背けたくなるほど鮮烈な"赤"と"白"のコントラストがそこにはあった。
琵琶坂 藍依 : 丁寧に手入れされた瑞々しい肌は、真っ赤な血で穢れていた。
琵琶坂 藍依 : 美しかった四肢は歪に拉げて、手足の間接から砕けた白い骨が覗いていた。
琵琶坂 藍依 : ……まるで現実感はなかった。
琵琶坂 藍依 : けれど事実として、そこには昨晩まで笑っていた筈の親友の、無惨な遺体が横たわっていた。
琵琶坂 藍依 : 「────ッ」
琵琶坂 藍依 : ユメの演奏も、耳に入らない。
琵琶坂 藍依 : ……相手も状況も、まるで違うにも関わらず、
琵琶坂 藍依 : 銃口の向こう側に立つ人間に、自らの命を絶った久能胡桃の死に顔を重ねてしまう。
琵琶坂 藍依 : ……視界が歪む。呼吸が乱れる。心臓が早鐘を打つ。
琵琶坂 藍依 : 胸の奥深くに隠されてきた『心の傷』が開く。
琵琶坂 藍依 : 激しく熱い何かが急に、腹の奥から喉元まで込みあげてくる。
 
琵琶坂 藍依 : ────戦闘訓練は積んでいるが、実戦はこれが初。
琵琶坂 藍依 : 加えて、カシルに借りた拳銃から零れ出す呪いの力。
琵琶坂 藍依 : 元よりレネゲイドの制御に不向きだった事も災いし、不安定だった少女のレネゲイドは暴走。
琵琶坂 藍依 : 『妄想』の衝動に憑りつかれていた。
 
琵琶坂 藍依 : 「(いや、何もしなくても同じ事だ)」
琵琶坂 藍依 : 「(傷つく相手が、あの二人からコヨミ達に変わるだけ……それなら……)」
琵琶坂 藍依 : 己の心を蝕む幻覚と恐怖を振り払い、パチンと指を鳴らす。
琵琶坂 藍依 : 「(怯えているヒマなんて、ないッ────!!)」
琵琶坂 藍依 : 戦う覚悟を決めた、その瞬間。
琵琶坂 藍依 : 指先から激しい閃光が弾けて、少女の肢体を包んだ。
琵琶坂 藍依 : ────瞬きの後、目に映ったのは、琵琶坂藍依が能力を完全解放した姿。
琵琶坂 藍依 : 琵琶坂藍依のレネゲイドが自ら編みだした戦闘形態。
iRiS : ……それは罪に立ち向かわなければならない呪いを、
iRiS : または微かな希望と勇気を象徴する『偶像(アイドル)』のステージ衣装のカタチをしていた。
澱 カシル : 「(………よかった)」
思わず渡してしまった呪いのコンテンダーが、藍依を蝕むことをずっと気にしていた。
事情が事情なのでなかなか返して欲しいとは言えなかったが……
 
あの眩しい姿。かつての胡桃に似た、輝き。
不安定ではあるけれど、今の藍依ならきっと……大丈夫。そう信じられる。

GM : それではイニシアチブプロセスに移ります。やりたいことはありますか?
天海こよみ : ない!
澱 カシル : ないです
iRiS : 同じく!
虹之元ユメ : ない!
夢川めめ : すみませんないです…!
あみぃ : 了解!
GM : あみぃは時間凍結を使用。メインプロセスを行います。
GM : マイナーでシールドクリエイトします。以上です。
GM : 行動値20、アイさんのターンです。
iRiS : マリスノの一番星、いきますよ!
iRiS : マイナーアクションで《陽炎の衣》を使用!隠密状態に!!
system : [ iRiS ] 侵蝕率 : 70 → 73
iRiS : メジャーアクションで《コンセントレイト》《見えざる死神》!あみぃちゃんに射撃攻撃!!
iRiS : 18dx8+8 命中(18DX8+8) > 10[1,2,2,3,3,3,3,4,5,5,5,7,7,7,8,9,9,9]+6[2,4,5,6]+8 > 24
iRiS : 出目が低い
あみぃ : ガードで《氷盾》を使用します。
iRiS : では気をとりなおしてダメージ!
iRiS : 3d10+3d10+9+5 ダメージ(3D10+3D10+9+5) > 12[6,5,1]+22[2,10,10]+9+5 > 48
iRiS : メインプロセス終了!隠密状態を解除!!
system : [ iRiS ] 侵蝕率 : 73 → 77
GM : あみぃ撃破です、恐ろしいね。描写どうぞ!

iRiS : 敵に狙いを定めていた銃口を、いきなり空に向けて、
iRiS : 「…………」そのトリガーを引く。
iRiS : 拳銃から撃ちだされた弾丸は、光の尾を引いて飛翔。
iRiS : ……標的を大きく外れて、遥か夜空へ昇っていった。
あみぃ : 「……はにゃ?なぁに、それ…」訝しげに首を傾げてから、思いついたように目を輝かせて笑う。
あみぃ : 「……あ、わかった!運動会みたい!」
iRiS : 「運動会?」
iRiS : 「……違うよ、よく見て」
iRiS : 「それから、思いだして」
iRiS : 「────先にこれが殺し合いだって言ったのは、アナタ達の方でしょう?」冷たい目で言い放つ
iRiS : あらぬ方向に放たれた筈の光弾は、上空で散開。
iRiS : ……花火のように五つに弾けた後、空中で反転。
iRiS : それぞれが弧を描いて、地上への落下を始めた。
iRiS : 「……他人の炎上を扱う活動をしてるんだったよね、二人とも」
iRiS : 「誰かの不幸をネタに生きる人、嫌いなんだ私」
iRiS : 「記者とか悪徳プロデューサーとか、もう沢山」
iRiS : 「……アナタにも少し、痛い目を見てもらうよ」
iRiS : ────流星の如く降り注ぐ五つの光弾は、正確に敵を追尾(ホーミング)。
iRiS : 傘の隙を縫って手足を貫き、風穴を開けた。
あみぃ : その一瞬で、あみぃは何が起きたのか分からなかったようだ。降り注ぐ光線に気付き、傘を翳そうとするが……そんな行動は無意味だった。
あみぃ : 「はゔッ……!?」
あみぃ : 悲鳴をあげ、手足を焦がされ……手から、傘がふわりと飛んだ。
GM : あみぃはそのまま、地に体を伏せる。
らむね : 「あみぃ!」その姿を見て駆け寄ろうとするが…らむねは足を止め、キミたちをキッと睨む。
iRiS : 「……ほら、戦いなんてするものじゃない」
iRiS : 「最強とか勘違いも甚だしいよ」
iRiS : 「────私は命まで取らなかったし、アイドルにとって命とも言える顔も傷付けないであげた」
iRiS : 「けど、それはほんの少し運が良かっただけだ……二人が強かったからじゃない……」片手でリロードしながら冷たく言う
らむね : 「うぅぅ………!」唸りながら、しかし正論である以上返す言葉もないようだ。ただ、爪を構える。
澱 カシル : 「降参するつもりはありませんか? わたくしは藍依ちゃんのように優しく出来ませんよ……?」
らむね : 「な……」少し、目を泳がせる。目線の先にいるのはあみぃ。まだ息はあるようだが、ここで降参すれば、きっとこの人達は……
らむね : だが。
らむね : 「ゔ……う、うるさいっ!!あなた達のことなんて信用しないんだから!!倒すったら倒すの!!!」
らむね : そう、首を振って否定をする。その姿からは、意志も何も読み取れない。目的以外は何も見えていない、子どもじみた反応だ。
澱 カシル : 「馬鹿な人。…………選択を誤ったこと、魂に教えてさしあげますね。」
らむねの態度を見て、カシルの言葉も厳しくなる。

To Be Continued...



CREDIT
moff(BOOTH)
こあくまめーかー😈2nd(Picrew)
だだめーかー(Picrew)
可愛い女を作るめーかー(Picrew)
キラキラ鱈メーカー3(Picrew)
テイク式女キャラメーカー(Picrew)
好きな顔メーカー(Picrew)
🍌GORILLA_ART🍌(Picrew)