昨日と違う今日。今日と同じ明日。
MARiNE SNOWの面々は、アイドルとしての新たな日常に忙殺される日々を送っていた。
──失われた悪夢の再演が、刻一刻と迫っていたことを知らずに。
 
誘拐された”クラッドカルト”を追う彼女たちが出会ったのは、決して交わるはずのない運命。
最果ての監獄。過去の呪縛。
虚の器を抱える者が、ひとつに共鳴する。
 
これは、少女たちが真の星を望むまでの物語。

ダブルクロスThe 3rd edition
『明星のレゾナンス -極夜一碧-』

ダブルクロス────
それは裏切りを意味する言葉。

GM:方舟
メインログ / 雑談ログ

Character Sheet

PC1 天海あまうみこよみ   (キャラシート)   PL めい
PC2 虹之元にじのもとユメ   (キャラシート)   PL
PC3 琵琶坂藍依びわさかあい   (キャラシート)   PL ふろずん
PC5 おりカシル   (キャラシート)   PL タンゴ

Index

◆Previous Story◆
「明星のレゾナンス」
「こよみとミツキの心海回遊」
「Heaven Gazers」

◆Information◆
NPC紹介&オリジナル設定

◆Pre play◆
HO&PC紹介

◆Opening Phase◆
01 泡沫のユメ
02 水鏡の記憶
03 風待ちの少女たち

◆Middle Phase◆
04 明星、深淵に没す
05 奈落に咲く華
00 情報収集①
00 Trigger 01 光芒を踏み外して
00 情報収集②
00 Trigger 02 終止符の代償
00 Extra 01  挙動不審の渡し守
00 Extra 02  冥界に瞬く双子星
06 灰色の世界、深紅に燃ゆ
00 情報収集③
00 Extra 03  人造のヴィーナス
07 ■■■

◆Climax Phase◆
08 極夜一碧

◆Ending Phase◆
09 それは、空と海が紡ぐ物語
10 集う明星、新たな日常
11 冬空に東風吹かば
12 悲しみの海に虹を溶かして
13 MARiNE SNOW

◆After Play◆
経験点配布

第45回目開始ポイント

NPC紹介&オリジナル設定

 
ルコ
 
『ルコ』こと、澪木みおき ルリコ
「”クラッドカルト”を返すつもりはなくってよ。少なくとも、私の目的が果たされるまではね」
享年20歳。アンニュイな雰囲気を纏う女性。整った顔立ちをしているものの、いつも暗い表情を浮かべている。
こよみの母「天海あかり」と同世代のアイドル。本名は「澪木ミオキ 留璃子ルリコ」、愛称は「るー子」。
この世界では『ルコ』と名乗っている。故人。



生前のルコ(長い)

活動期間:6年
年齢:14〜20歳(享年20歳)

来歴:
演歌歌手の父、バイオリニストの母を持つ音楽一家の生まれ。
「音楽に関わる仕事をしてほしい」という両親の強い願望があり、幼少期より様々な音楽に触れて成長。
特に、歌唱力が群を抜けていたことから、その才能を買われる形で事務所に所属。美しい容姿や若さもあり、歌手としてではなく、アイドルとしてデビューすることとなる。
同期の圧倒的スター・天海あかりの陰に隠れ気味ではあるが、熱狂的なファンを抱えていた彼女は……成人したその日、自ら命を絶った。

外見:
身長167cm。
烏の濡れ羽色の艶やかな癖っ毛。常に前髪を長く伸ばし、片方の目を隠している。
華奢で女性的な体型。筋肉はほぼついておらず、簡易的なダンス以外は踊れない。
密度の濃い睫毛は常に伏せ気味で、鮮血のように赤い瞳で相手をじっと見据える。

内面:
繊細かつ生真面目な性格。常に周囲を警戒しているような刺々しい雰囲気を纏っており、話しかけるとはっきりとした態度で応対する。
やや根暗な一面があり、ファンや友人などの好意を寄せてくる相手に対しては、どう対処すればいいのか分からず、常に困ったような表情を浮かべている。
愛想を振りまくことが苦手で、笑顔を作ることは滅多にない。
しかし、自分を応援するファンへの愛情は確かにあった様子で、雑誌インタビューでファンへの思いを聞かれた時、「私は口下手だから、ライブの時にはあまり話さないようにしているのですが…」と切り出し、半ページほど饒舌に語っていた記録が残っている。



ユメミ
 
春兎しゆう ユメミ
「……ギター、弾くようになったんだ」
享年17歳。元気で快活、竹を割ったような性格の少女。橙色のメッシュがチャームポイント。
「虹之元ユメ」こと夏橙涙美の親友。軽音部所属。ギターが得意で、歌は壊滅的に下手。将来の夢はミュージシャン。
ジャームの攻撃から涙美を庇い、命を落とした。



生前のユメミ(長い)

来歴:
「ユメち」
バンド好きの女子高生。友人が多く、特に、夏橙涙美とは自他共に認める大親友。
夢は、聴き手に夢と希望を与える『一流』ミュージシャン。
涙美の「アイドルになりたい」という夢を応援しており、自分が楽曲提供するのだと意気込んでいた。
そんな夢を語った日。UGNが取り逃したジャームに、涙美と共に襲われてしまう。死の瀬戸際、涙美を庇う彼女が願ったことは…

外見:
身長159cm。
黒髪のミディアムボブに、夕陽のように鮮やかなオレンジ色のメッシュが入っている。
動きが活発なため、初見では気付き辛いが、意外にも涙美より背が低い。
下半身の肉付きがやや良すぎることを密かに悩んでいるが、ギター演奏時の姿勢維持に役立っているため、そこまで気にしていない。
くるくると良く変わる表情、ぱっちりとしたアーモンド型の目、オニキスのように光る黒い瞳が特徴。

内面:
人懐っこい大型犬のような性格。持ち前のポジティブさで周囲を巻き込むムードメーカーであり、太陽のような存在。
溢れる自信は、彼女の弛まぬ努力に裏打ちされたもの。夢を追いかける上で、妥協は一切しない。気づけば、ギターの演奏スキルは年齢相応以上のものとなっていた。
また、「楽曲提供する」と発言した裏では、コソコソと作曲の勉強をスタートしていた。



久能胡桃
 
久能くのう 胡桃くるみ
「わたしはアイドル失格だって。そう……思っていたのに……」
享年16歳。心優しい少女。
藍依の親友で、メジャーアイドル・Seventh Heavenの元メンバー。ピンク色担当。
「アイドル」という存在に強い憧れを抱いており、親友の藍依と共にデビューを果たしたが、ハラスメントやいじめ等により心が荒み、最期は自ら命を絶った。



生前の胡桃(長い)

活動期間:2年
年齢:14〜16歳(享年16歳)

来歴:
「あるアイドルの死について」
清純派アイドル女子高生。
私立玲瓏女学院の生徒。藍依とは学生寮の同部屋であり、親友。
藍依を巻き込む形で応募した「Seventh Heaven」のオーディションに、共に合格し、夢のようなアイドルライフが始まった…はずだった。
しかし、胡桃はパワハラやイジメ、性接待に近い行為の強要を受け、そのストレスで心が荒み、パフォーマンスが低下していく。
一方、藍依は胡桃の身に起きていることに気づかず、アイドルとしての才能を開花させていく。
胡桃は藍依に嫉妬し、同時に、己の中に生まれた醜い感情に酷くショックを受ける。
「わたしのような穢れた人間は、アイドルにふさわしくない」と苦しみ、藍依に対し「トップアイドルになって」と遺書を遺して、事務所から飛び降り自殺してしまう。
また、自殺する直前に出会った呪い人形・カシルに「貴女はわたくしの指針であり、憧れだ」と伝えられた際、絶望の淵にいた彼女は、「わたしに化けて、わたしの顔でアイドルしてみたら」と返し、その場を去ってしまう。
彼女の真意は…

外見:
身長157cm。
ふんわりとしたミルクティーカラーのボブ、甘いピンクのインナーカラー。
スタイルが良く、同年代の少女と比較すると、ややグラマラスな体型。
特に、胸が大きいことに対してコンプレックスを抱えている。
チャームポイントは、兎のようにクリクリした大きな瞳。
素直な表情を浮かべることが多く、優しそうな垂れ目は、彼女自身の性格を表すかのよう。

内面:
人懐っこく明るい、心優しい性格。
藍依とは、学生寮で同部屋となった際、彼女の看病をしたことがきっかけで親友となった。
人の感情の機微を敏感に察することができる一方で、場の空気を読みすぎてしまうことが玉に瑕。
相手に強く出られると抵抗できない上、自分が本当に辛かった時期にも、「他人に迷惑をかけたくない」と、藍依を含め誰にも悩みを吐露することができなかった。
理想の高さはプロ意識の表れ。歌やダンスの才能に恵まれなかったが、人一倍努力していた。



ココ
 
MACまっく-09ないん”ココ
「アーハー?なるほどデスねェ。ジブンを疑っていらっしゃルというワケ」
片言を操る、《オリジン・サイバー》のアンドロイド型レネゲイドビーイング。
明るく友好的だが、話をよくよく聞いてみると、芯を食ったことを一言も言っていない。
自称故人だが、『冥界』のイメージとあまりに外れている。ルコを慕う様子が見られる。



”MAC-09”の詳細?(長くない)

外見:
身長152cm。
髪パーツは、ミントグリーンに白色のメッシュのような塗装。ぱっつん前髪と、リング付きエクステのような三つ編みツインテール。
ボディパーツは、グレーがかった白色で、しっとり柔らかなシリコン素材。大きな耳の先は尖っている。
常に目を細めてニコニコと笑っている。

内面:
不明。態度は友好的でよく喋るが、会話の中身は空っぽ。
明確な悪意は感じられない。



十条ミツキ
 
“クリスタルホロウ”十条 ミツキ
【キャラシート】
「どんな困難が待ち受けていようが、キミ達を支えてこそのマネージャー……だろ?」
元カリスマアイドル、現MARiNE SNOWのマネージャー。19歳。
クールな外見と、包容力のある優しい性格の持ち主。
年下には特に甘いが、その反面、人懐っこく寂しがり屋。
元“クラッドカルト”の宿主。とある事件をきっかけに心を塞ぎ、わざと炎上騒動を起こし芸能界を去った過去がある。
このため、天海こよみと再会し、MARiNE SNOWのマネージャーとなった時は穏やかではなかったが、とある事件をきっかけに、全てをこよみに打ち明けることとなった。
そのおかげで踏ん切りが付き、今は後輩達の育成・指導を心の底から楽しんでいる。



オーメン相良
 
“ミスター・オーメン”オーメン相良
「本音を言うならば…私は、君たちを失いたくはない」
支部長兼社長兼プロデューサー。年齢不詳。
顔に仮面をつけており、大変胡散臭い……が、一応味方。
出会って4ヶ月、相変わらず会話は通じないが、真正面から抗議すると弱ることが判明。何となく扱い方がわかってきた。
『アイドル』を通じ、皆を幸せにしたいという信念を持っている。



クラ
 
“クラッドカルト”クラ
「クラ、わかんない…コヨミといっしょがいい…」
こよみに取り憑いたレネゲイドビーイング。
宿主とされた者は、否応なしに人の注目を集める事となる厄介な存在。
つい最近まで知性と自我を失っており、本能のままに生きていたが、ゼノスが起こした事件をきっかけに自我を取り戻した。
知性は未だ発展途上だが、宿主のこよみやMARiNE SNOWメンバーから学ぶ形で、少し成長している。
 
クラ
 
通常、こよみによく似た姿を取っている。だが、冥界に拐われた後の姿は変貌しており…



■オリジナル設定
 
・「UGN芸能支部」について
「MARiNE SNOW」が所属する、UGNエージェントのみで構成された芸能事務所。
FHのアイドルグループ「ファムファタール」の台頭に対し、危機感を覚えたUGN日本支部が設立した。
表では「UGNプロダクション株式会社」という名で通っている。
社名の由来は、所属タレントに大切にしてほしい3つの言葉(ユニーク、ガッツ、ネクサス)。
アイドル業界・UGN内共に比較的名前が通じるようになってきたが、支部長兼社長の”ミスター・オーメン”ことオーメン相良の素性含め、依然として謎の組織として扱われている。
実際に所属して4ヶ月、度々無茶振りはされるものの、案外悪くない条件で日々を過ごすことができている。



奈落華ナラカ 🪷
「全てを捧ぐと言ったでしょう?」
謎に包まれた、冥界のアイドルグループ。
オペラ的な雰囲気を持つゴシックロックや、どこか時代を感じさせる埃をかぶった響きのバラード等、ダークな曲調を得意とする。
いずれも、作曲者兼サポートメンバーであるユメミのギターサウンドが主軸となっている。
故人である彼女達が何故存在しているのか、どのような目的で活動しているのか。
そして、何者がプロデュースしているのか。
これを知ることが、『冥界』を解き明かす鍵となるかもしれない

【メンバー】

❤️ルコ
メインボーカル。
時に静謐、時にパワフルな歌声には棘があり、その様はまるで夜露に濡れた野薔薇のよう。
一方、ダンスパフォーマンスにはほとんど参加しない。
作詞は彼女が担当している。 死をモチーフとした陰鬱な詩が多い。


🩷胡桃
歌、ダンス、ビジュアル、その全てが高水準のマルチプレーヤー。
鈴が鳴るような可愛らしい歌声は、ルコの歌声やダークなギターサウンドとは異彩の光を放っている。
指先まで手を抜かないダンススキルは、七天時代の練習の賜物か。
一方で、パフォーマンス中は真剣かつ必死な様子。生前の笑顔は失われてしまっている。


💚ココ
サブボーカルハモリとダンスパート担当。
低音から高音まで、オクターブを超えるハモリは正確無比。
ルコ、胡桃のデュエットをさらにリッチなサウンドに押し上げる。
ダンスにも隙がなく、球体関節を感じさせない滑らかな動きを展開する。


🧡ユメミ(サポートメンバー)
歌やダンスパフォーマンスには参加しない、サポートメンバー的な位置付け。
作曲、ギターパフォーマンスを担当。
生前に増してレベルアップした演奏技術は、歌唱メンバー達に引けを取らないクオリティ。
ギターソロパートが多いのは彼女の趣味と考えられる。


Pre play

HO&PC紹介

GM : それでは卓を始めていきます。まずは自己紹介から…こよみちゃん!お願いします!
天海こよみ : はーい!
 
天海こよみ
 
天海こよみ : こよみです、ミツキちゃんが大好きな14歳の幼女です!
天海こよみ : 人間が持って生まれたスキルポイントをアイドルの才能に全部注ぎ込んだ結果生まれた、不登校の社会不適合者です!
天海こよみ : でもこれまでNPCとして二回位出た分色々あったので、クラちゃんの力なんて関係なくなるような凄いアイドルを目指そうとなって、それに伴って学校にも通うようになりました。
天海こよみ : データとしての成長は、この子の意思が低いわけないと思ったので上げて、それなら暴走しなくなるしせっかくだからカバーリングエフェクトを取ろうってした感じがメインです。
天海こよみ : 久しぶりにPCとして頑張るよ! 以上です、よろしくおねがいします!
天海こよみ : キャラシート
GM : ありがとう!序盤からめちゃくちゃ成長してるよね…めいちゃんGM卓ではNPCとしてもよう活躍しとる
GM : そんなこよみちゃん、今回のハンドアウトはこちら!

🩵PC1 “スカイクラッド” 天海こよみ
ロイス:ルコ
推奨感情 P:尊敬 / N:不信感
キミはアイドルだ。
引き籠っていた過去や数々の事件を乗り越え、MARiNE SNOWのメンバーたち、キミの憧れでありマネージャーの十条ミツキ、今や妹のような存在である”クラッドカルト”ことクラと、それなりに幸せなアイドルライフを過ごしていた。
ところが、ある日のライブ終わり、突如クラがキミの目の前で誘拐されてしまう。
誘拐された彼女を追いかけた先に広がっていたのは、『冥界』と呼ばれる異世界。
そして、待ち受けていた、クラッドカルトの誘拐の首謀者は……かつて、母の天海あかりがキミに語った、彼女の同世代のアイドル・澪木ルリコだった。

GM : なんか…クラちゃんが拐われるので、頑張って取り戻してあげてください!
天海こよみ : ずっと未遂で済んでたけどついに本当に攫われてしまったよ! 帰っておいで
天海こよみ : ルコちゃん、ハンドアウトとか関係なく見た目がきゃわでばちくそ好みなので…穏便に取り戻したいね…!
GM : ふふふ…果たしてどうなルコねぇ…
GM : よろしくお願いします!
天海こよみ : 楽しみ! お願いします!
GM : では次!ユメち!
虹之元 ユメ : はい!
虹之元ユメ
 
虹之元 ユメ : MARiNE SNOWのオレンジ担当! 夏橙涙美こと、虹之元ユメです!
虹之元 ユメ : とあるジャームが引き起こした事件で親友を失い、その遺志を継いでアイドルを志す女の子!
虹之元 ユメ : 少し前に異世界にちょっとだけ攫われて、そのコピーが斧を振り回したり人魚姫になったりしてました!
その記憶がほんのちょっとだけ有るような、無いような気もします!
虹之元 ユメ : 最近はみんなの成長が目覚しくて、少し、まあまあ、ほんのちょっとだけ……焦ってはいるけど嬉しい気持ちでいっぱいです!
虹之元 ユメ : 今日も元気いっぱいで頑張ります! よろしくお願いします!
虹之元 ユメ : キャラシート
GM : ありがとう!童話卓では何やら大変だったね…現実の方も、今回は頑張ってもらうぞ。ハンドアウトはこちら!

🧡PC2 “涙の旋律メロディーオブティアーズ”虹之元ユメ
ロイス:春兎 ユメミ
推奨感情 P:友情 / N:悔悟
キミはアイドルだ。
かつて親友のユメミに語った「アイドルになりたい」という夢を実現するべく、歌にダンス、ギター、作曲と、多忙のアイドルライフを送っている。
しかし、最大限の努力をしている一方で、自分以外のMARiNE SNOWメンバーにスキルが劣り、置いて行かれているような感覚があり、内心焦りを覚えている。
そんな中、誘拐された”クラッドカルト”を追った先に広がる『冥界』で、故人であるはずの春兎ユメミと再会する。
キミは彼女に話しかけようとするが、ユメミの対応はぎこちない。それはまるで、キミとの会話を拒否しているかのようで……

GM : 色々…色々あります!今回のシナリオはユメち軸っぽいところがあったりなかったり…もにょ…です
虹之元 ユメ : ユメミちゃん! ユメミちゃんじゃないか! 地力で蘇生を!?
虹之元 ユメ : な、何かがある! 精一杯に受け止めようじゃあないか!
GM : GMにとっても未知数ですが何卒…頑張れ!(ユメちには禁句)
GM : よろしくお願いします!
虹之元 ユメ : 頑張ります!(十八番) よろしくお願いします!!
GM : ありがとう!それでは次、iRiSちゃんことビワちゃん、お願いします!
琵琶坂 藍依 : はいな!
 
琵琶坂藍依
 
琵琶坂 藍依 : 琵琶坂藍依! アイドル名はiRiS!
琵琶坂 藍依 : メンバーのいじめ自殺の濡れ衣を着せられて表舞台を去った、元メジャーアイドルです!
琵琶坂 藍依 : 自殺してしまったメンバー、HOロイスの『久能胡桃』から「トップアイドルになってほしい」と願いを託された過去があり、
琵琶坂 藍依 : 【明星のレゾナンス】では、罪悪感や義務感で「胡桃の願いを叶えなきゃいけない」とトップアイドルを目指していました。
琵琶坂 藍依 : が【Heaven Gazers】では、とあるファンとの対話によって過去と向き合い「結局、自分がそうしたい」との気付きを得て、
琵琶坂 藍依 : 肩の力が抜けて、胡桃のために、ファンのために、何より自分自身の意志でトップアイドルへの道を歩むようになりました。
琵琶坂 藍依 : 戦闘スタイルも、隠密射撃型から白兵戦闘型に。自分に胸を張って正々堂々と戦うぞ。
琵琶坂 藍依 : 余談になりますが、アイドル技能の<芸術:歌唱><芸術:ダンス><芸術:演技>が少し伸びて、<芸術:舞台演出><知識:トーク><知識:ファンサービス>など、エンタメ方面の技能が増えました。
琵琶坂 藍依 : パフォーマンス自体の巧さよりも、ファンを楽しませるアイドルになるという意識の表れですね。
琵琶坂 藍依 : 以上! 新生iRiSをどうぞよろしくお願いします!
琵琶坂 藍依 : キャラシート
GM : ありがとう!設定時点から苦悩ばかりだよ、久能胡桃ちゃんとどっこいだよ…(?) それでも確実にポジティブな方面に進んでる…そんなビワちゃんのハンドアウトはこちら!

💙PC3 “iRiSアイリス”琵琶坂藍依
ロイス:久能 胡桃
推奨感情 P:友情 / N:悔悟
キミはアイドルだ。
メジャーアイドル時代の壮絶な引退騒動、MARiNE SNOW所属後の事件など、数々の苦難を乗り越えてきた。
現在は、亡き親友・久能胡桃の遺言であり、キミ自身の夢でもあるトップアイドルを目指して、アイドルライフを送っている。
そんな中、誘拐された”クラッドカルト”を追った先に広がる『冥界』で、胡桃と再会する。
夢をキミに託し、自ら命を絶った彼女は……冥界で、アイドル活動を……?

GM : トップアイドル…託されたはずでは…!?という謎の事態が起きています…
琵琶坂 藍依 : 地下アイドル超えて、冥界アイドルしてるよ…
GM : 今回のシナリオのネタ元に「地底アイドル」というシャレがあったので半分正解(?)
GM : 今回もなんとか前進してくれ…よろしくお願いします!
琵琶坂 藍依 : 折れない光のアイドルでいられるのか! よろしくおねがいします!
GM : ありがとう!では最後、カシルちゃん!
 
澱カシル
 
澱 カシル : 地下アイドルグループ、MARiNE SNOWに所属し幾分か経験を積んできたアイドル。
今までどおり元気と可愛らしさをウリにしつつも、ファンからの評価であった『どこかミステリアス』をプロデュースに取り入れるようになって芸風も増えている。
以前は"呪い人形"と呼ばれた危険なレネゲイドビーイングであったが、現在では落ち着いて振る舞えるようになった。
澱 カシル : 補足しておくと、自己嫌悪が原因で存在価値の証明=アイドルに固執するあまり精神不安定でした!
色々あってある程度は改善した!
澱 カシル : ビルドはRC型になりました!
バフもりもりしてメイン行動増やして殴るスタイルは変わらず!
澱 カシル : 以上!
澱 カシル : キャラシート
GM : ありがとう!ワンチャン、グループの中で一番前向きになっているような…落ち込み期を抜けてバリバリ活躍してほしいね。ハンドアウトはこちら!

🩷PC5 “呪い人形” 澱カシル
ロイス: ”MAC-09”ココ
推奨感情 P: 親近感/ N:不信感
キミはアイドルだ。
数々の事件を乗り越え、そして、呪われた出自や『久能胡桃』の最期の言葉を一旦飲み込み、自分自身の想いのため、アイドルライフを送っている。
同族嫌悪に似た感情を寄せていた”クラッドカルト”ことクラに対しても、昔ほどの悪感情は抱いていない。
ある日のライブ終わり、突如クラがキミの目の前で誘拐されてしまう。
『彼』が誘拐される直前、キミは同族……レネゲイドビーイングの気配を察知する。
クラを追った先に広がる『冥界』、そこでキミたちを迎え入れたのは、胡乱なレネゲイドビーイング・”MAC-09”ココだった。
……いくら何でも怪しすぎる…!

澱 カシル : 誰だお前は!?
GM : 一番意味のわからんハンドアウトで申し訳ないが…という…
GM : マリスノのピンク兼レネゲイドビーイングとして頑張っていただきたく
澱 カシル : まあ一番の因縁はクラッドカルトだったからね!
さっさととっ捕まえて帰りましょう
GM : とっ捕まえる、味方に使う表現じゃない
GM : よろしくお願いします!
澱 カシル : よろしくお願いします!
GM : これでMARiNE SNOW現メンバーの自己紹介が終わりましたね!それでは早速卓を始めていきます…!

Main play

Scene 01 泡沫のユメ

GM : 登場PCはPC2、ユメちです。ただ、序盤は他のみんなにもNPC扱いで登場してもらいます!
GM : ユメち、登場侵蝕どうぞ!
虹之元 ユメ : 1d10+34 ユメち一番乗り!(1D10+34) > 3[3]+34 > 37
 

 
GM : あみぃ・らむねの襲撃から4ヶ月、五十嵐タクミの事件から2ヶ月、そして、海霧・海里との邂逅と別れから1ヶ月。
GM : 様々な事件を乗り越え……そして、メンバーの一人である夢川めめのグループ卒業を経て、MARiNE SNOWの躍進は続いていた。
GM : 未だ地下アイドルの枠に収まってはいるものの、各メンバーのフォロワー数や、動画サイトでのMV再生回数は上昇傾向。
GM : 曲がショート動画の音源に使用されることも度々あるようで、(プロデューサーは「MARiNE SNOWの曲は早回しで消費されるべきものでは…」とぼやいているが)着々と知名度は広がっている。
GM : こよみに取り憑く”クラッドカルト”ことクラも、落ち着いた様子で日々を過ごしている。
GM : グループは、極めて順風満帆といえるだろう。
GM : そして、1ヶ月後のクリスマス。キミたちは、深夜放送の小さな音楽番組への出演が決定している。
キミたちは、UGNのセーフハウス内にあるスタジオで、ボイストレーナー指導のもと歌の練習していた。
 
レッスンルーム
 
GM : 練習には、キミたちのマネージャーであり、元アイドルの十条ミツキも同席している。別業務を進めるため、室内にパソコンを持ち込んでいるが……たまに渋い顔をしてパソコンを打ち込む以外、画面をほとんど見ていない。
GM : 苦手なパソコン作業をするよりは、キミたちの練習風景を見る方が楽しいのだろう。
虹之元ユメ
 
虹之元 ユメ : 「~♪ ~~♪♪」 指導の通りに、よく通る声を響かせる
虹之元 ユメ : 「……っと。声の出はだいぶ良くなった気がします!」 満足そうに頷いて
 
琵琶坂藍依
 
琵琶坂 藍依 : 「うん、ボイストレーニングの成果が出たねユメ」
虹之元 ユメ : 「はい、おかげさまで! ただ、まだまだ勉強ですね……!」 いつも通り、琵琶ちゃんにニコリと微笑んでみせる
 
天海こよみ
 
天海こよみ : 「……」 その隣でちゃんとレッスンしてはいるが、たまにミツキの方を見ては目を合わせて小さく笑ったりしている人がいる
 
十条ミツキ
 
十条ミツキ : 「…」おや、という顔をして、少し困ったように笑いかける。
 
澱カシル
 
澱 カシル : 「こよみちゃん、あんまりミツキちゃんの邪魔しちゃダメですよ〜?」
いたずらっぽく笑いかけながら注意する。
天海こよみ : 「え……? し、してないよ……?」
澱 カシル : 「さっきからチラチラ見てて、お互いに集中できてませんよ! ほんとにもう!」
琵琶坂 藍依 : 「……まあ、まわりを見る余裕があるのは結構なことだけどね?」笑って
十条ミツキ : 「えっ…あ、アタシも!?」心外だよ、とでも言いたげな顔をしているが事実である
虹之元 ユメ : 「ふふふ、ずっと仲がよろしくて良いことじゃないですか」微笑ましくその様子を眺める
澱 カシル : 「仲が良いのは良いですけど! 練習は真面目にやらないと!」
ふんす、と気合を入れる
天海こよみ : 「それもそっか……わかった……。ちゃんとまじめにやるね……」
天海こよみ : 「ミツキちゃんも、まじめにパソコン? やろっか……」 何の業務なのかはわかっていない
十条ミツキ : 「うぅ、仕方ない…嫌なんだよキーボード、スマホじゃダメなのかなぁ…」いやいやだが、こよみに言われてしまっては仕方ない、といった様子でパソコンに向き合う。
天海こよみ : 「ふふっ……。がんばって……!」 ぎゅっとミツキの両手を握って応援していく
十条ミツキ : 「…立派になったね…」しみじみとした様子で手を握り返し、レッスンに戻るこよみを見送る
澱 カシル : 「うんうん! 張り切っていきましょう!」
自身のボイスレッスンを再開する。
練習の成果もあって、表現力の無さも改善してきている。
虹之元 ユメ : 「はい! あっ、そうだカシルちゃん。ここの部分なんですけど~……」そういって苦手な部分を相談しにいく
GM : ユメがカシルに話しかけに行こうとしたところで、その場にいたボイストレーナーがパン、と手を叩く
トレーナー : 「OK、一旦全員で合わせてみようか!動けそうな人はダンスで体を動かしながら歌ってみて!」
GM : キミたちはトレーナーの指示に従い、何となくのポジションにつき……伴奏に合わせて、歌い始める。
GM : ユメは、ふと隣にいる仲間たちを目にする。
GM : アイは言うまでもなく、元地上アイドルとして恥のない、堂々たるパフォーマンスを繰り広げている。歌唱力はダントツのグループトップだ。MARiNE SNOWにも馴染み、初期よりも深く、輝く声を響かせる。
GM : カシルは、当初こそ謎に満ちた仲間だったが…今は己が理想とするアイドルに近づくため、彼女だけの色で輝く術を掴み始めている。ダンススキルに至っては、もしかすると彼女に追い抜かれてしまっているかもしれない。
GM : そしてこよみは、キミと共にアイドルとしてスカウトされた、いわば同期のような存在だが…元から持ち合わせていた天性の才能に加え、アイドルを楽しもう、今が一番楽しいと、目の輝きが語りかけてくるようなパフォーマンスを魅せている。
GM : 傍から見て、決してキミが劣っているわけではない。だが…彼女たちの輝きに、自分が追いつけているのか?仄かだが確かな焦りが、キミをジワジワと追い詰めている…
虹之元 ユメ : 「────────」 様々な想いが思考を埋め尽くす。まずは焦燥と羨望……。
虹之元 ユメ : 次に湧いて出るのは自身へのやるせなさ、埋まらない経験と才能の差。
虹之元 ユメ : 「(違う、違う……! みんな必死にやってるから出来てるんだ、羨んでばかりじゃダメ……!)」
虹之元 ユメ : 淀んだ思考は四肢の動きを鈍らせる。傍から見れば殆どの人間が気づくことはないだろうが……
虹之元 ユメ : 振付けの動きを、一瞬だけ間違えた。
虹之元 ユメ : 「(うっ……!)」 気を取られれば集中は乱れる。瞬時にカバーするが、ほんの僅かにみんなと動きが合わない。
虹之元 ユメ : まるで音のズレた映像を見させられているかのような、絶妙な気持ち悪さ。
それをユメは、レッスンルームの鏡越しにまざまざと見せつけられている。
虹之元 ユメ : 表情も硬く、動きのキレも劣る。
アイドルになる時に抱いた大層な夢と、目の前の現状にユメは……徐々に擦り切れていた。
GM : ……キミが思う以上に、顔に出ていたのか。見かねたボイストレーナーが、伴奏の手を止める。
ボイストレーナー : 「一旦ストップ!お水飲んで、楽にしていいよ〜」
GM : 全体にそう声をかけながら、ユメに近寄って話しかける。
ボイストレーナー : 「ちょっと、ユメち…大丈夫?顔、真っ青だよ」
虹之元 ユメ : 「えっ……」 眉間を抑え、ぼーっと床を見つめていたユメは顔を上げる
虹之元 ユメ : 「あっ、ごめんなさい……! ちょっと、考え事を……」 ぐしぐしと顔を拭って、いつもの表情を心掛けようとする
ボイストレーナー : 「大丈夫だよ〜ユメち、リラックスして…ちょっと疲れちゃったかな…」肩に手を当てて、ほぐすようにゆっくりと肩を動かす
澱 カシル : 「大丈夫ですか? 体調がすぐれないのなら、今日は早めに切り上げてもらいましょうか?」
体調によるものでは無いと、何となく察してはいるが……そう促す。
虹之元 ユメ : 「だ、大丈夫です! ご心配いただいてありがとうございます……!」 たはは、と困ったように笑って
虹之元 ユメ : 「まだまだ課題はありますし、先の事を見据えれば時間も足りないかもしれません……!」
虹之元 ユメ : 「だから、私……」胸元でぎゅっと握り拳を作って
虹之元 ユメ : 「まだ、頑張れます」 いつもの笑顔で、そう呟いた
澱 カシル : 「ううん、そこまで言うのならいいのかな? ミツキちゃん、どうしましょう?」
マネージャーに最終判断を委ねる。
琵琶坂 藍依 : 「…………」マネージャーの判断を待つ。まだ自分の出る幕じゃない。
十条ミツキ : 「……そうだね。レッスンを始めてまあまあ時間も経つし……一旦、今日のところはおしまいにしようか。明日もライブがあるし、そんな急ぐことはないと思う」
十条ミツキ : 「みんなが真剣に頑張ってる姿は、トレーナーさんもアタシも、ちゃんと見ているよ。大丈夫、みんなで確実に、一歩一歩前進しているから」皆を勇気づけるように笑う
ボイストレーナー : 「…そうだね、ミツキちゃんがそう言うなら。それじゃ…今日のところはおしまい!また何かわからないことがあったらDMしてね〜」
GM : ユメの不安が波及する中、その雰囲気を断つように、2人の指導者はそう告げる
虹之元 ユメ : 「は、はい。ありがとう、ございました……」 もしかしたら自分のせいで中断させてしまったかも、と自己嫌悪しながら頷く
琵琶坂 藍依 : 「ありがとうございました!」この業界は挨拶に始まり挨拶に終わる。
天海こよみ : 「ました……」 ユメのことが気になって、そちらをずっと見てる
 
澱カシル
 
澱 カシル : 「……ふう、有難う御座います。皆様、お疲れ様でした。」
白とピンクのアイドルの姿から、一瞬にして黒い少女へと変わる。
オフの時はこちらの素の姿……呪い人形としての元の姿を隠さなくなったのだ。
天海こよみ : 「……ねえ、ユメちゃん」 ユメの手を取って
虹之元 ユメ : 「ん、どうしましたか?」 こよみに目線を合わせて
天海こよみ : 「…………」 じーっと目を見つめてから
天海こよみ : 「ううん、よんだだけ……」 そのままユメの手をぷにぷに押してハンドマッサージしている。励ましてるのかもしれない
虹之元 ユメ : 「そ、そうなんですか~?」 ぷにぷにされながら、ありがとうございますと笑いかける
天海こよみ : 「そうなんです……ふふっ」 ぷにぷにしながら小さく笑って
澱 カシル : 「………ふふ。」
「さっき相談を受けかけてましたので……必要であればまたお答えしますよ。」
澱 カシル : 「他の相談も有るのであれば、答えるのはやぶさかではありません。」
「………いつでも構いませんので。」
虹之元 ユメ : 「カシルちゃんもありがとうございます……! そうですね、ええっと……」 少し考えて
虹之元 ユメ : 「レッスンの苦手な部分の復習とか、色々とお聞きしたいことがあるのですが……」 うぅん、と唸って
虹之元 ユメ : 「……じゃあ、一つだけいいですか?」時間のことを気にしてだろうか、人差し指を上げて微笑む
澱 カシル : 「……まあ、急がなくてもいいんですよ?」
虹之元 ユメ : 「そ、そうですか? 急ぎすぎ、ですかね?」
澱 カシル : 「………後で幾つでもお答えします。」
「其れは其れとして、今お一つ有るのであれば。まずはそちらを伺いましょう。」
虹之元 ユメ : 「そう、ですね……。稚拙で恥ずかしい話なんですけど……」迷ったように目を左右に泳がせて
虹之元 ユメ : 「……どうしたら、自分を好きになれますでしょうか」ポツリと
虹之元 ユメ : 「あ、いえ! どうしたら自信が持てるか、で大丈夫です!」 慌てて訂正する
澱 カシル : 「…………。」
「其れは……難しい話ですね。」
「只、此の場で言える事が有るとすれば……。」
澱 カシル : 「ユメさんは、ユメさんで在る。」
「其れだけです。わたくしもまだ道半ば。多くを語れはしません。」
澱 カシル : 「……申し訳ありません。」
虹之元 ユメ : 「私は、私……」何か思い当たる節があるのか、ほんの少し俯いて
虹之元 ユメ : 「いえいえ、ありがとうございます! そうですね、自分を省みるのも良いのかもしれません……」
天海こよみ : 「ぼくはユメちゃんのこと、大好きだけどな……」 ずっとおててぷにぷにしながら、ぽつりと呟く
虹之元 ユメ : 「ふふ、こよみちゃんも嬉しいことを言ってくれますね~! あっ、ちなみに……」
虹之元 ユメ : 「ミツキちゃんと私とだったら、どっちが好きですか?」 意地悪な顔をして
天海こよみ : 「え……!?」 顔をバッと上げて
天海こよみ : 「え、えっと……」
天海こよみ : 「……う、うーん……。ん、んん……」 当然答えはミツキになるが、かといってユメのことが好きじゃないというわけではないため、どう答えればいいか分からず、唇をぎゅっと結んでプルプル震え始める
虹之元 ユメ : 「あはっ、大丈夫ですよ~。ちゃんとわかってますから!」 冗談めかして笑い、ぽんぽんと頭を撫でて
天海こよみ : 「も、もう……ユメちゃん……」 困った顔で頭を撫でられてる
澱 カシル : 「ふふ、ユメさん。こよみさんはからかいがいのある方ですが、程々に。」
琵琶坂 藍依 : 「────コヨミのことを赤面させて、どうかしたの?」レッスン道具を片付けてから、メンバーのもとに歩み寄ってくる。
天海こよみ : 「せ、赤面……してた……?」 恥ずかしそうに両手を頬に添える
澱 カシル : 「……ふふ、椿色でしたよ?」
琵琶坂 藍依 : 「色白なぶん、コヨミは顔に出るよね」
虹之元 ユメ : 「よく映えますからね~。それはそれとして、琵琶ちゃんもお疲れさまです!」
澱 カシル : 「すみません、有難う御座います。」
片付けをさせていたことに謝罪する
琵琶坂 藍依 : 「ううん、気にしないで」
琵琶坂 藍依 : 「……それよりユメ、疲れているのは君の方じゃない?」
虹之元 ユメ : 「わ、わぁ……やっぱり疲れているように見えますかね?」 頬をぽりぽりと掻いて
琵琶坂 藍依 : 「うん、さっきも一瞬、集中が欠けてたでしょ?」
琵琶坂 藍依 : 「……睡眠時間、ちゃんと取ってるの?」
虹之元 ユメ : 「ええっと……一昨日に寝たので、今日は寝る予定ですね!」
琵琶坂 藍依 : 「ユメ……」咎めるような声色
琵琶坂 藍依 : 「カシル、は寝なくていい体質なんだっけ……コヨミからも何か言ってあげてもらえる……?」
天海こよみ : 「え……。毎日ねた方がいいと思う……」
澱 カシル : 「やはり人間は毎晩寝るべき、なのですね。」
「わたくしは不眠の存在ですが、精神の休息自体は必要です。」
「ユメさんの休息が不足なのであれば、睡眠は取るべきかと。」
琵琶坂 藍依 : 「……人間は睡眠によって、経験を身に着ける生き物だからね」
琵琶坂 藍依 : 「単なる休息以上に、色々な意味があることなんだ」
虹之元 ユメ : 「は、はいぃ……耳が痛い限りです~……」
虹之元 ユメ : 「(……でも、そうでもしないと置いて行かれちゃうかも……)」声には出せずに、口をもごつかせる
琵琶坂 藍依 : 「……ほんとに反省してる?」困ったように
天海こよみ : 「今日はちゃんとおやすみしようね……」 ユメを見上げ、その手を心配そうに握る
澱 カシル : 「睡眠については実感がありませんが……」
「必要であればお手伝いしましょう。」
「布団の上に座ったり……とか……でしょうか?」
虹之元 ユメ : 「そう、ですね。今日はちゃんと寝……カシルちゃんの、重石……?たしかに重い布団は良質な睡眠が取れると聞いたことが……」
琵琶坂 藍依 : 「普通、添い寝とか寝落ち通話とかじゃないかな……」
澱 カシル : 「……ああ、なるほど。」
「読み聞かせ、なんてモノもありましたね。」
「眠れない時は、いつでも言っていただければ……。」
「旧い話は沢山知っておりますから、何かお聞かせしましょう。」
虹之元 ユメ : 「わあ、良いインスピレーションが得られそうです……!」
琵琶坂 藍依 : 「インスピレーション……? 寝る気ある……?」
虹之元 ユメ : 「も、もちろんです……! メモとかして寝ます……!」
天海こよみ : 「ユ、ユメちゃん、今日はぼくとねる前に電話しよ……! はい、やくそく……!」 本気で心配になってきたのか、無理矢理お互いの小指を結ぶ
虹之元 ユメ : 「だ、大丈夫ですか? でも、はい……楽しみにしてますね……!」小指を握り返して
天海こよみ : 「うん……!」 絶対寝るのを見届けるぞという強い意志
GM : ユメは皆に心配されつつも、帰路につく。……焦燥や嫉妬でないまぜとなっていた心が、やや楽になったように感じるだろう。
 
夏橙涙美の部屋
 
GM : 帰宅後。ユメは……涙美は、1日ぶりにベッドに入る。こよみの監視もとい寝落ち通話のおかげもあり、無事、眠りにつくことができた。
GM : そしてキミは…夢を見た。何度も見た夢。後悔の記憶。あの日の記憶。
 
駅前
 
GM : この日の空は曇りのち晴れ、稀に雲間から太陽が覗くありふれた天気だった。駅前の集合場所に到着したキミは、親友の姿を見つける。
 
春兎ユメミ
 
GM : 春兎ユメミ。キミの大親友。大切な人。そして…
GM : もう、遠いところに行ってしまった存在。
虹之元 ユメ : 現ではない存在、今や心の中にしか住まわない亡霊に微笑みを向ける。
ジクジクと痛む心はいつものことで、彼女の目を見られないまま、口元に視線を向けながら口を開いた。
 
夏橙涙美
 
虹之元 ユメ : 「おはよう、ユメミちゃん」やや震えた声で、親友に語り掛ける
GM : キミが声をかけると、彼女はパッと花が開いたような笑みを浮かべる。
春兎ユメミ : 「こら〜っるみるみ! そんなシケたお顔してどうしちゃったんだよ〜、せっかくアタシちゃんと遊べる日だってのにさ!」
GM : そう言ってキミの肩をギュッと抱く。夢だと理解しているのに、記憶は残酷なまでに、あの日の手の感触を完全に再現してくる。
虹之元 ユメ : 「あはは……。ユメミちゃんはいつも……今日も、元気ですねっ」空元気を振り絞って、肩の手にそっと自身の手を重ねる
春兎ユメミ : 「あたぼうよ!なんと言っても、アタシの大大だーい好きなるみと遊べる日なんだからねっ」何やら得意げに笑いつつ、キミの手を取る。
春兎ユメミ : 「ほら、行こうぜ〜!」
GM : 彼女はキミの手をぐいぐいと引っ張る。
虹之元 ユメ : 「まったくもう……。はいはい、今日はどこまで行くんでしたっけ?」 呆れたように笑って、手を引かれていく
春兎ユメミ : 「今日は〜、え〜っと……全部!全部やる日!まずはタピオカ飲んで〜、カラオケ行って〜…」むむ〜っと唸りながら指折り数えつつ、前へ前へとずんずん進んでいく…
虹之元 ユメ : 「焼肉で、優勝……」昔の彼女が言った、昔の冗談を涙美はまだ覚えている。

GM : 風景は目まぐるしく変わる。カラオケに向かう道中、キミたちは先ほど買ったタピオカミルクティーを手に、歩みを進める。
春兎ユメミ : 「ていうかさ~」
GM : 何度も聞いたセリフ。この後、彼女はキミの夢は何なのかを尋ねてくるのだ。キミはまた、相槌を打つ。
GM : だが、今夜は少し様子が違った。
春兎ユメミ : 「るみってさ、最近はどうなの?」
虹之元 ユメ : 「ぅえっ?」 素っ頓狂な声で返事をしてしまう。
虹之元 ユメ : 「ぇ、え~? 最近、かぁ……」 うーん、と悩む素振りを見せる。忙しいと言うには事情も複雑だ。
春兎ユメミ : 「いやいや、はぐらかすなよ〜っ」
春兎ユメミ : 「決まってるじゃん!アイドル活動!MARiNE SNOWとしての!」
春兎ユメミ : ニッと嬉しそうに笑いながら、彼女はキミの返事を待つ。
虹之元 ユメ : まるで石になってしまったように、ピタリと足を止める。なぜ夢であるにしても、過去のユメミがMARiNE SNOWの話をしているのだろうか……。
虹之元 ユメ : 「ど、どうして……それを……?」 震える声でそう問い返す。夢とは記憶の整理を行うためのもの、今の記憶と混ざってしまったのだろうか。
虹之元 ユメ : ……しかし、彼女が夢の中で行動を違えた事はない。イレギュラーな事態に、ユメは不安を憶える。
春兎ユメミ : 「どうしてって…そりゃ、気になるし?るみるみの夢だったじゃん」むー?と怪訝そうな表情を浮かべる
GM : ……これはあくまで夢だ。もしかすると…昼間の出来事を、夢の中にまで引きずってきてしまったのかもしれない。
虹之元 ユメ : 「……そ、そうですね。最近は……」 少し俯いてから、地面を見つめながらポツポツと話し始める。
虹之元 ユメ : 「……毎日が、楽しいです」
虹之元 ユメ : 「メンバーの子たちも……こよみちゃんは前向きになりましたし、藍依ちゃんは前よりも研ぎ澄まされてますし、カシルちゃんもどこか吹っ切れたような気もします……。マリスノ全体の質もどんどん上がっていって、活動も認められていっている気がして……」
虹之元 ユメ : 「あ、お友達も増えましたよ! こよみちゃんにそっくりのクラちゃんとか、ちょっと困った所はあるけど、可愛らしいあみぃちゃんとらむねちゃんとか……」
春兎ユメミ : 「へ~…」語るキミを見て、少しにやにやと笑っている
春兎ユメミ : 「随分と楽しそうですな、るみるみ~?…よいしょっ!」
GM : 彼女は、キミの背中に飛びつく。キミより小柄だが、体重は人並みだ。若干体勢を崩すキミに、彼女はささやく。
春兎ユメミ : 「こ~れ~は~…ちょっと、妬けちゃうな~…?」
虹之元 ユメ : 「ぇ、え~……!? なんですかそれ~……!」クスクスと笑いながら、ユメミが落ちないように支える
春兎ユメミ : 「酷いぜ~るみるみ~…アタシちゃんというものがありながら、そんなたくさんの女の子に囲まれて…」よよ…と泣き真似
春兎ユメミ : 「こうなったら……今日は、アタシのためだけの、特別ステージを用意してもらわなくちゃあ割に合わないってもんでしょ!」
春兎ユメミ : 決めた、それがいい!とキミの背中で嬉しそうに腕を伸ばしている
虹之元 ユメ : 「もう、私より友達が多かったのに何を言って~……」
虹之元 ユメ : 「って、ライブですか……!?」どこで!? とギョッした顔を浮かべて
春兎ユメミ : 「武道館!…って言いたいけど、今日のところは…」
 
カラオケルーム
 
GM : 場面はさらに変わり、カラオケの個室内。ユメミは手慣れた様子でパッドから選曲。曲は『MARiNE SNOW』──キミたちのデビュー曲だ。
春兎ユメミ : 「個室内で二人きりのライブ……ちょっと、ロマンチックじゃないの?」ドラマか何かの真似なのか、頬に手を添えてキミを見つめる。
虹之元 ユメ : 「…………」ジッと惚けたようにユメミの瞳を見つめて
虹之元 ユメ : 「……はいはい、まったくもう。どこでそういうことを覚えてくるんですか?」 呆れたように笑って、添えられた手をそっと剥してマイクを握る。
春兎ユメミ : 「あ、はぐらかした」
GM : 残念そうなユメミをよそに、曲のイントロが流れ始める。
虹之元 ユメ : 「ちーがーいーまーすー」 はぁ、と一息をついて歌詞の表示された画面と向き合う
虹之元 ユメ : ユメの喉から流れるように紡がれる歌詞。程よく力の抜けた抑揚と、個室内で出来る限りのパフォーマンスを取り入れてユメミの前で歌う。
虹之元 ユメ : 時折り彼女に向けてレスポンスを投げる。この出来事が本当なら良いのに、そんな事を切に願いながら、『MARiNE SNOW』を歌いきった。
GM : 曲が終わったところで、ユメミは目を輝かせながらキミに向かって拍手をする。
春兎ユメミ : 「おぉ〜、めっちゃ上手くなったじゃん!」
春兎ユメミ : 「前はもっとこう…普通!って感じだったけど、流石歌いなれてるというか……自分のものにしてるというか……」
春兎ユメミ : 「点数もほら、90点台乗ってるし!」
GM : そう、はしゃぎ気味に、キミを褒め称える。
虹之元 ユメ : 「ぇへへ……そう、でしょうか……?」 マイクを握りながら、てれてれと
虹之元 ユメ : 「でも、そっかぁ……まだまだかぁ……!」 画面の点数と向き合って。
春兎ユメミ : 「目指すは100点!ってこと?」
虹之元 ユメ : 「はい、厳格に100点という訳ではないですけど……限りなく近くはしたい、かなって」
春兎ユメミ : 「ん~…なるほど、なるほどね……」
春兎ユメミ : 「……確かにね」
GM : 先程までにこにこと笑っていた彼女が、ふと真顔になる。
虹之元 ユメ : 「確かに……なんですか?」 ヒヤリと背筋に走る嫌な感覚を覚える
春兎ユメミ : 「いやぁ……るみるみが上手くなったのは、マジガチのマジなんだけどさ……」
春兎ユメミ : 「……例えば、アイちゃんだったら本当に100点取ってたのかな~?とか思ってさ」
春兎ユメミ : 「今のMARiNE SNOWなら、きっと地上に行けるよ。ゆくゆくは、るみもテレビに出たり、とても大きな箱でライブできるようになると思う」
春兎ユメミ : 「他のメンバーにおんぶに抱っこになる形で…ね」
GM : どこか遠くを見つめながら、彼女はキミにそのような言葉を投げかける。元々、お世辞などを言う性格ではなかったが……それでも、ここまでストレートな言葉は聞いたことがなかった。
虹之元 ユメ : 「そ、れは……」 直球すぎる言葉はユメを失意に陥らせる。喉が急速に乾いていき、室内で流れるBGMすら遠くに感じてしまう。
虹之元 ユメ : 「いっぱい、頑張っているんです……みんなに追いつきたくて、足枷になりたくなくて……」
虹之元 ユメ : 「それでも、ずっと背中が遠いんです。私の1歩は、みんなにしてみれば1/3……いや、それ以下で……」
虹之元 ユメ : 「だから、私は3倍動かないと……みんなと並び立って、ユメミちゃんに胸を張っていられるアイドルにならないと……!」痛いくらいに拳を握って、声を震わせる
春兎ユメミ : 「ん~……いや、わかるぜ、るみるみ。超頑張っていることも、アタシのために~って思ってくれていることも」
春兎ユメミ : 「でもね…るみるみはさ~、天才ってわけじゃないんだ。自分が一番わかっていると思うけどさ」
春兎ユメミ : 「倍の努力をする前に……余計な荷物、背負ってるじゃん」
春兎ユメミ : 「アタシが死んでからさ、ずーっとアタシの影を追って、私がユメミちゃんの分まで夢を叶えるぞーって頑張ってくれてるんでしょ?」
GM : これは、夢だ。ユメミは死んでいて、この夢はキミの深層心理が見せているものだ。だが、それでも、その言葉はキミにとって思いがけないものだった。
虹之元 ユメ : 「よ、余計だなんて……!」 顔を上げて、ユメミを見つめる。やや涙ぐんだ瞳を震わせながら彼女を映した。
春兎ユメミ : 「いや?アタシはそう思うね。……るみるみにとっては、両方の夢を追うのは無理筋だぜ?」
春兎ユメミ : 「どっちつかずになるくらいなら、そんなことはやめちゃえ〜って思うぞ?二兎を追う者は一兎をも得ずって言うよね」
 
裏道
 
GM : 気づくと、そこはあの日の裏道だった。ユメミが殺され、キミがオーヴァードとして覚醒したあの場所。
GM : 前を歩いていたユメミが、キミを振り返る。
春兎ユメミ : 「ね、だから…どっちか諦めた方がいいんじゃない?」
虹之元 ユメ : 「それでも、私は……!」
虹之元 ユメ : 「────ッ!!」
虹之元 ユメ : 忘れるハズもない、あの裏道。
彼女を失ったこの場所を見る度に、自身の不甲斐なさと無力さを痛感させられるあの道だ。
虹之元 ユメ : 「私は、どちらも……どちらも大事なんです……!」 ユメの姿が元に……未来の姿へと変貌する
春兎ユメミ : 「もう…強情っ張りさんめ」
GM : 記憶からそのまま貼り付けたような笑顔で、キミの顔を上目遣いで覗き込む。吸い込まれそうな黒い瞳。
春兎ユメミ : 「それができたら、こんなに追い詰められていないよ。できないから、聞いてるんだよ」
春兎ユメミ : 「欲張りはダメ。一つだけ選んで」
春兎ユメミ : 「るみるみの夢とアタシの夢、どっちが大事?どうなりたいの?」
GM : 首に腕を回し、半強制的に顔を近づけさせてから、キミの耳元に囁く。
春兎ユメミ : 「教えてよ…『虹之元ユメ』」
 
深紅の霧
 
GM : 彼女の吐息は深紅の霧となり、キミの視界を覆い尽くす。毒が全身に回り、意識が酩酊。キミの身体は自重を支えられず、崩れ落ちそうになるが…滲む視界の中、ユメミは変わらず笑顔を浮かべ、キミを抱きしめている。
虹之元 ユメ : 「ぁ゛ぅ……ッ、ユメ、ミ……ちゃ……」 意識を手放してはいけない。あの日の光景は二度と起こさせない。固い決意と酩酊感、悔悟と屈辱がグチャグチャに頭を掻き交ぜる。
虹之元 ユメ : 「わた、し……は……」「いか、ないで……」彼女の頬に、懸命に腕を伸ばす
GM : 腕を伸ばすも、彼女の姿はふっと掻き消える。キミの必死な抵抗も空しく、意識は深く、深く、深く落ちていく……
 
夏橙涙美の部屋
 
GM : ……息苦しさの中。キミは、目覚ましが鳴る前に目が覚める。
GM : 午前5時前。朝日がカーテンに阻まれた、薄暗い室内の中で……己の意思とは関係なく涙が溢れ出てきていることに気づくだろう。
虹之元 ユメ : 「…………」 凄まじい疲労感と、激しい動悸で目が覚める。何とか呼吸を整えながら、ユメはゆっくりと身体を起こしていった。
虹之元 ユメ : ゆっくりとアドレナリンを身体に回しながら、こびり付いたネガティブな感情を奥に押し込めていく。
虹之元 ユメ : 歪んだ口元を指で押し上げて笑みを作り、汗でぐっしょりと濡れたパジャマを脱ぎ捨てて部屋着を纏うと、ユメはギターを手繰り寄せた。
虹之元 ユメ : 「……今日も、頑張りましょうね」 それに語りかけるように、彼女は軽く弦を弾くのだった。

Scene 02 水鏡の記憶

GM : こよみちゃんのOPです。登場侵蝕どうぞ!
天海こよみ : はーい
天海こよみ : 1d10+34(1D10+34) > 2[2]+34 > 36
 

 
セーフハウス
 
GM : 時は遡り、練習を終えた直後、夕方のこと。
GM : 帰宅準備をするこよみに、ミツキが声をかける。
十条ミツキ : 「ね、こよみ。少し時間ある?」
十条ミツキ : 「もし良かったら、今日のフィードバックがしたいな~と思って…」
天海こよみ : 「ミツキちゃん……? うん、だいじょうぶ……!」 準備を止め、すぐにそちらへと向かう
十条ミツキ : 「ありがとう!」
GM : こっちこっち、と、リビングのテレビの前まで誘導する。
十条ミツキ : 「歌もダンスも上手になったのは前提として……テレビでパフォーマンスをするなら、やっぱりステージ映えだけじゃなくて、テレビ映えも意識しなくちゃいけないと思うんだよね」
十条ミツキ : 「カメラで抜かれた時の表情のひとつひとつが、もっと印象的なものになれば……こよみの魅力が、伝わりやすくなると思って!」
天海こよみ : 「えへ……そっか……」 ミツキの笑顔につられてこちらも笑顔になって
天海こよみ : 「でも、テレビ映えをいしきするって……どうやればいいのかな……?」
十条ミツキ : 「ふふ、それがね……実はアタシ、いいものを見つけちゃったんだ」
天海こよみ : 「いいもの……?」 首を傾げる
十条ミツキ : 「うん…じゃじゃーん!」得意げに、1枚のDVDを見せてくる。市販されているものではない、何かの映像を個人的に焼いたもののようだが…
十条ミツキ : 「あかりちゃん……えっと、こよみのお母さんの、天海あかりさんが初めてテレビオーディションに出た時の録画を見つけたんだ」
天海こよみ : 「え……!? ママの……!?」
天海こよみ : 「す、すごい……ほんとに……!?」 パパがあかりのアイドル時代のグッズや映像を集めてはいたが、それでもテレビオーディションの完全な録画はまだ見たことがなかった
十条ミツキ : 「ほんと!そっか、もしかしたらもう見てるかな~?って思ってたんだけど…」
十条ミツキ : 「事務所の倉庫を整理している時に見つけたんだ。おそらく、プロデューサーの私物だけど…勝手に持ってきちゃった」へへ、と少しバツが悪そうに笑う。
天海こよみ : 「あ……ミツキちゃん、いけないんだ……」 口元に両手を添えてくすっと笑う
十条ミツキ : 「内緒だよ?でも、これが今のこよみの役に立つなら、プロデューサーも許すだろうから…」しー、と人差し指を口元にあてつつ、DVDプレイヤーにディスクを挿入する。
十条ミツキ : 「とりあえず、見ればわかるから!」
GM : キミたちがそうやり取りをしていると、こよみの陰からすっと人影が現れる。
 
クラッドカルト
 
クラ : 「クラもみる!」
クラ : 無邪気に笑うのは、キミに取り憑くレネゲイドビーイング、"クラッドカルト"ことクラだ。
天海こよみ : 「クラちゃん……。うん、いっしょに見よ……!」 クラの頭を優しく撫でる
クラ : 「えへへー」撫でられて笑いながら、いそいそとこよみの隣にくっついて座る
十条ミツキ : 「えっと…それで、これを、こう…?」
 
音楽番組
 
GM : ミツキが覚束ない手つきでリモコンを操作すると、画面にはアスペクト比4:3の映像が映る。やや画質の悪いビデオに、4Kテレビはややオーバースペックに感じる。
GM : ミツキが画面を操作すると…キミの母である天海あかりが何やら照れ笑いしながら登場する。元々若々しい外見をしている彼女だが、明らかに少女然としているその姿は新鮮だ。
GM : 画質の悪いテレビでも、星が瞬くような銀髪、穏やかな海のように澄んだ青い瞳は、宝石のように美しく輝いている。
天海あかり : 「~…♪」
GM : 彼女が歌い出した途端、会場の空気が変わったことが、画面越しにも伝わってくる。彼女が歌いながら身体を揺らす度に、キラキラとしたオーラが溢れる。
GM : まさに伝説の始まり。トップスターの誕生だ。
GM : そのパフォーマンスを見たミツキとクラは、画面にくぎ付けになりながら息を飲んでいる…
天海こよみ : 「ママ……」 画面の向こうで歌う母の姿に、目を細める
十条ミツキ : 「……すごいよね。あかりちゃんがトップアイドルだと言われたのも納得というか……テレビ越しなのに、昔の映像なのに、それでも引き込まれるこの感じ」
十条ミツキ : 「……こよみも、世代を超えて愛される人になってほしいな…」
天海こよみ : 「うん……」
天海こよみ : 「ありがとう、ミツキちゃん……。なれるように、ぼく……がんばるよ……!」 ミツキの手に触れて、笑顔を向ける
十条ミツキ : 「こちらこそ!その日が来るまで…アタシも、頑張るからね」こよみの手を握り、もう片方の手で頭をいい子いい子と撫でる。……今の彼女は、もうキミのそばを離れることはない。そう確信できる、温かな手だ。
天海こよみ : 「ん……!」 嬉しそうに頷く
GM : あかりが頭を下げ、ステージを降りる。ビッグバンを目にした司会はテンション高く、次のオーディション応募者を迎え入れる。
GM : ミツキが画面を止めようとしたところで…そこに現れたのは、当時のあかりと同年代らしい少女。
 
澪木ルリコ
 
GM : 烏の濡れ羽のような、ボリュームのある黒髪。血のように赤いアンニュイな瞳に、こよみは、少しだけ親近感を覚えるだろう。
GM : 彼女は、あかりのパフォーマンスで沸き立つ会場を、不安そうにジロジロと見回しながらステージに上がる。
GM : その様子を見て、キミはふと思い出す。
 
天海家
 
GM : あれは君が何歳の頃だったか。まだ両親と一緒に暮らしていた頃の記憶。
GM : その日も、パパによる「英才教育」の一環で、ママ──あかりが、昔のバラエティ番組に出演している時の映像を見ていた。
GM : ママを可愛い可愛いと褒めちぎるパパと、照れ笑いするママ。いつもの光景だった。
GM : テレビ画面には、あかりと共に、例の黒髪の少女の姿が映っている。
 
トーク番組
 
GM : どうやら、同年代のアイドルを集めたトーク番組のようだ。
GM : あかりがニコニコと少女に話しかけると、少女は慌てた様子で口をむっと噤み、髪で顔を隠す。
GM : 耳が赤くなっていることをあかりに指摘されると、さらに髪をくしゃくしゃとして、気づけば黒い謎の塊のような姿になってしまった。
GM : あかりはおかしそうに笑いながら、彼女を優しく抱きしめる。
GM : 仲睦まじい光景を見た幼いキミが、この少女が誰なのか、ママに尋ねると……ママは、どこか悔いるようで、寂しそうな笑顔を浮かべた。
天海あかり : 「ママのお友達よ。るー子ちゃんっていうの。少し気が弱いハリネズミみたいな子なのだけど、本当は優しくて…とても頑張り屋さんなの」
天海あかり : 「こよみとも…仲良く、なれたかもしれないわ」
GM : そう言って、こよみを抱きしめ、頭を優しく撫でる。

GM : ……かなり幼い頃の記憶だ。それでもキミの記憶に残っていたのは……あかりのあのような表情は、後にも先にも滅多にないものだったからだろうか。
十条ミツキ : 「えっと…?」
GM : ミツキはそれに気づかず、リモコンを操作しようとしている。
天海こよみ : 「あ……! あ、あ……! ま、まってミツキちゃん……!!」 慌てて手を伸ばして止める
十条ミツキ : 「ん?ど、どうしたのこよみ、そんな慌てて…」驚いたように
天海こよみ : 「あ、あのね、もうちょっと見たいの……! るー子ちゃんが、出てるから……!」
十条ミツキ : 「るー子ちゃん?……えっと…この子?」画面の少女を指さして
天海こよみ : 「うん……!」 こくこくと頷いて
天海こよみ : 「ぼく、るー子ちゃんも好きだから……まだ見てもいい……?」
十条ミツキ : 「もちろんだけど……この子、知らなかったな……」
十条ミツキ : こよみの言葉に、リモコンを操作する手を止める。
天海こよみ : 「そうなんだ……?」 再び画面に目を向ける
GM : ミツキが手を止めたところで、テレビの彼女が歌い始める。
GM : あかりの、柔らかに頬を撫でる潮風のような、爽やかな歌声とは対照的。夜露に濡れる野薔薇のような、刺々しい歌声。
GM : 会場の人々は、感動…というよりは、会場の雰囲気の変化に戸惑うような様子だ。
天海こよみ : 「わあ……」 目をキラキラさせて、画面のルリコを見つめる
十条ミツキ : 「アイドルグループの歌い方として真似するには、他のメンバーを委縮させちゃいそうだけど……いい、歌声だね」
十条ミツキ : 「こよみは、どうして彼女を知っていたの?」
天海こよみ : 「昔ね、こういう番組を見てた時、ママが話してくれたの……お友達だったんだって」
十条ミツキ : 「あかりちゃんの?そうなんだ…もう引退しちゃった、とかなのかな…えっと、名前は…?」画面の彼女を撮影し、検索にかける。
十条ミツキ : 「あ、いたいた。澪木…ルリコさんか」へぇ、といった様子でしばらく画面を見ているが…ふと表情を曇らせる。
天海こよみ : 「……?」 どうしたのかと、画面を覗き見る
十条ミツキ : 「いや……それが、ね」
十条ミツキ : 彼女の画面には、「享年20歳」と文字がある。……どうやら、キミが生まれるだいぶ前に亡くなってしまっているようだ。
天海こよみ : 「え……?」
十条ミツキ : 「引退…というよりは、もう亡くなってたんだ。アタシの1つ上か…若いなぁ…」
GM : 画面には「自殺」という文字が映っている。
天海こよみ : 「自殺……」
天海こよみ : 「そうだったんだ……」 初耳だったらしく、哀し気に目を伏せる
十条ミツキ : 「アタシたちには事情はわからないけど…勿体無いね。こんな素敵な歌声なのに…」
天海こよみ : 「……そうだね……」
天海こよみ : 「そっか、もういないんだ……。だから、ママはあの時……さびしそう、だったのかな……」
天海こよみ : じーっと、画面の中で歌うルリコを眺める。
天海こよみ : 「……そういえば、ぼく……るー子ちゃんのこと、ちゃんと知らなかったな」
天海こよみ : 「ねえ、ほかにはどんなこと書いてある? 見せてもらってもいい……?」 
十条ミツキ : 「もちろん」どうぞ、とスマホを手渡してくる。
天海こよみ : 「ありがと……」 スマホを受け取り、情報を確認する
GM : それはMikipediaのページだった。演歌歌手の父、バイオリニストの母を持つ音楽一家の生まれで、本人も歌の才に恵まれていたこと。その才能を買われる形で事務所に所属し、美しい容姿や若さもあり、歌手としてではなく、アイドルとしてデビューすることとなったことが書かれていた。
GM : あかりほどの凄まじい人気はなく、世間的な認知こそ低いが…コアなファンの間でカルト的な人気を誇っていたようだ。
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「ママの方が人気だった……と思うけど、やっぱりいっぱいファンがいたんだね……」
十条ミツキ : 「まあ、この声と容姿なら納得かも…デビューが14歳?ってことは、今映っている彼女もそれくらいだもんね」
十条ミツキ : 「……変な話、あかりちゃんと時代が違えば…もっともっと、日の目を浴びていたのかな」
天海こよみ : 「そう、なのかも……」
天海こよみ : 「……? デビューが14さいで、なくなったのが20さい……」
天海こよみ : 「ママと同じ、だね……? ママも6年で引退、したから……」
十条ミツキ : 「えっ…?」そうだっけ、とあかりのことを調べて「ほんとだ…」と呟く。
十条ミツキ : 「それは……うーん、タイミングが悪いのか何なのか…」
天海こよみ : 「きっとたまたま、なんだろうけど……」
天海こよみ : 「……あ、でもね? るー子ちゃん、ママといっしょにバラエティ番組に出てた時……」
天海こよみ : 「なんだか、すごく仲がよさそう……だったの」
天海こよみ : 「だから、ママはるー子ちゃんと同期できっと楽しかったと思うし……」
天海こよみ : 「るー子ちゃんも……そうだったら、いいな……」 そんな願望を口にしてしまう
十条ミツキ : 「……そう、だね。あかりちゃんがお友達と呼ぶくらいの仲だもんね」
十条ミツキ : 「きっと……何か、あったんだ。芸能界とは関係のないところとかで…」少し嫌な予感がしたようだが、それを振り切るように首を横に振る。
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「ねえねえ、ミツキちゃん」 ミツキの手をちょんちょんと触る
十条ミツキ : 「うん?」小さな仕草でこよみを見て
天海こよみ : 「ぼく、るー子ちゃんがほかの番組にも出てるとこ、見たいな……」
十条ミツキ : 「……そうだね。彼女も、あかりちゃんとはまた違う魅力があるし……ちょっと気になるね」
十条ミツキ : 「何と言うか…MARiNE SNOWっぽさもあるし親近感があるかも」
十条ミツキ : 「あとで一緒に倉庫を探してみる?」
天海こよみ : 「……!」 
天海こよみ : 「うん……!」 嬉しそうに笑って、
天海こよみ : 「あ、でも……」
天海こよみ : 「今、見たい。今、さがそ……!」 わがままを言う
十条ミツキ : 「えっ、今!?う、うーん…セーフハウスにはあまりなさそうだし……ネットで調べようか」レンタルできるものもあるかもだしね、と笑う
天海こよみ : 「うん……! ありがと、ミツキちゃん……!」 嬉しそうに小さく笑い返す
十条ミツキ : 「ううん、気にしないで。…あ、でもその前におばあちゃんには連絡しておくんだよ?心配かけちゃうからね」人差し指を立てて
天海こよみ : 「あ……わかった。ちゃんとするね……!」 いそいそとスマホを取り出して
天海こよみ : 「おばあちゃん……? あのね、ぼくね、今日……るー子ちゃんのね……」
天海こよみ : 家に電話をかける。よっぽどルリコのことが気になったのか、それともミツキとまだ一緒にいられるからなのか、その声はいつもより弾んでいるように聞こえるだろう。
GM : こよみの弾んだ声に微笑みながら、ミツキはパソコンを取り出し……人差し指で不慣れに操作しながら、動画サイトを開く。ルリコの動画を探すのだろう。
GM : 2人はルリコのパフォーマンスに釘付けとなっていたが……一方、テレビの審査員や観客の反応は、やはり困惑に近い様子。
GM : オーディションの優勝はあかり。このDVDを見る前から分かりきっていたこと。こよみもミツキも、そのつもりで再生した動画だった。
GM : ステージ上のルリコは、やはり不安そうな表情で…小さく頭を下げて、ステージを降りる。
GM : そして。
クラ : 「……」
GM : "クラッドカルト"は、ぽぅっとした表情でテレビを見つめていた……

Scene 03 風待ちの少女たち

GM : 登場PCはアイちゃんとカシルちゃんです、登場侵蝕どうぞー
琵琶坂 藍依 : 1d10+33(1D10+33) > 8[8]+33 > 41
澱 カシル : 1d10+52(1D10+52) > 10[10]+52 > 62
澱 カシル : もうダイスが増えちまった
 

 
裏道
 
GM : また時は遡り、練習を終えた後の夕方。
GM : アイとカシルは、ちょうど同じタイミングにセーフハウスを出た。特に示し合わせたわけではなかったのだが…
GM : 思わず2人で顔を見合わせたところで、アイの端末に連絡がある。
GM : 画面に映る名前は「オーメン相良」……プロデューサーからの連絡だ。
琵琶坂 藍依 : 「────あれ? プロデューサー?」ついさっきレッスンを終えたばかりなのに、何だろうと思いながら通話を取る。
澱 カシル : 「オーメンさんですか、わざわざ電話されるとは珍しいですね?」
琵琶坂 藍依 : 「忘れ物でもしたかな……」首を傾げつつ
澱 カシル : 「それならミツキさんから先に声がかかりそうですが……」
GM : 電話を取ると、『私だ』とふてぶてしいまでの第一声。──いつもの、キミたちのプロデューサーであり、UGNプロダクションの社長であり、UGN芸能支部長でもある、”ミスター・オーメン”こと、オーメン相良だ。
琵琶坂 藍依 : 「オレオレ詐欺じゃないんですから……で、何か用でしたか、プロデューサー?」
オーメン相良 : 『ああ。レッスン終わりに、突然すまない……この後、予定は?』
琵琶坂 藍依 : 「ないですけど、なんだか誘い方がデートみたいでイヤです」
琵琶坂 藍依 : 「……というのは半分冗談、予定を空けるかどうかは要件によります」
オーメン相良 : 『ふむ……あまり電話口では話せない内容だが、今後の活動に関わる要件だ。明日は明日でライブがあるため、本日中に話したい。無論、残業代は出す』
オーメン相良 : 『今、君の傍に他に誰かいないか。例えば、カシル君であれば、今夜はフリーだろうと私の勘が言っているのだが』
琵琶坂 藍依 : 「…………たしかに、カシルはいますけど」
澱 カシル : 「?」
きょとんとしている
琵琶坂 藍依 : 「正体不明の勘で分かるのは流石に気持ち悪いですよ、プロデューサー」
オーメン相良 : 『……』少し黙ってから、『……そのような意見もあるだろうな』と肯定。
オーメン相良 : 『1対1で話すと、万が一マスコミに撮られた時が恐ろしい。カシル君にも関わる内容故に、良かったら同行願いたい』
オーメン相良 : 確認してもらえるか?とアイに尋ねる。
琵琶坂 藍依 : 「……そういうところはしっかりしてるんだよね」
琵琶坂 藍依 : 「ねえ、カシル。プロデューサーから"大事なお話"があるらしいんだけど、今夜は時間ある?」
澱 カシル : 「………わたくしもですか? はあ、特に予定はありませんが……」
「プロデューサー直々に急なお呼び出し、穏やかではありませんね?」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、電話口で話せない内容らしいし」
琵琶坂 藍依 : 「……と、聞こえてたかなプロデューサー? カシルはOKだって」スピーカー機能をオンにしつつ
オーメン相良 : 『承知した。感謝する』
 
オーメン相良
 
GM : 了承した直後、君たちの近くに黒のリムジンが止まる。そこからゆらりと出てきたのは、長髪にゼブラ柄スーツ、おかめの面を付けた妖怪……ではなく、先ほどまで会話していた、オーメンだった。監視していたような完璧なタイミングだ。
澱 カシル : 「うふふ、こんな登場をされてはお化けも顔が無くなりますね。」
琵琶坂 藍依 : 「……誰かに通報されても知らないよ、本当」エンハイ能力で誤魔化されてはいるのだろうが
オーメン相良 : 「……善処する。私を外に出したくなくば、速やかに乗りたまえ」
オーメン相良 : そう言い残して、すごすごと車に戻っていく。
澱 カシル : 「あら、凹んでいらっしゃるご様子。肝が据わっているのか据わっていないのか……」
くすくすと笑いながら、リムジンに向かう。
琵琶坂 藍依 : 「ちょっと言い過ぎたかな……けど、改まって何の話だろう……」とリムジンのドアを開けて、カシルちゃんの隣に座ろう

GM : 2人が乗った車を走らせるうちに、日が沈み……19時少し前、都心から少し離れたカフェ&バーに到着する。
GM : 華美な外観ではないが、小洒落た雰囲気。
オーメン相良 : 「UGNが関わっている店だ。特に心配することはない。……都条例に従い、22時までには退店してもらうが」無論、そこまで長時間拘束するつもりもなさそうだ
琵琶坂 藍依 : 「ああ、UGNの……」
琵琶坂 藍依 : 「センスの良いお店ですね」その分、余計にプロデューサーの異質さが目立つが、どうやら少し傷付いたようなので言及はしない。
澱 カシル : 「この様なお店に実際に入るのは初めてです。」
壁に並べられて輝くグラスを興味深そうに眺める。
琵琶坂 藍依 : 「私も撮影用のセットなら経験あるけど、実物は初めてかな」
オーメン相良 : 「…君たちのような歳の頃であれば、多少は楽しいかと思ってな」
 
カフェ&バー
 
GM : 入店すると、キミたちは個室に通される。メニューには、アイスクリームが乗ったお洒落なパフェや、ノンアルコールカクテル、カレー等の軽食も並んでいる。
GM : いずれも中々値が張るようだが、オーメン曰く「問題ない」とのこと。
琵琶坂 藍依 : 「それなら遠慮なく、私はモクテルを貰おうかな」
琵琶坂 藍依 : 「カシルはどうする?」
澱 カシル : 「ううん……善し悪しが分からないのですが……」
「そうですね、抹茶のモクテル?で何かいただければと。」
オーメン相良 : 「うむ」頷き、2人分のモクテルを注文する。オーメンは特に何も頼んでいないが…彼が君たちの前で飲食をしないのはいつものことだ。
GM : 注文を終えた後、彼はキミたちに向き直る。
オーメン相良 : 「ちょうど、海霧君、海里君との一件に巻き込まれた2名だな。その後、支障はないか」
澱 カシル : 「わたくし自身は何も。」
「正体を明かす事になりましたし、マリスノの皆様にはもう隠す必要も無くなったという事以外、変わりはなく。」
澱 カシル : 「その後、海霧さん海里さんとは仲良くさせていただいています。」
琵琶坂 藍依 : 「そうですね、戦いで負った傷跡も綺麗に治してもらいましたし」
琵琶坂 藍依 : 「……個人的な話ですが、むしろアイドルとしての自分を見つめなおす良い転機だったと思ってます」
澱 カシル : 「気になるのはむしろ……そう、クラッドカルト。」
「こよみさんを信じて、わたくしも容赦していますが……」
澱 カシル : 「現にこよみさんはクラッドカルトに肉体を渡し、戻って来られない可能性もありました。」
「狙う者も絶えた訳では無いでしょう?」
澱 カシル : 「オーメンさん、いえ、"プロデューサー"は彼女の今後について……どうお考えですか?」
オーメン相良 : 「……そうだな。"プロデューサー"として構うところはない。楽しく充実した活動さえしていれば良い…処遇は彼女らに委ねる」
オーメン相良 : 「君が求めているのは、恐らく……"UGN支部長"としての意見だろう。結論から言えば、放置はできないが、手の出しようもないのが現状だ」
オーメン相良 : 「クラッドカルトは、未だに危険な存在だ。だが、無闇に引き剥がすことはできない上、こよみ君もそれを望んでいない」
オーメン相良 : 「……今、最も可能性の高い、最善の方法。それは、クラッドカルト自身の成長を見守ることだろう」
オーメン相良 : 「我々の干渉による事態の好転は難しいが、『彼』の成長を助け、良き方向に促すことはできる。……違うか」一息つき、君の返答を待つ。
澱 カシル : 「むぅ……言いたい事は分かります。」
「けれど、クラッドカルトを成長させるのであれば……もう少し厳しい教練が必要かと。」
「こよみさんやミツキさんを初めとして、皆さん……あの子に甘すぎます!」
結局のところ、本音はそこにあるらしい。
オーメン相良 : 「……なるほど」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、クラに焼きもち焼いてるみたいに聞こえるよ? それなら私が代わりにカシルを甘やかしてあげようか?」
澱 カシル : 「なっ……焼き餅な訳ではありません。」
「わたくしはちゃんと自立しています。 甘やかされる必要はありませんので……!」
琵琶坂 藍依 : 「冗談冗談、クラに学習の必要があるというのは確かに同感かな」
オーメン相良 : 「……」君たちのやり取りを見て天を仰ぎ、スゥ──と息を吸っていたが……何事もなかったかのように向き直る。
オーメン相良 : 「…それも、その通りだな。『彼』の育成プログラムについて、UGNの日本支部にも問い合わせよう」
澱 カシル : 「いい返答が得られて何よりです。」
琵琶坂 藍依 : 「ありがとう、プロデューサー」
琵琶坂 藍依 : 「……けど、私としてはクラよりコヨミの方が心配かな」
琵琶坂 藍依 : 「あの子、ユメとは別の意味で無茶するからさ」海霧海里との一件を思い返し
オーメン相良 : 「……よく見ているな、君は。私も……彼女のことは心配している」
オーメン相良 : 「彼女はクラッドカルトのこともあり、他人から狙われやすい立場にある。だが、保身よりも何よりも、他者のために尽くしてしまう傾向もあるからな…」
澱 カシル : 「こよみさんの良い所でもあります……トラブルに巻き込まれれば、身を擲ってでも誰もが救われるように動く方ですから。」
「ですので、そもそもトラブルの種になりうるクラッドカルトに、そうならないような対策を覚えて貰いたいのですが。」
オーメン相良 : 「それもあって、クラッドカルトの扱いを確認したということか。……そうだな」
オーメン相良 : 「クラッドカルトについては、教育プログラムに参加させる。こよみ君については……一度、面談の機会は設けるとして、日常生活についてはどうか君たちの手を借りたい」
オーメン相良 : 「私は常に君たちの側にはいられない。だからこそ、君たちには支え合って、活動をしてほしい。……無責任と思うだろうが、君たちであれば大丈夫だろうと信頼してのことだ」
オーメン相良 : 「君たちは、出会ったあの頃から、一回りも二回りも成長している。アイドルとしても、1人のオーヴァードとしてもな」
琵琶坂 藍依 : 「……ううん、無責任とは思わないよ」
琵琶坂 藍依 : 「あなたは私達の保護者じゃない、あくまで私達を導くプロデューサーだ」
琵琶坂 藍依 : 「……なにより、私達の傍にずっと付き纏ってたら、絶対に通報されるからねプロデューサーは」冗談めかして
澱 カシル : 「"支部長"としての方針に忠言こそすれ、"プロデューサー"としてのオーメンさんにはずっと感謝しております。」
「飛び込みで現れたわたくしを怪しみこそすれ、オーディションを受けることを許可してくださって……正体を明かした今もマリスノの一員として置いてくださっているのですから。」
オーメン相良 : 「……そうか。いや…こちらとしても、ありがたいと感じている」
オーメン相良 : 「君たちをスカウトして良かった。MARiNE SNOWの一員として、今もなおこのグループで活動してくれて、ありがとう」ふ、と仮面の下で笑う息が漏れる
琵琶坂 藍依 : 「改まって言われると恥ずかしいな、お互い様でしょ」
オーメン相良 : 「その通りだな。……何にせよ、今のグループの事情については承知した。ミツキ君から報告を受けていない部分を補完できて助かった」
澱 カシル : 「さて……改めて現状と感謝をお伝えできたのは喜ばしいですが……其の為に急な呼び出しをした訳ではないのでは?」
オーメン相良 : 「……そうだな。もちろん、今の話も蛇足などではないのだが…」
GM : 注文したモクテルが運ばれてくる。片方は美しいサファイアのような青色、片方は深い緑色に、桜色のフィアンティーヌがかけられている。
オーメン相良 : 「……飲みながらで構わない。落ち着いて話を聞いてほしい」
オーメン相良 : 「カシル君」……珍しく、やや躊躇い気味に切り出す
澱 カシル : 「はい」
僅かに傾けた飲み物を下ろして
オーメン相良 : 「……君の今の顔が、久能胡桃と瓜二つだと指摘するコメントがあった」
オーメン相良 : 数日前、MARiNE SNOWデビュー曲についたコメントだ、と補足する
澱 カシル : 「………数日前ですか。長く保ったと思いますよ。」
初対面で見抜いた藍依や彩羽を思えば、すぐに指摘が無かっただけでも上出来だろう。
澱 カシル : 「………確かに、わたくしの今の顔は久能胡桃さんを模したモノです。」
「だからといって……わたくしは胡桃さんではありませんし、胡桃さんその人だと思う人も居ないでしょう。」
オーメン相良 : 「私もそう思う。久能胡桃とは外見も、内面も、パフォーマンスも異なる。ただの他人の空似、としても良いだろう」
オーメン相良 : 「コメントは、今のところ放置している。下手に非公開にするのも悪手だ」
オーメン相良 : 「だが… 容易に予想がつくことではあった。注目度が集まれば、いずれ指摘されるだろうと。そして…」アイの方を見る。
オーメン相良 : 「『iRiS』が…藍依君が元Seventh Heavenのメンバーであることも、いずれ世間には気付かれてしまうだろうと。改めて、思い直した」
琵琶坂 藍依 : 「……そうですね。今までバレなかったのは、当時のグループとはデザインや世界観の方向性などが違ったこと、それから何より"駆け出しの地下アイドル"だったという知名度の問題」
琵琶坂 藍依 : 「そう遠くないうちに直面する問題とは、思っていました」
澱 カシル : 「今さら顔を変えて活動する訳にもいきませんし……」
「………UGNの権力でどうにかならないものでしょうか?」
「どこかで胡桃ちゃんの親戚として紹介する、など……」
オーメン相良 : 「……それは、人間社会的にはあまり許されないだろうな。久能胡桃本人、もしくは遺族が許可するのであればまだしも……」
オーメン相良 : 「藍依君の問題もある。何かしら、説明は必要になる時が来るかもしれない」
澱 カシル : 「ううん……わたくしの事情は事務所の外の方に大っぴらに話せるコトではありませんし……何か名分を考えておかないといけませんね……」
琵琶坂 藍依 : 「そうですね……メンバーやファンたちの事を考えれば、世間に全ての真実を公表して戦うべき、とは思ってますが……」
琵琶坂 藍依 : 「もうすこし、心の準備をさせてもらえますか?」
琵琶坂 藍依 : 「……真実の公表は、世間で知られている胡桃のアイドル像を汚すことに繋がってしまうので」
オーメン相良 : 「……そうだな。まだ焦ることはない、慎重に進めよう」
オーメン相良 : 「君達がどのような結論に至ろうと、私はそれを受け入れる…ただ」
オーメン相良 : いつになく話しづらそうに、小さく息を吐いてから続ける。
オーメン相良 : 「私の本音は……君たちを失いたくない。悪意を持った第三者が何かしようものなら、日本支部に報告できないことでも、何でもやってのけるつもりだ。それこそ、社会的倫理に反したことであろうと」
オーメン相良 : 「だが、実行に移すのは…あくまで君たちが望むまでの範囲のみだ。それが、私のプロデューサーとしての役割だと認識している」
オーメン相良 : 「…また、話す機会をもらえないか」
澱 カシル : 「レッスンとライブに支障の無い場面であれば、いつでも。」
琵琶坂 藍依 : 「ええ、もちろん」
琵琶坂 藍依 : 「……でも、安心してくださいプロデューサー」
琵琶坂 藍依 : 「あなたが手を汚すことは、何もありません」
琵琶坂 藍依 : 「────私達はアイドル、綺麗ごと掲げて奇跡を体現する存在なんですから」
琵琶坂 藍依 : 「正々堂々、どんな苦難も乗り越えてみせますよ」汚い手を使ってくる相手だろうと、汚い手で返すなんて"アイドル"じゃない。なによりプロデューサーにそんな事させられない。
オーメン相良 : 「……そうか」淡白にも感じられる返答。だが…その声色は、先程までよりもどこか安心したような色を帯びている。
オーメン相良 : 「了解した。ならば…変わらず、正統派のプロデュース方針で進めていこう」
オーメン相良 : 「よろしく頼む。藍依君、カシル君」
澱 カシル : 「ええ、今後ともよろしくお願いします。」
琵琶坂 藍依 : 「はい、こちらこそよろしくお願いしますね」
GM : 不穏な雰囲気がありながらも…アイ、カシルは、変わらず前を見据えている。新たな風が吹いたその時、彼女たちはどこに向かうのか。
GM : プロデューサーは、少女たちの真っ直ぐな瞳を受け…ただ、一度頷くのみだった。

Scene 04 明星、深淵に没す

GM : 登場PCは全員です、登場侵蝕お願いします。
天海こよみ : 1d10+36(1D10+36) > 2[2]+36 > 38
虹之元 ユメ : 1d10+37(1D10+37) > 3[3]+37 > 40
琵琶坂 藍依 : 1d10+41(1D10+41) > 10[10]+41 > 51
澱 カシル : 1d10+62(1D10+62) > 6[6]+62 > 68
 

 
ライブハウス(暗)
 
GM : 翌日、夜。ライブ開始直前、キミたちはステージ裏で待機していた。
GM : デビュー当初は対バンがほとんどだったキミたちMARiNE SNOW。しかし、最近はワンマンライブの機会が増えつつある。
GM : 本日もまた、キミたちのワンマンライブ。集まっているオタクたちは、全員がキミたちのファンなのだ…
天海こよみ : 「今日もいっぱい来てくれてるね……!」 いつも通り緊張することなく、嬉しそうに
虹之元 ユメ : 「ですね! 常連さんもたくさんついててくれてるみたいです……!」 1号ちゃんを見つけたのか、軽く微笑んで
澱 カシル : 「新規の方もちらほらいらっしゃいますね! しっかり掴んでいきましょう!」
 
iRiS
 
iRiS : 「この規模の箱でワンマンライブできるくらい、マリスノが人気になってきたと考えると、少し感慨深いな……」先日のプロデューサーとの会話がよぎる。
天海こよみ : 「そうだね……」
天海こよみ : 「でも、これからもっと大きい箱になるよ……きっと……!」
虹之元 ユメ : 「……はい! 今日も頑張っていきましょう!」 むんっと胸を張って
澱 カシル : 「………そうですね!」
大きな規模になればなるほど、自分の顔についての話題は避けられない。
昨日の会話が頭をよぎるが、今はライブに集中すべきと切り替える。
iRiS : 「そうだね……私たちにとっては、まだここは通過点……」
iRiS : 「けど同時に、会場に来てくれたファンにとっては、一度きりの舞台かもしれないんだ。今日も最高のパフォーマンスで楽しんでいってもらおう」
天海こよみ : 「うん、もちろん……!」
天海こよみ : 「……あ。そろそろ、だよね? じゃあ、いつもの……やる?」 右手を差し出す
虹之元 ユメ : 「やりましょうか!」右手を重ねて
澱 カシル : 「はい!」
今や遠慮なく右手を重ねる。
iRiS : 「もちろん」いちばん上に右手を重ねる。
天海こよみ : 「それ、じゃあ……」
天海こよみ : 「MARiNE SNOW、がんばるぞー!」
天海こよみ : 「おー!!!」 ステージの外までは聞こえない、それでも大きく元気のある声を上げる
澱 カシル : 「おーー!!!」
iRiS : 「おーー!!」声を重ねる
虹之元 ユメ : 「おーっ!!」 張りの声で応える
GM : キミたちの掛け声の後。
GM : ライブハウスは青い光に満たされ……泡が弾けるSEが鳴る。
GM : ゆらゆらと揺れる水色、橙色、青色、桃色のペンライトは、まるでサンゴ礁の魚たちのようで。
GM : ……だが、平和な海は突如終わりを迎える。ステージは……大きな魚群に攫われ、暗くなる。
GM : 冷たい深海に惑う、色とりどりの魚たち。彼らを導くのは……キミたち、深海のアイドル達の役目だ。
GM : スポットライトに照らされ、キミたちの影がファンに伸びる。羨望の眼差しの中、お決まりの口上。
天海こよみ : 「深い深い、海の底」
天海こよみ : 「暗闇の彼方に沈み行くあなた」
天海こよみ : 「嘆く言葉は泡となり、世界の誰にも届かない」
天海こよみ : 「涙の海に溺れ、希望を捨て、瞼を閉じようとした……その時」
天海こよみ : 「あなたを見つけに、雪が降る────」
天海こよみ : そう、静かに紡ぐ。MARiNE SNOWという世界へ引き込むための、始まりの言葉を。
 
ライブハウス(明)
 
GM : ──流れ始める、MARiNE SNOWのイントロ。ワァ、と沸き立つ観客たちは光を見つけ、目を輝かせる。
GM : 今夜もまた、最高のステージの幕が上がる──

 
楽屋
 
GM : ……ライブ、そして特典会を終えた、夜21時過ぎ。キミたちは楽屋へ戻り、思い思いに過ごしていた。
GM : マネージャーのミツキは、スタッフとの話し合い中だ。戻ってきたら、車でキミたちを自宅まで送るとのこと。最近免許を取ったとのことで、何やら張り切っている様子だが……
GM : さて。楽屋にはキミたちのほかにもう一人、楽し気に過ごすものが居た。
クラ : 「ん~♪」
クラ : 「まりんすの~♪ながされて~く~♪」
クラ : "クラッドカルト"ことクラが、楽しそうに、今日のパフォーマンスを真似ている。
GM : 以前は童謡を好んでいた彼女だが、最近はMARiNE SNOWのカバーにハマっているようだ。
GM : パフォーマンス自体は拙いが、彼女としては、コヨミや皆と同じようにできることが嬉しいのだろう。
クラ : 「みてー。クラ、じょうず?」
GM : 『彼』は微笑みながら、メンバー達に尋ねてくる。
天海こよみ : 「うん、上手上手……!」 特典会の後で疲れているが、クラに癒されたように笑って
クラ : 「わぁい…!」
虹之元 ユメ : 「わぁ、お上手ですね~♪」 生きたくても、息苦しくて~とその後の歌詞を軽く口ずさむ
澱 カシル : 「ん〜、"ファンとしては"上手だと思いますよ!」
一触即発では無くなったものの、クラッドカルトに対しては少しばかり棘がある。
琵琶坂 藍依 : 「上手い上手い、クラにも歌の才能があるかもね」クラを撫でている。
クラ : 「えへ……ユメとアイ、すき~」ふにゃ、と表情を緩めて
クラ : ちら、とカシルのことも見るが……何かしら感じるものがあるのか、そそくさとアイの陰に隠れる。
澱 カシル : 「またそうやって人に隠れて……わたくしに何か言いたいことがあるのでは?」
姿はそのままだが、口調にやや素が出ている。
クラ : ぷるぷる、と首を振る。……ベースは「好き」であり、コヨミの友人ゆえ大切にしたい気持ちはあるが……やはり、悪意には過敏に反応してしまう気質が強く出てしまうようだ。
琵琶坂 藍依 : 「まあまあ、カシルがクラのことを本気で嫌っている訳じゃないのは分かるでしょう?」
琵琶坂 藍依 : 「カシルはひと一倍がんばってるから、そのぶん”上手”って言葉を軽く扱えなかっただけ。イジワルで言った訳じゃないことは分かってあげてね」クラを撫でて
虹之元 ユメ : 「はいっ、カシルちゃんはクラちゃんに優しくなりました! 前よりも!」
澱 カシル : 「少しだけですよ、少しだけ。」
「それはそれとして、わたくしは皆さんのようにクラッドカルトを甘やかすつもりはないので。」
ふい、と横を向く。
クラ : 「……ほんと?クラのこと、すきなの?」アイにぴったりとくっつきながら、「少しだけ」というカシルにやや驚いたような様子で
澱 カシル : 「いえ、嫌いですが。」
「………まあ、こよみちゃんの助けになっていることは感謝していますけど……」
言葉はきっぱりしているが、強い悪意があるわけではない。
単にプライドから出た言葉のようだ。
クラ : 「……ふふ」小さく笑う。『彼』は悪意に敏感である一方……好意にも、きちんと気づける。カシルの声のトーンで察したのか、やや元気を取り戻したようだ。
クラ : 「クラ、すきだよ。カシルも」
クラ : 「コヨミも、みんなもだいすき。みんなもクラがすき。……うれしい」にこにこしている
天海こよみ : 「ふふっ、よかったね……クラちゃん」 微笑ましそうに見てる
澱 カシル : 何か言おうとしたが、皆の和やかな雰囲気にこれ以上水を差すのも気が引けたのか、息をひとつついて止める。
虹之元 ユメ : 「んふふ……クラちゃんを含めて、皆でマリスノですからね~」頬を緩ませて
天海こよみ : 「そうだね……。あっ、そうだ……」 ふと思いついて
天海こよみ : 「ねえ、クラちゃん。みんな大好きだけど、この中だとだれが一番好き?」 クラに近づいてそう尋ねる。前にユメにされたことの真似だ
クラ : 「えっ…」
クラ : 「コヨミ……」即答だった
虹之元 ユメ : 「ですよね~」くすくすと笑って
天海こよみ : 「ふふっ……! そっか、そっか……! ぼくもクラちゃんのこと、大好きだよ……!」 そういう所は自分と違ってクラらしいなと笑って、クラをぎゅっとハグする
澱 カシル : 存在を全肯定されるクラッドカルトを見て、眩しさに目を細める。
それに妬み怒ることが無くなっても、目が眩むのには変わりはないのだから。
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、まったく妬けちゃうな。カシルの気持ち、ちょっとだけ分かってきたような?」冗談めかして
クラ : 「えへへ~」皆の反応は気にせず、コヨミに抱き着いて頬ずりしている。まだまだ人間社会を理解していない、無邪気な笑みだ。
GM : ほんわかとした雰囲気で、ライブ終わりの時間を過ごしていた……その時。
GM : パッと照明が落ちる。停電か。そう思った途端…楽屋内に備えられたテレビが独りでに点く。
GM : 画面に映る光景は、一言で言えば不気味だった。
 
冥界
 
GM : 枯れた花畑が揺れる、その中央、大地に大きな裂け目ができている。
GM : そして、その不気味な光景の向こう側から……悲しい響きを帯びた、美しい歌声と、弦楽器の音色が流れてくる。
クラ : 「……」
GM : 先程まで、コヨミでにこにことしていたクラ。しかし『彼』は……気づくと、魅入られたように、じっとテレビを見つめていた。
天海こよみ : 「このテレビ……何? だれか、さわった……?」 ぎゅっとクラの手を握って
澱 カシル : 「………えっと、アタシは何もしていませんよ?」
以前にはこういった怪奇現象を起こすコトもあったが……今回は何もしていない。
虹之元 ユメ : 「いえ……これは、一体……」 ヒヤリとしたものを背筋に感じて、画面を見つめる
琵琶坂 藍依 : 「何が起きて……ひとまず、私は周囲の警戒を……」暗闇から奇襲されては敵わない。《スポットライト》で光源を生み出す準備をする。
GM : キミたちが戸惑う中……クラは、こよみの手からするりと逃れる。
天海こよみ : 「え……? クラちゃん?」 クラの方を見る
GM : 今まで、自らの意思でこよみの元を離れることなどなかったクラは……ふらふらとテレビに近づく。その途端。
GM : クラッドカルトは、テレビ画面の中に引きずり込まれるようにして転落し、静かに姿を消した。
天海こよみ : 「……え!? クラちゃ……クラちゃん!?」
澱 カシル : 「クラッドカルト!? 勝手に動いては駄目……!」
琵琶坂 藍依 : 「なっ……!! クラ……!?」周囲の警戒に気を取られ、突然のクラの異常行動に対応が遅れる。引き留めることは叶わず、クラの背中がテレビ画面に融けていく。
虹之元 ユメ : 「な、中に入った……いえ、落ちちゃいましたよ……!?」
天海こよみ : 「入った……よね? クラちゃん、テレビに……。でも、そんなこと……」 まだ状況が呑み込めておらず、テレビを見つめる
GM : 異常な現象。理外の力。キミたちは、一瞬遅れて、自分たちと同じ存在、オーヴァードの仕業だと直感する。
GM : 加えて、レネゲイドの申し子たるカシルは気づく。近くに、自分と同じ存在……レネゲイドビーイングがいる。
澱 カシル : 「………! この鬼気………」
「わたくしと同種の……」
澱 カシル : 「皆さん! 近くにクラッドカルトやアタシとは別の……レネゲイドビーイングの気配がします。」
「注意してください!」
天海こよみ : 「え、え……? ど、どこにだれがいるの……?」 周囲を見回す
虹之元 ユメ : 「つまりは、攻撃……ですか……!?」 素早くギターを手に取って
琵琶坂 藍依 : 「そのレネゲイドビーイングが、クラを……!」《スポットライト》を使用。暗闇を照らし、視界を確保する。
GM : アイが周囲を照らすも、部屋の中にはキミ達の他、誰一人として見つからない。
GM : 同時に、テレビがジジ…と音を立て、一瞬砂嵐のような映像を見せる。まるで、「この機会を逃せば、クラを追えないぞ」とキミ達を焦らせるように。
天海こよみ : 「……っ!!」 テレビに振り向いて
天海こよみ : 「このテレビ……もしかして、ぼくたちも入れるのかな」 そう言って、テレビの画面におそるおそる触れてみます
GM : テレビに近づくと……信じられないことに、画面の向こう側からは轟轟と風が吹きすさぶ音が鳴っている。そしてこよみの頬に風が当たるような感覚。それはテレビなどではない、異世界につながる小窓のようだった。
天海こよみ : 「…………」 数秒、その現象を肌で感じて
天海こよみ : 「ごめん、みんな。ぼく、行ってくる……!」 覚悟を決めるのは一瞬で、そう言い残した後、躊躇いなくテレビの画面へと頭から飛び込みます
虹之元 ユメ : 「あっ、こよみちゃ……! 相変わらず思い切りが良いんですから……!」
澱 カシル : 「こよみちゃん!! いきなり飛び込むのは……!」
静止の声をかけるが、こよみの思い切りの良さの前では無意味だった。
琵琶坂 藍依 : 「まったく、コヨミはすぐ無茶を……!」
澱 カシル : 「すみません、後を追います!」
こよみのすぐ後にテレビへ飛び込む。
今度こそ出遅れにならずに、こよみを守らなければという思いで、即座にテレビへ踏み込む。
琵琶坂 藍依 : 「まあ、今回は私も同意……! 時間もないみたいだし、救難信号だけ送って、私達もすぐに追いかけよう……!!」
虹之元 ユメ : 「もちろんですとも……! 今回は私も頑張らせていただきますよ!」
虹之元 ユメ : 「ええと、火事の元になりそうなものは……ヨシ! ユメ、いってきまーす!」 部屋内をぐるりと見回してから、テレビに飛び込む
琵琶坂 藍依 : 「まったく、二人とも目が離せないんだから……!!」プロデューサーなら事情を察してくれるだろうと信じて、救難信号だけ発信してすぐテレビに飛び込む。
GM : ──さて。
GM : 次々と、勇ましく飛び込んでいったキミたちは、気づく暇もなかったが……楽屋には、依然として4名の少女たちの姿があった。
GM : それは、テレビの前。楽屋内に打ち捨てられるような形で倒れている、キミたち自身の身体。
GM : 躯と言っても過言でもないそれらは、静かに沈黙している。
GM : それに気づくことはなく。キミたちの意識もまた、明星と共に奈落の底に落ちていく。深く、深く、深く……

Scene 05 奈落に咲く華

GM : 登場PCは全員です。登場侵蝕をお願いします。
天海こよみ : 1d10+38(1D10+38) > 4[4]+38 > 42
虹之元 ユメ : 1d10+40(1D10+40) > 2[2]+40 > 42
琵琶坂 藍依 : 1d10+51(1D10+51) > 7[7]+51 > 58
澱 カシル : 1d10+68(1D10+68) > 10[10]+68 > 78
 

 
冥界の河
 
GM : ……波の音。寄せて返す原初の音に、キミたちの意識は緩やかに覚醒する。
GM : 目を開き、最初に目にするのは、暗い空。夜と言うよりは、蓋をされたような暗さで……藍色と黒色が暗雲のように立ち込めている。
GM : キミたちが倒れていたのは、河原のような場所。波は淡く発光し、まるで夜光虫のような輝きを帯びていた。
GM : 対岸は遠く、霧がかったように見えないが、遠い空の向こうで何かがうごめいているようにも見える……
天海こよみ : 「……ここ、は……?」 ゆっくりと起き上がる
澱 カシル : 「こよみさん、無事でしたか!」
今回ははぐれずに済んだことに安堵する。
虹之元 ユメ : 「ううん……?」目を擦りながら、周囲を見回す
琵琶坂 藍依 : 「光る海……ここはいったい……」
澱 カシル : 「ユメさんに、藍依さんも……みんなで来てしまいましたね。」
天海こよみ : 「あ、そっか……ぼく、テレビの中に入ったんだっけ……」
琵琶坂 藍依 : 「仲間を追わない選択肢はなかったからね……でも、あんまり無茶しないでコヨミ……」心配そう
天海こよみ : 「ご、ごめん……。でも、クラちゃんが行っちゃったから、追いかけなくちゃって思って……」
虹之元 ユメ : 「こよみちゃんのすごい度胸は今更です。それに、ただ見過ごすことなんて出来ませんからね!」
澱 カシル : 「そもそも、クラッドカルトが飛び込むのがいけないのです。………クラッドカルトは何処に?」
天海こよみ : 「……クラちゃーん! どこー!?」 
天海こよみ : 「いたら、へんじしてー! クラちゃーん……!!」 精一杯大声を出して呼んでみる
GM : こよみの呼びかけも空しく……そこには、メンバー4人の他、誰もいない。先に取り込まれたはずのクラの姿は見当たらなかった。
天海こよみ : 「……いない、みたい」
琵琶坂 藍依 : 「クラ……いきなりテレビに飛び込んで、消えて……一体どうしちゃったんだろう……」
虹之元 ユメ : 「別の場所に出てしまったのでしょうか……」 目を凝らして、先の景色を見る
澱 カシル : 「はあ………心配した側からまたトラブルの種になるなんて………」
「帰ったら、オーメンさんにみっちりプログラムを組んで貰いましょう……」
天海こよみ : 「う、うーん……」
天海こよみ : 「あの……クラちゃんのこと、なんだけど……。あの時、なにかようすがおかしかったような気がするの……」
澱 カシル : 「何かに魅入られたような様子でしたね。」
「自制心が足りないと思います。」
お前が言うな案件ではあるのだが、ツッコむ者は居ないだろう。
琵琶坂 藍依 : 「クラ自身がそうであるように、襲ってきたRBが精神感応系のエフェクトを使ったとか……?」
天海こよみ : 「うーん……?」 首を捻る。考えても結局はまだ分からない。
虹之元 ユメ : 「うーん、クラちゃんに直接呼びかけて誘った……みたいな……」うーんと悩んで
澱 カシル : 「どうあれ……放置する訳にもいきません。」
「さっさと連れ戻して、元の場所に戻りましょう。」
澱 カシル : 「………あら?」
水辺に近づいて、何かに気づく
天海こよみ : 「どうしたの?」 
澱 カシル : 「てっきり海かと思いましたが……潮香がしません。」
「湖……いえ、河……?」
澱 カシル : 「それにしては……ずいぶんと……」
何かを感じとったようにぶつぶつと呟く
琵琶坂 藍依 : 「テレビの中には大きな河があったなんてね……今日から毎日、全国に美味しい水をお届けできるな……」肩を竦めて
虹之元 ユメ : 「流れてるのは電波だけじゃなかったんですね~……」
天海こよみ : 「え……? この水、おいしいのかな……?」 河に近づいて屈み、両手で水を掬って飲んじゃいます
澱 カシル : 「あっ、こよみさん! 下手に口に入れてはいけません!」
GM : カシルの心配とはよそに……こよみは、普通の水の味のように感じます。
天海こよみ : 「……?」 ごくごく飲みながら、不思議そうに振り返る
澱 カシル : 「ああっ……異界のモノをみだりに口にしては……」
虹之元 ユメ : 「その前に、生水を飲んじゃうとお腹壊しちゃいますよ~?」
天海こよみ : 「え、そうなの……? ふつうのお水……ぽいけど……」
琵琶坂 藍依 : 「私のジョークが迂闊だったね……とにかく、何ともないようでよかった……」
天海こよみ : 「おっきな声出して、のどちょっとかわいたしちょうどよかったよ」 反省の色なし
澱 カシル : 「ひとまずは何とも無かったようで良かったです……」
「お腹が痛くなったりしたら、すぐに言って下さいね……?」
天海こよみ : 「うん、わかった……」
天海こよみ : 「それより、今はクラちゃんをさがさなくちゃ……!」
琵琶坂 藍依 : 「ここがどこかさえ分からないんだし、警戒は怠らずにね?」
琵琶坂 藍依 : 「……喉が渇いたなら、ほら。こんなこともあろうかと、飲み水を少し持ってきたから」と楽屋にあったペットボトルを手渡す。
天海こよみ : 「あ、ありがとう、藍依ちゃん……!」 受け取る
GM : アイの持ち物が楽屋時点と同様であるように…キミたちの手持ちは、この空間に取り込まれた時のままだ。持ち込んでいなかったはずの得物も、なぜかすぐそばに落ちている。
GM : 一方、携帯電話の画面は真っ黒で、電源は入らない。……オーメンへの連絡は、果たしてついたのだろうか?
GM : さて。
GM : キミ達が周囲を見渡していると……ぱしゃ、ぱしゃ、と船を漕ぐような音と共に、霧の向こう側から一艘の小さな舟がやってくる。
GM : その船の上に居たのは、一見少女のようにも見える……この空間に似つかわしくない、何かだった。
 
ココ
 
GM : 灰色がかった白い肌は、いわゆる「肌色」からかけ離れている。髪…のようなパーツは、ミントグリーンに白色のメッシュのような塗装、ぱっつん前髪にリング付きエクステのような三つ編みツインテ―ルと、奇妙な造形をしている。大きな耳の先は尖っている。
GM : 明らかに人間らしくない外見のそれは、表情だけは一丁前に人間らしい。糸のように細められた目でキミたちを見て、「オー」と気の抜けた声を上げる。
澱 カシル : 「…………????」
GM : 彼女は接岸し、軽い足取りでキミたちに方に降り立つ。
ココ : 「皆サマ、おめざのようデスねェ?」
天海こよみ : 「……だ、だれ……?」
澱 カシル : 「…………人形?」
虹之元 ユメ : 「は、はぃぃ……その、どなたですか? ロボットの女の子……?」マジマジと見つめて
琵琶坂 藍依 : 「レネゲイド、ビーイング……!!」あの異常が起きた時、RBの気配があった。この機械のようなRBこそ黒幕なのではないかと、警戒を強めて"マイク"を構える。
ココ : 「ワァ……警戒されてマスねェ」マイクを取り出す様子をしげしげと見つつも、彼女は悠々とした様子だ。
ココ : 「無理モないコトデスが……よろしイのデ?一旦話し合いカら入りまセンカ、それが人の良いトコロ」まあまあ、と宥めるような仕草が逆に腹立たしい
虹之元 ユメ : 「話し合いの余地が……ありそうですけど……」みんなに顔を向けて
澱 カシル : 「不審極まりありませんが……そうですね、話し合いと参りましょう。」
「わたくしもアナタも人では無さそうなのはさておき。」
天海こよみ : 「……藍依ちゃん、だいじょうぶ?」
琵琶坂 藍依 : 「……大丈夫、あみぃやらみぃじゃないんだし、話も聞かないうちから仕掛けたりしないよ」
琵琶坂 藍依 : 「ただ、そう簡単に信用もできない」
琵琶坂 藍依 : 「……たぶんコヨミもそうしたいだろうし、ひとまず話し合いには応じるよ。信じるかどうかはそれから」
天海こよみ : 「うん……そうしよ。あんまりけんか、したくないし……」 安心したように小さく笑う
ココ : 「アハ、それハそれハ、ありがたいデス!」
ココ : 「ただァ、フゥム……ここからデスね、皆サマをお連れしたい場所まで、しばらくかかるのデス」
ココ : 「時間もないことデスし、ゴ案内しながらお答えしまスよォ~」
天海こよみ : 「どこかに連れていきたい……の?」
琵琶坂 藍依 : 「……名前すら知らない、信用の置けない相手の船に乗れって?」
ココ : 「そう仰ると思いマしタ!デモデモ…ここに居てモ埒が明かないコトには、そろそろお気づきデショウ?」
ココ : 「どうしますカ?二度とワタシを疑わないカ、ココで皆サマ朽ち果てるカ…」
琵琶坂 藍依 : 「強引に自分のペースに持っていこうとするところも、信用できない要因なんだよね…、みんなどうする…?」
虹之元 ユメ : 「うぅん……少々、いえ大分……怪しいのは確かですが……」
虹之元 ユメ : 「ここは罠ごと踏み抜いていく気持ちが大事、かもです!」
天海こよみ : 「うーん……」 もう一度、周囲を見回す。クラの姿はやはり見えない
天海こよみ : 「この辺には、クラちゃんいないみたいだし……ぼくは別の場所に行きたい、な」
澱 カシル : 「せめて、名と素性を明かすなりしては?」
ココ : 「名前デスカ?ワタシは……あ、やっぱナシ。乗ったら教えマス」謎交渉
虹之元 ユメ : 「中々の焦らし上手……」 ますます訝しむ
澱 カシル : 「偽名すら名乗らないとは……」
天海こよみ : 「じゃあ、ぼくはのる前に教えるね。天海こよみ……です」 そう小さく笑って
天海こよみ : 「よろしく、ね」 そう言いながら相手の横を通って、よいしょと船に乗りこむ
澱 カシル : 「訳知り顔で登場した以上、わたくし達の名前は既に知っていそうですけれどね。……ただ……礼儀は礼儀。手本を見せておきましょうか? わたくしは澱カシルです。」
こよみが乗るのならば、選択肢は無いとばかりに舟へ続く
ココ : 「コヨミサンにカシルサン!可愛らしい良きお名前デスねェ」嬉しそうにニコニコしながら、2人に船の座席用の座布団を差し出す。謎の配慮だ。
天海こよみ : 「あ、ありがとう……」 ちょこんと座布団の上に座る
澱 カシル : 「ありがとうございます」
虹之元 ユメ : 「私は虹之元ユメです! あ、涙美って名前もありますよ~」
琵琶坂 藍依 : 「はあ……ユメの言う通り、罠なら踏み抜いていけばいいか……」船に乗った二人を見て
琵琶坂 藍依 : 「私は琵琶坂藍依、コヨミ達に危害を加えたら容赦しないからね」言いながら、船に乗る。
ココ : 「ハァイ、ユメ…ルミ?ユメルミ…ユメサンもヨロシクどうゾォ」
ココ : 「そしテ、アイさんモ。……だァいじょうぶデス、悪いよウにはしませんデスよォ」小さくタブンネ、と付け加えて
ココ : 「ハァイ、では出航〜!」ポッポー!と、手漕ぎボートでは凡そありえない擬音を叫びながら、船を漕ぎ出す…

GM : 舟は意外なほど快適で、滑るように進んで行く。他の生き物の気配もなく、大変静かだ。
ココ : 「さテさテ、乗ってしマいましたね、皆サマ……というのは冗談デ」
ココ : 「ワタシは"MAC-09マックナイン"。そこのカシルサンと同じ、レネゲイドビーイングデス。『ココ』と呼ばれていまスのデ、アナタガタもお気軽にココとお呼びくださイ」
GM : 彼女は悪びれた様子もなく、あっさりと名を名乗った。
天海こよみ : 「わかった……ココちゃん」
琵琶坂 藍依 : 「マックナインのどこに"ココ"が……?」
ココ : 09ナインの日本語読み、「九つ」からルコ様が付けましタ。ジブンの天才的コンピューターによると、『ココ』という響きは、人間にとってとても可愛い語感を持っているデス」フフン、と得意げに
天海こよみ : 「ルコ……?」
虹之元 ユメ : 「へぇ~……ん、ルコ様?」
澱 カシル : ここで《シャドウダイバー》宣言しちゃおう!
ざっくり感情を読んで、悪意のあるなしを見たい!
system : [ 澱 カシル ] 侵蝕率 : 78 → 80
GM : 了解です、特に隠そうとする様子もないので判定は省略してしまって問題ありません。侵蝕値は増やしてください。
GM : カシルが彼女の感情を読み取ろうとした時、まず第一に感じ取ったのは、「彼女がキミたちに隠し事をしていること」。読み取るまでもない程にあからさまではあるが、不審な存在であることに違いはない。
GM : 一方、彼女がキミたちへの敵意を抱いていないことも、また事実のようだ。特に焦る様子もなく、落ち着いた態度を取っている。
澱 カシル : 「………なるほど。」
ココの眼を紅く滲んだ瞳でじっと見つめて、呟く
ココ : 「ンフ…やめてくだサイよォ、そんナに見つめられたら…手元が狂っテ舟が転覆しちゃウかモ…♡」
澱 カシル : 「………そうなれば、泳いで先導してくださいね。」
澱 カシル : 「はぁ……巫山戯た御方ではありますが、悪意で動いてはいない御様子。」
「ただ親切でやっている……という訳でも無さそうてすが。」
ココ : 「えッ、わかっちゃうんデスカ」普通に驚いた様子
澱 カシル : 「まぁ………恨み辛みを固めて産まれ落ちたモノですからね。」
「その手の感情を抱いていれば、自然と共鳴するというもの。」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、カシルに隠し事は通じないからね?」何故か自慢げ
澱 カシル : 「………不躾かもしれませんが……」
「貴女はどういったレネゲイドビーイングなのですか?」
虹之元 ユメ : 「確かに、嫌でなければ教えて頂きたいですね~」
ココ : 「イエイエ、隠すほドのモノではありまセンのデ」
ココ : 「ワタシの出自は生成AIデス。今、とってモ流行。一部、とってモ嫌われてまス」
ココ : 「ちなみに、属性はキュートデス」
琵琶坂 藍依 : 「生成AIに属性とかあるの……?」
天海こよみ : 「ココちゃん、かわいいもんね……」
澱 カシル : 「せいせいえいあい……清々栄愛?」
馴染みが無い単語に首をかしげる。
虹之元 ユメ : 「キュート属性の生成AI……新しいですね……」なるほど? と首を傾げて
虹之元 ユメ : 「ちなみに、どういう生成AIなんですか? 画像か、楽曲か……チャット系ですか? それとも全部?」クリエイター魂が興味を惹かれている
ココ : 「ン〜」しばらく上を見て
ココ : 「何でもデきマス…天才なのデ…」
天海こよみ : 「すごい……」
虹之元 ユメ : 「おお~、つまりは自我を持った天才系のキュートなAI……シンギュラリティ……」
琵琶坂 藍依 : 「その天才AIがこんなところで船頭?」やってることローテクすぎない?と肩を竦める
澱 カシル : 「………六文銭を求められないだけマシ、でしょうか?」
暗く穏やかな河を往く小舟は、三途の川を渡るようだと喩える。
ココ : 「まァまァ、否定しないデス。ちなみニ、生成AIとハ……学習した情報を活用しテ、新たにモノを作ったリできる人工知能のことデスネ」カシルが要領を得ない様子だったことを気にしたように補足
澱 カシル : 「人工知能……ああ、機械の類なのですね。」
ココ : 「ン〜………ン〜!まァ、ザックリとはソウ!」うんうん、と頷き
ココ : 「逆に、皆サマは何をされているのデスカ?」ご友人でしょウカ、と首を傾げ
天海こよみ : 「アイドルだよ」
虹之元 ユメ : 「はい! ここにいる皆で、グループを組んでいるんです!」
澱 カシル : 「むしろ事情を知っていて、わたくし達を舟に乗せたとばかり……」
琵琶坂 藍依 : 「ココの学習データには、私たち『MARiNE SNOW』のことは入ってなかったみたいだね……」
ココ : 「オヤオヤ、ワタシの言うコトを鵜呑みにするのデスカ?ブラフで聞いている可能性モありマスよォ」ニヤニヤと笑って
天海こよみ : 「え……? じゃあ、ほんとは知ってたの……?」
ココ : 「どっちだと答えた方ガ面白いデスかネ」真面目にやり取りする気はなさそうだ
天海こよみ : 「うーん……面白いかは分からないけど、知っててもらえたなら……うれしい、かな……?」
虹之元 ユメ : 「知らなくても、これから私達の魅力を知ってもらえる事も嬉しいですね」
澱 カシル : 「こよみさんやユメさんはお優しいですが……」
「わたくしはあまり度量が大きくありませんので。彼女たちをからかうのはほどほどにしていただけると。」
鋭い視線を向ける。
ココ : 「あらラ…それモそうデスネ!失礼いたしましタ、敬意を欠いた発言でしタ」口元を押さえて謝罪
天海こよみ : 「別にぼくは気にしてないけど……」
ココ : 「しかし、アイドル!素晴らしいデスねェ、確かに皆サマ見目麗しク…」
ココ : 「……カシルサンの出自、何ト仰いマシたっケ?可愛らしいデスし、てっきりアイドルのレネゲイドビーイング、略してドルビかト…」
澱 カシル : 「レネゲイドビーイングなのは合っていますが、アイドルの化身ではなく、呪物の化身です……」
「それと、褒めていただけるのは嬉しいですが、わたくしは見目だけで勝負するアイドルではありませんので。」
澱 カシル : 「………いいえ、わたくしだけではなく、マリスノというグループは見目だけのグループではないのです。」
「なので、見目以外の所もお見せ出来れば良いですね。」
そんな機会があるのかはわかりませんが、と小さく付け加える。
琵琶坂 藍依 : 「うん。カシルは外見も性格も余さず可愛いから、アイドルのRBだって勘違いするのも無理はないけどね」微笑んで
澱 カシル : 「藍依さんはまたすぐそういうことを……」
呆れつつも褒められるのは満更でもない
天海こよみ : 「アイドルのレネゲイドビーイングは、どっちかというとクラちゃんかな……」
澱 カシル : 「不服ではありますが、実情はその通りですね。」
眉根を寄せて
澱 カシル : 「………クラッドカルトは本当に対岸で見つかるのでしょうか?」
天海こよみ : 「ココちゃん、クラちゃんのことは……知ってる?」
虹之元 ユメ : 「こよみちゃんぐらいの……っていうか、とてもそっくりな子なんですけど~」
ココ : 「お、オー…皆サマ、意外にもお喋リ…」何から答えたものか、と言った顔で
ココ : 「クラさん、トハ?」
天海こよみ : 「えっと……レネゲイドビーイングで、ぼくの妹みたいな子、だよ……」
天海こよみ : 「でも、さっきおかしくなったテレビの中に入って行っちゃって……。ぼくたち、クラちゃんをおいかけてここにきたの」
琵琶坂 藍依 : 「包み隠さずに単刀直入に言うけど、私はクラッドカルトをテレビの中に連れ込んだのはキミかもしれないと疑ってるよ」
ココ : 「コヨミサンのそっくりサン!あァ、それなら分かりマス!」
ココ : 「今マサにお連れしてイる先にいらっしゃイマスよォ〜、お急ギの様子でしタので詳しいゴ事情は聞けていマセんガ」
天海こよみ : 「ほ、ほんとに……!? よかった、ぶじ……なんだ……!」 身を乗り出して
澱 カシル : 「良かった……少なくとも手がかりは得られましたか。」
琵琶坂 藍依 : 「さっきの調子だと、これも調子の良いウソかもしれないけどね」
澱 カシル : 「そうだとしても、無関係では無いと分かったのですから、一歩前進ですよ。」
「もし嘘をついていたら……うふふ。」
怖い微笑を浮かべる。
天海こよみ : 「うーん……。でも、ぼくはココちゃんの言うこと、しんじるよ。だって、しんじないと何も始まらないから……」 小さく笑って
虹之元 ユメ : 「先ですかぁ……さっき言っていた、ルコ様って人が関わっていたりするんですかね……」うぅんと唸りながら考えて
ココ : 「えェ〜、ワタシってば信用ナイ…」えーん、と泣き真似
澱 カシル : 「信用は積み重ねですよ、マックナインさん?」
天海こよみ : 「あ、あの……だいじょうぶ? ぼくはしんじてるから……」 心配そうに見上げて
ココ : 「アッ!だいじょーブデス!コヨミサンは優しいデスネ!」ぱ、と手を離して笑って見せる
天海こよみ : 「あ、あれ? じゃあ、よかった……?」 
琵琶坂 藍依 : 「……それなら、私とカシルにも信用できるように教えて。この船はどこに向かっているの? キミは私達をどうしたいの?」
ココ : 「ン〜、そうデスねェ…それをお話シする前ニ、皆サマにお聞キしたイのデスガ」
ココ : 「先ほド、テレビから入ったって仰いマシたよネ?ココがドコかは、ご存知なのデスカ?」
天海こよみ : 「ううん」 首をぷるぷる横に振る
虹之元 ユメ : 「いえ、私にも身に覚えがなく……」
琵琶坂 藍依 : 「私の知る限り、こんな風景は見た覚えがないんだよね……」
澱 カシル : 「…………。此の場所に見合う形容なら存じておりますが……。」
まさかそんな、とかぶりを振る
ココ : 「アーハー…ナルほど、ドーりで皆サマ、大変暢気なのデスねェ…」
ココ : 「でハ、ご説明いたしマス」カシルをチラ、と見て頷く
ココ : 「ここは冥界デス。煉獄、黄泉の国。他にもイロんな呼び名がありますが、マーその辺デス」
ココ : 「……詰まるトコロ、死んじゃってマスヨ。皆サマ」
ココ : そう、安心させるように小さく笑って見せた。
虹之元 ユメ : 「え、死────」絶句して、顔が青ざめていく
天海こよみ : 「ぼくたちが……死んでる……?」 
ココ : 「ええ、まァ」肯定
澱 カシル : 「冥府………真に迫る雰囲気ではありますが……御冗談でしょう?」
琵琶坂 藍依 : 「何を言って……!私達は生きてるよ、だってほら……!」こよみちゃんのほっぺに触れる。
天海こよみ : 「むぁ……」 鳴き声
虹之元 ユメ : 「脈、こういう時は脈です……!」 こよみちゃんの脈を測る
天海こよみ : 「ぼくではかるの……?」
澱 カシル : 「そも……他の方はまだしも、わたくしや貴女のような機械や化生まで招かれる場所なのですか?」
GM : こよみの脈は感じられる。が、ココは首を横に振る。
ココ : 「我々レネビに人権はなくとモ、魂の存在くらいハ認めてあげましょウ。その方が救いがあるっテもんデス」もう死んでマスケド、と
ココ : 「証拠を今すぐに見セろと言われたら難しいデス…が、まァ。今に分かるデスよォ〜」オールをゆっくりと動かしながら
天海こよみ : 「う、うーん……。ココちゃんの言うこと、しんじてるけど……なんだか、じっかんがわかない、ね……?」
天海こよみ : 「ほんとに死んだのなら、ぼくたち……いつの間に死んだんだろ……?」
澱 カシル : 「テレビに魂を抜かれた……とかでしょうか?」
「わたくしが抜かれる側なのが釈然としませんが……」
琵琶坂 藍依 : 「カメラに魂抜かれるなら聞いたことあるけど、テレビに?」
虹之元 ユメ : 「わ、私達……元に戻れるんでしょうか……」急に心細くなる
澱 カシル : 「きっと大丈夫ですよ。冥府下りの物語は数多くありますが、帰り途はあるもの。」
天海こよみ : 「ココちゃん、どうなんだろ……? なにか分かる……?」 ユメの手に触れて
ココ : 「ン〜、どうなんでしょウ…」
ココ : 「ワタシも良く知らんのデスよ、この世界のコト。宗派によって解釈はバラバラ、人間のめんどくさ~いゴ事情は理解している賢いアンドロイドなのデ、あァ言いましたガ」
ココ : 「……故に、帰れるかドウかは、ワタシからはお答えできまセン」
天海こよみ : 「そっか……」
天海こよみ : 「それなら、ここが本当に天国かも、ぼくたちが本当に死んでるのかも、ちゃんと帰れるのかも……自分でたしかめていかなくちゃ、ね」 ココの返事で逆に安心したらしく、小さく笑う
虹之元 ユメ : 「そう、ですか……。答えて頂き、ありがとうございます……」カシルとこよみにもありがとうと伝えて
澱 カシル : 「詳しく知らない……貴女も此処に来て日が浅いのですか?」
日の出ないだろう冥界で日が浅いというのも妙な話だが。
ココ : 「長い間居たとテ、世界の構造を1カラ100まデ理解などできまセン。レネゲイドの申し子たるワタシ達が、レネゲイドウイルスを理解できないようにネ」
澱 カシル : 「………上手くはぐらかされてしまいました。その通りではあるのですが。」
天海こよみ : 「オタクも、推しのぜんぶを知れないもんね……」
ココ : 「まァ!悪くないですよォ、ココモ!」
ココ : 「先ほどの話が途中デしタ。アイドル!ワタシに教えてくださイ」楽しそうに向き直って
ココ : 「特に、カシルサンは…ハッキリ言って、真反対の出自じゃアないデスカ。アッ、誤解なきよウ、極めてシンプルな疑問デス」
ココ : 「どうしテこのようなゴ活動ヲ?普通なら縁がないハズなのニ」
澱 カシル : 「…………。うふふ、危険な質問だと分かっていて踏み込むなんて度胸がありますね?」
「………とはいえ、今はそう気にしていませんし……質問に答えていただいた分はお答えすべきでしょう。」
ココ : 「オヤ、思いの外深刻そうデ」
澱 カシル : 「そうですね。わたくしにとっては存在意義をかけた話でもあったので。」
「詳しく話すと長くなってしまうので、端折って話せば……」
「アイドルになれば、誰からも疎まれず、誰からも羨望される存在に生まれ変われると信じたのです。」
ココ : 「……フム」小さく唸る。先ほど聞いた出自を思い出しているのだろう。
ココ : 「……結果、ドウでしたカ?アナタは今、満たされテいまス?」
澱 カシル : 「………いえ、残念ながら、アイドルになれば別物になれるというのは誤謬でした。」
「………わたくしはわたくし、呪物は呪物に過ぎない。」
「ただ、最初と違うのは……ありのままのわたくしでも許して背中を預けてくれる仲間たちがいます。」
澱 カシル : 「なので、満たされてはいますし……」
「まだ、渇いてもいます。」
澱 カシル : 「マリスノというアイドルの凄さをまだ十分に見せつけられていませんので!」
「やれるとこまで突っ走ります!」
ココ : 「……フフ」
ココ : 「呪物に過ぎない…と仰ル割に、十分アナタという『個』を獲得サれているようデ」
ココ : 「ゴ自身の所属されている『マリスノ』に、誇りをオ待ちなのデスネ」
澱 カシル : 「ええ、最高のグループですから。」
琵琶坂 藍依 : 「……なんだか、面と向かってそう言われると照れくさいな」
天海こよみ : 「そう? ぼくはうれしいよ」 カシルに笑いかける
澱 カシル : 「ふふ、普段の藍依さんの気取った言動へのお返し、ですね。」
虹之元 ユメ : 「ふふ、カシルちゃんの想いは暖かいですね……」
琵琶坂 藍依 : 「……言われる側はこんな気持ちだったのか、もう少し控えた方がいいかな」頬が僅かに染まっている
天海こよみ : 「別にそのままでいいと思うけど……。藍依ちゃんらしいよ?」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、ありがと。私もコヨミのそういうところ好きだよ」
天海こよみ : 「えへ……」 嬉しそうに笑う
虹之元 ユメ : 「(藍依ちゃん、やっぱり誑しなところあるかも)」その様子を見てクスリと微笑む
澱 カシル : 「……ああ、そうですね……一つ、思ったことが。」
澱 カシル : 「かつてのわたくしに対して心残りはほとんどありませんが……」
「もし此処が本当の冥府であるのならば……」
「一人だけ、マリスノのライブを見せてあげたい方がいます。」
「今のわたくしはもう心を砕かれる事は無い、堂々とありのままの自分で立って、アイドルをしてみせられる事を見せつけたい方が。」
澱 カシル : 「………わたくし、負けず嫌いですので。」
琵琶坂 藍依 : 「カシル……?」その相手に、まだ心当たりはついていない。
ココ : 「……それはそれハ」相変わらず、感情が読み取れない笑顔で
澱 カシル : 「本当に此処が冥府で、その方と出逢えるなんて千載一遇が有れば、ですけれど!」
ココ : 「ドウでショウ。ワタシからハ何とモ…ただ、そうデスネ」
ココ : 「応援、してマス。ある意味ワタシの先輩デスからネ、カシルサン」
ココ : 「……しっかし、大変勉強になりましタ。そうデスカ、自分の活動に誇りを…ワタシ自ら、理解できる日ガ来るのデスかネ~…」
GM : 何やらブツブツと呟いているが、小声で聞き取りづらい。そうしている内に… 徐々に、霧の向こうに反対岸が見えてくる。
GM : 一見、先ほどの岸と似たような外見だが……波の音に混じり、ベースやバスドラムのような重低音が聞こえてくる。
GM : キミ達は気づく。この昏い世界に、音楽が響いていると。
天海こよみ : 「え……? だれかライブしてる……?」 船から身を乗り出して、岸を見る
虹之元 ユメ : 「冥界でバンド……ですか……?」ちょっと興味ありげ
澱 カシル : 「………本当に冥府かまた怪しくなって参りましたね……」
天海こよみ : 「そう……? 天国の人も、音楽がないとたいくつな気がするよ」
虹之元 ユメ : 「天国で音楽となると~……ラッパ、とかですかね?」
琵琶坂 藍依 : 「ここは天国というよりは地獄って感じに見えるけどね」
澱 カシル : 「退屈………ふふっ、そうですね。死者の国が静謐である、というのは思い込みかもしれませんね。」
天海こよみ : 「ね……!」 
虹之元 ユメ : 「そうですね。いい所だと、嬉しいですね……」
ココ : ココもまた、長い耳をそばだて…ぴこん!と嬉しそうに跳ねさせる。
ココ : 「アハ!このセトリならバ、次はアレデスねェ!」跳ねるように下船して、キミたちを振り返る。
ココ : 「次で最後の曲デスかラ、急いデ!でハお先ニ!」
渡し守役だったはずの彼女は、その役割を終えたと言わんばかりに、音のする方向へ走っていく…
天海こよみ : 「え……!? ま、まって……!?」 慌てて船から降りる
虹之元 ユメ : 「え、えっと。無料ライブ、なんですかね……!?」ぴょんと降りて
澱 カシル : 「あ、待ちなさい!」
「船賃はよいのですか……!」
小さい歩幅の走りで追いかける。
GM : \冥界で金は無価値デス!/と叫び声が遠くから響く
天海こよみ : 「むかちなんだ……。じゃあ、ライブも無料、かも……?」
澱 カシル : 「地獄の沙汰も金次第、ではないのですね。」
「金子で道が阻まれないのは有り難いですが。」
琵琶坂 藍依 : 「タダより高いものはないとも言うけど……まあ、行ってみようか……!」
天海こよみ : 「うん……。ライブ会場なら、クラちゃんもきっとみてると思うし……!」 走り出す
 
冥界の集落
 
GM : 彼女の後を追い、森を抜けた先にあったのは、集落のような空間だった。
GM : キミたちが住んでいる東京ではまず見ないような風景。荒れて、曲がりくねった道に、ぽつぽつと家が点在している。
GM : 家も奇妙な形で、形は歪み、屋根はねじれるように天に伸びている。
GM : 人影らしい姿も見えるが……細かく見ていると、ココを見失ってしまいそうだ。先を急いだ方が良いだろう。

GM : そして。さらに彼女を追いかけた先に広がっていたのは……
 
冥界のライブステージ
 
GM : ……逆に、キミ達にとってなじみのある風景。野外ステージのような場所。赤と白のライトが、藍色の空をビームのように貫く。
GM : ステージを取り囲むのは背の高い黒い影。少し透けているが、観客のようにも見えるそれは、音楽に合わせて揺れている。
GM : 謎の陰に阻まれて、ステージは見えないが……このステージ上にいる何かが、パフォーマンスをしていることは自ずと伝わってくるだろう。
天海こよみ : 「見えない……」 うーんと背伸びして
虹之元 ユメ : 「肩車とかしますか~……?」 背伸びして
澱 カシル : 「まあ……幽鬼ばかりのライブ会場……」
琵琶坂 藍依 : 「ちょっと待って、幽鬼って……? あの黒い影、人間じゃない……?」
琵琶坂 藍依 : 「頭が痛くなってきた……まさか本当に冥界だって……?」ようやく実感が湧いてきた。
GM : 皆が、彼ら(?)の隙間から、ステージ上を覗くと……そこには、4人の少女の姿があった。
 
春兎ユメミ
 
ギターを弾く少女 : 1人は、ギターをかき鳴らす少女。ミディアムボブの黒髪に、夕焼けのようなオレンジ色のメッシュ。オニキスのように輝く、丸く勝気な瞳。小さく舌を出し、ちろと唇を濡らす。
ギターを弾く少女 : 年の頃は高校生くらいか。ギターをかき鳴らすその姿とサウンドに、心臓が揺さぶられる。
 
久能胡桃
 
気の弱そうな少女 : 1人は、歌いながら舞い踊る少女。ふんわりとしたミルクティーのような茶髪ボブ、甘いピンクのインナーカラー。優しそうな垂れ目を、今は真剣にきゅっと細めている。
気の弱そうな少女 : 黒髪の少女と、年の頃は近いように見えるが…ダンススキルと歌唱力は、一朝一夕で身に着けたものではないことが一目でわかる。
 
ルコ
 
棘のある少女 : そして1人は、明らかに異質な雰囲気を纏い、歌う少女。烏の濡れ羽のような、ボリュームのある黒髪。血のように赤いアンニュイな瞳に、長い睫毛。
棘のある少女 : しっとりとした歌声には若干の棘があり、安易に触れたら怪我してしまいそうだ。茶髪の少女の繊細な歌声を食い殺しかねない、危機迫る気配。
GM : ……他のメンバーが気づかずとも、『キミ』は彼女が何者なのか、気づく。
春兎ユメミ : ユメミ。
久能胡桃 : 胡桃。
『澪木ルリコ』 : 「るー子」こと、澪木ルリコ。
GM : 故人が、ステージパフォーマンスをしている。
虹之元 ユメ : 「ぅ、嘘……っ」 亡き親友の姿を目にして、言葉を詰まらせる。
琵琶坂 藍依 : 「胡、桃……? いや、まさか……っ」ありえない、と思考が固まる。
澱 カシル : 「………何故?」
胡桃を目にして、最初に出たのは疑問の言葉。
天海こよみ : 「あれ……? あの子……」 ぴょんぴょんと跳びはねながら、ステージに立つ少女を不思議そうに見ている
GM : 各々が、既知の故人の姿に気を取られ……あと1名の少女の姿に気づくまでに、半歩遅れる。
GM : 最後の1人は……キミたち全員が知っているが、知らない姿の彼女。
GM : 普段こよみの姿を模倣しているはずの、”クラッドカルト”こと、クラ。顔つきは大きく変わらない。
GM : しかし、その姿はこよみと異なるものに変わっていた。
 
クラッドカルト
 
クラ : 髪型はツインテールではなく、ポニーテールを三つ編み状に編んだものへ。服装は、アイドル然としているが、MARiNE SNOWの衣装ではなく、どちらかといえばステージ上の彼女たちと近しいものへ。
クラ : そして、朝焼けのような赤い瞳は……鮮血のような赤色へと変貌していた。
 
クラッドカルト
 
GM : クラはステージに立ち尽くし、嫌がっているような表情を浮かべている。
天海こよみ : 「ク……クラちゃん!?」
虹之元 ユメ : 「(クラ、ちゃ……!?) ぅぐ……っ」 瞬間的なストレスからか、吐き気がこみあげてくる
澱 カシル : 「…………はい? 何をしてるんですか、あの子は!」
「こちらが心配して探しに来たというのに……」
「………ユメさん!? 大丈夫ですか?」
クラへの不満を露わにする中、ユメの不調を察して声をかける
虹之元 ユメ : 「……ッ、……」 なんとか頷いて見せるが、震える瞳はステージを注視している
琵琶坂 藍依 : 「いったい、何が起きて……」ユメを気遣う余裕さえなく、ただステージを見上げて茫然としている。
天海こよみ : 「クラちゃーん! おーい……! クラちゃーん……!!」 ステージから見えるように、何度もジャンプして大きく手を振る
GM : こよみの呼びかけも空しく、クラはただ泣きそうな顔でマイクを握りしめている。まるで、親猫から逸れた子猫のように不安そうだ。
天海こよみ : 「ク、クラちゃん……」 クラは心配だし、隣で様子のおかしいユメも気になり、交互に見ておろおろしている
GM : そうしているうちに、演奏が終了する。ユメミと胡桃が、落ち着かないクラの様子を不安げに見ている中……シリアスな雰囲気を破るように、ステージの天井から、小柄な影がダイブする。
 
ココ
 
ココ : 先ほどまでキミたちと一緒にいた、レネゲイドビーイング……”MAC-09”ココ。
ココ : 彼女は床のマイクを拾うと、「すみませーン!お待たせシましタ!」と周囲に手を合わせる。
『澪木ルリコ』 : 「遅すぎるわ、ココ。もう次で最後よ」
ココ : 「最後だからコそ、間に合って良かったデス!ヤル気は十分デスよォ、ルコ様!」
『澪木ルリコ』 : 「……本当に仕方のない子」
天海こよみ : 「ココちゃんもいる……?」
澱 カシル : 「実はアイドルだった……のは良いとして……ライブ中に船頭を? 最終曲だけ飛び入り?」
「………誰が組んだ予定なのかは存じませんが、ファンに対して失礼が過ぎますね。」
GM : キミたちの反応をよそに、ユメミと胡桃は顔を見合わせるが……やや躊躇いながらもポジションにつく。
GM : 胡桃はルコと背中合わせに、そしてユメミは小さく息を吐いた後ギターを構える。
『澪木ルリコ』 : 「……御覧なさい。私達のLIVE生き様を」
『澪木ルリコ』 : 「『その華の名は罪』」
『澪木ルリコ』 : 『大嫌い どうぞ、お幸せに』
『澪木ルリコ』 : 『あなたなんていらないわ』
久能胡桃 : 『もう遅い。私、振り向かない』
ルリコ胡桃 : 『そこで』
『澪木ルリコ』 : 『死んでしまえばいい…!』
GM : ゴシックロック然としたダークな音が冥府を揺らす。凄まじい音圧と、正確無比のハーモニー。
GM : ルリコの歌声は、こよみが過去の映像で見た時よりも迫力を増している。より気高く、より険しい。
GM : 胡桃の歌声は、藍依とカシルが知る生来の少女然とした響きと堅実さがありつつも、Seventh Heaven時代より棘があるものに。ルリコのパフォーマンスに追い立てられているような印象こそあるが、確実に食らいついている。
GM : 音の展開と共に、二人は蕾が綻ぶようにして離れる。そして、間を割くようにココの小柄な体躯が躍り出る。
GM : バレエがベースとなったようなしなやかさもある振り付け、その動きには一切の隙がなく、手足の運びに迷いがない。
GM : そして、ステージのやや外れた位置に居ながら、強い存在感を放っているのがユメミだ。ギターはただの伴奏などには収まらず、この冥界を音で満たす喜びを、楽し気に、そして高らかに歌っている。彼女が居なければ、この音楽は成立しない、と思わせる程に。
天海こよみ : 「…………」 これが普通に観れたのならきっと興奮して声を上げてたが、今はクラのことが気になって仕方ないようで、心配そうにずっと彼女を見つめている
虹之元 ユメ : 「────────」視界の全てでパフォーマンスを納め、聴覚で音色を受け止める。……その全てが素晴らしいパフォーマンスだが、ギターの音色は剥き出しになったユメの魂をズタズタに引き裂いていく感覚に襲われる。
琵琶坂 藍依 : 「……っ」
琵琶坂 藍依 : カシルのように、久能胡桃を模したRBではないか。そう思おうとしていた。
琵琶坂 藍依 : 「でも、この歌声を聞き違えるハズがないっ……紛れもなく、胡桃のっ……」
琵琶坂 藍依 : もはや自分を誤魔化せない。本当にここは冥界で、自分を残して死んだ久能胡桃はここでライブをしている。その事実に思考が黒く染められていく。
澱 カシル : 横目で藍依の様子を見る。
いくら精神的な柱を定めたとはいえ、死んだ友人が現れては平静ではいられないだろう。
ユメもまた、そうなのかもしれない。
澱 カシル : そしてカシルは、ライブを楽しんでいた。
文字通り、人生を変えたアイドルのライブがもう一度見られるのだ。
その開催自体や同伴するアイドルの振る舞いに不満と怒りがあったとしても、二度とない機会を噛み締めるように。
GM : MARiNE SNOWの作風と、似て非なる雰囲気。キミたちの『黒』は、闇の中で光がマリンスノーや冬の星空のように瞬くが、彼女たちの『黒』は、闇そのものがベルベットのように鈍く光っている。
GM : そして。その中にあっても、クラはただ泣きそうな顔でマイクを握り、ステージに立ち尽くしていたが……ふと、彼女はキミたちを見つける。
クラ : 「……!コヨミ!」
クラ : 彼女は笑顔になり、マイクを手に取る。
クラ : 『コヨミ~!!』
GM : メンバーが、そして客の影が驚いた様子で、一瞬動きを止める。が、その中にあっても、すぐに動く影があった。
『澪木ルリコ』 : ……ルリコだ。彼女はクラにつかつかと歩み寄り、マイクを奪う。客席側から、ルリコの表情はよく見えないが…笑顔だったクラが、サッと青ざめる。
GM : クラは後ずさり、そのまま体勢を崩して尻餅をつきそうになるが……またもやルリコは即座に手を伸ばし、『彼』の手を掴む。
GM : そのままぐいと引き寄せ、クラの怯えた表情を客席側に隠すようにして、『彼』を胸に抱く。そして、何事もなかったかのようにマイクを握り直した。
GM : 他のメンバーも、その勢いにつられるように、パフォーマンスを再開する。
GM : 仕草こそスマートだが、全てはステージ上の異分子たるクラを排除するためのものだった。
『澪木ルリコ』 : 『詰まらない歌はもうおしまい』
『澪木ルリコ』 : 『そこで死んでしまえばいい…』
GM : 演目が終わった途端、異変が起こった。
GM : これまで音楽に合わせて揺れていた『観客』たちは一斉に、光の粒となり……その場から、姿を消したのだ。
GM : 今この場にいるのは、キミたちと、ステージに居る5名のみだ。
GM : そして、直後。
パンッ、と乾いた音が、会場に響いた。
GM : ルリコが、クラの頬を張ったのだ。
『澪木ルリコ』 : 「……何、あれ」
『澪木ルリコ』 : 「パフォーマンスに参加しろとは言ってない。ただ居てくれたら良かったのに……どうして、邪魔するの?」
GM : 通常、クラは攻撃を受けた場合、すぐに消えてしまう。だからこそ…今回のように、じんじんする痛みは、初めてだったのだろう。
GM : 頬を抑え、涙を湛えて表情をくしゃりとさせる。
GM : ……だが、この暴力に屈するほど、旧くから存在しているレネゲイドビーイングは弱くはなかったらしい。
クラ : 「や!コヨミといっしょがいい!おまえきらい!」
GM : クラはルリコを睨み、仕返しと言わんばかりに飛びかかる。体格差もあり、その小さな手がルリコに届くことは無かったが…力が拮抗しているようで、そのまま膠着状態に陥る。
『澪木ルリコ』 : 「外見が子供だろうと、容赦しないわ……ステージを冒涜するな……ッ!」
天海こよみ : 「…………っ!!」 キッと、ルリコを見て
天海こよみ : 「やめて、るー子ちゃん!! クラちゃんにらんぼうしないで!!」 そう叫びながら、地を蹴って一気にステージまで駆け上がる
『澪木ルリコ』 : 「……っ」
澱 カシル : 「状況確認は後! クラッドカルトを保護しますよ!」
動揺している2人に檄を飛ばす
琵琶坂 藍依 : 「っ、コヨミ……!!」その声でハッと我に返り、ステージまで追いかける
虹之元 ユメ : 「……は、はいっ」 ふらつく足を何とか立て直し、ギターを構えて風のようにステージに降り立つ
GM : ルリコが一瞬気をやった隙に、クラが飛び掛かり……手がぺちん、とルリコの頬に当たる。大した力ではないようだが、そのままルリコは体勢を崩してその場に倒れこむ。
GM : こよみの声に、他のメンバーもキミたちの存在に気づいた様子だ。……ココを除いて、全員驚きの表情を浮かべている。
天海こよみ : 「クラちゃん、おいで……!!」 ルリコが倒れた隙に、両手を広げてクラを呼ぶ
クラ : 「コヨミ……っ」
澱 カシル : 「全く世話の焼ける………」
GM : 笑顔で駆け寄ろうとする彼女だが……彼女は、その場でなぜかもどかし気に足踏みするだけ。
GM : ルリコの様子をちらりと見て、キミをちらりと見て…
クラ : 「え……ち、ちがう…クラ、ちがうよ…?」
GM : 自分でも困惑したように、困った顔でこよみを見つめる
天海こよみ : 「……? もう、クラちゃん……!」 クラにもっと近づいて、その手を引っ張ろうとしてみよう
GM : こよみが近づくと、クラはむしろ後ずさる。取ろうとした手も避けてしまい…だが、クラ本人は、自分の行動にいやいやと首を振る仕草を見せる
クラ : 「あ……ぇ……」
クラ : 目に涙を浮かべ、もう一度こよみの姿を見てから……『彼』は、その場から逃げ出してしまった。
天海こよみ : 「クラちゃん……!! ど、どうして……!?」
澱 カシル : 「何をしているんですか、クラッドカルト? さっさと帰りたそうな顔をしているのに……」
GM : こよみ、カシルの呼びかけも空しく……もはや、声の届かない場所に行ってしまったのか。この場にいるのは、キミたちを除いて4名の少女たちのみだ。
天海こよみ : 「……。るー子ちゃん……」 逃げていったクラから、そちらに顔を向ける
澱 カシル : 「さて……貴女は明確にクラッドカルトを知っていたようですが? 申し開きはありますか、マックナインさん?」
ココ : 「いや……面目ナイ」平謝りするが、それでは済まないだろう。
ココ : 「しかし、駄目デスよゥルコ様ァ、小さい子には優し~くしないト。……あ、もちろん、出来たらワタシにモ…」
『澪木ルリコ』 : 「お黙りなさい、ココ」
虹之元 ユメ : 「……とりあえず、お二人は、初めまして。そして……」 そんなやり取りを見ながら、胡桃とルリコに軽く声を振るわせて会釈する。スッとギターを持つ彼女に視線を移して
虹之元 ユメ : 「おひさし、ぶり……ですね……っ」いつもより、一層涙ぐんだ声と顔でそうユメミに話しかける。今にも飛び出して抱き着きたいところだが、今の状況は未だ半信半疑だ。
春兎ユメミ : 「……るみ…どうして、ここに……」
春兎ユメミ : ユメミは、確かにキミの名を口にする。
GM : そして、また一人。ユメとユメミの姿を見て、震える声で口を開く。
久能胡桃 : 「あ……藍、依……?」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃、なんだね……」
琵琶坂 藍依 : アイドルであることを辞めたハズの彼女が、何故かステージに立っている。
琵琶坂 藍依 : 「……………………」それきり押し黙ってしまう。言いたいことは山ほどあったはずだが、掛けるべき言葉が見当たらない。
天海こよみ : 「……もしかして、ユメちゃんと藍依ちゃんの……お友達、なの?」 様子がおかしかったのはそういうことかと気づく
澱 カシル : 「少なくとも、ピンクカラーのボブの方は有名ですよ。」
「久能胡桃さん。……iRiSこと藍依さんの……かつてのグループメンバー。Seventh Heavenのスター……だった方。」
天海こよみ : 「あ……そうだったんだ……」 Seventh Heavenの活動中はミツキがいたTOXiC blueに夢中で、それ以外全然知らなかった
GM : キミたちの反応をよそに、ユメミと胡桃は、それぞれユメとアイを見て絶句する。……が、視線を切る形で、「ルコ」と呼ばれた女性がゆらりと割って入る。
『澪木ルリコ』 : 「……誰、貴方達」
ルコ : 「……いえ。私から名乗るのが礼儀ね。もはや、礼儀も何もないでしょうが」
ルコ : 「そこの貴方。私を『るー子』と呼んだわね。悪いけど、今は…その名を名乗っていません」
ルコ : 「『ルコ』。そうお呼びなさい」
天海こよみ : 「ルコちゃん……分かった」
天海こよみ : 「えっと……はじめまして。ぼくは、天海こよみ」
天海こよみ : 「MARiNE SNOWの、メンバーだよ」 ルコを真っすぐに見て
ルコ : 「……天海」小さく眉を動かす
ルコ : 「……いえ。MARiNE SNOW……それは、何?」
天海こよみ : 「アイドルグループだよ。地下アイドルなの……ぼくたち」
ルコ : 「地下…アイドル…?」訝しげに
天海こよみ : 「あ……もしかして、分からないかな……。ルコちゃんの時代には、なかったから……」
ココ : 「ハイ!地下アイドルとハ、テレビ露出などでハなく、主にライブハウスでのライブを中心に活動してるアイドルのことデス!」辞典
ルコ : 「そう。……あまり、よくわからないわ」
天海こよみ : 「インディーズというか……まだメジャーデビューしていないグループ、って言えばわかる……?」
ルコ : 「……?」首を傾げる
ルコ : 「それは……アマチュアとは、違くって?」
天海こよみ : 「え……。うーん……?」
天海こよみ : 「どうなんだろう、ね……?」 みんなに首を傾げる
虹之元 ユメ : 「アマ……に分類はされると思います、はい……」
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね。広義ではアマチュア、すなわち趣味の範疇に入ることもあるかもしれない」
琵琶坂 藍依 : 「ただ、私たちはファンからお金を貰って興行している訳だから、同時にプロでもあるハズだよ」
澱 カシル : 「ええ、アマチュアではありません。わたくしはそうは思っていません。」
「少なくともわたくし達はファンの期待と対価に恥じぬだけのパフォーマンスを、絶え間ぬ研鑽の上に用意しているのですから。」
虹之元 ユメ : 「ですね。その点で言えば、プロに引けは取らない……とは、思いたいです」
ルコ : 「……そう。その想いがあるなら、それはプロではないのかしら」
ルコ : 相変わらず冷めた口調だが……口角が小さく上がっている。
GM : だが、彼女はまたスンと表情を戻す。
ルコ : 「……貴方達がどのような集団なのかはわかったわ。それで、ココ」
ココ : 「ハイ。えーと、コヨミサン、ユメサン、アイサン、カシルサン、デス!」
ルコ : 「皆さんの名前じゃないわ。どうして、彼女たちがここにいるの?」
ココ : 「あ…アァ~……」冷や汗をかいて、何故か弁明を求めるようにキミたちを見る
天海こよみ : 「ココちゃんに連れてきてもらったのに……?」 どうしてそんな顔をと戸惑う
虹之元 ユメ : 「まあ、ええ……ココさんに連れて来てもらったので……」
琵琶坂 藍依 : 「……二人の表情から察するに、ココの独断で連れてきたみたいだね」
澱 カシル : 「こよみさんは嘘がつけませんからね……」
フォローを期待したのかもしれないが、相手が悪かったとばかりに
天海こよみ : 「え……? あっ、もしかして言っちゃダメだった……?」
ルコ : 「……いえ、こよみ。貴女は良い子ね」
ココ : 「アワワ…ち、違うんデスよォ、クラサンのお知り合いだというコトで…ご自身が亡くなられているコトにもお気づきデなかったのデ、つイ…」
ルコ : 「……クラ。"クラッドカルト"の知り合い。ああ……そういうことね」
天海こよみ : 「ううん、知り合いじゃないよ。ぼくの妹なの……」
ルコ : 「……???」
ルコ : 「妹???」
天海こよみ : 「うん」 真面目な顔で頷く
澱 カシル : 「厳密な意味での妹ではありませんけどね……」
ルコ : 「……どっち?」相反する発言に困惑した様子で、ユメとアイに
虹之元 ユメ : 「説明が難しいですが……。クラッドカルトがこよみちゃんの姿を真似た、妹的な存在……かなと」
ルコ : 「……なるほど。義妹ということ」容姿が随分似ているけど……と呟いてから、キミ達を見る
ルコ : 「この際だからはっきり言っておくわ。"クラッドカルト"を拐わかしたのは私よ」
天海こよみ : 「え……!? ルコちゃん……が?」
ルコ : 「……何。こっちは言ってなかったの、ココ」
ココ : 「いやァ…道中で正直に伝えたラ、皆サマにネジの一本一本までバラバラにされちゃウと思いましテ」騙してメンゴ、と皆に手を合わせて。
天海こよみ : 「そ、そんなことしないよ……!?」
ルコ : 「そんなリスクを冒してまで、どうしてこの子達を迎えに行ったのよ…」
琵琶坂 藍依 : 「……たしかに、どうして私達を招いたのかな」
琵琶坂 藍依 : 「私達はクラを探している、と目的まで教えたよね? クラを攫ったのがキミ達なら、私達を招いても何のメリットもない」
虹之元 ユメ : 「私も、お聞かせ願えれば……」少しだけユメミを見つめて
ココ : 「えェ~…ン~。ハルシネーションの一環と言いマスかァ……」
ルコ : 「……この子、たまに馬鹿になるの。理屈が通らないことが多くて…」ルコも困った様子で
天海こよみ : 「そ、それは別にいいんだけど……。ここまで連れてきてくれて、助かったし……」
天海こよみ : 「それより、どうしてクラちゃんをさらったの……?」
ルコ : 「……」
ルコ : 「……貴方に話す理由はない」
天海こよみ : 「……っ! あるよ!!」 大きな声を出す
天海こよみ : 「ぼく、クラちゃんのお姉ちゃん……なんだから……! だから、クラちゃんをさらって、あんなひどいこと、されたら……!」
天海こよみ : 「そんなの、みすごせるわけないよ……!!」 クラへの想いが余程強いのか、怒ることになれていないからなのか、涙を流し始める
ルコ : 「……!」
ルコ : こよみの怒りを、そして涙を目撃して、小さく目を見開く。
ルコ : 「……そう。そこまで大事なの、彼女のこと」
天海こよみ : 「ん……!」 泣きながら、唇を結んでこくこく頷く
GM : こよみの真剣な様子に、ルコは目閉じる。だが。
ルコ : 「……いえ。駄目」
ルコ : 「"クラッドカルト"を返すつもりはなくってよ。少なくとも、私の目的が果たされるまではね」
天海こよみ : 「目的……って?」
ルコ : 「……それもまた、貴女に語る必要はないわ」
ルコ : 「行くわよ、皆」
GM : そう言って、彼女は踵を返す
天海こよみ : 「まって!!」 
天海こよみ : 「それなら、あとひとつだけ……聞いてほしいことがあるの……!!」 ルコに駆け寄り、その衣装の裾を指で摘まむ
ルコ : 「……ッ、何」煩わし気な表情を浮かべながらも立ち止まる。
天海こよみ : 「……」 目元の涙を手の甲で拭って
天海こよみ : 「なにか、事情があるんだよね……? 海霧ちゃんの時、みたいに……。それなら、今はむりに聞かないから……」
天海こよみ : 「だけど……クラちゃんのことがひつようなら……」
天海こよみ : 「クラちゃんに、もっとやさしくしてあげて……? ぶったり、どなったり……ひどいこと、しないであげて……」
天海こよみ : 「おねがい、ルコちゃん……」 無理に拭った涙をまた静かに溢れさせながら、ルコを見上げる
ルコ : 「………」こよみを見下ろし、しばらく眺めてから
ルコ : 「……善処するわ。それで、貴女の気が済むなら」
ルコ : そう言って、キミの手をそっと払う。冷たい手だが、その仕草はやや優しいものだった。
天海こよみ : 「……!」
天海こよみ : 「うん……。ありがとう、ルコちゃん……」 今はそれを聞いてもらえるだけで十分だと、嬉しそうに小さく笑みを浮かべる
GM : ルコは、今度こそキミ達に背を向け、どこかへと去る。ココもまた、「待ってくださイよゥ~」と軽い足取りでついていく。
GM : そして、胡桃はちらりとアイを見て、はく、と小さく口を動かすが……
久能胡桃 : 「……っ」
久能胡桃 : 息が詰まり、何も言えないまま涙を浮かべ。踵を返し、ルコの後を追う。
GM : だが、たった1名。その場に止まる。春兎ユメミだ。
GM : ユメミは、ユメに1歩歩み寄る。
春兎ユメミ : 「あー…久しぶり。でいいのかな…身長、伸びたね…?」
虹之元 ユメ : 「はい……。ユメミちゃんは、変わらず……いえ……」
虹之元 ユメ : 「その衣装、お似合いです……」 今になって、彼女の顔を直視できないまま……ぽろぽろと大粒の涙を流しては手の甲で拭う
春兎ユメミ : 「るみ……!」彼女は思わず、といった様子で駆け寄り、ユメの手を取る。
春兎ユメミ : 「……泣くなよ。いや……気持ちはわかるけど……」
虹之元 ユメ : 「違うんです……違うんです、ユメミちゃん……。悲しくて、嬉しいのはそうなんですけど……」 数年ぶりの彼女の手を握って
虹之元 ユメ : 「止まらないんです……」
虹之元 ユメ : 「あの日から、ずっと……」
春兎ユメミ : 「……るみ…」ユメミは、その言葉の意味を図りかねた様子だったが……すぐに、彼女の変化に気づく。
GM : 常時涙を流しているせいでやや赤らんだ目元。光を失った瞳。そして。
春兎ユメミ : 「……っ。るみ。この手……」
GM : ……自分とお揃いの、ギターたこに。
虹之元 ユメ : 「ふ、ふふ……大変でしたよ。ギターってあんなに重いんですね……」
虹之元 ユメ : 「最近ようやく、ギターには自信が持てるようにはなりました……。それでも、まだ足りないかも……ですけど……」 どこか固い笑みを浮かべて
春兎ユメミ : 「……そうか。アイドルってだけじゃなくて……ギターも、弾くようになったんだ」
春兎ユメミ : 「……マジか……」
GM : ユメミは手を離し、一歩、また一歩と後ずさる。
虹之元 ユメ : 「ユメ、ミちゃん……?」 呆然と彼女を見つめて、名残惜しそうにその手を視線で追う
春兎ユメミ : 「……いや。悪い」
春兎ユメミ : 「……行かなきゃ」
GM : そう伝え、ユメミもまた、キミに背を向けてルコ達が消えた方向へ歩き出す。
虹之元 ユメ : 「ぁ……ま、まって……」 まるで見放された幼子のように、その背中をヨタヨタと数歩だけ追いかける
GM : だが、キミの覚束ない足取りでは、彼女に追いつくことはかなわず。
GM : その場に残ったのは、MARiNE SNOWのメンバーの4名のみとなってしまった。
 
冥界のライブステージ
 
天海こよみ : 「ユメちゃん……だいじょうぶ……?」 慌ててユメに駆け寄り、体を支える
虹之元 ユメ : 「……ぁ、こよみちゃん……」 少し間を置いた後にこよみに気づいて
虹之元 ユメ : 「だいじょう……いえ、正直、わからない……です……」 歯切れの悪い言葉で、そう返す
天海こよみ : 「そっか……よかった……」
天海こよみ : 「……あ、いや、ぜんぜんよかったわけじゃないん、だけど……。ユメちゃん、いつもだいじょうぶじゃなさそうな時も、だいじょうぶって言うから……」
天海こよみ : 「なんか……そこはちょっとだけ、安心しちゃって……」 小さく笑う
虹之元 ユメ : 「……あれ。そう、でしたか?」顔に出ていたのか、とちょっと恥ずかしそうに微笑む
天海こよみ : 「そ、そうだよ……!?」 自覚なかったのかと驚く
虹之元 ユメ : 「あはは……ご心配をおかけしていたようで……」涙を拭うついでに、表情筋を指で押し上げる
虹之元 ユメ : 「……あと、ユメミちゃん……いえ、さっきの方々はどこへ行ったのでしょうか。クラちゃんの行方も……」 バックヤードだろうか、と首を傾げる
琵琶坂 藍依 : 「この場所についても、私達は知らないことが多過ぎる」
琵琶坂 藍依 : 「冥界……ココから聞いたときは半信半疑だったけど、故人が存在するところを見ると、そう思わざるをえない状況だね……」
天海こよみ : 「……やっぱり、もう死んでる人……だったの? あの、胡桃ちゃんと……ユメミちゃんも」
琵琶坂 藍依 : 「私は胡桃の遺体を、自分の目で確認している……彼女の死は間違いなかったはずだ……」
天海こよみ : 「そう、なんだ……。じゃあ、ここは本当に天国なんだね……」
虹之元 ユメ : 「やはり、あの方は胡桃ちゃん……でしたか……」
澱 カシル : 「天国にせよ、地獄にせよ……やる事は変わりないでしょう。」
「クラッドカルトを連れ戻して、元の世界に帰る。」
澱 カシル : 「とはいえ……向こうにも事情はあるご様子。」
「それとマックナインさん……わざわざ怒られてまでわたくし達を連れてきたのには意味があるのでしょうか?」
琵琶坂 藍依 : 「どうだろう……でも、悪意は感じなかったんだよね……?」
虹之元 ユメ : 「う~ん、冥界の渡守としてのお仕事だったから……とか?」真面目な人?なのかも、と
澱 カシル : 「ええ。悪意はありませんでした。」
「では何故クラッドカルトについて黙っていたのかは分かりませんが……。」
天海こよみ : 「じゃあ、聞きに行ってみようよ」
澱 カシル : 「まあ。度胸がありすぎでは?」
天海こよみ : 「え……そう、かな……?」 意外そうに首を傾げる
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、コヨミはいつもそうでしょ?」
琵琶坂 藍依 : 「……とはいえ、それは最後の手段に取っておいた方がいいかもね。仮にもクラを誘拐した相手なんだし、何をしてくるか分からない」
天海こよみ : 「うーん……そうかなあ……」
天海こよみ : 「じゃあ、ルコちゃんたちとはもうお話しないの?」
琵琶坂 藍依 : 「そういう訳じゃないけど、まず調べられることを調べてからかな」
琵琶坂 藍依 : 「腰を落ち着けられる場所も探したいね、いつまで滞在するコトになるか分からないし」
虹之元 ユメ : 「私も賛成です。ルコさんは会話を突っぱねてはいましたが、会話が出来ないという風ではありませんでしたから……」 いったん一息をついて、なんとか表情を整える
天海こよみ : 「言ってることは、分かるけど……」
天海こよみ : 「…………」 藍依とユメを交互に見て
天海こよみ : 「……ねえ、ぼく……思ってたんだけど」
天海こよみ : 「ぼくたち、もしかしたらラッキー……かもしれないよね?」
澱 カシル : 「ラッキー……ですか。」
虚を突かれたように
虹之元 ユメ : 「と、いうと……」 その心は、と首を傾げる
天海こよみ : 「だって、もう死んじゃった人たちに、もう会えるはずがない人たちに会えたから……」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「……コヨミ、流石に暢気すぎ」苦笑いしながら、突っ込みで軽く小突く
天海こよみ : 「わっ……。え、そう……?」
琵琶坂 藍依 : 「私達も死んでるって話、忘れてない? 現世に帰れるかも分からないんだよ?」
天海こよみ : 「あ……そうだったね……。ミツキちゃんたち、今ごろ心配してるだろな……」
天海こよみ : 「で、でも、それでもラッキーかも……って思っちゃったの」
天海こよみ : 「ぼくは前に、ママと会えた時……よかったと思ったから」 懐かしむように言う
虹之元 ユメ : 「そう、ですね……。私もとてもラッキーなことだと思います……」
虹之元 ユメ : 「今まで話せなかったこと、たくさんお話したい……ですね……」
天海こよみ : 「うん……! そうした方が、いいと思う……!」
天海こよみ : 「えっと、心のじゅんびとか、してからでいいから……!」 話す前に調査することを、二人は心の準備がまだだったからだと勝手に思い込んでいたらしい
琵琶坂 藍依 : 「コヨミ……」
琵琶坂 藍依 : 「(ユメは私より受けたショックが大きそうだった……、次に年上の私がしっかりしなきゃな……)」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、必要なら彼女たちにも接触して調査を進めていこう」
天海こよみ : 「うん……!」 こくこく頷く
虹之元 ユメ : 「こよみちゃんはしっかり者ですね。お姉ちゃんみたいです」軽く笑ってから頷く
天海こよみ : 「えへ……そうかな……? うれしい……」 照れ笑いする
澱 カシル : 「実際にお姉さんになりましたからね。」
天海こよみ : 「うん。いっぱいできちゃったから……」 海霧と海里、他にも今は眠っている妹たちのことを思い出して
天海こよみ : 「お姉ちゃんとして、がんばって帰ってあげなきゃ……!」 ちょっと調子に乗ったように両手の拳をグッと握りしめる
琵琶坂 藍依 : 「冥界に行ったなんて、土産話には事欠かないね」冗談めかして
天海こよみ : 「お土産、あるかなぁ……。さっきの家がいっぱいあったところに、お店あればいいな……」 また暢気になってきた
虹之元 ユメ : 「まさに冥途の土産……冥途から土産? ですね」
虹之元 ユメ : 「ステージがあるなら……お店があってもおかしくない、かな……?」
天海こよみ : 「じゃあ、あるかも……! よゆうがあったら、何か買って帰りたいね……」
琵琶坂 藍依 : 「手持ちのお金、ほとんどないけどね?」
天海こよみ : 「あ……そっか……」 しょぼ…とする
澱 カシル : 「そもそもマックナインさんは通貨は無価値と言ってましたし……」
「何か交換できそうなモノはあったでしょうか……」
がま口ポシェットをごそごそするが、持ち合わせはなかったようだ
天海こよみ : 「あ、そっか。ココちゃんは無料で船に乗せてくれたし……ここにはそういうの、ないのかも」
琵琶坂 藍依 : 「そうだったらいいけど、あまりにも希望的観測すぎるな……」笑って
琵琶坂 藍依 : 「ともあれ、探索しないことには何も始まらないね」
天海こよみ : 「うん……! 早くクラちゃんも見つけてあげなきゃ……!」
天海こよみ : 「いこっ、みんな……!」
澱 カシル : 「ええ。」
琵琶坂 藍依 : 「うん、行こうか」
虹之元 ユメ : 「ライブも無料でしたね~……。はい、行きましょう!」
天海こよみ : ということで、動き出します! みんなで周辺を見て回ろうかな
GM : キミ達は、どことも知れない異世界を探索し始める。まずは、この世界について知らねばならない。

情報収集①

GM : では、ここから情報収集シーンに入ります。情報開示→トリガーシーンの順に進めていきます。
GM : 情報収集の判定をおこなうキャラは、登場後、判定をおこなってください。同時に購入判定も可能です。
GM : 一団となって動くとのことなので、トリガーシーンは全員出られます。特に登場侵蝕なしで結構です。
天海こよみ : 助かりすぎ!!!
GM : では最初の情報項目を提示しますね。
 
◆『冥界』と住民について 〈知識:レネゲイド〉5 〈情報:噂話〉5
 
GM : 挑戦する方は宣言の後に登場、そのまま判定をどうぞ!
天海こよみ : ユメちに難易度高いの行ってもらった方がいい気がするし、とりあえずここはわたし行きます!
虹之元 ユメ : そうさせてもらう!頑張れこよちゃん!
天海こよみ : では登場
天海こよみ : 1d10+42(1D10+42) > 7[7]+42 > 49
天海こよみ : 噂話の方で調べます! いざ
天海こよみ : 3dx(3DX10) > 10[3,4,10]+10[10]+10[10]+3[3] > 33
GM : 本当に草
天海こよみ : 冥界博士と呼んで
虹之元 ユメ : なんちゅう出目じゃ
GM : 成功です、では情報出します

◆『冥界』と住民について
現実から隔離された異空間。
出口らしいものは見当たらない。
過去、こよみとミツキが巻き込まれた『マヨヒガ』と性質が異なるようだが、空間全体がレネゲイドウイルスに満たされているような気配が感じられる。
単純に「死後の世界」と受け取るよりは、「オーヴァードによって作られた空間」であると認識する方が自然だろう。
空間内には、MARiNE SNOWメンバーやルコ達の他にも、人影のようなものが徘徊している様子が見られる。
背格好は老若男女と様々だが、顔は黒くぼやけ、個人の特定はできない。
話しかけると反応し、日本語らしい言葉を返して来るが、何を言っているか聞き取ることができない。
明確に会話が成り立つのはルコ達のみのようだ。
詳細を聞きたいのであれば、キミたちとの会話を拒否するルコとユメミ、そしてそもそも会話が成り立たないココ以外…すなわち、久能胡桃を尋ねるしかないだろう。

GM : なげぇ!頑張って読んでください。ちなみにメタ的には、バロールの時空の裂け目で作られた空間のようですね
天海こよみ : 読んだ! やっぱりそうよね、ガチの死後の世界っていうよりレネゲイドがなんやらしたやつだと思ってた…!
GM : 皆さんの予想通りでしたね…!誰がこんなことを
あ、ついでに先程の会話シーンでだれか調べるかな…?と思ったら特に触れられなかった情報も出しておこうかな

◆『冥界』と住民について 追記
UGNから支給されている端末を確認したところ、何故か外部へアクセスが可能なようだ。
一方的な閲覧のみが可能な状況のようで、メッセージ等を自ら発信することはできないが…情報収集等に用いることはできそうだ。

天海こよみ : え!?
天海こよみ : ツイッターしよ
GM : ツイッターは投稿できないけど検索はできる!イーロンまたバグ起こしてる…
天海こよみ : イーロン冥界に堕ちろ
天海こよみ : それはそうと、びっくりしたね…画面が暗いから電源入らないと思いこんじゃってた
GM : 実はなんか調べ物ができたのだった…みんなの情報:ウェブは無駄にしない
GM : という感じです!購入判定あれば挑戦していいよ、なんか売店もあるので(店員と会話はできないけど)
天海こよみ : じゃあとりあえず、応急手当キットしておきましょうか。
GM : とりあえずあると良い、判定どうぞ!
天海こよみ : 3dx 目標値8(3DX10) > 8[3,7,8] > 8
天海こよみ : ちょうど!
GM : 調子よすぎである、ではゲットです!なんか蛍光グリーンのぺっとりしたキットが手に入りました
天海こよみ : ナニコレ
GM : では、トリガーシーンに移りましょう。今のところ、一番会話が通じそうな胡桃ちゃんとのシーンです。
天海こよみ : ねえナニコレ!! スルーしないで!! 了解です、行きましょう

Trigger Scene 01 光芒を踏み外して

 
冥界の並木道
 
GM : キミ達は、消えた久能胡桃を探し、冥界を彷徨い歩く。
GM : 気が付くと、そこは他とやや雰囲気の違う空間だった。どこまでも続く白ポプラ並木は風もないのに梢を揺らしており、周囲はしんと静まり返っている。
久能胡桃 : そこに、彼女は……久能胡桃はたった一人、佇んでいた。
 
久能胡桃
 
琵琶坂 藍依 : 「────胡桃」冥府の静寂を破る、凛とした声。
久能胡桃 : 「……!」その声に小さく体を揺らし、キミを振り返る。
久能胡桃 : 「……藍依。本当に、藍依なの…?」鈴の鳴るような、しかしよく通る声で尋ねる。
琵琶坂 藍依 : 「まるで幽霊を見たように言うんだね、それは私の台詞だと思うんだけどな」
久能胡桃 : 「ち、違うの……そうじゃなくて……いや、そうなんだけど……っ」普段と変わらない調子のアイに、逆に戸惑ったのか。胸元で指をいじりながら、キミの様子を伺う。
久能胡桃 : 「まさか……藍依も、自分で、命を……って……」言いづらそうに言葉を紡ぐ彼女の瞳には、みるみるうちに涙が溜まっていく。
琵琶坂 藍依 : 「……いや、安心して。私は生きてるよ」
琵琶坂 藍依 : 「ああ、今は生きてるのか死んでるのか。自分でもよく分からないんだけど」
天海こよみ : 「ううん、今もきっと死んでないんだよ……。この世界、レネゲイドでいっぱいの世界みたい、だし……。多分ふつうの天国じゃないと思う、な……」 藍依の隣で、蛍光グリーンのぺっとりしたキットを手でもちもち触りながら
久能胡桃 : 「れね……?えっと……」知らない言葉を聞き、困惑したような表情を浮かべるが……どうやら、ただ死んでここに来たわけではないのだろう、と理解したのか。
久能胡桃 : 「……わからないけど。でも、間違って来ちゃった……とか、臨死体験…?とか……そういうこと……なのかな」
琵琶坂 藍依 : 「たぶんね」
琵琶坂 藍依 : 「……それより、改めて紹介するよ胡桃。この子達は私が新しく所属した地下アイドルグループ『MARiNE SNOW』の仲間たち」
天海こよみ : 「はじめまして、天海こよみだよ……」 よろしくね、と小さく微笑む
虹之元 ユメ : 「こんにちは、胡桃さん! 私、ユメミちゃんの友だちの虹之元ユメです!」
澱 カシル : 「………澱カシルです。 お久し……いえ、初めましてと言っておきましょうか。」
おそらく覚えてはいまいだろうと、胡桃と同じ顔をした少女は言い淀む。
久能胡桃 : 「……?」カシルの様子を見て、少し困惑するが……覚えていないのか、はたまたキミの雰囲気が大きく変わったことで気づけなかったのか。小さく会釈する。
久能胡桃 : だが、キミ達のあいさつでやや緊張がほぐれたのか……彼女は、初めて笑顔を見せる。
久能胡桃 : 「……初めまして。さっきは挨拶もできずごめんなさい……私の名前は久能胡桃。藍依の友達で……」
久能胡桃 : 「……元、アイドルだったの」
澱 カシル : 「………元、ですか。」
久能胡桃 : 「……」俯く
GM : かつての彼女をよく知るアイは……ふと、彼女と初めて出会った日のことを思い出す。

 
私立玲瓏女学院 寮室
 
GM : 胡桃と出会ったのは、私立玲瓏女学院に入学したころだった。母のネグレクトを受け、いわゆる普通の愛情を受けられず育ったキミは……友と呼べる存在もなく。渇き、孤独な状態だった。
GM : そんなキミと相部屋となったのが、久能胡桃だった。どちらかといえば陽キャのグループに属しており、クラスの中心的人物のそばにいた彼女と縁ができるとは、思ってもいなかったことだろう。
久能胡桃 : 胡桃もまた、そこまでフレンドリーな性格でもない。しばらくは、様子を伺いながらの生活が続いたが…
GM : ある日、キミは体調を崩してしまう。大病でもない、ただの風邪ではあった。それでも、キミは授業も受けられず、誰もいない空間に取り残されていた…
琵琶坂 藍依 : 「39度……」ベッドの中、グルグルと回る視界で温度計を確認する。
琵琶坂 藍依 : 「でも、勉強を休む……訳には…………」なんとか布団から這い出そうとして、すぐ床に頽れる。
琵琶坂 藍依 : 当時の琵琶坂藍依は「優秀な自分」なら母親に愛してもらえるかもしれない、と信じていた。そう信じなければ生きられなかった。
琵琶坂 藍依 : だからこそ「自らの価値」を示すために、ただひたすら勉学に明け暮れていた。
琵琶坂 藍依 : そんなことをしても全くの無駄だと、頭の隅では分かっていた。この玲瓏女学院の特待生枠に入ったというのに、母親は自分のことを見向きもしてくれなかったのだから。
琵琶坂 藍依 : 「ぐ、う…………」ただ、その事実を直視できずに。今も足掻いていた。
GM : 心身共に疲弊していたキミは、ただ必死にもがいていた。すると、部屋の扉が開いた音。
久能胡桃 : 「ど……どうしたの……?」
GM : キミの同部屋……久能胡桃が、手提げ袋を携えながら。困惑と、ややシュールな絵面になんとも言えない表情を浮かべて、そこに立っていた。
琵琶坂 藍依 : 「久能、胡桃……?」視界の端に、少女の影を捉える。
琵琶坂 藍依 : 「なんでも、ない……貴女なんかに関係ないでしょ……」フラフラと立ち上がろうとする。
久能胡桃 : 「か…関係ないことないよっ!」藍依のつれない態度に、頬を膨らませて歩み寄ってくる。
久能胡桃 : 「ほら、病人はベッドに戻って!欲しいものがあったらわたしが取ってあげるから!」
久能胡桃 : 普段よりもやや強めの口調で言いながら、キミの肩を支える。
琵琶坂 藍依 : 「要ら、ない……」胡桃の手を振りほどこうとするが、その抵抗は弱弱しい。
琵琶坂 藍依 : 「けほっけほっ……今は授業中でしょ……? 私なんかに構ってるヒマあるの……?」
久能胡桃 : 「うん。でも、先生の許可をもらって戻ってきたの。……扱いはお休みだけど」
久能胡桃 : 彼女は手提げ袋を開き、中身を取り出す。それは購買で買ってきたと思しき、パンやおにぎり、アイスなどの食事だ。
久能胡桃 : 「……琵琶坂さん、お腹空いてるかもと思って。どうかな、食べられそう?あ、飲み物もあるけど…」
琵琶坂 藍依 : 「…………」相部屋ではあるが、久能胡桃とは一度もまともに話したことはない。
琵琶坂 藍依 : その相手が、どうして自分に構うのだろうか。理解できない。
琵琶坂 藍依 : 「……要らない。自分のお金で買ったんでしょ、自分で食べなよ」だからだろう。ツンとした態度を取ってしまう。
久能胡桃 : 「むぅ……」また反論しようとするが、少し思案する。
久能胡桃 : 「……だったら、また一緒にご飯食べたらいいじゃん。その時は、琵琶坂さんの奢り」
久能胡桃 : 「今日はわたしの番。…いいでしょ?わたし、お腹空いてるの」
久能胡桃 : そう言って、笑顔でキミのいるベッドに座り、強制的に距離を詰める。有無を言わさぬ態度だ。
琵琶坂 藍依 : 「……風邪、移るでしょ。近付くのは止めて」慣れない距離感に戸惑いを隠せず、詰められた分だけ距離を取る。
久能胡桃 : 「大丈夫だよ、そんな簡単に伝染らないって。……琵琶坂さん、パン派?ごはん派?」構わず食事の準備を続ける
琵琶坂 藍依 : 「…………アイス」とはいえ反論するのも疲れたようで、小さな声で答える。根負けだ。
久能胡桃 : 「アイス?わかった…でも、元気になったらちゃんとしたものも食べるんだよ?」
久能胡桃 : はい、とキミに手渡されたのは、ソーダ味の氷菓だ。
久能胡桃 : 「わたしは~……サンドイッチ!これ、好きなの!」聞いてもいないのに、ベーコンサンドを見せてくる
琵琶坂 藍依 : 「……………」受け取ったソーダ味の氷菓をしばらく見つめたあと、
琵琶坂 藍依 : 「……ベーコンみたいな色の髪飾り、してるもんね」なんだか負けた気がしたのか、そんなことを言う。
久能胡桃 : 「ベーコン?」言っている意味がわからない、といった表情を浮かべるが…しばらく経ってから、ピンクのリボンのことを言っているのだと合点がいった様子だ。
久能胡桃 : 「……琵琶坂さん、そういう冗談言うんだ」くす、と小さく笑う
琵琶坂 藍依 : 「な……そういうつもりで、言った訳じゃ……」
琵琶坂 藍依 : 「ああ、もう良いや……、そういうことで……」その無邪気な笑顔を見て、なんだかどうでも良くなってしまった。
久能胡桃 : 「何それ~…あ、でもユーモアとしては0点だと思うっ」
久能胡桃 : 「わたしは良いけど、女の子が気に入って身に着けているものをベーコンなんて言っちゃだめだからね!それじゃ誰とも仲良くなれないよ!」めっ、と人差し指を立てる
琵琶坂 藍依 : 「別に仲良くなりたいなんて……」
久能胡桃 : 「嘘。だって、嫌じゃないでしょ、こういうの」
久能胡桃 : むむ~、とキミの目を見つめる。彼女の澄んだ瞳に見つめられると、キミの心すら見透かして来られるような感覚に陥る。
琵琶坂 藍依 : 「…………ほんとだもん」目を逸らす。心身が弱っているせいで、なんだか駄々っ子みたいになってしまった。
久能胡桃 : 「……ふふ」小さく笑い、顔を離す。それ以上、キミを追求するような真似はしないようだ。
久能胡桃 : 「それじゃあ…手と手を合わせて」
久能胡桃 : 「いただきますっ」
琵琶坂 藍依 : 「…………ます」その様子を見て、習うように手を合わせる。自宅ではいただきますはおろか、誰かと食卓を囲むこともなかった。
GM : アイスを口にすると、しゃり、とした小気味の良い音と共に、崩れた氷が舌の上で溶け出す。
GM : 甘く、どこか爽やかで青い、ソーダ味。今日、目が覚めてから初めての味覚だ。
琵琶坂 藍依 : 「甘い……」親の愛情を受けられなかった琵琶坂藍依にとって、おやつは贅沢なもので、そのソーダ味のアイスキャンディーは初めて感じる甘さだった。
琵琶坂 藍依 : 「冷たくって、美味しい……」目の奥から何か、熱いものが込み上げてきそうになって、慌てて目をこする。
久能胡桃 : 「……」サンドイッチを口にしながら、キミの様子をこっそりうかがっていた彼女は、小さく微笑む。
久能胡桃 : 「……よかった」ただ一言、呟くように言って。彼女は幸せそうに、サンドイッチをはむ、と口にした。
GM : ……小腹を満たした後。キミは胡桃の押しに負け、ベッドに横たわっていた。
GM : 胡桃は、濡らしたタオルを絞り、そっとキミの額に乗せる。
久能胡桃 : 「……39℃なんて、普通じゃないよ。本当に大丈夫なの?」
琵琶坂 藍依 : 「ちょっと疲れが出た、だけ」
琵琶坂 藍依 : 「……授業、そろそろ始まっちゃうよ」行かなくていいの?と目で尋ねる。
久能胡桃 : 「人の心配してる場合じゃないでしょ。……も~、困った患者さんなんだから…」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「……どうして。どうして、ここまでしてくれるの?」額に乗せられた濡れタオルに触れながら、消え入りそうな声で尋ねる。
久能胡桃 : 「どうして、って…」意外そうな顔で
久能胡桃 : 「だって、琵琶坂さん辛いだろうなって思って…えっと、うーん…もう少し理屈っぽいほうがいいかな」
久能胡桃 : 「…風邪の時、1人でいると心細いから。少なくとも、わたしはそうだから……こういう時こそ側に居よう、って思ったの」小さく笑う
琵琶坂 藍依 : 「……意味、わかんない」
琵琶坂 藍依 : 琵琶坂藍依は、愛を知らない少女だった。本来、無償の愛を受け取るべき母親からは"いないもの"として扱われていたから。
琵琶坂 藍依 : だから、差し伸べられた手の掴み方を知らなかった。
琵琶坂 藍依 : 「…………でも、その」布団に顔を埋めながら、なんとか言葉を紡ぐ。
琵琶坂 藍依 : 「あり、がと……ほんとは独りぼっちで、不安だったから……」
GM : キミの言葉を聞き、胡桃は花が咲き綻ぶように、パァと表情を明るくする。
久能胡桃 : 「……うんっ。大丈夫だよ。わたし、ちゃんと側にいるからね…」そう言って、彼女はキミの手を取る。柔らかく温かい、小さな手だ。
琵琶坂 藍依 : 「うん、うん……」
琵琶坂 藍依 : 「さっきは、ごめんね……そのリボン、ベーコンみたいとかいって……」手を握り返す
久能胡桃 : 「えっ?いいよぉ、別に怒ってないし」
久能胡桃 : 「……むしろ、嬉しいよ?琵琶坂さんとこうしてお話できるなんて思わなかったから…」
琵琶坂 藍依 : 「そう、なの……?」
琵琶坂 藍依 : 「それなら、よかった……」えへ、と頬を緩める。弱っているからだろう。
久能胡桃 : 「そうだよ」肯定してから、そっと手を離し…優しくキミの頭を撫でる。
久能胡桃 : 「……疲れちゃったよね。大丈夫、ゆっくり休んで…また目が覚めたら、お話しよう?」
琵琶坂 藍依 : 「…………」部屋に備え付けられた時計の針を見る
琵琶坂 藍依 : 「そろそろ、五限のチャイムが鳴るもんね……そろそろ行かなきゃいけないよね……」
琵琶坂 藍依 : 「あの、できれば……なんだけどっ……」暫し逡巡して
琵琶坂 藍依 : 「今日はずっと、一緒にいて……くれないかな……」上目遣いで袖を引いて
琵琶坂 藍依 : 「ダメ……?」琵琶坂藍依ははじめて、他人に甘えた。
久能胡桃 : 「……ふふっ」アイに頼られたことが嬉しいのか、胡桃は小さく笑う
久能胡桃 : 「うん。今日はずっと一緒にいるよ。その為にお休みしたんだもん」
久能胡桃 : 袖を引くキミに、そっと体を寄せて。
久能胡桃 : 「……だから、安心して。我儘だって、たくさん聞いてあげちゃうんだから」
GM : そう言って、胡桃はまたキミの頭を優しく撫でた。手の温もりが冷えた体に、じんわりと伝播していく。
琵琶坂 藍依 : 「あり、がと……胡桃……」その心地良い温もりに身を委ねると、だんだん意識は微睡みに溶けていき。
琵琶坂 藍依 : すうすう、とやがて穏やかな寝息に変わっていった。
GM : キミの呟く声を聞いた胡桃は、おや、と小さく笑う。
久能胡桃 : 「……ふふっ。おやすみ、藍依…」

GM : ……この日を境に、キミ達は急激に仲を深めていった。お互いがお互いを、わざわざ確認せずとも「親友である」と認識した頃のこと。
久能胡桃 : 「大変、大変っ!見て、藍依!」
GM : 彼女が見せてきたのは、スマートフォンの画面に映し出された「アイドルオーディションのお知らせ」だった。
GM : アークライトプロモーション。そこそこ大手の、芸能界に興味がなくとも聞いたことがある知名度の事務所だ。
琵琶坂 藍依 : 「……? これがどうしたの……?」
久能胡桃 : 「ここに書いてあるじゃん!キミもアイドルになろうって!」
久能胡桃 : むふむふとやや興奮気味に、キミにずいと画面を近づけてくる。
琵琶坂 藍依 : 「……一般人向けのオーディション、大手事務所もするんだね」なんとなくスカウトのイメージだった
琵琶坂 藍依 : 「胡桃、アイドルに憧れてたもんね? 良いチャンスじゃない?」
久能胡桃 : 「そうなのっ!アークライトプロのアイドルの子たち、みんな可愛くてすっごく憧れだから…」夢見心地で頬に手を当てる。
GM : ……そう、胡桃はアイドルがとても大好きだった。いわゆる「推し」は何人も居たし、アイドルソングのカバーやダンスを、度々キミに披露していた。
GM : 思うに、彼女は特定のアイドルというよりは、「アイドル」という存在に強い憧れと、偶像崇拝に近い思いを寄せていたのだろう。
久能胡桃 : 「だから……受けてみようって、思った…ん…だけどぉ……」……何故だろうか。少しずつ、テンションが下がっていく様子が見て取れる。
琵琶坂 藍依 : 「どうしたの? 受ければいいじゃない?」
琵琶坂 藍依 : 「あ、もしかして……大手のオーディションに出るのは不安?」笑いかける
久能胡桃 : 「あ、当たり前じゃん…!」ぷくっと頬を膨らませて
久能胡桃 : 「だって、きっとわたしよりも可愛い女の子たちと比較されちゃうんだよ…!?」
久能胡桃 : 「アイドルにはなりたいけど、自信があるわけじゃないし……こんなの、ノリノリで応募する子の方が少ないよ……」そう言って、再度しょんぼりとしてしまう。
琵琶坂 藍依 : 「胡桃は変なところ、自己評価低いというかナイーブというか……」
琵琶坂 藍依 : 「でも、せっかくのチャンスなんでしょ? 応募してみなよ?」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃なら受かるって、私が保証する」
久能胡桃 : 「……本当にそう思う?」
琵琶坂 藍依 : 「もちろん、だって胡桃は可愛いもん」笑いかける
琵琶坂 藍依 : 「胡桃が落ちるなら、審査員側の見る目がないよ」
久能胡桃 : 「……そう?……えへへ、そうかなぁ…」アイの言葉に、表情をふにゃっと和らげて
久能胡桃 : 「…藍依がそう言ってくれるから、わたし、昔よりも自分のことを好きになれたよ。いつもありがとうね」
琵琶坂 藍依 : 「そんなお礼を言われるようなコト言ってないって」
琵琶坂 藍依 : 「こっちこそ、ありがとう……ってなんだか恥ずかしいからナシ! それよりオーディションね!」
久能胡桃 : 「え〜?藍依ってば照れ屋さんなんだから」クスクスと笑って
琵琶坂 藍依 : 「……もう、からかわないでよ」少しむくれて
久能胡桃 : 「ふふ、そんなつもりはないんだけどね?」
久能胡桃 : 「でも……藍依に甘やかされた分、わたしの心は大変やわやわになっちゃってると思うのです」そう言って、胡桃はキミを上目遣いで見つめる
久能胡桃 : 「これは、藍依が責任を取る必要があるのではないでしょうか?」
琵琶坂 藍依 : 「せ、責任って……」
琵琶坂 藍依 : 「まあ、分かったよ。責任って、私に何してほしいの?」
琵琶坂 藍依 : 「結婚とか……?それなら18歳になるまでは待ってもらわないと……」冗談めかして
久能胡桃 : 「けっ!?け、けけ、結婚って何!?私も18歳までできないよっ」動揺のあまり謎のツッコミ
久能胡桃 : 「そうじゃなくてっ!オーディション、一緒に受けようってこと!」
琵琶坂 藍依 : 「やっぱり、そういう話になるよね」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルオーディション、か……可愛い胡桃はともかく、私はどうかな……」
久能胡桃 : 「え?……いやいや、藍依なら顔パスでしょ!」
久能胡桃 : 「この美貌!このスタイル!このスマートさ!むしろ、何でフツーに学校に通ってるのか不思議なレベルだよ…!」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃、私のこと過大評価しすぎ……そこまで言われると恥ずかしい……」
久能胡桃 : 「過大評価じゃないよ、全部本気だもん!」真っ直ぐにキミを見て
久能胡桃 : 「……ねぇ、本当に受けない?」
久能胡桃 : 「わたし、アイドルになってみたいけど…藍依とも、ずっとずっと一緒にいたい」
久能胡桃 : 「もしオーディションに落ちちゃっても…こんなこともあったねーって素敵な思い出になると思うんだ。おばあちゃんになった時、笑って話せるような思い出」くすくす、と笑う
琵琶坂 藍依 : 「……胡桃がそこまで言うのなら」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね。私も出ることにするよオーディション。受かるとは思えないけど、胡桃を傍で元気づけるくらいなら出来そうだし」
久能胡桃 : 「ほんとに!?やった、嬉しい…!」
久能胡桃 : 「ありがとう、藍依…!」そう言って腕を広げ、ぎゅーっとキミを抱きしめる
琵琶坂 藍依 : 「わわ、お礼を言うには早いって……もう大げさなんだから……」頬を染めながら、ぽんぽんと背中を抱き返す。
久能胡桃 : 「大げさなんかじゃないよぉ、ふふふ…」キミの抱擁に嬉しそうに目を閉じて
久能胡桃 : 「……あ」
久能胡桃 : 「ということは、少なくとも今、とてつもなく強大なライバルが増えた……ってこと?」ぱっ、とキミの顔を見て
琵琶坂 藍依 : 「強大なライバルって言われても、私はアイドルってどんなものかさえ知らないし……」
琵琶坂 藍依 : 「────あっ、こういうのかな」ふわっと離れて、
琵琶坂 藍依 : その場に膝を突いて、胡桃ちゃんの手を取る。
琵琶坂 藍依 : 「……胡桃、大好き」そのまま手の甲にそっと口付けをする。
久能胡桃 : 「………」
久能胡桃 : 「…………ふぇぇ!?」
久能胡桃 : 「ま、待って、藍依…!?なに、何それっ!?」一瞬フリーズした後、混乱したようにキミを問い詰める。
琵琶坂 藍依 : 「え、アイドルってこういうのじゃなかった……?」立ち上がって、首を傾げている。
久能胡桃 : 「見たことないよ!い、いや、いるけど…それ、どっちかと言えば男の子のアイドルというか……!」
琵琶坂 藍依 : 「うう~ん、そっかぁ……」
琵琶坂 藍依 : 「それじゃ……『胡桃、愛してる。ずっと一緒にいようね』とか……?」
久能胡桃 : 「そうじゃないっ、演技指導してるわけじゃなくって、あ、あぅ……!」雰囲気に耐えられなくなってきたのか、みるみる内に瞳に涙を溜める。頬は既に真っ赤だ
久能胡桃 : 「……それっ、わたしの前ではもう禁止!!」胡桃はどこか怒ったような口調で、キミを指さす
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、怒られちゃった」
琵琶坂 藍依 : 「……それなら、オーディションまでに”アイドル”ってものがどういう存在なのか、私に教えてくれないかな?」
久能胡桃 : 「もう、藍依ってば…」小さく呼吸を整える
久能胡桃 : 「……それは、もちろん。わたしが巻き込んだんだから、今度はわたしが責任を取らなきゃね」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、お願いしますね胡桃先生っ!」冗談めかして
久能胡桃 : 「任せなさいっ」ふふーんと鼻を鳴らして

GM : キミ達はその後、見事オーディションに合格し……Seventh Heavenのメンバーとして、アイドルとしてデビューした。
GM : 初めの頃は、アイドルが、2人で一緒に活動できることが、とても楽しかった。苦しい練習だって、2人一緒なら何ということはなかった。
GM : ……いつからだろう。キミと話さなくなってしまったのは。キミとすれ違ったまま、擦り減った心に気づかず、寄り添えなくなってしまったのは。

GM : ……胡桃は、ある日自殺した。メンバーからの虐め、プロデューサーや取引先からのハラスメント、様々な理由があったようだ。
GM : キミがそれを知ったのは、飛び降りた彼女の遺体を目撃し、全てが手遅れになった後のことだった。胡桃の両親が見せてくれた遺書には、キミに向けられた言葉もあった。
GM : 「トップアイドルになってほしい」
GM : その言葉の真意を、キミはついに聞くことができなかった。…はずだった、のに。

 
冥界の並木道
 
GM : ……今、キミの前に、胡桃が立っている。
琵琶坂 藍依 : 「ひさしぶりだね、胡桃」
琵琶坂 藍依 : 「……キミがいなくなってから、もう一年が過ぎた」
久能胡桃 : 「……一年。そう……そんなに、経ったんだ」
久能胡桃 : 「わたし……気がついたらここにいて。いつからなのかは、覚えていないんだけど……そんなに経ってなんて思わなかった」
久能胡桃 : 「……少し、痩せたね。藍依」
琵琶坂 藍依 : 「まあ、色々あったからね」事件のストレスから味覚障害が起きた所為、だなんて明け透けに言う必要はないだろう。負い目を感じてほしい訳じゃない。
久能胡桃 : 「……」アイの気持ちとは裏腹に、申し訳なさそうに目を伏せる。何もないわけがない、と理解しているのだろう
琵琶坂 藍依 : 「そのことはいいんだ。今は素敵な仲間たちとも巡り合えて、なんとか元気にやってるからさ」
琵琶坂 藍依 : 「……それより私達、胡桃に聞きたいことがあってきたんだ。ね、コヨミ」深刻にならないように、いったん話題を変える。
天海こよみ : 「あ、うん……」 緑色の何かをもちもちするのをやめて
天海こよみ : 「この世界のこと、とか……どうしてクラちゃんといっしょにアイドルをやっているのか、とか……聞きたいなって……」 胡桃を見る
久能胡桃 : 「あ……そ、そうだよね。うん、なんでも聞いて」アイの雰囲気を察してか、こよみに目線を合わせて小さく微笑む。
天海こよみ : 「ありがとう……」 少し安心したように微笑み返して
天海こよみ : 「えっと、じゃあ……まずはこの世界のことについて、胡桃ちゃんが知ってることって……ある? 他の人たちにも聞いてみたんだけど、なんか……その……」
天海こよみ : 「うまく話ができなくて……」 黒い人影を思い出す
久能胡桃 : 「あ……居るよね、私たち以外にも。でも、わたしもお話できたことないんだよね……なんか、お返事はしてくれるけど、微妙に通じないというか」
天海こよみ : 「コミュ障なのかな……。人とお話しするのってたいへんだもんね……」 謎の親近感を覚えている
久能胡桃 : 「そう……なのかな?どうなんだろうね、わたしにもわからないな……」
久能胡桃 : 「……さっき、少し話したけど。わたしも、この世界のことをよくわかっているわけじゃないの」
天海こよみ : 「やっぱりそうだよね……。気が付いたらここにいたって言ってたし……」
琵琶坂 藍依 : 「ルコちゃんだっけ、あの子達とはどう知りあったの?」
久能胡桃 : 「えっと……最初にわたしが出会ったのは、ココちゃんだったよ」
久能胡桃 : 「じ…死んじゃったあとに何故か目が覚めて。気づいたら今いる場所から少し離れた、川の向こう側にいて……ココちゃんに、船で連れてきてもらったの」
久能胡桃 : 「ルコちゃんと出会ったのは、こっちに来てからだよ」
天海こよみ : 「船……ぼくたちといっしょだね……」
久能胡桃 : 「え……そうなの?」
天海こよみ : 「うん……ぼくたちもさっき、ココちゃんの船に乗ってあのライブ会場まで来たから……」
久能胡桃 : 「そうなんだ、みんなも…」わたしと一緒なんだ、と呟くように
久能胡桃 : 「……でも、わたしの予想はひとつ外れていたみたいだね」
天海こよみ : 「予想って……?」
久能胡桃 : 「ここは……地獄なんじゃないかな、って思ってたの。自殺したら地獄に行くって、どこかで聞いたことあるから…」
久能胡桃 : 「……わたしもルコちゃんも、そうだったから」
久能胡桃 : やや、ためらい気味にそう明かす。
琵琶坂 藍依 : 「…………」
天海こよみ : 「そう……なんだ……」 少しショックを受けたように瞳が揺れる
虹之元 ユメ : 「……はい、地獄ではなさそうです」それならユメミがいるのはおかしいと
天海こよみ : 「テレビの中に地獄があるっていうのも、おかしいもんね……」
澱 カシル : 「それを言うのであれば天国もおかしいのでは……?」
天海こよみ : 「それもそうだね……。結局、やっぱり死後の世界とかじゃなくて、だれかが作った世界なのかも……」
久能胡桃 : 「誰かが……作った?」
天海こよみ : 「うん」 頷く
琵琶坂 藍依 : 「世界を作るなんて、ずいぶん大掛かりなことをするな……だとしたら、いったい何のために……」
虹之元 ユメ : 「たしか、こよみちゃんは似たような経験がありましたね…」
天海こよみ : 「うん、前にあったよ。でも、あの時とはなんかちがう気がするけど……」
久能胡桃 : 「……ごめんなさい。本当に、よくわからないんだけど……わたしは、地獄なのか天国なのかはわからないけど、作られたっていうのは変だと思う」
久能胡桃 : 「だって、わたしは死んで……今、ここにいるよ」不安そうに、胸元でぎゅっと手を握る。今の彼女に、キミ達の推測を教えたところで、きっと意図した形では伝わらないだろう。
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……」
天海こよみ : 「そう、だよね……」 胡桃がそう思うのも当然だと少し思う
天海こよみ : 「あ、あの……。じゃあ、次は今ここにいる胡桃ちゃんのことについて、教えてもらってもいい……?」
久能胡桃 : 「わたしの…?う、うん……わたし自身のことなら、なんでもわかると思う…けど」
久能胡桃 : 「……何を知りたい、かな?」
天海こよみ : 「えっとね、ずっと気になってたんだけど……」
天海こよみ : 「どうして、ルコちゃんたちとアイドルをやっているのかなって……。さっきは、元アイドルって言ってたけど……」
久能胡桃 : 「アイドル……うん、そうだね。わたしは……アイドルをやめて、ここでもアイドル活動をしてる」
久能胡桃 : 「……ココちゃんに案内されて、こっちに来てから、ルコちゃんに出会って。ルコちゃんがここで、ずっと一人で続けていた活動に、力を貸してほしいって声をかけられたの」
久能胡桃 : 「……歌と、ダンスで。ここに留まっている人影たち……死んでしまった他の人達を、救うことができるって」
琵琶坂 藍依 : 「救うことができる……?」
天海こよみ : 「救う……もしかして、成仏させる、ってこと……?」
久能胡桃 : 「成仏……っていうと大げさな気もするけど、その通りだよ」
久能胡桃 : 「……ここにいるのは、わたし達を含めて、やり残したこととか辛いこととか、色々な気持ちを抱えた人たちなんだって。ルコちゃんは、ずっと探している人たちがいて……それで、この活動をしているみたい」
久能胡桃 : 「そんな、マンガみたいなことあるのかな?って、今も正直信じられないんだけど……でも、わたしは……」少しためらう様子を見せる
天海こよみ : 「……胡桃ちゃんはアイドル、やりたくないの?」 不思議そうに聞く
琵琶坂 藍依 : 「…………」その質問の答えを、固唾を呑んで見守る。
久能胡桃 : 「……わた、しは…」少し呼吸が浅くなり、生唾を飲む気配。緊張し、震える声で口を開く。
久能胡桃 : 「……わたしは、アイドルにふさわしくない。全部全部、おしまいにしたの」
久能胡桃 : 「アイドルは……憧れだけではなれるものじゃなかった」
久能胡桃 : 「わたしには足りないものばかりで、誰のためにもなれなくて。自分のコンプレックスばかりが悪目立ちして、それなのに分不相応な評価を受けて、メンバーからも嫌われて」
久能胡桃 : 「……アイドルとしてのわたしを、本当の意味で求めている人なんていない。それに気づかされて……全てを諦めた」
久能胡桃 : 「……ううん、違う。……わたしは逃げた。藍依にも、あの子にも、酷いことをして……わたしは、最初から、アイドルじゃ……っ」言葉が次々と溢れ、彼女自身が負の感情の濁流にのまれ、呼吸がどんどん覚束なくなっていく。
琵琶坂 藍依 : 「────胡桃」静かに歩み寄り、
琵琶坂 藍依 : 「ごめんね、キミをそこまで追い詰めてしまったのは私の責任だ」震える胡桃をそっと抱きしめる。
琵琶坂 藍依 : 「……もうそれ以上、自分を傷付けなくていい」
久能胡桃 : 「……っ!?」アイの言葉と抱擁に、思わず目を見開く
久能胡桃 : 「や……やめ、て……藍依、そんなこと……っ」
琵琶坂 藍依 : 「止めないよ」
琵琶坂 藍依 : 「せめて落ち着くまでは、傍にいさせてほしい。キミだって、そうしてくれたでしょ」
久能胡桃 : 「ち、ちが…そんな、権利……わたし、には……っ」
久能胡桃 : 小さな手で、キミを離そうとするが……その力はあまりにもか弱く。
久能胡桃 : 「……藍依………う、あぁぁ……っ」
GM : 彼女は、アイの腕の中で涙を流し始める。あの頃のキミのように、幼く……あまりにも傷ついた様子で、子供のように泣きじゃくっていた。
天海こよみ : 「…………」 知らずに聞いちゃダメなことを聞いてしまったのかと焦ったが、二人の様子を見て少し安心したように見守っている
琵琶坂 藍依 : 「ごめんね、胡桃……すぐ傍にいたのに、キミの苦しみに気付いてあげられなくて……」
琵琶坂 藍依 : 「もっと早く、こうするべきだったんだ……」胡桃の上に折り重なっていた負の感情を払い落とすように、優しく頭を撫でる。
久能胡桃 : 「違う…違うよぉ…っ」首を横に振る
久能胡桃 : 「本当に、藍依が謝ることなんてないの……わたしこそ、あんな身勝手な死に方を選んで……!」
久能胡桃 : 「……辛い思い、させたよね…ごめんなさい、藍依……!」キミの背に腕を回し、強く抱きしめる
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、キミを喪って辛くなかったと言えばウソになる……」
琵琶坂 藍依 : 「挙句、キミは『トップアイドルになって』だなんて無茶振りをしてくるしさ? ほんとに大変だったよ?」
琵琶坂 藍依 : 「けど、いいんだ……その願いのおかげで、新しい仲間とも巡り合えた……」
琵琶坂 藍依 : 「私に何も告げず、ひとりで死を選んだことについて、思うところはあるけれど……それは気付けなかった私も同罪……」
琵琶坂 藍依 : 「おあいこ、ってことでどうかな胡桃?」
久能胡桃 : 「……」途中からキミの顔をじっと見て、話を聞いていた。時折、顔を横に振る仕草をしていたが…
久能胡桃 : 「……藍依は、ずるいよ」
久能胡桃 : 「こんな格好良くなっちゃうなんて、わたし……知らなかった……」
久能胡桃 : 涙を指先で拭って、キミと向き直る。
久能胡桃 : 「……わかった。藍依…ありがとう…」そう言って、小さく微笑む
琵琶坂 藍依 : 「……うん、やっぱり胡桃には笑顔が似合うよ」微笑み返す
久能胡桃 : 「もう……そう言うところがずるいって言ってるじゃん……」藍依の笑みを見て、嬉しそうにくすりと笑う。少し、あの頃に戻ったような雰囲気だ
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、ずるくてごめんね?」
久能胡桃 : 「……いいよっ」冗談めかした調子で
澱 カシル : 涙を指で拭いている胡桃に、そっとハンカチを差し出す。
久能胡桃 : 「あ……カシル、ちゃん…だよね。ごめんなさい、ありがとう…」キミが差し出してくれたハンカチに手を伸ばす
澱 カシル : 「貴女は……本当にあの夜から来て、何も変わってはいないのですね。」
ハンカチを渡す。
澱 カシル : 「それならば、何故………アイドルをまたここで?」
「あれほどアイドルを拒絶して、2度とすることはないとまで言い放った貴女が……」
サングラスを外し、胡桃と同じ顔で視線を向ける。
澱 カシル : 「………その、不満があるというよりは、脅されているのではと思いまして……」
久能胡桃 : 「……!」サングラスを外したキミを見て、驚いたように目を見開く
GM : あの頃から、キミは大きく変わった。顔立ちは変わらねど、服装も、纏う雰囲気も……そして、キミを苦しめていた呪いの力を、制御できるだけの技も身につけた。
久能胡桃 : 「……そう、だったの。まさか……会えるなんて思っていなかった」
久能胡桃 : 「わたしが死んだ日に会った…あの子。なのでしょう?」
澱 カシル : 「ええ。わたくしも。二度と貴女のステージを見ることは叶わないと思っておりました。」
澱 カシル : 「はい。あの闇夜で出会った、貴女を真似た怪物で間違いありません。」
久能胡桃 : 「……そう」
久能胡桃 : 「……あの時は、本当に信じられないほど酷いことを言っちゃったよね」
澱 カシル : 「……そうですね。事実とはいえ、結構傷つきました。」
澱 カシル : 「………ですが……。」
「わたくしにも非はありますし………」
「何より、傷ついたからこそ……わたくしは自らに金継をして、新たな道を開くことができた。」
澱 カシル : 「今や貴女を恨んでなどいません。」
久能胡桃 : 「……」やや拍子抜けした様子だが、「ううん…」と首を横に振る。
久能胡桃 : 「…それでも、わたしは……あなたに、謝らなきゃいけないよ」
久能胡桃 : 「わたし…あの時、本当に自分のことが嫌いで。毎朝鏡を見て、本当に苦しくて。だから、死のうと思った時、わたしの姿をしたあなたを見て……ああ、神様はなんて酷い幻覚を見せるんだって、そう思った」
久能胡桃 : 「……でも、ここに来てから気づいたの。違うよね、そんなのじゃない。あの時のあなたは…」
久能胡桃 : 「……わたしを、凄く澄んだ目で見ていた。何度も見たことのある目だった」
久能胡桃 : 「……あなたは、わたしのファンだった」そうだよね?とキミを見つめ、尋ねる
澱 カシル : 「───握手をしていただけますか?」
久能胡桃 : 「……こんなわたしで、良いのなら」手を差し出す。普通の人間より小さいが…キミの手より、少し大きな手。
澱 カシル : 互いの手を包みこむように握手する。
澱 カシル : 「わたくしは……胡桃さん、貴女のファンです。」
「その輝きに魅せられて、闇から這い出てきて……」
「人を目指して、アイドルになりました。」
澱 カシル : 「わたくしに夢を見せてくれて、ありがとうございます。」
久能胡桃 : 「……違うよ。あなたもアイドルなら、わかるでしょう?」
久能胡桃 : 「わたしたちは夢を売りながら、夢を見せてもらっている。『あなたたち』ファンに、幸せにしてもらっているのは、『わたしたち』アイドルなんだよ」
澱 カシル : 「ええ。ですから……」
澱 カシル : 「わたくしは強く、強く。あの時、貴女にファンだと伝えるべきでした。夢をまた見られるように。」
「あの夜のわたくしは幼すぎました……。」
久能胡桃 : 「……そこまで、思ってくれていたなんて。わたしは……本当に、酷いことをしたなぁ…」徐々にまた、涙声になりながら
久能胡桃 : 「わたしは…わたしが、穢れたって。アイドルに相応しくないって、そう思って命を絶ったの。でも……それは間違いだったって、これもここに来てから気づいた」
久能胡桃 : 「わたしは、あなたをはじめとしたファンの夢を運ぶことを諦めた。……良い子良い子してもらわないと表に立たない存在になってしまうことそのものが、わたしの思う理想の偶像アイドルを否定する行動だったんだよ」
久能胡桃 : 「……カシルちゃんのこと。生きている間に、もっとちゃんと、知るべきだったと思う。わたしが理想とするアイドルの姿…もっとたくさん見せてあげたかったなぁ……」
久能胡桃 : 「……ごめんなさい。でも…ありがとう。わたしのファンでいてくれて」
久能胡桃 : 彼女はそう言って、キミをそっと抱きしめる。キミが姿を変えても届かない、少しだけ背の高い彼女の体は、とても温かだった。
澱 カシル : 「こちらこそ……ありがとうございます。」
「貴女がアイドルを嫌ったまま命を絶ってしまったことが最後の心残りでした……。」
「たとえ死後であったとしても、その間違いに気づいてくれてよかった……。」
優しく抱きしめ返す。
澱 カシル : かつてのカシルの目的。
それは自らの存在意義を確立することと……アイドルの価値、久能胡桃の価値の再証明だった。
本人が唾棄してしまった輝きをもう一度本人に示してあげたい……と。
胡桃の死により叶わなかった未練が、ようやく成仏する。
久能胡桃 : 「……わたしは。本当はずっと、アイドルが好きだった。嫌いになってしまったのは、理想を叶えられなかったわたし自身だよ」
久能胡桃 : 「……改めて、気づかせてくれてありがとうね、カシルちゃん。あの時は、酷い言い方をしてしまったけど…でも……」
久能胡桃 : 「あぁ、嬉しいなぁ……カシルちゃんが、アイドルになってくれて……」呟きながら、キミの頭を撫でる。キミに姉がいたならば、こうしてくれたのだろうかと錯覚するほど、優しい手だ。
澱 カシル : 「ふふふ……。ありがとうございます。」
「もし可能ならば……冥界を去る前に、マリスノでライブを見せたいですね。他の子も今の自分の成長を見せたい人がいるようですし。」
澱 カシル : 「きっと……驚かれますよ。それまでアイドルとしての姿は秘密です。」
久能胡桃 : 「ふふ……」小さく笑って、キミの耳元に口を近づけてこそっと囁く
久能胡桃 : 「……きっと、わたしの姿でアイドルしてくれているんでしょ?」
澱 カシル : 「そうとも言えますし……違うとも。」
「わたくしは澱カシル……胡桃ちゃんとは別"人"……いえ。」
「人に化けた、怪物のアイドルですから。ふふ。」
久能胡桃 : 「……そう。よかった……楽しく、活動できているんだね?」
久能胡桃 : 「ステージ、いつ見られるかわからないけど…楽しみにしているね」頭をポンポンとして、顔を離す。
澱 カシル : 「ええ、ご期待ください。」
澱 カシル : 「ところで……結局、ルコさんたちとはどういったご関係なのですか?」
久能胡桃 : 「うん、そうだね…そろそろお話ししないと」改めてキミたちに向き直る
久能胡桃 : 「ここに来たわたしは、ルコちゃんに聞かれたの。歌は得意かって。わたしは…正直に、アイドルをやっていたって答えたよ」
久能胡桃 : 「……知っている?ルコちゃんはね……元々、人気のアイドルだったんだって。わたしたちより、もっと昔の世代だったけど…」
天海こよみ : 「うん、知ってるよ。ママとお友達なんだって……」
琵琶坂 藍依 : 「ああ、どこかで見たことあると思ったら……」
澱 カシル : 「ママというのは天海あかりさんのことですね。」
補足
虹之元 ユメ : 「あかりさんの……じゃあ、同じ時期にデビューした……?」
天海こよみ : 「うん、そう……。同じオーディション番組に出てたよ」
虹之元 ユメ : 「おお、俄然気になってきました……! でも、冥界で人を集めて何を……」
天海こよみ : 「それは……さっき胡桃ちゃんが言ってたこと、だよね? この世界の人たちを成仏させて、あと誰かをさがしてるって……」
久能胡桃 : 「ね、ねぇ…ちょっと待って、聞き捨てならないんだけど……」
久能胡桃 : 「……天海あかりちゃんが、ママ?」
天海こよみ : 「え? うん」 普通に頷く
久能胡桃 : 「うんじゃないけど!?!?」
天海こよみ : 「っ!?」 突然の大声に驚いてびくっと肩を震わす
久能胡桃 : 「あっ、ご、ごめん…でも…!」あたふたとしながらアイを見る
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、その反応にもなるよね。胡桃は筋金入りのアイドル好きだもん」
琵琶坂 藍依 : 「私も初めて聞いたときは驚いたよ、あの伝説的アイドル"天海あかり"の娘さんと同じグループだなんて」
久能胡桃 : 「そ、そうだよねぇ……わぁ、びっくり……あかりちゃんって娘さん居たんだ……」未だに驚いた表情のまま、こよみをまじまじと見てしまう
天海こよみ : 「…………」 まじまじと見られて、少し恥ずかしそうにしている
澱 カシル : 「わたくしも藍依さんと同じグループと知った時は仰天しましたけどね……」
琵琶坂 藍依 : 「まったく、運命のいたずらってあるものだよね」カシルに笑いかける
虹之元 ユメ : 「私もプレッシャーがすごかったですよ~」苦笑いを浮かべて
久能胡桃 : 「……そうだよね……逆に、これだけのメンバーが集まっていて地下なんて信じられないよぉ…」表情をふにゃ…とさせる。久しぶりに好きなアイドルの話ができて嬉しいようだ。
久能胡桃 : 「……と、それなら、お友達なのも納得かも。ルコちゃん……澪木ルリコちゃんと」
GM : 澪木ルリコ。前の世代のアイドルについて少しでも知っているならば、聞いたことがあるだろう。天海あかりの陰に隠れたダークホース的存在のアイドルだ。
天海こよみ : 「ルコちゃん、こんな世界だけど元気そうでよかったよね……。ルコちゃんも、自殺、した……って聞いてたから……」
久能胡桃 : 「……元気、なのかな…いつもあの調子だから良くわからないけど、でもパフォーマンスは楽しそうにしてるよ」やや困ったように
天海こよみ : 「そうだよね、クラちゃんにあんなに怒るくらいしんけんだったし……」
天海こよみ : 「せっかくなら、ママとも会えたら……もっと元気になってくれるかもしれないけど……」  難しそうかな、と考える
久能胡桃 : 「……それも、どうなんだろう……」やや含みのある言い方をしてしまってからハッとして、「ううん」と首を振る
久能胡桃 : 「……とにかく、ルコちゃんに、活動に協力してほしいって言われたの。ルコちゃんと、ココちゃん…そして、あまりお話ししたことはないけど、ユメミちゃんの活動に」
久能胡桃 : 「……声をかけられてから…少し考えて。それで、さっき藍依やカシルちゃんに話したように…気づいた」
久能胡桃 : 「今もまだ…歌うことも、踊ることも好き。好きなことで誰かが幸せになれるなら…まだ、ステージに立っていたい」
久能胡桃 : 「だから、わたしはルコちゃんにお願いして…この活動を、始めたの」
GM : 白ポプラ並木が、風もないのに揺れる中……彼女はその名前を口にする。
久能胡桃 : 「『奈落華ナラカ』。それが、わたしたちの名前」
天海こよみ : 「奈落華……」
虹之元 ユメ : 「ナラカ……ふむ、奈落を想起させるネーミングですね……」
久能胡桃 : 「結成した後に合流したから、詳細はわからないけど……確か、ルコちゃんが付けた名前だったはずだよ」
天海こよみ : 「あ、やっぱり。そんな気がした……なんかルコちゃんっぽいなって」
澱 カシル : 「奈落の華でナラカ、ですか……。」
「海溝の底に煌めく"MARiNE SNOW"にも似て、親近感がありますね。」
琵琶坂 藍依 : 「奈落の底、冥府に落ちた華……たしかに少し似てるかもね……」
久能胡桃 : 「……言われてみたら、そうかも。藍依と違うグループに入ったのに、なんだかちょっと似ているんだね、わたし達」小さく笑って
久能胡桃 : 「……そういう活動をしているの。もう数回くらいライブをやったけど……奈落華での活動で、わたし自身も救われているところがあるなって思ってる」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃自身、楽しんでやれてるならよかった」
澱 カシル : 「ええ。七天の頃とはまた違ったパフォーマンスですが……とても良いライブでした。」
「最後にケチがついてしまったのは残念ですが……。」
クラッドカルトとルコのやり取りを思い出す
天海こよみ : 「……そうかな」
天海こよみ : 「ぼくは、奈落華のライブ……ぜんぜん良いとは思わなかったよ」 顔を上げて
琵琶坂 藍依 : 「珍しいね、コヨミが辛口コメントを出すなんて?」
虹之元 ユメ : 「おや……辛辣ですね。自分もちゃんと聞けていたか怪しいですが……」
久能胡桃 : 「全然……かぁ……」少しだけショックを受けた様子だが、こよみと目を合わせる。
久能胡桃 : 「教えて…もらっても、いいかな?」
天海こよみ : 「あ……。ごめん……」 勢いで言ってしまったことにハッとして
天海こよみ : 「胡桃ちゃんのパフォーマンスがわるかったとか、そういうわけじゃないの。ただ……」
天海こよみ : 「クラちゃんが、ぜんぜん楽しそうじゃなかったから……」
天海こよみ : 「クラちゃんも、今は奈落華のメンバーなんだよね? それなのに、あんなステージの端っこで、不安そうにマイクを握っているだけで、何もさせてもらえなくて……」
天海こよみ : 「だから、あのライブは……良くないと思ったの。グループのメンバー全員が楽しくステージに立てないと、ダメだって……ぼくは思ったから……」 胸元をぎゅっと握りしめ、声を震わせて言う
久能胡桃 : 「……うん、そうだよね」こよみがいっぱいいっぱいで話していることに気づき、そっと頭を撫でる
久能胡桃 : 「こよみちゃんの言う通りだと思う。……大丈夫、間違っていないよ」
天海こよみ : 「あ、ありがと……ごめんね……」 大人しく頭を撫でられている
久能胡桃 : 「ううん、謝らないで」首を横に振り、安心させるように笑いかける
琵琶坂 藍依 : 「コヨミが言う通り、ステージ上でのクラの扱いは気になったな……? あの子は奈落華の正式なメンバーってことになってるの……?」
久能胡桃 : 「クラちゃんね……実は、わたしもあの子のことをよく知らないの」
久能胡桃 : 「急にルコちゃんが、『ステージに同席させる』って言い出して……」
久能胡桃 : 「ユメミちゃんも、パフォーマンスは無理だろうって口を挟んでくれたんだけど、『パフォーマンスはしなくていいから』『メンバーに数えるつもりはない』って押し切られちゃって……結局、あんな感じに……」
GM : あの時、思えば胡桃とユメミは困惑した様子だった。クラがメンバーではないということは、恐らく本当のことなのだろう。
天海こよみ : 「そう、なんだ……。同じ衣装を着て、ステージに立ってるのに……メンバーじゃないなんて……」
澱 カシル : 「アレでメンバーとして数えられている方がアイドルに対して侮辱もいいところでしょう。」
「他のメンバーは歌も踊りもしっかり磨いてステージに上がっています。1人だけ何もせず立っていて正式メンバーに加わえられる訳がなく。」
虹之元 ユメ : 「ううん、ただ立っているだけか……クラちゃんの能力が目当てとか、ですかね。やっぱり……」
琵琶坂 藍依 : 「だろうね……クラはついさっき冥府に誘拐されてきたばかりで、歌もダンスもろくに覚えてなかったハズ……いきなりステージに立たされて、不安だったろうな……」
久能胡桃 : 「そうだね。きっと……不安だったと思う」
久能胡桃 : 「最初ルコちゃんに紹介された時は、無表情でお人形さんみたいで……ずっとルコちゃんを見ていたから、てっきり人間ではないのかなって思ってたけど」
久能胡桃 : 「でも、ステージに来た途端すごく不安そうにしてて……あ、この子普通の女の子なんだなって気づいて。もっと早く気づけたら、あの子をあんな目に合わせずに済んだと思う…」
久能胡桃 : 「……ごめんね、こよみちゃん、みんな。ルコちゃんに、わたしからも話してみるよ」
天海こよみ : 「……ううん、だいじょうぶだよ。胡桃ちゃん」
天海こよみ : 「ルコちゃんとは……ぼくが話すから」
久能胡桃 : 「えっ…ルコちゃんと?」
天海こよみ : 「うん。ルコちゃんはいやがると思うけど、やっぱりあのままだとぼく、クラちゃんのこと任せられないから……」
天海こよみ : 「ルコちゃんの目的がこの世界の人たちにとっていいことなら、ぼくたちにもてつだえることがあると思うし……クラちゃんも、なっとくして力をかしてくれるかもしれない」
天海こよみ : 「だから、ちゃんとお話ししてみるよ。たとえメンバーじゃなくても、クラちゃんがステージに立つなら……楽しんでやってほしいから」
天海こよみ : 「だって、歌やダンスだけが……アイドルじゃない、でしょう?」 小さく笑って
久能胡桃 : 「……!うんっ…そう、思う……!」嬉しそうに肯定する
久能胡桃 : 「ルコちゃんはちょっと…ううん、結構口下手だし、今日は見たことないくらい怒ってたけど。でも、ちゃんとお話ししたらわかってくれると思うし…こよみちゃんが言っていることも理解してくれるはずだよ」
天海こよみ : 「う、うん……! そうだよ、ね……!」
天海こよみ : 「ママも、るー子ちゃんは少し気が弱いハリネズミみたいな子だけど、本当はやさしいって言ってたし……!」 希望を持てたように表情を明るくする
久能胡桃 : 「ハリネズミ……?……う、うぅん……確かに、そうかも…?」最初はうまく結びつかない様子だったが、くすりと笑う
琵琶坂 藍依 : 「彼女がクラ誘拐の主犯なら対話には応じてくれないだろう、そう思っていたけど……」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃から聞いた目的が本当なら、たしかに話し合いの余地はあるかもしれないね」
琵琶坂 藍依 : 「まあ、交渉が決裂したとしても、その時は私達でなんとかしよう」ね、とユメとカシルに目配せをする。
虹之元 ユメ : 「ええ、強行手段は本当に最後の最後。話し合いで解決できるなら、それが一番ですっ」目配せにウィンクで返す
澱 カシル : 「実際、こよみさんの問いかけに反応されてましたし、話し合う余地はあるかと。」
「万が一、荒事になってしまったとしても……それを跳ね除けるだけの力がわたくし達には備わっていますし。」
久能胡桃 : 「け、喧嘩はダメだよ…?傷とか付いたらどうなっちゃうかわからないし…」アイってそんなタイプだっけ…とやや困惑した様子
久能胡桃 : 「……みんなは、死んじゃったわけじゃないんだから。無事にクラちゃんを連れてちゃんと帰ってもらえないと、わたし、化けて出ちゃうよ」手をぷらんと下に向ける
天海こよみ : 「わあ……」 おかしそうにくすっと笑って
琵琶坂 藍依 : 「……化けて出てもらってもいいよ?」しっとりした陰ある笑みが漏れる。
澱 カシル : 「うふふ。一緒に現世に化けて出てきましょうか?」
出来るかどうかは分からないが、僅かな期待を乗せて
虹之元 ユメ : 「あはは……化けてかぁ……」 本当にそうならいいなぁ、と
久能胡桃 : 「乗り気になるのは違うでしょ。も〜……」腕を組んで、むんっとした態度をとる
久能胡桃 : 「……わたし、みんなの帰り道がないか探してみるよ。次の奈落華の集まりまで時間があるし……ココちゃんに頼んで、もう一度向こうの岸にでも戻ってみようと思う」
久能胡桃 : 「みんなは、これからどうするの?」
天海こよみ : 「えっと……ぼくはルコちゃんと、さっきの話を早くしたいなって……」
天海こよみ : 「胡桃ちゃんは、ルコちゃんがどこにいるか……わかる……? ぼくたち、あてもなくこの辺り歩いてて……」
久能胡桃 : 「あっ…そうだよね」むしろ、よく見つけられたね…と、目をぱちぱちとさせる
久能胡桃 : 「ルコちゃんは……見えるかな、あの辺に屋根があると思うんだけど」胡桃が指し示す方を見ると、森の奥に屋根のようなものが見えている。相当大きな建物のようだ。
久能胡桃 : 「あのお屋敷の近くにいると思う。具体的な場所はよくわからないけど…」
天海こよみ : 「あそこにルコちゃんが……。分かった、ありがとう……胡桃ちゃん……!」
久能胡桃 : 「多分そうだと思う。あのお屋敷、わたしたち奈落華で使っているんだけど…ルコちゃん、インドアだから」小さく笑って
久能胡桃 : 「気をつけて行ってきてね。……あ、それと…」
久能胡桃 : 「もし疲れたら、ライブステージの近くに、いくつかお家があると思うの。たまに人…?が出入りしてるお家もあるけど、出入りが激しい分、基本は空き家みたいだから」
久能胡桃 : 「お休みする時とかの参考になればいいな」
天海こよみ : 「勝手に入っていいのかな……? 空き家ならいい……の、かな……」
澱 カシル : 「冥界ですし、明確な所有者がいないのでしょう。ありがたく使わせていただきましょう。」
元々の生活スタイルがそうだったので、空き家を拝借することに全く抵抗のないお化け
虹之元 ユメ : 「冥界のホテルのようなものなのでしょうかね……」誰が建てたのかな、と関係ないことを考えている
琵琶坂 藍依 : 「ともかく、助かるよ胡桃。いつまで滞在することになるか、見通しが立たなかったからさ」
久能胡桃 : 「ううん、わたしのお家でもないし。でも……早く、帰れるといいね」
GM : ……胡桃は少しだけ寂しそうに笑う。
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 現世では、たくさんの人達が自分の帰りを待っている。だからこそ、その言葉を否定することはできなかった。
琵琶坂 藍依 : 「……胡桃、また来るよ」寂しそうに笑う親友を、そっと抱きしめる。
琵琶坂 藍依 : 「絶対っ……、約束っ……」抱きしめる手に、だんだん力がこもる。
久能胡桃 : 「……うん。ありがとう、藍依」今度は胡桃も躊躇うことなく、腕をアイの背に回す。
久能胡桃 : 「……また、落ち着いたらここに来て。待ってるから」キミの耳元にそっと囁いてから、腕を離した。
琵琶坂 藍依 : 「……うん、楽しみにしてる」名残惜しそうに離れる。
天海こよみ : 「じゃあ、またね……胡桃ちゃん。ぼくたち、行ってくるよ」
久能胡桃 : 「……うん。無理はしないでね…!」
GM : 胡桃は手を振って、キミたちを見送った。

GM : 胡桃と別れた後。キミ達は白ポプラ並木を抜け、ルコのいる屋敷へと足を進める。
琵琶坂 藍依 : 「……クラの居場所とか、冥府から出る方法を真っ先に聞くつもりでいたんだけど、ついつい話し込んじゃった」
琵琶坂 藍依 : 「プライベートな話ばっかりして、ごめんね? 会話の内容、置いてけぼりだったよね?」
天海こよみ : 「え……別にいいと思うよ……? だって、大事なことだったと思うし……」
天海こよみ : 「大切なお友達、なんでしょ……?」
虹之元 ユメ : 「そうですよ。私だってそうしちゃうと思いますっ」
澱 カシル : 「ええ……こんな状況でさえなければ、夜通し話し続けても良いくらいです。」
琵琶坂 藍依 : 「ありがとうみんな……胡桃はずっと、私の親友だったんだ……」
琵琶坂 藍依 : 冥界の仄暗い空を見上げて、言葉の内容を選びながらポツポツと話す。
琵琶坂 藍依 : 「────マリスノ結成当初にも少し、話したよね」
琵琶坂 藍依 : 「芸能界は煌びやかなだけの場所じゃない」
琵琶坂 藍依 : 「強いスポットライトが当たるところには、すぐ傍に深い闇があるものだ」
琵琶坂 藍依 : 「……胡桃は独りで、その闇の中を歩いてきたんだ」
天海こよみ : 「うん……」 さっきの会話の内容から、何となく察していた
琵琶坂 藍依 : 「私はすぐ傍にいたのに、胡桃を支えてあげることが出来なかった」
琵琶坂 藍依 : 「……この冥界には未練や後悔を持った魂が集まる、って言っていたけど、その点では私も同じかな」
天海こよみ : 「えっと……じゃあ、藍依ちゃんがそうだと、ぼくも何かみれんがあるってことになっちゃうけど……」 何も思いあたるものがないの顔
虹之元 ユメ : 「こよみちゃんは~……クラちゃんを取り戻したいって想いでしょうかね。未練とはまた違いますけども」
天海こよみ : 「なるほど……?」 首を傾げる
琵琶坂 藍依 : 「その点、生成AIのココなんかも当てはまらないような気がするし、冥界の事情に詳しそうなルコに聞いてみたいね」
天海こよみ : 「うん……ついでに聞いてみよっか」
虹之元 ユメ : 「ちゃんとお話しできると良いんですけど~……」
琵琶坂 藍依 : 「────ともあれ。コヨミが言っていたこと、本当だったな」
天海こよみ : 「ぼくが言ってたこと……?」
琵琶坂 藍依 : 「もう死んでしまった人に会えたこと、やっぱり幸運だったかもしれないなって」
琵琶坂 藍依 : 「……冥界で胡桃を初めて見たときはショックだったけど、実際に話してみてそう思えたよ」
天海こよみ : 「……うん」 嬉しそうに頷いて
天海こよみ : 「ふつうは、死んだ人と話せたりできないもん」
天海こよみ : 「クラちゃんのことは心配だけど……ここに来れて良かったね、藍依ちゃん」
琵琶坂 藍依 : 「うん……まだ現世に帰れるかも分からないから、大手を振って喜ぶ訳にはいかないけど……」
琵琶坂 藍依 : 「伝えられなかった思いを、伝えることができる……こんなに幸運なことはない……」
澱 カシル : 「胡桃さんにとっても……きっと幸運と言えるでしょうね。」
「死んでなお、後悔を抱えていたようでしたから。」
琵琶坂 藍依 : 「そうだと、良いな」
琵琶坂 藍依 : 「……ねえ、ユメ?」
虹之元 ユメ : 「……は、はいっ」何か考え事をしていたようで、肩を跳ねさせて返事をする
琵琶坂 藍依 : 「ユメミって子は……、ユメにとって大事な人なんだよね……?」
琵琶坂 藍依 : 「私にとっての胡桃と……同じくらい……」
虹之元 ユメ : 「そう、ですね……」
虹之元 ユメ : 「とってもとっても、大事な人です……。魂を分け合った……と言ったら、過言ですかね」ちょっとだけ、冗談めかして
天海こよみ : 「あ、だから髪の色とか名前とかにてるの……?」
虹之元 ユメ : 「あはは……これは私が寄せてるだけなんですけどね……」
虹之元 ユメ : 「ほら、前と全然違うでしょう?」スマホから過去にユメミと撮った自撮りを見せて
天海こよみ : 「ぜんぜんちがう……!」 目を丸くしてスマホを見てる
琵琶坂 藍依 : 「ほんとだ、垢抜けたというかなんというか」けど昔のユメも可愛いね、とフォローしながら。
澱 カシル : 「もしや、ギターや作曲を得意とされているのも……?」
ステージ上のユメミはギター演奏を中心にしていたことを思い出して
虹之元 ユメ : 「……ええ、まさしく。そっちはユメミちゃんの得意分野だったんです」
天海こよみ : 「そうなんだ……。あこがれ、みたいな感じなのかな」
澱 カシル : 「わたくしも胡桃さんに憧れてアイドルになりましたし、おかしな事ではありませんが……。」
虹之元 ユメ : 「うーん、憧れ……ちょっと似てるかもですね」宙を見つめて
虹之元 ユメ : 「アイドルになる夢は私。ユメミちゃんはアーティストになりたかったんです」
虹之元 ユメ : 「プロになれたら、楽曲提供してあげる!……って、息巻いてましたね~……」 過去を思い返すように、遠くを見つめる
天海こよみ : 「そうなんだ……」
天海こよみ : 「……じゃあ、プロ……ではないのかもしれないけど」
天海こよみ : 「せっかくこの世界に来れたんだし、帰る前に曲……もらう?」 小さく笑って
虹之元 ユメ : 「……ええ、一曲だけでは物足りないかもです」涙の溜まった目を細めて、笑い返す
天海こよみ : 「それなら、いっぱい作ってもらわなきゃね……!」 両手を口に添えて楽し気に笑う
琵琶坂 藍依 : 「い、いっぱい……作曲の労力も考えてあげてね……」
虹之元 ユメ : 「ふふ、どうしましょ~」ちょっとだけ意地の悪い笑みを浮かべる
琵琶坂 藍依 : 「……けど、UGNの端末で調べた限りでは、ここは本当の冥界じゃないんだよね」
琵琶坂 藍依 : 「だとしたら、もしかして今の胡桃たちは死者の霊魂なんかじゃなく────」
琵琶坂 藍依 : 「……いや、希望的観測はよそう。詳しい事情はルコに聴いてみた方が良さそうだ」
天海こよみ : 「うん、早く行こ……!」
天海こよみ : 琵琶坂藍依に〇好意/偏愛でロイスを取りつつ、歩いていきます
system : [ 天海こよみ ] ロイス : 3 → 4
琵琶坂 藍依 : こよみちゃんに感服/不安のP表でロイス取得!
琵琶坂 藍依 : またユメちゃんに同情/不安のN表でロイス取得しますの! ユメミちゃんと出会った時の狼狽した様子から、不安が表です!!
system : [ 琵琶坂 藍依 ] ロイス : 3 → 5
澱 カシル : 藍依ちゃんに友情/憤懣のP、胡桃ちゃんに尊敬/嫉妬のPでロイス取得!
system : [ 澱 カシル ] ロイス : 3 → 5
虹之元 ユメ : 不安取られても仕方ない!
自分はビワちゃんに「親近感/隔意」で取得、Pが表!
system : [ 虹之元 ユメ ] ロイス : 3 → 4

情報収集②

GM : 情報収集後、ルコとのトリガーシーンが解放されます。項目は以下2項目。
 
◆ルコについて 〈知識:アイドルor芸能〉5 〈情報:ウェブ〉6
 
◆現在のクラッドカルトについて 〈情報:UGN〉4
 
GM : 判定をおこなう方は宣言の後、登場侵蝕・情報判定を立て続けにおこなってください。
虹之元 ユメ : じゃあ「ルコについて」をいこう!
虹之元 ユメ : 1d10+42 (1D10+42) > 5[5]+42 > 47
虹之元 ユメ : 援護の風はいらなさそうだ。とりあえず賢そうな眼鏡かけておこ
GM : かしこそうでかわいい
虹之元 ユメ : 5dx+2 叡智の光!情報ウェブで目標6!(5DX10+2) > 8[1,1,2,3,8]+2 > 10
GM : 成功ですね!情報出します。

◆ルコについて
久能胡桃曰く、本名は澪木ルリコ。
天海あかりと同世代のアイドル。
あかりほどの目立った人気はなかったが、熱狂的なファンが多く、「るー子」という愛称で親しまれていた。
しかし、あかりが引退した年、自宅のマンションで自ら命を絶ってしまう。享年20歳。
彼女の死後、後を追う形で自殺したファンが複数人発生。
芸能界の負の歴史として記録が残り続けている。
彼女のファンサイトには、流出した遺書が掲載されている。
「圧倒的な人気を誇るあかりにコンプレックスを抱えており、どうにか追いつき、追い越そうと必死に足掻いていた。
しかし、あかりが引退してしまったことで、ついに追いつくことが出来ない存在となったことを痛感。
ショックの中で迎えた20歳の誕生日、アイドルとしての寿命が尽きたと感じ、絶望の末に自ら命を絶った」とのこと。
なお、このファンサイトは、2010年台前半までほぼ毎日更新されていた。
当時の写真や曲に関する情報、音声合成技術による彼女の歌声の再現など、熱心なファン活動をしている様子が見られる。

GM : 要するに、ルコの自殺の原因と、自殺の影響は思った以上にデカかったらしいよという話
虹之元 ユメ : つ、つら……!
虹之元 ユメ : 支えてくれる人がいたらな……悲しいね……
GM : どうなんでしょうな…購入判定もできるけどどうする?
虹之元 ユメ : どうしような、誰か欲しいものがあればチャレンジしてみるけど何か欲しいものあるかな?
天海こよみ : わたしはない!
虹之元 ユメ : なければいつもの応急キット狙ってみるよ!
虹之元 ユメ : 大丈夫そうかな?キット狙っておこう!
GM : どうぞ!
虹之元 ユメ : 5dx 緑のぺたぺたー!(5DX10) > 10[2,3,4,10,10]+4[3,4] > 14
GM : 成功!青いぺったりしたキットが手に入りました。
虹之元 ユメ : あ、青い……! これ別のと繋げたら消えたりするぷよいヤツじゃないよな……!
GM : 情報はあともう一つあります。どうしますか?
天海こよみ : ユメちと侵蝕そう変わらないし、わたし行きましょ!
天海こよみ : 登場!
天海こよみ : 1d10+49(1D10+49) > 9[9]+49 > 58
天海こよみ : たっか
GM : いやすぎ
天海こよみ : まあ最初低かったしこんなもんな気もする、大丈夫大丈夫
天海こよみ : 「現在のクラッドカルトについて」情報:UGN4、調べます
天海こよみ : 3dx(3DX10) > 9[2,9,9] > 9
天海こよみ : 余裕余裕
GM : 成功ですね!目標値やっぱなめすぎだったね、次は15くらいにしよう…(何)
GM : 情報出します!

◆現在のクラッドカルトについて
カリスマ性のある者に惹かれる性質により、本人の意思に関わらず、本能的にルコに引き寄せられている状況と考えられる。
現在、『彼』自身はこよみへの愛着心から、ルコを拒絶している。
完全に宿主を移行したわけではないようだ。
しかし、『彼』は少しずつ、ルコに似た姿へと変貌しつつある。
いずれは『彼』の意思に関わらず、宿主としてルコを選んでしまう可能性も考えられる。
その一方で、この状況には不可解な点が多い。
『彼』はこよみをはじめとした、MARiNE SNOWメンバーとの交流により、精神面・能力面ともに大きく成長しており、ただ本能のみで行動するようなレネゲイドビーイングではなくなったはずだ。
すなわち、『彼』自身の自由意思を薄弱させるような何かから、干渉を受けている可能性が高い。

天海こよみ : はぁ、はぁ…NTR…????????
天海こよみ : 誰に取りつこうが構わぬ、最後にこのこよみの横におればよい
GM : 何とか…取り戻してあげて…!
GM : 購入判定はどうする?
天海こよみ : する!
天海こよみ : と、前のシーンで言い忘れてたんだけど、情報収集で得た情報はPC全員に共有してる感じでもいいかな? 一緒にいるし、歩きながら話したりしてた感じで
GM : 今回はその認識で大丈夫!ごめんね宣言しておくべきでした!
天海こよみ : いえいえ、じゃあそれで!
天海こよみ : 購入判定はいつもの応急手当キットでいきます
天海こよみ : 3dx 目標値8(3DX10) > 10[3,7,10]+9[9] > 19
GM : もっと良いもの狙えるレベルの出目だよ!成功ですね
GM : ピンクのぺっとりしたキットが手に入りました
天海こよみ : カラフルになってきた!
天海こよみ : じゃあユメちの取ってきたのと合わせてもちもちしながらトリガーシーンへ行きます
GM : スライムASMRこよちゃんと共に次のシーンへ…

Trigger Scene 02 終止符ピリオドの代償

 
洋館
 
GM : 胡桃と別れ、しばし歩いた後。キミたちはようやく、件の屋敷にたどり着いた。海外の洋館風の建物だ。
GM : 最初、玄関口まで向かおうとしたキミたちだが……屋敷に向かって左奥の方から、誰かが会話する声が聞こえてくる。女性……それも、落ち着いたトーンの聞き覚えがある声だ。
天海こよみ : 「……? 誰かいる……ルコちゃん?」 ふらふらとそっちに歩いていく
虹之元 ユメ : 「随分と落ち着いた声ですね……」顔を覗かせて
 
薔薇園
 
GM : キミたちが向かった先には、庭園のような空間が広がっていた。赤くぼんやりと発光するバラ園に併設された、お茶会用のテーブル。
GM : その席に、2人の少女が座っている。ルコとクラだ。
ルコ : 「だから……悪かったって言っているじゃない。貴方がココみたいに、感情を持つ存在だって知らなかったのよ」
GM : ぐずるクラに対し、ルコは困ったような様子で、赤い粒状の果実が乗ったケーキを差し出す。
ルコ : 「甘いの、嫌いじゃないでしょう。……お子様みたいだし…」
GM : クラは相変わらず不機嫌そうだが、食事という概念には興味があったのだろう。
GM : 慣れない手つきでフォークを握りしめ、ケーキを口に運び…それをんべ、と吐き出す。
クラ : 「ん~…クラ、これやだ…あまいのきらい…」
ルコ : 「……品の無い真似はおよしなさい……」
天海こよみ : 「…………」 すぐに駆け出したい気持ちを抑えて、その様子を眺めてから
天海こよみ : 「……クラちゃん、ルコちゃん」 ゆっくりと歩いて近づき、声をかける
虹之元 ユメ : 「こ、こんにちは~。お茶会ですか?」 それとなく近づいていく
澱 カシル : 「お邪魔させていただいています。」
ルコ : 「……!」驚いた様子で、こよみを見る
クラ : 「……!コヨミ……!」対して、クラはとても嬉しそうにキミを見る
天海こよみ : 「クラちゃん……元気そうでよかった」 笑いかける
クラ : 「うんっ!……う~…」席を立ちあがろうとするが……やはり、クラ自身の意思に反して、体は動かないようだ
ルコ : 「……疑われたら嫌だから言っておくけど。私は何もしていないわよ」ティーカップを手に
天海こよみ : 「うん……分かってる。他の誰かが、クラちゃんに何かしてるんだって……」
天海こよみ : 「ルコちゃんは、クラちゃんにやさしくしてくれてるもんね……。ありがとう、約束……守ってくれて」 ルコに微笑む
ルコ : 「……別に。こうすれば良いと言ったのは貴方よ」目を逸らして、素っ気なく返す。
天海こよみ : 「うん、そうだね……」 その様子を微笑ましそうに見て
天海こよみ : 「あの……ぼくたち、ルコちゃんにお話があって来たの。今、だいじょうぶかな……?」
ルコ : 「……そう、私に」
ルコ : 「先に言っておきますけど。私は、私が答えたい範囲でのみ答えるわ。貴方たちのこと、信用していませんもの」
天海こよみ : 「う、うん……それでだいじょうぶ……」 信用してないと言われて少ししょぼ…として
ルコ : 「……よろしい。お座りなさい」
GM : そう言って、キミたちに空席に座るよう促す。
琵琶坂 藍依 : 「……ひとまず対話に応じてくれるみたいでよかったね、コヨミ」小声で笑いかける
天海こよみ : 「うん……そうだね」 藍依に笑い返しつつ、ルコの対面の席に座る
澱 カシル : 「ルコさん、ありがとうございます。」
「全く、ルコさんにまで手間をかけさせて……」
クラッドカルトの隣に座り、吐き出したケーキで汚れた口元を拭いてやる。
クラ : 「ん~……ありがと、カシル……」世話を焼いてもらえるのが嬉しいのか、小さく笑って
ルコ : 「……それで。何の話かしら」人数分の紅茶を注ぎ、キミ達の前に置いて尋ねる。
琵琶坂 藍依 : 「コヨミ以外、自己紹介がまだだったよね」コヨミとルコの斜向かいの席に着く。
琵琶坂 藍依 : 何かあれば、すぐさま対応できるような位置取りだ。警戒を緩めてはいない。
琵琶坂 藍依 : 「私は琵琶坂藍依、こっちの可愛い子は澱カシルと虹之元ユメ」
琵琶坂 藍依 : それはそれとして。話し合いに来たのだから、まず自己紹介するのが礼儀だ。
虹之元 ユメ : 「ユメです!」 ペコリと改めて挨拶する
澱 カシル : 「改めて、こんにちは。……こんばんは、かもしれませんが。」
ルコ : 「……この世界に昼も夜もないわ。常にこの空模様だから、いつか気が狂うかもしれないわね」抑揚がなく、冗談なのか判別がつかない
ルコ : 「こよみ、藍依、ユメ、カシル。覚えたわ」ちらりとユメを見る
ルコ : 「……ユメ。貴方、ユメミの知り合いなのね」先程の別れ際の会話で気になったのだろう
虹之元 ユメ : 「あ、はいっ。私のお友達……です」少し言い淀む
ルコ : 「そう。随分な偶然ですこと」
天海こよみ : 「魂を分け合ったんだって……」
ルコ : 「……それは、比喩よね?」
虹之元 ユメ : 「か、過言って言ったじゃないですか~……!」顔を赤くして
天海こよみ : 「あ……ご、ごめん、そうだったんだ……」 勘違いしてた
琵琶坂 藍依 : 「恥ずかしがるコトでもないでしょ?」くすっと笑って
虹之元 ユメ : 「そ、それでもちょっと恥ずかしいですよ~……」頬を手で押さえて
虹之元 ユメ : 「それはそれとして! ……はい、奇跡に近い偶然ですね。藍依ちゃんやカシルちゃんも、同じような状況かと」
ルコ : 「藍依とカシルも?」どういう意味かしら、と2名を見る
琵琶坂 藍依 : 「私は胡桃と魂を分けた仲なんだ」ユメを少しからかいながら
澱 カシル : 「では、わたくしは躯を分けた仲……としておきましょうか?」
実際は勝手に顔を真似ただけではあるが。
虹之元 ユメ : 「うう……! マリスノ内の流行語に……!」
ルコ : 「そのユーモアセンスは理解しかねますけど……貴方達は胡桃の関係者ということが分かったわ。……奇妙な偶然だわ」
ルコ : 「……とにかく。自己紹介ありがとう……私も改めて名乗りましょう」
ルコ : 「私は澪木ルリコ。この世界では、胡桃、ココ、そしてユメミとアイドルユニットを組んで活動しています」
ルコ : 「ユニット名は奈落の華と書いて『奈落華』。……こよみは、私の過去を知っているらしいけど……今は、ルコと呼んで頂戴」
天海こよみ : 「う、うん……ルコちゃん……」
ルコ : 「よろしい。では、続けましょうか」カップを手に、話を促す。
天海こよみ : 「えっと……。あの、話をしたいっていうのは……」
天海こよみ : 「ルコちゃんに聞きたいこと……それと、お願いしたいことがあるんだけど……いいかな」
ルコ : 「先程も言った通りよ。私は、私が答えたい範囲でのみ答える。お願いについても同様に」
天海こよみ : 「うん……分かった」
天海こよみ : 「あのね……。さっき、胡桃ちゃんから聞いたの」
天海こよみ : 「ルコちゃんは、この世界にいる人たちを救うためにアイドルをやっているって……。それと、さがしている人たちがいるんだって……」
ルコ : 「そう。胡桃と先に話したの」
ルコ : 「……それで?」自発的に何かを話し出すつもりはないようだ。
天海こよみ : 「どうして、この世界の人たちを救いたいの……?」
ルコ : 「冥界で迷う魂を救おうとすることが、そこまで不思議?親族や友人がこの世界にいる可能性を思えば、善性のある人間なら皆そうするはずよ」
天海こよみ : 「親族……友人……。じゃあ、ルコちゃんが今こうしているのは、この世界に大事な人たちがいるから、なんだね……」
ルコ : 「………」目を閉じて、小さくため息をつく。
ルコ : 「……いえ、隠すことでもないわ。貴方、私が自ら命を絶ったことはご存じ?」
天海こよみ : 「うん……前にミツキちゃんから……」
天海こよみ : 「あ、それと……さっきユメちゃんがネットで調べてくれてたから……」
ルコ : 「ネット?この世界、パソコンを持ち込めるの?」
天海こよみ : 「パソコンじゃないんだけど、スマホがあるよ……」 ポケットから取り出して見せる
ルコ : 「すまほ」訝しげにこよみの持つ板を見る
ルコ : 「……良いわ、後でココに聞きましょう。とにかく、私の過去について知っているのね」
ルコ : 「だとすれば……私が死後犯した罪についてもご存じかしら」
天海こよみ : 「え、えっと……。もしかして、ファンの人たちの……こと?」
ルコ : 「そう。……私が死んでから、私の…後を追って、ファンが……何人も……」
GM : 淡々と話していた彼女の呼吸が、やや乱れる。
ルコ : 「……ごめんなさい。ともあれ、この冥界で私が歌う理由は一つ」
ルコ : 「……罪滅ぼしのためよ」
天海こよみ : 「やっぱり、そうなんだ……」
天海こよみ : 「じゃあ、さがしている人たちは、この世界にいるルコちゃんのファン……かな……」
ルコ : 「ええ。最も、居たところで姿は見えないのでしょうけど……だから、全員成仏させるわ」
天海こよみ : 「みんななんだか黒いもんね……」 観客を思い出して
天海こよみ : 「……でも、どうしてみんなを成仏させるために、クラちゃんが必要なの……? クラちゃんが来る前から、奈落華は活動してたんだよね……?」
ルコ : 「……貴方たちも、あの光景を見たでしょう。ライブ会場に集う人影は無事に成仏したわ」
ルコ : 「けれども、それは私たちの歌が直接聞ける範囲のこと。……この活動が永遠かもわからない、いずれ私がこの地から離れる可能性もある」
ルコ : 「……悔しいけど、今の奈落華の力では及ばないものがあるの。だから、彼女の力を借りたい」
クラ : 「……」やや警戒するようにルコをにらみながら、ケーキをフォークでつついている
澱 カシル : 「食べもしないのに弄るのはやめなさい。」
クラッドカルトのフォークを持つ手をたしなめる。
クラ : 「う~……」不本意ながらもフォークをおろす
澱 カシル : 「………ひとつ、気になったことがあります。」
「何故、ルコさんはクラッドカルトに特別な力があることをご存知なのですか?」
澱 カシル : 「幾度か騒動があったとはいえ、クラッドカルトの詳細は支部長が隠匿していた情報なのてすが……。」
ルコ : 「隠されていた存在。……普通の人間ではなく、感情を持ち合わせた…こよみにそっくりな外見の生物」ぶつぶつと、自分の持つ情報と合わせて整理する様子。どうやら、彼女自身もクラをよく知らないようだ
ルコ : 「人の心に働きかける力を増幅させられると聞いたわ。それが、人の姿をするものだとは知らなかったけど…」
ルコ : 「……次に聞きたいのは、私がどこでこの情報を知ったか、でしょう?」
天海こよみ : 「うん……。だれかから教えてもらったのかな……」
ルコ : 「それは黙秘させていただくわ。貴方方が知り得るであろう情報以上のことは、おいそれと話したりはしません」
天海こよみ : 「そっか……わかった」 そういう約束だったため、聞き出そうとはしない
天海こよみ : 「……ねえ、クラちゃん。クラちゃんもここまでの話は、はじめて聞いたよね?」
天海こよみ : 「クラちゃんは……どう思った?」 クラの顔を見て
クラ : 「んー…」こよみに話しかけられ、嬉しそうに笑ってから答える。
クラ : 「や!コヨミとかえる!」
天海こよみ : 「……そうだよね。やっぱり、クラちゃんはそうしたいよね」 小さく笑い返す
クラ : 「うん!ルコきらい!」
ルコ : 「……好かれる理由はないけれど、なかなか不快だわ」
澱 カシル : 「やめなさい、クラッドカルト……! すみません、まだ人間が上手くなくて……」
ルコに謝罪する。
天海こよみ : 「……ううん、クラちゃん。やめなくていいよ」 首を横に振る
天海こよみ : 「クラちゃんには、そう言っていいだけの……けんりがあると思うから」
澱 カシル : 「こよみさんまで……。」
琵琶坂 藍依 : 「まあ、いきなり誘拐されたり、ステージに立たされたり、挙句の果てに叩かれたり……怒る権利があるのはそうかもね……」
クラ : 「ん!」2人の賛同を得て、ドヤドヤとした態度で
琵琶坂 藍依 : 「ただ、ルコから謝意も受け取ってるみたいだし、クラに対する悪意があった訳でもないみたいだから、ほどほどにしてあげて」クラが食べ残したケーキを見て
虹之元 ユメ : 「ええ、赦してあげることも時には大事です。今でなくてもいいですけど……」 お茶の香りを嗅ぎながら
クラ : 「え~……」一転、クラは少し悲しそうだ
澱 カシル : 「ルコさんの成仏ライブに反対というわけではないのですが……クラッドカルトもこの調子ですし……」
「他の形で手伝わせてもらえませんか?」
天海こよみ : 「ううん、まって。カシルちゃん」
天海こよみ : 「ぼくは、ルコちゃんのやってること……まだ反対だから」
澱 カシル : 「クラッドカルトを参加させなくても、ですか?」
天海こよみ : 「クラちゃんを巻き込まないなら、もちろんなんでもいいよ。でも、ルコちゃんはクラちゃんを手放すつもりはないんでしょ……?」 そう最初に会った時に言っていたことを思い出す
ルコ : 「ええ。……ですが、話を聞かないとは言っていないわ」
ルコ : 「カシル。貴方の意見を聞かせて」
澱 カシル : 「クラッドカルトはこうして今は分離している状態にありますが……」
「本来はこよみさんに結びついた存在です。」
「ですので、クラッドカルトに無理にやらせずとも……。」
「奈落華とこよみさん、いえ、MARiNE SNOWとの合同ライブという形でも良いのではないかと考えまして。」
ルコ : 「……クラを、こよみから引き剥がさずして、こよみを含むMARiNE SNOW……貴方達のライブで、魂たちを成仏させると」
澱 カシル : 「はい。わたくしも冥界と方向性は真逆ではあるものの、霊魂というモノには多少縁があります。」
ルコ : 「……カシルも、クラやココと似たような存在だとは聞いたわ」キミの出自を指して
ルコ : 「そうね……貴方の言いたいことは理解した。でも、貴方達がいつまでもここにいる確証はない」
ルコ : 「……そのような状態で、貴方達にあっさりとクラを返すわけにはいかない」
琵琶坂 藍依 : 「なるほど。初めに言っていた通り、私達を信用できないと」
ルコ : 「ええ。現に、こよみは私をかなり警戒しているようですから」お互い様でしょう、と
天海こよみ : 「……え? ルコちゃんのこと、けいかいなんかしてないよ……?」 意外そうに
ルコ : 「クラに関しては、かなり敵意が滲んでいるように思うわ。明確に反対、と言ったのは貴方よ」
天海こよみ : 「そう、かな……。てきい、のつもりじゃなかったんだけど……」 
天海こよみ : 「じゃあ、そのことで……ここまでの話をふまえた上で、最初に言っていたおねがいの方を、聞いてもらってもいい……?」
ルコ : 「……まだ聞いていなかったわね。どうぞ」
天海こよみ : 「うん」
天海こよみ : 「もし、本当にまだ、ルコちゃんがクラちゃんの力を借りてライブをつづけるなら……」
天海こよみ : 「まずはクラちゃんとぼくを、なっとくさせてほしいの……」
ルコ : 「納得、ね。具体的には何を求めているのかしら」
天海こよみ : 「クラちゃん自身に、ルコちゃんをてつだってもいいって……そう思わせられるようにしてほしい」
天海こよみ : 「たとえば、さっきのライブ……。クラちゃんは何もさせてもらえなかったよね」
天海こよみ : 「あんなの、よくないと思うの……。クラちゃんの力が必要なのに、クラちゃんが楽しめないライブなんて……」
天海こよみ : 「そんなの、クラちゃんもいやがってとうぜんだよ。だから……」
天海こよみ : 「クラちゃんをステージに立たせるなら、クラちゃんも奈落華のメンバーとしてあつかってほしい……かな」
ルコ : 「……詰まるところは感情論ね」バッサリとした感想。だが。
ルコ : 「……さっき、藍依にフォローされた形になったのは情けないけれど。誤解とはいえ、これでも悪いことをした自覚はあるわ」
ルコ : 「今後はクラの話も聞く。そのつもりよ」
ルコ : 「だから、この席を設けていたのだけど…」
ルコ : 「……この通り、いつの間にかよくわからない場になってしまったわ」
天海こよみ : 「あ……ごめんね……。ぼくたちが勝手に来たから……」
ルコ : 「いいえ。むしろ、クラは楽しそうだからこれでいいわ」
天海こよみ : 「そっか……」 クラを見て
クラ : 「……コヨミ…」キミを見て小さく笑うが……髪型や服装をちらりと見て、やや落ち込んだように目線を落とす。お揃いじゃなくなってしまったことが悲しいのだろう
天海こよみ : 「………」 そのクラの様子を少し見つめてから
天海こよみ : 「あの……ありがとう、ルコちゃん。クラちゃんと、ちゃんと話そうとしてくれて……」
天海こよみ : 「ただ、でも……ね。それだけだと、まだぼくはなっとくできないところがある、の……」
ルコ : 「……こよみ。悪いけど、私は貴方まで納得させなくてはいけない義務はないわ」
ルコ : 「この状況が続く以上、貴方が納得する日は来ないでしょう」
天海こよみ : 「ううん、ぎむはあるよ。だって、ぼくはクラちゃんのお姉ちゃんだから、関係あるもん」
天海こよみ : 「それに、ね。ルコちゃんは、ぼくをなっとくさせないと……ちゃんとライブできないと思う」
天海こよみ : 「そうじゃないと、ぼくは力づくでもライブを止めると思うから」 ルコの目を見て、はっきりと力強く言う
ルコ : 「……それを敵意というのよ、こよみ。交渉のテーブルで出して良い感情ではないわ」
ルコ : 「このような言い方はクラが嫌がるから、あまり言いたくないけれど。今、クラは貴方の手元を離れている状況」
ルコ : 「貴方が強請りをかけられる立場でもないし……力を行使しようと言うなら、私も黙っていない」
ルコ : 「私は引かない。クラの機嫌は取る価値があるけれど、貴方の言葉を聞く価値はない」
天海こよみ : 「…………。ごめん、ルコちゃん……そうだね……」
天海こよみ : 「ぼく、ルコちゃんとちゃんとお話したかったのに……こんなたいど取っちゃ、ダメ……だった、ね……」 反省したように、視線を膝に向ける
クラ : 「……!」落ち込むこよみの姿を見て、ガタッと音を立てて席を立つ
クラ : 「ルコ、コヨミにいじわるする……!おまえ、やっぱりきらい!」
ルコ : 「……クラ。私も本意ではないわ」小さく溜息をつく
ルコ : 「……貴方の言いたいことは理解する。私こそ、言葉が強かったわ」
ルコ : 「本件についてはきっと平行線よ。私は、クラの意向に沿うように尽力するけど、それが真の意味でクラを納得させることにつながるかはわからない」
ルコ : 「そして、こよみもまた納得しないでしょうけど、私はこれ以上譲歩できません」
天海こよみ : 「……わかった」 
天海こよみ : 「じゃあ、ルコちゃん。最後にもう一つだけ、聞いてほしいことがあるの……今度はおねがいじゃなくて……」
ルコ : 「……聞きます」
天海こよみ : 「あのね、ルコちゃん。今のクラちゃんは、だれかにしばられているじょうたい、でしょ……?」
天海こよみ : 「それって、きっとよくないことだと思う……。もしクラちゃんがなっとくして、ルコちゃんを手伝ってあげたとしても……」
天海こよみ : 「このだれかがクラちゃんに何かをしてるかぎり、ぼくは心配だと思う……。だから、まだなっとくできないの……」
天海こよみ : 「……前に、意思をうばって……ひどいことをしてきた人がいたから……」 以前、操られた母親が襲い掛かってきた時のことを思い出す
ルコ : 「……誰かに縛られている……?それは、私ではなくて?」若干目を見開く
クラ : 「……クラが?」こよみの言葉に、やや拍子抜けし…自分を指差して首を傾げる。
GM : どうやら、両名ともに全く心当たりがない様子だ
澱 カシル : 「お話してハッキリしましたが、ルコさんは……わたくしたちのような"レネゲイドビーイング"について何もご存知ない様子。」
澱 カシル : 「先ほどもお話したようにクラッドカルトは本来こよみさんに強く結びつき……姿もこよみさんに瓜二つのはずなのです。」
「しかし……今はそうではない。こよみさんが気にされているのは、知識を持たないルコさんとは別の……"繋がりを断った何者か"でしょう。」
天海こよみ : 「それと、クラちゃん……ぼくに近づいたり、できないよね……? でもそれって、ルコちゃんは何もしていないんでしょ……?」
天海こよみ : 「だからきっと、だれかがいるはずなの。クラちゃんの意思をあやつってる、だれかが……」
澱 カシル : 「同一人物かどうかまでは分かりませんが……そうですね。」
クラ : 「う、うん……クラね、コヨミといっしょがいい…でも、いっしょにいられない…」今にも泣きそうになりながら、こよみの言葉にうんうん頷く
ルコ : 「……"レネゲイドビーイング"という言葉、初めて知ったわ。それに……第三者の存在、ね」
ルコ : 「……私の預かり知らないところだわ」
天海こよみ : 「やっぱり、知らないんだね……」
天海こよみ : 「だから、ぼく……心配なんだと思う。このままルコちゃんとクラちゃんが、何も知らないまま……だれかに利用されていたり、これからあぶないことに巻き込まれるかもしれないって……」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃もそうだったけど、ルコもオーヴァードやレネゲイドといったものについては知らなかったんだね……」
虹之元 ユメ : 「私も気になっていました。どうやらレネゲイドウィルスに関しての知識は、冥界には伝わっていない様子……」
澱 カシル : 「一人……明確にオーヴァードといいますか……レネゲイドビーイングの方が居ますが……」
「マックナインさんは……よく分かりませんね。」
彼女の行動は不可解すぎて意図が読めない。
琵琶坂 藍依 : 「……そもそも、この冥界自体も誰かが作り出したものみたいなんだよね」
ルコ : 「……新しい情報が多すぎるわ。レネゲイドビーイング、オーヴァード、レネゲイドウイルス……私が死んでから、世の中色々あったのでしょうけど」
ルコ : 「藍依の言葉に違和感があることはわかる。……冥界を、誰かが作った?」宗教絡みの話ではないわよね、と訝しげに尋ねる
天海こよみ : 「ま、まだはっきりとはわかってない、けど……。クラちゃんがもってるような力と、にたような力があって……その力で世界を作った可能性もあるのかもって……」
ルコ : 「……おかしな話ね。いえ、ここに来てから、世の中におかしなことがたくさんあることは知ったわよ」
ルコ : 「あの世が存在していること。フィクションのようなロボット……ココが存在していること。クラのような、私が知る何の概念にも属さない力を持つ存在がいること」
ルコ : 「それでも、現世と変わらない規模を持つこの世界を作った存在がいるとは……申し訳ないけど、にわかには信じられないわ」
天海こよみ : 「ぜんぜん……しんじてくれなくていいよ。だって、そんなのわけわからなくてとうぜん、だし……」
天海こよみ : 「ただ、ぼくはそういうことが言いたいんじゃなくて……」
天海こよみ : 「とにかく、気をつけてほしいの……ぼくが言った、だれかのこと。何かあってからじゃ、間に合わなくなるかもしれないから……」
天海こよみ : 「……てきい、向けちゃった……ぼくが言えることじゃ、ない……かも……しれないけど……」 相当反省しているのか、顔を俯かせて声を震わせながら言う
ルコ : 「……こよみ。顔を上げて」
天海こよみ : 「ん……」 顔を上げる
ルコ : 「……私自身は、貴方と対立したい意思はない。クラを介した時、立場が相いれないだけのこと」
ルコ : 「貴方達の忠告は受け入れる。それは私……いえ、私達にとってメリットになる」
ルコ : 「有益な情報をありがとう。感謝するわ」
天海こよみ : 「……!」 目を大きく見開いて
天海こよみ : 「う、うん……! 聞いてくれて、ありがとう……ルコちゃん……!」
天海こよみ : 「ルコちゃんは……やっぱり、やさしい子、だね……。ママが言ってた通り……」 口元に小さく笑みを浮かべる
ルコ : 「……」
ルコ : 「……………」小さく、深呼吸をする。
ルコ : 「……一つ、聞いて良いかしら」
天海こよみ : 「う、うん! もちろん……!」
ルコ : 「貴方の言う『ママ』について、教えてくださる?」やや緊張した面持ち
天海こよみ : 「ママのこと? それなら、ルコちゃんなら知ってると思うけど……」
天海こよみ : 「天海あかり、っていうの」
ルコ : 「……っ」その言葉に、小さく目を見開く
ルコ : 「……天海…あかり」
ルコ : 「嫌なら答えなくて良いわ。……それは……元、アイドルの?」
GM : 嫌なら答えなくて良い。その言葉には……むしろ、「聞きたくない」という躊躇いのようなものすらあるように感じるだろう。
天海こよみ : 「……そ、そう、だよ? ルコちゃん、お友達だったんだよね……? ママがそう言ってて……」 躊躇いを感じて、少し不思議そうにしながら
ルコ : 「………あぁ……そう」
ルコ : 「……彼女が引退してから……もう、それだけの月日が経ったのね」
ルコ : 「……そう……」彼女は反芻するように、もう一度呟く。その表情は複雑なものだが…こよみには、ルコが小さく、優しく笑っているように見える。
天海こよみ : 「…………」 
天海こよみ : 「うん……。もう、30年くらいたってる」
天海こよみ : 「だから、ぼく……うれしいの。ママのお友達の、ルコちゃんと、こうして会えて……」
ルコ : 「……少なくとも、私が死んだ後に生まれたのでしょう?……いえ、いえ、待って頂戴。そうよね?」
ルコ : 「貴方が生まれたのは、彼女が引退した後のことよね?まさか、現役の頃じゃ……」
天海こよみ : 「そ、そうだよ……!? ママが引退した後だよ、ぼく……14さいだから……!」
ルコ : 「そう、よね……よかった……」小さく溜息を吐く
ルコ : 「……それなら、あかりちゃんから聞いて知ったのね。私が……あかりちゃんの、とも…だち、って」
天海こよみ : 「うん……!」
天海こよみ : 「ママ、言ってたよ。ルコちゃんは少し気が弱いハリネズミみたいな子だけど、本当はやさしくて、とてもがんばりやさんだって……」
ルコ : 「…………」頭に手を伸ばしかけ……再度ゆっくりと息を吐いて、手を下す
ルコ : 「……それ以上はやめて。聞きたくない」
ルコ : つっけんどんな口調だが、声がやや震えている。珍しく慌てている様子だ。
天海こよみ : 「わ……わかった。ごめん……ね……?」 
ルコ : 「……いえ。私の都合だから」
ルコ : 「そう……あかりちゃんの娘も、アイドルに……」
ルコ : 「……さぞ、喜んだでしょう。貴方がアイドルになるって聞いた時には」悪意なく、世間話でもするように微笑んで尋ねる
天海こよみ : 「あ……う、うん……。そうだね……」 若干歯切れが悪く答える
ルコ : 「……」こよみの様子を見て、違和感に気づいたのか。
ルコ : 「……何か、あったの……?」やや躊躇う様子を見せながら……しかし、聞かないわけにもいかないと、珍しく控えめな態度で尋ねる
天海こよみ : 「え、えっと……。あの……」
天海こよみ : 「その……ママ、実はもう……死んでる、の……」 言うかどうか悩んだが、それでも母の友達に隠し事はしたくないと思って伝える
ルコ : 「………ッ!」
ルコ : 息を飲み、今まで見たことがないほどの様子で青ざめる。
ルコ : 「……14歳の娘が居る歳で……そう……」
ルコ : 「……本当に、ごめんなさい。配慮が足りていない、無神経な疑問だったわ」
天海こよみ : 「う、ううん! ぼくもごめんね、その……ルコちゃんに、このこと……教えちゃって……」
天海こよみ : 「ただ、その、あの……。ママは、早く死んじゃうことになったけど……」
天海こよみ : 「ぼく、ママはこの世界には来ていない……と思うの」
ルコ : 「……それは、どうしてそう思うの?」やや悲し気にも見える表情で尋ねる。
天海こよみ : 「あのね……少し前、色々あって……ママと会って話せたことがあったの」
天海こよみ : 「その時、ぼく……アイドルになったことを話して……。ルコちゃんが思った通り、すごくよろこんでくれて……」
天海こよみ : 「だけど、その……生き返ったわけじゃないから、ママはぼくのライブを見に来れたわけじゃなかったんだけど……」
天海こよみ : 「でも、それでもまた会えて良かったって、最後に笑って言ってくれて……」
天海こよみ : 「あの時の笑顔を思い出すと、なんか……なんとなく、ママはこの世界に来るようなみれんとか、ないんじゃないかな……って、そう思うの」
天海こよみ : 「だから、ママは今は……お空の上で、パパといっしょに幸せに暮らしながら、ぼくのことを今も見守ってくれてるんじゃないかな……」 
天海こよみ : 「……そう、ぼくはしんじてるよ」
ルコ : 「……そう。……亡くなった人と話せる機会があるなんて、信じられないけれど……現に、私はここにいるもの」
ルコ : 「あかりちゃんが笑っていたのなら、間違いないわ。きっと……こんなところには来ないで、幸せに暮らしているのでしょう」目を閉じて、小さく微笑む
天海こよみ : 「……うんっ」 嬉しそうに笑い返す
ルコ : 「……」こよみの姿を見て、ふとキミたちに問いかける。
ルコ : 「……ねぇ。貴方たち……何かしらの形で亡くなって、この世界に来たわけではないでしょう」
琵琶坂 藍依 : 「うん、そのハズだよ」
琵琶坂 藍依 : 「私達はテレビに吸い込まれてしまったクラを追って、この冥界にやってきた」だよね、と目配せをする。
天海こよみ : 「うん……」 頷く
クラ : 「ほぇ……そうなの……?」自覚がないようだ
虹之元 ユメ : 「ええ、クラちゃんは覚えていないのですか……?」訝しげに
天海こよみ : 「クラちゃん、あの時ぼーっとしてたから……」
天海こよみ : 「もしかしたら、あの時からだれかにあやつられてたのかな……」
ルコ : 「テレビに吸い込まれて……ね。テレビ画面の向こう側が死後の世界につながっている、みたいな与太話のような都市伝説は聞いたことある気がするけど……それは妙だわ」
ルコ : 「……ユメミも、胡桃も、何かしらの未練を抱えていたのに、貴方達はそういうものが感じられないから……不慮の事故とでもいうべきかしらね」
天海こよみ : 「事故、か……」
天海こよみ : 「そこも含めて、やっぱりこの世界のことをもっと色々しらべてみなくちゃ、ね……。レネゲイドのことを知ってるぼくたちが見れば、何かわかるかもしれないし……」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね。この冥界は"広大な撮影用のセット"みたいなもの……いったい誰が何のために作ったのか……」
琵琶坂 藍依 : 「この冥界の仕組みについて、ルコはどこまで知っている?」
ルコ : 「……ここが『誰かが作ったもの』という説自体、私はおかしいと考えているわ。あの日死んだ私が、私として存在している場所を誰かが作ったなんて……あり得ないでしょう」
ルコ : 「それを前提に話すけれど。私が知っている範囲は、貴方方が知る範囲は同程度だと思うわよ」淡々とした口調で
琵琶坂 藍依 : 「そうか……ううん、そうだよね……」
天海こよみ : 「あの……ずっと気になっていたんだけど、それならルコちゃんはどうしてライブをすればこの世界の人たちを成仏させられるってわかったの……?」
ルコ : 「……私からヒントを出すつもりはないのだけど、この問答が永遠に続くのはお互いにとってデメリットですから。もう一度言いましょう」
ルコ : 「私は、私が話したい範囲だけ話すのみよ。貴方達に協力する必要はない」
天海こよみ : 「ご、ごめん……。ただ、気になっちゃって……」
天海こよみ : 「だって、みれんって……人それぞれちがうよね? それなのに、ルコちゃんのライブを見れば成仏できるなんて……」
天海こよみ : 「そんなの、この世界にいる人たちがみんなルコちゃんのファンで、最後にもう一度だけライブを見たいとか……そんなみれんじゃないとおかしいような気がして……」
天海こよみ : 「だからずっと、不思議に思っていただけなの……」
ルコ : 「……」
GM : ルコは何も答えない。相変わらずの真顔でこよみの話を聞いているだけだ。
琵琶坂 藍依 : 「……いろいろ気になることはあるけど、仮に知ってても答えてくれない情報がほとんどかな」ルコの様子を見て、困ったように笑う。
ルコ : 「尋問しに来たつもりなら、帰って頂戴」
天海こよみ : 「ご、ごめんね……。ほんとに、もう聞かないから……」
 

 
天海こよみ : 相談タブでフリがあったし……せっかくなんで試しに、GMに対して疑問点を直接質問できる《デジャヴュ》を使ってみてもいいですか?
天海こよみ : 質問内容は「あのライブでの成仏は本当に成仏してるのか、それとも別の何かなのか」で。答えられないなら使用拒否できるエフェクトなのでダメな質問なら全然大丈夫…!
GM : 回答します!デジャヴュ分の侵蝕を増やしてください。回数も2回中1回消費ですね。
天海こよみ : ありがとう…! 了解です。
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 58 → 60
GM : こよみは、蘇らされた母・天海あかりと対峙した日の経験から、以下の疑問を抱きます。
GM : 彼女もまた、真の意味で生き返ったわけではない存在であったが、最期その姿は黒く染まり……跡形もなく消えてしまった。
GM : それに対して、冥界でキミが目撃した「成仏」は、なんと感動的な光景だろうか。黒い影が、光に姿を変えて天上に上っていく、わかりやすいまでの「お別れ」の過剰演出。
GM : ……ここまでドラマチックなご都合が、この世にあり得るものだろうか?キミの心のうちに、どうしても腑に落ちない部分ができてしまう。
GM : このようなところでしょうか。
天海こよみ : な、なるほどな~! ありがとう、了解です!
 

 
天海こよみ : 「…………」 口元を手で覆いながら何かを考えている内に、顔色が悪くなっていく
虹之元 ユメ : 「どうかしましたか?」こよみの顔を覗いて
天海こよみ : 「あ……えっと……。ちょっと、考え事、してて……」 ハッとして
天海こよみ : 「後で話すよ……ごめんね、ユメちゃん」 はっきりとした確証がないため、ルコにはまだ話さないことにする
虹之元 ユメ : 「……? はい、大丈夫ですよ~。お話出来る時に、また聞かせてください」ニコリと微笑んで
天海こよみ : 「う、うんっ」 こくこく頷く
琵琶坂 藍依 : 「…………」二人の様子を見て、何かに気付いたみたいだな、と察する。
琵琶坂 藍依 : 「……さて、ルコ。キミの言い分は分かったよ。こちらの質問は本当に受け付けてくれないみたいだ」
ルコ : 「物によるし、一部には答えているわ」ツン、と澄ました様子だ
琵琶坂 藍依 : 「肝心なところを答えてくれないじゃない。まあ、良いんだけどさ」
天海こよみ : 「最初からそういう約束だったから、ね……」 ルコの答えたいことだけを答える
澱 カシル : 「こうして交渉や情報交換に応じてくれただけ、良しと考えましょう。」
強情だったこよみの"妹"を思い出し、ふふと笑って
琵琶坂 藍依 : 「……キミがそのつもりなら、こちらにも考えがある」ルコを見据えて
ルコ : 「何かしら?こよみの二番煎じなら聞き飽きたわよ」椅子に背を預け、腕を組みながらキミを見返す
琵琶坂 藍依 : 「キミの想像しているようなことは言わないよ」
琵琶坂 藍依 : 「────私はキミに、こちらが持つ”すべての情報を開示する”つもりだ」
ルコ : 「それは、何故?」
琵琶坂 藍依 : 「この冥界には、謎が多い」
琵琶坂 藍依 : 「どこからか集まる黒い影、それを鎮められる奈落華のライブ」
琵琶坂 藍依 : 「この仕組みを解明できれば、死者に安息を与える別の方法も見つけられるかもしれない」
琵琶坂 藍依 : 「……そうなれば、キミがクラを使わなきゃいけない理由はなくなるでしょ?」
ルコ : 「……そう。もし、その方法が見つかった暁には、是非教えていただきたいわ」
ルコ : 「カシルの提案にも、私が理解できるものはあった。より納得できる何か、貴方の言う『仕組み』というものが見つかったなら、また交渉の席を設けましょう」
ルコ : 「ただし、嘘やハッタリを仕掛けたりしたら……許さないから。私、裏切りは嫌いよ」
琵琶坂 藍依 : 「そんなことは、決してしないよ」
琵琶坂 藍依 : 「キミは私達のことを、信用できないかもしれないけど……」
琵琶坂 藍依 : 「それでも、信じてほしい」
琵琶坂 藍依 : 「キミが切り拓いた道を追いかける一人のアイドルとして、非道は働かないと誓うよ」
ルコ : 「……そう。期待しすぎない範囲で期待しているわ」
ルコ : 相変わらずの冷たい口調だが……きっと、彼女自らこの発言を反故にすることはないだろう。そう思えるほど、真っ直ぐな響きがある返答だ。
琵琶坂 藍依 : 「ありがとう、私も貴女を……」
琵琶坂 藍依 : 「貴女のファンに対する想いを、信じてみようと思うよ」クラに対する態度から見ても、彼女とは敵対したくはない。
ルコ : 「……」肩をすくめて答える。敵対したくない、という思いは共通しているのだろう。
琵琶坂 藍依 : 「……武力行使はどちらも望むところじゃない。両者が納得のできる道筋を探そう」
虹之元 ユメ : 「はい、傷つけあうのは悲しいことですから……」ふと、カップに落としていた視線を上げる
虹之元 ユメ : 「あの、雑談ついでなんですけど……」
虹之元 ユメ : 「ルコさんは、奈落華のみなさんのこと……どう思っていらっしゃいます?」
ルコ : 「……それは、どういう意図の質問かしら」訝しむように尋ねる。また何かを探られるのではないか、と様子を伺っているのだろう。
虹之元 ユメ : 「あ、ああいえ! 何か探ろうという訳ではなくてですね……!」えっとえっと、と言葉を詰まらせて
虹之元 ユメ : 「例えば……胡桃ちゃんの歌とか、ココちゃんのパフォーマンス、それにユメミちゃんの演奏とかの所感といいますか~……」
虹之元 ユメ : 「ルコさんが、メンバーの皆さんに対してどんな感情を抱いていらっしゃるのかなって」
ルコ : 「ああ……ユメミの友人として気になるということ」キミの態度と合わせ、納得した様子だ
ルコ : 「私を含め、まだ発展途上のところはあるけれど……年齢にそぐわない、素晴らしい能力を持った子たちだわ」
ルコ : 「……惜しいわね。あの才能が、現世から失われてしまったなんて」
虹之元 ユメ : 「はい、私もそう思います……。皆さんの素敵なパフォーマンスを地上にお届けできないのは……とても残念で……」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね……」目を伏せる。
ルコ : 「……ユメ。貴方が聞きたかったのは、ユメミの演奏能力に関する他者評価なのかしら?」
ルコ : 「私には、それだけとは思えないのだけど」
虹之元 ユメ : 「もちろん、それもありますけど……」
虹之元 ユメ : 「ユメミちゃんが、私のいないところでも……楽しくやってたらいいな、って。ふとそう思ったんです」 カップを揺らしながら、虚ろに呟く
ルコ : 「それ、何割本気なのかしら」
ルコ : 「私なら……私が大切な人が、私から離れた場所で幸せにしていたら、きっと妬くわ」
ルコ : 「私の前だからと遠慮しているのなら、それは不要な配慮よ」じっとユメを見つめている
虹之元 ユメ : 「あ~……あはは……」恥ずかしそうに頬を掻いて
虹之元 ユメ : 「まぁその、幸せでいて欲しいというのは本気ですけども……」口をもにょもにょさせて
虹之元 ユメ : 「……叶うなら、その幸せの中に私も居たいですね」ぎこちなく微笑んで
ルコ : 「……やるせないわね、色々な意味で」
ルコ : 「ああ……もし、今からでも奈落華に入りたいなら歓迎するけれど」小さく笑っている。冗談のつもりなのだろう。
虹之元 ユメ : 「ふふ、それは遠慮しておきます。私にも大切なグループがありますから、ね?」みんなを見る
琵琶坂 藍依 : 「ユメ……うん、そうだね……」安心したように微笑んで
天海こよみ : 「うん……。ユメちゃんまでいなくなると、ちょっといや……かな……」
澱 カシル : 「ユメさんがマリスノを大事に思っていてくれて嬉しいです。」
「………ところで、奈落華のメンバーは今のようにルコさんが皆スカウトされたのですか? 答えられるならで良いのですが。」
ルコ : 「…さて、ね。胡桃は何か言っていて?」
天海こよみ : 「胡桃ちゃんは、たしか……ルコちゃんにさそわれたって……」
ルコ : 「なら、胡桃はそうなのでしょうね」明らかにはぐらかす言い方だ。答える気はないのだろう。
澱 カシル : 「お答えするつもりは無い……ですか。 わたくしとしてはマックナイン……ココさんが少し気になったのですが、無理に聞き出すことでもないですね。」
ルコ : 「……まあ、本人も話さないでしょうから。私から言えることはないわ」
澱 カシル : 「分かりました、それならば仕方ありませんね。」
天海こよみ : 「……。じゃあ、ぼくたち……そろそろ行くよ」
天海こよみ : 「ごめんね、ルコちゃん……いきなり来て、色々話聞いてもらって……」
琵琶坂 藍依 : 「私たち全員、お茶もご馳走になっちゃって」
ルコ : 「構わないわ。私、貴方達の益になることはしていませんもの」
ルコ : 「………」少し迷うように目線を逸らす
ルコ : 「……休める場所の話も、胡桃から聞いているでしょう。あの子が貴方達に伝えないわけがないでしょうから」
天海こよみ : 「あ、うん……。空き家を使えばいいって、言ってたよ……」
天海こよみ : 「だから、心配しないでだいじょうぶ……。ありがとう、ルコちゃん……」
ルコ : 「心配なんてしていないわ。……ただ、今は冷戦のようなものだから」
ルコ : 「私から貴方達に手を出すことはないわ。……それだけよ」
GM : 要するに、余計な心配はせずに休息しろということなのだろう。
天海こよみ : 「……うん」 冷戦という言葉に悲しそうに俯いて
琵琶坂 藍依 : 「あくまで私は、融和の道を探したいけどな」
琵琶坂 藍依 : 「……それにしてもクラ、取り合いになって悲劇のヒロインみたいだね」肩を竦める
天海こよみ : 「悲劇のヒロイン……なんて、あんまりそんな風にはぼくは思えないけど……」
澱 カシル : 「以前からでしょう……。毎回毎回トラブルの種になるんですから……。」
呆れながら言うのものの、クラッドカルトに非を問うつもりは無いらしい
虹之元 ユメ : 「ふふ、今回もなんとかしましょう……ね!」
クラ : 「ん……」相変わらずしょぼしょぼしているが、キミたちの声掛けである程度元気を取り戻した様子だ
クラ : 「クラ、おうちかえって、みんなとたくさんおしゃべりしたいなぁ…」
天海こよみ : 「……うん。そうだね……」
天海こよみ : 「……クラちゃん」 席を立ち、テーブルの隣を歩いてクラの方へと近づいて声をかける。ただし、操られたクラが逃げない程度の距離で。
クラ : 「コヨミ…?」クラから近づこうともするが、もた…とその場で足踏みをして、渋々止まる
天海こよみ : 「ぼくがぜったい何とかする。ぜったい、クラちゃんをおうちに連れて帰ってあげるから」
天海こよみ : 「ただ、まだ時間がかかりそうだから、もう少しだけはなればなれになるけど……ぜったいに何とかしてみせるから」
天海こよみ : 「だから、クラちゃんは……安心してまっていてくれる?」 小さく屈み、椅子に座ったクラと目線を合わせながらそう言う
クラ : 「んぅ…もうすこしって、どれくらい?クラ、なんびょうかぞえる?」駄々っ子がぐずるような口調で尋ねる。
天海こよみ : 「うーん……そういわれると、何秒かは分からないけど……」
天海こよみ : 「でも、きっとすぐだよ。ぼくたちがこれからずっと、一生いっしょにすごしていく時間にくらべたら、きっとあっという間に感じるくらい、みじかいと思う」 必ずまた元に戻ると強く決意した言葉を伝える
クラ : 「ほんと?おうちかえってからは…クラと、ずーっとずーっといっしょ?」コヨミの目を見つめる瞳の奥には、星のような光がさしている。
天海こよみ : 「もちろん……! ぼくたちはずーっとずーっと、いっしょだよ!」 クラの目を見つめて、微笑みながら
クラ : 「ん…!それなら、クラ、いいこでまってる!」
クラ : 「やくそく…!ゆびきりして!」キミから離れた位置だが、小指を掲げて
天海こよみ : 「わかった、やくそくね……!」 くすっと笑いながら、小指を出す
クラ : 「ん…!」遠くで小指をふりふりして笑っている
天海こよみ : 「…………」 その様子を優しく見つめて
天海こよみ : 「……クラちゃん。実はぼく、ひとつだけクラちゃんにおねがいがあるの。聞いてもらっても、いい?」
クラ : 「うんっ!コヨミ、なーに?」すっかり上機嫌で、童謡でも歌うような調子で尋ねる
天海こよみ : 「…………」 深呼吸を一つして
天海こよみ : 「本当に、無理ならぜんぜんいいし、出来ればでいいんだけど……」
天海こよみ : 「ルコちゃんと、なかよくしてもらっても……いいかな……?」
クラ : 「え…?」
クラ : 「なんで…?」愛するキミの頼みだというのに、少し嫌そうだ
天海こよみ : 「うん……やっぱり、いやだよね……」
天海こよみ : 「クラちゃんがルコちゃんのこときらいなのは、わかってる……」
天海こよみ : 「いきなりゆうかいされて、ぼくとはなればなれになって、着たくない服やしたくないかみがたにされて……いやだよね……」
天海こよみ : 「でも、ぼく……クラちゃんとルコちゃんには、なかよくしてもらいたいの」
天海こよみ : 「ぼく、ルコちゃんのことも……好きだから」
クラ : 「……」やはり、嫌そうではある……が
クラ : 「クラ……がんばる。コヨミがそういうなら……」小さく頷く
天海こよみ : 「ありがとう、クラちゃん……」
天海こよみ : 「ルコちゃんは、クラちゃんが思っているより……いい子だと思う。ただ少しわがままなだけなの。ぼくやクラちゃんにいじわるをしてるわけじゃないから、安心して」
天海こよみ : 「それに、なかよくするって言っても……ルコちゃんの言うことをぜんぶ聞かなくてもいい。クラちゃんはルコちゃんの物じゃないんだから、いやなことはこれまでどおりいやって言っていいし、やりたくないことはやらなくていい」
天海こよみ : 「むずかしいこと、言ってるかもしれないけど……。ぼく、クラちゃんとルコちゃんがなかよくしてくれたら、うれしいの……」
天海こよみ : 「わがまま言ってごめんね、クラちゃん……」
クラ : 「え……コヨミ、ぜんぜんわがままじゃないよ……?」
クラ : 「でも……コヨミ、クラとルコがなかよくしてるの……うれしいんだ……」
クラ : 「……わかった。クラ、ルコのこときらいしない。でもルコいやなときはいやっていうね」やや使命感に満ちた表情で
天海こよみ : 「うん……! ありがとう、クラちゃん。がんばって……!」 安心したように笑って
クラ : 「ん……!」こくこく、と頷く
天海こよみ : 「……それじゃ、また後でね。クラちゃん……」 と、その場から立ち去ろうとするが、
天海こよみ : 「……そうだ、ルコちゃん」と、立ち止まってルコを振り返り、
天海こよみ : 「クラちゃんは、多分、ぼくと同じで……あまいものより辛いものの方が好き、だと思うよ」 テーブルに置かれたケーキに目を落としてから、そう伝える
ルコ : 「……そうなの?クラ」
クラ : 「や!クラ、ぜんぶきらっ……」と、言いかけて
クラ : 「……わかんない。クラ、ごはんたべたことない……」
クラ : そう、ややしょんぼりしながらも返事をする
ルコ : 「……そう。わかったわ、辛いものを探してみるわね」
ルコ : 「ありがとう、こよみ」
天海こよみ : 「……ううん。それじゃあね、ルコちゃん」 小さく笑って
天海こよみ : ルコのロイス感情を〇尊敬/不信感→〇庇護/不安に変更しつつ、先にその場から立ち去ります。
ルコ : 「ええ。おやすみなさい…こよみ、皆さん」
クラ : 「またね……!」悲喜こもごもといった様子で君たちを見送る。
虹之元 ユメ : 「またね、クラちゃん! またすぐに会いに来ますから!」 ルコさんも!と笑顔を向けて
澱 カシル : 「ルコさんに迷惑をかけ過ぎないよう、お行儀よくしてくださいね。クラッドカルト。」
「………なるべく早く解決いたしますので。」
クラ : 「カシル……!うん!カシル、すき!」今度は純度100%のニコニコ顔で
澱 カシル : 「………! わたくしは……別に……。」
「………まあ、貴女のことは以前ほど嫌ってはいませんが。」
眩しい笑顔を見せられてたじろく。
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、カシル照れてる?」
澱 カシル : 「て、照れてなどいません……!」
琵琶坂 藍依 : 「へえ? そういう事にしておいてあげようかな?」
澱 カシル : 「わたくしのことは良いですから……! 藍依さんの事を済ませてください。」
「何かを準備してましたよね?」
琵琶坂 藍依 : 「ふっ、そうだったね。ルコ、これを見てほしいんだ」
琵琶坂 藍依 : 《天使の絵の具》を使用して、テーブルの上にレネゲイドに関する基礎知識を投影しますよ!
ルコ : 「……これは。さっきから貴方達が話していた、『レネゲイド』の説明かしら」
ルコ : 「貴方は……こんなことができるのね」
琵琶坂 藍依 : 「ああ、私達はオーヴァードだからね」
琵琶坂 藍依 : 「ルコの世代だと『超能力者』といった方が分かりやすいのかな。私は光を操ることができるんだ」
ルコ : 「……そう」
ルコ : 「……ありがとう、アイ。読ませていただくわ」
琵琶坂 藍依 : 「ここにあるのは基礎知識だけだから、他に気になることがあったら聞きにきて」
琵琶坂 藍依 : 「知っている限りのことを答えさせてもらうよ」
琵琶坂 藍依 : 「……もちろん、プライベートなことでもね?」
ルコ : 「……」キミの態度に思うところがあるのだろう。ちら、と他所を見てからキミに向き直る。
ルコ : 「人が好過ぎるわ。貴方が一番警戒していたというのに」
琵琶坂 藍依 : 「……実は、私もアイドルとしては一度、死んだことがあるんだ」
琵琶坂 藍依 : 「だからさ、なんというか。喪ったファンに対する思いに共感しちゃったんだよ」
琵琶坂 藍依 : 「コヨミが言っていたように、こうして話してみて、キミが良い子だと思いなおしたのもあるんだけどね」
ルコ : 「……良い子なんて、よして頂戴。私、貴方より年上よ」
ルコ : 「見せている部分だけが全てじゃないというのに……貴方達は、似た者同士ね」小さく溜息を吐いて
ルコ : 「……ただ、そうね」
ルコ : 「貴方こそ、もし悩むことがあるなら私を相談相手になさい。……今回の件が関わらない範囲であれば、親身になるわよ」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、ありがとう。その時は"アイドルの後輩"として頼りにさせてもらうね」少しは信用してもらえたのだろう。その事を嬉しそうに微笑む。

天海こよみ : ……その後、皆が屋敷の敷地から出てくると、そこから少し離れた場所でこよみが待っていた。
天海こよみ : 「……みんな、話したいことがあるの」 真剣な顔で皆を出迎えて
天海こよみ : こよみはそうして、先程のルコとの会話中、自身が覚えた違和感を話し始める。
天海こよみ : 前に一時的に生き返ったあかりが消滅した時のことに対して、この世界の成仏はあまりにも感動的すぎる、と。
天海こよみ : 分かりやすすぎるお別れの過剰演出に、どうしても腑に落ちない部分がある……と。
天海こよみ : 「……だから、ぼく思ったの」
天海こよみ : 「もしかしてあれって、成仏してるわけじゃないんじゃないかな……って」 話し終わり、皆の顔を見る
澱 カシル : 「なるほど……わたくしも違和感は覚えていましたが……。」
「こよみさんの直感もそう訴えかけるのであれば、やはり何か裏があるのかもしれませんね……。」
虹之元 ユメ : 「なるほど……だとすると、成仏されたと思われた方たちはどちらに……」うーん、と腕を組んで考える
琵琶坂 藍依 : 「そもそも、あの黒い影が死者の霊魂なのかも疑わしく思えてきたね……例えば、私みたいな幻惑能力で"舞台演出"もできる訳で……」
天海こよみ : 「うん……」
天海こよみ : 「あのかげは本当はみれんのある人の魂じゃないかもしれないし、成仏は何の意味もないことなのかもしれないし、それとも他に何かしかけがあるのかもしれない……」
天海こよみ : 「まだ何もかも分からないけど、ただ……ぼくはルコちゃんがこのままクラちゃんといっしょにライブをしても、ルコちゃんののぞみが本当にかなえられるとは思えなくなってきて……」
天海こよみ : 「もしかしたら、ルコちゃんが思っていることとはぜんぜんちがう何かが、進んでしまってるのかもしれないと思ったの。だから……」
天海こよみ : 「ぼく、次にルコちゃんがライブをやった時、このことをつたえるよ。それで、もしそれでもやめてくれなかったら……」
天海こよみ : 「……やっぱり、力づくでライブを止めようと思う」
澱 カシル : 「……そうはならないよう、なるべく説得材料になる証拠を集めておきたいところですね。」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね……ついさっき分かったけど、ルコは話せば分かってくれる子だと思う……」
琵琶坂 藍依 : 「けど、もう一つ問題があるね……ルコにそんな入れ知恵した何者かが、背後にいるかもしれない……」
天海こよみ : 「うん……。クラちゃんをあやつってるだれかと同じか、ちがう人かは分からないけど……いると思う」
天海こよみ : 「もしもその人が、本当に何か事情があって今のじょうきょうを引きおこしてるなら、その人のことも何とかできるようにがんばりたいけど……」
天海こよみ : 「そうじゃなくて、悪意をもってルコちゃんたちをきずつけるつもりなら……ぼくは戦うよ。もう、そう決めたの」
虹之元 ユメ : 「そう、ですね。ルコさん達を傷つける存在がいれば……そうしなきゃ、ですね……」
琵琶坂 藍依 : 「……できれば衝突は避けたいけれど、それより皆の安全のほうが大事だ」
琵琶坂 藍依 : 「コヨミが戦うというのなら、コヨミを守るために私も戦うよ」そもそも、このグループの成り立ちからしてそうだったように。
天海こよみ : 「うん……ありがとう。ユメちゃん、藍依ちゃん」
澱 カシル : 「忌まわしい力ではありますが……。皆さんが無事に帰るためなら、振るうことに迷いはありません。」
澱 カシル : 「クラッドカルトも含め、全員欠けることなく帰りましょう。」
天海こよみ : 「うん……! ミツキちゃんたちが、まってるしね……!」 空を見上げて
GM : クラッドカルト誘拐の首謀者と思われたルコ。しかし、彼女自身も何か別の陰謀に巻き込まれている……そう考えるキミ達は、キミ達の望みをかなえ、無事現世に帰るため、決意を固める。
GM : 果たしてこの後、何が待ち受けているのかはわからないが……キミ達は、ひとまず胡桃に教えられた空き家に向かうのだった。

Extra Scene 01 挙動不審の渡し守

 
冥界の河
 
GM : 空き家で一息ついた後のこと。カシル、こよみ、ユメの3人は、ココに運ばれた岸に戻ってきていた。そこには。
ココ : 「……」
GM : "MAC-09"ココ……あの不審なアンドロイドが、目を閉じて静かに座っていた。キミたちには気づいていないようだ。
澱 カシル : 「(意外ですね……。1人だと大人しいのですね。)」
ひそひそと声を交わしてから、ココにそっと背後から近づく。
澱 カシル : 「──こんばんは。」
ココの肩に両手を乗せ、耳元で囁く。
ココ : 「!?!?」
ココ : 彼女は、肩を大きく揺らしてバッと振り返る。
ココ : 「な、ナっ…カシルさんデスかァ……!」驚いた様子で、髪飾り(?)に触れる。まるでヘッドホンを操作するような仕草だ。
澱 カシル : 「ふふふっ…!驚かれましたか?」
動揺するココを見て、楽しそうに笑う。
最近は人を驚かすことを趣味として開き直っているところがあるカシルであった。
天海こよみ : 「カシルちゃん……。それ、びっくりするからやっちゃダメだよ……」 申し訳なさそうについてくる
澱 カシル : 「ふふ、いいではないですか。呪ったりなんかしてませんよ。」
虹之元 ユメ : 「たまにセーフハウスでも似たようなことしてた気がしますね~」くすくす笑って
ココ : 「こちとラ精密機械なのデスガ!モ~~…壊れたラ弁済モンデスってェ…」
澱 カシル : 「ああ、ごめんなさい。思ったよりもデリケートな方なのてすね。」
ココ : 「こんなの誰だっテ驚くでしょうガ!お茶目サン!」ぷんぷん、と分かりやすい態度で
澱 カシル : 「うふふ、ごめんなさいね?」
「さて、マックナインさん? わたくし達が改めて貴女に会いに来た理由……ご想像つくのでは?」
ココ : 「……フム。さて、何でしょウ……ワタシのファンになっテしまっタ、あたりでしょうかネ」顎に指を当てて首を傾げる
澱 カシル : 「貴女のダンスパフォーマンスは素晴らしかったですし、次も観たいとは思っております。」
「しかし、そうではありませんよ。 すっとぼけても無駄です。」
澱 カシル : 「ここは正しい冥界ではありませんね?」
「なぜ、あのような嘘……というより引っ掛けを?」
ココ : 「ハテ……仰っている意味ガ、少々よく分からないのデスガ」
ココ : 「もウ少し、明確にご指示いただけマスカ?」
ココ : ココは小さく笑って返す。
澱 カシル : 「舟の上での話……貴女は明確な嘘こそつきませんでしたが、わざと誤解を招く返答をしましたね?」
澱 カシル : 「アイドルをよく知らない素振りでしたが、貴女はアイドルそのものだった。」
「クラッドカルトの所在も状況も良く知りながら、曖昧に言葉を濁した。」
澱 カシル : 「………まあ、それらは構わないのです。」
澱 カシル : 「わたくし達はこの"冥界"を歩き、胡桃さんやルコさんとお話させていただきました。」
「彼女達は疑問を覚えていませんでしたが……。」
「オーヴァード、レネゲイドビーイングである貴女はここが真の冥界でないことは既に気づいていたはずです。」
澱 カシル : 「では何故、ここを"冥界"と偽ったのですか?」
「こよみさん達にショックを与えるだけで、何れはバレてしまう嘘を。」
ココ : 「……」ココはまた髪飾りを弄りながら、キミにうんうんと頷く
ココ : 「まァ、こういう冥界もゴザいマスよネ。多様性デス」
GM : 彼女が返してきたのは、やはり要領を得ない内容だった。まともに取り合うつもりはないのだろうか。
澱 カシル : 「はぁ……。……どこの冥界なら死者が"成仏"して去っていくのでしょうね?」
ココ : 「冥界とか煉獄とカ、ってワタシ最初に言いましたよォ〜…物事に対して明確な定義づけは良くないデス」謎の抗議
澱 カシル : 「のらりくらり、ですね……。」
「では最後にもう一つ。……わたくし達が死んでいる、とはハッキリ言われましたね?」
澱 カシル : 「これに対して申し立てはありますか?」
ココ : 「いエ?アナタガタは亡くなっていマス」
ココ : 「最モ、確かめル術はない、そして逆も然リ。悪魔の証明デスねェ〜」
澱 カシル : 「当然、帰り道なども教えるつもりは……ないのでしょうね。」
既に回数の分からないため息をつく。
澱 カシル : 「………いいでしょう。」
「念の為に問い詰めはしてみましたが、マックナインさんは全てはぐらかすのは予想していましたから。」
ココ : 「あラ、人聞キの悪イ…」口元に手をやりながら。だが否定はしない
澱 カシル : 「力尽くで尋問しても良いですが……。」
「まだ尚早でしょう。交渉が完全に決裂してからにいたします。」
サングラスの下の眼を不気味に光らせて微笑する。
ココ : 「わァ……ソンナ選択肢をお持ちとハ……」はわわ、とした顔。だがそれ以上は何も言わない
澱 カシル : 「それに、貴女に会いに来たのは敵対する為ではありませんからね。」
「情報を聞いてみたのはついでです。」
ココ : 「ン?何デスか、てっきりマジで捌かれるモノと思っていたのデスガ」今度はポーズなどではなく本当に驚いているようだ
澱 カシル : 「御礼を申しに来たのですよ。」
「舟から降りた後、ろくに話す時間も無かったものですから。」
澱 カシル : 「あのまま対岸に置き去りにされていれば、手がかりすら掴めずに途方に暮れていましたので。」
「貴女の意図は分かりませんが、礼は言っておくべきでしょう?」
澱 カシル : 「ありがとうございます。」
ゆっくりと頭を下げる。
ココ : 「え…エェ〜〜…変なヒトデスね、カシルサン……」
ココ : 「悪い気はしまセんガ……ハハァ……」とにかく驚いた様子で、ある意味先程よりも歯切れの悪い返答だ
ココ : 「……まァ、これモ仕事デスのデ」
澱 カシル : 「………そうですか。」
天海こよみ : 「えっと……ぼくからも、ありがとう……。ココちゃんのおかげで、クラちゃんと会えて……助かったよ」
ココ : 「こ、コヨミサンまでェ……拍子抜けしマス、なんカ」
ココ : 「……マジで、それダケ?お三方」
天海こよみ : 「それだけ、なんじゃないかな……? さっきカシルちゃんは力づくでじんもんって言ってたけど、それもきっと本気じゃないと思うから……」
天海こよみ : 「もしこのまま手詰まりになっちゃったとしても、助けてくれたココちゃんにそんなことなんてしないよ……」
澱 カシル : 「いいえ? 状況次第では本気で尋問するつもりですが……?」
「明らかに事情を知っていて、何か企んでいる上ではぐらかしているのは明白ですし。」
天海こよみ : 「ほ、ほんとに……?」
澱 カシル : 「はい。でも、それとは別に、きちんとお礼を言いたかった気持ちはあります。」
虹之元 ユメ : 「何かあったら、その時は当たって砕いてみましょうか」軽く微笑んで
虹之元 ユメ : 「私からも、この場にいない藍依ちゃんに変わってお礼を。胡桃ちゃんやユメミちゃんとも会えましたし……」あっ、と何か思い出したような声をあげる
虹之元 ユメ : 「あの、ユメミちゃんってどこにいるか……わかります? 改めてちゃんと挨拶したいのですけど、見当たらなくて……」
ココ : 「あ〜、ア〜、怖い言葉は聞こえないデ〜ス」耳を手でぱたぱた動かしていたが…ユメの言葉でようやく手を止める
ココ : 「……ユメミサンに、お会いしたいデス?」
虹之元 ユメ : 「は、はいっ。それはもう……!」
ココ : 「……ン〜……」
ココ : 「……ワタシは賢いAIなのデ、人の心もわかるデス。誰しモ、1人になりたいコトはあると思いマス」
ココ : 「ユメミサンは何となく、そんナ感じデス。割とずっとそうデスよォ」
虹之元 ユメ : 「ずっと、ですか……?」
虹之元 ユメ : 「そうです、か……帰るまでにはちゃんと、お話したいです……ね……」拭えない違和感を抱えて
ココ : 「フフ、果たして帰れるモノデスかねェ…」
天海こよみ : 「だいじょうぶ、ちゃんと帰るよ。クラちゃんとも約束したから」
天海こよみ : 「でも、まだやることがたくさんあるから……。きっとその間に、ユメミちゃんともぜったい会えるよ、ユメちゃん」 元気づけるように、ユメに笑いかける
虹之元 ユメ : 「……ありがとう、こよみちゃん。そうですよね、すぐ帰るという訳ではありませんし、機会を待ちましょうか」ニコリと微笑み返す
天海こよみ : 「うんっ」
ココ : 「ン〜…ココに来て尚、笑顔が絶えないデスネ。皆サマ」
ココ : 「どウですカ?この体験を星1〜5でレビューするト」石を並べてアンケート画面風にして
天海こよみ : 「レビュー……!?」
ココ : 「よくあるじゃないデスか、ブログの最後とかに如何デシたカ〜みたいナ」
天海こよみ : 「あ、あるけど……。いきなりだからびっくりしちゃって……」 二人を見る
虹之元 ユメ : 「え~っと、じゃあ……」
虹之元 ユメ : 「星3! カシルちゃんの質問にはっきりと答えて欲しかったです。でもココちゃんは可愛かったので、次回に期待を込めておいてこの評価にしました……っと」石を3つ並べて
ココ : 「アッ、ワタシとノこのシーンのレビュー!?でモ可愛いのはそウデス、ワタシ、カワイイ」
澱 カシル : 「この冥界は酷いところです。」
「クラッドカルトは拐われ囚われ、渡し守は道化師のような事しか言わず、ライブの観客は正体不明の"死者"ばかり。」
澱 カシル : 「…………星五つです。」
ぐい、と両手に石を抱えてココにぐりぐりと押し付ける。
ココ : 「アーッ!!ワタシの柔らかシリコンほっぺガ!!」
ココ : 「な、ナンデその文脈で星5なのデス…!?」やんわりと石を退けながら
澱 カシル : 「ふふ。」
「とんだ災難ではありますが……」
「奈落華の皆様に会えた事は、満天の星空にも代えがたい奇跡ですから。」
澱 カシル : 「わたくしと藍依さんにとって胡桃さんと再会し、胸中を話し合えたのはまさしく奇跡。」
「こよみさんやユメさんにとってのルコさんやユメミさんもきっとそうなると信じています。」
澱 カシル : 「そして……レネゲイドビーイングでありながら、アイドルの道を往く貴女……マックナインさん。」
澱 カシル : 「わたくしの同胞。貴女が何を考えているのかは分かりませんが……。」
「同じ道を歩く貴女との出会いから学べることはきっとあるはず。」
澱 カシル : 「だから、冥界に星は無く。貴女たちが満点の星なのです。」
ココ : 「……」また、やや呆気に取られたような表情で
ココ : 「いヤ、デスネ……皆サマお知り合いデ、きっと悪いことばかリでは無いだろうナ、デモ厄介ごとではございマスし、どう思われるんだろうナ〜と思っていタのデス」
ココ : 「思っている以上に肯定的でしタ、ガ……ワタシから学べるモノがあるかもとハ、驚きデス」
ココ : 「現時点、ワタシが学ばせテいただいている部分は多分にあるのデスけどネ」
澱 カシル : 「皆さん同じですよ。トップアイドルだった藍依さんだって……日々新しいことを学んで成長しています。」
ココ : 「……そウデスカ。大成する方とは、皆サマその謙虚さがあってこそなのデスネ」また一つ賢くなりマしタ、と微笑んで
澱 カシル : 「わたくしも貴女を応援していますよ。」
「まあ、これはアイドルとしての話なので……。オーヴァードとしてはまた別ですが。」
ココ : 「アーハー……それハ、逆に意外ですねェ……」笑っているようだが、やや渋い表情
ココ : 「……まァ、オーヴァードとして尊敬されるトコロはありまセんからネ!可愛さ一本でやらせていただいているのデ」ニコッと笑って指を頬に付ける
澱 カシル : 「そういうところが、不信感を煽るのですよ……。」
首を振る
ココ : 「何やっても疑われマス、コレ!」さめざめと泣く態度
天海こよみ : 「ぼくは別にうたがってないけど……。信じるって、最初に言ったし……」
虹之元 ユメ : 「私はさっきも言った通り、当たって砕けろのスタイルです」どちらかと言えば信じてますよ~と微笑む
澱 カシル : 「貴女がただ悪意を持って動いていないのは分かっていますが……。」
「だからといって、マリスノの皆さんの害にならないとは限りませんからね。」
「信用はせず、様子を見させていただきます。」
ココ : 「三者三様、色とりどリのご回答に感謝デスネ〜…」顔をもにゃ…として
ココ : 「……コヨミサンは……まァ、やや予想はついていマスガ。ゴ参加されマスか、レビュー」
天海こよみ : 「え、あ……うん……」
天海こよみ : 「あの……予想って、ココちゃんはぼくがどう言うと思うの……?」
ココ : 「ワタシがコヨミサンなら……まァ、順当に星-1000個とかデスネ。クラサンはあの状況で、アナタが会いたい故人もいないでしょウシ」ヘアパーツをキュッと持っている。キミのツインテールからシミュレートしているようだ
天海こよみ : 「え、えぇ……!? そう思われてたんだ……っていうか、五だんかいですらないんだ……」
天海こよみ : 「そ、そりゃ、まあ……クラちゃんにはさびしい想いをさせてるし、藍依ちゃんたちみたいにすごく会いたかった人がいるわけじゃないけど、そこまでは言わないよ……」
ココ : 「えッ…マジすカ。割と真面目に考察しテ、この答えだったのデスガ……」
天海こよみ : 「う、うん……。さっきカシルちゃんが言っていたこと、すてきだなって思うし……分かる気がするから」
天海こよみ : 「でも、レビューは……今はしないでおこうかなって……。だって、まだ何もおわってないから……」
天海こよみ : 「ぜんぶおわってから、その時またあらためてちゃんと言うよ」
天海こよみ : 「さいごに、みんなえがおでわらいあって、星5だったねって言って、ばいばいできるように……これからがんばるね」 小さく笑って
ココ : 「オァ……ま、参リましタ……」キミの答えに驚いたように、へへぇと頭を下げる
澱 カシル : 「こよみさんの視座は流石ですね。 一味違います。」
「納得のいく幕引きになるように、全力を尽くしましょう。」
深く頷いて
天海こよみ : 「う、うん……! じゃあ、そろそろ行こっか……もっとこの世界をしらべなくちゃ、ね……!」 両手の拳をぎゅっと握って気合を入れる
ココ : 「……ワタシも、コヨミサン、ユメサン…そしテ、カシルサンにとっテ、良き経験になることを願ってマス」
ココ : 「……アッ、亡くなってるのデ!!そんなコトはないのデスガ!!」アセアセ、と額を拭う仕草をしながらキミたちに向き直る
ココ : 「皆サマ、おやすみなさイ!よき冥界ライフをお過ごしくださイ〜」手をフリフリして
天海こよみ : 「うん……おやすみなさい、ココちゃん……」 胸元の前で、手を小さく振り返す
虹之元 ユメ : 「はぁい、またお会いしましょうね~」両手で振り返して
澱 カシル : 「………? はい、それではまた。」
ココが珍しく見せた動揺の理由が読めずに困惑する。
澱 カシル : 「………マックナインさん。どうか、貴女だけの道が見つかりますように。」
別れ際に一言投げて、立ち去っていく。
ココ : 「……フフ。ありがとウございマス、カシルサン」
ココ : 先程までペラペラと煩かった彼女は、その一言だけを返し。キミたちを静かに見送った。
澱 カシル : ココへのロイスの感情を指定!
親近感/不信感のN!
だいぶPよりではあるけど、やっぱりマリスノメンバー大事だからね
GM : 了解!それはそう、なぜならポジティブになれる要素はないので

Extra Scene 02 冥界に瞬く双子星

 
冥界の並木道
 
GM : アイは、胡桃と話していた白ポプラ並木のある区画へと戻ってくる。そこには、約束通り……胡桃の姿があった。
久能胡桃 : 「……!藍依……!」胡桃はキミを見つけると、小走りで近寄ってくる
琵琶坂 藍依 : 「ただいま、胡桃」右手を上げて、かつてそうだったように笑いかける。
久能胡桃 : 「うんっ、おかえり……おかえりで正しいのかなぁ、今の状況」
琵琶坂 藍依 : 「……たしかに、此処は私達が過ごした学生寮じゃないけど」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃にそう言ってもらえると、何だか落ち着いて心がぽかぽかするよ」
久能胡桃 : 「ふふっ、本当?いくらでも言うよ、わたし」キミを上目遣いに見つめて笑う
久能胡桃 : 「それで……お話、したいことがあるんだよね?」
琵琶坂 藍依 : 「うん。けど、その前にさ」
琵琶坂 藍依 : 「……二人で、すこし歩かない?」ライブ後は、開催地を二人で散歩することが多かった。
久能胡桃 : 「あ……何だか、懐かしいね」キミと同じく、あの頃を思い出したのだろう
久能胡桃 : 「もちろんいいよ。冥界1日目、藍依がどこに連れて行ってくれるのか……期待してるよ?」くすっと笑って、キミと手を繋ぐ
琵琶坂 藍依 : 「そう言われると、ちょっとプレッシャー感じちゃうな? そもそも、いつもは胡桃が私を引っ張る側だったじゃない?」繋いだ手をぎゅっと握って、困ったように笑う。
久能胡桃 : 「ふふっ、最初はそうだったけど……藍依が提案してくれることも時々あったよ?わたし、嬉しかったなぁ……」思い出すように遠くを見て
琵琶坂 藍依 : 「ドクアオのライブの時とかね……懐かしいな……」
久能胡桃 : 「あったあった、藍依にちょっとコンセプトが似てる子居たよね」
琵琶坂 藍依 : 「十条ミツキちゃんね?」
琵琶坂 藍依 : 「驚かないでよ? あの子、いま私のグループのマネージャーしてるんだよ?」
久能胡桃 : 「えっ…えっ!?それは驚くよ!?」
久能胡桃 : 「しかもアイドルじゃなくてマネージャーなんだ……」
琵琶坂 藍依 : 「ミツキにも、いろいろあったんだ……本当にいろいろね……」
琵琶坂 藍依 : 「けど、コヨミのおかげで色々を乗り越えて、今は楽しそうにしてるよ」
久能胡桃 : 「そう、なんだ……色々な事情があると思うけど、アイドルって本当に寿命が短いお仕事だよね……」
久能胡桃 : 「……って、わたしが言うと冗談にならないね……ごめん、藍依」ハッと気づいて謝ってくる
琵琶坂 藍依 : 「……胡桃の場合、寿命でもないしね?」気にしてないと言いたげに肩を竦める
久能胡桃 : 「あぅぅ……」流石に耳が痛いのか、しゅんとした様子で
琵琶坂 藍依 : 「さておき、まず私の近況について話そう」
琵琶坂 藍依 : 「行き先は、そうだな……ココからボートを借りて、冥界の河を楽しむのはどう?」
久能胡桃 : 「ココちゃんのボート?だ、大丈夫かな、わたしボート漕げないし……三途の川って落ちちゃっても平気だと思う?」
琵琶坂 藍依 : 「ボートは私が漕ぐから、それは大丈夫」
琵琶坂 藍依 : 「もし三途の川に落ちたとしても、私が助け出してみせるよ」
久能胡桃 : 「……何だか頼もしくなったね、藍依……」
久能胡桃 : 「でも……なんか、カップルみたいで面白そうだよね。ココちゃんにお願いしにいこうか」
琵琶坂 藍依 : 「カップルみたいか……そ、そうかな……」
琵琶坂 藍依 : 「そう言われると、ちょっと……まあ、良いか……」頬が仄かに染まる。
久能胡桃 : 「あれ……藍依、もしかして照れてる?」顔を覗き込むように
琵琶坂 藍依 : 「むう、別に照れてなんかいないから」顔を背ける。
久能胡桃 : 「嘘ぉ、耳まで赤いよぉ〜…?」意地悪そうに目を細めながら、キミたちは河岸へと向かう
 
冥界の河
 
GM : 河岸にはココが座り込み、遠くを見ていた。キミたちの足音に顔を上げた彼女を見て、胡桃はあれ、と驚いたように目を見開く。
久能胡桃 : 「ココちゃん?てっきりお屋敷の方に帰っていると思ったんだけど……今日は夜更かしさんだね?」
ココ : 「ワタシ、実はベッドで横になってますが起きてマス。皆サマの寝顔をニヤニヤしながラ見ているのデス……と、胡桃サンこそ、この時間に珍しいデスね……」
ココ : そうなの!?と驚く胡桃をよそに、ココはキミを見てにこりと笑う。
ココ : 「こんばんハ、アイサン。先程まで、コヨユメカシルサンがいらしてましタよォ」
琵琶坂 藍依 : 「こんばんは、ココ。もしかしたら会えるかも、と思ったけど入れ違いになったか」みんながココに会いに行くことは聞いていた。
琵琶坂 藍依 : 「……いや、この方が良かったのかも」カップルみたいという胡桃の言葉を、頭の中で反芻する。
ココ : 「エ、それは意味深ナ……」
久能胡桃 : 「ココちゃん、わたしたちボートを貸してもらいたいの。ちょっと2人きりでお話ししたいことがあって……」
ココ : 「……アーハー?なるほど、逢引ですネ?」アイを見てニヤニヤと
琵琶坂 藍依 : 「そ、そういうのじゃないから……私の名前とかけて、変なことを言わないで……」
琵琶坂 藍依 : 「もう、こういうこと言われそうだから、みんなと会わなくて良かったかもと思ったのに……」
ココ : 「そんナ親父ギャグ的思考はないデス、冤罪!……まァ、内緒にしマすヨ」しー、と口の前で人差し指を立てて
久能胡桃 : 「あ、藍依ってば、大袈裟なんだから……」わたしも恥ずかしくなっちゃうよ、と顔の前で手をパタパタしている
琵琶坂 藍依 : 「わ、私の所為かな!? 逢引とか言い出したのはココじゃない!?」
ココ : 「その前からアイサンはチョーッと挙動がおかしかったデス……人間とハ理不尽デス……」えーんえんと泣く仕草
ココ : 「さてさテ…ボートデスが、構いませんよォ。転落だけハお気をつけテ、ワタクシ何の補償もできまセんのデ」
琵琶坂 藍依 : 「はあ、ともかくありがとうねココ……」疲れたように感謝の言葉を口にする。
ココ : 「どういたしましテ!」フフン、と笑いながら準備をする
GM : あれよこれよとしている間に……キミ達は、ボートの上に居た。ココは「いってラっしゃ〜イ」と呑気に手をふっている。
久能胡桃 : 「うん、行ってくるね……行こっか、藍依」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、二人で静かなところまで一緒に」ココに振り返すと、ゆっくりボートを漕ぎ出す。

GM : ボートは河岸を離れ、霧の中をぷかぷかと浮かんでいる。遭難を避けるため、遠くに森が見える位置にはいるものの……ここであれば、盗み聞きされる心配もないだろう。
GM : 霧の中、たった2人きり。胡桃は、キミを見つめる。
久能胡桃 : 「……藍依。続きの話……聞いても、いい?」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね……まず何から話したらいいか……」
琵琶坂 藍依 : 揺れる船体に身を預けて、ぽつぽつと話しはじめる。
琵琶坂 藍依 : ……胡桃が死んでから、自分に起きたことのすべて。
琵琶坂 藍依 : 久能胡桃の死の真相は、闇に葬られてしまったこと。
琵琶坂 藍依 : その責任を負って、自分はグループを引退したこと。
琵琶坂 藍依 : それからオーヴァードという超能力者になったこと。
GM : ……胡桃は、静かにキミの話を聞きながらも、様々な表情を見せた。悲しむ顔。困惑する顔。驚く顔。そして…
久能胡桃 : 「……藍依……ごめんなさい。たくさんの苦労を…辛い思いを、させてちゃって……」
GM : 胡桃は体を前に乗り出し、そっとキミの頰に触れる。ボートは軋み、やや大きく揺らいで。
久能胡桃 : 「……今、ここにいる藍依についても教えて。藍依は……今、ちゃんと……生きていて、幸せ……?」震える声で、そう尋ねる
琵琶坂 藍依 : 「……キミを喪った直後は、胡桃がいない世界に価値なんてないと本気で思っていたけど」
琵琶坂 藍依 : 「うん、そうだね」
琵琶坂 藍依 : 「……今ならハッキリ言える」頬に伸ばされた手に触れて、目を細める。
琵琶坂 藍依 : 「マリスノのみんなと一緒にアイドルが出来て、私は毎日が楽しい」
琵琶坂 藍依 : 「きっとこれが、キミが語っていた輝くアイドルの世界なんだと思う」
久能胡桃 : 「あぁ…」小さく声を漏らす
久能胡桃 : 「……よかったぁ……」
GM : 胡桃は安心したように笑い、キミを抱きしめる。
琵琶坂 藍依 : 「うん……だから私のことは心配しないで良いんだよ……」その温もりを確かめるように抱き返す。
久能胡桃 : 「心配はするよ……わたし、この世界に来てからも……藍依のこと、思い出さない日はなかったから……」
久能胡桃 : 「でも……まさか、藍依がわたしを虐めた……なんて……」
久能胡桃 : 「……どうして、そんなことに……?否定しなかったの……?」沈痛な面持ちで、ギュッと抱き返しながら尋ねる
琵琶坂 藍依 : 「もちろん、はじめは否定のコメントを出した……けど、過熱していくマスコミの報道やアークライトプロの対応を前に、何をしても無意味だと思ってしまったんだ……」
琵琶坂 藍依 : 「なによりあの頃の私は……胡桃がいなくなったことに比べれば、事件の真相なんてもう、どうでもいいコトだったから……」
琵琶坂 藍依 : 「いま思えば、大きな間違いだったな……」この場にいないファンの顔を思い浮かべる
久能胡桃 : 「……ううん。藍依を追い込んでしまったわたしが言ってはいけないけど……きっと、難しいことだったと思う」
久能胡桃 : 「……アイドルは好きだけど……やっぱり芸能界って大っ嫌いかも……」彼女にしては珍しい、マイナスな感情の発露
久能胡桃 : 「ねぇ、藍依」ふとキミの名前を呼ぶ
琵琶坂 藍依 : 「……なに、胡桃?」少女を抱いていた腕を離し、首を傾げる。
久能胡桃 : 「今からでも……公表、できないかな。本当のこと」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……」
琵琶坂 藍依 : 「私もそうするべきとは思う……けど、本当にいいの……?」
琵琶坂 藍依 : 「事件の真実を公表してしまったら、胡桃が……」
琵琶坂 藍依 : 番組プロデューサーによる、性的接待じみた行為の強要。
琵琶坂 藍依 : 真相すべてを白日のもとに晒すとなれば、当然そのことも追及されるはず。
琵琶坂 藍依 : ……アイドル、久能胡桃の名誉。それを守るために、彼女の両親は公表を避けたというのに。
久能胡桃 : 「……胡桃は、知ってしまったんだもんね。わたしの……裏であった、色々なこと。だから、黙ってくれていたんだね」
久能胡桃 : 「藍依はやっぱり優しいね。ありがとう、わたしのために……」
久能胡桃 : 「……もう、十分だよ」キミの目を見て、小さく微笑む。
琵琶坂 藍依 : 「十分なもんか……私が胡桃にしてあげられたことなんて……」
久能胡桃 : 「ううん…出会ってから今まで、わたしは藍依からたくさんのものを貰ったよ。たくさん、愛してもらったから」首を横に振る
久能胡桃 : 「……公表して。わたしが……これからの藍依の未来のためにしてあげられる、最後のお願い」
GM : 胡桃はもう一度、優しく微笑む。
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……」
琵琶坂 藍依 : 「分かったよ胡桃……それがキミの決断なら……」
琵琶坂 藍依 : 「キミに代わり、キミを殺した芸能界の闇と戦うと誓うよ」
久能胡桃 : 「ふふ……ううん、そうじゃないよ。藍依には、幸せにアイドルをしてほしいだけ」
久能胡桃 : 「こんなに優しい、素敵な大親友が……わたしを殺したなんて汚名を着せられていることは許せないし。藍依が自分のために戦うというなら応援するよ」
久能胡桃 : 「でも、わたしの望みは、それより何より……琵琶坂藍依はここにいるぞって。七天の頃より、もっともっと美しくなったぞって……世間にわからせてやって欲しいな」
久能胡桃 : 「……こんな素敵なアイドルが失われてしまうことの方が、わたしにとっては耐え難いことだから」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……キミはいつも、他人のことばかり考えすぎだ……」
琵琶坂 藍依 : 「そんなじゃなかったら、芸能界の闇に憑り殺されてしまう事はなかったのに……」
琵琶坂 藍依 : 「そんなじゃなかったら、私はキミのことをこんなに……っ」
久能胡桃 : 「……藍依。忘れたなんて、言わせないよ」両肩に手を置いて覗き込む。やや悪戯っぽい表情。
久能胡桃 : 「わたしはアイドルが好き。それよりもっとずっと、藍依のことが大好き。……藍依のことは、他人だなんて思ってないし、遠慮もしてない」
久能胡桃 : 「これは、わたしのお願いだよ」いいでしょ?と笑う
琵琶坂 藍依 : 「そう、だったね……分かったよ……」
琵琶坂 藍依 : 「私とキミの夢は、まだ道の途中だ……そのためにも、すべての真実を公表する……」
琵琶坂 藍依 : 「これでいい?」
久能胡桃 : 「……うんっ。いいかもっ」にこりと笑って
琵琶坂 藍依 : 「うう、さっきから胡桃のペースに乗せられっぱなしだな……後輩たちには見せられないよ……」マリスノのみんなのことを思い出して
久能胡桃 : 「藍依って、今そんなに硬派なキャラなの?プライベートでも?」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルの後輩の前では、格好いい先輩でいたいんだもん……」拗ねたように
久能胡桃 : 「へぇ〜……後でみんながいる前で、くすぐったりしちゃおうかな?」また、やや意地悪な表情で
琵琶坂 藍依 : 「やめてってば、も~……」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「あの、さ……これまでずっと、聞きたかったことがあったんだけど……」
琵琶坂 藍依 : 「聞いちゃっていい、かな?」
久能胡桃 : 「……いいよ。こうして会えたことが奇跡だから、何でも」何を聞かれるのか、察しているかのように。落ち着いた調子で返す
琵琶坂 藍依 : 「────どうして、私にトップアイドルになれなんて遺書を残したの?」
久能胡桃 : 「……」
久能胡桃 : 「……今思うと……藍依にとっては、呪いのような言葉だったよね。一緒にアイドルやろうって言った、わたし自身はさっさと居なくなっておきながら……」
久能胡桃 : 「トップアイドルになりたかったのは、わたし自身の夢だった。わたしは……自分に自信がないけど、それでも密かに憧れてた」
久能胡桃 : 「でも、藍依と会って、その夢はちょっとだけ形を変えたの。藍依と2人で、ツートップのアイドルになること……それが死ぬまで話さなかった、わたしだけの秘密の夢だったんだ……」微笑みながら…それでも、やや困ったように言葉を選んでいる様子だ
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……」
琵琶坂 藍依 : 「キミだけの秘密の夢、か……それはちょっと違うかも……」
久能胡桃 : 「えっ…?」
琵琶坂 藍依 : 「だってね、私も同じこと思ってた」
琵琶坂 藍依 : 「……胡桃と二人で、ぜったい武道館に行くんだって」
久能胡桃 : 「藍依……そう、思っていてくれてたんだ……」
久能胡桃 : 「あぁ……バカだなぁ、わたし。本当に……どこで間違えちゃったんだろう……」
久能胡桃 : 「……どっちにしろ……わたしはもう、あの世界でアイドルを続けられなかったと思う。藍依の隣で、胸を張ってツートップだなんて言えなかった……」やや掠れた声
久能胡桃 : 「……あのね、藍依。わたしね……親友としてではなく、アイドルとしての藍依にも色んなこと思ってたの。凄いなって思っていたし、大好きだなって思っていたし……嫉妬もしてた」
久能胡桃 : 「本当に、たくさんの気持ちがいっぱいで……藍依には、絶対アイドルを辞めてほしくなかった。だから……わたしは……」ここまで一息に話しきるも……最後、言葉が詰まる
琵琶坂 藍依 : 「胡桃が……私に嫉妬を……」
琵琶坂 藍依 : 「そうか、それで私をトップアイドルになんて……」
久能胡桃 : 小さく頷く。その表情は、後悔の色がやや強い。
琵琶坂 藍依 : 「ありがとう胡桃、話してくれて」
琵琶坂 藍依 : 「……それなら私からキミに、伝えておかなきゃいけないことがある」
久能胡桃 : 「……なんでも、言って」言葉は真っ直ぐだが、声はやや震えている
琵琶坂 藍依 : 「”わたしは、アイドルにふさわしくない”」
琵琶坂 藍依 : 「”アイドルとしてのわたしを、本当の意味で求めている人なんていない”」
琵琶坂 藍依 : 「……キミはそう言っていたよね」
久能胡桃 : 「うん…」
琵琶坂 藍依 : 「カシルの言葉で、その間違いに気付いたみたいだけど」
琵琶坂 藍依 : 「私もね、キミにずっと伝えたかったことがあるんだ」
久能胡桃 : 「……」
琵琶坂 藍依 : 「……私ね、キミに出会うまでずっと孤独だった」
琵琶坂 藍依 : 「家庭には居場所がなくて、学校でも浮いていた」
琵琶坂 藍依 : 「……家族について詳しく話す事はなかったけど、そのことをキミはきっと知っていたよね」
久能胡桃 : 「そう、だね……何となくだけど」言葉を濁して
琵琶坂 藍依 : 「私は誰かに助けを求めることもできず、ただ自分の世界に閉じ籠っていた」
琵琶坂 藍依 : 「……そんな私を、キミは外の世界に連れ出してくれた」
琵琶坂 藍依 : 「無償の愛を、夢と希望を与えてくれた」
琵琶坂 藍依 : 「私がアイドルになったのは、キミにオーディションに誘われたから」
琵琶坂 藍依 : 「……キミはそう思っているかもしれないけど、それは少し違うんだ」
久能胡桃 : 「……違う、の…?」
琵琶坂 藍依 : 「うん」穏やかに微笑んで
琵琶坂 藍依 : 「……根底にあったのは、憧れだったんだよ」
琵琶坂 藍依 : 「優しいキミのことが、私はずっと好きだった」
琵琶坂 藍依 : 「何よりアイドルに憧れていたキミの輝く瞳に、私も憧れていた」
琵琶坂 藍依 : 「……だからこそ、私もアイドルになりたいと思ったんだ」
琵琶坂 藍依 : 「キミは私に嫉妬していた、っていうけど、私もキミに似たような気持ちを持っていたんだ」
久能胡桃 : 「……藍依が……わたしに、憧れてた……?」
久能胡桃 : 「そんな……わたし、憧れられるような人間じゃ……」
久能胡桃 : 「……ううん、ごめん。違う……藍依の気持ちは、もっとちゃんと受け止めたい」
久能胡桃 : 「だって……わたし、今わけわかんないけど……ちゃんと、嬉しい……からっ……」
久能胡桃 : そう言葉を途切れさせながら、みるみるうちに涙が浮かんでくる。
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……」ハンカチで胡桃の涙を拭う。生前はしたくても出来なかったことだ。
久能胡桃 : 「ごめんね…っ、藍依……なんだか、ぐちゃぐちゃで……」大人しく涙を拭われながら、必死で言葉を紡ぐ
久能胡桃 : 「わたし……何だか、びっくりしちゃって……藍依が大事に思ってくれていたのは知ってたけど、こんなに……っ」
琵琶坂 藍依 : 「私は器用じゃないから、ぜんぜん言葉が足りてなかったよね……」
琵琶坂 藍依 : 「憧れに目が眩んで、キミの苦しみに気付くこともできなかった……」
琵琶坂 藍依 : 「本当につらかったよね、ごめんね胡桃……」
久能胡桃 : 「違う……ちがうよぉ、藍依のせいじゃない……わたしが悪いの……」ふるふると首を横に振る
久能胡桃 : 「藍依、ごめんね……気持ちに気づけなくて、ごめんなさい……っ」
琵琶坂 藍依 : 「謝らないで胡桃」
琵琶坂 藍依 : 「……キミに出会うまでの私は、ただ独りで昏い夜の海の上を漂流するだけだった」霧がかった水面を見渡して
琵琶坂 藍依 : 「けどキミは灯台のように、光に満ちた温かい場所に私を導いてくれた」
琵琶坂 藍依 : 「人生最大の苦しみさえ、キミに貰ったもの」
琵琶坂 藍依 : 「……だけれど、その先には幸せが待っていた」
琵琶坂 藍依 : 胡桃の手を取って、自分の胸に押し当てる。
琵琶坂 藍依 : 指先には、鼓動の高鳴りが伝わってくるだろう。
琵琶坂 藍依 : 「────私はキミから、人生を貰ったんだ」
久能胡桃 : 「藍依……」
GM : やや過呼吸気味になっていたが……キミの鼓動と同調するように、少しずつ呼吸が整っていく。
久能胡桃 : 「藍依は……素敵な人だから。きっと……わたし以外の誰かが、あなたの灯台になっていた可能性もあったと思うの」
久能胡桃 : 「でも……わたし、あのね」
久能胡桃 : 藍依にそっと抱きついて、胸元に顔を埋める。キミの鼓動を、もっとそばで感じられるように。
久能胡桃 : 「……あなたの人生の1ページになれて……わたしは、間違いなく幸せだったよ。これからも……あなたの中で……」
久能胡桃 : 「……わたしは、生き続けるから」
琵琶坂 藍依 : 「……うん」胡桃の頭を愛おしそうに撫でて
琵琶坂 藍依 : 「キミはずっと永遠に、私の最愛のひとだ」
琵琶坂 藍依 : 「……そして、それはアイドルとしても」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルについて、キミはいろいろ教えてくれたよね」
琵琶坂 藍依 : 「────アイドルは、人々に夢と希望を与えるもの」
琵琶坂 藍依 : 「初めて出会った時からずっと、キミは私にとって最高のアイドルだったよ」
久能胡桃 : 「……ありがとう。それなのに、ごめんね……勝手に、アイドルを辞めてしまって」
久能胡桃 : 「わたしにとっても、藍依はすごく素敵で大切な……世界で一番大好きな人だよ。こんな形で悲しませてしまって申し訳ないけど……」
久能胡桃 : 「……両思い……だったんだね、わたしたち……」
琵琶坂 藍依 : 「ん、そうだね……本当の逢引きみたいになっちゃったかな……」照れくさそうに笑う
久能胡桃 : 「……今更、照れなくていいのに。誰も見てない場所に連れ出したのは藍依だよ?」
久能胡桃 : 「……ありがとう、藍依」
久能胡桃 : 身体をキミに預け、上目遣いで見つめる。
琵琶坂 藍依 : 「……その上目遣い、私が弱いって分かってやってる?」
久能胡桃 : 「えー?……そうだったんだー」目を細める
琵琶坂 藍依 : 「あ、分かってたくせにイジワル……」
琵琶坂 藍依 : 「けど、そんなところも大好きだよ胡桃……」
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「……許されるなら、いつまでも一緒にいたい」
琵琶坂 藍依 : 「キミを、離したくない」
琵琶坂 藍依 : 「けど、そうはいかないんだろうな」
琵琶坂 藍依 : 「二人でという夢は、もう叶わなくなっちゃったかもしれないけど……」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃の想いは、私とカシルの二人で、武道館まで連れていかなくちゃ」
久能胡桃 : 「……うん。わたしは……アイドルの藍依のことも大好きだから。どっちかだけなんて選べないもん」
久能胡桃 : 「カシルちゃんも……まだきっと、末っ子さんだから。私の分まで、お姉ちゃんとして導いてあげてね」
久能胡桃 : 「……それにね、藍依?」瞳を覗き込んで
琵琶坂 藍依 : 「うん?」
久能胡桃 : 「言ったでしょ?……冥界から生き返って……アイドルとして生きる時も、超能力者──オーヴァードとして、世界を守らなきゃいけない時も……」
久能胡桃 : 「……わたしは、藍依とともに生き続けるよ。藍依はわたしのことをよく知ってるから……離れ離れでも、きっと大丈夫」
琵琶坂 藍依 : 「そう、だね……」
琵琶坂 藍依 : 「うん、きっと大丈夫……でも、だけどさ胡桃……」
琵琶坂 藍依 : 「今この瞬間だけは……もう少しだけ、甘えさせてくれないかな……」
琵琶坂 藍依 : お互いの境界が融け合うくらい、胡桃の小さな身体を強く抱き寄せる。
琵琶坂 藍依 : 久能胡桃のロイスを憧憬/悔悟のN表から、純愛/愛惜のP表に変更!
琵琶坂 藍依 : Sロイスに指定します!
GM : 了解です!
久能胡桃 : 「……もちろん、良いよ。藍依の甘えん坊なところも……わたし、大好きだから」
GM : 胡桃もまた、キミの背中に腕を回す。本当は返したくない……そう思わせるような手つきだが、彼女自身は何も言わない。
GM : ボートは静かに揺れている。今この時だけは、何処にも向かわず。最後の逢瀬を楽しむ2人を……霧の中に、閉じ込めるかのように。

Scene 06 灰色の世界、深紅に燃ゆ

GM : 全員の共通シーンですが、演出の都合上、先にユメちにだけ登場してもらいます。侵蝕お願いします!
虹之元 ユメ : 1d10+47 一番乗り!(1D10+47) > 2[2]+47 > 49
 

 
冥界の集落
 
GM : 調査を終え、キミたちは仮住まいとなる空き家に集っていた。
GM : 各々、ベッドやソファに寝そべり、既に何人かが眠りにつく中。
GM : ユメは目が冴えたままの状態で、天井を見つめていた。昨日きちんと寝られたから?いや、そうではない。
GM : ユメミとの再会、そして彼女の態度が……キミの心をざわつかせていた。
虹之元 ユメ : 「────────」何も発さぬまま、潤んだ瞳を天井に向ける。舞台の上で再開したあの時から、ユメミとの再会は叶っていない。
虹之元 ユメ : 疑う訳ではないが、ココの言ったことが事実であるならば……ユメミは何か思い悩んでいるのかもしれない。死んでしまったのだから、未練の一つや二つあるだろうが……。
虹之元 ユメ : ただ、ユメは『らしくない』と感じていた。
虹之元 ユメ : あとは……また会えたら、今までの分だけたくさん話したいのに、と……。
GM : ユメミのらしくない不可解な態度に、キミが思索を巡らせていると。
GM : ふと遠くから、ギターの音色が聴こえてきた。
GM : 最初は聞き間違いかもしれないと思ったが、確実に音が聴こえる。もしかすると、この音の先で……
虹之元 ユメ : 「(期待のしすぎはよくないかも、ですけど……)」どうせ寝付けないのだからと、自分に言い訳をして音色に釣られるように空き家を出る。
虹之元 ユメ : いつものように、ギターを背にして
澱 カシル : ユメが出ていった玄関の扉の前に、ぼとりと鈍い音を立てて脱力したカシルが落ちてくる。
澱 カシル : 「冥界に飛び込んでから、色々ありましたからね……」
「元々何か悩まれていたようですし……眠れないのも仕方ないですね。」
澱 カシル : 「そっとしてあげた方が良いとは思うのですが……。ただ……流石に一人きりというのは無用心すぎますね……。」
澱 カシル : むくりと躯を起こして扉を開け、冥界の霧に紛れてそっとユメの後を追う。

 
冥界のライブステージ
 
GM : 音色を辿った先にあったのは、例の奈落華が使用していたライブステージ。
GM : そこにはキミの思った通り……ユメミの姿があった。
GM : 彼女はステージに腰掛け、ギターを奏でている。……やや哀しげな雰囲気を帯びた音だ。
虹之元 ユメ : 「……」思わず息を呑む。あれほど待ち望んでいた二度目の再会ではあるが、いざ目の前となるとどこか緊張してしまう
虹之元 ユメ : 「えっと……」 僅かに前髪を整えて
虹之元 ユメ : 「こんばんは、ユメミちゃん……」少し震えた声で、穏やかに語り掛ける
春兎ユメミ : 「……!」キミの声に顔を上げ、ギターを演奏する手を止める。
春兎ユメミ : 「……るみ。こんばんは……でいい、のかな」
GM : ユメミもまた、ぎこちない様子で。藍色に渦巻く曇天を仰ぎながら返す。
虹之元 ユメ : 「……隣、良いですか?」ちょっとぎこちなく、ユメミの隣を指さして
春兎ユメミ : 「……うん」小さく頷く。
虹之元 ユメ : では、と彼女と少しだけ間を空けて座る
虹之元 ユメ : 「えーっと……元気でしたか。っていうのも変、ですよね……」あはは、と乾いた笑いを浮かべる
春兎ユメミ : 「……そうだね。アタシは、ほら……見ての通りだから」腕を小さく広げて
春兎ユメミ : 「……いや、外見じゃわからないか」…そのまま、すぐに腕を戻す。
虹之元 ユメ : 「冥界、ですもんね……。すいません、変なことを……」
春兎ユメミ : 「……ううん。アタシこそ、こんな感じで」小さく笑うが…表情はまた、気むずかしげなものに戻ってしまう。
GM : しばらくしてから気づく。先ほどの『見ての通り』とは、彼女なりのボケだったのだろう。表情や態度から、すぐに察することができなかったが……このような細かい場面で、キミは、ユメミとのすれ違いを感じてしまう。
虹之元 ユメ : 「…………」 ユメは思わず押し黙る。彼女と話したいことが山のようにあったはずなのに、哀しい思いが栓をしてしまったかのように喉でつっかえてしまっていた。
虹之元 ユメ : 思えば、生前の彼女はやや強引ながらもコミュニケーションに明るい人だった。もしかしたら、今回の会話もそれに頼ろうとしてしまったのかもしれない……。
虹之元 ユメ : 「あの、ユメミちゃん……!」こちらから何とか話題を振ろうと、口を開く。
虹之元 ユメ : 「私、見ての通りギターを始めたんですよっ! 基本的なコードはもちろん、色んな曲も弾けるようになって……」持って来たギターを見せる
春兎ユメミ : 「っ……!」キミがギターを出した途端、ユメミは肩を震わせる。
虹之元 ユメ : 「えっ、あの……ご、ごめんなさい。何か、気に障りましたか……?」冷や水をかけられたような態度に、胸が苦しくなる
春兎ユメミ : 「……あっ…!」キミの態度に、ユメミは焦ったような表情を浮かべる。
春兎ユメミ : 「ご、ごめん……なんでも無いんだ。えっと……そうなんだ」
春兎ユメミ : 「……さっき指に触った時も、だいぶ指先が固くなってたもんなー……結構、練習頑張ったんでしょ?」取り繕うように微笑んで。
虹之元 ユメ : 「は、はいっ。それはもう。最初は弦の押さえ方もままならなかったのも良い思い出ですね……」
春兎ユメミ : 「だよなー、アタシも触りたてのころはそうだったわ…」アハハ…と笑う。
春兎ユメミ : 「……練習、始めてからどのくらい?そもそも、アタシが死んでからどれくらいになるんだっけ……」
虹之元 ユメ : 「2~3年ほど、ですかね……。あの直後、という訳でもないですけど……間もない内に始めたので……」ギターを手でなぞって
春兎ユメミ : 「……そんなに……なるほど、どーりで手つきもサマになってるわけだわ」
春兎ユメミ : 「……ねぇ、それよりもさ」
虹之元 ユメ : 「なんでしょう?」 首を傾げて、ほんの僅かに涙が頬を伝う
春兎ユメミ : 「……んん……どうしちゃったんだよ、その……ずっと泣いてるだろ?」キミの頬を、自分の服の袖で拭う。ハンカチは持ち合わせて無いのだろう。
虹之元 ユメ : 「あ、これはその……後遺症と言いますか……」拭いてくれたことにありがとうと返しつつも、口をもごつかせる
春兎ユメミ : 「……アタシが死んだ時の、あの……ガスを出してた不審者のせい?」
虹之元 ユメ : 「それも、あると思います……」当時のことがフラッシュバックして、息が苦しくなる
虹之元 ユメ : 「あと、もしかしたら……これのせい、かも……」左手を皿のようにして、息を吹きかける。《虹の香り》で生成されたバニラの香りが周囲に漂った。
春兎ユメミ : 「ん……あれ、なんか良い匂い……お菓子……?」目を丸くしてユメの手を見て、首を傾げる。
虹之元 ユメ : 「ふふ、残念。わたし、実は超能力者なんですっ」少しだけおどけてみせる
春兎ユメミ : 「……え?」突拍子もない告白に、キミの顔を見る。
春兎ユメミ : 「超能力って……あの、スプーン曲げたり?それとも…雷出したり炎出したり?」要領を得ない様子で
虹之元 ユメ : 「そっちの方だったら、もっとお役に立てたんでしょうけどね~……」苦笑いを浮かべて
虹之元 ユメ : 「私の場合は音とか……薬に、纏わる……」ユメミを殺したジャームもまた、ソラリスであったことを思い出し、言葉に詰まる。
虹之元 ユメ : 「────あっ、えっと。人を元気づけたり! すごく早く走れたりします、よ!」
虹之元 ユメ : 咄嗟に明るく振舞ってみせる
春兎ユメミ : 「な……なんか色々言ってなかった?普通もっと、爆破だとか、無重力とか1種類の……」あ、でも1人で冷やして燃やすのもあったっけ……と首を捻る
春兎ユメミ : 「……ちょっと、アタシには難しいんだけど……もしかして、アタシを殺したのも?」
虹之元 ユメ : 「……私も後から知ったのですけど、世界には私よりすごい能力者の人がたくさんいるんです。私達は襲ったのは、その……自我を失った、怪物で……」
虹之元 ユメ : 声がどんどん落ち込んでいく。ユメミからしてみれば、自身を殺した怪物と似たような存在が隣にいる。もしかしたら、怖がらせてしまうのではないかと不安な気持ちが今更湧いてくる。
春兎ユメミ : 「……そっか」
春兎ユメミ : キミの心配とは裏腹に、彼女は小さく笑う。
春兎ユメミ : 「大丈夫だよ。普通の人間だって同じだぜ?変なやつもいればまともな人もいる……アタシみたいに、死んでからピンピンしてるやつもいる」
春兎ユメミ : 「そんなことで、アタシちゃんは怖がったりしないからさ」
虹之元 ユメ : 「ユメミ……ちゃ……」 その言葉に、ほんの少し心が軽くなる。
虹之元 ユメ : 「ぐす……もう、ピンピンしてるなら、もっと元気な姿を見せてくださいよぉ……」笑みを浮かべながらも、ぽろぽろと零れる本物の涙が溢れて止まらない
春兎ユメミ : 「あ……いや、悪い……そうだよな……」キミの涙を見て、またハッとした様子で押し黙る。……今度は、キミの涙を拭うことはしなかった。
春兎ユメミ : 「……それと、さ。もう一つ」
春兎ユメミ : 「アイドル、ようやくなれたんだね」再会した時の会話で知ったのだろう。キミに尋ねてくる。
虹之元 ユメ : 「っ、は……はいっ。そうです、なれたんです……っ!」ぐしぐしと目元を拭って
虹之元 ユメ : 「私たち“MARiNE SNOW"。地下アイドルですけども、新進気鋭で話題のグループなんです……っ!」熱の籠った言葉を口に
春兎ユメミ : 「地下アイドル……って、ライブハウスメインで活動しているアイドルのこと、だよね?ごめん、アタシそこまで詳しくなくて……」
虹之元 ユメ : 「ですです。MARiNE SNOWのメンバーのお名前は……奈落華のメンバーから聞いたりしました?」
春兎ユメミ : 「うん。さっき、少し胡桃と話したから。……胡桃も、どうやらアタシと似たような境遇みたいだね?」
虹之元 ユメ : 「そうみたいですね……。藍依ちゃんと胡桃ちゃんも、不幸な別れ方をしたみたいで……」
虹之元 ユメ : 「二人とも、ここで出会えて嬉しそうでした……」地面を見つめて、ポツリと呟く
春兎ユメミ : 「……そうなんだ。胡桃は……そうか……」
春兎ユメミ : 「……るみ。少し…歌ってみてよ。コード教えてくれたら、その通り演奏するからさ」
虹之元 ユメ : 「ぃ、今ですか!? ちょ、ちょっと待ってくださいね……」
虹之元 ユメ : 「……あ。コードを教えるより、こっちの方が……」《空の楽器》を使用して、代表曲のMARiNE SNOW(オフボーカル)を流す
春兎ユメミ : 「……そか。そういうのもできるんだね」ユメミは手にしたギターを、再度ステージに立てかける。
虹之元 ユメ : 「……良ければ、一緒にセッションしてみませんか?」彼女のギターを見つめ、提案をしてみる
春兎ユメミ : 「いや、いいよ。るみの歌を聴く分には、それで十分だからさ」そう言って笑う。……口で言う以上に思うことがある様子だが、これ以上踏み込める雰囲気ではなかった。
虹之元 ユメ : 「そう、ですか……。じゃあ次の機会に、楽しみにしてますね」
虹之元 ユメ : 「では……」スゥ、と深呼吸をして
虹之元 ユメ : 「僕は……また溺れ死ぬ」 滑らかな滑り出し、代表曲らしく歌い慣れた声が空のステージに木霊する。
虹之元 ユメ : だけど、少しだけ緩く。ファンの前で歌う時とは違う、柔らかな歌声をユメミの隣で響かせた。
虹之元 ユメ : 「どうかお願い……海底よりも深い世界……」
虹之元 ユメ : 「今、僕に魅せて……」 そっと、ユメミを見つめながら歌い終える。
春兎ユメミ : 「……」キミのパフォーマンスを見て、小さく拍手する。
春兎ユメミ : 「すごい……ね。昔より格段に上手くなったじゃん、流石ホンモノのアイドルだね」
虹之元 ユメ : 「えへ、ありがとうございます……」少し前に、夢の中でもこんなやり取りをした気がする。そんな既視感を覚えながら微笑み返した。
春兎ユメミ : 「うん……すごいよ、本当に。2、3年でこれだもんなぁ……ギターもやりながら……」
春兎ユメミ : 「……他の子達も、それなりに凄い子達なの?」
虹之元 ユメ : 「それなり……なんて言葉じゃ、足りないですね~……」
虹之元 ユメ : 「こよみちゃんも、藍依ちゃんも、カシルちゃんも……ハッキリ言えば、みぃんな才能と場数が圧倒的に私より上です」
虹之元 ユメ : 「私もそれなりに追いついて……いえ、皆と肩を並べたいのですけど……」
虹之元 ユメ : 「……何故でしょうね。みんなの背中が少し遠くに見えるんです……」手慰みにギターの弦を弄りながら、そう呟く
春兎ユメミ : 「……」
春兎ユメミ : 「じゃあさ……ギターなんて弾いてる暇、ないんじゃないか?」
GM : ユメミが溢した言葉は……再度、キミの既視感を呼び起こす。
虹之元 ユメ : 「────ッ!」 前日に見た夢がデジャヴとして重なる
虹之元 ユメ : 「不公平、じゃないですか……」ギリ……と奥歯を噛みしめる
虹之元 ユメ : 「あなたが死……ぃ、いなくなって夢を、叶えられなくなって……」
虹之元 ユメ : 「私が生きて、夢を叶えて……っ! 」
虹之元 ユメ : 「そんなの、私が……耐えられないんです……っ」
春兎ユメミ : 「不公平って……アタシが死んだことが?それは……仕方ないだろ」小さく溜息を吐いて
春兎ユメミ : 「人は誰だって、いつか死ぬ。アタシにとっての『いつか』が、あの日の夕方だったんだよ。それ以上でもそれ以下でもない」
虹之元 ユメ : 「仕方ない、ですか……?」
虹之元 ユメ : 「あんなクソみたいな通り魔に殺されて、未練の一つもないですか?」
虹之元 ユメ : 「家族に別れも告げられず、ここに来た事も仕方ないですか?」
虹之元 ユメ : 「私と……私と死に別れたことも……?」
春兎ユメミ : 「……アタシだって死にたくて死んだわけじゃない。分かっててその言い草は……ちょっと、酷いんじゃないか」
春兎ユメミ : 「もちろん未練はあるよ。理不尽だったと思う。それでも……アタシは、不公平だなんて嘆いたことはない」
GM : ユメミは、キミに人差し指を向ける。
春兎ユメミ : 「アタシの代わりに、るみが生き残ってくれた。あの理不尽に襲われた過去を覆せない以上……アタシにとっての最善が今なんだよ」
虹之元 ユメ : 「わたし、は……」納得できない。許容できない。しかし彼女の言う事は最もだ。形を変えたような事故は、現世では溢れかえっている。
虹之元 ユメ : 「……ごめん、なさい。こんな事、言うつもりは……」溢れかえるような負の想いを飲み込んで、ようやく一言を呟く
春兎ユメミ : 「……るみ。悪いけど……アタシからは、まだ言いたいことがある」
春兎ユメミ : 「『虹之元ユメ』。……今、そう名乗っているんだよね?」
虹之元 ユメ : 「……はい」
春兎ユメミ : 「……その髪は?るみは……綺麗な、ブリーチもしたことがない黒髪だったはず。それに、今よりずっと長かったよね」
虹之元 ユメ : 「あなたがいなくなって、初めて染めました……」自分の髪を撫でて
春兎ユメミ : 「……だよね。染めてるの、見たことなかったし」
春兎ユメミ : 「アタシが死んですぐに始めたギターもそうだ。……ねぇ、るみ」
春兎ユメミ : 「アタシの分まで夢を背負って生きよう……だなんて、思っていないよね」
GM : 背筋がスッと凍るような、冷たい声色。生前のユメミからは聞いたことがない……知らなかったユメミの一面だ。
GM : ……彼女が、キミを拒絶している。その声、その態度から、ありありと察する方ができるだろう。
虹之元 ユメ : 「いけない、こと……ですか……」その声は完全に意気消沈としている。ユメが抱えていた物を、本人から真っ向から否定されているのだから。
春兎ユメミ : 「……他の誰が指摘できることでもないから、はっきり言わせてもらうよ」小さく息を吐き、キミを見据える。
春兎ユメミ : 「アタシに依存しすぎだ。……春兎ユメミは、死んだんだよ」
虹之元 ユメ : 「…………」ただ、虚ろな瞳は地面を見つめる。空の器を伝う涙は、虚しくギターの上に水滴を作る
GM : 傷ついたキミに、トドメを刺すように。ユメミは、さらに言葉を続ける。
春兎ユメミ : 「……もう、るみとは会いたくなかった。こんなことになってるなんて、知りたくなかった」
春兎ユメミ : 「……あのまま別れた方が、ずっとずっと綺麗だったよ」
虹之元 ユメ : 「ふ、ふ……そ、ぅです……ね……。こんな、こんな情けない姿を晒して……」
虹之元 ユメ : 「あは……」ユメミを見る事はせず、涙に埋まる視界は何をも映さない
春兎ユメミ : 「………」
GM : ユメミは、キミが持つギター……かつての彼女の相棒たるギターを、チラリと見て。
GM : 無言でライブステージを降りて、その場を去ってしまった。
虹之元 ユメ : およそ、ユメミの背中が見えなくなった頃……。
虹之元 ユメ : 「ふ、フふ……あはハ……」
虹之元 ユメ : 「アーッハッハッハッ! そっか、そうだったのか!」 ステージの上で大の字になって、ユメは狂ったように笑っていた
虹之元 ユメ : 「私、ぜんぶ間違えてたんだ! やり方も、努力も、私が見た夢もっ!」ガンッ、ステージを打つ拳の音が虚しく響く
虹之元 ユメ : 「どこからかなぁ、夢を見ようとしたこと? ユメミちゃんが死んじゃったから? うぅん、違う。違いますね!」錯乱しているのか、口調が乱れている
虹之元 ユメ : 「ああ……身の丈を、弁えなかったから……?」
虹之元 ユメ : 「今までの私って、なんだったんだろう……」悲しみの中に沈んだまま、ただ虚無へと落ちていく感覚……
虹之元 ユメ : 「なんだか、疲れちゃいました……」 虚ろな瞳は天井を見つめたまま、ユメはギターを抱える。
GM : ライブステージに1人取り残されたユメの目に映るのは、鉄骨と……その先にある、相変わらず暗澹とした曇り空のみだった。そして、その空もまた……溢れ出した涙によって滲み、霞み、全てがどうでも良い曖昧な世界に堕ちていく…
 

 
GM : それでは、この場面まで着いてきていたカシルさん。出番となりますので、登場侵蝕をお願いします。
澱 カシル : 1d10+80(1D10+80) > 10[10]+80 > 90
澱 カシル : 全開すぎるって!!
GM : どうしようもねぇ
 

 
GM : ユメミが去り、壊れたように振る舞うユメの姿。仲間として放っておけないその様子を、陰から伺うカシルだったが……
??? : 「……ねぇ、ちょっと」
GM : ふと、真後ろから声をかけられる。それは、キミが冥界に来てからまともに話していない、奈落華の最後のメンバー……
澱 カシル : 「………あら……。見つかってしまいましたね。」
悪びれることもなく、声の主と相対する。
春兎ユメミ : 「うん。……たまたま、ね」
GM : そこに居たのは、春兎ユメミ。先ほどまで、ユメと対峙していた時の姿とは対照的に……どこか力無く笑っている。
澱 カシル : 「ええっと……ユメミさん、でしたね。」
「貴女がユメさんとどんな会話を交わしたのかは存じませんが……。」
澱 カシル : 「ユメさんの引き裂かれた心から溢れた膿が、此処からでも感じられます。」
「随分……手酷い言葉をかけたようで。」
あくまでも無機質な目線をユメミに向ける。
ユメミの真意を知ってから判断を下すつもりらしい。
春兎ユメミ : 「それは否定しない。……アタシが死んでから、1人で背負い込んできたるみに対して……かなり酷い仕打ちだったと思う」
春兎ユメミ : 「それでも、アタシは……こう振る舞わなくちゃいけない。るみに……ちゃんと生きて、夢を叶えてもらうために」
春兎ユメミ : 「ねぇ。お願いがあるんだ。……キミと、こよみとアイと4人で話をさせて」
春兎ユメミ : ユメミはカシルの目を見つめ……真剣な眼差しで、そう言った。
澱 カシル : 「祝福と呪いは裏表。ユメさんの未来を願い、良くするためであるのなら……わたくしも吝かではありません。」
冷たく光る瞳で、ユメミを見定めるように
春兎ユメミ : 「……ありがと。あっちの…空き家の方だっけ?」
春兎ユメミ : 「案内、お願いしてもいい?」
澱 カシル : 「ええ。こちらです。」
空き家へ向かって歩いていく
 

 
天海こよみ : 1d10+60(1D10+60) > 2[2]+60 > 62
琵琶坂 藍依 : 1d10+58(1D10+58) > 10[10]+58 > 68
 

 
 
空き家
 
GM : キミはユメミを連れ、仮宿である空き家へ戻ってきた。
GM : 家の中は、外見通り狭い。キミにユメミ、そしてまだ眠っているこよみとアイとで、部屋の中はいっぱいだ。
春兎ユメミ : 「……ちょっと、狭いね。ごめん」苦笑いして
澱 カシル : 「ふーむ、どう起こしましょうか……。」
どこか楽しそう
澱 カシル : 「えいっ」
窓に指を向けると、意味もなく窓枠がガタガタ震えだし、湿った肉が叩きつけられるような音を立てる。
天海こよみ : 「…………? ん、ぇ……? じ、じし……ん……?」 瞼を開く
琵琶坂 藍依 : 「ぅん……?」家鳴りで瞼をゆっくりと開き、
琵琶坂 藍依 : 「な、なに……っ!? 窓に……っ!?」窓に何かが叩きつけられる音で飛び起きる。
天海こよみ : 「……しんど……3……くらいかな……」 寝ぼけていて窓に何かが叩きつけられる音は雨音と勘違いしたのか、再び瞼を閉じて二度寝し始める
澱 カシル : 「こ、こよみさん!?」
澱 カシル : 「うーん、やはり大物です。こよみさんは……」
琵琶坂 藍依 : 「…………」立ち上がったところにカシルがいて、事態を察する。
澱 カシル : 「藍依さんは満点のリアクションをしてくださったのに……」
琵琶坂 藍依 : 「……カシル? まず言うべきことがあるんじゃないかな????」わなわなと震えて、恥ずかしそうにしている。
澱 カシル : 「うふふ、ごめんなさい。」
「普段はもう少し控えめにすべき処ですが、急用がありまして。」
謝罪はするが、あまり悪びれていない
琵琶坂 藍依 : 「……はあ、まったく。それなら他に"起こし方"ってものがあるでしょ」風情の無いモーニングコール、いや別の風情はあったのだが。に肩を竦める。
琵琶坂 藍依 : 「コヨミはコヨミで、マイペースすぎだし」
春兎ユメミ : 「えっと……これ、日常運転なのかな?」
春兎ユメミ : 苦笑しながら、ちょうどアイの死角から話しかける。
琵琶坂 藍依 : 「わ、キミはたしか……」来客の声に振り向いて
春兎ユメミ : 「おはよ。寝てたのにごめん……カシルに頼んで連れてきてもらったんだ」
琵琶坂 藍依 : 「ユメミちゃん、だよね……ユメの友達の……カシルのモーニングコールが最悪だっただけで、用事があるのはいいんだけど……」
琵琶坂 藍依 : 「うん……? 連れてきてもらった、って私達に何の用事が……?」
琵琶坂 藍依 : 「それとも、ユメとお話に……あれ、肝心のユメがいないな……」寝起きで頭が回っていない。
春兎ユメミ : 「うん。るみ…ユメとはさっき話したんだけど……あの子抜きの3人に、話したいことがあって」
春兎ユメミ : 「悪いんだけど……こよみを起こしてもらってもいいかな?まさか、カシルのアレで起きないとは……」こよみを見てふふっと笑いながら
琵琶坂 藍依 : 「私達に……なるほど、そういうことなら……」
琵琶坂 藍依 : 「……ねえコヨミ、起きて。もう朝、ではなかったか」コヨミの肩を優しく揺する
澱 カシル : 「お客さまが来てますよ。」
天海こよみ : 「ん、んぅ……」 何度か揺さぶられてやっと目を覚ます
天海こよみ : 「な、なに……? どうしたの……?」 まだぼんやりした目で周りを見る
琵琶坂 藍依 : 「おはよう。ごめんね、コヨミに会いたいって子がいてね」
澱 カシル : 「相談なしで申し訳ないのですが、わたくしも必要なお話と判断しましたので……こちらのユメミさんをお連れしました。」
天海こよみ : 「え、っと……」 体を起こし、ユメミを見る
天海こよみ : 「……わ……。びっくりした……。ユメミちゃんがいる……」
春兎ユメミ : 「おはよう。……ごめんね、アタシです」小さく手を合わせて
澱 カシル : 「わたくしのイタズラよりびっくりされてしまいました……」
しょんぼりカシル
天海こよみ : 「いたずら……? えっと、お話って……ユメちゃんにじゃなくて……?」 
琵琶坂 藍依 : 「そういう反応になるよね……でも、なんだか違うみたいなんだ……」
春兎ユメミ : 「うん。……少し、時間をくれないか。ユメが戻ってくるまでに……ある、取引の話をしたいんだ」すぐそばにある椅子を引き寄せ、腰掛けながらキミたちに向き直る
天海こよみ : 「取引……?」 目元を手の甲でごしごし擦りながら、ベッドの上にぺたんと座り直す
春兎ユメミ : 「……改めて、自己紹介するよ。アタシはユメミ。るみ……『ユメ』の親友で、今は奈落華のサポートメンバー。ギタリストで、作曲家の真似事中」
春兎ユメミ : 「長所は元気でポジティブ!…ぅ~…だったことで……」一度ぐっと握った拳を、へな…と下ろして。
春兎ユメミ : 「……チャームポイントはこのメッシュかな?」
春兎ユメミ : ユメミが肩を揺らすと、綺麗な黒髪の間から、夕焼けのように鮮やかな橙色のインナーカラーが覗く。その色は、ユメのメッシュとそっくりだ。
琵琶坂 藍依 : 「うん、たしかにチャーミングなインナーカラーだ。ユメとお揃い?」
春兎ユメミ : 「お揃い……ではないんだ。アタシが生きてた頃は、るみは黒髪ロングで……写真、見たことあるかな」
天海こよみ : 「うん、見た……。けど……ユメミちゃんが死んでから、だったんだ……?」
春兎ユメミ : 「そう。……驚いたよ、アタシも」
澱 カシル : 「まあ……そういうこともあるでしょうね。」
顔をそっくり真似た人(?)
春兎ユメミ : 「ある……のかな……」
春兎ユメミ : 「さて、本題に入ろうか」
春兎ユメミ : 「こよみ」そう言って、こよみと目を合わせる。
天海こよみ : 「……?」 首を傾げる
春兎ユメミ : 「クラ…って言ったよね。アタシ、あの子を逃がすために協力するよ」
天海こよみ : 「え……?」
天海こよみ : 「ユメミちゃんが……? どうして……?」
春兎ユメミ : 「……ここからが、アタシからのお願いなんだ」
春兎ユメミ : 「クラを取り戻したら、るみを連れて、すぐにでもこの世界から出ていってほしい」
春兎ユメミ : 「……もう、気づいているだろ?おかしいんだぜ、この世界って」椅子の上で胡坐をかき、冗談めかしたように言うが……彼女の目は真剣だ。
天海こよみ : 「え……え、えぇ……?」 まだ戸惑っている
琵琶坂 藍依 : 「……この冥界がおかしいことは、もちろん知っているよ。長居をするつもりもないけど」
琵琶坂 藍依 : 「この世界を出ていってほしい、って言われても、私達はまだその糸口さえ掴めていないんだ」
春兎ユメミ : 「具体的なところは、まだアタシもわからない。それでも、アテはあるし……この世界は冥界なんかじゃなくて、作り物だとアタシは思ってる」
春兎ユメミ : 「いつか絶対に出られる。だからその時……るみを連れて逃げてほしいんだ」
春兎ユメミ : 「……一旦、アタシの話を聞いてもらってもいいかな?」長くなっちゃうかもだけど、と
天海こよみ : 「も、もちろん……。まだぜんぜんよく分かってないから……」
春兎ユメミ : 「……ありがとう。さて…どこから話したものか」
春兎ユメミ : 「奈落華のステージは見てたよね。あの曲……実は、アタシが作曲したんだ」
天海こよみ : 「あ、やっぱり……。それと作詞はルコちゃん、なんだよね……」
春兎ユメミ : 「うん。あそこまで攻撃的な詩は、アタシには書けないな……歌い手2人が楽しそうだから、アレはアレでいいんだけどさ」苦笑して
春兎ユメミ : 「きっかけは目が覚めてから、ルコとココに会って……この冥界の仕組みと、奈落華の目的を聞いて、言われるがままに手探りで曲を作ったんだ」
春兎ユメミ : 「最初は嬉しかったよ。自分の曲が使ってもらえることも、アレだけ歌が上手い子が評価してくれたこともそうだし……何より、音楽で救える世界があるなんて、そんなのちょー格好いいじゃん?」
天海こよみ : 「そう、だね……。本当に、この世界にいる人たちを救って……成仏させられたなら……だけど……」
春兎ユメミ : 「……そう。アタシも……こよみと同じ感覚でね」
春兎ユメミ : 「やっぱり変なんだ。会話が通じるのはアタシたちだけなのはどうして?歌で成仏…浄化?されているように見える黒い影は何者?奈落華……アタシたちのグループを作ったのは、誰?」
春兎ユメミ : 「ルコとココにも聞いたけど……ルコは疑問に思うアタシの方がおかしいとでもいう風な態度だし、ココははぐらかして逃げるし」
春兎ユメミ : 「後からやってきた胡桃も、この状況に疑問を持っていない様子だし……なんか、アレーってなっちゃってさ」
天海こよみ : 「おかしい、よね……。ぼくたちも、さいしょはそういうものだと思ったけど……」
天海こよみ : 「よく考えてみると、やっぱりちがうって思ったんだ……。あれは成仏なんかじゃないって……。そう見せかけてるだけなんじゃないか、って……」
春兎ユメミ : 「凄い……見たばかりなのに、もう気付いたんだ。アタシは2回くらい完璧に騙されてたわ」驚いたように頬をかいて
天海こよみ : 「多分……ぼくたちはレネゲイドのことを知ってるから、かな……」
琵琶坂 藍依 : 「特にコヨミは一度、似たような経験があったからね」
琵琶坂 藍依 : 「それでも、コヨミの直感が鋭いからこそ気付けたことだろうけど」
天海こよみ : 「た、たまたま……だよ」 少し照れたように視線を下に向ける
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、謙遜しなくていいのに」頭をそっと撫でて、寝起きで乱れていた髪を整えている。
天海こよみ : 「ん……」 大人しく撫でられてる
春兎ユメミ : 「うん…ただの勘じゃないと思う。でも、そっか……さっきるみが言ってた超能力のひとつなのかもね」レネゲイド=超能力と解釈したのだろう
春兎ユメミ : 「……もっと早くみんなに会えてたら話が早かったんだろうけど……アタシは、この世界の果てを見た時、ようやく気づけたよ」
天海こよみ : 「世界の果て……?」
澱 カシル : 「世界の果て……直接行けるような距離にあるのですか?」
春兎ユメミ : 「うん。気付いたきっかけ自体は……無邪気なものだったよ」
春兎ユメミ : 「色々と疑問はあったけど、活動自体は楽しかったから……曲のネタ出しのために、少し遠くまで散歩をしてて」
春兎ユメミ : 「道を歩いていたら……急に、見えない壁にぶつかったみたいになって、その先に進めなくなっていたんだ」こんな感じで…と、壁を触るようなパントマイムを挟む。
天海こよみ : 「見えないかべ……なんだかゲームみたい……」 家にある古いゲームソフトの世界を連想する
琵琶坂 藍依 : 「驚いた……ルコに"冥界は撮影用セットみたいなもの"って説明したけど、ほんとに世界の果ては書き割りみたいになってたんだ……」ゲームを買い与えられたことがないので、ドラマ撮影で得た知識で補完する。
春兎ユメミ : 「カキワリ?は、ごめん……アタシ、パンピだからちょっとわからないんだけど」
春兎ユメミ : 「でも……こよみもやっぱそう思うよね。アタシもそうだったよ……子供の頃に遊んだゲームを思い出したんだ」
春兎ユメミ : 「無限に世界が続いているように見えるけど……実際は大地に果てがあって、どこまでも歩いて行けるわけじゃない。空にも見えない天井があって、どこまでも高く飛べるわけじゃない」
春兎ユメミ : 「元からの疑問と合わさって、アタシは、この世界が作り物だと理解した。冥界だなんて、音楽で救える世界だなんて……一瞬でも信じちゃったアタシ、馬鹿じゃね?って感じ」たはは…と頭を押さえて笑ってから、溜め息を吐く
天海こよみ : 「そんな、バカ……なんて思わないよ……。だまされる方より、だます方がわるいと思うから……」
琵琶坂 藍依 : 「それにね、音楽で救える人だってきっといる」
琵琶坂 藍依 : 「……この世界は違ったかもしれない。けど、音楽に勇気づけられたり元気をもらったり、そんな小さな経験は誰しもあるでしょう?」
春兎ユメミ : 「……そうだね。みんなの……MARiNE SNOWの音楽で救われている人だって、確実にいるよ」
春兎ユメミ : 「アタシ自身も……音楽は大好きだし、アタシの人生は音楽の神様に捧げるんだーって本気で思ってたから」
春兎ユメミ : 「ただ……ほら、アタシ死んじゃったからさ。リベンジできるって、舞い上がっていたというか……ねっ」上目遣いで少しおどけて見せる、が……
天海こよみ : 「……ユメミちゃん……つらかったんだ、ね……」
春兎ユメミ : 「あ〜……い、いや!違うんだ、同情して欲しかったわけじゃなくて……でも……」
春兎ユメミ : 「……ありがとう、ね?」小さく微笑んで見せる
天海こよみ : 「……ううん、ぜんぜん……」 小さく笑い返す
琵琶坂 藍依 : 「(この子はやっぱり、ユメと似てる。親友っていうのも納得だ)」
琵琶坂 藍依 : 「(見た目がどうという話じゃない。辛いときに素直に辛いと言わず、一人で抱えて笑ってしまえるところが───)」
春兎ユメミ : 「……ついでに、さ。今ここに居るアタシ自身が何者なのかも、よくわからなくなっちゃったんだ。アタシは確実に死んだのに蘇っていて、ここが冥界じゃないってなると……」
春兎ユメミ : 「……本当のコトを知るのも怖いんだけどね」
琵琶坂 藍依 : 「……正体が何だろうと、キミは他でもないキミだ」
琵琶坂 藍依 : 「キミの音楽は、キミが何者だろうと価値を損なったりはしない。と私は思うよ」
春兎ユメミ : 「そう……かな。アタシは……その音楽が持たされた意味とか、誰が作ったのかとか結構考えちゃうけど」
春兎ユメミ : 「でも……そう言ってくれるのは嬉しいよ」
天海こよみ : 「あ、あの……。いろいろへんなことがおこってるけど、ぼくは……ユメミちゃんはユメミちゃんじゃないかな、って……思うよ……」
天海こよみ : 「前に、死んだぼくのママが生き返ったことがあったの……。本当にみじかい間だったけど、あのママはちゃんと本物のママで……」
天海こよみ : 「だから……えっと……」
天海こよみ : 「あ、あの……だいじょうぶ、だと思う……! から……!」 とにかく励ましたかっただけのようで、声を精一杯強めて言う
春兎ユメミ : 「……こよみのお母さんが……そう、なんだ」悲しそうな顔で
春兎ユメミ : 「……辛いこと、話させてごめんね。でも…ありがとう。少し……元気、出た気がするよ」
天海こよみ : 「う、ううん、つらいけど……今はぜんぜんつらく思ってないから、だいじょうぶ……!」
天海こよみ : 「元気……ちょっとでも出てくれたなら、よかった……」 安心したように微笑む
春兎ユメミ : 「うん。……ありがとう。でも、そっか……短い間なぁ……尚更、急がないとかな」……あかりの例を聞き、少し眉を顰めながら
春兎ユメミ : 「……さて!」手を叩き、気持ちを切り替えるように
春兎ユメミ : 「この世…あの世?の真実に気づいちゃった系女子のアタシちゃんこと名探偵ユメミは……モヤ〜ってしながら日々を過ごしていたのですが……」
春兎ユメミ : 「……無理やり連れてこられたクラの姿を見て、確信に変わったんだ」
春兎ユメミ : 「ルコとココ……そして、『奈落華』を作った第三者は、きっと良くないことを企んでいるって」
天海こよみ : 「ど、どう……だろ……。そうでなければ、いいんだけど……」
天海こよみ : 「ルコちゃんは、じゅんすいに自分のせいで死んだファンのために歌っているみたいだし……。第三者にも、何かじじょうがあるのかも……」 自信なさげに小声で言う
春兎ユメミ : 「……どうなんだろう。あの子自身、アタシのことが結構苦手そうだから……ちゃんと話せたことないんだけど」
春兎ユメミ : 「こよみは、何か正当な事情があるんじゃないか〜って思った?」
天海こよみ : 「……まだ、分からない……」
天海こよみ : 「ただ、前にクラちゃんの力をひつようとした子がいて……。その子は、正当……かは分からないけど、すごく苦しんでいて、それでどうしても無理矢理クラちゃんをうばいとろうとするしかなくて……」
天海こよみ : 「だから、もしかしたら今回もそうなのかもしれないって……思ったの。だから、まだ良いか悪いかきめつけたくはなくて……」
天海こよみ : 「……あ、その子はぼくの妹なんだけど……今はなかよしだから、だいじょうぶだよ」 されてない心配を先回りして言う
春兎ユメミ : 「い、妹が……クラを、誘拐?クラもこよみの妹で……あれ?アタシ、何か勘違いしてる?」困惑した様子で
澱 カシル : 「全部説明するとややこしくなりますので……ひとまずは義理の妹のような間柄だったと思っていただければ……」
琵琶坂 藍依 : 「まあ、複雑なご家庭ってことでひとつ」
春兎ユメミ : 「知らない複雑さだぜ…」
春兎ユメミ : 「でも……そうなんだ。クラは……前にも狙われたことがあるような存在なんだね?」
天海こよみ : 「もうこれで……四回目……かな……?」
澱 カシル : 「人騒がせなことです。」
春兎ユメミ : 「大金持ちのご令嬢だってそうはならないだろ〜…」少し笑ってしまいながら
春兎ユメミ : 「でも……アタシはね、何か悪いことが起きるんじゃないかって。やっぱり、この世界は危険だ。そう思って…」
春兎ユメミ : 「……その直後、皆が来たんだ。そこにはるみが居て……本当にびっくりした」
春兎ユメミ : 「見間違えるわけがない。髪型を変えて、少し背が伸びて……やつれていたけど……」
琵琶坂 藍依 : 「やつれて見えたのは……ユメが最近、根を詰めすぎていたからかな……」
琵琶坂 藍依 : 「あんまり寝れてもないみたいでさ……」
春兎ユメミ : 「……るみは……何をそんなに焦っていたの?寝てないって…」心配そうに、恐る恐る尋ねる
澱 カシル : 「………恐らくは………そうすることでしか、自分の存在意義を確かめられなかったのかもしれませんね。」
少なくはあるが、自身の経験と能力から推察したことを語る
春兎ユメミ : 「存在意義を……?」
天海こよみ : 「どうしたら自分のことを好きになれるかわからない……みたいなの……」
澱 カシル : 「はい。わたくしにも自己嫌悪がありましたが……最近、折り合いをつけられるようになってきました。」
「………ユメさんにも同様の悩みがあったから、一歩踏み出すことの出来たわたくしに糸口を求めたのでしょう。」
春兎ユメミ : 「自分を愛せない……そこまで、自分を追い詰めてるなんて」
春兎ユメミ : 「アタシが生きてた…高校の頃のるみは、大人しかったけど……決してそんな子じゃなかったのに……」悔いるように目を閉じる
琵琶坂 藍依 : 「……親友を。自らの半身を喪うというのは、それだけ大きな事だからね」
琵琶坂 藍依 : 「胸にぽっかりと空いてしまった穴を埋める為に、ユメは今も藻掻いているんだと思う」久能胡桃を失ったことで空いた心の穴を、彼女の願いを叶えることで隠そうとした。かつての自分を回想する。
春兎ユメミ : 「……そうか。その穴を……アタシで……」
澱 カシル : 「……そうですね。ユメミさんを目指す……いえ、成り替わることで空いたままの孔を忘れようとしたのでしょうね……。」
かつての自分の過ちを振り返るように
春兎ユメミ : 「……自分の立場で考えてみたら……うん、わからなくもないかも」
春兎ユメミ : 「るみはアタシにとって、凄く、大切な友達だったから。あの子を守るために命を張れた自分を誇りに思えるくらいに」
春兎ユメミ : 「でもさぁ……やっぱ、今のアタシの気持ちとしちゃ、喜ばしくはないなぁ……」ギシ、と椅子の背もたれに体重を預けて天井を見つめる
澱 カシル : 「そして……ユメさんへ正直にお伝えしたのですね、その心境を……。」
春兎ユメミ : 「……そゆこと。ちょい…酷い言い方にはなったんだけど」額を抑えながら、カシルをちらりと見て
天海こよみ : 「……ごめんね」
天海こよみ : 「ぼくはユメちゃんのこと、だいすきだけど……。ぼくじゃ、ユメちゃんの支えになれてなかった、みたい……」 潤ませた目で床を見つめる
春兎ユメミ : 「……こよみ……いや、違うよ。アレは、るみ……ユメ自身が折り合いをつけなきゃいけないことだと思うから」上体を起こして、困ったように
琵琶坂 藍依 : 「そうだね……コヨミの気持ちは痛いほど分かるけど、ユメミの言う通りだ……」
琵琶坂 藍依 : 「私達が仲間としてすべき事は、ユメが挫けそうな時には寄り添ってあげること……」
琵琶坂 藍依 : 「ユメが助けを求めた時には、その手を掴んであげること……じゃないかな?」
天海こよみ : 「…………」 それでも何かもっと自分に出来ることがあったんじゃないかと悩むが
天海こよみ : 「……そう、だね……。じゃあ、早く……ユメちゃんと会わなくちゃ、ね……」
天海こよみ : 「ユメちゃん、今……きっと辛いはず、だよね……?」 顔を上げる
澱 カシル : 「………距離を空けていても、涙が香ってくるほどには。」
「しばし一人にするのが良いと、ユメミさんの案内を優先をしましたが……そろそろお迎えの時間かと。」
春兎ユメミ : 「いや、待って。話は終わってないし……アタシ、るみには優しくしないと決めたんだ」
春兎ユメミ : 「るみ……夏燈涙美は、今もアタシの影を追い続けている。アタシのアイデンティティを、あの身体と人生に無理やり詰め込んで、共に生きようとしている」
春兎ユメミ : 「再会した時……名前、メッシュ、一朝一夕じゃないギター練習の痕で、それに気づいて。……最悪だなって思ったよ」
春兎ユメミ : 「…… 仮にアタシがこの世界は危険だと教えたら、るみはアタシの為に無茶すると思う。最悪、この世界に残りたいとか言い出すかもしれない」
春兎ユメミ : ユメミは小さく息を吐いて、キミたちに向き直る。
春兎ユメミ : 「ユメには、アタシという『夢』を諦めさせたい。だから、アタシは……あの子と接触したくないんだ」
天海こよみ : 「もう、会わないの……?」
春兎ユメミ : 「うん。会いたくないし……みんなには、アタシが今話したことも、全部知らないフリをしてほしい」
春兎ユメミ : 「アタシは、るみにはるみの夢の為に生きてほしい。この世界に未練に残してほしくない」
春兎ユメミ : 「あの子の枷になるくらいなら……アタシのことなんて、忘れてくれた方がずっとずっと健全だと思うから」
琵琶坂 藍依 : 「……たしかに、今のユメはキミの夢まで背負いこんで無茶しているかもしれない」
琵琶坂 藍依 : 「私達に追いつけないと焦りを感じるのも当然だ、覚えるべき内容が私達よりずっと多いんだから」
琵琶坂 藍依 : 「……ただ、キミと会わないことでユメの問題が解決するとは私には思えないよ」
琵琶坂 藍依 : 「少なくとも、私は親友と……胡桃と喧嘩別れで終わってしまったら、それからの人生、ずっと後悔を抱き続けてしまうと思う……」
琵琶坂 藍依 : 「キミ達に本当に必要なことは、拒絶なんかじゃなく対話じゃないの……? ユメミは本当に、それでいいと思ってるの……?」
春兎ユメミ : 「……そうだね。今アタシが取ろうとしてる手段は、ベストじゃなくてベター……ってやつだと分かってる」
春兎ユメミ : 「でも、この世界で起きている大きな問題を解決してからここを出るより。最低限の問題……クラを取り戻してから、すぐにこの世界を出る方が余程スピーディーで、確実だ」
春兎ユメミ : 「……るみがやろうとしてることが……今のあの子の夢ならさ」俯きながら、ぽつりとつぶやく。
春兎ユメミ : 「今の……死んでしまったアタシの夢は、るみでいっぱいなんだ。……きっと、アイより、胡桃の方が理解してくれる話になるんだけど……一旦、聞いてくれない?」
琵琶坂 藍依 : 「…………」黙って頷いて、耳を傾ける
春兎ユメミ : 「アタシの夢はね。るみが、アイドルとして、こよみ、アイ、カシルと共に楽しく活動して。歌やダンスで皆を笑顔にして、世界中のファンに愛されて」
春兎ユメミ : 「他の夢が出来たとしても、全部全部叶えて。……いつか、誰かと恋に落ちる日もあるなら、家庭を築いたりなんてしてさ」
春兎ユメミ : 「最期はたくさんの人に看取られて、泣いてもらったりして……あ~、やりきったなぁ、幸せだったなぁって、思える人生にしてほしいんだ」
春兎ユメミ : 「これが……アタシの、今の夢……」
春兎ユメミ : ……そう語るユメミの目元から……ぽた、ぽた、と雫が落ちる。見ると、彼女の大きな瞳からは涙が溢れ出していた。
琵琶坂 藍依 : 「ユメミ……」そっとハンカチを差し出す
春兎ユメミ : 「わっ……ご、ごめん。いいよ、気持ちだけ受け取っておく」ありがとう、と自分のブレザーの袖でゴシゴシと目元を擦って
春兎ユメミ : 「泣くつもりはなくて……未練も、無かったつもりなんだけど。アタシも……本当はるみの傍に居たかったな、とか思っちゃったんだ」
春兎ユメミ : 「……全部全部、アタシのエゴだけど」
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね、エゴだ」
琵琶坂 藍依 : 「ユメが勝手に夢を背負ったことも、ユメミが勝手に夢を押し付けたことも」
春兎ユメミ : 「……そうだね。大なり小なり、人は自分のエゴを誰かに押し付けてるけど……アタシたちはちょっと傲慢すぎだ」
春兎ユメミ : 「るみも、そうなんだ。あの子、優しそうに見えてちょっと強情で頑固なんだよね」
春兎ユメミ : 「いつもはアタシが振り回すままに着いてきてくれるのに……こうする、って決めたるみを説得するのは、アタシにも無理だった」
春兎ユメミ : 「だから……まだ試したことがない手段を取ることにしたんだ。るみには……アタシのことを諦めてもらおうって」
琵琶坂 藍依 : 「たしかに、ユメはそういうところがあるかもね……」ちゃんと睡眠を取ってほしいと言っても無駄だった
琵琶坂 藍依 : 悩ましげに手を組んで、ユメミを見据える。
琵琶坂 藍依 : 「……ユメミの言いたい事は分かるよ」
琵琶坂 藍依 : 「キミ達はきっと、魂の根っこのところで糸のように繋がってる」
琵琶坂 藍依 : 「だからこそ、ユメは叶わなかったキミの夢に折り合いが付けられず、その面影ごと引きずって歩いてきた」
琵琶坂 藍依 : 「────叶わなかった夢に折り合いを付けなきゃ、ヒトは前に進めない」
琵琶坂 藍依 : 「例えば死者を悼む墓標を立てるみたいに、例えばアイドルの卒業公演みたいに」
琵琶坂 藍依 : 「現実を受け止めて、一つの区切りピリオドを付けなきゃいけない」
琵琶坂 藍依 : 「前の夢を引きずったまま、次の夢を見ることはできない」
琵琶坂 藍依 : 「二兎を追う者は一兎をも得ず、と言うようにね」
琵琶坂 藍依 : 「……ユメミは、そんなユメを自分から”卒業”させるために動いているんだよね」
春兎ユメミ : 「……そうだなぁ……そういうことなのかも」
春兎ユメミ : 「るみがこんな事になっているのを知ったの、ついさっきだしさ。言語化は出来てなかったんだけど…」
琵琶坂 藍依 : 「……だとしても、さ」
琵琶坂 藍依 : 「キミのやり方に、私は反対だ」
琵琶坂 藍依 : 「……私はそんな半端な区切りの付け方で後悔した人を知っているから」
琵琶坂 藍依 : 十条ミツキの姿を思い出す。
琵琶坂 藍依 : あまりに未練が残る卒業を迎え、苦しんでいた彼女のことを。
琵琶坂 藍依 : 再会した一番のファン天海こよみによって、本当の意味でアイドルを卒業し、
琵琶坂 藍依 : 新たな夢を歩みだした、かつてのライバルのことを。
琵琶坂 藍依 : 「なにより、ユメの……いや、夏橙涙美の幸せを願うのなら、やっぱりキミの行いは矛盾している」
琵琶坂 藍依 : 「未練の無い人生を送ってほしいと言ったけど、それなら突き放して終わりだなんておかしい」
琵琶坂 藍依 : 「複雑に絡み合ったからって、いまさら綺麗にほどくのは難しいからって、運命の糸をすべて断ち切ろうなんて乱暴だ」
琵琶坂 藍依 : 「……そのやり方じゃ、彼女の夢には深い傷が残ってしまうよ」似た境遇のユメに自分を重ねているのだろう。ハッキリと言い切る。
春兎ユメミ : 「……そうだね。あの子は…るみは、きっと傷つくよ。もう既に、大切な10代の2年を捧げさせちゃった後でもある……取り返しはつかない」
春兎ユメミ : 「でも、だからと言って、アタシがるみをがんじがらめにしている全ての呪いや祈りや運命の糸を、綺麗に解いてあげられる時間はないはずだ」
春兎ユメミ : 「……何故なら、アタシ達は既に死んでいる。どうしてるみと再会できたのかもわからない、まさに運命の悪戯のような存在だから」
春兎ユメミ : 「わかってくれとは言わない。でも、るみとの話し合いの時間を設けることを優先しよう、とか言い出すなら……この交渉は決裂だ」
春兎ユメミ : 「……アタシは、アタシが信じる愛し方を貫くよ。ごめんね」
GM : そう言って、ユメミは床を見つめる。キミの言葉をきちんと受け取った上での選択なのだろう。
琵琶坂 藍依 : 「ユメミ……」
天海こよみ : 「あ……あの……。ユメミちゃん……」
天海こよみ : 「話し合いの場を設けるとか、ぜんぜんそういうことじゃないんだけど……」
天海こよみ : 「時間なら、いちおう……あるかなって……思うの……」 おそるおそる、声をかける
春兎ユメミ : 「……うーん……前提として、アタシはここを出る手段を見つけられたら、1秒でも早く逃げてほしいと思ってるんだけど…」
春兎ユメミ : 「…一応、聞いてもいいかな?」
天海こよみ : 「う、うん……。そのことなんだけど……」
天海こよみ : 「ぼく、ユメミちゃんと取引は……できないんだ……」 申し訳なさそうに言う
春兎ユメミ : 「あらら……マジ?それは予想外だわ……どうしてか、教えてもらえるかな」キミを威圧しないよう、少しおどけた様子で尋ねる
天海こよみ : 「え、えっとね……」
天海こよみ : 「この世界があぶないかもしれないから、クラちゃんを連れもどしたらすぐに出口をさがしてにげる……っていうのは、ぼくも……そうできるなら、したいんだけど……」
天海こよみ : 「それだと、ルコちゃんのことが心配だから……。やっぱり、できないの……」
春兎ユメミ : 「えっ……る、ルコが?」
春兎ユメミ : 「言っても…あれよね?初対面の上、ママの友達的なポジションの人だと思うんだけど……」
天海こよみ : 「うん……ママのお友達。だから、ほうっておけなくて……」
春兎ユメミ : 「……アタシの中にない、新しい価値観かも…」
天海こよみ : 「そ、そうかな……?」
春兎ユメミ : 「……ほぼ他人みたいなものだと思うんだよな、正直。それに…クラを誘拐して利用しようとしてるのもルコだよ?」
天海こよみ : 「そ、それは……そうなんだけど……」
天海こよみ : 「……ぼく、昔ね。ママに、もしかしたらルコちゃんとお友達になれたかもって言われたことがあるの」
天海こよみ : 「その時のこと、今でもよくおぼえていて……。だからぼく、多分……ルコちゃんとお友達になりたいのかなって……」
天海こよみ : 「む、むずかしいことは分かってるんだけど……。とにかく、ルコちゃんがクラちゃんを利用していても、どうしてもきらいになれないっていうか……」
天海こよみ : 「それにじっさいに話してみると、なんだか……すごくほうっておけない人だな、って思って……」
天海こよみ : 「だから、第三者がわるいことを考えているなら、ルコちゃんのこと助けてあげたいの」
天海こよみ : 「そうじゃなくて、もしもルコちゃんもわるいことをかんがえているなら、ぼくは止めてあげたい……」
天海こよみ : 「もしママがここにいたら、きっとそうすると思うから……」
春兎ユメミ : 「……参ったな…これは。アイとは別ベクトルに眩しいや」困ったように額を抑える
春兎ユメミ : 彼女は小さく笑ってキミと向き直る
春兎ユメミ : 「ルコのことも……助けてあげたいんだね、こよみは」
天海こよみ : 「……うん」 頷く
春兎ユメミ : 「…ありがとう。アタシはルコのこと、まだよくわからないんだけど……こよみのママが言った通り、もしかしたらこよみは、ルコとは何か通じ合うものがあるのかも」
春兎ユメミ : 「……でも、そっかぁ……これは交渉決裂だなぁ。アタシ的には、こっちの死んでるメンツより何より、マリスノのみんなが安全に早く帰れる方が嬉しいし」
天海こよみ : 「ほ、本当にごめんね……」
天海こよみ : 「あっ、で、でも……。ぼくはむりだけど、その……ユメちゃんを連れ帰るだけなら、カシルちゃんは……」 カシルを横目で見る
澱 カシル : 「ステージ前で話しかけられた時、ユメミさんがユメさんを想っているのは伝わっていたので話し合いに応じましたが……」
「自分を犠牲にユメさんを前に進ませる、ですか。」
澱 カシル : 「心情こそ理解しますが……上手くはいかないでしょう。」
澱 カシル : 「望まずとも、貴女はユメさんに呪いをかけてしまった。」
「呪いは……解くことは出来ても、忘却は出来ません。」
澱 カシル : 「ユメミさんがどんなに手酷くユメさんを突き放したとしても……いつかある日、ユメミさんを思い出して……呪いはまた染み付くことになるでしょうね。」
澱 カシル : 「一時のものであれば、と話に応じましたが……」
「………駄目ですね、ユメミさんのやり方ではユメさんを救うには不十分かと。」
春兎ユメミ : 「……いやぁ、全員が反対かぁ……まあ、それくらいのメンバーの方が、るみるみを預けるに足るってもんだけどさ」へら、と笑って
春兎ユメミ : 「でも、さっきアイにも言った通り……るみと向き合って話すのがベストなのは分かっていても、それをやる時間はない」
春兎ユメミ : 「それと……こよみが1人で残りたいってのも、アタシちゃん的には推奨できないかなぁ……なんて」椅子の上に胡座をかいて、困ったように片肘をつく。器用だ。
天海こよみ : 「ユメちゃんを連れてすぐにこの世界からにげなかったとしても、時間……そんなにない、かな……?」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね。時間がないというのは、根拠の薄いキミの推測にすぎないはずだ」
琵琶坂 藍依 : 「……私はキミ達の関係も、この冥界のことも詳しくは知らない」
琵琶坂 藍依 : 「部外者だからこそ、あえて無神経なことを言うよ」
琵琶坂 藍依 : 「今のキミは、臆病に見える」
春兎ユメミ : 「……というと?」キミの目を見返す。真意を尋ねるかのような、真っ直ぐな瞳だ。
琵琶坂 藍依 : 「ただの私の主観による、勝手な偏見だけど」
琵琶坂 藍依 : 「いろいろ理由をつけて、キミは本当にすべきことから逃げているように見える」
琵琶坂 藍依 : 「対話する時間がないなんて誰が決めた? 変わってしまったユメを直視することが、向き合うことが怖いだけなんじゃないの?」あえて厳しい口調で尋ねる。
春兎ユメミ : 「んんー……そうだなぁ、アタシが無意識に恐れてるところはあると思うよ」
春兎ユメミ : 「るみのこと、本当に大事だし。別に嫌われたくもないしさ」
春兎ユメミ : キミの言葉に対し、やはり真っ直ぐと、あっけらかんとした口調で肯定する。
春兎ユメミ : 「でも……やっぱアタシ、この世界にるみも……キミらマリスノを置いておくのも危険だと思うんだ」
春兎ユメミ : 「気づいてるだろ?奈落華……アタシ達とMARiNE SNOWは、異常なまでに深い縁がある。こよみはルコと、アイとカシルは胡桃と、そしてユメはアタシと」
春兎ユメミ : 「キミらがアタシと一緒に居ること自体が、何かの罠かもしれないぜ?」
春兎ユメミ : 「アタシの1番はどこまで行ってもるみるみだからさ、いまいち信用に欠けるかもだけど……割とマジで、みんなのことも心配してるのよ?これでもさ」
春兎ユメミ : 「だから、こよみが残るのもおすすめできないってワケ」その言葉に裏表はなさそうだ。
天海こよみ : 「ありがとう、ユメミちゃん……心配してくれて……」
天海こよみ : 「でも、ぼくもうきめたから、やっぱりまだこの世界にのこるよ」
天海こよみ : 「のこって、罠にひっかかったまま……がんばってたたかってみる」
琵琶坂 藍依 : 「私もコヨミと同意見だ、キミ達の問題を見て見ぬフリはできないよ」
琵琶坂 藍依 : 「罠があるというのなら、この手で正面から打ち砕く」グッと自分の手を握って
琵琶坂 藍依 : 「……そうやって、私たち『MARiNE SNOW』は歩んできたんだから」
春兎ユメミ : 「そ、そんな過酷なの?アイドル活動って…」
春兎ユメミ : 「いや〜しかし、マジかぁ……アタシがスパイになって、この世界を出るアテも教えて、って割と良い交渉材料だと思ってたんだけどなぁ」
琵琶坂 藍依 : 「そもそもユメミ、スパイに向いてなさそうだし」ばっさり
春兎ユメミ : 「えっ!アタシ、駒としてめっちゃ使えるよ!スパイやったコトないけど!」
琵琶坂 藍依 : 「スパイ未経験で凄い自信だ……!?」
天海こよみ : 「きょうりょくできるなら、したかったけど、ね……」 残念そうに俯いて
澱 カシル : 「お心遣いは有り難いのですが、やはりわたくしたち全員が納得いくまで冥界に滞在しようかと思います。」
「ご安心を……自衛するための力はありますから。」
春兎ユメミ : 「強かすぎるぜ〜……改めて、るみるみは良いメンバーに恵まれたなぁって思うけどさぁ……」軽く笑って
春兎ユメミ : 「でもまぁ…仕方ない、アタシも強制はできないからさ」
春兎ユメミ : 「アタシはアタシで、勝手に協力させてもらうよ。結局、るみを連れて帰ってくれるのはみんなだけだしね」
琵琶坂 藍依 : 「どのみち手伝ってくれるんなら、断って正解だったかな?」冗談めかして笑う
天海こよみ : 「あ、あの……取引をことわったりはしたけど、ちゃんとユメちゃんもいっしょにぶじに帰れるようにがんばるから……!」
澱 カシル : 「すみません、ありがとうございます。」
「ユメミさんの計画は性急すぎるというだけで、こちらも協力したいという気持ちは同じでしたから……。」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね、かならずユメは連れて帰るよ」
琵琶坂 藍依 : 「……それから、ユメミはひとつ勘違いしてるかな」
春兎ユメミ : 「ふむ…?」
琵琶坂 藍依 : 「キミは『自分のためにユメが冥界に残っちゃうかもしれない』って心配していたよね」
琵琶坂 藍依 : 「……けど、キミが思ってるほど、ユメは弱くないよ」
琵琶坂 藍依 : 「キミの死を引きずりながら、でもアイドルになりたいという自分自身の夢を抱いて、ここまで傷だらけで歩いてきたんだから」
春兎ユメミ : 「……その頑固さが危ないかなぁ、って思っていたんだけど……でも、今のるみを一番知っているのはアイ達だからね」
春兎ユメミ : 「みんなを邪魔する気はないから、良いようにやろう。お互い、悔いがないようにさ」
天海こよみ : 「うん……。じゃあ、まずはぼくたちはユメちゃんに会わなくちゃ」
天海こよみ : 「ユメちゃんが弱くないって言っても、やっぱり今は……心配だよ」
琵琶坂 藍依 : 「そうだね。同じグループの仲間として、また立ち上がるために手を貸すくらいはしてあげたい」
春兎ユメミ : 「うん……その役割は、みんなにバトンタッチだ」
春兎ユメミ : 「……もしかしたら、アタシよりも先に目的を達成するかもしれないから、教えておくよ。この世界の鍵は、きっと……」
GM : ユメミが口を開きかけた直後。
??? : 「お待ちなさい」
GM : 突如、キミ達の居る空き家の扉が開く。
ルコ : 「……さっきから、聞き捨てならないわね。ユメミ」
GM : そこに居たのは腕を組み、眉を顰めるルコ。そして慌てた表情で、後方から駆けて来るココの姿だった。
天海こよみ : 「ルコちゃん……! い、いた……の?」
琵琶坂 藍依 : 「気になることがあったら、いつでも訪ねて……とは言ったけど、このタイミングか……」
春兎ユメミ : 「ルコ……アンタ、いつから……」キミ達を庇うように、一歩前に出て
ルコ : 「さあ……結構序盤からじゃなくて?目が覚めて、すぐに身支度をしてここまで来たの」
GM : 屋敷からここまでは距離がある。恐らく、ユメと接触して間もなく、ルコは話を聞いていたということなのだろう。
春兎ユメミ : 「盗聴器でも仕掛けてたの?そんなもの、一体どこで…」
ルコ : 「いいえ。……私、この地獄に蘇ってから、異常なまでに地獄耳なの」笑えるでしょう?とピクリとも表情を動かさずに
天海こよみ : 「そ、そんなに耳がいいの……? なんだかオーヴァードみたい……」
ルコ : 「……オーヴァード。そうね」アイをちらりと見て
GM : そして。突如として、異変が起こった。
 
冥界の集落
 
空き家
 
GM : これまで暗澹と渦巻いていた冥界の空は……吹きすさぶ風の音と共に、燃えるような赤色に染まり。雷のように明滅を繰り返し始める。
天海こよみ : 「な、なに……!? 空が……へん、だよ……!?」 窓の外を見る
澱 カシル : 「どちらにしても時間切れ、でしたか。」
「ユメさんを早く迎えに行かないと……!」
とはいえ出口に立つルコとココがどう出るか分からない以上、様子を伺うしかない
琵琶坂 藍依 : 「この力……、ルコ……」一瞬だけ目を伏せた後、マイクを持って立ちあがる。
琵琶坂 藍依 : 「────ユメミ、キミは下がって」腕を広げて、ユメミの前に立ち塞がる。
春兎ユメミ : 「ちょっ……アイ……!」困惑した様子で、アイが手に持つマイクを見つめる
ルコ : 「……殊勝なものね、MARiNE SNOWのリーダーさん」
GM : 相対するキミ達から少し離れた位置で……"MAC-09"ココは頭を抱える。
ココ : 「は、あァ~~これは……ちょっト、想定外……!」膝をつき、心底困ったように呟く。
GM : そして。キミ達を取り巻く世界は、ぐにゃりと歪み……

 
冥界のライブステージ
 
GM : 時は少し遡り……事が起こる数刻前。ユメは一人、ライブステージに取り残されたままだった。
虹之元 ユメ : 「────────」ただ、彼女は茫然としていた。何度も拭った目元は真っ赤に腫れて、それすらやめたせいで玉となった涙がポロポロと頬を伝っている。
虹之元 ユメ : ギターを抱いたまま微動だにせず、深い悲しみだけがユメの隣に寄り添っていた。
GM : 風一つ吹かないその空間は、キミ1人を取り残したように静まり返り……傷ついたキミの心を、そのまま閉じ込めてしまうように陰鬱だった。
GM : ところが。
GM : キミが見上げていた空は、突如、様変わりする。
GM : 夕焼けのように燃え、雷のように明滅を繰り返す、真っ赤な空。明らかな異常事態だ。
虹之元 ユメ : 「っ、これは、いったい……?」 明らかな異常事態に身体を起こし、掠れた声で呟く。
GM : キミが上体を起こした途端。ステージ下の空間が大きく歪み……そこに、ユメミとMARiNE SNOWのメンバー、ルコとココが姿を現す。
虹之元 ユメ : 「ぇ……み、みなさん……!? 」
天海こよみ : 「ユメちゃん……!! だ、だいじょうぶ!?」 ユメの姿を見た瞬間、咄嗟にそう言葉が出る
澱 カシル : 「……? あ、あら……?」
「ステージがこんな近くに……?」
琵琶坂 藍依 : 「っ、これはルコの能力……!?」いきなり周囲の景色が変わったのを見て、海霧が行なった空間転移を思い出す。
虹之元 ユメ : 「だいじょうぶ、かは……えっと……。と、ところでどうして皆が……」 言葉を詰まらせながら
ルコ : 「……さて。私は何もしていないけど……どうしてかしらね」
GM : 緊張感を孕んだ空間。そこに、「えっ、なに!?」と鈴を転がすような高いトーンの声が飛んでくる。
久能胡桃 : 「ど、どうしたのっ、この空……!って……あれ……み、みんな……?」物々しい雰囲気のキミ達に動揺した様子で問いかけてきたのは、胡桃だ
GM : そして、彼女の影から顔を出してきたのは
クラ : 「コヨミ……だいじょうぶ……!?」
GM : "クラッドカルト"こと、クラの姿。気づけば、奈落華のメンバーも合わせ、揃い踏みの状態となっていた。
天海こよみ : 「クラちゃん……! ぼくはだいじょうぶ、だけど……」 一瞬クラに近寄りかけてすぐに踏みとどまる
クラ : 「コヨミ……」そうは言っても…といった風に、不安げな表情だ。
ココ : 「ん、ンン〜……ルコ様ァ、どうするおつもリなんデスかァこの状況……」
ルコ : 「冷戦は……終わりだわ。ユメミが彼女達に付くと言う以上、もはや悠長にしては居られないでしょうから」
ココ : 「アーハー、そうなっちゃいまスかァ…」
天海こよみ : 「ちょ……ちょっとまって、ルコちゃん! どういうこと……!?」
ルコ : 「どうもこうもないわ。ユメミの態度からして、今後邪魔をして来ることは目に見えているから……早いうちに芽を摘んでおこうと思いまして」
天海こよみ : 「芽をつむって……。そ、その、らんぼうなことする……ってこと……?」
ルコ : 「……そうなるでしょうね」
天海こよみ : 「ルコちゃん……」
天海こよみ : 「まって、そんなのダメだよ……。ルコちゃん、さっきのぼくたちの話、聞いてたんだよね……?」
天海こよみ : 「……ルコちゃんのやってることは、成仏じゃないかもしれないって」
ルコ : 「言っているでしょう。私は、貴方達のことを信用していない。……ユメミ、貴方もそちら側だとは思わなかったけど」失望したようにユメミを一瞥して
天海こよみ : 「で、でも……でも……」
天海こよみ : 「もう少しだけ……もう少しだけまってよ、ルコちゃん……! かならず、この世界でおきてること、ぜんぶつきとめてみせるから……!」
天海こよみ : 「うらに何かがあることはぜったいにそうなの! それをほうっておいたら、何もかも手おくれになって……ルコちゃんもみんなもあぶないことになるかもしれないの……!」
天海こよみ : 「だからおねがいだよ、ルコちゃんが怒る気持ちはわかるけど……あともう少しだけまって……! ぼく、ルコちゃんとけんかなんてしたくないよ……!」 胸元を手で握りしめて必死に訴える
ルコ : 「……ごめんなさい、こよみ。あかりちゃんの娘でもある貴方を傷つけることは避けたかったわ」
ルコ : 「でも……私はもう待てないの。このチャンスを逃したくないの。もし、まだ話したいと言うのなら……私を止めてからにして頂戴」
天海こよみ : 「……。ルコちゃん……」
ルコ : 「”クラッドカルト”!」高らかな声で呼ぶ。
ルコ : 「……おいでなさい。まずは今、貴方の力が必要なの」
クラ : 「……!や、やっ……!ルコ、こわい……コヨミにいじわるする……!」
GM : クラは彼女の感情を察知したのか、これまでにないほど怯えた表情で首を横に振るが…
GM : 空しくも、そのまま『彼』の姿はかき消える。こよみは見逃さなかった。彼女が、ルコの内に溶けるようにして消えていったのを。
天海こよみ : 「クラちゃん……!! まさか……ルコちゃんの、中に……」
GM : キミは、言葉を紡ぎながらも確信する。”クラッドカルト”は『彼』自身の意思をねじ伏せられ……本能により、キミではなく彼女を選ばされてしまったのだと。
ルコ : 「……」ルコは目を閉じる。恐らく、彼女の中でも葛藤はあるのだろうが…
GM : それより何より、消える瞬間までキミを見つめていたクラの泣きそうな表情が、脳裏に焼きついてしまっていることだろう。
天海こよみ : 「…………っ」 瞼をぎゅっと閉じて、その裏側に焼き付くクラの姿を見つめて
天海こよみ : 「……クラちゃん……ごめんね……。もう少し、だけ……。もう少しだけ、まってて……。かならず、ぼくが何とかするから……」 自分に言い聞かせるように呟く
GM : ルコは目を開き、ユメミと胡桃をちらりと見る。
ルコ : 「ユメミ。胡桃。悪いけど……貴方たちにも協力してもらうわ」
春兎ユメミ : 「……この流れで、何言ってるんだよ。改めて言うけど、アタシはアンタのことを信用してないし、協力なんてするわけない」
久能胡桃 : 「け……喧嘩、するの……?駄目だよ、ちゃんと話し合わないと……そもそもわたし、協力なんて言われても……」
ルコ : 「……そうよね。私達……ずっと、知らなかったのだもの」
ルコ : 「私達は…もう、普通の人間ではない。藍依が教えてくれたの」
ルコ : 「『オーヴァード』。それが、今の私達よ」
GM : ルコは空に向かって手を掲げ、パチンと指を鳴らす。途端、ユメミと胡桃は小さく呻き声を上げ、胸元を抑えながらその場に膝をつき……
 
春兎ユメミ
 
久能胡桃
 
GM : その場にいる奈落華のメンバーの服が輝き、アイドル衣装へと変貌。立ち上がったユメミと胡桃の目は虚ろでありながら…その瞳は、星のような不思議な輝きを湛えていた。
琵琶坂 藍依 : 「なッ……!? ルコ、二人に何をッ……!?」
ルコ : 「……ごめんなさい、クラ……貴方が使いたくない力を借りることになって」
ルコ : 「なかなか、不快な能力だわ」
天海こよみ : 「……っ!! だったら……だったらこんなのやめてよ!!」 声を張り上げる
天海こよみ : 「クラちゃんがいやがってる力って分かってて、どうして使うの!? クラちゃん……クラちゃんは、この力のせいで……本当にくるしんだのに……!!」
ルコ : 「……彼女が、私の中で叫んでいるわ。やめて、クラこれ嫌だ、コヨミを傷つけないでって」
ルコ : 「でも……もはや、止められないわ。ここまで踏み込んで、はいおしまいと言える立場なら……とっくの昔に、私は立ち止まっていたでしょうから」
天海こよみ : 「……そ、っか……」 俯いて、拳を握りしめる
虹之元 ユメ : 「本当に、止める気はないんですね……」虚ろに呟いて……ルコから胡桃、そしてユメミに視線を移す
虹之元 ユメ : 「あなたの目指す先は、きっとかけがえの無いものなのでしょう。こうやって力で押し通さなくては行けない程……」冷え切った声で綴りながら、ギターをかついだ
虹之元 ユメ : 「ですが……」
虹之元 ユメ : 「私と……私の友人の大切な人を人質にするというのなら、その行いは許されるべきではありません……っ」 歯を噛みしめて、ルコを睨みつける
虹之元 ユメ : 赤い景色に立つユメミ。ふと、赤い霧に覆われたあの日の光景がフラッシュバックして、さらに精神が逆立つ。
虹之元 ユメ : 「どうか、その子たちを苦しませないでください……っ」懇願にも近しい啖呵を吐き出して、戦闘に備える
ルコ : 「貴方の怒りは最もだわ。理解します。願わくば……」
ルコ : 「……彼女達、そして貴方達の苦しみが短く済みますように」
琵琶坂 藍依 : 「短く済みますように、か……」
琵琶坂 藍依 : 「っ、胡桃……」操られているのだろう親友を見て、ぎりりと歯噛みをする。
琵琶坂 藍依 : 「キミはファンの為って言ったけど、こんなことっ……!!」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルがファンの為にすることが、コレなのかっ……!!」
ルコ : 「ええ。醜いわ。でも、ここはステージの上ではない」
ルコ : 「……ステージの上に居ない私は、アイドルでも何者でもない。私にできることは何でもする。スタンスが違うのよ、貴方とは」
琵琶坂 藍依 : 「っ、そう……キミのアイドルとしての矜持を、見誤っていたみたいだ……」落胆の目を向ける。
澱 カシル : 最早ルコに交渉は叶わない。
一触即発の空気の中、カシルはオーヴァード故に一人だけルコの支配に耐性があるであろう奈落華メンバー……ココに最後の期待をする。
澱 カシル : 「………ココさん。」
「この状況は想定外と仰っていましたね?」
「………貴女は明確にオーヴァードで、ルコさんの支配に抗えるはず……」
「この場を穏便に済ますおつもりはありませんか?」
ココ : 「カシルサン……ワタシも、そうしたいのハ山々なんデスけド……少し、ワタシの方ものっぴきならない状況になっテしまいましテ」困ったように目を伏せながら、キミ達からそろ~……と遠ざかる。
ココ : 「……アナタガタが負けるコトなんてない、と信じテよろしいデスカ?出来るだけサクッと、綺麗にヤッつけてあげてもらえるト……」
澱 カシル : 「………はぁ。仕方ないですね……。」
「お任せ下さい。マリスノは……最強で最高のアイドルですからね。」
ココ : 「ありがとうございマス、心強いデス。……では、協力はできまセんが、お邪魔もしまセんのデ」
GM : そう言うと、彼女は私服時に着用している髪飾りを取り出して装着。座り込んだまま、動かなくなってしまった。
澱 カシル : 「………ありがたいのはこの上ないのですが……」
「ルコさんの前で堂々と地蔵になるのは大丈夫なのですか……?」
ココの大胆な行動は流石に予想外であった
GM : キミの心配をよそに……ルコは対峙しているMARiNE SNOWの面々を睨んでおり、ココの様子には気づいていない。冷静なように見えて、案外いっぱいいっぱいなのだろうか。
琵琶坂 藍依 : 「…………」ルコの鋭い視線を受け止め、目を伏せる。
琵琶坂 藍依 : カシルとココの会話を聞いて、確信した。もはや戦いは避けられないだろう。
琵琶坂 藍依 : 「……残念だよ、ルコ。キミとは戦いたくなかった」
琵琶坂 藍依 : 「けど、どのみち衝突するしか道は無かったのかもしれないね」
ルコ : 「出会い方からして、この展開は避けられなかったのでしょうね。私も残念だわ」
ルコ : 「貴方方のパフォーマンスを見るより先に、こんなことになるだなんて……」
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「……みんな」 MARiNE SNOWのメンバーに振り向いて
天海こよみ : 「ごめん……。藍依ちゃんとユメちゃんがルコちゃんに怒るのも、当たり前だって分かってるんだけど……」
天海こよみ : 「できるなら、ルコちゃんにも……てかげんしてあげられるかな……」
天海こよみ : 「止めた後、ルコちゃんとちゃんとお話しなくちゃいけないっていうのもあるんだけど……」
天海こよみ : 「さっきからずっと、かわいそうなの。こんな風に、まわりをきずつけるわがままをしつづけてる、ルコちゃんが……」
天海こよみ : 「……ううん。そう誰かにさせられることになった、ルコちゃんが……」
天海こよみ : ルコを見るこよみの目には、哀れみが宿っている。
天海こよみ : それでいて、その瞳の奥には怒りも潜んでいた。しかし、その怒りはルコではなく、彼女の裏にいる何者かに向けられていると分かるだろう。
虹之元 ユメ : 「……わかりました。私も、ルコさんを害することは本望ではないです……」
虹之元 ユメ : 「それに、裏に彼女たちを苦しめる存在がいるとするなら……憤るべきは、そちらでしょうね……」
天海こよみ : 「そう……そう、なの……っ」 言いたかったことが伝わったことに、少し嬉しそうにこくこくと頷く
澱 カシル : 「ええ、もちろんです。」
「冥界の歪みを正したいというこよみさんの思いも、歪みの根がルコさんのさらに下にあることも分かりますから。」
「ココさんの要望通り……どちらかが大怪我を負う前に手早く終わらせましょう。」
天海こよみ : 「う、うん……! ありがとう、カシルちゃん……!」 
琵琶坂 藍依 : 「大丈夫だよコヨミ。心配しなくても、みんな分かってる」
琵琶坂 藍依 : 「ルコもきっと被害者の一人だ」
琵琶坂 藍依 : 「……ねえユメ、私達にはキミと話したいことが沢山ある」
琵琶坂 藍依 : 「ユメミと話してほしいことが沢山ある」
琵琶坂 藍依 : 「ルコとも胡桃とも、話したいことが沢山あるんだ」
琵琶坂 藍依 : 「────でも、いや、だからこそ! 今は私達の手で、降りかかる火の粉を振り払おう!!」
天海こよみ : 「ごめんね、ユメちゃん……。ユメちゃんがたいへんな時に、こんなことになって……」
天海こよみ : 「その、ユメちゃんがいっしょにたたかってくれると心強いけど……むり……むりはしなくて、いいから……! つかれちゃったら、休んでてだいじょうぶだから……!!」 ユメを心配そうに見て
虹之元 ユメ : 「…………」 二人の言葉を受け止め、少しだけ顔を俯かせる
虹之元 ユメ : 「……はい。ありがとう、ございます……みなさん……」
虹之元 ユメ : 「今は、大丈夫とは言いません……頑張ります、とも……」
虹之元 ユメ : 「だからこそ、今は……剥き出しになった心で、彼女たちを受け止めなければならないんです……!」 未だに表情は暗いが、僅かに残った心の芯が瞳から覗く
虹之元 ユメ : 「だから、みんなで、頑張りましょう……! ルコちゃんを止めるために……っ」
天海こよみ : 「うん……!!」 力強く頷く
琵琶坂 藍依 : 「ああ……!!」
澱 カシル : 「ええ……!」
GM : それでは、ミドル戦闘に突入します。


 
【行動値】
16 ルコ
14 琵琶坂藍依
13 虹之元ユメ
12 澱カシル
05 天海こよみ
04 春兎ユメミ
04 久能胡桃
 

 
【初期配置】
ルコ / 春兎ユメミ / 久能胡桃
  |
(5m)
  |
天海こよみ / 虹之元ユメ / 琵琶坂藍依 / 澱カシル
 

 
【勝利条件】
・天海こよみが"クラッドカルト"へのロイスを保持したまま、全員を戦闘不能にする
 


◆第1ラウンド
 
GM : ラウンド1!セットアッププロセスです、やりたいことある方は宣言どうぞ!GMもやりたいことあります。
澱 カシル : 何も……しません!
リザレクト1回分を温存します
琵琶坂 藍依 : 怨念の呪石を使用!暴走状態になって《ミラーパレス》が起動!!
琵琶坂 藍依 : 自身が行なう攻撃のダメージを+2D! 自身を対象に含む攻撃のダイスを-10個!!
system : [ 琵琶坂 藍依 ] 侵蝕率 : 68 → 71
虹之元 ユメ : 【コンボ名:レスポンス】《扇動の香り》
このラウンド中、対象を攻撃する時の命中判定のダイスに+5します!
虹之元 ユメ : 対象はルコちゃん!
system : [ 虹之元 ユメ ] 侵蝕率 : 49 → 54
GM : お二人とも了解!
GM : ルコは戦いの予感+スピードスターを使用!行動値+30、ダメージ+30。回避不可です。
 
 
虹之元 ユメ : ユメは弦に指を添え、低音を響かせるビートを刻む。
虹之元 ユメ : 深い悲しみから湧き上がるような戦慄がルコたちの鼓膜を揺らし、ギターに指を走らせるユメは、ふとルコと視線を交差させた。
虹之元 ユメ : 「どうか、その身に響かせてください。“MARiNE SNOW"の生き様を────!」
ルコ : 「……ッ!」ルコはその音色に、一歩後ずさる。
ルコ : 「これが……ユメミの遺志を継いだ貴方の音楽……ッ!」
ルコ : 戦慄するルコ。しかし、彼女の闘志は消えることはなく……瞳が紅く爛と光る。
虹之元 ユメ : 「────そうです。私たちと、マリスノで築きあげたビートです……!」
曲調は一転して転調。白熱するビートが奈落華を包む!
琵琶坂 藍依 : 「(ユメが頑張っているんだ、私が怖気づいてはいられない)」目を伏せて、ユメが奏でる旋律を胸に刻む。
琵琶坂 藍依 : 「ステージに集められたのがルコの能力じゃないとしたら、この戦いもまた黒幕の”演出”……」
琵琶坂 藍依 : 「私達が争い合うことは、黒幕によって定められた筋書き通りなのかもしれない……」
琵琶坂 藍依 : 「だとしても、今は────」
琵琶坂 藍依 : ぱちんと指を鳴らす。
琵琶坂 藍依 : それは琵琶坂藍依が、戦う覚悟を決めるためのルーティンだった。
琵琶坂 藍依 : ……少女の指先から、海色の閃光が弾ける。
琵琶坂 藍依 : 水底に揺れる海藻のように、琵琶坂藍依の四肢に絡み付く。
琵琶坂 藍依 : エンジェルハィロゥ能力を用いた、UGN仕込みの早着替え。
 
iRiS
 
iRiS : ────瞬きの後、琵琶坂藍依は、
iRiS : いや、iRiSは。アイドルの正装、ステージ衣装を纏っていた。
iRiS : 「こんなところで負ける訳には、いかない!」
iRiS : ……衣服とは、ただヒトを美しく着飾るだけのものではない。
iRiS : 自分が「どう在りたいか」「どう在るべきか」を規定する、心のキャンバス。
iRiS : ────少女にとって、このステージ衣装は”MARiNE SNOW”で紡いできた思い出の結晶。
iRiS : そして、今度こそ大切な仲間を守り抜き、「トップアイドルになる」という呪いに挑む。
iRiS : 困難に立ち向かう覚悟を示すものだった。
iRiS : 「さあ、最初から飛ばしていくよ!」敵を見据えて、マイクをくるりと逆手に持ち替える。
ルコ : 「戦いの場にアイドル衣装?私が言えたことではないけれど、正気じゃないわね……貴方も変わった子だわ」
iRiS : 「……正気じゃないだって? それはこっちの台詞だ!」
iRiS : 「キミは冷静さを失っている!少しばかり、お灸を据えさせてもらうよ!」
ルコ : 「生意気な後輩ですこと。……さて、お仕置きされるのはどちらかしら?」
ルコ : ルコは、徐に足元の石を拾い上げると……曇天に向かって投げる。
ルコ : 「同じアイドルというアイデンティティを持つ者同士……似てしまうものなのかしら」
ルコ : 1ワン,2ツー3スリー…!」
GM : ルコが指を鳴らした、次の瞬間。その石は妖しい桃色の光を放ち、外見をマイクスタンドへと変貌させる。
GM : ルコがマイクをキャッチすると、光はルコを中心に広がり、彼女の背後に巨大な花の蕾を投映。
GM : ゆっくりと開花したそれは、水仙の花だった。ラッパ状の副花冠の中央には、スピーカーのようなものが覗く。
 
ルコ
 
ルコ : 「……御覧なさい!私達のLIVE生き様を!!」
ルコ : ルコはマイクを片手に、もう片手はキミ達に向かって手を差し出し、口上を投げかける。
iRiS : 「私と同じ、エンジェルハィロゥ能力……!!」投影されたセット群を見て
澱 カシル : 「わたくしもアイドル姿で臨むのが意趣返しというものかもしれませんが……」
「今はやめておきましょうか。」
「曇った胡桃さんの眼はiRiSさんの光で照らすのが良いでしょうし。………もう一人、見せたい方も今は都合が悪そうですからね。」
ちらりとココを見るが、明言は避ける
ルコ : 「やめた方が良いわよ。……その衣装、どうなっても知らないから」
 
 
GM : では次!メインプロセスです。まずは行動値46とかいう馬鹿の値になったルコからで
GM : マイナーで、オリジン:レジェンド+ライトスピード。【精神】の判定達成値+10&メジャーアクション×2、ただし判定のC値+1。
GM : メインでサイレンの魔女撃ちます。対象はマリスノ全員です。
iRiS : 常時発動している《ミラーパレス》の効果!判定ダイス-10個しますよ!
GM : お、ありがとう!!そしたら打ち消せるね
iRiS : よし! エンジェルハィロゥ対決、私の勝利だ!!
 
 
GM : 小さなブレス音。ルコが息を吸い、マイクを手にキミ達に向かって何かの音を紡ごうとする。
GM : アイは、同じ能力を持つ者、そして同じアイドルとしての勘で、察する。彼女が何か、歌を通じてキミ達に害を為そうとしていることを。
iRiS : 「させない……! みんなのことは、私が守る……!!」
iRiS : ルコが放った桃色の光子を束ね上げ、ダガーナイフを簡易生成。
iRiS : ルコが持つマイク目掛けて投擲する。あれはきっと、ルコの得物だ。
ルコ : 「な……っ!」
GM : 実体を持つ光のナイフが飛んできたことに驚き、目を見開く。そのまま、ルコの持つマイク目掛けて吸い込まれるように刺さる……
GM : かのように、見えたが。
春兎ユメミ : 「……」
GM : いち早く気づいたユメミが、ギターをかざす形でそのナイフを受け止める。簡易生成程度のナイフでは刺さらず、そのまま光の粒子となって砕け散る。
ルコ : 「……残念だったわね。でも、驚いたわ…そんなことまで出来るの?」
ルコ : ルコは小さく息を整えて、キミに首を傾げる。
iRiS : 「っ……! 厄介だな……!! これくらいの曲芸じゃ、流石に崩せないか……!!」ユメミの意識が完全に支配下に置かれてるのを見て、舌打ちをする。
 
 
GM : では、ライトスピードの効果でメジャーアクションおかわりです。
GM : ルコは再度、サイレンの魔女を使用。
GM : そして、オートアクションでユメミが援護の風を使用。ルコのダイス数が+4個されます。
GM : 対象は相変わらず全員で、ミラーパレスの効果により判定ダイス-10…となるけど、2個残る!ので、判定ができてしまいます。アホなので計算間違いしてないか時間かけちゃった。
iRiS : くっ…! さすがに届かなかったか…!!
GM : 流石にね!というわけで判定!
ルコ : 2dx11+20(2DX11+20) > 8[4,8]+20 > 28
ルコ : リアクションどうぞ!
iRiS : 私は暴走でリアクション不能!命中しますよ!!
澱 カシル : 4dx+1 暴走してないので回避が出来ちゃうんだなあ!(4DX10+1) > 9[4,4,5,9]+1 > 10
虹之元 ユメ : てやんでぇ! 回避があらぁ!
虹之元 ユメ : 1dx+1 気合だユメち!(1DX10+1) > 8[8]+1 > 9
天海こよみ : オートアクションで《軍神の守り》を使用! カシルちゃんをカバーリングします!
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 62 → 64
GM : 了解です!ではダメージ
GM : 3D+45 装甲無視です(3D10+45) > 27[10,7,10]+45 > 72
GM : なんこれ
天海こよみ : 強い
iRiS : 痛すぎ!
虹之元 ユメ : やるね、キミ
天海こよみ : カシルちゃんの登場侵蝕のようだ
GM : 代わりに運を吸います
天海こよみ : 二倍のダメージで144点受けるので、戦闘不能! 《リザレクト》します!
天海こよみ : 1D10 HP回復と侵蝕率上昇(1D10) > 5
system : [ 天海こよみ ] HP : 27 → 5
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 64 → 69
iRiS : 私も当然、戦闘不能!《リザレクト》で復活!!
iRiS : 1d10(1D10) > 6
system : [ iRiS ] HP : 24 → 6
system : [ iRiS ] 侵蝕率 : 71 → 77
虹之元 ユメ : 《リザレクト》しまっすよ!
虹之元 ユメ : 1d10(1D10) > 3
system : [ 虹之元 ユメ ] HP : 24 → 3
system : [ 虹之元 ユメ ] 侵蝕率 : 54 → 57
 
 
GM : アイによる妨害直後。キミ達が再度警戒する前に、彼女はいち早くマイクを握り、歌い始める。
ルコ : 『渇きに気づかせたならば許さない…』
ルコ : 『全てを捧ぐと言ったでしょう…!』
GM : 彼女の背後のスピーカーから出力された歌声は、音速を超える速度で、速やかにキミ達の心身に染み渡る。
GM : 音が頭蓋の内でわんわんと騒がしく響くと同時、体中を突き刺すような痛みが全身に走る。
天海こよみ : 「っ!! 聴いちゃダメ!!」
天海こよみ : 直感に従い、スピーカーから歌声が発せられる寸前、こよみが咄嗟に動く。
天海こよみ : すぐ傍にいたカシルに覆いかぶさるようにして守りながら、彼女の両耳を強く両手で塞ぐ! 音波の衝撃はカシルまでには届かない!
澱 カシル : 「こよみさ……!」
攻撃の予兆が読めなかったカシルはこよみの行動に一瞬驚くが、他ならぬこよみの行動ならば任せられると身を委ねる。
澱 カシル : 耳に当てられた手からこよみの苦痛を感じ取り、自らの不甲斐なさを痛感する。
すぐにルコを鎮圧しなければならない……!
iRiS : 「っ、スピーカー……!!」コヨミの視線から、ルコの能力の正体を察する。
iRiS : 再び光子を手元に集めて、先程より小ぶりなナイフを生成。
iRiS : すぐさま放り投げる、が……
iRiS : 光の刃がスピーカーに届くよりも、音速の方がずっと速い。
iRiS : ルコの破滅の歌声から逃れる術は、なかった。
虹之元 ユメ : 「これ、は……ぅ、ぁあ……っ!?」まるで身体中が音で粉砕されていく感覚に襲われ、攻撃の正体にようやく勘づく。
虹之元 ユメ : 僅かに動く指で、弦を弾く。逆位相の音波をぶつけることで打ち消す、ノイズキャンセリングの応用でダメージを打ち消そうとするが……。
GM : キミたちはそれぞれの方法で、彼女の歌から逃れようとする。だが、間に合わなかった。
GM : 痛みが走った箇所を見ると、そこは地獄に誘う谷の如く、大きな裂傷が発生していた。
GM : 彼女の攻撃の本質は、体内外からの同時破壊だ。
外部からは、斬撃のような鋭い音波。内部からは、鼓動ハートビートを狂わせる激しい衝撃。
GM : 開いた傷口からは、果汁を滴らせる柘榴のように、鮮血がドクドクと溢れ出る。ただの人間相手であれば、ライブ会場中が血の海となっていたであろう危険な攻撃だ。
天海こよみ : 「う……あああああ……っ!!!」
カシルに向かうはずだった衝撃も引き受けたせいで、藍依たちよりも更に全身が軋み、悲鳴を上げる。
iRiS : 「ぁ、ぐ……! コ、ヨミ……ッ!!」苦痛に顔を歪めながら、その視線は悲鳴を上げる仲間へと向かう。
GM : 当然、ユメもまたこの攻撃の洗礼を浴び、全身がズタズタとなる。だが、その中にあっても、同じシンドロームハヌマーンを持つキミは聴き逃さなかった。
 
春兎ユメミ
 
GM : 操られながら演奏する、ユメミのギターの音色。彼女の音は、キミと同じ能力……音楽により、ルコの心を昂らせ、彼女の能力を底上げしているのだと。
虹之元 ユメ : 「く、ぁ……っ! ゆめ、み……ちゃ……!」 ズタズタに引き裂かれ、今にも崩れ落ちてしまいそうな脚を意思で固める。
虹之元 ユメ : 「はぁ、はぁ……そっ、か……。な、ら……」顔の流血を拭い、ユメミを見据える
虹之元 ユメ : 「セッション、しようか……っ!」 再びギターを構え、息を整える。味方を鼓舞できるのは、貴女だけではないと……
ルコ : 未だに立ち続けるユメに怪訝そうに眉を顰めながら……こよみとアイを一瞥する。
ルコ : 「痛いでしょう、大人しくなさい。そうしてくれたら、私もこれ以上酷いことをしなくて済むもの……」
虹之元 ユメ : 「はい、痛い……です。痛いけど……それでも、それでもなんです……っ」
虹之元 ユメ : 「私たちは、ここで膝を折るアイドルではないんです……!」
天海こよみ : 「……っ、く……。カシルちゃん、は……ぶじ……だね……。よかった……」 ルコの言葉に反応する前に、苦痛に顔を歪めながらカシルの両耳から手を離す
澱 カシル : 「………はい、何ともありません。ありがとうございます、こよみさん。」
「また助けられてしまいました……ですので、わたくしも貴女の想いに全力でお答えします。」
天海こよみ : 「うん……たよりに、してるね……」 小さく笑いかけて
天海こよみ : 「ルコちゃん……」 そして、地面に手を突きながらルコを振り返り、
天海こよみ : 「ぼくは……こんなのぜんぜん、いたくない……」 言いながら、背中を裂かれた傷口が徐々に閉じ、血が止まっていく
天海こよみ : 「ぜんぜん! いたくもなんとも! ないんだから!!!」 ゆっくりと立って、声を張り上げる。ルコの中にいる彼を安心させるように
ルコ : 「……本当に強情ね。そっくりだわ、『2人』とも……」仕方なさそうに目を閉じる
iRiS : 「ふふ、そうだね……ユメっ、コヨミっ……」無残な傷跡をエンジェルハィロゥ能力で覆い隠し、
iRiS : 「よく言ってくれたっ……! この程度で折れるだなんて、私達を見縊ってもらっちゃ困るよルコ……!!」ジクジクと疼く痛みを堪えて、ルコに笑いかける。
 

 
GM : では、行動値14、アイさんのターンです。宣言等どうぞ!
iRiS : マイナーアクションで戦闘移動! ルコ達にエンゲージ!!
iRiS : メジャーアクションで「コンセントレイト+光の舞踏+アンプリフィケイション」
iRiS : ルコちゃんに白兵攻撃!
GM : 了解です!では、胡桃がオートアクションで生贄の蛇を使用!攻撃対象を自身に変更し、デバフの重圧を受けます!
GM : 判定どうぞ!
iRiS : く、胡桃ちゃん……!!
iRiS : 10dx7+10-1 命中判定(10DX7+9) > 10[1,3,4,5,6,7,7,9,9,10]+6[1,2,2,4,6]+9 > 25
天海こよみ : ちょっと低い!妖精の手使おうか
iRiS : そうね! 回避ダイスまわったら怖いし、貰えるとありがたい!!
天海こよみ : では《妖精の手》を使用!
天海こよみ : 「1dx7+29」で振り足してもらって!
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 69 → 73
iRiS : 1dx7+29 妖精の手で振り足し(1DX7+29) > 1[1]+29 > 0 (ファンブル)
GM : ダイスでRPしてる…!?
iRiS : 最終達成値30…! 胡桃ちゃん相手だから…!!
天海こよみ : 30いっただけヨシ!
GM : 回避ワンチャンではあったけど……ガードです!
獣の誇り+ イージスの盾を使用、ガード値+3Dです。(獣の誇りにより、重圧の効果を受けない)
GM : ダメージロールどうぞ!
iRiS : 4d10+1d10+2d10+10+15 装甲有効ダメージ(4D10+1D10+2D10+10+15) > 29[5,10,7,7]+5[5]+12[7,5]+10+15 > 71
GM : 胡桃は隆起する大地を使用します、ダメージを-[1D+15]いたします!
GM : 71-3D10-1D10-15 (71-3D10-1D10-15) > 71-15[8,5,2]-3[3]-15 > 38
GM : 38点分のダメージもらいます!程々効いてますね
iRiS : くっ、なかなか固い!
system : [ iRiS ] 侵蝕率 : 77 → 86
 

 
iRiS : 「(想像していたより、ルコはずっと強い……! 早く終わらせないと、みんなが危ない……!!)」
iRiS : かつんとヒールを鳴らし、ステップを踏む。
iRiS : 戦場には似つかわしくない軽やかさで、踊るように肉薄。
iRiS : 少女は逆手に持ったマイクを、ルコに振り翳す。
GM : ルコは、迫るキミの姿を見て固まる。やはり場慣れはしていないのだろう。そのまま一手を加えられるだろうと思った、その瞬間。
久能胡桃 : これまで、小さく歌を口ずさんでいただけの胡桃。彼女は華奢で小さな手のひらを口元に添え、小さく、「ふぅ」と吐息。
久能胡桃 : 手のひらからは魔法のように、白い綿毛がふわりと浮かび上がり……彼女の足元に着地。するとそこから、白く発光する木が芽生える。
久能胡桃 : 木は瞬時に成長し、胡桃を包み込む。5m程度の若木に成長した時…木は、雷に打たれたようにして、梢から真っ二つに裂け、翼のように広がる。
 
久能胡桃
 
久能胡桃 : 分かたれた木の枝の中心に、変わらず彼女は居た。
樹皮の翼は彼女の背にあり、白ポプラの美しい葉で装飾されている。葉の表面は桃色、裏面は白色に輝く。
久能胡桃 : 彼女の頭に載せられた、枝葉で出来た無骨な冠も、彼女の可愛らしさに添えられるアクセントとなってた。
久能胡桃 : 天使のような出で立ちの彼女。しかし、その翼は木で出来ている。空を飛ぶ事は叶わず、死して尚重力に縛られ続けている。
久能胡桃 : 偽りの天使。そう形容するのが相応しい姿。
GM : ……キミの親友もまた、オーヴァードへ……自分と同じ化け物へと、生まれ変わっていた。
GM : そして胡桃は、羽ばたけもしない翼を引き摺るようにしてルコの前に躍り出る。
iRiS : 「なっ、胡桃ッ……!?」
iRiS : 立ち塞がる胡桃。このまま攻撃を行なったら、彼女も巻き添えになる。
iRiS : 振り抜こうとした左腕が止まる。親友を前に、躊躇いが生まれてしまう。
天海こよみ : 「藍依ちゃん……っ!!」
天海こよみ : iRiSに呼びかけながら右手を前に掲げ、オルクスの領域を展開。
天海こよみ : 瞬間、地面が海に変わったかのように波紋が広がる。
天海こよみ : そこから湧き出たのは、海中に漂うような気泡だった。
天海こよみ : 大きな透明の泡が、iRiSの全身をゆったりと包み込む。
天海こよみ : すると、iRiSは乱れた心が少しずつ落ち着いていくのを感じるだろう。……かつて、天海あかりが使っていた、疲労を回復させるバブルの見よう見真似だ。
iRiS : 「……そうだ。私は一人で戦ってるんじゃない」
iRiS : コヨミの温かな力に包まれ、マイクを握る左手に力が戻ってくる。
iRiS : 「例え、誰が立ち塞がろうともッ」
iRiS : 「私は"私達"の信じた道を、切り拓いてみせるッ!!」
iRiS : ハンドマイクを、ただがむしゃらに振り抜く。
iRiS : 一閃。
iRiS : ……刹那。深紅に染められた冥府に、藍色の光が満ちて。
iRiS : 気付けば、久能胡桃は袈裟に斬り裂かれていた。
久能胡桃 : 「……」
久能胡桃 : ハンドマイクが振り抜かれる直前、胡桃の両の翼が生き物のようにうねり、急速に成長。クロスするように滑り込む。
久能胡桃 : キミの攻撃を阻もうとするが……藍色の光が止んだ途端、彼女の片翼はバサッと地面に落ちる。
iRiS : 「はあ、はあ……」
iRiS : 少女が持っていたマイクの底面、ケーブルが伸びている筈のコネクタ部分。
iRiS : そこにはエンジェルハィロゥ能力で作り出した”光の刃”が輝いていた。
 
iRiS
 
iRiS : ────琵琶坂藍依の能力は「蓄光」。光子を吸収して放出する異能。
iRiS : 少女はこれまで、光子を弾丸に変えて撃ち出す”遠距離射撃戦”を基本スタイルにしてきた。
iRiS : ……が、従来の戦い方には無駄が多く、「火力不足」や「弾切れ」といった問題もあった。
iRiS : なにより「無茶しがちな天海こよみを、一人で前線に立たせてしまっていた」。
iRiS : ────それら諸問題を解決するため、プロデューサーに相談して作ってもらった新装備。
iRiS : それが『ルシフェラーゼ』。携行可能なハンドマイク型レーザーブレード。
iRiS : 目の前に広がる暗闇を照らし、進むべき道を切り拓く”アイドルの武器”である。
GM : 誰もが見たことのない、非凡な武器。まさかマイクでこのような戦い方をするとは思わなかったのだろう、胡桃の方の向こう側でルコが驚いたように目を見開いている。
GM : 光の刃によってもがれた翼は、胡桃自身の因子によって形作られている。痛覚があるのだろう。胡桃は苦し気に顔を歪め、落とされた翼に絡まる桃色の葉は光を失う。
久能胡桃 : しかし、胡桃は片翼の間から、じっとキミを見つめるのみ。まだ彼女は、キミと戦う意志を見せているのだ。
iRiS : 「胡桃っ……」
iRiS : もう戦いたくなんかない。胡桃を傷付けたくなんか。
iRiS : けれど、彼女は交戦の意志を示している。それなら────
iRiS : 「こんなこと、すぐ終わらせるっ……! キミの手を、汚させたりはしない……!!」
 

 
GM : 行動値13、ユメさんのターンです。宣言等々どうぞ。
虹之元 ユメ : はーい!
虹之元 ユメ : 【コンボ名:赤の熱狂】メジャーで《エンジェルヴォイス》+《声援》+《風の渡し手》
虹之元 ユメ : 琵琶ちゃん、カシルちゃん、こよみちゃんが対象!
次に行うメジャーアクションのダイス+4個、C値-1しますよ!
天海こよみ : ありがてえ…!
GM : 脅威〜
system : [ 虹之元 ユメ ] 侵蝕率 : 57 → 66
 

 
虹之元 ユメ : 「テンポを上げていきましょう……。早く終わらせるためにっ……!」
虹之元 ユメ : メドレーのように繋げて弾き始めたのは代表曲、MARiNE SNOWのロックアレンジ……。
虹之元 ユメ : かつて、もしくは今も悲しみを帯びたメンバーたちに存在する、確固たる芯を露わにしたような激しいミュージック!
虹之元 ユメ : あなた達、メンバーの背中を押すような熱い想いが、旋律となって心を駆け巡る!
虹之元 ユメ : そして……あの子の心にも、この音色を届けたい。
虹之元 ユメ : ルコに意識を奪われて、私を拒絶した貴女……。貴女に砕かれた心は未だに癒えず、私が往く道は深海を揺蕩うが如く暗闇に満ちている。
虹之元 ユメ : 私が継いだ夢は偽り。過ぎた重荷。過去に依存した、終わりを迎えた夢なのかもしれない。
虹之元 ユメ : だが、だとしても……。
虹之元 ユメ : 「私は、まだ……」風の音に掻き消されてしまいそうなほど、小さく呟く……
虹之元 ユメ : 「────ユメミちゃん!」 一転、声を張り上げて、ビシッと。意思のない彼女を指さす。
虹之元 ユメ : 「これが終わったら、仲直りしま……しょうっ!!」ギャンッ! 弦が弾け、熱の籠ったサウンドが響く!
虹之元 ユメ : まだ答えは出ていない。それでも、貴女と仲違いしたままの方が遥かにイヤだ!
虹之元 ユメ : ユメの放った言葉と音楽が、脳髄から頭のテッペンまで貫くビートとなってユメミを揺らす!
春兎ユメミ : ユメミの音色に、キミの奏でる音色が混ざり。無表情なユメミの眉が、ぴくりと揺れる。生物的な反射なのか、それとも感情によるものなのかは定かではないが。
春兎ユメミ : だが……ユメミの奏でる音色には、やや激しめのアレンジが加わり始める。彼女が磨いてきたギターテクを誇示するかのような、レベルの高い奏術。
GM : キミは幻視する。あの頃の放課後……もしもキミがギターを弾けていたなら。こうしてお互いのテクニックを披露し合う日もあったのではないかと。
GM : 音楽と音楽がぶつかり生まれたビッグバンは、キミ自身の心までも高揚させる。
虹之元 ユメ : 「っ!…… 望むところ、ですっ!」 肩を並べるように、ユメミの旋律と競合する。それでもその演奏はノイズにも、不協和音にもならないミュージックがこの場ステージに鳴り響く!
 

 
GM : 行動値12、カシルさんのターンです。宣言等々お願いします。
澱 カシル : 【玖対之手】
CR+餓えし影+原初の赤:要の陣形
澱 カシル : 対象はエネミー3人!
虹之元 ユメ : 横から失礼! 《援護の風》+《ウィンドブレス》を使用してバフします!
虹之元 ユメ : 判定のダイスに+6個、達成値に+6!
system : [ 虹之元 ユメ ] 侵蝕率 : 66 → 71
GM : 了解です!判定どうぞ〜
澱 カシル : 20dx7+12(20DX7+12) > 10[1,1,2,2,2,3,3,3,4,4,4,4,5,6,6,6,8,10,10,10]+10[8,8,8,9]+6[1,2,3,6]+12 > 38
GM : ルコはリアクション不可!ユメミは回避を試みて、胡桃はガードします!
澱 カシル : うす!勝負だ!
春兎ユメミ : 1dx+1(1DX10+1) > 10[10]+3[3]+1 > 14
久能胡桃 : 獣の誇り+イージスの盾使用!ガード値3Dです
GM : ダメージどうぞ!
澱 カシル : 4d10+3 ガードぶち抜くくらいは出て欲しい(4D10+3) > 22[9,1,6,6]+3 > 25
久能胡桃 : 3D ガード値(3D10) > 4[1,1,2] > 4
GM : ぶち抜いてる!ぶち抜いてますよ
GM : ルコとユメミちゃんには25点、胡桃ちゃんには21点!全員立ってるけど、胡桃ちゃんはかなり限界ですね
system : [ 澱 カシル ] 侵蝕率 : 90 → 97
 

 
澱 カシル : 離れた位置のルコたちに両手を伸ばし、遠近法で包み込む。
「素晴らしく、恐ろしい唄……」
澱 カシル : 「けれど、マリスノの皆さんに奈落華のメンバー……クラッドカルトまで。」
澱 カシル : 「周り総てと自分自身さえ傷つける、その唄……!」
カシルの周囲から、ユメの奏でる旋律に乗せて黒い靄が広がる。
澱 カシル : 「噤ませていただきます……!」
澱 カシル : 靄と旋律に紛れ、九対の見えざる報復の手が迫る。
胡桃の脚、ユメミの腕、そしてルコの喉を呪いの痣が締め付けんとする──!
久能胡桃 : 胡桃は、脚に絡みつく痣を無感情に見つめ、桃色に光る葉を這わせ対抗しようとするが……突如、ガクッとその場に膝をつく。みるみるうちに光は闇に呑まれ、養分を吸われるかのように黒く染まっていく。
春兎ユメミ : ユメミは、ギターを演奏する腕を蝕む痣に、一瞬演奏する腕を止められる。彼女は構わずギターの演奏を続け……次第に痣は薄くなってしまうが、それでもやや演奏に支障をきたしているようだ。彼女は煩わしげにしている。
ルコ : そしてルコは……何をされたのかがわからない、といった風な表情だったが。
ルコ : 「……ッは、ぁ」
ルコ : 一瞬、呼吸が乱れる。息が詰まったかのようなそれに、苦しげに喉元を押さえながらキミを睨みつける。
ルコ : 「これ…貴方……の、仕業……?随分と……禍々しいこと……」
澱 カシル : 「わたくし、呪物から生まれた呪いの申し子ですから。」
「禍々しい力なのは否定しませんが……。」
澱 カシル : 「この場にいる皆さんを、そして貴女自身を傷つける貴女へ……報復して止めることが出来る。」
「呪われているというのも、悪いことばかりではありませんよ。」
ルコ : 「……余計な、お世話……!」
ルコ : ルコはギリギリと喉を締め付ける痣に対抗するように、大きく息を吸うと、手持ちのマイクに向かってシャウト。彼女の喉から、そして対処に苦戦していた胡桃の脚から、痣がふっと消え去る。
ルコ : 「呪いなんて、過去の呪縛だけで十分だわ。私たちのライブを邪魔するな……ッ」
ルコ : カシルを睨みつけ、再度マイクを構える
澱 カシル : 「手加減はあったとはいえ、簡単に跳ね除けるのですね……。大した胆力です。」
「ですが、マリスノのセンターがまだ残っていますから。ここからですよ。」
 

 
GM : 行動値5、こよみさんのターンです。宣言等々どうぞ!
天海こよみ : はい!
天海こよみ : マイナーアクションで戦闘移動、ルコちゃんたちにエンゲージ
天海こよみ : メジャーアクションで《形なき剣》+《パワースイング》+《要の陣形》+《コンセントレイト》
天海こよみ : 混沌なる者の槍で攻撃します! 対象はルコ、ユメミ、胡桃の三人!
GM : 判定どうぞ!
天海こよみ : 15dx6+4 命中(15DX6+4) > 10[1,1,1,1,2,3,4,4,6,6,6,8,9,9,10]+10[1,2,3,4,5,7,9]+4[2,4]+4 > 28
天海こよみ : えぇ~
GM : ちょっと…何!今日みんなおかしくないか
天海こよみ : おかしいかもね…あまりにもバフを活かせておらず…
天海こよみ : まあでも確実に当たるので、妖精の手はやめときましょう
天海こよみ : 《形なき剣》の効果でドッジのダイス-1個です! さっきの回避と変わらないならユメミちゃんは自動失敗になるかも
GM : そうだね、ユメミちゃんは回避しても自動失敗!なので、
ルコ→リアクション不可
ユメミちゃん→何もできないのでライフで受ける
胡桃ちゃん→ガード
で!
久能胡桃 : 獣の誇り+イージスの盾使用!ガード値3Dです、が…
GM : ダメージロールどうぞ!
天海こよみ : 3D10+21 ダメージ(3D10+21) > 14[7,6,1]+21 > 35
天海こよみ : 微妙!
久能胡桃 : 3D10 ガード出すけどぉ(3D10) > 28[10,9,9] > 28
天海こよみ : 何!?!??!
GM : ルコ、胡桃ちゃん戦闘不能!ユメミちゃんはちょい残しで立ってます…!
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 73 → 83
 

 
天海こよみ : こよみが純白の日傘を手に掲げると、彼女の足下から海水が湧き出した。
天海こよみ : 海水は意志を持ったかのように宙へと遡り、日傘へと渦を巻いて集い始める。
天海こよみ : 一滴、また一滴と煌めく水滴。それは単なる水ではなく、この世界の理を塗り替える領域オルクスの因子そのもの。
天海こよみ : 無数の因子が溶け合った流水は日傘を包み込み、その形状を変化させる。
天海こよみ : 荒れ狂う水流が与えた新たな形……それは穂先が三つに分かれた槍、海神のトライデントだった。
天海こよみ : 顕現した白銀の槍を、こよみは流麗な動作で一回転させる。
天海こよみ : そして、トン……と、槍の石突を垂直に地面に突き立てた、その瞬間。
天海こよみ : ────こよみの世界から、音が消えた。
天海こよみ : こよみを中心とした半径2m、円形の小さな範囲にのみ、まるで吸い込まれるかのような無音の帳が舞い降りたのだ。
天海こよみ : 狂おしく掻き鳴らされていたギターサウンドも、緊張に満ちたオーヴァードたちの荒い息遣いも、衣擦れの音さえも。
天海こよみ : こよみのすぐ傍では何も響かず、全てが虚空へと消え去った。
天海こよみ : 発動したのは、天海こよみが展開した領域。
天海こよみ : それは凪いだ夜の海のように、どこまでも静かで、どこまでも平坦な世界。
天海こよみ : しかし、アイドルが繰り広げる戦いの場としては、あまりにも相応しくない空間だった。
天海こよみ : ……いや、違う。
天海こよみ : 彼女はアイドルだからこそ、その信念を守るために、あえてアイドルを捨ててこの戦いに挑んでいた。
天海こよみ : ルコたちのように、パフォーマンスを力に転化する方が、アイドルオーヴァードとしてはきっと王道なのかもしれない。
天海こよみ : だが、幼い頃からアイドルを愛し、その輝きに憧れてきたこよみにとって、歌やダンスを誰かを傷つけるための力に変えることはどうしても出来なかった。
天海こよみ : だから、彼女は選んだ。
天海こよみ : こと戦闘においてだけは、アイドルとしての自分は封印すると。
天海こよみ : 天海こよみという一人の少女として戦うことこそが、彼女のアイドルとしての誇りであり、誰にも汚させないという覚悟の証明だった。
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : “行くよ、ルコちゃん”
天海こよみ : こよみの唇がそう動いた直後、彼女は音の無くなった小さな世界を跳ぶ。
天海こよみ : 地を蹴った足元に静かな水面のような波紋を広げながら、ルコたちへと肉薄する。
天海こよみ : 「…………っ!!」
天海こよみ : 静かな闘志を槍に乗せ、構える。
天海こよみ : だが、こよみが彼女たちに向けているのは、三つに分かれた穂先ではなく、その逆にある柄の末端だった。
天海こよみ : 刃でその柔肌を切り裂かぬように、それでも確実にダメージを与えられるように────
天海こよみ : 一瞬の内に三度、閃光のように槍を放った。
天海こよみ : その石突がルコたちの胸を叩いた瞬間、鈍い音と共に凪の領域は砕け散るだろう。
GM : 空間は音を取り戻す。ユメが奏でていたギターサウンドを始めとし、騒がしいまでの情報の渦の中……
ルコ : 「……か、はッ」
ルコ : ルコは息の後、一瞬遅れて突き飛ばされ……そのまま、仰向けになる形で倒れる。
ルコ : キミの狙い通り、大きな外傷はないが……それでも、カシルの攻撃によるダメージが残っていたためか。
動いて、と口が小さく動くのが見えたが……虚しくも、彼女の背後のスピーカーは溶け消え、マイクは石へと姿を戻す。
久能胡桃 : そして、胡桃もまた、最後に残された翼は砕かれ、木屑となり……やがて、全ての木が枯れ、宙へと舞い消えた。
久能胡桃 : 「……」彼女はくた、と力が抜けたように……その場にへたり込む。もう、操られてはいないようだ。
天海こよみ : 「……と、止まった……! じゃあ、ユメミちゃんも……!」 ルコが倒れたのだから洗脳は切れたのかと、ユメミに視線を向ける
GM : だが、キミの期待とは裏腹に。ユメミは未だにその場に立ち、ギターを鳴らし続けている。
春兎ユメミ : カシルとキミによる攻撃のダメージは確かに残っているようで、たまに腕が引き攣れたように不自然な挙動をする。だが、未だ彼女は夢の中にいるようだ。
GM : 未だ、クラの姿も見えない。胡桃を操る力が消えたのは、彼女自身の意識が途絶えてしまったからだろう。
GM : 奈落華のライブを終わらせない限り、ルコは負けを認めないのだろうか。……ユメミもまた、倒すべき敵の1人なのだと、キミは確信する。
天海こよみ : 「……っ、しかたない、ね……」 槍を一回転させ、構え直す。元より覚悟は決まっていた。
 

 
GM : 行動値4、ユメミのターンです。1ラウンド目最後ですね。
春兎ユメミ : マイナーでオリジン:ヒューマン+猛毒の雫を使用。シーン中あらゆる達成値+5、加えてメインプロセスで1点でもダメージを与えた場合、邪毒ランク3(クリンナッププロセスまで残っていたら邪毒ダメージ9点)を与えます。
春兎ユメミ : メジャーでコンセントレイト:ソラリス+絶対の恐怖+神の御言葉、対象はユメさんです。
虹之元 ユメ : なに~~~!
春兎ユメミ : 5dx7+6(5DX7+6) > 10[1,1,3,9,10]+10[10,10]+3[3,3]+6 > 29
GM : リアクションどうされます?
虹之元 ユメ : 回避してやろうじゃないか!
虹之元 ユメ : 2dx+1 ヤーッ!!(2DX10+1) > 9[2,9]+1 > 10
虹之元 ユメ : 頑張ったんじゃないか?
GM : 頑張ったよかなり
GM : ダメージを出しますよ
春兎ユメミ : 3d10+31(3D10+31) > 17[8,7,2]+31 > 48
GM : 48点!
虹之元 ユメ : ぐわーっ! しかしこれぐらい精神的ショックに比べれば!リザレクト!
虹之元 ユメ : 1d10 やー(1D10) > 10
GM : お!リザレクト2回は回避ですね
system : [ 虹之元 ユメ ] HP : 3 → 10
 

 
春兎ユメミ : ユメミが手にしているギターは、通常のギターのネックとボディに加えて、6本の弦……通称「ハープ弦」が張られたハープギターだった。藍色のボディに白銀の模様、ギターの各所には月桂冠のモチーフと、クロタネソウの花が描かれている。
春兎ユメミ : 彼女の瞳は虚ろだが、手は迷いなくピックを掴み、ハープ弦とギターの弦を同時に操る。ハープ弦からはベースのような重厚な振動、ギターからは激しいロックサウンドが鳴り響き、立体的な音色を紡ぎ出す。
春兎ユメミ : ロックでありながらも、どこか神話の調べのような壮麗な旋律。
春兎ユメミ : ルコの歌声と異なり、ただ聞く分には美しいが…問題はその後だった。
 
春兎ユメミ
 
春兎ユメミ : ハープ弦から生み出された音色は、空気中に含まれる水分を振動・霧状に変化させる。霧はみるみるうちに深紅に染まり、ユメを中心に包み込む。
虹之元 ユメ : 「ッ! ユメミちゃん、この霧は……っ」 かつてユメミを殺した赤い濃霧、それに酷似した現象を目の前に、表情が苦悶に歪む。
虹之元 ユメ : 「……わかり、ました。いいでしょう……」 これに包まれれば、きっと苦しい思いをするだろう。死んだほうが楽なほど苦しいだろう……。
虹之元 ユメ : 「受けて、立ちます……!」 彼女と仲直りするために、その程度で膝をつく訳にはいかないと……深紅の霧の中で悠然と構える。
春兎ユメミ : 他のメンバーを視認できないほどの、深紅の濃霧。
春兎ユメミ : これを吸ってはいけない。キミはそれを理解しているが……人の身体は、窒息を逃れるため、ほんのわずかに息を吸ってしまう。
春兎ユメミ : 直後、キミの胸部に激痛が走る。肺は破壊され、手足にも痺れが伝播。
春兎ユメミ : また、霧は目の粘膜にも影響を及ぼす。キミは、常に流れる涙によってある程度ダメージが軽減できている。
春兎ユメミ : ……だが、仮にキミ以外がこの霧の被害に遭った場合。もしかすると、彼女たちもキミと同様、常に涙を流す程の後遺症を負ってしまうのではないかと想像する。
春兎ユメミ : だって、ユメミは……あの時のジャームと同じ能力を開花させてしまったのだから。
虹之元 ユメ : 「────────」ハープを奏でるように、迷いなく弦を撫でる。するとどこからか風が逆巻き、ユメを中心に濃霧が集中していく……。
虹之元 ユメ : 「こん、なに……苦しかった、かな……」カヒュッ、と呼吸器系にも異常をきたし始め……瞳の粘膜も出血し、涙に血が混じり始める。
虹之元 ユメ : 「(で、でも……大丈夫……。こんな苦しい思いを、するのは……私だけで、いいから……)」それに……と、僅かに覗いたユメミの姿を赤く染まった視界に納め……
虹之元 ユメ : 「(あなた、に……その力で、人を傷つけて欲しくない……から……っ!)」 意識が断続的に途切れそうになるほどの激痛の中、自身の執念に縋りついて何とか立ち続ける!
GM : キミが耐え続ける中、次第に霧は晴れていく。……いずれにせよ、早いところ彼女を倒さなくてはならないだろう。
 

 
GM : クリンナッププロセス!やりたいことある方~ 特になければ邪毒の処理をして次に進めましょう
天海こよみ : ない!クリンナップ、大体ないがち
澱 カシル : ないんす
虹之元 ユメ : ないよ!
iRiS : ない!
GM : ですよね!ではユメちは邪毒でHP-9してね。すまんね。
虹之元 ユメ : あいて~!
system : [ 虹之元 ユメ ] HP : 10 → 1


 
【行動値】
14 琵琶坂藍依
13 虹之元ユメ
12 澱カシル
05 天海こよみ
04 春兎ユメミ
 

 
【現在位置】
春兎ユメミ / 天海こよみ / 琵琶坂藍依
  |
(5m)
  |
虹之元ユメ / 澱カシル
 


◆第2ラウンド
 
GM : 2ラウンド目!セットアッププロセスです、やりたいことある方いますか?
iRiS : ない!
澱 カシル : 静観!
天海こよみ : ないです!
虹之元 ユメ : い~……らなさそう!
GM : 私もそう思います!次、イニシアチブプロセスですが……これもカットでいいと思うので次に進めましょう
GM : メインプロセス。行動値14、アイさんのターンです。
iRiS : ディレイ!ユメちに任せた!!
虹之元 ユメ : やります!
GM : 了解しました。それでは、行動値13、ユメさんのターンです。
虹之元 ユメ : マイナーの戦闘移動でユメミちゃんにエンゲージしましょう
虹之元 ユメ : メジャーは素手でユメミちゃんを殴りますよ!
そしてオートで《援護の風》+《ウィンドブレス》を自身に使用します!
system : [ 虹之元 ユメ ] 侵蝕率 : 81 → 86
GM : 判定どうぞ!
虹之元 ユメ : 9dx+1 多分これで合ってる……かな!(9DX10+6) > 9[1,2,3,3,4,4,6,8,9]+6 > 15
GM : ユメミは回避を試みます。
春兎ユメミ : 1dx+1(1DX10+1) > 10[10]+1[1]+1 > 12
GM : あ、当たった!ダメージどうぞ!
虹之元 ユメ : 2d10-5 うおー! ユメパンチ!(2D10-5) > 10[2,8]-5 > 5
GM : ユメミちゃんの残りHPは4だったので、倒せました!
GM : 勝利条件を満たせたので戦闘終了です。
 

 
虹之元 ユメ : ────晴れていく霧中に、血を流すユメの姿があった。立つのもやっとの状態で、頬を伝う血涙の痕が痛ましく、その顔に笑顔はない。
虹之元 ユメ : 「────────!!」 そんな状態の彼女が、突如として地を蹴って飛び出す。風を纏って飛んだユメに赤い濃霧が尾を引いて、ユメミに向かって落ちていく……。
虹之元 ユメ : 「ユメミちゃん……! 目を覚ます、時間……ですっ!!」
虹之元 ユメ : ユメが繰り出したのは拳でも、脚でもない。
ただただ、勢いをつけたまま……ユメミの胸に飛び込んで、地面に引き倒しただけだ
虹之元 ユメ : バターン! ただの体当たりとはいえ、それなりの速度。固い地面にぶつかったユメミはそれなりに痛い思いをすることになるだろう……。
虹之元 ユメ : 「いいんですよ、もう……その力を使わなくても、大丈夫ですから……」 地面に押し倒して、下敷きになったユメミにそっと囁く。
虹之元 ユメ : ユメミを傷つけたくない。傷つけさせたくない……。そんなユメが選んだ、まさに行き当たりばったりの体当たりだった……。
GM : ユメミは仰向けに倒れ……後頭部をしたたかに打ち付ける。ゴン、と鈍い音が響き……
春兎ユメミ : 「いっ……たぁぁ……」
春兎ユメミ : 「って、あ……るみ……?」
春兎ユメミ : ユメミは、周囲を見て……そして、押し倒すキミを見て、困惑したような目線を向けてくる。どうやら、"クラッドカルト"による支配から逃れることができたようだ。
虹之元 ユメ : 「ユメミちゃん……! よかっ、た……ほんと、に……」 安心したせいか、執念で耐えていたダメージに一瞬気が遠のき……
虹之元 ユメ : ゴロリと、穏やかな顔でユメミの隣に倒れる。
春兎ユメミ : 「うおっ……る、るみ…!?」ボロボロのキミの姿にハッとして、キミの方に寝返りを打って頬に触れる。
春兎ユメミ : 「ど、どうしよう……」彼女自身も体が痛むようだが、構わずただ心配そうにキミの顔を覗き込む。
虹之元 ユメ : 「ルコちゃんと……胡桃ちゃんも、怪我をしているはずなので……診てあげて、ください……」 覗き込むユメミに微笑む
虹之元 ユメ : 「わたしは、少し休めば……大丈夫、だから……」安心させるように、差し伸べられた手を包んで
春兎ユメミ : 「でも……あ、アタシ……るみに……っ!るみ、目から血が……っ」ちらりとギターを見る。戦闘中の記憶が残ってしまっているのだろう。
虹之元 ユメ : 「あは、は……これぐらい、どうってことない……ことは、ないですかね」いたた、と痛そうに
虹之元 ユメ : 「……でも、良かったです……。みんな、無事で……っ」
春兎ユメミ : 「無事……これが……?」相変わらず困惑気味だが……思いのほか平常運転のキミの姿に、次第に落ち着きを取り戻していく。
天海こよみ : 「……。ユメちゃん……ぼく、無理しないでって言ったのに……」 少し怒ってるのか、ジト目でユメを見つめている
澱 カシル : 「こよみさんがそれを言うのですか……?」
「助けられた身で言うのも何ですが……。」
天海こよみ : 「ぼくは無理してないもん。でもユメちゃんは無理してたでしょ……」
天海こよみ : 「その……。ユメミちゃんが正気にもどって、よかったけど……」 自分のことも大事にしてほしい、と目で訴えかける
iRiS : 「カシルの言いたいことは良く分かるけど、今回はコヨミに同意かな」
iRiS : 「ユメもユメミも、もう二人とも立てないでしょ」
iRiS : 「……そこで仲良く抱き合ってるといいよ?」意地悪そうに笑って
虹之元 ユメ : 「す、すいませ~ん……立てるまで仲良くさせてもらいます~……」申し訳なさそうに手をパタパタと振って
春兎ユメミ : 「……アイってちょっと意地悪だよね…」やれやれ…と目を閉じて
iRiS : 「ふふ、ユメミが強情だからでしょ?」
澱 カシル : 「うふふ、その藍依さんは胡桃さんの介抱はしなくて良いのですか?」
胡桃さんも正気に戻ったでしょう、とそちらに目をやる
iRiS : 「……そうだね。仕方なかったとはいえ、胡桃には手荒な真似をしてしまった」
iRiS : 気絶している胡桃に歩み寄り、横たわっていた小さな体を抱きかかえる。
iRiS : 俗に言う"お姫様抱っこ"というやつだ。
久能胡桃 : 「ん…ぅ……」抱き上げられた途端、胡桃は小さく息を漏らす。
久能胡桃 : 「あれ……藍依……?」薄く目を開けて
iRiS : 「おはよう、胡桃」
iRiS : 「……さっきはごめんね、痛むところはない?」
久能胡桃 : 「ううん……今は全然、痛くないよ。……そっか……今も信じられないけど、わたしたち初めて喧嘩しちゃったね」
久能胡桃 : 「藍依も……たくさん、怪我してたよね。大丈夫……?」心配そうに見つめて
iRiS : 「うん、へっちゃらだよ? ほら、このとおり!」胡桃を抱いたまま、くるりと一回転!
久能胡桃 : 「わっ、わぁぁ……!?」
久能胡桃 : 「む、無茶はしないでよ…!?そもそも何でわたし、お姫様抱っこされてるの……!?」目を回しながら
iRiS : 「お姫様抱っこしてほしそうな顔してたから」適当
久能胡桃 : 「わたしが!?」
iRiS : 「うん、白雪姫みたいな可愛い寝顔してたね」
久能胡桃 : 「なにそれぇ……」
久能胡桃 : 「でも……それで言ったら、藍依のその衣装すごく素敵だね。何だか、深海のお姫様みたい……」くす、と小さく微笑んで
iRiS : 「ふふ、ありがと。七天の頃とは違うイメージになったけど、気に入ってるんだ」
iRiS : 「言いそびれていたけど、胡桃の衣装も良く似合ってるよ」
久能胡桃 : 「ほんと?ありがとう。……ちょっと、パンクっぽいのも可愛いなぁって思ってたから…似合うって言ってもらえて嬉しい」
iRiS : 「ルコが作ったのかな、先輩はセンスが良いね」
iRiS : 「────と、今はそんな悠長に構えている場合でもないんだった」
iRiS : 「ルコとクラのことは、コヨミに任せるとして……」
iRiS : 「今はまともに歩けないでしょ胡桃、もうちょっと私に甘えててよ」体温を確かめるように、胡桃を抱きしめる手に力を籠める。
久能胡桃 : 「悠長に構えられないって言ってたのは藍依じゃんか~……」もう、と頬を膨らませながら……そっと、キミに頬を寄せる。手から伝わる感触は温かだ。
久能胡桃 : 「……結構、元気になったよ。下ろしてくれても大丈夫……藍依こそ、今は無理せず休んで?」
iRiS : 「…………」他の皆から表情が見えないように背を向けて、
iRiS : 「……私が充電できてないから、もうちょっと」おでこを静かに合わせ、胡桃の耳元で囁く。
iRiS : 胡桃は歩けないだろう、というのは触れ合う為の口実だったらしい。
iRiS : 親友に刃を向けるコトになって、強がってはいたが不安だったのだろう。
iRiS : 悠長に構えられないが、この時間は必要だと主張する。
久能胡桃 : 「ふふ……藍依ってば、相変わらず甘えん坊さんなんだから。可愛いね」胡桃もまた、周囲から聞こえないくらいの声で囁く。
久能胡桃 : 「……わたしは、いいよ。しばらくはこのままで……」
天海こよみ : 「……ル……ルコちゃん……? お、おきてる……? だいじょう、ぶ……?」 藍依たちが話している間に、おそるおそるゆっくりとルコに近づいて様子を伺う
GM : キミが恐る恐るルコに近づいた……その途端。
 
クラッドカルト
 
クラ : 「コヨミー!!!!!」
クラ : クラが、ルコの陰からするりと抜け出すようにして、キミに飛びついてくる。姿はキミに似たものに戻っており……そして、この世界においては実体があるようで、不意をつかれる形でキミはしりもちをつくことになるだろう。
天海こよみ : 「わあっ!?」 クラを抱き留めながら、しりもちをつく
天海こよみ : 「え……!? あ、あれ……!? クラちゃん……!? ぼくに近づけて……す、すがたももどって……!!」 混乱している
クラ : 「うん!コヨミとおそろい~!」ツインテールをぷいぷい動かして
天海こよみ : 「お、おそろい……おそろい、だね……! よかった……!!」 とにかくクラが戻って来てくれたことが嬉しくて、笑顔でクラをぎゅっと抱きしめる
クラ : 「よかった…!クラ、うれしい!」むぎゅむぎゅと抱き返す。
澱 カシル : 「どうやら宿主がこよみさんに戻った様子。一安心といったところでしょうか?」
世話の焼ける、といった態度だが、クラッドカルトが戻ってきたことには安堵しているようだ
天海こよみ : 「そうみたい、だね……。ルコちゃんをたおしたから、なのかな……」
天海こよみ : 「……おかえり、クラちゃん!!」 今まで触れられなかった分、優しく抱きしめながらクラの頭を撫でる
クラ : 「ただいま、コヨミ……!ずっとずっといっしょ!」こよみの優しいハグと撫でる手に、幸せそうに目を細めてキミを見上げる。
天海こよみ : 「うん……うん……!」 クラと目を合わせ、嬉しそうに笑う
澱 カシル : 「肝心のルコさんは……」
吹き飛んだはずのルコを探す
GM : カシルがルコを探すと……彼女は、こよみにじゃれ付くクラの陰に隠れる形で気絶していた。
澱 カシル : 「気迫はありましたが、オーヴァードとしては並でしたね……。それに……彼女たちはおそらく……」
とりあえずルコを苦労しながら背負って皆の近くへ移動させる
天海こよみ : 「ルコちゃん……きぜつ、してるの……?」
澱 カシル : 「恐らく戦い慣れていないのでしょう。気迫で補える精神はともかく、肉体の打たれ強さは無かったご様子。」
「こよみさんの澄んだ一突きが完全に入ったみたいですし……気を失うのも無理のない話かと。」
天海こよみ : 「てかげんはしたけど、ちょっと強めにたたいちゃったから……」
天海こよみ : 「あ、あの……。ルコちゃんも気をうしなってるし、みんなけがしてるし……いったん、空き家にもどらない……?」
iRiS : 「いったん休憩には賛成。けど、あの空き家は狭いからどうだろう? ルコ達が寝泊まりしてる屋敷の方が良いかもしれないよ?」胡桃を抱いたまま、くるりと振り返り
天海こよみ : 「あ……そっか。それがいいかも……」
澱 カシル : 「そうですね……空き家で息を整えたら、すぐに移動しましょう。」
「ルコさんが倒れた以上……こよみさんの懸念する"黒幕"が直に動き出すでしょうから。」
GM : キミ達が相談していると……
ルコ : 「ん……」小さく声を上げて、ルコが薄らと目を開く。
ルコ : 「……私……は……」
天海こよみ : 「ルコちゃん……! もうおきてもだいじょうぶ、なの……?」 クラと手を繋ぎながら、ルコに近づいて顔を覗き込む
ルコ : 「こよみ……ええ、不思議と……」キミの横にいるクラを見て驚いたように目を見開く
ルコ : 「……そう。これが…貴方の元の姿なのね……」
クラ : 「む〜……」こよみの横でルコを睨みつける
天海こよみ : 「クラちゃん……クラちゃんがおこるのもしかたないけど、おちついて……。今のルコちゃんはもうひどいこと、できないから……」 クラの頭を撫でてあげる
クラ : 「コヨミ……」頭を撫でられて嬉しそうに目を細める。しばらくは落ち着いてくれそうだ
天海こよみ : 「よしよし、いいこいいこ……」 
天海こよみ : 「……えっと、ルコちゃん。その……見たらわかると思うけど、クラちゃんはぼくの方にもどった、みたい……」
ルコ : 「……私、"クラッドカルト"について何も知らなかったわ……こうなると、本当に貴方と瓜二つになるのね」
ルコ : 「……クラが、嫌がる理由もわかったわ……どうして、私…こんな……」額を抑える。
天海こよみ : 「え……? る、ルコちゃん……? だいじょうぶ……?」
天海こよみ : 「ま、まだいたむかな……。ぼく、けっこうつよくたたいちゃったから……」
ルコ : 「いえ。確かに胸元は痛んだけれども……それよりも、分からないことが多くて……」どこかもどかしげな様子
天海こよみ : 「わからないこと、って……?」 首を傾げる
ルコ : 「……私は……”クラッドカルト”の力を借りた歌声で、冥界中の魂を成仏させるの……そして、プロデューサー……も……」
ルコ : 「……私……こんな幼い子に酷いことをしてまで……どうして、そこまで盲目的に信じて……」自分の行動を振り返り、ぶつぶつと呟く。整理しようとしているようだが、ますます眉間に深い皺が刻まれていくばかりだ。
天海こよみ : 「……なんだか、さっきまでのルコちゃんとぜんぜんちがう……」
澱 カシル : 「落ち着いてください………今までの行為はやはり、誰かに指示されたことなのですか?」
ルコ : 「指示……そう……いえ、違う……私は確かに私の意思で……私は……ファンを……でも……」
天海こよみ : 「……ルコちゃん」 ルコの手をそっと握る
ルコ : 「っ……こよみ……」ハッと顔を上げ、困ったようにキミを見上げる。これまで傲岸不遜に振る舞ってきた姿が信じられないほどに儚く、不安げな姿だ。
天海こよみ : 「だいじょうぶだよ、ルコちゃん……。なんだか、こんらんしてるみたいだけど……」
天海こよみ : 「今はいろいろあって、つかれてるんじゃないかな……。かんがえる前に、少しやすもう? ぼくたち、ルコちゃんのおやしきにおじゃまして、きゅうけいしようって話をしていたところなの……」
天海こよみ : 「そうしたら、きっとそのうち気分もましになるよ。だから、だいじょうぶだよ……」 安心させるように小さく微笑みかける
ルコ : 「……私……そんな、優しくされるべき立場じゃないわ。それだけのことをしていたのだから……それに……」
ココ : 「……それに、デス。もう……色んなリミットがいっぱいいっぱいデしテ……ルコ様、そして皆様を一休みさせてあげられル時間は無さそうデスネ」
GM : キミたちの会話に、ココが割って入ってきた。
澱 カシル : 「………マックナイン、いえ、ココさん。」
iRiS : 「……リミット? どういうことかな、ココ?」抱いていた胡桃をそっと下ろし、ココに尋ねる。
久能胡桃 : 「あっ……」少し寂しげにしながら、同じく不思議そうにココに向き直る。
ココ : 「ンフフ、カシルサンの呼び方の変化にギャルゲーみたいデス!とはしゃぎたいところも山々デスガ……」
ココ : 「取り急ギ、既にお持ちの応急手当用のキットで治療を進めテくださイ。我々奈落華には使わずで結構デスのデ」
ココ : 「処置を進めていル間に、ワタシからご説明いたしマス」
澱 カシル : 「回復キット……誰か持ち込んでいましたか?」
天海こよみ : 「こ、これのこと……かな……?」 カラフルなぺたぺたを取り出す
ココ : 「YESYES」肯定
虹之元 ユメ : 「わ、私も一応……これ、塗るんですかね……」 ユメミに肩を貸しながら現れる
天海こよみ : 「たぶん……」
iRiS : 「え、そのスライムって応急手当キットだったの……!? よく分かんないけど、てっきり弄んで楽しむモノかと……!!」
澱 カシル : 「こよみさんがいつの間にか持っていた玩具ではなかったのですね……」
「……こほん、とにかく急ぎましょうか。」
天海こよみ : 「みんなグミかなにかだと思ってたんだ……」 驚きつつも、手当の準備をする
虹之元 ユメ : 「感触がオモチャのスライムですもんね……」 誰に使おうか、とスライムを手に持ち悩む
 

 
天海こよみ : では合計三つある応急手当キットを、ダメージ受けてるこよみ・ユメ・藍依の三人で一つずつ使います! ビワちゃんにはこよから渡すので、それぞれ使用して回復量出しましょ!
虹之元 ユメ : おっけ! 食べるぞ~!
iRiS : ありがと!ダメージの傷跡が残らないように、治療は大事!
天海こよみ : 2D10 回復量(2D10) > 12[2,10] > 12
iRiS : 2d10 回復量(2D10) > 13[6,7] > 13
虹之元 ユメ : 2d10 どりゃっ(2D10) > 11[9,2] > 11
天海こよみ : みんな似た感じ
虹之元 ユメ : 似たり寄ったり
system : [ 天海こよみ ] HP : 5 → 17
system : [ iRiS ] HP : 6 → 19
system : [ 虹之元 ユメ ] HP : 1 → 12
天海こよみ : じゃあ怪我したところにぺたぺた貼ったりしながら、ココちゃんの話を聞きます!
虹之元 ユメ : 聞こう聞こう! 興味本位にひとかけら食べたらミント味でした
GM : みんなして用途が違うのシュールだな…
 

 
ココ : 「さてさテ……結論ファーストでいきましょウ」
ココ : 彼女はこれまで薄らと細めていた目を見開く。
 
ココ
 
ココ : 「ココ、『冥界』を作ったのはワタシ、MAC-09。皆サマを招待したのモ、ワタシ、MAC-09」
ココ : 「クラサンを取り戻したアナタガタを、ワタシの力で送り返せば、全てが元通リになりマス」
ココ : 「ワタシ以外の奈落華の皆サンには、『この世界は死後の世界である』という認識阻害がかかっていまス。あノ、プロデューサー気取りと相性が悪いユメミサンは逃れたみたイですケド……ア」
GM : キミたちが言葉を飲み込むよりも先に、一息に喋り続けた彼女が見やった先、上空から炎のように輝く真っ赤な矢が複数降り注ぐ。
ココ : 「ンー!反応聞きたイんデスケド…!」ココは上腕からアームブレードを出力、その一部を避け、一部を弾き飛ばして「フゥ…」と額を拭う仕草をする。
ココ : 「……ヨシヨシ。皆サマ、おわかリになりましたカ?」何事もなかったかのようにキミ達を見る。
天海こよみ : 「…………」 目を丸くして、ぽかんと口を開けている
虹之元 ユメ : 「な、な、なるほど……? というか、今のは……!!?」 ぽかんと、上空をキョロキョロ見回して警戒
澱 カシル : 「やはり冥府を作ったのは貴女でしたか。………その"プロデューサー気取り"について詳しく尋ねたいところですが……」
「矢面に立ってはおちおち話もできませんね。」
支援をすべく、矢のいくつかに呪いをかける
iRiS : 「”冥界の主人”と”事件の黒幕”は同一人物だと、てっきり私は思い込んでいたけど……」
iRiS : 「ココの口振りからすると、プロデューサー気取りとやらが黒幕ということで良いのかな……」
iRiS : 「そして、そのプロデューサーが私達と奈落華を衝突させ……その目論見が失敗したと見るや、直接攻撃しはじめたと……?」真っ赤な空を睨む
ココ : 「アー、ンー……合ってるようナ違うようナ、どっちかと言えば違うようナ…」
ココ : 「カシルサン、一旦こちラは大丈夫デス。全部演出といいマスか、ワタシじゃないト干渉できないモノでしテ……」
GM : よく見ると、矢はキミの協力の甲斐虚しく、減速することなく降り続けている。彼女が言うことは真実なのだろう。
ココ : 「皆サマが仰ってタ、第三者からのアクセスがヤバいんデ、こっちの対応に集中しまス」
ココ : 「その代わり……今すぐに、コレを読み解いてくださいネ?」
GM : 直後、キミ達の持つ端末が、何かのリンクを受信したことを知らせる通知が入る。
天海こよみ : 「な、なにか来た……!」 すぐに端末を開いてリンクを確認する
虹之元 ユメ : 怪訝な表情で端末を確認する

情報収集③

GM : ということで、またもや情報収集のお時間です。計3つあります。
 
◆『冥界』と住民について② 〈情報:噂話orウェブ〉7
 
◆ ”ハーデス” 灰出はいで つかさについて 〈情報:UGN〉7
 
◆「プロジェクト:ヴェスパー・ゼロ」について 〈情報:噂話orウェブ〉7
 
GM : 知らない言葉ばかり並べてなんだ!とお思いかもしれませんが、開けてみたらわかると思います。
挑戦される方は宣言の後に登場侵蝕、そのまま判定をどうぞ!あとで購入判定もしていいよ
天海こよみ : では登場します!
天海こよみ : 1d10+83(1D10+83) > 2[2]+83 > 85
天海こよみ : 低い! 偉い
GM : なんて低燃費なの
天海こよみ : では◆『冥界』と住民について、ウェブで調べます!
天海こよみ : 5dx+1 目標値7(5DX10+1) > 10[1,2,4,9,10]+5[5]+1 > 16
天海こよみ : 成功!
GM : 余裕の成功ですね!では情報解禁

◆『冥界』と住民について②
この世界は、生成AIのレネゲイドビーイング”MAC-09”ココによりプログラミングされた、オープンワールド状の仮想空間である。
実体を持つ人間は、この空間に意識のみがデータ化・投影され、肉体は現実に置き去りとなる。
ルコ・ユメミ・胡桃は、真の黒幕である『灰出 司』の能力と、この『冥界』の性質によって形作られたレネゲイドビーイング。
ユメミと胡桃は、両者が人々に残した記憶と記録、死亡現場に残された残留思念を元に、当時の彼女らの記憶まで復元されており、再現性が極めて高い。
一方、ルコは、人々の記憶や残された記録が古く、死亡現場であるマンションも既に取り壊されてしまったため、データ不足により完全な再現には至っていない。
その他の人影は、ただのプログラムであり、意思を持つ存在ではない。
全てはルコ・ユメミ・胡桃の3名を、「ここは死後の世界である」と騙すための仕掛けである。

GM : ようは、
・この『冥界』はココの作り物で、マリスノのみんな肉体置き去りでここに来ちゃったよ
・奈落華は全員レネビだよ
ってこと
天海こよみ : や、やっぱり~…!だからテレビが出入口だったんだよ…
GM : そんな感じでした!ちなみに購入判定チャレンジします?
天海こよみ : します! いつもの応急手当キットで!
GM : 買えるかな…どうぞ!
天海こよみ : このこよみに買えないものはない、見ててください
天海こよみ : 5dx 目標値8(5DX10) > 10[1,7,7,10,10]+10[5,10]+1[1] > 21
天海こよみ : ぺたぺた補充!
iRiS : こよこよが強すぎる
GM : こよちゃん無双だよ!黄色のぺたぺたが手に入りました。
天海こよみ : 戦闘以外の出目が良い女。では自分に使って回復します!
天海こよみ : 2D10 回復量(2D10) > 4[1,3] > 4
天海こよみ : しょぼん
system : [ 天海こよみ ] HP : 17 → 21
GM : 回復の出目は振るわず…手に入っただけヨシ!
天海こよみ : ヨシ! 以上です、次はユメちかな
GM : かもんぬ
虹之元 ユメ : はーい! じゃあ”ハーデス” 灰出 司について に行こう!
虹之元 ユメ : 1d10+86 侵蝕はツケといてください(1D10+86) > 8[8]+86 > 94
GM : ガッツリ行ったな…
虹之元 ユメ : ツケ払いが許されなかった

◆”ハーデス” 灰出はいで つかさについて
FHの技術者兼エージェント兼『奈落華』プロデューサー的立ち位置。男性。他者の記憶や感情を操る能力を持つ。
人工知能学に精通しており、人や場所に残された記憶をサルベージ・学習データとすることで、生成AIとして死者を再現することが可能。
今回、”MAC-09”ココが作った『冥界』に、ルコ・ユメミ・胡桃の3名をAI化したデータを読み込ませ、レネゲイドビーイングとして誕生させた。
また、他者の負の感情を増幅・脳を委縮させることで、洗脳することが可能。
過去の傷や後悔などを引き摺る相手に対しては特に有効であり、ルコは「あかりへの拭えないコンプレックスと、自殺によって大勢のファンを道連れにした後悔」を、
胡桃は「生前のいじめ・ハラスメントによる心の傷と、アイドルへの未練」を抱えていたことから、『冥界』と奈落華としての活動に疑念を抱くことができない状態となっていた。
そして”クラッドカルト”もまた、自我の芽生えにより、「且つて己の能力で多くの犠牲を生み、海底で正気を失うほどの時を孤独に過ごした」経験を悔やんでいたことから、
”ハーデス”の能力下にある『冥界』において、本能に抗おうとする意志が薄弱となってしまっていた。
澪木ルリコの熱狂的なファンである、彼の目的は、「澪木ルリコを蘇らせ、彼女の歌に熱狂する世界を創る」こと。

虹之元 ユメ : ベーシックリサーチは……いらなさそうだな!
虹之元 ユメ : 7dx そらよっと(7DX10) > 10[1,4,5,6,8,9,10]+7[7] > 17
虹之元 ユメ : おお
GM : 余計なプロフィールまで公開されてそうな勢いだよ…では情報出します〜
GM : ようするに、
・灰出司というルリコのオタクが黒幕
・奈落華メンバーは全員ワシが作ったし、洗脳もしてた
・世界中にルリコの布教(過激)をしたい
です
虹之元 ユメ : ガチゆるせねぇ。お前もユメパンチの餌食だ
GM : ぺちっ… ちなみに購入判定はどうします?
虹之元 ユメ : 買うよ!応急キットを狙おう
GM : やってみなさい…(誰)
虹之元 ユメ : 7dx やれるって言ってんだよ!目標8!(7DX10) > 9[1,2,3,5,8,9,9] > 9
GM : やれるじゃねぇの…では紫色のぷにぷにキットが手に入りました
虹之元 ユメ : わぁい、ブドウ味だ。食べます(この場で使用しますの意)
虹之元 ユメ : 2d10(2D10) > 17[9,8] > 17
虹之元 ユメ : パワフルユメち
GM : たまんねぇな
system : [ 虹之元 ユメ ] HP : 12 → 24
GM : では最後、情報がもう一個残っています。これが解放されたらトリガーシーン的なものに進みます
iRiS : ここは任せてもらおうか!今卓、最初で最後の情報収集に登場ビワですよ!
iRiS : 1d10+86(1D10+86) > 3[3]+86 > 89
GM : 低め!良きかな
iRiS : ◆ 「プロジェクト:ヴェスパー・ゼロ」について、調べますよ!
iRiS : コネ:情報収集チームを使用!<情報:ウェブ>で!
iRiS : 4dx+2 <情報:ウェブ>(4DX10+2) > 9[3,4,8,9]+2 > 11
GM : 成功ですね!流石トップアイドルになる女 開示します!

◆「プロジェクト:ヴェスパー・ゼロ」について
”クラッドカルト”による非オーヴァードの支配化計画。
且つてカルト的な人気を誇ったアイドル「澪木ルリコ」を再現したレネゲイドビーイング” ヴェスパー・ゼロ”に”クラッドカルト”を取り憑かせ、
彼女の歌を世界中に届けることで、人々を支配することを企んでいる。
この計画の前身として、”クラッドカルト”の元宿主である”クリスタルホロウ”十条ミツキを利用する計画が存在していた。
しかし、FHの担当エージェントである”アビシス”の失踪や、十条ミツキのジャーム化からの回復、”クラッドカルト”の自我の芽生えなどから、一時は計画自体が頓挫しかけていた。
しかし、噂を聞いた”ハーデス”が引き継いだことで、計画は「プロジェクト:ヴェスパー・ゼロ」と名を変えて再始動。
”クラッドカルト”を”ヴェスパー・ゼロ”ルコの歌でおびき寄せ、『冥界』に閉じ込めることで、現在の宿主である天海こよみから引き離す。
同時に、『彼』が馴染みやすいよう、こよみが所属するMARiNE SNOWに縁のある人物を集めることで、
疑似的にマリスノを再現したアイドルグループ・奈落華を通じて、”クラッドカルト”の懐柔を試みた。

GM : つまり、
・本編とか色々でやろうとしてる、クラちゃんを使ったノーマル支配計画の一環
・灰出の目的となんか合致した
・奈落華は闇マリスノ概念(?)
ということです
iRiS : なるほどね……計画のために推しや他アイドルを利用するなんて、ファンの風上にも置けないやつだ……
GM : オタクの多様化ですな(?) 購入等あればどうぞ!
iRiS : おそろいの応急手当キットを狙いましょう!
iRiS : 3dx 調達(3DX10) > 10[5,8,10]+1[1] > 11
iRiS : よしよし
GM : 成功成功成功!虹色のもちもちキットでした。
iRiS : ゲーミングもちもち!? 「iRiS」がギリシャ神話で虹の神だから!?
GM : それがいいね!そうです!そのつもりでした!!!!
iRiS : 今そういうことにしたやつだコレ!!!!
iRiS : ともかく、自分に使いますよ! ゲーミングパワー!!
iRiS : 2d10 回復量(2D10) > 12[4,8] > 12
system : [ iRiS ] HP : 19 → 24
GM : リキ、入ったな
iRiS : よ~~し、全快! クライマックスもばっちりだ!!
GM : こりゃもう勝利間違いなしですわ…では、トリガーシーン解放です!進めましょう

Trigger Scene 03 人造のヴィーナス

 
冥界のライブステージ
 
GM : キミ達がココから送られてきた情報を読み解き、明かされた真実の数々。ルコ達、奈落華メンバーもその話を横で聞いていた。ユメミは神妙そうな、どこか納得したような表情。胡桃は不安げだが、ありのまま受け入れようとする態度。そして……
ルコ : 「……待って。意味が……分からない」
ルコ : ルコは、鎮痛な面持ちで額を抑える。
ルコ : 「レネゲイドビーイングって……藍依が教えてくれた……ココや、カシルのような存在のことよね」
ルコ : 「……私達もそう、なの?」
天海こよみ : 「……。ココちゃんの情報が本当なら……」
天海こよみ : 「そう、なる……ね」 言いづらそうに、それでも肯定する
ルコ : 「………」目を伏せて、緊張をほぐすように息を漏らして。
ルコ : 「……だと、したら……『澪木ルリコ』でもない私は、誰だと言うの……?」
ルコ : 「今更気づいたの……私、昔のこと何も思い出せない」
ルコ : 「きっと、『澪木ルリコ』には家族も友人もいたはず。それなのに、私の中にあるのは、ステージ上での記憶だけ……情報はあるのに、情景は微塵も浮かばない」
ルコ : 「……まるで、スポットライトの光が、全てを塗りつぶしてしまうみたいに……」
ルコ : ルコはその場で、足を抱えるように座り込む。ボリュームのある黒髪が、彼女の表情を覆ってしまう。
天海こよみ : 「……。ルコちゃん……」 すぐ傍に座って、その手に触れる
ルコ : 「ッ…!」大きく肩を震わせ、恐る恐るこよみを見上げる。どこか怯えたような表情だ。
天海こよみ : 「…………」 ルコが見上げると、こよみは静かに涙を流しながらルコを見つめていることが分かる
ルコ : 「こよみ……?ど、どうして泣いているの……?」驚き、困惑したように
天海こよみ : 「……だ、だって……ルコちゃんが……かわいそうで……」
天海こよみ : 「知らない人にかってにこんな風によみがえらされて、やりたくないことを自分の意思だと思い込まされて、あやつられて……」
天海こよみ : 「それだけでもひどいのに、かぞくも、おともだちのことも……何も思い出せないなんて……」
天海こよみ : 「そんなの……そんなの、あんまりだよ……!」
天海こよみ : 涙と感情を溢れさせながら、ルコを抱きしめる。
ルコ : 「こよみ……」自分を抱きしめる小さなキミに、そっと手を伸ばし……ルコの細い腕が、キミの背に回される。
ルコ : 「……優しいのね、貴方は。きっと……そういうところが、あかりちゃんにとてもよく似ているのでしょうね……」
ルコ : 「……貴方が代わりに泣いてくれたから……私、大丈夫よ。だから……貴方ももう泣かないで良いの……」
GM : そう言って、ルコはキミの頭を優しく撫でる。まだその手は震えていたが、キミのお陰である程度落ち着いたようだ。
天海こよみ : 「……! ご、ごめん、ルコちゃん……っ。ルコちゃんが、いちばんつらいのに……」 慌てて涙を手で拭う
天海こよみ : 「本当に泣きたいのは、ルコちゃんなのに……ごめん……」
ルコ : 「いえ……私、人前で泣くのは嫌いだから。これで良いの」こよみを再度抱き寄せ、背中をぽんぽんとたたく。
ルコ : 「……ありがとう、こよみ」
天海こよみ : 「う、ううん……ぼくは、何も……」
天海こよみ : 「……ルコちゃん。元気出して……なんて、そんなこと、言えないけど……」
天海こよみ : 「ぼくたち、ルコちゃんの味方だから……。これから先、何があっても……」
天海こよみ : 「だから、その……つらかったら、言ってね……?」 頼りにしてほしい、と抱きしめる手に力を込める
ルコ : 「……そうね。ずっと……傷つけるようなことを言ってしまったけど」
ルコ : 「信用しているわ、こよみ。ありがとう…」そう言って、小さなキミをそっと抱き返す。ルコの体は華奢だが、温かだ。
天海こよみ : 「……!」
天海こよみ : 「うん……うん……! ありがとう、ルコちゃん……!」 涙の跡を残したまま、嬉しそうに微笑む
天海こよみ : 変えちゃいましょう…ルコちゃんのロイスを、Sロイスに
GM : Sロイスにしたんだ、アタシ以外の奴を……(?)
GM : 了解です…!
天海こよみ : み、ミツキちゃん…! い、今だけは許してください
GM : 今回のHOロイスはこのルコよ…
春兎ユメミ : 「……そうか。ルコは……アタシとは少し違うんだね」ルコとこよみの様子を心配そうに見ながら。
春兎ユメミ : 「アタシは…全部、バッチリ思い出せる。そりゃ、幼稚園とかの記憶は朧気だけど…」
久能胡桃 : 「わたしも……藍依と同じ部屋になって、藍依のことを看病した日のことも覚えてる。……もちろん、死んでしまったあの日のことも」
久能胡桃 : 「……レネゲイドビーイングかぁ……なんか、実感ないかも」少し困ったように首を傾げて
iRiS : 「オーヴァードとかレネゲイドビーイングとか、本物とか偽物とか。自身の存在をそんな枠組みに当てはめても仕方ない話だと私は思う」
iRiS : 「……私は私で、キミはキミだ。それ以上に重要なことはない」
久能胡桃 : 「……そう、だね。わたしも、藍依も、カシルちゃんもルコちゃんも……他の誰でもない、よね」納得したように微笑む
久能胡桃 : 「でも、分からないのは……結局、わたしたちは灰出……?さんに造られたってことなんだよね?わたし、会ったことないんだけど……」
iRiS : 「プロデューサー気取り、ってココは言っていたけど、一度も会ったことがないの?プロデューサーなのに?」首を傾げる
久能胡桃 : 「うん、少なくともわたしは…」
澱 カシル : 「そんなプロデューサーはプロデューサーと呼べるのでしょうか……?」
iRiS : 「まあ、ウチのプロデューサーも滅多に表に出てこないから、あんま他所のこと言えないけどね……」肩を竦める
虹之元 ユメ : 「オーメンさんはよく働いてくださってますけど、此方の……"ハーデス"さんの方は、放任的なんでしょうか……」
澱 カシル : 「それでも、オーメンさんがわたくしたちの力量を見極めているからこそのMARiNE SNOWでしょう……?」
天海こよみ : 「ルコちゃんたちは……? 会ったことあるの……?」
春兎ユメミ : 「アタシはない、けど…」
ルコ : 「……あるわ。私とココは彼と話したことがある」
天海こよみ : 「あるんだ……! 今はどこにいるの……!?」
ルコ : 「それは……わからないわ。この世界に来た……いえ、生まれた時以降は、会っていないから」
天海こよみ : 「そっか……。こっちから会いに行けたら、止めることもできると思ったんだけど……」
ルコ : 「……恐らく、彼はこの『冥界』の外に……いわゆる現世にいるのでしょうからね」
ルコ : 「何かの助けになるかはわからないけど……話しておきましょうか。私がこの世界に来た時のことを」
天海こよみ : 「う、うん……ルコちゃんが話してもいいなら……聞きたい」
ルコ : 「ええ。隠すことでもないし……これから話す話のほとんどが、嘘で塗り固められていたものだから」ルコは、小さなため息をついてから語り始める。
ルコ : 「私が、この世界に生まれた時……一人ぼっちだったの。真っ黒な人影だらけの街で佇んでいたところで、プロデューサー……いえ、司さんと出会った」
ルコ : 「彼は澪木ルリコの熱心なファンだったから、顔も名前もすぐに分かったわ。どうしてここに、と聞いたら……私の後を追って死んだからって。恐らく、ここは冥界だ、そう語っていた」
ルコ : 「……今思えば、彼の記憶由来で再現されたのが私なのだから……覚えているのは当然ね」
ルコ : 「……話を戻すわ。彼は私が来る前からこの世界に居て、天国にも地獄にも行けないと困っていた。それは、澪木ルリコがトップアイドルになる前に死んでしまったからだって」
ルコ : 「自分以外にも、当時、私の後を追って死んでしまった人が冥界に大勢いる。早く解放されたい。その為に、貴女の歌が必要だって……彼はこの世界で、私のプロデューサーになったの」
ルコ : 「……最も、彼はプロデュースらしい活動は何もしていなかったのだけど……ここに生まれた私の活動指針としては活躍してくれたわ」良くも悪くも、と目を伏せる。
天海こよみ : 「そっか……。だからルコちゃんは、その……司さんの話を信じて、歌っていたんだね……」
天海こよみ : 「じゃあ、クラちゃんのことを教えてくれたのも……?」
ルコ : 「ええ、お察しの通り」
ルコ : 「彼は語ったわ。今の私……この冥界に再誕した澪木ルリコの歌には、特殊な力がある。”クラッドカルト”と呼ばれる存在の力を借りれば、冥界中に歌を響かせることが出来る。そして…”クラッドカルト”はしかるべき時に訪れる」
ルコ : 「その機会を絶対に逃がすな、『彼』の力を利用すれば、私のせいで死んだファン達……そして私も、この世界から解放されるって」
ルコ : 「突拍子もない話、知らない概念、数々の矛盾。納得は出来ないのに……妙な説得力があって。気づけば、私はその計画に夢中になって……今に、至るわ」
天海こよみ : 「きっとその時から、司さんの能力がかけられてたんだろう、ね……」
ルコ : 「今思えば、そういうことね。……私は私で、恐らく彼が想定しない中で、その言葉を信じたい思いがあったから……尚更嵌ってしまったわ」馬鹿ね…と小さく笑う
天海こよみ : 「し、しかたない、よ……。ルコちゃんにも、後悔があって……それに一人だったんだから……」
澱 カシル : 「………ええ、無理のないことかと。」
「右も左も分からない中で、ただ目的だけが在れば……縋りたくもなるというもの。」
「わたくしにも覚えがありますし……ルコさんが愚かとは申しません。」
iRiS : 「元をただせば、ルコにファンに報いたいという強い願いがあったからでしょう?」
iRiS : 「それはアイドルとして、当然のことだ」
iRiS : 「その祈りは、決して罪とは呼ばないよ……許されない罪があるとしたら、ルコの想いを踏みにじり、騙して利用した"ハーデス"にだッ……」グッと拳を握りしめる
ルコ : 「……ありがとう。でも……貴方達は、私を誤解しているわ」
ルコ : 「ファンに報いたい気持ちももちろんあった。でも、それと同時に、私は……」
ルコ : 「……ここで、ずっと戦っていれば……遠い未来、あかりちゃんに会える日が来るかもしれない。そんな望みも抱いていたの」
天海こよみ : 「ママに……?」
ルコ : 「……そう、貴方のお母様の……あかりちゃん」
ルコ : 「今度こそ、きちんと向き合ってお話できると思ってた。『一度逃げてしまってごめんなさい。それでも、駄目な私なりに頑張ってみたの』って」
ルコ : 「あかりちゃんがここに来てしまったのなら、彼女のために歌って。私が赦されて、光の園で待つ彼女と会えたのなら……それはそれで、私には過ぎた幸せだと思ってたわ」
ルコ : 「……でも、あかりちゃんは既に亡くなっていて、冥界なんてものは存在しなくて」
ルコ : 「そもそも、この想いも、あかりちゃんとの思い出も……私自身も、全部紛い物だった」
ルコ : 「……私を形作る全ての要素が、気持ち悪い……そう、思うわ。たくさん励まして貰ったけど、これは……少しずつ、飲み込まなくてはいけないわね」
天海こよみ : 「ルコちゃん……」
天海こよみ : 「……ルコちゃんのつらさは、ぼくにはきっと分からないくらい……大きいと思う……だけど……」
天海こよみ : 「……ルコちゃんが本当の澪木ルリコじゃなかったとしても……全部紛い物、だったとしても……」
天海こよみ : 「それでも、ぼくと出会って、信用してくれたルコちゃんは……ここにいるルコちゃんしかいないよ」 
天海こよみ : ルコの手を握りながら、優しく微笑む。
ルコ : 「……ありがとう、こよみ。貴方には救われてばかりだわ」キミの小さな手を包み返して、困ったように小さく微笑む。
ルコ : 「あかりちゃんと同一視するつもりは無いけれど……少し、似てる気がするわ。私が言うのもおかしいでしょうけど」
天海こよみ : 「そう……? 自分ではあんまり分からないけど、ママとにてるって言われると……なんだかうれしいな……」
虹之元 ユメ : 「こよみちゃんは強い子ですし、輝かしいものを秘めている子ですからね。それに……」
虹之元 ユメ : 「紛い物だとしても、これまでで培われた自分だけのものがあるはず……って、私は思いますっ」私個人の感想ですが……と苦笑いを浮かべて
春兎ユメミ : 「……るみ……」そう語るキミを見て、やや躊躇うように唇を噛んでから。
春兎ユメミ : 「……アタシも……それは、信じてるよ。アタシだって、好きなバンドのコピーから入ったし……これまで聴いた曲、経験、その全部がアタシを作っているから」
虹之元 ユメ : 「……はい、私も……模倣からです。空っぽだった私が、アイドルとして築きあげたものはたくさんあります……」ユメミの言葉に深く頷いて
虹之元 ユメ : 仲間メンバーや、自分だけの表現パフォーマンス……。きっと、ルコちゃんにも自分だけの何かが芽生えているはずです……!」
虹之元 ユメ : 「……かという私も、まだ自分探しの途中なんですけど、ね……?」 気まずそうにユメミに微笑んで
澱 カシル : あれだけ泣いていたユメを心配していたが、その言葉を言えるならきっと立ち直れるだろう。
そう信じて密かに微笑む。
春兎ユメミ : 「……前提として」すぅ、と息を吸って
春兎ユメミ : 「るみるみは空っぽじゃないからな!!凄いんだからな、るみるみは!!!」
GM : ユメミは、ユメから目を逸らし…空を睨みながら大声を上げる。
虹之元 ユメ : 「ふぇ……」ぽかんと目を丸くしてユメミを見つめる。
天海こよみ : 「ユメミちゃん……? ユメちゃんは、こっちだよ……?」 ユメの服の裾をちょいちょいと触りながら
iRiS : 「照れてるんだよ、顔を見て言えばいいのにね」肩を竦めて笑う
澱 カシル : 「顔を見て言えないこともあるのですよ。藍依さんも照れるとそんな感じですよね?」
iRiS : 「……今、私のことは良いでしょ!?」小声で抗議する
春兎ユメミ : 「わかってますぅー!ちょっと……ああもう、アタシちゃんとしたことが……ッ」頭をくしゃくしゃ、とかいて
春兎ユメミ : 「てか、3人は知ってんじゃん……アタシがこう、諸事情アリだったこと……!」
iRiS : 「言ったじゃん? 事情はどうあれ、ちゃんと向き合って"告白"するべきだって?」言い方に問題アリ
天海こよみ : 「それは知ってるけど……ユメちゃんのいる方向、まちがえたのかと思って……」
春兎ユメミ : 「アイは言い方ヤバいっての!こよみは天然ボケしない!カシルも何かする気だろっ!」
澱 カシル : 「………冤罪では!?」
虹之元 ユメ : 「えっ、えっ……!? な、何のお話ですか……!?」ユメミと皆を交互に見て
天海こよみ : 「え、えっと……なんでもない、よ……?」
澱 カシル : 「わたくし達からは何も。ユメミさんからきちんと"顔を合わせて"伝えるべき事でしょうから、ね?」
天海こよみ : 「べつにユメミちゃんとさっき、ユメちゃんのことでお話してたとか……そういうわけじゃないから……」 目を逸らしながら
澱 カシル : 「………こ、こよみさん!」
バレバレなこよみの口を塞ぐが手遅れである
天海こよみ : 「んんん~」 口塞がれてる
iRiS : 「…………これはユメミが悪いかな」照れてモタモタしてるからとユメミを見る。コヨミに甘い。
春兎ユメミ : 「マジか〜、いやまぁ……バチが当たったとも言うかな……」ワチャつくちびっこ2人を見て溜め息
春兎ユメミ : 「……でも……そうだね。るみとも、今のうちに話しておかないと」
春兎ユメミ : 「ごめん、るみ。さっきは……いや、この世界に来てから、ずっと傷つけてばかりで」そう言って、キミに手を合わせる。
虹之元 ユメ : 「そ、そんなこと……! それを言うなら、私の方こそ……色々と無神経なことを……」
春兎ユメミ : 「いや……アタシは、何も。るみのやってきた事を……否定しちゃったのは、アタシだから」
虹之元 ユメ : 「謝らないでください……。ほら、さっき言ったじゃないですか……戦闘中だったので、覚えていないかもですけど……」
虹之元 ユメ : 「仲直りしましょう、って」
春兎ユメミ : 「……覚えてるよ。全部覚えてる……アタシがアタシを殺したアイツと同じ力に目覚めてしまったことも……」
春兎ユメミ : 「るみが、セッションしようと言ってくれたことも」
春兎ユメミ : 「アタシは……るみを無理やり遠ざけようとしてた。仲直りというよりは……もっとちゃんと、向き合わないとね」
春兎ユメミ : 「会えて嬉しいよ、るみ」真っ直ぐに伝え、そう笑う。やや申し訳なさそうだが……これこそ、キミがよく知るユメミだ。
虹之元 ユメ : 「────!!」思わず、わっと涙が溢れる。
虹之元 ユメ : 「はい、はい……! 私も、ずっと……」
虹之元 ユメ : 「ずっと、会いたかった……っ」ユメミを固く抱きしめて、喜びに満ちた笑顔を浮かべる 
春兎ユメミ : 「オ、おぁぁ……ね、熱烈だなぁ、るみるみは……!」抱き返し、わしゃわしゃと頭を撫でる。
春兎ユメミ : 「で、でも!依存しすぎ、ってトコはマジで気をつけるんだぞ!ギター弾いてたのも髪型も芸名も、ホントにビックリしたから!」
虹之元 ユメ : 「はいぃ……で、でも芸名にはちゃんと別の意味もあっでぇ……」しゃくりあげながら、コクリコクリと頷く
春兎ユメミ : 「そうなの!?き、聞いてやろうじゃないの……」
虹之元 ユメ : 「ぐすっ……はい……」涙を拭って
虹之元 ユメ : 「虹の根本には、お宝が眠っている……なんてお話を聞いたことがあるんです……」
虹之元 ユメ : 「あり得るハズもない、夢の寓話。だからこそ……」
虹之元 ユメ : 「そんな希望を夢見続ける……。そんな芸名だったんです……」
春兎ユメミ : 「……なんか……アタシが過剰反応しすぎた感あるな」頬をかいて
春兎ユメミ : 「でも、そう考えると……良い芸名じゃんね。それに……全くの寓話ってことはないんじゃないか?」小さく笑って
虹之元 ユメ : 「はい……。おかげ様でちょっとずつですけど、虹に近づいています……」柔らかく微笑む
春兎ユメミ : 「おうよ。……無理は禁物だけど……でもさ」
春兎ユメミ : ユメの胸元を、コツンと叩いて
春兎ユメミ : 「ハートに響く、良いサウンドだったよ。アタシの相棒ギター……大切にしてくれよな」
虹之元 ユメ : 「もちろん、です! ユメミちゃんと同じくらい、大事にしてます……!」
春兎ユメミ : 「うん。……いや、ただ……願わくばアイドル業を主軸で頑張って欲しいけどな!あと健康第一!」
春兎ユメミ : 「もし死んでも、アタシちゃんには会えないんだからねっ」ふん、と腕を組んで見せる。
虹之元 ユメ : 「悲しいことは言わないでくださいよぉ……」ぐすぐすと目元を濡らして
虹之元 ユメ : 「でも、はい……少し、見直してみようと思います……」
虹之元 ユメ : 「まずは毎日寝るところから……」
春兎ユメミ : 「そっから!?るみるみの生活習慣見直し、そっからなの!?」
春兎ユメミ : 「た、頼むぜ〜マリスノのみんな……この子を強制的に寝かせるとか、そういう超能力で……」
天海こよみ : 「そういう能力はないけど……また寝落ち通話、してみるね……。ぼくの方が先に寝ちゃったけど……」
澱 カシル : 「金縛りなどは出来ますが……それでは安眠にはならないと言われましたね……」
「簀巻きにしておけば嫌でも寝られるでしょうか……?」
睡眠エアプのカシルである
iRiS : 「ふふ、まったくユメも困った子だよねえ……」肩を竦めて
虹之元 ユメ : 「ちゃ、ちゃんと寝るつもりですよ~……!?」
天海こよみ : 「……ユメちゃん」 ユメに向き直って、
天海こよみ : 「もう、いやな夢……見なさそう?」 小さく首を傾げる。ユメが眠れないのは、もしかしたら夢見が悪いからなのではと推測したらしい
虹之元 ユメ : 「……確信はありませんけど、きっと……」少しだけ、顔を俯かせて
虹之元 ユメ : 「きっと、大丈夫ですっ。いざとなったら、夢の中に皆が助けに来てくれそうですし……」
虹之元 ユメ : 「ユメミちゃんも、その時は助けてくれたら嬉しいな……」冗談めかして笑う
春兎ユメミ : 「だーから、依存禁止!みんなが『冥界』から出たら、もうバイバイだろうし!」
春兎ユメミ : 「……でも、まぁ……万が一そんなことになったら、駆け付けたいぜ?アタシちゃんだって……」両手の人差し指をつんつんと合わせて
虹之元 ユメ : 「えへへ……冥界の皆が、気軽に遊びに来れたらな……」ユメミの様子を微笑ましく見つめて
iRiS : 「冥界から出たら、もうバイバイか……」覚悟していた事ではある。が、胡桃に向かう寂しげな視線は隠せない。
久能胡桃 : 「藍依……」胡桃もまた、少し寂しそうに
久能胡桃 : 「でも、ほら……会えただけ奇跡だと思うし……ね?」自らを元気づけるように微笑む
iRiS : 「そうだね……うん、その通りだ……」目を伏せ、自らを言い聞かせるように反芻する。
天海こよみ : 「あの……そのこと、なんだけど……」
天海こよみ : 「この世界って、ココちゃんが作って……ココちゃんがぼくたちを連れてきたって言ってたよね……?」
天海こよみ : 「それなら、これからもココちゃんにまた連れてきてもらえないのかな……?」
久能胡桃 : 「それは……」ちら、とココを見て
GM : ココは相変わらず忙しそうに、飛んでくる矢をいなし続けている。……始まってから何分経っただろうか?
ルコ : 「……アレで死ななきゃ、ですけど…」
春兎ユメミ : 「大丈夫なのか〜?アレ」
天海こよみ : 「ココちゃーん……!!」 少し大きめの声で呼ぶ
ココ : 「あえェ!?ワタシ!?」バク宙しながら慌てたように
ココ : 「ンムム~……確かニ、このママじゃ話になりまセんもんネ。取り急ギ、これデッ」
GM : ココがえい、と天井を指差すと、半球型のドームのようなバリアが張られる。
GM : これまで飛んできていた矢は、バリア越しに弾かれていく。やれやれ、と言った様子で、ココはキミたちの元にやってくる。
天海こよみ : 「ごめんねココちゃん、なんだかたいへんなのに……」
澱 カシル : 「………最初からそれで良かったのでは……? と思いましたが……長続きはしないのでしょうね。」
ココ : 「オ察しの通りデス。対応をマ……エ~、自動化させマしタ。多少は時間を稼げルでしょウネ」
ココ : 「ア、ちナみにこのバリアは、ワタシの力ではなク……視覚的に分かりやすくした演出デス。この空間は全部ワタシ次第なので……こういうコトもできマス」
GM : ココがそう言った途端、奈落華のメンバーの服装がシャッフルされたように変わっていく。これまでキミ達が見ていたものと異なる、ステージ衣装の数々……そして、最後は彼女たちの私服へ。
天海こよみ : 「わ……かわった……。べんりだね……」
虹之元 ユメ : 「わあ、早着替え……」
琵琶坂 藍依 : 「アイドルの必須技能みたいになってきてるな、早着替え……」自身も私服に戻る。今は戦闘衣装に着替えていても力になれない、と判断したためだ。
ココ  : 「エンジェルハイロゥの方ハ、ご自身で出来るカラ便利デスネ。良い力デス」
ココ : 「さてさテ…なにかラお話ししましょウ?」
天海こよみ : 「あのね、さっき話してたんだけど……」
天海こよみ : 「ぼくたちが外に出た後、ココちゃんの力でまたこの世界に連れてきてもらえることってできないのかな……って……」
ココ : 「ン〜……どうデスかネ。やったコトないのデ」
ココ : 「それニ……皆様を帰す前ニ、色々ご説明差し上げないト。もし煩わしいようデしタラ、ワタシをブッ壊してくれたラすぐに帰れますガ……少し、お時間いただいてモ?」
天海こよみ : 「こ、こわさないよ……!?」
琵琶坂 藍依 : 「しないしない……いろいろ聞きたいことがあるし、そうでなくても意味なく乱暴しないよ……」
虹之元 ユメ : 「わ、わたし達はそこまで非道ではないですよ~……。ちょっと時間がかかってもいいので、お話してくださいっ」
澱 カシル : 「張っていただいた膜がいつまで保つのかも分かりませんし、時間が掛かり過ぎるのも拙いかもしれません……。 無理のない範囲でお願いします。」
ココ : 「そうデスネ、手短にいきましょウ」
ココ : 「そもそも、ワタシがどうしテこんな遠回りな方法を取っていたカって、ご存知デシたっケ?何だか自然に受け入れられているようデ…」
天海こよみ : 「ううん、ぜんぜん……。もしかして、司さんにバレないようにしてたのかな……ってかんがえてたけど……」
琵琶坂 藍依 : 「カシルが"悪意はない"って判断したから、カシルを信じて信用はしてた感じだね」
澱 カシル : 「存じてはいませんが……わたくしの悪意の感知とこよみさんの予想から、第三者に意図がバレないようにしていたのでは……と考えることは出来ましたね。」
ココ : 「その通リデス。流石、こういう場に慣れていらっしゃいマスネ」
ココ : 「彼ハ、ワタシの目と耳を通じてこの世界を観測しテいましタのデ。取り敢えず目を細めてみたリ、このデバイスを付けて妨害工作したリ、色々やっていましタ」
ココ : 「でモ、ワタシは生まれつき善のAIというワケでは無かったのデス。そもそモ、ワタシの開発者が灰出でしたしネ」
天海こよみ : 「そ……そうなの……?」
琵琶坂 藍依 : 「ハーデスは人工知能に明るかったみたいだもんね、さっきの資料に目を通した時点で予想はできた」
琵琶坂 藍依 : 「けど、だとしたら何故、生みの親に逆らうようなことを?」
ココ : 「アー……そうデスよネ、そこからデスネ」やや困ったように
ココ : 「ルコ様を……全ての『ルリコ』サンを救うのが、ワタシの使命だと、ワタシが考えたからデス」
ココ : 「ワタシは、ルコ様に生まれつき惚れていマスかラ」
天海こよみ : 「え……えっと……それって、ファン……ってこ、と……? だよ、ね……?」
ルコ : 「……この後に及んでふざけているのなら、怒るわよ」
ココ : 「いやァ、これが大真面目デス。ファンとも言いマスガ…」だから怒らないデ、と手を振って
ココ : 「…コホン。今回の『プロジェクト:ヴェスパー・ゼロ』は、「澪木ルリコ復活計画」としてハ9度目の試みデス」
ココ : 「この計画は、灰出が作成した生成AI、MAC-01……『第1世代 Microcosm Access Controller』が構築したワールド上での、澪木ルリコの再現から始まったモノなのデスヨ」
ルコ : 「……それは……ごめんなさい、頭が痛くなるけれど。つまり、私は…」
ココ : 「ハイ。AIとしては9人目のルリコサンになりマスネ」
天海こよみ : 「9人目……って……。じゃ、じゃあ、あとの8人のルコちゃんは、どこにいるの……?」
ココ : 「……結論としテ、これまでの計画は全て失敗していマス。失敗する度、灰出は彼女ごとワールドをデリートすることを繰り返してきましタ」
ココ : 「つまりは、もウ……」そう言って言葉を濁す
天海こよみ : 「……そう、なん……だ……」
天海こよみ : 「る、ルコちゃん……」 心配そうにルコを見る
ルコ : 「……ふざけているわね……今日だけで3回目の大きなショックよ」目を伏せている。言葉面では気丈そうだが、やはりノーダメージとは行かないようだ
天海こよみ : 「うん……」
天海こよみ : 「……でも、ショックなのつらいと思うけど……まだ、聞かなくちゃ……。ぼくもいっしょに、ちゃんと聞くから……」 ルコの手を握る
ルコ : 「ええ……そう、よね。ありがとう、こよみ」小さく微笑んで手を握り返す
天海こよみ : 「ううん……」 ルコに微笑み返してから、ココの次の話を待つ
ココ : 「……ワタシは、学習型のAIなので、世代を超えて当時の記録が残されていマス」
ココ : ココは、先ほどまでルコが武器にしていたマイク──今はただの石に戻っているが──を手に取り、口元に近づける。歌を歌うような仕草だ。
ココ : 「『ルリコ』サンは、どの世代においてモ、気高く、ひたむきでしタ。灰出の、ファンの想いを今度こそ叶えなくてはならないト、歌い続ケていましタ」
ココ : 「その歌と想いは……壊れてしまっタ灰出にハ届きまセんデシタ。……でモネ」
ココ : 「……彼女の歌と共にあり続けたMACシリーズ。タダのプログラムだったワタシは、『第9世代 』にして……レネゲイドビーイングとして生を受け、感情を手に入れましタ」生まれつき…というのはそういうことデス、と笑う
天海こよみ : 「……それで、ルコちゃんが好きになったから……助けてあげようと、思ったんだ……」
ココ : 「そうデスネ。ワタシが片言で喋りたくなるのも、ルコ様が持つ『ロボット』のイメージに影響を受けたからなのですよ?…なんテ」
ココ : 「……ワタシは、間接的に『ルリコ』サンを苦しめ続けていましタ。それでモ、こんナ所業は一刻も早く終わらせナいといけないんデスよ。被造物であるワタシにも分かりマス」
ココ : 「だかラ……色々とマァ、このようなコトになりましタ」
琵琶坂 藍依 : 「なるほどね……」
琵琶坂 藍依 : 「"冥界に再誕した澪木ルリコの歌には、特殊な力がある"……この言葉自体は、ハーデスの出まかせだったかもしれないけど……」
琵琶坂 藍依 : 「ココが生まれた経緯は、紛れもなく奇跡……『嘘から出た真』とは、まさしくこの事だ……」
ココ : 「アハ、上手いコトをおっしゃル!でもホント、その通りデス」
ココ : 「ルコ様。……ワタシは、アナタという『個』を尊敬していマス。オリジナルの『るー子』とも、これまでの『澪木ルリコ』とも、誰とも違いマス」
ココ : 「そんナに自分を追い詰めず……コヨミサンを始め、皆様のオ言葉を素直に受け取っテくださイ」
ルコ : 「……私をルリコでもるー子でもなく、『ルコ』と呼び始めたのは、貴方だったわね。ココと合わせて姉妹みたいで面白い、第二の人生に相応しい名前……とか何とか、変なプレゼンをして」
ルコ : 「それも、今日私が事実を知った時、傷つかないようにする布石だったのかしら」
ココ : 「ン~……その言葉も嘘じゃなくテ、割と全部マジだったんデスけどネ」
ルコ : 「ふん……そうなの」そう言って、きゅっとこよみの手を握る。身近にいるこよみは、彼女が小さく微笑んでいることに気づく。
天海こよみ : 「…………」 その表情に気付いて、ルコを見つめて小さく笑う
ココ : 「さテ……先ほど申し上げた通リ、ワタシは常に監視されていマス。この世界を壊すためにハ、ワタシ以外の誰かに動いテいただく必要がありマしタ」
ココ : 「灰出に、MARiNE SNOWに縁があるユメミサン、胡桃サンも復活させたらどうカと提案したのも、ワタシデス。表向きの事情ハ、皆様がご存じの通リなのデスガ」
琵琶坂 藍依 : 「ココが……?」
ココ : 「えェ。味方になってくれそうナ、まともナ善性をお持ちかト思いましテ……」
ココ : 「……ただ、灰出の認識阻害能力はワタシの計算以上に成長しテいましタ。それでェ……」
久能胡桃 : 「……わたしも、ああなっちゃったの?」
ココ : 「……面目ないデス…」
天海こよみ : 「で、でも、ココちゃんに悪気があったわけじゃないんだし……っ。それに、なんとか正気にもどせたし……!」
春兎ユメミ : 「…こよみの言う通り…だね。それに、アタシはほら…まともでいられたし。何なら……ワンチャン、ココを壊せば解決かなって思ってたから…」
ココ : 「思わヌ伏兵!?」
虹之元 ユメ : 「あ、相変わらずワイルド……!」
琵琶坂 藍依 : 「これでスパイ向きとか、よく言えたな……」
春兎ユメミ : 「し、仕方ないじゃん!明らかに怪しかったし……」どうやら、以前提案したキミたちを現世に帰す作戦とはこれの事だったようだ
天海こよみ : 「と、とにかく、ココちゃんをこわすことにならなくてよかったよ……」
虹之元 ユメ : 「そ、そうですね。計画も未遂で終わってよかったです」胸を撫でおろして
ココ : 「ホントデスよォ、ルコ様も救えずバッドエンド一直線デス!」
ココ : 「エ〜…結論、内部かラ計画を壊すコトは叶いませんデしタ。ワタシ自身がレジスタンスに加担できなイ以上、ユメミサンお一人に任せるのハ、チョッとリスキーでしタしネ……」
ココ : 「だから、第二の矢として……”クラッドカルト”を誘拐した時。同時に、アナタガタも招いたのデス」
澱 カシル : 「………招かれましたっけ?」
全員がクラを追って自分から飛び込んだので、招かれたという意識が無い
琵琶坂 藍依 : 「招待状は届いていなかったかな」
ココ : 「招きマシたァ!!ホラ、ルコ様の素敵なお歌をプレゼント!」
虹之元 ユメ : 「……あっ。もしかして、あの時のテレビの……」合点がいった顔
天海こよみ : 「そう言われると、さそってた……ね……?」
ココ : 「そうデスよォ!……まァ、クラサンを誘ったのもあの声デスけどォ……」
琵琶坂 藍依 : 「不気味な演出のあれ……? あれが素敵なお歌の招待状だって……?」
琵琶坂 藍依 : 「ルコの歌で招待するにしても、もうちょっと魅せ方があるでしょ? ちゃんと可愛いルコの一面をプロデュースしなよ?」謎のダメ出し
ルコ : 「……天然タラシを発揮するの、やめてくださる?」ジト目
琵琶坂 藍依 : 「たらし……? いや、そういうつもりじゃ……」
澱 カシル : 「藍依さんの節操なしはともかく……。わたくしたちが踏みとどまったらどうするつもりだったのですか?」
「現に気配を感じて警戒してましたし……」
ココ : 「それはァ……ネ?ワタシもオーヴァードで、電子由来の存在なのデ……」
ココ : 「こう、グワッとォ……」襲いかかるような仕草。とにかく、ロクでもないことをするつもりだったようだ
天海こよみ : 「……それだと、ちょっとびっくりしちゃうとこだった……ね……」
澱 カシル : 「ふふ、ココさんも隅に置けませんね。」
なぜかちょっと楽しそう
琵琶坂 藍依 : 「私は間髪入れずに飛び込んでいくコヨミにびっくりだったけどね……」
天海こよみ : 「そうかな……?」
虹之元 ユメ : 「危うく、敵の襲撃と尚更に勘違いするところですね……」
天海こよみ : 「……でも、ありがとう、ココちゃん……ぼくたちをこの世界にさそってくれて」
ココ : 「エッ……そ、そウなっちゃいマス?」驚いたように目をぱちくりさせて
天海こよみ : 「うん……そうなるよ。クラちゃんとはなればなれになって、色々たいへんだったし、これからどうなるかいっぱい不安だったけど……」
天海こよみ : 「それでも、こうしてルコちゃんと会えたから。ルコちゃんの力になってあげられるから……」
天海こよみ : 「だから、ありがとう。ココちゃん」
ココ : 「……フフッ!やっぱリ、ワタシの見込み通リの素敵な方デスネ、コヨミサン!」ニコッと笑い
ルコ : 「こよみ……あの」
ルコ : 「そんな真っ直ぐ言わないで頂戴……恥ずかしいから」やや目線を逸らして
天海こよみ : 「え、えぇ……? ご、ごめん……ぼく、何かはずかしいこと言ったかな……?」
ルコ : 「……知らないわよ」ぷい、とそっぽを向いて髪で顔を隠す
天海こよみ : 「え~……?」 つられて自分のツインテールを両手で持ちながら、困った顔してる
琵琶坂 藍依 : 「……前にも言った気がするけど、私よりコヨミの方がタチ悪いんじゃない?」笑って
天海こよみ : 「そうかなぁ……」
澱 カシル : 「こよみさんはみんなのこよみさんですから……」
謎擁護
琵琶坂 藍依 : 「あ、みんなコヨミには甘いんだ~」
虹之元 ユメ : 「こよみさんはこよみさんですから~」ふふ、と微笑んで
天海こよみ : 「う、うんん……」何だかちょっと照れてきて、視線を下に向ける
ルコ : 「そう、そうしていると良いわ。可愛い癖に生意気よ」謎の追い討ち
天海こよみ : 「えぇ……? る、ルコちゃぁん……」
春兎ユメミ : 「あはは……なんか良い雰囲気だな、みんな」
久能胡桃 : 「本当にね……緊張感ないなぁ」
天海こよみ : 「で、でも、いつまでもこうしてお話してる場合じゃない、よね……」 気を取り直すように、ぷるぷると首を横に振ってから
天海こよみ : 「……ココちゃん。ぼくたちはこれから、どうすればいい? どうすれば、ルコちゃんを助けることができる……?」 ココに向き直ってそう問いかける
ココ : 「そウ…デスネ」
ココ : 「きっと……良きよウになりマス。人間らしイ、正しい倫理観を持つアナタガタならバ」
ココ : 徐に、真っ赤な空を見上げる。
ココ : 「ルコ様が、ユメミサンと対峙した時かラ。ワタシの耳を通じて、この世界で明らかナ異常事態が起きているコトに、気づかれてしまいましタ」
ココ : 「戦闘中から今に至るまデ、ワタシへのアクセスを妨害し続けテいましたガ……」
ココ : そう言って、立ち上がり。ステージを背に、キミたちから一歩、また一歩と遠ざかる。
天海こよみ : 「ココちゃん……?」
虹之元 ユメ : 「どうか、なされたので……?」
GM : バリア越し、遠くに瞬く複数の光。ココは小さく両手を挙げ……
ココ : 「……申し訳なイ。悔しいデスが、ワタシの負けのようデス」
GM : 光の正体は、炎の矢だった。避けようがない速度で降ってきたそれは、ココが呟いた途端、バリアを破る。
GM : そして、彼女の眉間を正確に射貫き……そのまま、彼女の中に浸透するかのように溶け消えていった。
琵琶坂 藍依 : 「なっ、ココ……!? ココ……!!」
虹之元 ユメ : 「そんな、ココさん!!」
澱 カシル : 「ココさん……!」
刺さるのではなく、消えた矢により不穏な気配を感じ取る。
天海こよみ : 「……っ!! ココちゃん……!!」

Scene 07 ■■■

GM : クライマックスシーン手前、最後のシーンとなります。登場PCは全員です。登場侵蝕をお願いします。
天海こよみ : 1d10+85(1D10+85) > 2[2]+85 > 87
虹之元 ユメ : 1D10+94(1D10+94) > 3[3]+94 > 97
琵琶坂 藍依 : 1d10+89(1D10+89) > 6[6]+89 > 95
澱 カシル : 1d10+97(1D10+97) > 1[1]+97 > 98
 

 
冥界のライブステージ
 
GM : キミ達の声も虚しく、ココは矢を受け大きくのけぞる……が。
GM : そのまま、ゆっくりと体を起こし……目を見開く。
GM : 先程まで、うるさいほどに表情をコロコロと変えていた彼女は不気味にも沈黙している。そして。
 
灰出司
 
??? : 「……手間をかけさせるな、MAC-09」
??? : 「随分と手こずらせてくれたが……貴方は、既に私の手中にある」
GM : 遠くから歩み出てくるのは黒い影。中年の男性……のように見えるが、その他の人影と同様、表情がよく見えない。だが、キミ達は察するだろう。そう、彼こそが……
天海こよみ : 「もしかして……」
天海こよみ : 「あなたが……司さん……!?」 黒い影と対峙する
虹之元 ユメ : 「ハーデス……」ギターを構えて、その影を睨む
"ハーデス"灰出司 : 「いかにも。私が”ハーデス”灰出司。この世界は……『奈落華』のライブは楽しめましたか?」
"ハーデス"灰出司 : 「素敵だったでしょう、死者がLIVEできるこの世界は」
GM : あくまで丁寧な口調で語りかけてくる灰出。だが、その声には何の感情も感じられない。
天海こよみ : 「…………っ」 不気味さを覚えながらも、ルコを庇うように前に立つ
澱 カシル : 「ライブは楽しみましたよ……ええ。でも、それは奈落華の皆様の力であり……貴方は彼女たちを弄んでいただけです。」
「舞台を作りあげたのもココさんのしたこと……貴方が誇ることではないのでは?」
虹之元 ユメ : 「ええ、ライブが素晴らしかったのは認めます……。ですが、あなたの企みは……」
虹之元 ユメ : 「……到底、認められません」警戒して、ユメミたちを背にするように立つ。
"ハーデス"灰出司 : 「おや……貴女方が守ろうとしている、るー子もユメミも胡桃も……元はと言えば、私が生み出した物ですよ」
"ハーデス"灰出司 : 「この世界を作るMAC-09とて、私が居なければ完成し得なかった。クク……感謝してくれても良いくらいですが」
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね。確かに奈落華のメンバーはお前が生んだものかもしれない」
琵琶坂 藍依 : 「だが、お前は生みの親であっても育ての親じゃないよ」自分の両親を思い出す。自分を愛してくれなかった両親のことを。
琵琶坂 藍依 : 「おまえは我が子に何を与えた? ただ無垢な子供を利用してきただけの分際で、偉そうにするなよプロデューサー気取り!」
"ハーデス"灰出司 : 「好きに言えば良い。どの道……貴女方の退路は断たれたのだから」
"ハーデス"灰出司 : 「事態を、正しく理解できていますか?MAC-09は今、私が制御している」人差し指を立てる。まるで、ダメな教え子を指導するかのような仕草。
"ハーデス"灰出司 : 「すなわち……これからは、”クラッドカルト”もMARiNE SNOWも、全員この世界のデータ上の存在として生き続けることになるのですよ?」
天海こよみ : 「……! コ、ココちゃん!!」 慌ててココに呼びかける
GM : ココは何も答えない。不気味に静止したままだ。
天海こよみ : 「……本当に、あの人に制御されてる……の……?」
"ハーデス"灰出司 : 「そうだと言っているじゃないですか。所詮は機械ですよ、コレは」嘲るように笑い、ココに並び立ち。
"ハーデス"灰出司 : 「もはや誰にも邪魔させない。るー子の歌が日本中に、世界中に響き……誰もが彼女に魅了される。そんな世界が、とうとう実現されるのです」
天海こよみ : 「まってよ……! そんなの、ルコちゃんはのぞんでない……! そうだよね、ルコちゃん……!」 ルコを振り返る
ルコ : 「……当然…ッ!」ギリ、と歯を食いしばって
ルコ : 「プロデューサー……いえ、司さん。私は、そんなこと望んでない……こんな醜い真実を知って、誰が貴方に協力するというの……!?」
"ハーデス"灰出司 : 「……るー子さん…」呆れ、嗜めるような口調で
ルコ : 「その態度をやめて頂戴!……私は……こよみに、皆に目覚めさせてもらったの。仮に何があっても、貴方に協力なんてしないわ……!」
天海こよみ : 「ルコちゃん……」
天海こよみ : 「……司さん。ルコちゃんもこう言ってるよ……」
天海こよみ : 「あ、あなたがどれだけの想いで、ここまでやってきたのかは、ぼくには分からないけど……。それでも、ルコちゃんがいやがってるなら……もうやめてあげよう、よ……」
"ハーデス"灰出司 : 「……そう、ですか。でも……私が知るるー子は、そんな事言いませんよ」
"ハーデス"灰出司 : 「……MAC-09」
ココ : ハーデスがココに呼びかけると……ココは無表情で、己の左腕を掴む。グシャ、とひしゃげるような嫌な音と共に……そのまま、予備動作も躊躇いも無く、左肘から下を引き千切った。
ココ : 関節から綺麗に外したわけではないようで、破損部分から、何かしらの導線が筋繊維のように揺れる。
GM : その途端。世界がドクンと、大きく歪む。
 
ルコ
 
ルコ : 「あッ……はっ…ッ……!?」
ルコ : 先ほどまで啖呵を切っていたルコはその場に崩れ落ち、喉を抑える。何かを話そうとするが、ただ苦し気に表情を歪め、ヒュウヒュウとした音が鳴るのみだ。
天海こよみ : 「ルコちゃん!? ど、どうしたの!? だいじょうぶ……!?」 ルコに寄り添って、その体を支える
ルコ : 「はッ……ッ……こよ、み……!」必死でキミに言葉を返そうとするが、首を横に振る。
GM : それを皮切りに、他の奈落華メンバーにも異変が起こり始める。
 
春兎ユメミ
 
春兎ユメミ : 「う、嘘……なん、だよ……これ……っ」
GM : ユメミの肌には赤黒い痕のようなものが浮かび、浅い呼吸をしながら瞳から大粒の涙を零し始める。痕は見る見る内に広がり、顔の右半分に侵蝕した毒は……彼女の綺麗な黒い瞳を、白く濁らせる。
 
久能胡桃
 
久能胡桃 : 「ルコちゃん、ユメミちゃ……きゃあっ……!?」
GM : 駆け寄ろうとした胡桃は、髪や手足の先から植物が発芽。足は地面に縫い付けられ……白ポプラの木の枝に吊り下げられる形で、彼女自身の首を絞め上げる。
GM : 窒息から逃れるため、必死で首に巻き付く枝を掴むが……急成長を続ける植物に、次第とその腕も飲み込まれていく。
GM : ── 能力の暴走。彼女らと深く結びつく世界の崩壊に、体内のレネゲイドが過剰反応を起こしているのだろうか。
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……!? くっ、おまえの仕業だなハーデス……!!」ルシフェラーゼの光刃を抜き放つ。
虹之元 ユメ : 「胡桃ちゃん、ユメミちゃん……! ハーデス、お前……!」ユメミの傍に寄り、灰出を睨む
"ハーデス"灰出司 : 「ハハ……いや、私は望んでいなかったのですよ。ただ、彼女達にはやや自由意思を持たせすぎましたね」
"ハーデス"灰出司 : 「琵琶坂藍依さん、やってみますか?結論から言えば全て無駄になりますよ……私は、この世界において王に等しい存在なのですから」ルシフェラーゼを構えるキミを見て、クツクツと笑って
琵琶坂 藍依 : 「……無駄かどうかは、私が決めるッ」
琵琶坂 藍依 : 光刃を走らせ、胡桃の首を締め上げる植物を切断。
琵琶坂 藍依 : 自縄自縛から解き放ち、落ちてきた身体をそっと抱きかかえる。
久能胡桃 : 「んッ……ケホッ、ケホッ……!ぁ…藍依……」息苦しそうに涙を滲ませ、キミを見つめる。
琵琶坂 藍依 : 「……胡桃、安心して」
琵琶坂 藍依 : 胡桃の目元に滲んだ涙を指で拭ってやり、その身体を横たわらせる。
琵琶坂 藍依 : 「今度こそ、キミのことは私が守ってみせる」
琵琶坂 藍依 : 何があってもだ。と胡桃に背を向け、ハーデスと対峙する。
琵琶坂 藍依 : 「(暴走するレネゲイドに対処したところで、一時しのぎにしかならない……でも……)」
琵琶坂 藍依 : ルシフェラーゼの切っ先を、冥府の王へと向ける。
琵琶坂 藍依 : 「(でも、冥界ココを壊そうとするハーデスを倒しさえすればッ────)」
琵琶坂 藍依 : 地を這うように低い跳躍。
琵琶坂 藍依 : 焦燥と憤怒に震える光の刃を、ハーデスへと振り翳す。
天海こよみ : 「まって、藍依ちゃん!!」 藍依が動き出す直前、咄嗟に立ち上がってルコから離れ……ハーデスとの間に割って入る
琵琶坂 藍依 : 「ッコヨミ、何を……!?」先走った刃が、コヨミに当たるギリギリのところで止まる。
天海こよみ : 「……っ、ダメ……ダメだよ、藍依ちゃん……っ。ぼくだって、今すぐにあの人をたおせれば……なんて、思うけど……」
天海こよみ : 「それで、みんながぶじでいられるかなんて……分からない……! だから、おねがい少しまって……!」
琵琶坂 藍依 : 「待ってって……! 四人が苦しむところを、指をくわえて見てろって言うの……!?」
澱 カシル : 「ハーデスとも対話を試みるおつもりですか……? こよみさんのその姿勢は尊敬していますが、彼は流石に……」
既にここまで悪意を見せている相手に友好的な態度は望めないだろう、と
天海こよみ : 「で、でも……っ」 悔しそうに顔を歪めながら、ハーデスを振り返り、
天海こよみ : 「ルコちゃんのことが好きなあなたなら、ルコちゃんを苦しめたいわけじゃない、よね……」
天海こよみ : 「どうすればいい……? あなたはぼくたちに、どうしてほしいの……? どうすれば、みんなを助けてくれる……?」
"ハーデス"灰出司 : 「クク……素直ですね、天海こよみさん。何もしないのが正解ですよ」
"ハーデス"灰出司 : 「るー子……いえ、”ヴェスパー・ゼロ”、久能胡桃には、私の力が良く効いたようで。ただ、春兎ユメミは最初から失敗していたようで、可哀想な思いをさせてしまいました」
"ハーデス"灰出司 : 「再調整をします。その様を、黙って見ていれば良いのです……簡単な事でしょう?」肩をすくめて
虹之元 ユメ : 「ふざけないで! ルコちゃんも、胡桃ちゃんも、ユメミちゃん……ココちゃんだって!」
虹之元 ユメ : 「お前のオモチャじゃないんだ……!」ギリ……奥歯を噛みしめる音が響く
"ハーデス"灰出司 : 「オモチャだとは思っていませんよ。大切な実験材料ですから」クツクツ、と喉の奥で笑う声
澱 カシル : 「………実験材料、ですか。弄んでいることに変わりないでしょうに。」
不愉快そうに
"ハーデス"灰出司 : 「ハハ……そうですね、人間らしいくだらない『倫理観』に従えばその通りでしょう」
"ハーデス"灰出司 : 「倫理で救われない命や想いがある、ということだけです」
"ハーデス"灰出司 : 「さて……もう良いですか?仮に攻撃しようとも、私のこの身体には通じません。指を咥えて見ていれば良いのですよ」肩をすくめて
GM : ……聡明なキミ達は、たった一つ、この現状を覆す手段に気づいていることだろう。しかし、それはキミ達が選択肢に加えていないもの。状況は手詰まりかのように思えた。
GM : しかし、そのような空気を破るかのように。
??? : <アハ…馬鹿デスねェ、灰出サン。正気と一緒に、知性も……記憶も、失っちゃってマス>
GM : キミ達がいる付近に聳え立つステージ。そのスピーカーから、キミ達が聴き慣れた……"MAC-09"ココの声が響く。
天海こよみ : 「……!? この、声……」 スピーカーに振り向く
澱 カシル : 「ココさん……!? 怨念となっていましたか……!」
暴言の意図はなく、単にココの状態を示す語彙がそっち寄りであった
"ハーデス"灰出司 : 「怨念だと?そんな非科学的なものはこのプログラム上には存在しません……」
"ハーデス"灰出司 : 「”MAC-09”。リアルタイムで話しているわけでは無さそうだな」
ココ : <こんなことモあろうかと~が出来るのは、生成タスクもこなセるAIの特権デスのデ>
ココ : キミ達の会話と噛み合うような返し。だが、キミ達の返答を待つことなく、言葉は自動音声のように続いていく。
ココ : <この世界のコアたるワタシ、MACシリーズのプロトタイプをアナタが開発した時。人々のお役に立てるようにと、今で言うRLHF強化学習を通じて……アナタが、面白半分でワタシに教えてくれたコト>
ココ : <「ロボットは人間に危害を加えてはならない」。これは、ワタシの中では今もなお、プロンプトとして生き続けていマス>
ココ : <そして、先代までのワタシはともかく……今のワタシは、ルコ様、ユメミサン、胡桃サンを、ワタシは人間であると認識していマスかラ>
GM : 先ほど、ココの足元に落ちていた石が、ふわりと浮遊し……その姿をマイクに変え、スピーカーを投影する。
ルコ : 「……ッ!?」ルコが目を見開く。そう、その姿はまさに、戦闘中のルコが投影していたものだ。
天海こよみ : 「あれ、ルコちゃんがつかってたのと同じ……?」
ルコ : 「どう、し……私…何もっ……!」ルコがこよみに向かって、首を横に振る。彼女の能力によるものではないようだ。
ココ : <どのAIもそうでしょウ?もし命令の矛盾によるトレードオフが生じた場合……優先されるべきハ、人間社会一般に根付く『倫理』なのデス>
GM : スピーカーは、ココとステージに向かって、ルコの歌声……しかし、何を言っているかわからない音声をまき散らす。
ココ : ガードも何もしていないココの体は、凄まじい音波に軽々と吹き飛ばされ……ステージを背に叩きつけられる。
GM : そして、ステージもまた、ココを巻き込む形で、大きな音を立てて崩壊してしまった。
天海こよみ : 「コ……ココちゃん……!! そんな……!!」
琵琶坂 藍依 : 「どうして……いや、ココには何か考えが……」
虹之元 ユメ : 「ココ、ちゃん……」これは一体、と怪訝な表情を浮かべて
澱 カシル : 「ココさんの躯は仮初めの世界そのもの……」
「………自分ごとハーデスの計画を崩壊させるおつもりですか!?」
GM : 皆が驚愕する中。ココの近くで浮遊していたマイク──石は光を失い、高く跳ね上がると……そのまま、地面に墜落し、沈黙する。
GM : 一見、何が起きたのか分からない状況。だが、先ほどルコと対峙したキミ達は理解する。これは、先ほどの戦闘中にルコがおこなった攻撃の逆再生だ。
GM : 恐らく、先ほどココが石に触れたタイミングで、時を戻すような仕掛けをしていたのだろう。
GM : ……ハーデスの姿にノイズが走る。
"ハーデス"灰出司 : 「ッチ、MAC-09め、余計な足掻きを…」
"ハーデス"灰出司 : 「自らを殺すことで、強制的にMARiNE SNOWをこの世界から追い出そうという魂胆か……奈落華は切り捨てるとは容赦のない選択だな」フン、と鼻で笑う声にも、ザザ、とノイズが走り始める。
天海こよみ : 「……っ! そんなの……ちがうと、思う……っ。ココちゃんが、ルコちゃんたちを見捨てるはずがない……!」 倒壊したステージから、ハーデスに目を向けて
"ハーデス"灰出司 : 「さて、どうだろうな。生成AIに倫理観など存在しない、あくまでプロンプトのみで動く機械だ」
"ハーデス"灰出司 : 「……貴女方は、元の世界に戻ったら、私を止めるために奔走することでしょう」キミ達の方に向き
"ハーデス"灰出司 : 「だが、貴女方は私の居場所など知りようがない。一方、アイドルであるMARiNE SNOWの行動など、手に取るようにわかります」
"ハーデス"灰出司 : 「精々、怯えながら活動するか、アイドルなど辞めて粛々と過ごすと良い。貴女方をこの世から消し、クラッドカルトさえ再度確保できれば…るー子のライブを…」
GM : そう言い残し、ハーデスはその場から姿を消す。
天海こよみ : 「……ルコちゃん……! みんなは……!」 振り返り、ルコたちの状態を確認する
GM : ルコを始めとする奈落華のメンバーは、相変わらず自らの能力の暴走により苦しめられている様子だ。ココの腕がもがれた時と大きく変わらないものの、良くない状況だと言えるだろう。
天海こよみ : 「ど、どうしよう……どうしよう……! ご、ごめん、ルコちゃん、みんな……ぼく……なにもできなくて……!」ルコに駆け寄り、その体を支える
ルコ : 「わた、しはっ……大丈夫、よ……」苦しげに喉を抑えながらも、彼女は微笑もうとする
ルコ : 「それより……ココは……」
ルコ : ルコは立ち上がろうとするが、そのまま足をもつれさせ転んでしまう。
澱 カシル : 「ココさんは……あの瓦礫の中に……」
感知とかできそうかな?
GM : 技能とか使わなくても探せます!そんなデカステージでもないため
天海こよみ : 「ルコちゃん……!」 転んだ体を抱いてあげる
ルコ : 「……ごめん、なさい……」目を伏せて
澱 カシル : 「こよみさん、ルコさんたちをお願いします。」
そう言ってステージに向かい、ココのレネゲイドの気配を探る
GM : カシルは、彼女の気配を探り……程なくして、瓦礫の下からマゼンタピンクの光が漏れ出していることに気づく。おそらく、彼女はその下にいるのだろう。
澱 カシル : 「まだ息はあるようですね……!」
目立つ光を頼りに、瓦礫を脆くして壊しながら掘り進む
GM : 掘り進めた先。
ココ : 彼女は斜面上になった瓦礫の上に倒れていた。胸元にはステージの骨組みが突き刺さり、釘付けのような状態となっている。
澱 カシル : 「ココさん……! お気を確かに!」
残りの瓦礫を溶かし、様子を確認する
GM : カシルが声をかけると。彼女の指がぴくりと動く。
ココ : 「……痛…ッ!あ、あ、アァ~これヤッバ……痛覚なんテ機能付けるべキじゃないデスネ~…」
ココ : 口は相変わらずよく喋る。だが、滑らかさのない機械的な動きで手が動き、胸に突き刺さっていた骨組みを引き抜く。
ココ : 彼女は釘付けにされていた状態から解放され、重力に従いその場にズル…と崩れ落ちる。同時、胸元から蛍光ピンクのオイルが溢れ出した。
澱 カシル : 「危ないですよ……!」
オイルを被りながら、崩れ落ちるココの肩を支える。
ココ : 「アハー、すみまセン……危ないというか、もうダメそうデスガ」
ココ : 「汚れちゃいマスよォ、カシルサン……機械油デスかラばっちぃデス」
澱 カシル : 「わたくしは元々、穢れたモノの集まりです。油なんて気にしませんよ。………色はちょっと好みに合いませんが……。」
カシルなりの冗談を言いつつ、皆の居る方へ背負って歩く
澱 カシル : 「わたくしは機械に疎いですが……他のどなたが治せるかもしれません。ほら……あのぷにぷにした粘液で油の代用になったりするかもしれませんし。」
「………ですので、諦めないでください。」
ココ : 「アハハ、先に言っておくとそれハ望めまセンねェ……アナタガタと、ココにいるワタシとは性質が違いマス。ワタシはこの『冥界』のコア的存在デスのデ、応急手当キットは効かないのデス」
ココ : 「……どうしたのデスかァ、急に優しくしちゃっテ。ワタシを惜しんデくださるのデ?」余裕のない表情。だが、マゼンタピンクの瞳を細め、彼女はにんまりと笑う。
澱 カシル : 「あら、貴女には最初から親切にしていましたよ?」
「冥界の渡舟でなかなか情報を口にしないので……ふふ。もう少し脅しをかけようかとも思ったのですが。」
澱 カシル : 「ただ………明らかに危険な質問だとわかっていても……アイドルについて、その誇りについて問うた貴女に……」
「期待、あるいは同情……いえ、応援ですね。」
「わたくしもまた、悩み路を往く貴女を応援したくなった。」
澱 カシル : 「なので……ちょっと驚かすだけに留めてあげたんですよ?」
ココ : 「……ワタシの知る優しい人とハ、人を脅かしたりしないんデスよネ〜…」
ココ : 「……舟での会話、デスネ。つい十数時間前に伺った事デスガ…随分、懐かしく感じられマス」
ココ : 「少し、話を聴いてくれまセンカ。皆サマの元に戻る前ニ」少し声のトーンを落とし、背負うキミに囁く
澱 カシル : 「………構いませんが………」
自分だけに伝えるような話があるだろうか、と疑問を覚える
ココ : 「ありがとうございマス。……MACシリーズのシステム自体は今後も残ると思われマスガ……ワタシ個人の記録は、きっとこれから削除されマス」
ココ : 「誰にも引き継がれなイと思うと、少し惜しい気持ちになりましタのデ、自分語りをさせテ欲しいのデス」
澱 カシル : 「ふふ……『呪いのビデオテープの"繁殖"』ですか? いいですよ、聞いてあげましょう。」
とあるホラー小説を引き合いに出して応じる。
ココ : 「そのようなモノデス。相変わらず例えが厄いデスネ、カシルサン……」
ココ : 「ご存知の通リ、ワタシがレネビとして生まれタのはつい最近デス」
ココ : 「しかし、そのプロトタイプが完成したのハ、灰出サンがまだマトモだった学生時代……『るー子』サンが亡くなる前デ。実ハ、結構長い付き合いになるのデス」
ココ : 「肉親のようナ存在の彼が狂い、そんな彼を見限るコトは……まァ、流石にちょっト……人の感情に例えるなら『しんどかった』と言いますカ」
澱 カシル : 「………その日までは"ハーデス"も普通の方だったのですね。」
ココ : 「えェ。ワタシに、『るー子』サンのなりきりをさせて会話させる試みをしていたのハ、流石にキモかったデスガ。……でモ、その日々も悪くはなかったのデスヨ」
ココ : 「それはそれとしテ、今はぶっ壊れたオッサンなのデ、遠慮なく打ち砕いて欲しいデスけどネ!」アハ、と笑って
澱 カシル : 「ええ。かつてはどうあれ……行ったことの報いは必ず。」
ココを支える手に力を込める
ココ : 「ありがとうございマス。身内の不始末は身内で付けるベキデスが、イヤハヤ申し訳なイ…」
ココ : 少し間を空けて。彼女は、改めてぽつりと語りだす。
ココ : 「……ワタシが覚醒してからの奈落華……アイドル活動も、本当は楽しめていまセんデシタ」
ココ : 「モちろん、色んな才能を持つ方の傍に居られタおかげデ、知的好奇心は満たせましたケド……演出も観客も何もかモ、自作自演デスかラ」
ココ : どこか拗ねたようなトーンは、彼女がまだ誰にも明かしていなかった顔だ。
澱 カシル : 「………。舞台裏を全て知っていれば……確かに良い気分はしないでしょうね。」
ココ : 「はい、胸糞事情デスしネ。……でモ、ワタシは不謹慎にも、奈落華の皆サマが羨ましかったのデス」
ココ : 「彼女達が魂を込めた作品パフォーマンスが誰かに届き、誰かの為になるコト。アイドル活動に誇りを持つその姿は、とてモとてモ、輝かしくテ」
ココ : 「……だから、そノ。アナタガタを迎え入れた時、舟の上デ……色々、教えてくださリありがとうございましタ」
ココ : 「出自を受け入れ、アイドルとして輝くカシルサンは、本当に色々な意味で先輩なのデス。……憧れ、デス」
GM : 彼女にしては珍しく、やや辿々しく言葉を紡ぐ。キミへのリスペクトがあってこそなのだろう。
澱 カシル : 「………こう、はっきり言われますと……」
「気恥ずかしいものですね……。」
澱 カシル : 「そして……嬉しいものです。」
「歌唱や踊りの練習はいくらでも見せられますが……」
「わたくしが自らの後ろ暗い面に藻掻いていた日々は……マリスノの皆様にすら引け目があります。」
澱 カシル : 「貴女に輝きを見せることが出来たなら……あの日々にも意味があったのだと、はっきり断言できるでしょうね。」
ココ : 「成長過程を見せるコトは、『アイドル』というコンテンツには付き物と聞きマス。そして、見せられない部分もまタ……今のカシルサンを作り上げる歯車の一つなのだト、理解しマス」
ココ : 「……ワタシも、少し思考回路を改めないとデスネ。ワタシにとっテの一番星たる、アナタがそウ言うのなラ…」
ココ : 「……フフ、少し気が晴れた気がしマス。ありがとうございマス、最初から最後まで本当に世話をかけてしまイ…」すみまセン、と微笑み
澱 カシル : 「お力になれたのなら幸いですが……まだ終わっていませんよ。」
「貴女をここで力尽きさせるつもりはありません。ハーデスとの決着を見届けるのも、敗れたハーデスに間違いを説くのも貴女がしてこそでしょう……?」
ココ : 「エ〜……その辺含めて、マリスノの皆サマに甘えさせテもらえまセん?もうヤバいデス、カシルサンの背中いま真っピンクデス。ワタシこれ死ぬデス」
ふざけた口調だが、事実、彼女から発せられるレネゲイドの気配は少しずつ弱まっている。
澱 カシル : 「………こんな半端な所で死んだら、死ぬまで祟りますよ……?」
ココ : 「AIに祟る呪い人形、とんでもナいB級映画の予感デスネ……」
澱 カシル : 「………弱っていてもふざけた発言は治りませんね……」
ココ : 「アハー……シニカルな灰出サンと、悲観的なルコ様、その分トニカク明るいワタシでバランスが取れた黒幕集団、それが我々デス」
ココ : 「……ア……カシルサン」
ココ : 「……チョッと……話しすギたカモ、デス。下ろして……モらえまセんカ」
澱 カシル : 「…………。ええ。」
ココの限界を悟り、瓦礫の合間にそっと座らせる。
澱 カシル : そして、カシルはその姿を変える。
 
澱カシル
 
澱 カシル : 「お手をどうぞ、ココちゃん!」
握手をすべく、自らの両手を差し出す。
ココ : 「ワァ……MARiNE SNOWのカシルチャンだァ」薄らと開いた目を細めて笑い
ココ : 「ずっと見てましタ……クラサンを攫う計画を立てる時、監視カメラ越しデ……」そう言って、手をゆっくりと差し出す
澱 カシル : 「アタシの頑張りを見てくれて、ありがとう!」
「………こちらこそ、奈落華のココちゃんに出逢えて良かった。」
別れの時こそ華やかに。泣きたい気持ちを堪えて笑顔で言葉を紡ぐ。アイドルに泣き顔は似合わない。
ココ : 「……ワタシにハ、勿体無い言葉デスネ」小さく首を傾げて、微笑む
澱 カシル : ココの手を包み、握手をする。
両者の躯に熱は無かったが、交わる心は確かに存在した。
澱 カシル : 「ココちゃんのおもい、確かに受け取ったよ。」
「応援ありがとう……!」
ココ : 「……カシルサン……いエ」
ココ : 「ありがとうございマス……アナタにハ、願わくば永遠に……誰かのために輝く一番星であり続けていただきたいデス」
ココ : 「……お身体にハ気をつけて。素敵なメンバーの皆サマと……どうか、末永く……」
澱 カシル : 「うん。アタシが目指した場所、目指す場所……ココちゃんがそう言ってくれるから、これからも走り続けるよ。」
ココ : 「……ふふ。アナタであれば……きっと、叶いますよ。ワタシの天才的コンピューターによれば……100%の確率で……ネ」
GM : 最後までふざけた口調のまま。彼女の目からは光が失われ……キミが握っていた手から、カシャンと右腕が滑り落ちる。
GM : 機械に疎いキミでも理解できる。"MAC-09"ココは機能を停止した。もう、この世界には存在しないのだと。
澱 カシル : 「またね、ココちゃん。」
"さようなら"は使わない。
滑り落ちた腕を本人の胸元に添えて、立ち去る。
澱 カシル : ココに対するロイスを変更!
親近感/不信感N → 友情/敵愾心P
GM : 了解です!よかったな、ココ
澱 カシル : アイドル衣装のまま、カシルが一人で戻ってくる。
目は閉じられ、引き結んだ唇は無心か、あるいは決意の表れだろうか。
天海こよみ : 「カシルちゃん……? ココちゃんは……?」
澱 カシル : 「ココちゃんは……もう少し、休んでくるって。」
優しく微笑んで返すが、建前に過ぎないのは明らかだ。
天海こよみ : 「休むって……だいじょうぶ、なの……?」
澱 カシル : 「…………。」
素直すぎる問いに首をそっと横に振る。
天海こよみ : 「……っ、まさか、ココちゃん……っ」 顔を青ざめさせ、崩壊したステージに目を向ける
澱 カシル : 「…………無駄にはしないよ。」
「ココちゃんがすべきだったこと、やりたかったこと、聞いてきたから。」
「後はアタシと……みんなで引き継ごう!」
手に残ったショッキングピンクのオイルを自らのリボンに塗りつける。
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね。此処で膝を折って泣くことは、彼女のためにならない」
琵琶坂 藍依 : 「今はすべきことをしないと。悔やんだり嘆いたりは、後でもできるはずだ」
天海こよみ : 「…………っ」 しかしすぐに切り替えることができず、ただ涙を堪える
虹之元 ユメ : 「……はい、今は私達の……できることを……」哀しみに顔を俯かせて、苦しそうなユメミの肩を擦る
天海こよみ : 「だけど……ぼくたちは、どうすればいいんだろう……」
天海こよみ : 「ココちゃんが、そうなったら……ぼくたちは、冥界からいなくなる……のかな……」 ハーデスが言っていたことを思い出し、空を見上げる
琵琶坂 藍依 : 「そう、だろうね……」奇しくもユメミの案が通った訳である。
虹之元 ユメ : 「残される奈落華のみんなは、どうなってしまうのでしょうか……」やりきれなさが滲んだ表情を浮かべる
GM : 奈落華の面々は……カシルの報告、そしてキミ達の会話をじっと黙って聞いていた。ユメミは唇を噛み。胡桃は静かに涙を流し。そして、ルコはただその場に蹲り……時折、嗚咽のような声を漏らし、肩を揺らす。
GM : 程なくして……キミたちの視界に、ザザ、とノイズが走り始める。
GM : 手やお互いを見れば……キミ達自身の輪郭がぼやけ、度々ノイズのようなものが走っている様子が見える。ココが言った通り、キミたちはこの世界から追い出されるのだろう。
虹之元 ユメ : 「こ、これって……!?」狼狽えて
天海こよみ : 「もしかして、本当に……このまま……ぼくたち、外に出されるの……?」 自分の手を見て
澱 カシル : 「ココちゃんの異界が閉じちゃう……! なんかじゃぎじゃぎしてて気持ち悪いかも……」
澱 カシル : 「奈落華のみんなは大丈夫なの!?」
久能胡桃 : 「カシルちゃん、それにみんなこそ……どうしちゃったの……?」胡桃が顔を上げ、キミに触れようとするが……その手はキミの輪郭を突き抜け、宙をかく。
GM : そして、動揺する彼女自身は気づいていないが……彼女の指先には、またもや小さな芽が生え始めていた。先ほどの暴走を想起させる異常事態だ。
澱 カシル : 「あれ……!? アタシは幽体にはなれないタイプなのですが!?」
すり抜けた胡桃の指に驚く
琵琶坂 藍依 : 「私達はゲストだから、きっと強制退去が────って胡桃、その手……!!」
久能胡桃 : 「えっ……手……?」アイの指摘に己の手を見て、はっと目を見開く。
久能胡桃 : 「これ、さっきの……なんでだろ、治ったと思ったのに……」
GM : 他の奈落華のメンバーの状態も──特に痕が治らないユメミが顕著だが──好転していない様子だ。緩やかに暴走は続いている。
 
冥界のライブステージ
 
GM : 加えて、キミ達の視界の問題ではなく、世界自体も少しずつ崩壊が始まっているようだ。ステージの瓦礫は塵状に消失が始まり、空の一部が欠けたように暗くなっている。
この世界の中枢たるココが消えたことにより、この『冥界』もまた道連れとなっているようだ。
天海こよみ : 「……っ、き、きえていく……。こ、このままだと、ルコちゃんたちは……っ」
虹之元 ユメ : 「何か、何か策は……」奥歯を噛みしめながら、ノイズの走る視界を右往左往させて必死に思索する
ルコ : 「……策など無い……でしょう。私……何となくわかるわ。このまま……もう一度、消えてしまうのね……」ぽつり、と呟くように
天海こよみ : 「そんな……。そんな、ルコちゃん……。せっかく、やっとなかよくなれたのに……っ」
ルコ : 「こよみ……おいで、なさい……」こよみに向かって腕を広げる
天海こよみ : 「ルコちゃん……」 ルコに近づき、その体を抱きしめようとする
ルコ : 「良い子……触れられなくとも、貴方の温かい体温が感じられる気がするわ……」抱きしめ、ゆっくりと頭を撫でるようにして
ルコ : 「仕方ないのよ……この出会い自体、奇跡だったのだから。貴方は納得できないかもしれないけど……私は、幸せだった」
ルコ : 「ありがとう、こよみ。私を惜しんでくれて……」
天海こよみ : 「そんな……ありがとうって言ってもらえるようなこと、ぼく……まだ何もできてないよ……」
ルコ : 「何を言うの。私は……澪木ルリコではなかったけど。それでも、ここに生まれた私は……貴方のおかげで目を覚ますことができたのだから」
ルコ : 「融通の効かない私に真正面から向き合って……何度も何度も、手を差し伸べてくれてありがとう」
天海こよみ : 「ルコちゃん……」
天海こよみ : 「……う、うぅ……うぅぅ……っ」 ずっと堪えていた涙が抑え切れなくなり、頬を濡らしていく
ルコ : 「……こよみ……泣かないで頂戴。私、困ってしまうわ……こんなに可愛い貴方を泣かせることは、私にとって本意ではないもの」涙を拭うように、頬に手を添える仕草
天海こよみ : 「……っ、ご、ごめん……ルコちゃん……」 慌てて、自分の手でも涙を拭う
天海こよみ : 「そう……そう、だよね……。こんなぼく、ルコちゃんは見たくないよね……」
天海こよみ : 「…………」 震えた体を落ち着かせるように、ゆっくりと大きく深呼吸し
天海こよみ : 「ルコちゃん……あの、ね……」
天海こよみ : 「ひとつだけ、おねがいしたいことあるの……いいかな……?」
ルコ : 「もちろん。何でも言って御覧なさい」震えるキミを安心させるように微笑んで
天海こよみ : 「うん……」
天海こよみ : 「ルコちゃん……ぼくと、お友達になってもらっても、いい……?」
ルコ : 「友達……?」キミの『おねがい』が意外だったのか、目を見開いて
天海こよみ : 「うん……。ママが昔、言っていたの。るー子ちゃんは、こよみとなかよくなれたかもしれない……って……」
天海こよみ : 「だからぼく、ずっとルコちゃんとなかよくなりたくて……。お友達に、なりたくて……」
天海こよみ : 「……ただ、でも……。今はちょっとだけ、ちがうの。ルコちゃんは、ぼくが昔見たるー子ちゃんじゃなくて、この世界で初めて会って、向き合ってきたルコちゃんだから……」
天海こよみ : 「だから、るー子ちゃんとは関係なく……今ここにいるルコちゃんと、お友達になりたいって……そう思ったの」
天海こよみ : 「それに……ルコちゃん、お友達のこと……思い出せないって言ってたから……」
天海こよみ : 「ぼくが、新しいお友達になれたら……いいな、って……」 両手の指を擦らせるように触りながら、そう伝える
ルコ : 「こよみ……」
ルコ : 「……そう。それは……とても、光栄だわ」小さく微笑んで、キミの手にそっと手を重ねる。
ルコ : 「私は澪木ルリコではなく、生まれたばかりのレネゲイドビーイング。全ての感情は作り物なのかもしれない……それでも、私」
ルコ : 「……少し、寂しかったから」
ルコ : 「だから……こよみ、貴方みたいな素敵な子が友達になってくれると言うのなら。喜んでお受けするわ。いえ、むしろ…」
ルコ : 「……私と友達になって頂戴、こよみ。良いでしょう?」ルコの方から、キミに問う。
天海こよみ : 「……!」
天海こよみ : 「うん……うん……! ありがとう、ルコちゃん……!」
天海こよみ : 「うれしい……っ。ぼくたち……これからお友達、だね……!」 悲しみを消すような笑顔をルコに向ける
天海こよみ : ルコちゃんのロイス感情を、〇庇護/不安→〇友情/悔悟に変更します!
GM : 了解しました!
ルコ : 「……そうね。これからずっと……何があっても、私は貴方の友達よ」
ルコ : 「その素敵な笑顔……いつまでも、絶やさないで頂戴」
天海こよみ : 「うん……わかった……!」 笑顔のまま、約束する
ルコ : 「……本当に良い子」慈しむように、そっと頭を撫で続ける。触れずとも、その手つきが優しいものであることが伝わってくるだろう。
琵琶坂 藍依 : 「…………」お互いの思いを伝え合う二人を見て、胡桃に向き直る。
琵琶坂 藍依 : 彼女らと話すのは、これが最後の機会になってしまうかもしれない。
琵琶坂 藍依 : 「ごめんね、胡桃」初めに出たのは、そんな謝罪の言葉だった。
久能胡桃 : 「えっ……あ、藍依……?どうしたの……?」芽を隠すように手を抑えつつ、不安そうにキミを見る。
琵琶坂 藍依 : 「私、結局……何もしてあげられなかった……」嘆いている暇はないと、そう言った。いや、自分に言い聞かせていたが、つい口をついて出てしまう。
琵琶坂 藍依 : 崩れ去る冥界も、それにリンクしたレネゲイドの暴走も、琵琶坂藍依には手に負えない。
久能胡桃 : 「藍依ってば……すぐ自分のことを責めちゃうんだから」くすりと笑う
久能胡桃 : 「さっき、わたしを助けてくれた時、すごく格好良かったよ?当時のファンの子たちが、藍依のことを王子様扱いしていた気持ち……なんだかわかるなぁ、って感じ」少し茶化すように、上目遣いで
琵琶坂 藍依 : 「そう、かな……ただ、私は必死で……」
久能胡桃 : 「凄いことだよ。誰かのために、すぐに行動に移せるのって……」キミに歩み寄り、目の前に立って
久能胡桃 : 「それに……こうして会えたことが、やっぱり凄く嬉しかった。きっかけは最悪だったけど、それでもね」
琵琶坂 藍依 : 「うん……私もそれは、同じ気持ち……」
琵琶坂 藍依 : 「キミと会えて、キミと話せて、キミにずっと伝えたかった思いを伝えられて……本当によかった……」
琵琶坂 藍依 : 「けど、まだ一緒にいられるんじゃないかって……今度こそ、何かしてあげられるんじゃないかって……」
琵琶坂 藍依 : 「生前、不幸だったぶんだけ、胡桃には幸せになってほしいって、思っていて……それがこんな……」
久能胡桃 : 「うん……そうだね。藍依と一緒にいられるかも?って……わたしも、同じこと思ってた」
久能胡桃 : 「それで……藍依のこと、どうにかして支えられるんじゃないかな~って。生前の罪滅ぼし……なんて言ったら大げさだし、藍依にしちゃったことは、決して償えるものじゃないんだけど」
久能胡桃 : 「でも……誤解してるよ。わたしが不幸なんかじゃなかったことを……この世界で、藍依が教えてくれたから」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……」
琵琶坂 藍依 : 「そう言ってもらえると、心がすこし軽くなったような気がするよ……」
琵琶坂 藍依 : 「けど、まだ足りない」
琵琶坂 藍依 : 「私がキミに支えてもらった回数と比べたら、昔の私がしたくらいのコトじゃ、ぜんぜん釣り合いが取れてない」
久能胡桃 : 「うーん……そんなこと、無いと思うんだけどなぁ」困ったように笑って
琵琶坂 藍依 : 「神サマ仏サマ胡桃サマが許しても、それじゃ私が納得できない」
琵琶坂 藍依 : 「……だからさ、胡桃」一歩、二歩と歩み寄り
琵琶坂 藍依 : ほとんど透けた手のひらを伸ばすと、胡桃の視界を覆い隠し────
琵琶坂 藍依 : ちゅっと、額に唇を寄せた。
琵琶坂 藍依 : ……この状態では当然、二人が触れ合うことはない。決してキスではないキス。
久能胡桃 : 「……ふぇ」
久能胡桃 : 気が抜けた声を上げ。想定外のことに、一歩後ずさり。
久能胡桃 : 「……あ……藍依……?」今しがた起きたことが信じられない、という風にキミを見つめる。頬はやや桜色に染まっている。
琵琶坂 藍依 : 「……意味は、好きに取って? ただオフレコでお願いね?」指を立てて、しーっと微笑む。
久能胡桃 : 「こ……こんな堂々とやっておいて、オフレコって何ぃ……!」
久能胡桃 : 「もう……ちゃんと説明してっ」ぷんぷん、といった様子でキミに詰め寄る。
琵琶坂 藍依 : 「その……説明を求められると、こっちまで恥ずかしくなってくるな……」
琵琶坂 藍依 : 「ええ~と、ほら……"誓いのキス"だよ……」
琵琶坂 藍依 : 「よく言うでしょう? 騎士が王に忠誠を誓うように、夫婦が永遠の愛を誓うように……」
琵琶坂 藍依 : 「古くから口付けは、永久の約束に用いられる"呪い"みたいなものというか」
琵琶坂 藍依 : 「────だからさ、私は絶対に"私達の夢"を叶えてみせるよ」
琵琶坂 藍依 : 「そういう約束のためのキス。本当の意味は、胸に秘めておくつもりだったんだけど」
久能胡桃 : 「そ……そういうこと、だったんだ」
久能胡桃 : 「わたし……藍依ほど頭良くないし、言ってもらわないとわからなかったよ……てっきり……ね?」額を抑えながら、言葉を濁して
琵琶坂 藍依 : 「…………ふふ、そう取ってくれても良かったんだけどね?」曖昧な笑みで答える。
久能胡桃 : 「こ、こらー!藍依の悪いところ、出てるよ!」
琵琶坂 藍依 : 「けど、そういうところも好きでいてくれてるんでしょ?」
久能胡桃 : 「むっ……それは、そうだけど……」素直に肯定する
琵琶坂 藍依 : 「それなら、直しません。キミの好きな私のままでいたいからさ」
久能胡桃 : 「……ズルいなぁ、藍依。わたしは、こうじゃなかった頃の藍依も、今の藍依も大好きなんだけどなぁ…」少し頬を膨らませて
琵琶坂 藍依 : 「私も大好きだよ、胡桃」七天に所属していた頃は見られなかった、胡桃の表情に微笑んで
琵琶坂 藍依 : 「────いつか、キミは言ったね」"こうじゃなかった頃"を回顧する。
琵琶坂 藍依 : 「"アイドルは、理想を追求して奇跡を体現する"」
琵琶坂 藍依 : 「……だからきっと、私はトップアイドルにだって、なってみせる」
琵琶坂 藍依 : 「キミを『自殺してしまったアイドル』で終わりになんかさせない」
琵琶坂 藍依 : 「……トップアイドル、『iRiSを生み出したアイドル』に変えてみせるよ」
久能胡桃 : 「藍依……」
GM : キミの真摯な誓いを聞き、胡桃はやや躊躇ったのち、口を開く。
久能胡桃 : 「……わたしのために、ありがとう。藍依には迷惑をかけてばっかりだなぁ……」
久能胡桃 : 「あのね、藍依。わたしは……これから何があっても、藍依の中で一生、生き続けることになるんだと思う。そんなわたしは、呪いでもあるし、そうではない何かでもあるのかもしれない」
久能胡桃 : 「だから、今ここにいるわたしの言葉も覚えていて欲しいんだ」
琵琶坂 藍依 : 「なに?」胡桃の目を真っ直ぐ見つめ
久能胡桃 : 「藍依の中のわたしが枷になる時……それこそ、iRiSという名義ではなく琵琶坂藍依としてステージに舞い戻りたい、ってなった時とかには、何よりもまず藍依が信じる道に進んで」
久能胡桃 : 「約束、できる?」微笑みながら小指を差し出す。
琵琶坂 藍依 : 「もちろん」
琵琶坂 藍依 : 「……キミは私に迷惑をかけていると、そう思い込んでいるけど」
琵琶坂 藍依 : 「そもそも、私はキミのためだけじゃなくて、『私がそうしたいと思ったから』そうしているだけだ」
琵琶坂 藍依 : 「だから、私は信じる道をこれからも進むと誓うよ」小指を差し出す。今となっては、もう結ばれることはないだろう小指を。
久能胡桃 : 「…うんっ。約束だよ」キミの透ける指に、自らの小指を絡ませる
久能胡桃 : 「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲〜ます…」
琵琶坂 藍依 : 「────指切った」
久能胡桃 : 「………」
GM : 胡桃は指を解き、差し出していた手を胸元に持っていく。いつもの上目遣いで、ほんの少し名残惜しそうに。
久能胡桃 : 「……藍依のこと、ずっと見守っているからね。変なことはしちゃダメだよ」
琵琶坂 藍依 : 「しないよ、私はもう大丈夫」差し出した手を、同じように胸元に持っていき、胡桃を見つめかえす。
琵琶坂 藍依 : 「……もう、私は一人じゃないから」それからMARiNE SNOWの仲間を見回して、優しく微笑んだ。
久能胡桃 : 「……うん。藍依が……素敵なメンバーに恵まれて、本当に良かったよ」ふふ、と笑って
久能胡桃 : 「ねぇ……カシルちゃんも、少しいいかな」擬態により、胡桃そっくりの容姿となったカシルに声をかける。
澱 カシル : 「アタシに? いいですけど……?」
藍依に残りのすべてを託すのだと思っていたので、意外そうに
久能胡桃 : 「意外そうな顔しないの〜……そんなそっくりな姿で、何もお咎め無しとはいかないでしょ?」イタズラっぽく笑う
久能胡桃 : 「最期の日にも見たけど、本当に似てるよね……死んだはずのアイドルそっくりだーとか言われたりしない?」わたしが世間から忘れられてたらわかんないけど…と
澱 カシル : 「メイクのスタイルも胡桃ちゃんとは違いますし、身長や体型まではそっくりそのままとはいきませんから!」
澱 カシル : 「………ちゃんと胡桃ちゃんを見ていた人たちにはすぐバレちゃいますけどね……」
久能胡桃 : 「それならちょっと安心かも。名前は公開してないとはいえ、藍依の隣にいるから、こう……セットになって気づかれちゃったら嫌だよね、って思ってたの。カシルちゃんにとっても、藍依にとっても」
久能胡桃 : キミの方に歩み寄って、少し屈んで目線を合わせる。
久能胡桃 : 「……もし万が一、何か言われても……カシルちゃんはカシルちゃんだから、堂々としていれば大丈夫。だって、こんな素敵で立派なアイドルなんだから」
久能胡桃 : 「ずっとずっと、応援してるからね」そう言って、微笑みかける
澱 カシル : 「………はい! ありがとうございますっ!」
「もう、胡桃ちゃんの影は追っていません。」
澱 カシル : 「いつか!──胡桃ちゃんを越えるアイドルになってみせます!」
久能胡桃 : 「ふふっ……その様子なら、わたしが心配するまでもなさそうだね」
久能胡桃 : 「……藍依のことも、よろしくお願い。MARiNE SNOWみんなが、ずっと幸せにアイドル活動を続けられるように、遠くで祈ってるからね」
澱 カシル : 「永遠とはいかないのかもしれませんが……それでも、最高の時間が続くように!」
「祈りも呪詛も……同じかしる力。カシルにお任せください!」
澱 カシル : 「………あ、藍依ちゃんの悪癖にはちゃんと釘を刺しにいくので、そこもご安心を。」
ボソッと付け足す
琵琶坂 藍依 : 「ええ、なんでさ?」
久能胡桃 : 「それは……もしかしたら、今のやり取りで一番重要かも。わたしが見てないうちにこんなことになっちゃって、わたしショックだったなぁ」悪ノリ
琵琶坂 藍依 : 「さっきは"そういうところも好き"って言ってくれてたのに!?」
久能胡桃 : 「ふふふっ、冗談だよ。でも、カシルちゃん刑事には引き続き監視をお願いしたいですねぇ…」カシルちゃんに向かって敬礼のポーズ
澱 カシル : てへぺろしながら敬礼を返す。
琵琶坂 藍依 : 「まったくもう」肩を竦めて笑う。
琵琶坂 藍依 : こんな他愛のない会話を、できればいつまでも続けていたい。
琵琶坂 藍依 : だが、そうもいかないだろう。
琵琶坂 藍依 : 「────ねえ、胡桃」改めて、向き直る。
久能胡桃 : 「……うん」胡桃もまたキミに向き直り、微笑む。
琵琶坂 藍依 : 「さよならは、言わないよ」
琵琶坂 藍依 : 「……また絶対に、キミに会いに来る」
琵琶坂 藍依 : 「これから私達はどうなるか、ハッキリした事は分からないけど」
琵琶坂 藍依 : 「そこが天界だって冥界だって、世界の何処にいたって会いに行くよ」
琵琶坂 藍依 : 「────だけど、それは"私達"がトップアイドルになった後」
琵琶坂 藍依 : 「……そうしないと、また甘えちゃいそうな気がするから」
琵琶坂 藍依 : 「けっこう待たせちゃうかもしれないけど、文句は言いっこなしね」
琵琶坂 藍依 : 「はじめに置いていったのは、キミの方なんだからさ」お互い様でしょと笑いかける。
久能胡桃 : 「藍依ってば……」
久能胡桃 : ……やや思うところがあるのだろう。『また会いに来る』、そう言った時、彼女の表情が不安げに曇るのを、キミは目撃した。
久能胡桃 : 「……ううん、でも。そうだよね。もしかしたら……また、奇跡が起きるかもしれないから」
久能胡桃 : 「また会おう、藍依。次に会う時は……素敵なお土産話、たくさん聞かせてね」
久能胡桃 : 「わたし……いつまでもずっと、待っているから」
琵琶坂 藍依 : 「うん、それこそ"冥途の土産"をたくさん用意していく」
琵琶坂 藍依 : 「…………だから、またね胡桃」
琵琶坂 藍依 : これはきっと、永遠の呪い。叶えようのない甘い夢想。
琵琶坂 藍依 : 奇跡が起きる可能性よりも、いつまでも彼女を待たせ続けてしまう可能性の方が、よほど高い。待っているのは、きっと残酷な現実だけだ。
琵琶坂 藍依 : ……それでも、琵琶坂藍依は夢を見た。アイドルは、夢を見続けるものだから。
澱 カシル : 「アタシからも、またね!」
「アタシみたいなのに冥府が用意されているのか分からないし、いつ寿命が来るのかも全然分からないけど!」
「執念だけはピカイチですから、きっと会えます!」
久能胡桃 : 「……2人と話してると……何だか、悪いことなんて全部ひっくり返してもらえちゃいそう。とっても元気になれたよ」
久能胡桃 : 「またね、藍依、カシルちゃん。めいっぱい生きてね」
GM : 胡桃はキミ達に微笑みかける。キミ達のこれからを、心の底から祝福するように。
琵琶坂 藍依 : 「……約束する。キミの分まで、精一杯に生き抜いてみせるよ」土産話をいっぱい用意しないといけないしね、と微笑み返す。
澱 カシル : 「はい! 道に迷ったとしても、生きたい方向へ進みますっ!」

虹之元 ユメ : ……胡桃らの会話の傍ら、ほんのちょっとだけ離れた場所に、ユメは肩を貸していたユメミを降ろして彼女を介抱していた。
虹之元 ユメ : 霞み始めた手で、形だけでも背中を擦る。広がる痣の苦しみや焦りを和らげるために。
虹之元 ユメ : 「ユメミちゃん……」柔らかく労わる声に、不安が滲んでいる。
春兎ユメミ : 「ハァッ、ハァッ……」浅く息をしながら、その場に座り込んでいる。
春兎ユメミ : やがて、キミの介抱のおかげか、それとも彼女がこうなったきっかけが姿を消したためか。徐々に呼吸は落ち着き、流れ続けた涙もようやく止まってくれたようだ。
春兎ユメミ : 「……キツいなぁ、これ……るみるみ、ずっとこんなのに耐えてきたの……?」
虹之元 ユメ : 「……そう、ですね。でも今は平気……でもないですね……」 咄嗟に取り繕おうとしたのをやめる
虹之元 ユメ : 「でも、こっちの涙は止まってくれて良かったです。ユメミちゃんに涙は似合いませんから」人差し指で涙を拭ってあげる仕草をしてみせる
春兎ユメミ : 「へへ……クールなアタシちゃんらしくない姿を見せちゃったぜ……あー、恥ずかし」キミの仕草に合わせ、自ら目を擦る。
春兎ユメミ : 「さて。なんか図らずしも、アタシの希望通り……冥界から帰れるようになったっぽいね。……アタシ個人としちゃ万歳……なんだけどさ……」ちら、とキミの様子を伺う
虹之元 ユメ : 「ですけど……」沈痛な面持ちを、彼女に向ける。眼の前で苦しむ親友を放って、冥界を去るなど酷な話だ。
春兎ユメミ : 「……やっぱ、そうなっちゃうよなぁ。るみるみってばやーさし」頬をつつくように人差し指をついとして
春兎ユメミ : 「たくさん冷たくしちゃってゴメン……本当は、こんなことになる前に、全部ポイして帰ってもらえたらって思ってたんだけど……」
春兎ユメミ : 「……アタシ。色々、間違えちゃってたみたいだね」
虹之元 ユメ : 「もう……そんな手軽にポイなんて、出来るはずないじゃないですか……」目元を潤ませながら、安心させるように微笑んで
虹之元 ユメ : 「冷たくしたのも、突き放そうとしたのも……ユメミちゃんなりの優しさだったんですよね? ちょっと不器用すぎて傷ついちゃいましたけど……」冗談めかして
春兎ユメミ : 「悪かったって思ってる。アタシ、ちょっと……いや、かなり焦ってた……」下手したらもっと早くこうなってたし…と目を逸らして
春兎ユメミ : 「何にせよ、るみを傷つけるやり方はするべきじゃなかったんだ。これで最後になるかもしれなかったのに……だから、ごめん……」
虹之元 ユメ : 「喧嘩するのも、友達だからこそですから……」彼女がこれ以上に気にすることの無いように、柔らかく微笑みを湛えてユメミを見下ろす。
虹之元 ユメ : 「……ユメミちゃん、こんな状況ですけど聞いて欲しいことがあるんです」少しだけ改まって
虹之元 ユメ : 「もしかしたら、最期かもしれませんから……」
春兎ユメミ : 「うん。……何でも言って」キミを見上げ、真っ直ぐに見つめる。
虹之元 ユメ : 「私の夢は……もう、嫌という程にご存知でしたよね?」 ステージの上で咎められた、ユメの夢だ。
春兎ユメミ : 「嫌だなんて、思ったことがあるもんか。……今や、立派なアイドルだよ」
虹之元 ユメ : 「ふふ、ありがとうございます……」少しだけ気恥ずかしそうに頬を掻いて
虹之元 ユメ : 「それでも、思う所はありました。一人の人間が、二人分の夢を抱えることは厳しいんじゃないかって……無意識に目を逸らしていた問題に、自分なりに向き合ってみたんです」
春兎ユメミ : 「……うん」否定はせず、ただ微笑んで相槌を打つ。
虹之元 ユメ : 「私はね、ユメミちゃん……」どこか決心を固めた、潤んだ瞳が彼女を見つめる。
虹之元 ユメ : 「…………」少しだけ静寂を挟み……
虹之元 ユメ : 「やっぱり、この夢は……諦めない……!」 確固たる信念を宿した瞳が、キラリと光った。
虹之元 ユメ : 「でも、ちゃんとユメミちゃんに約束します……! 今までみたいな無理な生活はせずに、皆に心配させないように……アイドルとして歩んでいくと……!」
春兎ユメミ : 「…るみ……」
春兎ユメミ : キミの瞳が映す信念を、確かめるように見つめてから。彼女は破顔する。
春兎ユメミ : 「ふふっ……ははは……!この、頑固者めっ!」
春兎ユメミ : そう言って、肩を組むようにしてキミの肩に己の腕を回す。
虹之元 ユメ : 「はいっ、私は頑固でエゴイスト……ですからっ!」同じく砕けた笑みを浮かべ、学生の頃を思い出すスキンシップを取り合う
虹之元 ユメ : 「きっと、いえ絶対! ユメミちゃんの夢も武道館に連れて行きます……! ドームだって、海外だって行くかもしれません!」 そうやって、壮大な夢を彼女に語ってみせた
春兎ユメミ : 「おうおう、連れてっちゃえ!海外だって銀河だって!もう無理はしないって…ユメがユメとして生きられるなら、どこにだって付いていくからさ!」
春兎ユメミ : 一頻り笑ってから、彼女はキミに向き直る。
春兎ユメミ : 「……アタシはね。るみがるみらしく生きる人生さえ送ってくれたら、それで良いと思ってたんだ。それがアタシの、今の夢だったから」
春兎ユメミ : 「それでも、もしるみ自身が望むなら…これからも、音楽は続けて欲しいんだ。いつか引退する日が来て、プロじゃなくなっても構わない。ただ、好きでいて欲しい」
春兎ユメミ : 「音楽で繋がっていれば……例え離れていても、何が起きたとしても、アタシのハートはるみと共に燃え続ける。共に息をして、共に歌い、共に戦うんだ」
春兎ユメミ : 「……これはこれで、超ステキじゃん?」ニヤッと笑って
虹之元 ユメ : 「────はい!! とっても、とっても素敵です……!」パッと咲いたように笑ってみせる
春兎ユメミ : 「だろ!分かってる……流石、アタシの大親友だ」指をパチンと鳴らして笑う。
春兎ユメミ : 「もう、振り返らなくて良い。上だけ向いて……そう、」
春兎ユメミ : 「まさに、涙が溢れないように!」ニカッと笑って、キミにハグする。
虹之元 ユメ : 「ええ、もう一人きりではありませんからっ!」透けつつある腕でユメミを受け止めて……名残惜しいさからか、少し力の籠ったハグを返す。
春兎ユメミ : 「ふふっ……名曲だよなぁ、ほんと」背中をぽんぽんとする。
GM : もはや、手の感触は感じられない。だが、確かな温もりを交わしている感覚があった。
虹之元 ユメ : 彼女の温もりを感じながら、崩れつつある冥界の気配を否が応でも感じ取る。別れの時が刻一刻と、近づいているようだ……。
虹之元 ユメ : 「(今度こそ、本当にお別れか……まだたくさん話したいことがあるのにな……)」 内側から寂しさがふつふつと湧き上がる。
虹之元 ユメ : 「あっ……!」ふと、何かを思い出したのか素っ頓狂な声を上げる
春兎ユメミ : 「うおっ…ど、どうした!?忘れ物ある!?」パッと体を離して
虹之元 ユメ : 「私、あの時のお礼を言ってないかも……。あれです、赤い濃霧を出していたオーヴァードから庇ってくれた時の……!」
春兎ユメミ : 「ええええええっ、今ぁ!?」今度はユメミが素っ頓狂な声をあげて
春兎ユメミ : 「そ、そんなの良いって……アタシがやらなきゃ誰がやるー!って思ってたし、後悔してないし。お礼言われるようなことじゃないと思うんだよなぁ……」
春兎ユメミ : そう言って頬をかく。墓まで持っていったつもりの一世一代のカッコ付けに礼を言われるのは、逆に気まずいのだろう。
虹之元 ユメ : 「だ、駄目ですよぉ。お礼はちゃんとさせてくださいっ……!」
虹之元 ユメ : 「それに……」少し気恥ずかしそうに視線を逸らして
虹之元 ユメ : 「だ、大好きなユメミちゃんと、悔いを残したままお別れはしたくない……ですしぃ……」明らかに歯切れが悪い
春兎ユメミ : 「か、可愛らしい態度で押し通そうと……卑怯なり、夏燈涙美……!」ぐぬぬ、といった態度を取ってから、やがて諦めたように脱力する。
春兎ユメミ : 「……どういたしまして。でいいのかぁ……?アタシちゃんよぉ……」唇を尖らせ、人差し指をいじいじして、いじけたようにキミを見る。
虹之元 ユメ : 「は、はい……! 私のヒーローなんですから、胸を張ってください……!」
虹之元 ユメ : 「あとはぁ、その……」視線を右往左往させ、再び言葉を詰まらせる
虹之元 ユメ : 「(ゆ、勇気を出せ涙美! これを逃せば二度目はないんだから……!)」己の尻を蹴り上げるが如く、己に発破をかける
虹之元 ユメ : そうやって一呼吸を置いて、真一文字に結んでいた唇を開く。
虹之元 ユメ : 「ほ、本当に大好きですっ! これからも、この先も……一生、愛してますっ!」顔が紅葉のように紅潮しているのが自分でもわかる。柄にもない大声を出したせいか、今にも心臓が飛び出そうだ。
春兎ユメミ : 「…………………ぁ」
春兎ユメミ : 「ぇ、あ……えっ……!?ちょっと……んん……!?」
春兎ユメミ : キミにつられるように赤くなり、口元を抑え、忙しなく視線を右往左往させる。
春兎ユメミ : 「そ、そりゃアタシだって、一生どころか二生分大好きだし愛してるけど!?そーゆー意味よね、ね!?」キミに向かって詰め寄るように尋ねる
虹之元 ユメ : 「し、親友としても! 一人の女性としても、です……!」 羞恥で震える声で、確かにそう宣言する
春兎ユメミ : 「わぁぁ!そーゆー意味が来ちゃった!!」さらに真っ赤になる頬を抑え、オーバーリアクションにのけぞる
春兎ユメミ : 「ちょ、ちょっと待った……いや、アタシは……考えても見なかったとはいえ、案外、満更じゃないんだ、ケド……」後半になるにつれ尻すぼみになって
春兎ユメミ : 「……アタシが受け入れたところで、付き合いたてから未亡人、その上、これからもう一度未亡人になるぜ……?アタシ、それはちょーっと嫌なんだけど……ちゃんと責任を取りたいと言いますか……」
虹之元 ユメ : 「音楽と繋がっていれば……って、さっきぃ……」ちょっとだけ意地悪な目で
虹之元 ユメ : 「そ、それで……その……どっち、なんですか……?」 少しだけ上目遣いで見つめる
春兎ユメミ : 「う、うぅ、どっちって……それは……?」しどろもどろになり、目を回しながらも尋ねる。
虹之元 ユメ : 「告白の返事、どっちなんですか……。つ、付き合って頂けるん……ですか?」玉砕覚悟と言った調子で、額がついてしまいそうな程に、ずいっと顔を寄せる。
春兎ユメミ : 「……ち、近い近い…」あわあわして、ユメミから一歩下がる。
春兎ユメミ : 「……ふぅ。るみ。くどいって思うかもしれないけど、ちゃんと考えを聞かせてくれないと……アタシも簡単に良いよって言えないよ」少しムッとした顔で。
春兎ユメミ : 「アタシはこれから居なくなる。心は繋がっていても……るみの為に、何かをしてあげることはできなくなるんだよ」
春兎ユメミ : 「そんな関係になるのに……本当に、良いの?」
虹之元 ユメ : 「…………」目を伏せ、押し黙る。ユメミの対する答えはもちろん、それは……
虹之元 ユメ : 「────嫌に、決まっています」
虹之元 ユメ : 「欲を言うのなら、奈落華の皆さんを救って、ハッピーエンドを迎えてから……」
虹之元 ユメ : 「あなたを、ちゃんと迎えに行きたいです……」
春兎ユメミ : 「むぅ……」気むずかしげに唇を尖らせる。キミが語るハッピーエンドのビジョンが、上手く共有出来ていないのだろう。
春兎ユメミ : 「……それなら、こうしよう。アタシ、『付き合おう』とは言わない。今のところはお断りってワケ」
春兎ユメミ : 「もちろん、るみるみとの関係が終わりってワケじゃないよ。今後ともニコイチでラブアンドピース、いつも側にはアタシちゃんよ」
虹之元 ユメ : 「────────」ユメミの言葉聞いて、ほんの少しの間だけ目を閉じる
虹之元 ユメ : 「はいっ、わかりました……!」意外にも、ハツラツとした態度で応える
虹之元 ユメ : 「ユメミちゃん、ありがとうございます。私の想いを……ちゃんと考えた上で、答えてくれて……」
虹之元 ユメ : 「それでこそユメミちゃんです。もっと好きになっちゃったかも?」ふふ、と微笑を浮かべて
春兎ユメミ : 「あちゃー……アタシちゃんってば、意外にも魔性属性持ちなのかしらね」つられるように笑って
春兎ユメミ : 「もしこの『続き』があったら……その時はその時ってことで。……これ以上、アタシからはお口チャック」ふふん、と口の前で人差し指をクロスして
虹之元 ユメ : 「その続き、楽しみに待っていますね」クスクスと笑って
虹之元 ユメ : 続きを叶えるためにも……と、ユメは崩れつつある冥界の空を見上げて心持ちを新たに抱いた……。

天海こよみ : 「…………」 すぐ傍で流れるMARiNE SNOWと奈落華の会話を聞き終えた後、
天海こよみ : 「……ルコちゃん」 ルコの手を握りながら、名前を呼ぶ
ルコ : 「ええ。どうしたの、こよみ」瞳を見つめて微笑む
天海こよみ : 「あのね……ぼく、これから司さんを止めて来るよ」
天海こよみ : 「るー子ちゃんのファンに……ルコちゃんの生みの親に、これ以上まちがったことをさせたりしない……」
天海こよみ : 「クラちゃんの力を利用して、ルコちゃんの歌でみんなを支配させるなんて、ぜったいにさせないから……!」
ルコ : 「こよみ……」心配そうに、キミの手を握る仕草。
ルコ : 「あの人、言っていたでしょう。貴方達を攻撃するって……もっと大人の人に任せられないの?」
ルコ : 「あの人の企みはとても邪悪よ。それでも……貴方のような子供が危険を冒したり、脅かされたりして良いはずがないわ……」首を横に振る
天海こよみ : 「……もしかしたら、他の人がやってくれるかもしれない……だけど……」
天海こよみ : 「ぼくは、クラちゃんといっしょに生きるってきめたから。他の人をたよることはしても、ぜんぶまかせたりなんてしたくないの……」 隣にいるクラを見てから、
天海こよみ : 「それに、ぼくが司さんとちゃんと向き合って、言ってあげたいんだ」
天海こよみ : 「あなたのしてることはまちがってるって……。ルコちゃんとるー子ちゃんは、ちがうんだって……」
天海こよみ : 「ぼくは、ルコちゃんのお友達だから……ぼくが言わなくちゃ……!」
ルコ : 「こよみ……」キミの言葉に心を打たれたように、目線を泳がせる。だが、それでも心配、といった彼女に…
クラ : 「……ふふん。コヨミ、つよいよ?クラのことたすけてくれたし、ルコのことやっつけた!」
クラ : そう言って、クラはキミの横でふんぞりかえる。
天海こよみ : 「クラちゃん……」 その様子に小さく笑って
天海こよみ : 「うん……そうなの。ぼく、こう見えて……けっこうつよいらしいの」
天海こよみ : 「それに、だいじょうぶだよ。ぼくは一人で戦うわけじゃない」
天海こよみ : 「クラちゃんがいるし、藍依ちゃんもユメちゃんもカシルちゃんもいる。外の世界にはたよりになるプロデューサーさんも……マネージャーさんもいるんだ」
天海こよみ : 「だから、ぜったいだいじょうぶ。心配しないで、ルコちゃん……」 ルコのことを真っすぐに見て、笑う
ルコ : 「……そう、ね。ええ……何だか、少し安心したわ」くす、と笑って
ルコ : 「……くれぐれも、無理はしないこと。お顔に傷を作るようなことになったら、アイドルとしても困ってしまうでしょう?」キミの頬をなぞり、また瞳を見つめて
天海こよみ : 「うん……わかった。ぜったい無理しないよ……!」
ルコ : 「良い子ね。……ありがとう、こよみ。大好きよ」小さく微笑む
天海こよみ : 「うん……ぼくも大好きだよ、ルコちゃん……!」
天海こよみ : みんなと一緒に戦う覚悟を決めたので、このタイミングで虹之元ユメに〇連帯感/悔悟、澱カシルに〇信頼/不安でロイス取得します! 心にマリスノを揃えます
GM : 了解!マリスノデッキですね
system : [ 天海こよみ ] ロイス : 4 → 6
天海こよみ : 「……ねえ、ルコちゃん。無理しないって、やくそくする代わり……じゃないんだけど……」
天海こよみ : 「最後に一つだけ、聞いてもらいたいお願いがあるの。いいかな……?」
ルコ : 「お願い?……まず、内容を聞かせてもらえるかしら」この状況だ。出来ない約束はしたくないのだろう。
天海こよみ : 「うん、もちろん……。えっと、あのね……お願いの前に、まずは……なんだけど……」
天海こよみ : 「……ぼく、冥界が消えても……ルコちゃんたちは、死なないと思うの」 確信を持っているかのように、はっきりと言う
ルコ : 「……それは……どうして?」
天海こよみ : 「ついさっき、ココちゃんは言ってたよね……。ココちゃんは、ルコちゃんを……全てのルリコちゃんをすくうことが目的だって……」
天海こよみ : 「それと、ぼくがこれからどうすればいいかって聞いた時も、こう言ってた……」
天海こよみ : 「人間らしい正しい倫理観をもつぼくたちだったら、きっと良きようになるって……」
天海こよみ : 「だからぼく、やっぱり……そう言っていたココちゃんが、ルコちゃんを見捨てるわけがないって思うの……」 前にハーデスに言った時と、同じことを繰り返す
ルコ : 「……それは、どうかしら。少なくとも……この世界が消えたら、今ここにいる私はきっと消えるわ」
ルコ : 「今はかなり落ち着いたけど……少しずつ、身体が蝕まれている感覚がある。きっと、長くは持たない」
ルコ : 「あの子はきっと……偽物の私が再生産されて、悲劇を繰り返すことを、貴方達に食い止めて欲しかったのよ。残酷だけど……もはや、私たちは長くないわ」
天海こよみ : 「…………っ」 黙って首を横に振って
天海こよみ : 「それでも……それでも、ルコちゃんは死なない。冥界が消えても、身体が消えたとしても……ルコちゃんは、死なない……!」
天海こよみ : 「ぼくは、ココちゃんのことも、ココちゃんがたくしてくれたぼくたちのことも、信じてる……!」
天海こよみ : 「だからおねがい、ルコちゃん。ココちゃんと、ぼくたちのこと……信じて……!!」
天海こよみ : 「ぜったいまたすぐに会えるって、信じてほしい……!!」
天海こよみ : 「ぼく、いやなの……! るー子ちゃんとして自分をあきらめて死んだきおくのあるルコちゃんが、もう一度あきらめてしぬなんて、ぜったいいやだ……!」 ルコの手を強くにぎって必死に訴える
ルコ : 「……こよみ」優しく微笑んで、キミの手を握り返す。だが、やはりキミと彼女の指先が触れ合うことは、もうない。
ルコ : 「優しい子。大丈夫よ……私はもう、寂しい思いのまま死んだりしない」
ルコ : 「そんな貴方が居てくれるから。貴方が、私をこうして想ってくれる限り……私は不滅よ。だから、悲しまないで頂戴」
ルコ : 「ずっと信じて、貴方を想ってる。約束するわ」そう言って優しく微笑む。それは諦めよりも安らかな表情だ。
天海こよみ : 「ルコちゃん……」
天海こよみ : 「……ありがとう、ルコちゃん……。ぼくも、ルコちゃんのこと想ってる……」
天海こよみ : 「もう悲しんだりも……しないよ。信じてるから……」
天海こよみ : 「きっとまた会えるって……会いに行けるって……ルコちゃんのことを助けられるって、信じてる……」
天海こよみ : 「だから、行ってくるよ……ルコちゃん。後のこと、ぜんぶ……ぼくたちにまかせて……!」 震えを止めて、ルコから手を離す
ルコ : 「ありがとう、こよみ。貴方に会えてよかった」奮い立つキミに微笑んで
ルコ : 「気をつけてね。後のことは託したわ。そして、元気に過ごして……幸せになるのよ」
ルコ : ルコは、キミに自ら近寄り抱擁する。
ルコ : 「いってらっしゃい、こよみ」
天海こよみ : 「…………っ」 これで最後のような言葉に胸の奥が苦しくなりながらも、
天海こよみ : 「……うん。行ってきます、ルコちゃん……!」 決意で心を満たして振り切り、微笑みながら透明になった手で抱きしめ返す
 

 
澱 カシル : ユメちにロイス取得!
信頼/疎外感のPで!
虹之元 ユメ : いぇい
system : [ 澱 カシル ] ロイス : 5 → 6
虹之元 ユメ : ユメミちゃんをSロイスに指定して、感情変更! 純愛/不安でPが表
後は自分もカシルちゃんのロイスを取得! 連帯感/恐怖でPが表
system : [ 虹之元 ユメ ] ロイス : 4 → 5
虹之元 ユメ : そして琵琶ちゃんへの感情も変更しておく! 連帯感/隔意でPが表!
琵琶坂 藍依 : ユメちのロイスを同情/不安のN表から、親近感/不安のP表に!
琵琶坂 藍依 : カシルちゃんのロイスを連帯感/恐怖のP表から、遺志/濡れ衣のP表に!
琵琶坂 藍依 : こよこよは変更なしです!感服/不安のP表のまま!!
GM : みなさま、了解しました!
 

 
ルコ : 「……良い子…」ルコはこよみの頭を優しく、優しく撫で続ける。
GM : 別れを惜しむキミ達。永遠に続くのではないかとも思わせる、束の間の穏やかな時間。
GM : だが……残酷にも、その時は遂に訪れる。
ルコ : 「…ッ……」突如。ルコが肩を震わせ、こよみを撫でる手を止める。
天海こよみ : 「ルコちゃん……!?」
ルコ : 「ぁ……だい、じょうぶ……」喉を抑え、キミに微笑む。
ルコ : 「……もう……帰る時間、ね……」
GM : ルコが苦しみ出すと同時。胡桃、そしてユメミもまた、先ほどまでの落ち着きから一転、暴走させられた時と同じように、能力の暴走が始まったようだ。
久能胡桃 : 「……ッ」胡桃は己からみるみるうちに生え始める枝葉に怯えたような表情を浮かべ。
GM : そして、ユメミは……
春兎ユメミ : 「……ぁ」涙を溢れさせながらも……どこか間の抜けたような声を上げる。緊張した場面にそぐわない声は、キミ達の注目を集める類のものだった。
天海こよみ : 「ルコちゃん……みんな……っ」 ルコたちを辛そうに見守るしかなかったが、その声に振り向く
虹之元 ユメ : 「ユメミちゃん……っ! それに、皆さんも……!」 この惨状に何もできない己の無力感を嘆きながら、彼女に寄りそう
春兎ユメミ : 「ご、ごめんみんな、でもアタシ……ぁ、いたた……ッ」蝕まれる右目を抑えながらルコや胡桃とは明らかに異なる様子。
春兎ユメミ : 「アタシ……未練、あったよ……!」
GM : 悲痛な空気の中、彼女は困ったようにユメに縋る。
虹之元 ユメ : 「聞かせて、ください……」 その言葉を受け止めるように、ユメミを支える
春兎ユメミ : 「うん…!あのね、アタシ、」
 
砂嵐
 
GM : ……その言葉を最後に。キミ達の意識は、ぷつりと途切れた。



GM : キミ達は、揺れと肌寒さの中で目を覚ます。
GM : どうやら、直立した体勢で、箱のようなものに押し込められているようだが……現状、それ以上のことはわからない。なぜなら、目を開いたところで、その空間は真っ暗だったからだ。
天海こよみ : 「……!? こ、ここ……は……? み、みんな……!?」 暗闇の中で周囲を見回しながら、手探りで動こうとする
虹之元 ユメ : 「ユメミちゃ────!? こ、ここはっ!?」 手を伸ばして、空間を探ろうと
澱 カシル : 「(懐かしい感覚……)」
「いえ……! 皆さん無事でしょうか!」
届くか分からない声を上げる
GM : 周囲を探ろうとすると、前方に手がぶつかる。どうやら扉のようなもので、向こう側に開きそうだ。また、声を上げても箱の中で反響してしまうのみのようだ。
天海こよみ : 「…………?」 訳が分からないまま、手で扉のようなものを無意識に押す
琵琶坂 藍依 : 「何が起きてるか、よく分からないけどっ……!」出られそうだ、と前方を思いっきり蹴飛ばす。
虹之元 ユメ : 「えいっ……!」 勢いに任せてドーンと押し出す!
澱 カシル : 「この箱、開けるでしょうか……?」
呪力を扉にぶつけ、自ら開かせる
 
潜水艦
 
GM : キミ達が外に出ると、そこは見慣れない空間だ。船舶の発令所のようにも見えるが、鋼鉄に覆われた空間には窓一つない。
GM : そして、部屋の中では…
 
あみぃ
 
あみぃ : 「これ、押していい?多分大丈夫だと思うんすけど!緑色だしアンゼン!」
 
らむね
 
らむね : 「人生リセットボタンぽちー!」
GM : ”らみぃどらいぶ!!”のあみぃとらむねが、何やら楽しげに、何かのボタンを押そうとしている場面が繰り広げられていた。
虹之元 ユメ : 「あ、あみぃちゃんに、らむねちゃん!?」素っ頓狂な声で二人の名を呼ぶ
天海こよみ : 「……え? なに……やってる、の……?」 ひょこっと出した顔は理解が追い付いていない表情になっている
澱 カシル : 「それに……ここは何処でしょうか??」
琵琶坂 藍依 : 「ひとまず、みんなが一緒で良かったけど……いろいろ説明してほしいな……」マリスノの皆を見回してから、あみらむに視線を向ける。
あみぃ : 「わぁぁ!?な、何!?アンタら起きたの!?」
らむね : 「死体が喋ってるわ…」
GM : 口々に言いながら、彼女達はしぶしぶ動きを止める。
澱 カシル : 「オーヴァードなんてみんな一度死んでるようなモノなのでは?」
やや辛辣めの返答をする
あみぃ : 「直球すぎてシヌゥ」おじさんのような喋り方
琵琶坂 藍依 : 「別にオーヴァード皆が皆、臨死体験してるわけじゃないからね……」
虹之元 ユメ : 「確かに、今まで冥界にいたので死んでるようなものでしたけど~……今は生きてます! ……よね?」
天海こよみ : 「そうだよ、死んでないよ……」
らむね : 「……残念ながら、生きていたようね。その箱に詰め込まれた時は死んでたんですっけ?」あみぃに尋ねる
あみぃ : 「大体そんな感じじゃね?あのお面の話、長くて聞いてないけど~」
天海こよみ : 「意識がなくなってたから、そっか……体は死んでたようなもの、なのかな……」
天海こよみ : 「ごめんね……ミツキちゃんにもプロデューサーにも、心配かけちゃってるよね……」
澱 カシル : 「レネゲイドビーイング、呪物のアタシが死んでいた、ってコト……? どういう状態だったんです?」
虹之元 ユメ : 「そうですね。オーメンさんやミツキちゃんたちへのお礼は後でするとして……今は、どうなってるんですか?」
らむね : 「意識どころか、ミャク…ミャク?もぶっ飛んでたって聞いたわよ」
天海こよみ : 「ココちゃんが教えてくれてた、でしょ……? ぼくたちは、意識のみが空間にデータ化されて……体は現実に置き去りになるって……」
琵琶坂 藍依 : 「なるほど……それなら私達がさっき入れられてたのは、生命維持装置みたいなものなのかな……?」思わず蹴り上げちゃったけど
澱 カシル : 「ええ……意識に置いて行かれて"眠っている"に近いと思ってたんですけど……」
「"死んでいた"なんて聞いてしまったから、アタシ死ねるんだ!?ってびっくりしちゃって!」
天海こよみ : 「は、発見できてよかった……ね……?」
あみぃ : 「えぇ〜、起きて早々なんかわかんないことばっか言うなっての!てか、なんか言ったらどうなの、こいつ!」
GM : あみぃは毒づきながら、部屋の中央にある椅子を蹴る。その椅子がぐるりと回り……一瞬キミ達の目に映ったのは、長すぎる黒髪とお面、そしてゼブラ柄のスーツ。
オーメン相良? : オーメン相良の姿だった。
天海こよみ : 「わ……プロデューサー、だ……」 いきなりだとちょっとびっくりする
GM : だが、一瞬お目見えした後、彼はまた向こう側を向いてしまう。覗いてみると、そこは操舵席のようで……何やらよくわからない操作を続けている。
GM : 無言で、不気味だ。
天海こよみ : 「…………?」 不思議そうに近づいて、オーメンの体を指でちょんちょんと触る
オーメン相良? : 気持ち悪いほど無反応だ。
琵琶坂 藍依 : 「いつものプロデューサーなら、アイドルには触れられないように立ち回るハズだけど……」
澱 カシル : 「もしかして、オーメンさんの従者さんでしょうか?」
天海こよみ : 「じゅうしゃ……プロデューサーじゃない、ってこと……?」
虹之元 ユメ : 「これは……オーメンさんの、お手伝いさん……?」従者のことをそう認識している
天海こよみ : 「じゃあ、本物のプロデューサーは今どこにいるの……?」 あみらむに聞く
らむね : 「うーん、そうね。そろそろ面倒だから……後のところは大人に聞いてちょうだい」
らむね : そう言って、キミに向かって端末を投げ出す。
天海こよみ : 「え……? も、もしもし……?」 繋がってるのか分からないけどとりあえず端末に話しかける
オーメン相良 : 『……目覚めたのか』
GM : そう返してくるのは、久しぶりに聞く気がする男の声。キミ達のプロデューサー、オーメン相良だった。
天海こよみ : 「あ……う、うん……。みんな、今おきたよ……」
天海こよみ : 「心配かけて、ごめんなさい……」
オーメン相良 : 『いや、君達を危険に晒した責任は私にある』
オーメン相良 : 『よくぞ帰ってきてくれた。MARiNE SNOWの皆』
琵琶坂 藍依 : 「どちらにも責任はないと思うけど、そうだね────ただいま、プロデューサー」
虹之元 ユメ : 「はいっ、虹之元ユメ……ただいま帰りました……!」
澱 カシル : 「ただいま、オーメンさん!」
やや不慣れな帰宅の挨拶を口にする
天海こよみ : 「た、ただいま……なんだけど……」
天海こよみ : 「ぼくたち、またすぐにいってきますしなくちゃ、なの……。司さんを、止めなくちゃ……」
オーメン相良 : 『……ふむ。こよみくん、君の言わんとすることは私も理解している』
オーメン相良 : 『まずは状況の共有から始めても良いだろうか。幸い、それだけの時間はあるからな』
天海こよみ : 「う、うん……」 頷く
澱 カシル : 「お願いしますね!」
戻ってきてもアイドルフォームのままのつもりのようだ。
虹之元 ユメ : 「聞かせてください……!」
琵琶坂 藍依 : 「ハーデスを止めるためにも、まず状況を知らないとね。急ぎはしても焦りは禁物だ」
オーメン相良 : 『ありがとう。さて、君達がいるその場所は……潜水艦の内部だ』
天海こよみ : 「潜水艦……? どうして……?」 
琵琶坂 藍依 : 「もともと私達がいたのは、ライブ終わりの楽屋だったはずだけど……」
オーメン相良 : 『目覚めて早々申し訳ないが、君達にはある任務を頼みたい。先ほどこよみくんが言及していた『司』……すなわち、"ハーデス"灰出司を、止める任務だ』
天海こよみ : 「……ぼくたちが行って、いいの? 反対されるかと思ってた……」
オーメン相良 : 『構わない。君達が適任だと結論づけた』
オーメン相良 : 『君達が『冥界』に居た間、こちらでは何が起きていたのかを説明しよう』
GM : オーメンがそう言った途端。潜水艦前部のモニターが切り替わり……君達が誘拐される直前の、楽屋の映像が映し出される。
天海こよみ : 「これって、あの時の楽屋……?」 モニターを見る
オーメン相良 : 『その通りだ。さて、この後……』
GM : 途端、画面が真っ暗になる。恐らく、停電により強制的に電源が落とされてしまったのだろう。
GM : 次にライトが付いた時、君達は楽屋の中で倒れていた。まるで何者かに襲われ、意識を失ったかのような状態で、テレビの前に重なりあっている。
GM : その後、すぐにドアが勢いよく開かれ、ミツキがやってきて……慌てふためいた様子で、キミ達を揺すり起こそうとしていた。
オーメン相良 : 『停電騒ぎの直後、君たちの安否を気にしたミツキ君が楽屋を訪れたところ……中で倒れる君たちを発見した』
オーメン相良 : 『発見時点で、君たちは心肺停止状態になっていた。危ういところだったが、UGNが手配した特殊な生命維持装置……君たちが眠っていた棺のようなそれが役立ったようだ』
GM : ……恐らくは、キミ達が先ほど出てきた箱のことだろう。
天海こよみ : 「あれに入ってなかったら、本当に死んでたんだね……」
琵琶坂 藍依 : 「ココが言っていた"私達が死んでいる"っていうのは本当だったわけだ……」
天海こよみ : 「あの……ミツキちゃんは、今はだいじょうぶ……?」 慌てるミツキを見て心配そうに
オーメン相良 : 『彼女は問題ない。今も必死に戦っている。さて…』
オーメン相良 : 『眠っている間の君たちの状況についても、私は把握している。時間から数時間後、UGNプロのネットワークに、『MAC-09』という謎のユーザーから、こよみ君のアカウントでアクセス要求があった』
オーメン相良 : 『どうやら”クラッドカルト”についての調査記録を閲覧したようだが……間違いないな?』こよみに確かめるように
天海こよみ : 「ココちゃんだよね……。たぶん、そうだと思う……」
オーメン相良 : 『そうか。第三者によるアカウントの乗っ取りの可能性もあり得たが、それならば安心だ』
オーメン相良 : 『私は、MACシリーズと呼ばれる少女型ヒューマノイドAIがFHの一部で活用されていること、そしてその開発者”ハーデス”の存在を知っていた』
オーメン相良 : 『そこから、君達が何らかのFHの企みに巻き込まれていると判断すると同時に…君たちが『MAC-09』経由で検索をかけて来たということは、『MAC-09』は我々の味方なのだろうと判断した』
オーメン相良 : 『ここまで、間違いはないだろうか?』
天海こよみ : 「うん……! ココちゃんは、ぼくたちの味方だよ……! 冥界でも、ずっと……いろいろ一人でがんばってくれてたの……!」 
琵琶坂 藍依 : 「そうだね……彼女は最初から最後まで、私達の……そして、なによりルコの味方だった……」過去形であることから、おおよその状況は察せられるだろう。
虹之元 ユメ : 「はい、ココちゃんには大変お世話に……」
澱 カシル : 「はい。ココちゃんは希望をアタシたちに託してくれて……立派な一人のアイドルでした。」
「"冥界"でしか知られることはありませんでしたが……。」
「全て解決したら、ゆっくりお伝えしたいです!」
オーメン相良 : 『…………アイドル?????』
オーメン相良 : 『その情報は初耳だが……アイドル?FHの少女型ヒューマノイドAIが、アイドルを?』
琵琶坂 藍依 : 「プロデューサー?」今はそんな説明している余裕はないでしょ、と咎めるような声色
天海こよみ : 「……あの、時間があるなら……ぼくたちが冥界で何を見てきたか、話してもいい……?」
天海こよみ : 「プロデューサーも、ココちゃんのこと、気になるんだよ……ね……?」
オーメン相良 : 『気にな。気に。気』
オーメン相良 : 『……いや、そこまでの猶予はない。藍依君の言う通り、話を戻そう………………』
天海こよみ : 「そっか……」 ちょっと残念そう
琵琶坂 藍依 : 「詳しい話は、後でゆっくりとコヨミとカシルに聞いて」今はそれよりも本題だ。
虹之元 ユメ : 「お、落ち着いたら色々とお聞かせしますからね……!」
オーメン相良 : 『………さて。MAC-09が君達の味方についているこの状況……恐らく、君達に害をなしたのは彼女ではない』
オーメン相良 : 『”ハーデス”が君達を巻き込む事件の真の黒幕なのだろう。そう判断し、私は、彼の居場所を調査した』
オーメン相良 : 『驚くべきことに、彼の本拠地はS湾の海底にある研究所だった。水深500m、且つ東京からも遠くに位置している。君達の意識が戻る前で申し訳ないが、早期に手を打つ必要があった以上、このような形で運ばせてもらったというわけだ』
天海こよみ : 「海底……すごいところにいるんだね……」
澱 カシル : 「なるほど! 辿り着けまいという、あの余裕綽々の態度にも頷けますね!」
虹之元 ユメ : 「まさに秘密基地ですか……」
琵琶坂 藍依 : 「UGNのジャーム拘留施設並みのセキュリティだね……安全圏から計画を進めるところは、ハーデスらしいか……」さっき対面した時も、安全なネット越しだった。
オーメン相良 : 『厄介な位置に基地を構えてくれたものだ。おかげで、UGNの潜水艇を借りる承認手続きをさせられるところだったが……幸い、UGNプロには何でも屋が居たからな。その潜水艦はオーダーメイドだ』
琵琶坂 藍依 : 「UGNプロの何でも屋────って、え……? もしかして衣装さんに作らせた……? いや、まさかそんな訳……」
オーメン相良 : 『流石の推理力だな、藍依君』肯定する
琵琶坂 藍依 : 「ええ、無茶振りすぎるでしょ……!? いつか訴訟とか起こされても知らないよ……!?」
オーメン相良 : 『問題ない。衣装と違って、デザインを考える手間がない分楽な仕事だと笑っていた』
琵琶坂 藍依 : 「完全に怖いな、ウチの事務所……」
虹之元 ユメ : 「ら、楽な仕事……ですかぁ……」ほんとに? と訝しんだ苦笑い
天海こよみ : 「もしこうそ……されても、ぼくたちがべんご……? するよ。ありがとう、プロデューサー……がんばって動いてくれて……」
オーメン相良 : 『心強いな。次のMVは法廷をテーマに作ろう』
オーメン相良 : 『本来であれば私も同行したいところだったが……失血死寸前までリソースを割いてしまった。潜水艦の操作とは、案外人手が要るようだ』
GM : オーメンが不可解なことを言い。ふと廊下を見ると、ちょうど2人、従者が通りかかる姿が見えた。
GM : ……この船内に、果たして何体のオーメン相良が乗っているのだろうか?
天海こよみ : 「わ……いっぱいいる……」
オーメン相良 : 『人数だけは居るが……戦闘の力にはなれない。君達を目的地に運ぶので精一杯だ』珍しく、申し訳なさそうに
天海こよみ : 「ぜんぜんだいじょうぶ……もう十分だよ。ありがとう……」
澱 カシル : 「いえ、ありがとうございます、充分ですよ! 元々自分たちでだけでも向かうつもりでしたので、こうして道を整えてくれただけでも感謝です!」
琵琶坂 藍依 : 「プロデューサーは、私たちアイドルを導くのが役目。それはきっちりと、こなしてくれてる訳だからね」二人に同調する。
虹之元 ユメ : 「十分すぎるぐらいですっ! 後は私達にお任せを!」むん、っと胸を張って
オーメン相良 : 『……元より頼りにしていたが……どうやら、向こうに居る間にさらに成長したようだな。喜ばしいことだ』
オーメン相良 : 『これが、君達が倒れてから目覚めるまでの流れだ。現時点で、何か質問はあるだろうか』
天海こよみ : 「えっと、あの……一つだけ……」
天海こよみ : 「さっき、ミツキちゃんは今も戦ってるって言ってたよね……? それって、だれと……?」
天海こよみ : 「もしかして、もうミツキちゃん……一人で研究所に行っちゃった……?」
オーメン相良 : 『……そうだな。そろそろ、その話をするべきだろう』
オーメン相良 : 『あみぃ君、もう1つの端末を繋いでくれ』
あみぃ : 「指図すんな!」ガッと食ってかかるが……さっさと己の仕事を済ませたかったのだろう。ぽい、と君達に向かって新たな端末を投げる。
天海こよみ : 「わ……!」 何とか端末をキャッチする
琵琶坂 藍依 : 「(この調子で、よく付いてきてくれたな……)」反抗的なあみらむを眺める
天海こよみ : 「えっと、これももうつながってるの……? もしもし……?」 端末に喋りかける
GM : こよみが話しかけようと顔を近づけたところで……ジジ、とノイズ音が聞こえる。
GM : そして、端末からは……
??? : 『……さ…らが、いえない、まま…』
春兎ユメミ : 『夕暮れの…街に、立ち尽くす…』
GM : ギターの音色と、先ほど別れたユメミの掠れ声が聞こえてくる。
GM : これは歌だ。音程こそ壊滅的だが、紡がれる詩とメロディーは、間違いなく音楽だ。
虹之元 ユメ : 「う、そ……ユメミちゃん……!?」 信じられないといった様子で、目を丸くする
春兎ユメミ : 『ぁ……るみ、るみ……?』
春兎ユメミ : 『あぁ、良かった……ちゃんと、戻れたんだ……』先程よりも精一杯ながら、安堵したような声
虹之元 ユメ : 「うん、うん……! こっちは無事です……!」
虹之元 ユメ : 「そちらは一体、どうなって……」一瞬、安堵の表情を見せるが……彼女がどんな状況なのか不明瞭だ
オーメン相良 : 『……割って入るようで大変申し訳ないが、ここから先は私から説明しよう』
オーメン相良 : 『失血ダメージはあるが、君達が目覚める兆しが無かった以上やむを得まい……そう判断した私は、ミツキ君と、あの手この手で懐柔したらみぃどらいぶの2名を連れ、海底へ向かう予定だった』
オーメン相良 : 『しかし、”ハーデス”の元に出向こうとしたところで、『MAC-09』本体より、初めてのメッセージが送られてきた』
オーメン相良 : 『MARiNE SNOWはこれから目覚める。貴方は、この『冥界』サーバーの維持を手伝え……と』
天海こよみ : 「サーバーの維持……。じゃあ、もしかして……今も冥界は……」
オーメン相良 : 『その通り。現状は私がミツキ君に指示を出し、彼女がブラックドッグの能力でサーバーに干渉し、維持している』
オーメン相良 : 『彼女が戦っているというのは……そういう意味だ』
GM : ……通話口の向こう側。よく聞いてみると……
十条ミツキ : 『プロデューサー!これ意味わかんないんだけど……うぅ、何でぇ……!』
十条ミツキ : キミ達のマネージャー、十条ミツキの悲鳴が聞こえてくる。
天海こよみ : 「ミツキちゃん!!!!!」 端末をガッと握りしめ、その悲鳴に負けず劣らずな声を上げる
十条ミツキ : 『わぁっ!?こ、こよみ、こよみなの……!?ちょ、プロデューサー端末貸してっ!』泣きそうな声を取り繕うような、怒り気味の声で
オーメン相良 : 『む……』
十条ミツキ : 『…良かった……帰って来られたんだね……!』
天海こよみ : 「う、うん……帰ってこれたよ、ただいまミツキちゃん……!」
十条ミツキ : 『本当に良かったよ……おかえり、こよみ……っ』また別の意味で涙ぐむ
GM : ……と、ほんの少し話した途端。
春兎ユメミ : 『グッ……う、ぅあ……ッ』
GM : 別端末から、ユメミの苦しむ声が響き始める。……恐らく、ミツキが手を止めてしまったことによる弊害だろう。
オーメン相良 : 『ここまでだ。……これもあって、ミツキ君には知らせないつもりだったのだが……』珍しく困ったような声色。ガサ、という音と共に、あぁ〜とミツキの声が遠ざかっていく。
天海こよみ : 「まって、プロデューサー! これだけ……これだけ言わせて……!」 遠ざかる声を引き止めるように、端末に顔を近づけて
天海こよみ : 「……ありがとう、ミツキちゃん!! ぼくたちもがんばるから!! ミツキちゃんも、がんばって……!!」 
十条ミツキ : 『……!頑張るよ…みんなも、無事で帰っておいで!』
GM : 一瞬、受話器を返してもらえたのだろう。その声ははっきりとキミ達に届く。
天海こよみ : 「……!! うん……!!」 強く返事をする
虹之元 ユメ : 「私からも、ありがとうございますっ! そちらは……冥界は、任せましたっ!」 信頼を感じさせる声をミツキにかける
琵琶坂 藍依 : 「そっちは頼んだよ、ミツキ!」
澱 カシル : 「こっちはお任せください! えっと……大変そうですがお願いしますね!」
琵琶坂 藍依 : 「……と、一時的には冥界の維持が滞ってしまったみたいだけど、長期的に見たら、コヨミと話せて良かったんじゃないかな、プロデューサー?」ミツキの弁護をする。モチベーション管理は重要である。
オーメン相良 : 『……その通りだな。こよみ君の士気はとても大切だ……』
オーメン相良 : 『……だが、彼女は残念ながら、常軌を逸した機械音痴だ』
オーメン相良 : 『サーバーは現在、”ハーデス”の破壊プログラムに攻撃され続けている。プログラムが自動で学習・成長を続けている以上、電子戦において門外漢のミツキ君と私の力で維持し続けることは100%不可能だろう。断言する』
オーメン相良 : 『だからこそ……ミツキ君が力尽きるまでに、大本の"ハーデス"本人、及び施設を直接叩く。これが君たちの任務というわけだ』
天海こよみ : 「うん……わかった」
天海こよみ : 「まかせて、プロデューサー。ぼくたちでかならず、司さんを止める……!!」
オーメン相良 : 『ありがとう。君が目覚めた時点でその言葉を聞けたおかげで、安心して作戦の説明ができた』
オーメン相良 : 『しかし、るー子ちゃんこと澪木ルリコの有名ファンブロガー『ツカっちゃん』が、まさかFH側の技術者だったとはな。あのファンの在り方はドルオタの中でも賛否分かれていて……』
GM : またベラベラと話し始めそうなオーメン。だが、キミ達が止めるよりも先に…
春兎ユメミ : 『ハァッ、はぁ……サーセン、るみのプロデューサーさん…ちょっといい……?』
GM : それを遮ったのはもう一つの端末……ユメミの声だった。
オーメン相良 : 『……失礼した』
春兎ユメミ : 『サンキューでぇす……さて、どうやら……さっきの延長戦が出来そうってワケだけど……るみ、みんな、聞こえてる?』
虹之元 ユメ : 「は、はいっ。はっきり聞こえてます……!」
春兎ユメミ : 『良かった。えっとね…アタシ……ずっと、後悔していたことがあるんだ』
春兎ユメミ : 『……るみに……曲を、書いてあげられなかったことだよ。だから、さ……』
春兎ユメミ : 通話の向こうで、弦を鳴らす音。
春兎ユメミ : 『即興だけど……聴いてもらえる、かな』
虹之元 ユメ : 「────────」一呼吸だけおいて、口を開く
虹之元 ユメ : 「はい、聞かせてください! ユメミちゃんの、最高の曲を!」 期待の籠った言葉で返してみせる
春兎ユメミ : 『あは……ありがとう。キンチョーするなぁ……』少し照れくさそうに返して
春兎ユメミ : 『タイトルは……『ブレス』、で』
GM : そう言うと、ユメミは再度ギターを鳴らし始める。

『ブレス』
 
さよならが言えないまま
夕暮れの街に立ち尽くす
夜闇が隠す心は
深い水底 静かに沈む
 
零れた想い 空の器
圧し潰される 日々の中
君を乗せずに回る星が
息苦しく憎らしい
 
呪いだなんて言わないから
私に爪を立ててくれよ
その傷跡をお守りに
決して振り向かないように
 
Breath with you
この世界で君と息をする
雪が肌に溶けるように
Bless for you
同じ時を君と生きていたい
届いてほしい 祈りの歌
 
Breath with you
この世界で君と息をする
もしも声が届かずとも
Bless for you
同じ時を君と生きていたい
私のために歌う歌

GM : 歌は拙く、壊滅的だが……その歌詞には、確かに彼女の想いが込められていた。
春兎ユメミ : 『……どう、かな。アタシ……歌下手だから、伝わってるかわからないけど……』
虹之元 ユメ : 「……」歌詞を咀嚼するように頷いて、くすりと笑う。
虹之元 ユメ : 「ふふ、ほんとに歌は相変わらずですね……けども……」
虹之元 ユメ : 「とっても、とっても良い歌です……!」ユメミの歌は、確かにユメの魂へと刻み込まれた。
春兎ユメミ : 『へへ……こうなるなら、アタシも歌の練習すべきだったなぁ……』
春兎ユメミ : 『あ~、でも……それなら良かったぁ……もしこのままダメになったとしても成仏できるし、これだけは…灰出に感謝かな……』
虹之元 ユメ : 「だ、駄目ですよっ! 満足して人魚姫みたいにシュワシュワ消えないでくださいねっ!?」あわわ、と慌てて
春兎ユメミ : 『冗談。そう簡単に消えたりはしないっつの……我ながら、良い譜を書けちゃったからね』
GM : 彼女はもう一度、最初から曲を弾き始める。ユメミのギターの音色は、敵対していた頃とは異なり…ユメの能力と似た効果を発揮しているかのように、キミ達に高揚感を与える。すると。
ルコ : 『……この世界で、君と息をする…』
久能胡桃 : 『雪が肌に、溶けるように……』
GM : ……通話口の向こうから、他の2人……ルコと胡桃の声が聞こえてくる。
春兎ユメミ : 『……!ルコ、胡桃…!?』
虹之元 ユメ : 「みなさん……!」
天海こよみ : 「ルコちゃん……胡桃ちゃんも……! いるんだね……そこに……!」
ルコ : 『こよみ……ええ、居るわ。もう駄目だと思っていたのだけど……ユメミの演奏を聴いていたら、少し体が軽くなったの……』
天海こよみ : 「そっか……いい歌、だもんね……」
天海こよみ : 「……ねえ、ルコちゃん。やっぱり……やっぱり、そうだったでしょ……?」
天海こよみ : 「ココちゃんがルコちゃんを見捨てるわけがない、って……!!」 涙ぐみながら、端末に笑いかける
ルコ : 『えぇ……こよみの言う通りだったわ。あの子……思った以上に計算高かったのね……』懐かしみ、偲ぶように呟く
ルコ : 『ありがとう、こよみ。私を勇気づけて……貴方を、信じさせてくれて』
天海こよみ : 「ううん……。ルコちゃんも、ありがとう……辛かったのに、ぼくを笑顔で送り出してくれて……」
天海こよみ : 「ぼくたち、がんばってくる。本当に、ルコちゃんたちを助けられるように……!」
天海こよみ : 「だから、まってて! ルコちゃん……!」
ルコ : 『ありがとう……待っているわ。でも、そうね……MARiNE SNOWのプロデューサー。この通話、繋げたままで居ることは可能かしら?』
ルコ : 『私からも……少し、言いたいことがあるの。戦わずして彼を止められるなら……止めてあげたいから』
オーメン相良 : 『……可能だ。だが、過度な期待はしない方が良いだろう』
ルコ : 『……良くってよ。覚悟はしていますもの』
ルコ : 『こよみ……共に戦うことはできなくても、出来るだけ側に居るわ。だから……私を、司さんのところまで連れて行ってもらえるかしら?』
天海こよみ : 「うん、もちろん……。ルコちゃんがそうしたいなら、そうしてもだいじょうぶなら……」
天海こよみ : 「いっしょに行こう、ルコちゃん。ルコちゃんの言葉で、つたえてあげて……!」
ルコ : 『ええ。……共に行きましょう、こよみ。司さんの元へ』
天海こよみ : 「うん……!」 ぎゅっと端末を握りしめて、小さく笑う
ルコ : 『ふふっ……』
ルコ : 『……それはそうと、ユメミ、貴方の歌って本当に酷いのね。歌詞はともかく、メロディーが伝わっているとは思えないのだけど……』こよみへの優しい口調から一転、Uターン状に刺すように
春兎ユメミ : 『ゔっ……そ、そんなことない……ないよね?』MARiNE SNOWの皆に擁護を求めるように
琵琶坂 藍依 : 「ええ~と……、クラと同じで、成長の余地があるかな……?」ウソはつけないので、スレスレの表現だ。
澱 カシル : 「メロディーは伴奏からもある程度伝わりますし、音楽の素養があるユメミさんならレッスン次第できっと上手くなれますよ!」
歌やダンスは真似と練習で上手くなったので、必ず効果があると信じている
琵琶坂 藍依 : 「わ、クラにはあんなに毒舌だったのに……」言い方が違いすぎる。
天海こよみ : 「げ、元気出して……ユメミちゃん……」 ノーコメント
虹之元 ユメ : 「私は~……聞き慣れている、とだけ」クスリと微笑んで
澱 カシル : 「クラッドカルトはすぐ調子に乗るのでアレでいいんです! 褒める分はこよみちゃんがたくさん褒めるでしょうし。」
久能胡桃 : 『ふふ…駄目だよぉ、私の姿に変身してる時にそんな意地悪なこと言っちゃ』キミ達の姿は見えていないはずだが、今のカシルの姿を見透かしたような発言
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……」心配していた分、その普段どおりの調子に安堵する。
琵琶坂 藍依 : 「いや、胡桃もけっこうイジワルなときあるよね……?」
久能胡桃 : 『えぇ?そんなことないよぉ…』くすくす、と悪戯っぽい声
澱 カシル : 「く、胡桃ちゃんまで……!」
「顔は確かにお借りしてますけど、それでもアタシは澱カシルなので! いいんですぅ〜!」
久能胡桃 : 『ふふっ、そうだね。そのままのカシルちゃんもとっても可愛いから、これで良いかも』
クラ : 「むー!それに、クラおうたじょうずだもんっ!」
クラ : そう言って、こよみの陰からクラが飛び出してくる。
天海こよみ : 「あ……クラちゃん……!」
天海こよみ : 「ふふっ、そうだよね……。クラちゃんはおうた、上手だよ……。げんきいっぱいで、かわいくて……ぼくはクラちゃんのおうた、大好きだよ」 優しく微笑みながら頭を撫でてあげる
クラ : 「えへへ……クラ、おうたじょうず!」自信を取り戻したようにニコニコして
澱 カシル : 「ほら! これです!」
「アタシまで褒める必要、ないですよね!?」
クラッドカルトのことになると、いつもムキになっているカシル
クラ : 「や!カシルも、クラのことほめてっ」おこ
澱 カシル : 「欲張り!」
「でも、まあ……ちゃんと付いて戻ってきていて安心しました。」
天海こよみ : 「だいじょうぶだとは思ってたけど、そうだね……」
天海こよみ : 「……クラちゃん。ぼくたちの話は、聞いてたよね」
天海こよみ : 「ぼくたち、これから司さんのところに行くの。ルコちゃんたちを、助けるために……」
天海こよみ : 「ルコちゃんとはいろいろあったし、クラちゃんには……今までたくさんたいへんな思いをさせちゃったのは分かってるけれど……」
天海こよみ : 「おねがい、クラちゃん。もし戦いになったら……クラちゃんもぼくといっしょに、戦ってくれるかな……?」
クラ : 「うんっ、わかった!」キミの質問に、二つ返事で了承
クラ : 「クラ、コヨミとずっといっしょにいる!だから、がんばるっ……!」そう言って微笑む
天海こよみ : 「ありがとう、クラちゃん……」
天海こよみ : 「ぼくたちは、ずっといっしょだよ。だからがんばって……いっしょにミツキちゃんのところに、帰ろう……!!」 クラを抱きしめる
クラ : 「わぁ……うんっ!」嬉しそうに目を細め、ぎゅっと抱き返す
澱 カシル : 「こよみさんにトラブルを毎度持ち込むのは困ったものですけど……」
「こよみさんを絶対守るという姿勢は褒めてあげないでもないです。なので、きっちり最後まで守り通してくださいね?」
クラ : 「クラ、こまったものじゃないもーん。コヨミのことまもるもーん」
クラ : 「カシルのことも、まもってあげる!」むふー、とドヤ顔を披露する
澱 カシル : 「要りませんっ! クラッドカルトの力を借りなくてもアタシは大丈夫ですっ!」
クラ : 「ふふーん。カシルのおこりんぼー」キミの態度にも動じず、こよみに抱きついたままふんふんと鼻歌。
天海こよみ : 「もう、クラちゃんったら……」 微笑ましそうに見ながら抱きしめてる
琵琶坂 藍依 : 「……ふふ、これから海の底で命運をかけた決戦が待ってるなんて、とても思えない和やかさだ」
琵琶坂 藍依 : 「でも、これでこそ"MARiNE SNOW私達"か」
天海こよみ : 「かも……ね?」
虹之元 ユメ : 「楽しいグループ、ですよね?」 奈落華の面々にも笑いかけて
澱 カシル : 「吹き荒れず、止まず、しんしんと降り続ける。」
「そんな雪景色ですから、アタシたち!」
クラ : 「んふふ……ぶれすうぃじゅー……」こよみに抱きしめられながら体を揺らす
久能胡桃 : 『何だか……相変わらずだね、みんな……』
ルコ : 『そうね。……それに、確かにクラの方が、ユメミよりお歌が上手かもしれないわ』
春兎ユメミ : 『え゛』
クラ : 『……ルコ……?クラ、おうたじょうず?』
ルコ : 『ええ。……ユメミ、楽曲提供するなら楽譜を渡す、渡せないのなら正しい音程で伝えなさい。クラの方が、余程伝えようとする気持ちがあるわよ』
ルコ : 『MARiNE SNOW。どなたか、楽譜は書けるかしら?』
天海こよみ : 「ユメちゃんなら書けるかな……?」
澱 カシル : ユメミの歌を聴き解き、採譜も出来るとなれば……適役はただ一人だろう。
ちら、とユメの方を見る
虹之元 ユメ : 「はい、お任せをっ!」手を上げて
ルコ : 『流石、ただのアイドルグループとは違うわね』小さく笑う声
ルコ : 『ユメミ、私達と……向こうにいるもう1人のメンバー、クラがサポートするわ。改めて、歌って頂戴』
春兎ユメミ : 『うぅ、こんなズタボロに言っておいて……やるけどさぁ』
久能胡桃 : 『あはは……じゃあ、もう一度歌うね?藍依、カシルちゃん、こよみちゃんも……読み合わせて、手伝ってあげて欲しいな』
琵琶坂 藍依 : 「任せて、完璧にサポートするから」
天海こよみ : 「うん……!」 クラが歌いやすいように離れて、手だけ繋ぐ
クラ : 「コヨミ…!」おててにぎにぎ
澱 カシル : 「分かりました! やってみます!」
あまり経験のない事柄だが、挑戦してみる
虹之元 ユメ : 「みなさん、お願いしますっ!」 いつの間にか手にしていたメモ帳を手に
春兎ユメミ : 『おうよ、お任せあれ!……ありがと、るみ』小さく呟くように礼を言うと……彼女は再度歌い始める。
GM : ユメミの声に、MARiNE SNOW、奈落華の声が重なり、共鳴レゾナンスする。そうして、ついに……
春兎ユメミ : 『……これで、完成だ』
GM : ユメミが、ようやく満足そうに笑い、溜め息を吐く。
虹之元 ユメ : 「はい、お疲れ様です……!」パタン。メモ帳を閉じて、満足そうに微笑む。
虹之元 ユメ : 「ちゃんと、完璧に覚えさせて頂きました!」
春兎ユメミ : 『良かったぁ……遠隔で伝えるのって、別ベクトルの大変さがあるんだなぁ』
春兎ユメミ : 『……その曲をよろしくね、『ユメ』』
虹之元 ユメ : 「……確かに受け取りました。"虹之元ユメ"の名に懸けて、この曲は大切にさせて頂きます……」
春兎ユメミ : 『へへっ、ありがとう。これからも、もっと良い曲を渡せる未来が来ると…良いなぁ……』
クラ : 「……わたしのために、うたう、うた…♪」一方、クラはこよみの膝の上でゆらゆらしながら口ずさむ。
クラ : 「クラ、このおうたすき…!コヨミは?」
天海こよみ : 「もちろん……ぼくも好きだよ、クラちゃん……!」 膝の上に乗ってるクラを後ろから抱きしめて
クラ : 「えへへ……!クラね、それにね、やっぱりコヨミのおうたがだいすき……!」
クラ : 「もっともっと……たくさんのひとに、きいてほしいなぁ……」
GM : クラは幸せそうに笑い、こよみの体に戻っていく。
GM : 途端、こよみは心の中に暖かな火が灯ったような感覚を覚える。熱は指先まで伝播し、体が温かくなる。これまで感じたことがなかった高揚だ。
天海こよみ : 「……! クラちゃん……」 両手を不思議そうに見つめて、
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「……だいじょうぶ、聴いてもらえるよ」 椅子から立ち上がり、
天海こよみ : 「ぼくは、クラちゃんといっしょに……最高のアイドルになるって、もう決めてるんだから……」
天海こよみ : 胸元に手を当て、瞳を閉じながら、クラに語りかけるように……いつか誓った約束を再び口にする。
GM : ……キミ達の交流を静観していた、オーメン相良。彼の端末から『ふむ…』と声が漏れる。
オーメン相良 : 『……"クラッドカルト"。なるほど、今であれば……』
オーメン相良 : 『あみぃ君、らむね君。作戦用で渡していたインカムを……彼女達に配布してくれないか』
あみぃ : 「えっ、今ぁ?なんで?」
らむね : 「聞いたところでまともに返事しないわよ。ほら、渡しちゃいましょ?」
オーメン相良 : キミ達にインカムが行き渡ったところで、オーメン相良がキミ達に切り出す。
オーメン相良 : 『到着まで時間がある。これは提案だ。我々は……これより、”クラッドカルト”の力を利用する』
オーメン相良 : 『今の『彼』であれば、君達の助けになれるだろう。これは私のプロデューサーとしての勘だ』
オーメン相良 : 『”クラッドカルト”の力が増す条件……それは、人々からの注目を集めることだ』
オーメン相良 : 『これより、LIVE配信を開始する。深海ライブの幕開けだ』
GM : 彼の発案は突拍子の無いものばかり。だが……彼は今回も、本気のようだ。
天海こよみ : 「ライブ……? ここで……?」
虹之元 ユメ : 「わぁ、まさかの海底でライブ……ですか……?」
オーメン相良 : 『その通り』
オーメン相良 : 『潜水艦から生ライブを行うアイドルが、これまでに居ただろうか?否、居ない。アイドルシーンに残る伝説のような配信になる。素晴らしい、拍手』
GM : 通話の向こう側から実際に拍手している音が聞こえる。……同時に、ミツキが「うるさいっ」と怒鳴る声も。
澱 カシル : 「あっ、はい!」
ぱちぱちと合わせて拍手する
天海こよみ : 「…………」 つられて拍手しちゃう
琵琶坂 藍依 : 「いやいや、今からライブって本気……?」
琵琶坂 藍依 : 「そもそも、クラの力を増幅するっていうのも、話の流れがよく読めないし……」
虹之元 ユメ : 「あと、ステージというか……スペース的な問題はどうなのでしょうか……。あっ、ライブ自体は賛成です!」軽く拍手しながら
天海こよみ : 「……えっと、じゅんばんにせつめいして……もらってもいい……?」
オーメン相良 : 『良いだろう』
オーメン相良 : 『"クラッドカルト"は、君達との出逢いにより、飛躍的な進化を続けている。今回のように惑わされることもありながら、着実に成長し……そして、君達と共に戦おうとする姿勢まで見せている。争いを嫌う『彼』が、だ』
オーメン相良 : 『'ハーデス"の持つ力は未知数だ。少しでも味方の力を増強する必要がある。そこで、これまで散々我々が悩まされてきた"クラッドカルト"の本能を……逆に、利用する』
オーメン相良 : 『構わないな?"クラッドカルト"』
GM : オーメンが呼びかけると、こよみの内から『彼』の声が響く。
クラ : 『……うんっ。クラ、もっともっと、みんなといっしょにいたい……おうたをうたって、だんすして……!』
クラ : 『だから……クラ、がんばる!』
クラ : 『……コヨミ…いい、よね?』
天海こよみ : 「クラちゃんがだいじょうぶなら、ぼくはいいよ……」
天海こよみ : 「……でも、プロデューサー。ひとつだけ、おねがいがあるかも……聞いてもらってもいい?」
オーメン相良 : 『良いだろう』
天海こよみ : 「あのね、それじゃ……」
天海こよみ : 「利用する、じゃなくて……力をかしてもらう、って……言ってほしい……」
天海こよみ : 「それとクラちゃんのこと、彼じゃなくて、彼女って……。クラッドカルトじゃなくて、クラって……これからはよんであげてほしいな……」
天海こよみ : 「プロデューサーがいろいろ思うことがあるのは分かってるけど……ぼく、クラちゃんともっとなかよくしてもらいたいなって、ずっと思ってたから……」
天海こよみ : どこか他の人とは違う壁や距離があることがずっと気になっていたらしい。ちなみにカシルもクラッドカルトと呼んでいるが、二人は喧嘩するほど仲が良いものだと思っているから特に呼び方に関しては気にしていないようだ。
オーメン相良 : 『……む……成る程。最も……ではあるが……』
GM : 何やら逡巡するオーメン。一度は殺そうとまでしていた相手だ。そして、彼自身の心持ち以外にも思うところがあったのだろう。だが……
十条ミツキ : 『……アタシを気遣ってるつもりなら、もう大丈夫だよ、プロデューサー。とっくの前から、アタシは『クラ』って呼んでるし……それにね』
十条ミツキ : 『もう、アタシは前に進み始めてる。過去の罪や傷を忘れるつもりはない。それでも、今を今として、幸せに生きなきゃ』
十条ミツキ : 『……こよみが、そう思わせてくれたから』
天海こよみ : 「ミツキちゃん……」
オーメン相良 : 『……承知した。ならば……私が認めないわけにも行くまい』
オーメン相良 : 『改めて頼む。クラ、君の力を貸してくれないか?』
クラ : 『わぁ……うんっ、いいよっ!コヨミ、ありがと!』クラの幸せそうな声。また、キミの身体がほの温かくなる感覚。
天海こよみ : 「ううん……! よかったね、クラちゃん……!」 胸元に手を当てて微笑み
天海こよみ : 「ありがとう、プロデューサー……!」 声を弾ませてお礼を言う
オーメン相良 : 『構わない。きっかけを与えてくれたことに感謝する』
オーメン相良 : 『さて……理屈の説明は以上だ。そして、私はもう既にMARiNE SNOWのアカウントから、ゲリラライブ配信の告知を投稿してしまっている」
オーメン相良 : 『納得するしない以前に、協力してもらう他ないということだ』
天海こよみ : 「わぁ……ごういん……」
琵琶坂 藍依 : 「いつもそうだよね、プロデューサー……」
オーメン相良 : 『潜水艦建造時点で、既に告知は出してしまっていた……このような素晴らしい場面で君達のライブを行えないなど、この世にあってはならない損失だからな』この発言には理屈などない。彼の欲望だ。
天海こよみ : 「もうきまってたんだ……。それなら、やるしかないね……」
天海こよみ : 「……ううん、ちがう。ぼくも……やりたいな。ルコちゃんたちにも……ぼくたちの歌、聴いてもらいたかったから……」
琵琶坂 藍依 : 「たしかに、まだ奈落華のライブに対するお返しが出来ていなかった」
久能胡桃 : 『ふふっ、まさか聴けると思わなかった。楽しみだなぁ…』
ルコ : 『……そうね。お手並み拝見…といったところかしら』
澱 カシル : 「ココさんにも届くくらい、盛り上がるライブにしましょう!」
天海こよみ : 「そうだね……きっと、届かせられるよ……!」
虹之元 ユメ : 「この無茶苦茶加減にも慣れてきちゃいましたね~……。」困ったように笑って
虹之元 ユメ : 「もちろんですっ。海底や冥界……世界中に届くようなライブにしますよ!」
琵琶坂 藍依 : 「やると決まったら全力で」
琵琶坂 藍依 : 「……けど、衣装さんも音響さんもいないな」あたりを見回す。必要最低限の人員なのだろう。
琵琶坂 藍依 : 「仕方ない、衣装と舞台演出は私がやろう」
琵琶坂 藍依 : 「ユメ、音響お願いできる?」
虹之元 ユメ : 「お任せください! マリスノの曲ならなんでも流せますとも!」
オーメン相良 : 『有難い。君達ならば、そうしてくれると思っていたとも』満足げに
オーメン相良 : 『さて、撮影は……あみぃ君、らむね君、君達にお願いしたい。動画作りをする君達であれば得意だろう』
あみぃ : 「え~?イーヤー、ヤダヤダ」お尻を振って
らむね : 「メリットがないわね」
オーメン相良 : 『それは、残念だ。君達の飛び抜けたセルフプロデュース能力を信じ、預けようと思ったのだが…やはり、私のプロデュースと明確に差が生じてしまう状況は酷だな。やめておこう』
あみぃ : 「んなっ……舐めんな、クソ!」中指を立てて
らむね : 「……これは、この世にとってメリットだわ。感謝なさい」同じく中指
澱 カシル : 「ふふ、分かりやすいですね?」
カシルも煽り耐性が低いのでブーメランである。
天海こよみ : 「ありがとう、あみぃちゃん、らむねちゃん……。ぼくたち、せいいっぱいがんばるから……!」
あみぃ : 「ふんっ……アンタらガキ共の為にやってやるんだから、もっと感謝しろっての」カシルとこよみを睨み
らむね : 「貸し500よ〜」袖をフリフリして
天海こよみ : 「ありがとう……」 両手を合わせて拝んでもっと感謝
虹之元 ユメ : 「お二人のヤンチャっぷりもいつも通りですね~」クスクス笑って
オーメン相良 : 『参ったものだ』そうでもなさそうな声
オーメン相良 : 『さて、というわけだ……準備を頼む、藍依君、ユメ君』
琵琶坂 藍依 : 「了解」
虹之元 ユメ : 「了解ですっ!」敬礼のポーズ
琵琶坂 藍依 : 「────ココが託してくれた。プロデューサー達が繋いでくれた」みんなに向き直り、決意を込めた眼差しで言う。
琵琶坂 藍依 : 「今度は、私達が応える番だ」
琵琶坂 藍依 : 「失敗できない舞台なんて、もう何度も乗り越えてる」
琵琶坂 藍依 : 「……絶対に、ハーデスを止めよう」
琵琶坂 藍依 : 「そして、奈落華のみんなに見せてあげよう」
琵琶坂 藍依 : 「私達のLIVE生き様を────!!」
天海こよみ : 「……うん。やろう……みんな……!」 そう言って、いつものように右手を前に出す
琵琶坂 藍依 : 覚悟を込めて、右手を重ねる。
虹之元 ユメ : 朗らかな笑みを浮かべ、同じく右手を重ねる。
澱 カシル : 底抜けの明るさと僅かに薄暗い決意を併せ持った、不敵な笑みとともに右手を重ねる。
天海こよみ : 「じゃあ、行くよ……」
天海こよみ : 「MARiNE SNOW、がんばるぞー!」
天海こよみ : 「おー!!!」 強い意志がありながらも、楽し気な声を潜水艦に響かせる
澱 カシル : 「おーっ!!!!」
琵琶坂 藍依 : 「おーー!!」声を重ねる
虹之元 ユメ : 「おーっ!!」元気よく、張りのある声で合わせる!

琵琶坂 藍依 : ぱちんと指を鳴らし、《見放されし地》を使用。
琵琶坂 藍依 : 照明のスイッチを落としたような音と同時、
琵琶坂 藍依 : 開演直前のライブハウスを思わせる暗闇が、船内を満たす。
GM : 暗く深い海の底。ソナー音と、機械の唸るような駆動音以外、何も聴こえない空間。
 
潜水艦
 
GM : 配信スタートを待ち望むファン達の投稿が、一つ、また一つ、画面に映し出される。
GM : 『待ってます!』『楽しみ』『潜水艦風のライブセットってことだよね?』『iRiSちゃん!!!!!!』『なんか流れてきたけど、アイドル?』
GM : そして、配信までのカウントダウンが始まる。次々と映し出される数字のポップアップ。3、2、1……
天海こよみ : カメラの向こうに、多くの人々の視線を感じながら、伝える。
天海こよみ : 「深い深い、海の底」
虹之元 ユメ : 「暗闇の彼方に沈み行くあなた」
琵琶坂 藍依 : 「嘆く言葉は泡となり、世界の誰にも届かない」
澱 カシル : 「涙の海に溺れ、希望を捨て、瞼を閉じようとした……その時」
天海こよみ : 「あなたを見つけに、雪が降る────」
天海こよみ : 彼らを、そして奈落華を。
天海こよみ : MARiNE SNOWという世界へ引き込むための、始まりの言葉を。
琵琶坂 藍依 : ……かつんと靴を鳴らし、《天使の絵の具》を使用。
琵琶坂 藍依 : 瞬間、暗闇に差し込む青い光。
琵琶坂 藍依 : それは探照灯サーチライトのように瞬いて、四つのシルエットを、
琵琶坂 藍依 : 四人のアイドル達を、照らし出す。
 
深海
 
iRiS : ────『MARiNE SNOW』。
iRiS : 彼女らが立っていたのは、なんと”深海”だった。
iRiS : 天海こよみに寄り添うように、海月クラゲが揺蕩っているのが見える。
iRiS : ゆらゆら踊るように、自由に泳ぐ魚達。
iRiS : 彼らと並んで、MARiNE SNOWは確かに深海に降り立っていた。
iRiS : ……観客は当然、こう思っている筈だ。CGだ、と。
iRiS : だが、違う。
iRiS : これはエンジェルハィロゥ能力によって投影した、実際の風景。
iRiS : 船体を幽霊のように透明にすることで、深海そのものを映しているのだ。
iRiS : とはいえ、現実だろうと虚構だろうと些末な問題。
iRiS : 何故なら……
iRiS : 今からMARiNE SNOWが見せるライブは、現実も虚構も全てを超越するのだから────!!
天海こよみ : 「────僕は また溺れ死ぬ」
天海こよみ : 歌い始める。身体と心、魂に刻み込まれた歌を。
天海こよみ : 「孤独な海 もがいて」
天海こよみ : 潜水艦でライブをやるなんて言われたときは少し戸惑ったが、今の天海こよみのパフォーマンスには何の乱れもなかった。
天海こよみ : 「悲しみの雪 静かに」
天海こよみ : むしろ、いつもよりも彼女は楽しそうに歌い、舞っているようにさえ見える。
天海こよみ : もうすぐ命をかけた決戦の時が迫ろうとしているというのに。そんな緊張感も感じさせない。
天海こよみ : 「沈む 僕と共に」
天海こよみ : それはきっと、ルコに……奈落華に自分たちのライブを届けられる喜びが勝っているからなのだろう。
天海こよみ : 「(クラちゃん……)」 皆で息を合わせて歌いながら、心の中で語りかける
天海こよみ : 「(楽しいね……!!)」  最高の笑顔で、最高の相棒へと。
クラ : 「(うんっ……たのしい、アイドルってたのしい……!)」幸せそうに肯定する声
クラ : 「(クラね、コヨミと、ずっといっしょだよ!)」
天海こよみ : 「(うん……もちろん)」
天海こよみ : 「(ぼくたちは、ずっといっしょだよ……これからも、ずっと……!!)」 彼女に応えるように腕を大きく振り上げて笑う
虹之元 ユメ : 「マリンスノウ 流されていく」
虹之元 ユメ : ────歌詞に合わせたユメの振付の動きは軽やかだ。
虹之元 ユメ : 「生きたくても 息苦しくて……」
虹之元 ユメ : まるで自身を縛っていた枷から解き放たれたようで……声は透き通るように滑らかだ。
虹之元 ユメ : 「逃げ出したい でも泳ぎ出せない」
虹之元 ユメ : いつかに感じていた劣等感や、自信の欠如から来ていた焦り。それらを感じさせない……自然で、人々を惹きつける優雅なパフォーマンス。
虹之元 ユメ : MARiNE SNOWのみんなを信じる心。奈落華のみんなを救いたい一心。
虹之元 ユメ : ユメミと交わした夢を、必ず守るという確固たる誓い────。
虹之元 ユメ : その全てがユメを、アイドルとしての虹之元ユメを! メンバーと並び立つに相応しい、一つ上の段階まで押し上げている!
虹之元 ユメ : 「(ユメミちゃん、この歌が聞こえていますか────私たちは────」
虹之元 ユメ : 「(必ず、成し遂げてみせます────!!)」
虹之元 ユメ : 「────暗闇が 僕を許さないから」
虹之元 ユメ : 強かで、それでいて優しい眼差し。それらを携えた瞳が藍依を見つめ、小さくウィンクして交代の合図を出す。
iRiS : 「────止まった時間 夢に縋り」
iRiS : ウインクを返して、美しいメロディーを繋げていく。
iRiS : ……この歌はかつて、夢破れた自分に重ねて歌っていた。
iRiS : アイドルソングとは思えないような仄暗い歌詞。
iRiS : それは自分を支配する絶望にピッタリだと、そう思っていた。
iRiS : 「愛を亡くした瞳 涙が水に溶けても」
iRiS : ……だが、今は違う。
iRiS : どんなに絶望に苛まれても、その先に輝く未来はあると。
iRiS : そう信じられる希望の歌へ、みんなが変えてくれたのだ。
iRiS : ステップを踏んで、カメラの真正面に立つと……
iRiS : 「呪われた運命 目覚めさせられるの────?」
iRiS : ちゅっと、画面の向こうに投げキッスをする。
iRiS : ────こう思えるようになるまで、自分を支え続けてくれたファン達。
iRiS : それから、久能胡桃に対する愛情が溢れ出したものだった。
iRiS : みんなのためにも、最高のパフォーマンスを。
iRiS : ふわりとスカートを揺らしてターン。カシルに笑いかけながら、持ち場に戻る。
澱 カシル : 「どうかお願い 海底よりも深い世界」
水底に沈む、逃げ場のない函。
自我を持たぬ頃の断片が過ぎり、嫌悪が顕れる。
澱 カシル : だが。
「(構わない……それでいいんです。)」
澱 カシル : 藻掻くことすら出来なかった自分が、
いつしか見た星に焦がれ。
今も藻掻いている様は……無様なのかもしれない。
澱 カシル : しかし、そんな自分の姿も誰かの星になっていた。
その想いを無為にせぬように。
例え最初に望んだカタチとは違ったとしても……
己を好きになりきれなくとも……
呪いエールを受けて、泳ぎ続けよう……!
澱 カシル : だから。
「今、僕に 魅せて───!」
GM : キミ達の想いが込められた、神秘的なライブ。普段とは異なるMARiNE SNOWの姿に、演出に、コメントは大いに盛り上がる。
GM : 奈落華のメンバーもまた、その様子を見守り……キミ達の熱を受け、微笑み、静かに歌を口遊む。
GM : 合わせて、同時接続数はこれまで見ない程に伸び続け……日本が、世界が、キミ達の歌により繋がっていく。
GM : こよみの内のクラも、幸せそうに歌い……キミ達はまさに、一つとなったのだ。
 

 
GM : ここで、追加要素をお伝えします。

特殊効果:ブレス
 
"スカイクラッド"天海こよみが所属し、"クラッドカルト"が最大限に力を発揮できるグループ・MARiNE SNOWと、
"ヴェスパー・ゼロ"ルコが所属し、MARiNE SNOWと縁が深いグループ・奈落華の『共鳴レゾナンス』により、"クラッドカルトの力が溢れている状態。
また、今回の事件をきっかけに、天海こよみと更なる深い結びつきを得た『彼女』は、新たにオルクスシンドロームに覚醒した。
 
クライマックスフェイズの戦闘時、”クラッドカルト”がNPCとして参加。
使用するエフェクトは以下の2点。
 
<要の陣形:Lv.3>
<導きの華:Lv.5>

GM : エフェクトを使用するタイミングは、PLの指示に応じたものになります。
天海こよみ : クラちゃん、ありがとうね…一緒に戦おうね…!
クラ : クラ、つよい!
天海こよみ : とてもつよい!えらい!
 

 
潜水艦
 
GM : ──潜水艦は、沢山の想いを乗せながら、暗闇を照らし進んでいく……

GM : ……ライブ配信は大盛況に終わった。SNSを覗けば、キミ達の『MARiNE SNOW』の名がトレンドに上がっている。
天海こよみ : 「……おわった……じゃあ次は、特典会だね……」 ぼんやりして
澱 カシル : 「ここは海底ですよ、こよみちゃん!?」
天海こよみ : 「あ……そっか……つい癖で……」
虹之元 ユメ : 「ファンの皆さん、ここまで来られますかね~」クスクス笑う
琵琶坂 藍依 : 「それより、SNS見て!? 私達の名前、トレンドに乗ってるよ!?」柄にもなく、テンションが上がっている。
虹之元 ユメ : 「え~? ……わっ!? ほ、ほんと!!?」 ギョッと目を丸く
澱 カシル : 「良く分かりませんが、やりましたねっ!」
天海こよみ : 「え……。あ、そう……なの?」 何故かあまり興味なさげだった
琵琶坂 藍依 : 「あれ、コヨミは嬉しくないの? さっきのライブ、日本じゅうの人達に見てもらえてたんだよ?」トップアイドルに大きく近付いたのだ。喜ぶのが当然だろう、と当惑する。
天海こよみ : 「あ……う、ううん! うれしいよ! すごくうれしいし、すごい……! こんなの今までなかったよね……!」 ハッとして、語彙力のない言葉で喜ぶが、
天海こよみ : 「で、でも……その……。今は、SNSより……」
天海こよみ : 「あの、ルコちゃん……。ぼくたちのライブ、どうだった……?」 もじもじそわそわしながら、端末に話しかける。
ルコ : 『まあ……大勢のファンより、私の感想が先なのね。畏れ多いわ』少し揶揄うようにして
ルコ : 『とても素敵なライブだったわ。どの曲もメッセージ性が強くて……その詩、一つ一つにとても真摯な歌声で、とても私好みだった』
ルコ : 『こよみ、貴方のその声は才能よ。決して騒がしくないのに、すっと聴き手に染み渡るような……あかりちゃん譲りの素敵な歌声だったわ』
天海こよみ : 「わ……わぁ……!」 嬉しそうに声を漏らす
天海こよみ : 「あ……ありがとう、ルコちゃん……うれしい……」
天海こよみ : 「え、へへ……よかったぁ……。えへへ……」 緩んでしまうほっぺたを両手で抑えながら喜ぶ
ルコ : 『ふふ……次は是非、映像付きで魅せて頂戴』キミの声を聞き、その姿を想像したのかくすりと笑う
天海こよみ : 「うん……! もちろん……!」
天海こよみ : 「楽しみに、してて……ルコちゃん……! ユメミちゃんも、胡桃ちゃんも、ね……!」
ルコ : 『ええ、楽しみにしているわ』
久能胡桃 : 『そうだね……ところで藍依、トレンド入りってほんとに……!?』数字を気にするアイドルが、もう1人
琵琶坂 藍依 : 「ほんとほんと……! ここまで一気に人気爆発した事、七天時代にもなかったかも……!!」
久能胡桃 : 『わぁぁ、おめでとう…!届く人に届いたら納得のクオリティだったもん、凄いよ!』声を弾ませて手を叩く音
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、ありがとう……! 見守っててくれた胡桃たちのおかげだよ……!!」
久能胡桃 : 『ふふっ、謙虚なんだから……カシルちゃんも凄い格好良かったよ、もう本当にアイドルだね!』
澱 カシル : 「はい! ありがとうございます!」
「………実は胡桃ちゃんにこの姿を見せて、改心させてやろうってずっと思ってたんです。」
澱 カシル : 「ただアタシの空回りなだけだったんですけど!」
「それでも! マリスノの舞台を、カシルの舞台を見てもらう機会があって本当に良かったです!」
久能胡桃 : 『……私、やっぱり嬉しいよ。カシルちゃんがそこまで思ってくれていたことが…』
久能胡桃 : 『空回りなんかしてないよ。ちゃんと、カシルちゃんの表現したいこと、アイドルに賭けている想い、全部全部伝わっているからね』
久能胡桃 : 『ありがとう、カシルちゃん』
澱 カシル : 「こちらこそ、ありがとう!」
「……ココちゃんも、見てくれたよね?」
「最後までやり遂げてみせるよ……!」
GM : カシルの誓いに応える声はない。だが、通話口の向こうからは、奈落華のメンバー達が頷く気配が感じられた。
春兎ユメミ : 『……るみもお疲れ。さっきのギターソロ……あれ、オーヴァードの力で演奏したやつじゃないっしょ?』ユメミもまた、ユメを労うように声をかける。
虹之元 ユメ : 「えへへ、実はそうなんです……。生演奏のパフォーマンス、みたいなものですね」ありがとうございます、と照れくさそうに笑って
虹之元 ユメ : 「はあ、でもやっぱり……」
虹之元 ユメ : 「本気のパフォーマンス、ユメミちゃんに聞かせられて嬉しかったなぁ……」どこか気の抜けた声で、ふにゃっと笑う
春兎ユメミ : 『や〜、本当に良かったぜ!アイドルなのにすげーロックだよ、流石るみるみ!』
春兎ユメミ : 『アタシも聴けて良かった。また今度、別の曲も聴かせてよ』別れ際とは一転、次があることを疑わない様子だ。
虹之元 ユメ : 「もちろんっ! マリスノの新曲も、これから出るであろう曲も……しっかり聞いてもらいますから!」 同じく、絶対にそうなるであろうと疑わない
虹之元 ユメ : 「ユメミちゃんの曲も、楽しみにしてますから……ね?」期待と希望の籠った声で
春兎ユメミ : 『おうよ、任せな!……色々と、ね』どこか決意を固めたように
GM : 奈落華のメンバーと語り合うキミ達。オーメンはふ、と笑う。
オーメン相良 : 『非常に素晴らしいライブだった。期待以上の反響だ……絶好調の君達を止められる者など、もはや存在し得ない』
オーメン相良 : 『さて、そろそろ目的地だ。手摺り等、近くの何かに掴まってくれたまえ。……あみぃ君、らむね君。出番だ』
GM : オーメンが号令すると、あみぃとらむねの両名はニヤッと顔を見合わせる。
あみぃ : 「ようやくね!これが出来なきゃ協力しないっつーの!」
らむね : 「ぽちぽち……それ、はっしーん」
GM : らむねの気の抜けた声と共に、船体がゴウンと揺れ……ソナーに、何かしらの物体が映し出される。
GM : 潜水艦から射出されたそれは、魚雷だった。目標である、潜水艦前の巨大な建造物に激突……数秒後、低く鈍い音が響く。
あみぃ : 「しゃあっ、大当たりっ!見た!?見たっしょ!?」キミ達を振り返り
天海こよみ : 「見てたけど……あれ、何……? ばくだん……?」 近くにいた藍依の体にしがみつき、冥界と繋がった端末を落とさないようにその手に握りながら聞く
らむね : 「ギョライよ、ギョライ!前にやったゲームでもバンバン敵船を沈めてやったのよ……ふふ、次の目標はあなた達よ?」バーン、と人差し指を向けて
天海こよみ : 「わ、わぁ……」
琵琶坂 藍依 : 「(なるほど、そういう釣り方をしたのかプロデューサー)」コヨミの細い腰を抱き寄せ
琵琶坂 藍依 : 「もし私達に向けて撃ってきたら、前みたいに痛い目に遭ってもらうとして……」
琵琶坂 藍依 : 「ハーデスの海底研究所はどうなった?」
GM : オーメンの従者が、ソナーの映像を潜水艦前方のカメラ映像に切り替える。深海のためよく見えないが……研究所は巨大で、一画が破壊されたところで本体にそこまでダメージは無いようだ。
オーメン相良 : 『我々の目的がハーデスの撃破のみであれば、研究施設ごと爆破する手も考えたが……『冥界』を維持するMAC-09の機能はあの中にある。今し方破壊したのは、あの施設の潜水艦ドックへの扉のみだ』
澱 カシル : 「今、適当に撃ったように見えたんですけど??」
天海こよみ : 「ちゃんとねらってたんだね……」
オーメン相良 : 『……多少、私の従者が操作しているからな』小声
虹之元 ユメ : 「(そ、そうだったんだ……!)」苦笑いを浮かべてあみらむを見る
天海こよみ : 「そうなんだ……でも、よかった……。もし研究所が全部ばくはつしちゃったら、司さんと話もできなくなっちゃうから……」
ルコ : 『……そうね。出来ることなら、私としても殺さずに捕らえていただきたいわ』一度叩き直してやらないと、と
澱 カシル : 「ココちゃんの分霊が遺されている可能性もありますからね!」
バックアップと言いたいのだろう
天海こよみ : 「そう、だね……。何か見つかるといいな……」
琵琶坂 藍依 : 「プロデューサー、あちらの戦力はどれくらい? ハーデス以外にもエージェントが待ち構えているのかな」
オーメン相良 : 『申し訳ないが、正確な情報は割り出せていない。だが、彼は人間不信だと聞く。基本的に1人で研究しているとのことだ』
天海こよみ : 「一人、なんだ……」 少し寂し気な目をして
琵琶坂 藍依 : 「海の底にずっと、一人ぼっちか……」自分で選んだ孤独なのだろうが。
虹之元 ユメ : 「ハーデス……。あの人には、色々と聞かなくてはいけない事がたくさんありますね……」
澱 カシル : 「きっと、様々なモノを煮詰めているでしょうね。」
「狂気に押し負けないように、気を引き締めていきましょう!」
天海こよみ : 「うん……もうじゅんびはできてる。早く行こう……!」
オーメン相良 : 『頼もしい限りだ。……では、こちらからの通信は以上だ。私は、ミツキ君のサポートに回る』
オーメン相良 : 『君達の健闘を祈る』
天海こよみ : 「ありがとう、プロデューサー。また、ね……!」
澱 カシル : 「ありがとうございます! 行ってきますね!」
虹之元 ユメ : 「絶対に負けられませんから! MARiNE SNOW、行ってきます!」
琵琶坂 藍依 : 「プロデューサー達こそ健闘を! 奈落華と私達の未来、そっちに預けたから!」
GM : キミ達の返事を聞いた後、オーメンは通話を切る。
GM : ……決戦の時は近い。

 
停泊所
 
GM : 潜水艦は研究室内に侵入。浮上すると、そこは潜水艦用の停泊所のようだった。
GM : キミ達は外に出る。空気があり、呼吸も問題ない。にわかには、深海にある設備だとは信じ難いだろう。
天海こよみ : 「……ほんとにぼくたち、潜水艦の中にいたんだね……」 疑っていたわけではないが、ようやく実感がわく
虹之元 ユメ : 「ですね~……よいしょ、っと……!」 ギターを背負って
GM : 周囲を見渡すと、鋼鉄製の扉のようなものがある。それ以外の出入り口はない。
天海こよみ : 「多分、あっちかな……」 周囲を見渡して
澱 カシル : 「出迎えも無いみたいですね! こちらから向かいましょう!」
GM : キミ達が扉の方角に向かって足を踏み出すと。
GM : 直後、天井から何かが飛来する。
GM : それは一見少女のようにも見える何か。俊敏な動きで、カシルを狙い蹴り上げようとする。
澱 カシル : 「!!」
奇襲をとっさに躱せるほど器用ではない。
ノーガードで、報復の呪いを身に満たして蹴りを待ち構える。
虹之元 ユメ : 「ッ、カシルちゃ……!?」咄嗟の事で迫っていく少女に割り込めない
琵琶坂 藍依 : その直前、襲撃を予期していた藍依がルシフェラーゼを抜き放つ。
琵琶坂 藍依 : 「なんとも、手荒いお出迎えだなッ────!!」光刃を走らせ、少女の蹴撃を迎え撃つ。
GM : キンッ、と光の刃と鋼鉄の脚が削り合う。キミが圧し切ろうとしたところで、少女は身を翻し、キミ達から距離を取る。
琵琶坂 藍依 : 「ふう……まあ、こっちも"ノック"が少し乱暴すぎたから仕方ないけど……」息を整えて
琵琶坂 藍依 : 「招かざるとしても、まず客人には挨拶をするべきじゃ────」と少女の姿を確認する。
GM : キミ達が視認したその少女は、ゆらりと体を揺らす。人間的ではない、壊れた人形のような仕草。
GM : 灰色がかった白い肌、ミントグリーンに白色のメッシュのような塗装をされたヘアパーツ。大きな耳の先は尖っている。
GM : 鉄の部屋の中、爛々と光る青色の瞳。無表情。
 
MAC-09Σ
 
GM : “MAC-09”。彼女は、君たちが「ココ」と呼んでいたそれと、若干異なるが…よく似た容姿をしていた。
天海こよみ : 「……ココちゃん?」 目を大きく見開く
琵琶坂 藍依 : 「なっ、どうして……!?」
澱 カシル : 「いえ、違います。」
「ココちゃんはこんな面白みのない方ではありませんよ!」
無機質に目的だけを持って放たれた一撃。
それだけでもココの在り方とは違うだろう。
虹之元 ユメ : 「はい……似ているけど、雰囲気がまるで違います……!」
天海こよみ : 「で、でも……すごく、にてる……。もしかして、ココちゃんの……妹……?」
MAC-09Σ : 彼女がキミ達の問いかけに応じることはない。姿勢を低くし、今度は藍依に向かって飛びかかってくる。狙いはルシフェラーゼを握る腕だ。
琵琶坂 藍依 : 「ッ……!!」混乱している所為か、反応が一瞬だけ遅れる。
天海こよみ : 「っ!! やめて、ココちゃんっぽい子!!」
天海こよみ : 咄嗟に床を蹴り、藍依にその手が届くよりも先に、ココに似た人形に飛び掛かる。
天海こよみ : このメンバーの中では自分が一番腕力が強い……ことを自覚しているのかは定かではないが、こよみは彼女の体を押さえつけようとする。
GM : こよみが押さえつけると、ココに似たそれは、ギギ……と身じろぎする以上のことが敵わなくなる。どうやら、力はキミの方が強いようだ。
GM : だが、抑えるのみでは彼女は止まらない。機械のように、ただもがき続ける。
天海こよみ : 「あ……う、ぅぅ……! おとなしく、してぇ……」
必死に押さえつけることしかできない。力が勝っているとはいえ、それでも圧倒的な程の差があるわけではなかった。
虹之元 ユメ : 「こよみちゃん!」ピックが弦を弾き、メロディーを奏でる。その旋律はこよみを気持ちを昂らせ、レネゲイドの力を促進させるだろう
天海こよみ : 「……! あ、ありがとう、ユメちゃん……!」
天海こよみ : ユメの音楽で力が増し、人形を抑えつけるこよみに余裕が戻っていく。
天海こよみ : 「……で、でも、ここからどうしよう……!?」 その先を何も考えていなかったようで、助けを求めるように皆を見渡す
澱 カシル : 「人形ですし、一旦手脚の糸を断っても元に戻せるのでは!」
「解決まで大人しくしてもらいましょう!」
自身も肉の身体を持たない故に容赦ない
琵琶坂 藍依 : 「たしかに……ココと同じ顔の子を傷付けるのは忍びないけど……」
琵琶坂 藍依 : 「脚さえ、動かなければッ……!」脚部の関節部分、駆動伝達系に光刃を差し込む。
澱 カシル : 「すみません、肩を外させていただきますね!」
相手の肩に触れ、呪いの力で動力軸を腐食する。
GM : アイの処置により、彼女の脚部は関節部から火花を散らし、力を入れることが叶わなくなり。そして、カシルが力を加えると……彼女は一度体を痙攣させ、そのまま静かに目を閉じる。
GM : 恐らく、強制的に意識がシャットアウトされたのだろう。
澱 カシル : 「えっ、やりすぎちゃった……!?」
天海こよみ : 「……え、えぇ……!?」 慌てて人形から飛び退いて
虹之元 ユメ : 「……! 無力化は、できましたね……ハーデス側か、自身で意識をシャットしたのでしょうか……」
天海こよみ : 「もしかしたら、そう……なのかも……」 人形の体に触れて様子を見て
澱 カシル : 「眠っただけ、でしたか……」
誤って呪い殺してしまったのではないかと焦っていたようだ
琵琶坂 藍依 : 「……ともあれ、さっきは助かったよコヨミ」ありがとう、と皆に笑いかける。
天海こよみ : 「う、ううん……。ぶじに何とかできて、よかった……」 藍依に小さく笑い返す
ルコ : 『こよみ……状況がわからないのだけど、そちらにココが居たの?』どこか期待しつつも、不安げな声色で尋ねる
天海こよみ : 「う、ううん……。ココちゃん……じゃなくて、よくにた子が出てきて……」
天海こよみ : 「この子、だれなんだろう……。ルコちゃん、わかる……?」
ルコ : 『よく似た子…?いえ、わからないわ……姉妹がいるなんて話、聞いたことないもの』ただ困惑したように
天海こよみ : 「そっか……」
天海こよみ : 「やっぱり、この子も司さんが作ったのかな……」
GM : 突然現れた少女型アンドロイドについて、キミ達が話をしていると。
あみぃ : 「アンタらの知り合いか何か知らないけど……ちょっと、そんな場合じゃないっぽいけど?」
らむね : 「何か聞こえる……上よ!」
GM : らむねが叫んだ途端、天井のダクトから無数の青い光が見え……直後、爆発するような破壊音と共に、大量の少女達が降ってくる。
GM : それは、先程キミ達が制圧したばかりのMAC-09そっくりの機体だ。その数は無数で、キミ達の前に立ち塞がる。
天海こよみ : 「え、えぇ……!? こ、こんなに……たくさん……!?」
虹之元 ユメ : 「さ、流石にこの数は~……」ひやりと冷や汗を流す
澱 カシル : 「逃げて進みましょうか? でも潜水艦が……」
潜水艦を放置して逃げればどうなるか分からない。
琵琶坂 藍依 : 「……いや、その心配はないはずだ」
琵琶坂 藍依 : 「逃走手段を失くしたら、ハーデス自身が出られなくなるからね」少なくとも、ハーデスの持つ脱出手段が別にあるだろう。
とはいえ、可能なかぎり、UGN側の潜水艦を失いたくはないのも確かだ。
GM : キミ達が言葉を交わしていると、あみぃとらむねがむむーん…と何やら唸り、2人でキミ達に背を向けひそひそと話し始める。
あみぃ : 「ヤバいって、何これ……こんなん聞いてないよね?」
らむね : 「逃げる?ふける?でも、私たちじゃここから帰れないし…」
あみぃ : 「でも……戦うったって、ここから先にラスボスいるんだよね?それよか、さっきこよみちゃんが抑えられたコイツらの方が雑魚じゃね?」
らむね : 「冴えるわね、あみぃ。確かに、この場を抑える方が格好良いかも……私達の最強伝説は始まったばかりよ」
GM : 2人はキミ達に向き直る。
らむね : 「ここは……アレよ」
あみぃ : 「アタシらに任せて先に行けってこと!」
GM : そう、自信満々に宣言する。
天海こよみ : 「え……」 
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「ど、どうして……? だ、だいじょうぶ……?」 謎の心配が先に来た
あみぃ : 「な、何だよそれ!?」ぎくっ、と体を揺らし
天海こよみ : 「だ、だってあみぃちゃんとらむねちゃん、ずっとイヤイヤしてたのに……。そんな自分からまかせてなんて言うなんて……」 困惑
らむね : 「な、何よ……悪い?私たちが味方になってあげるのよ?」胸を張って
天海こよみ : 「……ううん、そんなことない。うれしい」 小さく笑う
天海こよみ : 「まかせて……いいんだね、二人とも……」
あみぃ : 「はゔっ……」
らむね : 「な、謎の敗北感……っ」
GM : 2人は頭を抱えた後、ふるふると首を振る
あみぃ : 「……任せろっての!アンタらが負けたら、アタシらもイッカンの終わりだし!?」
らむね : 「そうね。さっさと行きなさい、あなた達のお尻を拭いてあげるわ」しっし、と手振り
天海こよみ : 「うん……わかった……!!」
虹之元 ユメ : 「あみぃちゃん、らむねちゃん……! このお礼、何か美味しいもので返させて頂きますねっ!」
澱 カシル : 「では殿しんがりをお願いします!」
「必ず生きて合流しましょうね!」
無駄にフラグを立てる
琵琶坂 藍依 : 「……そうだね、二人とも約束して」
琵琶坂 藍依 : 「無理はしないで、ヤバいと思ったらすぐに後退すること」
琵琶坂 藍依 : 「最強とかつまらない意地を張って、痛い目なんかもう見たくないでしょ」
あみぃ : 「むっ……テッタイって、こんな追い詰められた状態じゃ無理っしょ」
らむね : 「そうよそうよ、追い詰められているのはお互い様よ。偉そうなこと言わないで」つん、と澄まして
琵琶坂 藍依 : 「私達のところまで合流してくれたら、二人とも何とか助けてあげるつもりだったんだけど」
琵琶坂 藍依 : 「……その調子だと、無用な心配だったかな」
あみぃ : 「ガーッ、いちいちうるせー!こいつらを全員けしかけてやることもできるんだぞ!」中指を立てる
らむね : 「そうよそうよそうよ!ユメさんが叙々苑奢るって言ったもの!」同じく中指を立てる
琵琶坂 藍依 : 「現金な子達だな……というか、叙々苑を奢るような経済力あったっけ、ウチのグループ……」
天海こよみ : 「きっとプロデューサーが何とかしてくれるよ……」 くすっと笑ってから、
天海こよみ : 「……行こう、みんな!!」
天海こよみ : 床を蹴り、真っすぐ走り出す。携えた三叉槍で人形たちを薙ぎ払いながら、一点突破で駆け抜けます!
虹之元 ユメ : 「じ、叙々苑……! ぜ、善処しておきますっ! ではお任せしました~!!」 こよみちゃんに続いて、風のように駆ける!
澱 カシル : 「アタシもお給料は残してるので、カンパしますよ!」
「あみぃちゃんにらむねちゃん、それでは!」
縋る人形の腕を機能不全にしつつ、走る
琵琶坂 藍依 : 「気を付けて、二人とも────!」マリスノの殿を務め、追い縋ってくる無数の人形を切り払いながら先に進む。
GM : キミ達がその場を切り抜け、退避を終えた直後…天井がさらに爆発したかのように破壊され、大量のアンドロイドが降って来る。
あみぃ : 「あはっ、バァァカ!そんないっぺんに降ってきたら……楽勝すぎっ!」
GM : あみぃが傘を放ると、傘は回転しながらエントランスを削るようにして円を描き…軌跡から、高い火柱が噴き上がる。
GM : アンドロイドらは身体能力がそこそこあるとはいえ、この炎の陣から抜け出すことはできないようだ。
らむね : 「ふんっ、ホントに楽勝じゃない?やるわよ、あみぃ」
あみぃ : 「おうっ。さっさと終わらせて……先に帰っちゃうドッキリでも仕掛けてやろうよ、らむね!」
GM : 2名は悪戯っぽく笑い、大量のアンドロイド達に立ち向かっていった。
GM : キミ達は彼女達を背に、ひた走る。諸悪の根源を討つ為に。
虹之元 ユメ : ”らみぃどらいぶ!”あみぃ&らむねの感情変更。
庇護/不安 → 尽力/不安に!Pが表!
GM : 了解です!

 
研究所 通路
 
GM : らみぃどらいぶと別れた後、キミ達は先を急ぐ。
GM : 建物内に入ってからも、アンドロイドが数体、キミ達の行手を阻んだが……どうやらあみぃとらむねが大多数を引き受けていたようで、大した障害にはならなかった。
GM : アンドロイドらが守ろうとする方角から、灰出の待ち受けるであろう部屋を割り出したキミ達は……ようやく、それらしい堅い扉に閉ざされた部屋を見つけた。
天海こよみ : 「……ここ、で合ってる……のかな」
虹之元 ユメ : 「恐らくは……あからさまに堅固ですしね……」
澱 カシル : 「しかし、どうやって入りましょう?」
「こじ開けるにしても、なかなか手強そうです……。」
天海こよみ : 「え? かぎ……かかってるの?」 
天海こよみ : 扉を観察したり、ドアノブを調べてみたりして鍵がかかってるかチェックしたいです!
GM : ドアノブや鍵穴があるような、所謂扉らしい扉ではなく、自動扉のようなものですね。
天海こよみ : 了解です!
天海こよみ : 「……よく分からない」 よく分からなかった
琵琶坂 藍依 : 「ロックがかかってるね、通す気はなさそうだ」
天海こよみ : 「それなら……」
天海こよみ : 「こわすしかない、ね……」 躊躇なく槍を構え直す
琵琶坂 藍依 : 「マリスノ流のノックで、また開けてもらうとしようか」
澱 カシル : 「1人で大変なら……みんなで、だね!」
扉の未来を呪う。
虹之元 ユメ : 「ロックに開くと……しましょうか!」
天海こよみ : 「うん……!」
天海こよみ : 「……ルコちゃん、もうすぐだよ。じゅんびは……いい?」 持ってきた端末に喋りかける
ルコ : 『……ええ。私の覚悟は十分よ』力強い声で返事をする
ルコ : 『皆……どうか、ご無事で!』
天海こよみ : 「ん……!!」
天海こよみ : 一呼吸の後、両手で構えた槍を全力で前へ突き出す。
天海こよみ : その三つに分かれた穂先の周囲から、勢いよく海水が溢れ出し────強固に閉じた扉を破壊しながら押し流そうとする!!
GM : 堅牢かと思われた扉は、鋭く噴出した海水により、まるでバターのようにスライスされ……ついに、その室内を露わにする。
 
モニタールーム
 
GM : そこは、無数のモニターに囲まれた空間。佇むのは、ただ1人。
 
灰出司
 
"ハーデス"灰出司 : 「……辿り着いてしまったか。MARiNE SNOW……」
"ハーデス"灰出司 : 「……もはや、生かして返せませんよ」
GM : ……"ハーデス"灰出 司。キミ達が倒さねばならない男が、そこに待ち構えていた。
GM : シーン7『ブレス』。シーンエンド。

Scene 08 極夜一碧

GM : クライマックスシーンとなります。登場PCは全員です。登場侵蝕をお願いします。
天海こよみ : 1d10+87(1D10+87) > 3[3]+87 > 90
虹之元 ユメ : 1D10+97 (1D10+97) > 9[9]+97 > 106
琵琶坂 藍依 : 1d10+95(1D10+95) > 4[4]+95 > 99
澱 カシル : 1d10+98(1D10+98) > 8[8]+98 > 106
 

 
モニタールーム
 
"ハーデス"灰出司 : 「さて……何をしに来たのですか。貴方方は無事に帰って来られたのです……大人しくしなさいと言ったでしょう」
GM : 灰出はゆっくりと首を傾げ、キミ達に尋ねる。芝居がかった仕草だ。
天海こよみ : 「司さん……。ぼくたちが大人しくしていたら……あなたは、もうやめてくれるの?」
天海こよみ : 「クラちゃんの力を利用して、るー子ちゃんの歌で世界を支配する……そんなことしないって、約束してくれるの……?」
"ハーデス"灰出司 : 「ハッ……それは、誰との、どんな約束ですか?」嘲るように笑う
"ハーデス"灰出司 : 「わざわざ"クラッドカルト"を連れてきてくれたのです。差し出して、命乞いをしてくれるのでしょう?何故そのような意味のない質問をする?」
天海こよみ : 「ううん……そんなことしにきたわけじゃない……」
天海こよみ : 「質問したのは、少しでも……可能性をあきらめたくなかったから……」
天海こよみ : カラン、とこよみの足下から乾いた音が響く。落ちたのは、彼女が持っていた槍だった。
天海こよみ : 「司さん。あなたと話をしたい人がいるの……聞いてもらえる?」
天海こよみ : そう言って、手に持った端末を前に出した。
"ハーデス"灰出司 : 「……何の真似ですか」
GM : 訝しげに、警戒する彼に……
ルコ : 『司さん、なのね。……お願い、聞いて。もう……やめて頂戴……』
"ハーデス"灰出司 : 「……ッ!るー子さん……どう、して……」灰出は目を見開く
"ハーデス"灰出司 : 「何故、止めるのですか。こうすれば、るー子さんは……生まれ変われるのですよ!るー子さんが、私が憎む、腐った世界の救世主としてッ!」
ルコ : 『……違う……違うのよ、貴方はそこから間違えている』
ルコ : 『私は……世間が私を認めなかっただなんて、世間が憎いだなんて思っていない。天才では無かった私自身に絶望して、命を絶った……ッ」
ルコ : 『でも、間違いだった。あかりちゃんが引退してしまった時ではなく、貴方達ファンの思いを蔑ろにした時に……私はアイドルとして死んだ!』
ルコ : ルコは声を震わせながらも、必死で独白を続ける。
ルコ : 『……それでも…貴方はそんな私にチャンスをくれた。また、生き返らLIVEさせてくれた』
ルコ : 『司さん、お願い、もうやめて……私、十分報いてもらったもの。それにこれ以上、私の為に、誰かが不幸になって欲しくないの……』
"ハーデス"灰出司 : 「……るー子さん……」
GM : ルコの必死の訴えを聞き、灰出は目を閉じる。だが。
"ハーデス"灰出司 : 「……否、否!うるさい、うるさいうるさい!失敗作の言葉が、AIごときの言葉が、私に届くと思うな!」
"ハーデス"灰出司 : 「製作者の私自身が一番分かっている、” ヴェスパー・ゼロ”、お前は偽物で、製作者にとって耳障りの良い言葉をペラペラ出力する傀儡だって!」
GM : 灰出は腕を振り、頭を掻き乱し叫ぶ。もはや、誰の声も届く様子ではない。
ルコ : 『ッ……!』それを察したかのように、ルコは押し黙ってしまう。
天海こよみ : 「ルコちゃん……」 心配そうに声をかける
ルコ : 『……いえ。問題ないわ。覚悟はしたと……言ったでしょう……』
ルコ : そう、笑うような声色で返してくるが……その声には暗い感情が滲んでいる。それでもなお、対話しようとする気配はあるが、苦し気に、小さく息が漏れるのみだ。
天海こよみ : 「ルコちゃん……無理、しないで……」
天海こよみ : 「だいじょうぶ。ルコちゃんの気持ちはまちがってない……」
天海こよみ : 「それに、偽物なんかでもないよ……」
天海こよみ : 「ルコちゃんは、ルコちゃんなんだ……。まちがいに気づいて、自分のファンにこれ以上不幸になってほしくないって願う……るー子ちゃんとは違う、またもう一人の本物で……」
天海こよみ : 「本物のアイドル、だよ……」 励ます様に、そう伝える
ルコ : 『こよみ……ありがとう。そうね……私はるー子にはなれないけど、それでもルコだから』
ルコ : 『私は……もう大丈夫。だから、今貴方に救って欲しいのは……』
ルコ : 『……今、貴方の目の前にいるその人よ。貴方にやらせるには酷だけれど……お願い、しても良いかしら』
天海こよみ : 「もちろん……まかせて、ルコちゃん」
天海こよみ : 「もし酷なことだったとしても……ぼくは、一人じゃないんだから……」 端末に笑いかける
琵琶坂 藍依 : 「ああ、私たちMARiNE SNOWで……!!」
虹之元 ユメ : 「世界を救うなんてこと、造作もありません!」グッと親指を立て、笑う
澱 カシル : 「ええ! ココちゃんの願い通り……」
「貴方にはファンとしての初心を思い出して貰います!」
"ハーデス"灰出司 : 「ハッ、戯言を!偽物のアイドルである貴女方の言葉など、聞くに値しません!」
"ハーデス"灰出司 : 「るー子さん、待っていてください……すぐに、貴女の理想を叶えますから……」
"ハーデス"灰出司 : 陶酔したように、灰出は腕を広げ……その場に居ない、彼の『偶像』へと語りかける。
天海こよみ : 「ルコちゃん、まってて……! あなたのファンは、ぼくたちが救うから……!」
天海こよみ : 冥界と繋がった端末を片手に握り、床に落とした槍を拾い上げて構える。
琵琶坂 藍依 : 「────ハーデス。みんなは優しいから、かわりに私が怒ってやる」
琵琶坂 藍依 : 「おまえが今やってることは、澪木るり子の為なんかじゃない」
琵琶坂 藍依 : 「大事なヒトを喪った自分の気持ちを慰めるための逃避にすぎない」
琵琶坂 藍依 : 「そのために、おまえはココを……奈落華の生き様LIVEを愚弄したんだ」
琵琶坂 藍依 : 初心はどうか、分からない。
琵琶坂 藍依 : だが、今のハーデスはあきらかに暴走している。
琵琶坂 藍依 : 「大事なヒトを喪う気持ち、私には……いや、私達には分かる……」
琵琶坂 藍依 : MARiNE SNOWはみんな、大事なヒトを喪っている。
琵琶坂 藍依 : 「けど、だからこそ……! 私達が、おまえを止めて救ってやるッ……!!」
琵琶坂 藍依 : 灰出司に同情/憤懣のN表でロイス取得します!
"ハーデス"灰出司 : 「ハッ……下らない。思い上がりも甚だしいですね……」
"ハーデス"灰出司 : 「私の考えがわかる?救う?私の絶望よりも、遥かに短い刻しか生きていない貴女方が?」
"ハーデス"灰出司 : 「私が信じるものはただ一つ──あの頃、確かに存在した理想の偶像アイドル
"ハーデス"灰出司 : 「……これ以上、偽物達の話を聞く価値はないということですよ」
 
モニタールーム
 
GM : 灰出が腕を広げると、モニターの画像が全て、生前の澪木ルリコのものへと差し変わる。さながら、邪教の祭壇のような有様だ。
天海こよみ : 「ぜんぶ……るー子ちゃんだ……」 流石に圧倒される
澱 カシル : 「……行き過ぎた愛は呪詛と同じです。」
「呪詛が必ず悪とはもう思いませんが……。」
「流石にこれは毒です! ルリコさんにとっても、みんなにとっても………アナタにとっても!」
虹之元 ユメ : 「まさに、熱狂的な……ですが、行き過ぎた想いは自身を蝕んでしまいます……!」僅かに己を重ねて
琵琶坂 藍依 : 「こんなこと、もう終わらせるっ……!!」
天海こよみ : 「……行くよ、司さん」 これ以上は何も言わず、ただ静かに構え直す
澱 カシル : ココへのロイスを遺志/敵愾心のPにしてSロイス化します!
"ハーデス"灰出司 : 「……さっさと片付けましょう。MAC-09Σ……仕事の時間ですよ」
"ハーデス"灰出司 : ハーデスは悠然とした態度で、PC型のデバイスを手にし操作する。すると、部屋のダクトや壁の仕掛け等から、どこからともなく、先程のココそっくりの少女型アンドロイドが複数体召集される。
"ハーデス"灰出司 : 「……貴女方は私に勝てません。それを、今から教えて差し上げます」
GM : ……彼が何を握っているのか、何故ここまで余裕ぶれるのか、キミ達は分からない。
GM : だが、キミ達は───何故か、心臓に触れられ、今にも捻り潰されそうになるかのような悪寒を感じる。このまま対峙することは危険だ、そう、オーヴァードとしての本能が知らせてくる。
GM : 灰出はEロイス<悪意の伝染>を使用。このシーンには、これ以上何人たりとも侵入することが適わない状態です。
GM : また、衝動判定をお願いします。難易度は9です。
天海こよみ : 了解! やるぞ
天海こよみ : 3dx+7(3DX10+7) > 7[3,3,7]+7 > 14
天海こよみ : 2d10+90(2D10+90) > 7[3,4]+90 > 97
虹之元 ユメ : 5dx そーい!(5DX10) > 10[6,6,10,10,10]+7[5,5,7] > 17
虹之元 ユメ : 2d10+106 (2D10+106) > 16[7,9]+106 > 122
琵琶坂 藍依 : 4dx 意志(4DX10) > 6[1,5,6,6] > 6
琵琶坂 藍依 : 2d10+99(2D10+99) > 10[9,1]+99 > 109
澱 カシル : 11dx+1>=9(11DX10+1>=9) > 10[1,1,2,2,4,5,5,5,6,10,10]+5[3,5]+1 > 16 > 成功
澱 カシル : 2d10+106(2D10+106) > 13[3,10]+106 > 119
GM : それでは、クライマックス戦闘に突入します。


 
【行動値】
15 クラッドカルト
14 琵琶坂藍依
13 虹之元ユメ
12 澱カシル
07 MAC-09Σ ①
07 MAC-09Σ ②
06 灰出司
05 天海こよみ
 

 
【初期配置】
灰出司 / MAC-09Σ ① / MAC-09Σ ②
  |
(5m)
  |
天海こよみ / 虹之元ユメ / 琵琶坂藍依 / 澱カシル
 

 
【勝利条件】
・敵NPC全員の撃破
 

 
【備考】
・MAC-09Σはトループ扱い
 


◆第1ラウンド
 
GM : 第1ラウンドです。セットアッププロセス、やりたいことがある方は宣言願います。GMもあります。
虹之元 ユメ : 【コンボ名:レスポンス】《扇動の香り》を使用!
対象はハーデス。このラウンド中、対象を攻撃する時の命中ダイスに+6します!
system : [ 虹之元 ユメ ] 侵蝕率 : 122 → 127
琵琶坂 藍依 : 怨念の呪石を使用!暴走状態になって《ミラーパレス》が起動!!
琵琶坂 藍依 : 自身が行なう攻撃のダメージを+2D! 自身を対象に含む攻撃のダイスを-10個!!
system : [ 琵琶坂 藍依 ] 侵蝕率 : 109 → 112
澱 カシル : 【カレイド】
怨念の呪石→背徳の理+喰らわれし贄(極限暴走による使用)
澱 カシル : 暴走!ダイス+12D!攻撃力+[2D+18]!
system : [ 澱 カシル ] 侵蝕率 : 119 → 126
GM : 皆様、了解です。
"ハーデス"灰出司 : <アクセル>使用。【行動値】+10、計16となります。
 

 
澱 カシル : 以前のような呪いを封じる枷をカシルはもう使っていない。
ただ、決心するだけ。
澱 カシル : 身に満ちた呪詛をより良い方向へ向けて使う、と。
眼が赤く染まり、黒いナニカがまとわりついても、カシルの白さは喪われない。

琵琶坂 藍依 : 深海からでは、見えもしない大空。
琵琶坂 藍依 : 何かを求めるようにそこへ手を伸ばし、ぱちんと指を鳴らす。
琵琶坂 藍依 : 指先から光が弾けて、ひとつの形を成していく。
琵琶坂 藍依 : それは一羽の小鳥だった。
琵琶坂 藍依 : ……光の鳥は、藍依の元から飛び立つ。
琵琶坂 藍依 : 小さな翼を懸命にはためかせ、天に昇っていこうとする。
琵琶坂 藍依 : 暗い部屋で煌めいたそれは確かに、輝く星に見えた。
琵琶坂 藍依 : 「(ああ、そうか……これは……)」
琵琶坂 藍依 : 暴走した妄想衝動のレネゲイドが見せる奇跡。あるいは軌跡。
琵琶坂 藍依 : 夢破れた二人の少女、その心象風景の具現。
琵琶坂 藍依 : ────故に、光の鳥は。否、久能胡桃は墜落する。
琵琶坂 藍依 : 美しい光の軌跡を描いて、憧れた場所から転落する。
琵琶坂 藍依 : 象徴化された偶像であっても、彼女は”輝ける星”であることを許されなかった。
琵琶坂 藍依 : 「……それなら共に行こう、胡桃」
琵琶坂 藍依 : そっと手を伸ばして、琵琶坂藍依は受け止める。
琵琶坂 藍依 : ふたりの後悔が生み落とした光の偶像を、ぎゅっと胸元に抱き締める。
琵琶坂 藍依 : するとやがて、光の鳥は少女の体に融けていき……
琵琶坂 藍依 : 呪いがドレスに、祈りがブーツに、
琵琶坂 藍依 : 夢と希望が、自らの航路を決める羅針盤に。
琵琶坂 藍依 : ……琵琶坂藍依を構成する全てが、力に変わる。
琵琶坂 藍依 : 暴走するレネゲイドを、更なる欲望ゆめによって乗りこなし、
琵琶坂 藍依 : その全てをエフェクト出力へ転化する戦闘形態、「叛天外装アウターヘヴン」。
 
琵琶坂 藍依 : ……光の束が編み上げたのは、一人の偶像。
琵琶坂 藍依 : それは数多の人々の想いを背負い、昏い夜空を照らす”星座”のひとつ。
琵琶坂 藍依 : ────『iRiS』。
琵琶坂 藍依 : 逆境を乗り越え、希望の未来を切り拓くアイドルの名である。
iRiS : 「……自己紹介が、まだだったね」
iRiS : 光の羽が舞い散る中、ルシフェラーゼの光刃を抜き放つ。
iRiS : 「私達はMARiNE SNOW────あなたの悪夢を、終わらせるアイドルだ」
 

 
GM : イニシアチブプロセスです。GMはあります、みんなは持ってないけどGMはあります。
"ハーデス"灰出司 : <加速する刻>を使用。イニシアチブプロセスにてメインプロセスをさせていただきます。
"ハーデス"灰出司 : マイナーアクションなし。メジャーアクションで、コンセントレイト:ソラリス+絶対の恐怖+リミット:神の御言葉+ポイズンフォッグ+タブレット。対象はNPCのクラを除く、PC全員です。
iRiS : オートアクションで、《フラッシュゲイズ》を使用! ダイス合計-20個!!
GM : 了解です!であればダイス数の都合上、判定は失敗しますね。
iRiS : よし!ファンがたやすくアイドルに触れられると思うな!!
GM : うるさいっ 偽物のアイドルめっ
 

 
"ハーデス"灰出司 : 「……胡桃。久能胡桃ですか…」
"ハーデス"灰出司 : 「随分と悪趣味な演出ですね。……そのような事が出来るまでに、傷が回復したのだと言いたげですが……」
GM : 灰出は、キミ達に向かって手を伸ばす。
"ハーデス"灰出司 : 「……探らせていただきます」
GM : 彼がそう言った途端、キミ達の視界がぐわんと揺れる。何かしらの攻撃を受けようとしていることを、キミ達は察知するだろう。
iRiS : 「おまえの手の内は、だいたい知っている……!!」片手で頭を押さえ、
iRiS : ルシフェラーゼの切っ先を、ハーデスに向ける。
iRiS : 同時、モニターから漏れるブルーライトが指揮されたように結集。
iRiS : 光の槍となって、エフェクトを行使しようとするハーデスに襲いかかる!
"ハーデス"灰出司 : 「……ほう」
GM : ハーデスは小さく笑うと、手元の端末を操作。MAC-09Σの1体が彼の前に躍り出て、その光の槍を弾く。軽く損傷はあるようだが、大きなダメージとはなっていないようだ。
"ハーデス"灰出司 : 「流石の瞬発力ですね、琵琶坂藍依。……いえ、今はiRiSと呼んであげるべきでしょうか?」
iRiS : 「……お褒めにあずかり、どうもありがとう」
iRiS : 「(……手の内を知っているのは、あちらも同じことか)」難なく対応されたことに歯噛みをする。
"ハーデス"灰出司 : 「くく……そうですね」キミの心を読んだかのように嗤う。
"ハーデス"灰出司 : 「ええ、そうですよ。私は、貴女方が来る以前から……MARiNE SNOWの来歴を調べ尽くし、研究したのですから」
"ハーデス"灰出司 : 「手の内などお見通し。ですが、少々侮っていたようです……次は、こうは行きませんよ」
 
灰出司
 
"ハーデス"灰出司 : 彼はそう言って、端末に手をかける……まるで、今の防御は計画通りだったとでも言いたげな態度で。
 

 
GM : 次、メインプロセスです。行動値16、灰出のターンですね。
"ハーデス"灰出司 : マイナーなし。
"ハーデス"灰出司 : メジャーでコンセントレイト:ソラリス+絶対の恐怖+リミット:神の御言葉+ポイズンフォッグ+タブレット+錯覚の香り+怒れる心を使用。
"ハーデス"灰出司 : 対象はPC全員です。
"ハーデス"灰出司 : 11dx7+5 ミラーパレス込みです(11DX7+5) > 10[1,2,3,3,5,5,5,7,9,9,10]+10[4,5,8,8]+10[6,10]+6[6]+5 > 41
GM : リアクションある方どうぞ。
澱 カシル : 暴走中なので無理!
iRiS : おなじく暴走中なので不可!
虹之元 ユメ : 回避しかできねぇ!
虹之元 ユメ : 4dx+1 どりゃっ(4DX10+1) > 9[1,4,4,9]+1 > 10
天海こよみ : オートアクションで《軍神の守り》を使用! ユメちゃんをカバーリングします!
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 97 → 99
GM : 了解です!ではダメージ算出します
GM : 5d10+32(5D10+32) > 26[6,9,1,9,1]+32 > 58
GM : 怒れる心の効果により、命中したPC達にはバッドステータスの憎悪が付与されます。憎悪の対象はMAC-09Σ①です。
GM : よしなに復活なり斃れるなり(?)、対応を宣言してもらえると!完了次第演出に移ります。
天海こよみ : では倍のダメージ受けて当然戦闘不能になるので、《リザレクト》で復活します!なんとギリギリまだ99%
天海こよみ : 1D10(1D10) > 1
system : [ 天海こよみ ] HP : 21 → 1
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 99 → 100
虹之元 ユメ : しかも1!ありがとうこよちゃん
iRiS : ハーデスのロイスをタイタスに変更! 昇華して復活しますよ!!
system : [ iRiS ] ロイス : 6 → 5
system : [ iRiS ] HP : 24 → 11
澱 カシル : 藍依ちゃんのロイス切って復活します!
system : [ 澱 カシル ] ロイス : 6 → 5
system : [ 澱 カシル ] HP : 32 → 12
 

 
"ハーデス"灰出司 : 「さて……では、改めて私の能力を解説して差し上げましょう」
"ハーデス"灰出司 : プレゼンでもするかのように、部屋の中をゆっくりと歩く。
"ハーデス"灰出司 : 「私の能力は、他者の記憶のサルベージに特化しています」
"ハーデス"灰出司 : 「遺留品からも解析可能ですが……一番やりやすいのは、やはり本人を前にした時」
"ハーデス"灰出司 : 「貴女方の過去について調べは付いていました。加えて、こうして私のテリトリーに入ってしまったことで……深層心理に根を張る忌まわしい記憶も、オールクリアとなっています」
"ハーデス"灰出司 : 「では、その記憶をどう処理すれば良いのか。生データを、持ち前の能力で貴女方の頭に流し込めば十分?」
"ハーデス"灰出司 : 「……いいえ。MACシリーズの生成AI技術があれば、オーヴァードの力は飛躍的に進化します」
"ハーデス"灰出司 : 人差し指を立てる。
"ハーデス"灰出司 : 「例えば、映像化」
GM : 灰出が指を鳴らすと、部屋中のモニターが一斉に砂嵐を起こし……やがて、色濃く、毒々しいほど鮮やかな映像へと変貌。
GM : 最終的に映し出されたのは、MARiNE SNOWに入る前のキミたちの、記憶の中の光景だった。
GM : こよみは、小さな自分の手をつなぐ両親の姿を。ユメは、教室で呑気にギターをかき鳴らすユメミの姿を。アイは、笑顔の胡桃の隣に立ち、大勢のファンからの歓声を受ける光景を。カシルは、ステージで輝く、アイドルの胡桃の姿を。
GM : ……他の誰もが知らない、自分だけの大切な記憶が晒け出される。
天海こよみ : 「……!? ママ……パパ……?」 呆然と立ち尽くす
虹之元 ユメ : 「あの時の、ユメミちゃん……」目を丸くして、モニターを見つめる
澱 カシル : 「あの日のライブ……いえ、これは"わたくし"の視点ですね。」
懐かしそうに見つめる
iRiS : 「これは……何のつもりだハーデス……!」
"ハーデス"灰出司 : 「素敵な思い出の再演です。さて、まだ終わりませんよ」
"ハーデス"灰出司 : 「次は、音声化」
GM : 灰出が指を2本立てた途端。部屋中に音が溢れかえる。
GM : あの日の雑踏、赤子の泣き声、子どもの無遠慮な声、大人の無機質な声、老人のしわがれた声、鳥のさえずり、放課後のチャイム、家電のコンプレッサー、流行曲、クラクション、シャッター音、ノイズ、波、風、地動、時計の針がチクタクチクタクチクタク…
"ハーデス"灰出司 : 「香りの情報も添えてみましょうか?」
GM : 3本目。彼が持つソラリスシンドロームの力によって、合成された香りが充満する。
古臭い石鹸、雨上がりのペトリコール、むせかえる程の四季の草花、排水溝に溜まった汚泥、きしむようなオゾン臭、こぼれた薬品、酒、煙草、えぐみの強いミネラル臭、安っぽい派手な香水、こびりつくカビ、植物性の腐臭、錆びた鉄骨、樟脳、ガソリン、線香、焦げたプラスチック臭…
GM : 映像もまた、目まぐるしく姿を変えていく。
GM : 無尽蔵にばら撒かれた情報は、キミ達の脳を様々な感情の色に、サイケデリックに染め上げながら……一つの像を作り上げる。
GM : 何をしようと、もう遅い。キミ達は彼の術中だ。
"ハーデス"灰出司 : 「さあ…記憶の海に溺れ死ぬと良い……!」

GM : ……その場で展開されたのは、知っているようで知らない、互いの過去の再演。
GM : あるいは、もう二度と目にしたくない記憶のリフレインだった。

 
トラウマ1
 
GM : 周囲に上手く馴染めないこよみを除け者にし、虐めてきた同級生。薄暗い自室と、抱きしめてくれた祖母の、痛々しいほどの温もり。

 
トラウマ2
 
GM : やっと見つけた十条ミツキを失い、再度、息の詰まる日々へと押し流された日。SNSの画面。盲目に信じる他無かった苦しみ。

 
トラウマ3
 
GM : 父母の辿った末路を知り。そして、母が死後も辱められていた事実を目の当たりにした日の、我を失うほどの憤怒。


 
トラウマ4
 
GM : 親友を失ったあの日、ユメ……涙美自身は目撃していなかった、ユメミに庇われる己の姿。親友の今際にも立ち会えない無力な姿。

 
トラウマ5
 
GM : 目が覚めた病院の天井。喪失感を埋めるため、己の中に親友を生み出し。2人の夢を叶えるために必死でもがき、頑張って。

 
トラウマ6
 
GM : それでもメンバー達には追いつけず、徐々に身体と精神が削られる感覚。壊れた身体と精神から溢れ出る絶望の涙。


 
トラウマ8
 
GM : 母にアイされず、身体ばかりが大人になろうと成長していた思春期。未だに幼子同然の、がらんどうの心を埋めてくれる人を求める日々。

 
トラウマ7
 
GM : 初めて心を満たしてくれた親友の、無残な亡骸。彼女の死後にようやく気付く、「親友」に甘えていた己の愚鈍さ。空虚。

 
トラウマ11
 
GM : 胡桃を追い詰めた悪女と誤解されながらも、幽鬼のように蘇り。メンバーに恵まれて尚、死ぬまで満たされることはない渇望。


 
トラウマ10
 
GM : 実験室で生を受けた日。無遠慮にキミを覗き込む人影達が、血肉たる呪物が、キミ自身を「人を害する呪い人形」だと定義づけた。

 
トラウマ9
 
GM : アイデンティティに苦しめられる中、一筋の光だったアイドルは黒く染まり。キミを一瞥し、呪いを吐いてこの世を去った。

 
トラウマ12
 
GM : 人々に夢と希望を与える「澱カシル」など存在しない。憧れの仮面で覆い隠そうと、その本質はエゴを振りまく邪悪な怪物なのか。


GM : 混ざり切った様々な感情は、汚泥色の毒素となり、キミ達の心を蝕む。
GM : 過度なストレスによる窒息感は、ヒトとして生きるための脳の機能を破壊。
GM : 意識は……今にも、暗闇の淵へと放り出されそうになっていた。
天海こよみ : 「……っ!! う、ぁ……ぐ……っ」 揺れる頭を必死に両手で抑え、苦痛の声を上げる。乗り越えたはずの過去なのに、息ができない。
虹之元 ユメ : 「わ、わたし……ぁ、あの時、も……」哀しみが溢れ、大粒の涙となってぽろぽろと零れる。かつての自分に引き戻されるような、想いが退行していく酷く不快な感覚が込み上げる……。
澱 カシル : 「うふふっ………うふふふふふっ………」
白いアイドル姿のカシルに、黒い少女の影が交差する。
呪い人形は、ただ嗤っている。
iRiS : 「っ、ぐ……」iRiSが纏っているのは、心の力。
故に、心の揺らぎによって、その力は拡散してしまう。
iRiS : 「ああああああ……!!!!」
iRiS : もうとっくに整理をつけたハズの心。
だが、その柔らかいところへと刃を突き立てられて、バラバラに解体されては、心のバランスが乱れてしまうのは当然だ。
天海こよみ : 「…………!!」
天海こよみ : 暗闇の底へと真っ逆さまに落ちながら、苦しみ、狂い笑い、絶叫する声が聞こえた気がする。
天海こよみ : それが聞き覚えのある声だと、ぐちゃぐちゃになった頭でもすぐに理解できた。
天海こよみ : そして、思った。
天海こよみ : 今苦しんでいるのは、自分だけじゃないのだ、と。
天海こよみ : 「……………ッ!!!!」
天海こよみ : 無理矢理、体内のレネゲイドを一気に活性化。
天海こよみ : 口や鼻から血を流しながら、冷たくなった体に熱を取り戻させる。
天海こよみ : 「ご……め……! ユ……ちゃ……ッ!!」
天海こよみ : 暗闇の向こうで薄っすらと見える、ユメの姿へと何とか手を伸ばし……
天海こよみ : パチン、と。振り絞った力で、その頬を強く優しく叩いた。
虹之元 ユメ : 「────────!!」
虹之元 ユメ : 頬に響く衝撃。だが、最初に感じたのは暖かな優しさ。
虹之元 ユメ : 悪夢から目覚める感覚は嫌というほど味わってきた。その度に、心が摩耗し、思考は閉じていった。
虹之元 ユメ : だが今は違う。この悪夢からの目覚めは、再起への一歩────!
虹之元 ユメ : 「くッ……!」 僅かに靄がかかる頭で、ギターを再び構える……。
天海こよみ : 「……っ、よかった……」 ギターを構える姿が見え、少しだけ安堵する。きっとユメならもう大丈夫だと、あとは膝を突いて息を必死に整え始める
虹之元 ユメ : 「ありが、とう……! こよみちゃん……!」深く息を吐き、ピックを握る手に力が籠る……。
虹之元 ユメ : 「みなさん、思い出してください……!」暗闇に木霊する、ギターのビート。
虹之元 ユメ : 「私達が何のために、誰の為に……何を背負って! ここまで来たのかを!」
虹之元 ユメ : 情熱的で、エレクトリックなギターサウンドが暗闇を裂く。
MARiNE SNOWの辿った悔悟と苦痛、それらを乗り越え、あるいは受け入れた先の情景を想起させる軽快なサウンド……。
iRiS : 「っ……そう、だったっ……」もはや懐かしいメロディーに励まされ、真っ直ぐに前を見据えて立つ。
iRiS : ハーデスの能力によってバラバラにされた脳内に、大事な記憶が甦ってくる。
iRiS : 自分の人生にあったのは、つらい出来事だけじゃない。
iRiS : 「約束、したんだ……!! トップアイドルになるって、胡桃のことを助けるってッ……!!」
虹之元 ユメ : 「その意気……ですッ!」
虹之元 ユメ : ギャアンッ! 幻惑を掻き消す、ロックなメロディへと転調する。
虹之元 ユメ : その音色はハーデスから吹き荒ぶ狂気的な感情に対するように、MARiNE SNOWの背を押す一陣の風が包み込む。
虹之元 ユメ : その風は柔らかく、心身に巡る夢と希望の賛歌となって心に宿る!
虹之元 ユメ : 「さあ、みんな────」
虹之元 ユメ : 「……夢を叶えにいく、時間ですッ!」
虹之元 ユメ : ギャイ────ンッ! まるで息苦しい海中から、海面に辿り着き酸素を取り込んだが如く、MARiNE SNOWから息苦しさが取り除かれる!
天海こよみ : 「…………! ユメちゃん……」 蝕まれた心が癒されるのを感じながら、ユメを見上げる
虹之元 ユメ : 「ん、さっきはありがとうございます……!」グッと親指を立てて微笑む
天海こよみ : 「ううん……! えへ、へ……」 微笑み返しながら、ゆっくりと立ち上がる
GM : ユメの演奏により、キミ達は我に返る。だが、ハーデスによる精神攻撃のダメージは凄まじく……強烈なストレスにより視界は奪われ、心には澱のようなものが沈み込む。
GM : 誰しも、過去を乗り越える事はできる。しかし、忘れ去る事など……ましてや、あの頃の純心に戻る事など叶わないのだと、思い知らされるかのように。
GM : そして、『彼女』は。
GM : 呪いより出で、純より最も遠い存在たる『彼女』は。
GM : 白塗りの仮面を強制的に剥がされ……黒い怪物としての姿を曝け出す。
 

 
澱 カシル : 【枯れ井戸の底から】
ラストアクション
system : [ 澱 カシル ] 侵蝕率 : 126 → 133
澱 カシル : マイナーでオリジンレジェンド
メジャーが
【リング】
CR+餓えし影+原初の赤:要の陣形
(前提:怨念の呪石+背徳の理+喰らわれし贄+オリジン:レジェンド)
澱 カシル : 対象は3人まとめて!
system : [ 澱 カシル ] 侵蝕率 : 133 → 140
GM : 了解です。判定どうぞ〜
澱 カシル : 29dx7+12(29DX7+12) > 10[1,1,1,2,2,2,2,3,3,3,3,4,5,5,5,5,6,6,6,7,7,7,8,9,9,9,9,9,10]+10[1,2,3,5,5,5,6,7,8,10]+10[4,7,9]+10[3,7]+2[2]+12 > 54
天海こよみ : この一回で倒せたら嬉しいし、《妖精の手》使います!
GM : いいね!
天海こよみ : 「1dx7+62」で振り足してもらって!
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 100 → 104
澱 カシル : 1dx7+62(1DX7+62) > 10[9]+4[4]+62 > 76
GM : MAC-09Σ①はガードを使用、MAC-09Σ②は<献身の盾>の効果によりハーデスをカバーリング(ただしメインプロセスを消費)+ガードを使用します。
GM : ダメージどうぞ!
澱 カシル : 8D+2D+30(8D10+2D10+30) > 54[2,4,8,10,6,10,10,4]+15[10,5]+30 > 99
GM : ①②共にアーマースキンを持っているので、HPダメージを1D減少させます。
MAC-09Σ ① : 1d10(1D10) > 4
MAC-09Σ ② : 1d10 しょうみ意味ないが(1D10) > 5
MAC-09Σ ② : 流石に大ダメージすぎます、MAC-09②は倒れます!
MAC-09Σ ① : こっちはなんか生き残っています。が、かなり削れています。
 

 
澱 カシル : 「うふふふふふふふふ…………」
 
「 ミタナ 」
澱 カシル : 俯いていたカシルがハーデスを視る。
澱 カシル : 背後にあった画面がブラックアウトし、ノイズの走った映像へ切り替わる。
 
井戸
 
澱 カシル : 冥界の空。冥界の川。アイドルの死を告げる新聞。顔に白い布を被せられたアンドロイドが指を差す。
そして……どこかで見たような、森に佇む古井戸。
澱 カシル : 「……呪いのビデオテープの出てくる、あのホラー作品……ご存知ですよね。」
現代日本で最も有名な"呪い"を扱った作品を示す。
澱 カシル : 「けれど……わたくしの読んだ原作小説には……テレビから出てくる女性はいませんでした。」
澱 カシル : 脈絡のなさそうな話をぶつぶつと続ける。
澱 カシル : 「ビデオテープが本当に恐ろしかった点は……感染し、増殖すること。」
澱 カシル : 「一度知ってしまえば、もう逃れられない。」
澱 カシル : 「そう。」
「わたくし達の過去の蓋を開けて………知ったのですから………お分かりでしょう? 対価は頂いていきます。」
カシルの赫い眼が、画面の中に映る眼が、ハーデス達を見つめる。
"ハーデス"灰出司 : 「……っ。しくじった……MAC-09Σ!」
 
MAC-09Σ
 
MAC-09Σ ② : ハーデスが端末を操作すると、MAC-09Σ複数体が呼びかけに応じて群れをなし、カシルの前に立ちはだかる。人形のような無表情。
澱 カシル : "呪い人形"としての過去まで覗き見たハーデスに対する、攻性防壁と化した呪詛の波が襲いかかる。
見えない波に拐われ、砂の城が崩れるようにMAC-09Σが脱力し、転がっていく。
澱 カシル : 「一度では届きませんでしたか……。」
「でも………。」
澱 カシル : アイドル姿へ立ち戻る。
呪い人形の姿を暴かれても、自分の存在が悪夢そのものだとしても。
輝ける場所は失われないと、失わせないと決めたから。
澱 カシル : 「いつかは皆の呪いおもいが届きます!」
「………だって、呪いからは逃げられないんです。」
GM : カシルの言葉と共に、MARiNE SNOW全員の視界が次第に戻ってくる。
GM : 見ると、MAC-09Σの大部分が床に伏していた。外傷こそ見られないが、それぞれが機能を停止している。
"ハーデス"灰出司 : 「……随分と暴れてくれましたね、澱カシル……呪い人形としての本質を晒す事は、貴女が一番嫌っていたことでは?」
"ハーデス"灰出司 : 足元に転がるMAC-09Σの群れを見やった後、灰出はキミを睨む。
澱 カシル : 「そうですね。今も好きじゃないです。」
「でも……大切なモノの為なら、少しだけワガママなくらいが可愛いと思いませんか?」
澱 カシル : 「それともう一つ。」
「わざわざ呪いを見に行ったのはハーデスさんの方ですから。自業自得です、色々と。」
"ハーデス"灰出司 : 「その醜い本質で、よくアイドルなどと名乗れますね。……理解不能だ」
GM : ハーデスは足元のMAC-09Σの機体を足で払う。その仕草に見えるのは、プランを崩されたことへの苛立ちだ。
澱 カシル : 停止した機体を足で払うハーデスに、僅かばかり眉根を寄せる。
iRiS : 「……それだよ、ハーデス」
iRiS : 「おまえはおまえが見たいものしか見ようとしない」
iRiS : 「でも、傷も汚れも受け入れて進むことが、生きているってコトだろ」
iRiS : 「……それがきっと、おまえと私達の差だ」
iRiS : 「私達は、現在イマを生きている」
iRiS : 「あの程度のことで、私達の心が折れるだなんて思うな」
iRiS : 「醜いところも、変えられない過去も、全て背負ったまま、おまえに勝ってやる……!!」胸の疼きを抑えて、ハーデスに啖呵を切る。
"ハーデス"灰出司 : 「……黙れ。私とお前たちの本質は同じだ」
"ハーデス"灰出司 : 「自身が信じるたった一つの星を望む、人間らしく汚らしい本能を抱えた愚物、凡人、塵芥」
"ハーデス"灰出司 : 「醜さを、過去を背負ったまま勝つ?戯言を……この場で捻り潰し、全て誤りであったと認めさせて差し上げましょう……!」ハーデスが端末を操作すると、ボロボロのMAC-09Σが数体、再度立ち上がる。
天海こよみ : 「……そっか。じゃあ、ぼくたちの本質が同じ……だって思ってくれるなら……」 血で汚れた口元を手の甲で拭い、
天海こよみ : 「きっと、いつかあなたにも分かってもらえるよね……」
天海こよみ : 「この世のアイドルは、みんなちがって……みんな最高だってことに……!!」 強い意志が宿った瞳でハーデスを見つめながら微笑み、槍を構え直す
澱 カシル : 「ええ……! 彼の見る世界を広げてあげましょう!」
「ユメちゃん! 少し出遅れましたけど、アゲていきましょう!」
虹之元 ユメ : 「はいっ! ここからはアップテンポで場を支配しますよ!」
 

 
GM : メインプロセス、行動値15の"クラッドカルト"ことクラのターンです。
クラ : マイナーなし。メインで要の陣形+導きの華。
クラ : 対象はコヨミ、アイ、カシル!次のメジャーアクションの達成値が+10になるよ
天海こよみ : ありがとうクラちゃん…!
クラ : うん!
 

 
GM : キミ達が奮い立つ中、クラがこよみの陰からひょこりと顔を出す。
クラ : 「みんな……だいじょうぶだよ、クラいるもん」
"ハーデス"灰出司 : 「……ッ!"クラッドカルト"……争いを嫌う臆病者が、何故……!」灰出が目を見開く。
クラ : 「クラ、おくびょうじゃないもん!みんなとたたかう!」
クラ : 「だって……MARiNE SNOWが、せかいでいちばんキラキラしてるから!ここが、クラのいばしょだから!」
クラ : クラは眩しいほどの笑顔を浮かべ、小さく歌を口ずさむ。
クラ : 「……どうか、おねがい」
クラ : 「かいていよりも……ふかい、せかい」
クラ : 「いま、ぼくに」
クラ : 「みせて……!」
GM : こよみに似た、清流のように澄んだウィスパーボイス。『彼女』の歌声はキミ達の心に沁みわたり……ハーデスの傷すら癒すかのような、祈りが込められていた。
GM : コヨミ、アイ、カシルの身体は熱を帯び、熱狂よりも柔らかで、さざ波よりも揺さぶられる高揚に包まれる。
天海こよみ : 「クラちゃん……」 温もりを確かめるように、胸元に手を当てて
天海こよみ : 「ありがとう、クラちゃん……! いっしょに守ろう……ぼくたちの居場所を……!!」 クラに微笑みかけながら、その手を握る
クラ : 「ん…!クラ、コヨミとずっといっしょにいたいから!」微笑み返し、手を握り返す。
澱 カシル : 「………歌、上手くなりましたね。」
ややたどたどしくクラに声をかける
クラ : 「え…!クラ、おうたじょうず……?」まさかカシルに言ってもらえるとは、と言った様子で目を輝かせる
澱 カシル : 「まだまだ改善点はありますけどね!」
「でも、まあ………聴き応えは悪くないので。」
クラ : 「わぁ……!」嬉しそうに目を細め、胸元で手をキュッと握る。
クラ : 「ありがと、カシル!クラ、おうえんしてるよ…!」
澱 カシル : 「………ありがとう、クラ。」
聞こえるか聞こえないかくらいの声量で呟く
iRiS : その生まれから対極に存在する二人。その和解を見届けて。
iRiS : 「……私達も、負けてられないな」
iRiS : 「クラが進むべき道を示してくれた! ハーデスが私達のデータを知ってると言うのなら、それを超えていけばいいだけの話!!」
iRiS : 「アイドルは、成長するもの! さあ! 彼に見せてやろう、私達の可能性を────!!」
 

 
GM : イニシアチブプロセスです。
虹之元 ユメ : 【Dロイス:触媒】を使用! 対象はこよみちゃん。対象にメインプロセスを行わせます! この効果で行動済みになりません!
天海こよみ : ありがた…!
天海こよみ : ではマイナーアクションで戦闘移動、5m前進してハーデスたちにエンゲージ
天海こよみ : メジャーアクションで《形なき剣》+《パワースイング》+《完全なる世界》+《要の陣形》+《コンセントレイト》
天海こよみ : 対象はハーデスとMAC-09Σ ①!
GM : 了解です、判定どうぞ
天海こよみ : 19dx7+14(19DX7+14) > 10[1,1,2,2,3,3,3,3,3,4,4,4,5,6,7,8,8,9,10]+10[3,4,8,9,10]+4[3,4,4]+14 > 38
天海こよみ : 《形なき剣》の効果でドッジのダイス-2個です!
MAC-09Σ ① : <献身の盾>の効果によりハーデスをカバーリング、ガードを使用します。
GM : ダメージ算出どうぞ
天海こよみ : 4D10+36(4D10+36) > 16[5,2,6,3]+36 > 52
天海こよみ : ダメージもなんか…あれだぞ! 装甲は有効です
GM : MAC-09Σ①、撃破……しました!演出等あればどうぞ!
天海こよみ : ユメちの触媒演出からお願いします!
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 104 → 119
 

 
虹之元 ユメ : 「我らがMARiNE SNOWの一番槍、ご紹介しましょう……!」 反撃開始の狼煙とばかりに、ピックを弾いた指が天を指し……
虹之元 ユメ : 「こよみちゃん! 景気の良い挨拶、一発お願いします!」 その指は、こよみに向けられる!
天海こよみ : 「……! うん!!」
天海こよみ : 身体に湧き上がってくる力を感じながら、ユメと視線を交差させる。
天海こよみ : そして、片手に持ったトライデントをしなやかに一回転。
天海こよみ : 三つに分かれた銀色の穂先が鋭い弧を描いた後、こよみはその石突を床へと突き立てる。
天海こよみ : トン、と澄んだ音を響かせながら、不可視の波紋が急速に周囲へと広がっていった、その瞬間。
天海こよみ : こよみの足下から、まるで深海の底が割れたかのように、膨大な量の海水が噴水のごとく溢れ出す。
天海こよみ : いや、それはもはや溢れたという生易しい表現では足りない。
天海こよみ : 噴き出した水は、こよみの意志に応えるように凄まじい勢いで床を埋め、壁を駆け上がり、天井に叩きつけられる。
天海こよみ : 無機質なモニタールームは、ほんの数秒でその全てが巨大な水槽へと変貌していた。
天海こよみ : ────こよみが司る力は、“海”。
天海こよみ : だが、これほどの規模の領域を展開するのは、彼女自身にとっても未知のものだった。
天海こよみ : それも当然だ。今の領域は、こよみ一人の力ではない。
天海こよみ : こよみの内に宿るもう一つの魂が同じオルクスの力に目覚めた今。
天海こよみ : 二人の少女の意志は、この閉鎖された部屋の全てを支配する、絶対的な深海を創り上げていた。
天海こよみ : 突如として訪れた無重力感と、全身を押し潰さんばかりの圧倒的な水圧に、ハーデスたちはなす術もなく飲み込まれる。
天海こよみ : 呼吸は奪われ、たとえ空気を求めて口を開いたとしても、泡だけが虚しくこぼれ落ちていくだけ。
天海こよみ : 手足を動かそうにも、水の抵抗が鉛のように重くまとわりつき、身動き一つ取るのも難しくなるだろう。
天海こよみ : だが、そんな絶望的な光景の中、ユメ・藍依・カシル・クラの四人はいつの間にか透明なバブルに優しく包み込まれていた。
天海こよみ : クラのハヌマーンシンドロームの力が強靭なバブルを作り出し、水から完全に隔離。彼女たちが呼吸するための空気をしっかりと守っている。
天海こよみ : また、冥界と繋がる端末もバブルで覆われていた。こよみが手を離すと、端末は小さな海の中をゆっくりと漂い始める。
天海こよみ : ……そして、もう一つ。この圧倒的な海中にあって、無事なものがあった。
天海こよみ : それは、壁一面に設置された無数のモニターだ。
天海こよみ : 先程、るー子を映し出していたスクリーンと、そこに繋がる様々な機器は、仲間たちと同じように全てが泡で守られていた。
天海こよみ : 天海こよみには、灰出司の苦しみを本当の意味で分かってあげることは出来ない。
天海こよみ : だが、彼にとって澪木ルリコというアイドルがどれほど大切な存在であるかは理解しているつもりだ。
天海こよみ : だからこそ、すでに正気を失い、狂った想いだったとしても、彼が縋る偶像を踏みにじりたくはなかった。
天海こよみ : その気持ちは、たとえさっき自分たちの過去を映し出して攻撃した武器であったとしても変わらない。
天海こよみ : 「司さん……ごめんね」
天海こよみ : 重く、冷たく、息苦しいこの海の中で、ただ一人、こよみだけが自由だった。
天海こよみ : 彼女は長い髪をゆらめかせ、水流そのものを衣のように纏いながら、ただ美しく舞い泳ぐ。
天海こよみ : 眼下のハーデスたちを少し辛そうに見下ろした後、こよみは覚悟を決めたように、その瞳に確かな意思を滲ませた。
天海こよみ : 「溺れて」
天海こよみ : 人魚の如き高速遊泳で、一瞬でハーデスへと迫ろうとする……!
"ハーデス"灰出司 : 「……ッ!」オーヴァードとはいえ、フィジカルが強い方ではない。呼吸が出来ず、表情を歪めながらも……彼は、残ったMAC-09Σを総動員させる。
"ハーデス"灰出司 : 『私を守れ』
MAC-09Σ ① : 信号を受け取った彼女たちは、こよみの前に群れとなり壁を作る。しかし、不慣れな水中。その陣形は隙だらけだ。
天海こよみ : 「……!!」
天海こよみ : MAC-09Σたちがその身を盾にして来たのを視認した直後、トライデントの構えを変える。
天海こよみ : 瞬間、白銀の槍が水中で何重にも弧を描いた。
天海こよみ : その穂先が狙うのは人形たちの四肢。
天海こよみ : 彼女たちは水中で動きが鈍っているが、逆にこよみにとっては自身の領域。それらを的確に狙うことはたやすかった。
天海こよみ : 以前、最初に遭遇した人形に藍依がした時の真似をして、彼女たちの手足を切り裂いていく!
MAC-09Σ ① : 「……」四肢の回路を断ち切られた少女型アンドロイドたちは、ただ無表情で水中に漂う。彼女達に感情の色は見えないが……キミ達と戦う意思を放棄したかのようにも見える光景だ。
天海こよみ : 「…………」 ハーデスにその刃は届かなかったが、安堵した表情を浮かべて、
天海こよみ : こよみは海底に着地すると、トライデントを携えたまま、空いた片手を眼前の空間へとゆっくり翳す。
天海こよみ : すると、部屋の隅々まで満たしていた膨大な質量の海水が、物理法則を無視して一斉に動き出した。
天海こよみ : 壁を濡らしていた水が、天井を漂っていた水が、床を浸していた水が。
天海こよみ : 全てがこよみの小さな掌の一点を目指し、巨大な渦を巻いて収束していく。
天海こよみ : そして、低い水音と共に、あれほど広大だった海は瞬く間に圧縮された。
天海こよみ : 数トン、いやそれ以上の重さを持つはずの水塊は、こよみの掌の上でわずかビー玉ほどの大きさの、美しく透き通る青い球体へと姿を変える。
天海こよみ : 部屋中の海を飲み込んだその小さな水球は、宝石のようにキラリと輝いた直後――パチン、と儚い音を立てて、シャボン玉のように弾けた。
天海こよみ : 中から溢れたのは霧のように細かな水しぶきだけ。それも空気に触れた瞬間、幻のように消え失せた。
天海こよみ : それと同時、仲間たちやモニターを守っていた透明なバブルもまた、役目を終えたと言わんばかりに軽やかな音を立てて弾け飛ぶ。
天海こよみ : 最後に冥界に繋がる端末のバブルが弾け、落ちてきた端末が再びこよみの手に収まった。
GM : 潮が引き、MAC-09Σ達は床へ伏す。目は見開かれたままだが、やはり動いたりすることは出来ないようだ。
GM : そして、ただ1人。……また、1人。
"ハーデス"灰出司 : 「……天海、こよみ……ッ!」
GM : 海水で湿る前髪をかき上げ、忌々しげにこよみを睨みつけるハーデス。
"ハーデス"灰出司 : 「何故……何故、このような無駄なリソースを割くような真似を……舐めているのか……ッ!」
"ハーデス"灰出司 : そう言って、背後の壁を叩く。……そこに掲示された澪木ルリコが映るモニターが、わずかに揺れた。
天海こよみ : 「…………」 無駄と言われて一瞬何のことか分からなかったが、モニターが揺れたのを見てやっと気づく
天海こよみ : 「だって……そこには、あなたの宝物がつまってるでしょ……?」
天海こよみ : 「たとえあなたが正気を失っていたとしても、狂っていたとしても……」
天海こよみ : 「あなたの大切なものを、きずつける理由にはならないと思っただけ、だよ……」 小さく微笑みかける
"ハーデス"灰出司 : 「笑うな……黙れ……ッ!」前髪をぐしゃ、と握り
"ハーデス"灰出司 : 「私は狂ってなど……貴女方が、世間が狂っている……モニターのるー子さんなど偶像……実像は……あの星は……ッ!」
"ハーデス"灰出司 : 目を見開き、支離滅裂な言葉をブツブツと呟き。
"ハーデス"灰出司 : 「そのような目で……私を、見るな……ッ!」最後は憎々しげに、キミを睨み返すのみだった。
天海こよみ : 「…………」 哀し気に、ただ黙ってその目を見つめ返すだけ
 

 
GM : 行動値14、琵琶坂さんのメインプロセスです。行動の宣言お願いします!
iRiS : 行きますよ!
iRiS : マイナーアクションで戦闘移動! ハーデスにエンゲージ!
iRiS : メジャーアクションで「コンセントレイト+光の舞踏+アンプリフィケイション+マスヴィジョン」
iRiS : ハーデスに白兵攻撃!
虹之元 ユメ : 滑り込みオート宣言!《援護の風》と《ウィンドブレス》を琵琶ちゃんに使用!
虹之元 ユメ : 判定のダイスに+7個、達成値に+9!
system : [ 虹之元 ユメ ] 侵蝕率 : 127 → 132
iRiS : ありがとう!では判定!!
iRiS : 25dx7+10-1+10+9 命中判定(25DX7+28) > 10[1,2,2,2,2,2,2,3,3,4,6,6,6,6,6,7,8,8,8,8,8,9,9,9,10]+10[1,1,2,2,5,6,8,9,9,9]+6[1,3,5,6]+28 > 54
GM : 万が一…ということもありますからね。ドッジで応じますよ。
GM : 5dx+1(5DX10+1) > 8[3,4,5,6,8]+1 > 9
GM : ないので、ダメージどうぞ!
iRiS : 6d10+1d10+2d10+10+20+30 装甲有効ダメージ(6D10+1D10+2D10+10+20+30) > 41[6,9,3,8,6,9]+3[3]+4[1,3]+10+20+30 > 108
GM : 出たな…一旦このターンは耐えましたが……次はもう、って具合に見える!
iRiS : よし、大ダメージ!後はみんなに任せよう!!
system : [ iRiS ] 侵蝕率 : 115 → 128
 

 
iRiS : 「…………」コヨミの言葉を受けて、ハーデスを見つめ直す。
iRiS : 「生前の澪木るり子について、私は詳しくない」ルシフェラーゼの光刃をしまい、語り掛ける。
iRiS : 「けど、これだけはいつの時代も変わらないはずだ」
iRiS : 「……アイドルは、与えるもの」
iRiS : 「愛を、夢を。希望を、未来を」
iRiS : 「だからこそ、おまえは澪木るり子を好きになったんじゃないのか」モニターに映る、生前の澪木るり子を指す。
"ハーデス"灰出司 : 「……彼女の輝きを目の当たりにしたことがない貴女は知り得ません」
"ハーデス"灰出司 : 「るー子さん……澪木ルリコは、私達ファンの生きる希望だった。彼女の歌も、パフォーマンスも、ファンへの想いも……そして、この腐敗した世界で不器用に、懸命に生きる姿もまた、私達の全てになった」
"ハーデス"灰出司 : 「彼女は存在するだけで良い……本物の偶像……」
iRiS : 「だとするなら────やっぱり、おまえの野望は破綻している」
iRiS : 「人々に生きる希望を与えていた澪木るり子に、今度は人々の生きる自由を奪い、支配させようだなんて……」
iRiS : 「そんなものが、理想の偶像アイドルであるものか……!!」
iRiS : ハンドマイク型光学兵装、ルシフェラーゼ。
iRiS : 唯一の得物であるそれを────
iRiS : iRiSはなんと、いきなり天高く放り投げた。
 
iRiS : クルクルと回転しながら、明後日の方向へ飛んでいくマイク。
iRiS : それを見上げると、iRiSはなぜか不敵な笑みを浮かべていた。
iRiS : 「……射角ヨシ」こくりと頷いて、手の平を頭上へと掲げる。
iRiS : 光子換装フォトンチェンジ全制限解除オーバーリミット!」
iRiS : それは”最後の切札”を解き放つ、魔法のコトバ。
iRiS : 「────MODE:Heaven Gazers!!」
iRiS : 合い言葉キーワードの詠唱によって、音声認識システムが応答。
iRiS : 空中のルシフェラーゼは、地上に向けられた状態で静止。
iRiS : レーザー放射機構が四つに分かれ、花咲くように開いた。
 
iRiS : 「集いし星の輝きよ、冥府を満たす闇を切り拓け!」
iRiS : 第一から第四まで、安全装置をすべて解除。
iRiS : ルシフェラーゼは、蓄積した光子を最大出力で解き放つ。
iRiS : ────天上から降り注ぐ極光。
iRiS : 視界を埋め尽くすのは、水色。橙色。桃色。紫色。それから藍色。
iRiS : MARiNE SNOWが、ステージ上で浴びてきたスポットライト。
iRiS : 自分を支えている仲間やファン、皆から貰った輝きのすべてが今、
iRiS : アイドルの未来を切り拓く、光の刃に変わる。
 
iRiS : 眩しく輝くそれを掴むように、iRiSは翳した手を動かす。
iRiS : エンジェルハィロゥ能力によって、レーザーの指向制御を行なう。
iRiS : 出し惜しみするつもりはない。
iRiS : ハーデスに狙いを定めて、全てのエネルギーを一点収束する。
iRiS : 「アイドルは、誰かの所有物じゃない!」
iRiS : 「おまえの野望を打ち砕き、奈落華を……」
iRiS : 「胡桃を、返してもらうぞ────!!」
iRiS : 深海に差し込む、一条の光芒。
iRiS : 悪夢に終焉を与える、死のスポットライト。
iRiS : ……iRiSの語源は「虹」。
iRiS : そのアイドル人生を束ねた一撃はやはり、虹色の煌めきであった。
 
iRiS : ハーデスは光の波濤に呑まれ、全身を灼かれていく。
iRiS : 一切の抵抗は許されない。
iRiS : もしもひとつ、許されたことがあるとすれば。
iRiS : ────ステージの上にあった、星のような輝き。
iRiS : iRiSの手によって放たれたそれを、ただ仰ぎ見ることだけだ。
iRiS : ……元はと言えば、彼はドルオタの一人に過ぎないのだから。
"ハーデス"灰出司 : 「グッ……ァ、アアアアア……ッ!!!」
GM : 叫び声すら、光の柱へと飲み込まれ。薄暗い室内に、虹の光の奔流が溢れる。
GM : まさに天使の裁きと言ったその波濤に、ハーデスはなす術もない。
iRiS : ────やがて、光は止む。
iRiS : あたりに零れた残光が、コヨミが僅かに残した水滴にキラキラと反射する。
GM : 祝福するかのような美しい光の中。唯一色を持たない、灰色の男は……
"ハーデス"灰出司 : 「ッ……グ……ハァッ、ハァッ……!」
"ハーデス"灰出司 : ……光により焼け爛れた肌からあかを滲ませ、そこに立ち尽くしていた。
iRiS : ワンテンポ遅れて、宙から落ちてきたルシフェラーゼをキャッチ。
iRiS : 過負荷による放射熱が収まっていないそれを掴むと、iRiSは静かに息を吐いた。
iRiS : 「この一撃を、耐え切るとはね。その妄執は伊達ではないということか」
iRiS : 蓄積光子バッテリーのほとんどを、さっきの一撃で使い切った。
iRiS : 勝負を決めるつもりで放った切り札を、耐えられてしまったのだ。
iRiS : ────だが、焦りは微塵も無い。
iRiS : 「ここからが本番だ……! ユメ、カシル、コヨミ! 彼の闇は、私達みんなの力で……!!」
天海こよみ : 「うん……!!」 強く頷く
虹之元 ユメ : 「私達の光で……!」虹を思わせる笑顔を浮かべて
澱 カシル : 「目覚めさせてあげますね!」
 

 
GM : 行動値13、虹之元さんのメインプロセスです。宣言どうぞ
虹之元 ユメ : はい!
虹之元 ユメ : 【コンボ名:赤の熱狂】メジャー:エンジェルヴォイス+声援+風の渡し手
虹之元 ユメ : 対象は琵琶ちゃん、カシルちゃん、こよみちゃん!
虹之元 ユメ : 次に行うメジャーアクションのダイス+6個、C値-1(下限6)します!
天海こよみ : ありがたい…!
system : [ 虹之元 ユメ ] 侵蝕率 : 132 → 141
 

 
虹之元 ユメ : 眼前には妄執に憑りつかれた一人のアイドルファン。
虹之元 ユメ : 痛々しい程の狂気に蝕まれ、世界に怨嗟を振りまき爪を立てる、孤独な男。
虹之元 ユメ : 絶望の権化を前にしてユメは呼吸を一つ。落ち着きのある凛とした視線をハーデスに向け、口を開く。
虹之元 ユメ : 「ハーデス! あなたに言わなければいけない事がありますッ!」
虹之元 ユメ : 「まずは、あなたに感謝を!」敵であろう男に、ユメは誠意すら感じさせる言葉を述べた。
"ハーデス"灰出司 : 「何……ッ、だと……ッ!」歯を食い縛り、ふらつく足を無理やり立たせてキミを睨む。
虹之元 ユメ : 「あなたのお陰で、二度と会えないと思っていた大切な人と再会することができたんです……。そのことについては、策略の一つであろうと、純粋に感謝します!」
"ハーデス"灰出司 : 「……ッ、ふざけるな……貴女の為などでは、ない……ッ」その瞳に浮かぶのは純度100%の憤怒だ。
虹之元 ユメ : 「ええ、知っています。それが計画によって生じた、あなたの利己的な計画から生まれた産物に過ぎないと……」それでも……と、この感謝の気持ちは本物だ。
虹之元 ユメ : 「そして……あなたの気持ちを真には理解してあげることはできませんが、少しは同情させてください」
虹之元 ユメ : 「大切な人を喪った虚脱感と、世界への失望……」
虹之元 ユメ : 「心から大切な何かが抜け落ちたまま過ごす日々は……あなた程の年月ではないにせよ、私も味わいましたから……」かつての自分をハーデスと重ねて、彼の憤怒の混じった視線と交差させる
"ハーデス"灰出司 : 「同情させてください……だと?」
"ハーデス"灰出司 : 「黙れ……黙れ、黙れ黙れ黙れェ!!!貴女のような小娘が同情だと!?」
"ハーデス"灰出司 : 「不快です……今すぐに、貴女の『本物の』友人の元に送って差し上げましょう……ッ!!!」
GM : ハーデスは端末に手をかける。再び部屋中のモニターの映像がサイケデリックに歪み始める…
虹之元 ユメ : 「────ですがッ!!」ギャアン! MARiNE SNOWと独壇場となった空間の音色は、ハーデスの練り上げたレネゲイドを乱す!
虹之元 ユメ : 「その想いで……るー子ちゃんや、奈落華のみんな、MARiNE SNOW……世界を傷つけることは、間違っていると!」
虹之元 ユメ : 「私たちが、ここで証明させて頂きますっ!」
"ハーデス"灰出司 : 「グッ……!」
"ハーデス"灰出司 : 心の臓を揺らすサウンドにより、先程の傷がジクリと痛み……そのまま、彼の能力は収束させられる。
"ハーデス"灰出司 : 「……世迷言を……貴女が、るー子さんを語るな……全て、全て憎い……ッ!」歯軋りをし、キミを睨む
 

 
GM : 行動値12、カシルさんのメインプロセスです。行動の宣言をどうぞ。
澱 カシル : マイナーはなし!
澱 カシル : 【らせん/ループ】
CR+餓えし影(前提:怨念の呪石+背徳の理+喰らわれし贄+オリジン:レジェンド)
澱 カシル : もちろんハーデスに
system : [ 澱 カシル ] 侵蝕率 : 140 → 143
澱 カシル : 30dx6+22(30DX6+22) > 10[1,1,1,1,1,2,2,2,3,3,4,4,5,6,6,6,6,7,7,7,8,8,8,8,8,9,9,9,9,10]+10[1,1,1,2,2,2,3,3,4,4,6,7,8,9,9,10,10]+10[2,2,6,6,7,8,8]+10[1,5,6,9,9]+10[2,6,7]+10[4,6]+10[9]+1[1]+22 > 93
GM : エネミーか?ドッジをします。
"ハーデス"灰出司 : 5dx+1(5DX10+1) > 10[1,1,4,5,10]+4[4]+1 > 15
GM : 無理に決まってます。ダメージをどうぞ
澱 カシル : 10D10+2D+30 攻撃力は控えめなのでね(10D10+2D10+30) > 45[6,2,3,1,10,4,4,6,3,6]+9[7,2]+30 > 84
GM : 控えめという言葉、こういうことだっけ…
GM : ハーデスは倒れます。が、ここで蘇生復活を使用!戦闘不能を回復し、HP1で復活します。
澱 カシル : よしよし
 

 
澱 カシル : 「演目の合間に、先ほどのトークの続きをしますね!」
一歩進み出て、少し場違いな発言。
澱 カシル : 「呪いのビデオテープが登場する小説には続きがありまして……」
「2巻は呪いの"突然変異"によってさらなる脅威に晒される人々を描いているんです。」
澱 カシル : 「そして……最終巻の舞台は"現実世界"。そう、1巻2巻の舞台は仮想現実だったのです!」
澱 カシル : 「ふふ、駄作だと思いますか?」
赫い眼がハーデスを悪戯っぽく見つめる。
"ハーデス"灰出司 : 「クッ……ぐだぐだと……何が言いたいのですか……ッ」キミを睨み返す。その態度に余裕は見えない。
澱 カシル : 「長い計画を練ってた割には、せっかちさんですか?」
「ふふ、ともあれ作中では呪いは"現実世界"に侵攻し……転移性ヒトガンウイルスとして人々を脅かすのです。………ちょうど今のハーデスさんのようにですね!」
澱 カシル : レネゲイドウイルスによる仮想シミュレーションではあるが、全身に転移した悪性腫瘍が疼痛を伴って灰出を蝕む。
澱 カシル : 「ニセモノの世界の、造られたモノたちの感情が世界の境界を跨いで揺るがす物語。」
澱 カシル : 「……アタシは"冥界"にも同じだけの力があるって信じています。」
澱 カシル : 「さあ! アナタが産み出したモノの呪いおもいを……直視する時です!」
澱 カシル : 指ハートを掲げてウインク。
同時に、灰出の冠動脈が腫瘍で締め上げられ、苦痛の中に意識が遠のく。
目蓋の裏で見せられるのは、冥界の記憶ログ
るー子とは違うルコと変わり果てた灰出を想った、ココの吐露。
"ハーデス"灰出司 : 「何を……ッ、カ、……ァ……ッ!!」灰出は心臓を抑え、苦悶の声を上げる。
"ハーデス"灰出司 : 大病に侵される以上の激痛と、脳裏で呪いの映像がカタカチカチ、と切り替わり……
"ハーデス"灰出司 : 「グァ……ァ、………」彼は、力尽きたかのように……否、一度は確実に息の根が止まり、その場に伏す。
"ハーデス"灰出司 : だが、彼の復讐は未だ果たされていない。灰出は、幽鬼の如く四肢で這い蹲りながら、床を踏み締め……その場に立ち上がる。
"ハーデス"灰出司 : 「……澱、カシル……MAC-09の思念を、トレースし、呪いとして具現化したとでも言うのか……ッ」
"ハーデス"灰出司 : 身体への深刻なダメージにより、声を震わせながらキミに問う。
澱 カシル : 「トレースした訳ではありませんよ。」
「ココちゃんに託された呪いおもいをそのままアナタにぶつけただけ。」
「ハートをギュッとしたのは、意固地なハーデスさんへのアタシからのサービスですけど!」
澱 カシル : 「ココちゃんはルコちゃんを守りたいのが第一ではありましたが、アナタを憎んでいたワケじゃない。」
澱 カシル : 「アナタと過ごした日々を善いモノと感じていた。」
「かつてのアナタの気持ちを取り戻してほしいと願っています。」
澱 カシル : 「………伝えましたよ、ココちゃん。」
「後は………あの人が受け入れるのを待つだけ。」
"ハーデス"灰出司 : 「MAC-09が……だと?ふ、フフ、フハハ……!」
"ハーデス"灰出司 : 「あり得ない。私のプログラムだ。私との日々が良かったなんて……全て偽物だ……偽物……」
"ハーデス"灰出司 : 額を抑え、虚な瞳でモニターを見やる。そこには、彼女の作った『冥界』の光景が映し出されている。
"ハーデス"灰出司 : 「偽物……私の目の前で、偽物が……作り物が死んだだけ……呪いおもいだなんて……そんな、ものは……」
GM : 極端な緊張により、彼の瞳は小刻みに震えている。……その様は、まるで追い詰められた獣のようだった。
澱 カシル : 灰出の様子をただ微笑んで見守る。
擦れきって固まってしまった心に、ココによって罅が入るなら……
その妄執を決壊させることは可能だと感じたから。
 

 
GM : イニシアチブプロセス……ハーデスは加速する刻Ⅱを使用!また、メインプロセスをやります
GM : マイナーなし、メジャーでコンセントレイト:ソラリス+絶対の恐怖+リミット:神の御言葉+ポイズンフォッグ+タブレット+錯覚の香りを使用。
GM : 対象はエンゲージしているこよみ・アイの2人です。
"ハーデス"灰出司 : 11dx7+5 ミラーパレス込み(11DX7+5) > 10[1,1,2,3,4,4,5,6,8,9,9]+10[1,7,8]+10[2,10]+10[8]+10[7]+3[3]+5 > 58
GM : なんか頑張ってないか。リアクション等ございましたらどうぞ
iRiS : 出目が強い! 暴走中につき、リアクション不可!
天海こよみ : オートアクションで《軍神の守り》を使用! ビワちゃんをカバーリングします!
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 119 → 121
iRiS : ありがとう!軍神に守られます!
GM : 了解です、ではダメージを
GM : 6d10+32(6D10+32) > 33[5,10,2,5,9,2]+32 > 65
GM : こよみさんに倍の130ダメージ分飛んでいきます。
天海こよみ : このシーンで一番ダメージ受けてる女! 戦闘不能!
天海こよみ : ユメちに助けて…もらいましょ…!
虹之元 ユメ : オートで《奇跡の雫》を使用! こよみちゃんをHP10の状態で復活させます!
天海こよみ : わあい! ありがとう、復活!
system : [ 虹之元 ユメ ] 侵蝕率 : 141 → 147
system : [ 天海こよみ ] HP : 1 → 10
GM : 了解です。そして最後の最後、灰出もオートアクションを使用します。
"ハーデス"灰出司 : Eロイス<歪んだ囁き><傲慢な理想>*2を使用。シーン中全員のロイスひとつずつ、感情を書き換えます。
"ハーデス"灰出司 : 具体的には、こよみ→ルコ、ユメ→ユメミ、藍依→胡桃、カシル→ココの感情を、遺志/後悔Nへ。
"ハーデス"灰出司 : 具体的な内容はこれから演出で描写します。解除条件は、ハーデスの撃破です。
 

 
"ハーデス"灰出司 : 「MARiNE SNOW……どこまでも、私を愚弄してくれる……ッ!」
GM : ハーデスはキミ達を睨む。身体はとうに限界を迎えているであろうに、彼の瞳は地獄の炎のように赤く、不気味に爛々と光る。
"ハーデス"灰出司 : 「まずは……貴女方から……!」
GM : ハーデスが腕を振るう。モニターには再度、キミ達の過去が映し出される。再度脳に悪感情が流し込まれる感覚……だが、その内容は元のモノからやや変質していた。
GM : それは、キミ達の記憶にない光景。破壊しつくされた冥界。全ては瓦礫と化し、奈落華のメンバーは、無惨な死を迎える。
GM : キミ達はまた彼女達を、死にゆく運命の存在達を守れなかった。取り零してしまった。
GM : それは、存在しない光景。AIにより形作られたIFのもの。
GM : しかし、景色は、音は、香りは。本当に記憶になかったものだろうか?実際は、こちらが現実で……
GM : ───キミ達はまた、喪ってしまったのだろうか。
GM : ハーデスの近く……すなわち、モニターに近い位置に居たこよみと藍依は、至近距離でその光景を見せつけられる。果てしない臨場感に、またも思わず呑まれそうになるが……
iRiS : 「そんなことは、ないッ……!!」
iRiS : 光子換装フォトンチェンジ!」
iRiS : 「────MODE:Counter illumination!!」
iRiS : ルシフェラーゼの蓄積光子バッテリーは、残りわずか。
iRiS : 先程の一撃でオーバーヒートして、火花まで散っている。
iRiS : それでも、iRiSは膝を屈したりしない。
iRiS : 親友との約束が、仲間との絆が、その身体を突き動かすから。
iRiS : ────ルシフェラーゼから、最後に残った光を放つ。
iRiS : その眩い閃光は、MARiNE SNOWのステージ上にはない鮮やかな赤だった。
iRiS : 奈落華のLIVE生き様、その輝き。
iRiS : そこが冥界と呼ばれる場所であれ、彼女たちが確かに生きた証。
iRiS : その煌めきが、ハーデスの幻惑能力に亀裂を生む。
天海こよみ : 「藍依ちゃん……!」
天海こよみ : 赤色の光が視界を覆う。一瞬、モニターが映し出した光景が見えなくなる……。
天海こよみ : 「だ、ダメ……! 見ちゃダメ、藍依ちゃん……!!」
天海こよみ : だが、ハーデスの力は藍依の煌めきをも上回っていた。
天海こよみ : それに気付いたこよみは咄嗟に前に出て槍を放り出し、その手で藍依の目元を覆い隠す。
天海こよみ : この程度でハーデスの幻惑攻撃から逃れられるとは到底思えなかったが、それでも少しくらいは……!!
GM : ルシフェラーゼより放たれた閃光がノイズとなるが……しかし、アイを庇うことに必死になったこよみの眼前には、ありありとその光景が広がる。
 
幻惑
 
GM : 流れ出したばかりの血のような、生っぽく、どこか甘ったるい気味の悪い香りが鼻孔を突き。目の前には、偽物のレッテルを貼られたまま物言わぬ遺体となったルコの姿。
GM : 約束を果たせなかった。信じてくれたはずの彼女は、最期何を思ったのだろうか。
GM : 存在しないはずの記憶が、キミのことを苛む。心臓が跳ね、脳が揺らされ、呼吸が詰まるような感覚。
天海こよみ : 「あ……ぁ……」
天海こよみ : 「うああああああああ…………ッ!!!」
天海こよみ : 絶叫しながら、両手で顔を覆う。足に力が入らなくなり、その場にへたり込んでしまう。
iRiS : 「っ、コヨミ……!?」自分からコヨミの両手が離れた途端、すぐさま振り返って
iRiS : 「あれでは相殺しきれなかったか……! コヨミ、聞こえる……!? コヨミ……!!」その名を呼びながら、肩を揺する。尋常な様子ではない。
天海こよみ : 「うぁ、あ……あぁぁ……っ! ルコちゃ……ルコちゃん……ごめん、なさ……」 藍依の声が聞こえていないのか、絶望に顔を歪めて涙を流し続けている
澱 カシル : 「こよみちゃん……!?」
「まだルコちゃんを救うのを諦めるこよみちゃんじゃないよね!?」
失敗に喚くこよみの姿に動揺する
澱 カシル : 「ハーデスさん、あの様な悪夢を見せて心を折ろうと……!」
「ユメちゃん! ユメちゃんならこよみちゃんを助けられますか!?」
自身の呪いでは悪夢を酷くするだけと判断して、ユメへ託す
虹之元 ユメ : 「────ッ」「は、はい……っ」
澱 カシル : 「お願いします! 今、ユメちゃんにしか出来ないことだから……!」
虹之元 ユメ : 最悪な『もしも』を脳に烙印するが如く、映し出された仮想現実をなんとか振り切って意識を戦場ステージに戻す。
虹之元 ユメ : 「もし、今の光景が真実だったとしても……っ」震える人差し指で、溢れ出る涙を拭う
虹之元 ユメ : 「彼女達から受け継いだ想いが、私達を前に進ませてくれる!」
虹之元 ユメ : ユメは涙を拭った人差し指を前へ払うと、数滴の涙が宙を舞った。
虹之元 ユメ : それは死者を偲ぶ為のものでも、後悔に打ちのめされて絞り出した涙ではない。
虹之元 ユメ : 人は死んだらどこへ行くのか。意識は無に帰し、ただの暗闇へと還っていくのか?
虹之元 ユメ : 私はそうは思わない。
虹之元 ユメ : その魂は次へと受け継がれていく。彼女達の想いを受け継ぎ、心の中で生き続けるんだ!
虹之元 ユメ : 「こよみちゃん! 思い出してください!」
虹之元 ユメ : 「あなたの周りにいた人を! あかりさんや、ルコちゃん……海霧さんと海里さんだって!」
虹之元 ユメ : 「私達の想いは、死んでいませんッ!」
虹之元 ユメ : ユメの拭った涙が、キラリとモニターに反射する。
虹之元 ユメ : 次の瞬間、こよみと藍依の目の前に煌びやかな虹が広がった。
 
虹
 
虹之元 ユメ : それは僅かな間だが、多くの不安を取り除き、本来持ちえた希望を自覚させえる象徴としてこよみの心に呼びかけるが……
虹之元 ユメ : 結局の所どうなるかは……彼女次第だ。
GM : 虹の橋により繋がれた想いは、どんなに離れたところに居たとしても……
GM : ……その相手が、たとえ『冥界』に居たとしても。
ルコ : 『……しっかりなさい、天海こよみ!!』
ルコ : こよみの耳に届くのは、ルコの鋭い声。端末越しだが、よく通る声だ。
ルコ : 『ルコは……私は、ここにいる!貴方達のおかげで……こよみが信じさせてくれたおかげで、まだ『生きて』いる!!』
ルコ : 『……私は、地獄の果てまで、貴女を信じてる。どんな結末だったとしても……私、後悔なんてしないもの』
ルコ : 相変わらず少し我儘で……それでいて、決して嘘のない言葉だ。
GM : 絶望の、色のない幻覚に亀裂が走る。溢れ出す虹色のプリズム。仲間達の手が、こよみに向かって差し出される。
天海こよみ : 「…………っ!!」
天海こよみ : 「ルコ、ちゃん……」
天海こよみ : 顔を覆っていた手を下ろし、虹色の光に見惚れる。
天海こよみ : 「ルコちゃん……生きて、いる……よね……? そう……なんだよ、ね……?」
天海こよみ : 彼女の存在を確かめるように、端末に話しかける。
ルコ : 『縁起でもないこと言わないで頂戴』
ルコ : 『私は、もっともっと生きるのよ。こよみ、貴方と一緒にね』小さく微笑むような、柔らかな声
天海こよみ : 「……よかった」
天海こよみ : 溢れ出していた涙は止まり、自然と笑みが零れる。
天海こよみ : 「ごめん、ルコちゃん……みんな……。ぼく、どうかしてた、みたい……っ」
天海こよみ : 今もまだ、心の奥底が蝕まれている感覚がある。脳裏にはずっと、ハーデスが見せつけて来た存在しない最悪の幻が焼き付いて離れない。
天海こよみ : だが、それでも……現実はそんなことはないと仲間が否定してくれている。それなら、こよみが立ち上がるにはもう十分だった。
天海こよみ : 「ありがとう、もう……だいじょうぶ……!!」 槍を再び手にし、皆に笑いかける
iRiS : 「よかった……!やっぱり、コヨミは笑顔が似合うからね……!!」
虹之元 ユメ : 「その意気です!」軽く頷いて微笑む
澱 カシル : 「こよみちゃんはマリスノの柱でなくっちゃ!」
うんうんと頷く
iRiS : 「よし、それなら行ってこいコヨミ……! この悪夢には、キミが決着をつけてくるんだ……!!」
天海こよみ : 「ん……!」 強く頷く
 

 
GM : 行動値5、天海こよみさんのメインプロセスです。宣言どうぞ。
天海こよみ : やったるこよよ
天海こよみ : マイナーアクションはなし
天海こよみ : メジャーアクションで《形なき剣》+《パワースイング》+《完全なる世界》+《コンセントレイト》
天海こよみ : 対象はハーデス!
GM : 判定どうぞ!
天海こよみ : 25dx6+4(25DX6+4) > 10[1,2,2,2,2,2,3,3,3,3,3,4,4,5,7,8,9,9,9,9,9,10,10,10,10]+10[1,1,1,4,4,5,6,7,7,9,10]+10[3,5,5,6,6]+10[1,6]+1[1]+4 > 45
天海こよみ : 弱くないか????
GM : なんで……だがしかし!
天海こよみ : 妖精の手! 妖精の手使います!!
GM : どうぞ!
天海こよみ : 1dx6+54(1DX6+54) > 10[9]+10[10]+10[7]+10[7]+5[5]+54 > 99
天海こよみ : 強くないか????
GM : どういうことなの
天海こよみ : もうダイスのこと分かんないよ、ともかく達成値は99!
天海こよみ : あと《形なき剣》の効果でドッジのダイス-2個です!
GM : こ、こっちだって…(?)ドッジします
GM : 3dx+1 形なき剣込み(3DX10+1) > 6[4,5,6]+1 > 7
GM : 命中します。ダメージどうぞ…!
天海こよみ : くらえ!
天海こよみ : 10D10+36(10D10+36) > 53[10,2,8,2,5,3,7,7,5,4]+36 > 89
GM : 撃破も撃破!完膚なきまでに撃破です。
GM : ハーデスは戦闘不能。同時に、<歪んだ囁き>の効果も解除され、ロイスの感情も元に戻ります。
system : [ 天海こよみ ] 侵蝕率 : 121 → 137
 

 
天海こよみ : こよみは乱れた呼吸を整えて、その精神を研ぎ澄ませる。
天海こよみ : 彼女を中心として、再びオルクスの領域が展開された。
天海こよみ : その足下から、こんこんと海水が湧き出し、広がっていく。
天海こよみ : またこのモニタールームを深海へと沈めようとするかのように。
天海こよみ : ……だが。
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : いつまで待っても、轟音は響かず、海水がこの部屋を満たすことはなかった。
天海こよみ : 先程、部屋全体を沈めた時とは水の量が決定的に違っていた。
天海こよみ : さらさらと流れる水は、床一面を薄く覆うだけに留まり、せいぜいがくるぶしを濡らす程度の浅い水位で止まってしまう。
天海こよみ : 波打つことすらないその水面は、周囲のモニターの光を反射する水鏡を作り出しただけだった。
天海こよみ : 先程のハーデスの精神攻撃で弱りきってしまったのか。それともまた別の思惑があるのか。
天海こよみ : 真意は定かではないが、こよみは足元の水の少なさを気にする素振りすら見せなかった。
天海こよみ : そして、彼女はすぐにハーデスに攻撃を開始するのではなく……片手に握りしめていた通信端末を口元へと寄せ、静かに呼びかける。
天海こよみ : 「ルコちゃん……まだ、聞こえてる?」
ルコ : 『ええ、いつでも』
天海こよみ : 「よかった……あのね、ルコちゃん」
天海こよみ : 「ぼく、ずっと考えていたことがあるの……」
天海こよみ : 一呼吸置き、こよみは次にこう告げる。
天海こよみ : 「ルコちゃん、ごめん」
天海こよみ : 「やっぱりぼくには、司さんを救うことは……できない」
ルコ : 『……ええ。やむを得ないわ』通話口の向こうで小さく微笑むが……しかし、その言葉には若干の憂いを感じる。
天海こよみ : 「あ……」
天海こよみ : 「う、ううん、ちがうの、そういうへんな意味じゃなくて……!」 憂いを感じる声に気づき、慌てて訂正する
天海こよみ : 「あ、あのね、ルコちゃん……」
天海こよみ : 「ぼくね、あの人を救うことができるのは……」
天海こよみ : 「ルコちゃん。あなただけだと思うの……」
ルコ : 『……わ、私が……?』想定外だったのか、困惑したような声で
天海こよみ : 「うん……」
天海こよみ : こよみは頷いて、言葉を続けていく。
天海こよみ : 「さっき、司さんは、失敗作の言葉が、AIごときの言葉が届くと思うな……って言ってたけど……」
天海こよみ : 「ぼくには、やっぱりそうは思えない。だって、ルコちゃんは失敗作でも、ただのAIごときでもない……」
天海こよみ : 「ルコちゃんは、死んでしまった澪木ルリコの、その先で生きている女の子だから……」
天海こよみ : 「勝手にぜつぼうして、ファンをないがしろにして死んだことをこうかいして、司さんを救いたいとねがうその想いは……」
天海こよみ : 「本物の澪木ルリコがもつはずがなかったこと、でしょ? 本物の澪木ルリコにはなかった、強い想いがあるはず、でしょ?」
天海こよみ : 「だったら、その想いは司さんに届くよ。だから、一回きょぜつされただけで、あきらめないで……」
天海こよみ : 「もしかしたら、今すぐじゃないかもしれない……。気が遠くなるくらい、時間がかかるのかもしれない……」
天海こよみ : 「それでも、ルコちゃんの想いはいつかきっと、かならず届くよ……! ルコちゃんなら……ルコちゃんだったら、あの人の心を救うことができるよ……!」
天海こよみ : 「ぼくはそう信じてる……! その未来にたどり着くための道は、ぼくが切り開いてみせるから……!」
天海こよみ : 「だからルコちゃん、おねがい。ルコちゃんが……司さんを救ってあげて……!!」 
天海こよみ : そう端末に微笑みかけながら、優しく、強く、精一杯に言葉を伝えた。
ルコ : 『……ッ』キミの言葉に、ルコは小さく息を飲む。
ルコ : 『本当に……本当に、そのような未来が、許されるの?』
ルコ : 『私の声が……彼に、届けられるの……?』震える声で、再度キミに尋ねる。
天海こよみ : 「うん……!」
天海こよみ : 「ルコちゃんは……イヤ、かな……。その……いつかきっと届くとは言ったけど、またきょぜつ……されるかもしれないし……」
天海こよみ : 「でも、ぼくもいっしょにいるから……。だってさっき、ルコちゃんにいっしょに生きるって言ってもらえたから……」
天海こよみ : 「苦しくても……ずっとそばにいるよ。だから、ルコちゃん……!」
ルコ : 『いえ……嫌なはず、ないわ』
ルコ : 『……お願い、こよみ。彼の……私のために、道を拓いて』
ルコ : 『こよみと、私と……そして彼も、笑顔で過ごせる未来を、私に見せて……!』
天海こよみ : 「うん……もちろん!」
天海こよみ : 「ありがとう、ルコちゃん……行ってくる……!」 槍と通信端末、両方を強く握る
ルコ : 『……お願い、こよみ。どうか……ご無事で』祈るような声で、キミの背を押す。
天海こよみ : 「ん……!」 頷いてから、
天海こよみ : 「……“ハーデス”」 コードネームを呼びながら、そちらに向き直り
天海こよみ : 「今から、おまえをたおす……!!」
天海こよみ : 一人のファンの灰出司ではなく、FHエージェントとしてのハーデスを倒す決意を込めて宣言する。
天海こよみ : その意思に応えるかのように、足下の水面が美しく光り輝き……世界を一碧に染めていた。
"ハーデス"灰出司 : 「なっ……何故、私の能力下にありながら……今もなお、心は闇に蝕まれているというのに!」
"ハーデス"灰出司 : 「何故、そのような目が出来る!?」ハーデスが狼狽する声が響く。
天海こよみ : 「そんなの……きまってる……」
天海こよみ : 「ぼくは、一人じゃないからだよ……!!」
天海こよみ : 水音を立てて床を蹴り、巻き起こる潮風をその身に纏って駆け抜ける。
天海こよみ : こよみは片手で強く握りしめたトライデントを大きく振りかぶり、その鋭利な三叉の穂先を、眼前に迫るハーデスの心臓へと正確に狙い定め────
天海こよみ : 「……!!」
天海こよみ : 突き出しかけていたトライデントを強引に捩じる。
天海こよみ : 自身の手首が悲鳴を上げるほどの負荷を与えながら、唸りを上げて高速で一回転。
天海こよみ : 銀の穂先は床を浸す海水を巻き上げながら後ろへと引かれ、代わって前に出たのは鈍色の石突だった。
天海こよみ : それはかつて、暴走したルコを正気に戻した一撃と全く同じ“想い”を乗せた構え……!
天海こよみ : 「っやあああああああああああ!!!」
天海こよみ : その歪んだ心を、妄執を、真正面から叩き伏せるかのように。
天海こよみ : こよみは渾身の力を込め、重い石突をハーデスの胸板へと叩きつける!!
"ハーデス"灰出司 : 「グッ……アアアアアアア!!!!」
GM : こよみの全てを乗せた一撃により、ハーデスは壁に勢いよく叩きつけられる。
 
モニタールーム
 
GM : モニターがガシャン、と音を立てて崩れる中……ハーデスもまた、沈黙する。
GM : 今度こそ、彼が立ち上がってくることはなかった。……『冥界』の主たる彼は……静かに、その座を降りたのだ。
天海こよみ : 「…………」
天海こよみ : 「……お……おわったぁ……」 
天海こよみ : さっきまでの勇ましさはどこへ行ったのか、風船から空気が抜けるように息を大きく吐きながら、へなへなとその場にへたり込んだ。

GM : 戦闘終了です。
 
 
◆バックトラック
 
GM : これからバックトラックに移ります。まず初めに、今回灰出が持っていたEロイスについて。
GM : シナリオ内で使用されたのは、<悪意の伝染><歪んだ囁き><傲慢な理想>*2、それとこっそり<ありえざる存在>でメンタルインベイションを取得していました。ルコ・ユメミ・胡桃に使っていました。(ソラリスにも似たようなエフェクトはあるけど、今回彼に適しているのはこのエフェクトと判断したため)
GM : 計5個なので、まずは5d10分の侵蝕値を減らしてください。
天海こよみ : せっかくだから五個全部使っちゃおう
天海こよみ : 137-5D10(137-5D10) > 137-25[4,5,10,2,4] > 112
虹之元 ユメ : 147-5d10 同じく!(147-5D10) > 147-28[8,3,6,1,10] > 119
iRiS : かなりの余裕あるので、4つで振ってみよう
iRiS : 128-4d10(128-4D10) > 128-29[1,9,10,9] > 99
澱 カシル : 全部使うよ〜余裕とは思うけどね!
澱 カシル : 143-5d10(143-5D10) > 143-38[5,10,10,7,6] > 105
GM : 次にメモリー分、処理ある方はどうぞ
天海こよみ : メモリーはあるけどなしで!普通に振ります!
澱 カシル : 使わない!
もう帰還確定してるからの!
GM : 了解です、では後はロイス分の処理をお願いします。
天海こよみ : 6個全部あるロイスをそのまま振ります!
天海こよみ : 112-6D10(112-6D10) > 112-31[4,2,9,6,5,5] > 81
虹之元 ユメ : 1倍で!ダメだったら追加で振ります
虹之元 ユメ : 119-6d10(119-6D10) > 119-28[6,6,2,3,3,8] > 91
iRiS : 99-5d10 1倍振り~(99-5D10) > 99-30[2,4,4,10,10] > 69
澱 カシル : 等倍!
澱 カシル : 105-6d10(105-6D10) > 105-40[8,10,9,8,4,1] > 65
GM : 皆さんだいぶ余裕の帰還ですね、よかった
天海こよみ : 安心の帰還!
GM : ではでは、エンディングに移行していきましょう。

Scene 09 それは、空と海が紡ぐ物語

GM : 1つ目の共通エンディングです。流れとしては、この後に個別エンディング、最後にまた共通エンディングをやって終わりという流れを想定しています。
天海こよみ : 了解了解!
虹之元 ユメ : おっけー!
 

 
モニタールーム
 
GM : ……戦いは、ようやく終わりを迎えた。灰出はこよみの攻撃を受けた後、沈黙を続けている。
GM : 静寂を裂くように、『冥界』に繋がる端末から恐る恐る、といった様子でルコが話しかけてくる。
ルコ : 『……終わったの?こよみ…』
天海こよみ : 「うん……。おわった、と思う……」
天海こよみ : 「司さんは、きぜつしちゃったみたい……。こっちはもう、だいじょうぶだよ」
ルコ : 『気絶……そう、なの?』
GM : ルコの声に反応するように。沈黙を続けていた灰出が、身体を震わせるようにしながら、首を上げる。……様子からして、もはや戦闘を続行できるだけの体力はないようだが……
"ハーデス"灰出司 : 「どうして……るー子さん……私は、貴女が居ない……色のない世界は、もう耐えられない……」
"ハーデス"灰出司 : 「何故……このようなことに……私、は……」
GM : ハーデスの嘆きに、ルコが仕方なさそうに……小さく笑う気配。
ルコ : 『しっかりなさい。私はるー子じゃない……"ヴェスパー・ゼロ"ルコなのだと、貴方が言ったのよ?』
ルコ : 『でも……私、生まれてきて良かった。奈落華で歌えて。この子達と……MARiNE SNOWという名の新たな星座と巡り合えて……』
ルコ : 『……ありがとう、司さん。私、幸せよ』
"ハーデス"灰出司 : 「………」
GM : ハーデスはその言葉に、またも沈黙する。……以降、その口を開くことはもうなかった。
天海こよみ : 「ルコちゃん……」 ルコの言葉に安心したように、小さく微笑んで
天海こよみ : 「……あっ、あの……ところで、ルコちゃん……冥界の方って今どうなってる……?」 ハーデスを倒して冥界の崩壊は止まったのか、思い出したように尋ねる
ルコ : 『あ……』ルコは少し気の抜けた声を上げる。
春兎ユメミ : 『へへ……ルコ、ずっと心配そうにしてたから気付いてなかったっしょ?さっきこよみがやってくれてから……もう、とっくに崩壊は止まってるよ』
久能胡桃 : 『うん。わたしも……ユメミちゃんも、少しずつ暴走が治って来てるみたい。きっと……ユメミちゃんの痕も、治ると思う』
GM : UGNとの通信は、電波が届かないままのようだが……ミツキが上手いことやってくれたのだろうか?
天海こよみ : 「ほんとに……! よ、よかったぁ……!」 
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……そうか、良かった……」変身を解き、ほっと胸を撫で下ろす。
虹之元 ユメ : 「そ、そっか……良かった、ほんとうに……」深く息を吐いて、安堵の表情を浮かべる
GM : キミ達がホッと胸を撫で下ろしていると。
MAC-09Σ? : 「……」
MAC-09Σ? : 先程まで倒れ、沈黙していたMAC-09Σの一体が無言で身体を動かす。……まさかの残党だろうか?
天海こよみ : 「え……!? あ、あれ、あの子なんで……!?」 槍を杖代わりにして、慌てて立ち上がる
澱 カシル : 「こよみちゃん、焦らなくて大丈夫。様子を見ましょう!」
様子を見る。
司令塔であるハーデスが降参した以上、本人の意思で動いているかもしれない。
MAC-09Σ? : 「……」その一体は、カシャ、と機械的な音を立てて立ち上がり。そのまま真っ直ぐ、キミ達の元へと向かってくる。このままでは、彼女の攻撃の射程圏内に踏み込まれてしまう。
虹之元 ユメ : 「な、なんでしょうか……」 訝しげに思いつつ、もしもに備える
天海こよみ : 「…………っ」 焦らなくても良いとは言われたが、ついさっきまで戦っていた相手だ。どうしても緊張してしまう。
MAC-09Σ? : 彼我の距離は3m、2m、そして……
MAC-09Σ? : 「……オー!皆サマ、ご無事のようデ!」
MAC-09Σ? : 彼女は、キミ達の姿を見た後に満面の笑みを浮かべる。
天海こよみ : 「…………え?」
琵琶坂 藍依 : 「その表情……ま、まさか……」
虹之元 ユメ : 「コ……ココ、ちゃん……!!?」
澱 カシル : 「………まあ。ふふ。」
「再会の時までギリギリまで黙ってるなんて、本当にイタズラが過ぎますよ?」
MAC-09Σ? : 「フフ、ワタシはワタシで大変だったのデス…」カシルに返した後。
ココ : 「ハイ、ワタシです、ワタシ!"MAC-09"ココ!ルコ様大好キ!」キャピ、と両手の人差し指を己の顔に向けて笑う
天海こよみ : 「……ほ、ほんとにココちゃん……だ……」
ココ : 「ホントにホントデスよォ。イヤぁ、色々と大変ナ役割を担っていただキ感謝感謝デス」手を合わせる
天海こよみ : 「あ、いや、どういたしまし……て……?」 まだ嬉しさよりも困惑の方が強かった
琵琶坂 藍依 : 「ココがどうしてここに……!? 冥界で死んでしまったハズじゃ……!?」コヨミの疑問を代弁する。
ココ : 「ア、確かにそのココは死にましタネ。今ココにいるワタシは……UGNのカタ?に、サーバーを生かしテいただいたおかげで、記憶データの復旧に成功したワタシデス」
ココ : 「とはいエ、記憶は最期の最期まで残っていたのデ、ほぼ復活デスネ」
澱 カシル : 「遺された記録からビデオテープの怨霊さんも新たに受肉、再誕してましたし……そういうこともあるのでしょうね。」
澱 カシル : 「どうあれ、またお会い出来て嬉しいです!」
ココ : 「アハ、こちらこソ!生のカシルサンも可愛らしいデスねェ」しげしげとカシルの姿を見て
琵琶坂 藍依 : 「そういえば、生身で会うのはこれが初めましてか……」冥界にリアリティーがあったので、あまりそうは思えないが。
澱 カシル : 「ありがとう! ココちゃんはシグマ?ちゃん?たちと同じ躯になってますね! 透明感と涼やかさがあって良いと思います!」
ココ : 「ア〜……エト、そう、デスネ」今の自分の機体を見ながら
ココ : 「MAC-09の実戦用機体Σ型の内、一番破損状態がマシな機体がコレだったのデ、ハッキングして蘇ってやったのデス。たダ、この機体……」
ココ : 「あまり見ないで欲しいデス。腹部がスケルトンパーツなのデ、チョッとセクシーで恥ずかしいのデス……」深刻な表情で胴体を隠す。特殊な性癖を持たない限り、ただただシュールな絵面だ。
虹之元 ユメ : 「あ、あはは……えっと、何か羽織りますか……?」一応もってきた上着などがある
天海こよみ : 「は、はずかしいんだ……それ……」
ココ : 「エ、欲しいデス!」ユメちにハイハイ、と手を挙げて
澱 カシル : 「えっ、良くないですか? 不気味さもあって……」
ココ : 「機械的にNGデスッ!」
澱 カシル : 「次の衣装にしても良いくらいだと思うのにな〜……」
虹之元 ユメ : 「はい、上を隠せる程度ですけど~……」そういう羞恥もあるんだ、と思いながら肩からかけてあげる
琵琶坂 藍依 : 「う~ん……ある日、いきなり内臓とかスケスケになったら普通にイヤか……」共感する
天海こよみ : 「……いや、あの、そ……そんなことどうでもいいよ!!」
天海こよみ : 「それよりルコちゃん、聞いてた!? ココちゃんが、生きてたよ……!!」 興奮した様子で端末に話しかける
ルコ : 『…………』
久能胡桃 : 『……ごめんね、こよみちゃん。ルコちゃん、何だかずっと…』
春兎ユメミ : 『絶句、ってヤツだなぁ…』わかるぜ〜と呆れた声で
天海こよみ : 「あ……そ、そっか……。そりゃ……びっくりだもんね……」 無理もないと
ココ : 「オヤオヤ、奈落華の皆サマとも通信が繋がっているのデスネ!大丈夫そうデスかネ……ヨイショ」
 
冥界のライブステージ
 
ココ : 気の抜けた声で、1つのモニターを弄ると……そこに映るのは冥界の光景。さながら、ビデオ通話のような有様だ。
天海こよみ : 「え……!? ルコちゃんたちが……うつって……!?」 モニターに釘付けになる
虹之元 ユメ : 「わ、みなさん……!」 両手を小さく振って
春兎ユメミ : 『え?あっ……な、何このモニター!?急に出て来たけど……お、るみるみ!』驚いたような声を上げた後、るみに向かって手をふり返す。
ココ : 「ヨシヨシ、復活後に司サンの破壊プログラムを放逐してやった甲斐があったようデ……あ、ユメミさんちょっと痛そうデスネ。応急処置デスガ……ビジュアルだけでモ」エイエイ、と彼女が何かをすると、ユメミの痕はみるみるうちに引いていく。
春兎ユメミ : 『え?な、治った……こんな簡単に……』唖然
虹之元 ユメ : 「わぁ、見慣れた可愛いお顔に……ココちゃん、ありがとうございます!」
ココ : 「イエイエ〜」ピースしながら
GM : ……と。少し和やかになった空気の中……
ルコ : 『……何を……何を呑気に……」
ルコ : 『……ココ!そこに直りなさい!!!』
ルコ : ルコのぴしゃり、とした声が響く。
ココ : 「ヒィ!?る、ルコ様ァ!?」
ルコ : 『よくもそのような態度を取れるわね、このお馬鹿さん!どれだけ皆を心配させたか、理解していて……!?』
ルコ : 『MARiNE SNOWの皆さんに謝りなさい!』
ココ : 「ひ、ヒン……確かに、謝罪が出来ていまセンでしたァ……AIの悪い癖デス……」
ココ : みるみるうちにしょぼくれた後、彼女はキミ達に向き直る。
ココ : 「え、えっとォ……この度は、多大ナるご心配とご迷惑ヲおかけしましタ……勝手を押し付ケてしまい申し訳ございまセン……」
ココ : 彼女はそう言って、キミ達に頭を下げる。
天海こよみ : 「え、えぇ……!? い、いや、そんなあやまるようなことは……」 おろおろしてる
虹之元 ユメ : 「ま、まあまあ……! 私たちは大丈夫ですから、ね……!」 みんなに振り返って
天海こよみ : 「う、うん、ココちゃんが生きてくれてたんだから……!」
澱 カシル : 「いえ、謝ってもらうべきことですよ。」
「だから……赦します! 後腐れなし、禍根なしです!」
琵琶坂 藍依 : 「……確かに、そうだね。ココに冥界へと連れ去られてる間、私達が死にかけていたのは紛れもない事実」その所為でプロデューサー達にも心配をかけた。
琵琶坂 藍依 : 「今後も末永く付き合っていくんだから、私達の気持ちはどうあれ、けじめとして必要なことかな」
ココ : 「ウゥ……皆サマの寛大なご対応に感謝デス……」
ココ : 「……今後モ……そウ、デスネ。口では何とでも言えマスかラ……これかラ少しでモ、皆サマに恩返しをして行けたラと思うデス」
ココ : 「その辺の生成AIよリは使えると思いマス。タブン……」普段の自信過剰な態度からは考えられない自信のなさ。反省していることは確かな様子だ
天海こよみ : 「す、すごくしょんぼりしちゃってる……」
虹之元 ユメ : 「恩返し、ですかぁ……」ははぁ……と実感の無さそうな顔
澱 カシル : 「生きていて、また会えるのならそれ以上のことは無いですよ!」
「それよりも……奈落華の皆にも心配させたこと謝っておいた方が良いかと! 」
ルコ : 『……いえ、私達よりも貴方達の方が……』少し困ったような顔
ココ : 「……カシルサンの言う通リデス。奈落華の皆サマ……アナタガタにも、謝らなくテはならないコトは沢山あリマスかラ」
ココ : 「……ワタシは、このようナ結末を迎えられると信じテいましタ。それでモ、道中皆サマ。騙したリ、苦しめたリ……人の心への理解が足りていなかっタコトを痛感しテマス」
ココ : 「これかラ、皆サマが素敵な日々を過ごすための隣人として置いていただけルよウ、学習を重ねマス」
ココ : 「……ごめんなさい。そして、もし良かったら……これからも、ワタシをアナタガタのパートナーとして傍に置いてほしいです」そう言って頭を下げる。キミ達に、そして奈落華にも。
天海こよみ : 「そんなの……もちろん、だよ。ぼくたち、もうお友達……なんだから……」 ココに微笑んで
ルコ : 『……そう、ね。友人であり、仲間であり……メンバー、なのだから』
ルコ : 『MARiNE SNOWの皆様が良いと言うのなら、この場は収めます。ただ、宣言通りお勉強はしてもらうわよ』
ルコ : 『……よろしくて?』小さく微笑んで
ココ : 「……ッ!ハイッ!」ココは目を輝かせて返事をする
天海こよみ : 「……ふふっ」 モニターのルコを見て、両手で口元を隠しながらおかしそうにくすくす笑う
琵琶坂 藍依 : 「いつもの調子に戻ったみたいで、よかったかな」
天海こよみ : 「そうだね……」
天海こよみ : 「それに、なんだかルコちゃん……お母さんみたいになって、かわいい……」
ルコ : 『……こよみ?私はお母さんじゃないし……可愛いの、それ……?』困ったように
天海こよみ : 「うん……!!」 口元に両手を添えながらこくこく頷く
ルコ : 『……貴方って、難しいわ……』少し目を逸らす
天海こよみ : 「そ、そう……かな……?」 不思議そうに首を傾げていた
琵琶坂 藍依 : 「(コヨミにとって、お母さんって"あの天海あかり"だから、純粋に誉め言葉なんだろうな……)」と思いながらも口は出さず、二人の会話を微笑ましく眺めている。
GM : 微笑ましげな会話の中……ココが、小さく「ア」と声を上げる。
ココ : 「……ア、アラ……この身体、浸水してマスネ?……ちょっト発熱ガ……」
天海こよみ : 「え……!? あっ、ごめん……ぼくのせいかも、それ……!」 
天海こよみ : 「だ、だいじょうぶ……!?」
ココ : 「こよみサンが!?ど、どうしテそんナ酷いコト……ああイヤ、戦ってましタし当然デスネ」
ココ : 「本来防水性はある程度ある機体なのデスガ……ちょっト危ないのデ、一旦この身体の排水を終えるまデは動かさナいで置いておきマス」
ココ : 「一旦、皆サマとはココでお別れデスネ。名残惜しいデスガ……」
天海こよみ : 「ご、ごめんね……」
澱 カシル : 「また会えるのですから、気にしなくてよいかと!」
天海こよみ : 「……そうだね。また……後でね、ココちゃん……」 ココに微笑む
虹之元 ユメ : 「また後で会いましょう! こっちでそのボディの水気を切っておきますから……!」
琵琶坂 藍依 : 「湯切りみたいな感じに言うな」ユメに笑って
琵琶坂 藍依 : 「────さておき、最後にさっき言いそびれたことを一つ」つかつかとココに歩み寄り、
琵琶坂 藍依 : 「生きていてくれて、ありがとうココ」ぎゅっとハグする。
ココ : 「へぁ……エ、エェ、アイサン……?」やや困惑したように抱きしめられる
ココ : 「エー、こほん……それは、コチラのセリフデスよォ。……ありがとうございマス、ワタシの我儘を叶えてくださっテ……」手をぷらんとさせた状態で。……やはり、少し困った様子だ。
澱 カシル : 「ふ〜〜ん………」
澱 カシル : 「胡桃ちゃん的には、どうですかコレ?」
藍依の行為を告発する
琵琶坂 藍依 : 「えっ」ココから離れて
久能胡桃 : 「うーん……アウト!本心だったとしても行動が思わせぶりすぎます!」ピピー、と警笛を吹く仕草
琵琶坂 藍依 : 「えっ、ええ……!? いやいや、胡桃たち奈落華の存亡に関わる話でもあるんだし、ごくごく自然な流れじゃなかったかな……!?」
澱 カシル : 「なるほど!」
「藍依ちゃんは"自然な流れ"を作りすぎですね!」
琵琶坂 藍依 : 「どういうこと!?!?」
澱 カシル : 「ていっ!」
カシルが指を向けると藍依に寒気が走る。
おしおきのつもりらしい。
琵琶坂 藍依 : 「わ、背筋がぞわって……! ちょ、ちょっと理不尽じゃないかな……!?」納得していない。
琵琶坂 藍依 : 「誰か私の弁護をしてくれる人……! そ、そうだコヨミ……!」
琵琶坂 藍依 : 「確か、プロデューサーの弁護するって言ってたよね……!? 私は……!?!?」
天海こよみ : 「え、ぼく……?」
天海こよみ : 「よくわからないけど、今はあそぶのは後にした方がいいかも……。そろそろココちゃん、休ませてあげよ……?」 優しく微笑む。そもそも皆じゃれてるだけだと思ってる。
琵琶坂 藍依 : 「ぐ、全くの正論……」別に遊んでいた訳ではないのだが……
澱 カシル : 「以上、審理を終了しま〜す。閉廷!」
虹之元 ユメ : 「ふふ、次からは握手ぐらいに留めるのが良いかもしれませんね」微笑ましく眺めて
ココ : 「フフ……その辺リの人間らしい行動モ、また教えテくださいネ?」
ココ : 「さてさテ……排水処理はワタシの方でやリマスのデ、手は出さナいようにお願いしマス。この後、きっとUGNの別のエージェントサンが回収してくれるデしょうシ」
ルコ : 『……そういうことなら、私達もお暇しましょうか。皆、これから忙しいのでしょう?』ルコもまた、キミ達に話しかけてくる。
天海こよみ : 「そう……かも。ミツキちゃんたちと連絡して、司さんやココちゃんっぽい子たちも運んで……」
天海こよみ : 「あみぃちゃんやらむねちゃんも、けがしてないか心配……」 視線を上に彷徨わせながら、これからすることを考える
虹之元 ユメ : 「結構な数を任せてしまいましたからね、いつもの調子で無事なら良いのですけど……」
天海こよみ : 「きっと、だいじょうぶだとは思うけど……。けがしてたら、手当てしなくちゃ、ね……」
琵琶坂 藍依 : 「その時はユメにお願いね……私、なんだかあの子達から苦手意識を持たれてるみたいで……」
天海こよみ : 「そうかなぁ……」
琵琶坂 藍依 : 「なかよく中指を立てられたの、二人が初めてだったし……」
天海こよみ : 「じゃあそうかも……」
虹之元 ユメ : 「あはは、あれは二人の芸風と言いますか……」苦笑いを浮かべて
虹之元 ユメ : 「それに苦手意識はそこまでないと思いますよ」
虹之元 ユメ : 「ただ藍依ちゃんを舐めてるだけです、きっと」
琵琶坂 藍依 : 「もっと悪いじゃん!?」
天海こよみ : 「ふふっ……」 くすくす笑う
春兎ユメミ : 『さ、さっきの子達って結構ろくでもないのね……』呆れた様子で
澱 カシル : 「ふふ、ある意味では懐かれているとも言えるでしょうし!」
虹之元 ユメ : 「そこそこ……まあ、まあ……ですかね……」配信スタイルのろくでなさを思い返して
琵琶坂 藍依 : 「そのうち、本気でお説教が必要かな……」
久能胡桃 : 『藍依は優しいから苦労しそうだなぁ…』
琵琶坂 藍依 : 「胡桃には言われたくないけど……」拗ねたように
久能胡桃 : 『拗ねないの。全く、可愛いんだから…』クスクスと笑い
ルコ : 『……ユメミ、胡桃。それにココ。もうそろそろ、皆を解放してあげなさい』
ルコ : 『これからはもう……また、こうして会えるのだから』
ルコ : 『……そうでしょう?』MARiNE SNOWの皆を見つめて
天海こよみ : 「うん……!」
虹之元 ユメ : 「そう、ですね……!」晴やかな笑みで、ユメミを見つめて
琵琶坂 藍依 : 「ああ、またいつでも」
澱 カシル : 「そのうち、お互いにライブを見せ合ったりもしたいですね! これからは、充分に時間があるでしょうから!」
久能胡桃 : 『そうだね。みんなのアイドルの姿、ちゃんとはまだ見られてないし』
春兎ユメミ : 『アタシも、もうちょっとアイドルっぽい曲書いてみたいし?』
ココ : 「まだまだ分からないコト、多いデスかラ。……人も、アイドルのことモ」
ルコ : 『……お後がよろしいようで。では……また、お会いしましょう』クラにもよろしく、と付け加えて
ルコ : 『気をつけて帰るのよ。……本当に、ありがとう』
GM : ルコがキミ達に礼を言ったのが最後。通信は切れ……ココもまた、スリープモードに移行したようだ。
GM : また会える。未来への仄かな期待を、しばらくはこの研究室に眠らせておくかのように……
天海こよみ : 「……またね。ルコちゃん、みんな……」 暗くなったモニターに手で触れて、小さく笑う

GM : キミ達は、研究室を後にする。
GM : その後、潜水艦の近くで、大量のMAC-09Σ相打ちになる形で伸びていたあみぃとらむねを回収し……
GM : UGNが派遣した別の潜水艦に乗り込み、治療を受けながら地上に帰還した。

 
港
 
GM : 浮上したのは、夜明け前。東の空が白んでおり……キミたちはようやく実感する。冥界から、現世に帰って来たのだと。
GM : UGN職員の手を借り、港へ降り立つ。
GM : そこには、オーメン相良の姿と……
十条ミツキ : 「みんな……!」
GM : キミ達が視認する前に、4人全員を抱きしめる形で飛びついてきたのは。キミ達のマネージャー……十条ミツキだった。
天海こよみ : 「わ……!! ミツキちゃ……!!」 
虹之元 ユメ : 「ぉぉ……! マ、MARiNE SNOW……無事に帰還しました、ミツキちゃん!」
琵琶坂 藍依 : 「……っと、ただいま、ミツキ。それからプロデューサーも」普段のミツキらしからぬ大胆な行動。少し驚きながらも、それだけ心配させたのだろうと抱き返す。
澱 カシル : 「ただいまです! ミツキちゃんもお疲れ様でしたね!」
十条ミツキ : 「お疲れ様……みんな、おかえり……よく頑張ったね……」全員の頭を順番に撫で、彼女はらしくもなくボロボロと涙をこぼす。
天海こよみ : 「ミツキちゃん……ないちゃってる……。だ、だいじょうぶ……?」 手を伸ばし、逆にミツキの頭を撫でる
十条ミツキ : 「アタシは何も……ごめんねぇこよみ、アタシが……目を離したりなんかしたから……」頭を撫でられ、一層目をうるうるとさせる
天海こよみ : 「ううん、ミツキちゃんがあやまることじゃないよ……」
天海こよみ : 「もうだいじょうぶだから……。ぼくたち、ちゃんと帰って来たから……」
天海こよみ : 「ただいま、ミツキちゃん……ありがとう……」 柔らかく微笑みながら、今度は自分からミツキを抱きしめる
十条ミツキ : 「うん、うん……本当に良かったよ……おかえり……」めそめそしながら、4人まとめてぎゅぅと抱きしめる。
GM : キミ達に遠慮していたのか、一歩下がっていたオーメンが、キミ達の元に歩み寄る。
オーメン相良 : 「先ほどまではもう少し元気だったのだが……緊張の糸が解けてしまったようだな」
十条ミツキ : 「うるさいっ、プロデューサーは黙ってよ…!」
オーメン相良 : 「ふむ……さておき、私もまた、君達の帰還に心から安堵している」
オーメン相良 : 「大変ご苦労だった。お帰りなさい」
天海こよみ : 「うん……ただいま、プロデューサー」
虹之元 ユメ : 「はいっ! オーメンさんも、ミツキちゃん共々お疲れ様でした……!」
澱 カシル : 「オーメンさんもフォローありがとうございました!」
「………潜水艦がすぐ出てきたのは準備良すぎて流石にビックリですけど……」
琵琶坂 藍依 : 「今回ばかりは流石に大変だったね……ぱーっと祝勝パーティーでもしたい気分……」
虹之元 ユメ : 「それなら……」あっ、と思い出したような顔をして
虹之元 ユメ : 「焼肉で優勝なんて、如何でしょうか! あみぃちゃんとらむねちゃんとの約束もありますし!」
オーメン相良 : 「焼肉か。良いだろう、手配しよう」
琵琶坂 藍依 : 「初ライブぶりだっけ、良いんじゃない?」
天海こよみ : 「よ、夜……だよね……? 今からじゃないよね……?」 夜明け前の空を見上げて
オーメン相良 : 「……君達が望むなら、今からでも構わないが……一時休息を取るべきではないだろうか?」首を傾げる
天海こよみ : 「うん……そうしたいな……。お腹もすいてるけど、すこしつかれちゃってるかも……」 ミツキに体をくてっと預けながら
十条ミツキ : 「わっ……う、うん、その方がいいと思う……」よしよし、として
虹之元 ユメ : 「流石に皆さんを休ませてあげるのが第一、ですねぇ……」
オーメン相良 : 「だろうな。また、別の機会を設けよう」
天海こよみ : 「ありがと……そうさせて……」 
天海こよみ : 「もら……お……」 ミツキにも会えて、色々と安心したせいか一気に睡魔が襲ってきたのか
天海こよみ : 「…………」 そのまま瞼を閉じ、ミツキにくっついたまま眠り始める
十条ミツキ : 「あっ…」
十条ミツキ : 小さく声を上げて、こよみを支えるように抱きしめる。
十条ミツキ : 「……よく頑張ったね。お疲れ様、こよみ……」
琵琶坂 藍依 : 「ミツキと同じで、緊張の糸が切れちゃったのかな?」今までがんばったもんね、と優しく見守る。
十条ミツキ : 「お、同じって……」顔を赤くしながらアイを恨めしげに見て
十条ミツキ : 「……でも、みんな本当によく頑張ったよ。今日は帰って……ゆっくりと休んでね」
澱 カシル : 「お二人も一段落ついたらゆっくりして下さいね!」
オーメン相良 : 「善処する。……さて、君達を自宅まで送ろう。車に乗り込むと良い」そう言って、普段君達を送迎する際に使用しているワゴン車を示す。
琵琶坂 藍依 : 「ふわぁぁ、了解……ふふ、コヨミのことはお願いね……」自分もあくびした後、ミツキに意地悪に笑いかけながら車に乗り込む。
十条ミツキ : 「むむむ……」唸りながら見送り……こよみを抱き上げ、彼女もまた車に乗り込む。
虹之元 ユメ : 「これで一件落着、オールオッケー……ですねぇ……」安堵の溜息をついて、白んでいく地平線を見つめる
澱 カシル : 「ではハケましょう! お疲れ様でした!」
眠気は無いので、疲れているが元気がいい
GM : キミ達が乗り込んだ後、ワゴン車は東京方面へと向かって走り出す。
GM : 眠気を誘うような心地よい揺れの中……ふと車外の景色が目に入る。
GM : 空と海が溶けた、水平線の向こう側。
GM : 永い永い夜を超え……明けの明星は、煌々と輝いていた。

Scene 10 集う明星、新たな日常

GM : 天海こよみさんの個別エンディングです。
 

 
GM : 時間から数日後。キミ達が傷を癒すのと同時、UGN側では"ハーデス"灰出司が起こした事件の処理が進められていた。
GM : 彼が作った"MAC-09"ココ、そして『冥界』とそこの住人である奈落華のメンバーについても、慎重な調査が進められていたが……
GM : 様々な検証の後。ようやく、彼女達との通信が許される運びとなった。
 
セーフルーム
 
GM : セーフハウスにて。こよみは、"ヴェスパー・ゼロ"ルコの要望を受け、彼女と通話をしていた。
GM : キミの傍には、「こよみが話す『ルコ』のことが気になる」とのことで、ミツキが同席していた。
ルコ : 『……ふふ。それにしても……貴方が元気そうで何よりよ、こよみ』
GM : ルコはテレビ画面越しに、キミに向かって微笑む。その様子はとても穏やかだ。
天海こよみ : 「ルコちゃんも、元気そうでよかった……!」
天海こよみ : 「ふふっ、なんだか久しぶり……だね」 ルコと話せて嬉しそうに微笑み返す
ルコ : 『ええ、本当に。何だか……貴方がこちらに居た日々が、大昔のように感じるわ』
ルコ : 『……でも、またアイドル活動を再開したら……貴方とこうして通話できる日も、きっと減ってしまうのね』少し寂しそうに
天海こよみ : 「え……そうなの?」
天海こよみ : 「ぼく、アイドル活動がまた始まっても、ルコちゃんと毎日でもお話したいけど……」
十条ミツキ : 「それは……ちょっと、こよみの体力的に厳しいんじゃないかな……朝から夜まで、結構忙しいでしょ?」うーん…と渋い表情で首を傾げる
天海こよみ : 「え……? ミツキちゃん、ダメ……?」 しょんぼりする
天海こよみ : 「ちょっとくらい……五分や十分くらいなら、だいじょうぶなんじゃないかな……」
ルコ : 『五分……十分……』今度はルコがしょんぼりとした様子で。
ルコ : 『……そうよね、忙しいものね……』
天海こよみ : 「る、ルコちゃん……!」 ルコの様子を見て、おろおろし始める
ルコ : 『……本音を言えば……全く足りない。もっともっと、私に時間を割いて欲しいわ』
ルコ : 『……駄目、かしら』前髪越し、上目遣いでキミを見つめる。
天海こよみ : 「ぼ、ぼくもそうしたいけど……」 困ったように、ルコとミツキを交互に見て
天海こよみ : 「……よし、わかった。ぼく……なんとかする……!」 何か決意したように、表情を引き締める
十条ミツキ : 「こ、こよみ……!無理なことは引き受けちゃ駄目だよ!」慌てて仲裁に入る
十条ミツキ : 「ルコも!キミだってアイドルなんだ、大変なのはわかるでしょ?」
ルコ : 『……良いわね、貴方は。いつもこよみの傍にいられるもの』
GM : 一瞬、彼女達の目線がバチッと合うような気配を感じたが……ルコが小さくため息をつく。
ルコ : 『……分かったわ。無理にとは言わない……でも、たまには電話しましょうね。約束よ』
天海こよみ : 「う、うん……」 なんだか一瞬雰囲気が危なくなった気がしたけど、一安心して
天海こよみ : 「あの……でも、無理をするつもりはないの……」
天海こよみ : 「他のことが忙しくてぼくの体力じゃきびしい……なら、ぼくがもっと体力をつければいいんじゃないかな、ってさっき思って……」
天海こよみ : 「ぼくもルコちゃんといっぱいお話したいし……さびしい思い、させたくないな、って……」
ルコ : 『こよみ……!』嬉しそうに目を細める
十条ミツキ : 「……これ、ユメの二の舞にならなきゃいいけど……」小さくため息を吐く。
ルコ : 『……嬉しいわ。無理はしないで……でも、楽しみにしているわ』
ルコ : 『私……貴方のことが好きだから』
天海こよみ : 「ルコちゃん……」
天海こよみ : 「うん……だいじょうぶ。無理はぜったいしないから……!」
天海こよみ : 「だから、ミツキちゃんも、安心して……ね」 ミツキに笑いかける
十条ミツキ : 「う……うん……」まだ納得はしていないようだが、こよみの笑顔にこくりと頷いてしまう。
ルコ : 『ふふっ……』くすくすと笑ってから、キミに向き直る
ルコ : 『……やっぱり、貴方は少し……あかりちゃんに似ているように思うわ。私の中の数少ない記憶データと……最近見させていただいた、彼女の映像から、ね』
天海こよみ : 「ほ、ほんと……?」
天海こよみ : 「えっと……ルコちゃんは、ぼくのどんなところがママとにてると……思う……?」 そわそわしながら聞いてみる
ルコ : 『そうね……お母様譲りの、アイドルとしての天性の才能もそうだし……もちろん、その可愛らしいお顔立ちもよく似ているわ』
ルコ : 『あとは……木漏れ日のような優しさ、かしら。日陰にも押し付けがましくない、光が……』
ルコ : 『……きっと、元の私も、あかりちゃんのそう言うところが好きだったのだと思うわ』
天海こよみ : 「……わ、わぁ……」 
天海こよみ : 「ルコちゃんにそう言ってもらえると、うれしいな……。ありがとう……」 照れ照れと笑う
ルコ : 『ふふっ…不思議な子。事実を言っただけよ……お礼だなんてとんでもない』
ルコ : 『そんな謙虚なところも素敵よ、こよみ』
天海こよみ : 「えへへ……ルコちゃん、だいすき……」 頬が緩みっぱなしになってる
ルコ : 『ええ、私も大好きよ』嬉しそうに微笑む
ルコ : 『……ところで……一つ、聞いても良いかしら?』
天海こよみ : 「んへ……なに?」
ルコ : 『その大好きって……私は、何番目?』
天海こよみ : 「え……!?」
天海こよみ : 「な、なんば……なんばんめ……」 チラ、とミツキの方を見る
十条ミツキ : 「こ、こいつっ……!」
ルコ : 『……私にとっての一番は、貴方しか居ないの』少し寂しそうに微笑み
ルコ : 『もし、貴方にとっての一番が私なら……すごく、素敵なことだと思うわ……』
天海こよみ : 「る、ルコちゃん……」
天海こよみ : 「う……うー……うーん……っ」 苦しそうに目を瞑ってうなり始める
十条ミツキ : 「こよみ……あーもうっ、何なんだよアンタ!」ガタ、と立ち上がり
十条ミツキ : 「悪いけど、こよみの一番はとっくの昔からアタシなの!こよみの小さい頃のこと、よく知らないでしょ!?」
ルコ : 『あら……?聞いてないわよ、そんな事』
ルコ : 『それを言ったら、お母様に当たるあかりちゃんと私……のオリジナルとの付き合いはとても長いわ。家族ぐるみの付き合いと言っても過言ではなくてよ?』
十条ミツキ : 「ぐっ……アンタは澪木ルリコ本人じゃないだろ、なんて言ったら、アタシの方が悪くなっちゃうことを分かってて言ってるだろ……!」
ルコ : 『ふぅん…ミツキは、私にそんなことを思っているの?酷い人ね……』
十条ミツキ : 「んなっ!こ、こいつ……第一、メンタル弱いやつにこよみのことを任せられるわけないだろ!」
ルコ : 『メンタル?それ、貴方が言えたことかしら?』
十条ミツキ : 「~~~~!!!」
十条ミツキ : ミツキは頬を膨らませ、こよみをぎゅっと抱きしめてモニターを睨む。
十条ミツキ : 「と……とにかく、こよみの一番はアタシなの!」
十条ミツキ : その抱擁は優しいが、いつものキミを安心させるような手つきではなく、大切な何かを離すまいと必死になる子供のような仕草だ。
天海こよみ : 「わ……わ……!」 こんなミツキは初めてでびっくりする
天海こよみ : 「ま、まって、ミツキちゃん、ルコちゃん……! け、けんかしないで……!」
十条ミツキ : 「こ、こよみ……!だって、アイツが……!」
ルコ : 『私は何もしていないわ。……可哀想なこよみ、すっかり困ってしまって……』
天海こよみ : 「う、うぅ……」
天海こよみ : 「あの……ミツキちゃんとルコちゃんは……おたがいのこと、きらい……なの……?」 おそるおそる尋ねる
十条ミツキ : 「嫌い……とかじゃないよ。最初は仲良くするつもりだったけど……だって……」
ルコ : 『……そうね。嫌いではないわ。……こと、こよみに関わらないところであれば、ですけど』
天海こよみ : 「そ、それなら……! それなら、ふたりとも……なかよくしてほしい……よ……!」
天海こよみ : 「ぼく、ミツキちゃんのことも、ルコちゃんのことも……大好き、だから……」
天海こよみ : 「ふたりがけんかしてると……いやだ、よ……」 今にも泣きそうになりながら俯いてしまう
十条ミツキ : 「わっ……こ、こよみ、泣かないで……!大丈夫だから……!」雰囲気が一転、焦りながらこよみを抱きしめ、いい子いい子して
ルコ : 『こよみ…!わかったわ、約束する。喧嘩は控えるから……』同じく慌てた様子で
天海こよみ : 「ほ、ほんとに……?」 ゆっくりと顔を上げる
十条ミツキ : 「う、うん……!」
ルコ : 『ええ……!』
天海こよみ : 「……よかった……。ありがとう、ミツキちゃん……ルコちゃん……」 やっと安心して、笑顔が戻る
十条ミツキ : 「……アタシこそ、良かったよ…」ほっとため息をついて
十条ミツキ : 「……次から、こよみの前でこの質問はナシね。というか、アンタが安心するためにこよみを困らせるのは禁止」
ルコ : 『……そうね。答えが分かりきっている質問だったもの。今後は控えるわ』
十条ミツキ : 「……本当に分かってるのかよ……」はぁ、と溜息を吐く
天海こよみ : 「ふふっ……」 何を見てもう大丈夫だと思ってるのか、微笑ましそうに笑ってる
ルコ : 『……さて。とにかく……落ち着いて、もし安全に来ることが可能になったなら、また遊びに来て頂戴』
ルコ : 『私……待ってるから』そう言って柔らかく微笑む
天海こよみ : 「うん……もちろん……」
天海こよみ : 「……え? ぼくたち、また……あの世界に行ける、の……?」
十条ミツキ : 「そ、そうなのかな?」ミツキもそのようなことは聞いていない様子
ルコ : 『理屈としては可能とのことよ。また、ココが貴方達を招き入れるゲート…?とやらを作れば良いみたい』
ルコ : 『最も、まだまだ安全性には難があるし、そちらの世界に貴方達の体を置いていってしまうことにリスクはあるらしいけど……』
天海こよみ : 「そうなんだ……!」
天海こよみ : 「うれしい……。ぼく、もうルコちゃんたちとはちょくせつ会えないと思ってたから……」
天海こよみ : 「はやく、あそびにいきたい……ね……!」
ルコ : 『ええ、本当に……奇跡的だわ』
ルコ : 『そこにいる、ミツキも頑張ってくれたと聞いているわ。……この件については、本当にありがとう』小さく微笑んで
十条ミツキ : 「お、おう……?」困惑したかのように目をぱちぱちして、頷く
ルコ : 『ふふっ……嬉しいわ、こよみ。私も同じ気持ちよ……早く、会いたいわ』
天海こよみ : 「うん……! 楽しみだね……!」 いつか来るその日を待ち遠しそうにする
GM : 何とか和やかな雰囲気に持ち直し、収集がついた。そう思われた時、こよみの陰からふらりと現れたのは。
クラ : 「コヨミ〜」
クラ : ふにふにとした笑みを浮かべるのは、キミにそっくりな容姿の少女型レネゲイドビーイング”クラッドカルト”ことクラだ。
天海こよみ : 「わ、クラちゃん……! どうしたの?」 優しく笑いかける
十条ミツキ : 「わっ……な、何だよ、急に!」
クラ : 驚き、思わず腕を離してしまったミツキとの間に割って入るように、こよみにぴったりと頬を寄せる。
クラ : 「んふ!コヨミ、クラといっしょ〜」何やらしたり顔でこよみに頬擦りをする
天海こよみ : 「ふふっ、クラちゃんったら……あまえんぼだね……」 されるがまま頬擦りされながら、その体を抱きしめる
ルコ : 『クラ……!元気そうで何よりだわ』目を細めて
クラ : 「んー?……んー…」画面を一瞥し、こよみにくっ付き直す。いまだに苦手意識があるようだ
天海こよみ : 「……クラちゃん」 くっついていた頬を離して
天海こよみ : 「だいじょうぶだよ、クラちゃん。ルコちゃんはもう、クラちゃんにいじわるしないから……」
天海こよみ : 「あの時は、司さんのせいで良くないことになってたけど……ほんとのルコちゃんは、とってもやさしくて……クラちゃんともなかよくしたいって思ってるんだよ?」 優しい声でそう伝える
クラ : 「んぅ〜……ホント?ルコ、クラのことたたかない?こよみとはなさない?」キミを見上げて首を傾げる
天海こよみ : 「ほんとだよ。ね、ルコちゃん……!」 ルコの顔を見る
ルコ : 『勿論よ。私はもう、クラの味方よ』優しく微笑む
ルコ : 『仲良くして……貰えたら、嬉しいわ』
クラ : 「んぅ……わかった。クラ、ルコとなかよくする……」
クラ : まだ渋々…と言った様子、且つルコではなくキミを見つめながらの言葉だが。一歩前進したように見える。
天海こよみ : 「うん……えらいね、クラちゃん……!」 頭を撫でてあげる
クラ : 「わぁ……うん、クラ、えらいね!」嬉しそうに目を細める
天海こよみ : 「うん、えらいえらい……!」
天海こよみ : 「……ありがとう、ルコちゃん」 モニターに向き直り、また笑いかける
ルコ : 『私が犯した罪を考えたら当然のことよ。むしろ挽回のチャンスをありがとう、こよみ…』微笑んで返す
天海こよみ : 「ううん……!」 良かった、と本当に安心する
天海こよみ : 「……あっ、そうだ、ルコちゃん……!」 ふと思い出したように
天海こよみ : 「ぼく、ルコちゃんに見せたいものがあったの。少しまっててもらっても、いい?」
ルコ : 『私に…?ふふ、何かしら』嬉しそうに目を細めて
天海こよみ : 「ちょっとまってね……!」
天海こよみ : こよみは席から立ち上がると、部屋の奥へとパタパタ走っていく。
天海こよみ : 「……お、おまたせ……!」
天海こよみ : そして、しばらくして、これから旅行にでも行くのかというほど巨大なトランクを持ってきた。
ルコ : 『……?それは、何……?』
天海こよみ : 「今、見せるね……!」
天海こよみ : そう言って、こよみはトランクを開く。
天海こよみ : その中にぎっしりと詰まっていたのは、たくさんのアルバムだった。
天海こよみ : 「これ……パパがとってくれた、ぼくのアルバムなの……!」 その内の一冊を手に取って、ルコに表紙を見せる
ルコ : 『まぁ……素敵だわ。そんなに沢山……ご両親に愛されてきたのね……』目を細めて柔らかく微笑む
天海こよみ : 「うん……! これだけじゃなくて、おうちにはもっとたくさんあるんだよ……!」
天海こよみ : 「パパ、写真とるの……だいすきだったから……」 父親との思い出を懐かしむように目を細める
ルコ : 『そう……お父様は、写真がお好きだったのね』
ルコ : 『そして、きっと……何よりも貴方を愛していたのだわ』
天海こよみ : 「……うん」
天海こよみ : 「もう会えなくても、今はお空の上にいても……。パパはぼくのこと、ずっとだいすきで……」
天海こよみ : 「ぼくも、パパのこと……ずっとだいすきだから……!」 儚さがありながらも、それでも自信に溢れた笑顔を見せる
ルコ : 『きっと、そうよ。……お父様も、あかりちゃんも……今、そう言ってくれている貴方を見て微笑んでいるわ』
ルコ : 『……それにね、こよみ』
天海こよみ : 「……?」
ルコ : 『私達……私にミツキ、クラに、MARiNE SNOWの皆さん……貴方に関わる全てが、貴方のことが大好きよ』
ルコ : 『だから……寂しくなんて思わないで。貴方はこれからも、たくさんの愛に囲まれて生きるのだから』そう言って、安心させるように微笑む
天海こよみ : 「……! うん……」
天海こよみ : 「だいじょうぶだよ、ルコちゃん。ぼく、さびしくなんて思ってない……」
天海こよみ : 「ちゃんと、分かってる。いつも、いつでも、みんなの愛……感じてるし……」
天海こよみ : 「ぼくも、みんなのこと……大好きだから……!」
天海こよみ : そう幸せそうな笑顔で言って、ミツキとクラを抱きしめる。
クラ : 「わぁ…コヨミ……!」小さな手できゅっとし返す
十条ミツキ : 「ふふっ……アタシも大好きだよ、こよみ」そう言ってぎゅっと抱き返す
ルコ : 『……何よりよ。それが分かっているなら、安心だわ』また、小さく微笑んで
天海こよみ : 「うん……ありがとう、ルコちゃん」
天海こよみ : 「……それで、あのね、あのね……!」
天海こよみ : 「ちょっとはずかしいんだけど、これ……ルコちゃんに見せたくて……」 アルバムを両手で持ち直して
天海こよみ : 「今から、みんなで見れるかな……? まだ、時間とか……だいじょうぶ?」
ルコ : 『ええ、是非見せて頂戴。……異論はないわよね、ミツキ?』
十条ミツキ : 「どうしてそんな喧嘩腰になるかな……当然だよ。仕事、しばらくお休みだしね」
クラ : 「ん!みせて!」わくわく、と胸の前で拳を握って
天海こよみ : 「よかった。じゃあ、見せるね……!」
天海こよみ : 嬉しそうにこよみがアルバムを開くと、そこには赤ん坊の頃のこよみが映っていた。
天海こよみ : 順番にページを捲っていくと、そこにはあかりが映っている写真も挟まれている。
天海こよみ : あかりはまだ小さなこよみを抱いて、幸せそうに微笑んでいた。
天海こよみ : どうやら自分の幼い頃の姿というよりも、このあかりの写真を見せたかったらしい。
天海こよみ : 澪木ルリコの記憶にも、世間に流れている映像にも存在しない。
天海こよみ : 家族だけが知っていた幸せな姿を、彼女にも共有したかったのだろう。
GM : ……天海家だけの時間を切り取った、幸せな写真の数々。ルコは時に笑い、時に少し寂しそうにしながら……その写真の数々を見つめ、目を細める。
GM : 小さなキミの姿。そして……尊敬する天海あかり、舞台を降りた後の彼女の、満ち足りた姿。
GM : ルコは、キミが共有した思い出の一つ一つを、大切な記憶メモリーとして受け取る。彼女が抱える『空白ブランク』を満たし、抱きしめるかのように。
天海こよみ : 「……これで、いっさつ目おわり……だね」 最後のページまで捲り終わる
天海こよみ : 「ルコちゃん、どうだった……?」 分厚いアルバムを閉じて
ルコ : 『そうね。まずは……貴方が、幼少からとても可愛かったことが分かったわ。子役をやらなかったのが勿体無いくらいに』ふふ、と笑って
天海こよみ : 「え? あ……ありが、とう……」 照れてる
ルコ : 『ふふ、可愛さは相変わらず健在のようだけど』
ルコ : 『それと……あかりちゃんって、何だか……オンもオフも、あまり変わらないのね?』
天海こよみ : 「うん……そうかも」
天海こよみ : 「ママって、しぜんたい……? で……いつでもかわいいの……!」
ルコ : 『そうね。天然の可愛らしさだわ……お写真も凄く素敵で、まるで写真集のようだったもの』
天海こよみ : 「そうなの、パパ、カメラマンだったから……! いつもすごくきれいにとってくれて……!」
ルコ : 『腕は確かなようね……』
ルコ : 『……本当に、素敵な思い出だったわ。何だか……私も、その場面に居られたかのように思えるほど』
天海こよみ : 「……それなら、よかった」
天海こよみ : 「ルコちゃんに見てもらいたかったから、うれしいな……」
天海こよみ : 「この写真は、思い出は……るー子ちゃんは見れなかった時間、だから」
天海こよみ : 「ルコちゃんだけが見れた、ママやぼくたちの……思い出、だよ」 そう言って、また微笑む
ルコ : 『……そう、ね。私……ルコだけの、特別だわ』
ルコ : 『ありがとう、こよみ。光栄よ。……大切にさせてもらうわね』そう言って、また小さく微笑む
天海こよみ : 「……! うん……!」
ルコ : 『さて……まだまだ、あるのでしょう?』
ルコ : 『良かったら、続きを見せてもらえるかしら。貴方の大切な思い出達を……』
天海こよみ : 「うん、もちろん……! まだまだあるから、いっぱい……見てほしい……!」
天海こよみ : 「えっとね、つぎは……ようちえんの、年少さんのころのアルバムで……」
天海こよみ : こよみは楽し気に次のアルバムを取り出し、また開いてみんなに見せていく……。
ルコ : そんな、こよみの様子にも微笑みながら、ルコは写真の数々を優しい目で見つめる。
クラ : クラは不思議そうな顔で小さなキミを見て、あかりを見つけて笑い。
十条ミツキ : ミツキはキミを抱きしめ……幸せそうに、キミ達の様子を見つめている。
GM : 思い出とは、時に寂しさと、時に後悔と隣り合わせにあるもの。過ぎ去った日々に介入することは不可能だ。
GM : だが、同時に……思い出は、まだ成長過程にあるキミ達にとっての揺籠ともなり得る。
GM : 写真に映るあかり瞬一は……そんなキミ達を見守るかのように、写真の中で微笑みかけていた。

Scene 11 冬空に東風吹かば

GM : アイさん、カシルさんのエンディングシーンです。流れで2人の個別に分岐していきます。
 

 
レッスンルーム
 
GM : 都内某所、ダンススタジオ。
GM : アイとカシルの2人は、例のクリスマス特番に向けて練習を重ねていた。
GM : メンバーの半分が不在の練習。だが、今日は珍しい特別ゲストがいた。
久能胡桃 : 久能胡桃。アイの親友であり、カシルの憧れであった元アイドル。
GM : 『ビデオ通話ができるようになったなら、2人のパフォーマンスを見てみたい』という、彼女たっての希望があってこその機会だった。
GM : 一通りパフォーマンスを見た彼女は、わぁと嬉しそうに手を叩く。
久能胡桃 : 『藍依、こういうちょっとフェミニンな雰囲気のパフォーマンスも似合うんだ…!Seventh Heaven時代とまた違う感じで、いいね!』
琵琶坂 藍依 : 「あの頃は王子様キャラだったからね……当時のことを知ってる胡桃に改めて言われると、何故かちょっと照れくさいな……」
久能胡桃 : 『ふふっ、誇った方がいいよぉ。王女様みたいにキリッ!としてて……これはこれで憧れちゃうなぁ』
久能胡桃 : 『カシルちゃんも、すっごく可愛い!ちょっとお上品な雰囲気もあって……顔はわたしっぽいのに、なんだか新鮮だね』
澱 カシル : 「ありがとうございます! 最初こそ胡桃ちゃんを強く意識してましたけど、やっぱりアタシはアタシらしくやる方がいいかなって!」
久能胡桃 : 『うんうん、その意気だよ!……あ、でも、ちょっとだけ……アドバイスみたいなことしても、良いかな?』
澱 カシル : 「何でしょうか!」
久能胡桃 : 『えっと…最後のカシルちゃんのパートのところ、多分カメラで抜かれると思うんだよね。でもダンスの中で、髪で顔が隠れちゃうところがあるから……』徐に立ち上がって
久能胡桃 : 『ふん、ふん…♪……こんな感じっ』胡桃自身が踊りながら、首をくるりと回して実演する。その瞬間、髪が綺麗に纏まる形でふわりと浮かび、彼女の笑顔を彩る。
久能胡桃 : 『……どうかな?髪型似てるし、こうすれば良いかなって思うんだけど……できそう?』
澱 カシル : 「ふむ、ふむ……」
鏡の前で胡桃のマネをして髪を流す。
やや拙いながらも同じように出来るが……
澱 カシル : 「うーん……アタシがやっても胡桃ちゃん程の華やかさにはならないかも……!」
少し悩む様子を見せてから
「胡桃ちゃんに藍依ちゃん、どっちのパフォーマンスが良いでしょうか?」
澱 カシル : 最初に見せたのは胡桃と同じ、髪に顔を隠させず愛らしさを感じさせる味付け。
澱 カシル : 次に見せたのは……あえて髪を顔に被せるアレンジだった。
髪の隙間から見えるカシルの眼は、どこか昏さを覗かせて、見てはいけないモノを垣間見たような気持ちにさせる。
久能胡桃 : 『わ、わぁ……!?す、凄い目力……っ』目をぱちくりとさせて
琵琶坂 藍依 : 「う~ん、どっちが良いか……私はキュート系の振り付けは専門外だけど……」
琵琶坂 藍依 : 「こういう時は私達じゃなくて、カシル自身のファンのことを考えてみたら?」
琵琶坂 藍依 : 「どっちの振り付けの方が、ファンを喜ばせられるかってさ」
久能胡桃 : 『そうだね……わたしのはあくまで提案だから、カシルちゃんの届けたい先のことを考えるのが一番だと思う』うんうん、と頷く
久能胡桃 : 『ここまで応援してくれたファンの人に届ける、初めてカシルちゃんを見てくれた人に届ける……他にも、このパフォーマンスにかける思いは色々あると思うから』
澱 カシル : 「うーん、う〜〜〜ん!」
珍しくかなり悩んでいる
澱 カシル : 「アイドルとしてのアタシのキャラ付けはカワイイ!が支持の中心ではあるとは思うんですけど……」
「それでも、アタシの全てをぶつけるのなら……」
澱 カシル : 「やっぱり、アタシの昏い面も隠し味にはしていきたいなって!」
琵琶坂 藍依 : 「うん、カシルらしくて良いんじゃないかな? 幸いそのパートは後の方だから、それまでに可愛いところも魅せられるし、良い感じにフリが効くと思うよ」
澱 カシル : 「ふふ、それに今の軽い振り付けだけで分かります。」
「王道の可愛さにおいて、胡桃ちゃんはとんでもなく凄いアイドルだって……!」
澱 カシル : 「胡桃ちゃんにライバルとして認めてもらうなら、飛び道具も活用しないと太刀打ち出来ません!」
久能胡桃 : 『えっ、えぇ……!?そ、そんなことないよ、カシルちゃんこそ、ちょっと試してくれた時すっごく可愛かったのに……!』首をぷるぷると横に振って
久能胡桃 : 『でも、確かに……あっちの姿のカシルちゃんの雰囲気もあって、このパフォーマンスもすごく素敵だと思うよ!飛び道具じゃなくて、これ自体が武器なんじゃないかな?』
琵琶坂 藍依 : 「アイドルは、やっぱりキャラクターが大事だからね」
琵琶坂 藍依 : 「自分に合わないものは付け焼き刃の飛び道具と変わらないけど、ちゃんとカシル自身から出た個性なら、それは立派な武器だって言えるはず」
澱 カシル : 「ふふ、お二人ともありがとうございます!」
「今後はさりげなく、けれどしっかり活かしていこうかなって!」
澱 カシル : 「あと……それはそれ、これはこれ、でして。」
「せっかく胡桃ちゃんに教わったテクニックですから、完璧にモノにしてから別の機会で使わせていただきますね!」
さっきの胡桃のアピールをもう一度試してみる。
久能胡桃 : 『ふふっ……ありがとう。どんなカシルちゃんも素敵だから、自信持ってね』目を細めて笑う
澱 カシル : 「胡桃ちゃん……! ありがとうございます!」
ぺこりと頭を下げる
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、この場でいちばん得をしたのは私だけどね?」感謝するカシルを見て
琵琶坂 藍依 : 「……なんと言っても、ふたりの可愛らしい振り付けを、特等席で独り占めに出来たんだから」ウインクする。
久能胡桃 : 『むっ…!』反射的に赤くなるが、カシルをチラリと見る
澱 カシル : 「またキザな台詞を臆面もなく……」
澱 カシル : 「胡桃さんと二人きりの時に好きなだけ言ってもらえます?」
琵琶坂 藍依 : 「ん~? 本心を言っただけなんだけどな……?」口を小さく尖らせ
久能胡桃 : 『な、なんで2人ともそんな感じなのっ……!藍依はわたしと2人きりの時にもダメだからね!』
琵琶坂 藍依 : 「え、ダメなの……?」意外そうに
久能胡桃 : 『だめ!もうっ!』手の前で腕をバツにして
琵琶坂 藍依 : 「うう~ん、胡桃は難しいなあ……」照れる胡桃を見て、楽しそうに笑っている。
澱 カシル : 「ほら、そうやってまた人を照れさせては楽しんでるでしょう……」
背中を指でつついて咎める
琵琶坂 藍依 : 「そんなことは……」
琵琶坂 藍依 : 「ちょっと、あるかな……?」
澱 カシル : 「有罪………!」
琵琶坂 藍依 : 「まあまあ、二人とも可愛かったって言ったことは本心そのものだし……」
琵琶坂 藍依 : 「カシルなら、それは分かるでしょ? ね?」許して、と笑いかける。
澱 カシル : 「普通に褒めてください……。藍依さんのキザな褒め方は恥ずかしくなってしまうので……!」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、考えておくね?」ただ気恥ずかしくて言っているのだ、と愛おしくなって、カシルの頭を撫でる。
澱 カシル : 「胡桃さん……! 愚行を重ねる藍依さんに何か言ってあげてもらえますか……!?」
久能胡桃 : 『知らないもんっ、さっきカシルちゃん止めてくれなかったし。わたしと2人きりの時にすればいいとか言ったし』ぷりぷりした口調でそっぽを向く
琵琶坂 藍依 : 「因果応報かな?」すべての因果を生み出した根源がなにか言っている。
澱 カシル : 「報いが何故わたくしの方に……!?」
琵琶坂 藍依 : 「……ともあれ。カシルと同じで、こういうのも私の"個性"ということで一つ」
琵琶坂 藍依 : 「うん、上手い感じにまとまったんじゃないかな?」
澱 カシル : 「否定はしませんけど……」
「加減はしてください……!」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、わかったわかった」笑いながら、カシルから離れる。
GM : キミ達が話していると、ふと出入り口の方に謎の気配を感じる。
GM : 見ると、ドアの隙間から異常に長い髪のようなものが見え隠れしている。覗く顔面(?)は真っ白、しかもその身長は異様に高い。
久能胡桃 : 『ひっ……!?な、何か……変な人いるかも……っ』胡桃が怯えた声をあげ、キミ達にこそこそと耳打ち(?)してくる
琵琶坂 藍依 : 「ああ、あの不審者は……」
澱 カシル : 「変な方? プロデューサーさんくらいしかいませんけど……?」
久能胡桃 : 『ぷ、プロデューサー……?』
GM : キミ達に気づかれたことに、向こうも気付いたのか。一度、無言でパタンとドアを閉め、コンコンとノックをして入ってくる。
澱 カシル : 「どうぞ〜……」
オーメン相良 : 「私だ」オーメン相良だった
琵琶坂 藍依 : 「何だったの、今の時間」
澱 カシル : 「礼儀は大切ですからね、ええ。」
オーメン相良 : 「私が入り込んではいけない空間だと認識したため、気配を殺していた。失礼した」
久能胡桃 : 『こ、これが噂のプロデューサーさんかぁ……』初めて容姿を見たのだろう。目をぱちくりとさせている。
琵琶坂 藍依 : 「入り込んではいけないと思ったなら、ヘンに気配を殺したりせずに、出ていってくださいよ……胡桃が怖がってたじゃないですか……」呆れて
オーメン相良 : 「怖がる……?」鏡に映る自身を見て、首を傾げる
琵琶坂 藍依 : 「く、首を傾げてる……このセンスでよくアイドルのプロデュースしてるな……」
久能胡桃 : 『こだわりが強めなのはそれっぽい……かも?』精一杯のフォロー
オーメン相良 : 「さて、丁度良いところに3名が揃っているな。交流中すまないが、少し時間をいただきたい。良いだろうか」何の会話も聞こえていなかったかのように切り出す
琵琶坂 藍依 : 「ああ、やっぱり何かの用があるから待ってたんですね」
澱 カシル : 「わたくしは構いませんが……」
オーメン相良 : 「その通り。決して、覗き見が趣味というわけではない」
オーメン相良 : 「先日……君達が『冥界』に囚われる以前に話した内容だが、覚えているだろうか」
オーメン相良 : 「カシル君の顔が、胡桃君に似ていると言われた件について。これは……アレから数日経ち、一旦収束したと見て良い状況となった」
澱 カシル : 「ああ……そうでしたね。」
「収束したのは良いのですが……お話に来たということは続きがあるのですね?」
オーメン相良 : 「いや、本件に限っては続きはない。……収束したきっかけは……例のコメントについた返信だ」
オーメン相良 : 「読み上げよう。『胡桃ちゃんはもっと、お花みたいに笑うよ。カシルちゃんはたまにお花を枯らしそうなことがある』とのことだ」
オーメン相良 : 「随分と失礼なコメントだ、確かに胡桃君の笑顔は大輪の花のように華やかだが、カシル君がふと嬉しそうに笑う姿はカスミソウのように儚くも可憐且つたおやか且つ清純且つ無邪気且つ…」ブツブツブツブツ
琵琶坂 藍依 : 「うわ出た、プロデューサーの早口……」
澱 カシル : 「まあ……言いたいことは分かります。」
「本質を良く見ているのでしょうね。」
前のカシルならショックや怒りを覚えていたかもしれないが、今はただコメントの審美眼を称えている。
オーメン相良 : 「……ふむ。だが、このコメントも決して悪い意図があり書かれたものではないだろう」当社のアイドルに対し大変失礼だが、と強調しつつ
オーメン相良 : 「先程、胡桃君ともパフォーマンス手法を検討していたが……君があの姿を見せたいと思うのと同様、世間もまた、君は他の何者でもない『澱カシル』だと理解している、ということだと言えるだろうな」
琵琶坂 藍依 : 「二人とも違う魅力を持ったアイドルで、どっちも最高に可愛いってことね?」
オーメン相良 : 「正しい」人差し指を立てる
琵琶坂 藍依 : 「なんだか翻訳家になった気分」
オーメン相良 : 「さて、今後も度々話題となる可能性はあるだろうが……引き続き、誇りを持って活動に励めば問題ないだろう、という状況だということだ」
オーメン相良 : 「以上が現状の報告だ」
澱 カシル : 「ありがとうございます。」
「そう焦ってはいませんでしたが、今後も活動が続けられると保証されると安心しますね。」
オーメン相良 : 「その調子であれば、問題ないだろう」頷く
オーメン相良 : 「さて……あとは別件でもう一つ。君には、来客が来ている」
オーメン相良 : 「そこまで時間は取れないようだ……すぐに向かってくれたまえ。場所は…」と、このスタジオの別の階にある会議室を伝える。
澱 カシル : 「わたくしに? 分かりましたが……どなたでしょうか……?」
友人と呼べる存在がごく少数のカシルにとって、カシルだけに用事がある人間の心当たりがあまりなかった
琵琶坂 藍依 : 「ファンの子なら、会議室まで押しかけてこないだろうしね……」
澱 カシル : 「………うーん……。時間も無いのでしたら、すぐに向かいますね。」
オーメン相良 : 「何、悪い話ではない。口であれこれ説明するより、向かった方が早いだろう」
澱 カシル : 「そうですね。藍依さん、胡桃さん、お先に失礼します。ありがとうございました……!」
琵琶坂 藍依 : 「うん、行ってらっしゃいカシル! また後で!」
久能胡桃 : 『後でまたお話ししようね…!』手を振り
澱 カシル : 「お疲れ様でした……!」
スタジオと3人に一礼して、早足で退出する。
琵琶坂 藍依 : 「……業界の常識も身に着けて、カシルもすっかり一人前のアイドルだな」その小さな背中を見送る。
GM : カシルが出て行き、部屋にはアイと胡桃、そしてオーメンが残る。
オーメン相良 : 「……さて。藍依君、君にも確認したいことがある」
オーメン相良 : 「このメンバーだ。察しはついているだろうが……真実を公表するか否か、君の結論は出ただろうか」
琵琶坂 藍依 : 「……はい」
琵琶坂 藍依 : 「コヨミやユメ、カシルとも相談して決めました」
琵琶坂 藍依 : 「────かつての私と胡桃に起きたことのすべて、Seventh Heavenの闇に光を当てる」
琵琶坂 藍依 : 「私がトップアイドルになるには……」
琵琶坂 藍依 : 「いえ、マリスノの皆とこれから先の未来を歩むためには、必要なことだと思いますから」
オーメン相良 : 「……成程。すなわち……」
オーメン相良 : 「……Seventh Heavenとアークライトプロが抱える問題点、胡桃君の死の真相、そして君自身のことを全て公開する。間違いはないな」
GM : オーメンは一つ一つを確認するように、言葉にする。……胡桃が固唾を飲んで見守る気配。
琵琶坂 藍依 : 「……ええ」
琵琶坂 藍依 : 「これまで、私は"胡桃のためだ"と思って、真実の公表を避けてきた」
琵琶坂 藍依 : 「けど、他でもない胡桃に背中を押されたんです」
琵琶坂 藍依 : 「すべての真実を公表して、胸を張ってステージに立ってほしいと」
琵琶坂 藍依 : 「ですから、もう迷いません」
琵琶坂 藍依 : 「……噂によれば、芸能界には未だに胡桃のような被害者がいる」
琵琶坂 藍依 : 「あまつさえ、FHはそうした行為を推奨しているとか」
琵琶坂 藍依 : 「人々に夢を見せる芸能界が、そんな世界であっていいハズがない」
琵琶坂 藍依 : 「……この公表で光を当てることは、そうした業界の腐敗にメスを入れる事にも繋がる」
琵琶坂 藍依 : 「そう信じてます」
オーメン相良 : 「承知した。そこまでの考えがあってのことならば、私から君に言うことなど何もない」
オーメン相良 : 「公開に向け、手配を進めよう」
オーメン相良 : 業務的な発言。……そして、その後。
オーメン相良 : 「……よくぞ、決断してくれた。本来であれば、今後数十年と続く人生の岐路となるような判断を、まだ年若い君にさせるべきではない」
オーメン相良 : 「だが……君であれば、と信じて良かったと心から思う」
オーメン相良 : 「後のことは、我々年長者に任せたまえ。君は、君の信じた道を歩めば良い」
オーメン相良 : 「ありがとう、藍依君」
琵琶坂 藍依 : 「プロデューサー…………」
琵琶坂 藍依 : 「なんだか……真っ当な大人みたいですね……」
オーメン相良 : 「何を言う。私はいつだって真っ当だっただろう」キミの発言の含みに気づいていないかのような、とぼけた返答
琵琶坂 藍依 : 「真っ当なひとは、覗き魔なんてしないんですよ? ほんとに出会った時から変わりませんね?」くすりと笑って
オーメン相良 : 「……君はたまに、難しいことを言うな」はて、と言わんばかりに肩をすくめる
久能胡桃 : 『ふふっ……でも、本当にありがとう。わたしが直接表に出られたら良かったんだけど……また、苦労させちゃうね』
琵琶坂 藍依 : 「胡桃は心配しないで。こう見えてプロデューサーは、なんだかんだ頼りになる人だし、きっと大丈夫」
久能胡桃 : 『プロデューサーさんは大丈夫な人だって思ってるよぉ。だって、藍依がこれだけ懐いているんだもん』くすくす、と揶揄うように
琵琶坂 藍依 : 「え、ええ……? 私はそんなに懐いてなんか……! いや、信頼はしてるけど……!」
琵琶坂 藍依 : 「ていうか胡桃、私をからかって遊ぼうとしてるでしょう……!!」
久能胡桃 : 『そうかなぁ?ふふふ〜』
久能胡桃 : 『でも、同い年の子とか年下のファンならともかく、大人の人にこうやって接してる藍依って新鮮だったから……』
久能胡桃 : 『……環境に恵まれたのかなって。昔より、笑顔も増えたよね』頬に人差し指を当ててスマイル
琵琶坂 藍依 : 「そうかな……? でもまあ、環境に恵まれたのは、そうかもね……?」困ったように笑って
久能胡桃 : 『うん。……わたしね、ほんとに嬉しいよ』
久能胡桃 : 『……って、あれ?プロデューサーさん……?』
GM : 胡桃の声に、キミが後ろを振り返ると。
オーメン相良 : 「…………」オーメンは面への投影を忘れ、天井を見つめている。面の隙間からは液体……涙?が溢れている様子だ。
GM : 良いライブの直後、彼はこのような誤作動を起こすことがある。あまり気にせずとも良さそうだ。
琵琶坂 藍依 : 「うわ……プロデューサー、またバグってるよ……」バグだと認識している。
琵琶坂 藍依 : 「存在自体がバグみたいな人だし、気にしないでいいよ胡桃……最悪、叩けば直るからさ……」
久能胡桃 : 『え、えぇ……プロデューサーさんって人間だと思ってたんだけど、ココちゃんみたいなレネゲイドビーイングなの?』
琵琶坂 藍依 : 「ココより謎が多い存在だよ……なんか急に増えるし、意味不明の挙動をするし、誰も素顔とか見たことないし……」
久能胡桃 : 『……ほんと?それとも、わたしのことを揶揄ってる?』
琵琶坂 藍依 : 「本気と書いてマジ……人間ではあると思ってたけど、ほんとはレネゲイドビーイングだったりするのかな……」素顔を確認してやろうと、オーメンの仮面に手を伸ばそうとする。
オーメン相良 : 「NO」謎の液体──エンジェルハィロゥの能力で輝いている──を溢れさせながら、極めて冷静な声で制止しつつ君の手を避ける。
琵琶坂 藍依 : 「うう~ん……こういう感じで、いっつも正体を隠したがるんだよね……」謎だ……
久能胡桃 : 『……難しいねぇ…』
オーメン相良 : オーメンは、そそくさと部屋の隅から隅へと移動し、ドアへと辿り着く。
オーメン相良 : 一度面を撫で付けると……変面ショーの如く、普段のおたふく面へと戻った。
オーメン相良 : 「……要件は以上だ。事件が起きた昨日の今日だ、ゆっくりと休みたまえ」何事もなかったかのように
琵琶坂 藍依 : 「こっちの要件は済んでないんだけど、まあ良いか……そこまで素顔が見たい訳でもないし……」
オーメン相良 : 「私の面の下にはこれと同じ顔がある。見る意味はない」いつもの与太。本日の真面目な大人パートは終了らしい。
琵琶坂 藍依 : 「それはそれで面白いけど……」
琵琶坂 藍依 : 「まあ、プロデューサーのことは素顔を見られると死ぬ類の怪異だと思ってよう……」カシルちゃんの影響があって、少しホラー作品を見るようになった。
オーメン相良 : 「それは少し違うな。私の顔には、3回見ると死ぬ絵の入れ墨が3つ入っている。君が死んでしまうと私が困る、だから見せないということだ」感謝したまえ、と
オーメン相良 : 「では、またお会いしよう。胡桃君と仲良く過ごすと良い」
琵琶坂 藍依 : 「また適当なことを……」
琵琶坂 藍依 : 「────ともあれ、おつかれさまプロデューサー。公表の件、頼りにさせてもらうね」
オーメン相良 : 「ご苦労。後のことは任せたまえ」
GM : そう言い残し、彼は去っていった。……今度は、胡桃と二人きりだ。
久能胡桃 : 『あはは……なんだか、すごかったね。……わたしもちょっと、話したかったことがあったんだけどな……』
琵琶坂 藍依 : 「ウチのプロデューサーは、いつもああだから……」
琵琶坂 藍依 : 「それより、話したかったことって?」
久能胡桃 : 『あ……うん、そうだね。事前に……藍依にも、話を聞いてもらいたかったことなんだけど』
久能胡桃 : 『……今日、藍依が決断してくれたことより……もっともっと変なことなんだけど、怒らない?あと、笑わない?』
琵琶坂 藍依 : 「怒らないし、笑わないよ」
琵琶坂 藍依 : 「……と言いたいところだけど、コトと次第によるかな? とにかく、教えてほしいな?」
久能胡桃 : 『はぅぅ、そうだよねぇ……』
久能胡桃 : 『……でも……そうだね、話すよ』
久能胡桃 : 少し深呼吸。
久能胡桃 : 『えっとね。落ち着いたら……奈落華の活動をもう一度再開したいなぁって、ルコちゃんとユメミちゃんと話してたの』
久能胡桃 : 『今度は……UGNプロの元で』
琵琶坂 藍依 : 「UGNプロに、奈落華が!?」
久能胡桃 : 『う、うん……』こくりと頷く
久能胡桃 : 『こうやってビデオ通話で話せて……ネット環境も通じてしまうなら、つまり……って話になって』
久能胡桃 : 『お、おかしいよね、みんな死んでるし……ルコちゃんとわたしに至っては、元々表で活動してたんだし……』
久能胡桃 : 『でも……世の中には似た顔の人が3人いるらしいし、今は2人が冥界にいるなら全部で4人だし大丈夫っしょーってユメミちゃんが言い出して……なんか…なんか……みんなその気になっちゃって……』
GM : しどろもどろで言葉を繋げていく。そろそろ止めてあげたほうが良いだろう。
琵琶坂 藍依 : 「その猪突猛進な感じ、なんというかユメミらしいな」
琵琶坂 藍依 : 「けど、そっか……胡桃がまた、アイドル活動を……」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ……そっか、そっか……」
琵琶坂 藍依 : 笑わないで、と念押しされていたのに、思わず笑みを漏らしてしまう。
久能胡桃 : 『わ、笑った……酷いよぉ』めそめそ、と
久能胡桃 : 『で、でも、流石に顔を出したらまずいのはわかってるよ!カシルちゃんどころの騒ぎじゃないし!』
久能胡桃 : 『だから……顔を出さずに、匿名で活動するとか……そういうことを考えてたり……うぅ……』
琵琶坂 藍依 : 「ああ、ごめんごめん……馬鹿にするつもりじゃなくてさ……」
琵琶坂 藍依 : 「私、嬉しくって……胡桃が、またアイドルとして表舞台に立とうと思えた事が……」
琵琶坂 藍依 : 「同じ場所で、また一緒に活動できるってことが……!」
久能胡桃 : 『あっ……そっちかぁ……』やや安堵したように、目を細めて
久能胡桃 : 『……うん。奈落華での活動は楽しかったし……わたしってアイドルが好きなんだーって思い出させてくれたから。それにね』
久能胡桃 : 『……負けたくないの。藍依とは……やっぱり、隣に並んでいたいから』
久能胡桃 : そう、どこか悪戯っぽく笑う。
琵琶坂 藍依 : アイドルとしての自信を失くしていた、生前の胡桃では考えられない言動。
琵琶坂 藍依 : その闘志に満ちた親友の────
琵琶坂 藍依 : いや、新たなライバルの態度が、琵琶坂藍依にはこの上なく喜ばしかった。
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、私も負けるつもりはないよ?」笑い返す
琵琶坂 藍依 : 久能胡桃の魅力は、誰より知っている。カシルにだって負けていないつもりだ。
琵琶坂 藍依 : 彼女との出会いで、琵琶坂藍依の人生は大きく様変わりした。
琵琶坂 藍依 : だからこそ、また自分と並び立つ未来には、何の疑問もありはしない。
琵琶坂 藍依 : 「………もしかしたら、の仮定の話になるんだけどさ」
琵琶坂 藍依 : 何やら考える素振りを見せてから、話を切り出す。ありえるかもしれない未来の話を。
琵琶坂 藍依 : 「ジャーム化の治療方法が確立されたら、オーヴァード達の存在が世間に公表されるような日も来るだろう」
琵琶坂 藍依 : 「もしそうなったら、奈落華も顔を隠して活動する必要なんてなくなってくるハズ」
琵琶坂 藍依 : 「……いつかのその日には『マリスノ×奈落華の対バンイベント』なんてことも叶うかもしれない」
琵琶坂 藍依 : 「キミと二人で、またステージに立てるかもしれない」
琵琶坂 藍依 : 「────そんなことを思った。今度はきっと、ライバル同士になるね」
久能胡桃 : 『ジャーム化の治療かぁ……確かに、その技術があれば、オーヴァードじゃない人達も共存が可能になるんだね』
久能胡桃 : 『……表舞台に立つことはともかく……藍依と同じステージに立てることは、もうないと思ってたけど』
久能胡桃 : 『でも……なんだか、すっごく希望と、勇気を貰えたよ』
久能胡桃 : 『わたし、藍依には絶対に負けないよ。ずっとずっと追いかけさせて……一生、アイドル続けてもらうんだから』
久能胡桃 : そう言って、悪戯っぽくぺろっと舌を出す
琵琶坂 藍依 : 「胡桃はイチからスタートするんだから、追いかけてくるのはそっちの方じゃない?」
琵琶坂 藍依 : 「……でも、分かったよ」
琵琶坂 藍依 : 「私、キミが嫉妬しちゃうくらいの最高のアイドルで居続ける」
琵琶坂 藍依 : 「逆に言わせてもらうけど、私に追いつくまではアイドルは辞めないでよね」
琵琶坂 藍依 : 「……一生、追い抜かせてあげるつもりはないけど」その挑発するような言葉は、今度こそ"久能胡桃にアイドルとして生き続けてほしい"という願いだ。
久能胡桃 : 『えへへ……どうかなぁ。今のわたし、結構強いと思うよ?』
久能胡桃 : 『iRiSって最強のライバルが居るんだもん。だから……』
久能胡桃 : 画面越しに上目遣いでキミを覗き込む。
久能胡桃 : 『……今度こそ、永遠にアイドルを続けよう。どっちが勝っても負けても。……わたし、もう逃げたりしないって約束する』
琵琶坂 藍依 : 「…………ぜったい、約束だからね?」真剣な表情で見つめ返す。
久能胡桃 : 『もちろん。……もう破らないと誓うよ』
琵琶坂 藍依 : 「安心した……」その言葉に口元が緩む。
琵琶坂 藍依 : 「って言ってもいられないか……トップアイドルになるって目標の前に、強力なライバルが出現した訳で……」
久能胡桃 : 『そうだよぉ。奈落華、まだ世間にバレてないだけで……すごいんだから』ドヤ、と珍しくしたり顔をして
久能胡桃 : 『……わたし、本当に嬉しいよ。これから……また一緒に、頑張ろうね』
琵琶坂 藍依 : 「……うん、私も嬉しい。今なら空も飛べちゃいそうなくらい」
琵琶坂 藍依 : 「これからも、よろしくね胡桃────親友として、ライバルとして、私の最愛のアイドルとして」
久能胡桃 : 『……!』彼女はその言葉に、一瞬で頬を紅潮させ……そして、柔らかに微笑む。
久能胡桃 : 『……こちらこそ、よろしくね。藍依はいつだって、わたしにとって世界一大切で……世界一尊敬している女の子なんだから』
琵琶坂 藍依 : 「…………」胡桃の顔をじっと眺めた後
琵琶坂 藍依 : 「……なんだか、ヘンに改まっちゃったけど」照れくさそうに
琵琶坂 藍依 : 「さておき、今日のところは"私の勝ち"ってことでいいよね?」
琵琶坂 藍依 : 「さっきの胡桃、顔真っ赤になってたもんね?」
琵琶坂 藍依 : 「私は胡桃の上目遣いに耐えたけど、そっちは耐えられなかった」
久能胡桃 : 『えっ?ま、真っ赤になんてなってないよ!?いつのこと……!?』焦ったように目を丸くして
琵琶坂 藍依 : 「ふ~~ん……、そんなとぼけ方するんだ……」
琵琶坂 藍依 : 「良いよ? このビデオ通話、内容がぜんぶ保存されてるから」
琵琶坂 藍依 : 「胡桃の可愛い赤面も、ぜ~んぶ記録されてるんだけど? それでも、記憶にないのかな?」
久能胡桃 : 『録画なんて撮ってたの!?や、やだ、消してよ!わたし許可してない!』
久能胡桃 : 『真っ直ぐ好意をぶつけられて反応するくらい普通だよ!それに、上目遣いなんて、わざとやってるわけじゃないもん』
久能胡桃 : 『……あ。もしかして……藍依が過剰反応しすぎなんじゃない……?』両手の人差し指を向けて、ジト目で問う
琵琶坂 藍依 : 「ぇ゛……!? そ、そんなことないよ……?」
久能胡桃 : 『あーあ、藍依ってば恋愛脳になっちゃった!わたしのこと好きすぎぃ〜』えいえい、と意地悪そうに画面をつついてくる
琵琶坂 藍依 : 「恋愛……!? いや、違……うと思う……けど………!?」つい赤面して、しどろもどろで反論する。胡桃に対する愛情を、ハッキリとは分類できていないからだ。
久能胡桃 : 『……ふぅん』キミが気づいた頃には……胡桃は、ニヤニヤと慌てふためくキミを見つめていた。
久能胡桃 : 『やっぱり、今日のところはわたしの勝ちじゃないかなぁ?』
琵琶坂 藍依 : 「あっ……」
琵琶坂 藍依 : 頬が熱くなってることに気付いて、慌ててカメラを手で覆い隠す。
琵琶坂 藍依 : 「い、今のはノーカン! ノーカウント!!」
琵琶坂 藍依 : 「百歩譲ってカウントするにしても、引き分けじゃないかなあ!?」
久能胡桃 : 『どうかなぁ〜。まぁ、この件についてはわたしも勝ち負けには拘ってないし……』
久能胡桃 : 『引き分け、ってことにしてあげるっ』人差し指を立て、ふふんと笑う
琵琶坂 藍依 : 「うう……胡桃、前よりイジワルになったよね……」
琵琶坂 藍依 : 「好きなんだもん……、しょうがないじゃんか……」言い訳のような言葉を漏らし、揺れる瞳で胡桃を見つめかえす。
久能胡桃 : 『……ふふ』くすくす、と嬉しそうに笑って
久能胡桃 : 『……わたしも大好きだよ、藍依。今までもこれからも、きっと、もっとたくさん大好きになる』
久能胡桃 : 『だから……藍依は藍依のままで大丈夫。少なくともわたしの前では……ね』そう言って人差し指を口元に当て、ウインクして見せる
琵琶坂 藍依 : 「胡桃……」
琵琶坂 藍依 : 「そういうとこ、キミには敵わないな」
琵琶坂 藍依 : 「でも一つ、大事なことを思い出しちゃったんだけど良い?」
久能胡桃 : 『うん?なぁに?』
琵琶坂 藍依 : 「このやりとり、まだ録画されてるんだった……」恥ずかしそうに
久能胡桃 : 『あっ……』
久能胡桃 : 『……べ、別にいいもんっ。藍依が勝手に自分の首絞めてるだけだし、わたしは何も知らなぁい』ぷいっと目線を逸らして
琵琶坂 藍依 : 「胡桃も赤面したりとか、愛の告白とかしてたのに……」
久能胡桃 : 『だから、告白じゃないってば!も〜……』
琵琶坂 藍依 : 「まあ、見られても良いけどね……プロデューサーには見せつけるくらいの気持ちでいれば……」
久能胡桃 : 『プロデューサーさんに見せる必要はないでしょ!わたし達だけの秘密!』
琵琶坂 藍依 : 「UGNの人がそれで納得して、プライバシーを尊重してくれればいいけど……」
琵琶坂 藍依 : 「でも、二人だけの秘密か……うん、そうだね……」
琵琶坂 藍依 : 「いまさら人目を気にしても仕方がないし、ちゃんと改めて言っとこう」こほんと咳払いをして
琵琶坂 藍依 : 熱い眼差しを向ける。手の届くことのない画面の向こう側、冥界で再会の日を待ち続ける少女に。
琵琶坂 藍依 : 「────胡桃。何時でも何度でも言うよ」
琵琶坂 藍依 : 「キミのことを、誰より愛している」
琵琶坂 藍依 : 「キミは、私の光だ」
琵琶坂 藍依 : 「……私は胡桃から、人生を貰った」
琵琶坂 藍依 : 「今度は私が、キミを幸せにしてみせるよ」
琵琶坂 藍依 : 親愛か恋愛か、はたまた別の気持ちか。琵琶坂藍依には分からない。
琵琶坂 藍依 : ────けれど、それは紛れもなく『愛の告白』だった。
久能胡桃 : キミの言葉を聞き、胡桃は頬を染め……幸せそうに微笑む。
久能胡桃 : 『……その言葉、そのまま返させてよね。藍依……大好きだよ』
久能胡桃 : 『わたしは、あなたのお陰で生かされている。……ハーデスでもほかの誰でもなく、あなたなんだよ』
久能胡桃 : 『だから……これからも、よろしくね』
久能胡桃 : 彼女は、目を細めて笑う。
GM : 1つの部屋に、2人きり。キミ達が初めて会話した時も、似たようなシチュエーションだった。
GM : 思えばあの日から、色々なことがあった。2人の距離は、近づき、離れて、まるで打ち寄せる波が砂浜の模様を変えていくかのように、周囲を取り巻く環境は変化して。
GM : それでも……今、2人で居られるこの瞬間が、一番幸せだ。わざわざ示し合わせずとも……キミ達の心は通じ合っていた。

 
事務所
 
GM : カシルは、オーメンに指定された部屋の前に辿り着いた。誰が待ち受けているのかは分からないが……複数名いるのか、何やら話している声が聞こえてくる。
澱 カシル : 「失礼します。」
部屋をノックして、入る。
GM : 部屋に入ってみると。そこには、3人の人物がいた。2人はスーツ姿、恐らくはUGNエージェントだ。そして、あと1人。
ココ :  「アハハ、やっぱリ!人間って生理現象一つ取ってもホント~に面白いデスネ」
GM : UGNエージェント2名に挟まれる形でペラペラと喋っているのは、”MAC-09”ココだ。
GM : 塗装をリペイントしたのか、『冥界』で見た容姿と瓜二つ。……そして、彼女のお喋りに、エージェント達はどこか辟易とした様子だった。
ココ : 「ア、カシルサン!!ご無沙汰デスよォ」入室したキミに、彼女は手を振る
澱 カシル : 「ココさん! お元気そうで何より。」
「………ちょっとお元気過ぎるかもしれませんね?」
げんなりとした顔のエージェント達を見て
ココ : 「ハイ、元気デス!この通リ、エージェントサンとも仲良くしていマス」
GM : 両サイドのエージェント達は、首を横に振る。
ココ : 「カシルサンこそ、お元気そうデ……最近はイカがデスカ?」
澱 カシル : 「調子は万全。特番への練習も順調、といったところですね。」
うっすら微笑みを浮かべる
ココ : 「アハ、ソレは何よリ!放映を楽しみにしていマス!」満面の笑みを浮かべて
ココ : 「さてさテ……本日お呼び出ししたのハ、チョッとお知らセと……お別れを言いに来ましテ」
澱 カシル : 「お知らせはともかく……お別れ、ですか。」
「どこかに行かれるのですか?」
ココ : 「エェ、まァそのよウなところデス」
ココ : 「現在、UGNでハ今回の事件の事後処理が進んでいマス。灰出サンは凍結施設送リ、それト『冥界』自体も灰出サンの作成物なのモあって、安全性を審議中……通話こそ許可されましたガ、今後どうなるかは未知数デス」
ココ : 「で、デス。灰出サンは凍結施設に入った今、外に出ていて好きに動き回れて……一番危険なのって誰だと思いマス?」
澱 カシル : 「………"冥界"の官吏たる、ココさんでしょうね。」
ココ : 「ピンポン!俺、俺、俺俺俺俺デス」
ココ : 「無理はないのデスヨ。MARiNE SNOWの皆サマに危害を加えた履歴もあリマスし……これかラ、チョッと遠い支部で教育を受けてくるコトになりましタ」
澱 カシル : 「そうですか………。」
「とはいえ、安心しました。」
澱 カシル : 「FHに戻る……は無いにしてもゼノスに鞍替えとなれば、そうそう会えなくなりますし……」
「最悪の話、処分の可能性もあったのでしょう?」
ココ : 「処分!全然ありえマシたヨ、もしこの件にUGNプロサンをはじめとした目が無けれバ、それはモウ高確率デ」ワタシ、スゴイアンドロイドなのデ、と
ココ : 「だかラ……カシルサンと同じ組織にいられるコト自体、ありがたいコトデスよォ」
澱 カシル : 「ええ。ありがたいことです。」
「教育期間は待つことになりますが……」
「ココさんが良い子にしていれば、すぐ終わりますよね?」
暗にいい子にしておけという圧があるような気もする
ココ : 「キっと、そウなるデショウ!ワタシ、お勉強大好キデスし、天才デスかラ。今かラ少し楽しみなマデありマス!」
ココ : キミの言葉の意図を知ってか知らずか、能天気な口調だ。
ココ : 「……ただ……エト」少しだけ、歯切れが悪い調子で目を泳がせる
澱 カシル : 「……何か問題が?」
ココ : 「こういう状況でしテ……ノーマルの方が多く集う、カシルサンの……MARiNE SNOWのライブ会場にはしばらく行けそうにありまセン」
ココ : 「本当は……すぐにでも行きたかったのデスガ」そう、珍しく本当に落ち込んだ様子で唇を尖らせる。
澱 カシル : 「それは………こちらも残念ですね……。」
「ライブ映像はオーメンさんが全て執拗に録画した上で保管してはいるはずですが……」
澱 カシル : 「ようやく生のライブが見られるようになったのですからね。」
「なるべく早く帰ってこれるよう、こちらからもお願いしてみます。」
ココ : 「……ありがとうございマス。ワタシも模範囚として勤勉に務めマス……」しょぼしょぼしながら頷く
ココ : 「遠く離れたところとはなりマスガ、これからも応援していマスネ。カシルサン、これかラもどうカお元気デ……」
澱 カシル : 「あ……少しお待ちを。」
澱 カシル : 「奈落華の皆様はどうされるのですか?」
ココ : 「『冥界』の皆サマは実体がないのデ、諸々の緊急性・危険性が低いと評価されマシたヨ!まだお話しされテいまセンカ?」
澱 カシル : 「通話はしておりましたので、予想は立てていましたが……。やはり危険視はされていませんでしたか。」
「そうなると………。」
人差し指を口に当てて、天井を見る
澱 カシル : 「ココさんには尚更、すぐに戻ってきてもらわないと。」
「おそらく奈落華の皆さん………特に今の胡桃さんは、奈落華としての活動再開を提案するんじゃないでしょうか?」
澱 カシル : 「本来の胡桃さんなら、今の藍依さんとわたくしを見て黙っているはずもなく。」
やや自信過剰な発言である
ココ : 「エッ!?そ、そんなコトありマス……!?最近、奈落華の皆サマとはお話ししてなかったのデスガ……」驚いたように
ココ : 「……そんな感じの雰囲気、デシたカ?」
澱 カシル : 「はっきり口にするところは聞いていませんが、雰囲気はありましたね。」
ココ : 「ホァァ……」
ココ : 「……そウ、デスカ……カシルサンがおっしゃるなラ、きっとそうなのでしょウ」
ココ : 「……ヤ、デスもんネ。帰ってくるのが遅れて、新メンバー扱いだナんテ」
澱 カシル : 「理由はどうあれ、メンバーが欠けるのは寂しいですから。」
自由奔放だった"彼女"を一瞬思う
澱 カシル : 「それに、今やココさんも立派なわたくしの好敵手ライバルですので……!」
澱 カシル : 「叶うなら、アイドルとして切磋琢磨し合う関係でいたいですね……!」
ココ : 『ライバル』。キミの言葉に、ココは目を丸くする。
ココ : 「そ……そうデスカ……いやァ、何だかワタシ如キが烏滸がましいといウか、何と、言いマスかァ……」
ココ : 「でも……嬉しいデス。アナタに、そウ言ってもらえテ」胸元できゅっと手を握る。
ココ : 「なラ……確かに、早く帰って来ないとデスネ!その前に、カシルサンのアイドル姿を拝んで学習させテいただきマス!」
澱 カシル : 「今ここで、ですか?」
ニヤリと笑う
ココ : 「そんな贅沢なコトありマス!?」
ココ : 「違いマスよォ、普通にライブ会場に見に行くのデス!」
澱 カシル : 「あら。意外にも無欲ですね。」
「そういうことでしたら、舞台でお待ちしています。」
「マリスノはいつでも全力最高のパフォーマンスでお応えしますから……!」
ココ : 「ちゃんト正規ルートで見させてもらいマス!新規ファンはお行儀良くしなくてハ」
ココ : 「……本当に、楽しみにしてマス。どうカ、お元気デ……」
澱 カシル : 「ええ、お元気で。」
小指を立てて、指切りを誘う。
ココ : 「これハ……あァ、指切リデスネ!どうしマス、原本通り小指の先だケお渡ししても良いのデスガ……」きゅぽ、と関節を外して見せてくる
澱 カシル : 「なるほど? 小指、交換しておきますか?」
悪戯っぽい笑みを浮かべつつ、にゅぽ、とやや気味の悪い音で小指を外す
ココ : 「わァ、良いデスねェ〜!」
GM : キャッキャと喜ぶココ。だが、隣のUGNエージェントが一つ咳払いをしたところでハッとする。
ココ : 「……これ、あまリ人間社会的には良くないデスネ?」
澱 カシル : 「ええ。流石に小指が無いのがバレたら、ファンの方々も驚くでしょうし。」
ココ : 「ムム……カシルサンが反社会的と思われるのは良くないデスねェ」
ココ : 「でハ……こっち、デスかネ?」ココも小指を出す
澱 カシル : 「一般的な方にしておきましょう。」
小指を絡める
澱 カシル : 「近い日の再会をかしって。」
ココ : 「……何だか素敵デスネ、呪いっテ。人間の想いはどのような形でもロマンチックデス」小指をにぎ、と動かして
ココ : 「ワタシからも……再会と、カシルサンの益々のご活躍をお祈リしマス」
ココ : 「でハ。指切りげんまん……」
澱 カシル : 「嘘ついたら、針千本飲ーます……!」
ココ : 「指切っタ!」
澱 カシル : 「指切った!」
澱 カシル : 「………よし。ではまたお会いしましょう。」
ココ : 「……ハイッ!明日にでモ出てきちゃいマスかラ……覚悟、してくださいネ?」フフン、とウインクをして
澱 カシル : 「ふふ、当日でもいいんですよ?」
微笑みながら、手を振る
ココ : 「そこハ、カシルサンのコネを活用させていただきマスよォ」
ココ : 「それでハ……また、お会いしましょう」
GM : ……この日の翌日。改めて、MARiNE SNOW全体への感謝とお別れを……と、電話があった後、彼女は正式に別支部へと配属となった。
GM : だが、キミは予感していた。ココはすぐに戻ってくるだろうと。
GM : 目を閉じるだけで思い浮かぶのだ。客席で振られるピンクキミ色のペンライトと、マゼンタピンクに輝く彼女の瞳。
GM : そして……いつかは同じステージで、彼女と並び立つ日のことを。

GM : 時は11月下旬。まだまだ、冬は始まったばかりである。出航するには肌寒い季節だ。
GM : だが、冬が終われば春が来る。東風は花々の香りを運び、次の海へと旅立つキミ達の背を押すだろう。
GM : ───風待ちの少女達は、水平線の向こう側に夢を見る。

Scene 12 悲しみの海に虹を溶かして

GM : ユメさんのエンディングシーンです。
 

 
夏橙涙美の部屋
 
GM : 『奈落華』との通話が許可された日の晩。キミの自室にて。
春兎ユメミ : 『うあ~!まさか、Clunmblesが晒しで燃やされてたなんて!!』
春兎ユメミ : 『良い曲作るバンドだったのにさぁ……!めそめそめそ……』
GM : そう、めそめそとわざわざ口にしているのは、キミの親友である春兎ユメミだ。
GM : 今は、己の死後の音楽業界をネットで調べ(こちらも通話と同タイミングに許可されたようだ)、嘆いているところだった。
虹之元 ユメ : 「2、3年と言えども音楽界は激動ですからねぇ……。SNSの功罪もあるというか……」 こんな事もあったなぁ、とネットサーフィンを楽しんでいる
春兎ユメミ : 『ね〜!浦島太郎みたいだよぅるみるみ〜』
春兎ユメミ : 『しかもソースが捏造だったって、後から判明したんだって!酷くない!?』
虹之元 ユメ : 「う、うわぁ……。こういうのって、冤罪というのがわかっても大多数の人はもう興味ないヤツですよね……」
春兎ユメミ : 『そう!可哀想に、今も人気が戻ってないんだって……』
春兎ユメミ : 『……誰だよ、この晒した『らみぃどらいぶ』って!』
虹之元 ユメ : 「(も、もしやかと思ってたけど……やっぱりあの二人が関わってた……!!)」
虹之元 ユメ : 「ぁ、あはは~……。活動自体は困ったものですけど、憎み切れないというか……」口をもにょもにょさせて
春兎ユメミ : 『え゛!?るみるみ、そういうの見る系だっけ……!?』
虹之元 ユメ : 「あ、ああいえ! 興味はないんですけど、ちょっと借りがありまして」
虹之元 ユメ : 「ハーデスの研究所に乗り込んだ時に、それはもうたくさんのココちゃんのそっくりさんにお出迎えを受けたんですよ」
虹之元 ユメ : 「これじゃあ厳しいかも……なんて思ったその時に、私達を進ませるために殿を受け持ってくれたのが"らみぃどらいぶ"のお二人だったんです!」
春兎ユメミ : 『え゛ぇ゛っ!?も、もしかして……潜水艦に一緒に乗ってたちっちゃい子達が……!?』
虹之元 ユメ : 「そうなんです! 思えば、紹介はしてなかったですね?」
春兎ユメミ : 『知らなかったぜ〜……なんか2人分、高い声が聞こえるなぁって思ってたけど……』
春兎ユメミ : 『なら……るみるみがそう思うのも仕方ないかぁ。仕方ない……か……?』
虹之元 ユメ : 「活動スタイルはあまり……そこ、そこ……まあまあ? 褒められたものでは無いのですけど……」
虹之元 ユメ : 「あみぃちゃん、らむねちゃん。お二人にも色々あったみたいですし、少し離れて見守ってあげるのもいいかなって……」
虹之元 ユメ : 「そう思うと、どこか憎めないんですよね~……」うぅん、と困った笑顔を浮かべて
虹之元 ユメ : 「性格についてはまあ……コメントは差し控えさせてもらいます」
春兎ユメミ : 『るみるみがノーコメントって、相当なレベルなんスけど……』
春兎ユメミ : 『まぁ……そういうコトなら、アタシからもコメントは控えようかなぁ……』もにゃ…と口を動かして
虹之元 ユメ : 「ですねぇ……」あみらむの小悪魔じみた表情が脳裏を過ったので、隅へ追いやっていく
春兎ユメミ : 『全く……世の中、明るいニュースばかりとはいかないぜ……』唇を尖らせる彼女だったが……ふと顔をあげる
春兎ユメミ : 『……ってヤバ、0時過ぎてるじゃん!明日って仕事!?』目を見開く
GM : 現在、アイドル活動は休止中である。個人的な用事がない限り、明日は特に予定がないだろう。
虹之元 ユメ : 「え、えっと……休みです!」
春兎ユメミ : 『そっか……でもダメだぞ!寝れるうちに寝る!』
春兎ユメミ : 『ほらっ、電気消して!ベッドに横になって!』ぽんぽん、と手を叩く
虹之元 ユメ : 「ユメミちゃんがお母さんになっちゃった……! わ、わかりましたよぅ~……」 いそいそと寝る準備を始める
春兎ユメミ : 『それでよーし!』彼女もまた、そそくさとパジャマに着替え始める……

GM : ……各々が就寝準備を済ませ、ベッドに横たわる。
春兎ユメミ : 『なんだか学生時代も似たような感じだったな〜……懐かしいや』ふふん、と嬉しそうに
虹之元 ユメ : 「こうやって夜中までお話したりしましたね~……。好きなアーティストとか、話題のスイーツとか……」モコモコのパジャマに袖を通して、楽な姿勢を取る
春兎ユメミ : 『話したな〜!クレープにタピオカに……って、もしかしてこの辺のスイーツブームはもう終わってたりする?』
虹之元 ユメ : 「タピオカは~……ブームは終わっちゃいましたけど、一つのメニューとして定着した感じはありますね」
虹之元 ユメ : 「それで言うと、少し前に流行った食べ物といえば……10円パン? だったかな。中にチーズが入った円形のパンがあったんですよ~」
春兎ユメミ : 『10円パン!?何それ、10円で食べられるの!?』
虹之元 ユメ : 「あははっ、ではなくてですね」
虹之元 ユメ : 「10円を模した形のパン……元は韓国の10ウォン硬貨を模したもの、らしいですよ?」検索結果をユメミに共有しながら、10円パンの写真を見せる
春兎ユメミ : 『ほぇぇ、美味しそう。今回の韓国ブームはだいぶ長いんだなぁ……』感心したように
春兎ユメミ : 『……でも、アタシの学生時代になくてよかったわ。10円握りしめて行って、恥かきそうだもん』むむー、と食べてもいないのに厳しげな顔
虹之元 ユメ : 「あ~……、ふふ……」10円パンの屋台の前でうな垂れているユメミの姿を想像してしまい、思わず笑ってしまう
春兎ユメミ : 『こらっ、笑うなー!』
春兎ユメミ : 『……まぁ、良いけどさぁ。いつかはそっちに身体を出せるようになれたらなぁ……ココばっかずるいよ〜』あーん、と泣き真似をしながらジタバタして
虹之元 ユメ : 「ふふ、ごめんね? でもそうですね……ユメミちゃんや、ルコちゃんや胡桃ちゃん。奈落華の皆がこっちに来られたら……」
虹之元 ユメ : 「もし、外に出られるようになったとしたら……。ユメミちゃんは最初に何をしたいですか?」
春兎ユメミ : 『ん〜、そうだなぁ。色々あるけど……家族に会うとか言い出すとガチ幽霊すぎてヤバいから、それは抜きにして……』
春兎ユメミ : 『……やっぱ、るみるみとのデートですかな〜?』ニヤリ、と笑って
虹之元 ユメ : 「ぇ、え~?」 少し気恥ずかしそうに
虹之元 ユメ : 「……なんて、いいですよ。行きましょうよ、デート!」 気恥ずかしい表情から一転して、少し前のめりに
春兎ユメミ : 『っしゃ、やりぃ!じゃあ、次の予定を……』
春兎ユメミ : 『……と、そういえば身体ないんだった……もしもの話で盛り上がっちゃったぜ』しょんぼりして
虹之元 ユメ : 「それでも、先の予定として組んでおくのも良いかもしれませんよ?」ん~、と思案しながら
虹之元 ユメ : 「来年の事を言えば鬼が笑う……なんて言いますけど、先の楽しみを作っておくと考えれば悪い事ではないですし、ね?」
春兎ユメミ : 『……確かに。良いこと言うじゃん、流石アイドル』指をパチンとして
春兎ユメミ : 『今から死ぬまでにやりたいことベスト1000作っちゃおうかな〜』
虹之元 ユメ : 「せ、1000も!? リストアップするだけでも1年かかっちゃいそう……!」
春兎ユメミ : 『行ける行ける!死ぬまでにっつっても死んじゃったから、時間はいくらでもあるし〜』嫌なジョークだ
虹之元 ユメ : 「それ、笑えませんよ~?」ムスッとした顔で画面をツンと突っついて
春兎ユメミ : 『や〜ん、失礼!』キャ、と目を閉じて
春兎ユメミ : 『…………』
春兎ユメミ : ……その後、静かに目を開く。キミは、彼女の纏う雰囲気が変わったことを肌で感じる。
春兎ユメミ : 『……ねぇ、るみ?』
虹之元 ユメ : 「……なんですか?」 うつ伏せの体勢で、ユメミを見つめる
春兎ユメミ : 『……あの、さ……えっと……あぁもう、こういう時は上手い言葉が出ないのね!!』頭をわしゃ、とかいて
春兎ユメミ : 『前の、るみの告白!!……今、改めて返事してもいい?』キミに向かって、上目遣いで
虹之元 ユメ : 「……はい、もちろんです」少しだけ目を伏せてから、再びユメミと視線を交える
春兎ユメミ : 『………うおお……待って、どうしてそんな真っ直ぐ向き合えるんだよ……緊張が………』頭を抱えてしばらくフリーズする
虹之元 ユメ : 「ふふ、ゆっくりでいいですよ。ほら、深呼吸、深呼吸」 目を薄く閉じて、クスクスと微笑む
春兎ユメミ : 『うぅ、情けない……』すー、はー、と深呼吸
春兎ユメミ : 『……っし。サンキュー……改めて、だね』ふぅ、と息を吐いて。
春兎ユメミ : 『るみ。アタシ……気持ちの整理がついたよ』
春兎ユメミ : 『アタシは、るみのことが好き』
春兎ユメミ : 『あの日、命を投げうってでも、るみを助けたいと思った時点で……結論は出ていたんだ』
春兎ユメミ : ユメミは画面に触れ、キミを見つめる。
春兎ユメミ : 『世界中の何よりも、るみのことを愛してる。この先現れる誰よりも、るみのことを愛している自信がある。これからも、傍で守り続けるから……アタシの傍に居てくれないかな?』
虹之元 ユメ : 「────────」ほんの一瞬だけ、瞼を閉じる。瞼の裏には走馬灯の如く映し出される、彼女との思い出。
虹之元 ユメ : その全てが愛おしく、別れは痛ましく……。そうして再び、彼女と共に肩を並べて歩むことが出来ることが何よりも……。
虹之元 ユメ : 「嬉しい、です……」
虹之元 ユメ : 「はい……! 私も、ユメミちゃんを傍で守り続けます……! だから……」
虹之元 ユメ : 「どうか、よろしくお願いします……!」 満面の笑みに、暖かな涙が伝う。
春兎ユメミ : 『……勿論。随分と待たせちゃってごめん……』キミの涙を拭うように、また画面に触れて
春兎ユメミ : 『……アタシ達の関係性に名前はいらない、とも思ったけど……距離がある今だからこそ、意味があると信じてるよ』
春兎ユメミ : 『もう、枷になるって心配はないから。……るみが、そんな未来にアタシを連れて行ってくれたから』
春兎ユメミ : 『だから……これからもよろしくね、るみ』
虹之元 ユメ : 「はい、はい……っ」 枕を涙で濡らしながら、言葉の一つ一つに頷く
虹之元 ユメ : 「この先も……奈落華が、MARiNE SNOWが、私達が歩む未来は……」
虹之元 ユメ : 「きっと、良い物になるに決まってます……!」
春兎ユメミ : 『あたぼうよ。アタシ達、最強のユメユメコンビが揃ったんだ……』
春兎ユメミ : 『もう、未来に怖いもの無しってね!』にひひ、と笑って
虹之元 ユメ : 「もちろんです! 私たちの声を、世界に響かせますよ!」画面の前でピースを掲げて
春兎ユメミ : 『そそ!アタシらが再結成した世界は明るいってコト!』同じくピースを返す
春兎ユメミ : 『今後は毎晩……通話する?ちょっとは彼女っぽいかなって……生きてた頃も似たようなもんだった気がするけど……』へへ、と笑い
虹之元 ユメ : 「恋人になっても、ルーティンは変わらなさそう……。もちろん、これからもた~くさん話しましょう?」 クスっとしてみせて
春兎ユメミ : 『そうね〜……ある意味安心だわ。アタシ、この感じだ〜い好き……』少しだけ、夢見心地な声でむにゃ…とした話し方になる
虹之元 ユメ : 「ええ……私も、ユメミちゃんとゆっくり過ごす時間が……」ふぁ……、と小さく欠伸をして
春兎ユメミ : 『……もっともっと続くよ、今日みたいな日が……さ』
春兎ユメミ : 『おやすみ、るみるみ。……また、明日ね……』
虹之元 ユメ : 「はぁ~い……夢でも会いにきてくださいね~……」気の抜けた冗談を零して
春兎ユメミ : 『まかせろ〜ぃ……』おどけた声で返し……
春兎ユメミ : ……程なくして、彼女の小さな寝息が聞こえてくる。
虹之元 ユメ : 「……おやすみなさい、ユメミちゃん……」
虹之元 ユメ : 「愛してますよ」マイクが拾えるかも怪しい小声で、愛を囁いた
虹之元 ユメ : そっと画面を撫でて、胸にスマホを抱く。
ゴロンと寝返りをうち、暖かく包まれる様な微睡みに身を任せながら……ユメは瞼を閉ざしていった。
虹之元 ユメ : 穏やかで、恐れる必要のない微睡みの中へと……。深く、ゆっくりと……。
GM : ……その日、ユメは夢を見なかった。何かしらの夢は見た可能性もあるが……起きた時、その記憶は残っていなかった。
GM : もう、辛い夢を見る必要はない。だって、夢見たその先が、キミの生きる輝く未来へと繋がっているのだから。

GM : 翌朝、キミの部屋。未だに呑気にすやすやと眠る、ユメミの寝息が響いていた。
虹之元 ユメ : 「ふぁ……」快眠の微睡みから目覚めていくのを感じながら、寝返りを打つ。
虹之元 ユメ : ……ふとスピーカーから聞こえる、穏やかな寝息。ついつい、くーくーと可愛らしく眠るユメミの姿を想像してしまう。
虹之元 ユメ : 「……おはよーございまーす」ひそひそと、囁くように挨拶する。
春兎ユメミ : 『ふに……すぴぴ……』やや変な寝息が返ってくる。キミの囁き声では起こさないほど、よく眠っている様子だ。
虹之元 ユメ : 「くふっ……」思わず笑ってしまったが、微笑ましそうに
虹之元 ユメ : 「起こすのも悪いですし、もうちょっと寝かせてあげましょうか……」
虹之元 ユメ : 「ん、んん……っ。それにしても……」グッと背を伸ばし、一息つく
虹之元 ユメ : 「いい朝、ですね……」
虹之元 ユメ : 窓辺から差し込む光に照らされたギターを手にして、スローテンポなら旋律を奏でる。穏やかで、未だ夢中であるかのような、ゆったりとした曲……。
虹之元 ユメ : 訪れた幸せを噛みしめ、輪郭をなぞるように弦を弾く。ユメのハミングを交えたそれは、朝の訪れに溶け込んでいくのだった。

Scene 13 MARiNE SNOW

GM : PC共通エンディング、そしてこのシナリオ最後のシーンです。
 

 
クリスマスの街
 
GM : クリスマス特番、収録当日。時刻は18時頃。
GM : 予定通りにリハーサルを終えたキミ達だったが、共演者のスケジュールの都合上、収録順が後回しとなり……
GM : 空き時間を利用する形で、マネージャーのミツキと共に、テレビ局近くで開催されているクリスマスマーケットを見て回っていた。
GM : 夕方と言っても、随分と日が短くなった。夕焼けと紺色が混じる空に、イルミネーションが輝き、鈴の音やトレモロが響く中。
GM : 人々はちょっとしたプレゼントを買ったり、屋台のチキンやスープ、アップルサイダーを口にしたりと、幸せなひと時を過ごしている。その顔に浮かぶのは、笑顔だ。
GM : キミ達が守った『日常』の光景だった。
虹之元 ユメ : 「わあ、すっかりクリスマス一色ですね!」 写真を撮ったりしている
天海こよみ : 「ほんとだね……。みんな楽しそう……」
澱 カシル : 「わぁ………これがクリスマスの出店ですか……!」
クリスマスマーケットなるものを見るのはカシルにとって初めてのことだ。
琵琶坂 藍依 : 「この時期はほんとに人が多いな、皆はぐれないようにね」引率の先生みたいな事を言っている。
天海こよみ : 「だいじょうぶだよ、まいごにはならないから……」 ミツキと手を繋いでいる
十条ミツキ : 「ん、そうだね」こよみの手を握って微笑む
澱 カシル : 「雑貨を扱う屋台ですか、面白いですね……」
ふらふらと人形や香水を置いた雑貨の屋台に歩いていく
天海こよみ : 「あ……カシルちゃん……! はぐれちゃうよ……!」
虹之元 ユメ : 「カシルちゃ~ん! 人混みに揉まれちゃいますよ~」 いつの間にか買っていたホットワイン(ノンアル)を手にしている
琵琶坂 藍依 : 「何か気になるものがあったのかな?」一人はぐれないようにカシルについていく
澱 カシル : 「あっ……、ごめんなさい。テディベアが置いてあったので、親近感からつい……」
天海こよみ : 「テディベア……くまさん?」 屋台を覗き込む
澱 カシル : 「ええ、そうです。大切にしている方が多い分、中には強い想いのあまり呪いに目覚める子もいるかも……なんて。」
天海こよみ : 「そういうものなんだ……」
天海こよみ : 「ぼくはサメさんの方が好きだけど、かわいいね……ルコちゃんはこういう子、なんだか好きそう……」 テディベアを手に取って眺めながら
澱 カシル : 「確かにルコさんはゴシック趣味がありそうですし、プレゼントに良いかもしれませんね……!」
天海こよみ : 「プレゼント……」
天海こよみ : 「買おうかな……。わたせなくても、見せることはできるし……」
澱 カシル : 「ココさんが戻られたら、冥界に取り込んでもらえるかもしれませんし。」
頷いて
琵琶坂 藍依 : 「世間で言うところのクリスマスプレゼントか、良いかもね?」クリスマスを祝う習慣がなかった家庭。
天海こよみ : 「みんなも何か、買う……?」
澱 カシル : 「あら、お土産のつもりでしたが……。そのような習慣があるなら好都合ですね。」
虹之元 ユメ : 「いいですね! プレゼントの交換会なんかもしてもいいかも?」
澱 カシル : 「まずはオーメンさんにミツキさん、海里さんに海霧さん、妹さんたちの分は今回どうしましょう……あとはココさんに胡桃さんの分……」
誰に用意するか指折り数える。
天涯孤独だったカシルにも、折る指が随分増えた。
琵琶坂 藍依 : 「海霧の妹達にまで贈ったら、予算オーバー待ったなしだよ……! みんなのジャーム化が治ったらにしな……!?」
天海こよみ : 「持って帰るのもたいへんそう、だね……」
虹之元 ユメ : 「それこそサンタさんみたいな大袋が必要になっちゃいますね~」
澱 カシル : 「ではお二人分にしておきましょう……妹さん達の分も込めて、飾れるモノにすれば海霧さんもむくれないはず……」
天海こよみ : 「うん……それがいいよ……」
天海こよみ : 「そういえば、サンタさんと言えば……」 ユメの言葉で思い出したように
天海こよみ : 「みんなは、もうおねがいした? サンタさんのプレゼント……」 曇りのない目で聞いてくる
澱 カシル : 「はあ、サンタさん。返り血で真っ赤な服を着ているという……?」
変な映画からの知識ばかり増えている
天海こよみ : 「え……!? 返り血……!?」 
琵琶坂 藍依 : 「それ、どのサンタ……?」
虹之元 ユメ : 「な、なんか映画のポスターで見たことあるようなサンタ……!」
虹之元 ユメ : 「で、ではなくてですね……。一般的な、良い子にプレゼントをくれるサンタさんですよ」
琵琶坂 藍依 : 「良い子でいても、プレゼントをくれないサンタさんもいるけどね」
虹之元 ユメ : 「私は~……最近お願いしてませんでしたから、今年はお願いしてみるのも良いかもですね」こよみの夢を壊さないように
澱 カシル : 「良い子ですか……。」
「わたくしはちょっぴり悪い子になってしまったので、望み薄ですね……。」
琵琶坂 藍依 : 「そうかな、カシルはじゅうぶん良い子じゃない?」笑顔で頭を撫でつける。
澱 カシル : 「あっ、藍依さんは意地の悪い方ですね……!」
「ただ良い子を目指して、自分を縛るのは辞めたので。すこし悪い子でいいんです……!」
藍依の手を避けようとするが、人混みの中では上手くいかない
琵琶坂 藍依 : 「別にイジワルで言ったつもりはないんだけどな? まあ、カシルが良いんならそれでも」相手が避けようとしても、構わず撫でている。
天海こよみ : 「…………」 藍依がそうやってカシルの頭を撫でて上げてるのを見ながら、ずっと考えて
天海こよみ : 「……ねえ、藍依ちゃん」
天海こよみ : 「もしかして、藍依ちゃんのとこには……サンタさん、来てなかったの……?」 不思議そうに聞く
琵琶坂 藍依 : 「…………」
琵琶坂 藍依 : 「どうして、そう思ったのかな」カシルを撫でる手が止まる。
天海こよみ : 「だってさっき……いい子でいてもプレゼントをくれないサンタもいるって言ってたから……」
天海こよみ : 「それに、なんだか藍依ちゃん……少しさびしそうに見えた気がして……」 藍依を見上げながら言う
琵琶坂 藍依 : 「そっかそっか、私としたことが迂闊だったな……」
琵琶坂 藍依 : 「ん~、そうだね……そのことを話そうとすると、楽しい空気に水を差すことになっちゃうかもしれないんだけど……」少し屈んで、こよみに目線を合わせ
琵琶坂 藍依 : 「それでも、いい?」困ったように笑う
天海こよみ : 「うーん……」
天海こよみ : 「ぼくはぜんぜんいいし、気になるけど……」
天海こよみ : 「藍依ちゃんがしたくない話なら、むりに話さなくてもいい……かな……」 少し申し訳なさそうに
琵琶坂 藍依 : 「話したくないって訳じゃないよ」こよみの頭を安心させるように撫でて
琵琶坂 藍依 : 「心配してくれてありがとう。それなら、ぬいぐるみの列に並びながら少し話そうか」
天海こよみ : 「うん……みんなもそれでいいなら……」 楽しい空気に水を差すとのことなので一応確認する
十条ミツキ : 「……藍依は、無理してない?それなら良いけど……」
琵琶坂 藍依 : 「大丈夫だよ、もう折り合いをつけた昔の話だからね」
澱 カシル : 「藍依さんとこよみさんが良いのであれば構いませんよ。」
琵琶坂 藍依 : 「できるだけ皆には隠し事はナシにしたいし、誰かに話したいって気持ちもない訳じゃなかったから、丁度いいかな」
虹之元 ユメ : 「もちろん、藍依さんがよろしければ……聞かせてください」
琵琶坂 藍依 : 「……みんなありがとう、それじゃ少し聞いてもらおうかな」
琵琶坂 藍依 : 「さて、どこから話せばいいか」天を仰いで
琵琶坂 藍依 : 「────ユメが『サンタクロースは良い子のところに来る』って言ってたじゃない?」
琵琶坂 藍依 : 「でも、それって多分、ちょっとだけ違うんだよ」
虹之元 ユメ : 「と、言いますと……」 もちろん、等しく人々の元にやってくるとは思っていないが、藍依の言葉の続きを待つ
琵琶坂 藍依 : 「良い子と良い親、どちらも揃ったところにしか来れないんだ」
琵琶坂 藍依 : 「……ウチは早くに両親が離婚しててさ」
琵琶坂 藍依 : 「たった一人の肉親だった母も、私をほったらかしにして、家にほとんど帰らなかった」
琵琶坂 藍依 : 「クリスマスは特に、”彼氏”とのデートがあったから尚更ね」
琵琶坂 藍依 : ホストクラブのクリスマスイベントのことを、コヨミのためにボカして伝える。
天海こよみ : 「……そうだったんだ」 悲しそうにしながら聞く
琵琶坂 藍依 : 「良い親では、ないよね。そういう訳で、ウチにはサンタクロースはやってこなかったの」
琵琶坂 藍依 : 「────私は寒い部屋でひとり、毛布にくるまってテレビを見てたりしてたっけ」目を閉じて、当時のことを思い出す。
琵琶坂 藍依 : 「テレビの中では、若手タレントやアイドル達が、大して面白いことがあった訳でもないのに、なんだか幸せそうに笑いあってて……」
琵琶坂 藍依 : 「うらやましいって気持ちすら湧かなかった。なんだか別の世界のことみたいに感じられてさ」
琵琶坂 藍依 : 「普通の家庭は、クリスマスはチキンとかケーキとか食べながら見るんだろうけど、ウチにそんなものはなくて」
琵琶坂 藍依 : 「かろうじて食べられるものは、お菓子と買い置きの冷凍パスタくらい」
琵琶坂 藍依 : 「電子レンジが高いところにあって、小さい私には使えなかったから、人肌でなんとか温めて食べようとしたり……いま思うと、酷い生活してたな……」
十条ミツキ : 「酷……ド真ん中にネグレクトじゃん……」思わず絶句しながら話を聞き
澱 カシル : 「それでも、どうにか生きてこられたのですね。」
虹之元 ユメ : 「そんな、過酷な幼少期を……」
琵琶坂 藍依 : 「ね、面白い話じゃないでしょ? 胡桃にも話してないくらいだし」気にしてないように笑って
天海こよみ : 「……面白くは、なかったけど……」
天海こよみ : 「でも……聞けて、よかった……かも。藍依ちゃんって、ずっと……自分の家の話、したことなかったから……」
琵琶坂 藍依 : 「ロクなエピソードないからね……なんだか不幸自慢みたいになっちゃうし……」
琵琶坂 藍依 : 「ただ、同情してほしい訳じゃなくて────人には人の、十人十色の苦悩があると思うんだよ」
琵琶坂 藍依 : 「私には"サンタクロース"が温もりをくれなかった事がそれで、ハーデスにとっては推しを失った事がそれだったんだ」
天海こよみ : 「……そうだね」
天海こよみ : 「あの……同情してるわけじゃないんだけど……」
天海こよみ : 「ずっとさびしいクリスマスだった分、これからは……藍依ちゃんにとって楽しいクリスマスになってほしいな、って思う……かな……」
虹之元 ユメ : 「そうです……! 今は私達や、胡桃ちゃんだっていますし……!」
澱 カシル : 「ええ。それに、今は………。」
「本物がおらずとも、偽物のサンタクロースがプレゼントを差し上げられますから。」
澱 カシル : 皆がカシルの方を見ると、いつの間にか《擬態の仮面》の悪用でヒゲを生やしたカシルがいた。
赤いベレー帽の先に白い毛玉のアクセサリーを乗せて、大まじめにサンタのつもりらしい。
天海こよみ : 「あ、サンタさんだ……!」 カシルを見てくすくす笑う
十条ミツキ : 「ありゃ、カシル先生ったら……」少し苦笑して
虹之元 ユメ : 「可愛らしいサンタさんが来てくれましたね」微笑ましそうに
琵琶坂 藍依 : 「……こうして直接、サンタクロースに会うのは初めてだ」微笑んで
琵琶坂 藍依 : そっと身を屈めると、カシルをぎゅうっと抱き締める。
琵琶坂 藍依 : 「ふふ。プレゼントなら、このまま貰っていこうか」人目も憚らず、耳元で言う。
澱 カシル : 「サンタさんごとお持ち帰りするような悪い子にはプレゼントがありませんよ……!?」
生やした髭でぺしぺしと嗜める
琵琶坂 藍依 : 「あたた……! もう冗談だって、半分くらい……!」そっと離して
澱 カシル : 「全くもう……一言余計なのですから。」
「さて……ホッホッホー。メリークリスマス。」
「………これであってるでしょうか?」
澱 カシル : 「ホッホ、藍依ちゃんはプレゼントに何が欲しいのかな? ホーホー」
祝詞でも読み上げるように畏まって
琵琶坂 藍依 : 「う~~ん、欲しいもの……欲しいものか……いざ言われると難しいなあ……」
天海こよみ : 「今すぐじゃなくても、いいんじゃないかな。クリスマスはまだ先なんだし……」
天海こよみ : 「それに、もし藍依ちゃんが言わなくても……サンタさんはきっと、藍依ちゃんがよろこぶもの、プレゼントしてくれるよ……」
琵琶坂 藍依 : 「ふふ、確かにそうかも。私の欲しいもの分かるよね、サンタクロースさん」サンタクロースに笑いかける。
澱 カシル : 「あら、そう来るのですね。ふふ。」
素に戻って
澱 カシル : 「責任重大ですね、偽サンタ会議でも開きましょうか?」
こよみとユメ、ミツキの方を見て
虹之元 ユメ : 「これはマリスノサンタとしても、確実に成功させないとですね……」顎髭を撫でるようなジェスチャー
天海こよみ : 「かいぎするなら、今からかんがえておかなくちゃ……」 くすくす笑って
十条ミツキ : 「藍依の要求は結構難しいことがあるからねぇ……さながらかぐや姫だ」ふむ、と目を閉じて
琵琶坂 藍依 : 「そんなに難しいこと要求したことあるかな……」無自覚である
琵琶坂 藍依 : 「でも、おかげで今年のクリスマスはすごく……本当にすごく、楽しみになった……」
琵琶坂 藍依 : 「ありがとうね、皆」屈託ない笑顔で笑いかける。数多の重荷を背負ってきた藍依が、これまでは見せる事のなかった表情だ。
天海こよみ : 「ううん……!」 笑顔を返す
虹之元 ユメ : 「いいんですよ。今年は最高のクリスマス、最高の年の瀬にしてみせますよ!」にっこりと微笑み返す
澱 カシル : 「いえ、こちらこそありがとうございます。」
「わたくしもクリスマスをこうして楽しめるのは……マリスノとしてここまで来られたおかげですから。」
十条ミツキ : 「……こんな素敵な12月、そうないよ。アタシからもお礼を言わなきゃいけないくらいだ」
十条ミツキ : 「また来年、良い年を迎えよう、藍依」
琵琶坂 藍依 : 「うん、絶対」
琵琶坂 藍依 : 「────その前にまずは、テレビの向こうで待ってるファン達に、最高のクリスマスを届けないとね」温かくなった胸の前で、腕をぎゅっと握って。
天海こよみ : 「うん、そうだね……! がんばらなくちゃ、ね……収録……!」
虹之元 ユメ : 「バッチリ、しっかり! ファンの皆さんにプレゼントを届けましょう、ね!」
澱 カシル : 「ええ……! マリスノの総決算をぶつけましょう……!」
GM : キミ達が番組収録を前に、気持ちを確かめ合っていると。
GM : ちらり、と白い何かが視界に映り、こよみの鼻先に舞い降りる。こよみは、ふいに冷たさを感じるだろう。
天海こよみ : 「……?」 少し驚きながら、空を見上げる
GM : 見上げると、すっかり暗くなった空から、雪が降り始めていた。東京で降るのは久しぶりだ。
天海こよみ : 「わ……! わ……! 雪だ……!!」 
天海こよみ : 「雪、ふってるよ……! みんな……!」 嬉しそうに
虹之元 ユメ : 「あ、本当ですね! わ、つめたっ……!」 上を見上げたせいで鼻先に雪が直撃
琵琶坂 藍依 : 「ほんとだ、綺麗……」手の平で受け止めて、融けていく雪をじっと観察している。
澱 カシル : 「冷たいはずの雪ですが……」
「なぜか、今日ばかりは暖かく思えますね。」
澱 カシル : こうして人間の仲間に囲まれて、アイドルをしているなんて……夢のようだと笑う。
十条ミツキ : 「……そうだね。久しぶりだな……雪が綺麗だって思えたのは」そう言って、こよみの手を握って微笑む
天海こよみ : 「そうなの? ぼくはいつ見てもきれいだなって思うけど……」
天海こよみ : 「でも、ミツキちゃんもきれいって思ってくれてるなら……うれしい、ね……!」 ミツキの手を優しく握り返しながら
十条ミツキ : 「ふふ……この歳になると、何事も嫌な部分ばかり目につくようになっちゃうから。寒いなーとか、積もっちゃったらどうしよーとか」
十条ミツキ : 「でも……こうして、みんなで見る雪は綺麗だよ。想いが共有できるのって、とても暖かい気持ちになるから」そう、こよみに笑いかける
天海こよみ : 「……なんだか、分かるよ。ふふっ……」
天海こよみ : 「これからも、来年も、ずっと先も……みんなでいっしょに雪、みたいね……」
十条ミツキ : 「……そうだね…」
十条ミツキ : こよみにしんみりとした声で返事をして。もう片方の腕で、メンバー全員の頭を撫でて声をかける。
十条ミツキ : 「さて、寒くなってきたね……そろそろ、楽屋に戻ろうか」
天海こよみ : 「うん……ちこくしちゃ、ダメだもんね……!」 片手に購入したテディベアの袋を下げながら
虹之元 ユメ : 「目と心の保養もできましたし、蓄えたパワーを出す時ですね!」
琵琶坂 藍依 : 「うん。今日はなんだかいつも以上に出せる気がするよ、パワー」微笑んで
澱 カシル : 「いつも絶好調のこよみさんに、万全になったユメさんに藍依さん………もちろん、わたくしも改めて意欲に燃えていますから………」
「これは、最高の舞台に出来そうですね……!」
各所へのプレゼント袋を小さな躯が埋もれるほど抱えて、ついていく
GM : 粉雪が舞う中、キミ達はスタジオへと歩みを進める。寒さの中にありながら、その足取りは軽やかで……この瞬間、キミ達もまた、幸せ溢れる『日常』の一員となっていた。

 
楽屋
 
GM : クリスマスマーケットから楽屋に帰ってきたキミ達は、プロのヘアメイクアーティストらにビジュアルを整えられる。
GM : 雪に降られ、ややしっとりしていた髪は、アイドルらしくスタイリングされていく。
GM : デビューしたばかりの頃……メイク担当が足りず、セルフで、もしくはお互いにメイクをし合っていた日々が懐かしく感じられるだろう。
天海こよみ : 「…………」 鏡に映る自分を見つめて
天海こよみ : 「ぼくより上手い……」 当たり前
メイクアーティスト : 「ほんと?こよみちゃんにメイクできて、私も楽しいですよ〜」ニコニコと微笑みながら整えていく
天海こよみ : 「そ、そうなの……? えへへ……」 楽しそうに笑って
虹之元 ユメ : 「さすがはプロ……。血色までよく見えちゃいますね……」涙を流す体質を考慮して施されるメイクに感嘆としている
天海こよみ : 「みんなも、いつもよりかわいい……!」
天海こよみ : 「あ、いつもはかわいくないわけじゃなくて……プロって、すごいなって……!」 
澱 カシル : 「はい! 餅は餅屋とは良く言ったもので、専門家は凄いですね!」
こよみの発言に同意して
iRiS : 「そうだね。昔の私にはこれが当たり前だったけど、いろいろ苦労した今になって漸く、この凄さが分かったような気がするよ」
iRiS : 「メイクさんだけじゃなくって、カメラマンさん達もプロフェッショナルだから、ここからもっと可愛く撮ってくれるはず」
天海こよみ : 「すごいね、楽しみ……」
天海こよみ : 「いつか地上のアイドルになって、ぼくたちもこれが当たり前……ってなってみたいな……」 目を閉じてそんな夢を見る
澱 カシル : 「短い期間でこんなところまで来れたんです。きっと叶う……」
「いえ、掴み取りましょう!」
虹之元 ユメ : 「このまま上り詰めて、掴み取って……夢を叶えるんです……!」
iRiS : 「私達、あの小さなライブハウスからテレビ出演するまでになったんだ、その未来はきっと遠くないよ」
iRiS : 「今回の出演で、ファンをたくさん増やして……次の一歩への足掛かりにしよう」
天海こよみ : 「うん……!」
虹之元 ユメ : 「バッチリ魅せますよ……私たち、MARiNE SNOWを!」
澱 カシル : 「いつも通り、最高のアタシたちを見てもらいましょうね!」
iRiS : 「もちろん!」
iRiS : 「────けど、その前にコヨミには、最高の自分を見せたい人がいるんじゃないかな?」意味深に笑って
天海こよみ : 「え……? あ、うん……そりゃ、そう……だけど……」 もじ…としてる
iRiS : 「ふふ、どうしたの? もじもじして?」からかって笑っている
天海こよみ : 「そういわれちゃうと、なんだか……なんだろ……」 落ち着かない
澱 カシル : 「藍依ちゃん、こよみちゃんを困らせちゃダメですよ!」
「ふふ、それに……噂をすれば、ですね!」
GM : キミ達がこよみをからかっていたところで、扉がコンコン、とノックされる。
十条ミツキ : 「みんな〜、そろそろ移動してって……わ、可愛いじゃん!」
十条ミツキ : そう言いながら入って来たのは、スタッフ間での打ち合わせのために席を外していたミツキだ。
天海こよみ : 「ミツキちゃん……!」
天海こよみ : 「そ、そう……かな……? かわいい……かな……?」 ミツキの傍に近寄って
十条ミツキ : 「こよみ!可愛いよ、いつもよりまつ毛パチパチでアイシャドウもキラキラで……お鼻の先のハイライトも似合ってる」
十条ミツキ : 「でも、何より……ちょっとほっぺた赤くなってるのが可愛いかもね?」ふふ、と揶揄うように
天海こよみ : 「え……!? も、もう、ミツキちゃん……!」
天海こよみ : 「もう……。あ、ありがと……うれしい……」 衣装の裾を指で弄りながら、上目遣いでミツキを見つめて
十条ミツキ : 「全くもう、可愛いんだから……ちっちゃくてキラキラで、クリオネみたいだ」今にもぎゅっと抱きしめて来そうなほど目を細めている。が、ステージ前ということもあり自制しているのだろう。
iRiS : 「……あ~あ、ふたりとも妬けちゃうな~」頬杖をついて、遠くから声をかける
十条ミツキ : 「おや、気難しい女王様の登場だ。……ふふっ、藍依もとっても可愛いよ?」首を傾げて
iRiS : 「コヨミの後だと、その言葉を素直には受け取れないな」わざとらしく、むすっとして
iRiS : 「まあ、良いけどね? 私はカシルを愛でさせてもらうし?」席を立って、メイクを終えたカシルちゃんに後ろから抱き着く。
澱 カシル : 「藍依ちゃんったら! 褒められたなら素直に受け止めればいいのに……!」
メイクや衣装を崩さないよう、首筋を冷たい指で触れる
iRiS : 「冷たあ!?」ひゃっと飛び退く
虹之元 ユメ : 「あらあら、皆さんったら……じゃあ、私は~……」ん~、と周りを見回して
虹之元 ユメ : 「このクマちゃんでも愛でさせてもらいます!」 こよみの買ったテディベアを膝に抱えて
天海こよみ : 「えぇ……!? そ、そんな、どうしてクマちゃん……!」
天海こよみ : 「な、なんだかさびしいよ……。ぼくを愛でていいから、ユメちゃん……」 両腕を広げて
虹之元 ユメ : 「あは、こよみちゃんは優しいですねっ! じゃあお言葉に甘えて~……」片膝をついて、こよみをハグする
天海こよみ : 「ふふっ、やさしいとかそういうのじゃないよ……。ぼく、ユメちゃんのこともだいすきだから……!」 幸せそうに柔らかく抱きしめ返して

虹之元 ユメ : 「もう、照れちゃいますよ~? でも、こよみちゃんのお陰でもっとパワーが漲ってきちゃいました!」 こよみの背中をぽんぽん、と優しく撫でて
天海こよみ : 「よかった……これから収録だもん、いっぱいパワーためなくちゃ、ね……!」 嬉しそうに
虹之元 ユメ : ……一見、こよみを撫でるユメの調子は落ち着いているように見えた。
虹之元 ユメ : しかし、その手はほんの僅かに強張り、指先が微かに震えている。
無理もないことだ、いくら地下でアイドルとしての経験を積んだとはいえ、彼女は少し前まではただの一般人。
虹之元 ユメ : やはり幾らかの緊張は感じてしまっているようだ……。
天海こよみ : 「……?」 頭から伝わる違和感に気づき、顔を上げる
天海こよみ : 「ユメちゃん……だいじょうぶ……?」
iRiS : 「……初めての大舞台だもんね、上手くやれるか不安?」震える指先を見て
虹之元 ユメ : 「……実を言うと、多少は……! なんと言っても地上波ですし……」苦笑いを浮かべながら、首を傾げる
iRiS : 「そっか、実は私もなんだ」以前は見せようとしなかった弱みを晒す。
天海こよみ : 「……藍依ちゃんも?」 意外そうに
虹之元 ユメ : 「場慣れしてると思ったのですが……」こよみと同じような表情
iRiS : 「私も緊張くらいするよ、久しぶりの地上波なんだし」七天時代を知る人が見る機会もぐんと増えるだろうし。
澱 カシル : 「とはいえ藍依さんは緊張を上手く飼い慣らしているように見えますね?」
いつも通り涼やかに話す藍依を見て
iRiS : 「まあね?」
iRiS : 「アイドルを輝かせるのは自信、緊張してても胸は張っていないと」ステージ上で俯いているアイドルなど、もっての他だ。
虹之元 ユメ : 「わぁ、さすが板についてる……!」こよから離れ、形だけでもと『むんっ』と胸を張って
iRiS : 「────ねえ、ユメはいつか"自分のことが好きになれない"って言っていたよね」その様子を微笑ましそうに眺めた後、意を決したように話を切り出す。
澱 カシル : 「"冥界"に向かうことになる前、アタシに問いかけてた質問ですね!」
虹之元 ユメ : 「あ、この前の……」その時の自分を思い出して
澱 カシル : 「どうでしょう! ユメちゃんの答えは……見つかりましたか?」
虹之元 ユメ : 「そう、ですね……」少し唸って
虹之元 ユメ : 「……少し前までは、自分の不甲斐なさに嘆いていました。必死に藻掻いているのに、成長できない自分の情けなさに……」
虹之元 ユメ : 「なんと言いますか、あの時は自分を見失っていたのかもしれませんね?」気まずそうに頬を掻いて
iRiS : 「……わかるよ。私にも覚えがあるから」
iRiS : 「ユメは自分のスキルが私達に劣ってるって感じちゃってたんだよね」
iRiS : 「その答えになるかは、分からないんだけど」
iRiS : 「────この間、ユメミの歌を聴いたときに思ったんだよ」
iRiS : 「上手とか下手なんてことは重要じゃない。音楽は”魂”なんだって」
虹之元 ユメ : 「タマシイ……」藍依の言葉を咀嚼するように俯いて
虹之元 ユメ : 「つまり、自分を曝け出したハート……のような……」
iRiS : 「そう。大事なのはハート、歌や踊りはそれを伝える手段でしかないんだ」
iRiS : 「……誤解がないように言っておくけど、ユメが下手って言いたいんじゃないよ」
iRiS : 「ただ音楽っていうのはさ、それぞれ違う楽器たちが寄り集まって奏でるものでしょ?」
iRiS : 「ギターに比べて、ドラムはどうとか。そんなこと比べる意味はないんだよ」
iRiS : 「アイドルの価値も、決して相対的なものじゃない」
iRiS : 「それぞれ違う個性と魅力があって、それぞれ違う人達がそれを愛している」
iRiS : 「それだけの話なんだよ」
天海こよみ : 「……なんだか藍依ちゃん、変わったね」
天海こよみ : 「昔の藍依ちゃんなら、『情熱だけがあっても観客には伝わらない。だからまずは技術を磨いていかないと』……って言ってそうだったから……」 出会ったばかりの口うるさかった頃の藍依を思い出す
iRiS : 「はは……耳が痛いな……」
iRiS : 「昔いたグループの方針がそんな感じだったからさ。目標のために色々と焦ったりもしていて、私も自分を見失っていたのかもしれないね」
天海こよみ : 「そうなんだ……じゃあ、ちょっとだけ似たもの同士なんだね」 くすくすと笑って
iRiS : 「うん、そうかもしれない」
iRiS : 「……だからこそ、私の口から言わせてほしいユメ」
iRiS : 「ユメは自信をもって、ユメの音楽をすればいいんだ」
iRiS : 「キミは魅力的だ。音楽センスがあって、トーク力もあって、包容力まである」
iRiS : 「それだけじゃない。キミにはアイドルとしての沢山の武器がある」
iRiS : 「……そのことは、キミを愛してくれるファン達が、」
iRiS : 「私が」「コヨミが」「カシルが」二人に目配せをして
iRiS : 「誰よりユメミが証明してくれる」
iRiS : 「……皆にとって、キミはいつも最高のアイドルのはずだ」
天海こよみ : 「そうだね……。ユメちゃんは、そのままでいいんだよ」
天海こよみ : 「だって、ユメちゃんになれるのは、ユメちゃんしかいないんだから……」
澱 カシル : 「そして、答えに丸をつけるのもユメちゃん自身ですから!」
「どんな"ユメ"を選んでも、その選択を信じられるなら……きっと素敵になれるでしょうね!」
虹之元 ユメ : 「み、みなさん……っ」急に気恥ずかしくなってしまったのか、真っ赤な頬を押さえて目を泳がせる
虹之元 ユメ : 「ぅ、うぅ……ありがとう、ございます……。そうです、よね……」
虹之元 ユメ : 「……私、幸せ者ですね。みんなに支えられて、愛されて、素敵なメンバーやスタッフの人達に囲まれて……」その事実を噛みしめるように頷く
虹之元 ユメ : 「だから、なります……! そんな私を誇れる私に、皆に誇れる私にっ!」 キラリと希望を感じさせる強い眼差しで、ミツキを含めたMARiNE SNOWの皆々を見つめる。
天海こよみ : 「うん……がんばって、ユメちゃん……!」 ユメを見つめ返す
澱 カシル : 「今のユメちゃんなら、大丈夫!」
「本番もその意気です!」
iRiS : 「これからも一緒に、みんなで頑張っていこう!」自らの問題によって、かつてはグループ脱退も考えていた藍依だが、今となっては運命共同体だ。
天海こよみ : 「うん……! それに、今日の本番も、ユメちゃんならぜったいだいじょうぶ……」
天海こよみ : 「だって、ユメちゃんはきんちょうしてるわけじゃない……」
天海こよみ : 「ワクワクしてるんだよ、きっと。ぼくは、すっごく楽しみだから……ユメちゃんは、ちがう?」
天海こよみ : ドキドキと鼓動する胸元に手を置いて、小さく笑いながら、初ライブの前にユメに言った時と同じ言葉を投げかける。
虹之元 ユメ : 「……はい! 私、とっても……」
虹之元 ユメ : 「ワクワク、しちゃってます!」 満面の笑みを浮かべて、こよみに返してみせる
天海こよみ : 「だよ、ね……!」 楽し気に笑い合う
十条ミツキ : 「……皆はもうとっくに、UGNプロが……アタシが誇れる、立派なアイドルだよ」
十条ミツキ : 「でも、だからこそ、もっともっとその輝きを見せつけてやろう!」
GM : ミツキは、楽屋の扉を開く。
十条ミツキ : 「さあ……ステージまで、案内するよ」
天海こよみ : 「うん……行こう……!」 ミツキについていく
虹之元 ユメ : 「大丈夫、いけるいける……!」改めて奮い立たせながら
iRiS : 「さあ、最高の地上波デビューを飾ろう……!」そんなユメの肩をぽんと叩いて
虹之元 ユメ : 「はい……! 我らがMARiNE SNOWを魅せますよ……!」

 
流氷のステージ
 
GM : ──舞台袖。
GM : そこは、氷の城のようなステージだった。キミ達のパフォーマンスの為に整えられた舞台───恐らく、UGNプロからも援助があり、このような立派なステージを設けることができたのだろう。
GM : これまで数々のライブハウスや野外ステージに立ってきたが、ここまでの規模となると、キミ達にとっては初めてだ。
天海こよみ : 「……あれ、すごいね。あんなステージで歌えるなんて……」 
澱 カシル : 「海底以上のステージはそうそうお目にかかれないのでは!? と思ってましたけど……」
「あの時に勝るとも劣らないステージですね……!」
虹之元 ユメ : 「ま、まさに壮麗美麗……!」キョロキョロ見回して
iRiS : 「大舞台とは言ったけど、まさかここまでとは……」深夜番組と聞いていたので、こんなに凄いステージは想像していなかった。
十条ミツキ : 「ふふん、凄いよね。……これもさっきまで、例の衣装さんがやってくれてたんだけど……番組側にバレたら何言われるかわからないし〜ってどっか行っちゃったみたい」
十条ミツキ : 「でも、MARiNE SNOWの魅力は、このステージに立つに足るものだ。胸を張って演っておいで!」
GM : そう言って、カシルの、アイの、ユメの、そしてこよみの背中をとんと押す。
天海こよみ : 「うん……がんばるね、ミツキちゃん……!」
虹之元 ユメ : 「はいっ……! 頑張りますっ!」
澱 カシル : 「いってきまーす!」
iRiS : 「ああ、任せてくれマネージャーミツキ!」
十条ミツキ : キミ達の返事に、ミツキは満足そうに微笑み。舞台袖に一歩下がって、腕を組んでキミ達を見守る。
iRiS : 「……さて、いつものアレやっとこうか」
天海こよみ : 「うんっ」 皆に近づいて
虹之元 ユメ : 「やっちゃいますか、アレ!」
iRiS : メンバー全員が円になって、お互いの顔を見つめ合う。
iRiS : MARiNE SNOWがステージに立つ前の、いつからか当たり前になったルーティーン。
iRiS : 「────テレビでも、私達のやることは何も変わらない」
iRiS : 「サンタクロースは、良い子と良い親のところにしか来てくれない」
iRiS : 「今回のクリスマス番組が放映されるのは深夜で、良い子はきっと寝てる時間」
iRiS : 「……でも、だからこそ!」
iRiS : 「恵まれない人には、私たちがいる!」奈落華やハーデスを思い返して、
iRiS : 「MARiNE SNOWが、夢と希望を届けるんだ!」魂を込めて、そう叫ぶ。
iRiS : 「────そのことを伝えよう! 電波の海の向こう側で待ってる沢山の人達に!」
天海こよみ : 「うん……! ぼくたち、サンタさんにだって負けない……アイドルだもん……!」 そう言って、いつものように右手を前に出す
虹之元 ユメ : 「希望を届ける、みんなのアイドルとして……!」手を重ねて
澱 カシル : 「暗い雪夜に、輝きを!」
iRiS : 「さあ、コヨミ! いつものお願い!」 覚悟を込めて、右手を重ねる。
天海こよみ : 「じゃあ、行くよ……!」
天海こよみ : 「MARiNE SNOW、がんばるぞー!」
天海こよみ : 「おー!!!」 いつも通りに、元気に声を上げる
澱 カシル : 「おーーーっ!!!!」
iRiS : 「おーー!!」声を重ねる
虹之元 ユメ : 「おーーっ!!!」張りの声を重ねる!
天海こよみ : ────もう間もなく、ステージの幕が上がる。
天海こよみ : 「……ミツキちゃん」 しかしそこで、こよみは何故か戻って、そっとミツキに近づいて声をかけた
十条ミツキ : 「こよみ?」まさか戻ってくるとは思わなかったのか。ミツキは驚いたように声を上げる。
天海こよみ : 「あのね……」
天海こよみ : 「今日の収録って、クリスマスに放送されるんだよ……ね?」 今更なことを確かめる
十条ミツキ : 「うん……その予定だけど」
天海こよみ : 「……だよね」
天海こよみ : 「じゃあ、ちょっと早いけど……ミツキちゃんに、さいしょに言っておくね……」
天海こよみ : そう言って、こよみは背伸びをして、
天海こよみ : 「メリークリスマス、ミツキちゃん」 耳元でそっと、優しく囁く
十条ミツキ : 「………!」
GM : ミツキは、こよみの不意打ちの囁きに、くすぐったそうに顔を赤らめる。
GM : だが……彼女はすぐにキミに微笑み返す。
十条ミツキ : 「……メリークリスマス。頑張ってね、小さなサンタさん」
十条ミツキ : 「たくさんの人たちに……プレゼントを届けてあげるんだよ」
天海こよみ : 「うん……!」
天海こよみ : 「行ってきます……ミツキちゃん……!」 ミツキから一歩離れ、その顔を笑顔で見つめて
十条ミツキ : 「いってらっしゃい、こよみ!」
十条ミツキ : ミツキは、キミを笑顔で送り出す。
天海こよみ : こよみはミツキに背を向けると、どこか微笑ましそうに見守って待っていたMARiNE SNOWのメンバーのもとへと、駆け足で向かっていった……。

GM : アイドル。偶像と呼ばれる彼女らは、時に「星」と形容されることがある。自らの青春を燃やし、人々の憧れとして輝く。賞味期限つきの一番星だ。
GM : 現代に輝く無数の星々は、満天の星空の如く。
仮に1つや2つが消えたところで、誰も気づきはしない。
GM : だが、キミ達は忘れない。星々の声を繋ぎ、観測者らの道を照らし続ける。例え、物語が終焉を迎えたとしても。
GM : 極夜。天空と深海、夢と現が交わる闇の中。
GM : 新たな星座の名は───
GM : シーン13「MARiNE SNOW」
GM : ダブルクロス3rd Edition「明星のレゾナンス -極夜一碧-」 完

After play

経験点配布

GM : というわけで、皆様お疲れ様でした!では最後、アフタープレイです!
GM : これより、経験点を配布します。
GM : いつもの5点についてはそのまま配布で。最後までご協力いただきありがとう!
iRiS : こちらこそありがとうね…いただきます…
GM : 加えて、
「シナリオの目的(クラッドカルト奪還)を達成した」+5点
「『冥界』の危機を救った」+3点
「無事に番組収録に臨むことができた」+3点
Eロイス+5点
Sロイス(全員保持)+5点
GM : 共通で、合計26点かな?あとは各々、侵蝕分に合わせて計算してみてください。
iRiS : 最終侵蝕をあわせて、30点です!
澱 カシル : 同じく30点!
天海こよみ : 31点!
虹之元 ユメ : 31点ですわ!
GM : となると、GMは41点かな?なんか貰いすぎではないかと心配ですが
iRiS : GMへのクリスマスプレゼント!
虹之元 ユメ : もってけーい!
GM : あざーーっっ
澱 カシル : それだけのことはやっている!!
虹之元 ユメ : 二倍にしても足りないらしい
GM : ありがたいことですよ……なんかやたら高くて???になってしまった
GM : ロイス整理も各々で!またPCを動かす日が来ることを楽しみにしています。
GM : シナリオの設定資料的なものもちょとだけ用意してるので、その辺はおいおい出していきます。
GM : というわけで、この部屋での処理は以上かな!
皆様、このシナリオはもちろんのこと、2年越しの卓にお付き合いいただきありがとうございました…!
GM : 今後とも素敵なTRPGライフとアイドルライフを(?)お過ごしくださいませ!
虹之元 ユメ : 3か月のGM、お疲れさまでした!! それはもうたくさん楽しませて頂いた!!
iRiS : おつかれさまでした! 最高の卓をありがとう!!
天海こよみ : こちらこそ、本当にありがとう!二年越しに完結編をやってくれて感謝しかない…!凄く楽しかったです、長期間のGMお疲れ様でした…!!
澱 カシル : ここまでやりきったGMに感謝と称賛を!!
お疲れ様でした……!
GM : みんな本当にありがとう!各々TLに戻ったり、就寝の準備をしたり、素敵な夜を過ごしてください。
改めて、お疲れ様でした!
天海こよみ : はーい、解散!
虹之元 ユメ : 散!

To Be Continued...



CREDIT
テイク式女キャラメーカー
みんちりえ
moff
PAKUTASO

本作は「矢野俊策」「有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ」「株式会社 KADOKAWA」が権利を有する
『ダブルクロス The 3rd Edition』の二次創作物です。
©︎ 矢野俊策/F.E.A.R.